2017年06月13日

◆自衛隊は違憲のまま放置すべきでない

櫻井よしこ



「自衛隊は違憲のまま放置すべきでない 国際情勢の厳しい今こそ改正へ
歩みを」

安倍晋三首相が、憲法改正の直球を投げた。現実主義の極みを行くその提
言で、停滞しきっていた憲法改正論議が賛否両論共に、俄かに活性化した。
 
首相は5月3日の「読売新聞」紙上で単独インタビューとして改正への斬新
な考えを披瀝した。同日午後には「民間憲法臨調」などが主催する「公開
憲法フォーラム」へのビデオメッセージで、「読売」に語ったのと同じ内
容を繰り返した。
 
首相が自民党総裁として述べた点は3点である。(1)東京五輪の行われる
2020年までに憲法改正のみならず、改正憲法を施行したい、(2)9条1項
と2項を維持しつつ、自衛隊の存在を明記したい、(3)国の基は立派な人
材であり、そのための教育無償化を憲法で担保したい、である。
 
発言の主旨はこうだ。災害救助を含め、命がけで24時間、365日、領土領
海、日本国民の命を守り抜く任務を果たしているのが自衛隊である。9割
を超える国民が信頼している。他方、多くの憲法学者や政党の一部に、自
衛隊は違憲の存在だと主張する議論がある。「自衛隊は違憲かもしれない
けど、何かあれば命を張って守ってくれ」というのは、余りに無責任だ。
 
こう述べて首相は、「私の世代が何をなし得るかと考えれば、自衛隊を合
憲化することが使命ではないか」と強調した。自衛隊違憲論が生まれる余
地をなくすために、自分の世代で自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置
づけたい。ただし、9条1項と2項をそのまま維持するという提案は大方の
意表を突くものだったはずだ。
 
9条1項は、周知のように「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武
力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」
という平和主義の担保である。
 
2項は、「前項の目的を達するため」、即ち、国際紛争解決のための武力
行使はしないという確約のために、「陸海空軍その他の戦力は、これを保
持しない。国の交戦権は、これを認めない」であり、軍事力の不保持、即
ち非武装を明確に謳っている。
 
大半の改憲派にとっても1項の維持に異論はないであろう。むしろ1項に
込められた日本国の平和志向を、1項を残すことで積極的に強調すべきだ
と考える。
 
注目すべきは2項である。「前項の目的を達するため」、つまり侵略戦争
をしないためとはいえ、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない」と定めた2項を維持したままで、いかに
して軍隊としての自衛隊の存在を憲法上正当化し得るのかという疑問を、
誰しもが抱くだろう。
 
矛盾を含む発言を「読売」で読んだとき、既視感が生まれた。私の主宰す
るインターネット配信の「言論テレビ」で、昨年暮れ、首相に最も近い記
者の一人といわれる「産経新聞」の石橋文登氏が、自衛隊の存在を3項と
して書き加えることも選択肢の内であると語っていた。
 
憲法で認められない存在という形を、とにかく解消すべきであり、公明党
がどこまで歩みよれるかが、最大の焦点であると氏は指摘し、具体的に3
項のつけ加えに言及したのだ。私は「言論テレビ」でのその発言を、今年
1月14日号の「週刊ダイヤモンド」で報じているが、首相発言と通底する。
 
少々の矛盾は大目的の前には呑み込むのが政治家であり、大目的を達成す
ることが何よりも大事なのだという現実主義が際立つ。
 
国際情勢の厳しさは私たちに現実を見よと教えている。「ウォール・スト
リート・ジャーナル」紙は「憲法9条が日本の安全を妨げる」と書いた。
自衛隊を違憲の存在として放置し続けるのは決して国民の安全に資するこ
とではない。今、改正に取り組みたいものだ。

『週刊ダイヤモンド』 2017年5月27日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1183 

◆政府・与党はテロ法会期内成立を図れ

杉浦 正章



支持率微減はメディアの空振りを物語る
 

メモ公表も「だからどうした」だ
 

「世の中に蚊ほどうるさきものは無し、『モンカだカケだ』と夜も眠れず」。一部新聞、民放は、外交・安保の重要局面や最重要法案をさておいて、あさっての方向に突っ走っているのではないか。あれだけ騒いでも内閣支持率も政党支持率も微減でしかない。俳句の会で論理先行で詩情のない句を冷やかすときに「だからどうしたい」と言うが、「加計学園」の獣医学部新設をめぐる文科省内部文書の再調査問題をめぐる論議も酷似している。文科省がもともとあるメモを見つけ出しても「だからどうしたい」そのものではないか。


野党が誰が作ったかも知れぬ無責任なメモを金科玉条とばかりに押し頂いても、事態が急転直下「加計疑獄」になる可能生はゼロだ。前文科事務次官前川喜平が退任させられた意趣返しのごとく発言を続け、これを“活用”してなんとか政局に結びつけようとする野党と朝日、毎日、一部民放の“魂胆”は見え透いている。政府・与党は終盤国会最大の焦点であるテロ等準備罪法案の成立に向け中央突破を断行し、ちゅうちょなく今国会成立を図るべきである。
 
NHKの調査では安倍内閣を「支持する」と答えた人は、先月の調査より3ポイント下がって48%で、依然として歴代内閣とは比較にならないほどの高水準を維持している。各党の支持率は、自民党が36.4%でマイナス1.1ポイント減、民進党が7.9%で0.6増、共産党が2.7%で変化なしであり、いずれも誤差の範囲内だ。


朝日、毎日、TBS、テレ朝が総力を挙げての反安倍キャンペーンが、いかに上滑りしているかを物語っている。国民の真偽を見極める目は衰えていないのだ。もっとも、NHKは論説では公正なる公共放送にあるまじき反安倍姿勢を示している。NHKは12日の持論公論で解説委員西川龍一が加計学園理事長加計孝太郎と安倍が親密な関係であることに関連して「恣意的な姿勢でなく透明性を確保したから客観的な評価に基づき検討された結果なのだと思える説明が必要」とかみついている。しかし、一言も国家戦略特区諮問会議の「客観的な審議」を経ている事に言及していない。NHKとは思えないずさんかつ不公平な論調であった。
 

首相・安倍晋三が、文科相にメモを「徹底的に調査するように指示した」問題について、民放ワイドショーが勝ち誇ったような番組を放映しているが、相変わらず民放は問題の核心を見逃している。というか核心を度外視している。内閣の命運に関わる文書であったら、政権側は何が何でも公表はしまい。いつになるかは不明だが、公表するのは「政局無関係」が確実であるからだ。少なくとも今治市への獣医学部招致は国家戦略特区諮問会議を経て実現へと動いているのであり、そこに安倍の「意向」は働かない。


