2017年05月20日

◆蔡英文執政1年の成績表

Andy Chang



5月20日に蔡英文が台湾の総統に就任して満一年になる。就任当時
は支持率が70%もあったのに一年経った今では支持率が40%である。
台湾人の総統で立法院で民進黨多数という「完全執政」を得たにも
拘らず、サラリーと労働階級、中台関係、転型正義、司法改革と財
政経済の五つの分野ですべて40%以下の評価で、民間では政権に対
する不満は68%に達していると言う。

蔡英文はアメリカから現状維持を強いられ、中国から92共識(台湾
は中国の一部)主張を強要されたためWHO(国連衛生組織)に観察
員として参加する事も拒否された。国内では国民党と外省人の跋扈
を抑えきれず、中華民国体制を維持すれば台湾独立は難しいと厳し
い評価を受けている。それでも蔡英文の任期はあと3年あるから今
後の発展に期待すると言う者は70%に上る。この1年間の成績を行
政、立法、司法、経済、軍事の分野で評価してみよう。

●行政改革

行政院長(総理大臣にあたる)林全は外省人で親民党員である。蔡英
文は閣僚に外省人を多く起用しているので外省人や国民党の勢力強
大で政策の施行に妨害を繰り返している。現状維持で外交方面に進
展はなく、世界の政治ニュースは殆ど台湾に伝わっていない。中国
は「92共識」を認めろと圧力をかけ、台湾が国際衛生組織(WTO)
に観察員として参加することも拒否された。

人民の蒋介石銅像の撤去運動に対し、マフィアに属する外省人が八
田与一の銅像の首を切る事件が起きた。犯人2人がフェイスブック
に堂々と名乗りを上げても政府は彼らを逮捕できない。政府が進め
る年金改革と週休2日の実施に対し反対デモが多発した。

アメリカかパナマ文書を発表して台湾の兆豊銀行がマネーローンダ
リングに関与していたことがわかったが誰も逮捕されず、その後メ
ディアはこの事件の報道さえしなくなった。在野の評論家が日台関
係の改善、日台防衛協定の締結を提案しても蔡政権は相変わらず尖
閣諸島は台湾の領土であるとか、南シナ海の太平島は中華民国領土
であるなど主張している。

●立法院の議題

立法院(国会)は民進党が大多数だが、国民党の妨害が激しくほとん
どの議案に反対、暴力で票決を拒否し、議会の外では連日抗議デモ
である。

国会の主要議題は国民党が違法接収した旧日本政府の資産の返還、
軍公教の年金改革、週休2日制度の実施の3つである。この3つの
うち国民党資産の調査委員会を設置したが調査は難航し、年金改革
は国民党議員の反対と街頭デモで進展しない、週休2日制度は雇用
側の反対が強力で進展しない。民進党側は国会多数だが事々に国民
党の反対に譲歩を繰り返している。

●司法改革

人民が蔡英文に最も期待していたのが司法改革だったが、人民が最
も失望したのも司法改革だ。法務部長(司法部長)は台湾人だが司
法改革は殆ど進捗していないし、人民の期待する主な法律事件、例
えば陳水扁冤罪の再審査と判決、転型正義に関わる調査は進展して
いない。

司法部には情報処、検察機関などが直属していたが詳細はかなり不
明である。法務部長は去年、司法部特捜部の廃止を述べたが、その
後の進展は不明である。この他に司法部に属さない国防部軍事調査
局と呼ぶ組織がある。

この組織は古い蒋介石時代からあった情報局で、名義も特務処、軍
統局、情報局などから85年に軍事情報局に改称された。国民が最も
忌避するのは国民党特務だが、特務機関が幾つあったか、人民に対し
どの様な秘密調査をしていたか、冤罪事件などは今もって五里霧中で
ある。

●経済発展

蔡英文の主要任務の一つは馬英九時代に落ち込んでいた経済を立て
直すことだった。蔡英文はハイテクの新発展をITからAIへ、そし
て電子工業から生化学へと重点を変える。中国依存の経済を自立経
済へ発展させる。南進政策を取るなどだった。

この1年の間に南進政策は少しずつ成果を上げ、株式と台湾元は上
昇気味だが、土地不動産は下落を続けている。憂慮すべきは中国の
経済侵略が台湾企業を買収し統一路線を進めていることである。

●軍事方面の評価

蔡英文の起用した国防部長馮世?は外省人である。国民党時代から
今まで軍の上層部は外省人によって占められていた。この状況は変
わってない。しかも退役将軍たちが何人も中国を訪問したり永住し
たり、軍事情報を流した事件は多い。今年に入っても現役軍人のス
パイ事件が二件起きた。このような軍隊が中国と戦えるはずがない。
馬英九は義務兵役を廃止して志願制にしたがたちまち兵力が不足し
てしまった。いくら最新武器を購入しても士気が上がらなくては戦
にならない。

蔡英文は軍備更新を目指してアメリカからF-35やミサイルの購入
を要請し、潜水艦の自力建造計画を発表した。だがアメリカがスパ
イ事件や外省人の跋扈する台湾の軍隊に最新武器を提供するはずが
ない。蔡英文は武器購入よりも早急に台湾軍の再構築を進めるべき
である。

