2018年05月09日

◆米朝の偶発的軍事衝突

加瀬英明


米朝の偶発的軍事衝突 現憲法では国民を守れない

私は米朝首脳会談が行われないか、物別れに終わっても、アメリカが北朝
鮮に軍事攻撃を加えることは、まずないと思う。

すると、ここしばらく手に汗を握るような朝鮮半島危機が、続いてゆくこ
とになる。

日本としては、平和の惰眠を貪ることから目覚めて、ミサイル迎撃システ
ムを強化し、敵基地を攻撃する能力を整備して、鬼のいぬ間に大急ぎで洗
濯に励むべきである。

トランプ大統領は、北朝鮮が弾道ミサイルの発射実験しするか、核実験を
行ったら、軍事攻撃を加えると脅しながら、北朝鮮に対して海上封鎖を行
うことになろう。かつて、1962年のキューバ・ミサイル危機に当たって、
ケネディ政権がキューバに対して海上封鎖を断行して、成功した前例があ
るから、アメリカ国民は喝采しよう。

そうなると、アメリカと北朝鮮の間で、偶発的な軍事衝突が起こる可能性
が高まろう。

アメリカはその場合に、日本に相当な被害が生じても、北朝鮮に全面攻撃
を加えることになる。日本という肉を斬らせて、北朝鮮という骨を断つのだ。

1年ほど前に、ペンタゴン(国防省)のアドバイザーが来日した時に、私
の事務所を訪れて、「われわれが北朝鮮を攻撃すれば、金正恩政権は面子
にかけて、かならず韓国、日本に攻撃を加えよう。日本に飛来する第1波
のミサイルをすべて迎撃して破壊することはできないから、日本は耐えて
もらうほかない。しかし、2波はけつして撃たせないから、安心してほし
い」といった。

現状では、日本は北朝鮮が日本へ向いて発射してくる、多数の弾道弾に対
して、国民を守る能力はまったくない。PAC3ミサイル迎撃ミサイル・
システムが北海道から沖縄まで17ユニット配備されているだけだから、
国土の100分の1すら守ることができない。

日本を守るためには、アメリカに縋(すが)るほかないのだ。

日本国憲法は「平和憲法」と呼ばれているが、もともとアメリカが占領下
で、「アメリカの平和」のために、日本に押し付けたものだ。私たちは
「日本の平和」を守るためには、まったく役に立たないことを、覚らなけ
ればならない。

それにしても、どうして原水爆禁止協議会(原水協)の諸兄姉が立ち上
がって、ミサイル迎撃システムを増強することを、政府に強く要求しない
のだろうか。


◆米国が求める形の非核化目指す北朝鮮問題

櫻井よしこ


「米国が求める形の非核化目指す北朝鮮問題 「リビア方式」による解決
可能性を示唆か」

4月17日の日米首脳会談で、ドナルド・トランプ米大統領は安倍晋三首相
に、「極めて高いレベルで北朝鮮と直接対話している」と語り、その後記
者団が「金正恩氏と直接話しているのか」と問うと、「イエス」と答え
た。マイク・ポンペオ中央情報局(CIA)長官が3月30日から4月1日の
復活祭の連休を利用して訪朝したのだという。

いま米国の対北朝鮮外交はトランプ氏の意向を汲むポンペオ氏に加えて、
国家安全保障問題担当大統領補佐官のジョン・ボルトン氏が軸となって構
築されている。3氏共に、非核化の話し合いが失敗すれば、軍事オプショ
ンもあり得るとの考え方だ。

ポンペオ氏は正恩氏と話し合いをした後の4月12日、上院外交委員会で行
われた国務長官への指名承認公聴会で、正恩体制の転換は考えていないと
明言すると同時に、非核化に関して、「見返りを与える前に恒久的かつ不
可逆的な成果を得ることを確実にする」と述べた。

米国側の一連の動きは北朝鮮問題が「リビア方式」による解決に向かう可
能性を示唆するのではないか。

これはリビアの最高指導者、カダフィ大佐が選んだ非核化の道である。カ
ダフィ氏は秘密裏に大量破壊兵器の製造を進めていたが、2003年12月にイ
ラクのサダム・フセイン元大統領が地中に潜んでいたところを米軍に拘束
されたのを見て、震え上がった。カダフィ氏はその3日後に大量破壊兵器
を放棄する意思を世界に宣言した。

CIAと英国の秘密情報組織、MI6の要員を含む専門家集団がリビア入
りし、核兵器、核製造に必要な関連物資、核運搬用のミサイル、製造施
設、一連の計画に関する書類など全てを押収、化学物質はリビア国内で米
英作業部隊の監視の下で破壊され、書類は全て国外に持ち出された。

カダフィ氏は全てを受け入れて生き延びた。但し、彼は10年にチュニジア
でいわゆる中東の春と呼ばれる民主化運動が始まり、その広がりの中で11
年に群衆に殺害された。

正恩氏が核を放棄すれば、カダフィ氏やフセイン氏のように命を奪われる
という言説があるが、右の2つのケースが伝えているのは全く別の教訓で
はないか。フセイン氏は核兵器を持っていなかったが持っている振りをし
て査察を拒否し、米軍に殺害された。カダフィ氏は核兵器製造を明らかに
し、査察を受け入れ、8年間生き延びた。氏を殺害したのは前述したよう
に、リビアの国民であり、それはカダフィ一族による専制恐怖政治が招い
た結果だ。

2人の指導者の異なる運命を正恩氏が把握すれば、どちらを選べば氏の命
脈が守られるかわかるはずだ。

トランプ氏は安倍首相との共同記者会見でも「成果が期待できなければ米
朝首脳会談は実現しない。会談が実現しても実りがなければ退席する」と
語っている。正恩氏に圧力をかけ続け、米国の求める形の非核化実現を促
しているのだ。

安倍首相とトランプ氏は19日午前の共同記者会見で拉致問題についても
語った。トランプ氏は拉致被害者について、「日本に帰れることを大事に
考えている。私はこのことをシンゾーに約束した」と語った。救う会会長
の西岡力氏は語る。

