2017年03月24日

◆トランプ政権の行方を読む

加瀬 英明
 


日本の最大の資源は「人」。なすべきことを着実に進めよ

冷静な目で見るべきで言動に右往左往する必要なし

トランプ大統領の一挙手一投足に世界中が翻弄されていますが、それほど
過敏になる必要はないと私は考えています。

そもそもオバマ前大統領の8年間は、少なくとも外交政策についてはひど
いものでした。中国には南シナ海での実効支配を許してしまい、中東も混
乱、ヨーロッパではウクライナもバルト3国(エストニア、ラトビア、リ
トアニア)も危険な状況になっています。

もし、ヒラリー大統領が誕生していたとすれば、オバマ政権の第3期のよ
うな政権になっていたでしょうから、それよりはずっと良かったと私は考
えています。

まだ読めない部分もありますが、トランプ政権の経済政策では、長期的に
は円安傾向が続くと考えられます。大幅な法人税の減税、そして向こう
10年間で1兆ドルの公共投資を行なうことを明言していますから、イン
フレ傾向が強まるでしょう。それを抑制しようとして金利が上昇し、その
結果、ドル高円安が進み、長期的に見ればアメリカの輸出産業は伸び悩む
可能性が高いと思われます。

トランプ大統領は、国内雇用を増やすために、国外に工場移転する企業に
対し重い国境税を課すと警告していますが、国内雇用、特に正社員が激減
したのは、工場移転ではなく、AI(人工知能)のせいです。例えば、コ
ンビニのATMがどれだけ多くの銀行員の職を奪ったことか。経営の合理
化を進めるなかで起きたことですから、そこへの対応を考えないと根本的
な解決にはなりません。

また、トランプ大統領は、NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉を明
言するなど輸入に高い関税をかける姿勢でいますが、そう簡単ではないと
思います。かつて私は、福田赳夫内閣(在任期間1976年‐78年)で首相特
別顧問という立場でカーター政権を相手に対米折衝を行ないました。

アメリカ製のテレビが日本製のテレビに食われたため、日本製のテレビだ
けに高い関税を課しましたが、その分のマーケットシェアは韓国と台湾に
奪われただけで、アメリカの国内状況は改善しなかったのです。つまり、
特定の国を狙い撃ちにした関税はうまくいかないのです。

アメリカの工業製品は、その部品の多くを輸入に頼っています。関税に
よって部品価格が高くなれば、結局はアメリカ国内で製造した製品も高く
なります。つまり、今の世界で保護主義がうまく機能するとは思えないの
です。

世界恐慌が起き、ヒトラーという化け物が誕生し、第2次世界大戦が勃発
した原因は、保護主義にありました。恐るべきことですが、今述べたよう
な理由から、戦前のような保護主義にはならないと思っています。

「グローバリズムの終わりの始まり」という人もいますが、輸入部品に頼
らざるを得ない今の世界では、それは大げさです。トランプ大統領にもメ
ンツがあるので今後、方針転換は難しいと思いますが、NAFTAにもて
こずるでしょうし、TPP(環太平洋連携協定)からの離脱は結局損だと
いうこともいずれわかってくるでしょう。

ですから、過度に恐れる必要はないのです。私たちはあまりにもトランプ
政権の力を過大評価しているところがあります。冷静な目で見るべきで、
その言動に右往左往しないほうがいいでしょう。

学ぶことに謙虚で貪欲な日本人の遺伝子は今に通ず

日本は長い目で見ると、経済的には強いと思います。なぜなら、政治的に
も経済的にも社会的にも、世界で一番安定している国だからです。特に、
中小企業がこんなに強い国は、日本の他にありません。

日本の一番大きな資源は、「人」です。日本人のなかにある匠の心、和の
心です。世界でも珍しいほど人の心を思いやる民族です。ものづくりにお
いても、「人のことを思って作る」からこそ、いいものが作れるのです。

それは近現代に始まったことではありません。縄文土器のデザインなどは
どこにもないものですし、翡翠加工の技術をもっていたのは日本とインカ
帝国だけでした。ポルトガルから種子島に鉄砲が伝来して以来、全国の大
名が所持していた鉄砲の数は、ヨーロッパや中東の数倍にもなったと言わ
れていますが、それは、日本の鍛冶技術が極めて優れていたからです。

現在の日本の中小企業を見渡しても、世界のマーケットシェアの6、7割
を占めるような部品メーカーが数多くあります。これは日本人の中に営々
と受け継がれてきた和の心、そこから生まれた匠の心があるからです。

「日本化」とでも言うのでしょうか。日本という国は不思議な国で、海外
から取り入れたものに改善を加えて、良質で優れたものに変えてしまいま
す。それはものだけではなく、思想や文化でも言えることです。

例えば、儒教はもともと人民を統治するための統治思想で、普遍的な優れ
た価値を生み出すものではなかったのですが、日本に来ると優れた精神修
養哲学になりました。仏教もしかり。車に代表されるような工業製品も同
様です。ありとあらゆるものがそうです。

また、教育程度が高いことも日本の強みです。歴史的にみても、日本人は
学ぶことに対して謙虚であり貪欲でしたが、その遺伝子は現在にもつな
がっています。

こうした日本の素晴らしさを守っていけば、トランプ大統領がどう出よう
が、臆することはありません。冷静に長い目で見ながら、自分たちがなす
べきことを着実に進めればよいのです。


◆ロシア、中国のマネーロンダリングの手口

宮崎 正弘 

<平成29年(2017)3月23日(木曜日)通算第5232号>   

 〜英紙ガーディアンがすっぱ抜いたロシア、中国のマネーロンダリングの手口
  ロシアのマフィア、FSBと中国の銀行がグルになり、200億ドルを
資金洗浄〜

 中国の国有銀行の殆どが不正な資金洗浄に絡んでいた。

 世界的なマネーロンダリングの犯罪ルートが一部解明されたのだが、で
てくる、でてくる。中国銀行、中国工商銀行、中国農業銀行、中国建設銀
行という四大国有銀行ばかりか、交通銀行に加えてHSBCの香港支
店。。。。。

ロシアの不正資金の洗浄は欧州の銀行ばかりか、中国の銀行群がマネー
ロンダリングに手を貸していた。

もちろん、中国だけではなく、英国に本店をおくHSBC、クレディスイ
ス、さらにはドイツ銀行もからみ、巨額の資金洗浄に手を貸した関係者は
およそ500名。発端は例の「パナマ文書」である。

