2018年05月31日

◆野党質問は“冷め切ったピザ”だ

杉浦 正章

形骸化した党首討論はもうよい

イギリス議会における二大政党のクエスチョンタイムをモデルにして、日本でも1999年7月に党首討論が開始された。内閣総理大臣小渕恵三に対して民主党代表鳩山由紀夫が行った質疑が草分けだ。鳩山は「きょう総理は朝何を召し上がったでしょうか。私は、けさはピザを食べてまいりました。」と質問。小渕は「いつものとおり日本食の食事をいたしてまいりました。温かいピザを食べられたということでありますが、アメリカのオルブライト国務長官から以前、冷たいピザもまたおいしいと言われたことがあります」と皮肉った。

ニューヨーク・タイムズが取り上げて小渕を「冷めたピザ」と評したことから有名になった。30日の首相安倍晋三と野党の質疑を聞いたが、野党の質問は既に出た話しの繰り返しで「冷め切ったピザだ」やめた方がよい.

とりわけ立憲民主党代表の枝野幸男の質問は、何ら進展のないモリカケ論争に終始した。従来と同じ質問を繰り返す枝野の姿勢には、「もういいかげんにした方がよい」という茶の間の声が聞こえるようであった。片山虎之助が「もう党首討論のあり方を全面的に見直した方がいい」と述べているがもっともだ。
 枝野は安倍が「贈収賄では全くない」と答弁したのをとらえて、「急に贈収賄に限定したのはひきょうな振る舞いだ」とくってかかったが、贈収賄でなければなぜ追及するのか。安倍も夫人も潔白が証明済みであり、贈収賄でもない事柄を性懲りもなく過去1年半にわたって繰り返し追及する方が、重要な国会論議という資源の無駄遣いをしているのではないか。枝野は「金品の流れがあったかどうか。

森友問題の本質とはそういうことだ」と断定したが、大阪地検の捜査からも政界を直撃する問題は、何も出てきそうもないではないか。贈収賄があるがごとく国会で発言する以上、金品の流れの証拠を提示すべきだろう。
 枝野に比較すれば外交問題を取り上げた国民民主党共同代表の玉木雄一郎のほうが聞き応えのある質問をした。安倍からプーチンとの個別会談について「テタテでは平和条約の話ししかしていない」との答弁を引き出したのは1歩前進であった。

 総じて論戦は野党の焦点が定まらないため深まらず、開催意義そのものが問われる結果となった。当初は英国議会の例にならって2大政党の党首による政策論争を想定したが、現状は少数野党の分裂で、質問時間も立憲民主党19分、国民民主党15分、共産党6分、日本維新の会5分と細分化された。野党は自己宣伝が精一杯であり、まともな質問をしにくい傾向を示している。

 枝野は「追及から逃げるひきょうな姿勢」と「ひきょう」という言葉を何度も繰り返すが、こういう質疑の構図が生じたのはひとえに野党の議席減という自ら招いた結果であることを忘れるべきではあるまい。終了後、枝野はただ一ついいことを言った。「党首討論は歴史的意味を終えた」である。確かに与野党党首の真剣勝負の場は形骸化した。野党も分かっているなら開催要求をすべきではない。国会にはちゃんと予算委員会という総合質疑の場があるではないか。あれもこれもと要求しても、あぶはち取らずが関の山だ。

◆あえかな女性を泣かせるな

加瀬英明


私は幼い時から、父から「女性と動物を苛めてはならない」と、躾けられた。
外交官だった父・俊一(としかず)は、101歳で生涯を閉じた。その他に、
とくに教えられたことはない。

 最後の日まで元気だったが、女性を大切にして、優しかったから、艶が
あった。

やはり若いころから、外務官僚として新橋のお茶屋に通ったからだろう。
私は中学生のころに洋食屋で、父の馴染みの芸者衆に引き合わされた。

そんなことから、私が50を過ぎて父の家に寄ると、新橋の80歳を超える姥
桜(うばざくら)が遊びにきていて、「まあ、お坊ちゃま、おおきくなられ
ましたこと」といわれて、閉口したものだった。

 父は気障なところがあった。女性に対して、いつも凛としていた。そん
なことを習ったから、私も少年のころから女性と動物をもっぱら愛護する
ようになった。

正岡子規が人は「気育」が大切だと説いているが、「気」が「艶」になる
のだろう。

女性に懸想し、言い寄ることを古語で「婚(よば)い」というが、古く『古
事記』『万葉集』に登場するから、男が持って生まれた性(さが)である。
“通い婚”の時代だったから、「夜這い」とも書かれた。

私は妻と結ばれてから、明治生まれの歌人の与謝野晶子が、「かげに伏し
て泣くあえかにわかき新妻(にひづま)を、君わするるや思へるや」と戒め
ているのを、心に刻んだ。あえかは「かよわい、たよりない」という意味
である。