以上簡単ながら蔡英文の成績を採点してみた。成績が芳しくない事
に対し蔡英文は、「夜明け前の暗さだ。これからどんどん明るくなる」
と述べた。人民の評価が低迷し、政権の各部門で問題続出だからア
メリカは信用しない。要は平和を維持するだけでなく国際評価、最
も大切なのは外交である。現状維持で外交が停頓すれば台湾の国際
的地位は下がる。蔡英文は早急に日台関係の改善と、アメリカや諸
外国が信頼できる国となるべく努力すべきである。



◆ワナクライ(ハッカー集団の世界同時襲撃)

宮崎 正弘



<平成29年(2017)5月19日(金曜日)弐 通算第5298号> 

 〜ワナクライ(ハッカー集団の世界同時襲撃)、中国の被害も甚大だった
  大学、ガソリンスタンドなど被害は3万件〜

 ワナクライの被害実態は中国でも甚大だったことが判明した。

政府機関、企業、大学など3万件の被害が報告され、とくに430の教育機
関にPCにランサムウエア感染が確認された。政府の情報機関関連、行政
府、鉄道駅などでも760台のPCが被害を受けていた。

 CNPC(チャイナペトロ)本社が被害にあったため、全土2万のガソ
リンスタンドもガソリン供給に支障が生じた。

 香港でも行政府の機関、システムのPCにランサムウエア感染が確認さ
れ、被害は1700台だった模様。
 世界同時奇襲というハッカーの犯罪は、これから凄まじいほど深刻は危
機をもたらすと欧米のインテリジェンス機関は警告している。

        

◆新聞の責任

渡邊 好造



大学在学中のことだが、M新聞記者を永年経験された方の週1回1時間半の4回集中講義「新聞学」を受講したことがある。

その講義の評価は、論文提出であった。

テーマは「新聞の責任」で、中味は自由。後で分ったことだが自分の意見が述べられていれば、たった一行だけでも優良可の最高合格点”優”が与えられた。

この時筆者が提出したのは、「記事は客観的に記述するのが新聞の責任」であった。

記事の書き方に、記者個人の考えへ誘導しようとするかのような書き方は気に入らない、といった内容である。

例えば記事のこんな結びの書き方―。

 1) 、、、今後各方面の批判を呼びそうだ。
 2) 、、、この件論議を巻き起こすに違いない。
 3) 、、、といった狙いがある、との見方がある。
 4) 、、、今後を占う意味で注目される事態だ。
 5) 、、、といった点は当事者にとって最大の難問になる。
 6) 、、、この結果は今後の行方にも影響しそうだ。
 7) 、、、より一層の責任が問われる。
 8) 、、、といった声が多く、このままだと一波乱ありそうだ。
 9) 、、、など事態の悪化は避けられそうにない。
10) 、、、予想以上に厳しい状況に追い込まれている。

といった表現の仕方だ。

客観性がなく、なんの根拠も示さずにまるで、世論がその方向に向かっているかのような記事の結び方はケシカラン、という他はない。

改めて在学中のことを思い出しながら最近の新聞を読んでみると、今もこうした表現の仕方は変っていないことに気づかされる。

1)〜10)のような見解には根拠が必要なのに、どう読んでも記者個人の意見なのではないかと思わせる場合がある。

社会面や経済面でも散見するが、納得のいかないケースは政治面に多い。

こうした気になる記事の書き方は未だに残っていて、上から目線で読者を馬鹿にしているように感じる。

新聞は週刊誌の視点と同じであってはならない。

当り前のことだが、記事内容は客観的な論拠を示すことが肝要で、もし記者個人の意見を述べ、世論を誘導したいなら氏名を明記したそれなりのコーナーを設けるか、”社説”として掲載すべきではないか。(完)

2017年05月19日

◆朝日と民共の「加計疑惑」は空鉄砲に終わる

杉浦 正章  
         


偽メール事件と虚偽性で共通項
 

野党は国家戦略特区の成果を見よ                


朝日新聞が勝手に作った「加計疑惑」は、読んでいる方が恥ずかしくなるような根拠レスなセンセーショナリズムに満ちあふれている。政府内部の政策調整で「総理の意向」と使われた言葉を、まるで「首相の犯罪」と言わんばかりのおどろおどろしい紙面構成である。長期政権でその力をまざまざと感じている官僚たちは、勝手に水戸黄門の印籠よろしく「総理の意向」を振りかざして他省庁をひざまずかせる傾向がある。しょっちゅうやっている事なのだ。もちろん違法性などはゼロである。


おまけに官房長官・菅義偉が「怪文書」呼ばわりしているように、悪名高き「天下り文科省」の備忘録のような脈絡のない文書だ。蓮舫は鬼の首でも取ったかのように「究極の忖度(そんたく)があったと聞いている。内閣総辞職に値する」と息巻いているが、偽メール事件で民主党執行部が総退陣に追い込まれたことを忘れたかと言いたい。文書は偽ではないとみられるがその虚偽性には共通項がある。根も葉もない“疑惑”追及は、必ずブーメラン返しにあう。おそらく追及は空鉄砲に終わるだろう。
 

それにこの加計学園問題は既に3月に国会で取り上げられ首相安倍晋三は「もし私が働き掛けて決めたならば責任を取る」と究極の否定をしている。福島瑞穂に「安倍政権のイメージを落とそう、安倍晋三をおとしめようと質問するのはやめた方がいい」と色をなして反論した。この発言でけりが付いているにもかかわらず、朝日はぶり返した。その内容は加計学園が国家戦略特区に獣医学部を新設する計画について「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だと聞いている」などと内閣府から文科省が言われたというもの。