ガーディアン(2017年3月21日)に拠れば、まずやり玉に挙げられたの は
ドイツ銀行で、バルト三国のラトビアを舞台にロシアの犯罪組織が絡ん
だ資金洗浄に協力し、およそ3億ドルが謎の企業「グローバル・ランドロ
マット(Global Laundaromat)」を通過した。ここに
はKGBの後身「FSB」も絡んでいるという。
この資金洗浄は2010年から2014年に行われた。

ロシアのマフィアが架空のローンを互いにでっちあげて資金移動を行っ
ていた。

ロシアの資金洗浄はキプロスやモルドバが舞台だったが、キプロスで不動
産バブルが破裂し、モルドバではいくつかの銀行が倒産した。
その後、ロシア資金は旧ユーロスラビア諸国や、ラトビアなどバルト三国
に拠点を移動させていたらしい。


米国系銀行は、同じ期間にバルト3国から撤退した。

このロシア絡みに資金洗浄に手を貸すと、米国司法省から課せられる罰金
は、銀行経営を逼迫するほどの巨額になる。

明らかに犯罪が絡んだ資金の取り扱いに慎重になったからだ。JPモルガ
ン銀行などが撤退後、バルト三国に進出したのがドイツ銀行、コメルツ銀
行(独第3位)だった。

 ラトビア当局は、金融犯罪の捜査を進め、「ロシアの不法資金が欧州金
融市場へ流れ込む中継の役目をしている」としてドイツ銀行に警告を発
し、ドイツ銀行はスタッフの入れ替えを行った。

この犯罪スキームに中国の富豪たちの海外不法送金が絡んだ。

アジアタイムズ(同日)に拠ると、ロシアの「グローバル・ランドロ
マット」に関連した不正送金は、最低に見積もっても200億ドルに達する
という。

資金洗浄の犯罪組織や協力した銀行は合計96ヶ国におよび、このうち中
国に流れこんだカネは9億1500万ドル、香港に流れ込んだのが9億2700万ド
ルという。

ロンドンが本店のHSBCは、トータルで5億4500万ドル。パナマ文書 に
拠れば、中国共産党政治局常務委員会の全員が関与する面妖な企業や
ファンドが、濃密に資金洗浄に絡んでいることが判明しており、今後、全
容の解明は国際的な捜査協力体制が構築されるか、どうかにかかっている。
         
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIE 
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 西欧の社会主義政党はとうの昔に共産主義と訣別している
  ところが、日本では珍妙な主張がまかりとおり、共産党が残存している

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福富健一『共産主義の誤謬』(中欧公論新社)
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 日本共産党というのは世界の自由主義先進国においては存在すること自
体が珍しい政党である。ところが、2017年3月18日時点で、日本共産党は
衆議院で21議席を占めている。

コミンテルンの日本支部として生まれ、数々の武装闘争、火焔瓶、戦後は
GHQの保護を受けて暗躍し続け、凶暴な事件を引き起こしたが、路線を
転換するや平和護憲運動とかの珍妙な論理をでっちあげて、左翼労働組
合、教員組合、マスコミ、そして司法界に浸透した。

昨今の『安保法制』、『共謀罪』反対運動も、表立たないが、運動の中核
にいるのは彼らだ。

なぜ、こんなことになったのか。戦後政治のトータルな誤謬の結果だが、
憲政上、合法的に存在している以上、このフランケンシュタイン的組織は
危険である。しかし、なにが彼らの思想の根底にあるのかを、ここで改め
て見極めておく必要があるだろう。

本書はオルテガの箴言から始まる。

「自分の観念の分限を守るようおのれを訓練することができないならば、
人間は自分のわがまま勝ってに身をまかし、自分を喪失していくであろう
(中略)。自分だけで存在していると信じているとすれば、(中略)自分
である以前に、妖怪じみた、幻影的な、想像上の存在物になってしまうで
あろう」(ホセ・オルデガ・イ・ガセット著、井上正訳『体系としての歴
史』、白水社)。

マルクスは人間の歴史が封建社会から資本主義社会を経て、プロレタリア
革命がおこり、共産主義社会に最終的に移行するなどとノストラダムスの
ような予言をした。
 
「ところが日本では、天皇制という封建社会が残っている。よって共産党
は、天皇制を転覆するブルジョア革命を行い、その後、社会主義革命に
よってプロレタリアートと農民の独裁を実現する」とした二段階革命論が
論壇の一翼をしめ、共産党も主張した。

講座派の『日本資本主義発達史講座』(岩波書店)には次のような文言が
並んでいる。

「明治維新は、直ちにブルジョア革命――有産者団の政権掌握――を意味し得
はしなかった。だが、それはその本質において旧封建的生産関係に対し
て、資本家的生産関係の支配的展開への、したがってまた、旧封建的支配
者に対して、資本家および『資本家的』地主の支配権確立への端緒を形成
したところの、画期的社会変革であった」

この文章は大江健三郎より下手な作文で、よほど頭の悪い人が書いたのだ
ろう、自分で何を言っているのか咀嚼さえされておらず、しかし、この程
度の作文でカクメイに走った一群の人たちがいたことは悲哀である。

安保条約の条文も読まないで60年安保反対を言っていた若者たちの時代
的熱狂に通底する心情はほのかに感じられるにせよ、消化不良をおこしそ
うだ。誰が書いたのか、調べると羽仁五郎だった。さもありなん。

さて、日本共産党は西側先進国において存在することさえ奇妙とされる。
 ドイツでは共産党は憲法違反として存在が認められていない。たとえ合
法的存在としてあっても、フランスや米国のように、誰も注目しないミニ
政党だからである。

自由主義諸国には結社の自由が認められているから、台湾にも「共産党」
がある。むろん、支持者は僅少、議席はない。

イタリア共産党は社会民主主義政党に変質したが、ソ連崩壊後に消滅し
た。英国では政治から排除され、フランス共産党は衰亡の危機にある。 
 なぜ欧米で共産党は消滅したのか、福富氏は言う。

「日本と違い共産主義政党が消滅した」(中略)大きな原因は「欧米の社
会主義政党は『フランクフルト宣言』や『オスロ宣言』で明確に共産主義
を拒否したからである」

日本のメディアが熱心には伝えなかった『フランクフルト宣言』(1951
年)には、「共産主義は、一党の独裁制を確立するだけの目的」しかな
く、また「国際共産主義は軍国的官僚制と恐怖警察制度に基盤をおいてい
る」と明言しているのである。