それにしても、最近の国会議員や、高級官僚は男の矜持を欠いている。閣
僚や県知事が買春し、財務次官がセクハラで辞任するというのに、日本の
男の品位が地に堕ちたことを、慨嘆せざるをえない。大臣や、県知事が人
足ではあるまいし、平成の夜鷹を買うのは、あってはならないことだ。

財務次官が官位を笠に着て、卑猥な言葉を連発して、女性を苛めて喜ぶの
は、日本が崩壊する前兆ではないか。『源氏物語』では女性を、「あえか
な花」(帚木)と描いている。

江戸時代に夜鷹は引っ張りとか、夜発(やほつ)、辻君と呼ばれた。

 もし、武士が夜鷹小屋に出入りするところを見られたら、品位を穢した
かどで禄を奪われ、足軽の身分に落とされた。



◆納豆と相性の悪いくすり

大阪厚生年金病院 薬剤部

〜ワルファリンカリウムという血栓予防薬を服用中の方へ〜

地震や津波、洪水など突然襲ってくる甚大な自然災害は、水道やガス、電気などのライフラインを寸断し人々の生活を麻痺させてしまいますが、人の健康もある日突然血管が詰まると健康維持に必要な栄養や酸素などのライフラインが寸断されその先の機能が止まってしまいます。

 突然意識を失いその場に倒れてしまった経験のある方で、医師から「脳梗塞」と診断された方もおられるかと思います。脳の血管を血液の塊(かたまり)が塞いでしまってその先に血液が流れなくなってしまったのです。

 これを予防し血液をサラサラにするくすりのひとつに「ワルファリンカリウム」という薬があります。服用されている方も多いかと思います。

 もともと人間の身体は怪我や手術などで出血したとき、血液を固めて出血を止める仕組みがありますが、その仕組みの一つに「ビタミンK」が関与する部分があります。
 
ワルファリンカリウムはこの「ビタミンK」が関与する部分を阻害することによって血液が固まるのを予防します。

 さてここで納豆の登場です。

納豆の納豆菌は腸の中で「ビタミンK」を作り出します。「ビタミンK」は血液を固まらせる時に必要なビタミンですから多く生産されると、ワルファリンカリウムの効果を弱めてしまいます。

そのため、くすりの説明書には「納豆はワルファリンカリウムの作用を減弱するので避けることが望ましい」と書かれているのです。

 納豆は栄養もあって健康に良い食品ですが、飲んでいるくすりによっては食べないほうが良いこともあります。好きなものを我慢するのは“なっと〜くできない”向きもあるかと思いますが、ワルファリンカリウムを服用中の方にとって納豆は危険因子ですのでご注意ください。

 納豆のほかにも、ビタミンKの多い「クロレラ食品」や「青汁」などもひかえましょう。

追記: ワルファリンカリウムのくすりには「ワーファリン錠」や「ワルファリンカリウム錠」他があります。(了)

2018年05月30日

◆米朝会談へ向け動き急

杉浦 正章


金正恩側近がNYで事前協議 韓国に「終戦宣言」構想

6月12日の米朝首脳会談に向けて鼎(かなえ)が煮えたぎってきた。
ニューヨーク、板門店、シンガポールの3個所で接触が進展、大詰めの協
議が展開されている。焦点は北が「非核化」にどの程度応ずるかにかかっ
ている。

米朝ともあきらかに首脳会談前に重要ポイントでの合意を目指しており、
一連の会談の焦点は米国で開かれることが予想される労働党副委員長の金
英哲と国務長官ポンペオの会談に絞られそうだ。

まさに北朝鮮の金正恩は自らの体制維持、しいては国家の命運をかけた、
選択を迫られつつある。

一連の会談を通じて米国は北に対して「核兵器の国外への搬出とともに、
完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)を完了すれば北の体制を保
証する」との立場を伝達するものとみられる。

さらに「北朝鮮のすべての核関連施設に対する国際機関による自由な査察
を認め、全ての核を廃棄する」ことを要求。これに対して北は「米国が望
むレベルの非核化を実現するには、米国の確実で実質的な体制の保証が必
要だ」と金正恩体制の継続を要求するもようだ。

また北は非核化に合わせた制裁緩和や国交の正常化などを要求しており、
対立は解けていない模様だが、一方で融和の流れがあることは無視できない。

金正恩の外交を補佐してきた金英哲は、おそらくニューヨークで ポンペ
オと会談することになろう。北朝鮮の高官が米国を訪れ政府要人と会談す
るのは2000年に国防委員会第1副委員長趙明禄がクリントンと会談して以
来のことだ。

トランプが金英哲の訪米を明らかにしており、おそらく表敬訪問を受ける
ことになるかもしれない。板門店では駐フィリピン米大使のソン・キムが
外務次官崔善姫と会談して、首脳会談の議題を詰めた模様だ。

