2018年04月02日

◆森友文書だけが日本の問題ではない

櫻井よしこ


「森友文書だけが日本の問題ではない 国の安全への責務を政治家は自
覚すべきだ 」

3月19日の参議院予算委員会で安倍晋三首相は、森友文書書き換え問題で
「行政全体に対する最終的な責任は首相である私にある」と陳謝した。

その上で、「私や妻が国有地払い下げや学校の認可に関与した事実はない
ことは明らかだ。書き換えを指示していないし、そもそも財務省理財局や
近畿財務局の決裁文書などの存在も知らない。指示のしようがない」と
語った。

財務省が発表した76ページの文書には首相夫妻関与の痕跡は全く無い。

省の中の省と言われる財務省が決裁文書を書き換えていたことは重大問題
であり、首相をはじめ政治による不当な真実隠しがあれば糾すべきなのは
当然だ。この二つの問題には粛々と取り組めばよい。だが、急展開する国
際情勢を見れば、国会が同問題だけにかまけていてよいはずはない。国会
は日本の命運を左右する大きな国際情勢問題に急ぎ取り組むべきだ。

ドナルド・トランプ米大統領は国務長官のレックス・ティラーソン氏を更
迭し、マイク・ポンペオ氏という元米中央情報局(CIA)長官で対北朝
鮮強硬派を後任に指名した。トランプ氏は国家安全保障問題担当補佐官、
ハーバート・マクマスター氏も解任する方針だと報じられている。後任と
して取り沙汰されるのがジョン・ボルトン元国連大使ら、対北朝鮮強硬派
である。

北朝鮮を巡っては、4月末に南北朝鮮首脳会談、5月には米朝首脳会談が予
定される。南北首脳会談の韓国側準備委員長は、北朝鮮の故金日成氏の主
体思想の信奉者で、朝鮮民族として正統性を有する国家は韓国ではなく北
朝鮮だとの考えを隠さない任鍾ル(イム・ジョンソク)氏だ。

同氏の下で首脳会談を調整するのは2000年の金大中・金正日首脳会談を設
定した責任者、林東源元統一相だ。大中氏は秘密資金4億5000万ドルを正
日氏に貢いでようやく会談してもらったのだが、そのお膳立てをしたのが
林氏だったとみてよいだろう。韓国が北朝鮮にのめり込むのが4月の南北
首脳会談だ。その後に誕生する韓国は今よりずっと親北だろう。

米国は5月の米朝首脳会談を目指して準備中だ。日本は4月中に日米首脳会
談を開く。米朝首脳会談が本当に実現するのか、実はまだわからないが、
実現すれば日本に重大な影響を及ぼすのは確かだ。わが国の準備は進んで
いるのか。

日本にとって最悪なのは、北朝鮮が米本土に届く大陸間弾道ミサイル
(ICBM)を放棄するだけで米国が納得することだ。北朝鮮は日本を十
分狙える核とミサイルを手にすることになり、到底日本は受け入れられな
い。日米の絆である日米安全保障条約の基盤は大きく揺らぎ、それは日本
の国益にも米国の国益にもならない。

安倍首相は4月の首脳会談でトランプ大統領にそのことをよく理解させな
ければならない。だが、強固な日米同盟が大事だとトランプ氏に納得させ
るには、同盟が米国にとっても代替不可能な必須の戦略基盤であることを
示さなければならない。そのために日本のなすべきことを国家戦略として
決めておくことが欠かせない。

折しもユーラシア大陸には中国の習近平政権とロシアのプーチン政権とい
う、事実上の終身皇帝を戴く専制独裁政権が誕生した。政権地盤を固めた
2人の専制者は、国内基盤強化のために厳しい対外戦略を打ちだすだろう。

かつてない厳しい国際情勢の中で日本が依って立つ基盤は日米同盟しかな
い。同盟を日本の国益を守る方向へと導くためになすべきことを決め、具
体的政策に移す局面だ。その作業を日米首脳会談前までに全力で行わなけ
れば日本は深刻な危機に直面する。森友文書だけが問題ではないのだ。日
米同盟に生じ得る根本的揺らぎを読み取り日本国の安全を確固たるものに
する責務を政治家は自覚すべきだろう。

『週刊ダイヤモンド』 2018年3月31日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1225 

◆パワハラについて

今月の法律コラム

川原 敏明


 最近、時折耳にするパワハラという言葉、なんとなく判っているような、判っていないような?・・・そこで、今回、少し、まとめてみます。

 パワハラとは何か?
 国では、「同じ職場で働く者に対して、
 職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」としています。

 類型的には、
 (1)物理的攻撃(暴行)
 (2)精神的攻撃(脅迫、暴言、名誉毀損、侮辱)、
 (3)人間関係からの切断(隔離、仲間外し、無視)、
 (4)過大な要求(業務上明らかに不要・不可能なことの強制)仕事の妨害 、
 (5)過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の
  低い仕事を命じること、仕事を与えないこと)、
 (6)プライベートへの過度の干渉
 等が挙げられます。

 ただし、業務上必要な指示や注意・指導の場合には該当せず、
 「業務の適正な範囲を超えるものであること」に注意が必要です。

 では、このような被害に遭った場合、どうしたらいいのでしょうか?