「CIAは北朝鮮の情報当局にも接触しており、拉致被害者についても語
り合っていると思われます。その中で拉致被害者生存情報を得ているので
はないでしょうか。その上で拉致被害者の帰国に言及しているのです。勿
論、甘い期待はできませんが、拉致問題解決に向けてよい兆しだと思います」

国際政治は動いている。多くの日本人の命と運命がかかっている。国とし
てどう動くべきか、正念場である。日本の国会はもっとこうした大事な問
題に向き合うべきだ。

『週刊ダイヤモンド』 2018年4月28日・5月5日合併号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1229

◆「非関税障壁でアメリカの自動車が

前田正晶


未だに「非関税障壁でアメリカの自動車が売れない」と我が国を責めるの
は戯言だ

私は5月5日にアメリカの我が国に対する貿易赤字問題を論じて下記のよう
に指摘していたので、ここでは「我が国はアメリカというかトランプ大統
領とその側近に向かって下記のような主張をすべきであり、この程度のこ
とを言ったくらいで失うものはない」と敢えて言おうと思う。

即ち、敢えて重ねてアメリカ側というかデトロイトの主張が如何におかし
いかを述べておこうと思うのだ。非関税障壁などという言いがかりは
30〜40年も前の蒸し返しであって、全く現実味がないのだ。もしもアメリ
カの自動車メーカーもトランプ大統領も、ライトハイザーUSTR代表が本気
でそう言っているのだったら「知らないからこそ言える妄言」の他ならな
いのだ。

私は彼らというか、我が国のアメリカ製の車を売る業者の努力も不十分で
は無いのかと思う。東京都内を歩けばドイツやイタリアの車の販売店の展
示場は幾らでも見かけるが、アメリカの車だけの販売店の展示場を見た記
憶は無い。努力不足ではないのか。

>引用開始

私はトランプ大統領が大統領として貿易赤字を削減しようと言われるのは
当たり前のことだし、特に間違っているとは思わない。だが、細川昌彦氏
も指摘されたように30年も前の貿易摩擦の時期に何あったのか、何故アメ
リカは大きな赤字を抱えるようになったかをご存じで言っておられるとは
とても思えないのだ。

また、何かと言えば、デトロイトの詭弁を信じて「我が国が非関税障壁を
設けてアメリカ産の自動車を輸入しないのが怪しからん」と言うのは、自
国の問題点を全く認識していないからこそ言える台詞だと思う。

私は何度「未だに左ハンドルの車しか作らない姿勢を反省もしていないの
は不当であ。ドイツを筆頭に欧州車が何故我が国で売れているかを知ろう
ともしないのか」と批判し続けてきた。英語の表現では右ハンドルの我が
国の車は The steering wheel is on the wrong side. となってしまう
のだ。即ち、「ハンドルが誤った位置にについている」という観念なの
だ。誤った位置に付けているのは自分たちだという自覚がないのだ。

細川氏はこの件の締めくくりで興味深いことを言っていたのには同感だっ
た。それは「もしも、我が国がそれでは『アメリカ産の車を100万台輸入
しましょう』と言ったならば、その場合に入ってくるのはアメリカで製造
されたトヨタやホンダの車になることになってしまうぞ」だった。現に、
所謂逆輸入の車は入ってきている。

私は細川氏の言を借りるまでもなく、政府なのか経産省なのか、茂木大臣
なのか知らないが、デトロイトに向かっては「貴方たちが如何に誤ってい
るか」を怖めず臆せずに言って聞かせるべきだし、ライトハイザーUSTR代
表もこれくらいのことが解っていないはずはないと思っている。

<引用終わる

お気付きの方が多いことを希望的に考えているが、未だにハンドルが反対
側に付いた車しか造らず、売れないのを我が国の市場のせいにしている点
などは典型的なアメリカのビジネスマンの悪い癖で「自分たちの至らざる
を潔く認めることなく、買わない日本が悪い」と開き直っている姿勢は
1990年代かそれ以前から全く変わっていないのだ。私は何度も繰り返して
指摘したが、1994年7月にUSTRのカラーヒルズ大使は「対日輸出が振るわ
ないのはアメリカで初等教育が充実していないことと、識字率が低すぎる
点に問題があるからだ」と率直に認めておられた。

同じ頃にFRBの議長のグリーンスパン氏は「アメリカの労働者階級では
numeracy(=一桁の足し算と引き算ができる能力)が低いことは問題であ
る」と指摘されてていた。これらの指摘が意味するところは簡単に言えば
「労働力の質の低さ」である。

そういう言い草を21世紀の今日まで引き摺って難癖を付けるアメリカの手
法はフェアーではない。尤も、カーラヒルズ大使は「そうであっても買わ
ない日本が悪い」と指摘された。彼らは何があっても負けないのだ。

貿易赤字対策で我が国に圧力をかけるのも一法だろうが、その手法はクリ
ントン政権下でも失敗した実績がある。どのような製品を如何なる手法で
売り込めば成功するかをもっと真剣に検討すべきだ。トランプ大統領がご
執心のFTAも一つの手段だろうが、それがもしも締結に成功したとして
も、どれほどの日時を要するかをお考えだろうかと疑ってしまう。即ち、
赤字削減の即効性はないという意味だ。既に指摘したが、W社の紙パルプ
製品がなくなっただけでも数百億円の売り上げを失っているし、他のアメ
リカの同業者だって同様に市場を失っているはずだ。

我が国がアメリカの貿易赤字削減に協力すべきだろうとは思う。だが、自
分たちが何ら工夫も十分な努力もせずにいきなり関税をかけるとか、圧力
をかけるだけではこの世界でも有数に難しい市場での売上高を伸ばすのは
容易ではないと20数年の経験からも敢えて指摘しておく。

ロッキー山脈の東側に立地する製造業者が本気で大量に日本に売りたいと
企画している製品があるのだろうか。彼らが真剣に対日輸出に取り組も
うと思う能力が高く英語力もある日本人の社員を十分に集められるのだろ
うか。