こうした中で韓国大統領文在寅は「早期終戦宣言」の構想をトランプに伝
えたようだ。同構想は米朝首脳会談後に韓国、北朝鮮、米国の3国で現在
「休戦」状態にある現状を「終戦宣言」に持ち込もうと言うものだ。

文在寅は「米朝会談が成功すれば南北米3か国首脳の会談を通じて終戦宣
言を採択すれば良い。期待している」と言明した。文にしてみれば非核化
をめぐって駆け引きが激化している米朝双方を説得するためのカードとし
て宣言を使いたいのだろう。

 文在寅がこうした軟化姿勢を取る背景には26日に予告なしで行われた
南北首脳会談がある。この席で金正恩は「韓半島の完全な非核化の意思を
明確ににして、米朝会談を通じて戦争と対立の歴史を清算したい。

我が国は平和と繁栄に向けて協力するつもりだ」と述べたという。仲介役
の文に対してトランプは「金正恩氏が完全な非核化を決断して実践する場
合、米国は敵対関係の終息と経済協力に対する確固たる意思がある」旨伝
えているようだ。

こうして米国は当面北朝鮮に対する制裁強化を見送る方針を固めた。米国
はこれまでロシアや中国を含む約30の標的に対して大規模な制裁をする方
針を固めていたといわれる。米当局者によれば、ホワイトハウスは当初29
日にも北朝鮮に対する追加制裁を発表する予定だったが、首脳会談をめぐ
る協議が続く間は実施を延期することが前日になり決まった。

こうした米朝和解ムードの中で米政界では慎重論が台頭している.前国
家情報長官ジェイムズ・クラッパーは「北朝鮮は彼らの典型的な『二歩前
進一歩後退』の行動様式を見せている。

北朝鮮が考える『非核化』が太平洋での米軍戦略兵器の縮小を意味すると
いうことが心配だ」と懸念を表明した。また共和党上院議員のマルコ・ル
ビオは「金正恩朝鮮労働党委員長は、核兵器に病的に執着してきた。核兵
器が正恩氏に今の国際的地位を与えた。

これが北朝鮮の非核化を期待でき ない理由だ」と強調。元中央情報局
(CIA)長官マイケル、ヘイデン は、「首脳会談の結果で北朝鮮のす
べての核兵器をなくすことは不可能だ。

トランプ氏は会談で不利益を被ることになるだろう」と見通しを述べてい
る。さらに注目すべきは元在韓米軍司令官バーウェル・ベルは、「在韓米
軍の撤収を目的に北朝鮮と平和協定を締結することは、『韓国死刑』文書
に署名することと同じだ」と強く警告した。

「強大な北朝鮮軍兵力が非武装地帯のすぐ前にいる状況で米軍が去るな
ら、北朝鮮は直ちに軍事攻撃を通じて韓国を占領するだろう」と予測して
いる。

 韓国大統領府は文在寅の金正恩との会談やトランプとの会談で、極東情
勢が大きく前進したと判断し、和解への道筋が立った段階で米朝間の相互
不可侵条約と平和条約の締結へと事態を進めたい気持ちのようだ。これが
実現すれば極東情勢は大きく緊張緩和へと進展するが、北が狡猾にも世界
を欺いてきた歴史は歴然としており、楽観は禁物だ。

◆「何でも民間」に疑問

眞邊 峰松




私の年来のマスコミに対する不信感・大衆迎合体質への嫌悪感が一層増大してきた。 


果たして、国家百年の将来を考えるべき時期に、本筋の議論と離れ、質的には枝葉末節の問題に国民を巻き込んで彼らの主張が、“社会の木鐸”、“オピニオンリーダー”の役割というのは、どこに存在するのだろうか。


私も、必ずしもマスコミ人の全てが、課題を単にワイドショー的に取り上げてばかりいるとまでは言わないが、もう少し冷静・客観的に問題を整理し報道するべきだと考える。


ところで、「行為する者にとって、行為せざる者は最も苛酷な批判者である」とは、ある書物の言葉。 同書でこんな話が続く。


「ナポレオンの脱出記」を扱った当時の新聞記事である。幽閉されていたナポレオンがエルバ島を脱出した。兵を集めて、パリへ進撃する。


パリの新聞がこれを報道する。その記事の中で、ナポレオンに対する形容詞が、時々刻々に変化していく。 最初は“皇位簒奪者”。 次いで“反乱軍”〜“叛将”〜“ナポレオン”、 やがて“祖国の英雄”。 

そして、ナポレオンがパリに入城した時には、一斉に“皇帝万歳”の記事で埋められた。オポチュ二ズムとセンセーショナリズムのマスコミの実態が浮き彫りにされている」。 まさに、その通りだという感がする。


少々議論が飛躍するが、私は基本的に今の“何でも民間”の風潮に反対だ。
私自身の体験から言っても、国の役人の省益あって国益なし、自分たちの徹底的な権益擁護には、実は本当に癖々した。 まさに国を誤る輩だ、何とかならんのか、という気分にもなった。


