2016年06月30日

◆性犯罪の厳罰化!

馬場 伯明
 


2014/10/29の本誌3470号に拙稿「強姦犯天国・被害者地獄の日本」を掲載 していただいた。日本の強姦、強制わいせつ罪の犯罪数に「暗数(*1)」 が多く、欧米に比べ刑罰も軽いなどと指摘し、厳罰化を含む抜本的な法改 正を訴えた。(*1)認知件数と実際の発生件数との差を暗数(あんすう) という。

2016/6/17、朝日新聞の朝刊が報じた。《 法相の諮問機関「法制審議会」 の性犯罪部会が16日、性犯罪の厳罰化に向けて刑法を改正する答申案をま とめた。法務省は今後、答申を受けて国会に提出する法改正案づくりを進 める》と。要点は次の4つである。

(1)強姦罪(刑法177条)の法定刑を「懲役3年以上」から殺人罪の下限 と同じ「懲役5年以上」とする。厳罰化である。

(2)被害者による告訴は「必要(親告罪)」から「不要(非親告罪)」 とする。「被害者には処罰の必要性を十分説明する。ただし、被害者が望 んでいなければ勝手に起訴しない」(検察官委員談)。

(3)「男性が加害者、女性が被害者」という性差をなくす。性交に類似 する行為も強姦として扱う(たとえば、肛門性交など)。

(4)18歳未満の子供への親などの「監護者」が「影響力に乗じて」わい せつ行為や性交をすることを罰する罪を新設する。被害者が抵抗をしたか どうかに関係なく処罰する。
大きな前進である。100年以上続いてきた刑法の規定が見直される。法制 審議会の性犯罪部会の委員の方々の労をねぎらいに感謝したい。

(1)について:厳罰化は今回の答申の最も重要な部分である。世界の先 例からすれば遅きに失した。日本の強姦犯罪の(公式の)認知件数は1410 人、10万人中1.11人!日本は世界に冠たる強姦極少国なのだ。10万人中で 見ると、豪81、カナダ78、米国32、英国16、仏14、韓国13、独9、露5、伊 4、日本2(1.78)。日本の少なさが際立っている(データが古いが2009 年。整数に四捨五入)した。

民間等の各種アンケートの数字とは大きな隔たりがある。それを暗数と言 う。つまり、被害者が「被害に遭っても届けない」数字である。

「被害に遭っても届けない」という日本の実態は深刻である。強姦犯(加 害者)は「お前(被害者)が告訴し俺が有罪になっても(日本の)刑罰は 軽い。初犯だから執行猶予だ(常習犯であっても犯行現場ではそう言 う)」。「俺を待っていろ、必ずまた強姦(や)る、報復する」と脅す。

報復への恐怖から泣き寝入りする被害者が多い。その最大の理由が、100 年間以上続いた強姦罪の刑罰の軽さと言われてきた。今回これが改正へ向 かう。性犯罪の厳罰化は緊急を要し、男女差別の是正や刑罰の公平性から も厳罰化は不可欠である。

(2)について:今は被害者が自分で告訴しなければ強姦罪は成立しな い。刑罰が軽く報復を恐れ、外聞も悪いので、被害者が泣き寝入りするこ とが多い。それを、窃盗、殺人など一般の刑法犯のように自動的に(要件 を満たせば)起訴することになる。世界の趨勢である。

ただし、「それでも被害者が望んでいなければ勝手に起訴しない」と検察 官委員は回答しているらしい。有識者会議で意見を述べた性犯罪被害者の 小林美佳さん(40歳)は「事件後、加害者や裁判とは一切関わりたくない と思う人もいる。自分もそうだった。本人が望まなければ、立件しない運 用を強く求めたい」と話しているらしい。効果的な運用が望まれる。

(3)について:加害者は男性、被害者は女性という定義をやめ性差なく 適用する。また、肛門性交などの性交類似行為への強姦罪適用は妥当だ。 しかし「強姦」の文字を廃止する意見があるというが残すべき。今でも 「強姦」を「暴行」や「いたずら」とマスコミ等はゆるめて報道する。

(4)18歳未満の子供への親などの「監護者」が「影響力に乗じて」わい せつ行為や性交を罰する罪の新設、および、被害者の抵抗を問わないこと には全面的に賛成である。調査(*1)では、無理やり性交されたときの強 姦犯は「面識がある人(男)が76.9%」とある。近親者や知人に強姦され る事例が多いのだ。(2011年、半数未満・内閣調査2012/4:*1)

今回の答申で残されたいくつかの課題がある。私の関心事を述べる。

まず、(3)監護者以外の者による強姦や強制わいせつ罪にも「『暴行や 脅迫』という成立条件をなくし、「抵抗の有無にかかわらず処罰できるよ うに改めるべき」という被害者側に立った有力な意見があった。

だが、有識者会議では議論の対象にならなかった。「現行でも暴行や脅迫 の程度は(検察や裁判官において)幅広く解釈されている」というのだ。

しかし、これは大いに疑問があり不適切である。強姦罪の最も大事な 「肝」を外している。刑法177条(強姦)では「暴行または脅迫を用い て・・・女子を姦淫した者は、強姦の罪・・」とし、強姦では「暴行また は脅迫」が条件となっている。これが大いに曲者である。
 
最高裁は「(加害者の)暴行は、相手(女性の被害者)の抵抗を著しく困 難にする程度のもの」とし、「強姦罪の暴行は、強盗罪の暴行に近い強度 のものが必要である」とする(「性暴力と刑事司法*3」大阪弁護士会・性 暴力被害検討プロジェクトチーム2014/2/28発行)。殴る、蹴る、首を絞 めるなどの明らかな「暴行」がないかぎり強姦とはならないのだ。

強姦罪のもう一つの条件の「脅迫」も「相手方の抵抗を著しく困難にする 程度のもの」という。典型事例は「言うことを聞かないと刺すぞ」とナイ フを首筋に当て抵抗できない状態にして姦淫(性交)した場合などだ。