 1 まず、証拠を残すことが重要です。
   いつどこで誰が何をしたのかを記録しましょう。
   裁判時に必要となる他、種々の相談をするときにも、証拠が必要となるからです。

   同僚の目撃証言なども証拠にはなりますが、いざというときに、
   協力を得られない危険があります。メモもいいですが、録音(秘密)がお勧めです。

 2 会社の窓口(人事担当者等)、あるいは、労働局等の労働相談コーナーに相談する。
   誠実な会社・担当者であれば、解決するかもしれません。

 3 それでも解決しない、パワハラをした上司等あるいはそれを放置した会社に謝罪や
   損害賠償を求めたいという場合には、弁護士に相談しましょう。

◆法律コラム「養育費が決まったら?」

                 川原 敏明 (弁護士)


養育費の決め方は、本人同士で決めたり、調停で決めたり様々です。

本人同士で決めたら、どのように書面にしたら良いでしょうか?
1番簡単なのは、2人で合意書を作ることです。
もちろん、原則この合意書も有効です。
ただ、書き方によっては、具体的にいくらを
どうやって支払うのか分からなくなるので、
できれば弁護士など専門家に作ってもらうべきでしょう。

弁護士が作った書面ならそれで良いでしょうか。
もちろん、弁護士が作れば中身はしっかりしていますが、
いざ相手が払わなくなった場合に
あらためて裁判を起こす必要があります。

そういう意味では、公正証書(強制執行認諾文言付き)や
調停調書にしておけば裁判を経ずに強制執行できます。

では、公正証書(強制執行認諾文言付き)と
調停調書どちらが良いのでしょうか?

どちらも、いざ相手が払わなくなった場合、強制執行が可能です。
しかし、両者では時効が異なるとされています。
すなわち、公正証書であれば、月々発生する養育費は
それぞれ5年で消滅時効となりますが、
調停調書であればそれぞれ時効が10年となるとの見解が有力です。

もちろん、調停を起こすと多少紛争性が高くなるので
実際どの手続きで進めるべきかはケースバイケースですが
相手が払わない可能性が高いのであれば
調停を選択するのは有効かもしれません。

2018年04月01日

◆北の“非核化”にある「疑似餌」の側面

杉浦 正章


“核カード”は北の遺伝子 日本「置き去り」の指摘は荒唐無稽

金正恩の中国電撃訪問は、すべて5月に予定されるトランプとの米朝首脳
会談対策に集約される。世界の孤児のまま対米会談に臨むことのリスクを
やっと気がついたのだ。

逆に中国にしてみれば、極東における“蚊帳の外”の状況を改善するメリッ
トがある。金正恩は「後ろ盾」、中国は「存在感回復」を獲得することに
なった。双方にメリットがある会談だったし、中国が影響力を取り戻した
ことは事実だ。

これにより冷え込んでいた中朝関係は一気に改善し、“死に体”であった中
朝の血の同盟である中朝友好協力相互援助条約は再び息を吹き返しつつあ
る。ただし非核化と言っても様々だ。過去2度あった北の“疑似餌”に3度
ひっかかる馬鹿はいない。

中朝の首脳会談では、朝鮮半島の非核化については大まかなスケジュール
や考え方を確認したものとみられる。しかし、単に「非核化」といって
も、日米と中国のスタンスは大きく異なる。

日米は核の即時全面的放棄を求めるが、中国は時間をかけて解決しようと
する立場だ。金自身の発言を分析しても怪しげな空気を感ずる。北朝鮮は
日米の求める非核化対応をよしとしているようには見えない。

 非核化に対する金正恩の発言は「我が国の善意に応え、平和実現のため
段階的かつ同時に措置を講ずれば、朝鮮半島の非核化の問題は解決するこ
とが出来るだろう」というものだ。

この「段階的かつ同時に」の表現がくせ者なのだ。それは段階的手順を
追ってということであり、手放しでの非核化ではさらさらない。非核化と
言えば北朝鮮が一方的に核を放棄するような印象を受けるが、これまで北
が主張してきたことは「米国の行動あっての行動」なのであり、米軍の核
が朝鮮半島に存在すれば成り立たない論理なのである。

これは核兵器の「即時放棄」を唱える日米の要求ではなく、「時間をかけ
て解決」という中国の方針に添って金正恩が球を投げたと受け止めること
も可能だ。

北朝鮮はきょう南北閣僚級会談、来月には南北首脳会談、5月には米朝
首脳会談を控えているが、電撃訪問は金正恩が米朝首脳会談の“失敗”を極
度に恐れている可能性があることも露呈した。

トランプは「米朝会談は楽 しみだが、残念ながら最大限の制裁と圧力は
何があっても維持されなけれ ばならない」と述べるとともに、米朝協議
がうまくいかなかった場合につ いて「アメリカは全ての選択肢がテーブ
ルの上にある」とどう喝している のだ。

金正恩は常にリビヤのカダフィー暗殺未遂事件が脳裏をよぎってい ると
いわれている。アメリカは1986年にカダフィーの居宅を狙って空爆す る
強硬手段を取り、暗殺しようとした。カダフィーは外出しており危うく
難を逃れた。

この恐怖が金訪中の原動力となっているといってもよい。

トランプの言うように米朝首脳会談が破綻すれば、米国による軍事行動
の可能性が一気に高まる。米国を“けん制”するにも孤立状態では手も足も
出ない。そこで金正恩は習近平に泣きついて、関係を改善し“後ろ盾”の存
在を誇示する必要に駆られたのだ。

中国を通じて米国の軍事行動をけん制 してもらうしか方策は無いのだ。
中国は朝鮮戦争の休戦協定の当事者でも あり、金正恩は米朝関係改善が
出来なければ中国にすがりつくしか生きる 道はないと考えたに違いない。

中国にしてみれば、極東における日米韓の軍事協力の可能性をひしひし
と感じているのであり、朝鮮半島の非核化や平和の定着などを進めるため
にも、北の独走を防ぐ必要がある。そのための電撃訪問の受け入れである
が、これは父親の総書記金正日訪中と酷似している。