ところで皆様に伺いますが、アメリカ産の自動車でトヨタやホンダを捨て
てまでも是非とも買いたい車種かブランドがありますか。何でも良いから
アメリカの製品でなければ買わないと執着されたい商品がありますか。ラ
ルフローレンやブルックスブラザーズやJ.PRESSなどはアメリカで造って
いる訳ではないのですが。



◆大城バネサ「長良川悲恋」

馬場 伯明


私は歌手・大城バネサのファンだ(以下、バネサ)。
2018.4.30(月)13:00〜岐阜市長良川国際会議場、歌手デビュー15周年
新曲「長良川悲恋」発表会に参加した。背広を「バネ隊」の赤いウイン
ド・ブレーカーに着替えた。

発表会を本誌読者に報告しバネサと新曲をPRしたく。(「頂門の一針」の
本旨から離れますが一種の息抜きとして斜め読みしてくだされば幸いで
す。よろしくお願い申しあげます)。

「日テレニュース24(2018.4.30)」から抜粋・転載する。

《 デビュー15周年記念シングル「長良川悲恋」をリリースした演歌歌手
の大城バネサ(36)が30日、岐阜の長良川国際会議場メインホールで新曲
発表会を開いた。同曲は、長良川を舞台に悲恋の物語を歌う作品。五木ひ
ろし(70)の代表曲「長良川艶歌」を作曲した岡千秋氏の作曲。

アルゼンチン生まれの日系2世の大城は、岐阜・羽島市に住み9年目。満席
の会場で、大城は「こんなにたくさんの方にお越しくださり、本当にうれ
しいです」と挨拶、新曲「長良川悲恋」「おねえちゃん」やデビュー曲
「鴎も飛ばない海だよ」など7曲を熱唱。岡氏も「皆さんのお力で『長良
川艶歌』に続く大ヒットにしてください」とお願いした。

大城は「今日まで好きな歌を歌ってこられたのも皆さんのおかげ。15年の
間には楽しいことも苦しいこともありましたが、この15周年記念曲を大
ヒットさせ、ファンの皆さんに恩返しをしたい」と話した》。

総合司会は元NHKアナウンサーの宮川泰夫さん。定員1684人の大ホールは
超満員になっていた。有料である。政治家の(無料の)集会でもこのよう
な満員はめったにないことであると来賓の挨拶にあった。

新曲「長良川悲恋」は青山るみ作詞、岡千秋作曲、新田高史編曲、ビク
ターエンターテインメント販売。2017年古田肇岐阜県知事より「岐阜県の
歌を作りぜひ歌ってほしい」との岡先生・青山Rサプライ社長・バネサの
三人への依頼がきっかけとなり、今回満を持してこの名曲が完成した。

窓の外を 眺めれば 
辛い想いが こみ上げる
二人を引き裂く 分水嶺(ぶんすいれい)分水嶺
愛しているから 別れるの
溢れる涙を この川に
捨てて旅立つ あゝ 長良川 

水面(みなも) 揺れる清流の
想い崩れる 青あらし
二人で夢見た 夫婦滝(めおとだき)夫婦滝
貴方にも一度 逢いたくて
心の乱れが 邪魔をする
未練残して あゝ 長良川

揺れる炎 鵜飼船
涙こらえて 見上げれば
雲間に切ない 金華山 金華山
愛する辛さが 身に沁みる
あなたの重荷に なるよりは
一人旅立つ あゝ 長良川 

来賓席には古田肇岐阜県知事夫妻ほか、長良川流域の自治体から、日置敏
明郡上市長、武藤鉄弘美濃市長、尾関健治関市長、柴橋正直岐阜市長及び
松井聡羽島市長の5人が勢揃いしスポットライトで紹介された。

じつは、(偶然と言うか)郡上踊りで有名な郡上市の日置市長と私とは京
都大(法)の同期・同クラス(教養部)の友人である。日置氏は自治省・
岐阜県(出納長等)に奉職後、市町村合併に伴い請われて2008年市長に就
任し現在に至る。郡上市の名所である分水嶺と夫婦滝が歌詞に折りこまれ
ている。新曲の普及に力を入れたいという。

郡上市の「(母袋)燻り豆腐」を日置氏からもらい、千葉へ帰宅後、妻と
いただいた。懐かしいような不思議な食感と風味である。最高のつまみ。
酒好きの諸氏へ岐阜・郡上の特産品をぜひPRしたい。

作詞者の青山るみさんは岐阜県を愛し岐阜県を熟知している。すばらしい
長良川の歌詞がバネサに渡された。青山馥(かおる)・るみ夫妻のあたた
かい物心両面のご支援に応え、あとはバネサが精一杯歌うだけ・・・。

歌詞の「愛しているから 別れるの」がこの歌のキーフレーズであると思
う。一般的には「愛しているのに 別れるの」でもよさそうだ。しかし
「のに」ではなく「から」である。「(今でも)愛している」という現在
進行形の辛い沈黙のまま、「未練残して」旅立つ。愛のままに去る一人の
女心が凝縮されている。「愛する辛さが身に沁みる」。心に刺さる「悲
恋」である。

歌には岐阜県の長良川流域をはじめ名所や名物などが盛り込まれている。
分水嶺・長良川・夫婦滝・鵜飼船・金華山。この歌を口ずさみながら各地
を巡るのも一興であろう。でも、岐阜観光の実際の二人旅では、悲恋では
なく恋の成就をめざしてほしい(笑)。幸運を祈ります。

作曲は岡千秋先生。その才能と経験を注がれた渾身の作品であり、「長良
川艶歌」を受け継ぐ名曲だ。「愛しているから 別れるの」と静かに高揚
する旋律は、人生の哀感とその不条理までも聴く人の胸に注ぎ込む。

カップリング曲の「おねえちゃん」もよかった。アルゼンチンの実姉との
幼い頃の思い出と望郷の歌。またデビュー曲「鷗も飛ばない海だよ」や、
おばあ(祖母)の沖縄帰省の「今帰仁(なきじん)の春」も歌った。バネ
サはときに体をよじり熱唱また熱唱。全館バネサ節に酔った。