民共はこの記事に飛びつき、例によって「朝日+民共」による追及の構図が出来上がった。昔社会党が強かったころは、独自の調査によって自民党政権の虚を突いたが、今は朝日の記事を見て追及するというだらしのなさだ。
 

記録文書はおそらく本物の備忘録であろう。文科省の幹部間で共有されていたたものだが、リークの背景を推定すれば、天下り問題でマスコミから完膚なきまでに叩かれ、組織がガタガタになった文科省の実態がある。それに加えて内閣府から加計学園問題で主導権を奪われ、獣医学部の今治市誘致が実現することになった。おそらく人事で左遷されそうな幹部が、安倍を逆恨みして破れかぶれのリークをしたのではないかとさえ思われる。
 

朝日の追及の根底には、安倍が加計学園理事長加計孝太郎とロサンゼルス留学中から40年来の付き合いであることから、怪しいという邪推があるように思える。しかし、首相たるものは、人脈の形勢によって成り立っている側面があり、その幅が広いほど安定政権となる傾向がある。新聞の首相動静を見るがよい。まさに人脈のるつぼの中心に首相がいることが分かる。しかし、その人脈といちいち怪しげな関係を持っていたら、首相職はとても持たない。すぐに潰れる。朝日の“読み”は甘いのだ。
 

加えて朝日の示唆しようとしている核心は、国家戦略特区の推進がらみで安倍が加計学園の頼みを聞いて今治市に設置するように動いたという疑惑であろう。しかし、国家戦略特区はアベノミクスの柱であり、安倍が特区を推進したのは加計との癒着があるからではあるまい。


全く逆だ。推進した特区の中に今治と加計が存在したのだ。おりからアベノミクスは社共の反対と、マスコミの懐疑論にもかかわらず、GDPの年率2.2%増の長期間成長を達成した。06年以来の快挙だ。有効求人倍率は東京で2倍であり、銀座を歩けば世の中は「平成元禄」の様相だ。まさにアベノミクスの推進という大局観がそこにあり、加計の新学部などは、安倍の眼中にはない。安倍が全国に散らばる戦略特区推進にハッパを掛けたからといて、民共は「ハッパ罪」で追及出来るのだろうか。例えば、民進党最高顧問江田五月と加計孝太郎の写真がネットに出回っているが、蓮舫はそれだけで江田を追及するのだろうか。
 

官房長官・菅義偉は18日「国家戦略特区は、何年も手がつけられなかった規制の岩盤にドリルで風穴を開ける制度だ。獣医学部の新設も、長年実現できなかったまさに岩盤規制だ」と述べた。75年から15回申請しても文科省が却下していた学部新設が実現できたのは、特区推進のたまものであり、さらさら左翼から疑惑の焦点とされる類いのものではない。


繰り返すが加計問題の構図は金銭の授受など贈収賄めいた事実は全くなく、そこに存在するのは文科省の逆恨みだけということだ。矜持(きょうじ)あるマスコミなら狂ったようにトップで報道する類いのものでもない。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

◆「措置入院」精神病棟の日々(40)

“シーチン”修一 2.0

だいぶ前のことだが、タクシーを拾ったら個人タクシーで、かなり旧型の
車だった。「この車、ずいぶん大事に使っているね」と声を掛けると、
待ってました、とばかりに運転手さんが話し出した。

「もう○年(失念)になりますがね、エンジン以外は全部交換しています
よ、ボディも交換しました」

一般的にタクシーは1日300キロを走るという。運転手は交代しても早朝か
ら深夜2時までは走っているのが普通だから、そのくらいの距離になる。
そうしないと経営が成り立たないからで、車を遊ばせておくようなことは
しない。

個人タクシーの場合は1日200キロほどだろう。週6日で1200キロ、月間
5000キロ、年間6万キロ、地球1周半だ。10年で地球を15周もするが、あま
り走らない自家用車でも3〜4万キロでエアコン、ラジエーターがまずいか
れるから、タクシーだと「心臓=エンジン以外は全取り換え」になるのだ
ろう。

奄美の88歳の義母が具合が悪くなり入院したが、心臓弁膜症のようだ。カ
ミサンは急きょ、様子見に行ったが、小生は「外科医はすぐに切りたがる
が、高齢での手術はQOL(生活の質)が大きく低下し、本人が辛い思いを
するからやめた方がいい」と、自分の経験からアドバイスしておいた。

夕べ遅く帰宅したカミサンに義母の容態を訊くと、本人は元気だが、心臓
への負担を抑えるために酸素ボンベを使い、腹水を溜まらないように利尿
剤を使っているという(排尿チューブで寝たきりだから筋肉が衰え、退院
してももはや歩けまい)。

きょうだい3人で相談し、基本的に手術をせず、本人負担が少ない薬剤投
与などに頼ることにしたそうだ。いい選択だと思う。

義母から小生へのお土産は「買ったけれどほとんど使っていない」腰痛用
ベルト。早速腰に巻いたが、とても具合がいい。ただ、夏にはアセモ対策
が必要だろう。

不老長寿・・・人間の欲望は際限がない。移植やips細胞による再生医療
などで、やがては超高齢、たとえば90歳代でも心臓病などで手術する時代
が来るのかもしれない。100歳代の老人が「脳ミソ以外は全部取り換えま
したよ、アッチも元気です、ハッハッハ」なんていう、夢というか悪夢の
ような時代になったりして・・・