諮問会議の議事録を読めば明白である。前川発言の最大の弱点は、一部マスコミが事細かに報道することに悪乗りしてメモの存在だけに的を絞り、それ以上の疑惑に言及できないことだ。メモが「あるある」といっても、金銭疑惑に直結するような証拠を指摘できないままでは、まさに印象操作にほかならない。印象操作の「あるある詐欺」なのだ。
 
おまけに野党の攻撃は口だけ達者だが、重要ポイントで大失策をやらかしている。まず国連の特別報告者であるジョセフ・ケナタッチとやらが、テロ法案について「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と指摘する書簡を、直接、安倍宛てに送付したことを取り上げ、鬼の首を取ったかのように追及しているが、大誤算だ。


特別報告者など国連には80人もいて、ワン・オブ・ゼムの主張であり、権威などない。国連を代表したものではさらさらない。おまけに野党がどこかのルートを通じて入れ知恵したと言う説がある。マルタの大学教授のレベルが知れる。国連のしかるべき担当部署は国連薬物犯罪事務所であり、フェドートフ事務局長は法案の衆院通過に際して「条約の締結に向けての動きを歓迎する」と公式に発言している。民進、共産両党は国連にもピンからキリまでいろいろあることが分かっていない。愚者のごとく知らないで藪をつつくから蛇が出るのだ。
 

一方で、反安倍姿勢が著しい民放も、言論報道の自由を自ら規制するような重大な発言を池上彰にさせている。12日のテレビ朝日では前川の記者会見で、読売の記者が「在職中に得た情報を明らかにするというのは守秘義務違反に当たるのではないかという指摘がある」と質したことを録画を基に生々しく取り上げた。そして池上は「読売の記者は自分で自分の首を絞めている。この記者は前川さんをけん制している。ということは全国の公務員は読売が取材に来たら守秘義務ですからと言って、拒否していいのかということになりかねない。驚くべき事だ」とこじつけも著しい発言をした。まさにあさってを向いた発言だ。


ここで問題なのは、読売の記者の質問ではない。質問自体は前川の国家公務員の守秘義務に関わる発言を問題視して、「業務上知り得た秘密は退職後もこれはもらしてはならない」とする国家公務員法違反の疑いがある点を指摘したのであり、全く適切だ。問題は池上の発言がこうした質問をテレビという公共放送を“活用”して、抑圧しようとしていることだ。マスコミ人と称するものにあるまじき振る舞いだ。記者クラブで問題にしない方がおかしい。昔ならテレ朝は除名ものだ。
 
池上は、おこがましくも前川に対するお追従質問はいいが、前川の利益にならない質問は封殺しようというのだろうか。だいいち記者が質問の相手をけん制するわけがない。この場合も真実を知るための質問であって、けん制している様にはどう見ても見えない。記者側にけん制して何の利益があるのか。加えて前川には売春防止法違反の疑いもある。その部分にもっと突っ込んだら池上は、「驚くべき事だ」というのだろうか。少なくともメディアで飯を食わせてもらっている人間が、メディアを封殺するような発言をすべきではない。


池上は口八丁で一見理路整然としているように見えるが、その実はあらぬ事を早口でしゃべってごまかしているとしか思えない。理路整然と間違うタイプだ。こうしてメディアはとんちんかんを絵に描いたような傾向に陥っている。もう異論に耳を傾ける時期は過ぎた。政府・与党は、ちゅうちょなくテロ法案成立へと動くべきだ。


◆俳談(本日から本誌掲載開始=編集者)

【昼ビール万歳】

落花生両手で砕きビール汲む 杉の子

藤沢という街は湘南ムードもあって明るくて洒落た街だ。駅前の地下街に日本一うまい中華そば屋がある

「古久屋」という名前だが、なぜ日本一かというと、特に理由はない。他にうまいところを知らんからだ。江ノ島水族館でクラゲの写真を撮ったあとは必ずこの店に寄る。クラゲの撮影を10時45分で切り上げると、ちょうど開店の11時に間に合う。なぜ知ったかというと娘が高校時代しょっちゅう通って「特焼きそばにお酢をどばっとかけるとおいしい」と言っていたからだ。

この店で気付いたのは湘南というのは昼からビールを飲むことだ。私のような上品な白髪の老人が、一人手酌で焼きそばを前に一杯飲んでいるかと思えば、老夫婦が湯麺を啜りながら一杯飲んでいる。昼ビールのうまさは格別なことを知っているから、一度真似してみたいと思っていたが、気が弱いから一年ばかりちゅうちょ。昨日思い切って決断した。決断だから注文の仕方も並大抵ではない。つい「ちょっと、ビール」とかん高い声を出してしまうのだ。

店員は何で興奮しているのか分からないから、怪訝な客だと思っても顔に出さずに「はい」と受け止める。こうして決死の覚悟の昼ビールがのどをごっくんと通過したのだ。現役時代に一所懸命に働いて、今は自由の身。「世間よざまあみろ」と内心思うのだ。そして小粋なる湘南っ子の顔を装って、大和市のイモ爺さんが、またとくとくとくとビールを注ぐのだった。

ひたすらにビールを思ひ庭仕事 杉の子

◆本誌新企画。本誌「政治評論」後に新掲載

<杉浦正章氏記> 俳句歴は25年だが、新聞俳壇に投稿を始めて10年になる。入選句は年間100句から150句に達するようになった。毎日俳壇からは今年の「毎日俳壇賞」もいただいた。
<丈夫なり妻と昭和の扇風機>である。ますますやる気を強めている今日この頃だが、新聞への投句をする人向けに「投句ノウハウ」を書くことになった。初心者向けの実戦論として活用して頂ければ幸いである。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

◆健康百話・「肝臓をいたわっていますか?」

片山 和宏(医師)



肝臓は、右のわき腹からみぞおちのあたりにある、重さが約1kgちょっとの臓器です。

心臓のように「どきどき」したり、お腹が空いた時の胃や腸のように「グーグー」鳴ることもありませんが、ただひたすら黙って体の他の臓器に栄養を送ったり、いらなくなったごみを捨てたりしていますので、家族で言えばまさに最近の若いお母さん達にはとても少なくなった昔の良妻賢母型のお母さんの役割を果たしています。

だからといって、あまり無理ばかりをさせていると、ご主人を見捨てて家出してしまうかもしれません。ですから、ご主人であるあなたが普段からちゃんといたわってあげる必要があるわけです。
 
