2017年08月31日

◆前川喜平氏は聖人君子か

阿比留 瑠比



前川喜平氏は聖人君子か 野党や多くのメディアが無条件で正しいとみな
す根拠は?

北朝鮮が日本上空を通過する弾道ミサイルを発射して一夜明けた30日、民
進党は国会内で「加計学園疑惑調査チーム会合」を開いた。党代表選も9
月1日に控える慌ただしい時期だというのに、その執着ぶりには恐 れ入る。

加計学園の獣医学部新設をめぐっては、大騒ぎを3カ月以上続けても、
安倍晋三首相が不適切な介入をした証拠の1つも出てこず、違法性などど
こにも見当たらない。疑惑の存在自体が「フェイク(偽物)」の様相を呈
している。

にもかかわらず、野党もメディアもここまで固執するのはなぜか。前文
部科学事務次官というもっともらしい肩書を持つ前川喜平氏という格好の
人物が登場して、「(首相官邸に)行政がゆがめられた」と証言したこと
に、「安倍政権打倒に利用できる」と飛びついたからだろう。

 そして野党も多くのメディアも、今では前川氏をまるで無謬(むびゅ
う)の「聖人君子」のように持ち上げている。安倍政権側が前川氏の発言
に反論し、その不適切な言動を指摘すると、過敏に反応してかばう。例え
ば朝日新聞の関連社説で目についたものの一部を紹介すると、次のようで
ある。

「(菅義偉官房長官は)文科省の天下り問題を持ち出し、前川氏に対す
る激しい人格攻撃を始めた」(5月26日付)

「前川氏に対する人格攻撃を執拗(しつよう)に続け、官僚がものを言
えない空気をつくってきたのは首相官邸ではないか」(6月10日付)

「最初に証言した前川喜平前次官を菅官房長官が攻撃し、義家文科副大
臣は国会で、内部告発者を処分する可能性をちらつかせる答弁をした。考
え違いもはなはだしい」(6月16日付)

「『総理のご意向』文書の存在を前川喜平・前文部科学次官が証言する
と、菅官房長官は前川氏の人格攻撃を始めた」(6月18日付)

「(前川氏の国会証言は)国会の場で、国民の代表の質問に答えた重い
発言である」(7月11日付)

一読、異様である。座右の銘は「面従腹背」だと言い放ち、現役官僚時
代に風俗店に通って女性を連れ出し、小遣いを与えていたことを「女子の
貧困実態調査」だと言い訳した前川氏を、無条件で正しいとみなす根拠は
何なのだろうか。

「法律に違反した前川氏が、税金から巨額の退職金(推定5610万円)を受
け取ることは許されない。自主的に返納すべきだ」

民進党の江田憲司代表代行は2月の時点では、前川氏に対しこう批判して
いた。毎日は2月8日付社説で「ルール破りにあきれる」と書いた。とこ
ろが現在、民進党もメディアも、天下り問題には触れない。

かつて厳しく指弾した相手でも、安倍政権攻撃に利用できるとなれば手の
ひらを返して粉飾し、美化する。あまりのご都合主義に情けなくなる。
(論説委員兼政治部編集委員)

産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】8・31

◆あの令完成が米国でゴルフ三昧

宮崎 正弘



<平成29年(2017)8月31日(木曜日)通巻第5411号 >

 〜あの令完成が米国でゴルフ三昧
  ユーチューブに流れた映像は本物か?〜

http://news.dwnews.com/china/news/2017-08-29/60009492.html
令完成らしき人物がゴルフの興じている映像がユーチューブに流れ出した。

しかし、日時も場所も特定されておらず、「それらしき人物」はサングラ
スをしている。女性が臨席にいると報じられているが、誰なのか。単に
キャディなのか。

しかし2015年3月の米国逃亡以来、もし、この写真が本物であるとすれ
ば、2年半ぶりに消息が判明したことになる。

胡錦涛の番頭として辣腕をふるい「西山幇」(石炭利権の山西省閥)を率
いた実兄の令計画失脚前に、令完成は兄から託された中国高層部ならびに
国防体制の最高機密2700件のファイルを持ち出して、アメリカに亡命した。

直後、中国はばらばらに100人の暗殺団を派遣したとされるが、激怒した
オバマ大統領がFBIに保護を命令したといわれてきた。
       

◆これで日本を守れるのか

加瀬 英明



安倍内閣が大手新聞、テレビ、週刊誌がおもしろおかしく煽った加計・森
友学園騒動のなかで都議会選挙が行われ、「都民ファーストの会」に惨敗
して支持率が急落したために、4年8ヶ月で3回目の内閣改造による起死
回生をはかった。

マスコミが、こぞって「人心一新」という言葉を使った。

日本国民は気付いていないだろうが、世界の主要国の中で、こんなに頻繁
に内閣改造が行われる国はない。

満洲事変の昭和6(1931)年から、真珠湾を攻撃して、大戦争に飛び込ん
だ昭和16(1941)年までの10年間は、日本にとってもっとも重要な10年
だった。

このあいだ、若槻礼次郎内閣から、東條英機内閣まで13人の首相と、近衛
内閣が3次にわたったから、15もの内閣が登場した。

これでは一貫した政策も、国家意志もあったものでない。目隠しをして、
無謀な戦争に突入したようなものだった。

戦前から新内閣が登場するたびに、新聞(当時はテレビが無かった)が、
「人心一新」と書き立てた。なぜ今日も、マスコミが「人心一新」という
言葉を、鸚鵡(おうむ)の一つ覚えのように、繰り返すのだろうか。

先の太平洋戦争は3年8ヶ月にわたったが、日本では3人の首相が登場し
た。スターリンのソ連、ヒトラーのドイツ、ムソリーニのイタリアは独裁
国家だったから、当然だとしても、日本と同じ自由主義国だったイギリス
ではチャーチル、アメリカではルーズベルトが戦争終結の3ヶ月前に急死
したが、政権を一貫して預かった。

日本では古来から、「畳と女房は新しいほどよい」といわれてきたよう
に、新しいものを好むのだ。その証拠に、今回、内閣改造が行われると、
世論調査によって差があるが、安倍内閣の支持率が2%から9%あがった。

