2018年05月04日

◆野党とメディアが日本を滅ぼす

櫻井よしこ


米英仏は4月13日午後9時(日本時間14日午前10時)からシリアの化学兵器
関連施設3か所に、105発のミサイル攻撃を加えた。

1年前、トランプ大統領は米国単独でミサイル攻撃を加えた。今回、米国
がどう動くのかは米国が自由世界のリーダーとしての責任を引き受け続け
るのか否か、という意味で注目された。それは、異形の価値観を掲げるロ
シアや中国に国際社会の主導権を取らせるのか、という問いでもある。

米英仏軍の攻撃は、米国が自由主義世界の司令塔としてとどまることを示
した。決断はどのようになされたのか。

米紙、「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)などの報道によ
ると、国防総省はトランプ氏に3つの選択肢を示したという。➀シリアの化
学兵器製造能力につながる施設に最小限の攻撃をかける、➁化学兵器研究
センターや軍司令部施設まで幅広く標的を広げ、アサド政権の基盤を弱め
る、➂シリア国内のロシア軍の拠点も攻撃し、アサド政権の軍事的基盤を
破壊する、である。

トランプ氏は➁と➂の組み合わせを選択した。ミサイル攻撃を一定水準に限
定しつつ、化学兵器製造能力に決定的打撃を与えるが、アサド政権の転覆
は目指さないというものだ。

結論に至るまでの議論をWSJが報じている。トランプ氏は➂の選択肢に
傾いており、ニッキー・ヘイリー国連大使も大統領と同様だったという。
反対したのがジェームズ・マティス国防長官で、ロシア軍の拠点まで含め
た攻撃はロシアのみならず、イランからも危険な反撃を受ける可能性があ
ると説得したそうだ。

攻撃4日前の4月9日に国家安全保障問題担当大統領補佐官に就任したジョ
ン・ボルトン氏は今年2月、WSJに、米軍には北朝鮮に先制攻撃を行う
権利があると述べた強硬派である。マティス国防長官は国防総省でボルト
ン氏に初めて会ったとき、「あなたは悪魔の化身だという噂をきいていま
す」と、冗談めかして言ったそうだが、それほど、ボルトン氏のイメージ
は強硬派の中の強硬派なのである。

米朝会談の展望

しかし、今回、ボルトン氏はアサド政権に潰滅的打撃を与えながらも、過
度な攻撃を避けるという「困難な妥協点を見出した」と評価された。強硬
だが、分別を持った陣容がトランプ氏の周りにいるとの見方があるのである。

それにしてもトランプ氏の考え方は矛盾に満ちている。彼は一日も早く中
東から米軍を引き上げさせたいとする一方で、シリアに大打撃を与えるべ
く、強硬な攻撃を主張する。

化学兵器の使用という、人道上許されない国家犯罪には懲罰的攻撃を断行
するが、ロシアとは戦わない。今回の攻撃の目的はあくまでも人道上、国
際条約で禁止されている化学兵器の使用をやめさせることであり、政権転
覆や中東における勢力図の変更を意図するものではないというのが米国の
姿勢だと見てよいが、トランプ氏が同じように考えているのかはよくわか
らない。

もっとも、共和党にはリンゼイ・グラハム上院議員の次のような考えも根
強い。

「アサド氏は米軍による攻撃を、仕事をする(doing business)ための必
要なコストだと考えている可能性がある。ロシアとイランは今回の攻撃
を、米国がシリアから撤退するための口実の第一歩と見ている。米英仏の
攻撃がロシア、シリア、イランに戦略を変えさせ、ゲームチェンジを起こ
すわけではない」

米国の攻撃は状況を根本から変えるわけではないというグラハム氏の指摘
を日本は重く受けとめなくてはならないだろう。シリア政策は北朝鮮政策
にも通じるからだ。

5月にもトランプ氏と金正恩氏は会うのである。どちらも常識や理性から
懸け離れた性格の持ち主だ。周囲の意見をきくより、即断即決で勝負に出
る可能性もある。狡猾さにおいては、正恩氏の方が優っているかもしれない。

米朝会談の展望を描くのは難しいが、万が一、米国に届く大陸間弾道ミサ
イルを北朝鮮が諦めるかわりに、核保有を認めるなどということになった
らどうするのか。

日米首脳会談で安倍首相がトランプ氏と何を語り合い、何を確約するか
は、日本にとっても拉致被害者にとっても、これ以上ない程に重要だ。本
来、首相以下、閣僚、政治家の全てがこの眼前の外交課題に集中していな
ければならない時だ。

