2017年04月12日

◆「措置入院」精神病棟の日々(24)

“シーチン”修一 2.0



全自動家事ロボットの小生は毎朝5:30あたりに起きて洗濯機を回すこと
から1日が始まる。朝食は6:30で、やがて次女が起きてきてカミサンに
「ヂイヂは?」、カミサン答えて曰く「もう動いている」。やはりロボッ
トなのだ。ルンバならぬサンバ(産婆)、ケンバ(犬馬)あたりか。

「アンタは動いてないと死んじゃうマグロだね」

最近、カミサンはそう言う。以前は「まったく多動児、サメみたい」と
言っていたものだが、今は小生の牙をすっかり抜いたから危険性は大きく
低下し、市場価値の高いマグロになったわけだ。ま、小生の腹の中はマッ
クロだから、太平洋腹黒マグロあたりか・・・

先日の土日は子・孫が来襲し、長女の誕生日を祝ったが、37歳だという。
ということは小生夫婦は間もなく結婚38年になる。「喜怒哀楽、いろいろ
あったが、よくもまあ無事に来たものだ、カミサンの願い通りに“退屈し
ない人生”ではあったろう」とは思うが、いろいろ心配をかけたのはまず
かったかなあなんて、いささか忸怩とした思いもあるが、まあ、辛うじて
及第点だったかもしれない。

病棟日記から。

【2016/11/18の続き】2Fホールに君臨する“ボス”のテーブルには、ビート
ルズコピーバンドの“ポール”、柔道と空手を得意とする“ノッポ”、そして
2Fで最年長となった小生が坐っている。3人はいずれも独身の40代で、
ノッポは2か月と20日間の治療を終えて昨日退院したが、とてもうれしそ
うだった。

ほぼすべてやり終えた小生と違って、彼らはこれから20年ほどは働かなく
てはならないから大変だ(障害者年金で生きていく方法もあるが、働かな
いと人はひたすら劣化する)。精神疾患は完治せずに、いつ再発するかも
しれないから苦労するだろう。

再発の恐れ・・・それは小生も同様で、ナースは「せめて年に一度は精神
科でチェックしてもらいなさい」とアドバイスするが、じっと待つことが
できない多動児の小生は医者嫌いだから困ったものである。せめて周りに
迷惑がかからないようにしたいが・・・

オムツで全身拘束され、その解除後は紙パンツとお仕着せの病院着、そし
て今日は社会復帰の準備として下着を含めてまったく自由な服装になった
が、オツムが普通になるのはいつになるのだろう。普通になったら自分ら
しくないような感じもする。

【11/18】今朝は雨。傘をさして喫煙所で煙を出している人がいるが、な
んか惨めっぽい。分かっちゃいるけどやめられない・・・か。

夕方、Dr.と面談。「あなたも奥様もそれぞれがフィルターを通して語る
から、事情がはっきり分からない。とにかく奥様に謝ることが先決」と言
う。理詰めではカミサンの理解は得られない、ということだな。ひたすら
謝罪の言葉を口にしろ・・・悩ましいことだ。

【11/21】下痢が止まらない。夕べは粗相をし、夜中に洗濯。ナースは
「眠剤の影響で粗相はよくあること、恥じることはないですよ」と言って
くれたが、小生は「老いとはこんなもの」と思っているから全然恥じては
いない。ただ汚物を洗っている現場は人に見せられたものではないので、
さっさと処理はしているが。

10:00〜11:15、初めての自由工房での作業療法でプラ製クワガタの組み
立て。スタッフは20人ほどの患者に盛んに声をかけているが、これも治療
のため。小生もおしゃべりしながら「人付き合いの練習」に励むのだ。

先日“ボス”と“ポール”とともにビートルズ談議に華を咲かせたが、“ボス”
が「ザ・ビートルズ 世界制覇50年 世界の音楽地図はどう変わり、現在
の音楽シーンになにを残したのか」(日経BPムック2015/7/16)を貸して
くれた。

プロのオタク向けだから小生にはチンプンカンプンだった。

14:00〜16:23、ロールシャッハテストなどの心理検査。担当者が「この
テスト、ご存知ですか」と聞くので、「ロールシャッハでしょ」と答えた
らびっくりしていた。「皆さん、ほとんど知らないですよ」と言う。フロ
イトの入門書あたりを読んでいれば知っているはずだが、TVを見ているよ
うな中2レベルでは無理か。

検査はとても疲れたが、終わってから「今の心理学界では相変わらずフロ
イト派とユング派が両立しているんですか」と問えば、「今はユング派は
まずいないですね。フロイト派も多くの分派に分かれており、昔と比べれ
ばずいぶん進化していますよ」とのこと。すべての心理をリビドーで解釈
するのはやはり無理だったのだろう。

【11/22】夕べから心理検査の宿題である「TEGU」(東大医学部心療内科
編)と「JCT」(精研式文章完成法テスト)にシコシコ取り組む。(東大
は人格障害製造本舗だが、大丈夫なのか?)

前者は「はい、いいえ、どちらでもない」の三択だから簡単だが、後者は
「書きかけの文章を2行以内に完成させる」もので、60問もあるから
ちょっと骨折り、両方合わせて4、5時間で完成させた。

ふたつのテストで、小生はかなり偏屈、狭量、頑固、変人だということが
分かる。しかし今さらそれ以外の生き方はできないし・・・悩ましい。
“ボス”によると診断結果は後日知らされるそうだ。

11:00、入浴してさっぱり。15:20、インフルエンザ予防注射。発狂予防
注射はないのか。

ここ数日、退院する人、入院する人が多く、入れ替わりが激しい。「浜の
真砂は尽きるとも、世に病院の種は尽きまじ」だな。

余計なことだが、男性患者は前歯が欠落したままの人(つまりずーっと無
職)、着た切り雀のような人が何人かいる。つまりケアしてくれる伴侶な
ど家族がいないのだろう。(つづく)2017/4/11


◆中国、朝鮮半島沈静化に動く

杉浦 正章
 


北の核保有を認めず


金正恩は外交・安保で孤立
 

読売が12日付社説で北朝鮮の核・ミサイルによる挑発行為について「中国の実質的関与を促したい」と間の抜けた主張をしている。なぜ間が抜けているかと言えば、中国が、北朝鮮の非核化に向けて本格的に動き始めたのを見逃している。


中国外務省の朝鮮半島問題特別代表武大偉が10日訪韓して外務省韓半島平和交渉本部長金ホン均と会談、「中国はいかなる場合でも北朝鮮の核保有国としての地位を認定、黙認しない」と金正恩をこれまでになく強く批判したのだ。中国は、ICBMの打ち上げや核実験をやれば見捨てると言っているのだ。これは明らかにトランプが習近平との会談で「中国が役割を果たさないなら我々が単独でやる」と“説得とどう喝”で「行動」を促したことを反映している。


空母カールビンソンと横須賀停泊中のロナルド・レーガンに取り囲まれ、中国まで離反して外交・安保両面に渡り北は完全に追い込まれて孤立化した。こうした米中の方針は韓国の大統領選の帰趨に大きな影響を及ぼしつつあり、トップを走っていた親北の「共に民主党」の文在寅が失速しつつあり、戦域高高度防衛ミサイル(THAAD)容認など保守票を意識した中道・国民の党の安哲秀が世論調査で劇的な逆転となり有利となっている。

 
習近平はよほどこたえたとみえる。米中首脳会談から3日後に武大偉を派遣している。それに首相李克強も10日、北京で元衆院議長河野洋平らと会談し「北朝鮮情勢は緩和すべきだ。中国もやるべきことがあるし、中日でも共にできることがある」と日本との連携すら示唆している。明らかに中国は対北政策で金正恩への圧力をかけ始めるという重大な北朝鮮政策の方向を転換した。


一面トップ並みの動きだが、日本のマスコミの多くがこの動きを見逃している。韓国中央日報によると武大偉は「北朝鮮が核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射のような『戦略的挑発』を敢行する場合、国連安全保障理事会の決議に基づき強力な追加の措置があるだろう」と発言した。