東京から1000キロ、九州から500キロしか離れていない北朝鮮が、核開発
に狂奔し、日常のようにミサイルを試射して、秋田県沖に撃ち込んでい
る。中国は武装公船によって尖閣諸島を囲んで、隙あれば奪おうとしてい
る。ロシアが北方領土を、軍事基地化している。

こんな時に、加計学園とか森友学園とか、枝葉末節に構っている場合なの
か。戦前から開戦に至るまでの死活がかかった10年間に、15回も内閣が交
替するたびに、「人心一新」といったのを思い出すべきだ。

今度の内閣改造について、政治通が岸田文雄外相を党の中枢に据えた「安
倍岸田連立体制」とか、石破茂氏の孤立をはかって、野田聖子氏を閣内に
取り込んだとか論評しているから、屋上屋を重ねまい。

日本では、なぜしばしば内閣改造が行われるのか。他国にはみられないこ
とだ。

これは、日本の文化に根ざしている。諸外国の政治も2000年変わっていな
いし、日本も同じことだ。

日本で132年前に近代内閣制度がはじまったが、伊藤博文が初代首相と
なった。

96代目の安倍首相も、指導者ではない。以前の首相も、全員が指導者では
なかった。ところが、西洋や中国をはじめとする諸国では、指導者が政府
を率いている。

「指導者」という言葉は、江戸時代が終わるまで、日本語の中に存在しな
かった。明治の開国とともに、英語の「リーダー」などの外国語が入って
きたので、先人たちが訳するために「指導者」という新語を造った。

日本では歴史を通じて、リーダーがいなかった。日本神話の最高神の天照
大御神は、中国、ギリシア、ローマ、北欧、ユダヤ・キリスト・イスラム
神の最高神がみな男性で、絶対権力を握っているのと違って、権力がない。

日本では八百万(やおろず)の神々はみな平等で、いつも協議している。

リーダーは誰よりも優れていると認められて、その地位につくが、聖徳太
子の『十七条憲法』は人が「共に是(こ)れ凡夫のみ」――「人間はみな同じ
だ」と定めている。

アメリカを例にとれば、大統領がリーダーであり、閣僚の長官、副長官、
次官、次官補などの政治任命職は、全員が「大統領の人格の延長」であっ
て、大統領の代理人である。

日本では、麻生副総理や河野外相、江崎鉄磨沖縄・北方担当相たちは、安
倍首相の「延長」ではない。上に立つ者は御輿(みこし)のように、わいわ
い担がれている。

御輿を担ぐ衆は、アメリカのように政策だけを尺度にして選ばれるわけで
はない。日本では、政治は「人事」なのだ。

だから、江崎氏のような“凡夫中の凡夫”も入閣する。

日本は森喜朗元首相がいったように、「神々の国」なのだ。日本列島は元
寇を除けば、外敵に侵されることがなく、平和だったから、合議制でもよ
かったが、今日のように周辺の脅威が募り、アメリカへの信頼が揺らぐ時
には、リーダーシップが必要だ。

私は安倍首相に何よりも、今日の日本語の乱れを正すことを、期待したい。

稲田朋美防衛大臣が内閣改造を待たずに、直前に辞任に追い込まれたが、
南スーダンに国連平和維持活動(PKO)のために派遣されていた陸上自
衛隊部隊が、東京へ送った日報の中で、駐屯地の近くで「戦闘」が発生し
たと、報告したためだった。

南スーダンでは内戦が戦われているが、自衛隊部隊は比較的、安全な地域
で、道路建設などの民生支援活動を行っていた。

日報のなかで「撃ち合い」といえばよかったのに、防衛省が日報に使われ
ていた「戦闘」という言葉が、使ってならない言葉だったために非公開と
したのを、野党やマスコミが「隠蔽」したといって、大騒ぎした。

私は頭が悪いので「撃ち合い」と、「戦闘」のどこが違うのか分からない。

稲田氏が防衛相になった直後に、うっかり「防衛費」を「軍事費」といっ
たところ、国会で叩かれた。一般の国民が「防衛費」のことを「軍事費」
といったら、誰も咎(とが)めないはずだ。もし、安倍内閣の新閣僚が、
うっかり自衛隊を「軍」と呼んだら、野党に吊し上げられよう。

日本の外のすべての人々が自衛隊を軍隊だと思っているが、日本では自衛
隊が軍隊でないのが常識だ。私は世界の人々のほうが正しいと思うが、気
が触れているのだろうか。

「あれは撃ち合いであって、戦闘ではありません」「防衛費と軍事費は、
違うものです」

日本の国権の最高機関である国会や、良識の府といわれるマスコミで、こ
のような会話が当然のように行われているが、日本は世界の現実から大き
く遊離しているのだ。

医学ではこのような症状を、夢遊病(ソムナムブリズム)と呼ぶが、夢遊
病者は夢遊状態で歩きまわるから、危険きわまりない。

憲法が、この原因をつくっている。日本国憲法は前文で、「平和を愛する
諸国民の公正と信義に信頼して」「安全を保持」すると述べ、憲法第9条
が「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と、定めている。

北朝鮮や、中国や、ロシアが「平和を愛する諸国」だろうか。

日本国憲法は、日本を夢遊病者にしている。

いつまで、アメリカが日本を守ってくれるだろうか?

