2017年05月27日

◆「古寺旧跡巡礼」 当麻寺 B

石田 岳彦



さて講堂へと移動します。講堂も瓦葺で、寄棟、平入りですが、本堂に比べると一回りほど小さく感じます。講堂の中には、ずらっと2列で阿弥陀如来×2、千手観音、地蔵菩薩、不動明王、多聞天・・・・。
  
このラインナップを見て、だから何だと思った人はお寺巡りの初心者です。このラインナップを見て、その組み合わせの必然性の無さに疑問を感じた人は中級者です。このラインナップを見て、なるほどと思った人は上級者です。多分。

お寺の方の説明にもありましたが、明治初期の廃仏毀釈で多数のお寺が廃寺になった際、つぶれた寺院の仏像が生き残った寺のお堂にまとめて押し込まれるというケースがしばしばあり(近畿地方の古寺を回っていると、誇張抜きに、しばしば出くわします)、この講堂のやたらと脈絡のない顔触れも、要するにその名残というか、傷痕ということになります。

講堂の南隣には金堂があります。こちらは入母屋屋根(文章での説明はややこしいので、ググってください)です。正面入り口は南側ですが、何故か拝観者には北側の裏口が開放されていて、そこから入って、正面に回り込む形になっています。

金堂の中には、国宝の弥勒仏像と重要文化財の四天王像がまつられていますが、本尊の弥勒仏坐像は頭でっかちで、造形的にはあまり美的感覚を刺激されません。

しかし、この仏様こそが当麻寺の本来のご本尊で、7世紀後半の白鳳時代の作だそうです。ここで「弥勒仏」とは、弥勒菩薩が遠い未来において悟りをひらき、如来になった後の姿を指します。

実は、「弥勒仏」の像は、他に興福寺の北円堂や東大寺などにあるくらいで、作例が少なく、結構、レアものだったりします。

他方、周囲を囲む四天王立像は、説明書によると、現存するものの中では法隆寺金堂のものに次ぐ古い四天王像だそうですが、4人全員が見事なまでのアゴヒゲを生やしていて、やたらと男臭い像になっています。

 私はこれまで様々な四天王像を見てきましたが、ここまで「濃い」アゴヒゲを生やした四天王像というか仏像はこれ以外に見たことがありません。

一見の価値ありです。ただし、やたらとインパクトがあるので、一度見てしまったら、忘れたくても忘れさせてくれないかも知れません。

上でも述べたように2基の三重塔はそれぞれ1段高い斜面上にあります。塔の一層目には仏像が祀られているそうですが、基本的に開扉はなされていません。

もっとも、来年(2010年)は平城京遷都1300年祭関係のイベントとして、特別に東西の塔の開扉が行われるという話です。今から楽しみです。

 本を見ると、古代に建てられた東塔と西塔が揃って現存するのは当麻寺が唯一とありますが、両塔は同時に建てられたものではなく、東塔が奈良時代末、西塔が平安時代初めだそうで、屋根の組み物や、窓の有無など、デザイン的にもかなり違ったものになっています。

他に中之房、奥の院といった塔頭も公開されています。真面目に見て回ると半日がかりです。

当麻寺から少し歩いたところには中将姫の墓とされる石造の十三重塔があります。ちなみにこの塔は鎌倉時代の作らしいですが(中将姫は上記のように奈良時代の方です)、無粋なことはいいっこなしです。(終)
<弁護士> 

2017年05月26日

◆英国テロ、欧州は厳戒態勢

宮崎 正弘



<平成29年(2017)5月25日(木曜日)通算第5304号> 

 〜英国テロ、欧州は厳戒態勢、渡航注意勧告。フィリピンに戒厳令
   テロ大国パキスタンでは、また中国人2人誘拐〜

パキスタンのバロチスタン地方は、民族も言語も異なり、独立運動が燃え
さかる。北隣はアフガニスタンで、タリバンが往々にして逃げ込む先が、
このバロチスタン地方でもある。

州都はクエッタ。中国がパキスタンと推進する世紀のプロジェクト(パキ
スタンにとって)、一帯一路のパキスタン版「CPEC」の中心拠点である。

CPECとは中国パキスタン経済回廊の略。

5月24日、真昼。クエッタの語学センターからでてきた中国人教師ふたり
が武装グループに車で誘拐された。

もう1人もセンター付近で誘拐されそうになった。身代金を狙う中国人誘
拐事件としてCCTV(中国中央電視台)が大々的に報じた。

CPECは総額550億ドルという天文学的巨額を投下してグアダール港か
ら、パキスタンを斜めに横切り、中国の新彊ウィグル自治区カシュガルま
で、鉄道、ハイウエィ、パイプラインの3つを同時に敷設し、付随して光
ファイバー網を建設するという習近平の政治生命をかけた取り組みであ
り、北京で一帯一路国際フォーラムを開催して2週間後の事件だから、
すっかり習近平の顔に泥を塗られた形となった。

巨額の商談に群がるパキスタン政府は中国と協力関係にあるため、語学セ
ンターに通って中国語を学ぼうとする人が増えた。

クエッタでは中国語熱が盛んだといわれてきた。その象徴が語学教師であ
り、これを誘拐するという行為は、中国に対しての挑戦である。

すでに中国人に対するテロ事件はバロチスタンで頻発しており、2004年に
は中国人エンジニアふたりが誘拐され、1人は殺害された。

2015年には中国人観光客が誘拐され、タリバンと交渉の結果、1年後に身
代金を支払った釈放された。

こうした治安環境の悪化のため、中国人労働者は現場でも隔離された場所
に収容され、その周辺ならびに工事現場の沿線をパキスタン軍兵士が警護
するというへんてこな構造になっている。


 ▼バロチスタンはもともと独立国家だった

さてパロチスタンは何故治安が悪いのかと言えば、パキスタンへの帰属に
不満があるからだ。

歴史的に見れば、この地方は「カラート藩国」である。カラート藩国は
1639年に成立し、1876年に英国の支配を受けた。英国の密約によりパキス
タン軍が1948年に侵攻し、併呑した経緯がある。

バローチ人が関与しないところで勝手に決められた領土策定の密約は、中
東地図を一方的に線引きしてイラク、ヨルダン、シリア国境などを策定
し、パレスチナにユダヤ人国家の建設も示唆し、密約した「マクマホン書
簡」、バルフォア宣言」、そして「サイクスピコ協定」のようなものだった。

サイクスピコ協定は1916年に英国、仏蘭西、露西亜が結んだ密約で、オス
マン・トルコ帝国の解体以後の地図の策定だった。
 これは英国お得意の2枚舌、3枚舌外交の典型であり、結局は力のある
勢力が勝つのだ。

バロチスタンは、「バローチ人の国」という意味であり、ハザラ人、ペル
シャ人、パシュトン族が混在しており、言語も独自の言葉のほか、ウルド
ウ語、ペルシア語が通じる地域が点在する。