基本的に肝臓は、少しくらい弱っていても自覚症状が出にくい臓器です。しかし、血液検査をすると、実はとても早くから「SOS」のサインを出していることが多いのが特徴です。

 「沈黙の臓器」として有名な、自覚症状の出にくい肝臓も、血液にはちゃんと気持ちを伝えているわけで、血液検査は肝臓の気持ちを察して上げられる重要な検査です。

 これから、どのようにいたわってあげればいいかとか、文句を言いたそうだけど、どのようにすれば早めに察してあげられるかなどについて、シリーズでご紹介していきたいと思います。

            大阪厚生年金病院 消化器担当部長 

2017年06月12日

◆国家機密を守る義務

Andy Chang



全ての国家の機密を扱う者は守秘の誓いを守る必要がある。機密に
は幾つものクラスがある。どのクラスでも守秘の任務は当然だが、
高いクラスの機密を漏らせば処罰も厳しくなるのも当然だ。アメリ
カではヒラリーと彼女の側近数人がトップシークレットからシーク
レット、コンフィデンシャルまで幾階段もの機密を守らなかった罪
を起訴していない。いくら有名でも偉くても罪は罪である。このよ
うなことは国家の威信を著しく損なう。

6月2日、アメリカ政府はReality Winnerと言う25歳の女性がトッ
プシークレットの機密を印刷して或る新聞社に渡した廉で逮捕した。
機密漏洩罪は10年の刑期である。この女性は2011年から2016年末
まで空軍の機密暗号アナリストだったが12月に退役し、今年二月に
米国国家機密局(NSA)の下請け業をしているPluribus International
Corpという名の会社に就職した。政府の発表ではWinnerが5月5日
にNSAからトップシークレットニュースをプリントして新聞社に渡
したとしている。新聞社はこの一部を発表したが心配なので政府に
届け出たと言う。政府の調査で彼女が機密を新聞社に渡した事実を
認めたので逮捕された。

一日置いて彼女の漏洩した機密とは、ロシア政府が米国の選挙事務
所のコンピューターにウイルスを挿入したことだったとわかり、メ
ディアが騒ぎ出した。あるロシア政府のグループが米国の県や地方
の選挙コンピューターにウイルスを入れて投票結果を左右できるよ
うにしていたと言うのである。

つまりロシア政府が大統領選挙に介入したおかげでトランプが当選
したかもしれないと言うのである。

但し、ロシアが大統領選挙でトランプを助けたと言う実証はない。
そしてこれは重要なことだが、ロシアのウイルスが選挙結果に影響
したと言う証拠は挙がっていない。彼女はNSAのトップシークレッ
トの内容が真実ならトランプを罷免できるかもしれないと思ったの
かもしれない。彼女の動機は裁判になってから解明されるだろう。

NSAはロシアのウイルスを発見したけれどウイルスが投票結果に影
響した事実はないとしている。NSA、FBI、CIAなど諸機関の調査結果
ではロシアのプーチンがトランプの選挙を助けたという証拠は一つ
も上がっていない。それでも民主党、反トランプ、メディアなどは
ロシアとトランプの癒着の調査を要求し、すでに特別調査官が任命
された。

●狂気のトランプ降ろし

前の記事にも書いたがアメリカのトランプ降ろしははるかに節度を
越した魔女狩りのようになった。魔女狩りだから血まみれのトラン
プの首をかかげて写真を撮って公開すればみんなが喜ぶを思う人間
も出て来るのだ。民主党のフランケン議員は、彼女がすでに謝罪し
たからオーケーだと言った。それぐらいトランプ降ろしの狂気が全
国に蔓延っているのだ。

今回のトップシークレットを公開したReality Winner(真実の勝利者
と言う意味)という不思議な名前を持つ女性の行動も、ロシアが選挙
に介入していたNSAの機密文書を国民に知らせることが正義である
と思い込んでいたと思える。選挙の投票結果はトランプのロシア癒
着の調査とは関係がない。彼女は機密をバラすことでトランプの当
選が不当であると国民に思わせようとした。これは機密をバラす正
当な理由とはならない。

●機密扱い許可(Secret Clearance)

いかなる理由でも機密漏洩は有罪である。機密扱い許可は簡単に取
れるものではない。厳格な調査を経て取得した機密扱い許可を簡単
に放棄した「真実の勝利者」Winnerは、国民はこの機密を知る権利
があると考えたと思われる。でも彼女には機密を国民に知らせる権
利はない。左翼がかった人は機密をバラすことが正義であると思っ
ているかもしれないが、違法が正義になることはない。

問題はどうしてこのような法を無視する人間が簡単にトップシーク
レット扱いの許可を取れたのかということだ。時々Foxnewsに出演し
ている評論家・ナポレターノ元裁判官の説明によると、NSAは国家
最高の調査機関で6万人が働いている。しかし実際には正規公務員
は5000人ほどで、残りの55000人は数十社の下請け業者が社員を雇
った人員だと言う。だから機密扱いの許可は会社が独自に調査と申
請をしているのである。だから機密を扱う人間に過激なサヨク、反
トランプが居てもおかしくない。

逮捕された後の発表によるとWinnerは空軍に服役していた時から
反トランプで熱心なサンダース支持者だったと言う。アメリカは自
由民主国家だから国民の思想が右翼、左翼でも自由である。但し思
想が過激で機密を漏洩する人間は何としても阻止しなければならな
い。Winnerだけでなく、スノーデンのように機密を盗んでロシアに
亡命した者もいる。NSA、国家最高の機密調査機関でこのような事件
が起きたのはアメリカの不幸であり早急に改善すべきだ。

●自由と権利の限界

前の記事にも書いたが自由と権利とは節度があり、国民一人一人が
厳格に守る必要がある。これは教育の問題であり国家社会の全員が
ルールを守る義務である。

オバマ執政の8年でアメリカの社会風紀は著しく後退した。法を無
視することが正義であると思う人間が公然と法を犯しても逮捕され
ることはない。例えば違法移民を保護する「違法移民の聖域都市
(Sanctuary City)」を主張、実施して公然と連邦政府に背く市長が
多数いる国である。アメリカはオバマ時代に民主主義と言う名の分
裂国家となったのである。

国の機密を国民に知らせるのが正義と思うなら法律は無力となる。
Winnerは厳格に裁くべきだと主張した議員も多い。確かにWinner氏
は機密漏洩罪で裁くべきだが、違法常習者ヒラリーが裁きを逃れて
いる現状では国民が納得できるはずがない。