国家にとってもっとも重要な言葉である日本国憲法は、世界の現実に大き
く背いている。

安倍自民一座の脇役や端役の質が、悪い。

3人とも離党を強いられたが、中川俊直議員や今井絵理子議員など、武田
信玄の『風林火山』ならぬ、『不倫火山』の幟(のぼり)を背負った一団
や、実生活で狂女を演じる豊田真由子議員をはじめとして、舞台に立てな
い役者が多すぎる。

安倍座長が人がよくて、厳しさを欠いているからだろう。

これは自民一座に限らないが、ほとんどの女性議員がパーティに出掛ける
か、クラブの年増ホステス気取りか、国会で仕事をするとは思えない化粧
や、派手なドレスを着ている。

稲田朋美前防衛相だけを責めたくないが、場違いなファッションで知られ
たために、同僚の男性議員から「チーママ」と呼ばれた。

日本の女性の美しさは、粋(いき)にある。派手な装(な)りや、厚化粧は不
粋で醜い。

化粧は暗示にとどめるべきだ。異性が好きでも、厚化粧して露骨に出して
はならない。ブスは漢字で「不粋(ぶす)」と書いた。派手の語源は「葉
出」であって、余計にはみだした葉を刈り取ることからきている。派手造
りをした女性議員たちは、異常な自己顕示欲の持ち主なのだろう。

女性議員が日本国民の美意識を破壊しているのは、由々しいことだ。

私は安倍首相を応援しているが、いくら票になるといっても、「女性の活
躍社会」とか、女をおだてるのはやめてほしい。

高校以上の高等教育を無償化することによって、高等教育を重視して、受
験戦争を激化させるのもやめてほしい。心身ともに不健康な受験戦争よ
り、スポーツを奨励して、大いに振興するべきだ。

青年男女の体力を向上させれば、精力があり余って、異性がひかれあい、
少子化がもたらす危機を解決できる。

政府や公共放送が、英語から借りてきた舌足らずな言葉を乱用するのも、
やめてほしい。

NHKは「開店した」といわずに、「オープンした」「イベント」
「ショッピング・モール」とか、不消化な英語を乱発している。

小池百合子都知事も、ひどい。「ワイズ・スペンディング」とか、
「ファースト」とか、生半可な英語を振り回す。

日本語が危い! 国語のなかに溢れている、おびただしい怪しげな英語を
使うごとに課税して、アメリカに支払えば、トランプ政権が不満を鳴らし
ている日米貿易不均衡を、たちどころに是正できよう。

経済産業省の特定サービス産業統計調査によれば、平成28(2016)年度の
パチンコ業界の売り上げは、3兆7269億円だった。

同年度の女性化粧品の売り上げは、2兆円を超えている。同じ年度のサプ
リ(健康食品)79社の売り上げが、5457億円(日本流通産業新聞調査)
だったが、全国に1000社以上あるサプリ業界全体なら、この3倍以上にな
ろう。

平成29(2017)年度の陸上自衛隊の予算が1兆7706億円、海上自衛隊が1
兆1548億、航空自衛隊が1兆1578億円だが、陸自は人件費が大部を占める。

朝鮮半島が一触即発だ。いま、私たちは日本有事と隣り合わせて生きてい
る。日本を守る盾は、自衛隊しかない。

3自衛隊のいずれの予算をとっても、パチンコ業界、化粧品、サプリ業界
の売り上げよりも少ない。

いつ、日本列島が北朝鮮のミサイルを浴びるか、わからない。

北朝鮮のミサイルを、日本海に浮かぶイージス艦と、陸上のPAC3ミサ
イルで迎撃することになるが、数が足りない。イージス艦とPAC3の射
程範囲内に飛んできたミサイルを迎撃しても、半分以上は撃ち洩らそう。

自衛隊はPAC3を17セットしか、持っていない。1セットが防衛省の構
内に据えられているが、局地防衛用のもので、東京都全域を守ることはで
きない。千歳から那覇まで配備されているが、たった17セットでは、とう
てい日本全国の盾とはなれない。

防衛予算を大胆に増やして、アメリカからすでにグアム島などに配備され
ている、PAC3より高性能のイージス・システムを、急いで導入するべ
きだ。

いくら女性が厚化粧をしても、ミサイルから身を守ることはできない。地
上配備型イージス・システムのほうが、頻尿症に効くというノコギリヤシ
より、夜、安らかに眠れる。パチンコ屋へ行く回数を減らせば、行きつけ
の店が被弾しないで済む。

憲法を改正して、憲法に自衛隊を書き込む時間的余裕はない。だったら、
首相から天皇陛下に奏上して、自衛隊をお励まし賜りたい。

自衛隊創設以来、天皇陛下が自衛隊を賜閲されたことも、自衛隊の駐屯
地、基地に御幸されたことも、1度もない。

有事に当たって、生命を犠牲とする青年たちに、国民を代表して、名誉を
お与えいただきたい。自衛隊全員が感激して奮い立とう。
(2017年8月)



◆米有力紙WSJが日本の核武装に言及

杉浦 正章



「北の核を容認すれば遙かに危険な世界を容認」
 

トランプの極東戦略に影響必至
 

筆者は昨日北の核ミサイル保持で敵基地攻撃能力の必要を書いたが、今度は米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が30日、「日本の核武装に道を開く北朝鮮の核容認」と題する社説を掲載した。米政権が「北の核を容認すれば遙かに危険な世界を容認することになる」と警告を発している。WSJは長年にわたりアメリカ合衆国内での発行部数第1位の高級紙であり、世界80カ国以上、100都市以上に支局を構え、創立以来、経済史のみならず世界史に名を残すようなスクープ記事を度々掲載している。米政府や世界各国に及ぼす影響はニューヨークタイムズやワシントンポスト以上だ。この社説がトランプ政権に影響を与えることは必定であろう。


同紙はまず北のミサイル実験について「日本北部の住民は29日、北朝鮮のミサイル発射を知らせるサイレンや携帯電話のアラートにたたき起こされた。この中距離ミサイル発射実験は、北東アジアの安全保障をめぐる政治を一段と混乱させるだろう。そして、日本に自前の核抑止力を持つことをあらためて促すものだ。」と強調、“日本核武装の可能性”を予測している。
 

次いで「日本の最終的な安保は米国の防衛力と核の傘だ。日本が攻撃を受けた場合は米国が反撃することが、日米安保条約で保障されている。しかし、抑止力の論理は敵が合理的であることを前提とするが、北朝鮮相手に合理性は保障され得ない。米国を射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発も、この均衡を変化させている。北朝鮮が東京を攻撃し、これに応じて米国が平壌を攻撃すれば、米国の都市が危険にさらされかねない。」と指摘している。つまり北のICBM開発が終局的には米国の都市攻撃に直結すると読んでいるのである。