ソ連がアフガニスタン侵攻のおり、背後を突く地勢を利用して、バロチス
タンを支援した。

パキスタン軍の情報部やタリバン、アルカィーダの裏の結び付きは、この
クエッタが中心とも言われる。

近年は、国際力学から、中国に対応し、パキスタンに敵対するインドの陰
謀という説も広く流布している。実際にクエッタではモディ(印度首相)
の人形とインド国家を焼く、反インド暴動が起きている。

これもまた、パキスタンの反中感情をすり替えるため中国が背後でやらせ
たという説もあるから、陰謀論の拡大ドミノだ。

パキスタンは、このバロチスタンで1998年に核実験を強行し、米軍の偵察
機が上空のサンプルを収集した結果、北朝鮮と同様なミサイルや核施設が
使われ、プルトニウムを検出するに至った。

◆首相提言で改憲論の停滞を打破せよ

櫻井よしこ




停滞の極みにある憲法改正論議に5月3日、安倍晋三首相が斬り込んだ。
➀2020年までに憲法改正のみならず、改正憲法を施行したい、➁9条1項と2
項を維持しつつ、自衛隊の存在を明記したい、➂国の基(もとい)は立派
な人材であり、そのための教育無償化を憲法で担保したい、という内容だ。
 
それまで弛緩しきっていた憲法改正に関する政界の空気を一変させた大胆
な提言である。大災害時を想定した緊急事態条項でもなく、選挙区の合区
問題でもなく、緊急時の議員の任期の問題でもなく、まさに本丸の9条に
斬り込んだ。
 
9条1項は、平和主義の担保である。2項は「陸海空軍その他の戦力は、こ
れを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」で、軍事力の不保持、
即ち非武装を謳っている。
 
改憲派にとっても1項の維持に異論はない。むしろ1項に込められた日本
国の平和志向を積極的に強調すべきだと考える。
 
問題は2項だ。2項を維持し、如何にして軍隊としての自衛隊の存在を憲
法上正当化し得るのかという疑問は誰しもが抱くだろう。現に、民進党を
はじめ野党は早速反発した。自民党内からも異論が出た。だが、この反応
は安倍首相にとって想定内であり、むしろ歓迎すべきものだろう。
 
矛盾を含んだボールを憲法論議の土俵に直球に近い形で投げ込んだ理由
を、首相は5月1日、中曽根康弘元首相が会長を務める超党派の国会議員の
会、「新憲法制定議員同盟」で明白に語っている。

「いよいよ機は熟してきました。今求められているのは具体的な提案で
す」「政治は結果です。自民党の憲法改正草案をそのまま憲法審査会に提
案するつもりはありません。どんなに立派な案であっても衆参両院で3分
の2を形成できなければ、ただ言っているだけに終わります」
 
約15分間の挨拶で、首相が原稿から離れて繰り返したのは、どんな立派
な案でも衆参両院で3分の2を形成できなければ、ただ言っているだけ、政
治家は評論家ではない、学者でもない、立派なことを言うところに安住の
地を求めてはならない、ということだった。

首相談話を肯定
 
護憲派の評論家や学者はもとより、改憲派の保守陣営にも首相は切っ先
を突きつけている。「口先だけか。現実の政治を見ることなしに、立派な
ことを言うだけか」と。
 
この構図は、安倍首相が戦後70年談話を発表した2年前の夏を連想させ
る。あのとき、首相の歴史観を巡って保守陣営は2分された。首相の歴史
観は欧米諸国の見方であり、日本の立場を十分に反映しておらず、歴史研
究の立場から容認できないとの批判が噴き出した。その一方で、首相談話
は歴史研究の成果を披露するものではなく、中韓両国が国策として歴史問
題で日本を叩き、日本が国際政治の渦中に置かれている中で、日本の立ち
位置をどう説明し、如何にして国際世論を味方につけるかが問われている
局面で出された政治的談話だととらえて評価する見方もあった。
 
首相談話には、歴史における日本国の立場や主張を十分に打ち出している
とは思えない部分もあった。だが私は後者の立場から、談話の政治的意味
と国際社会における評価を考慮し、談話を肯定した。これと似た構図が今
回の事例にも見てとれる。
 
正しいことを言うのは無論大事だが、現実に即して結果を出せと首相は
説く。その主張は5月9日、国会でも展開された。蓮舫民進党代表が、首相
は国会ではなく読売新聞に改憲の意向を表明したとして責めたのに対し、
首相は、蓮舫氏との質疑応答が行われている予算委員会は行政府の長とし
ての考えを述べる場であり、自民党総裁としての考えを披瀝すべき場所で
はないと説明した。

蓮舫氏は納得せず、その後も憲法の本質、即ち日本が直面する尋常ならざ
る脅威、それにどう対処するかなどとは無関係の、本当につまらない質問
に終始した。
 
首相批判もよいが、民進党は党として憲法改正案をまとめることさえでき
ていない。どうするのか。この点を質されると、蓮舫氏は答えることもで
きなかった。
 
民進党だけではない。「結果を出す」次元とは程遠い政界の現状を踏まえ
て、首相が政党と政治家に問うているのは、憲法審査会ができてすでに10
年、なぜ、無為に過ごしているのかということだろう。なぜ、世界情勢の
大激変の中で、日本を変えようとしないのか、それで、国民の命、国土、
領海を守りきれるのか、ということだろう。

ポスト安倍の資格
 
自衛隊を9条に書き入れ、自立するまともな民主主義の国の形に近づけた
い。結果を出すには、加憲の公明党、教育無償化を唱える日本維新の会も
取り込みたい。蓮舫・野田執行部の下で、重要な問題になればなる程まと
まりきれない民進党の改憲派も取り込みたい。

離党はしたが長島昭久氏や、憲法改正私案を出した細野豪志、自衛隊の9
条への明記を求める前原誠司、笠浩史各氏らをはじめ、少なからぬ民進党
議員も賛成できる枠を作りたい。憲法改正の最重要事項である9条2項の削
除を封印してでも、世論の反発を回避して幅広く改憲勢力を結集したい。
そうした思いが今回の政治判断につながっているのは明らかだ。現実的に
見れば首相提言は評価せざるを得ない。
 
安倍政権下での好機を逃せば、改憲は恐らく再び遠のく。「立派なこと
を言うだけ」の立場は、この際取るべきではない。首相提言を受けて改正
論議はすでに活性化し始めた。2項と、自衛隊を規定する3項の整合性を保
つにはどんな案文にするかを大いに議論することが、いま為すべきことだ
ろう。
 
こうして改憲の第一段階をクリアしたとして、次の段階では、まさに9条2
項削除の道を切り開くべきで、その責務を担える人物が次のリーダーだ。
誰がその任に値するのか。
 
