2017年05月18日

◆石破は「安倍改憲」の岩盤を崩せない

杉浦 正章
 


総裁選多数派工作も伸びまい


自民は年内に憲法改正案作成
 

どうやら元自民党幹事長・石破茂は、改憲論議を軸に来年9月の自民党総裁選を戦う決意を固めたようだ。最近の石破発言から見る限り、総裁・安倍晋三の改憲構想を、12年に作成した自民党草案を盾にとって論破しようという姿勢がありありと見えてくる。たしかに安倍の9条3項に自衛隊追加構想は、国防軍新設をうたった自民党案とは基本概念を異にする。党内論議は白熱化するが、問題は物置でほこりをかぶっていた旧案が、政治論として安倍提案に勝てるかどうかだ。


安倍提案はいわば改憲への突破口と位置づけられるが、石破が旧案を掲げても国民は新鮮味を感じない。地方党員を引きつけられるかどうかも疑問だ。政治的には牽引力がないのだ。大失政や大汚職がない限り総裁選で石破に勝ち目はないと思う。
 

まず安倍のポジションを見ると、「東京オリンピックが開催される2020年は日本が生まれ変わる年。その年に新しい憲法の施行を目指す」として本丸の9条改正に踏み込んだ。内容は1項の武力の行使と2項の戦力不保持をそのままに、憲法に規定がない自衛隊に関する条文を追加させる構想だ。


これに対して石破は真っ向から反対する。まず石破の主張の核心は「自衛隊を加えたときにそれが軍隊なのかという矛盾が続く」という点と「実質的には自衛隊が警察権しか持たない現状の追認に過ぎなくなる」の2点に絞られる。その上で石破は民放テレビで「私に限らず総裁選に名乗りを上げる者は、この問題を絶対に避けて通れない。これを総裁選で議論しないで何を議論するのか」と、立候補を事実上宣言した。加えて石破は「総裁として発言するのなら自民党員に向けて機関紙や党大会で発言すべきだ」と安倍を批判した。


これは明らかに地方党員の支持を狙っている。いまや石破派の参謀的存在である鴨下一郎も14日のTBSの番組「時事放談」で、「来年の総裁選に石破さんは必ず出ると思う」と述べるとともに、同席した民進党玉木雄一郎もびっくりの安倍批判を展開した。
 

もはや石破派は、完全に反主流として行動する姿勢を整えたと見るべきであろう。こうした石破の姿勢は、改憲論議をかき立てることで、自らに有利に事を運ぼうとする総裁選戦略が念頭にある。というのも石破は12年の自民党総裁選で勝ちそうになった体験があるからだ。


同総裁選は初戦で石破が地方票165、国会議員票34で1位となったのだ。安倍は地方票87、国会議員票54で2位となり、両者とも過半数に達さなかったため国会議員による再投票で安倍が108票、石破が89票で、辛くも安倍が勝った。この経験値で石破は来年に向けて、まず地方票から積み上げる戦術を取ろうとしているのだ。深謀遠慮というのだろうか、石破は幹事長時代に総裁公選規定を地方票重視の制度に変更している。内容は決選投票に地方票を加算し、地方票を国会議員票と同数にするというもので、これが実施されれば石破が有利になる可能性があると見ているのだ。
 

しかし石破は肝心のポイントを見過ごしている。それは議員の間で人望が広がらないことだ。石破派も結成以来20人で変化がなく、弱小派閥にとどまっている。12年の総裁選の時のように安倍を初戦で凌駕できるかどうかというと、難しいのではないか。


というのもまず自民党の衆参議員の数が違う。2012年に衆参で203人であったものが4回の国政選挙を経て411人に増加した。倍増させたのは安倍であり、半数が安倍チルドレンということになる。石破が安倍改憲を否定しても、12年の改憲草案など知らぬ議員が半数存在するのだ。また内閣支持率は50%から60%で推移しており、こんな政権は戦後ゼロである。加えて国会議員の投票傾向に地方党員もかなり影響を受ける。まずこの岩盤を石破が崩せるかどうかだ。
 

さらに世論調査で「首相にふさわしい政治家」は時事の調査で安倍22.4、小泉新次郎14.0 、石破9.8の順。FNNの調査でも安倍34.5、小泉11.9、石破10.9であり、いずれも石破はまだ総裁候補になっていない小泉の後塵を拝している。一方肝心の安倍改憲に関する読売の世論調査では賛成が53%で反対35%を大きく凌駕している。改憲発言の前は賛成49%、反対49%と同率だから明らかに国民の支持は安倍改憲にある。
 

こうした中で石破の安倍改憲阻止戦略はどう展開するのだろうか。石破は「改憲草案起草委員会を再開すべきだ」と主張している。ただし「総裁の意向に添う人ばかりが起草委員になって決まってゆくのならそれは違う」と警戒している。起草委員には副総裁高村正彦らの名前が取り沙汰されており、石破に有利な構成になる可能生は少ない。


幹事長代行下村博文は今後の段取りについて「年内にコンセンサスを作り、来年の通常国会には自民党から発議案を出せるようにする。総裁選の大きなテーマになることは間違いない」と述べている。年内に改正案をとりまとめる方向だ。発議案が決まれば、衆参憲法審査会での原案可決、衆参本会議での3分の2以上での可決と発議、60日から180日以内の国民投票、天皇による公布と進む。その節々において大きな波乱が生じる要素となることは間違いない。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

◆対中国外交に思う

真鍋 峰松



まず、この文章をお読み頂きたい。

「正道を歩み、正義のためなら国家と共に倒れる精神がなければ、外国と満足できる交際は期待できない。その強大を恐れ、和平を乞い、みじめにもその意に従うならば、ただちに外国の侮蔑を招く。


その結果、友好的な関係は終わりを告げ、最後には外国につかえることになる。とにかく国家の名誉が損なわれるならば、たとえ国家の存在が危うくなろうとも、政府は正義と大義の道にしたがうのが明らかな本務である。・・・・戦争という言葉におびえ、安易な平和を買うことのみに汲々するのは、商法支配所と呼ばれるべきであり、もはや政府と呼ぶべきでない」。 


キリスト教信者として名高い内村鑑三氏の著書「代表的日本人」中の西郷隆盛の言葉である(1908年原著 岩波文庫 鈴木範久訳)。


この言葉の真髄は“ただ相手国の強大さに萎縮して、うまくやろうというような処世術的外交は避けるべきである。 そうすると、かえって侮られ、それまでの友好関係もくずれてしまう”という一点にある。
 

読めば、この文章、これまでの我が国の対中国外交への痛烈な皮肉と解釈できるような気がする。 戦後数十年かかってここまできた日中の外交関係。この偉大な先人の言葉を無視・軽視するような事態を招くことによりその成果まで灰燼に帰すことのないよう願いたい。