しかし、驚いた。米英仏のシリア攻撃直後のNHKの「日曜討論」ではな
んとモリカケ問題などを議論していた。メディアも政治家も一体、何を考
えているのか。私はすぐにテレビを消したが、野党とメディアが日本を滅
ぼすと実感した出来事だった。

喜ぶのは某国

4月13日夜、私の主宰するネット配信の「言論テレビ」で小野寺五典防衛
大臣が日報問題について語ったことの一部を紹介しよう。

自衛隊がイラクに派遣されていた10年以上前、日報の保存期間は1年以内
だった。隊員たちも「読み終わったら捨てるものだから、何年も前の日報
は廃棄されて存在しないだろう」と思い込んでいた。

だが、自衛隊は全国に基地や駐屯地が300か所以上あり、隊員だけで25万
人もいる。思いがけずパソコン内に日報を保存していた人がいたり、ある
いは書類棚の中に残っていたのが見つかった。その時点で報告し、開示す
べきだったが、そこで適切な処理が行われず、これが結果的に問題を招い
てしまったというのだ。このような背景をメディアが正確に報じていれ
ば、日報問題への見方も異なっていたはずで、無用な混乱もなかったはずだ。

ここ数年、防衛省には年間5000件以上の情報開示請求が集中豪雨のように
なされているという。大変なのは件数だけでなく、請求内容だ。「何年何
月の資料」とピンポイントで開示請求するのでなく、「イラク派遣に関す
る文書」というような大雑把な請求が少なくない。当然、膨大な量にな
る。資料が特定できたとして、中身を調べ、開示して差し支えないか、関
係各省にも問い合わせる必要がある。この作業を経て黒塗り箇所を決め、
提出する。これが年間5000件以上、職員はもうくたびれきっている。

防衛省をこの種の書類探しや精査の作業に追い込んで、本来の国防がおろ
そかにならないはずはない。喜ぶのは某国であろう。

ちなみに日本を除く他の多くの国々では、日報は外交文書同様、機密扱い
である。日報を一般の行政文書に位置づけて、情報公開の対象にしている
のは恐らく日本だけだ。

問題があれば追及し、正すのは当然だ。しかし、いま行われているのは、
メディアと野党による日本潰しだと私は思う。
『週刊新潮』 2018年4月26日号 日本ルネッサンス 第800回

◆日本語をなぜ“片仮名文字”にする

                          渡邊 好造


わが国には漢字という折角の表意文字があるのに、いつのまにか聞いたこともない英語、仏語などをもとにした片仮名文字に変えてしまう。

それで、意味不明にしたり、都合のよい解釈をする。いかにも目新しく、恰好よく見せかけているだけではないか。ちょっと拾ってみるだけでも腹がたつ。

 [片仮名文字=日本語なら⇒本当の裏の意味]

1)カジノ=博打場、とばく場⇒堂々とてら銭をとる公共の超法規的賭場施設。もうすぐ日本にも。
2) シェフ=優秀調理士⇒板前、板長、料理人、包丁頭なら目の前で調理してくれる。シェフは命令するだけ。
3)タレント=芸人⇒ただのお笑い芸人なのになんでも完全にこなす能力がありそうで、照れず厚かましい。
4)コンシェルジェ=ホテルの接客責任者⇒客がどんな悪辣なことを言ったり、したりしても我慢できる接客係。
5)ファイナンス=金貸し⇒利息も安く、簡単に貸してくれ、取立ても厳しくない善意の金融業者。

6)コンプライアンス=規定・法律を遵守した行動⇒規定・法律の抜け道をどこに見つけるかが秘訣。
7) マニフェスト=公約⇒公に約束はするが、後で訂正自由。最近の貼り薬”膏薬”は剥れないのに。
8)アジェンダ=政策課題⇒期限がなく実行希望の政策。後で間違いなく"唖然とする"。
9)タトウ-=刺青⇒やくざのいれる全身のモンモンとは違い、体の一部に化粧するような軽い感覚。
10)エッセイ=随筆⇒タレントが「エッセイ書きました」は、起承転結のない日記、手紙、メモなどの駄文が多い。

11)コラボレ-シヨン=協同競演作業⇒過去の栄光をひきずる者同士の再生競演策。
12)レシピ=調理法⇒美味そうに感じさせる秘密の調理法。美味くない時の表現”この味は玄人好みですね”
13)パフォ-マンス=表現、才能、処理能力⇒派手な言動、ごまかし、でたらめ演技。
14)リベンジ=雪辱する⇒仇討ち、復讐、返り討ち、闇討ち、暗殺。
15)ホ-ムレス=住む家のない哀れな人⇒道路や公園を不法に占拠する同情の余地のない浮浪者、乞食。