すなわち、被害者は(抵抗要件は法には明記がないのに事実認定では重視 され)死に物狂いで強く抵抗しなければ強姦犯は有罪とならない。しか も、女性が抵抗した痕跡等(証拠)が要求される。殴打の傷・痣、陰部・ 膣の裂傷・出血、切り傷、擦り傷、骨折、捻挫・・・。陰部・膣内への精 液・体液の付着・残留などの証拠である。

ところが、襲われた女性は、ほとんど「ヘビに睨まれたカエル」状態で、 茫然自失、声をあげられない。「殺すぞ」と男に言われたら金縛りになる。

抵抗したら殺される。命だけは助かりたい。早く終わって!と唇を噛み抵 抗せずに耐えるのである。終わったら徹底して陰部や体を洗い流し服や下 着も捨てる人も多いという(肝心の「証拠」が消えてしまう)。「暴行・ 脅迫条項」を削除すべきである。

次に、審議会の議論の中で「厳罰化だけでは抑止力にならない」、(厳罰 より)加害者への薬物や心理療法など「医学的な対応が有効である」など と犯罪者の保安処分についての指摘もあったという。

しかし、その前に大前提がある。犯罪者の再犯の抑止を担保する確かな措 置が不可欠である。

具体的には(1)刑期を延長する(今回答申)。(2)刑期を終えた犯罪者 にGPS付き足輪をつけ監視する(未定)。(3)(確定判決後)犯罪者の個 人情報を公開する。住所・氏名・年齢・顔などをネット等で公開する(未 定)。

「性犯罪の厳罰化」ではないが、被害者支援体制を構築することが重要で ある。被害後の応急治療、事情聴取、法律相談などを、女性専門官中心の 支援機関で一括して担当・実施する。

病院、警察、法廷などでの「2次性的被害」もなくす。被害者は安心して 警察等に届け出るようになり認知件数が増え暗数は大幅な減少となるであ ろう。

現在の日本の実態は、強姦被害者(女性)を支援し救済する道は日暮れて なお遠い。彼女らの心の闇が簡単に晴れることはない。今回の答申は大き な前進の一歩となった。

刑法177条(強姦)の「暴行・脅迫条項」を削除し(今回の答申にはな い)、厳罰主義を採用し(今回答申)、刑期後の犯罪者をGPS監視する (未定)、そして、被害者支援体制を整備・構築する(未定)ことが重要 である。

「強姦犯天国・被害者地獄の日本」から「強姦犯地獄・被害者救済・支 援・の日本」へと、一刻も早く転換させなければならない。(2016/6/28 千葉市在住)


◆モルドバ、ウクライナを旅して

宮崎 正弘
 

<平成28年(2016)6月28日(火曜日)通算第4945号 >
  
 〜モルドバ、ウクライナを旅して
  経済繁栄は達成されず、いまだに周辺諸国との軋轢〜


成田で出発する際に、「キシナウ(モルドバの首都)からウクライナのオ デッサに向かうバスの予約はあるか、なければ入国禁止の可能性があるの で、もしそうなっても構わない。自己責任ということで」誓約書にサイン を求められ、「えっ」と思いながらの出発となった。

そもそもキシナウーーオデッサのバスのキップを日本で買えるわけがない ではないか。

モルドバ共和国は、殆どルーマニア文化圏、経済圏(昔のベッサラビア) と言って良いのだが、周辺から孤立していて、とくにロシアとウクライナ から苛められている。

首都のキシナウは人口27万人足らずの小さな町である。

雑然として、ほこりっぽく、国会議事堂周辺にはテント村。「生活改善」 を叫ぶ政治集団の座り込みが延々と続いていた。表現の自由、結社の自由 は、確保されてきたようだ。

ともかく貧富の差が激しく、豪華レストランでは結婚式やら子供の誕生日 の祝宴などが行われ、また随所にカジノ、かつてのアルバニアの「ねずみ 講」の狂乱を思い出した。

さてキシナウからオデッサまでのバスは小型、運賃はわずか153レイ(920 円程度)。

国境の警備は機関銃を持つ兵士で溢れ、緊張感がただよい、審査が厳し く、モルドバ出国、ウクライナ入国に2時間もかかった。合計5時間。

しかもウクライナは隣国なのに、モルドバの通貨がまったく使えない。端 からモルドバを相手にしていない様子なので、あまったモルドバ通貨を帰 国時、イスタンブール空港で両替しようと考えていたが、ここでも両替不 可、要するにラオス、カンボジアの通貨がタイでも相手にされないような ものだ。

黒海のウクライナ側の港町オデッサはユダヤ人の街でもある。ユダヤマ フィアが巣くっていた地区がいまも残る。ポチャムキンの反乱で有名なポ チャムキン階段と、オデッサ港からの黒海クルーズが観光客をあつめてい るが、ロシアのクリミア併合とウクライナ内戦以後、外国人観光客は少な い。日本人はまずいない。

この町の出身者で作家のイサ−ク・パーペリは、こう書いた。

「世界の果てまで誉れ高い、わがオデッサ」には「ベッサラビアの国境か らリヤカーにワインを運んできた皺だらけのドイツ居留民の一団が腰を下 ろして、ぷかぷかと薬草をふかしていた。(中略)犬のバラ色の舌のよう に、太陽は空にぶら下がり、遠くペレスイピの岸辺には巨大な海が波を寄 せていた。彼方に浮かぶ大型船の帆柱はオデッサの入江のエメラルド色の 海水の上で揺らめいていた」(中村唯史訳。群像社)。

ここにでてくるベッサラビアとはいまのモルドバである。

オデッサは国際都市、かつてのソ連時代のユダヤ人の町でもあったが、い まや面影もなく、ユダヤ人は殆どが米欧かイスラエルへ渡り、シナゴーグ は寂れていた。


◆自衛隊の増強が急務

櫻井よしこ


「中国海軍の軍艦が領海侵犯 海上保安庁、自衛隊の増強が急務」

中国が挑発的かつ活発に動いている。6月15日午前3時半ごろ、中国海軍の 情報収集艦1隻が鹿児島県口永良部(くちのえらぶ)島西方のわが国領海 に侵入した。中国海軍の軍艦による領海侵犯は12年ぶり、2度目である。
 
