2009年11月11日

◆続・恐るべし、日本の胃袋!

平井修一

哺乳類のクジラ、イルカは「可哀想」だから「獲るな、食うな」とエコナチは吼えるが、マグロにも文句がつきそうである。

ウィキによれば、マグロ属8種は大きいほうからタイセイヨウクロマグロ・クロマグロ・メバチ・ミナミマグロ(インドマグロ)・キハダ・コシナガ・ビンナガ・タイセイヨウマグロ。

水産庁によると、世界のマグロ漁獲量175万トンに対し、日本に供給されているマグロは47万3000トン(2006年)。その多くを刺身・寿司等の生食で消費している他、加工品では「ツナ」もしくは「シーチキン」と呼ばれるオイル漬けの缶詰が多いそうだ。

世界のマグロの27%を人口2%の日本人が食べているのだから呆れるほどのマグロ好きだ。ただ、ミナミマグロにはご用心である。

<ミナミマグロについて、国際的な漁業管理機関「みなみまぐろ保存委員会(CCSBT)」は10月23日、現在(2009年)の1万1810トンの総漁獲枠を10〜11年の2年間で、20%減らすことを決めた。日本の漁獲枠は現行の3000トンから2400トンに減る>(河北新報10月24日)

CCSBTにはオーストラリア、韓国、台湾、インドネシア、ニュージーランドなど9カ国・地域が加盟しているが、日本は加盟国が漁獲したミナミマグロのほぼ全量を輸入しているそうで、「世界のミナミマグロのすべてを食べている」ことになる。

と言ってもミナミマグロは日本人の胃袋に入るマグロ全体の2.5%を占めるに過ぎない。


マグロの平均価格(築地)はキロ1500円ほど。ミナミマグロはキロ2400円、脂の乗りがよく、キロ3000円のクロマグロに次ぐ高級マグロで、トロとして日本市場で珍重されている。

<すし店や料亭で使われ、比較的高価だが、刺し身用として家庭でも人気がある。消費の低迷で高級なクロマグロとミナミマグロの在庫は過去最多の水準にあり、市場価格の急騰にはつながらないとみられる。

ミナミマグロはピーク時の1960年代には8万トンを超える漁獲があったが、80年以降、資源量が急減。日本をはじめとする漁業国が資源管理に取り組んでいるが、回復の兆しはみえていない>(河北新報)

どうもミナミマグロは当面食べないほうがよさそうだ。同志諸君、少々高いがクロマグロを食べてくれ。

2009年11月10日

◆外交談議(おじん的―その1)

久保 成行

“曰ク因縁故事来歴”ヤシ(香具師)のおっさんの口上だ。意は「古いばかりが能じゃない、今まで続いている理由がある。それがお客さんわかるかな」である。

鳩山対米外交のモットーは「米国とより対等な関係になる」である。しかし、何を対等にするのかくわしい説明は全然ない。戦勝国米国vs戦敗国日本の関係を引きずって、従属関係にあるという発想なのだろうか。
 
“因縁故事来歴”は、1951年9月8日サンフランシスコ平和条約と日米安保条約までさかのぼらなければならない。ご存知のように「単独講和」か「全面講和」か、もめにもめ吉田茂首相は「全面講和」は空理空論と断じ、さらに、単独か全面かは相手が決めることである。

それを待つより一刻も早く占領を終らせ国土再建に着手すべきである。国防は米国の圧倒的軍事力をアテにするが良い。その責任は俺一人でと、安保条約は吉田首相独りが調印した。

その後、日米安保か中立主義かという対立に変化し今に続いている。荒っぽく言えば日米安保=自民党、中立主義=民主党、社民党、共産党という二極構図になるのでは。

日本は軽軍備でもっぱら経済復興に邁進。それが東京オリンピック(1964年・昭和39年10月10日)、新幹線開通(オリンピック開幕直前の10月1日)大阪万博(1970年・昭和45年3月15日)にと、経済は右肩揚り、驚異的成長を遂げ「ジャパン アズ ナンバーワン」といわれる「日本の奇跡」を生み出した。360日を370日働いた。