また、過去の日本外交においてややもすれば多々見受けられた“商法支配所”、即ち、経済的利益を重視するあまり、我が国外交を誤らせたという事態も同様である。

幸い、今回の尖閣列島を巡る二国間の衝突に関しては、経済界や財界からの、紛争の早期解決だけを願う声も少ないように思う。それにはそれなりの理由があるのだろう。


周知のように、近年の中国の居丈高な過剰反応は尖閣列島周辺海域の石油等の資源開発に絡んでのことであり、日本においてもこの側面が熟知されている。 これが今回の場合、経済界・財界からの横槍や雑音がない理由であろう。

著しく経済力を増した中国にとって経済カードは強力な武器になる。我が国経済にとってレアアースの輸入停止は甚大な影響を及ぶすとしても、中国経済にとっても多少影響があろう。


だが、全てにおいて政治が優先する社会ではそれは問題にならない。そこで参考になるのは、米国のグーグル社の態度であろう。

自由主義社会の柱とも言うべき情報の自由を求めて中国当局と真正面からぶつかったのだが、これも最悪の場合には撤退もやむを得ないという同社の覚悟があってのこと。

果たして、口を開けば自由主義経済・市場経済の効用を説く日本の財界・経済界の人達にこの覚悟が有りや無きや。 史上初の財界人から登用された日本の中国大使、これにどう対処していくのか、注目したい。


また、事件に関する新聞テレビ等の報道やコメンテーターの解説を見聞きしていると、相変わらず、中国側の国内事情、つまり国家指導者間の主導権争いや貧富の過大な所得格差問題などを取り上げ、訳知り顔で背景説明をしているように見受けられる。

このこと自体は事実なのであろうが、だからどうだと言いたいのだろうか。日本の主張を手控えよ、とでもいうのだろうか。


それより、国際紛争対処の常識として、これら外交紛争に関する政治上の議論は国内だけで止めるべきであり、交渉相手国の国内諸事情を参酌し過ぎる人間や最終的な解決策を持たずして、相手国に乗り込む愚を犯す政治家等が多過ぎるのも困ったことではないだろうか。

こういった国内の無責任な議論や対応で、対外折衝の任にある者の足を引っ張って何になると言うのか。 老獪な中国外交のこと、日本国内の議論の誘発・分断が計られ、結局は日本の国益が損なわれるだけだろう、と思う。


皮肉なことに、中国古典である孟子の離婁篇第四に「夫れ、人は必ず自から侮りて 然る後によそ人もこれを侮り、家は必ず自から毀(こぼ)ちて 然る後によそ人もこれを毀ち、国は必ず自から伐(やぶ)りて 然る後によそ人もこれを伐う。」とある。


つまり、人間というものは、自尊心を失って、自身を軽蔑するようになると、その気持が言動に現れて卑屈、投げやりになり、それが他人の軽侮を招く、他人に軽蔑される原因は、自分が作っているのだ。


自らを持することが厳でなくなると、家を治めることもできなくなって、家は崩壊する。内輪がしっかりしてさえおれば、外圧だけでは決して壊れるものではない。


国家とても同じことで、内に姦邪の臣がはびこり、君主に統御の才なく、国民に不平不満が高まるという末期症状が現れて、他国に攻め滅ぼされるわけであり、明主賢臣がいて善政を布いている限り、自壊作用が起こらず、従って他国の攻め込む隙はない、というのである。


この紀元前4世紀の孟子の言葉は、ひとり我が国のみならず、現代中国の為政者への痛烈な皮肉となり得ると受け止めるのは、私だけではあるまい。

2017年05月17日

◆任鐘晢(文在寅の秘書室長)は

宮崎 正弘



<平成29年(2017)5月16日(火曜日)通算第5291号 <前日発行>>  

 〜任鐘晢(文在寅の秘書室長)は確信的な北の「主体思想」信奉者
 89年、林秀卿(女子大生)の平壌入りを画策し、投獄歴あり、左翼闘士〜

韓国大統領の秘書室長となった任鐘晢は左翼活動家。北朝鮮の主体思想の
信奉者。つまり筋金入りの左翼闘士であるばかりか、北朝鮮主導のもと
で、統一を推進する集団の指導者である。

アメリカが嘗て入国を禁止し、ヴィザを与えなかった危険人物が韓国政権
中枢を担うことになった。

任は1989年に平壌で開催された「平壌世界青年学生祝典」に韓国から参加
した女子大生(当時)の林秀卿を影で支え、政治ショーを演出した。林女
子が金日成と面会した、ソフトな印象を演出するという仕掛け人である。

この反国家的な政治行為は北朝鮮の政治宣伝に加担する利敵行為と見なさ
れ林は帰国後すぐに拘束、起訴された。当時は盧泰愚政権だったから、ま
だまともな判断が出来た。

しかし任鐘晢はしばらく逃亡清潔を送った。

「ヒロイン」扱いされた林秀卿は3年4ヶ月の実刑。その後、米国の大学
院へ留学し、結婚し、そして国会議員(一期)に当選。北朝鮮へ行くと、
彼女をヒロイン扱いした絵画、彫刻が展示されている。

任は文在寅とともに、金大中、盧武鉉らの「太陽政策」を実践し、政治活
動家として活躍を続け、米国に敵対した。この考え方が文在寅新政権の基
本概念である。

大統領就任後、対米政策を修正する発言をしているが、文在寅が任を秘書
室長に起用したことからも、表面的な対米歩み寄りは偽装とみたほうが良
いだろう。

ひとつには韓国に於ける反日教育の浸透が、抗日ゲリラを闘ったという神
話のある金日成を「民族の英雄」とみる歴史認識の転換があり、自主独立
を自給自足の北朝鮮が、韓国の見習うべき目的を、現実を倒錯させる認識
が韓国の若い世代に拡がってしまったことである。

自由や法治、人権を否定する北朝鮮の考え方を咀嚼したうえでの思想では
ない。韓国の 現在の社会状況、イデオロギー的分裂状態は、さらに過激
な政治行動に流れやすい環境となっている。

ところが戦後のアメリカの影響力も韓国社会には一方で強く浸透してお
り、自由の概念が異なる。北朝鮮も中国もまったく自由のない全体主義国
家であり、韓国は曲がりなりにも、「自由」なるものが存在する。

一例が、法を犯し、国是を踏みにじって敵対国家の政治宣伝に加担した林
秀卿への判決が僅か3年、しかも出獄後は結婚もできたし、海外留学も許
可された。「こんなこと、北朝鮮では考えられない」と脱北者は言う。

脱北して韓国にいる人々は文在寅政権の誕生に不安を募らせ、できれば韓
国から脱出したいと願う者が3000人以上いるという。


 ▼なぜ韓国は反共の砦から親北に様変わりしたのか?