途中、岡千秋先生の特別ステージがあった。「長良川艶歌」や幼い頃母に
聴いた「月の砂漠」のピアノ弾き語り。新曲ヒットへの支援を訴えられた。
  
突然、バネサが、「みなさん!(私は)立てない」と。「脚が攣(つ)っ
たの。ハイヒールを脱ぎたい」と。総合司会の宮川さんが「バネサさんの
素足が見れます!」とすかさず合いの手。爆笑、会場が和んだ。素足のバ
ネサに軽い動きが戻る。そして、「(気仙沼や雲仙で履いた)長靴って
(楽で)よかったなあ」とも。バネサは明るく正直な女性である。

よく共演する京太郎が友情出演した。妖艶な女形の着物姿で登場し、歌う
バネサに合わせ悲恋の女性を舞で表現した。2018/5/20には帰郷し「京太
郎・大城バネサの二人のビッグショウ」(山口県周南市)を開催する。

2018.4.14バネサは岐阜・伊奈波神社で新曲のヒット祈願をしていた。私
は千葉市の稲毛浅間神社(6400坪)の木御札をバネサに持参。本神社は木
花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)が主祭神。安産子育ての御神
徳で崇敬される。この姫命にあやかり新曲が順調にヒットしてほしい。

発表会には愛知県東郷町在住の友人M君も来てくれた。海外暮らしが長
かったM君は、どちらかと言えば(夫妻とも)洋楽派であり演歌からは遠
い。しかし「バネサの美声と迫力ある演歌を堪能。生のコンサートはやは
り良いものです」とメールが来た。ファンが1人増えたかも(嬉)。

「長良川悲恋」は2018年のバネサの勝負曲である。バネサを物心と行動で
応援しよう。2018年をバネサ栄光の年に!NHK紅白歌合戦出場をめざし、
みんなでがんばって行こう。(2018/5/7 千葉市在住)

(追記)次のサイトに「長良川悲恋・大城バネサ」のリクエスト(送信)
をなにとぞよろしくお願い申しあげます。
(1) NHK出演リクエスト:http://www.nhk.or.jp/css/goiken/mail.html
(2) 岐阜放送公式サイト:http://www.zf-web.com/radio/enka30
  (ぎふチャン サンデー演歌ベスト

◆足の血管にもステント

石岡 荘十


数十メートル歩くと左足がだるくなって歩行困難になる。で、数分立ち止まって休むとまた歩けるようにはなるが、またすぐだるくなる。

このような症状を専門的には「間欠性跛行」という。「跛行」はビッコを引くという意味だ。こうなった経緯については、本メルマガ「齢は足にくる」

http://www.melma.com/backnumber_108241_4132433/

で述べたとおりだが、先日、閉塞した足の大動脈にステントを入れる治療を受け、ビッコは解消し、元通り颯爽と歩けるようになった。

はじめ、「これはてっきり腰をやられた」思い込んで、近所の接骨院に駆け込んだら、「典型的な脊柱管狭窄症の症状だ」と断言する。つまり神経の管が腰のところで狭まっている疑いがあるとのことで、電気治療、針を数回やってもらったが、はかばかしくない。

業を煮やして、行きつけの大学病院の整形外科で腰のレントゲン、さらにMRIを撮ってみると、確かに、腰椎のひとつがずれているが、神経には触っていないことが確認できた。脊柱の管にはどこも狭くなっているところはない。ビッコの原因はほかにあるというのが整形外科医の診断だった。

考えられるのは、足に血液を供給する血管、動脈がどこかで狭くなっていて、血液や栄養補給が足の筋肉の運動量に追いつかないのではないか。血管の動脈硬化ではないかというのが循環器内科の医師のお見立てだった。

となると、検査法はPWV(脈波伝達速度)。両腕、両足に幅広のベルト(カフ)を巻いて四肢同時に血圧を測定する検査法である。この検査をすると、動脈の詰まり具合と動脈の硬さ(柔軟性)手足の動脈などの比較的太い動脈の高度狭窄の有無がわかる。

結果は、左足だけが標準値に遠く及ばない。病名は閉塞性動脈硬化症。左足へ行く動脈のどこかが詰まっている疑いが強まった。

血流が詰まる動脈硬化は典型的な加齢疾病だ。脳の血管が詰まれば脳梗塞になるし、心臓の血管(冠動脈)が狭くなると狭心症、詰まると心筋梗塞になる。私の場合は足にきたというわけである。

造影剤を使ったCTで診ると、左足付け根から動脈を15センチほど遡ったところで90パーセント狭窄していることが確認できた。左足へは最大、通常の7割ほどしか血が流れていない。これではビッコになるわけだ。

治療法は、脳梗塞や心臓梗塞と同じだ。血管の狭くなったところにカテーテルを挿し込んでフーセンで拡げるとか、バイパスを作るとか、etc。

心臓カテーテル室でカテーテル台に横になると、若くて美形の看護婦さんが何の躊躇もなくパラリとT字帯をはずし、左足の付け根周辺の陰毛を電気かみそりで刈る(剃毛という)。慣れたものだ。

局所麻酔の後、この治療では実績も多い腕利きの医師が、モニター画面を見ながらカテーテルを挿入。先端には、中心部に細くすぼめたバルーンを仕込んだステントがある。

ステントはステンレスで出来た金網のチューブである。これを狭窄部分まで持っていってバルーンを膨らますと、すぼめてあったステントの内径も同時に拡がって、狭窄した血管を見事に押し広げた。

ステントは内径8ミリ、長さ40ミリ。心筋梗塞の治療に使うステントは内径2ミリほどだから、それに較べると大型だ。治療時間は1時間ほど、治療費86万円、自己負担9万円ほどだった。

心筋梗塞でステントを使う治療法はよく知られているが、足の大動脈狭窄にステントを使うケースはまだそれほど多くない。

下肢(足)へ行く動脈が詰まると、下肢が腐ってしまい、痛いだけでなく、命にかかわるケースもある。そうなると「命には代えられない」とやむを得ず下肢を切断しなければならなくなる。日本では毎年1万人以上が足を切断されているという報告もある。高齢化で症例は増えている。