1992年の中韓国 交正常化により、中朝関係は極度に悪化したが、今回同
様に、金正日は 2000年5月29日の電撃訪中で世界をあっと言わせた。金
日成が死去 してから初の外国訪問であった。韓国大統領金大中との首脳
会談を直前に 控えていたことまで日程を模写したかのようにそっくりだ。

また北がロシ アと連携をする場合もあり得る。北がロシアと結べば、極
東に中露北と日 米韓の対峙の構図が出来る可能性がある。ロシアは欧米
から総スカンを受 けており、極東に突破口を求める可能性が大きい。


問題は北の非核化のプロパガンダを真に受けて、国際社会が性急な対応
をすることだ。非核化と言っても即時全面放棄を北がするわけがないから
だ。世界は核問題で金日成にだまされ、金正日にだまされてきた。金日成
は1980年代から核開発に着手したとみられる。

1994年の金日成死後に権力 の座を継いだ金正日は、「先軍政治」を掲げ
て核開発に専念した。北の政 権は経済的に困窮すると“核カード”を切
り、援助を達成するのが“遺伝子” に組み込まれているかのようである。
紛れもなく金正恩も“遺伝子”の指図 で動いている。

従って、北の核放棄の意図はうさんくさいのだ。実質的な 進展もないう
ちは「北の病気がまた始まった」くらいの対処が適切だ。日 本政府の置
き去りを指摘する浅薄な新聞もあるが、ここは慌てる必要はな い。

公明 党の議員から参院予算委で「国民は日本だけ置いていかれると懸 念
して いる」との指摘があったが、国民とは誰だ。素人の見方であり、慌
てる 乞食はもらいが少ない。誰も日本を置いていこうなどとは思ってい
な い。

中国からも米国からもパイプを通じて連絡は来ている。北が厳しい経 済
事情を背景に、やがては日本にすり寄ることは目に見えている。ここ
は、北の非核化の本質をじっくり見極めてから対応しても遅くはない。

◆鉄人 衣笠祥雄の死

馬場 伯明

私は小学生のときから60年にわたる古いカープファンである。私と同世代
でカープの代表的な選手だった衣笠祥雄が死んだ。さびしい。

デイリースポーツ(2018.4.25)より抜粋する。《2215試合連続出場の世
界記録(1987当時)を樹立し、「鉄人」と呼ばれた元プロ野球広島の衣笠
祥雄さんが23日、上行結腸癌のため死去した。71歳。1965年平安(現龍谷
平安)高から入団し、75年のリーグ優勝に貢献。

87年に国民栄誉賞を受賞し、96年には野球殿堂入り。背番号「3」は広島
の永久欠番。引退後は野球解説者として活躍。19日にBS-TBSで放送された
DENA対巨人戦が最後の解説になった。24日通夜、葬儀・告別式は25日都内
で家族葬儀にて執り行われる》。(4.25に執り行われた)。

TV・ラジオ・新聞などのマスコミが一斉に衣笠の死を報じた。数多くのエ
ピソードや友人・知人らの思い出などが語られ、掲載された。それらを省
略し、カープファンとして個人的なことをいくつか記す。

関東、関西、広島などの球場に行き多くの試合でカープを応援していた
が、最も印象に残る衣笠の2本の本塁打を紹介する(1975球宴の2本より
上)。1982.6.18(金)対巨人13回戦、広島球場。10対3でカープ勝利、
カープ5勝7敗1分。勝利投手:福士、敗戦投手:江川。私は37歳。 

両軍で9本の本塁打が飛び交った。カープは(憎い天敵)江川に5回までに
5本の本塁打を浴びせKOした。2回達川が先制2号。3回は高橋慶、衣笠、水
谷。衣笠は初球を豪快にスタンドへ。さらに、5回衣笠が2打席連続本塁打
で江川に引導を渡した。駆け寄る山倉捕手、江川が首をかしげる。江川の
1試合5被本塁打は初。(「アンチ巨人讀本」1983を参照)
  
この日は(倉敷市の勤務先を早退し)新倉敷駅から・・・広島球場でナイ
ター観戦した。カープファン2人(私とF君〈*1末尾〉)と巨人ファンのT
君。T電力のA課長がネット裏のT電力本社保有の特別指定席3席を豪華な弁
当や酒とともに手配・融通してくれていた。

(熱気の夜の)広島球場は3回からお祭り騒ぎとなった。私とF君は連続本
塁打に欣喜雀躍!狂喜乱舞!T君は阿鼻叫喚!地獄絵図!「焼け石に水」
の原の8回の本塁打に、T君が突然立ち上がり「バンザイ!」と。周囲の
(上品な)カープファンが(余裕で)笑う。私はT君を新幹線(復)車中
で「ま、ま、飲みながら帰ろう」と慰撫した。35年前のことだ。衣笠祥雄
様!ありがとう、安らかに。追悼の辞とする。

次は、「江夏の21球」。語り尽くされているが私事などを。1979.11.4、
近鉄との日本シリーズ第7戦、9回裏近鉄無死満塁の絶好のチャンス、カー
プは絶体絶命。私は倉敷市の自宅のTVの前でこぶしを固く握りしめてい
た。1歳半の長女が部屋にいた。佐々木恭介が三振1アウト。石渡がスクイ
ズバントを敢行失敗、江夏のすっぽ抜けのような外角球を水沼(捕手)が
飛びついて掴み3塁ランナー藤瀬を挟殺した(録画が流れた)。
 