ポスト安倍を狙う一人とされている石破茂氏は、首相提言直後のテレビ番
組などで年来の議論の積み重ねを跳び越えるとして首相提案を批判した。
何年も議論ばかりしていること自体が問題なのであり、国際情勢を見れ
ば、日本に時間的余裕などないことを、石破氏は忘れていないか。氏の批
判は手続き論に拘る印象を与えるが、そんなことでは次代のリーダーたり
えないであろう。
 
世界の現実を見て、長期的視点に立って日本国憲法を改めていく覚悟が
必要だ。日本周辺の現実の厳しさと国家としての在り方を考えれば、9条2
項の削除こそが正しい道であるのは揺るがない。その地平に辿りつくま
で、あるべき憲法の実現を目指して闘い続ける責任が、政治家のみなら
ず、私たち全員にある。
『週刊新潮』 2017年5月25日号 日本ルネッサンス 第753回


◆五輪担当大臣の貫禄 

渡部 亮次郎


メルマガ「頂門の一針」の常連投稿者に指摘されて、先にといっても1954
年以開かれた東京オリンピック当時、担当大臣故・河野一郎の担当記者
だったことを久々に思い出した。

と言っても1964年7月の人事異動でNHKの盛岡放送局から東京の政治部
へ発令され、河野大臣を苦手だといって誰も担当したがらない。田舎者の
あいつに回そうというので河野担当になった。事情は後から知った。

記者会見に出かけて名刺を差し出したらろくに見もせず、もてあそび、そ
のうち紙飛行機に折って飛ばしてしまったのには、おどろいた。記者を怖
がっていた田舎の県会議員とは大分、違うなと覚悟した。

何か質問あるかい、というからした。「大臣の右目は義眼だと言ううわさ
がありますが、本当でしょうか」と聞いた。相手を見つめるときすが目に
なるからである。すると「君はどこの社の記者だ」と言うからNHKだと
答えて叱られるのを覚悟した。

ところが違った。「君は記者の誰も聞かなかったことを良くぞ質問してく
れた。ほれ、このとおり義眼ではないよ」目を剝いて見せた。なるほど毛
細血管も走っているから義眼ではない。

翌朝、恵比寿の私邸に行き、門の脇で待っていると出てきた河野さんが私
を手招きする。近くまで行ったら「乗んなさい」という。驚いた。政治家
の専用車に同乗することを政治記者連中は「箱乗り」と言い、政治家は余
程気に入った記者で無ければ乗せないことになっている。

河野一郎自身自分を「実力者」と言い、記者たちは勿論、自民党内からも
畏怖されていた。だからこそ過去に前例の無い無任所にして東京五輪の担
当大臣を池田勇人首相から任されたのである。

その恐ろしい実力者が、どこの馬の骨とも知れぬ記者をいきなり箱乗りさ
せるとは当に驚きだった。しかしこの待遇は終始続き、最期は夫婦2人き
りの夕飯の席に呼ばれるまでに成った。

小田原に生まれて早稲田大学では箱根駅伝の選手として活躍、卒業後は朝
日新聞の政治記者。間もなく神奈川から代議士に当選して政界入り。かの
吉田茂とは激しい党内対立を繰り返しながらついに鳩山政権を樹立。日ソ
正常化を達成。


フルシチョフ首相とも対等な交渉を成し遂げ、ついに実力者に成長した。
池田首相もそこを見込んで史上初の東京五輪の担当大臣を任せることが出
来た。

いま政界を見渡してもあれだけの實力者はいない。これは世界の変化に伴
うものであり、日本の平和が長続きするからであり、小選挙区制度が政治
家を小物のしたと思わざるを得ない。 

河野さんはアルコールを一滴も飲めない体質だった。それを知っていてフ
ルシチョフはウオッカを飲むよう強要した。河野さんは「国家のため、死
んだ心算で飲み干した。体が火照り眩暈が止まらない。「あの時は死ぬか
とおもった」と言っていた。

東京オりンピックの翌年夏7月8日、剝離性動脈瘤破裂のため自宅で死去。
まだ67歳だった。2015・8・3

◆「古寺旧跡巡礼」 当麻寺 A

石田 岳彦



当麻寺は、境内の南側に2つの三重塔があり、その北側に金堂、更にその北側に講堂があるという、薬師寺と同じ伽藍の配置ですが、スペースが足りなかったのか、敷地の南側は丘になっていて、2つの塔は斜面を削り取って造成された高台に建てられています。

しかも、金堂と講堂の西側に本堂が東向きに建っていて(講堂と金堂は南向き)、大門(正門)が南ではなく、東側にあり(金堂ではなく、本堂に合わせているようです。)、更に金堂と東西の塔の間に2つのお坊が割り込み、西塔と東塔の間にもやはりお坊が建てられるなど、平地に整然と建物が並んでいる薬師寺に比べて、かなりのカオス状態です。

そこに見えている2つの三重塔に境内案内図で通路を確認しながらでないと辿り着けないというのですから、何時か、何処かで、何かを間違えてしまったに違いありません。

 金堂とはその寺のご本尊となる仏像がまつられているお堂で、本堂とはその寺の中心的なお堂をいいます。講堂は仏法についての講話を聴くための場所となるお堂です。

 古代からの寺院の場合、法隆寺、東大寺、興福寺、薬師寺、唐招提寺等のように、金堂はあっても、本堂とはされていない(つまり、その寺院に「本堂」と呼ばれる建物がない)ことが多いようです。仏舎利をまつった塔が伽藍の中心という考えが強かったためでしょうか。

 他方、比較的新しい時代のお寺では、金堂=本堂で、単に「本堂」と呼ぶことが多く、いずれにしても、金堂とは別に本堂があるという当麻寺のようなお寺は珍しいです(ざっと調べた範囲では、有名な寺院だと、他に室生寺くらいです)。

 もともと当麻寺は、聖徳太子の異母弟の麻呂古王(日本書紀によると当麻氏の祖とされています)が開いた寺を、当麻国見(たいまのくにみ)が現在の地に移したとされる(あくまでも寺伝で、実際のところはよく分かっていないようです)、金堂を中心とするお寺でした。

 しかし、後世に中将姫伝説が有名になってしまい、もとから存在した金堂とは別に、中将姫お手製の曼荼羅をまつったお堂(曼荼羅堂)が「本堂」に昇格してしまったため、「金堂」と「本堂」が並存するという珍しい状態になったようです。

本堂にある受付にいって、本堂、金堂、講堂の拝観共通券を買います。国宝の本堂は瓦葺で、寄棟造(屋根の形状で、棟から4方向に傾斜する屋根面を持つもの)、平入り(床が長方形の建物で、広い辺の側に入り口があることをいいます)と、仏教寺院の本堂としては、オーソドックスな形をしています。