だが、緊張緩和以後、とくに1987年にマルクス主義と共産主義を教えるこ
とも韓国で許可されて以来、左翼かぶれで海外留学帰りの大学教授ジャー
ナリストが幅を利かせ、一部の反共保守主義は反動として顧みられなくな
り、価値観の大変動が起こって、アメリカへの信頼が希釈化されていた。

「主体思想派が韓国の左派運動の中核になるのがこの頃だ。彼らは韓国の
現代史を徹底的に否定する『反韓史観』に心酔している」(西岡力、産経
『正論』5月12日)。

「これは恰も1930年代の大不況に際してアメリカに共産主義への信仰が蔓
延したような熱狂と同様な新しい考え方への魅力に取り憑かれ、異物の思
想が社会に渦巻いたことに状況は似ていた」(ブラッドレイ・マーチン
『アジアタイムズ』5月14日号への寄港)
 
こうした奇妙な史観、思想の蔓延は韓国に於けるリベラリズムの特異性に
あると指摘するのは倉田秀也(防衛大学教授)である。

「韓国の進歩主義は、市民的価値を民族的価値の関係性から位置づける。
したがって、人権などの市民的価値と民族的価値が拮抗したとき、進歩主
義は民族的価値を優先する」(中略)これは「日本政治の文脈でいう『右
派』に近い。」(産経『正論』5月15日)。

このムードを知悉している北朝鮮は『話し合いで統一すべきだ』と主張
し、韓国の無知な学生等は、北朝鮮の指導者の言葉をうっかりと信じる。
その典型が林秀卿だったわけだ。その林を背後で煽り、演出した人物が韓
国新政権の黒子となった。

この国の前途から明るさが消えた。
       

◆国益重なる蔡総統の台湾と日台関係強化を

櫻井よしこ




「国益重なる蔡総統の台湾と日台関係強化を 関係法の議論だけでも現政
権の支えに」

台湾総統の蔡英文氏の試練が続いている。2016年初めの総統選挙で台湾
(本省)人の政党である民進党を率いて、外省人の政党、国民党に歴史的
勝利をおさめた。16年5月に総統に就任以降、国民党政権の負の遺産を振
り払おうと攻勢をかけてきた。

昨年12月2日には、その前の月に米大統領選挙で勝利したドナルド・トラ
ンプ氏と電話会談を実現させて国際社会の注目を浴びた。安倍晋三首相と
も近い関係にある。台湾を中国の脅威から守るために、日米両国と緊密な
関係を構築すべく、蔡氏は余念がない。
 
だが、支持率が下がっている。総統就任時の69・9%が、いま、どの調査
でも約半分に落ちている。なぜか。蔡氏を支持してきた元駐日台湾代表の
許世楷氏が語る。

「ひとつは人事に問題があるかもしれません。折角台湾人の、しかも初の
女性総統となったのに、閣僚にライバル政党の国民党の人材が少なからず
入っています」
 
行政院長(首相)の林全氏、外交部長(外相)の李大維氏、それに国防部
長(国防相)の馮世寛氏も皆、国民党に所属する。中国関係を担当する大
陸委員会主任(代表)の張小月氏は国民党員ではないが、馬英九政権の人
材である。

「台湾人が勝利して本省人の政権ができたのに、なぜ、外省人を重用し続
けるのか。外省人が重要ポストを占めているため、中国の脅威に抗い、台
湾の立場を強化するための日本やアメリカとの関係強化が思うように進ん
でいないと見る人もいます。そうしたことへの不満は強いと思います」
(許氏)

許氏の懸念は政策にも及ぶ。現在、台湾議会で審議されている年金制度
改革がそれである。台湾の公務員、教師、軍人などは、定年まで無事に務
め上げて退職金を得た場合、銀行に預ければ、18%という極めて高い利子
を受け取れる仕組みになっている。
 
これは国民党が台湾のエリート層を取り込むために導入した制度だが、同
制度を享受している人々にとって、蔡氏の改革は受け入れ難いであろう。
だが、非現実的な高額の支払いを継続すれば年金制度自体が破綻しかねな
い。そこで蔡氏は同制度の廃止を提案した。これに対して、警察発表でも
12万人という大規模デモが発生した。
 
台湾問題に詳しい門田隆将氏はこう語る。

「蔡さんは非常に頭がよく高潔な人物ですが、庶民の暮しに密着する年金
問題に手をつけることの政治的リスクをまだ十分には知らないのではない
か。このままでは年金制度が破綻して長期的には台湾人が苦しむことにな
る。だから改革だという論理は正しいのですが、それは学者の論です」
 
こうした状況を、百戦錬磨の国民党は巧みに利用して反蔡氏の宣伝を強化
する。殆どのメディアは国民党の資本であり、反民進党だ。加えて国民党
にとって政治宣伝は得意中の得意の分野だ。反蔡氏の情報戦にはまた、中
国本土が陰に陽に介入していると考えるべきで、彼らの手法は巧みかつ陰
湿だ。
 
台湾人で日本国籍を取得した金美齢氏は、「政治は日本も台湾も同じ。長
い目で見ることが大事」と笑う。

「トップが変わっても、その下は中々変わりません。それでも日本は国力
があり、官僚機構もしっかりしていますが、台湾はずっと国民党の支配下
にあったのです。蔡政権が国民党の人材を登用せざるを得ないのも、野党
であり続けた民進党に人材が不足しているからで、必要なことなのです」
(金氏)
 
日本ができることは何か。日本と蔡氏の台湾で、国益が重なる部分が多
いのは自明だ。であれば、こんな時こそ、日台関係強化策として、台湾関
係法の議論を進めるべきではないか。議論するだけでも台湾の蔡政権への
大きな支えとなるのは明らかだ。
『週刊ダイヤモンド』 2017年4月29日・5月6日合併号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1180

◆トランプの「露への機密」が政権直撃

杉浦 正章



米欧同盟にマイナス要因
 

弾劾狙ってリークの幕開け
 

トランプ疑惑のキーマンであるFBI長官ジェームズ・コミーの解任はワシントンのパンドラの箱を開けた。筆者が「第二のディープスロートが出てきて必ずリークが始まる」と12日にウオーターゲート事件との酷似を予言したとおり、早くもリーク第一弾の幕開けとなった。それも数多くのトランプ弾劾理由のトップに躍り出かねないロシアンゲートの超弩級リークでの幕開けである。


筆者がウオーターゲート事件の取材でつくづく感じたのは、「リークという米民主主義の健全性」であった。FBI副長官がリーク源であったことが物語るのは、ことが国家のためにならないとなれば、たとえ自分の立場が体制側であっても、“大統領の犯罪” をマスコミに伝える勇気と義務感の存在だ。

 

今回のケースはニクソンのケースと比べて桁外れに重大性を帯びる。ニクソンの辞任は選挙で対立する民主党陣営への盗聴、侵入、裁判、もみ消し、司法妨害、証拠隠滅などで、いわば内政マターであった。ところが今回の場合は、米国の安全保障を直撃しかねない問題だ。