その頃には70歳現役が当たり前になっているかもしれない。今でも農村で
は60歳までは自治会の青年部、雑巾掛けが当たり前で、元気なら75〜80歳
でも現役だろう。人工臓器やAIなども発達するから、人間は限りなくロ
ボットになり、ロボットは限りなく人間になり、「人間・ロボット共生社
会」とか「ロボット差別禁止条約」なんかが当たり前になるかもしれない。

ロボットと人間の違いはもはや分からなくなる。「体の左側はほとんどア
シスト機械だし、右側も人工細胞筋をずいぶん使っているからね、生まれ
た時から残っているのは左脳くらいかなあ」なんていう会話が普通になっ
たりして・・・

劇画「MASTERキートン」には感情や思考を含めて人間とまったく変わらな
いロボット夫婦が登場するが、神は己に似せて人を創り、人は己に似せて
ロボットを創るのか。オーウェル「1984」の続編として「2084」を書いた
ら話題になるだろう。「ロボ出身の米国初の大統領にアトム・O・チャノ
ミーズ氏就任」とか。

難しい話はさておき、New Wave(NW)による Sentence Spring(SS)逆襲が始
まったようだ。新潮社VS文藝春秋、出版業界の大手同士(紀伊国屋書店の
2015年出版社別売上で7位と6位)の正面衝突で、産経を含めた新聞は両社
とも大事なスポンサーだから困惑しているのではないか。

5/18産経に載った週刊新潮の広告「スクープ至上主義の陰で『産業スパ
イ』!新潮ポスターを絶え間なくカンニング!『文春砲』汚れた銃弾」。
その昔「疑惑の銃弾」というのがあったっけ。

SSはNWの中吊り広告(電車内の交通広告)を掲載前に取次店(大手出版社
は取次店の優良顧客)を通じて秘密裏に入手していたようだ。産経の取材
にSSは「情報を不正、不法に入手したり、それをもって記事を書き換えた
り、盗用したなどの事実は一切ない」と反論しているが、「情報収集過程
についてはお答えしていない」と逃げている。

己のモラルが問われているのに「ノーコメント」(=あれこれ言いたくな
い)ではなく「お答えしていない」だと。マレーの虎のように「イエスか
ノーか!」とテーブルをドンと叩きたくなるね。SSが取材にきたら「その
件についてはお答えしていない」と回答しましょう。浮気がばれたり、テ
ストの際でも使えるから今年の流行語大賞になるのではないか。

小4から週刊新潮を読んでいたことなど、また月刊文藝春秋をリベラル色
が強すぎると嫌っていることから小生はNWファンで、いろいろ縁もあるの
だが、ダーティーな手で情報をやりとりしていた関係者は出版界を追放さ
れるべきではないか。

発狂して精神病棟に追放された小生の心理検査「SCT/文章完成法テスト」
の続きから小生の妄言(「 」内)を以下、お伝えする、じゃなかった
「聞かれもしないのにお答えします」。

6:私の母「の介護を5年ほどして、母は92歳で大往生した。夜中の11時に
麦茶を飲ませたら『ああ美味しい』。これが最後の言葉になった」

7:もう一度やり直せるなら「○○になりたいとか言う人がいるが、私は同
じ失敗、同じ成功を繰り返しそうだ。スリル満点!」

8:男「はエサを運び、女は家庭を守る、素晴らしいコラボだ。今は共稼
ぎが当たり前、もう昔には戻れない。残念だ」

9:私の眠り「は、9時就寝、4時起床が永年続いている。2時間おきにトイ
レで起きるが、自然である。気にすることはない」

10:学校では「小学時代は並、一念発起した中学では上位、高校ではドン
ケツからトップクラスになった。カメがウサギを追い越した」

11:恋愛「はほとんど失敗した。もてない。唯一カミサンに拾われ、まあ
まともな人生を歩めた。カミサンのお陰である」

12:もし私の父が「戦争に勝っていたら職業軍人の道を歩んでいたろう。
小生も軍人になっていたに違いない。歴史に if はないか」

13:自殺「したいと思ったのは、この世は生きるに値しないと悟った小6
の時で、『父母は死ぬまで悲しむだろう』と断念した。50歳で自殺未遂」

14:私が好きなのは「静かな暮らしだ。晴耕雨読。兼好法師のごとく隠
棲、時々交流、偶に旅、日記・・・徒然なるままに過ごしたい」

15:私の頭脳(あたま)「は知と痴を行ったり来たりし、それぞれで成功
も失敗もした。失敗は成功の元、逆も真也」(つづく)2017/5/18

◆トランプにプーチン大統領から応援歌

宮崎 正弘



<平成29年(2017)5月18日(木曜日)弐 通算第5296号> 

 〜窮地のトランプにプーチン大統領から応援歌  「ラブロフ外相との会
話報告を読んだが、機密はなにもなかった」〜

5月17日、ソチで記者会見に臨んだプーチン大統領は、記者団の質問に答
えるかたちで、さきのトランプ大統領とラブロフ外相との会談内容の翻訳
報告書に触れ、「機密に値するような内容はなかった」とした。

「アメリカの政局は精神分裂症に冒されている」とも発言したとクレムリ
ンに近いRTレポートが報じた(ワシントンタイムズ、5月17日)。

 「もし米国連邦議会が、会談内容を知りたいのであれば、ロシアはそれ
を提供する容易がある」とプーチンはさらに踏み込んで発言しており、窮
地に陥ったかにみえるトランプ政権への助け船。