しかし、国家公務員というに相応しい立派な人士をも身近に知る私としては、少々誤弊のある言い方かも知れないが、敢えて言えば、こと“志”という点においては、真に心ある役人に比し得る民間人は、そう多くなかろうとも思う。
 

これも個人資質・能力というよりは、やはり、退職までの30年を超える永年の職務経験、職責の持つ私自身に染み込んだ体質的なもの、職業の匂いのようなものかも知れない。
  

私には、特にかっての余裕ある民間経営の時代ならともかく、現下の利潤一点張り、効率一点張りの時代に、現役の企業人で、常日頃から“公益とはなんぞや”の視点から物事を考察したことがある人物が、そう数多いとはとても思えない。


とりわけ、最近の風潮となっている企業利益の増加のみに邁進し、その過程で中高年の自殺者の激増など、社会不安を増幅してきたリストラを闇雲に推進してきた企業経営者を見るにつけ、その観を否めない。 


このような中で、果たして、現在のマスコミの論調のように“何でも民間人登用”“何でも民間感覚“ということが果たして正しいのだろうか。                                      (了)

2018年05月29日

◆北朝鮮が中国援助の下で生き延びる

櫻井よしこ


「北朝鮮が中国援助の下で生き延びる最悪の事態もあり得ると認識すべきだ」

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は5月16日、部下の第一外務次官、金桂
冠氏に、「米国が圧力ばかりかけるのでは米朝首脳会談に応じるか否か、
再検討せざるを得ない」と発言させた。

桂冠氏はジョン・ボルトン米大統領補佐官が北朝鮮に「完全で、検証可能
で、不可逆的」を意味するリビア方式の非核化のみならず、ミサイル及び
生物・化学兵器の永久放棄も要求していること、制裁緩和や経済支援はこ
れらが完全に履行された後に初めて可能だと言明していることに関して、
個人名を挙げて激しく非難した。

ボルトン氏はトランプ政権内の最強硬論者として知られる。氏は核・ミサ
イル、化学兵器を全て廃棄しても、それらを作る人材が残っている限り、
真の非核化は不可能だとして、北朝鮮の技術者を数千人単位(6000人とす
る報道もある)で国外に移住させよとも主張しているといわれる。

拉致についても、米朝会談で取り上げると言い続けているのが氏である。

正恩氏にとって最も手強い相手がボルトン氏なのである。だから桂冠氏が
「我々はボルトン氏への嫌悪感を隠しはしない」と言ったのであろう。

それにしても米朝首脳会談中止を示唆する強い態度を、なぜ正恩氏はとれ
るのか。理由は中国の動きから簡単に割り出せる。桂冠発言と同じ日、中
国の習近平国家主席が北朝鮮の経済視察団員らと会談した。中国の国営通
信社、新華社によると、北朝鮮経済視察団は中国が招待したもので、北朝
鮮の全ての「道」(県)と市の代表が参加し、「中国の経済建設と改革開
放の経験に学び、経済発展に役立てたい」との談話を発表した。

中国が北朝鮮の後ろ盾となり、経済で梃子入れし、米国の軍事的脅威から
も守ってやるとの合意が中朝の2人の独裁者間で成立済みなのは明らかだ。

米国はどう反応したか。ホワイトハウス報道官のサラ・サンダース氏は、
北朝鮮の反応は「十分想定の範囲内」「トランプ大統領は首脳会談が行わ
れれば応ずるが、そうでなければ最大限の圧力をかけ続ける」と述べると
共に、非常に重要な別のことも語っている。

ボルトン氏のリビア方式による核放棄について、彼女はこう語ったのだ。

「自分はいかなる議論においてもその部分は見ていない、従ってそれ(リ
ビア方式)が我々の目指す解決のモデルだという認識はない」

同発言を米ニュース専門テレビ局「CNN」は「ホワイトハウスはボルト
ン発言を後退させた」と報じた。

トランプ大統領の北朝鮮外交を担うボルトン氏とポンペオ米国務長官の間
には微妙な相違がある。

正恩氏は、習氏と5月7、8の両日、大連で会談した直後の9日にポンペオ氏
を平壌に招き、3人の米国人を解放し、「満足な合意を得た」と述べた。

ポンペオ氏は米国に戻るや「金(正恩)氏が正しい道を選べば、繁栄を手
にするだろう」などと述べ、早くも米国が制裁を緩和し、正恩氏に見返り
を与えるのかと思わせる発言をした。

ボルトン氏は対照的に、核・ミサイル、日本人拉致被害者について強い発
言を変えてはいない。

国務長官と大統領補佐官の間のこの差を正恩氏は見逃さず、ボルトン氏排
除を狙ったのであろう。米国を首脳会談の席につかせ、段階的な核・ミサ
イル廃棄を認めさせ、中国の経済援助を得、中国の抑止力で米国の軍事行
動を封じ込める思惑が見てとれる。