何が何だかわからなかった。スクイズの直前に幼い娘が何か言って動いた
のに気を取られ、江夏が投げた瞬間を見逃してしまった。これで2アウ
ト。その2球後石渡は空振り三振、カープ初の日本一が達成された。

あの無死満塁のピンチで、衣笠はマウンドの江夏のところへ行き、確か
に!何か!を言った。私もTVでそれを見た。「ガンバレ!」とでも言った
のか・・・。それが後日明らかになった。

無死満塁でベンチはブルペンへ投手を送り(交代の!)準備に入った。こ
の「暴挙?!」に心を乱した江夏に、1塁から衣笠が歩み寄り「(これ
で)お前が辞めるなら俺も辞めてやる」と言い、衣笠の熱い覚悟の言葉に
より江夏は集中力を取り戻した、と言うのだ。衣笠がいなかったら「江夏
の21球」も(カープの初の日本一も?)なかったのである。

江夏は日経新聞「私の履歴書(2017.12)」でも衣笠のことを述懐してい
る。また、《いいヤツを友人に持った。俺の宝物だ。ワシもすぐ追いかけ
るんだから。次の世界でまた一緒に野球談議をするよ。それが楽しみだ。
(日刊スポーツ2018.4.25)》。いい言葉だなあ〜〜〜。でも、江夏・・・
そんなに慌てて「追いかけ」なくてもいいぞ(笑)。

ところで、東京の新橋と銀座の間に「笹乃屋」(「笹ノ屋」かも?)とい
う料理屋があった。古葉監督の縁者が女将さんと聞いた。1984年カープの
リーグ優勝では店頭に広島県の日本酒の四斗樽が数本積み上げられた。雑
誌「酒」佐々木久子編集長や広島県出身の財界人らが寄贈したのだ。通行
人へ優勝の美酒をふるまった。私もいただいた。

1983年に東京本社へ転勤となり笹乃屋へときどき行った。カープファンが
多くカープの選手も何人も見かけた。衣笠とは1回会ったことがある(私
は頭を下げ衣笠が会釈しただけ)。衣笠は途中で帰った。酒は好きじゃな
いのかな?と思った。
ところが、後年衣笠が早めに帰った事情がわかった。《「ちょっと用
事・・」と言って、(キヌは)スナックから消えた。あとから来た後輩が
「キヌさんなら、今バット・スイングやっとったですよ」と言う。そう
か。》(「浩二の赤ヘル野球」山本浩二 1989.3文藝春秋)。衣笠は、他
人に配慮し、黙って毎夜バットを振る努力家だったのだ。(笹乃屋は今は
ない)

アフリカ系黒人(米国)と日本人の母にと言われる衣笠の生まれや家族な
ど私的なことは知らない。あまり興味もない。ただ、プロ野球選手OB界の
「七不思議の一つ」とも言われる《衣笠はカープを含むプロ野球のコーチ
や監督になぜ就任しなかったのか?》には興味があった。あれこれ書いた
本などもある。しかし、事実ではなく思い込みや憶測のようなものが多い
気がした。途中で、詮索するのはやめた。

そうだ。衣笠には、(江夏が言う)「次の世界」で監督を務めてもらお
う。投手コーチは星野仙一がいいと思う。だが、後から行く(であろう)
江夏が「おい、キヌよ、オレにやらせろ!」と言うかもしれない(笑)。

心優しい鉄人・衣笠祥雄様、ほんとにお疲れさま。衷心よりご冥福を祈念
する。「次の世界」でも私たち(カープ)ファン他に、あのすばらしい全
力野球を見せてほしい。なあに、追っかけ、そのうち行きますよ。(了)

(*1)カープファンのF君はO県から当社への出向者。この日の対巨人戦は
NHKでの全国中継だった。NHKにはCMがない。突然《O県のFさん、球場
の・・・でCさんがお待ちです・・》と場内放送。「(Fさんが)平日の広
島球場にいる」ことがTVで全国の視聴者に知れ渡った。

翌週、「なぜ、あの時刻に、広島球場に?」という全国の各地の友人たち
から電話がありFさんは慌てたという(笑)。Fさん、これ、バラしてごめ
んね(謝)。(2018.4.30 千葉市在住) 

◆野党とメディアが日本を滅ぼす

櫻井よしこ

 

米英仏は4月13日午後9時(日本時間14日午前10時)からシリアの化学兵
器関連施設3か所に、105発のミサイル攻撃を加えた。

1年前、トランプ大統領は米国単独でミサイル攻撃を加えた。今回、米国
がどう動くのかは米国が自由世界のリーダーとしての責任を引き受
け続けるのか否か、という意味で注目された。それは、異形の価値観を
掲げるロシアや中国に国際社会の主導権を取らせるのか、という問い
でもある。

米英仏軍の攻撃は、米国が自由主義世界の司令塔としてとどまることを
示した。決断はどのようになされたのか。

米紙、「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)などの報道によ
ると、国防総省はトランプ氏に3つの選択肢を示したという1Dリアの化学
兵器製造能力につながる施設に最小限の攻撃をかける、➁化
学兵器研究センターや軍司令部施設まで幅広く標的を広げ、アサド政
権の基盤を弱める、➂シリア国内のロシア軍の拠点も攻撃し、アサド政
権の軍事的基盤を破壊する、である。

トランプ氏は➁と➂の組み合わせを選択した。ミサイル攻撃を一定水準に限
定しつつ、化学兵器製造能力に決定的打撃を与えるが、アサド政
権の転覆は目指さないというものだ。