また社会主義インターの「オスロ宣言」(1962年)は、「共産主義は単な
る社会的、政治的、また経済的制度ではなく、自己の唱えるところが絶対
的に正しいと主張し、かつ全世界に拡大せんと懸命になっている一種の教
義である」と断言し、「共産主義諸国はもっとも激烈な反植民地主義のこ
とばを使っているが、数千万の人々を奴隷としてきている」とソ連、中国
を非難しているのである。

とどのつまり、福富氏が結論することは、「西欧の社会主義政党は、共産
主義の『思想』そのものを『教義』であり人間の『自由を否定』し」てい
るのであって、「人類社会と矛盾する思想を排除しようとしている点が日
本と異なっている」とする。

政治思想史の再学習となるので有益な書物である。

◆トウ小平の刺身以後

渡部 亮次郎



中華人民共和国の人は、肝臓ジストマを恐れて,生の魚は食べないが、ト
ウ小平氏は初来日(1978年)して刺身を食べたかどうか、従(つ)いて来
た外相・黄華さんが1切れ呑み込んだのは現認した。そんな中国が最近は
刺身の美味さを知り、マグロの大消費国になった。

元は琵琶湖に次ぐ大湖沼だった秋田県の八郎潟。今はその殆どが干拓され
て水田になっているが、私の少年時代はこの八郎潟が蛋白質の補給源だった。

鯉、鮒、鯰(なまず)、白魚など。またそこに注ぐ堰で獲れる泥鰌や田螺
(たにし)も懐かしい。但し、これら淡水魚には肝臓ジストマがいて危険
だとは都会に出て来るまで知らなかったが、地元では理由もなしにこれら
淡水魚を生では絶対食わさなかった。

そのせいで私は中年を過ぎても刺身が食べられず、アメリカへ行って日本
食好きのアメリカ人たちに「変な日本人」と言われたものだ。

62歳の時、突如食べられるようになったのは、久しぶりで会った福井の漁
師出身の友人・藤田正行が刺身しかない呑み屋に入ったので、止むを得ず
食べたところ、大いに美味しかった。それが大トロというものだった。そ
れまでは、鮨屋に誘われるのは責め苦だった。

ところで、肝臓ジストマ病は「広辞苑」にちゃんと載っている。「肝臓に
ジストマ(肝吸虫)が寄生することによって起こる病。淡水魚を食べるこ
とによって人に感染し,胆管炎・黄疸・下痢・肝腫大などを起こす。肝吸
虫病」と出ている。

そんな記述より、実話を語った方がよい。九州の話である。著名な街医者
が代議士に立候補を決意した直後、左腕の血管から蚯蚓(みみず)のよう
な生き物が突き出てきた。

びっくりしてよく見たら、これが昔、医学部で習った肝臓ジストマの実物
であった。おれは肝臓ジストマ病か、と悟り立候補を突如、断念した。

「おれは、川魚の生など食べたことはないぞ」と原因をつらつら考えても
心当たりは無かったが、遂につきとめた。熊を撃ちに行って、肉を刺身で
食った。

熊は渓流のザリガニを食っていて、そのザリガニに肝臓ジストマがくっつ
いていたとわかった。しかしもはや手遅れ。体内のジストマを退治する薬
はない(現在の医学ではどうなのかは知らない)。夢は消えた。

中国人は福建省など沿岸部のごく一部の人を除いて、魚は長江(揚子江)
をはじめ多くの川や湖の、つまり淡水魚だけに頼っていて、肝臓ジストマ
の恐ろしさを知っているから、生の魚は絶対、食べなかった。

トウ小平と一緒に来た外相・黄華さんが東京・築地の料亭・新喜楽で鮪の
刺身1切れを死ぬ思いで呑み込んだのは、それが日本政府の公式宴席であ
り、そのメイン・デッシュだったからである。外交儀礼上食べないわけに
いかなかったのである。

後に黄華さんも海魚にはジストマはおらず、従ってあの刺身は安全だった
と知ったことだろうが、恐怖の宴席をセットした外務省の幹部はジストマ
に対する中国人の恐怖を知っていたのか、どうか。

中国残留日本人孤児が集団で親探しに初めて来日したのは昭和56年の早春
だった。成田空港に降り立った彼らに厚生省(当時)の人たちは昼食に寿
司を差し出した。懐かしかろうとの誤った感覚である。

中国人が生魚を食べないのは知っているが、この人たちは日本人だから、
と思ったのかどうか。いずれ「母国でこれほど侮辱されるとは心外だ」と
怒り、とんぼ返りしようと言い出した。

中国の人は冷いご飯も食べない。それなのに母国は冷いメシに生の魚を
乗っけて食えという、何たる虐待か、何たる屈辱かと感じたのである。

最近では、中国からやってきた学生やアルバイトの好きな日本食の一番は
寿司である。ジストマの事情を知ってしまえば、これほど美味しい物はな
いそうだ。催促までする。奢るこちらは勘定で肝を冷やすが。

よく「この世で初めて海鼠(なまこ)を食った奴は偉かった」といわれ
る。それぐらい、何でも初めてそれが毒でないことを確かめた人間は偉
い。だとすれば淡水魚を生で食っちゃいけないと人類が確認するまで、犠
牲者はたくさん出たことだろう。感謝、感謝である。

1972年9月、日中国交正常化のため、田中角栄首相が訪中した時、中国側
が人民大会堂で初めて出してきたメニューは海鼠の醤油煮だった。田中さ
んより前に来たニクソン米大統領にも提供しようとしたのだが、アメリカ
側に事前に断られたと通訳の中国人がこっそり教えてくれた。

以上を書いたのが確か2003年である。あれから中国は驚異的な経済発展を
遂げた。それに応じて食べ物も変化し、都市では今まではメニューに無
かった牛肉が盛んに消費されるようになった。それに伴って過食から来る
糖尿病患者が相当な勢いで増えている。

問題の魚の生食についても2007年3月1日発売(3月8日号)の「週刊文春」57
ページによると中国のマグロ販売量は、中国農業省の調査によると、2006
年上半期だけで50%から60%も伸びている。

経済発展著しい中国が異常なスピードで鮪の消費量を増加させている事実
は意外に知られていない。日本料理店ばかりでなく、北京や上海の高級
スーパーにはパック入りの刺身や寿司が並ぶ、という。

共産主義政治でありながら経済は資本主義。物流が資本主義になれば食べ
物は資本主義になる。肝臓ジストマが居ないと分れば中国人がマグロだけ
でなく生魚を食べるようになるのは当然だ。とう小平の現代化には5つ目
があったのか。2007.03.06