上記のように中将姫の織った曼荼羅をまつるお堂で、奈良時代末から平安時代初期に建てられたものが、平安時代末期に改造されて現在の姿になったということです。

 本堂の中央に立派な須弥檀(しゅみだん)があり、その上にやたらとでかい厨子が載っています。奈良時代末から平安時代の初期に作られたものといわれているそうです。

 厨子の中に飾られている曼荼羅(約4m×4mというでかさです。厨子がでかくなるのも当然です)は、まさしく中将姫により織られた伝説の曼荼羅・・・ではなく、残念ながら、室町時代に作られた複本ですが、それでもかなりの古さを感じさせます。というか、相当に傷んでいます。

ちなみにオリジナルは更に傷みが激しいらしく、原則として非公開になっていて、私もいまだに実物にお目にかかったことがありません。オリジナルの写真を見ましたが、思わず「傷み」を「悼み」と誤植したくなるくらい、相当に傷んでいます。

 阿弥陀様が中央に座っていて、その周囲を多くの菩薩が囲み、後方に描かれた横長の建物は平等院鳳凰堂のモデルになったということですが、退色に加え、曼荼羅の上に金網が張られているので、細かな部分までは分かりません。

ちなみに厨子の蓋(現在残っているのは鎌倉時代に作られた後補のものですが)は取り外されていて、時々、奈良国立博物館に展示されています。黒漆の地に金蒔絵というシンプルながら豪華な一品です。

 厨子の右側には中将姫の念持仏と言われる十一面観音像がまつられており、弘仁時代(平安前期。810年−823年)の作といわれています。

「奈良時代に亡くなったお姫様が、何故、平安時代に作られた観音様を拝めたのだろう?」という素朴な疑問は忘れて、素直な心でお参りしましょう。歴史考証というものは、少なからずロマンと対立するものす。
(つづく)  <弁護士>               

2017年05月25日

◆英国の自爆テロ

宮崎 正弘



<平成29年(2017)5月24日(水曜日)通算第5303号> 

 〜英国の自爆テロ、ISの無差別殺戮テロが世界を覆っているが
  フィリピン政府、ミンダナオ島に60日の戒厳令を発令〜


北京の一帯一路フォーラム出席の後、モスクワを訪問中のドウテルテ・
フィリピン大統領は5月23日、ミンダナオ島に60日の戒厳令発令を決めた
と発表した。

ダバオ市長と永年つとめ、麻薬密売など凶悪犯を片っ端から逮捕、殺害に
踏み切っているドウテルテ政権は、その強硬手段を国際社会から批判され
てはいるが、フィリピン国内では絶大な人気を誇る。

フィリピン外交筋によれば、北京で一帯一路フォーラムのあと、習近平と
の個別会談に臨み、ドウテルテは「スカボロー礁は我が国の領海であり、
われわれは海底油田の掘削を始める権利を有する」と言ったところ、習は
慌てて「われわれは友人ではないか」と空気を和ませようとした。

ところがドウテルテ大統領はなおも引き下がらず、さらばと習近平は「力
を用いるなら、つぎは戦争だ」と恐喝的な言辞を吐いたという。

米国に対しても「人権批判などと偉そうなことをいうな。米国はフィリピ
ン人を40万人も殺したではないか。2年以内に米軍は出て行って欲し
い」と暴言をエスカレート、手をつけられない狂犬と一部米国のメディア
が皮肉った。

しかし、ドウテルテのアキレス腱は、出身地のミンダナオの治安悪化であ
る。ISに繋がる過激派の跋扈に武力鎮圧でのぞんできたが、武装集団は
なかなか壊滅出来ない。

とくに同島内ラナオ・デル・スール県のマラウィ市(人口20万人)に潜伏
しているISのテロリスト殲滅作戦を展開中に、フィリピンン国軍兵士、
警察官ら3人が殺害された。

これはFBIから50万ドルの懸賞金付きで手配されている国際テロリスト
のイスニロン・ハピロン(51歳)が、ことし1月の空爆で負傷し、マラ
ウィ市内に逃げ込んだからだ。

イスニロンは、2014年にアメリカ人など外国人目標のテロ、誘拐などに関
連し、また彼はアブ・サヤン(武装テロリスト集団)の副司令官を務め、
現在もミンダナオ独立などと主張してISに繋がる過激武装組織「マウテ
集団」(50名の武装過激派)を指導している。

フィリピンはIS殲滅のため、戒厳令を施行したうえ、マラウィ市を封
鎖、電気を止めて軍隊を突入させる構えという。

        
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
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 楠木正成が歴史教科書から消され、若い人が知らない武将となった
  「建武の中興」は、いまや「建武の新政」などと教えている

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家村和幸『真説 楠木正成の生涯』(宝島社新書)
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 題名から類推すれば楠木の伝記と誤解しがちだが、かれの勤王の生涯
を、物語風ではありながら、むしろ戦略と戦術を緻密に検証しつつ、一貫
したかれのテーマは何であったか、究極的に彼が率先し、後世に残した指
導者像、その指揮力、指導力、管理力を描く。

孫子を応用した経営学は多いが、楠木の経営学的視点からの考察は珍しい。

世に楠木正成物語は多いが、勤王の熱き心を強調するあまり、情緒的に過
剰な表現が多く、また左翼の批判は勤王一途とは時代錯誤的だと単純に説
いておしまいという表現や、小説が目立った。

著者の家村氏が採り上げるのは、こんにち誰も顧みない『太平記秘伝理
尽?』(「?」は「金」編)という書物である。いわゆる「『太平記』読
み」は多いけれども、この書物は注目されることが少なかった。しかし平
凡社東洋文庫には収録されている。

この書物の中で、楠木正成がいかに優れた戦略家であったかと同時に、人
間洞察に鋭く、人物の評価、配置。そして信賞必罰の掟の重要性を、正成
が闘った全ての戦闘を教訓化し、そのたぐいまれな統率力とリーダーシッ
プの妙を説いている。

楠木正成は赤坂城に挙兵し、天王寺迎撃戦を戦い、千早城での奇襲、謀
略。そして飯森城攻略、京洛の戦いから湊川まで、それぞれの戦場、陣の
取り方、戦闘員の配置などを具体的に語る。

この統率力、組織の有効活用は、優にこんにちの企業経営のマネジメント
に活用できるが、そのことは措く。

楠木正成は歴史許教科書から消され、若い人が知らない英雄となった。
「建武の中興」は、いまや「建武の新政」などと教えている 

楠木正成は『太平記』にあらわされ、人口に膾炙したが、桃山時代に京都
の僧が、名和正三から伝授された『太平記秘伝理尽?』を研究した。その
後、加賀前田藩に伝わり、「江戸時代に入ると、版を重ねるようになっ
て」、広く日本でも流布され、「兵法の流派を超えて大いに普及した」。
山鹿素行は、この書を最も愛読した。