今のようなリストラはなく終身雇用は保証され、苦しかったが働いたら働いた分はもらえる良き時代であった。

冷戦は米国の勝利に終わりソ連はロシアに変わった。宿敵同士の独仏は手を握り欧州はEU不戦同盟を誕生せしめた。

これで落ち着くかに見えた世界は民族国家の台頭、中国の強大化、核分散は既定事実となり、冷戦後は米国一極化といわれた米国もパワーにいささかカゲリがみえ、それにつれ、日本もアジア1位の大国の座を中国に追われるようになった。

栄枯盛衰は世のならい、国にもそれがある。しかし日米同盟によって日本は日本であり続けた。

シンガポール建国の父リー・クアンユ元首相は、日本の軍備は全て国産であったように、なにかつけて極限をきわめ、完璧を実現し得る「潜在能力」をもつ恐ろしい国である。日米同盟はそんな日本をおさえるフタである。と著述している。

鳩山外交は「日米対等」と叫んでいるが、米国にしてみれば全ては日本が選んだ道であって、決して米国の強制ではなかったと言いたいだろう。
<神戸「行雲」誌 主宰>

 

2009年11月09日

◆鳩山を見限った小澤

渡部亮次郎

<2009年11月2日の記者会見で小沢氏は「僕は政策論はやらない。私は党務の方ですから、そういう類のことを発言する立場ではない」と語った。鳩山内閣が失政を行っても、小沢氏が直接責任を問われることはない。

キングメーカーにとってこれらは好都合だ。鳩山首相が失脚したとしても、安全圏にいる小沢氏がポスト鳩山を指名することになる。政権の表の顔は変わっても小沢一頭体制は続いていく。

国会論議の活性化を唱える小沢氏が、政権党の幹事長でありながら衆院本会議で首相の所信表明演説への代表質問を見送っても許されることにもなる。

9月16日に鳩山内閣が発足してから、民主党の国会議員が報道陣の前で公然と、小沢氏を名指しで批判した例は寡聞にして知らない。

政権交代の熱気が冷めやらず、また内閣支持率が高水準を保っているからでもあろうが、最高実力者への批判皆無の政党が「民主党」を名乗っているのは奇妙な感じもする。>産経新聞政治部 榊原智(さかきばら・さとし)記者2009/11/07 10:12更新「SANKEI EXPRESS」

『政府は鳩山、党は小澤』と、いわば棲み分けを取り決めた両者である。だからと言って、党の役員会に党首を呼ばない政党と言う事実は異常としか言えない。

「向こうは政府の代表。政府の代表をこんな場に呼び出すわけにはいかない」というのが、考え抜いた小澤の屁理屈である。一見、正当そうに聞えるかもしれないが間違っている。なぜなら、では党代表は党役員では無いことになってしまう。

要は、党操縦に関して独裁体制を完成させた小澤が、もはや鳩山を見捨てたのではないか。政府に対して口出しもしない代わり、協力もしない、ということだからである。

それでいながら、各界から政府に対する陳情野一切を、政府ではなく、幹事長室が受付、そこから政府に取り次ぐのだという。理屈は、陳情を通じて自民党のような「族議員」の育つ事を阻止するというのだが、これは国民と政府とのパイプを絶つことにも繋がる。

さらに言えば、これは幹事長が総理大臣の上にたつことになり、いわば下克上を地で行くもので、誠に恐ろしい独裁政治の到来を意味する。ヒットラーも真っ青だ。

鳩山がもっとも苦労している来年度の予算編成と基地問題を中心とする日米関係について、小澤の発言が一切、無い。それは『政策』であって党務では無いからだし、幹事長の責任で無いといえば、無いからだ。