そして社説は「日本の指導者たちはこれまで、自ら核兵器を保有することに長らく抵抗してきた。しかし、危機に際して米国が頼りにならないとの結論に至れば、この姿勢が変わるかもしれない。あるいは日本として、たとえ信頼できる同盟国の判断であっても、それに自らの生き残りを託す訳にはいかないと判断することも考えられる。」と日本核武装の“理由”に言及した。


加えて「既に日本の一部の政治家は、独自の核抑止力について話し始めている。世論は今のところ核兵器に反対だが、恐怖で気が変わる可能性もある。日本には民生用原子炉から得た核弾頭1000発分を超えるプルトニウムがあり、数カ月で核弾頭を製造するノウハウもある。」と、日本が保有しようとすればすぐにも核保有国になれると予測している。


そして日本核武装が中国を警戒させ韓国も即座に追随しかねないとして「東アジアが中東に続いて核拡散の新時代を迎えれば、世界の秩序に深刻なリスクをもたらす」と警告、「それもあって、核ミサイルを持つ北朝鮮を黙認することはあまりに危険なのだ。」と強調している。にもかかわらず米国内には北の核ミサイル容認論があるとして社説は、バラク・オバマ前政権で国家安全保障担当の大統領補佐官を務めたスーザン・ライスと元国家情報長官ジェームズ・クラッパーの名前を挙げて批判。


とりわけ「クラッパーは、『米国が(北朝鮮の核保有を)受け入れ、制限ないし制御することに努め始めなくてはならない』と話している。」ことを明らかにした。「8年にわたって北朝鮮の核は容認できないと話していたはずの両氏が今や、トランプ大統領と安倍晋三首相はそれに慣れた方がいいと言っているのだ。しかし、どうやって『制御』するのか。」と問題を投げかけている。


最後に「北朝鮮は交渉で核計画を放棄する意向がないことを明確に示してきた。米国は「相互確証破壊(MAD)」で脅すことはできるが、日本上空を通過した今回のミサイル実験は、北朝鮮が米国と同盟国を威圧・分断するために核の脅威をいかに利用するかを示している。北朝鮮の核を容認すれば、はるかに危険な世界を容認することになる。」と結論づけた。


この社説は北東アジアの安全保障の構図をよく理解しており、今後トランプの戦略や日本の方針に強い影響をもたらし、世界的に日本核武装の是非論が台頭するだろう。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)


◎俳談

【脳裏から引きだす句】

金魚屋を漁師ら囲み秋祭り 読売俳壇1席
 港町の秋祭りで屈強な漁師らが金魚屋を囲み冷やかしている場面に出会った。金魚屋も冗談を言って混ぜ返す。極めて印象的で忘れられない風景であった。何と40年前の風景である。それがふと脳裏によみがえって俳句となった。俳句は眼前のものを観察して詠めと、偉い俳人はおっしゃるが網膜写真に残った風景で十分であると言いたい。人間馬齢を重ねても、大事な風景は脳裏に刻まれている。
年を取ると言うことはそれが強みだ。

     <俳談>     (政治評論家)

◆大阪を行脚していた大阪俳人与謝蕪村

 
毛馬 一三



江戸時代中期の大阪俳人で画家である与謝蕪村は、享保元年(1716年)、摂津国東成郡毛馬村(大阪市都島区毛馬町)に生まれている。生誕地が大阪毛馬村と余り周知されていない事実のことは本誌で既に触れている。

しかし、蕪村が俳人として大阪の中心部を活躍の舞台にしていたことには触れていない。
むしろそれに気づかなかったのが本当のところだ。それはこれから追々。

蕪村は、17歳〜20歳頃、生誕地毛馬を飛び出て江戸に下っている。なぜ江戸に下ったのか。これすら未だはっきりしない。しかも蕪村は出奔以来、極度な郷愁は感じながらも、実際は生誕地「毛馬」に一歩も足を踏み入れていない。なぜだろう。

おそらく、京都丹後与謝から毛馬村の商屋の奉公人として来た母親が、庄屋と結ばれて蕪村を産んだものの、若くして死去したため、蕪村が庄屋の跡継ぎにも成れず、周囲からも過酷ないじめに遭わされたことなどから、意を決して毛馬村を飛び出したに違いない。

しかも蕪村が飛び出した先が、江戸の日本橋石町「時の鐘」辺に住む俳人早野巴人だ。だが、どうしてこんな超有名な俳人に師事し俳諧を学ぶことができたのか、田舎の毛馬村と江戸との結びつきや、師匠との今謂うコネがどうして出来たのか、ミステリーだらけだ。この時蕪村は、師の寓居に住まわせて貰い、宰鳥と号している。

<寛保2年(1742年)27歳の時、師が没したあと、下総国結城(茨城県結城市)の砂岡雁宕(いさおか がんとう)のもとに寄寓し、松尾芭蕉に憧れてその足跡を辿り東北地方を周遊した。その際の手記を寛保4年(1744年)に編集した『歳旦帳(宇都宮歳旦帳)』で、初めて「蕪村」と号したのである。

その後丹後、讃岐などを歴遊し、42歳の頃京都に居を構えた。 45歳頃に結婚し、一人娘くのを儲けた。島原(嶋原)角屋で句を教えるなど、以後、京都で生涯を過ごした。明和7年(1770年)には、夜半亭二世に推戴されている。

京都市下京区仏光寺通烏丸西入ルの居宅で、天明3年12月25日(1784年1月17日)未明68歳の生涯を閉じた。>出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

さて、蕪村は定住していた京都から船で淀川を下り、頻繁に大阪にやって来ていたことが、最近分かってきた。船から陸地に上がったのは、生誕地毛馬村とは全く正反対西側の淀屋橋や源八橋からで、ここから大阪市内にある数多くの門人らを訪ねて回っている。

蕪村は、俳人西山宗因のお墓(大阪市北区兎我野町 西福寺)を訪ね、大阪の蕪村の門下人の武村沙月、吉分大魯(よしわけ・たいろ)のほか、西山宗因の門下の上島 鬼貫(伊丹の人)の処を回っている。大阪市内の各地を回ったことになる   