16)バッシング=たたく、攻撃⇒高収入、好待遇に見合う行動、成果をあげないとやっかみで眼の敵にされる。
17)パテシエ=製菓技術者⇒砂糖とクリ-ムをたっぷり使い、高血圧や糖尿病を忘れさせてくれる菓子職人。
18)ボランテイア=時間と能力の無償提供奉仕⇒作業量に見合った経費のいらない、善意に期待した労働。
19)アドバイサ-=助言者⇒野球賭博や脱税など楽して儲かることを教えてくれる人。
20)バックパッカ-=リュックサックを背負う旅人⇒金のない貧乏のふりをして、安上がりの旅行をする人。

21)リーズナブル=価格が手ごろなさま⇒品質が良く、より安いのを手ごろというが、、。つい騙されやすい価格。
22)キャンペーン=企業・団体の目的をもった宣伝活動⇒消費者のためとみせかけて、自社の販売拡大が狙い。
23)アウトソ-シング=外部発注⇒下請け会社に無理やり安く発注し、資金が少なくてすむ経営方法。
24)アシスタント=助手⇒安い給料で便利にこき使える我慢強い見習い人で、「今にみておれ」と歯噛みしている。
25)エコカ-=燃料節約車⇒燃費が安いといわれる高級車で、税金で補填してくれるのでよく売れる車。

26)コメンテ-タ-=解説者⇒聞かれたことの3倍以上にしゃべりまくることの出来る人。「、、そうすね」は失格。
27)カリスマ=教祖⇒一見すると能力ある風で、他人と違うことをする目立ちたがりの超変人。
28)コンテンツ=内容物、中味⇒内容のない、中味のないものでもなんとなく見たくさせる。
29)セレブリテイ=話題の人 、有名人⇒親の莫大な遺産を相続しただけで、実力があるとは限らない。
30)モラトリアム=(融資金返済)一時停止⇒単なる一時停止なのに、「もう取らぬ」と全額返済不要と錯覚させる。

ハングル文字に統一した韓国では、漢字の自分の名前が読めない人が現れたという。中国の物まね商品、商標権侵害を非難したら「日本は漢字を盗んだ」と開き直った。その大事な漢字を略字にしてしまう中国は変な国だ。

片仮名文字はこれからも増え続ける。以上、日本語で”ボヤキ”。(完)

2018年05月03日

◆加計問題巡る首相への「嘘つき」批判

櫻井よしこ


「加計問題巡る首相への「嘘つき」批判 重要政策の反転こそ天に唾する
ものだ」

4月10日、「朝日新聞」が朝刊1面に「加計巡り首相秘書官」「面会記録に
『首相案件』」の見出しを掲げて報じた。3年前の2015年4月2日、愛媛県
及び今治市の職員と加計学園の幹部が(首相官邸で)柳瀬唯夫首相秘書官
(当時)と面会し、その際柳瀬氏が「本件は、首相案件」と述べたという
のだ。

4月11日、国会では右の「職員メモ」を巡って激しい質問が飛んだ。「希
望の党」代表の玉木雄一郎氏は、安倍晋三首相を「嘘つき」と批判した。

尋常な批判ではない。安倍首相が、「嘘つきと言うからには、その証拠を
挙げていただきたい」と反論したのは当然である。こうした国会の状況
を、前愛媛県知事の加戸守行氏は憤りを込めて批判する。

「加計学園獣医学部新設問題の本質をなぜ見ないのでしょうか。岩盤規制
を切り崩そうとした安倍政権と、それを守ろうとした文部科学省や日本獣
医師会の闘いだったのです」

中村時広愛媛県知事は冒頭のメモは確かに県の職員が作成したもので、自
分は職員を信じていると述べた。一方県庁の役人に「首相案件」と述べた
とメモに書かれた柳瀬氏は、これを明確に否定した。「朝日」に寄せた氏
の反論のポイントは以下の通りだ。

●2015年4月当時は50年余りも新設が認められていなかった獣医学部の新設
をどうするかという制度が議論されており、具体的にどの大学に適用する
かという段階ではなかった。