◆理事長の信憑性には疑問山積だ

杉浦 正章



破れかぶれの「抱き合い心中」を狙う
 

自民党は偽証罪で籠池を告発せよ
 

裁判で「やっていない」という主張に対して「やった」という事実の証明をすることを悪魔の証明という。結論は完全否定は不可能であるとされる。籠池泰典が首相・安倍晋三をはじめ夫人昭恵や大阪府知事松井一郎を指さして疑惑があるかのような発言を繰り返しているが、これも完全否定は出来ない。それではどうするかだが便法を講ずることは出来る。安倍は「私や妻、事務所も含め、小学校の認可や国有地払い下げには一切関わっていない。関わっていたら首相も国会議員も辞める」と発言したが、これがいわば準悪魔の証明であろう。


松井もそれしか手はないと見えて「学園の理事長と2人で会ったとか、森友を優遇せえ、という指示をしていたら、辞めます」とまねをした。まるで辞めるの「二重奏」となった。しかし、今回の場合は証言の信憑性を否定することは可能だ。
 

まず「妻を辞める」というわけにもいかない昭恵はどうするかだ。悪魔の証明は出来なくても、悪魔の証明に「肉薄」することは可能だ。それは籠池の「空想性虚言症的な側面」(自民党幹部)を状況証拠から立証すればよい。虚言症は自己顕示欲の強い人間がなりやすいが、国会における証人喚問ではその自己顕示欲の塊のような籠池の性格が明らかになった。
 

まずその最大のものは天皇陛下すら自らの利得に結びつけようとする性癖だ。森友学園のホームページで籠池は「天皇陛下が森友学園を訪問された」と書いている。書かせたのかもしれないが責任者だから書いていると言ってもおかしくない。これを参院で追及された籠池は「私は知りませんでした。恐縮です」と釈明した。理事長である自らの責任を問われ、「お越しになっていらっしゃらないものをお越しになっていらっしゃるというのは事実に沿いませんので、それについて記載されているのであれば申し訳ないことだと思っております」と平謝りに徹した。


ここから三段論法ができる。三段論法とは「植物は生物である」の大前提から「松は植物である」の小前提を導き「故に松は生物である」に達する論法だ。籠池は「天皇が来たと嘘をついた」から「籠池は嘘つきである」を導き「故に昭恵は嘘をつかれて関わっていない」に到達できるのだ。
 

さらに籠池が嘘つきであるということの悪魔の証明を加えれば、森友学園の3つの建設契約書に到達する。籠池は国に23億8千万、大阪府に7億5千万、大阪空航運営会社に15億5千万円の契約書を3つ作った。国に最も高いものを提出したのは、明らかに多額の補助金を得るためであり、大阪府をもっとも低くしたのは自らの財務状況で建築可能であるとみせかけるためのものだろう。


これは国に対する有印私文書偽造の疑いが生じいてくる。簡単に言えば、国や自治体に対する詐欺行為である。詐欺罪で刑事告発可能ではないか。松井は業務妨害の疑いで刑事告発することを検討している。察知した籠池は証人喚問で「刑事訴追を受ける可能性があるので控えさせてもらう」という答弁を連発して、逃げまくった。
 

さらに新しい小学校が愛知県の進学校「 海陽中等教育学校」に推薦枠を設けることで合意したという話である。愛知の進学校は全く関与していないと全面否定している。これらの3大虚言からみれば、昭恵をめぐっても虚言をねつ造したことは十分考えられる。資金繰りの窮状からの脱出を考えた籠池は昭恵の携帯に電話して留守電状態だったため伝言を残した。昭恵付きの事務官谷査恵子はファクスで「大変恐縮ながら現状では希望に添うことは出来ません」と回答している。


まさに官房長官・菅義偉が言う「ゼロ回答」であった。財務省に谷が問い合わせた上での対応であったといわれるが、民進党の枝野幸男が鬼の首を取ったかのような追及をしても、これ以上の問題には発展しまい。


そもそも野党は9億6000万の土地が森友に1億3000万で売却されたという「大幅値引き」を問題視しているが、8億3000万はゴミ処理費用であり価格は適正だ。同じように隣接している国有地が豊中市にたったの2000万円で売り渡されている。豊中市が14億円をゴミ処理にかけたからだ。
 

籠池がなぜ政府・与党を大向こうに回して破れかぶれの「抱き合い心中」のような動きに出た背景だが、どうも安倍の国会答弁がきっかけらしい。安倍は2月24日の国会答弁で、「安倍晋三記念小学校」の名称について「絶対にやめてもらいたいと再三申し上げている」ことを明らかにしながらも、籠池を「非常にしつこい」と批判したのだ。籠池は証人喚問でこの「しつこい」にこだわっていた。逆恨みのようである。


また昭恵から「口止めとも取れるメールが届きました。あんなに開校を楽しみにしてくれていた、どうしてなのか割り切れない」と、恨み節をたらたらと述べた。メールの真否についても官邸は公表の用意があるとしており、早期に公表して疑いを晴らすべきだ。
 

ことの核心は教育者の風上にも置けないような人間が、安倍の力をフルに活用してその野望を成し遂げようとしたおこがましさにある。最初は教育者であり保守的であることから夫人が心を許した側面がないわけではないが、その行動は図々しく、首相の力を借りれば法を無視できると考えたフシが濃厚だ。


これに気付いた安倍や夫人が籠池との関係を断ち切ろうとしたのは、自然であり、全く正しい。証人喚問のやりとりをつぶさに検証したが、籠池の憶測や見当外れの恨み節が目立つばかりで、ロッキード事件の証人喚問でにじみ出たような“異臭”などは全然感じられなかった。


新聞テレビは籠池を全面的に信用してあたかも疑惑の発覚であるかのような報道に徹しているが、センセーショナリズムを慎むべきだ。野党は被害者である昭恵を証人喚問に呼ぼうとしているが、もういいかげんにした方がよい。極東情勢が一朝有事になりかねない時期に、大阪くんだりの馬鹿馬鹿しい事件に国会が振り回されているときかと言いたい。事件は事件として処理すればよい。


自民党はさっさと偽証罪で告発すべきであり、捜査当局も疑惑の解明に着手せよ。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