特に、吉分大魯は、阿波の出身で、安永2年 (1773)から6年まで大阪「蘆陰舎」に滞在(安永7年、兵庫で没)しており、この「蘆陰舎」に蕪村は足繁く立ち寄っている。逆に大魯をつれて、淀川を船で上り、京都の蕪村門下を代表する高井几董に会わせるなど、京都―大阪往復行脚は活発だったようだ。(大阪市立大学文学部)

早い話、蕪村にとり大阪は活躍の場だった訳だ。これもあまり知られていない。

こんな折、驚く情報飛び込んできた。

大阪市北区梅田に茶屋町がある。ところがここに「菜の花や月は東に日は西に」の蕪村句を刻んだ高さ1m、幅50cmの石碑が出来たのだ。この地では一昨年から地域の有志が「菜の花」を植え、「菜の花の散歩道」というまち起こしの「イベント」を適宜も催している。

この句を、この茶屋町その場所で蕪村が出句したかどうかはわからないが、北区茶屋町のこの周辺に蕪村が立ち寄っていたことは事実だ、これに因んでイベントを企画したという。しかも嬉しい要請とは、このイベントに私が主宰したNPO法人近畿ホーラム21(今は散会)で俳句つくり講座「句会」を催して欲しいとの要請が来て、要請を受けたことが在る。

このような話は、他の地域からも打診が相次いでいる。後世のために蕪村を顕彰し、俳句文化振興活動は、立ち上げてから数年が経ってようやく実り始めた。

大阪を行脚して回り俳人としての名を高めた大阪俳人与謝蕪村の俳句を、出来れば外国にも広めて行くことを、各大学と共同して進めたいとも考えている。(了) 2011.03.01

2017年08月30日

◆核なしでは体制が守れぬ北朝鮮

加瀬 英明



核なしでは体制が守れぬ北朝鮮 アメリカはどう交渉に入るべきか

私は昨秋からこの欄で、北朝鮮の核開発問題について、アメリカの安全保
障問題を専門とする友人たちに、北朝鮮はどのようなことがあっても、核
保有国となる決意を捨てることがないから、「北朝鮮を核保有国家として
認めたうえで、北朝鮮と交渉するべきだ」と説いてきたことを、取り上げた。

もし、トランプ政権が北朝鮮に外科的(サージカル)な(目標を限定し
た)攻撃であっても、攻撃した場合、北朝鮮は体制の威信を賭けて、韓
国、日本に対して反撃を加えよう。韓国の総人口の3分の1以上が、南北
軍事境界線から100キロ以内に住んでおり、北朝鮮の火砲・ロケットの 射
程内にある。日本も北のミサイルを迎撃しても、かなりの被害を蒙るこ
ととなる。

もっとも、北朝鮮は国家的自殺をはかるつもりはないから、全面戦争は
戦いたくない。国際世論が「即時停戦」を求めて、5、6日後に停戦に持
ち込むことを期待しよう。

私は昨年10月と今年6月に、ワシントンを訪れた時に、北朝鮮と交渉 す
べきだと促した。

北朝鮮は核なしで体制を守れないと、確信している。

リビアはアメリカの甘言に騙されて、核開発を放棄した後に、オバマ政
権によって軍事攻撃を加えられて、崩壊した。

ソ連解体後にウクライナが独立し、国内にあった核兵器をロシアへ渡すか
わりに、ウクライナが侵略を蒙ったら、ロシア、アメリカ、イギリスが共
同して守ることを約束した。

ロシアがクリミア地方を奪った時に、アメリカとイギリスは傍観した。北
朝鮮はこのような例を、肝に銘じていよう。

トランプ政権は北朝鮮を核保有国として認めることを、拒んでいる。中
国に北朝鮮に圧力を加えることを求めているが、中国はよそ見をしている。

といって、トランプ政権は宝刀を抜いて、北朝鮮を斬りつけることはで
きまい。戦闘が始まって数十万人が死ぬことになったら、耐えられまい。

アメリカはインド、パキスタンの核保有に強く反対してきたが、いまで
は両国の核を認めている。北朝鮮も、同じことではないか。

6月に入って、クリントン政権のパネッタ国防長官、レーガン政権の
シュルツ国務長官などが大統領に書簡を送って、北朝鮮を核保有国として
認めて交渉すべきだと、進言した。

この1ヶ月あまり、アメリカのマスコミでも、同じような意見が多数を
占めるようになっている。

ワシントンの安保問題専門家から、私に「あなたの言った通りの方向に
動いている」という、メールがあった。

私はアメリカが北を核保有国として認めて交渉するのに合わせて、日本
も北と交渉して、北が核弾頭数とミサイルの射程に制限を受け入れるのと
引き替えに、日朝間で国交を結ぶことを提言してきた。

1964年の日韓国交正常化の時に、韓国に6億ドルを供与したが、今 日の
貨幣価値にして1兆円以上を、10年あまりに分けて北に提供する。

交渉がまとまれば、拉致被害者が全員帰国して、朝鮮半島に平和秩序が
確立される。

韓国は日本からの6億ドルによって、“漢江(ハンガン)の奇蹟”を行った
が、北も“大同江(デドンガン)の奇蹟”を行うことになる。このあいだ北朝
鮮は、親日国家にならざるをえない。そうなれば、韓国も反日を叫び続け
るわけにゆくまい。

◆地政学的要衝にある東チモール

宮崎 正弘



<平成29年(2017)8月29日(火曜日)通巻第5409号>

 〜小さな島嶼国家なれども地政学的要衝にある東チモール
  インドネシア、豪と不仲の間隙を衝いて中国が靜かに浸透開始〜

もともとは王国だった。13世紀ごろから中国人、つまり客家の入植が 始
まり、現地人との混血もあったため、中国人の血筋をもつチモール人が
かなりいる。

現在、東チモールの人口は60万人強だが、中国人が推定7000人弱。 1970
年の人口調査では6120人だった。

ポルトガル、オランドに占領され、戦争中は日本軍が占領し、独立の気運
が燃え広がったときにインドネシアが軍を進めて、併合した。独立から
15年、政情はなんとか落ち着いたかに見える。

しかし大統領派vs首相派、独立反対派vsナショナリストの対立に加
え、軍隊のなかにも主流派と反主流派が対立しており、小さな国なのに少
数政党が乱立。単独過半の政党はない。