●実際、その後「石破4原則」が決定、具体策の検討が開始された。

●翌、16年11月に獣医学部新設が国家戦略特区の追加規制改革事項として
決定された。

●具体的地点(大学)の選定は自分が首相秘書官の職を離れてかなり時間
が経って始まった。

●従って、自分が(15年4月段階で)首相案件だという具体的な話をするこ
とはあり得ない。

獣医学部新設を申請していた当事者の加戸氏は次のように語る。

「私たちは政府に獣医学部新設を15回も申請して15回全てはねられた。内
5回は、安倍内閣によってはねられたのです。安倍さんに『首相案件』だ
という気持ちが少しでもあれば、加計学園の獣医学部新設はもう何年も前
に実現していたはずです。加計学園が獣医学部新設を認めてもらえたの
は、国家戦略特区諮問会議に民間の有識者が委員として参画し、彼らが既
得権益にしがみつく獣医師会と文科省の抵抗を打ち砕いたからです」

諮問会議は一連の審議には一点の曇りもないと発表している。では「職員
メモ」をどうとらえればよいのか。加戸氏の説明だ。

「面会日は2日、メモ作成は4月13日、実際の面会日の11日後です。記憶に
基づいて作成したことがうかがえます。実際の会話のニュアンスがどの程
度正確に反映されていたかも考える必要があります。柳瀬氏は否定してい
ます。私も官僚でした。その体験から考えて、柳瀬氏はどぎついことなど
言っていないだろうと思います」

この職員メモには下村博文氏が、安倍首相、加計孝太郎氏と食事をした際
に語ったとされる言葉も出てくる。それを下村氏は「迷惑だ」と否定した。

「『職員メモ』には首相や加計氏と私が三人で食事したと書かれています
が、そのようなことは一度もありません。従って発言もありません」

玉木氏らは首相を「嘘つき」と国会で非難したが、玉木氏以下、全員が、
小池百合子氏の下に走ったとき憲法改正にも安保法制にも賛成すると誓約
した。いま彼らは民進党に戻る中で、これら重要な政策について再び反転
しようとしている。もしそのようなことが現実となるならそれこそ、「嘘
つき」であろう。玉木氏の首相非難は、まさに天に唾するものであろう。

『週刊ダイヤモンド』 2018年4月21日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1228 

◆お邪魔虫共産党

渡部 亮次郎


中国では幹部でも汚職がばれれば死刑になる。それでも幹部の汚職が引き
もきらない。いくら共産主義に共鳴しても、私欲とは人間の本能に等しい
ものだからである。

こうした目で中国を見ていれば、共産党が政権を掌握している限り
人権尊重や政治の民主化なぞは絶対実現しないと思うのが普通だが、経済
の改革開放が進むのに比例して民主化が進むはずだと考える人々がいる。
特にアメリカの人たちに多い。

中国が何故、共産革命に成功したか。それは国家権力を手中にしようとし
た毛沢東の策謀が成功したからである。国家の形態は何でも良かったが、
とりあえず貧民が国民の大多数だったので、「金持ちの財産を分捕り、皆
で平等に分配しよう」と言う呼びかけに合致したのが共産主義だった。

共産主義政府の樹立が毛沢東の望みではなかった。真意は権力の奪取だっ
た。日中戦争の終結で、日本軍の放棄して行った近代兵器を手中にして蒋
介石と国内戦争を続けた結果、蒋介石は台湾に逃亡した。毛沢東は昭和
24(1949)年10月1日、中華人民共和国建国を宣言した。

人民も共和も中国語には無い。日本語だ。畏友加瀬英明氏の説明だと、中
国語には人民とか共和と言う概念が無いのだそうだ。北朝鮮はそれに民主
主義が加わって嘘が深化している。

権力は掌握したが、人民への約束を果たす手段が無い。とりあえず人民公
社と大躍進政策が当時のソ連をモデルに実施したが、農民は生産意欲の低
下とサボタージュで抵抗。

結果として食糧不足に陥って各地で飢饉が発生。餓死者は1500万人から
4000万人と推定されている(「岩波現代中国事典」P696)。

毛沢東の死(1976年)後2年、失脚から3度目の復活を遂げていたトウ小平が
経済の開放改革を断行。開放とは日本など外国資本の流入を認め、改革と
は資本主義制度への転換を意味した。

4つの近代化を掲げたのだ。工業、農業、国防、科学技術の近代化であ
る。今のところ実現に近付いているのは軍事の近代化である。

トウ小平は政治の近代化だけは断乎として拒否した。肥大化した経済が政
治(共産政府)を圧倒する危険を回避したのである。だから第2天安門事件
には反革命の匂いを嗅ぎ、断乎、弾圧した。

しかし発展する資本主義にとって共産党政府による様々な統制は邪魔以外
の何物でも無い。工場用地の確保一つとってみても、土地すべての国有は
障害でしかないが、自由にならない以上、共産党幹部を「買収」する以外
に方法が無い。