◆顕微鏡検査で歯周病菌発見

毛馬 一三


奥歯に違和感があったので、近くの「歯科医」に診療に行った。これまで虫歯は一本もなかったので、歯科医院に行くのは10余年振りのことだった。

診察の結果、奥歯1本に軽度の虫歯があるとのことで、治療を開始することになった。とにかく軽い虫歯発見だけで済んだため、一旦は胸を撫で下ろした。

ところが驚いたことがあった。この歯科医院の診察室には「位相差顕微鏡」が備えられており、患者の口内に歯周病菌やカビ菌が有るか否かをたちどころに検査するシステムが整えられていた。

歯科医院には「顕微鏡と映像公開装置」のセットが5年ほど前から導入され始めたそうだが、長期ご無沙汰していた筆者にとっては、このようなセットがあるとは、全く知らなかった。

映し出された筆者の口内検査画面の映像をじっくり見ると、紐状の歪んだ塊が幾重もあり、その間を原虫みたいなものが無数に蠢いている。初めて見る映像だったので、不気味な映像に悪寒が込み上げてきた。

歯科医師の説明によると、映像で蠢いているのは歯周病菌で、紐状の塊はカビ菌だという。なんと口内で歯周病菌が見付かったのだ。

歯周病菌は、回し飲みや回し食い、箸の使い回し、キス、くしゃみなどが感染ルートとして上げられ、一旦口の中に進入すると定着して発症するケースが多いそうだ。外食の多い人には特に罹患の可能性が高いという

歯周病は、口の中で出血すると血管に入り、心臓で炎症を起こすという。歯周病の患者が心臓病になる確率は2〜3倍にあがり、このほか食道癌、糖尿病、早産、高血圧などにも関与しているという。

カビも酸を出すので歯を溶かし、虫歯につながるという。予防を怠れば、どちらも恐ろしい病気だ。

このため歯周病菌予防とカビ菌除去のために、「細菌の除去薬剤・シスロマック」とスプレー式カビ取り歯磨き剤の「ぺリオバスターN」を出してもらい、予防措置を講じた。

2週間後に再度行った「顕微鏡」検査で、症状に改良が確認されたので一安心したが、油断は禁物。今も歯の手入れには真剣に取り組んでいる

ところで、歯周病の進行を症状の具合でみると、
@口臭、ネバネバ感
A歯ぐきに赤み、時々出血
B歯ぐきの炎症、腫れ、赤みの悪化
C歯ぐきを押すと膿が出る
D口臭が更に悪化、出血がひどい、歯が揺れる、歯ぐきがよく腫れる
E歯が痛くて噛めない、歯が揺れて噛めない、歯ぐきが常時腫れている

といった順序で進行いくという。無感覚の中で進行する場合もあるという。

であれば、定期的に歯科医院に通い、歯周病が再感染していないかを「顕微鏡」で調べる必要があるようだ。またカビ菌も歯周病菌の棲みかとなって歯周病に再感染する要因になるので、適切なクリーニングが求められる。

序でながら、義歯にもかなりのカビが付くので、歯周病と関わりがあり、義歯のブラッシングも留意すべきだそうだ。

歯周病菌が「顕微鏡」で発見されたものの、歯周病には患っていなかったのでラッキーだったが、この機会に歯の手入れには一層気を配って行こう。そうしないとこれから美味しいものが頂けなる。
参照:<国際歯周内科学研修会監修・顕微鏡検査のススメ>                 
                         

2017年03月23日

◆軍艦行進曲、瓦解、侠気

加瀬 英明

2月11日の建国記念の日に、鹿児島県霧島市が主催する祝賀市民大会に招
かれて、記念講演を行った。

毎年、建国記念の日に各地をまわってきたが、霧島市は天孫降臨の地であ
るから、身心ともに引き締まる思いがした。

前日から、粉雪が舞っていた。当日は、例年市内に駐屯する陸上自衛隊の
音楽隊が先頭に立って、市民が目抜き通りを日の丸の小旗を手に奉祝行進
するが、高齢者が転倒するおそれから中止されて、屋内で挙行された。

はじめに、音楽隊が明治以来の軍楽である『君が代行進曲』『抜刀隊』
『軍艦行進曲』を、つぎつぎと吹奏した。軍艦マーチとして親しまれてい
るが、日清戦争の前に鹿児島県出身の瀬戸口藤吉によって作曲された。

市内の国分駐屯地は、海軍航空隊基地だったが、大戦末期に沖縄の空へ向
けて特攻機が飛び立っていった。

音楽隊が演奏を終えるたびに、会場を埋める市民から、盛んな拍手が送ら
れた。

それなのに、NHKをはじめ大手テレビが自粛して、軍歌を放映すること
がない。いったいシンガポールから、ガダルカナル、ペリリュー、サイパ
ン、沖縄までの戦場において先人たちが戦ったことが、そんなに恥しいこ
となのだろうか。

私は中曽根内閣で首相の顧問として、対米折衝を手伝った。中曽根総理が
昭和58年に訪米した時に、レーガン政権が首相が大戦中に海軍将校であっ
たことを知って、ホワイトハウスで軍楽隊が晴々しく『軍艦行進曲』を演
奏して、歓迎した。外国政府が日本の軍歌を公けの場で演奏するのに、ど
うして日本ではできないのだろうか。

昨年は、夏目漱石の没後100年に当たった。漱石は明治39年に『坊っ
ちゃん』を発表しているが、幼い漱石を溺愛した女中が清という名で、登
場する。「もと由緒あるものだったそうだが、瓦解のときに零落して、つ
い奉公する様になった」と、書いている。

「瓦解」は、当時の人々によって徳川幕府が倒れて、封建制度が崩壊した
のを意味する言葉として、ひろく用いられていた。

私たちも72年前の敗戦によって、同じように瓦解を体験したが、時ととも
に国の芯が溶解してしまった。明治の先人たちが見たら、私たちは腑甲斐
無い民となった。

私は昨年末に、客観的な年齢によって80歳になったが、20代から働き盛り
が続いている。筆耕と講演に忙しい。

昨年、私は7冊の本を世に送ったが、書き下ろしが1冊、半分ずつ書いた
共著が2冊、対談本が2冊、著作選集の第2巻目と、20代で新潮社からで
た本を、祥伝社が復刻してくれた。

本誌の前号に、中島兄哥(あにい)の同人の花田紀凱さんが寄稿していた。
花田さんは、私にとっても古い仲間だ。今年に入って、花田さんの月刊
『HANADA』に、2回寄稿した。