さらに同日午後、沖縄県の尖閣諸島周辺の領海に中国海警局の公船3隻が 侵入した。
 
その前の9日未明には尖閣諸島の大正島と久場島の間の接続水域に中国の 軍艦が侵入した。大正島は通常私たちが尖閣諸島として報じる魚釣島から 約110キロメートル北東に位置する。
 
鹿児島沖から沖縄沖まで、わが国の領海は中国の灰色艦(軍艦)と白色 艦(公船)に侵犯されているのであり、わが国の防衛は新たな危機的局面 に入ったというべきだろう。
 
一連の事案をどう分析すべきか。政府筋はまず、尖閣諸島海域での公船 による領海侵犯は「通常の事象」だと語る。彼らは月3回、尖閣諸島の接 続水域および領海を侵犯し続けて今日に至る。日本政府は抗議を続けなが らも、「常態化」したこの状況がこれ以上悪化しないよう、監視を続ける だけの情けない現状である。
 
次に大正島・久場島沖での中国軍艦の接続水域侵入について、中国側は 彼らが自国領だと主張する海域にロシアおよび日本の軍艦が入った、従っ て監視活動を展開したとの立場を取る。
 
しかし、その理屈には無理がある。ロシア軍艦はアジアおよびアフリカ沖 への往復に日本のこの海域をこれまで複数回通過した。彼らにとって同海 域通過が最短距離だからだ。海上自衛隊はその都度ロシア軍艦を追尾、監 視した。だが日本政府はロシア軍の動きを、日本国領海を中国領だと主張 する中国軍の動きとは区別して捉えている。
 
そもそも尖閣の海の北方には中国の軍艦二隻が常に控えている。軍艦常駐 は旧民主党野田佳彦政権の終盤に始まった。中国軍艦は尖閣諸島の魚釣島 から約100〜120キロメートルの距離にいるが、海警局の公船が引き揚げる ときに南下し尖閣諸島に接近することもあり、今では尖閣諸島までの距離 を70キロメートル程度にまで縮めているという。
 
このように、中国はこれまでロシア軍艦が同海域を通過し海自艦が追尾す るのを幾度も見てきた。しかし、これまでは、彼らはこの海域に入ること はなかった。今回は入った。なぜか。
 
中国の意図は現時点では明確には分からない。同じく鹿児島沖の口永良 部島海域への領海侵入も、中国の意図を断じることは難しい。
 
中国は領海通過は国連海洋法条約が規定する航行の自由の原則に基づく もので問題はないと主張し、「騒ぎ立てる日本の側に意図があるのではな いか」と、開き直る。
 
しかし、国連海洋法が定める領海を含めた航行の自由は他国の領海や領土 を奪う意思のないことが大前提だ。友好的であって初めて無害航行が許さ れる。わが国だけでなくアジア諸国の領土や海を自国領だと主張し、軍事 拠点化する中国の行動を、警戒もせずに見過ごすなど国家としてあり得な い。日本の抗議は当然過ぎるほど当然である。
 
大正島・久場島のケース、口永良部島のケース、尖閣諸島のケース、接 続水域への軍艦の侵入、領海への軍艦の侵入、領海への公船による常習的 侵入と、状況は異なるが、明らかなのは中国の軍艦が前面に出てきたことだ。
 
わが国の海はすでに中国の公船が好き放題に領海侵犯を繰り返す海となっ てしまった。白色艦の侵入が常態化しているのだ。それが今、軍艦に取っ て代わられようとしている。灰色艦による侵犯を常態化させては終わりで ある。そのような状況を防ぐには、私たちは海上保安庁、自衛隊の力を人 員、装備面から充実させなければならない。その基本としての法体系の整 備、その根本である憲法改正が必要だ。

『週刊ダイヤモンド』 2016年6月25日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1138



      

◆都知事候補は安倍が出ないとまとまらない

杉浦正章

官邸も自民も小池は総スカン
 

「せこい知事が辞めてせこい女が手を挙げた」と自民党幹部に嘆かれるようでは小池百合子も出はなを折られる。「せこい」もそうだが「嫌な女」という感じがする。だいたい「崖から飛び降りる覚悟」といわれても、年が分かるような表現に同情するメディアはない。


小池の立候補の狙いはメディアが湧くと誤算したところにあると見たが、おおむね新聞の報道ぶりは狙いとは逆に好意的ではない。第一に都知事の顔をしていない。世界最大級の都市の顔としてはもう少し締まって、きりりとしていないといけないが、井戸端会議で通行人の邪魔をしているおばさんのようではいけない。客観的に自分がどの程度の人物かが分かるのが良い政治家であるが、小池は分かっていない。


報道が好意的でないのは紙面作りにも現れている。30日の朝日も読売も一面や政治面でなく社会面処理だ。小池の名前の見出しも小さい。なぜマスコミの評判が悪いかと言えば出馬表明が見え見えだからだ。小池は自民党の選考で本命である前総務事務次官・桜井俊の名前が消えたと判断、「そうとなれば自分しかない」と思ったのだ。このタイミングを外すとチャンスがないと思ったに違いない。


だから記者会見も唐突であり、都連会長の石原伸晃への連絡もない。事前に立候補するらしいという情報を入手した石原は、小池に電話をかけたが居留守を使って電話に出なかった。わずかに出馬表明5分前に都連幹部の衆院議員・平沢勝栄に「これから記者会見で出馬します」と通告しただけだ。この事実は、いかに小池が都連から無視されていたかの裏返しでもある。
 