こともあろうにアメリカの大統領選挙に対するロシアの干渉疑惑であり、トランプを有利に導くプーチンの陰謀の陰がちらつくという事態でもある。その幕開けとなったリークは10日のトランプとロシア外相ラブロフとの会談の内容だ。9日にコミーを切った血刀が乾く間もなく、国家反逆罪に直結しかねない問題をトランプはラブロフに伝えてしまったのだ。

 

その内容は、中東でIS と戦う同盟国から提供されたISのテロに関する最高機密で、ISが爆発物をノート型パソコンに仕組んで旅客機に持ち込むという情報だ。トランプはその情報を得られた都市名を具体的に挙げて、その脅威と対応策を語ったといわれる。ISをめぐる情勢は、米欧連合によるISとの戦いに、アサド政権と組んだロシアとISとの戦い、これに反政府勢力とアサドとの戦いが絡んで複雑に展開している。ロシアに伝わったテロ情報はアサドにも伝わり、ロシアとアサドは情報源を特定し、潰しにかかることも可能だ。


つまり情報提供者や諜報員が生命の危機にさらされる可能生すらあるものだ。トランプは当然機密情報だと念を押した上で報告を受けたものだろう。それをトランプはこともあろうにロシアという潜在的な敵対国に“自慢げ”に知らせてしまったのである。米国と一緒に戦っている英、仏、独など同盟国との関係も毀損しかねない事態であった。

 

しかしさすがに米国である。同席したホワイトハウス高官は、即座にトランプが危険な情報を伝えたと気付き、中央情報局(CIA)と国防総省の諜報機関である国家安全保障局(NSA)に伝達、善後策をとるように指示している。従って今回のディープスロートがホワイトハウスなのかCIAなのかNSAなのかは不明だ。まさに大統領自身が国家反逆罪に問われかねない展開である。
 

このトランプ発言に対しては野党民主党が挙げて批判を展開しているのは当然だが、共和党からも批判の声が上がっている。上院外交委員長コーカーはテレビに「政権は悪循環に陥っている。規律が欠如しており、その混乱が厄介な状況をつくり出している」と指摘した。また上院軍事委員長マケインも「驚くべきことだ。本当なら憂慮すべき事態だ」と発言している。問題はこのリークはほんの皮切りであり、今後次々とリークが続くものと予想しなければなるまい。

 

ロシアンゲートは既にFBIがトランプの選挙陣営に対して捜査を行っており、選挙陣営とモスクワの共謀は確実視されている。問題はトランプ自身がそれを知っていたとすれば、大統領が犯罪を隠匿するという重罪を犯したことになる。また共謀にトランプ自身が加わっていたとすれば国家反逆罪となり、弾劾の明白なる理由となる。


このロシアとの違法な関係に加えて弾劾に持ち込める理由は、脱税疑惑、事業関連の利害相反、チャリティーの悪用、トランプ大学の違法性など13のケースが挙げられている。弾劾裁判に持ち込む場合には、過去に犯した行為の違法性が一つでも証明されればよいとされており、まさにトランプは、山のように弾劾要因を抱えているハチャメチャ大統領であることになる。



ちなみに合衆国憲法第2章第4条[弾劾]では、 大統領は、反逆罪、収賄罪その他の重大な罪につき弾劾の訴追を受け、有罪の判決を受けたときは、その職を解かれるとなっている。弾劾裁判はまず下院の過半数の同意に基づき、上院が3分の2の多数で可決された場合のみ実現する。下院で過半数を得るには民主党議員193人に、共和党が23人同調すればよい。今後のキーポイントは来年秋の中間選挙で「トランプ問題」が最大のテーマになる可能性があることだ。民主党はもちろん共和党も選挙民の支持を得るためには反トランプに回らざるを得ない事態が予想される。


従って中間選挙前にトランプ退陣を実現させるかどうかがカギとなる。まだリークは端緒に就いたばかりであり弾劾が確実視されるまでには時間がかかる。

       <今朝のニュース解説から抜粋>    (政治評論家)

◆「平戸つつじ」満開に感動

毛馬 一三



大型連休のある朝、愛犬散歩で大阪「大川」支流の「城北川堤防」を散策していた時、堤防沿いの花壇に真っ赤な花で彩られた満開の大量の「平戸つつじ」を見た。大型連休の愉しみのひとつは、「平戸つつじ」の閲覧だ。

今年の連休は不安定な日和が続いていた所為か、ほとんどが満開ではなかった。この日は、たまたま早朝からの強い陽射しと暖かい陽気だったので、見ただけでも約1000本の「平戸つつじ」が総て「赤」大輪の花を溢れさせ、その素晴らしさと規模の大きさに驚かされたのを思い出す。

「平戸つつじ」は、古くから長崎県平戸市で栽培されてきたことが、名前の由来とされている。1712年に出た『和漢三才図会』にはすでに「ヒラドツツジ」の名で紹介されていた。交配が重ねられ数多くの園芸品種がある。 平戸市の崎方公園には300種からなる原木園がある。『ウィキペディア(Wikipedia)』

「平戸つつじ」は、福岡県久留米市の実家の庭に、祖父が大量に植栽していた。実家の庭には多彩な大小の木々があった。葉桜のあとの季節木を受け継ぐ植木として、この「平戸つつじ」は大切にされていた。

しかも「手入れ」は花後だけに必要なだけで、あまり手入れは不要な珍しい植木だ。こうした手間の掛からない「平戸つつじ」は、造園家に大いに歓迎されていた。「赤色」で満ち溢れた庭先の姿を眺めながら、縁側で家族による「茶会」を楽しんでいたことを、今も思い出す。

「平戸つつじ」は、常緑低木で、ゴールデンウィークの象徴的な大輪。木の先端枝を仔細に眺めると、先端枝には5つほどの真っ赤な花が咲いており、枝の太さは、わずか5ミリほど、高さも10センチほどだ。
しかもその枝には小さな約20の葉を付けている。その細木枝を幾重も束ね合わせる形で、つつじ1本の大輪としている。自然とは素晴らしいとしか言いようがない。

大阪湾に繋がる地元「大川」周辺では、造幣局の「桜の通り抜け」などの行事が終わると春の季節が一段落するが、これに継ぐ形で「平戸つつじ」が初夏の訪れを告げる。「大川」支流の「城北川」堤防で、この移り変わりを大型連休の期間に楽しませてくれる。

序でながら、初夏の陽気が迫ってきた別の様子がこの「城北川」で見られるようになった。「城北川」は川の幅は50メートルほどあるが、水の温度が緩んで来た最近になって「釣り人」が増えだした。