足にもステントを入れるという治療法は、循環器内科ならどこでもやっているわけではない。リスクもある。医師の選択には慎重でありたい。

元京都大学心臓血管外科部長・米田正始(こめだまさし)医師を中心とする研究グループは新しい血管を作って下肢切断を救う「血管再生法」という試みを行なっていて、再生医学のひとつとして注目されている。

「なんとなく足の先が冷たい」

これが、アラームだ。接骨院では治らない。専門の医師を選んで、治療を受ける必要がある。(再掲)

2018年05月08日

◆「小義」では崩せぬ安倍一強体制

杉浦 正章



“四人組”の仕掛けは空振り
 

「春雨や食われ残りの鴨が鳴く」は一茶の名句だが、自民党内は小泉純一
郎を中心とする“ノーバッジ四人組” が、「グワッ!グワッ!ワッ!」と
なにやら姦(かしま)しい。どう見ても疝気筋のOBが「安倍降ろし」を始
めようとしているかのようだ。

そこには国民に通用する「大義」はなく、個人的な恨み辛みを晴らそうと
する「小義」しかない。小義で国政の中枢を攻撃しても説得力はない。9
月の自民党総裁選で安倍3選という流れを変える力にはなるまい。

まず四人組の発言を検証する。姦しい筆頭は何と言っても小泉。それも親
子で姦しい。親は「3選は難しい。信頼がなくなってきた。何を言っても
言い逃れ。言い訳と取られている」だそうだ。この発言から分かる小泉の
政治判断は「信頼がなくなってきたから3選は難しい」だが、一体誰の信
頼がなくなったのか。

国民に聞いたのか。それともTBSやテレビ朝日の情報番組の軽佻(けちょ
う)浮薄な報道の請け売りなのか。息子の小泉進次郎も「全ての権力は腐
敗する」だそうだ。

英国の歴史家ジョン・アクトンの言葉の請け売りだが、アクトンは専制君
主の権力はとかく腐敗しがちであるということを言ったのであり、民主主
義政権の批判では更々ない。学校で習ったの政治学用語などをそのまま
使ってはいけない。現実政治にそぐわない。青いのである。

政界ラスプーチンのように陰湿な印象を受ける古賀誠も「首相は改憲あり
きだ。憲法9条は一字一句変えない決意が必要だ」と安倍の改憲志向を攻
撃する。これこそノーバッジが発言すべきことだろうか。

口惜しいのならバッジを付けて「改憲反対党」を結成してから言うべきこ
とではないか。それとも民放から“お呼び”がかかるように、アンチ安倍を
売り物にしているのだろうか。

 山崎拓の「財務相が辞める以外に責任の取り方はない」は、独断。福田
康夫は自身が旗振り役だった公文書管理法に触れ、「いくら法律やルール
をつくっても守ってくれなきゃ全く意味がない。政府の信用を失う」と述
べ、財務省による公文書改ざんなどを批判した。これも自分の冴えなかっ
た政権を棚に上げた難癖だ。

口裏を合わせたような安倍政権批判発言の連続だが、その狙いはどこにあ
るかだが、おそらく“政局化”の瀬踏みであろう。導火線に火を付けて自民
党内の反安倍勢力をたきつけようというわけだ。

しかし、“仕掛け”はしても肝腎の党内は全く呼応しない。導火線は湿って
進まないのだ。せいぜい村上誠一郎あたりが反安倍の牙城TBS時事放談で
「日本が崩壊しようとしている。

政治と行政が崩壊しつつある」と太った腹を叩いて呼応しているが、誇大
妄想が極まったような発言にはよほど馬鹿な視聴者しか喜ばない。そこに
は大義がなくて個人的な憎しみだけをぶつけても共感は沸かない。

 
一方で、党執行部も沈黙していては安倍から疑われると考えてか、3選支
持論が盛んに出始めた。幹事長・二階俊博は「安倍首相支持は1ミリも変
わっていない。

外交でこれだけ成果を上げた首相はいない」と持ち上げた。なぜか眼光だ
けは鋭い副総裁・高村正彦に至っては「日本の平和と安全にとっても、安
倍首相は余人を持って代えがたい」と持ち上げられるだけ持ち上げた。

そもそも安倍支持の構図を見れば、細田、二階、麻生の3大派閥が 支持
しており、これだけで人数は197人に達する。これは405人の自民党国会議
員の半数に迫っている。シンパを含めれば3分の2は固い。

これに対して岸田文男ハムレットは、禅譲路線を走るべきか戦うべきかそ
れが問題じゃと優柔不断。もっとも戦うにしてもとても過半数はとれる情
勢にはなく、戦うことに意義があるオリンピック精神でいくしかない。し
かし、この路線が政治の世界では通用するわけがない。無残な敗北は、将
来の芽を自ら摘んでしまう。46人では多少は増えてもいかんともしがたい
のだ。

将来もくそもないのは石破茂だ。もっと少なく総勢20人の派閥では総裁選
出馬に必要な推薦人20人を自前で確保できない。自分は数えないから
19人しか推薦人がいないのだ。1人や2人は集まるだろうが、それでは
とても安倍には歯が立たない。

TBSもテレビ朝日も的確な分析が出来るコメンテーターがゼロで、放送法
違反すれすれの反安倍色の強い情報番組をやっているが、昔から民放テレ
ビの無能さは度しがたい。

加えて安倍政権は安倍の外交指向に近隣諸国の情勢が作用して、外交日程
が押せ押せになっている。極東緊張緩和が大きく動こうとしている。9日
には東京で日中韓首脳会談とこれに合わせて日中、日韓首脳会談がそれぞ
れ行われる。

約2年半ぶりとなる会談は北朝鮮の完全な非核化に向けた具体策や、米朝
首脳会談に向けた連携を確認する。5月下旬には日露首脳会談。6月8
日、9日には先進7か国首脳会議がカナダで開催される。

同月中旬までには米朝首脳会談が予定され、これに加えて日朝首脳会談も
浮上するだろう。マスコミは内閣支持率が30%台に落ち込んだと批判する
が、外交で持ち直すだろう。そもそも30%台などは通常の政権だ。佐藤政
権などは長期に30%台だった。