したがって多発する共産党幹部による汚職事件はいわば構造的なことで
あって、客観的にみれば「事件」ではなく「日常茶飯事」に過ぎない。

しかも冒頭に述べたように「私欲」は本能のようなものだ。所有を否定す
るのが共産主義の思想でも「本能」には勝てっこない。つまり共産主義体
制化で経済だけを改革開放すれば汚職簸自動的に起きるし、共産党幹部に
すれば、現状を変更するメリットは全く無いわけだ。

汚職は時たましか発覚しない。摘発で死刑になるのは不運な奴で政府の知
るところではないのだ。かくて中華人民共和国政府は汚職にデンと腰を下
ろした政権。民主化を抑え、人権無視の批判など絶対耳に留めない。耳が
左右に付いているのは右から聞いたら左から逃す為にあるのだ。2010・12・5

◆痰の話で思い出す支那

石岡 荘十(ジャーナリスト)


‘35京都で生まれ、そのすぐ後から敗戦2年後まで中国(当時は支那)に
留め置かれた。幼い頃の記憶はもちろんないが、物心ついて以降、見聞
きしたかの国の“文化”といまの日本のギャップを、本メルマガの反響
欄が思い起こさせた。 

幼い頃の記憶はこうだ。

その1。

夏の日、父の仕事が休みのある日、「支那人と犬入るべからず」という
立て札が入り口にある公園に家族そろって出かけ、公園の中の、支那人
以外のためのプールで家族で泳ぐ。ある日、帰りに天津市内でも最高級
の中華料理店でそろって子豚の丸焼きを食った。

糞をしたくなって、用を足そうと便所へ行くと便器のはるか暗い、深い
底にうごめく動物がいて、驚いて下を見ると、数匹の豚が新鮮な私の排
泄物をむさぼっていた。今思えばここでは完璧な“食の循環”が実現し
ている。

だが、これで私は完全に食欲を失った。これがトラウマになって、決し
て宗教上の理由ではなく、長い間、私はブタが食えなかった。

その2。

小学校の同級生に、当時の天津領事の息子(小山田あきら?)がいて、
放課後、いつも領事館へ遊びにいっていた。ほとんどは広大な領事公邸
の中で遊んでいたが、ある日、門の外に来る物売りの声に誘われて外に
出た。

天秤にかけた台に切り分けた瓜が載っていた。それが喰いたくて「どれ
がうまい?」と私たちに付き添ってきた領事館の守衛に聞いた。守衛は
「ツエーガ(これだよ)」と指差したのは、ハエが一番多く群がってい
る瓜だった。

“動物学的”に言ってそれはそうだろうと納得したのはずっと後のこと
だが、ハエがたかっているのは汚いという考え方は彼らにはないらしい。

いつだったか大分昔、多分、日中国交回復の頃、「中国にいまや1匹の
ハエもいなくなった」という提灯記事をどこかの新聞で読んだ記憶があ
るが、決して信じなかった。私の幼い頃の確かな記憶が記事のウソを見
破った。

その3。

父が勤めていた会社の管理職住宅は鉄筋コンクリートの一戸建ての“豪
邸”で、玄関を入ったところに、日本流で言うと、女中部屋があった。
女は阿媽(アマ)と私たちが呼んでいた纏足の小柄な女だったが、時々、
旦那が小さな女の子を連れて泊まりに来ていた。

女中部屋は6畳ほどの小さな部屋だったが、遊びに行くと、部屋の隅に
花瓶のような形の壷が置いてあって、そこに時々、「ペッ」と痰を吐く、
というか飛ばす。

それがまた結構遠くから正確に痰壷のど真ん中に命中するのを、何の不
思議もなく見ていたのを思い出した。ホールインワンどころではない。
アルバトロス級である。北京オリンピックで「痰飛投」などという種目
が出来たら間違いなく金だろう。

人前での屁は慎むが、食事中、げっぷは割と平気でやる。屁は平気だけ
ど、げっぷは禁忌という国もあると聞く。生活習慣がそんなに違う民が
十数億人もすぐそこにいる。

痰。さてどうするか。

話題はそれますが、昭和18・9年当時、幼馴染の父、小山田天津領事
とその家族の消息を知りたいと思っています。その頃、いつもアイスキ
ャンディーを作ってくれた、髪の長い、美しいお姉さまがいました。確
か、「たえ」さんでした。

2018年05月02日

◆米朝会談決裂なら海上封鎖か

加瀬英明


金正恩委員長は、偉大な祖父と父も手が届かなかった米朝首脳会談が、ほ
どなく自分の力によって実現することに、自己陶酔に浸っていよう。

6、7週間以内に、全世界のきらめく脚光を浴びるなかで、トランプ大統
領と膝を交えて、向い合うことができるのだ。

だが同時に、情緒不安定で、政治の初心者であるはずのトランプ大統領
を、もし操るのに失敗したら、アメリカから圧倒的な軍事力による攻撃を
蒙って、全てを失うことになるのに、戦(おのの)いていよう。