私は20代から雑文を書いてきたが、『HANADA』4月号で当時を回想
した。あのころは活字の全盛期だった。

よく銀座で飲んだものだった。溜り場のようなクラブをどこか覗けば、新
潮社、文芸春秋、講談社の編集者や、物書き仲間が来ていた。私のような
駆け出しの筆者や、出版社の若い担当者でも、銀座の一流クラブで飲め
た。作家や、マスコミの“学割”値段があったし、勘定の取り立ても厳しく
なかった。

ジャーナリストの生活は酒と締め切りに、ちょっとだけ正義感を混ぜ合わ
せると、できあがった。それに筆記用具、電話や、人によって嵩(かさ)が
違う資料に、ちょっぴり自惚れ(うぬぼれ)を隠し味として、まぶせばよ
かった。

銀座の酒肆(しゅし)では、自民党、民社党、日本社会党、総評、創価学会
の幹部たちとよく行き合った。酒泉では誰も平等だった。こんな時には、
階級闘争も、宗教的な抗争も忘れて、和気藹々(あいあい)として憂さを晴
らした。

そのころでは、まだ陰と陽の世界の区別がはっきりとしていたから、クラ
ブの女性たちは、みなどこかで見えない苦労を背負っていた。もっとも、
全国民が「人生は苦の連続だ」という雰囲気を引きずっていたから、酒の
味も今よりほろ苦かった。

今ではクラブの娘たちは、人生が楽の連続だと決めている。陰陽の区別が
なくなって、OLや、シロウトがそのまま座っているようになっている。
『熟年ニュース』の表紙の客車の真っ直ぐに立った、木製の座席の背が懐
しい。

あの時代の男たちには、誰もが中島兄者のように侠気があった。酒肆のマ
ダムたちは、気立てがよかった。

いまでは、憂さといわずに、ストレスという。まるでロボットの部品が壊
れたようだ。

このごろのクラブの娘は、平気で本名を名乗る。気味悪い。源氏名(げん
じな)という言葉も、理解しない。シロウトの娘もフェイスブックを使っ
ているから、同じことだ。

「この丘に菜摘(なつ)ます児(こ) 家告(の)らせ名告(の)らさね」と、万
葉集の巻頭に雄略天皇の有名な御製がのっているが、女性が相手に名を明
かしたら、求愛に応じたことになった。『源氏物語』に登場する女性も一
人として本名はない。

近頃の女性は放縦で、露骨で、はじらうことがない。男女の違いがなく
なった。いつのまにか「男港」「女港」「男坂」「女坂」といった言葉
も、死語になってしまった。

一事が万事だ。私たちの日本から、減(め)り張(は)りがなくなってしまっ
た。グローバリゼーションとか、国際化といった締りがない言葉が、日本
も外国も区別がない、のっぺらぼー――目鼻のない化け物のような、掴みど
ころがない社会をつくってしまった。

制定されてから71年たつ、日本の独立を奪う「平和“無抵抗”憲法」のせい
だろうか。

私たちの手に日本を取り戻すために、中島兄哥に先棒(さきぼう)を振って
もらわねばなるまい。

(中島繁治氏は日大OB誌『熟年ニュース』主催者)


◆トランプ政権、過去最大の武器供与を台湾へ

宮崎 正弘
 


<平成29年(2017)3月22日(水曜日)通算第5231号>   

 〜トランプ政権、過去最大の武器供与を台湾へ
  総額18億ドル、対艦ミサイル、フリゲート艦など〜

トランプ政権は台湾の安全保障のため、要請のある武器供与を過去最大
の規模に拡大する模様である。

もっとも米国は「台湾関係法」により、台湾への武器供与を条約上も義務
付けているが、オバマ政権では北京からの抗議の少ない、「比較的穏やか
な武器」(ネッド・プライス前安全保障会議スポークスマン)に限定して
きた。

トランプ大統領は昨年12月3日に、蔡英文台湾総統からの祝賀電話を受
け、「ひとつの中国」という過去の歴代政権が取った原則には拘らないと
発言し、北京を慌てさせたが、その後、やや発言を修正し、浮上した北朝
鮮のミサイル実験以後は、中国との関係重視に傾いた。

4月6日には習近平主席をフロリダ州に招待し、北朝鮮問題を主議題に話
し合う予定が組まれている。

このため、事前の詰めの目的でティラーソン国務長官を北京に派遣した。

こうした情勢を踏まえ、台湾への武器供与は米中会談が終わるまで表面
化することはないが、ロイターは(3月18日)、政権内部で真剣に議論さ
れており、供与される武器は対艦ミサイル、フリゲート艦など、総額18億
ドルを超えるだろう、と報道した。

しかしながらトランプ政権は肝腎の政権高官人事が遅れに遅れており、
国務省、国防省ともに副長官、次官、次官補人事が難航している。

このため、実際に台湾への武器供与が決められるのは、2018年に持ち込む
ことになろうと観測筋はみている。
         

◆インド直伝のカレーは

渡部 亮次郎



日本のカレイライス乃至ライスカレーは、初めはインドからではなく、英国海軍から明治時代の日本海軍に伝えられたものだった。それは兵士を苦しめる病気「脚気」(かっけ)対策としてだったから、小麦粉(ビタミンB1)一杯の「粉っぽい」ものだったのは当然である。

しかも除隊した海軍兵士たちが家庭にそのまま伝えたから、日本中のカレーが粉っぽいものとして定着したのは当然である。私の義兄が富士屋ホテルだかどこかのホテルで習ってきたカレーは、いま市販されている固形ルーを使ったものより、黄色でもったりして、明治を思わせる。

「こんなものカレーではない」と文句をつけたインド人が1915(大正4)年暮、日本に亡命して来た。ラス・ビハリ・ボースという。このボースが東京・新宿の「中村屋」に入って「純インド式」のカレーを教えた。

<ボース:Rash Bihari Bose(1886‐1945)
インド民族運動の指導者。日本に長く在住して〈中村屋のボース〉として有名。1908年ごろからベンガル民族運動を指導し,当時の風潮のなかでテロリズム系の運動を行う。

12年,インド総督ハーディング(英国人)に爆弾を投てきして負傷させたが,15年ラホール兵営反乱は失敗に終わった。

15年,訪日し時を同じくして亡命中の孫文と邂逅し,知遇を得た。その年の11月,イギリスの圧力による国外退去令に際して,孫文,頭山満などの助けにより,中村屋主人の相馬愛蔵・黒光夫妻のもとに隠れた。