首都ディリに日本の大使館を開設し、経済援助のためJICAを中心に
在留邦人は116人(外務省史料)という。

産業といえば、ガスと石油しかない。しかも沖合の油田の共同プロジェ
クトは豪と揉め続けており、「チモール海条約」は破棄された。

またインドネシアとは根が深いがあり独立直後の西側の支援もほぼ息切れ。

当然、こういうチャンスを活かす国がある。中国はさっと東チモールに
接近し、まずは住宅建設のお手伝いと称して、6000万ドルを投下し た。
ディリにはビル建設が始まった。このため北京、上海、深セン、義 鳥、
広州、香港を経由する貨物便(チャーター便)がディリと中国との間 に
開設され、労働者も入った。昨年には中国軍の艦艇が東チモールに寄港
したため、インドネシア、豪が警戒している。
      

◆敵基地攻撃能力が不可欠となった

杉浦 正章



安保で全体重を米にかける時ではない
 

領土に落下すれば迎撃した可能性
 

自己完結型の存在価値をレゾンデートルというが、今ほど日本が国家としての有り様(よう)が問われているケースはない。北のミサイルの報に、12の道と県が右往左往してなすすべがない。恐らくその様を見て西欧など世界の国々は唖然としているのではないか。国の安全保障を他国に委ねている結果がそうさせているのだ。


北朝鮮の核ミサイル開発は平和が天から降臨する時代の終焉を意味する。天から降るのは核ミサイルだ。しかもそのミサイルは多弾頭化し始めた可能性すら高い。その意味するものは発射されてからでは迎撃が困難になるということだ。


今後のミサイル対策は、発射を察知した時点で叩く敵基地攻撃能力の保有が不可欠となったことを意味する。政府が国民の生命財産を守るというなら、専守防衛では十分な対応は不可能だ。基本戦略を積極防衛へと転換し、せめて巡航ミサイルや新型戦闘機F35に敵基地攻撃能力を保持させるという抑止力の保持が不可欠なのではないか。


日本もなめられたものである。火星12号をグアム周辺に撃てば米国の攻撃が必至とみて、北の黒電話の受話器ヘアの金正恩は、襟裳岬東方を選んだ。外相河野太郎が指摘したように「北朝鮮はひるんだ」のだ。
 

まず今回のミサイル発射で首相・安倍晋三が「ミサイルの動きを完全に把握しており国民の生命を守るために万全の態勢をとった」と言明していることが何を物語るかだ。明らかに発射の瞬間から軌道を「完全に把握」していたのだろう。そして日本に落下するようなケースでは迎撃命令で破壊する予定であったに違いない。迎撃ミサイルの発射権限のある自衛隊の司令官に対して、安倍はおそらく必要な状況となれば撃墜せよとミサイル破壊の指示を出していたと思われる。


これを受けて司令官はイージス艦や地上配備の迎撃ミサイルにアラートをかけていたのだろう。しかし日本上空を通過するミサイルの高度が高く、迎撃する必要なしと判断したのだろう。
 

こうした判断が出来る背景には、ミサイル発射に関して確たる情報があったからとみられている。政府は28日までに平壌近郊で発射の動きがあることを探知しており、日本列島を越える可能性があることまで掌握していた模様である。このためイージス艦も事前に周辺海域に配備、陸上からはPAC3も対応できる状態であったといわれる。迎撃態勢を整えた上で、ミサイル発射を待ったというのが、実態であったようだ。安倍発言の裏には、相当の対応が進んでいたことをうかがわせるものがあったのだ。日米韓3国が共有の極秘情報であった。
 

しかし、この情報が漏れた以上、北朝鮮は今後ますますミサイル発射を掌握困難な場所から行うことになるだろう。したがって日米韓による情報収集活動が、極めて重要になることは言うまでもない。そこで必要になるのは発射して日本列島に届く前に発射基地を叩く敵基地攻撃能力である。


敵基地攻撃能力の保有については1956年に鳩山一郎内閣が「誘導弾等の攻撃を受けて、これを防御するのに他に手段がないとき、独立国として自衛権を持つ以上、座して死を待つべしというのが憲法の趣旨ではない」との判断を打ち出している。憲法上の問題はクリアされており、後は政治判断だけだ。既に自民党の安全保障調査会は3月に、北朝鮮の核・ミサイルの脅威を踏まえ、敵基地攻撃能力の保有を政府に求める提言をまとめ、首相・安倍晋三に提出した。 


調査会の座長を務めた小野寺五典は敵基地攻撃能力が必要な理由について「何発もミサイルを発射されると、弾道ミサイル防衛(BMD)では限りがある。2発目、3発目を撃たせないための無力化の為であり自衛の範囲である」と言明している。安倍はこの小野寺を防衛相に任命した。就任後も小野寺はインタビューで、「提言で示した観点を踏まえ、弾道ミサイル対処能力の総合的な向上のための検討を進めていきたい」と前向きな姿勢を示している。
 

これに対して安倍は2月の時点では「どのように国民を守るかは常に検討すべきである」と前向きであったものの、最近では「具体的に検討を行う予定はない」と慎重姿勢に転じている。
 

しかし、相次ぐ北の挑発に“無為”で過ごせば、国家としてのレゾンデートルが問われる段階に入る。同じ敗戦国のドイツの場合を例に挙げれば国内には米軍の核ミサイルが20基配備されているとされ、有事に米独どちらかの提案を他方が受け入れれば使用できる、という共同運用体制を取っている。第2次メルケル政権で撤去が議論されたときがあったが、ロシアが配備している戦術核に対抗するためには必要という考え方が優勢を占め、オバマ政権も配備を継続した。


トランプが信用おけないことから最近では保守系有力紙フランクフルター・アルゲマイネが、米国が欧州防衛を欧州自身に委ねることになった場合には、「ドイツ人には全く考えもしないこと、つまり独自の核抑止能力という問題」が起きる可能性もある、と警告している。
 