僕は政策論はやらない。私は党務の方ですから、そういう類のことを発言する立場ではない、と言っているのは、財源問題で予算編成が悪評さくさくになろうが、オバマ大統領の訪日で、対応に失敗しようが小澤は関知せずと宣言したものである。私は小澤は、既に
鳩山を見限ったと見る。

一時、小澤は鳩山政権について「年内は保(も)たせたい」と気遣った発言が伝わってきたが、「最策に関与しない」と述べた2日の発言は、「どうなっても知らない」との宣言に違いない。

「友愛」を標榜する鳩山は、自分が友愛を感じれば、小澤も感じるはずだと能天気に考え、今夜も幸(みゆき)夫人と幸福に浸っているだろうが、真実を知らないのは、むしろ幸(さいわい)かもしれない。

だが、小澤に友愛はない。政治的理想も無い。有るのは、自分をかつて追い出した旧竹下派を無き者にするべく、自民党を潰すという怨念と野心だけである。己の指名する首相が菅であろうがだれであろうが関心は無いのだ。

案外、参院でも単独過半数を獲得した暁には「わがこと成れり」と政界を引退するかもしれない。彼に論理や正義は無いからだ。
(文中敬称略)2009・11・8

◆最近の風潮に思うこと

真鍋峰松

最近の日本の風潮は、国会論議やマスコミ論調を見聞きするにつれ、政治の面でも、社会面でも、“いい””悪い“という単純な両極端に焦点をしぼって対決を迫るというか、結論を押し付けようとする空気が強く感じられ、国民も風になびく葦のごとく右往左往する。
 
目下の焦点となっている日米外交における沖縄基地移転問題、明石海岸での人身事故やJR西日本の列車脱線事故に関する責任問題・・・の如く。 私の独断かも知れないが、どれをとっても理性的でない、感情的な二者択一的な議論ばかりのように思われて仕方がない。 

何でも寄せて二で割る式の曖昧主義・中道主義が良いというのではないが、問題を両極端に絞って対立させ、その良し悪しを定めるやり方は決して現実的ではない、と言いたいのである。

あえて言えば、“いい””悪い“をはっきりさせ過ぎるような世の中は、窮屈でもあり、不健全だということになるのだろう。 実際には、“いい””悪い“を極めつけられないグレーゾーンの部分があることが現実でもあり、もともとその幅の中をゆるやかに往還するのが生活であり、政治でしょう、と。 

古来より、日本人は、思想や宗教に縛られることのきわめて少ない体質で、そういう人々が豊かさと苛烈さをともに齎す風土の中で融通無碍に生きてきた、と言われる。それが“日本民族は農耕民族”論の教えるところではなかったか。

それに反し、どうも今の風潮は、全般的にあまりにも自分自身を省みず、他人を責めることに急に過ぎるのではなかろうか。 
<評論家>


2009年11月08日

◆議員立法権の剥奪は憲法違反

川原俊明

民主党政権になって、思い切った改革を打ち出す姿勢には、評価できるものがあります。

しかし、民主党小沢代表は、何か勘違いしているところがあります。

いくら、先の衆議院議員選挙において大勝し、手柄を立てたからといって、国会機能の根本的なことまで、口出しすべきではありません。

一番気になるのは、法案提出権を政府(内閣)に集約し、国会議員の議員立法権を民主党議員から剥奪する方針が見られることです。
憲法第41条は、国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である、と定めています。

それならば、国会議員は、どこの党に所属していようが、立法機関を構成する国会議員が、議員立法権を行使することは、憲法上の権利として当然のことです。一党派の代表者の一言で、憲法をゆがめてしまうような方策をとる様なことは許されないのです。

むしろ、小沢方針は憲法違反も、いいところです。

民主党国会議員も、小沢党首の言いなりであることが、逆に怖いです。国民も、憲法を知らない国会議員をたくさん生み出してどうするのでしょうか。

民主党に対しても、独裁政党と言われかねないことになります。民主党国会議員は、堂々と小沢方針に反対意見を主張する勇気がないのでしょうか。

国会議員は、国を憂う者として、憲法を学び、自分の信念をもって、国をリードすべき立場にあります。そのはずの国会議員の、不思議な沈黙は、国民の反発を買うことになりかねません。