「制裁解除のタイミングを誤れば対北朝鮮交渉は失敗する」と安倍晋三首
相は警告し続けている。トランプ氏がその警告をどこまで徹底して受け入
れるかが鍵だ。同時に認識すべきことは、北朝鮮が中国の援助の下、核・
ミサイルを所有し、拉致も解決せず、生き延びる最悪の事態もあり得る、
まさに日本の国難が眼前にあるということだ
『週刊ダイヤモンド』 2018年5月26日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1232 

◆京都「和歌に登場する山科」

渡邊 好造


百人一首など平安、鎌倉時代の和歌集に登場する山科の代表地は、「これやこの行くも帰るも分かれては 知るも知らぬも逢坂の関」と、蝉丸が詠んだ"逢坂の関"である。

清少納言や藤原定方ら有名歌人もこの地を取上げているのは以前に紹介した。行政的には隣の滋賀県大津市になるが、現地に立ちその地形をみれば山科エリアだと十分頷けるはず、、。今回はそのすぐ隣りの"音羽山"など、和歌に詠まれた古都京都の奥座敷、山科の優雅な雰囲気を感じとっていただきたい。
 
音羽山は高さ593メートル、逢坂の関の南西、山科四ノ宮の南東に位置し、山科盆地を囲む山の一角にある。音羽山が登場する和歌として有名なのは次の2首。

紀貫之(平安時代の歌人・土佐日記の作者・原典は古今集)= 「秋風の吹きにし日より音羽山 峰のこずえも色づきにけり」。貫之の従兄弟にあたる紀友則(歌人・古今集)= 「音羽山けさ越えくれば時鳥 梢はるかに今ぞ鳴くなる」。
逢坂の関と音羽山の両方を詠んだ和歌も多い。

代表例をあげると、、
・源実朝(鎌倉幕府3代将軍・金槐集)=「逢坂の関やもいづら山科の 音羽の滝の音にききつつ」。
・後鳥羽院(鎌倉時代第82代天皇・原典不明)=「逢坂の関の行き来に色変わる 音羽の山のもみぢ葉」。
・源俊頼(平安時代歌人・金華和歌集)=「音羽山もみぢ散るらし 逢坂の関の小川に錦織りかく」。
・慈円(慈鎮・鎌倉時代天台宗の僧・原典不明)=「音羽山卯の花垣に遅桜 春を夏とや逢坂の関」。
・在原元方(平安時代歌人・古今集)=「音羽山音にききつつ 逢坂の関のこなたに年をふるかな」。

この他、当時の和歌集には小野、花山(かざん)、栗栖野、日の岡といった山科の地名が、いくつも登場する。

・藤原権中納言長方(平安時代公家、歌人・続古今集)=「見渡せば若菜摘むべくなりにけり 栗栖の小野の萩の焼原」。
・後鳥羽院(平安・鎌倉時代の天皇・夫木和歌抄)=「秋はけふくるすの小野のまくずはら まだ朝つゆの色ぞにほひぬ」。
・藤原定家(鎌倉時代公家、歌人・定家の歌集拾遺愚草)=「花山の跡を尋ぬる雪の いろに年ふる道の光をぞみる」。
・土御門院(鎌倉時代の天皇、後鳥羽天皇の皇子・続古今集)=「はし鷹のすすしの原 狩りくれて 入り日ノ岡にききす鳴なり」。

和歌に登場する1千年程前の山科の眺望は想像し難いが、現在の山科の絶景はと問われたなら筆者は次の3つを挙げる。
@東山ドライブウエー将軍塚辺りから見下ろす京都中心部の眺望(京都タワーは目障りだが、、)。
A山科疎水道からの山科の展望(写真・左にJR琵琶湖線、白い土手の右下は京阪電車京津線、後方は東山連峰)。
B音羽山から眺める東山連峰に沈む夕陽。

夕陽については、朝陽のような眩しさや暑さを感じさせないのでじいっと見つめるうち、両手を合せてつい願い事を呟きたくなる。

平安・鎌倉時代の歌人達が眺めた山科の夕陽は、三方を山に囲まれた盆地にあって、今とはまったく異なる自然が一杯の目を見張らせる光景だったはずだが、各種の資料をひっくり返してもこの夕陽を詠んだ和歌は発見できなかった。

京都古人、宮廷人、天上人の視点は、大地、天空、山脈、天下の情勢、庶民生活などを大きく広く見渡すことよりも、恋人、愛人(不倫)、片想い(失恋)、鳥、植物など目前の夢の世界にのみ向けられているかにみえる。

こうした天上人のお気楽な暮らしぶりに対し不満がくすぶり、やがては積重なって鎌倉時代以降の武家社会へと変革していく、そうした様が和歌には窺える。(完)