もちろん会見では都政へのビジョンを語るわけでもなく、唯一目立った発言が次回の都知事選がオリンピックにぶつかることを理由に「任期を3年半にする」と述べた事だ。しかし今期の都知事はまさにオリンピックをやるための都知事であり、9割方準備が完了した段階で「辞任」の選択はない。むしろ知事職を継続して責務を果たそうとするのが最重要ポイントであるはずだ。


これを見誤るようでは、都知事候補としてまず失格と言わざるを得まい。自民党内で人気が沸かないのはかつての小沢一郎側近という経歴もある。とにかくすさまじいほど政党を転々としている。最初は細川護煕の日本新党、次に新進党で小沢にすり寄り、自由党分裂で小沢と決別、保守党を経て自民党という経歴。まるで歌謡曲「流れの旅路」である。だから自民党内には全く信用がない。


したがって政府・与党は苦り切っている。官房副長官・萩生田光一が「都連に何の相談もなく出馬表明をすることには違和感を覚える」と発言したが、「違和感」とはぎりぎりに抑えた表現であり、相当な憤りがあることを物語っている。首相・安倍晋三も内心では怒り心頭に発していいるらしい。したがって官邸からは「小池は300%ない」といった声が聞こえる。小池が踏み切った最大の理由は桜井の不出馬にあるが、桜井は本当に完全に消えたのだろうか。まだ手段があるような気がする。それは安倍本人が裏で打診していない事に尽きる。


官僚が首相から頼まれればまず「ノー」とは言いにくい。表に出るときは手打ちの合意会談だが、裏で説得出来るのは安倍しかいまい。29日は石原伸晃が直接説得を試みたが、ネガティブであったようだ。しかし朝日によると「都連関係者は『固辞されたというわけでもないようだ』と漏らしている」という。まだ完全にあきらめきってはいないようだ。桜井が出馬となれば、小池の出馬もすっ飛ぶだろう。“空き巣狙い”ができなくなるからだ。


一方で最強と言えた蓮舫に逃げられた民進党も、これはという候補はなく、混沌としている。都連が有力候補としたのは前鳥取県知事の片山善博だが、本人は否定している。反安倍の評論でコメンテーターとして目立つが、自公優勢の都議会を思えば本人は知事孤立へと思いが到るのだろう。都連は党内から擁立する場合の候補として江田憲司、長島昭久、柿沢未途、海江田万里の名前を発表したが、いずれもカリスマ性に乏しく、「勝つ候補」にはなりにくいだろう。元日本弁護士連合会長・宇都宮健児も本人にはやる気があるが野党4党の共闘だと難しいとみられている。
 

立候補すれば蓮舫なき後の知事選で最強の集票力があるのが前大阪市長・橋下徹だ。本人は「はっきり言いますが出ません」とネットで宣言しているが、出ないと言って出るのが橋下。このケースも殿・安倍のお出ましが必用だ。盟友関係にある安倍か官房長官・菅義偉が説得すれば動くかも知れない。桜井も橋下も殿の下知を待っているのかも知れない。裏で動くべきだ。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

◆華国鋒は毛沢東の息子

渡部亮次郎



死んだ元党主席の華国鋒。忽然と現れた彼、華国鋒は毛沢東の庶子
だった。

思い起こせば、日中平和友好条約の締結・調印のため北京を訪れていた日 本の外務大臣園田直は1978年8月12日午後5時36分から6時まで人民大会堂 で華国鋒主席と会見、私も秘書官として立ち会ったが。印象に残る言葉は 皆無だった。

むしろ影が薄かった。<後の政権内部の権力争いで故・トウ小平氏に負 け、1980年に首相を、翌年には党主席と軍のトップを退任、事実上政権か ら退く>ことを予感させた。

【大紀元日本8月23日】中国の華国鋒・元党主席が2008年8月20日午後零時 50分、病気のため北京で死去した。死因は伝えられていない。享年87。中 国当局の官製メディア「新華社」が報じた。華元党主席は政権から退いた 後、離党届を提出していたと伝えられた。

華元党主席は、1949年の中国共産党政権確立後、故毛沢東国家主席に「忠 実な部下」として認められ、湖南省第一書記、副首相と地位を高めた。 1976年、死去した周恩来・元首相の後任として首相に就任、故毛国家主席 から後継者に指名され、1976年9月に共産党主席、軍のトップにも就任し た。>

このような「ヘリコプター」出世について中国は1度も正式に認めた事は 無いが、当代随一の中国ウオッチャーたる日本人宮崎正弘氏は「華国鋒は 毛沢東の庶子」と断定する。

1920年代、湖南省で農民運動を展開していた毛沢東が「姚」という女性に 産ませた。戸籍上は「蘇祷」と名乗った」と断定している。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 平成20年(2008年)8月18日(月 曜日)通巻第2293号)

後の政権内部の権力争いで故・トウ小平氏に負け、1980年に首相を、翌年 には党主席と軍のトップを退任、事実上政権から退いた。

香港誌「争鳴」の2001年報道によると、華元党主席は1998年の第9回全人 大会議で2つの議案を提出した。

全人代常務委員会に対し、?憲法の職権を公正に履行、政府機構と幹部の 腐敗を監督?中央政府の高級幹部およびその家族の財産を公開の2点を求め た。結局、その議案は取り上げられることがなかった。

翌99年から、同氏はすべての中央会議を健康上の理由で欠席するようにな り、07年10月の第17回党大会には特別代表として姿を見せたのが最後だった。
C:\Documents and Settings\Owner\My Documents\大紀元時報−日本華国 鋒.htm
 
また、同誌によると、2001年9月中旬、華元党主席は最高指導部に離党届 を提出した。1ヶ月後に開かれた特別会議で、離党の理由について、「今 日の共産党は昔の国民党とどこが違うのか」と幹部の汚職などに強い怒り を示した。