民主への風が、いつまでも吹いているわけではありません。逆風もあるのです。普段から、どんな立場にあっても、自分の信念や意見を堂々と言えなければなりません。国会議員たるもの、国民の代表なのですから。  2009.11.05

◆巴里だより 「マイナス3Kg」

岩本宏紀(在仏)

ミネラルウォーターで有名なフランスの田舎、コントレックスビル。
そこで5年くらい前に開かれた研修会で栄養士がこんな発表をしました。

「痩せたいというひとの希望をきいてみると、3Kgという声が一番多いですよ。これは無理のない、いい目標だと思います。

1か月1Kg程度の減量がレバウンドがなく、ちょうどいいからです。」

ぼくの目標もまさにこのくらいです。
食事を減らさず運動だけで頑張っているので、なかなか到達しませんが。

2009年11月07日

◆ブーメラン総辞職

渡部亮次郎

段論法で行けば、鳩山首相は、自分の述べた文句に縛られて、自分の首を絞めなければ、理屈が合わなくなってしまった。場合に依っては辞任が避けられないと、各社の社会部が潜行取材しているようだ。

2009年11月4日に開かれた衆院予算委員会で鳩山首相の献金問題が取り上げられた。テレビを見ていた家人によれば、追及したのは、自民党若手の柴山昌彦議員だった。北関東ブロック比例代表選出ながら、東大卒で弁護士資格をもつ柴山氏は、いいところに目をつけた。

03年7月に鳩山首相が配信したメールマガジンを探し出し、その一節を引用して責めたてた。

「総理は平成15年7月23日のメールマガジンで『秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべきなのです』と述べておられます。あなたはどう責任をとられるのですか?」

このメルマガが配信されたのは、社民党の辻元清美議員らが秘書給与流用事件で逮捕された直後。逮捕者の中には土井たか子党首の元秘書も含まれていた。

そのことについて、鳩山首相は「政治家と秘書は同罪」としながら、次のように書いているのだ。

「政治家は金銭に絡む疑惑事件が発生すると、しばしば『あれは秘書のやったこと』と嘯(うそぶ)いて、自らの責任を逃れようとしますが、とんでもないことです。

政治家は基本的に金銭に関わる部分は秘書に任せており(そうでない政治家もいるようですが)、秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべきな
のです」

こう厳しい言葉を投げつけたうえで、「土井党首は身を退かれるべきではないでしょうか」と辞任を促している。この言葉が6年後、ブーメランのように鳩山首相のもとに戻ってくることになったのだ。動かぬ証拠とはこのことだ。

鳩山首相は東京大学工学部応用物理・計数工学科を卒業。その後スタンフォード大学の博士課程でオペレーションズ・リサーチを専攻しPh.D.を取得(1970〜1976年)。東京工業大学助手(1976-1981年)を経て、専修大学経営学部助教授(1981-1986年)。論理には強い。それが裏面に出た。

「秘書が犯したことだから議員は関係ないんだというような弁明をすることは潔く思っていなかった。それは言うまでもありません。このことは私自身に適用できる話だと思っています」

と答えざるを得なくなった。とはいえ、そこは政治家、具体的な事実関係についての質問には、捜査中であることを理由に明言を避けた。秘書の刑事責任が確定した場合の責任の取り方についても「仮定の話に答えるのは控えさせていただきたい」とかわした。

<鳩山首相のイメージダウンを狙い「自分の資金も管理できない金持ちのボンボンが政治をしていることを印象づける」作戦はまんまとあたったのである>。

だから、このような鳩山首相の態度に対して、マスコミの論調は総じて厳しい。

明らかに鳩山政権に肩入れしてきた朝日新聞さえ11月5日付社説で、「資金はどこから提供されたのか。首相本人はどのようにかかわっていたのか。答弁を聞いても、疑惑は晴れない」と断じ、「首相には疑惑に答える責任がある」と迫った。