◆「自分ファースト」に映る小池都知事

櫻井よしこ



「自分ファースト」に映る小池都知事 言葉に信を置けない同氏の実 行
力を注視


飯島勲氏といえば長年小泉純一郎元首相に仕えた人物として名高い。
 
小池百合子氏といえば、政党を渡り歩き、多くの政界実力者に接近してき
たことで名高い。都知事就任以降の氏は、敵を作って対立構造に仕立て、
相手を悪者、自身を改革の旗手と位置づけて、高い支持率を保つ。
 
次から次へと敵を作り出してはケンカを売り続ける小池氏の手法は、ケン
カ上手の小泉氏を師として学んだものか。私は或る日、飯島氏にそのよう
に尋ねた。すると、強い調子で飯島氏が反論した。

「とんでもない。全く似ていません。正反対です」
 
間髪を入れない勢いと声音の強さに私は驚いた。氏はさらに強調した。

「政(まつりごと)においては誰もが納得する公平さが大事なんです。争
点が深刻な時ほど、目配りが必要になる。私が小泉首相にお仕えした時に
は、どんなことでも、必ず、対立相手の意見も本人に聞かせるようにしま
した。そうすることで、何かが見えてくる。そこが大事なんです。でも、
小池さんは、そうじゃないでしょ」
 
小池氏の唱えるスローガン、「都民ファースト」は、実は「自分ファース
ト」ではないかと私は感じている。調査によっては、70%という高い支持
率にも私は違和感を抱いている。氏の行動を見詰めれば見詰める程、氏の
言動への拒否感は強くなる。
 
今年4月1日、氏は東京都東村山市の国立ハンセン病療養所「多磨全生園
(ぜんしょうえん)」を訪れた。多くのテレビカメラの前で、氏はハンセ
ン病患者の方と握手し、納骨堂で献花し、手を合わせた。鮮やかなブルー
のパンツスーツ姿の小池氏は格好の報道素材となり、事実、メディアは大
いに報じた。
 
長年社会の一隅に追いやられ、辛い日々をすごしてきた方々に思いを致
し、救済の施策を進めることは、政治家の責任であり、美しい行動である。

「いまだに残るハンセン病への差別や偏見をどのように無くすのか。国立
施設ではあるが、都として解消に努めたい」と小池氏は述べた。
 
立派である。その決意は是非実行してほしい。全生園で暮らしている
人々は180人で、平均年齢は85歳近い。施策は急がねばなるまい。小池氏
はどんな指示を出したのか。
 
ここで思い出すのは氏が環境大臣だったときのことだ。水俣病が公式に確
認されて50年を迎えたにもかかわらず、救済されずにいわば放置されてい
る患者は、当時少なくなかった。そこで小池氏は柳田邦男、屋山太郎、加
藤タケ子各氏ら錚々たる10人の委員を選んで私的懇談会を設置した。
 
柳田氏らは1年4カ月をかけて、水俣病患者らの声に耳を傾け、現地を訪
れて調査し、2006年9月19日、提言書を提出した。60ページを超える提言
書は、国民の命を守る「行政倫理」の確立と遵守を迫り、眼前で水俣病に
苦しむ人々を患者として認定する基準の緩和を求めていた。患者救済が進
まない最大の障害は、環境省がまだ庁だった時代に設定した認定基準だっ
た。2つ以上の症状がなければならないとする基準を1つでもよいとすべき
だと、柳田氏や屋山氏は主張した。
 
結論からいえば、小池氏は自らが設けた私的懇談会の提言を無視した。
彼女は、柳田氏らの調査が進行中の06年3月16日、参議院環境委員会で
「(水俣病患者か否かの)判断条件の見直しということについては考えて
いない、この点をもう一度明らかにしておきたいと思います」と答弁して
いる。
 
錚々たる人々を招集し、水俣病患者救済に取り組む姿勢をアピールした
が、行動は伴わなかったのだ。
 
だから私は、小池氏の言葉に信を置かない。あくまでも行動を見たい。5
月下旬の現在、彼女は全生園で語ったことに関して何の指示も出していない。

『週刊ダイヤモンド』 2017年6月3日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1184



◆インスリンに思う

渡部 亮次郎



日本の政界に糖尿病が登場するのは確かに1945年の敗戦後である。「オラ
が大将」の子息で山口県知事もした田中龍夫元文部大臣は公務の合間を
縫って日に何度も注射のため医者に通っていた。

田中角栄、大平正芳、伊東正義、園田直、田中六助皆糖尿病が元で死ん
だ。脳梗塞、心筋梗塞、腎不全、網膜症、癌を併発するのが 糖尿病患者
の末路だからである。

1921年7月30日にインスリンが発見され、人類に測り知れない恩恵をもた
らした。欧米ではすぐに患者自身が自己注射が始まった。だが日本では
「危険」を理由に医者の反対で厚生省が許可しなかった。患者の中には日
に3度も医者通いを余儀なくされる人がいた。

仮に自己注射が許可されていれば、医療器具業者は競って注射器の簡略化
や注射針の改良に取り組んだ筈である。だが厚生省(当時)の役人たちは
日本医師会に立ち向かおうとはしなかった。

わたしが秘書官となって厚生大臣として乗り込んだ園田直は1981年、敢然
として自己注射を許可した。その結果、注射器はペン型となり、針も世界
一細い0・2ミリになって殆ど無痛になった。

だがとき既に遅し。園田本人は自分の決断の恩恵に浴することなく腎不全
に陥り、僅か70歳で死んだ。1984年4月2日の朝だった。

糖尿病は多尿が特徴なので、長い間、腎臓が原因と考えられていた。糖尿
病最古の文献はB.C1500年のエジプトのパピルスに見られる記述だ。日本
で記録のある最も古い患者は藤原道長である。

「この世をばわが世とぞ思ふ 望月の欠けたることもなしと思へば」と詠
んだ、平安時代中期の公卿である。康保3年(966年)―万寿4年12月4日
(1028年1月3日))62歳薨去した。

当時としては意外な長生きである。糖尿病を放置した場合、実際より10年
は短命になるとされているから、当時としては大変な長命というべきだろ
う。それにしても満月のような権勢も病には勝てなかった。

昔から糖尿病の尿は甘く糖分を含んでいる事は良く知られていたが膵臓が
どのような働きをしているか、どれほど重要な臓器か不明の時代が長く続
いた。

突如、1869年にLanngerhans島が発見された。それから20年たった1889
年、ドイツ人のMeringとMinkowskiは史上初めて、犬の膵臓を摘出したあ
と、高血糖と尿糖が出現することを発見し、やっと膵臓と糖尿病が切って
も切れない関係にあることを証明した。