その言葉の背景には、1940年代、中国共産党が内戦で「反腐敗、反専制」 のスローガンを掲げて国民党から政権を奪取した経緯がある。

その席で、華元党主席は最後の党費として、5万元(約80万円)を納め、 「貧困で、医療治療が必要とする党員のために使ってほしい」という言葉 を添えたという。

当時の報道によると、同年には計87人の共産党幹部が脱党を宣言、政治局 の元委員、国務院元委員、将軍なども含まれている。当局は「脱党の連鎖 反応を起こさないため、できるだけ慰留する」との方針で説得を続けたよ うだが、結果は不明だという。(再掲)

2016年06月29日

◆ロシア、中欧の失地回復へ動き

宮崎 正弘
 

<平成28年(2016)6月27日(月曜日)弐 通算第4944号 >   

〜ロシア、中欧の失地回復へ動き〜
   
 伊勢・志摩サミット、オバマ大統領の広島訪問、そして米大統領選挙で 本命ヒラリーが苦戦し、実業家トランプの大躍進が連日マスコミを湧かし ている。

すっかりロシアおよび旧ソ連圏の動向が伝わらなくなった。

昨秋、ベオグラードの街を歩いていた時、あちこちの屋台でプーチンのT シャツが売られていた。「8ユーロ、一銭も負けない」と言われたので買 う意欲が失せた。

先月、スロベニアのイタリア国境の町へ取材に行った。書店でヒトラーや ムッソリーニの伝記がベストセラー棚にあった。

セルビアとスロべニアはバルカン半島の旧ユーゴスラビアのなかで「反 米」の旗幟鮮明である。

マケドニア、モンテネグロ、コソボは親米、それも大通りの名称が「クリ ントン・アベニュー」とか、アルバニアの都市にはブッシュ大統領の銅像 が建っていた。

それはそうだろう、アルバニア系住人の多いコソボをNATOの空爆でセ ルビアを敗北に追い込み、まんまと独立を勝ち取ったのだからアメリカ 様々なのだ。

コソボは欧米の後押しで国連加盟が認められたが、ロシア、中国などはい まもって独立を承認していない。だから「未承認国家」といわれ法定通貨 はユーロだ。マケドニアも反ギリシア感情が強く、その分、親米的である。

他方、セルビアはユーゴ戦争で、一方的な敗者となり、悪者としてミロセ ビッチ、カラジッチが裁かれ、おなじく虐殺をおこなったボスニア武装勢 力もクロアチアのなした民族浄化もその戦争犯罪は不問に付された。

セルビアが負けたのはNATOの空爆だった。セルビアの首都ベオグラー ド旧国防省のビル、内務省、公安部のビルは空爆されたままの残骸をいま も意図的に曝している。あたかも原爆ドームで、捲土重来を期すセルビア 人の心境を象徴的に表している。

セルビアの世論調査の結果がでた。57%の国民がロシアの軍地基地を領 内に開設することに賛意を表し、64%がクリミアを併呑したロシア外交 を支持した。
 地図を開いてみれば判然となるように、もしセルビアにロシアが軍事基 地をおくとNATOの最前線となった旧ソ連圏のブルガリア、ルーマニア の「頭越し」となる。
 中欧のど真ん中、つまりNATOの中枢へロシアが軍事的橋頭堡を建設 するという意味である。

 ロシアから見れば旧東欧圏が軒並みミサイルを配備して旧宗主国に牙を 向けたわけだから、反撃攻勢を期してまずはシリア政権を守り、原油パイ プラインの拠点を確保し、いまも軍を駐留させている。
 ついでロシアはアゼルバイジャンからパイプラインをNATOのミサイ ルを配備したブルガリアを袖にしてギリシアに話を持ちかけた。南欧の分 断にでているのだ。
 5月22日、プーチンは経済団体多数を引き連れ、アテネを訪問している。
 クリミア併合、ウクライナ問題での西側のロシア制裁の意趣返しを籠め てプーチン大統領の欧州における失地回復は静かに開始されているのである。

 (この稿は北国新聞コラム「北風抄」、6月21日からの再録です)

          

◆アベノミクス3本の矢

佐藤 鴻全




◆アベノミクスの金融財政◆

現下の日本経済は、衆目も一致するようにとても消費税を増税出来る環境 にない。日本経済G7一人負けの最大の元凶は、2年前2014年4月の8% への誤った消費税増税だ。

ここで、2012年12月の第二次安倍政権発足時からの、(1)大胆な金融 政策、(2)機動的な財政政策、(3)民間投資を喚起する成長戦略を柱 に据えた3本の矢アベノミクスの一連の軌跡を振り返ってみたい。

先ず、(1)大胆な金融政策だが、日銀の黒田バズーカを誘導した未曾有 の金融緩和等、平たく言えばジャブジャブマネーは、円安による輸出増 進、海外子会社利益・資産の日本円換算価値増加、金利低下による株高、 それらによる求人数増加等で日本経済に大きなプラス要素をもたらした。

半面、輸入資材・物価上昇をもたらし、実質賃金水準が上がらない中で、 特に中小零細企業とその従業員にしわ寄せが行った。

今は手仕舞いを模索している米国等が先行したとは言え、何しろ未曾有な ので、歴史から学ぶことが出来ずその顛末がよく見通せないのがジャブ ジャブマネーである。

こういう場合は、現実世界に存在する別のもの、例えば人体に置き換えて みると分かり易い。いわば、貧血気味で過労で寝込んだ人に、輸血と造血 剤を打って動き回れるようにした状態だ。それ自体は良いのだが、やはり 一時的な措置であるべきで、やがて筋トレと体質改善に切り替えて行くべ きである。

今やマイナス金利にまで踏み込んだ黒田ジャブジャブマネーだが、エコノ ミストや与野党はここだけ切り出して肯定あるいは批判をしている感がある。

しかし、ジャブジャブマネーは、輸血であり造血剤であり手段であり道具 であるのだから、それ自体の是非を論じても仕様がない。他の施策の実行 状況と合わせて評価すべきであるものだ。