「城北川」は、昭和10年から昭和15年にかけて運河としての利用を目的に掘削された。そのため現在でも「城北運河」と呼ぶ者も多い。しかし昭和の終わり頃になるとこれを運河として利用する船が減ったため、1985年(昭和60年)に一級河川となる。『ウィキペディア(Wikipedia)』

この「城北川」も、「平戸つつじ」と並んで、「淡水魚」の「釣り場」としても知られている。
1週間ほど前までは、川底の温度が低く「淡水魚」の動静も鈍かったため、「釣り人」も現れなかった。

ところが2〜3日ほど前から、姿を見せるようになり、大型連休のある日、平均身長40センチの「鯉2匹、鮒2匹、鰡1匹」を釣りあげた顔見知りの「釣り人」に出会った。釣り上げた鮒の1匹が、何と90センチだったという。

これもまた夕方の愛犬散歩の際の出来事だったが、鰡を釣り上げる瞬間は初めて一部始終を目撃した。この時の緊張感こそ、初夏の季節がもたらせてくれたものだった。
季節の移り変わりに随時接せられるほど、幸せなことはない。
                        

2017年05月16日

◆大風呂敷の「一帯一路」(シルクロード)

宮崎 正弘



<平成29年(2017)5月15日(月曜日)通算第5290号>  

〜大風呂敷の「一帯一路」(シルクロード)、北京で会議は踊ったが
  2030年までのプロジェクト総額は26兆ドル(3000兆円)〜

5月14日から、北京で習近平の政治生命をかけた「一帯一路フォーラム」
が開催され、プーチン、ドウテルテ(比大統領)、アウンサン・スー
チー、米国からはトランプ特使としてポテンガー代表、日本からも経団連
会長、自民党幹事長等が参加した。

当面、中国は具体的プロジェクトに1130億ドル(邦貨換算で13兆円)を追
加支出するとした。

習近平は基調演説で「アジア、欧州、アフリカの全ての国に裨益する」と
獅子吼したが、直前の「祝砲」は北朝鮮からだった。

金正恩は、当日の午前5時半ごろ、日本海へ向けて新型ミサイルをお見舞
いした。

ともかく巨額の打ち上げ花火、未曾有の金額、それこそ天文学的な数字が
鼓吹されている。起債の裏付けは何もなく、中国の銀行が「シルクロード
基金」に追加出資を余儀なくされた。中国開発銀行が2500億元、中国輸出
入銀行が1300億元を追加融資。すべては口約束だ。

中国が計画している一帯一路プロジェクトは、構想されたプロジェクト
が、もし、2030年までにすべて遂行されると仮定すると、その投資金額は
60兆円になる。

すでに中国の経済専門家さえも、この数字に疑問符をつけている。

シルクロート基金は400億ドルの規模で設立され、いままでに60億ドル
を15のプロジェクトに投資し、現在20億ドルを、カザフスタンのプロジェ
クト投資にあてる最終審議中だ。この基金を、あと600億ドル増資する
というわけである。

AIIBの資本金は1000億ドルだが、現在までに決まった融資は僅か20億
ドル。そもそも、AIIBは、まだスタッフが百人しかおらず、審査作業
ができる状態ではない。日米は、この妖しげな銀行には参加しない。

BRICSの方は原油価格低迷で、蹉跌している。ようやく原油代金の回
復基調でロシアとブラジル、南アの通貨が回復軌道に乗ってはいるが。。。


 ▼構想と現実のあいだには巨大なギャップが存在している。

ADB(アジア開発銀行)が問題視しているのは、計画投資額60兆ドル
と、現実に投資されてリアルな金額との巨大なギャップである。それこ
そ、中国お得意の大風呂敷も、こうなると破天荒すぎて、開いた口がふさ
がらないというところかも知れない。

シルクロートの目玉は次の5つである。

(1)ロンドンー上海を繋ぐ鉄道(これは完成した)

(2)パキスタンのグアダール港から新彊カシュガルまでの鉄道、ハイ
ウェイ、光ファイバー網の建設。現場のバロジスタンでは、反パキスタン
政府暴動と中国人へのテロが頻発。工事が遅延している。暴動はおさまり
そうにない。

(3)トルクメニスタンから上海へのガスパイプライン(これは完成)

(4)テヘランー北京の鉄道(カザフスタンから中国への鉄道網は完成し
ているので、残りはテヘラン ー カザフ間工事である)。

(5)アジア一帯へのカスパイプライン(ミャンマー沖合から雲南省間は
完成)

このうちの(1)と(3)は既に完成しているから新しい計画とは言えない。

他方で、挫折もしくは中断のプロジェクトにはメキシコ新幹線のキャンセ
ル(37億5000万ドル)、タイの新幹線の白紙化、コロンボ沖合人口島建設
(11億ドル)の大幅な遅延、インドネシア新幹線の工事開始遅延と支払い
条件の再交渉等々。

マレーシアも中国と交渉中だった新幹線プロジェクトを日本に乗り換える
方針という。
 
「世紀のプロジェクト」は、まさに前途多難である。
        
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 
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 楯の会、その後半世紀の人生は何であったか
  第1期生が編んだ、三島の感動的箴言、その訓練、訓話を独自に回想

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篠原裕『三島由紀夫かく語りき』(展転社)
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「楯の会」に参加した学生からみた事件への疾走、その三島の思想をいか
に捉えていたのか。著者の篠原氏は「楯の会」の第1期生である。

初代学生長だった持丸博と水戸の高校が同じだった。早稲田入学後、誘わ
れて日本文化研究会に入り、その日学同で日常活動を展開している裡に、
やがて「楯の会」第一期生となって多くの同士、友人を得た。

森田必勝、伊藤好雄、阿部勉、宮沢撤補、倉持清。。。。。ほかの大学か
らも田中健一らがかけさんじた。評者(宮崎)は、その環境を鮮明に思い
出せるし、第1期生の20名は知っている学生ばかりである。

そんな著者が、三島不在となって以後の半世紀を振り返り、思い立って三
島全集を隅から隅まで読んだ。それも、二回、全集の完全読破に挑んだ。
 その読後感を、楯の会のメンバーだった視点と感性で、三島由紀夫の思
想的な箴言、あるいは人生訓を拾い集め、おりおりの想い出を挿入していく。

楯の会の制服が出来たときは、平凡パンチ、プレイボーイなど男性週刊誌
のグラビアを飾り、三島の私的軍団は、いきなり知名度が上がった。

楯の会という命名の由来は、その出典を金子弘道(やはり水戸学の徒)が
捜しだし、提案した。

編者が三島に、その思想に磁石のように惹きつけられるのは、三島の先祖
に水戸の血が入っているからだった。楯の会の一期生には、水戸からの参
加者が際立って多いのである。

そして三島研究者なら誰もが知っている三島の「青年嫌い」。それが『論
争ジャーナル』の、木訥で寡黙だった万代潔が来訪して、その保守雑誌創
刊への由来を語るや、三島は青年嫌いを辞め、積極的に論争ジャーナルへ
協力する。