こうした重要な外交日程を前にして野党が国会で、つまらぬ森友だの加計
だので安倍の足を引っ張れば朝日や民放がはやし立てても、世論からブー
メラン返しに合うだろう。

既に昨年の総選挙が証明したとおりだ。野党は追及すべき外交、政策課題
は山積しており、モリだのカケだのと無為無策のまま6月20日の会期末を
迎えるべきではない。しかし、結果的には安倍は終盤国会を乗り切るだろ
う。そうすれば、9月の総裁選挙まで3か月。安倍は事実上有利な態勢の
まま総裁選に突入する公算が大きい。最近安倍はいい顔になってきた。

◆カジノ設置に3度目の反対

馬場 伯明


カジノ(casino 賭場)設置が進展している。《 2018/4/27、政府はカジ
ノを含む統合型リゾート(IR)実施法案を閣議決定した。当面は国内3カ
所。日本人や日本在住外国人の入場料は6,000円》。入場回数制限は週3
回、月10回まで。今国会での成立をめざす》(2018.4.27日経新聞)。

IR(Integrated Resort)と称している。しかし、その本質は博打をする
カジノ(賭場)である。《以下、IRではなく「カジノ(賭場)」とする》。

過去2回「日本国内でのカジノ解禁に反対する」と本誌に投稿した
(*1)。閣議決定はされたが、私は3度目の反対を表明する。「蟷螂の
斧」という誹(そし)りは甘受し、それでも、言うべきことは言っておき
たい。

(*1)「日本にカジノはいらない」(第3258号2014.3.27)。「再び、カ
ジノ(賭場)はいらない」(第3609号2015.3.25)。

世界中がカジノ(賭場)にうつつを抜かしても、日本だけは設置せず国際
社会で名誉ある地位を保つべきである。最終的に日本では公営ギャンブル
を廃止し、実質的に賭博であるパチンコも禁止へと誘導していくのだ。

カジノ(賭場)解禁については賛否両論が続いてきた。分水嶺で経済と道
徳に分かれる。賛成派はカジノ(賭場)には経済効果がありギャンブル依
存症などの負の面は是正が可能だという。一方、反対論の主たる根拠は道
徳論と健全な社会の防衛・維持である。

「子供のように幼稚な道徳論などは聞きたくもない。馬場ちゃん、もう少
し大人になれ」と友人に批判され、嘲笑された。しかし、70歳を超えても
譲れないこともある。

わが国では古来賭博が禁止されてきた。賭博が人格や社会を破壊するとい
うことは歴史上検証済みの経験則である。先人の知恵であり後世に継承す
べき日本の美風・伝統である。

カジノ(賭場)の賛成・推進者は「経済効果がある」と主張する。しかし
それが「青少年や国民の教育に役に立つ」と言う者はいない。また、「カ
ジノは楽しいぞ、行こう!」と他人には宣伝するが、自分の家族には「さ
あ、みんなでカジノへ行こう。金を儲けよう」などとは言わず、「カジノ
(賭場)には行くな、はまるな」とこっそり説教する。

つまり、自分ではなく他人が不幸になれという、言行不一致の二枚舌であ
る。そう説教された子や孫なども、おそらく二枚舌が得意な人間に育つこ
とだろう。「美しい国」をめざす日本国としては・・・大いに困る。

他人の財産の損失と人生の不幸の上にカジノ(賭場)は成り立つ。賭博客
の負け金からしか収益は生まれない。他人の不幸を踏み台にする商売(事
業)による不健全な成長戦略などクソ食らえ、である。

さらに、カジノ(賭場)のアガリ(収益)でギャンブル依存症(中毒患
者)対策をやるらしい。でもこれは本末転倒の屁理屈である。病気の治療
は大事だが根本対策は病気の原因を除去することだ。新たな賭場(カジ
ノ)を開帳しないことこそがギャンブル依存症対策の一丁目一番地だ。賛
成・推進者はそれが見えない「裸の王様」であり、小学生の判断にも劣る。

かつて、安倍首相は「日本を『美しい国』にしたい」と言った。「美しい
国へ」(文藝春秋2006。「完全版」は2013)。美しい国へ、世界に開かれ
尊敬される国づくりのために、今提案されているカジノ(賭博)はまった
く不要である。百害あって、結局、一利にもならないであろう。

そもそも、日本の刑法は賭博を禁じている。「刑法185条(賭博) 賭博を
した者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。・・・〜第187条」。公
営ギャンブルなどの例外措置は速やかに廃止すべきである。さらに、特区
で民営カジノ(賭場)に道を拓くなどもってのほかである。

カジノ運営者(胴元)の本音を(恐れながら)邪推(!)してみた。
《 正常な人間がカジノ(賭場)へ来ても儲からないな。依存症かその傾
向がある人間に来てもらいたい。ハメを外し、ぱぁ〜っと散財してもらい
たい。大王製紙のあの坊っちゃん社長のように・・・(笑)。

ギャンブル依存症対策は必要だが全員が立ち直ったら(商売上)マイナス
だ。まして、カジノ(賭場)未体験の女性や青少年らへの「カジノ(賭
場)へ行くな」という教育は(商売上)自殺行為になる。(当然)したく
ないし、しない》。私のこの邪推への「反論」はご自由に・・・。

きれいごとばかり並べるなと、賛成・推進者に叱られ、笑われるかもしれ
ない。しかし、最後に、カジノ(賭場)の賛成・推進者に、たっての真面
目なお願いがある。聞いてほしい。

いつか深夜に、灯りを消した部屋にこもり独り次を沈思黙考してほしい。
日本の青少年や子供たちの未来にとりカジノ(賭場)は本当に必要である
のか!日本の国の未来に必要不可欠なのか!(2

◆フェイクメディアは意図的に伝えなかったが

宮崎 正弘


平成30年(2018年)5月7日(月曜日)通巻第5693号 

 フェイクメディアは意図的に伝えなかったが
   トランプ大統領支持率は51%(共和党員の支持は81%)

 米国世論調査期間ラスムッセンによれば、トランプ大統領の支持率は
51%(5月4日)であることが分かった。

共和党員は81%が大統領を支持しており、真逆に、野党の民主党員では
75%が不支持だった。ただし支持政党のない有権者では、トランプ支持は
47%であることも判明した。