両者は@北が追加で挑発すれば、よりいっそう強力な安保理決議はもちろん、制裁と圧力を持続的に強化するべきであるA北の非核化のために韓中協力と5カ国(韓・米・日・中・露)の連携が重要だB韓中は核問題の緊急性・厳重性に対する評価を共有し、北の挑発を懸念して反対するという立場で一致した。

 
こうした中国の動きは、ひしひしと朝鮮半島に迫る「4月危機」に対して、とりあえずは緊張緩和に動かざるを得ない状況に立ち至ったことを意味する。習近平はトランプとの会談で韓国へのTHAAD配備に懸念を表明しているが、その基本的な立場は維持しつつも、今後金正恩が核実験やICBM実験、さらにはICBMへの核搭載に踏み切れば事態は抜き差しならぬ戦争に突入しかねないという危機感を抱いたのであろう。


もともと習近平は金正恩を毛嫌いしているといわれており、就任以来朴槿恵とは会談しても金とは会談していない。しかしこのまま放置すれば第2次朝鮮戦争、ひいては第3次世界大戦まで誘発しかねない事態へと発展しかねない。朝鮮戦争ともなれば最終的には米国主導で韓国による半島統一に向かう事は必定だ。これはなんとしても防がなければならないという考えに立ち至ったのであろう。

 
それで武大偉を韓国に派遣したのであろうが、こうした動きは北に対して極めて厳しい威圧になる。問題は中国がこうした動きを背景に北への説得に動くかどうかだ。金正恩を説得するには包囲網だけでは足りない。武大偉は韓・米・日・中・露5か国の連携の必要を提起しているが、これがかつて堂々巡りを繰り返した6か国会議と同じことになる可能性は否定出来ない。


やはり中国自らが石油の禁輸などドラスティックな制裁をかけることで北を脅し、金正恩を外交的に屈服させるしか方法はあるまい。習近平がそこまで踏み込むかどうかが当面の焦点となる。


◇大統領選は安哲秀がリードの情勢
 
一方で韓国の大統領選はこうした極東情勢を強く反映したものとなりつつある。5月9日の投開票に向けて事実上文在寅と安哲秀の一騎打ちの様相を呈してきた。先月には8.4の支持率しかなかった安哲秀がここ1週間で急速に支持率を上乗せして文在寅を逆転した。


8〜9日に聯合ニュースが実施した世論調査の結果によると、候補者5者への調査で安の支持率は36.8%で、文の32.7%より4.1ポイント高かった。また候補を2人に絞った場合も安は49.4%で、文の36.2%を13.2ポイントの差でリードした。テレビ朝鮮の調査も安候補が34.4%、文候補が32.2%。2人に絞っても、安が51.4%で、文の38.3%より13.1ポイント高かった。

 
この結果がなぜ導かれたかと言えば朴槿恵への反発から「当選したらまず北へ行く」と述べる親北朝鮮の文在寅へと流れた支持が、北による半島危機によって限界を示し、逆に中道とはいえ米国との連携に大きく舵を切った安哲秀に支持が向かったといえよう。とりわけ安哲秀がこれまで反対してきたTHAAD配備を支持する方向に転換したことも、行き場がなかった保守層の支持を獲得し始めたものとみられる。


こうした状況は1か月後の投票に向けて加速するような気がする。安哲秀が勢いを付けたまま投票に突入する公算が大きい。しかし、最近の選挙はトランプ当選を誰も予想しなかったように「魔物」が潜んでいる可能性もあり、断定は出来まい。

        <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

◆人工関節手術で歩ける喜び

小池 達也



整形外科の分野ですばらしい発展を遂げていると考えられているのは、人工関節分野です。現在では、肩・肘・股・膝・足関節に人工関節手術が施されますし、手や足の指関節にも応用が始まっています。

特に、股関節と膝関節に関しては膨大な数の手術が毎年日本中で行われています。
成績も安定しており、それほど高度な手術でもなくなりつつあります。

しかし、本当に人工関節は進歩したのでしょうか。

1962年にチャンレイという先生が人工股関節手術を初めて実施されました。 今から振り返ってみても、良く考え抜かれたデザイン・材質・手術方法でした。やっぱりパイオニアと呼ばれる人たちには何か光るものがあります。

このチャンレイ型人工股関節は長期成績も良く、スタンダードとなりましたが、もちろん完璧ではないので、チャンレイ自身を含め様々な改良が加えられました。

ところが、それらの改良、良かれと思ったデザインや材質の変更は逆に長期成績を悪化させました。

そうすると、また改良が加えられ、猫の目のようにくるくるとデザインや果てはコンセプトまで変わっていきました。最近ようやく、コンセプトも成熟し成績も安定してきました。しかし、改良が加えられ続けていた時代に人工股関節手術を受けてしまった人は恩恵を受けることが出来なかったわけです。

最先端のものが最良とは限らない好例ではないでしょうか。これは人工関節の性格上、結果がすぐに出ないことが一番の理由です。そして、この危険性は今後も出てくる可能性はあります。

では、人工関節手術などすべきではないのでしょうか。

そうではありません。歩くことさえ大変な方が、人工関節手術を受けて痛みなく歩けるようになった時の喜びは、本人でない我々でさえ感じることの出来る大きなものです。

「人生が変わった」・「旅行に行けるようになった」・「歩くのって楽しい」など、多くの喜びの声を聴かせていただける、医者にとっては実にやりがいのある手術です。これを永続する喜びに変えるために、いくつかの合併症を克服してゆくのが、我々の今後の使命でしょう。

人工関節の合併症で厄介なのは感染とゆるみです。ゆるみの方は、多くの研究により克服されつつありますが、異物を体の中へ入れる手術であることから、感染の危険性はなかなか解決されそうにはありません。また、スポーツも可能になるような丈夫な人工関節もまだ存在しません。真の人工関節出現はもう少し先になりそうです。
 
ところで、最近ではナビゲーションといって、コンピュータが人工関節を入れる方向を指示するシステムやロボットが人工関節を入れる方法も実用化されています。

あなたは、ロボットと人とどちらに手術して欲しいですか?(再掲)
         (大阪市立大学大学院医学研究科リウマチ外科学 )

2017年04月11日

◆「措置入院」精神病棟の日々(23)

“シーチン”修一 2.0



*読者諸兄へ:「私の『身辺雑記』」を連載していた平井修一さんは夫人
のクーデターにより収容所送りとなり、ポアされました。その際、平井さ
んは全臓器生体移植のドナーとなり、その大脳前頭葉は精神疾患の私に移
植されました。以来、私は日々、私らしさを失い、その代わりに「“シー
チン”修一 2.0」のペンネームで記事を書くようになりました。どうも私
がドナーとなって身も心も平井さんに提供したようで、とても奇妙な気分
です。以上。

4/2(日)午後、ちょっとしたイザコザから精神状態が不安定になり、一
気にマイナス思考というか、うつというか、狂気というか、不安という
か・・・実に嫌なものである。とかく女は厄介だ・・・

「精神病は完治しない」と言われるが、再入院したいくらいに心が揺れ
る、乱れる、震度6という感じ。徐々に気分が悪くなるのではなく、快晴
から一挙に雷雨襲来という感じで、すさまじく落ち込む。

そういう自分を観察していると、「ああ、やっぱり俺は病気なんだ」と思
わざるを得ないし、そうなるとさらにメゲルという急降下のスパイラルに
なる。まるでシックスフラッグスやサーカスサーカスの絶叫マシンどころ
か、死ぬか生きるかの戦場みたいだ。考えすぎると「死ぬか、殺すか、そ
れしかないな」と発狂しかねないので早目に抗うつ剤を飲んで昼寝をし
た。うつ病は恐ろしい結果を招きかねない病気だ。

それにしても入院中を懐かしくさえ思うなんて、まったく想定外だ。

4/4(火)あたりから気分が落ち着き、充電の終わったルンバみたいに
“ヨッシャー!”とあれこれ掃除や営繕、強い日差しの下、屋上プランター
の手入れなどを再開。空を見上げたらツバメが自由自在にアクロバット飛
行をしていたが、「一瞬で方向を変える、ああいうツバメの飛び方ができ
ないものか」とジェット戦闘機開発者はマジで研究しているという。狂人
かどうかは知らないが、少なくとも奇人変人だろう。