結論に至るまでの議論をWSJが報じている。トランプ氏は➂の選択肢に
傾いており、ニッキー・ヘイリー国連大使も大統領と同様だったと
いう。反対したのがジェームズ・マティス国防長官で、ロシア軍の拠点
まで含めた攻撃はロシアのみならず、イランからも危険な反撃を受け
る可能性があると説得したそうだ。


攻撃4日前の4月9日に国家安全保障問題担当大統領補佐官に就任したジョ
ン・ボルトン氏は今年2月、WSJに、米軍には北朝鮮に先制攻
撃を行う権利があると述べた強硬派である。マティス国防長官は国防総
省でボルトン氏に初めて会ったとき、「あなたは悪魔の化身だという
噂をきいています」と、冗談めかして言ったそうだが、それほど、ボル
トン氏のイメージは強硬派の中の強硬派なのである。

米朝会談の展望
しかし、今回、ボルトン氏はアサド政権に潰滅的打撃を与えながらも、
過度な攻撃を避けるという「困難な妥協点を見出した」と評価され
た。強硬だが、分別を持った陣容がトランプ氏の周りにいるとの見方が
あるのである。

それにしてもトランプ氏の考え方は矛盾に満ちている。彼は一日も早く中
東から米軍を引き上げさせたいとする一方で、シリアに大打撃を与
えるべく、強硬な攻撃を主張する。

化学兵器の使用という、人道上許されない国家犯罪には懲罰的攻撃を断
行するが、ロシアとは戦わない。今回の攻撃の目的はあくまでも人道
上、国際条約で禁止されている化学兵器の使用をやめさせることであ
り、政権転覆や中東における勢力図の変更を意図するものではないとい
うのが米国の姿勢だと見てよいが、トランプ氏が同じように考えている
のかはよくわからない。

もっとも、共和党にはリンゼイ・グラハム上院議員の次のような考えも
根強い。

「アサド氏は米軍による攻撃を、仕事をする(doing business)ための必
要なコストだと考えている可能性がある。ロシアと
イランは今回の攻撃を、米国がシリアから撤退するための口実の第一歩
と見ている。米英仏の攻撃がロシア、シリア、イランに戦略を変えさ
せ、ゲームチェンジを起こすわけではない」

米国の攻撃は状況を根本から変えるわけではないというグラハム氏の指
摘を日本は重く受けとめなくてはならないだろう。シリア政策は北朝
鮮政策にも通じるからだ。

5月にもトランプ氏と金正恩氏は会うのである。どちらも常識や理性から
懸け離れた性格の持ち主だ。周囲の意見をきくより、即断即決で勝
負に出る可能性もある。狡猾さにおいては、正恩氏の方が優っているか
もしれない。
米朝会談の展望を描くのは難しいが、万が一、米国に届く大陸間弾道ミサ
イルを北朝鮮が諦めるかわりに、核保有を認めるなどということに
なったらどうするのか。

日米首脳会談で安倍首相がトランプ氏と何を語り合い、何を確約するか
は、日本にとっても拉致被害者にとっても、これ以上ない程に重要
だ。本来、首相以下、閣僚、政治家の全てがこの眼前の外交課題に集中
していなければならない時だ。

しかし、驚いた。米英仏のシリア攻撃直後のNHKの「日曜討論」ではな
んとモリカケ問題などを議論していた。メディアも政治家も一体、
何を考えているのか。私はすぐにテレビを消したが、野党とメディアが
日本を滅ぼすと実感した出来事だった。

喜ぶのは某国
4月13日夜、私の主宰するネット配信の「言論テレビ」で小野寺五典防衛
大臣が日報問題について語ったことの一部を紹介しよう。

自衛隊がイラクに派遣されていた10年以上前、日報の保存期間は1年以内
だった。隊員たちも「読み終わったら捨てるものだから、何年も
前の日報は廃棄されて存在しないだろう」と思い込んでいた。
だが、自衛隊は全国に基地や駐屯地が300か所以上あり、隊員だけで25万
人もいる。思いがけずパソコン内に日報を保存していた人がい

たり、あるいは書類棚の中に残っていたのが見つかった。その時点で報
告し、開示すべきだったが、そこで適切な処理が行われず、これが結
果的に問題を招いてしまったというのだ。このような背景をメディアが
正確に報じていれば、日報問題への見方も異なっていたはずで、無用
な混乱もなかったはずだ。

ここ数年、防衛省には年間5000件以上の情報開示請求が集中豪雨のように
なされているという。大変なのは件数だけでなく、請求内容だ
「何年何月の資料」とピンポイントで開示請求するのでなく、

「イラク派遣に関する文書」というような大雑把な請求が少なくない。当
然、膨大な量になる。資料が特定できたとして、中身を調べ、開示して
差し支えないか、関係各省にも問い合わせる必要がある。この作業を
経て黒塗り箇所を決め、提出する。これが年間5000件以上、職員はもう
くたびれきっている。


防衛省をこの種の書類探しや精査の作業に追い込んで、本来の国防がお
ろそかにならないはずはない。喜ぶのは某国であろう。

ちなみに日本を除く他の多くの国々では、日報は外交文書同様、機密扱い
である。日報を一般の行政文書に位置づけて、情報公開の対象にし
ているのは恐らく日本だけだ。
問題があれば追及し、正すのは当然だ。しかし、いま行われているのは、
メディアと野党による日本潰しだと私は思う。
『週刊新潮』 2018年4月26日号 日本ルネッサンス 第800回     
                                 
   

◆中朝首脳会談の成果とは

宮崎 正弘


平成30年(2018年)3月30日(金曜日)弐 通巻第5652号  

 中朝首脳会談の成果とは果たして何があったのか?
  中国にとっては「テーブルのイスを確保したに過ぎない」

習近平はカメラの前では大人の顔だった。いや宗主国としては、そう振る
舞わざるを得ないだろう。しかし金正恩から何を得たか?