その後ジョンズホプキンズ大学のOpie博士が、このランゲルハンス島は
内分泌器官であり、糖尿病が関係することを明らかにした。
膵臓のランゲルハンス島から出ているのがインスリン。それが少ないと
か、全く出ないのが糖尿病と判りだしたのだ。

そこからインスリン発見の物語は更に後である。

人類に測り知れない恩恵をもたらしたインスリンの発見物語の主人公は
Banting &Bestの2人のカナダ人である。苦しい実験を重ねてインスリン
を発見したのだがこの2人は当時全くの無名だった。

Frederick Bantingは1891年、カナダの農家に生まれ、1916年トロント大
学医学部を卒業し医者になった。

ある日彼は「膵臓結石で膵管が完全に閉ざされた症例」ー膵臓の腺細胞は
萎縮しているのにランゲルハンス島だけは健全であったーという論文を読
んだ。

それなら結石の代わりに手術で膵管を縛ってしまえばよいと彼は考えた。

膵管を縛るという考えは天才的な閃きだった。彼は自分のアイディアを実
行すべく、トロント大学の生理学者 Macleod教授を訪ねた。
このとき、助手として学生のC.H.Bestを推薦された。

早速実験が始められた。膵管結縛の手術は難しく、内分泌を抽出するのは
さらに難しい。

彼らは1921年7月30日に初めて抽出エキスを犬に静脈注射してみた。効果
は覿面だった。そこで彼らはこの物質をインスリンと命名した。

しかしこのBantingとBestの苦心の作も、まだまだ不純物が多く、実用に
は耐えなかった。その後安全に血糖を下げることが可能になったのは生化
学者 Collips博士が、粗雑な抽出物を人間の使用に耐えるように精製した
結果だった。

1923年のノーベル生理、医学賞はBantingと教授Macleodに決定した。

2005年の国際糖尿病連合の発表によると、アメリカ人のなんと20%が糖尿
病の疑いありで、60歳以上の老人に限れば20%強が糖尿病に罹患している。

アメリカに住む白人種に限っても糖尿病患者は確実に8%を越え増加の一
途を辿っている。

21世紀が進行し始めるとヨーロッパとアメリカという、今までは罹患率が
極めて少ないと言われていたコーカソイド人種全体に糖尿病が一気に蔓延
しはじめた。

これはアメリカの高脂肪、高蔗糖、高エネルギー食がグローバル化し、
ヨーロッパもその例外でない事を示している。

19世紀末までコーカソイドである白人種たちは国によって糖尿病発症率が
低かった。しかしこれから20年以内にはヨーロッパもアメリカも糖尿病激
増で悲鳴をあげるだろうといわれている。

1000年はおろか数百年前にDNA の中に眠っていた遺伝子が社会環境の激変
で目覚めたのである。さらに遺伝子とは関係なく運動不足も大いに影響し
ている。

2004年、アメリカでゲノム研究者が2型糖尿病(中年に発症)の遺伝子を
発見したことが報じられた。これは飢餓遺伝子とは関係ないと考えられて
いる。

日本人の場合、江戸も中期以降になると、庶民の間でも1日3食の食習慣
が成立したが、明治維新までウシも豚も常食として食べる習慣が全くな
かった。つまり高血糖の原因となる高カロリー、高タンパク、高脂肪食と
は無縁な栄養学的にはかなり貧困な食生活が300年以上続いたのである。

一方、1850年ごろからヨ−ローパ人は大量生産方式の牧畜蚕業勃興と発展
により肉食が一般市民階級に広く普及した。日本人が反射的に頭に思い描
くヨーロッパ風の肉中心の食事スタイルの成立だ。

それでも当時ですら日本人に比べるとヨーロッパ人の体格は立派であった
のだから、その後の食生活の100年が生み出した肉体的格差は想像以上の
結果を生んだのだ。

日本では第2次大戦後、それも戦後20年たって、やっと高エネルギーと高
脂肪食をとりいれた結果、糖尿病が急上昇で増加した。わずか30年から40
年の食生活の変化だ。

日本人の中に眠っていた飢餓遺伝子が飽和脂肪の刺激を受けて目覚めた結
果である。世界中の人類に共通の現象で別段、驚くべきことではない。経
済の高度成長と糖尿病患者の趨勢は同一だ。

だから中国では物凄い勢いで糖尿病患者が増えている。精々鶏を食べてい
たものが、1切れでその何倍ものカロリーのある牛肉を食えば、報いは当
然、肥満と糖尿病など生活習慣病である。毛沢東語録にはない。

出典:さいたま市大島内科クリニック「インスリン発見物語」

◆私の「古寺旧跡巡礼」 出雲大社

石田 岳彦



神宮といえば伊勢神宮、大社といえば出雲大社といわれるように、出雲大社はわが国でも指折りの格式の高い神社です。

古事記や日本書紀の神代巻によれば、大国主命が、地上の支配権を天照大神の孫のニニギノミコト(つまり今の天皇家のご先祖)に譲るのと引き換えに建ててもらった宮殿が出雲大社の起源とされています。

出雲大社は通常「いずもたいしゃ」と呼ばれ、私も勿論、そう呼んでいたのですが、「いずものおおやしろ」というのが正式な読みだそうです。驚きました。

もっとも、この名称自体、明治時代以降のもので、それ以前には杵築大社(きづきのおおやしろ)と呼ばれていたそうです。更に驚きました。
ともあれ、その出雲大社で、平成20年より国宝の本殿の修復が行われています。

御存知の方も多いと思いますが(各地からツアーが組まれていたようなので実際に行かれた方も少なくないかも知れません)、修理に先立つ大遷宮(神が仮の社に移ること)を記念して、平成20年に本殿の60年ぶりの公開が行われました。今回はその際の話をさせていただきます。

お盆を控えた平成20年8月のある週末、私は1泊2日で出雲に出掛けることにしました。朝一番の新幹線と在来線の特急を乗り継いで、JR出雲市駅(ちなみに平成の大合併により、出雲大社のあった大社町は出雲市の一部となりました。)からはタクシーを飛ばしたものの、出雲大社に着いたのは午前11時過ぎでした。

整理券をもらうと午後3時半。4時間半待ちです。事前情報として待ち時間がかなり長くなるのを知っていたので、驚きはありません。寧ろ、今日中に拝観できるのが決まって一安心です。

4月から5月にかけても本殿の公開が行われましたが、その際は境内に長蛇の列ができ、最大で4時間待ちになったとか。その反省もあってか、8月の公開の際には整理券が配られるようになったようです。まあ、8月の炎天下に長蛇の列ともなれば、熱射病で死屍累々となることは分かり切ったことですが。