以前は「天才と狂人は紙一重」と言われたが、今は「天才=狂人」で、
「天才は不適応者。社会的適応性を犠牲にして“創造作用”を行う人」(心
理学者・宮城音弥)だそうだ。アインシュタインもビル・ゲイツもそれら
しい。

小生は創造ではなく自傷他傷の“破壊作用”を行いそうだから、悪性狂気で
タチが悪い。悩ましいこと、この上ない。

そのツバメは代々毎年3月中に来るのだが、今年は4月に入ってからで、今
のところ3羽のようだが、そのうちツバメの天敵であるカラスに対する集
団安保で8羽ほどになるはずだ。

一方で街の制空権を中共のごとくに狙う嫌われ者のカラスもせっせと巣作
りをしており、部材に最適な針金製ハンガーをGETしてうれしそうだっ
た。川崎市では週1回、小物金属、月2回、粗大ごみを回収しており、その
日のゴミ置き場にはベッドからフライパンまで何でもある。最近はどこか
の町で4000万円も捨てられていた。

モノみな芽吹く春。イ・ムジチ合奏団の演奏するビバルディの「四季」の
出だし、春の曲は命の躍動感にあふれて感動的だ。3月は卒業式やお別れ
会、そして4月の始めは入園式、入学式、入社式。花屋によると、この時
期が一番忙しいとか。

社員寮から駅へ向かうピカピカの新入社員の姿は夢と希望に溢れている。
ま、そのうち山あり谷ありの現実を知るのだろうが・・・そこで出世(正
社員)の地獄道(karoshiありき)か、趣味(非正規)の極楽道(行旅死
亡ありき)かを選ぶことになる。

4/6(木)、ゴミ出しのついでに桜堤を散歩。九分咲き、今日で満開にな
るだろう。駐輪場のオッサンから声をかけられた、「久し振りだね、犬は
もう飼わないの?」。

「ペットロスが辛いから・・・もうボクも犬を世話する体力はないしね。
わが家の仏壇は犬の写真だらけで、両親の写真は隅っこになっちゃって
る。おふくろは4年の介護の末に大往生したけど、その時は喪失感はな
かったどころか、ああ、これで俺は生き延びれる、とホッとしたけれ
ど・・・犬は17年間も世話をしたから喪失感は大きいね」

オッサンはインテリ風(死語?)で、測量士の義兄はどこかの有料駐車場
で「ドイツ語の原書を読んでいるオッサンがいた!」とびっくりしていた
が、定年後の男の進路は「人生いろいろ」、多彩なのだろう。

平日なので花見を楽しんでいるのはヂヂババがほとんだが、その比率はヂ
ヂ1:ババ9。ヂヂは引きこもっているか、冥途へ行ったのか、それともバ
バは亭主より友達とおしゃべりしながら花見をしたいのか・・・それは分
からないが、花見の季節以外でも散歩をしているのは1:9で女が圧倒的で
あり、ヂヂはヒッキーが多いようだ。

従兄は奥さんから大事にされ過ぎて(奥さんは従兄に永らく片想いをして
いた)退職後は家事一つせずに終日TVを前にボーっとしているようだ。

一方で小生はカミサンにホームセンターへ連れていかれ、暴れて壊したド
アを直せ、経年劣化で傷んだ風呂場を修繕しろ、「私は長年の便秘で切れ
痔になっちゃったからアンタがやってよ」と、こき使われたり。

ま、老後もいろいろだが、

「痴に働けばナニが立つ。嬢にサオ差せば流される。とかくこの世は面倒だ」

というのは真実だろう。小生にとって女は永遠の謎、数学の難問として有
名なフェルマー=カタラン予想並ではないか。もっとも知らなくても生活
に困るわけではないし、知らぬが仏かもしれない。大体、自分のことさえ
も分からないのだもの、異星人、異性人のことなど分かるはずもないか。

「♪結婚するって本当ですか」、今の小生なら「マジかよ!? よく考え
たのかよ」と言いそうだ。よく考えれば「シ・ゴ・トだから慈愛に満ちて
いた」ナースにケアされた懐かしの病棟日記から。

【2016/11/18】以下「男は辛いよ(2)男は黙って諦める」を作成した。

男女の価値観というか生き方はずいぶん違う。究極的には、女は「キレイ
なベベ着て、旨いものを食べて、面白おかしく暮らす」、男は「職にふさ
わしい服装をし、試練に耐え、一流の職能人を目指す」。

女は現実主義、享楽派、軟派。男は理念主義、精進派、硬派。まるで違う
が、男女が一緒になることで「寛ぎ」と「規律」のある家庭、巣ができる
のだろう。

結婚する前は伴侶候補を「両目でしっかり見よ」、結婚後は「片目で見
よ」と古人は教えた。夫婦であっても価値観、人格は別、所詮は他者だか
ら、対立することは珍しくない。その際は大目に見たり、譲歩したり、妥
協しなさい、ある程度アバウトである方がいい、という教訓だ。

アバウト、寛容、「清濁併せ呑む」は一種の才能なのだが、伴侶が許容範
囲の一線を超えた際、男は諦めるだろう。女は男からの説教を聞く耳を
持っていないから「なにを言っても無駄」と本能的に知っているからだ。

一方、女は諦めずに苦言、説教、「正義は吾にあり」と教育的指導を繰り
返す。自分を中心とした家庭の秩序を守るためだ。

女は、伴侶が好き勝手をしても、自分の掌の範囲内なら大目に見るが、掌
から外れると絶対許さない、伴侶が屈服するまで攻撃する。女は絶対、己
の非を認めないのだ。

こういう事態になると関係修復はかなり難しい。男が改心し、別人に生ま
れ変わらなければ、良くて「家庭内別居」、悪ければ「離縁」、最悪なら
「無理心中」で、家庭は完全に破壊される。

世間の常識では「男女のいさかいは概ね男が悪い」ことになっているか
ら、家庭を維持したいのなら男は改心、あるいは「改心した振り」をしな
ければならない。男にとってそれは一方的な譲歩だが、とりあえず停戦、
休戦し、やがては平和条約にもっていくしかない。

繰り返すが、女は絶対に謝らない、非を認めないから、男が折れるしかな
いのである。

蛇足ながら、男の生涯未婚率が女以上に高いのは、それなりの理由がある
のだ。(2017年4月3日に国立社会保障・人口問題研究所(厚生労働省管
轄)が発表した2015年データでは、男性は23.37%、女性は14.06%で、
2010年からわずかこ5年で男女とも3ポイント以上上昇した)

今や結婚はロマンからディール(取引)、ベット(賭け)、チャレンジ
(挑戦)、ロシアンルーレット(必敗)になってしまった。リスクが大き
すぎるのである。(つづく)2017/4/9

◆朝鮮半島に戦雲拡がる

宮崎 正弘 



<平成29年(2017)4月10日(月曜日)弐 通算第5263号>    

〜まだ一触即発状況ではないが、朝鮮半島に戦雲拡がる
   空母カールビンソン、攻撃団を構成しシンガポールから出航〜

4月7日、フロリダ州パームビーチのトランプ大統領の別荘で、米中首脳
会談と夕食会のあと、もう一つの決定がなされた。

翌4月8日、シンガポールを母港とする米空母「カールビンソン」が攻撃
団を編成して出港し、西太平洋に向かったと発表された。

海軍は目的地を発表していないが、北朝鮮の近海海域を目指している。
 
通常、米海軍の空母1隻には駆逐艦、巡洋艦など5隻の護衛艦艇を伴い、
さらに潜水艦と補給艦、敵潜水艦探知用のヘリコプターが帯同する。した
がって空母一隻の移動は、艦船の多くを伴う大移動となり、「攻撃団」を
編成する。

カールビンソンは老朽艦の部類にはいるが、1974年に就航。排水量10万1
千トン、全長333メートル、幅76・8メートル、乗組員5600名、搭載機90機。

まさに動く空軍基地だ。リムパックにはたびたび参加しているほか、同艦
が有名なのは2011年5月2日、パキスタンに潜んだアルカィーダの首魁オ
サマ・ビン・ラディンを殺害したときに、その遺体を収容し、海葬したこ
とである。