「非核化」というレトリックはあったが、時期も条件もなにも明示されず
に「段階的に同時並行的に」という条件が金正恩から示されたが、煎じ詰
めれば何もしないという過去のパターンを別の表現でしているだけで、日
米の要求する「完全な、不可逆的な」要件を一つも満たしていない。

しかし、金正恩を北京に呼んだことは、中国がテレビ演出を通じて、米国
にメッセージを送ったのである。

「中国を抜きにことを進めることは出来ませんぞ」と。
 
「中国はテーブルのイスを確保したに過ぎない」と米国の『ナショナル・
インタレスト』(3月29日号、電子版。オリアナ・スカイラー・マストロ
女史)は書いた。マストロ女史はジョージ・タウン大学準教授。かねてか
ら米国の北朝鮮攻撃はあり得るだろうし、あるいは米国と中国が共同で軍
事行動にでると予想してきた。


事実、北朝鮮の核実験ならびにミサイル実験のたびに中国海軍は渤海湾と
黄海で軍事演習ならびにミサイル迎撃ミサイル実験を大規模に行っている。

いったん事態が危機となれば、中国軍は出動するというメッセージを北朝
鮮に伝えるためである。中国はチャイナ・ロビィだった張成沢を粛清し、
中国が保護した金正男を毒殺し、しかも習近平の晴れ舞台だった北京
APECと、一帯一路國際フォーラムの朝に、これみよがしの核実験、ミ
サイル実験をやって習の顔に泥を塗ったロケットマンを心から許している
とはとても考えられないだろう。


金正恩は博打に出た。トランプがそれに応じた。だから北京は焦ったの
だ。舞台はがらりと場面を変えたのだ。

南北朝鮮の首脳会談(板門店)に関してはソウルから北京に挨拶があっ
た。米朝会談はトランプの思いつきとは思えず、事前の入念な準備工作の
上になされたと習近平は読んだ。しかにトランプが外交素人とはいえ、周
囲には専門家がいる。

長い列車を仕立てて北京にやってきた金正恩に破格の待遇をなしてもてな
したが、土産は与えなかった。

中国は経済制裁の手綱を緩めず、制裁緩和の言質も与えず、しかし説明に
緊張してやってきた金正恩を「呼びつけた」かたちにして厚遇してみせる
必要があった。
政治演出として最重要課題であり、ネットに溢れた「金三代の豚がきた」
という文言は一斉に削除された(それまで金正恩の批判は意外に自由だっ
た)。

 筆者は、こうした分析にもう一つ、習近平が意図したのは、米朝会談で
のトランプの準備しているシナリオに、横合いからの警告をなした意味が
あると考える。米国もまた、この状況では米朝首脳会談を再考せざるをえ
なくなった。

習近平を金正恩の首脳会談という演出は、中国にとっては対米メッセージ
が多分に大きな要素であり、同時に横から介入してきそうなプーチンへの
牽制球でもある。なにしろ会談に臨んだのは王こ寧、楊潔ち、王毅と習の
外交ブレーンが勢揃いだった。
      
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1711回】             
――「支那人に代わって支那のために考えた・・・」――内藤(18)
  内藤湖南『支那論』(文藝春秋 2013年)

               △

 これまでは袁世凱陣営、つまり「北方が成功したと仮定」しての議論だ
が、かりに南方の革命党(=反袁世凱勢力)が勝利したとしても、「とに
かく新しい国家を組織して、それを成り立てて維持して行くというには、
第一にはそれを遂行するだけの人物を要するわけである」。

じつは革命党陣営にも「色々な人物がおるのであるが、日本(維新政府)
のごとく支那の国を負担して、そうして大改革を遂行すべき人物」は見当
たりそうにない。そのことが、じつは革命党の最大の欠陥だと指摘する。

ここで内藤は議論を外圧に転じた。

清末以降、辛亥革命から第二革命期まで外圧は一層激しくなっているか
ら、外圧によって局面が転換する可能性は高い。そうなった場合、「支那
の前途というものは、いよいよ以て危険を感ずるわけである」。

にもかかわらず「革命党の立て者になっておる人間」にも多くは期待でき
そうにない。であればこそ、「いよいよ以て危険」となる。

袁世凱陣営にせよ革命党にせよ外圧に対処できるほどの人物が見当たら
ないうえに、双方に外交交渉を担いうる人材がいそうにない。「袁世凱の
現在の政府でも常にこの外交に対して清朝の末路よりかも遥かに軟弱に傾
いておる。蒙古の問題についてロシアに譲るとか、また西蔵問題について
もイギリスに譲らなければならぬようになるとか」を考えると、ますます
軟弱に傾くと予想せざるを得ない。

これを日本に置き換えると満州問題の取り扱い、ということになる。「日
本の対支那行動について何か容易ならぬ野心があるような議論を出す者が
ある」が、「これについては日本の立場として日本の態度、意見を表明し
なければならず、支那としても対日の態度という者を自覚しなければなら
ぬ」。

「日本は自分の利益上やむを得ず支那を保全しなければならぬというもの
ではない」。やはり日本、ロシア、イギリスの3国は「自分のやむを得ざ
る立場というものでなくして、つまり自分の権利としてこれ(保全論)を
発言することが出来るのである」。

「色々な関係から自分の権利として支那の保全を主張しておる」ことを諸
外国のみならず、「また支那人にもその意味を呑み込ませ、日本人も自ら
その意味を明確に自覚する必要がある」。