やはりドイツの場合も対米信頼感が揺らいでいるのであり、日本でも同様だ。8月2日に紹介したように米国内には、米国が北朝鮮の体制を承認し、体制の転換を狙う政策を破棄して平和条約を締結し、その際中距離核ミサイルは容認するという“現状凍結”構想が台頭している。事実上の「日本切り捨て論」である。おまけに今回の場合も当初は国防総省の報道官が「北米にとっては脅威にならない」とまるで他人事のようなコメントを出した。大国は基本的にエゴなのであり、安全保障の全体重を米国に委ねるという歴代自民党政権の対応は、ここに来て危うくなってきている。


自国の防衛は主体的に自国で行わざるを得なくなるのではないか。そのささやかなる1歩が敵基地攻撃能力であり、早期に実現に移すべきではないか。実現させれば日米全体の抑止力も高まる。今解散総選挙のテーマとして浮上させれば、国民多数の理解も得られるのではないか。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

◎俳談

【意外性と機知】

これきしはジュラ紀の冬と炎天下 読売俳壇3席
 恐竜の天下であったジュラ紀の平均気温は現在より10度以上も高かったと考えられている。北極圏でも平均気温は15度くらいあった。掲句は頑固爺が、「何だってんだい。これくれいはジュラ紀の冬だい」と炎天下を歩いている姿である。深い科学的な知識(?)に裏付けられた俳句も時には詠むのだ。人の意表を突く意外性と機知がポイントだ。

     <俳談>     (政治評論家)

 

◆公財政を揺るがす「抗し難い圧力」

眞邊 峰松



私は、本欄で、<特に大阪のように本来豊かな税源を持つ地域でも、現行税配分方式ではその多くが中央に吸い上げられ、辛うじて地方交付税の配分で息を繋いでいる情けない実態>と書いた

更に、<大阪の地盤沈下が叫ばれて久しいが、この主原因は在阪企業の利潤中心の東京移転ではなかったのか、果たして府なり大阪市の力でこれら企業の東京移転を阻止できたのか、これら民間企業経営者の本音の意見を聞きたいところだ>とも指摘した。

その上で、<今後日本経済の復元に成功したとしても、結果的には国と東京の一人勝ちとなり、大阪の地盤沈下が一層明白になり、府下の公財政の改善を求められたとしても、制度の抜本的改革なしには、一歩も進まない実態が明らかになると思われる>と警鐘を鳴らした。

そこで、改めて私の考えを述べてみたい。私も、かっての府下公財政のあり方を決して是認するものではない。例えば、次々と明らかになってきた同和行政を巡る乱脈経理。あらゆるところに蔓延する談合体質。

これらは明らかに公財政のあり方を根底から揺るがすものだ。 ただ、私の経験から言えるのは、その背景には、自己の利権と集票のみに関心を持つ低劣な議員、政治分野にのみ存在感を誇示し、真の公正妥当な職員福利の増進を無視してきた労働組合、人権擁護を表看板に有形無形の、抗し難い圧力の下に進められてきた諸団体の活動があったことも事実だ。 


当然担当部署は、それらの圧力に屈することなく公務員本来の全体の奉仕者として踏ん張るべきであったろうと思う。そこが社会の指弾の的になっているのだろう。  
しかし、その彼らを支えるべき議会・マスコミ・警察権力はどこにあったのか、眼を向けていたか。否、全く無かった。

逆に、寧ろ問題の糊塗を進める要因の一つだった、いうのが実態だったであろう。 梯子を登って後ろを振り返れば、誰も続く者とてなく、猪武者扱いされるのが関の山。 全体として、決して褒められた実態ではなかったと確信している。

果たして行政と公財政を取り巻くこのような複雑怪奇な実態を知らず、地方行政に対する見識・胆識をもお持ちとは些かも思えない特定人物を重宝がること自体が、果たして良いのだろうか、正しいのだろうか、と疑問を持たざるを得ない。 単なるパフォーマンス・綺麗事で終わるなら、長期的・最終的に被害を蒙るのは住民・国民ではないか。

まぁ、そうは言っても、民間でもOBとなられた人物で、企業経営から相当期間離れられ、その後色々な経験を重ねられた上で、大所高所から言われることなら、とは思う。 とりわけ行政の弱点である最小コスト・最大効果という点で民間知識を生かしていくのが効果的だとは考えないことではない。

しかし、正直、それでも長い期間に養われた視野、当該問題に対する現実や関わる裾野まで見渡せる経験・知識という点では、一般的には自治体職員OBの中の優れた人材と比べて、果たしてどうだろうか。

卑近な例でも、大阪府のりんくうタウンや大阪市の大阪湾埋立地の事業への批判。世の非難はその見通しの悪さを批判の的にしている。 これらは明らかに土地神話やバブルの崩壊によるものだ。 

現時点に立てば、これらを第三者の目で批判・非難することは簡単だが、私の目から見れば、これらの埋め立て事業自体は海面から新しい国土を生み出したという意味で、土地投資に対する安易な融資による金融危機と、同列に扱われることに抵抗を感じる。 

もっと長期的に考えれば、無から有を生み出したという評価だって有り得るのではないだろうか。 過去の責任を追及するばかりというのもどうか、と思う。 

今後、将来の大阪のために、思い切った施策や投資を立案し、実行するかどうか疑問が湧いてきて、背筋が寒くなる。

2017年08月29日

◆万達集団の王健林にも大きなリスク

宮崎 正弘



<平成29年(2017)8月28日(月曜日)通巻第5407号>

 〜中国最大富豪、万達集団の王健林にも大きなリスクが浮上
  太子党の裏金をささえたインサイダー取引集団の全貌が暴露されるか?〜

中国富豪トップの王健林が出国制限を受けたことが分かった。

すでに肖建華(明天集団を率いたインサイダー取引の黒幕、郭文貴の子分
とされる)、呉小暉(安邦保険集団のボスだった)らが拘束されており、
王健林率いる「万達集団」へは、銀行が新しい貸し付けができないばかり
か、海外送金をストップされ、幾つかの海外企業買収案件が座礁に乗り上
げた。

とくに肖建華は香港の豪華ホテルに滞在中、ボディガードに囲まれていな
がらも拉致され、北京で拘束取り調べをうけている。この関連からインサ
イダー取引の実態、とくに王健林との関連で追及材料がでてきたのではな
いかとされる。