日本でも朝日新聞の世論調査は小細工がなされていたように米国のフェイ
クメディアは、情報操作や誘導質問で作為的な世論調査結果しか伝えてこ
なかった。

トランプの支持率が過半を超えたことは初めて。中間選挙に楽勝する気配
が濃厚だが、左翼メディアはまだ「弾劾があり得る」などと騒いでいる。
上院で過半数を奪い返さない限り、民主党主導のトランプ弾劾は可能性が
殆どない、とワシントンの情報通が分析しているようである。
 欧米、とりわけ米国の共和党系のネットメディアは「日本の安倍首相の
三選は確実」と分析している。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
樋泉克夫のコラム
@@@@@@@@

【知道中国 1727回】              
 ――「支那人に代わって支那のために考えた・・・」――内藤(28)
内藤湖南『支那論』(文藝春秋 2013年)

              ▽
これまで見たところでは、どうやら内藤は「変法自強」という改革論を余
り評価しない、いや直截にいうなら大層お嫌いのようだ。中国が抱える歴
史的・民族的・社会的背景を深刻に省みて克服する努力もしないままで、
先進諸国で行われている制度をそのまま持ち込んでも中国の富強が達成さ
れるわけがない。「変法自強」は安直に過ぎ、「支那のため」にはならな
い。「何でも外国人を排斥さえすれば、国家の独立が維持されるもののよ
うに妄想しておる新しい書生輩」なんぞは思慮分別に欠ける。短慮に過ぎ
る、というのだろう。

たしかに中国の動きを見ていると、短慮の謗りを免れそうにない出来事
に出くわすことは必ずしも珍しくはない。

おそらく最も顕著な例が1958年に毛沢東が打ち上げた大躍進だろう。「超
英?美(イギリスを追い越し、アメリカに追い着く)」という看板さえ掲
げ国を挙げて立ち上がりさえすれば、経済的にも大躍進が達成され、社会
主義の大義を忘れ不届き千万にも「平和共存」を掲げて米ソ協調路線を
突っ走るフルシチョフ・ソ連首相に赤っ恥を書かせ、自らが世界の共産主
義運動の指導者になれると目論んでいた毛沢東だったが、それが「妄想」
でしかなかったことは事実が教えている。中国人に地獄の日々を送らせた
だけではなく、中国社会の民力を大いに殺いだのであった。

「魂の革命」を掲げさえすれば、全国民が私心を捨てて社会主義の大義に
殉じ、やがてはアメリカ帝国主義を凌駕し、ソ連社会帝国主義を圧倒する
社会主義大国が地上に実現するという触れ込みで始まった文化大革命にし
ても、1976年に毛沢東が死んで文化大革命の看板を外して見たら、なんと
「大後退の10年」と総括されてオシマイ。

1978年末に踏み切ったトウ小平の改革・開放にしても、当初は日本のみな
らず西側から最新機器と技術を持ち込みさえすれば、巨大な貧乏国家から
一気に脱却できると喧伝していたように記憶する。

大躍進にしても文革にしても、改革・開放にしても、内藤が揶揄気味に批
判する清末の「変法自強」にしても、実態なきスローガン政治の類に思え
る。調査研究なくして発言権なしとの毛沢東の“卓見”に従うなら、毛沢東
も?小平も、清末まで遡れば「変法自強」を主張した人々も、さらには
「『変法自強』などという意味の新教育を以て養成されたところの南方
人」も、やはり自らの発言内容に自己撞着することはあっても、事前に行
うべき徹底した調査研究には関心を払わなかったということか。

それはさておき、「日露戦争以後に、かように大勢上外国の勢力に服従
しなければならぬものと覚悟をした人物を以て満洲を支配させずに、日清
戦争の経験も、日露戦争の経験もないところの支那の南方人、殊に近来
『変法自強』などという意味の新教育を以て養成されたところの南方人を
多く満洲の官吏として移入して来た」という指摘は、その後の日中関係を
考えるうえで簡単には見過ごすことが出来そうにない発言だ。

これに加えるならば、「満洲の官吏として移入して来た」彼らが「何でも
外国人を排斥さえすれば、国家の独立が維持されるもののように妄想して
おる新しい書生輩」であり、それゆえに「日本に対する感情、政策が、非
常に日本に不利であった」という主張である。

日露戦争以前、実質的に満洲を自らの地としていた河北・山東出身者を中
核する漢人は満洲の将来はロシアとの提携にありと考えていた。だが日露
戦争で日本が勝利したことから方針は転換され、やはり日本の「勢力に服
従しなければならぬものと覚悟をした」にもかかわらず、日本は「南方人
を多く満洲の官吏として移入して来た」。彼らも日本も共に満洲の実情、
在満漢人の心情を理解していなかった――これが内藤の考えだろう。

◆米国が求める形の非核化目指す北朝鮮問題

櫻井よしこ


「リビア方式」による解決可能性を示唆か」

4月17日の日米首脳会談で、ドナルド・トランプ米大統領は安倍晋三首相
に、「極めて高いレベルで北朝鮮と直接対話している」と語り、その後記
者団が「金正恩氏と直接話しているのか」と問うと、「イエス」と答え
た。マイク・ポンペオ中央情報局(CIA)長官が3月30日から4月1日の
復活祭の連休を利用して訪朝したのだという。

いま米国の対北朝鮮外交はトランプ氏の意向を汲むポンペオ氏に加えて、
国家安全保障問題担当大統領補佐官のジョン・ボルトン氏が軸となって構
築されている。3氏共に、非核化の話し合いが失敗すれば、軍事オプショ
ンもあり得るとの考え方だ。

ポンペオ氏は正恩氏と話し合いをした後の4月12日、上院外交委員会で行
われた国務長官への指名承認公聴会で、正恩体制の転換は考えていないと
明言すると同時に、非核化に関して、「見返りを与える前に恒久的かつ不
可逆的な成果を得ることを確実にする」と述べた。