明らかに米国に貸しを作って、ロシアは外交上の得点を稼ごうとする作戦
だが、これではまるで応援団。

「トランプ大統領が会話した内容に機密があったとしても、大統領は情報
源を知らない」(マクマスター大統領安全保障担当補佐官)。

したがって大統領が機密情報を漏洩したということにはならない、という
のがホワイトハウスの立場である。

むしろ、過剰な報道を続ける米国のリベラル・メディアの体質(まったく
日本の左翼新聞と野党のつまらない駆け引きや、些末な事件を針小棒大に
騒ぐのは同じ穴の狢だが)が深刻な問題であることには間違いがないだろう。

       

◆離党後、真価が問われる長島氏

櫻井よしこ



「言論テレビ」で衆議院議員の長島昭久氏が語った。これまで幾度か、離
党の意向を示して揺れた氏が本当に民進党を離党した。決断は如何にして
なされたか。

「蓮舫氏が代表選挙に出た昨年9月、私は共産党との関係を白紙に戻すこ
となどを要請しました。しかし、蓮舫氏は何もしませんでした」
 
民進党は「次の選挙」や「国会の次の質問」など、眼前の課題や、蓮舫氏
の二重国籍問題にとらわれ、長期戦略を考えられないと指摘する。

「日米安保、自衛隊、皇室、私有財産、エネルギー、テロ等準備罪。共産
党と折り合えない事案を全部曖昧にして選挙協力する。政権を共に担うこ
とはしないから、受け入れてほしいというのは通用しない。有権者に対し
て不誠実です。これが私の最終決断の理由です」

「2009年に政権をとるまでは、当時の民主党は現実的でした。政権を担う
ため政策を練り、賛否を決めた。03年の有事法制は与党と折り合って賛成
した。しかし、2年前の安保法制は完全に政局にしてしまった。テロ等準
備罪も反対、TPPも消費税も自分たちが提案したのに反対。全て、何で
も反対になっていった」
 
そう語る長島氏自身、安保法制に反対した。政治家としての信条を曲げた
と批判されても仕方がない行動だったのは事実だ。氏は語る。

「僕らは以前は、共産党を外して自民党と競った。いまは共産党に引っ張
られて、かつてのような現実を見詰めた議論はなくなっています。安倍首
相が右なら、民進党は左というふうに、反安倍を旗印にした全員集合体制
で、議論は不毛な二極分化に突き進んでいます」
 
共産党との選挙協力について、党内議論は殆んどないとも氏は語る。

「選挙を有利に戦いたいという思いばかりが先行しています。私の選挙区
(東京21区)では前回、共産党候補者が3万5000票とりました。共産党候
補が不出馬なら、その票は恐らく民進党により多く流れるだろうという期
待、これだけなんです」

「そのようなまとまり方で、もう一度政権交代だ、2大政党制を実現する
と考えるのが民進党現執行部でしょう。完全な空回りです。私は2大政党
制はすでに幻想だと思います」

共産主義化を目的
 
では長島氏はこれからどのような政治活動を目指すのか。

「日本は、ドイツのような複数政党による連立政権に向かうのがよいと考
えます。自分は、保守の枠組みの中で現実直視の政策を推進する力になり
たい」
 
月刊誌『正論』6月号に、氏は「真の保守を標榜する立場から言論空間に
おける左右と国会における与野党の主張を包摂し」「中庸の思想」を実践
したい旨、書いている。
 
長年の交流がある氏だけに、非常に違和感を覚えると言わなければなら
ないのが残念だ。右と左を「足して2で割る」という単純な話ではない
と、氏は断っているが、世界情勢が大変革を遂げる中で、いま、日本が行
うべきことは、中庸ではないだろう。「真の保守」という言葉にどんな意
味を込めているのか、改めて、政治家としての氏の覚悟を聞きたいと感ず
る次第である。
 
それにしても、迷走を続ける民進党を去るという意味で、氏に続く政治家
はいないのか。鷲尾英一郎、吉良州司、北神圭朗各氏らの顔が浮かぶ。民
進党の現状に不満を持つ原口一博、前原誠司、細野豪志各氏らはどうか。
 
彼らが民進党に、いまより危機感を強め離党に傾く時は意外と早いかも
しれないと、実は私は考える。理由は明白だ。民進党が共産党に接近すれ
ばする程、民進党は変質し、食われてしまうからだ。
 
党員30万人、党支部2万、地方議員2800人超という基盤をもつ共産党に比
べて、民進党の組織は脆弱極まる。一旦協力すれば飲み込まれるのは確実
だ。飲み込む共産党は『日本共産党研究』(産経新聞政治部著、産経新聞
出版)で指摘されたように、「普通の野党ではない」。彼らは、1922年、
旧ソ連のモスクワに本部を置くコミンテルン(共産主義インターナショナ
ル)の日本支部として誕生した。全世界の共産主義化を目的とするコミン
テルンの「日本支部」である。
 
他の政党とは異質な共産党の本質を、『共産主義の誤謬』(中央公論新
社)で、福冨健一氏が非常にわかり易く描いている。氏はまず、世界の先
進国でいまも共産党が躍進しているのは日本だけであり、日本共産党の綱
領は「コミンテルンで承認された内容」だと警告する。他党、たとえば自
民党が自民党の政治家と党員の意見を反映させて党綱領を決定するのとは
異なるのだ。