一方、トランプ大統領にとっても、大きな賭けだ。会談を行っても北朝鮮
を非核化する成算がないと判断した場合には、取りやめることにしている。

トランプ大統領は首脳会談を行って、目論見が大きく外れて会場を去る時
に、世界の物笑いにならないように、どのように振る舞えばよいものか、
頭を悩ませていよう。“リトル・ロケットマン”と名付けた金委員長に、位
負けするわけにゆかない。

トランプ大統領は米朝首脳会談が物別れに終わって、面子を潰された後
に、北朝鮮に対してただ経済制裁による締め付けを強めるだけでは、米朝
首脳会談が“笑い草の軽挙”にすぎなかったことになる。

だが、私はアメリカが北朝鮮に軍事攻撃を加えることは、ありえないと思う。

トランプ大統領は北朝鮮を攻撃した場合に、韓国、日本が蒙る被害が、あ
まりにも大きいために、攻撃する勇気を欠いていよう。

私はアメリカの友人に会うと、「アメリカの国章を白頭鷲から、チキンに
替えたほうがよいのではないか」と、からかっている。

それに、トランプ大統領はオバマ政権に至るまで、アフガニスタンから中
東まで、外征戦争に深入りしたのに終止符を打って、米軍を引き揚げた大
統領として、輝やかしいレガシーをのこすことを、夢見ている。

といって、トランプ大統領は手を拱(こまね)いているわけに、ゆかな
い。それでは、沽券(こけん)にかかわるから、何か“劇的なこと”を行わ
なければならない。

私は米海空軍を使って海上封鎖を実施することを、発表することになると
思う。その場合、海空自衛隊が現行の安保法制に従って、後方支援に留ま
るとしたら、日米同盟関係が崩壊してしまうこととなろう。

 日本の前途に、大きな試練が待っている。

◆野党とメディアが日本を滅ぼす

櫻井よしこ


米英仏は4月13日午後9時(日本時間14日午前10時)からシリアの化学兵器
関連施設3か所に、105発のミサイル攻撃を加えた。

1年前、トランプ大統領は米国単独でミサイル攻撃を加えた。今回、米国
がどう動くのかは米国が自由世界のリーダーとしての責任を引き受け続け
るのか否か、という意味で注目された。それは、異形の価値観を掲げるロ
シアや中国に国際社会の主導権を取らせるのか、という問いでもある。

米英仏軍の攻撃は、米国が自由主義世界の司令塔としてとどまることを示
した。決断はどのようになされたのか。

米紙、「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)などの報道によ
ると、国防総省はトランプ氏に3つの選択肢を示したという。➀シリアの化
学兵器製造能力につながる施設に最小限の攻撃をかける、➁化学兵器研究
センターや軍司令部施設まで幅広く標的を広げ、アサド政権の基盤を弱め
る、➂シリア国内のロシア軍の拠点も攻撃し、アサド政権の軍事的基盤を
破壊する、である。

トランプ氏は➁と➂の組み合わせを選択した。ミサイル攻撃を一定水準に限
定しつつ、化学兵器製造能力に決定的打撃を与えるが、アサド政権の転覆
は目指さないというものだ。

結論に至るまでの議論をWSJが報じている。トランプ氏は➂の選択肢に
傾いており、ニッキー・ヘイリー国連大使も大統領と同様だったという。
反対したのがジェームズ・マティス国防長官で、ロシア軍の拠点まで含め
た攻撃はロシアのみならず、イランからも危険な反撃を受ける可能性があ
ると説得したそうだ。

攻撃4日前の4月9日に国家安全保障問題担当大統領補佐官に就任したジョ
ン・ボルトン氏は今年2月、WSJに、米軍には北朝鮮に先制攻撃を行う
権利があると述べた強硬派である。

マティス国防長官は国防総省でボルトン氏に初めて会ったとき、「あなた
は悪魔の化身だという噂をきいています」と、冗談めかして言ったそうだ
が、それほど、ボルトン氏のイメージは強硬派の中の強硬派なのである。

米朝会談の展望

しかし、今回、ボルトン氏はアサド政権に潰滅的打撃を与えながらも、過
度な攻撃を避けるという「困難な妥協点を見出した」と評価された。強硬
だが、分別を持った陣容がトランプ氏の周りにいるとの見方があるのである。