その後相馬夫妻の長女俊子と結婚。41年太平洋戦争勃発とともに,インド独立連盟総裁としてインド国民軍結成のため日本に協力した。過労のため体調を崩し,東南アジアより日本に戻り,45年1月インド独立をみることなく没した。

2006年5月21日の産経新聞によると、もともと中村屋は東京大学のある本郷で明治34(1901)年、パン屋として創業し、後に新宿に移転。昭和2年に喫茶部を開設したときにボース直伝による「純インド式カリー」を出して東京っ子の舌に衝撃を与えた。

<相馬黒光 そうまこっこう 1876‐1955(明治9‐昭和30)
芸術家を後援した商人で,自身文筆もよくした。本名良。仙台に生まれ,押川方義の影響でキリスト教徒となる。

明治女学校を出て長野県の企業で社会改良運動家相馬愛蔵と結婚するが,婚家の気風になじまず,1901年夫とともに東京に出,本郷にパン屋中村屋を開業した。

はじめは苦労を重ねたが,店を新宿に移してからは東京の西郊への発展も幸いして事業はしだいに軌道に乗り,山手のインテリ層を中心に顧客をひろめた。

彫刻家荻原守衛,肖像画家中村彝(つね),ロシア人の詩人エロシェンコらのパトロンとなり,また15年インド独立運動家 R. B. ボースを中村屋内にかくまい,長女を嫁がせた。自伝《黙移》がある。岡部 牧夫>(世界大百科事典(C)株式会社日立システムアンドサービス)

(相馬黒光のことを調べてみたら、この原稿の途中であることを忘れるぐらい、波乱万丈の人生を送った女性であった。いつか書いてみよう)。

インド人のボース。宗主国として植民地インドを支配するイギリス。そのイギリスの、しかも海軍からの移入と聴いて、独立運動の戦士ボースは耐えられなかっただろう。「東京のカレーうまいのないナ。油が悪くてウドン粉ばかりで、胸がムカムカする」と昭和7年、日本の新聞に喋っている。

ところでボースのカレー伝授については後で触れるとして、ボースを中村屋に入れた頭山満は友人頭山興助(おきすけ)のお祖父さんだが、失礼ながら、詳しくは知らなかった。

<頭山満 とうやまみつる 1855‐1944(安政2‐昭和19)
明治・大正・昭和期の国家主義者。黒田藩士の家に生まれ,のち母の実家を継ぐ。1876年同藩の不平士族の蜂起計画に加わって逮捕され,1年間入獄。

79年板垣退助の強い影響下に箱田六輔,平岡浩太郎らと向陽社を設立,同じころ別に組織した筑前共愛会とともに国会開設請願運動等を行い,81年箱田や平岡らと玄洋社を設立した。

しだいに民権論を離れ,日本はアジアを制覇してその〈盟主〉となるべきだと主張しはじめ,同社をこの国権論で統一する一方で炭坑を同社の財源とすることに成功して,同社の事実上の最高指導者となった。

87年,国権論宣伝のため《福陵新報》を創刊。条約改正反対運動で玄洋社員に大隈重信外相を襲わせたり,第2回総選挙で政府の選挙干渉に荷担して福岡県内の民党派を襲撃したことなどで,国権派壮士としての地位を築いた。

また,一部の大陸浪人がつくった天佑惟と称する団体に資金を与えたり,対露同志会などに加わり日露開戦を唱えたり,満州義軍を参謀本部の支持の下に派遣するなど,大陸侵略と強硬外交を主張しつづけた。

金玉均やビハリ・ボースらの亡命政治家を保護し孫文ら中国人革命家の日本での活動を支援したのも,それを日本の大陸侵略活動の足がかりにする意図による。

この後,アメリカの排日移民法に反対した対米強硬外交の主張,普通選挙に反対する家長選挙論の主張などのほかは表だった活動をしなくなっていったとはいえ,右翼の巨頭として隠然たる勢力と政界への影響力をもちつづけた。桂川 光正>(世界大百科事典(C)株式会社日立システムアンドサービス)

そこで中村屋の婿になったボースが作った純インド式カリーは海軍と違って小麦粉を全く使わないものだった。だからとろみが無い。その分さらさらしていた。牛を神聖化しているインド人だからビーフも使わない。

蛋白質は最上級の骨付き鶏肉、インドから直輸入したスパイス、当時「日本一美味」といわれていた武州幸手(さって)の白目米(しろめまい)、自社牧場製のヨーグルト、バターなど厳選した高級品。

他のカレー店では10銭前後だったのに中村屋のそれは80銭。コーヒーや果物とセットで1円だった。カリーとご飯は器が別だった。

中村屋は今も新宿本店でインド・カリーを提供している。何千円かは知らない。中村屋を真似たカリーが全国各地に普及しているはずだ。

私の生まれ育ったところは秋田の純農村で、米しかできない。魚は八郎潟の鮒とかなまず、どじょう。肉は飼っている鶏をつぶした時だけ。カレーは戦後になって母が一度だけ作ってくれた。

しかし美味だったという記憶はない。だから脚気にもかかったわけかな。
東京へ出てきて大学の食堂では一皿20円だったように思うが、違っているかも知れない。(文中の引用<内>はいずれも世界大百科事典(C)株式会社日立システムアンドサービス)。(2006.05.21)

◆始まった野党・マスコミの“風評”戦術

〜テロ等準備罪法案〜

杉浦 正章
 


政府は広報態勢を整えよ
 
読売が「共謀罪とは別」と大見出しで報ずれば、朝日は「共謀罪全面対決へ」と真っ向から反対の方針を打ち出す。東京に至っては社説で“風評”を展開する。例によって民放のコメンテーターは「デモをしようとすれば取り締まられる」と“虚言”を弄(ろう)する。世論は真否取り混ぜ、真っ二つに割れる傾向だ。政府が閣議決定した「テロ等準備罪法案」は、14年の秘密保護法や15年の安保法制の時と同様に、政府・自民党と風評を戦術とする反対勢力との一大決戦になろうとしている。


しかしNHKの世論調査では同法案を「必要とするもの」が45%で、「必要ない」の11%を大きく上回った。オリンピックに向けてのテロを国民の多くが危惧していることを物語る。首相・安倍晋三がこれをテーマに解散・総選挙を断行すれば、既に目一杯議席を取っている自民党だが、大幅に負けることはあるまい。しかし同調査は32%が「どちらとも言えない」としており、政府・自民党が「広報」のハンドリングを間違えると、反対が勢力を増し、拮抗する恐れがある。
 