山鹿流軍事学は赤穂浪士ばかりか、長州にあって吉田松陰に受け継がれ、
当然だが、西郷隆盛も読んでいただろう。

余談だが、評者(宮崎)は、僅か2回だが、河内長野から千早城、赤坂城
を回ったことがある。

2回目は時間がなかたtので、タクシーで石平氏と一緒だった。千早城で
はたと考えたのは、この山城、持久戦には弱かったのではないか、飲料水
をどうやっていたのかという誰もが考える疑問だった。

本書ではやはり敵将が千早城攻略を前に、山城なら「渓流のわき水を組ん
でいると考え、水攻めにしようと図った。そこで、千早城北東の谷川の水
源地を見はらせた」(88p)とある。

ところが千早城は籠城戦を長期間耐えた。じつは「楠木正成は城内に湧き
水や雨水などで用水を確保していたほか、山伏等が秘密の湧き水場所を
知っていた」からであった。
 
          
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIE 
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 ユーゴの中国大使館はアメリカの秘密兵器F117のエンジンを回収していた
 
海南島では米軍偵察機が体当たりされ、機体の秘密が盗まれるところだった

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藤井厳喜 vs 飯柴智亮『米中激戦!』(KKベストセラーズ)
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副題は「いまの自衛隊で日本を守れるか」とあるように、目の前の軍事的
危機をいかに回避するか、いや回避できなくなった場合、日本はどうやっ
て生き残ることが出来るかを縦横無尽に語り合った独特の防衛論である。
 藤井さんは国際政治学者だが、対談相手の飯柴智亮氏とはいったい何者か。

彼は自ら志願して豪から米軍に入隊し、アフガニスタン、イラク戦争を
戦った歴戦の勇士、元米軍大尉である。

自ら外人部隊へ志願して闘った先人には柘植久慶氏もいるが、戦場をしっ
ている数少ない日本人だ。

じつは評者も、2度ほど飯柴氏に会ったことがあるが、アフガニスタン戦
争の時、キルギスのマナス空港に待機したこともあると言うので、アフガ
ニスタンの実際の戦闘について話を聞いたことがある。

それはさておき、本書の議論は朝鮮半島有事、台湾、南シナ海へと広が
り、具体的には地政学、政治学、軍事作戦。とりわけ米軍が用意している
シナリオで、米国軍人しか知らないプランがあることなど、はじめて訊く
ような内容が沢山盛り込まれている。

2001年、米軍機が海南島で中国軍機に接触され、強制着陸させられた事件
は記憶に新しいところだが、飯柴氏がいうには、『ラムスフェルド国防長
官は、決定的に中国が大嫌いになった。自分はそのとき現役でしたから雰
囲気をよく知っていますが、あんなことをする中国は完全に敵。アメリカ
は一気に反中に染まり』対決姿勢を鮮明にしようとした矢先、9:11テロ事
件が起きた。このため、アメリカは中国敵視政策を曖昧として中断した。
幸運だったのは中国である。

しかし199年、ユーゴスラビアの中国大使館『誤爆』について、飯柴氏の
分析はこうである

「アメリカはF117という最新鋭ステルス機を投入していた。ソ連製のミ
サイルでユーゴが撃墜したときに、中国は、「エンジンを回収したらし
い」うえに、それを「中国に運び出されるというときにアメリカは(中国)
大使館を爆撃しました」(62p)。

奇々怪々の軍事的駆け引きは政治の舞台裏でつきものだが、評者が訊いて
いたのは、ユーゴの中国大使館が情報工作の拠点であったため『意図的』
な誤爆に踏み切ったというもので、直後、北京のアメリカ大使館は火炎瓶
の襲撃を受け、米国大使は命からがら逃げだしたものだった。

反米暴動になったため、アメリカは中国との対決姿勢をまたも緩め、クリ
ントン政権は「戦略的パートナー」「G2」などと中国に対しておべん
ちゃらを言い出したのである。

今回も状況は酷似する。

トランプは中国との対決を辞さずと姿勢を改めたとき、北朝鮮ミサイル危
機がおこり、当面、中国を制裁共同作戦の相手とする。またもや中国は幸
運であり、勘ぐれば北のミサイル実験は中国のやらせという陰謀説も成り
立つ可能性がある。もちろん、本書ではそこまで言っていないが。。。。
         
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  ◆樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 1575回】        
――「正邪の標準なくして、利害の打算あり」――(徳富14)
   徳富猪一郎『七十八日遊記』(民友社 明治39年)

              ▽
 かねがね思っていたことだが、「道を憂へて貧を憂へすとか、身を殺し
て仁を成すとか、其他種々」の孔孟の“尊い教え”は、誰にも否定できな
い。いわば人倫上の正義であり真理でもあろう。かくも気高い志は誰もが
否定はできないが、同時に実現できるわけではない。たとえ逆立ちしたと
ころで。

たとえば孔子は「克己復礼」を掲げ己を克服して「礼(=天が示した人
倫・本源的秩序)」を地上に実現することを、毛沢東は「為人民服務」を
言い募り己を棄て「人民」の「為」に「服務(つくすこと)」を求めた。
「克己復礼」であれ「為人民服務」であれ、そのこと自体、誰にも否定で
きない崇高な行為ではある。

だが、艱難辛苦の学問的研鑽を重ねたとしても、「克己復礼」は努力目標
にとどまりこそすれ、実現は不可能だ。政治の力を以てしたところで「人
民」から強制的に私利私欲を剥ぎ取ることができない以上、「為人民服
務」は人々の行動を雁字搦めに縛り付ける強制的行動基準でしかなかろう
に。そんな所謂カッコつきの正義を実際に政治の場で実現させようなど
と、ウソに決まっている。

ということは、便宜主義の塊ともいえる毛沢東の「為人民服務」から?
小平の「先富論」「白猫黒猫論」「韜光養晦」、江沢民の「三個代表
論」、胡錦濤の「和諧社会建設」、習近平の「中華文明の偉大な復興」
「中国の夢」まで、極論するならば、その場凌ぎのウソの塊。そのウソの
塊を信じ、実現すべく努力するフリをする。

そういえば文革時、誰もが毛沢東バッチを胸に留め、かの『毛主席語録』
を狂気のように打ち振っていたものだが、あれも、ヒョッとすると毛沢東
を崇め奉っているフリだったと考えれば納得もいく。

あの時代、毛沢東の胸に毛沢東バッチは見られず、その手に『毛主席語
録』は握られてはいなかった。毛沢東は毛沢東を崇め奉るフリをする必要
などないからだ。ところで北王朝では金日成は金日成バッチを、金正日は
金正日バッチをしていなかったはず。そこで金正恩はどうだろうか。その
うち『金委員長語録』なんてシロモノが出回ることになるのだろうかスミダ。