2018年05月28日

◆復旦大学講義録(2018/5月23日) ーそのA

朝鮮半島非核化と東アジア情勢

浅野勝人   安保政策研究会理事長 

もともと国家間で見解が根本的に異なり、折り合いがつかない場合、解決方法は二つしかありません。戦争で結着をつけるか、話し合いで妥協するか。どちらかです。この道理から今回のケースを考察すると、アメリカと北朝鮮が交渉のテーブルに着くのは必然の結果といえます。

ただ、交渉の先行きについては、楽観できる情況にありません。
一方は、核・ミサイルの凍結・廃棄について段階的に小出しにして、その都度、有利な条件を引き出す条件闘争をするものと予測されます。もう一方は、今回こそ一挙に完全廃棄を実現すること以外は認めません。双方の思惑に溝があって、足して2で割ることが難しい困難な交渉になります。

このように東アジア情勢が流動化している重要な時に、中国の李克強首相が8年ぶりに日本を訪れました。そして安倍首相と首脳会談を行い、
☆日本と中国が一致して「板門店宣言」を支持し、朝鮮半島の非核化が実現するよう連携する。
☆中国のインフラ整備に日本企業が協力するプロジェクトを協議するため「日中官民フォーラム」を設立する。
☆また、日中二国間の安全保障体制について、東シナ海における両国の艦艇や航空機による偶発的な軍事衝突を避けるため、「海空連絡メカニズム」の運用を開始することに合意しました。これが実現しますと、日本の海上自衛隊、航空自衛隊と人民解放軍の海軍、空軍との間に専用連絡回線、ホットラインが設置され、両国の安全が確保されます。
☆その上、11年ぶりに中国から“トキのつがい”が贈られることになり、日中平和友好条約締結40周年の節目に、日中両国の関係改善を内外にアピールするふさわしい機会となりました。
日中両国が相互信頼をいっそう深め、協調して、朝鮮半島の非核化に寄与し、アジア・太平洋地域の平和と繁栄に貢献することは、日本と中国に課せられた共通の責任だと思います。

私は、一昨年の秋、子どもの頃からあこがれていた孫悟空を探しに
西域を旅しました。
西安で三蔵法師には たっぷり会えましたが、孫悟空は見つかりませんでした。それで敦煌に足を延ばしました。そして、タクラマカン砂漠東端に連なるクムタグ砂漠を越えて、楡林窟にたどり着き、遂に念願の孫悟空に会うことができました。

第3窟西壁全面を占める「普(ふ)賢(げん)菩薩図」の右端中ごろに、天竺(インド)からの帰り、白馬を連れた三蔵法師と供の孫悟空が五台山の方角に向かって合掌している「玄奘(げんじょう)取経図」が描かれています。
“遂に孫悟空に会えた”という感動が伝わってきました。
西域ひとり旅の帰途、チンギス・ハーンに会うために蘭州に立ち寄りました。モンゴルにはチンギス・ハーンの遺跡はありません。墓探しも禁じられています。ところが、タングート族の侵略から中国を守ったチンギス・ハーンの功績を讃えて、蘭州郊外の興隆山に慰霊の大雄寶殿が建てられており、大ハーンの大きな座像が祀られています。
登山口山門付近で掃除をしていた70才そこそこと見受ける男の人から、突然、話しかけられました。

「あんた、どこの人だね。中国人ではないみたいだ」
「東京から来ました。日本人です」
「やっぱりそうか。本物の日本人を見るのは初めてだが、こんな
ところまで何しに来たのかね?」
「ここにお祀りしてあるチンギス・ハーンをお参りに来ました」
「私のおじいさんや親の兄弟は、あらかた『9・18』か、『抗日戦争』で日本人に殺された。母親から日本人は鬼より怖い畜生だとさんざん聞かされて育ってきた。あんたを見て、ひょっとしたら日本人ではないかと思ったのだが、普通の人に見たので頭が混乱して、つい確かめたくなって声をかけてしまった」
「よく声をかけてくれました。とてもうれしいです。おっしゃる通り、かつて日本軍が中国を侵略して、多くの人を殺したり、傷つけたりしました。あれは当時の軍隊のやったことで、現在の日本人には関係のない昔の出来事だったとは申せません。日本民族の仕出かした過ちですから、当然、私たちに責任があり、懺悔(ざんげ)しています。

ただ、45年前、毛沢東、周恩来と日本政府代表との間で、これからはお互いに仲良くしていこうと誓い合いました。日本人は、その約束を守ってきたし、今後も守ります。
日本人は、ただ、ただ平和を願っている人ばかりです。二度と戦争はしないと誓っています」
「日本人でも、あんたみたいな“いい人”もいるんだ」

会話はそこで途切れました。
オマエはいい人のようだが、あとの日本人は悪いヤツばかりに違いないという余韻を引きずっていました。
長い間の怨念を払しょくするには、並大抵の努力では足りないと改めて教えられました。