幸い、日御碕神社、日御碕灯台や旧国鉄大社駅等、周囲に見るべきものは多く、正直4時間半でも短いくらいです(歴史ファンであればという条件付きですけど)。ともあれ、極めて有意義に時間を潰した私は午後3時前に出雲大社に戻ってきました。

本殿の拝観は、案内人に引率されて20人程度のグループ単位で行われます。
ようやく時間になったので、四脚門を潜って玉垣の中に入り、更に楼門をくぐって、靴を脱いだうえ、本殿正面の階段を登りました。本殿への階段は急で、高低差があります。

出雲大社の本殿はこの地方に独特の大社造りと呼ばれる高床式の建物で、正面に屋根付きの階段が設けられています。ただし、本殿の周囲に二重の玉垣が巡らされていることもあり、特に下部の構造は外部から分かりにくいです。

時間に余裕がある方には、出雲大社の前後にでも、松江市内の神魂(かもす)神社(本殿は現存最古の大社造りで国宝に指定)にも寄って、大社造りの建物の全容を見ておくのをお勧めします。現在の本殿は江戸時代に建てられたもので、高さは下から棟までで8丈(24.2m)だそうです。

実際に本殿の縁側にまで登って周囲を見下ろすと、だいたいビルの3階くらいの感覚で、かなり高く感じます。もっとも、言い伝えによると、中世以前の本殿はこの2倍の16丈、神話の時代においては更に倍の32丈の高さがあったということなので、この程度で驚いてはいけないのかも知れません。

なお、16丈の本殿については、従来、技術的に困難であるとして、単なる伝説であり、史実ではないとする説が強かったようですが、近年、昔の本殿の巨大な柱(丸太3本を束ねたもの)が境内から発掘されたこと等もあり、最近では、歴史的事実として認める説も有力のようです。

もっとも、昔の技術で16丈の高さにするには無理があったためか、文献上、しばしば本殿の転倒事故が起きているのが確認できるとのこと。

神代の32丈(約96m)の本殿については、さすがにこれを信じている人は少ないようですが、土を盛って人工の丘を作り、そのうえに建物を建てることにより、麓からの高さで32丈を確保したとの説もあるそうです。ここまでくるとほとんど頓知話ですね。

本殿のうえは大渋滞で、一旦、縁側を右側に回り、後方を巡って、最後に正面に回り込み、本殿内部を除きこんで、降りるというコースになっていました。
正面に回るまで15分ほど縁側で待たされることになりましたが、本殿上にとどまれる時間がその分長くなるわけですから、悪くない話です。

普段は玉垣の外からしか覗けない、本殿の周囲の建物の桧皮葺の屋根も、今は、私の眼下にあります。私がこの光景を見るのもこれが生涯で最後、若しくは、50年以上先の次回の修理のときだろうと思うと、有難味もひとしおです(数年後に修理が完了した際に、もう一度特別公開をやるという落ちになるかもしれませんが)。

写真撮影禁止なのが泣けてきます。ようやく正面に回り、縁側から内部を覗き込みました。さすがに中には入れてもらえません。神様の家ですから。

本殿の中央には文字通りの大黒柱(仏教の守護神であった大黒天と大国主命はもともと別の神様ですが、「大国」が「ダイコク」と読めるということで、次第に混同されるようになりました。袋をかついだ七福神の大黒様は大国主命のイメージから来ています。

また、事前情報として知っていましたが、大国主命の御神像を収める御神座は何故か正面ではなく、右側(拝観者から見て左側)を向いていて、参拝者の方を向いていません。

理由については争いがあり、中には、「出雲大社は大国主命の宮殿ではなく、その霊を封じ込める牢獄である」というおどろおどろしい説まであるようです。
更に天井には極彩色の「八雲」が描かれているのが見えます。もっとも、「八雲」であるにもかかわらず、何故か描かれている雲は7つだけです。

疑問に思って、説明の方に話を聞くと、昔から7つしかないけど「八雲」と呼ばれているとのことでした。残り1つは心眼で見るのでしょうか。そういえば、八岐大蛇(やまたのおろち)も、頭が8つだから七股なのに八岐と呼ばれていますね。

「八雲」は兎も角として、本殿の内部は、外観と同様全体的には簡素で装飾性が少ないという印象でした。

本殿の参拝が終わった後、改めて境内をノンビリと歩きます。特に印象に残ったのは、本殿の東西にあった十九社という細長い建物で、毎年11月に全国から出雲に神様が集まってくる際の宿舎になる社ということのようです。

 また、出雲大社のすぐ近くには県立の歴史博物館もあります。上で述べた発掘された昔の本殿の柱に加え、加茂岩倉遺跡(一箇所の遺跡から最多の銅鐸が発見されたことで有名)から出土した銅鐸、荒神谷遺跡(358本という常識外れの大量の銅剣が発掘されたことで有名。

勿論、国内最多。)から発掘された銅剣もまとめて見る事ができます。巨大なガラスケースの中に300本以上の銅剣が並ぶ様にはあっけにとられます。

 本殿の修理が終わるまで、まだ、時間がかかりますが、機会があれば、一度、出雲の地に行かれてみてください。(終)

2017年06月11日

◆「措置入院」精神病棟の日々(48)

“シーチン”修一 2.0



産経6/5「週刊新潮の中づり広告、6年前から文春側に貸し出し トーハン
が調査結果公表」から。

<発売前の「週刊新潮」(新潮社)の中づり広告を出版取次大手「トーハ
ン」から文芸春秋が入手していた問題で、トーハンは5日、約6年前から中
づり広告を文芸春秋側にほぼ毎週貸し渡していたなどとする社内の調査結
果を公表し、改めて新潮社に謝罪した。

トーハンの特別調査委員会は「(「週刊文春」の)内容変更が間に合うと
知っていれば、貸し渡しは行わなかった」と指摘。「当社担当者が金銭授
受や供応などの提供を受けた事実は確認されていない」とした。

 調査結果に対し、週刊新潮編集部は「文芸春秋側が事実と異なる説明で
出版取次会社の担当者を欺き、中づり広告のメモやコピーを取るように
なったことが明確になった。看過できない不正行為」などとする見解を発
表。一方、週刊文春の新谷学編集長はこれまでに公式サイトで、「情報を
不正、不法に入手したり、それをもって記事を書き換えたり、盗用したり
した事実は一切ない」としていた>

中づり広告を戦後、広告媒体の一つとして大普及させたのはキョウエイア
ドエージェンシーの力が大きい。これは利権でもある。創業家は大金持ち
になり、「キョウエイ○○」とか「○○グッドラック」などの馬主でもあり、
競馬界では有名だそうだ。小生はその子会社の役員からずいぶん可愛がら
れたので、以上の話を知ったわけだ。