(12)【殉國の馬鹿者】=宋代に宰相の秦檜が宋を侵略した異民族の金
と和親条約を、李鴻章が満州をロシアに譲り渡す秘密条約を結んだのも、
とどのつまりは「孔孟の?旨を、遵奉したるものと見るの外はなかる可く
候」。だが、徳富の見立てに依れば「國に殉し君に殉するか如きは、寧ろ
支那に於ては、調子外れの無法者の所爲」であり、それゆえに「國に殉し
君に殉する」といった行為は「陽には奨美せられつゝも、陰に馬鹿にせら
れつゝあるは、殆んと怪しむに及はす」であったそうな。

秦檜に敵対し断固として宋朝を守ろうとした「岳飛の墳墓は、堂々とし
て、忠臣の標本となり、秦檜の石像は、其の墳前に、囚人の姿に据へ置か
れ、如何にも忠奸の區別、百世の下、凛善たるか如」きだが、それは表向
きのこと。「支那人の胸中には、岳飛を憐み、秦檜を羨む者のみと申して
も」、強ち間違いはないだろう。


古来、岳飛廟の参詣客は、先ずは「囚人の姿に据へ置かれ」た秦檜の石像
に向って放尿する。異民族に対し敢然と戦いを挑んだ岳飛を讃え、漢族を
蛮族に売った秦檜に対する軽蔑の意を表す。いわば石像とはいえ小便塗れ
の屈辱を味わせ、民族を売るという許しがたい罪の重さと、その反対の民
族守護の気高さを満天下に示そうというのだろう。だが小便には別の意味
があるようだ。

「秦檜の石像に向て、放尿すれは、養蠶か當るとの呪いに外ならす。何
時も養蠶の季節には、近傍の農民共、出掛けて一齊放尿するの由にて候。
果して眞なりとせは、扨も興の醒めたる話に候はすや」。いや「果して眞
なりとせは」、興の募る話にて候デ、ゴザル。
《QED》

◆「措置入院」精神病棟の日々(43)

“シーチン”修一 2.0



わが家の営繕の仕事で一番困難なのは3F軒下のペンキ塗りである。体力が
少しずつ戻ってきたし、十分な長さの脚立も買ったから着手すべきだ、と
理性では思う。「困難な仕事だからこそ真っ先にやるべきだ」とも思う。

しかし現実はどうか。「今日は暑くなりそうだから・・・」「今日は天気
が悪いし、雨も降りそうだから・・・」「雨漏りしているわけではないか
ら・・・」、あれこれ理屈をつけて先送りするのだ。

要は好き嫌いで、「やらない、やろう、やります、やる、やる時だ、やれ
ば、やれ」といろいろ考えるものの感性で「やりたくねー」となってしま
う。結局、締め切りが迫って、尻に火がついて大慌てで取り組むことにな
る、徹夜したりして。

「さっさとやっていればいいものを・・・先憂後楽と古人も言っているだ
ろう」と理性では分かっちゃいるけど、生命体を守ることを至上命題とす
る脳ミソの無意識層では「後回しにできるのならそうしろ、いつポックリ
逝くか分からないのだから面白そうで簡単な仕事からやっていけ」と初期
設定されているに違いない。

「人は困難な問題ほど避けたがる、先送りしたがる」、これは真理だな。
憲法改正?面倒くさい、票になるのかよ、別に今やらなくてもいいんじゃ
ね、そのうちいい手が浮かぶだろうから後進の叡智に託そうぜ、とか。

「酒やめますか、それとも人生やめますか」・・・難題に心が揺れ続け、
尻に火が付いた日々を綴る病棟日記から。(“狂人日記”を書いていてよ
かった、自分で言うのもなんだが、結構面白い)

【2016/12/1】*神無月の末に拘束され、霜月を経て、いよいよ師走だ。
昔は12月にお坊さんが檀家を訪ねお経をあげていたから大忙し、江戸時代
ならカゴ、明治からは人力車を使っていたのだろう。一年の無事を感謝
し、来年も良い年でありますようにと祈願したに違いない。

盆暮は菩提寺に奉賛費を納めることになっていたからお坊さんも一所懸命
だったろう。

小生は大晦日に墓参りをしていたが、今年はカミサンが行ってくれるだろ
うか。今度の面会の時に言ってみよう。「いろいろ迷惑をかけて申し訳な
かった」とも言うことにしよう。

完敗、無条件降伏、占領、主権喪失、言論統制、WGIP(間違った戦争をし
たお前が悪いという洗脳)、家訓第9条「酒、ダメ、絶対!」。“酒権”放
棄だな。長生きしそうで嫌な感じ。

♪はーやくこいこい おでむかえ

「健康」に意識的に留意した嚆矢は、日本では家康、欧州ではヒトラー
か。「健全な精神は健全な肉体に宿る」などと、健康な人は不健康な人を
蔑んだりすることがままあるのだろう。夏彦翁曰く「健康(崇拝)は嫌な
ものである」。

健康だと本来は脳ミソに向かう血が五臓六腑に回り過ぎて、物欲、色欲、
不老長寿欲に取りつかれはしまいか。それを戒めた古人は「長生きすれば
恥多し」と訓導したのではないか。

夕べは眠剤2錠だけだったが、副作用で排尿センサーが劣化したのだろ
う、2回もオネショをし、真夜中の洗濯になった。1錠に減らしてもらお
う。モンローもプレスリーも眠剤中毒になったそうだが、気を付けないと
廃人になりかねない。長命の廃人・・・最悪だ。そうならないように祈る
しかないが、まずは断酒だな。

*クネクネ韓国はオシマイだ。次の大統領がハンキブンでも北寄りだろう
とも、ひたすら漂流するだけ。中共はこのポンコツを拾うことは絶対ない
し、北は金欠病で米軍も怖いから手を出すまい。

日本は破綻した朝鮮を救うため1910年に日韓合邦し、国家予算の3分の1を
注いでインフラ整備、殖産興業に努めたが、日本が連合国に負けると朝鮮
人は一挙に反日になり、「植民地にされ収奪された、少女は性奴隷にされ
た」などと難癖をつけるようになったから、さすがにお人好しの日本も助
け舟は出さないだろう。

つまり韓国は再びIMF管理国になるしかないが、「トップがアホやから政
治にならへん」、再生には長い年月がかかるだろう。情緒不安定で短兵急
に目先の利益を追う半島人にできるかどうかは不明だ。

*通常の屋内散歩の後、数年ぶりにジョギングしてみたら100メートルで
きた。スキップはどうかとやってみたらコケそうになった。無理をすると
間違いなく骨折か捻挫をするだろう。

*“コンチャン”は檻の中の動物のように部屋とホールの間をひっきりなし
に行き来している。ホールでは誰も相手にしてくれないから部屋に戻る
が、寝る以外にやることがないから5分後にはまたホールへ行く。その繰
り返しで、気の毒だ。