本書では、長く消息が知られなかった万代氏のその後がさらりと挿入され
ている。そのうえ、楯の会一期生の多くがすでに鬼籍に入っていたことが
分かる。

もう1つ、評者が知らなかった新事実がある。

本書にさらりと挿入されている逸話は昭和45年11月4日から6日にかけて
2泊3日のリフレッシャー訓練のことだ。

これは「富士山の周囲の1000メートル級の複数の峠をわずかの水と食料だ
けで踏破するというハードな」訓練だった。それこそ、こんにちの特殊部
隊、グリーンベレーのようなハードさ。

そのあとに開かれた宴会のおり、三島は参加者全員を前に、これで自衛隊
での訓練は「所期の目的を達したので終了する」と唐突に宣言した。
酒になった。宴では三島が「唐獅子牡丹」を謳ったそうな。

そして次の場面。

「(いずれ)蹶起メンバーの森田、小賀、古賀、小川の4人が最近北海道
を旅行してきて覚えたという当時はやっていた『知床旅情』を歌った。そ
の様子を見て、あれなんであの4人が? という組み合わせを不思議に
思ったことを記憶している」

この4人が三島と最後の行動をともにした。

訓練から3週間後に蹶起は迫っていた。

           
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◆樋泉克夫のコラム 
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知道中国 1570回】      
――「正邪の標準なくして、利害の打算あり」――(徳富9)
  徳富猪一郎『七十八日遊記』(民友社 明治39年)

               ▽
徳富の足は、市内の孔子廟、国子監、雍和宮、天壇から天寧寺、白雲観な
どの旧跡から玉泉山、万寿山などの景勝地に向う。

「何を見ても零落、荒廢の感は、免かれ不申候」と第一印象を記した
後、「支那人は、不思議なる人種に候。精々念を入れて作り候得共、愈よ
作り上けたる後は、丸て無頓着に候。而して其の無頓着さ加減の大膽な
る、只管呆れ入るの外無御座候。或る人は、北京の新修道路も、三年の後
は、依然舊時の荒廢たる可しと、豫言致し候」と、ズバッと民族性の本質
に切り込んだものの、「併し小生は、切に其の豫言の適中せ去らんことを
祈り候」と留保してもいるが。

たしかに「支那人は、不思議なる人種に候」ではある。

毛沢東にしたところで、1958年には当時の世界第2位の経済大国のイギリ
スを15年で追い越し、第1位のアメリカを追走せよとばかりに「超英?美
(イギリスを超え、アメリカの追い付き、追い越す)」の超誇大妄想式大
風呂敷を広げ大躍進政策をブチ上げてみたものの、挙句の果てに最多では
4500万人と推定される人々を餓死に追い込んでしまった。にもかかわら
ず、「我々は社会主義建設の経験が不足していた」と世の中を煙に巻いて
しまい全くの無責任。

4500万人の餓死など、「丸て無頓着に候」だった。66年に勃発した文化大
革命においても、自らの権力に執着するあまり、「精々念を入れて作り」
あげたはずの共産党組織をいとも簡単にぶっ壊してしまう。

「其の無頓着さ加減の大膽なる、只管呆れ入るの外無御座候」といったと
ころ。だが1歩進めて考えるなら、あるいは「其の無頓着さ加減の大膽な
る」ところに、彼の民族が「不思議なる人種」である所以が潜んでいるよ
うにも思える。

毛沢東以降の指導者の言動をみても、?小平のブチあげた社会主義市場経
済であれ、江沢民の主張した共産党が?先進的社会生産力、?先進文
化、?広範な人民の根本的利益を代表すると規定する「三個代表論」であ
れ、胡錦濤が実現を目指しながらの空鉄砲に終わってしまった「和諧(和
解)社会」の建設であれ、習近平の「中華民族の偉大な復興」「中国の
夢」であれ、そこに共通して浮かんでくるのは“言いっ放し、遣りっ放し”
で、後は野となれ山となれ。

無人の巨大な高層マンション群の鬼城(ゴースト・タウン)に吃驚仰天
し、これぞ不動産バンブルの象徴だ。早急に手を打たないと経済はハー
ド・クラッシュすると理を尽くして懇切丁寧に説明したところで、「無頓
着さ加減の大膽なる」人々には馬耳東風。馬の耳に念仏でしかない。まさ
に「只管呆れ入るの外無御座候」である。

どうやら日本を含め世界各国は、彼ら一流の「無頓着さ加減の大膽なる」
点に過剰な反応をみせ、振り回されているのではないか。やはり彼らの術
策に嵌ってはならない。

ここで再三再四いうが、膨大な数の「無頓着さ加減の大膽なる」人々を一
まとめにするには、毛沢東、とう小平、江沢民、胡錦濤、それに習近平の
ように、超ド級の「無頓着さ加減の大膽なる」姿勢で臨まない限り、それ
は不可能だろう。

閑話休題。再び徳富の旅に戻る。

元朝以来の「天子祭天の壇にして」、清幽な環境と広大な面積を持つ天壇
にしても、荒れ果てたまま。これを整備のうえで開放して「北京の大公園
となさは、北京百150萬人の壽命は、更らに幾許の延長を見可申候」。

だが問題がないわけではない。じつは「支那人か、如何なる程度迄公?を
重し、其の清潔を保つ可き歟、それか中々の問題と存候」。古書骨董街の
瑠璃廠に屡々足を運ぶ。「面白き書籍の掘出物はなき乎と、吟味致候得
共、今日迄何等の獲物も無之候」であった。
骨折り損の草臥れ儲けを覚悟し、それを愉しむまでの境地に至らなけれ
ば、「無頓着さ加減の大膽なる」民族とは付き合えそうにない。ヤレヤレ。
《QED》
      

◆患者自己注射物語

渡部 亮次郎



日本で糖尿病患者が治療薬「インスリン」を患者自身で注射して良いと決
断した厚生大臣は園田直(そのだ すなお)である。インスリンの発見か
ら既に60年経っていた。逆に言えば患者たちの悲願を歴代厚生大臣が60年
も拒否するという残虐行為をしてきたのである。

園田自身も実は重篤な糖尿病患者であった。しかしインスリンの注射から
逃れていたために大臣在任中、合併症としての腎臓病に罹り、1週間ほど
緊急入院したくらい。大変な痛がり屋。引きかえに命を落とした。

政治家にとって入院は命取り。大臣秘書官として事実を伏せるために余計
な苦労をしたものである。にも拘らず園田はそれから僅か3年後、人工透
析を途中で拒否したため、腎不全のため70歳で死亡した。昭和59(1984)年
4月2日のことだった。

その直後、私が糖尿病を発症した。全く予期せざる事態に仰天した。糖尿
病は現時点の医学では絶対治らない病気、いうなれば不治の病というから
業病(ごうびょう)ではないか。絶望的になった。