(2)機動的な財政政策については、東日本大震災の復興と東京オリン ピックに向けての首都圏での建設ラッシュによる人手不足で、予算を付け ても着工が出来ず箱モノについては頭打ちの感がある。

◆成長戦略の方向性◆

(3)民間投資を喚起する成長戦略については、安倍首相がインフラ輸出 にセールスマンとなって先頭に立っている事は、中国等に競り負けている ものもあるものの、インドの鉄道建設等で実際の成果が出ている。

また、ロボット、人工知能、TOI(いわゆるモノのインターネット化) 等の分野を推し進めている政府の政策は将来的に向けて有望である。

TPPにはグローバル企業による搾取の危険性等重大な欠点がある。

また、輸出入、市場参入自由化自体は、基本的にはあるべき方向だが、農 業に於ける食糧安保の確保のみならず、経済原理を超えて安全保障上その 他で守るべきものと、開くべきものの整理が出来ていない。

また、規制緩和についても、例えばタクシー一つとっても自由化と事業免 許制による台数制限との方針の迷走等、かつて竹中平蔵氏が主導した粗野 で拙い自由化の後遺症とその反動が目立つ。

タクシー等は、ニューヨークのように一台毎の事業ライセンス制にした上 で、その売買・貸し借りは自由に出来るような規制と自由化を適切に組み 上げた合理的なシステムにすればよかった。

このような工夫は、Uber等の新しい配車サービスの導入時を含め、あ らゆる分野に於いても形を変えて行うべきである。

以上纏めると、守るべきものと開くべきもの区分と原理、自由化と規制の 合理的ベストミックス、進んでは「良い既得権」と「悪い既得権」の腑分 けの理論化が不足している事が、成長戦略の筋道を強く描けず、十分な成 果が出ていない原因である。

利害関係者同士の局地戦ではない、国民を巻き込んだ議論を尽くした上で の決然とした意志決定が必要である。

◆米で募る支那企業への不信感

平井 修一



土方細秩子氏(ジャーナリスト)の論考「米中高速鉄道が頓挫した理由」 (ウェッジ6/22)から。
 
<中国は現在積極的に世界の高速鉄道建設に乗り出しているが、米国での 計画に黄信号が灯った。

昨年9月、ネバダ州ラスベガスに本拠を置くエクスプレス・ウエスト社と 中国国営鉄道企業の米国子会社である中国鉄路国際(CRI)の間にラスベ ガス−ロサンゼルス間の高速鉄道建設に関する契約が結ばれた。

内容は総工費80億ドルのうちCRIが1億ドルを初期投資、その後鉄道建設、 車両納入、運営、さらには融資に至るまでをCRIが請け負う、というもの だった。

*突然白紙に戻される

今年9月から着工が発表されていた計画が、突然白紙に戻された。エクス プレス・ウエストCEO、トニー・マーネル氏は声明の中で「連邦政府によ る認可を取得するのが困難なこと、中国側が期日通りに計画を進めること に支障を来していること」の2点を契約破棄の理由に挙げた。

鉄道事業には通常州政府の認可と連邦政府の認可、双方が必要だ。高速鉄 道計画の場合、連邦政府が全米を網羅する鉄道網を計画、ラスベガス−ロ サンゼルス間の高速鉄道は将来カリフォルニア州の高速鉄道、さらにはア リゾナ州までを結ぶ「米南西部」の第三フェーズに組み込まれている。州 間事業となるため、連邦政府の認可が必要となる。

ネバダ州は昨年11月すでに鉄道計画を認可、建設へのゴーサインを出し た。しかし連邦政府は「高速鉄道車両は米国内での生産に限定する」とい う規制方針を打ち出した。

現在、列車生産を行う米企業はない。つまりCRIが現地法人として米国内 に生産拠点を持ち、輸入ではない国産として列車を製造できなければ計画 は前に進めないことになる。

州内のローカル列車やアムトラックでは日本製、ドイツ製、イタリア製、 スペイン製、カナダ製の車両がすでに導入されているが、これらは現地法 人で現地生産の体制が整っている、あるいは連邦政府による特例が認めら れている。しかし比較的新規の中国企業に対し、こうした特例が認められ る可能性は低い。

より大きな問題は、エクスプレス・ウエストが中国側に対し不信感を抱き 始めた、という点にある。同社はCRIについて「タイムリーに、かつ効率 的に作業を進める能力に欠く」と批判。「将来CRIが米国内においてある 程度の成功を収めるだろう、と予想はするが、現時点でエクスプレス・ウ エストの事業スピードには合致しない」としている。

また、昨年9月の契約当初はCRIとのみ、だったものがCRI側がその後関連 中国企業との連携、合併などを強めたことで、連邦政府の認可を取るのが 困難になった、とも述べている。

これに対し中国政府が猛反発している。CRIの親会社でもある中国鉄道国 際は契約破棄のニュースに対し「重大なミステイクであり、無責任な行 動」と批判。「まだCRIとエクスプレス・ウエストとの交渉が続いている 段階で、一方的に契約終了を発表したことは契約違反であり、今後法的手 段に訴える」とヒートアップ。

一方のエクスプレス・ウエストは「CRIとの契約は終了したが、高速鉄道 を諦めるつもりはない」と早くも次の段階に着手している。中国からの融 資、というオイシイ話がなくなった現在、まず必要なのは資金の手当てだ。

*ウルトラCが登場?