昼食時に“コンチャン”曰く「呆け始めて忘れっぽくなった。飯を食ったの
も忘れちゃう」。小生は、

「歳をとったら皆そうだよ、大病とか怪我をしないだけでも幸せだよ」
「そうだな」

思考力が緩んだり戻ったり「まだらボケ」のようだ。“コンチャン”曰く、

「本を読んだり書くのが好きみたいだね」
「勉強とか遊びとかで、まあ暇つぶしだよ」

*15:45〜16:00、‟ピーコック”による心理面接。カミサンに謝罪し、カ
ミサン及び社会との接点を探しなさいとの課題。

*16:15、Dr.来、12月中旬にカミサンを交えて面談するとのこと。確か
布施明が歌っていたと思うが、

♪もしもどちらか もっと強い気持ちで いれば 愛は続いていたのか・・・

失って 初めて分かる 大切さ 家庭カミサン 子・孫八人(修一)

今ならやり直しが効く、まだ回復力はある。“ノンアル修ちゃん”でいくし
かない。考えようによっては「一粒で二度おいしい」とか・・・一度目の
人生はややほろ苦かったが、二度目の人生はグリコキャラメルのように甘
くて200メートル徒競走で一等賞をとれるかもしれない。「かもしれな
い」(つづく)2017/5/22

◆トランプ、隠ぺいと捜査妨害で自縄自縛

杉浦 正章



ロシアゲートのリークが止まらない
 

「やっちゃだめを全部やっちゃうトランプ大統領」と、ニューズウイーク日本版にお笑い芸人パックンが書いているが、まさに至言だ。川柳で言えば「トランプは今日はどこまで掘ったやら」で、毎日自分の墓穴を掘っている。それもウオーターゲート事件を手本とするような隠ぺい工作と司法妨害の連続だ。本人は「アメリカ史上最大の魔女狩りだ」と息巻いているが、その魔女狩りの輪はひしひしと弾劾に向かって狭まりつつある。もがけばもがくほど深みにはまってゆく姿がそこにある。

 

まずロシアゲートの新たな展開が23日にあった。1月までCIA長官であったジョン・ブレナンが議会で核心に触れる証言をした。その内容は、ロシアによる大統領選挙への干渉を感知したブレナンが昨年8月にロシア連邦保安局長官ボルトニコフに電話し「ロシアが選挙干渉を続ければ、米国の有権者は激怒する」とどう喝した。ボルトニコフはその場では「プーチン大統領にに伝える」と取り繕ったが、ブレナンによると「明確な警告にもかかわらずロシアは大統領選に干渉した」と発言した。背景にはプーチンが影響力を行使できるトランプを何が何でも当選させたかったという重大な選挙干渉疑惑がある。


さらにブレナンは質問者から「トランプ陣営とロシア政府が共謀した証拠」を問われたのに対して「そのような共謀が実際に行われていた情報や諜報を目にした。ロシア当局者とトランプ陣営との間で行われた情報や諜報も知っている」と言明したのだ。中身の詳細な公表は避けたが、この発言が意味するところは、司法省が特別検察官に任命した元FBI長官モラーが、今後暴くであろう真相の方向を示したことであろう。モラーはとっくに情報・諜報を入手していることになる。

 

こうした動きはトランプがロシアとの共謀で選挙に勝ったことへの有力な傍証になるが、22日のワシントンポスト紙はそのトランプがロシアゲートの隠ぺい工作に動いたというリークを生々しく報道している。トランプは国家情報長官コーツと国家安全保障局長官ロジャーズに対してなんと「共謀に関する証拠は一切存在しないと公表せよ」と指示したのである。


これはトランプがいかに大統領職というものを理解していないかを物語る行為だろう。つまり大統領なら何でも出来るとの前提に立って、あからさまなもみ消し工作に出たのだ。「もみ消しのニクソン」ですら裸足で逃げる露骨な動きである。
 
 

さらにトランプは、明らかな司法妨害と受け取れる発言をした。ロシアの外相ラブロフに、FBI長官のコミーを解任したことに関して「私は大きな圧力を受けていたがそれば取り除かれた」と“正直”にも内実を暴露してしまったのだ。トランプはFBIの捜査を明らかに妨害したのであり、それを得々としてラブロフに話す神経は度しがたいと言うしかない。

 

こうしてどれ一つをとっても弾劾の理由になり得る隠ぺい工作、司法妨害情報が次々と集まりつつあるのがワシントンの現状だ。なぜこのように公式、非公式のリークが続くかだが、トランプ自らの“墓穴情報”の露呈は、各省の次官補など実際に政治を動かす人事が大幅に遅延しており、大統領が必要とする整合性のある情報が得られないことを物語る。


つまり、想定問答集を作れないから、支離滅裂で自らの利益にならない発言を繰り返すことになるのだ。さらに人事の遅延によって、トランプ陣営と敵対したオバマ政権時代の高官が多く地位にとどまっていることだろう。これらの高官は選挙中からトランプ陣営に批判的であり、これが現在もリークとして続く形となっているのだ。
 
 

今後は特別検察官が暴く事実が焦点となるが、特別検察官はFBI出身であり当然前長官コミーからの“引き継ぎ” を受けており、捜査のテンポは速いとみられる。加えてコミーは上院の公聴会での証言を求められており、30日以降に実現する可能性が高い。こうして「大統領の疑惑」はまさに佳境を迎えようとしている。


しかし弾劾実現には上下両院で過半数を維持している与党共和党の多くが、トランプ不支持に回らなければならないなど、難関も多く、トランプゲートは富士山で言えば3合目と言ったところだろう。

        <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

◆「古寺旧跡巡礼」 当麻寺 @

石田 岳彦



<私は大阪で弁護士をしています。大学生時代からの趣味で、社寺、名勝、旧跡から、明治以降のいわゆる近大遺産まで、九州から東北まで(そのうち北海道にも行きたいです)、「歴史的なもの」を見て回っています。今回「私の古寺旧跡巡礼」と題して綴ってみました>。
 

さて本題―。奈良県葛城市(旧当麻町)にある「当麻寺」というのは、不思議なお寺です。

国宝の仏像、曼荼羅、厨子、本堂、2基の三重塔、梵鐘、重要文化財多数を持っているという文化財の宝庫で、「古寺巡礼」、「日本の寺院100選」といった書籍、雑誌の特集があれば、必ず名前のあがるという古寺巡りや古文化財のファンの間では常識というか、知らない人はもぐり扱いされるという有名なお寺ですが、世間一般の知名度は高くないようです。