危険な安全保障政策
 
日本共産党はどのような国の形を目指しているのか。5月3日、BSフジ
の「プライムニュース」で小池晃共産党書記局長は「天皇のいない日本国
は想像できない」という趣旨の発言をした。一方、共産党の04年綱領に
は、「一人の個人が世襲で『国民統合』の象徴となるという現制度は、民
主主義および人間の平等の原則と両立するものではなく、天皇の制度は憲
法上の制度であり、その存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意
によって解決されるべき」だと書かれている。
 
不破哲三氏は『日本共産党綱領を読む』(新日本出版社)で「民主主義
の徹底のためには天皇制はない方がいい」と明記し、志位和夫委員長は12
年1月10日、共産党本部の「綱領教室」で「日本の将来の発展の方向とし
ては、天皇の制度のない、民主共和制を目標とする」と語った。
 
小池氏の発言とは裏腹に、共産党が党として、皇室廃止を確たる目的と
して掲げているのは明らかだ。
 
次に自衛隊についての共産党の方針である。福冨氏はそれを、➀日米安保
条約の廃棄、アメリカ軍とその軍事基地の撤退、➁いかなる軍事同盟にも
不参加、➂憲法第9条の完全実施(自衛隊の解消)に向かって前進、とまと
めた。
 
これでは日本は全く無防備になってしまう。こんな危険な安全保障政策を
採用するのは、コミンテルンの日本支部として誕生した日本共産党の闘う
相手は、外国でなく日本だからなのだという説明が、共産党の本質を抉り
出しているのではないか。
 
立花隆氏も『日本共産党の研究(二)』(講談社文庫)で、共産党は
「日ソ戦が起きたら、日本が敗北しソ連が勝つように全力をつくし、その
ためには赤軍に協力し、国内で赤軍の攻勢に呼応して内乱を起こし、その
内乱の成功のためには赤軍の協力を求める」と書いた。
 
ソフトなイメージ戦略の背後に、コミンテルン由来の綱領がある。民進党
はこのような共産党と共同歩調をとるのか。そのことに抗して除名された
長島氏は、政治生命を賭けて激しく闘い続けるしかないだろう。
『週刊新潮』 2017年5月18日号 日本ルネッサンス 第753回


◆トランプの資質 ― 案の定:懸念が次々と噴出!

 
浅野 勝人 安保政策研究会理事長 



ドナルド・トランプは、ロイター通信に大統領職について質問され、「もっと簡単だと思った」と答えました。本音だと思います。

大統領はオールマイティなので、思ったことは何でもやれると思い込んでいたに違いありません。予算は議会のOKがなくては執行できないことや人事が議会の承認を必要とすることを認識していたかどうか疑わしい。司法の壁が敢然と立ちはだかるとは思いもよらなかったはずです。

最高権力者の立場に立てば、ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムスなどマスコミの記者など物の数ではないと高を括っている態度がありありと見えました。ニクソン大統領を弾劾、辞任に追いやったジャーナリストの使命感をまるで理解していない裸の王様の風情です。

1ヵ月余り前(4/10)のブログで次の指摘をしました。
イスラエル紙「イェディオト・アハロノト」は、テルアビブで開かれたアメリカとイスラエルの諜報機関の秘密会議の席上、(2017/1月)「トランプ大統領がロシアとの不適切な関係を結ばないことが立証されるまで」という条件付きではありますが、アメリカ側が「イスラエルの入手した機密情報をホワイトハウスと国家安全保障会議(NSC)に提供するのは中止してほしいと要請した」と報じました。

イスラエル側も「対ロシア政策の変更に伴う、ロシアやイランへの機密情報の漏洩」に懸念を示し、双方からトランプ大統領のホワイトハウスに対して異例ともいえる不信感が表明された模様とのことです。(月刊誌・選択)

「ウチの大統領に機密情報を知らせるとロシアに漏洩する恐れがあるのでホワイトハウスには提供しないでください」とアメリカ側がイスラエル側に要請した模様というニュースです。いくら何でもまさかそんなやり取りが両国に間であったとは考えられませんでした。

ところが、この懸念が的中したことを知らされて、唖然とするばかりです。
5月10日、ホワイトハウスで行われたロシアのラブロフ外相との会談で「私は凄い機密情報について、毎日報告を受けている」と得意げに「イスラム国(IS)は旅客機に持ち込むノートパソコンを使ったテロ攻撃を計画している」と述べ、さらにISの支配地域の地名を挙げて具体的な脅威を語ったとアメリカの主要メデイァが一斉に伝えました。

この機密情報は、イスラエルから極秘に伝えられた「最高機密レベル」のもので、特にイスラエル側から「慎重に扱うよう」求められていたという指摘もあります。この種の情報がロシアを通じて、シリアやイラン、さらにはISに漏れると情報部員の生命が危うくなって情報網の崩壊につながりかねないことが案じられています。なによりも長年にわたって築いてきた同盟国の信頼関係が失われ、安全保障の根幹に穴が開きます。

トランプ・ロシアンゲートは、大統領選挙の頃から疑惑が幾つも重なっています。特に機密漏洩騒ぎの前日、連邦捜査局(FBI)のコミー長官を一方的に解任しました。コミ―前長官は、大統領選挙の折にトランプ陣営とロシア要人との疑わしい接触疑惑、ロシアによるクリントン候補への選挙妨害行為の存否などについて捜査を指揮する最高責任者でした。