世界のメディアはシリアから朝鮮半島へ焦点を移しつつある。

米国も北朝鮮もともに戦争を起こす気はないが、偶発事故には即応しなけ
ればならない。まして4月15日は金日成生誕150年にあたる。在韓米軍は
3万人、戦術核の持ち込みも再検討され、また米軍家族の避難訓練も開始
された。

3月からは在韓米軍と韓国軍の合同軍事演習がかつてない大規模なスケー
ルで展開されており、いつでも攻撃できる態勢にある。

また4月9日、米東海岸ヴァージニア州沖合で新型空母ジュリーフォード
の航海演習が開始された。2017年3月9日、トランプ大統領は異例の防衛
費10%増大を発表したが、場所は、この新型空母の甲板だった。
 
空母「ジュリーフォード」はハイテクの固まりのような次世代空母と言わ
れ、建造費は130億ドル。搭載機も新型ジェット機やステルスが主力とな
ると言われており、これが実戦配備されると米軍の空母は12隻態勢に復活
する。

総排水量10万1千トン、最大速力30ノット、乗組員5600名。全長333メー
トルと、ここまではカールビンソン級と同じだが、横幅が41メートルの細
長く、原子力エンジン2基、カタパルトは電磁式で、かなりの機能がオー
トメーション化されている。研究開発費だけで50億ドルもかけた虎の子で
ある。

トランプは現有277隻の海軍力を、350隻態勢にすると国防力強化を打ち上
げている。 
 
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIE 
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暴力による独裁と専制政治は次の暴力を必ず呼ぶのは歴史の必然だ
 
あの文革の残酷非道を、稀有の歴史家が記録として叙述した貴重なる文献

  ♪
王友琴、小林一美、安藤正士、安藤久美子
    『中国文化大革命受難者伝と文革大年表』(集広舎)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

血は新しい血を呼ぶ。粛清は必ず次の粛清を呼ぶ。怨念、報復という人間
の感情をこえて、これは専制政治の本質である。

暴力革命の本質は、独裁者の誕生と、革命を手伝った同士、ライバルの粛
清であり、権力をすこしでも脅かす者には容赦しない。拘束、人民裁判、
拷問、そして死刑あるいは無期懲役。

沈黙して馬鹿を演じるか、茶坊主に徹するか、仙人のような生活をする
か、でなければ海外逃亡しか、生き延びる道はない。

中国現代史の恥辱、なにもまだ明らかになっていない文革の受難者たち。
夥しい血の犠牲、果たして、その犠牲者たちの魂は蘇るのか?

毛沢東が掲げたのは「米帝国主義打倒」という壮大なスローガンだった。
実際に行ったことは残酷非道、身の毛もよだつ血の粛清劇であった。
 著者等は言う。 

「一党専制下の独裁政治、専制体制は、必ず大きな過ちを犯しますが、独
裁者・党軍高官はそれを隠蔽し、その責任を問われることに恐怖し、ます
ます独裁の度を強化し、最後に『一大破局』の地獄に国家・人民を陥れる
ものです。中国の毛沢東と党の『誤り』とは、中央革命根拠地時代の8万
人にも及ぶ同士粛清=AB団粛清に始まり、建国直後の『大量処刑』と
『3、4千万人の餓死者』をだした大飢餓事件です。

この党の大失敗に対して、知識人・教育者から大きな不満・批判がおこ
り、体制を揺るがし始めました。この地獄絵図の責任に対して、最高権力
者・毛沢東と党官僚には、内部に決定的な対立を内包しつつも、『文革』
に打って出る以外の道がなくなりました」

文革では生徒が先生を殴る、蹴る、丸坊主にしてつるし上げ、屋上から蹴
落とす。生徒たちに殴打され殺された先生達だけでも数万の犠牲があった。

紅衛兵は、党の宣伝機関に洗脳されて、先兵として使われ、用済みになる
と地方へ下放された。カンボジアのキリングフィールドも、この文革の輸
出だった。紅衛兵もまた、犠牲者であった。一生を棒に振ったわけだから。

高官にも同じ運命が繰り返される。

スターリンは革命の同士トロッキーを海外亡命席にまで刺客を送り込んで
葬り、ブハーリンを粛清し、その先兵となって働いたベリアを処刑した。
 毛沢東は劉少奇を葬り、林彪を葬り、周恩来をも葬ろうとした。 
 
「最高権力者中枢で起こる殺戮は、社会制度及びイデオロギー形態と密接
な関係があり、それは独裁と専制の産物である」(116p)

原爆実験を実践した中国人技術者はこう言った。

「もし世界にまだ原子爆弾よりも凄い爆弾があったとしたら、それは、
『文化大革命だよ』」(中略)「共産主義のユートピアは、ただ螺旋型の
からくりを通して封建制の大復活に向かうことができるだけだ」
 「暴力は最終的にはただ独裁に向かうことが出来るだけだ」

本書の後節は1967年から1981年までの、じつに克明・精緻を極めての文革
大年表である。

これだけでも資料的価値がある。
 

◆缶詰はナポレオン命令

渡部 亮次郎



1795年フランス革命の最中に,ナポレオンはヨーロッパ戦線を東奔西走し
ていた。当時のヨーロッパは新鮮な食物が不足し,一般市民に栄養不良に
よる病気が流行していた。

その時代の食品の保存法は昔ながらの乾燥,塩蔵および薫製によってなさ
れていたが,長い航海をする船員は塩蔵肉や乾パンで我慢しなければなら
なかったため,海軍部内には壊血病が蔓延していた。

ナポレオンは軍隊の士気を高め戦闘力を維持するためには,栄養豊富で新
鮮美味な食糧を大量に供給する必要性を痛感し,従来の方法によらない食
品貯蔵法を懸賞金つきで募集することを政府に命じた。

懸賞にこたえ、1804年にフランスのニコラ・アペールにより長期保存可能
な瓶詰めが発明され賞金1万2000フランを与えられた。

たが、ガラス瓶は重くて破損しやすいという欠点があった事から、1810年
にイギリスのピーター・デュランド(Peter Durand)が、金属製容器に食品
を入れる缶詰を発明した。これにより、食品を長期間保存・携行すること
が容易になった。

ただし、初期のものは殺菌の方法に問題があり、たびたび中身が発酵して
缶が破裂するという事故を起こした。これはのちに改良された。

また、1833年にはフランスのアンシルベールによって、缶のふたの回りを
はんだ付けし、熱で溶かして缶を開ける方式が考案された。その後、1860
年代にブリキが発明されてからは、缶切りが登場するようになった。

当初、缶切りは発明されず、開封は金鎚と鑿を用いる非常に手間のかかる
ものだった。戦場では缶を銃で撃って開けることもあったが、撃たれた衝
撃で中身が飛び散ってしまい使い物にならなくなることも多々あったという。

このため内容物が固形物に限られ、液状のドリンク類は入れられなかっ
た。缶切りが発明されると液体なども入れられるようになり、内容物のバ
リエーションが広がった。さらに缶切りが無くても開けられる様にプル
トップ(イージーオープン缶)が発明された。

缶詰は、初期には主に軍用食として活用された。特に、アメリカ合衆国の
南北戦争で多く利用された。のちに一般向けにも製造されるようになり、
現在では、災害対策用の備蓄用食品(非常食)としても利用されている。

現在作られている缶詰は日本で約800種類,世界では約1200種類といわれ
ている。原料の種類別では魚介類,果実類,野菜類,畜肉類に大別される。

加工調理方法の別では魚介類は水煮・塩水漬・油漬・味付け・みそ煮・蒲焼き・
薫製油漬・トマト漬・香辛料漬・その他の調味料漬が,果実類はシロップ漬・
水煮(固形詰)・ジャム・ゼリーなどがある。

果実類として大きな地位を占めるのは果汁である。野菜類としては料理の
原材料となる水煮が主体であるが,味付け,漬物などもある。畜肉類は水
煮,味付け,ハム,ベーコン,ソーセージや各種の調理食品がある。