風評は朝日の22日付け朝刊トップ記事から始まった。同紙は1面左に<おことわり>を掲載「政府が国会に提出した組織的犯罪処罰法改正案には、犯罪を計画段階で処罰する『共謀罪』の趣旨が盛り込まれており、朝日新聞はこれまでと同様、原則として『共謀罪』の表現を使います。」と宣言した。「『テロ等準備罪』という政府の呼称は、必要に応じて使用していきます。」としているが、おそらくカギ括弧でくくる要人の発言などは「テロ等準備在法案」を使うが、それ以外は「共謀罪」で通すつもりのようだ。過去3回廃案になった「共謀罪」の悪い印象を維持するための巧妙なるイメージ作戦であろう。


官房長官・菅義偉は「3年後の五輪・パラリンピック開催に向け、テロを含む組織犯罪を未然に防止するため、万全の体制を整える必要がある。かつての共謀罪とは明らかに違う別物だ」と定義づけている。しかし、日本を代表する大新聞が、公正中立の報道の社是をかなぐり捨てるかのように法案の名前をあえてねじ曲げる報道は、あまりにも恣意的であり、自らが「風評バラマキ作戦」の先頭に立つ意志表示のようである。
 

法案の内容を意図的にねじ曲げる報道も民放を中心に始まった。東京新聞に至っては社説で「盗みを働こうと企(たくら)む二人組がいたとしよう。現場を下見に行ったとしても、良心が働いて断念する、そんなことはいくらでもある。共謀罪が恐ろしいのは、話し合い合意するだけで罰せられることだ。この二人組の場合は共謀し、下見をした段階で処罰される。そんな法案なのだ。」と書いているが、全くの事実誤認だ。


テロ等準備罪法案は確かに凶悪犯罪の準備段階で逮捕する場合を想定しているが、対象は「テロリズム集団とその他の組織犯罪集団の活動」と限定している。「その他の組織犯罪集団」とは「暴力団。麻薬密売組織。振り込め詐欺など反社会的組織」であり、こそ泥の計画まで織り込んではいない。だいいち日本の警察は忙しくて未遂のこそ泥など捕まえている余裕などない。まさに秘密保護法の際にも同様だった。「戦前の特別高等警察がやったように飲み屋で秘密情報を話しただけでしょっ引かれる」と朝日は流布したが、いまだに「飲み屋からしょっ引かれた」例は皆無だ。安保法制では「やがては徴兵制が敷かれる」と野党は主張したが、いまだに「徴兵のちょの字」も聞こえてこない。デモの参加が逮捕につながるなどということはあり得ない。
 

朝日は「日本の刑法は行った犯罪を処罰するのが原則」と主張するが、凶悪犯罪は事前に取り締まることが可能だ。例えば殺人に関していえば「殺人未遂罪」「殺人予備罪」が存在する。総じて反対論は、テロ対策が世界的な脅威の状況になっていることを無視している。かつての一国平和主義の「平和は天から降ってくる」時代ではないという認識に欠けている。日本でもオウムの地下鉄サリン事件を体験しているにもかかわらずだ。イスラム国(IS)が日本をテロの対象として名指ししている事など、どこ吹く風と忘れてしまっている。オバマやトランプが述べているように、世界的には「対テロ戦争」の時代であるという認識に欠けている。
 

たとえば同じくオリンピックを成し遂げたブラジルは犯罪の準備段階での捜査を可能とする法律を整備した結果、ISに共鳴し、テロの準備を進めていた集団を通信傍受などで内偵を進めることができ、摘発した。テロを企てた疑いで同国籍の十数人を逮捕し、オリンピック・テロ等準備罪法案で未然に防いだのだ。ISが東京オリンピックをターゲットにすることは十分予想される。


9.11の際のように既に先行してテロ実行犯を潜入させているかもしれない。それにもかかわらずノーテンキに日本にテロはないから法案は必要ないという論理が成り立つからこの国は面白い。それでは今回の法案が成立しなかったらどうなるかだが、ISは「しめた。日本はテロ天国だ」と手をたたいて喜ぶに違いない。
 

毎日が「処罰の規定は人の内心に踏み込む」と反対しているように「内心」論議も活発になろうとしている。憲法第19条の「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」は、内心の精神活動を外部に表明する自由も保障しているとする学説に基づいた反対である。政治的な多数の意思によって介入すべきでない個人の心の領域を保障すべきであるとの思想だ。思っただけで、逮捕されると危惧する説だが、テロ等準備罪法案は思っただけで逮捕されない。あくまで準備行為があっての逮捕である。


対象はテロリストや暴力団であり、その「内心」に踏み込んでも問題はない。むしろ憲法13条の国民の幸福追求の権利を阻害するテロリストの内心は排除されるべきものであり、ずかずかと踏み込んでも結構だ。
 

そのテロ等準備罪法案が将来の全体主義国家への道を開くという議論も甘ったれている。言論や思想の自由とは基本的にはマスコミと政権の対峙の中から戦い取るものであり、天から与えられるものでもない。テロ等準備罪法案があろうがなかろうがこの構図には変わりはない。法案があろうがなかろうが常時対峙して、ウオッチすべきである。


それに今回の法案を見れば、とてもこれにより日本が全体主義に陥り、言論活動や思想の自由が抑圧される性格のものとは思えない。政府・自民党はちゅうちょなく法案の今国会成立を実現すべきだ。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

◆某プロ野球選手の悩み

川原 俊明(弁護士



Q「困っています・・・」
私はT球団のプロ野球選手なのですが、最近調子が良くありません。

ファンからきついヤジを浴びせられたり、メガホンを投げつけられ、さらに調子が落ちてしまいました。

このままでは契約更改で減給必至です!年俸が下がった分を、ヤジを飛ばしたファンに対して損害賠償請求できませんか?

A「お答えします」
民法は不法行為によって損害を被った場合に、損害賠償を請求できるとしています(709条)。

しかし、損害賠償請求が認められるには、加害行為と損害の間に「因果関係」がなければなりません。

あなたの場合、確かにヤジ行為によってあなたが精神的に弱ってしまった可能性はありますが、野球のプレーに影響を与えたといえるかがは別問題となります。

そして、通常のヤジ行為程度であれば、一般的にはプレーに影響が出たりするとは認定されない可能性が高いです。

まして、あなたの場合、ヤジを受ける前から調子を落としているとのことなので、ヤジによって調子を落としたとは認定されない可能性は非常に高いと思われます。

プロ野球選手になった以上、ヤジに負けない強い精神力を養って、今年もがんばってください。