かくして内藤は「今後ともしばしば局面の転換を経て、その度ごとに何
らかの損害をその交際しておる国が蒙るということがあっては、その自分
の立場というものを十分に自覚する必要が確かにあるのであって、殊に外
交の局に当る者などは、その意味で支那に臨まないと大なる謬見に陥り、
また大なる自分の不利益をも来すのであると思う」と結ぶ。

変革期や混乱期のみならず安定期であればなおさらのこと、どのような
姿勢で隣国に向い合い、どのようにして自国の国益を最大限に確保するのか。

内藤の指摘は正鵠を得ていると思う。

彼の主張がそのような形で国政に反映され、輿論を裨益し、国論を動かす
ことはあったのか。それを明らかにするには詳細な検証が必要だが、改め
て「今の日本政府には、こういう考えのありそうにも思われない。それで
日本では、朝野ともに支那の政争を野次馬的に眺めて、わいわいと騒ぎま
わるものの、自分の国でも、そのために政府と民間と互いに理窟を言い合
うて、自分の国で大いになすべきことのあることを遺却しておるかと思
う」(「支那現勢論」)の一節が気になる。

どうやら当時も「こういう考え」、つまり大局観はみられなかったという
ことだろう。

次に『支那論』の本論に移りたいが、小休止して内藤が深刻な議論を展
開していた頃に現地を歩いた人々の旅行記を読んでおきたい。

それというのも彼らと内藤の考えの違いに、以後の日本が辿る対中政策の
紆余曲折の萌芽が見つかるかもしれないからである。《QED》

◆森友文書だけが日本の問題ではない

櫻井よしこ


「森友文書だけが日本の問題ではない 国の安全への責務を政治家は自
覚すべきだ」



3月19日の参議院予算委員会で安倍晋三首相は、森友文書書き換え問題で
「行政全体に対する最終的な責任は首相である私にある」と陳謝した。

その上で、「私や妻が国有地払い下げや学校の認可に関与した事実はない
ことは明らかだ。書き換えを指示していないし、そもそも財務省理財局や
近畿財務局の決裁文書などの存在も知らない。指示のしようがない」と
語った。

財務省が発表した76ページの文書には首相夫妻関与の痕跡は全くない。

省の中の省と言われる財務省が決裁文書を書き換えていたことは重大問題
であり、首相をはじめ政治による不当な真実隠しがあれば糾すべきなのは
当然だ。この二つの問題には粛々と取り組めばよい。だが、急展開する国
際情勢を見れば、国会が同問題だけにかまけていてよいはずはない。国会
は日本の命運を左右する大きな国際情勢問題に急ぎ取り組むべきだ。

ドナルド・トランプ米大統領は国務長官のレックス・ティラーソン氏を更
迭し、マイク・ポンペオ氏という元米中央情報局(CIA)長官で対北朝
鮮強硬派を後任に指名した。トランプ氏は国家安全保障問題担当補佐官、
ハーバート・マクマスター氏も解任する方針だと報じられている。後任と
して取り沙汰されるのがジョン・ボルトン元国連大使ら、対北朝鮮強硬派
である。

北朝鮮を巡っては、4月末に南北朝鮮首脳会談、5月には米朝首脳会談が予
定される。南北首脳会談の韓国側準備委員長は、北朝鮮の故金日成氏の主
体思想の信奉者で、朝鮮民族として正統性を有する国家は韓国ではなく北
朝鮮だとの考えを隠さない任鍾ル(イム・ジョンソク)氏だ。

同氏の下で首脳会談を調整するのは2000年の金大中・金正日首脳会談を設
定した責任者、林東源元統一相だ。大中氏は秘密資金4億5000万ドルを正
日氏に貢いでようやく会談してもらったのだが、そのお膳立てをしたのが
林氏だったとみてよいだろう。韓国が北朝鮮にのめり込むのが4月の南北
首脳会談だ。その後に誕生する韓国は今よりずっと親北だろう。

米国は5月の米朝首脳会談を目指して準備中だ。日本は4月中に日米首脳会
談を開く。米朝首脳会談が本当に実現するのか、実はまだわからないが、
実現すれば日本に重大な影響を及ぼすのは確かだ。わが国の準備は進んで
いるのか。

日本にとって最悪なのは、北朝鮮が米本土に届く大陸間弾道ミサイル
(ICBM)を放棄するだけで米国が納得することだ。北朝鮮は日本を十
分狙える核とミサイルを手にすることになり、到底日本は受け入れられな
い。日米の絆である日米安全保障条約の基盤は大きく揺らぎ、それは日本
の国益にも米国の国益にもならない。

安倍首相は4月の首脳会談でトランプ大統領にそのことをよく理解させな
ければならない。だが、強固な日米同盟が大事だとトランプ氏に納得させ
るには、同盟が米国にとっても代替不可能な必須の戦略基盤であることを
示さなければならない。そのために日本のなすべきことを国家戦略として
決めておくことが欠かせない。

折しもユーラシア大陸には中国の習近平政権とロシアのプーチン政権とい
う、事実上の終身皇帝を戴く専制独裁政権が誕生した。政権地盤を固めた
二人の専制者は、国内基盤強化のために厳しい対外戦略を打ちだすだろう。

かつてない厳しい国際情勢の中で日本が依って立つ基盤は日米同盟しかな
い。同盟を日本の国益を守る方向へと導くためになすべきことを決め、具
体的政策に移す局面だ。その作業を日米首脳会談前までに全力で行わなけ
れば日本は深刻な危機に直面する。森友文書だけが問題ではないのだ。日
米同盟に生じ得る根本的揺らぎを読み取り日本国の安全を確固たるものに
する責務を政治家は自覚すべきだろう。