それにしてもトランプ氏の考え方は矛盾に満ちている。彼は一日も早く中
東から米軍を引き上げさせたいとする一方で、シリアに大打撃を与えるべ
く、強硬な攻撃を主張する。

化学兵器の使用という、人道上許されない国家犯罪には懲罰的攻撃を断行
するが、ロシアとは戦わない。今回の攻撃の目的はあくまでも人道上、国
際条約で禁止されている化学兵器の使用をやめさせることであり、政権転
覆や中東における勢力図の変更を意図するものではないというのが米国の
姿勢だと見てよいが、トランプ氏が同じように考えているのかはよくわか
らない。

もっとも、共和党にはリンゼイ・グラハム上院議員の次のような考えも根
強い。

「アサド氏は米軍による攻撃を、仕事をする(doing business)ための必
要なコストだと考えている可能性がある。ロシアとイランは今回の攻撃
を、米国がシリアから撤退するための口実の第一歩と見ている。米英仏の
攻撃がロシア、シリア、イランに戦略を変えさせ、ゲームチェンジを起こ
すわけではない」

米国の攻撃は状況を根本から変えるわけではないというグラハム氏の指摘
を日本は重く受けとめなくてはならないだろう。シリア政策は北朝鮮政策
にも通じるからだ。

5月にもトランプ氏と金正恩氏は会うのである。どちらも常識や理性から
懸け離れた性格の持ち主だ。周囲の意見をきくより、即断即決で勝負に出
る可能性もある。狡猾さにおいては、正恩氏の方が優っているかもしれない。

米朝会談の展望を描くのは難しいが、万が一、米国に届く大陸間弾道ミサ
イルを北朝鮮が諦めるかわりに、核保有を認めるなどということになった
らどうするのか。

日米首脳会談で安倍首相がトランプ氏と何を語り合い、何を確約するか
は、日本にとっても拉致被害者にとっても、これ以上ない程に重要だ。本
来、首相以下、閣僚、政治家の全てがこの眼前の外交課題に集中していな
ければならない時だ。

しかし、驚いた。米英仏のシリア攻撃直後のNHKの「日曜討論」ではな
んとモリカケ問題などを議論していた。メディアも政治家も一体、何を考
えているのか。私はすぐにテレビを消したが、野党とメディアが日本を滅
ぼすと実感した出来事だった。

喜ぶのは某国

4月13日夜、私の主宰するネット配信の「言論テレビ」で小野寺五典防衛
大臣が日報問題について語ったことの一部を紹介しよう。

自衛隊がイラクに派遣されていた10年以上前、日報の保存期間は1年以内
だった。隊員たちも「読み終わったら捨てるものだから、何年も前の日報
は廃棄されて存在しないだろう」と思い込んでいた。

だが、自衛隊は全国に基地や駐屯地が300か所以上あり、隊員だけで25万
人もいる。思いがけずパソコン内に日報を保存していた人がいたり、ある
いは書類棚の中に残っていたのが見つかった。その時点で報告し、開示す
べきだったが、そこで適切な処理が行われず、これが結果的に問題を招い
てしまったというのだ。このような背景をメディアが正確に報じていれ
ば、日報問題への見方も異なっていたはずで、無用な混乱もなかったはずだ。

ここ数年、防衛省には年間5000件以上の情報開示請求が集中豪雨のように
なされているという。大変なのは件数だけでなく、請求内容だ。「何年何
月の資料」とピンポイントで開示請求するのでなく、「イラク派遣に関す
る文書」というような大雑把な請求が少なくない。当然、膨大な量にな
る。資料が特定できたとして、中身を調べ、開示して差し支えないか、関
係各省にも問い合わせる必要がある。この作業を経て黒塗り箇所を決め、
提出する。これが年間5000件以上、職員はもうくたびれきっている。

防衛省をこの種の書類探しや精査の作業に追い込んで、本来の国防がおろ
そかにならないはずはない。喜ぶのは某国であろう。

ちなみに日本を除く他の多くの国々では、日報は外交文書同様、機密扱い
である。日報を一般の行政文書に位置づけて、情報公開の対象にしている
のは恐らく日本だけだ。

問題があれば追及し、正すのは当然だ。しかし、いま行われているのは、
メディアと野党による日本潰しだと私は思う。
『週刊新潮』 2018年4月26日号 日本ルネッサンス 第800回
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◆パワハラについて

今月の法律コラム
川原 敏明



 最近、時折耳にするパワハラという言葉、なんとなく判っているような、
 判っていないような?・・・そこで、今回、少し、まとめてみます。

 パワハラとは何か?
 国では、「同じ職場で働く者に対して、
 職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」としています。