検査などの結果、私の母方の家系に糖尿病のDNA(かかりやすい遺伝子)が
有り、弟は発症しないできたが、上2人の男兄弟は暴飲暴食による肥満が
契機となって発症したものと分かった。

しかし、あれから40年近く、私は毎朝、ペン型をしたインスリン注射を繰
り返すことによって血糖値を維持し、今のところ合併症状も全く無い。普
通の生活をしていて主治医からも「文句の付けようがありません」と褒め
られている。お陰で園田の年を超えた。

これの大きな理由は注射針が極細(0・18mm)になって殆ど痛みを感じなく
なったからである。あの時、園田が自己注射を決断したお陰で医療器具
メーカーが、患者のためと自社の利益をもちろん考え、針を細くし、簡単
に注射できるよう研鑽を積んでくれたからである。

逆に言えば、厚生省が自己注射を許可しないものだから、医療器具メー
カーは、それまで全く研鑽を積まないできてしまったのである。自己注射
で注射器や針がどんどん売れるとなって初めて研鑽を積む価値があるとい
うものだ。

つまり役人や医者の頭が「安全」だけに固まっている限り医療器具は1歩
たりとも前進しないわけだ。患者たちを60年も苦しめてきた厚生省と日本
医師会の罪こそは万死に値するといっても過言ではない。

そこで常日頃、昭和56年までの糖尿病患者たちの苦しみを追ってきたが、
最近、やっとそれらしい記事をインターネット上で発見した。

「インスリン自己注射への長い道のり」(2001/05/28 月曜日)と題するも
ので、とある。
http://www.geocities.jp/y_not_dm/insurin2.html

東京女子医科大学名誉教授 福岡白十字病院顧問 平田 行正氏へのイン
タビュー記事「インスリン自己注射の保険適用から15周年を迎えて…」よ
り抜粋と要約

<インスリンが発見されたのは、1921年(大正10年)です。欧米では供給
のメドがつくとすぐに患者の自己注射が認められました。しかし、日本で
は60年もの間、自己注射が認められず、また、保険の適用もありませんで
した。

当時の日本では、医療は医師の占有物だとする古い考え方が根強く、医師
会はもちろん、厚生省の役人の中にも、何もインスリン注射をしなくとも
飲み薬があるではないか、と平気で発言する人もありました。

インスリン注射が必要不可欠な糖尿病患者は、インスリンを自費で購入
し、自ら注射するという違法行為でもって、生命をつないでいました。

インスリン発見50周年にあたる昭和46年、糖尿病協会は全国的な署名運動
を行い、3ヶ月足らずで11万4,000人の署名を集めましたが、厚生省から
は、「国としては、正面きってこれを取り上げるのは難しい」という回答
が繰り返されました。(佐藤内閣で厚生大臣は内田常雄に続いて齋藤昇)。

中央官庁の理解が得られず、困り果てた医療側や自治体はあの手この手で
知恵を絞り、自己注射公認まで持ちこたえました。

昭和56年(厚生大臣 園田)、各種の努力によりインスリンの自己注射が
公認され、その5年後には血糖値の自己測定が公認されました。保険適用。

医療は医師だけのものではなく、患者と共に手を携えて行うべきものだと
いうことが公認された、医療史上最初の出来事です。

インスリン自己注射公認までの悪戦苦闘

長野県・浅間病院と県の衛生課や医師会などが協議して、生み出した苦肉
の策。患者の来院時にインスリンを1本処方し、その一部を注射して、残
りを渡して自己注射する。毎月1〜2回患者から直接電話で報告を受ける
ことで、電話再診料として保険請求した。

新聞が長野方式として報じたため、厚生省から中止命令。

バイアル1本を処方して、注射後捨てたものを患者が拾って使用した、と
いう言い逃れ。来院時に400単位を1度に注射したことにして、1〜2週
間は効いている形にした>。


1986年、研究のスタートから10年目、
血糖自己測定が健保適用に  (2003年9月)
 血糖自己測定を導入した糖尿病の自己管理がスタートした頃(1976
年〜)、今では誰もがあたりまえと思っているインスリン自己注射は、医
師法に違反するという非合法のもとで行なわれていた。日本医事新報
(1971年)の読者質問欄ではインスリン自己注射の正当性について、当時
の厚生省担当官は「自己注射は全く不可であり、代わりに経口血糖降下剤
の使用があるではないか」と回答している。これが1970年代の実態だった
のである。このような状況に対して、当時の「日本糖尿病協会」は、イン
スリン発見50年を迎えて、なおインスリン自己注射が認められない現状を
打破すべく10万人の署名を集めた。そして厚生大臣をはじめ関係各方面
に、インスリン自己注射の公認と健保給付を陳情したが全く受け入れられ
なかった。

正当化されたインスリンの自己注射(1981年)
 このような状況だったため、インスリンの自己注射容認と、インスリン
自己注射に関わる諸費用の健保適用までには、なお多くの人の尽力と歳月
を要した。そして結果が出たのは1981年(昭和56年)。この年ようやくイ
ンスリン自己注射の正当性の認知とこれの健保適用が得られた。その内容
は当時行なわれていた慢性疾患指導料200点に、もう200点加算するという
ものであった。これはその後の医療のあり方に大きな影響をもたらし、血
糖自己測定も含め、患者を中心にした医療の実践の必要性と有用性の実証
へと繋げられていった。


<血糖自己測定の健保適用(1986年)(園田死して2年後)

C:\Documents and Settings\Owner\My Documents\血糖自己測定25年.htm

インスリン自己注射の健保適用から5年後、私たちが血糖自己測定研究を
スタートさせてから10年目、大方の予想を上回る速さで血糖自己測定の健
保適用がなされた。これはインスリン自己注射指導料に加算する形で設定
された。

以後、何度かの改定を経て、保険点数には血糖自己測定に必要な簡易血糖
測定機器、試験紙(センサー)、穿刺用器具、穿刺針、消毒用アルコール
綿など必要な機器や備品の全ても含まれるようになっている>。

1人の政治家の柔軟な頭脳による1秒の決断が日本の歴史を変えたといって
もいい決断だった。この事実を厚生省は大げさに発表しなかったが、元秘
書官として責任をもって報告する。(文中敬称略)2007・05・24

◆金正恩は抑制的な暴発だろう

杉浦 正章
 


米のレッドラインを試す傾向

◇トランプ・金が共に「偏執病」?