 おそらく、奈良、飛鳥、斑鳩という奈良県内のメジャーな観光地から離れたところにあるので、観光客が少ないことが原因でしょう。観光ガイドの扱いも微々たるものです。

もし、奈良市内にあれば、東大寺や興福寺は無理でも、薬師寺や唐招提寺なみにはメジャーになれたであろうという、ある意味とても不運なお寺といえます。

もっとも、奈良市内にあったならば、上記の文化財の少なからずが、戦火に巻き込まれて灰になった可能性もありますが。


ところで、当麻寺の最大の売り物(?)は、中将姫伝説です。

中将姫は、奈良時代の貴族のお姫様で、継母に度々、命を狙われるという苦難を乗り越え、阿弥陀如来の導きによって極楽浄土の光景を描いた曼荼羅を織り上げ、極楽浄土へ旅立ったとされる伝説上の人物です。

これが、「本当は怖いグリム童話」なら、シンデレラのように、継母の目を鳩がほじくったり、或いは、白雪姫のように、継母に焼けた鉄の靴を履かせたりといった感じのハッピーエンドになるところですが、そういう物騒な展開はありません。仏教説話ですから。

 継母がその後、地獄に落ちて、閻魔様に舌を抜かれるという因果応報的な後日談はあるかも知れません。仏教説話ですから。

近鉄南大阪線の当麻寺駅を出て、まっすぐ西を目指します。駅から出発してまも無く、右側路傍に当麻蹴速(たいまのけはや)の墓、とされる五輪塔があります。

 この蹴速は、垂仁天皇の時代の人で、天下最強を宣言して挑戦者を募っていたところ、垂仁天皇の命で、出雲からやってきた野見宿禰(のみのすくね)と相撲をとることになり、宿禰に蹴り殺された(当時の相撲は今よりもかなりバイオレンスなルールだったようですね。)という、色々な意味で「痛い」人です。

もっとも、垂仁天皇(日本書紀等の記述によると紀元前1世紀から1世紀にかけて在位。卑弥呼よりも前です。)自体、実在が危ぶまれている状況ですので、この話も歴史というより、伝説の部類です。

この蹴速と宿禰の対戦が、わが国の相撲の始まりとされているそうです。すぐ近くに相撲館という、相撲資料館まで建てられています。中将姫と当麻蹴速とおぼしき男女のかわいらしいキャラクターのイラストがポスターに載っていました。今、はやりのユルキャラというやつでしょうか。余計なお世話だと思いますが、かなり幸の薄そうなカップルです。

駅から歩いて15分ほどで大門に着きます。境内の東端に建っている楼門で、古寺にふさわしい風格です。大門を入ってすぐ、正面には鐘楼があります。国宝の梵鐘を「吊ってある」お堂です。

「吊ってある」というのは、一見、梵鐘が吊られているように見えますが、実は下に台が設けられていて、梵鐘はその上に置かれているからです。以前にお寺の方から聞いた話では、十数年前まで当麻寺には鐘楼は存在せず、梵鐘もいずれかのお堂に置かれていたそうです。

その後、鐘楼が再興され、それに合わせて梵鐘を鐘楼に吊るすことになったものの、いざ、吊るそうという段になって、龍頭(梵鐘を吊るすための上部にある輪状の突起)にひびがあるのが発見され、吊るすことができなくなってしまいました。

にもかかわらず、「せっかく再建したのだから鐘楼に梵鐘を飾りたい」ということで、こうなったようです。観光ガイドにも載っていない、思いっきりどうでもよいトリビアといえます。(つづく)

<福岡県福岡市出身、大阪弁護士会・弁護士>

2017年05月24日

◆米朝の間に入ることを強いられた中国

加瀬 英明



米朝の間に入ることを強いられた中国 それでも核開発を続ける北朝鮮


私は北朝鮮が、向う6ヶ月は核実験を行うことはないと、予想している。

トランプ大統領は4月に習近平主席とフロリダで会談して、中国に朝鮮半
島危機について下駄を預けた。中国という龍を北朝鮮に、けしかけたのだ。

習首席は9月に開かれる19回共産党大会で、もう1期5年再選されるこ
とを最優先しており、それまでアメリカとの間に波風をたてたくないか
ら、トランプ大統領に不本意であるが、従わなければならない。  

習氏はアメリカに位負けして、帰国した。トランプ大統領はその時、習氏
と3回4時間会談したが「きわめて良好な信頼関係を築いて、満足してい
る」と、語っている。

習首席は9月までは、朝鮮半島がアメリカの軍事攻撃を蒙って爆発するこ
とがあってはならないから、北朝鮮に自制するように強く求めることとな
ろう。

といって、アメリカの言うままになって、ホワイトハウスの庭に飼われて
いる。ポチ籠にはなりたくない。アメリカと北朝鮮との板挟みになって、
苦慮している。

アメリカは、中国に圧力をかけることも忘れていない。ティラーソン国務
長官が韓国、日本を訪問した足で、インドネシアをまわって、南シナ海問
題について協議した。原子力空母『カール・ビンソン』を中核とする機動
部隊は、オーストラリア、インドネシアを経て、4月末に長崎県沖合に現
れた。

トランプ大統領はオバマ政権が8年にわたって、北朝鮮の核・ミサイル開
発を放置して、中国が南シナ海に次々と人工島をつくって軍事化するの
に、よそ見をしてきたツケを、支払うことを強いられている。

北朝鮮は11年前に核実験をはじめて行ってから、これまで5回実施してきた。

現在、核弾頭を20発あまりもっており、6、7週間ごとに1発生産する能
力があり、2025年までに100発を保有することになろうと推定されてい
る。アメリカ西海岸まで射程に収めるICBM(大陸間弾道弾)を完成す
るのも、時間の問題とみている。

トランプ政権は時間との競争だと見て、何としてでも北朝鮮に核開発を放
棄させようとしている。北朝鮮が大量の核弾頭を持ったら、外貨稼ぎのた
めに、中東や、南米の不法な諸国に輸出することになると、恐れている。

トランプ大統領は習首席がフロリダを訪れた時に、北朝鮮と中国に対して
アメリカの決意を示すために、シリアへミサイルを撃ち込んだ。

だが、北朝鮮の金正恩委員長は、核開発を行ってきたのが正しいという、
確信を強めたにちがいない。北朝鮮が核兵器開発に着手したのは、核兵器
なしに体制を守ることができないと、決めているからだ。リビアのカダ
フィ政権がオバマ政権の軍事攻撃を蒙って倒されたのは、クリントン政権
時代にアメリカの甘言によって騙されて、核開発を放棄したためだった。 

シリアのアサド政権も、オバマ政権が反体制派に武器と資金を供給するこ
とによって、内戦を招いたが、もし核兵器を持っていたとしたら、アサド
政権にも、イラクのフセイン政権にも、手出しできなかったはずだ。

今後、北朝鮮が核実験を行うことを控えれば、核開発の速度を遅らせるこ
とができよう。だが、実験しなくても、核弾頭の小型化や、性能を向上す
ることができる。