中国に対する日本の寛容と忍耐の精神は、必ずしも十分とは申せません。ですが、私は日中国交正常化以来、46年間、ひたすら日中間の厚い氷を融かす「融冰之旅」を続けて参りました。私のような日本人は幾らもいます。
皆さんも、今日の出会いをきっかけに、私のあとに続いて、日中相互理解の深化に目を向けるよう期待いたします。(元内閣官房副長官)
at 13:31 | Comment(0) | 浅野勝人

◆北朝鮮が中国援助の下で生き延びる

櫻井よしこ


「北朝鮮が中国援助の下で生き延びる最悪の事態もあり得ると認識すべきだ」

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は5月16日、部下の第一外務次官、金桂
冠氏に、「米国が圧力ばかりかけるのでは米朝首脳会談に応じるか否か、
再検討せざるを得ない」と発言させた。

桂冠氏はジョン・ボルトン米大統領補佐官が北朝鮮に「完全で、検証可能
で、不可逆的」を意味するリビア方式の非核化のみならず、ミサイル及び
生物・化学兵器の永久放棄も要求していること、制裁緩和や経済支援はこ
れらが完全に履行された後に初めて可能だと言明していることに関して、
個人名を挙げて激しく非難した。

ボルトン氏はトランプ政権内の最強硬論者として知られる。氏は核・ミサ
イル、化学兵器を全て廃棄しても、それらを作る人材が残っている限り、
真の非核化は不可能だとして、北朝鮮の技術者を数千人単位(6000人とす
る報道もある)で国外に移住させよとも主張しているといわれる。

拉致についても、米朝会談で取り上げると言い続けているのが氏である。

正恩氏にとって最も手強い相手がボルトン氏なのである。だから桂冠氏が
「我々はボルトン氏への嫌悪感を隠しはしない」と言ったのであろう。

それにしても米朝首脳会談中止を示唆する強い態度を、なぜ正恩氏はとれ
るのか。理由は中国の動きから簡単に割り出せる。桂冠発言と同じ日、中
国の習近平国家主席が北朝鮮の経済視察団員らと会談した。

中国の国営通信社、新華社によると、北朝鮮経済視察団は中国が招待した
もので、北朝鮮の全ての「道」(県)と市の代表が参加し、「中国の経済
建設と改革開放の経験に学び、経済発展に役立てたい」との談話を発表した。

中国が北朝鮮の後ろ盾となり、経済で梃子入れし、米国の軍事的脅威から
も守ってやるとの合意が中朝の2人の独裁者間で成立済みなのは明らかだ。

米国はどう反応したか。ホワイトハウス報道官のサラ・サンダース氏は、
北朝鮮の反応は「十分想定の範囲内」「トランプ大統領は首脳会談が行わ
れれば応ずるが、そうでなければ最大限の圧力をかけ続ける」と述べると
共に、非常に重要な別のことも語っている。

ボルトン氏のリビア方式による核放棄について、彼女はこう語ったのだ。

「自分はいかなる議論においてもその部分は見ていない、従ってそれ(リ
ビア方式)が我々の目指す解決のモデルだという認識はない」

同発言を米ニュース専門テレビ局「CNN」は「ホワイトハウスはボルト
ン発言を後退させた」と報じた。

トランプ大統領の北朝鮮外交を担うボルトン氏とポンペオ米国務長官の間
には微妙な相違がある。

正恩氏は、習氏と5月7、8の両日、大連で会談した直後の9日にポンペオ氏
を平壌に招き、3人の米国人を解放し、「満足な合意を得た」と述べた。

ポンペオ氏は米国に戻るや「金(正恩)氏が正しい道を選べば、繁栄を手
にするだろう」などと述べ、早くも米国が制裁を緩和し、正恩氏に見返り
を与えるのかと思わせる発言をした。

ボルトン氏は対照的に、核・ミサイル、日本人拉致被害者について強い発
言を変えてはいない。

国務長官と大統領補佐官の間のこの差を正恩氏は見逃さず、ボルトン氏排
除を狙ったのであろう。米国を首脳会談の席につかせ、段階的な核・ミサ
イル廃棄を認めさせ、中国の経済援助を得、中国の抑止力で米国の軍事行
動を封じ込める思惑が見てとれる。

「制裁解除のタイミングを誤れば対北朝鮮交渉は失敗する」と安倍晋三首
相は警告し続けている。トランプ氏がその警告をどこまで徹底して受け入
れるかが鍵だ。同時に認識すべきことは、北朝鮮が中国の援助の下、核・
ミサイルを所有し、拉致も解決せず、生き延びる最悪の事態もあり得る、
まさに日本の国難が眼前にあるということだ。