偏執病・パラノイアとは不安や恐怖の影響を強く受けて、他人が常に自分を批判しているという妄想を抱く傾向を指すが、驚くことにこれにトランプと金正恩がかかっていると言う見方が出ている。事実だとすれば、極東情勢への影響が懸念される。先に偏執病と指摘されたのはトランプ。米国の35人の精神科医などが連名で2月13日付ニューヨーク・タイムズ紙に送った投書で、「トランプ氏の言動が示す重大な精神不安定性から、私たちは彼が大統領職を安全に務めるのは不可能だと信じる」と警告したのだ。この35人は「黙っていることはあまりに危険すぎる」と考え、「自己愛性パーソナリティー障害・偏執病」と指摘した。


確かに3月4日には「オバマ前大統領が選挙戦最中にトランプタワーを盗聴した」などと爆弾発言をしたが、その証拠は示されておらず、妄想とされている。一方で、米国連大使ヘイリーは5月14日放映のABCニュースで、金正恩について「パラノイア(偏執病)だ。彼は自身を取り巻く全てのことに、信じられないほど懸念している」と語った。少なくとも国連大使が、米政府の分析結果を反映しない発言をすることはなく、米政府の性格分析は金正恩=偏執病なのであろう。

 
過去にうつ病など精神疾患にかかった大統領は複数存在しており、トランプが直ちに不適格者だとは断定できない。また日本でも偏執病で立派な経営者などは多いと言われ、一概に言えることではない。しかし、金正恩に関して言えば、行動は極めて異常だ。


筆者は一時、金正恩の行動を暴力団組員など社会の敵の行動パターンと類似していると分析していた。人格欠如の人間は予測不能の言動をとるからだ。国連大使の発言で、よく分かった。偏執病であったのだ。この偏執病とされる人間が核兵器のボタンを押す力を持っているか、持ちつつあるとすれば、極東情勢は極めて危ういことになる。


しかし、トランプの場合は国務長官レックス・ティラーソン、国防長官ジェームズ・マティス、安保担当補佐官マクマスターら極めて常識派がそばに付いており、自ずと行動は抑制型となる。もっとも、北のミサイル打ち上げに関して「軍事行動をとる」かと問われてトランプは「すぐに分かるだろう」と不気味な予言をしている。また短絡して対北交渉でICBMには反対しても核については容認するという誤判断をされては、日本はたまらない。

 
一方金正恩が今後どんな行動をするかだが、日本の北朝鮮専門家らは今回の液体燃料の「火星12型」ミサイルの発射から推察して、「核実験をやる」「ICBM実験をやる」と、性急かつ短絡的な見解を民放テレビで表明して、国民の不安感を煽っている。しかし、重大な兆候を見逃している。評論家らはトランプと同様に金が抑制を利かせているように見えることが分かっていない。おそらく金正恩をうまく手なずけてレッドラインギリギリの対応に導いている側近らがいるように見える。その状況掌握力は相当なものがあるとみなければなるまい。


最大の兆候は火星12の発射を、24時間にわたって米人工衛星に見せたことだ。これはアメリカがICBMの実験と誤判断して、撃墜行動に出て戦争に発展することを嫌ったことを意味する。アメリカがどうして看過したかと言えばICBMの実験ではないことが分かっていたからだ。さすがの金も米国の先制攻撃だけは恐れていることを物語る。

 
米国はレッドラインをあえて明示していないが、明らかに核実験やICBMの実験をやれば見過ごすことはないだろう。オスロでの米朝接触の内容は分かっていないが、米側はおそらくその辺を伝えた可能性があると筆者は見る。だから安心して中距離ミサイルの実験を断行できたのであろう。こうした暴挙の隙をうかがい続ける北の存在は、図らずも米中直接対決の図式を遠ざけており、これは米中双方にとってプラスに作用する。とりわけ中国は膨大なる対米黒字を北朝鮮問題で一時棚上げにしてもらっている形であり、いわば「金様々」の側面もあるのだ。

 
しかし、今回ほど習謹平を怒らしたことはあるまい。こともあろうに得意満面で初の一帯一路国際会議を執り行おうとした4時間前の実験である。おまけに北朝鮮代表も、米国が「北に誤ったメッセージを送る」として招致しないよう忠告したにもかかわらず招かれている。習近平にとっては世界に向けて演説する晴れ舞台の日に、いわば顔に泥を塗られたことになる。この結果、怒り心頭に発したのか習近平は、45分の演説で10回も読み間違えている。

 
中国の次にうろたえたのは韓国の文在寅だろう。就任演説で北に秋波を送ったにもかかわらず、その4日後に金が「俺はこんなに偉いんだぞ」とばかりに威張ってみせた。まさに太った後ろ足で砂をかけられたことになる。甘くないことを見せつけられて、どうしよう、どっちに付こうかと迷っている最中だろう。


◇敵基地攻撃能力を備えよ


日本にとっては北のミサイル技術の進歩への対処を迫られる。ミサイル防衛網の強化はもちろん必要だが、それだけでは防げない。日本独自の敵基地攻撃能力を持って、先制攻撃も辞さぬ構えで抑止を利かせなければ、北のパラノイアは何をするか分からない。日本自身が生存の瀬戸際にあることを政治家や国民は理解すべきだ。


問題は北が核を手放す可能生はゼロに等しいことだ。トランプが核保有を見逃す方向で手打ちなどすれば、日米同盟に亀裂が入るくらいの姿勢は必要だ。7日の国連安保理緊急会合などでも核・ミサイル一対の対応の必要を強く訴えるべきだ。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

◆YouTubeを観て著作権違反!?

川原 俊明

 既にご存じの方も多いと思いますが、著作権法の平成24年改正により、違法なインターネット配信から、販売や有料で配信されている音楽や映像を
違法配信と知りながらダウンロードする行為が刑罰の対象となりました。
 
今回はこの改正のポイントについて解説したいと思います。

 1 平成24年改正までは、販売や有料配信されている音楽等を違法にアップロードする行為が刑罰の対象とされ、これを私的利用目的(自宅鑑賞のため等)でダウンロードする行為については、刑罰の対象にはなりませんでした。
 
しかし、今回の改正によって、たとえ、私的利用目的であっても、違法にアップロードされたものであると知りながらダウンロードする行為も刑罰の対象になりました。

具体的には、 2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれに併科するものです。

 ただし、親告罪とされていますので、誰かから告訴されない限りは、処罰されません。

 では、私たちがYouTube等の動画投稿サイトで、音楽や映像を観る行為は処罰の対象になるのでしょうか。動画投稿サイトでは動画をダウンロードしながら再生するという仕組みにより、動画を閲覧できるもの
(プログレッシブダウンロードと呼ばれている)があります。
 
文化庁の見解によれば、この仕組みでの閲覧は、電子計算機における著作物利用に伴う複製にあたり、著作権を侵害しないものとして処罰の対象にならないと解釈されています。

 2 また、家庭内で使用する目的であっても、アクセスコントロール技術の施されたDVDやCDからデータを吸い出すことは、規制されることになりました。
 
ただし、この点については、刑事罰は規定されていません。

 なかなかややこしいですね。

 著作権に関するご相談、ご質問等ございましたら、
 お気軽にご相談ください。