『週刊ダイヤモンド』 2018年3月31日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1225 

◆臆測で「お白州」に引き出すのか

阿比留 瑠比


「このような副読本はどうかとお見せしたこともあるし、こういうカリ
キュラムですけどと話したこともある。教育的なことをお願いした」

それがなぜ、昭恵夫人が森友学園への国有地売却に関係したことになるのか。

昭恵夫人のフェイスブックに「野党のバカげた質問」などの投稿があった
際に、昭恵夫人が「いいね!」ボタンを押した件に関する反応も異様だった。

立憲民主党の辻元氏は14日、国会内で記者団にこう怒りをあらわにした。

「もう感覚が理解できない。なぜ『いいね!』を押したかも証人喚問に来
ていただいて、お聞きしたい」

「いいね!」を押すのは必ずしも内容への賛同を意味しない。全てのコメ
ントに機械的に反応する場合もあろう。そもそも、何に「いいね!」を押
すかまで監視し、証人喚問にかけるというのは、全体主義国家のようで気
持ちが悪い。

これが、枝野氏のいう「まっとうな政治」なのだろうか。(論説委員兼政
治部編集委員)
産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】2018.3.27



◆木津川だより 高麗寺跡 B

白井繁夫


飛鳥時代に創建されたと云われている古代寺院の「高麗寺跡こまでら跡」について、@では寺名が「高麗寺:こまでら」となった由来や時代の背景について、高麗寺跡Aでは発掘調査の出土品の中で、出土遺物の数量などが多くて年代を文様などから比較的に区分しやすい瓦(軒丸瓦.軒平瓦)から高麗寺について記述しました。

今回Bでは、昭和13年の第T期発掘調査の結果、国の史跡と認定された高麗寺跡の伽藍配置や瓦以外の出土品を精査して、V期調査まで(平成22年の第10次発掘調査まで)の間に確認された概要を下述します。

★高麗寺の創建は7世紀初頭、伽藍整備は7世紀後半、伽藍配置は法起寺式
  
 主要堂塔が東に仏舎利を祀る塔、西に本尊仏を祀る金堂を並置して、それを囲む回廊
が北の講堂、南で中門に接続している様式(南北回廊200尺:59.4m、東西201尺:
59.7mのほぼ正方形)
 高麗寺の伽藍配置は川原寺式から変化して法起寺式へと移行の初例と思われます。

★南門.中門.金堂が南面して一直線に並び、講堂の基壇が荘厳で特異な伽藍配置

川原寺式伽藍配置から法起寺式への変化の途上か?(添付の「各寺院の伽藍配置」参照)
高麗寺は西金堂の正面が南面し中門.南門と直線状に並びます。川原寺は北講堂.中金堂.中門.南大門は一直線状ですが西金堂は正面が東塔に対面しています。

(仏舎利を納めた塔より仏像を祀る金堂を重視する考え方か?
飛鳥時代から天平時代へと伽藍配置が変化する過程の先駆けではと思われます。)

高麗寺の講堂の基壇は三層構造の豪華さで、丁度川原寺の中金堂と同じ位置にあります。
高麗寺の初期設計時には講堂の場所に中金堂を予定していたのか?と思われるほど
基壇は荘厳な造りでした。
  
飛鳥時代、高麗寺が創建された時期には七堂伽藍を完備した寺院は飛鳥寺が国内では
唯一の寺院でした。その他の寺は一.二堂程度の草堂段階?(捨宅寺院?)であったと考えられています。

★高麗寺の南門の屋根には鴟尾があり、最古の築地塀が原形の状態で検出されました。

  南門跡は桁行20尺(5.94m)x 梁間12尺(3.56m)、屋根は切妻造りで鴟尾を
置いた八脚門、南門に接続する築地塀が南辺築地跡から原形を留めた、極めて良好な
状態で検出されました。

7世紀に築地塀が構築された例はいまだ検出されていません。8世紀の奈良時代になって  寺院の外画施設とする築地塀が一般的に用いられるようになったのです。

高麗寺の築地塀は7世紀後半のものであり、検出遺物は国内最古の出土物の例です。
白鳳時代の築地塀が残っていた事だけでも極めて珍しいのに、ラッキーにも壊れ方が建物の内側で原形を留めていたことです。

 (飛鳥寺南辺、川原寺南辺、東辺にも築地塀の存在説がありますが、現在も出土例は有りません。)

★高麗寺の終焉時期の推測

  文献上では廃絶が不明の寺院ですが、出土遺物の中から、平安時代の土器である灰釉陶器が見つかりました。この陶器から平安時代の末期頃(12世紀末から13世紀初)まで存続していたのではないかと云われています。

天武天皇は壬申の乱で功績のあった狛氏一族の氏寺の創建を認め、白鳳時代から奈良時代にかけて全盛期を迎えた高麗寺の状況ですが、聖武天皇が高麗寺の東方約3kmの瓶原(みかのはら)に恭仁宮を造営して、恭仁京(木津川市)へ遷都した頃(天平12年)、木津川の船上から見える高麗寺は南門の屋根には鴟尾が在り、当時は珍しい築地塀越に東塔が聳え西の輝く金堂など、当時の人々はこの大寺院を畏敬の念で仰ぎ見たことと思われます。

参考資料: 山城町史  本文篇  山城町
   南山城の寺院.都城 第106回 埋蔵文化財セミナー資料 京都府教育委員会
   木津川市埋蔵文化財調査報告書 第3.第4.第8集   木津川市教育委員会