日経新聞の社説も「首相は『捜査で全容が解明される』と繰り返しているが、説明責任から逃げていては疑惑は深まるばかりだ」と非難している。

産経新聞も坂井広志記者の署名入りで、「肝腎の具体的な事実関係については東京地検特捜部が捜査中であることを理由に説明を避け続け、真相解明にはほど遠いやりとりとなった」と批判的な記事を掲載した。

野党やマスコミの責任追及に鳩山首相は耐えられるのか。テレビ朝日コメンテイターの三反園訓さんは5日放送の情報番組「スーパーモーニング」のなかで、「秘書が逮捕されるかどうかがカギ」との見方を示した。

「このあと秘書が仮に逮捕されるようなことがあったら、鳩山さんのこれまでの政治活動を見てきましたけど、たぶん責任を取られるんじゃないかなと、私は思っているんですけどね」とも述べた。

こうしたことから、鳩山首相の資金管理担当の元秘書が逮捕さたり多額の資金を援助していたとされる母親に対する東京地検の事情聴取が行われれば、辞任が避けられないと気の早いマスコミ各社の社会部が潜行取材している、というわけだ。

就任して、まだ50日あまり。「まさか」とは思うが、マスコミ界の長老は<1993年に自民党政権を倒して連立政権のトップの座についた「殿」こと細川護煕首相は佐川急便からの献金問題が引き金となって、退陣に追い込まれた。細川氏と同じく名家の出で「お坊ちゃん宰相」とも揶揄される鳩山首相も、「献金」にまつわる問題で同じような末路をたどるのだろうか>と案じている。

ブーメラン総辞職となるになるかどうか、断定はできないが、当に「天に唾した」罪といえるだろう。

肝腎、ねて「せめて年内は保(も)たせたい、ともらしているとされる小澤一郎幹事長の、これに対する論評は聞えてこない。しかし、検察からすれば、カネへのまみれ方は小澤氏のほうが汚いのだから、おののいて沈黙するしかあるまい。2009・11・6

2009年11月06日

◆瓦解する日本医師会

石岡荘十

新政権が、長年の自民党の強力な支持団体、金づるでもあった日本医師会の首を真綿のようにふんわりと締め上げている。

<日本医師会(日医)の政治団体である日本医師連盟(日医連)は10月20日開かれた執行委員会で先の衆議院議員選挙を総括し、連盟の活動方針にある「支持政党は政権与党である自民党とする」を白紙撤回することを決めた>(以下、m3.com:医師限定メールマガジン)。

この席で「白紙撤回」した理由について、常任執行委員の内田健夫氏は、自民党が「政権与党」でなくなり、現実に合わなくなったと述べたが、そうかといって、民主党支持に一気に乗り替えるところまでの踏ん切りはつかず、来年夏の参議院議員選挙では、自民党の西島英利氏の推薦を継続することを確認した。

ただ他の政党の支持を受けた立候補者でも、意見を聞き、日医連として推薦するとしている。満場一致ではなかったが、唐沢祥人委員長(日本医師会会長)の総括として、認めてもらった。わけが分からん。明らかに、自己矛盾を起こしている。執行委員会には150人が出席していたが、どうしたらいいのか分からなくなっているのだ。

その兆しは、選挙前にすでに現れていた。茨城県医師会をはじめとする地方組織が、民主党支持を打ち出していた。そして執行委員会に先立つ19日、茨城県医師会長の原中勝征氏が、再選を目指す唐沢医師会長に対抗して来年4月の日医会長選会長選挙へ出馬すると表明。内部分裂がはっきりしてきた。

茨城県医師連盟委員長の立場で執行委員会に参加した原中勝征氏は記者会見で「初めからほぼ予想された結論だった。議論もほぼいつもと同じ。執行委員会の結論は、果たして一般の意見を代表しているのか」と疑問を投げかけた。