他者にモラルを求め、「こいつはインモラルだ!」大騒ぎして買わせるの
が週刊誌で、少なくとも東名阪福札の都市部で売ろうというのなら中づり
広告は欠かせない。週刊文春をメジャーに育てた花田氏は、事件が発覚し
た直後の産経5/20読書面の「花田紀凱の週刊誌ウォッチング」に一読唖
然、「花田さん、それはないでしょう」と言いたい。

<文藝春秋OBだから言うわけではないが、文藝春秋の体質、新谷編集長の
性格からしてスクープ潰しとかスクープ泥棒という悪どい意図はなかった
と信じたい。単純にライバル誌が、今週はどんなメニューなのか知りた
かっただけなのではないか。新潮としては・・・皮肉で済ませた方がス
マートだった>

先日、家の北側マンションに若い女の子が引っ越してきた。小生が観察し
ていたらどうなるか。

<覗きこんで録画したり、洗濯物を盗むといった悪どい意図はありませ
ん。単純に若い女性の暮らしぶりを知りたかっただけなのです。“変態ヂ
ヂイめ、いい歳をして”とここは皮肉で済ませるのがスマートでしょう>

<ワシントンDCと東京に核ミサイルをぶち込むといった悪どい意図はあり
ません。単純に自国を防衛したかっただけなのです。“格違いのキチ○イ豚
め”とここは皮肉で済ませるのがスマートでしょう>

とでも言うのが花田流、文春流か。

花田主宰の月刊誌の内容が事前にライバル誌の「WILL」に流れていても、
花田は皮肉で済ませるのか。これでは出版人としてのモラルはもたない。
編集部を「何でもあり」のゴロツキ集団、梁山泊、赤匪にしないように、
ここは一罰百戒、「泣いて馬謖を斬る」くらいのことをしないとダメだろう。

スマートであろうがなかろうが、不文律であろうが、売文屋の掟は掟だ。
掟破りは業界永久追放ではなかったのか。

掟破りは全身拘束という全然スマートじゃない病棟日記から。

【2016/11/29】緊急措置入院から1か月、あっという間という感じだ。心
も体も少しずつ正常≒普通になりつつある。いいのか悪いのか・・・持ち
味の「エキセントリックな無頼派モドキ」が薄れるようで、ちょっと複雑
な思いだ。

【11/30】病院の上をトンビが遊弋していた。気持ち良さそうだ。人間は
大昔から自由に大空を飛びたかった。ダビンチは元祖ヘリコプターを考
案、ライト兄弟が動力飛行機を砂浜で飛ばしたのは1900年頃だから、それ
から100年ちょっとで宇宙まで飛んでいくようになった。

ムササビのような格好をして山の上から飛ぶ映像を見たが、最初は怖かっ
たろうな。高層ビルから飛ぶ人もいるが、まあこれは落ちるということに
なり、歩行者が巻き添えになったりする。「一人で死ねよ、一人で!」と
皆思っているだろう。

10:00〜11:00、作業療法で木製オートバイ作り。とても難しくてぐった
りしたが、刺激にはなる。草むしりでも包丁研ぎでもいいから仕事をさせ
てくれないかなあ。人の役に立ちたい。世話になるばかりではちっとも面
白くない、生き甲斐を感じたい。

14:30、救急車が来て3Fの患者を乗せていった。多分、電気ショック療法
で気絶したのだろう。この療法(カミサンによると麻酔も使う)を受けて
いる美女“バスケ”は車椅子に乗って病室に戻ってきたが、本人によると
「被害妄想」だそうだが、統失なのかもしれない。

16:40、毎日恒例、全患者の「所在確認」。外出の際に失踪したり、屋内
でもどこかへ隠れたり、首を吊ったり、風呂場でリストカットしたりする
患者がたまにいるのだろう。精神病棟勤務は大変だ。

なにしろ完治しないのだから看護師にとってはやりがいが薄いかもしれな
い。いろいろな事情から精神病棟勤務に就いたのだろうが、小生ら患者を
含めて個性的な人が多い。

昨日の夕食から、転院したボスの席を使っており、座高が高い使いやすい
椅子に替えて坐り心地が良くなった。

ところが知能障害の上に呆けが進行して言語不明瞭の“コンチャン”(60歳
ほど)が昨日から小生の隣に引っ越してきた。彼は別の4人掛けのテーブ
ルにいたのだが、このところ敬遠されてシカトされていたのだ。

追い出すわけにもいかず、並んで食事を摂っているが、ご飯はポロポロこ
ぼす、箸は落とす、どうでもいいことで看護助手を呼びつける、服は着た
切り雀、隙あらば小生に話しかけようとする、ベッドは隣同士だが、独り
言を言う、失禁、脱糞はしょっちゅう、その上に風呂嫌い・・・

敬遠されるのも無理ないが、孤独に耐えられず、人の輪に入っていきたが
り、またまた煙たがれるのだ。

先日は“コンチャン”の父親、85歳ほどが面会に来たが、本人はともかく親
は気の毒だ。一生が転院の連続、過酷な人生だとは思うが、小さい頃から
施設を転々として暮らした本人は、それ以外の人生、社会を知らないのだ
から何とも思っていないのだろう。呆けるが勝ちか・・・

15:00、ベッドで本を読んでいると“コンチャン”がカーテンを開けて顔を
出し、「お昼食べた?」。

「うん、12時に食べたよ」
「その時に俺いた?」
「うん、いたよ」
「そうか・・・」

母もよく言っていたっけ。呆けの典型的な症状だ。(つづく)
2017/6/8(この号はワケアリで以前のものをリメイクしました)



◆市場経済も軍事力も拡大中の北朝鮮

櫻井よしこ



「市場経済も軍事力も拡大中の北朝鮮 日本は国民守る手立ての早期整
備を」


「北朝鮮はわれわれが考えていた以上に強い国力を有していて、経済は成
長を続けています。市場経済が発達して、恐らく、国民の生活水準は過去
になかった程、高くなっていると思います」
 
米国のジョンズ・ホプキンス大学の北朝鮮分析サイト「38ノース」の編集
長兼プロデューサーを務めるジェニー・タウン氏が、都内で開かれた小規
模の勉強会で語った。

「38ノース」もタウン氏も、北朝鮮の核ミサイル開発が進む中で、衛星写
真の詳細な分析によって、国際社会の注目を浴びている。氏は、街で見掛
ければ「若いOL」にでも間違われそうな佇まいの女性だ。
 