 類型的には、
 (1)物理的攻撃(暴行)
 (2)精神的攻撃(脅迫、暴言、名誉毀損、侮辱)、
 (3)人間関係からの切断(隔離、仲間外し、無視)、
 (4)過大な要求(業務上明らかに不要・不可能なことの強制)仕事の妨害 、
 (5)過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の
  低い仕事を命じること、仕事を与えないこと)、
 (6)プライベートへの過度の干渉
 等が挙げられます。

 ただし、業務上必要な指示や注意・指導の場合には該当せず、
 「業務の適正な範囲を超えるものであること」に注意が必要です。

 では、このような被害に遭った場合、どうしたらいいのでしょうか?

 1 まず、証拠を残すことが重要です。
   いつどこで誰が何をしたのかを記録しましょう。
   裁判時に必要となる他、種々の相談をするときにも、証拠が必要となるからです。

   同僚の目撃証言なども証拠にはなりますが、いざというときに、
   協力を得られない危険があります。メモもいいですが、録音(秘密)がお勧めです。

 2 会社の窓口(人事担当者等)、あるいは、労働局等の労働相談コーナーに相談する。
   誠実な会社・担当者であれば、解決するかもしれません。

 3 それでも解決しない、パワハラをした上司等あるいはそれを放置した会社に謝罪や
   損害賠償を求めたいという場合には、弁護士に相談しましょう。

2018年05月01日

◆おきゅうと って知ってる?

                            毛馬 一三


郷里福岡の同窓友人が初めて案内してくれた大阪博多料理屋で、「おきゅうと」が出た。

エゴノリという海藻から作った食品で、生姜、ゴマ、かつおぶしなどを振りかけ、それにポン酢を注いで食する。涼感を誘うツルッとした味わいと、磯の香りの食感が口内いっぱい広がった。

久し振りの味は、淡泊ながら旨みと滋味に溢れた、福岡特産の食感を十分に嗜め、郷愁を身近に感じた。

ところが、この「おきゅうと」を知る人は意外に少ない。筆者自身も、福岡出身でありながら、福岡から僅か離れた筑後・久留米で育ったので、「おきゅうと」の名前すら幼少の頃は耳にしたこともなく、食膳に上った記憶も無い。

筆者が、料理の一品として魅せられたのは、社会人になってからだ。以来、「おきゅうと」の愛好者になった。下戸なので、お酒のつまみではなく、専ら深みのある味を、ゆっくり箸を付けながら食する楽しみ方だ。

エゴノリが生育する日本海側の秋田、山形、新潟、長野の各県では「えご」、宮崎県では「キリンサイ」などと呼ばれて食用にされているらしいが、「おきゅうと」とは言わない。食べ方も福岡とは全く異なる。

さて、肝腎の「おきゅうと」の名前の由来だが、
1.「沖の独活(ウド)」説。エゴノリはウドの木の様に早く育つので、沖のウドが転訛した。
2.沖からやってきた漁師が作り方を伝授したから「沖人」(おきうど)説。
3.飢饉の際に簡単で大量に作られ多くの人を救ったから「救人」。
などの諸説あるらしい。

「おきゅうと」の食べ方だが、
・真空パックの中に5枚入っている添加物不使用
・厚さ約3mmの「おきうと」を、水洗いして、幅2〜3mmくらいに切る。
・それを器に盛りつけ、生姜、ゴマ、かつおぶしなどをふりかけ、醤油またはポン酢で食べる。また、酢味噌などでもおいしい。

いとも簡単に食することができる。しかもふりかけ材の工夫では、味付けが自分の好みに合わせられるだけに,楽しみも倍増だ。

大阪人でも初めて食べた時は、独特な味覚と触覚に戸惑うらしい。しかし2度目からは、仄かな磯の香り・海苔の風味、涼感を誘う喉ごし、溢れる旨みと滋味に魅せられて、愛好者は増えていると云う。

「おきゅうと」は「めんたいこ」と共に、数百年の昔から朝食の一品を占め続けて来た福岡・博多の食文化の代表であり、福岡・博多の人々はその重みを了知している。

残念なことに大阪では、「飲み屋」か「博多料理店」に行かないと「おきゅうと」には、お目にかかれない。近郊スーパーにはその姿が消えてから長い。情けない話だ。

郷里福岡に帰省した福岡高校同窓会の先輩が、地元でしか味合えない特製「おきゅうとの店に立ち寄り、味わいを実感してきた」と述懐していた。

こればかりは、郷里特性の「おきゅうと」だから、羨ましい限りだった。(了)  
参考:ウィキペディア