そうこうしているうちに、日医城の外堀を埋める動きがつぎつぎと明らかになってきた。

まず、中央社会保険医療審議会(中医協)の審議会委員の人事だ。

中医協は診療側7人、支払い側7人、公益側委員6人の計20人で構成され、診療報酬、医療費、医療制度など重要な案件の審議機関だが、これまでは、厚労省の医系技官が書いた原案をそのままそっくり承認する、官僚の隠れ蓑に過ぎない、自民党を支援する日医が開業医に有利な形で影響力を行使している、という批判を受けてきた。

ところがこの時期、(日医にとっては折悪しく)新政権発足間もない10月1日、診療側7人中6人が任期満了を迎えたのだ。この機会を新政権が見逃すはずはない、と思ってみていたら---案の定である。

特に、日医のいわば指定席となっていた診療側代表7人中3人が再任されなかったのだ。首になったのは日医の副会長、常任理事2人。
替わって選任された委員は、

安達秀樹・京都府医師会副会長
嘉山孝正・山形大学医学部長
鈴木邦彦・茨城県医師会理事

いずれも、民主支持の組織や地方の代表である。安達氏は山井和則厚労大臣政務官と同じ京都が拠点で、早くから民主支持を表明している。

嘉山氏は舛添要一・前厚労大臣のアドバイザー的役割を果たしたこともあり、勤務医の利益代表といえるだろう。大学関係者が中医協委員として入ったのは初めてのことだ。鈴木氏は、茨城県医師会長の原中勝征氏の推薦である。

長妻大臣は、記者会見で「中医協は重要な会議。民主党は医療再生を目指している」と、それらしい建前を述べているが、誰が見たって「日医外し」だ。「露骨な報復人事」と日医の中川俊男常任理事は批判しているが、犬の遠吠えとしか聞こえない。

追い討ちをかけたのが、社会保険審議会(社保審)人事である。10月30日、社会保障審議会(社保審)の医療保険部会委員の一部が任期満了を迎えたのに伴い、新しい委員の人事が行われた。

社保審には、医療・介護・年金・福祉の分野別に、分科会・部会があり、そのなかのひとつ医療保険部会は、保険制度について論議が行われる。大きいのは診療報酬の方針を決める作業だ。

医療保険部会の委員は21人。任期満了を迎えたのは6人、うち2人は再任、残る4人が新任となったのだが、日医の指定席はなくなった。新任での注目は諫早(長崎県)医師会長の高原晶氏。

諫早医師会執行部は衆議院議員選挙で、茨城県医師会と並んで、いち早く民主党支持を打ち出した。最終的に諫早支部としては「自主投票」としたが、同医師会がある長崎2区では、自民党現職だった久間章生・元防衛大臣を破って、民主党新人、薬害肝炎九州訴訟原告団代表の福田衣里子氏初当選という金星を挙げた。

こんな経緯を思い浮かべると、来年夏の参院選をにらんだ「ご褒美?」と勘ぐりたくもなる。

いずれにしても「勝てば官軍」、やり放題に見えるが、「政権交代」というのはそういうことなのである。開業医の利益代表者だった日医は、政権与党へのルートを絶たれてしまった。いったい日本医師会はどういう意見をどこに持っていくか、ルートがなくなってしまった。

新聞に、日医会長出馬に名乗りを上げた茨城の原中氏が小澤幹事長と会ったと小さく出ていた。勤務医の処遇を改善すると厚労相は語っている。潮目は変わった。

武見太郎以来、自民党との二人羽織を演じてきた日本医師会の瓦解の始まりである。
20091103

2009年11月05日

◆米軍兵士の自殺が急増

平井修一

米国防総省によると在欧米軍は9月25日にドイツで「自殺防止セミナー」を開催、さらに10月26日にはワシントンでペンタゴンと復員軍人援護局が共同で3日間の「精神健康管理改善ワークショップ」を開催した。