しかも、トランプ大統領自ら、執務室でコミ―長官にロシアの大統領選挙への介入疑惑の捜査を中止するよう求めたり、自分が捜査の対象になっているかどうか尋ねたりしたことがFBIのメモに残っていると報道されています。

議会からは、野党の民主党と与党の共和党を問わず、「一つの疑惑が解明されないうちに次の疑惑が指摘される」「コミ―長官の解任はロシア疑惑封じだ」「アメリカ国民の安全とアメリカのために情報収集している人々を危険に晒す」など大統領の資質を疑い、弾劾・辞任を求める声が公然と出て来ています。第2のウオーターゲイト事件になりかねません。

不動産業ただ一筋に巨万の富を築いてきたしたたかなビジネス手法の経験があるだけで、政治家ないしは組織、機構をコントロールする官僚、軍幹部の体験皆無の大統領ですから、もともと懸念されていた資質の欠陥が噴出してきただけのことかもしれません。しかし、それにしてはアメリカ大統領の強大な権限と影響力の大きさは計り知れません。しっかりしてもらわないと世界中が困ります。

そもそもトランプなる人材を大統領に選んだ政治的責任が問われかねない情況を、アメリカ国民はなんと受け止めているのか聞かせていただきたい。赤ちゃんに「ドナルド」という名前を付ける親がめっきり減ったなんていうニュースで誤魔化されたくありません。(元内閣官房副長官)



2017年05月18日

◆トランプ大統領がロシアの機密情報を漏洩した?

宮崎 正弘



<平成29年(2017)5月17日(水曜日)弐 通算第5294号>

 〜トランプ大統領がロシアの機密情報を漏洩した?
  政権内の機密をメディアに漏らした「内部の敵」がいることが、もっ
と深刻では?〜


左翼メディアの暴走ぶりは相も変わらずだが、いま議論の焦点は、5月
10日にトランプがロシア大使ならびにロシアの外務大臣と会談したおり
に、ISに関しての情報を与えことに絞られている。

実査しには、IS撲滅の共同作戦に情報の共有を企図したからで、むろ
ん、大統領にその権限はある。

メディアの過剰な批判はあたらない。

情報を供与した「同盟国」に失礼という解説も、国名を上げての証拠がな
く、たぶんイスラエルだろうが、それならイスラエルから抗議があがって
いるかといえば、それもない。それより問題はトランプ政権の内部に
「敵」が潜んでいることである。

そのほうが国家安全保障問題の文脈では、もっと深刻な問題である。
トランプ大統領が国務省、国防相の副長官クラスの人事を遅らせている最
大の要素は、まず「内部の敵」を炙り出すことに置かれているからだ。

そもそも米国のリベラルなメディアは大統領と一緒に国家の命運を真剣に
考え、ともに国益のために共同歩調をとって歩むという気持はさらさらな
い。トランプを追い詰め、可能なら大統領弾劾に持って行きたい。気に入
らない人物だから、国家の命運より、かれらが気に入らない指導者の排斥
が最大の目的となっているのである。

この点は、日本の大手メディアとまったく同じである。

安倍首相の些細な問題を、針小棒大にスキャンダラスに報道し、なんとし
てでも安部首相の足を引っ張りたい某新聞、某テレビの論調を見よ。

大統領弾劾に関して言えば、ニクソンのウォーターゲートと完全に異な
り、証拠がないうえ、上院は共和党が多数派、最高裁判所判事も保守派が
多数派である。

弾劾を報じているメディアやジャーナリズムは、かれらの希望を一方的に
がなり立てているだけである。

安全保障上、北朝鮮の核ミサイルと同様な危機が迫った。

5月12日に起きた「ワナクライ」事件は、ロシアへの機密情報云々より、
遙かに危険な事態の出来と言える。

北朝鮮にもハッカーの天才がいるという恐るべき現実が浮上したからだ。

これまでにもハリウッド映画製作会社にハッカー攻撃を仕掛け、あるいは
バングラデシュの中央銀行から91億円を不正に送金させたりの「実績」が
ある。

従来、北朝鮮はインターネットに遅れ、コンピュータ技術は後進国とされ
たが、猛烈なシステムの改革によってコンピュータ教育を拡充し、学校で
もデルのコンピュータで授業をしている。


 ▼北朝鮮のハッカー部隊は先進国レベルに達している

なにしろ核開発、大陸間弾道弾をつくってのけた独裁体制。アメリカ本土
をねらうICBMの完成は秒読みに入った。付随するコンピュータ技術、
エンジンや合金技術が躍進した背景がなければ出来ないことである。

北のハッカー部隊はいまや7000名規模に膨れあがり、しかも、この部隊は
通信事情の悪い北朝鮮からではなく、中国遼寧省の丹東や瀋陽のホテルに
陣取って、世界にウィルスをばらまく作戦を展開している。

「ワナクライ」では英国の医療機関やロシア内務省、フランスのルノー、
在英日産などに被害がでた。時差で遅れたが、日本でもJR東日本、東急
電鉄、川崎市水道局、日立製作所に被害が出た。

ところが金融機関が被害を免れている。これはバングラデシュの中央銀行
事件以後、北朝鮮制裁で、世界の銀行のシステムから排斥したこと。銀行
など金融機関がセキュリティ強化を行ったことなどにより、また被害が多
かった国々はマイクロソフトの最新バージョンを使っていなかったことが
主因とされる。