特殊に入るものとしては,各種の調理食品,米飯類,ソース,めん類のか
け汁,しるこ,甘酒などの飲物などがある。食品缶詰の規定には当てはま
らないが,コーヒー,紅茶,緑茶の真空パックや不活性ガス(おもに窒素
ガス)を充てんし,香りや味を保持させるための缶詰もある。

ペット用のペットフード缶詰の生産も多い。そのほか食品ではないが培養
土に種子を入れ,開缶後水をやれば花の咲く缶詰,おもちゃの缶詰,下着
類の缶詰も作られている。

1812年にイギリスのドンキンにより缶詰製造は企業化されたが,その後イ
ギリス,アメリカなどで企業化が進んだ。1890年には自動製缶機械に一大
進歩をみたことにより,1901年に容器のみを作るアメリカン・キャン社が
設立され,缶詰製造業界に一紀元を画した。

製造量は南北戦争後の1870年で約4000万函といわれているが,第1次・第2
次世界大戦の軍用食としての需要の増大により,缶詰産業も各種の技術革
新とともに発展をとげた。

国別の生産量では,1970年ころまではアメリカが全世界の70〜75%を占め
ていたが,80年には世界の総生産量(約20億函)の40%を占めるだけとなった。

またイギリスが主要生産国から脱落し,発展途上国の進出が目だってきて
いる。この主な理由としては,作業員の人件費の高騰,原料確保の困難
(漁業の200カイリ問題など)などがあげられる。なお,アメリカに次ぐ生
産国はドイツ,フランス,イタリア,日本などの先進諸国である。

資料:世界大百科事典及び『ウィキペディア』 2008・10・05

◆深読み = 電光石火のシリア・ミサイル攻撃

〜軍事戦略はトランプの手を離れた?〜

浅野勝人(安保政策研究会理事長)



アメリカの外交政策を陰で牛耳っているのは、国務省、国防省、各情報機関の首脳級経験者に極く一部の新旧国会議員を加えた数十人からなるエスタブリッシュメントとみられています。共和党主流派が中心ですが、民主党にまたがって構成されており、ソ連の怖さを知り尽くしている「反ロ路線」が共通項です。もちろん、今でも主要官庁に手足となる有能な現役を多数持っています。


大統領選挙では、反ロ強硬派のヒラリー劣勢が伝えられた折からトランプに対する警戒感を強め、とりわけトランプ側近のロシア接近情報に神経を尖らせていました。


イスラエル紙「イェディオト・アハロノト」は、テルアビブで開かれたアメリカとイスラエルの諜報機関の秘密会議の席上、(2017/1月)アメリカ側が「トランプ大統領がロシアとの不適切な関係を結ばないことが立証されるまで」という条件付きではありますが、「イスラエルの入手した機密情報をホワイトハウスと国家安全保障会議(NSC)に提供するのは中止してほしいと要請した」と報じました。

イスラエル側も「対ロシア政策の変更に伴う、ロシアやイランへの機密情報の漏洩」に懸念を示し、双方からトランプ大統領のホワイトハウスに対して異例ともいえる不信感が表明された模様とのことです。(月刊誌・選択)

まもなく大統領側近の国家安全保障問題担当マイケル・フリン大統領補佐官がロシア要人から金品を受け取った廉(かど)で更迭されました。後任には共和党主流派の信任の厚い、ハーバート・マクマスター陸軍中将が送り込まれました。


湾岸戦争の英雄、マクマスターはトランプとは一面識もない軍首脳の切れ者で、なんでも大統領執務室の隣室にオフィスが用意されたと伝えられています。まるでエスタブリッシュメントから送り込まれた外交・安保政策に関するトランプの監視役みたいです。


さらに4月5日、トランプ最側近のスティーブ・バノン首席戦略官兼上級顧問が外交・安保・軍事政策の最高決定機関、国家安全保障会議(NSC)の常任メンバーから外されました。


トランプは、1月、バノンをNSCの常任メンバーに加えた際、オバマ時代にはメンバーだった統合参謀本部議長(ジョセフ・ダンフォード前海兵隊総司令官)、国家情報長官を除外しましたが、右腕のバノン外しと入れ代わりにダンフォード議長とコーツ長官は復帰しました。


どうやら軍官僚の経験がなく、軍事戦略知識に乏しいトランプ大統領は、この流れに乗らざるを得なかったものとみられます。


この状況から判断すると、アメリカの安保・軍事政策は、軍最高の実力者だったマティス国防長官とマクマスター大統領補佐官を軸とする戦闘実戦を体験してきた軍首脳陣が仕切る体制になったものとみて間違いないでしょう。


従って、シリア政府軍の化学兵器空爆に対するシャイラット空軍基地へのミサイル攻撃の手際のいい、且つ、自制の効いた決断(4/4日、化学兵器空爆。6日、ミサイル報復攻撃)はプロの判断と推測されます。

☆禁じ手の化学兵器を使って、サリンを撒き散らしたアザト政権に巡航ミサイルを60発叩き込んでも、同盟国の支持は得られる。むしろ評価される。

☆ロシアとイランに対する絶妙な警告の機会になる。
☆北朝鮮への牽制と厳格な北朝鮮対策を中国に促す効果がある。


おそらくトランプは、プロの判断を即刻承認し、攻撃の時期について、習近平との米中首脳会談の最中にぶっ放す政治ショーを提案して、大統領主導による攻撃決定を演出したデモンストレーションだったはずです。


余談ですが、私は、2006年6月、外務副大臣の折、第一次安倍内閣の方針に従ってダマスカスを訪れ、アサド大統領と70分間会談した経験があります。


シリアの政権は、イランと同じシーア派の仲間のアラウィ派です。アサド大統領はイランと手を組んで中東における反米・親ロの強固な基盤を築いてきました。日本からゴミ収集車を60台無償援助する機会にアサドと会って、パイプ作りのきっかけにするのが目的でした。


バッシャール・アサドは、ロンドンで眼科医をしていましたが、後継者のお兄さんが交通事故でなくなったため、呼び戻されて大統領になった人です。話しながら絶えず笑みがもれ、反米一辺倒の路線修正に触れても聞き耳を立ててくれました。眼科医らしい温和な人柄に好感が持てました。


今日、TVインタビューで視たアサド大統領の顔つきは、目が吊り上がって、サリンを無差別爆撃に使った醜悪な人相に映り、私には別人のように見えました。アサド家2代、半世紀に及ぶ独裁支配のための強権体制の維持が人相を変えてしまったのでしょうか。


シリア・ミサイル攻撃に関連して、日本にとって重要な事柄はアメリカの北朝鮮に対するビヘイビアです。
私は、アメリカは北朝鮮には軽々な軍事行動はしない。むしろ極めて慎重に対応するとみています。


シロウト大統領と異なり、プロは戦闘の怖さと損傷の実態を熟知していますから、北朝鮮の中距離ミサイルを1基残らず瞬時に破壊できる情報管理と実戦体制が整わない限り、韓国、日本の安全確保が危ういことを承知しているからです。


その意味では、マティス〜ダンフォード〜マクマスター軍首脳ラインの見解で決まるSECは、総合的勝算を優先して無謀な行動は避け、安定的に機能すると私は安心感を持っています。


ただ「北」は、何をするかわからない無法者の坊ちゃんが相手です。
「シリアは核を持っていないからやられた。我々はシリアとは違う。さらに核攻撃能力を磨いて、アメリカを返り討ちにする」と談話を発表しています。


北朝鮮の狂気が収まるまでの期限付きで、造らず、持たずの非核2原則への転換が必要かもしれません。緊急事態の核の持ち込みに厳格に限定すれば、「日本の核武装警戒論」が根底に存在するアメリカ・エスタブリッシュメンの虎の尾を踏むことにはならないでしょう。        (元内閣官房副長官)