米国側の一連の動きは北朝鮮問題が「リビア方式」による解決に向かう可
能性を示唆するのではないか。

これはリビアの最高指導者、カダフィ大佐が選んだ非核化の道である。カ
ダフィ氏は秘密裏に大量破壊兵器の製造を進めていたが、2003年12月にイ
ラクのサダム・フセイン元大統領が地中に潜んでいたところを米軍に拘束
されたのを見て、震え上がった。カダフィ氏はその3日後に大量破壊兵器
を放棄する意思を世界に宣言した。

CIAと英国の秘密情報組織、MI6の要員を含む専門家集団がリビア入
りし、核兵器、核製造に必要な関連物資、核運搬用のミサイル、製造施
設、一連の計画に関する書類など全てを押収、化学物質はリビア国内で米
英作業部隊の監視の下で破壊され、書類は全て国外に持ち出された。

カダフィ氏は全てを受け入れて生き延びた。但し、彼は10年にチュニジア
でいわゆる中東の春と呼ばれる民主化運動が始まり、その広がりの中で11
年に群衆に殺害された。

正恩氏が核を放棄すれば、カダフィ氏やフセイン氏のように命を奪われる
という言説があるが、右の2つのケースが伝えているのは全く別の教訓で
はないか。フセイン氏は核兵器を持っていなかったが持っている振りをし
て査察を拒否し、米軍に殺害された。カダフィ氏は核兵器製造を明らかに
し、査察を受け入れ、8年間生き延びた。氏を殺害したのは前述したよう
に、リビアの国民であり、それはカダフィ一族による専制恐怖政治が招い
た結果だ。

2人の指導者の異なる運命を正恩氏が把握すれば、どちらを選べば氏の命
脈が守られるかわかるはずだ。

トランプ氏は安倍首相との共同記者会見でも「成果が期待できなければ米
朝首脳会談は実現しない。会談が実現しても実りがなければ退席する」と
語っている。正恩氏に圧力をかけ続け、米国の求める形の非核化実現を促
しているのだ。

安倍首相とトランプ氏は19日午前の共同記者会見で拉致問題についても
語った。トランプ氏は拉致被害者について、「日本に帰れることを大事に
考えている。私はこのことをシンゾーに約束した」と語った。救う会会長
の西岡力氏は語る。

「CIAは北朝鮮の情報当局にも接触しており、拉致被害者についても語
り合っていると思われます。その中で拉致被害者生存情報を得ているので
はないでしょうか。その上で拉致被害者の帰国に言及しているのです。勿
論、甘い期待はできませんが、拉致問題解決に向けてよい兆しだと思います」

国際政治は動いている。多くの日本人の命と運命がかかっている。国とし
てどう動くべきか、正念場である。日本の国会はもっとこうした大事な問
題に向き合うべきだ。
『週刊ダイヤモンド』 2018年4月28日・5月5日合併号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1229

◆角さんは糖尿病だった

渡部 亮次郎


肩書きを言うより「角さん」で通っていた田中角栄氏。脳梗塞により75歳
で逝去した。若いころからの汗っかきは「バセドウ病」のためと周囲に説
明していたが、実は糖尿病持ちだったことは隠していた。だから脳梗塞を
招いたのだ。

彼が自民党幹事長だったころ私も彼を担当したが、糖尿病で医者通いをし
た事実はなかった。ところが、彼が首相を辞めた後会ったところ「あん時
は血糖値が400にもなった」としゃべりだした。

「文春で立花隆に書かれたことには堪えなかったが児玉に書かれた佐藤昭
(あき)とのとを連日真紀子(娘)にわーわーいわれて参っちゃった。血
糖値も400まで上がるしな」と糖尿病を発症していたことをうっかり告白
してしまった。

おなじく糖尿病から「合併症」としての心筋梗塞で死亡した政治家に大平
正芳がいる。同じく首相を務めて死んだが年下の角栄を「兄貴」と呼んで
政治的にすがっていた。大平は甘党だったが、糖尿病と真剣にむきあって
はいなかった。

ちゃんとインスリン注射をしていれば総理在任中70の若さで死ぬことはな
かったはずだ。もっとも当時は今と違ってインスリン注射を患者自身がす
ることは厚生省(当時)の「省令」で禁止されていたから多忙な政治家が
連日医者通いをすることは無理だった。

この大平の無二の親友だった伊東正義も糖尿病だった。外務大臣当時は政
務秘書官も糖尿病だった。伊東はしかし医者通いをちゃんとしていたから
80まで生きたき。インスリン注射を怠ると寿命を10年は縮めるといわれて
いる。

糖尿病にともなう網膜症のため国会の代表演説の原稿を大きすぎる字で書
いてきて有名になった田中六助は心筋梗塞で死んだが、まだ62歳と若すぎ
た。医者通いをしていなかったのではないか。まず眼底出血して網膜をや
られ、最後に若くして死んだことがそういう推測を招く。

日本で糖尿病患者のインスリン自己注射を許可したのは昭和56年厚生大臣
園田直がはじめてである。それまでは日本医師会の反対を歴代厚生大臣が
おしきれなかったためである。

このときの園田氏はすでに1回目の厚生大臣の後、官房長官、外務大臣2期
の末という実力者に成長していたためか日本医師会も抵抗はしなかった。
禁止の「省令」は廃止された。

結果、「テルモ」など医療器具メーカーの競争が活発になり、たとえば注
射器が小型化してボールペン型になった。針も極細になり、
いまでは0・18mmと世界一の細さになった。また血糖値の事故測定器の
小型のものが発明されて便利になっている。

これらはすべて園田さんの決断の賜物だが、その園田さん自身は若いころ
からの患者であり、患者の苦しみを知るが故に自己注射許可の決断をした
のだった。わたしは秘書官として側にいたからよく見ている。

患者によっては医者に一日3回も注射のため医者に通わなければならない
人もいた。1日に医者に3回!!仕事ができない。自覚症状としては何もな
い病気とあれば医者通いをやめて早死にをずる不幸をまねく例もおおかった。

そうなのだ。大決断をした園田さん自身はその恩恵に浴することなく70の
若さで死んだ。そう武道の達人も注射の痛さを嫌いインスリンから逃げて
いたのだ。腎臓が機能しなくなり「腎不全」で死んだ。(2013・7・13)