8月25日、王健林は家族とともに天津空港からプライベート・ジェットで
ロンドンへ飛び立とうとしていた。突然、出国をとめられ数時間にわたっ
て拘束された。高飛びが疑われたらしく、ようやく許可がおりて機上の人
となったという(博訊新聞、8月27日)。

中国共産党にとって頭痛の種は、米国へ亡命した令完成(胡錦涛の番頭
だった令計画の実弟)が持ち出した秘密ファイル。そしてVOA(ヴォイ
ス・オブ・アメリカ)などで高官の不正送金や隠匿預金口座などを暴き立
てる郭文貴の存在であり、とりわけ富裕層の海外渡航に出国禁止命令を通
達している模様だ。

現在、中国の富裕層で資産が10億ドル(1100億円)以上と見積もられてい
る財閥は430人。王健林の個人資産は350億ドル(3兆8500億円)と言われ
る。彼が率いる「万達集団」(大連が本社)は全米の映画館チェーンの買
収、ハイウッド映画製作会社の買収などで世界に勇名を馳せた。

ところが万達集団(王健林の本丸)は、有利子負債が10兆円以上あり、債
務超過と算定されて、貸しだしならびに海外送金が禁止され、王健林は窮
余の一策として本丸のホテル、テーマパークのあらかたをライバル企業に
売却した。

孫正義の有利子負債は15兆円。しかし保有する株式の時価総額が16兆円あ
ると言われ、債務超過とは算定されておらず、第2のダイエー化が懸念さ
れているものの、現在のところ、投資家は、リスクを見出していないようだ。

王健林が当局からマークされたのは、ハーバード大学に招かれて講演した
際に、上場前の自社株を習近平の姉一族にも供与したという特殊な関係を
自慢したため、習近平の怒りを買ったらしい。
       
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◆樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 1621】            
――「獨乙・・・將來・・・無限の勢力を大陸に敷けるものと謂ふべきなり」(山
川11)
   山川早水『巴蜀』(成文堂 明治42年)

              △

山川は成都の将来と日本の関係について考える。

在留邦人は「有期契約の上に在る?習のみなるを以て、現在のところ未だ
一個の根柢的定着を見ず、唯だ或期間内、其標跡を托せるに過ぎ」ない
し、「商業に至りては、未だ今日まで何の計劃も無かりき」。

こんな状態なら、将来、鉄道が引かれ開港場になるなど、成都での商機が
開かれたとしても、「既往の事實に徴すれば、恐くは本邦商人の發展を見
る可からざらん」。甚だ心許ない上に、イザとなった時に「獨米の妨害あ
れば、(中略)成都の地には、邦人の影を留めざるに至らんも亦た知る可
からざるなり」と、じつに悲観的だ。

ここで、20世紀、いや21世紀の現在まで続く日中関係の紆余曲折を考え
た時、やはり「獨米の妨害」との指摘が気になるところ。ドイツがしょう
介石政権に加担すればこそ、ある時期の日中戦争は形を変えた日独の戦い
だった。アメリカは日本の満州・大陸政策が自らの利権を侵害すると見做
したからこそ、日本に猛反発したのである。

大陸西南の奥深い重慶に逃げ込んだショウ介石が命脈を保てたのもアメリ
カによる大量の支援物資であり、軍事指導だった。親ショウ介石・反毛沢
東を基軸とする佐藤政権の対中外交方針をコケにしたのは、ニクソンと
キッシンジャーによる電撃訪中だった。

いま中国の自動車市場で、ドイツは電気自動車を駆って、トヨタのハイブ
リッド車に揺さぶりを掛ける。

時代は変わろうとも、日本の対中関係を考えるうえで注意の上にも注意す
べきは、やはり「獨米の妨害」ではないか。

明治39年12月末の重慶の日本領事館調査では80人(内、女性9人)だが、
「西人に比較する時は、僅に第3位」。四川省全体をみても、「各地方に
散在せる者は、悉く?習に屬す」わけであり、やはり「大柢一時の鴻爪を
留むるものに過ぎ」ない。かくて四川を中心とする大陸西南部における
「本邦人の根柢的發展は頗る寂寞の感無くんばあらず」。とはいえ僅かな
数ではあるが、彼らは「直接支那人を對手と」し、上海や天津で見られる
ように「多數の商人が共喰的」状態にあるのとは違い、「聊か人意を強う
するを得べし」とした。

日本での生活に較べれば不便ではあるが、それでも重慶や成都在住者は
一致協力し工夫して生活している。これに対し地方の場合は家族揃っての
赴任とはいえ、「同僚にてもなき限り、全く塊然たる獨居處なり、交通機
關不自由」であり、「群を離れて孤客となれるからは、いざといふ塲合に
臨めば、何彼にかけ、一方ならざる不便と困難とに遭遇せざる」をえない。

「諸種の科學思想を蓄へ、勤勉にして且つ觀察の深刻なるや、本業の旁、
必ず何等かの研究をなし居るものゝ如」き欧米からの宣教師とは対照的
に、不便極まりない地方で暮らす個々の日本人教習は、「一方ならざる不
便と困難」に耐えながらも誠心誠意で教育に当たる。たしかに生真面目で
誠実であることは大切な徳目であり、それこそが最大の武器であることは
確かだ。だが、それだけで終わらせてしまってはいけない。

たとえば日露戦争前、軍籍を離れハルピンに渡り洗濯屋や写真館を経営
し、遂にはロシア軍の御用写真師となって軍事情勢を中心に極東ロシア情
勢の把握に努めた石光真清(1868年〜1942年)のような成功例もある。だ
が、石光の“個人技”で終わってしまっていることも事実だろう。

個々人の貴重な体験・経験・知見を、個々人の冒険譚や思い出のままに終
わらせることはない。対中政策を策定・遂行し、あるいはビジネスを展開
するために、それらを蓄積し、体系化し情報インフラとして再構築すると
いう“発想”が、なぜ起こらないのか。それこそが日本と日本人の抱える根
本的な弱点であり、克服すべき永遠の課題だと思う。