現役米軍兵士の自殺が後を絶たず、どうしたら予防し治療できるかが大きな課題になってきたためだ。

軍に報告された自殺件数は上昇し続けており、2007年が115件、2008年が140件、今年は8月24日現在で109件になっており、このペースで行けば160人を超えて記録を更新しそうである。

<現在のペースで米軍の自殺者数が増えると、最新の民間人の自殺者の割合である10万人あたり19.5人を超える・・・

米軍兵士の自殺率が民間人を超えたのは、ベトナム戦争が行われていた1960年代後半から70年代前半以来だという・・・

軍側は自殺の理由は1つの要因で説明できるものではないとしているが、ピーター・シアレリー米陸軍副参謀長は、戦地への派遣が長引いていることや作戦任務の頻度の増加が、兵士と家族らに負担を与えている点を指摘、自殺者数の増加との関係性があるとの見方を示している>(AFP)

戦場には極端な喜怒哀楽、歓喜と絶望と死があふれており、兵士は精神的なストレスをためやすくなるのだろう。PTSD(心的外傷後ストレス障害)や鬱病などにかかりやすいが、職業柄なのか、相談すること=自分の弱さがばれてしまうこと、と悩みを内部に溜め込んでしまう傾向にあるようだ。

ワークショップでゲイツ国防長官はこう挨拶した。

「病んだり怪我をした兵士の継続的な治療と最終的な社会復帰へのケアは、私が最も高いプライオリティーを置いていることです。危険を冒し、傷病に苦しんでいる兵士を救うのは国家と兵士の厳粛な協定と考えます。国は彼らに永遠の感謝を捧げる義務があります。

PTSDなどについては、目に見えない病気ということで、これまでは十分な注意が払われてきませんでしたが、精神衛生問題はとても重要です」

いわゆるゲリラ戦という非対称戦争は、敵なのか民間人なのかが分からない場面が多いから緊張するだろう。さらに路肩などに埋められる簡易爆発装置(IED)をタリバンは多用しているから緊張はなおさらに募る。8年間もの長い戦争に兵士も疲れてきたのだろう。

2009年11月04日

◆「ワッハ上方」の通天閣移転のわけ

毛馬一三

本誌11月2日号で、大阪府議会での初めて取り上げられた「万博跡地利用」の質疑応答を音声付画像で発信したところ、読者の方々から思いがけない多数の感想を多数頂いた。

感想の大部分は、新聞・テレビなどのメディアが取り扱わないこの手法を、本誌が掲載を試みたことによって、質疑応答の臨場感や生の声による橋下知事の前向きな回答を聞くことが出来て、驚きとともに楽しさを実感したというものだった。

そこで、同日(10月21日)の大阪府議会府民文化常任委員会では、「万博跡地利用」に続いて、もうひとつの注目課題「ワッハ上方移転問題」を、光澤忍議員(公明会派)が取り上げ質疑している。

これに対して橋下府知事は「ワッハ上方を年間100万人の来館者がある通天閣に移転させ、ここから上方文化を発信していきたい」と述べ、「通天閣移転」に変更がない意思を強調している。

しかも大阪府としては、吉本興業や関係放送局に「移転プラン」を説明した上で、「通天閣」への移転の伴う予算案等を2月府議会に提出する方針を初めて明らかにしている。

ただ「移転プラン」がまだ詰まっていない所為か、どのような展示の方法をとるのか、移転にともなう「上方文化の発信」をどのように進めるなどは明らかにしていない。しかも肝腎の寄贈品の「保存」をどのように管理運営するかも示してしていない。

いずれこの「移転プラン」の詳細は、纏まり次第府民に提示したいと橋下知事は述べているので、それを待ちたい。

この「ワッハ上方」を巡る質疑応答の状況は下記から入室して、ご覧頂きたい。(了)
                                2009.11.03
      http://mituzawa.com/DVD/10.21-2shitsumon.swf