そこでウルトラCが登場するかもしれない。なんとエクスプレス・ウエス トは北ラスベガスにテストレーンを設置した、ハイパーループ・ワン(旧 社名ハイパーループ・テクノロジー)と協議を行った、というのだ。

*ハイパーループ・ワン

ハイパーループとは、テスラCEOイーロン・マスク氏が考案した「鉄道よ りも大幅に安く高速移動が可能になる乗り物」のこと。チューブの中に磁 気とエアシューターによって時速800キロで移動するカプセルを浮かせ、 人や物を運ぶ、というものだ。

マスク氏によると「ロサンゼルス−サンフランシスコ間を30分で移動でき る。建設費は80億ドル(カリフォルニア州の高速鉄道計画事業費は10倍以 上の860億ドル)」という。

このマスク氏のアイデアに沿い、独自にハイパーループを建設、実験して いるのがハイパーループ・ワンだ。実験設備がラスベガスに近いこともあ り、建設コストの少なさ、「米国産」であるため連邦政府の規制にも引っ かからない、など、もし実現できるならばハイパーループは未来の高速鉄 道事業を根本から変える存在になるかもしれない。

エクスプレス・ウエスト側は「あくまでも地上の線路による高速鉄道を計 画している事実に変わりはない。しかしあらゆるオプションを検討すべき だと考える」とハイパーループとの協議について語っているが、その詳細 は明らかにされていない。

世界初のハイパーループがネバダ州で建設されることになるのか、あるい は日本など他国の鉄道システムが導入されることになるのか。それともエ クスプレス・ウエストの計画そのものが白紙撤回される結果となるのか。 そして中国側の今後の出方は、など、今後の展開に注目が集まる>(以上)

ハイパーループ・ワン↓
http://jp.autoblog.com/2016/05/15/hyperloop-one-test/

海のものとも山のものともわからないが、まずは人間を乗せて実験を重 ね、営業運転で実績を作らないと採用はされないだろう。

さて、支那企業は「タイムリーに、かつ効率的に作業を進める能力に欠 く、われわれの事業スピードには合致しない」とダメだしされたが、これ は「信用できない、あてにならない」ということでもあるだろう。

ヤフー知恵袋から。

<基本、中国との商売で信用なんてものはありません。私は20年以上信頼 して取引していたのに最後に裏切られました。所詮、外国との取引なんて そんなものです。

金が無くなれば、あっさり裏切ります。外国人であれば、余計そうなのか もしれません。中国で倒産した会社も見てきたのですが、なんかちょっと 仲間から遠いとあっさり裏切ってますよ。

そこは、あの国も民族性だと思います。国際取引の場において日本国内の ような取引の信頼性が実現する事は無いと考えます>

一党独裁の異常な国の企業と取引すること自体がそもそも間違いなのだ。 こうしたことが世界中に周知されるべきである。息をするように嘘をつく のが支那流なのだ。(2016/6/26)


      

◆「人殺し予算」が民共共闘を直撃

杉浦 正章




「100万票減」と公明代表


昔反党行為を犯した極左政党の党員が、まるで執行部を前にして懺悔をするかのようであった。「人を殺すための予算」発言で政策委員長を更迭されたあとの藤野保史は「党の方針とは異なる」「党の方針とは全く違う趣旨」と記者会見で繰り返した。


しかし防衛費を「人殺し予算」と断定した未曾有の大失言は、中国のことわざ「一言既出,驷马难追」(一言口に出せば,四頭立ての馬車でも追いつけない)そのものだ。あっという間に参院選野党共闘を直撃、「比例票では既に100万票減らした」(山口那津男)という惨状となった。首相・安倍晋三を始め自公は千載一遇のチャンス到来とばかりに残る2週間共産党と、同党と共闘する民進党などに照準を合わせて攻撃を続ける。
 

これまで発言を黙殺してきた朝日も、さすがに辞任劇ともなれば報道せざるを得なくなったようだ。4面ながら報じている。日曜のNHKの討論番組を見ていて気付いたのは、藤野発言に対して即座に「それは言い過ぎだ」と反応したのは自民党政調会長・稲田朋美。公明やおおさかもこれに追随したが、民進党政調会長・山尾志桜里は無反応。意図的沈黙というよりどう反応して良いか分からないかの様であった。


政治家としての熟練度の違いを見せた。山尾にしてみれば何よりも大切な共闘相手であり、批判すれば共闘にひびが入ると判断したのかもしれない。その共闘相手共産党が、さすがに藤野を切り捨てざるを得なかった。
 

委員長・志位和夫ら幹部は、当初は発言を取り消せば済むと考えたのだろう。26日夕方になって藤野に取り消させたが、まさに発言は燎原の火のごとく広がり手がつけられないような様相となった。それもそうだろう、共産党は戦後各種“闘争”でたびたび殺人事件を起こしているが、自衛隊は発足以来1人も他国の人命を奪っていない。


おまけに東日本大震災や熊本地震では、自衛隊がなければ多くの尊い人命が失われていた。熊本の病院では自衛隊の給水継続により350人の人工透析患者を救ったという。熊本選挙区では民進党幹部から「まるで民共共闘を殺す発言だ」と悲鳴が上がるほどだ。少なくとも熊本では統一候補の当選はあり得なくなった。
 

志位としても藤野を更迭せざるを得ない立場に追い込まれたのだ。藤野に辞任会見をさせた志位は「党の方針ではないと強調せよ」と命じたに違いない。ところが「人を殺すための予算」発言は共産党の「本音」に極めて忠実に沿ったものであることは明白だ。第一に似ているのは共産党が好きなレッテル貼りだ。安保法制を「戦争法案」と決めつけ、同法成立を「徴兵制に道」と断定する“手口”にそっくりではないか。加えて自衛隊を憲法9条違反の違憲として解消する党是も変更はない。
 

共産党は大矛盾を抱えている。自衛隊解消の党是について志位自身は記者会見で「日本を取り巻く国際環境が平和的な成熟が出来て、国民みんなが自衛隊はなくて大丈夫だという圧倒的多数の合意が熟したところで9条全面実施の手続き、すなわち自衛隊の解消に向かう」と発言している。


つまりこの地球上に未来永劫(えいごう)実現しないユートピアが出来て初めて自衛隊を解消するという方向だ。戦後長期にわたって維持してきた自衛隊解消の方針を三百代言の論法を駆使して、「国民連合政府」実現のため事実上転換したのだ。それにもかかわらず党是はそのままだ。これが矛盾出なくて何であろうか。
 