2017年04月10日

◆金正恩斬首作戦はたしかに存在する

宮崎 正弘
 


<平成29年(2017)4月9日(日曜日)弐 通算第5261号>   

 〜金正恩斬首作戦はたしかに存在することを中国は実感した
  米国の北朝鮮単独爆撃に、中国は沈黙を余儀なくされるだろう〜

シリア空軍基地へのミサイル攻撃は、「戦果」としては疑わしい。

59発撃って命中は僅か23発。滑走路には被害が殆どなく、翌日からIS空
爆にシリア空軍は飛び立っている。

つまりシリア空軍基地に壊滅的打撃を与えてはいない。

しかし、軍事的成果より、政治的効果は激甚であった。

中国首脳との夕食会最中にミサイル発射を習近平に伝え、マティス国防長
官が具体的に説明した。だから反論の時間的余裕も、いやその準備もな
かった中国側はそそくさと宿舎に引き揚げた。

通商交渉でも「百日計画」の策定を呑まされ、南シナ海で国際秩序を護れ
と言われ、いったいどこに訪米の成果があるのか、習近平は帰国後、鼎の
軽重を問われることになるだろう。

夕食会直前に政権の最終意思決定は、トランプの別荘でなされ、テレビ中
継でホワイトホウスのオペレーションルームのペンス副大統領と繋がった。
会議にはティラーソン国務、ロス商務、ムニューチン財務、大統領補佐官
と顧問4名が居並び、シリア空軍基地襲撃が決まった。バノン上級顧問が
隅っこのイスに腰掛けている写真が配布された。
 
問題は、このタイミングの選び方、まさに中国の反応ぶりをリトマス試験
紙のように試したのではないのか。

北朝鮮攻撃のシナリオは(1)金正恩斬首作戦(2)ミサイル基地爆撃破
壊(3)核施設破壊。(2)と(3)の同時作戦などがおおまかに考えら
れるが、どれでもいつでも実行できる態勢は整っており、すでに米軍は
600発のミサイルを配備している。しかも在韓米軍とは演習中である。

中国は米国のシリア攻撃を目の前に見て、にぶく対応しただけで、もし北
朝鮮に大規模な米軍単独軍事行動がおこなわれても、沈黙を余儀なくされ
る可能性が高いことが分かった。つまり中国の軍事的介入はない、とトラ
ンプ政権は判断したと考えられる。

時期的には予想より早いかも知れない。

北朝鮮が、もし核実験をおこなったら、48時間以内にミサイル発射が命じ
られる可能性は薄いとはいえ、存在する。
 朝鮮半島に戦雲高し。
  
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1553回】       
――「彼等の體力は實に野生である、獸性である」――(高瀬13)
   高瀬敏?『北清見聞録』(金港堂書籍 明治37年)

   ▽
 高瀬が「泥棒根性の支那人に盛なる」と口を極めたのは20世紀初頭の日
露戦争前夜。それから110年余が過ぎたが、この間、あの時代この時代、
あの局面この局面に起った様々な重大事を振り返ってみれば、高瀬の卓抜
な警告を日本人が深刻に受け止めてこなかったことが改めて悔やまれる。

今となっては遅きに失した感がなきにしもあらずだが、やはり間違いを
改めるに憚ること勿れ。大声で正面切って面と向かって啖呵を切ることも
仲間内だけで盛り上がる必要もないが、高瀬の見方を心ひそかに拳々服膺
すべきだと強く思う。とはいえ国際政治において「泥棒根性」は「支那人
に盛なる」だけではないことも、また肝に銘じておくべきだ。かつてミャ
ンマーに独裁者として君臨したタンシュエも、「中国との関係は保身のた
め以外の何ものでもない」「永遠の敵とか永遠の友人とかいうものは存在
しない」「中国が好きだから仲よくしているのではない」と、口にしてい
るではないか。(『ビルマの独裁者 タンシュエ  知られざる軍事政権
の全貌』べネディクト・ロジャーズ 白水社 2011年)

高瀬に戻るが、「利を好むものには隣人なし、唯己あるのみ、豈に國家
あらんや、國民あらんや。わが輩が支那に國家なしといふは之に外なら
ず」と続けた後、「利を以て集まるものは、また利を以て散ず」とし、と
どのつまり列強諸国も利が失せれば「別の利の在る處に就」くだけで、清
国という「國家の存否は彼等の問ふ處に非ず」。だから、このままでは
「支那亡國」となってしまう。

 そこで「今の時に當りて、支那國民の中堅ともなり、支那國民を奮起
せしめ、支那の國家を改革して、東洋の天地に大帝國を建設すべきは、彼
の讀書人」でなければならないにもかかわらず、「彼等の腦中、唯だ利存
するのみにして、毫も愛國の大精神、愛民の至情なきこと」は甚だしいば
かりだ。その原因を考えれば、やはり「支那人の遲鈍なる神經是なり、支
那人の懶惰なる是なり、支那人の腐敗是なり」。

日本と前後して「支那が西洋各國と接觸し」たはずだが、「その西洋の
文明を感知し、之を輸入し、之を利用するの點に於て、支那は確に三十年
遲れたり」。現在は「維新當時の徑路を經過しつつゝあり」とする考えが
あるが、「その眞相を觀じ來れば」、「支那人の頑夢は頑乎としてなほ覺
め」てはいない。それというのも、「保守的文明の中に保育せられて、數
千年の久しき時間を經過し來りたる支那人の腦髓は、既に保守的に固結化
石して、その神經極めて遲鈍、容易に他の刺?を知覺し能はざればなり」。

「或著者が支那人の特點を擧げ」て「従順にて人に抗さざるを以てその
一」と語っているが、彼等の従順は美徳から生まれたものではなく、「意
氣地なき餘りの従順にして、毫も美徳とするに足」りるものではない。

また「或る種類の支那人は」「傲慢自尊、徒に邊幅を修飾し、以て自ら高
うし、以て人に跨らんと」する振る舞いが見られる。たしかに「自尊もま
た人間の美?なり」とはいえるが、「支那人の自尊は、その心靈の奥より
湧き出でたるものに非ず」して、「唯?榮を喜び、傲慢を喜ぶ心靈の病的
現象」でしかない。

しかも「今は早やその痼疾となり、靈的神經萎靡し盡して、容易に他に高
尚なる精神を受容すること能はざるものとなり了れり」。「神經の既に固
結している支那人」であればこそ、「仁慈の心の彼等の中に存ずる」わけ
はなく、「支那人の仁愛は自己の外に及ぼす」ことはない。だから、たと
えば「眞晝中に憫むべき老婆の、死して街上に?はるあるも、之を顧みる
ものさへ」ないことになる。

かくして「支那人民の慈悲心なきは」否定しようがなく、ゆえに「支那
に人民保護の政府」はありえないし、あったとしても「無頓着もまた甚だ
しい」に違いないと説く。

◆日本の国柄、日本の経営

伊勢 雅臣


■1.『五箇条の御誓文』と日本的経営

上記にご紹介したように来週16日に、横浜で『日本の国柄 日本の経営』
と題した講演をさせていただくが、本号ではその一部をご紹介する。ご好
評をいただいている『世界が称賛する 日本の経営』のあとがきで次のよ
うに書いたが、この点を敷延したい。[a, p236]


本書でとりあげた日本的経営の「三方良し」の理想とは、実はわが国建国
の理想を事業面で語ったものだと言えます。日本的経営はわが国の建国以
来の伝統に根ざしているのです。

『五箇条の御誓文』は慶応4(1868)年、明治政府発足に当たって明治天皇
が天地神明に誓約する形式で示された基本方針だが、それはわが国の建国
以来の伝統的理想を、新しい時代に即した形で謳い上げたものだった。

 すなわち、わが国の歴史伝統という共通の「根っこ」から伸びた政治面
の表現が『五箇条の御誓文』であり、企業経営の面での方途が日本的経営
である。両者は共通の「根っこ」から生まれているので、『御誓文』から
日本的経営を読み解くことができる。


■2.「広く会議を興し、万機公論に決すべし」

[1]の冒頭で紹介した日本電産の創業者・永守重信氏は危機に陥った会社
を50社以上も買収し、1人の首を切ること無く、再建してきた。その一例
である三協精機は年間赤字287億円と倒産寸前だったのが、わずか1年で
150億円の黒字企業に生まれ変わった。