彼女がジョンズ・ホプキンス大で朝鮮半島研究を始めたのは2006年、
「38ノース」の立ち上げは10年だ。氏はさらに次のように語った。

「多くの市民が携帯電話を持っています。ファッションにも聡いことが服
装から見てとれます。多くのビジネスが生まれており、市民の経済活動の
幅が広がり、競争の原理が働く市場が生まれているのが見てとれます」
 
かつて統制経済の下で、ピョンヤンは選ばれた人々の住む特別な地域とし
て、食糧など必要な物資はおよそ全て「金王朝」によって支給された。だ
が金正日時代の末期から配給が止まり、ピョンヤン市民、即ち、政府・軍
の高官までも「自活」を迫られた。タウン氏の指摘する「ビジネス活動の
普及」は、その結果である。
 
北朝鮮全土の市場は約400カ所にふえたと氏は指摘する。朝鮮問題の専門
家、麗澤大学客員教授の西岡力氏も、ピョンヤンなどに新たなガソリンス
タンドができて繁盛していること、市場経済の中で「金持ち」が生まれて
いることは事実だと指摘する。タウン氏は、金正恩朝鮮労働党委員長はこ
うした経済活動を許容し、一連の経済活動から生ずる利益が、金正恩氏の
核・ミサイル実験をはじめとする軍事開発コストを賄っているとの見方を
示した。
 
他方、金正恩氏の「金庫」と位置づけられている「39号室」の現金が底を
ついているとの情報もある。そのため、金正恩氏の野望を満たすためのさ
まざまな物資の調達は現金ではなく金塊で支払っているとされ、これは脱
北者からのかなり確かな情報だ。この件を尋ねるとタウン氏は次のように
答えた。

「判断は難しいが、ハードカレンシー(他国の通貨に交換可能な通貨)は
北朝鮮にはかなりある。市場では人々はクレジットカードやデビットカー
ドを使用しています」
 
北朝鮮経済が行き詰まっているとの見方は間違いだと氏は結論づける。
北朝鮮は軍事的にも世界が考えるより遙かに先を行っていると指摘した。

「核関連施設は約100カ所あると考えられます。その内、われわれが把握
しているのは約20カ所です。残りは解明できていません」
 
北朝鮮の咸鏡北道吉州郡の豊渓里(ブンゲリ)が核実験場であることは
すでに確認されている。先月そこで作業員らがバレーボールに興じる様子
を、タウン氏はかなり鮮明なVTRで披露した。

「この画像に込められたメッセージについて、われわれは専門家を交えて
分析しました。北朝鮮はいつでも次の実験準備は整っていると伝えたいの
だと思います。彼らは核を放棄しないでしょうし、いまは次なる核実験を
するための機会を窺っていると思います」
 
米国が恐れる北朝鮮の大陸間弾道ミサイル技術に関して、北朝鮮は大気
圏に再突入する技術の確立にも成功したと見られる点を強調したうえで、
タウン氏は、北朝鮮は通常兵器も大幅に増産、改善していることを忘れて
はならないと警告する。
 
切迫した状況が私たちの眼前にあることを見るにつけ、テロ等準備罪や
憲法改正など、日本は国民を守る手立てをできるだけ早く整備すべきであ
ろう。
『週刊ダイヤモンド』 2017年6月10日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1185

◆パイナップルも無かった

渡部 亮次郎



朝と昼の食事のあとは果物を必ず食べる。だから秋は楽しい。果物の種類
が豊富だからだ。冬が近付くとみかんに混じってときどき供されるのがパ
イナップルだ。

南国の果物だから生まれ育った秋田では子ども時代はお目にかからなかっ
た。敗戦後、缶詰を初めてたべて美味しかった。しかし生を食べたのは大
人になって上京後である。

アメリカから返還される前に特派員として渡った沖縄では畑に植わってい
るのを沢山見たが、なぜか食べなかった。今、東京のデパートで売られて
いるのは100%フィリピン産である。

「ウィキペディア」によれば、パイナップルの原産地はブラジル、パラナ
川とパラグアイ川の流域地方。この地でトゥピ語族のグアラニー語を用い
る先住民により、果物として栽培化されたものである。

15世紀末、ヨーロッパ人が新大陸へ到達した時は、既に新世界の各地に伝
播、栽培されていた。 クリストファー・コロンブスの第2次探検隊が1493
年11月4日、西インド諸島のグアドループ島で発見してからは急速に他の
大陸に伝わった。

1513年には早くもスペインにもたらされ、次いで当時発見されたインド航
路に乗り、たちまちアフリカ、アジアの熱帯地方へ伝わった。

当時海外の布教に力を注いでいたイエズス会の修道士たちは、この新しい
果物を、時のインド皇帝アクバルへの貢物として贈ったと伝えられる。

次いでフィリピンへは1558年、ジャワでは1599年に伝わり広く普及して
行った。そして1605年にはマカオに伝わり、福建を経て、1650年ごろ台湾
に導入された。

日本には1830年東京の小笠原諸島・父島に初めて植えられたが、1845年に
オランダ船が長崎へもたらした記録もある。

パイナップル(レユニオン)は植付け後15〜18か月で収穫が始まる。自然
下の主収穫期は、たとえば沖縄では7〜9月と11〜翌年2月である。

1年を通した生産面の労働力の分配や缶詰工場の平準化を図り、植物ホル
モンであるエチレンやアセチレン(カーバイドに水を加えて発生させ
る)、エスレル(2-クロロエチルホスホン酸)、を植物成長調整剤として
利用し、計画的に花芽形成を促して収穫調節を施している。

栽培適地は年平均気温摂氏20度以上で年降水量1300mm内外の熱帯の平地か
ら海抜800mくらいまでの排水の良い肥沃な砂質土壌である。

世界生産量の約5割がアジア州で、残りの5割はアフリカ州、北アメリカ
州、南アメリカ州の間でほぼ均等に分かれている。

2002年時点のFAOの統計によると世界生産量は1485万トン。1985年時点に
比べて60%以上拡大している。主要生産国はタイ (13.3%)、フィリピン
(11.0%)、ブラジル (9.9%)、中国 (8.6%)、インド (7.4%)、コスタリカ、
ナイジェリア、ケニア、メキシコ、インドネシアである。

1985年の世界総生産は923万トンで、主産地はタイ、フィリピン、ブラジ
ル、インド、アメリカ、ベトナムなどである。日本では沖縄県が主産地で
2002年時点では1万トンである。

1985年から2002年までのシェアの推移をたどると、米国のシェアが6%から
2%までじりじり下がっていることが特徴である。既に米国は上位10カ国に
含まれていない。