その機微を理解しない藤野は、過去に勉強したとおり党是に忠実に自衛隊を違憲の組織と判断し、国防上の役割を否定して「人を殺すための予算」発言をしてしまったのだ。こうして民進党にとっては共産党との共闘がプラスかマイナスか分からないような状況になってきた。


今後政府・与党は、「人殺し予算」発言を最後の最後まで選挙戦に使い続けるだろう。民進党内も右派が前原誠司のように「自衛隊は専守防衛で極めて重要な役割を果たしている。極めて悪質な発言だ」と真っ向から批判に出ている。前原としてはもともと共産党との共闘に批判的であり、「それ見たことか」という思いが強い。
 

こうして民進党は選挙中に、再び遠心力までが生じ始めたのだ。苦し紛れか代表・岡田克也は「地元の三重選挙区で敗れた場合」に辞任する意向を表明したが、これは党が惨敗しても三重が残れば辞めないという布石のように聞こえ、哀れである。いよいよ改選45議席が15議席以上減る流れが現実味を帯び始めている。共産党との共闘という「毒食った報い」で民進党は自ら墓穴を掘ったとしか考えられない状況である。


おおさか維新の会代表の松井一郎が「共産党は少しずつ化けの皮がはがれてきている。共産党と組むということはそういう考え方で一致するということだ」と述べ、「人殺し予算」発言を批判。共産党は民進党にとって童話の「おんぶお化け」になりつつあり、これから逃れることは選挙中は不可能だろう。

<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

◆山科だより 「山科区民誇りの木」

渡邊 好造
 


"文化財保護法"に守られ国指定の特別天然記念物の樹木は全国で29件(植物としては阿寒湖マリモを含め30件)、羽黒山のスギ並木、奈良春日山の原生林、鹿児島屋久島スギ原生林などなどである。


京都には国指定はなく京都市指定の天然記念物樹木としては、一休さんで有名な大徳寺の樹齢350年の"イブキ"、金閣寺で知られる鹿苑寺の同330年の"イチイガシ"など26種がある。山科に京都市指定天然記念物の樹木はない。


京都市では平成7(1995)年に"京都市緑化の推進及び緑の保全に関する条例"を制定し、良好な都市環境を目指して京都市建設局緑政課の所管で”保存樹”を指定した。そのうち4種4本は山科区にある。
 

・崋山寺<北花山河原町33>=ケヤキ。
 ・音羽前出町=ソメイヨシノ。
 ・若宮八幡宮<音羽森廻り町36>=カツラ。
 ・小野葛篭尻町=カヤ。


さらに京都市は、平成6〜7(1994〜95)年に"市立学校・幼稚園名木百選"を指定した。そのうち山 科区には8種9本がある。いずれも見応えのある立派な木である。
 

 ・山階小学校<西野大手先町21>=クスノキ、イチョウ、ソメイヨシノ、プラタナス、シダレヤナギ。
 ・音羽小学校<音羽森廻り町32>=エノキ、ソメイヨシノ。
 ・山科中学校<東野八反畑町50−1>=ムクノキ。
 ・勧修小学校<勧修寺東栗栖野町42>=クスノキ。

山科区としてはヨリ以上立派な木がある、とばかりに平成13(2001)年山科区民が推薦し、専門家ともども選んだのが”区民誇りの木”70本である。この中には”保存樹”と”名木”の11種13本も含まれ、それに24種57本を付加えた。それぞれ立札が立てられている。(参考・山科区役所資料)


 “区民誇りの木”のうち筆者にとって耳慣れない名前の木、4種4本を拾ってみた。
 ・安祥寺川=モミジバフウ(マンサク科、別名アメリカフウ、落葉高木、成長が早い)。
 ・厨子奥尾上町=センペルセコイヤ(スギ科高木、アメリカ大陸西海岸海抜1千メ-トルで自生する)。
 ・西野山階町=ナナミノキ(モチノキ科高木、別名ナナメノキ、赤い実がなる)。
 ・山科総合庁舎<椥辻池尻町14−2>=ナギ(マキ科高木、実からとった油を石灯篭の灯に使った)。


ナギの木の所在を山科総合庁舎の職員に尋ねると、「現在は数メ-トルの高さだが昔は四方から見える20メ-トル位の巨木だった。常緑マキ科で原産地は台湾。椥辻(なぎつじ)の地名の由来でもある」などの解説つきで案内してもらった。


山科“区民誇りの木”を全部見ることはとてもできなかったが、この木が選ばれるならアレもコレもという気になった。筆者宅に近い所で保存樹に値するのは"イチョウ"(一燈園)や"シダレザクラ"(本圀寺)など、山科にはまだまだ見事な木が一杯ある。ただ、一本立ちの木では鳥や昆虫は集まらない。自然のままの雑木林もエリアとして保護の対象とするべきではないか。


一番多く選ばれたのは"ソメイヨシノ"の12本であるが、今この種は山科に限らず危機にあるといわれる。"ソメイヨシノ"は"ヤマザクラ"と違って花の見栄えを重視して接木などで改良を加えた人工種である。


樹齢40〜50年の接木の部分が弱点となり、強風で折れたり、倒れたりすることが頻発している。倒木被害を防ぐために役所の担当官が街路樹の"ソメイヨシノ"をカットしたら、事情を理解しない住民が自然破壊だとして非難していた。


こうした樹木の診断、治療、保護育成、保護に関する知識の普及、指導の専門家として”樹木医制度”がある。財団法人日本緑化センタ-が審査し、農水大臣が樹木医と認可するもので、平成3(1991)年にスタ-トし「日本樹木医会」のメンバ-は約2千名に達している。


樹木を文化財として認定するのもそれらを保護するのもこうした人達が陰で努力しているわけで、なにも知識のない役所の係官が勝手な判断で樹木を間引いているのではない。


 保護されている樹木に狙いを定めて山科を訪問するのも一興である。国指定の特別天然記念物の樹木は知っていても、その他数多くの保護されている樹木について知らない人は多い。(完)