永守氏の再建手法の一つが、買収した企業の従業員との徹底した話し合い
である。1年間で昼食懇談会を52回開催し、若手1056人と話し合った。ま
た25回の夕食会で課長以上の管理職327人と語り合った。これらを永守氏
は「餌付けーション」「飲みニュケーション」と呼んでいる。

食事をしたり、一杯飲みながら、皆の不平不満を吸い上げ、解決してい
く。その上で、経営者として会社の将来の姿を説明する。社員が一致協力
して進むべき方向を共有化するための手段であった。[a, p26]

「衆議公論」、すなわち、皆で議論をして公の結論を導くというのは、わ
が国の根強い政治的伝統である。古事記の「神集い」から、聖徳太子の
17条憲法、鎌倉幕府の御成敗式目と続く政治伝統が、明治新政府の施政
方針の冒頭に記されたのである。[b]

これが経営面でも、皆で議論をしながら、様々な事実と衆知を集め、全員
が全社的な立場から何をどうすべきか議論する形となる。この衆議を通じ
て生まれた目指すべき姿、「公論」を皆が共有し、その実現への意欲を抱
く。そのための「会議」「根回し」に時間をかける。

それに対して、株主資本主義的経営は、「上意下達」「トップダウン」が
原則で、トップが決定したことを部下は実行するだけ。上が頭、下は手足
に過ぎない。

株主資本主義的経営では決定は早いが、実行面での連携の齟齬や予期せぬ
問題が起きて頓挫しやすい。日本的経営では決定には時間がかかるが、実
行部隊が全体方向と各部の役割をのみ込んでいるので、動き出したら速
く、問題を乗り越える能力も高い。日本電産が買収した企業が短時間で業
績を回復しているのも、この原則を最大限に活用しているからであろう。


■3.「上下心を一にして、さかんに経綸を行うべし」

「経綸」とは「国家を治めととのえること。また,その方策」と『大辞
林』にある。企業においては「経営」と言い換えて良いだろう。したがっ
て、この項は企業経営においては、全員が心を一つにして、活発な経営を
行うべし、と読める。[a]で「日本的経営の体現者」として登場いただい
た松下幸之助はこう述べている。

また仕事をすすめてゆくについては、和親一致の協力が一番大切なことで
ある。何としても全員心を一に和気あいあいのうちに、松下電器と、その
従業員の向上発展と、福祉の増進を図らねばならない。[a, p181]

世界大恐慌が日本を直撃して、松下電器も売上げがぴたりと止まり、製品
在庫が工場に積み上げられたとき、幸之助はこう社員に伝えた。

明日から工場は半日勤務にして生産は半減、しかし、従業員には日給の全
額を支給する。そのかわり店員(社員)は休日を返上し、ストックの販売
に全力を傾注すること。[a, p184]

いよいよクビ斬りかと覚悟していた従業員たちは、思いも寄らぬ話に大喜
びし、鞄に商品見本を詰め込んで、販売に飛び出していった。その心意気
で二カ月後には在庫の山がなくなり、半日待機をしていた工員たちもふた
たびフル操業を開始した。

株主資本主義的経営では、経営者は業績を上げることだけを考え、従業員
は給料を貰うために命ぜられたことをやる。両者の「心を一つ」にする必
要はない。

日本的経営においては、社長から平社員まで「三方良し」の実現を目指し
て、「心を一つ」にして考える。従業員は給料を貰うことだけでなく、
「三方良し」を実現しようという心からのエネルギーを発揮する。どちら
の経営がよりパワフルかは明らかである。


■4.「官武一途庶民にいたるまで、おのおのその志を遂げ、人心をして
倦まざらしめんことを要す」

日本理化学工業は粉の出ないダストレスチョークで3割のシェアを持つ
が、約50人の従業員の7割を知的障害者が占めるというユニークな企業で
ある。

知的障碍者を雇い始めたのは、近隣の施設から2人の少女を1週間だけ作
業体験をさせて欲しいと依頼されたのが発端だった。2人の少女の仕事に
打ち込む真剣さ、幸せそうな顔に周囲の人々は心を打たれ、社長の大山氏
に「みんなでカバーしますから、あの子たちを正規の社員として採用して
ください」と訴えた。

それから知的障害者を少しずつ採用するようになったのだが、大山氏にわ
からなかったのは、会社で働くより施設でのんびりしている方が楽なの
に、なぜ彼らはこんなに一生懸命働きたがるのだろうか、ということだった。

これに答えてくれたのが、ある禅寺のお坊さんだった。曰く、幸福とは
「人の役に立ち、人に必要とされること」。この幸せとは、施設では決し
て得られず、働くことによってのみ得られるものだと。[a, p59]

株主資本主義的経営では、企業は収益マシーンであり、社員はその歯車に
過ぎないから、使えなくなった歯車は取り替えれば良い。

日本的経営は「売り手良し」も追求し、「売り手」の主役である従業員に
生活の糧を与えるだけでなく、会社の使命に合致した志をそれぞれに持た
せ、「その志を遂げ、人心を倦まざらしめん」とする働きがいのある環境
を目指す。給料を与えるだけの株主資本主義的経営に比べ、日本的経営は
従業員の生き甲斐・成長も含めた全人的な幸福を目指すのである。


■5.「旧来の陋習(ろうしゅう)を破り、天地の公道に基づくべし」

香川県の勇心酒造株式会社は安政元(1854)年創業の老舗で、現在の当主・
徳山孝氏は5代目である。コメと醸造・発酵技術を結びつけて、アトピー
性皮膚炎に効き、ステロイド剤の副作用がまったくない『アトピスマイ
ル』を開発、大ヒットさせた。氏はこう語る。

お米の場合、清酒や味噌、醤油、酢、みりん、あるいは焼酎、甘酒といっ
た非常に優れた醸造・醗酵・抽出の技術があるんですけれども、明治以
降、新しい用途開発がまったくと言っていいほどなされていなかった。つ
まり、近代に入ってから、お米の持つ力を日本人は引き出してこなかっ
た。・・・

西洋のヒューマニズム・・・何事も人間を中心に「生きてゆく」という発
想。だから、人間と自然との乖離がますます大きくなってきた。環境問題
ひとつ解決できない・・・

一方、東洋には自然に「生かされている」という思想があります。私なん
か、多くの微生物に助けてもらってきたわけで、まさに「生かされてい
る」と思います。[a, p36]


清酒や味噌、醤油などを作る醸造・醗酵は伝統的な技術だが、明治以降の
わが国は近代西洋技術を学ぶのに忙しくて、新しい用途開発はされておら
ず、まさに「旧来の陋習」状態だった。その状態から、勇心酒造は自然の
力を借りる、という日本古来からの伝統技術を発揮することで、新たな活
路を見出した。

「天地の公道」とは、真正なる自然観、社会観と考えても良いだろう。自
然においては「物体ない」、すなわち物の本来の姿を実現出来ないことを
申し訳ないと思い、不良やムダの削減に力を尽くす。社会においては企業
が成り立っているのは、従業員やお客様、世間の「お陰様」と考え、「三
方良し」をさらに追求する。

株主資本主義的経営では利益がすべてであるから、利益のためには地球環
境を破壊しようが、地域社会に悪影響を与えようが、従業員を犠牲にしよ
うが、忖度しない。現代シナの企業がその最悪の例である。日本的経営の
三方良しは、世間、顧客、従業員のためを考えるから、自ずから「天地の
公道」に則ったものとなる。


■6.「智識を世界に求め、大いに皇基を振起すべし」

伊庭貞剛は住友家支配人で、明治38(1905)年、銅の精錬で発生する亜硫酸
ガスの害を除くために、年間売上げの8割もの巨費をかけて、精錬所を瀬
戸内海の小島に移転するも、風に運ばれた亜硫酸ガスが四国沿岸部を襲っ
て失敗。

伊庭の後継者たちはあきらめず、亜硫酸ガスを無害化する技術を求め、つ
いにドイツで開発されたペテルゼン式硫酸製造装置を導入して、亜硫酸ガ
スから硫黄分を取り除いて硫酸を作り出す事に成功。さらに米国からアン
モニア合成法の特許を買って、その硫酸から化学肥料の硫安を作り出す技
術を完成させた。