『週刊ダイヤモンド』 2018年5月26日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1232 

◆復旦大学 講義録(2018/5月23日)− その @

「朝鮮半島非核化と東アジア情勢」
 浅野勝人  安保政策研究会 理事長

中国の名門3大学(精華大学、北京大学)のひとつ「復旦大学」から特別講義の要請をいただき、先日、上海を訪れました。
演題の「朝鮮半島非核化と東アジア情勢」は、大学側からの要望によります。2回に分けて、以下、皆様に報告いたします。


いま、世界がかたずを呑んで見守っているのは、6月12日、シンガポールで行われる予定のアメリカのトランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長との米朝首脳会談の成りゆきです。
角突き合わせて、一触即発だった米朝関係は、平(ぴょん)昌(ちゃん)の冬のオリンピックをきっかけに一転して雪どけムードになりました。
これをきっかけに、日・中・米・韓・朝 5ヵ国の首脳が、目まぐるしく動きました。
3月26日、北京で行われた習近平・金正恩による中朝首脳会談から始まって、フロリダの日米首脳会談、「板門店宣言」を発表した南北トップ会談、さらに今月9日、東京を訪れた李克強首相を交えた日・中・韓 3か国首脳会談、引き続き行われた安倍晋三・李克強の日中首脳会談を経て、歴史的なトランプ・金正恩米朝首脳会談に収れんされていきます。

ただ、冒頭「行われる予定の米朝首脳会談」と申したのは、トランプ・金正恩両氏の独特のパーソナリティから何が起きるか予測困難だからです。すでに、金正恩は米韓軍事演習に不快感を示して、会談延期をほのめかしています。これを逆手に取りかねないのがトランプです。(案の定、講演後、やるやらないのゴタゴタが起きているのはご承知の通りです)

予定通り米朝首脳会談が行われた場合、この交渉では、先の「板門店宣言」で ☆核実験とICBM(大陸間弾道ミサイル)の試験発射は止める。☆核のない朝鮮半島の実現を目標とする。と表明した北朝鮮の非核化をめぐって、そのための条件と核廃棄へのロードマップの詰めが焦点となります。
北朝鮮は「金正恩体制の国家の安全保証」を核廃棄の前提条件にしています。一方、アメリカは、北朝鮮が核とミサイルの査察を認め、期限を区切って核を廃棄する完全非核化を譲れない条件としています。
特に、日本にとっては、北朝鮮は日本を攻撃目標とする中距離弾道ミサイルを500ないし600弾 所有していますから、従来のようなあいまいな結着は許容できません。金正恩が最高指導者に就任してから、ミサイル実験を86回、核実験をインドと同じ6回実施しています。もう必要のない試験発射をしないことを隠れ蓑にして、核保有国となることは絶対に看過できません。

幸い、中国は北朝鮮を国家として存続させたいと考えていますし、同時に朝鮮半島の非核化にも賛成の立場を明らかにしています。
中国は、まさに米朝双方の条件を満たす仲介役としてうってつけの存在です。中国の動向に世界の期待が集まるのは当然です。

実は、去年から今年にかけて、「米朝軍事衝突の可能性高まる」「米軍、4月に北朝鮮攻撃の観測強まる」と報道するメディアが少なくありませんでした。つい先日、書店の書棚に「米軍、6月に北朝鮮爆撃」というタイトルの新刊書を見つけ、いささか呆れましたが、これほど米朝関係は最近まで緊迫していたという証しだと思います。

ところが、私はこれまで一貫して「アメリカと北朝鮮の軍事衝突・戦闘はない」と早い段階からネットやさまざまな新聞、雑誌に明言してきました。
なぜそう判断したのか、理由を述べたいと存じます。

能力 × 意図 = 戦闘 という方程式で、米朝両国の関係を
分析してみます。
北朝鮮は、いずれアメリカが攻めて来ると思い込んでいるので、ミサイルと核を開発・所持することによって国を守ろうとしています。イラクやリビアは、弾道ミサイルと核兵器を持っていなかったから戦闘に負けて崩壊したと考えています。
つまり、北朝鮮はミサイルと核を装備して、アメリカの攻撃に備えている「専守防衛」の国です。口先では、ICBM(大陸間弾道弾)でアメリカ本土を火の海にすると言っていますが、そんな能力はないことを彼ら自身、分かっています。ですから、アメリカまで行って戦闘をする意図も能力もありません。

一方、アメリカは北朝鮮を殲滅しても、中国、ロシアとの関係を決定的に悪化させるだけで何のメリットはありません。同盟国の韓国、日本への脅威を排除するのが狙いですから、北朝鮮が東アジアの平和を乱す核とミサイルを凍結・廃棄すれば、目的を達したことになります。従って、アメリカも能力はあるけれども、進んで北朝鮮と戦う意図はありません。

以上の分析に従えば、北朝鮮が「国家の安全保障」を首脳会談開催の前提条件にして、アメリカとの交渉を選択したのは理にかなっています。
(元内閣官房副長官)
at 07:42 | Comment(0) | 浅野勝人