だが、ワナクライ事件など、これから起こるであろう大規模なハッカー犯
罪の嚆矢でしかなく、世界同時に金融システムが奇襲され、あるいは原発
が襲われるなどコンピュータのテロが惹起される可能性が日々高くなって
いる。

こんなおりに内政的危機を回避し、世界のリーダーと連続的に面会して大
胆なメッセージを用意しているのがトランプの戦略である。

トランプは就任後初の外遊に出発する。それも9日間である。

サウジアラビア、イスラエル、バチカン、ブラッセルとイタリアである。

サウジとはオバマ前政権が冷却化させた2国間関係の劇的な改善をなし、
イスラエルとは、パレスチナ問題でおそらく大胆な提案をするだろう。

ブラッセルはNATO首脳会議であり、従来の米欧関係の要であり、同盟
関係の再確認と強化が唱われるだろう。
そして、バチカンとの関係修繕のあと、トランプはイタリアでG7に望む。
        

◆アカシアの雨がやむとき

渡部 亮次郎


言わずと知れた西田佐知子のヒット曲である。「アカシアの雨に打たれて、このまま死んでしまいたい 夜が明ける日が上る・・・」1960年の判安保の歌とあとで評判になった。

日米安保反対闘争を私は仙台でNHK記者として聞いた。23歳だった。鼻の頭に汗をかきながら冷害の心配をせっせとニュースにし、カメラマンの訓練も受けていて、国会議事堂をとりまく安保騒動には全く関心を寄せる暇が無かった。

1960年、昭和35年は心有る者には「大逆(たいぎゃく)事件の真実をあきらかにする会」が発足し、50年前、残虐非道の判決が下された「大逆事件」について、やっと再審を請求する動きの始まった年として、記憶されるべき年である。

しかも大逆事件の経緯を知れば、安保騒動なんかに付和雷同することは、とうてい出来なかった。

「たいぎゃくじけん。明治天皇暗殺計画の発覚に伴う弾圧事件。1910年(明治43)一部の社会主義者の天皇暗殺計画を理由に多くの社会主義者・無政府主義者が検挙され、26名が大逆罪で起訴、無関係者を含む24名が死刑を宣告され、翌年1月幸徳秋水・宮下太吉ら12名が処刑された。幸徳事件」(岩波広辞苑第5版)。

80歳の私ですら大逆事件のことを学校で習ったことは無い。戦後、アメリカ軍は日本の子供たちが自国の近現代史を習うことを嫌ったからである。そのまま成長してしまい、大逆事件の事を知るのは大人になって自分で本を読んでからである。

時は日本がロシアとの「日露戦争」にやっと勝った直後である。「日本政治裁判史録」(第一法規出版)に依ると、世には一種の挫折感がみなぎり、深刻な生活難が実在した。色あせた明治の栄光の陰から、社会主義運動は次第に形を整え、政治の舞台に登場してきたのである。

甲府生まれにして長野県内にある官営明科(あかしな)製材所職工長宮下太吉(34)が明治43年5月25日、明治天皇を暗殺する目的で作ろうとした爆裂弾の材料とともに逮捕されて事件の幕はあがった。

語らった友人、親族それに思想的指導者としての幸徳秋水や、管野スガらが次々に逮捕されて26人にのぼった。罪名は刑法73条「皇室に対する罪」である。

「天皇、太皇太后、皇太后、皇后、皇太子又ハ皇太孫ニ対シ危害ヲ加ヘ又ハ加ヘントシタル者ハ死刑ニ処ス」。どう考えても唆したとされる管野スガ、爆裂弾作りに手を下した4人以外は「口舌の徒」に過ぎない。

しかし、社会主義政党を許可した西園寺内閣を憎んで潰した桂内閣とその陰にいる元老山県有朋は、この事件をいいことに社会主義・無政府主義の根絶を図ろうと企てた。

引っ掛けられた方はたまらない。裁判は大逆罪に限り非公開1審のみ証人無し。検事側の主役を演じた平沼騏一郎でさえ後年「今なら10年ぐらいかかるだろう」と言うのを、証拠調べにわずか20日。なにしろ捜査開始から判決までたった8ヶ月だった。

24人に死刑、うち12人は恩赦で無期懲役となったが、とにかく12人は1週間後に処刑された。恐ろしい時代だったのである。からくも死を逃れた14人のうち3人は獄中病死、2人は自殺、残りはやっと昭和9年までに仮出獄や満期釈放となった。

昭和9年に仮出獄した坂本清馬本人と別の遺族が昭和36年から再審を請求し続けたが昭和42年7月5日、最高裁でも棄却されて事件は闇に葬られた。

戦後は刑法も改正されて大逆罪や不敬罪は無くなった。しかしそれをなくしたのは、占領軍アメリカだった。確かにアメリカは日本から自主防衛の権力も取り上げたので、岸信介首相はせめて相互協定にしようと日米安保条約改定を図ったのである。岸内閣は倒すべきでは厳として無かった。

それを社会党と共産党、労働組合・総評の逆宣伝に乗って全学連などと言って国会周辺で騒いで女子学生を踏み殺した。

ただそれだけの「はしゃぎ」だったのに「空しい」と「アカシアの雨がやむとき」なんぞ歌ってメソメソするとは、いい気なもんだった。

安保騒動の学生が殺されなかったのには大逆事件の犠牲による刑事訴訟法の改正が大きかった。なお、平沼騏一郎の子孫が平沼赳夫氏という。
                         2004.03.22