これらの技術により、亜硫酸ガスの濃度は急速に低下し、昭和10(1935)
年には0.19パーセントと、今日の大都市の火力発電所の排出濃度に近
い水準となった。当時としては世界のトップレベルである。[a, p141]

「皇基」とは「天皇が国を治める事業の基礎」(『大辞林』)。天皇統治
の目的は、民を大御宝として、その安寧を実現することである。日本的経
営では、企業は社業を通じて「三方良し」を実現し、天皇統治を補翼する
責務がある、考える。

「皇基」というとわが国だけの理想のように思えるが、世界の良くまと
まった国民国家が持つ、それぞれの国民統合の原理と考えれば良い。(か
つての)米国のアメリカン・デモクラシー、スウェーデンの福祉国家、
等々。「三方良し」とは、それぞれの国の国民統合の原理を補翼する形で
追求されるべきものである。

 そして、より良い「三方良し」の実現のためには、常に新たな「智識」
が必要である。その自主開発は怠ってはならないが、仮に他社、他国に優
れた智識があれば、進んでそれを請う。その智識の応用を通じてさらなる
改良を加え、新たな智識でお返しをする。

 このように智識とは人類共通の財産であって、しかるべき対価のやりと
りはしつつも、企業間、国家間で学び合うことで、人類全体の幸福が増進
される。世界の各国各企業が「智識を世界に求め」なければならない。

 株主資本主義的経営では、自社利益の最大化のために、独自技術の公開
を拒んだり、あるいはしかるべき対価も払わずに他社の商品をコピーした
りする。こういう企業ばかりでは、人類の技術進歩は遅れ、人類全体の幸
福増進も妨げられてしまう。


■7.国民国家を護る日本的経営、壊す株主資本主義的経営

「三方良し」、すなわち、「売り手」「買い手」「世間」にとって何が良
いか、という価値観は、それぞれの国の歴史や文化によって異なる。たと
えば、キッコーマンは醤油をアメリカ人の家庭にまで浸透させたが、肉を
醤油につけて焼くテリヤキなどの料理を開発し、アメリカ人の嗜好に合わ
せて成功した。[a, p97]

 このように「三方良し」を追求する企業は、その国の歴史文化から生ま
れた独自の「三方良し」とは何かを考えなければならない。したがって
「三良し」を目指す経営には国境がある。

 一方、株主資本主義的経営は、利益という世界共通の単一目的だけを追
求するので、歴史文化などというお国柄は経営効率を阻害する「障壁」で
しかない。かつてアメリカの自動車メーカーは、左ハンドル車を日本にそ
のまま売り込んで失敗した。株主資本主義的経営は利益追求のために必然
的にグローバル、ボーダーレスを目指す。

 ここから各国の文化、歴史、法制度などを、「自由化」「グローバル
化」の美名のもとに破壊しようとする近年の政治動向が出てくる。単一の
商品や製造・販売・管理方法で世界中で儲けるために、「貿易・投資自由
化」「英語公用化」「契約万能主義」、「会計基準の世界標準化」などを
推し進める。

 また、「売り手良し」には従業員は含まれていないので、低賃金で、い
つでもクビにできる労働力を求める。そのために「派遣社員化」「移民促
進」「低賃金国への生産移管」「男女共同参画」などが推し進められる。
これらが社会的にどんなリスクやコストを伴うかは考慮しない。

 株主資本主義的経営は、必然的にグローバル化、ボーダーレス化、貧富
の差の拡大を推し進め、各国文化の衰退、社会の荒廃を招く。現代世界の
各国民国家は、株主資本主義的経営から攻撃されているのである。

 逆に「三方良し」を目指す経営は、各国の歴史、文化、社会を尊重し、
国民国家を護る。その最も進化した形である「日本的経営」は、「日本の
国柄」から生み育てられたもので、「日本の国柄」を護る手段でもある。

 一つの文化を共有した共同体である国民国家で暮らすことが、人間の幸
せな生き方であるので、日本的経営をさらに推し進めていくことが、日本
の国柄を護り、日本国民を幸福にする。それが世界の各国民に幸せへの道
を指し示すことにもなる。これこそ我々日本国民が「大いに皇基を振起」
する道であろう。
(文責:伊勢雅臣)


■リンク■

a. 伊勢雅臣『世界が称賛する 日本の経営』、育鵬社、H29
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4594076858/japanontheg01-22/
アマゾン「日本論」カテゴリー 1位(3/6-10)

b. JOG(082) 日本の民主主義は輸入品か?
 神話時代から、明治までにいたる衆議公論の伝統。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h11_1/jog08


◆「認知症」には「散歩」が効果

向市 眞知



以前、住友病院神経内科の宇高不可思先生の「認知症」の講演を聴きに行きました。その時、「こんな症状があったら要注意!」という話から始まり、次の11の質問がありました。

1、同じことを何度も言ったり聞いたりする
2、ものの名前が出てこない
3、置き忘れやしまい忘れが目立つ
4、時間、日付、場所の感覚が不確かになった
5、病院からもらった薬の管理ができなくなった
6、以前はあった関心や興味が失われた
7、水道の蛇口やガス栓の閉め忘れが目立つ
8、財布を盗まれたといって騒ぐ
9、複雑なテレビドラマの内容が理解できない
10、計算のまちがいが多くなった
11、ささいなことで怒りっぽくなった

「これらがいくつかあったり、半年以上続いている時は専門病院へ行きましょう」といわれました。

私自身、同じことを言ったり、物の名前が出てこなかったり、置き忘れやささいな事で怒りっぽくなったなあと思い当たるフシがいくつもありました。専門診療の対象といわれてしまうと本当にショックです。

認知症というと周りの人に迷惑をかけてしまう問題行動がクローズアップしてその印象が強いのですが、新しいことが覚えられない記憶障害もそうです。また、やる気がおこらない意欲の低下もそうですし、ものごとを考える思考力や判断する力、そして手順よくし処理する実行力の低下も認知症の症状です。

認知症高齢者のかた自身の不安は、時間や場所がわからなくなったり、体験そのものを忘れていく中で暮らしているのですから、自分以外の外界のすべてが不安要因になってしまうのです。

ご本人は真剣に外界を理解しようとしているのですが、家族は「ボケ」「痴呆」ということばの印象から「認知症だからわからないだろう、理解できないだろう」と思い込んでいる例が多くみられます。
 
診察室でなんとご本人を目の前にして認知症高齢者の失態を平気でドクターに訴えたり、「母さんがボケてしまって」とはばかりもなく言ってしまったりします。

その瞬間にご本人はその家族に対してまた不安をつのらせてしまいます。また話を向けられたドクターも、ご本人を前にしてウンウンとうなづくべきか、ほんとうは困っているのです。うなづけば家族は安心しますが、ご本人はドクターへの信頼感をなくしてしまいます。

よく「まだらボケ」とか言いますが、「正気の時もあるからやっかいだ」と表現されるご家族もあります。しかしそれは逆で、やっかいと考えるのではなく正気の部分があるのならその正気の部分を生かして日常生活を維持するようにしむけてみませんか。
 
認知症があってもくりかえし続けている一定の日常生活はできるはずです。老年期以前の過去の生活を思い出させてあげると、高齢者は自分の価値を再発見し、意欲も湧いてくるとききました。

高齢者にとって脳機能の低下だけではなく、視覚や聴覚、味覚や嗅覚などの感覚もおとろえてきていることを理解してあげてください。すべてを「認知症」の一言でかたづけてしまわないで下さい。見えやすくする、聞こえやすくするというような場面の工夫で問題行動が小さくなることもあります。
 
「認知症だからわからないだろう」と思い込むのは大まちがいです。「言ってもしかたない」と決めつけるのは悪循環です。認知症の方の感じる外界への不安を考えると、情報が遮断されると余計に不安が大きくなります。

どしどし情報を与えることが不安の軽減につながります。そのために外出しましょう。認知症には散歩の効果があります。外界の空気は聴覚、視覚、嗅覚への刺激になり、脳の活性化につながります。

                      医療ソーシャルワーカー