2018年06月14日

◆納豆と相性の悪いくすり

大阪厚生年金病院 薬剤部


〜ワルファリンカリウムという血栓予防薬を服用中の方へ〜

地震や津波、洪水など突然襲ってくる甚大な自然災害は、水道やガス、電気などのライフラインを寸断し人々の生活を麻痺させてしまいますが、人の健康もある日突然血管が詰まると健康維持に必要な栄養や酸素などのライフラインが寸断されその先の機能が止まってしまいます。

 突然意識を失いその場に倒れてしまった経験のある方で、医師から「脳梗塞」と診断された方もおられるかと思います。脳の血管を血液の塊(かたまり)が塞いでしまってその先に血液が流れなくなってしまったのです。

 これを予防し血液をサラサラにするくすりのひとつに「ワルファリンカリウム」という薬があります。服用されている方も多いかと思います。

 もともと人間の身体は怪我や手術などで出血したとき、血液を固めて出血を止める仕組みがありますが、その仕組みの一つに「ビタミンK」が関与する部分があります。
 
ワルファリンカリウムはこの「ビタミンK」が関与する部分を阻害することによって血液が固まるのを予防します。

 さてここで納豆の登場です。

納豆の納豆菌は腸の中で「ビタミンK」を作り出します。「ビタミンK」は血液を固まらせる時に必要なビタミンですから多く生産されると、ワルファリンカリウムの効果を弱めてしまいます。

そのため、くすりの説明書には「納豆はワルファリンカリウムの作用を減弱するので避けることが望ましい」と書かれているのです。

 納豆は栄養もあって健康に良い食品ですが、飲んでいるくすりによっては食べないほうが良いこともあります。好きなものを我慢するのは“なっと〜くできない”向きもあるかと思いますが、ワルファリンカリウムを服用中の方にとって納豆は危険因子ですのでご注意ください。

 納豆のほかにも、ビタミンKの多い「クロレラ食品」や「青汁」などもひかえましょう。

追記: ワルファリンカリウムのくすりには「ワーファリン錠」や「ワルファリンカリウム錠」他があります。(了)

2018年06月13日

◆非核化時期、検証、工程未定のまま

                            杉浦 正章


日本はおいそれと「経済カード」を切ることはない

トランプは口癖の「素晴らしい」を繰り返すが、どこが素晴らしいのか。
会談したこと自体が素晴らしいのか。それにしては、「北の壁」ばかりが
目立つた未完の会談であった。

金正恩は米朝共同声明で「完全な非核化」を約束したが、具体的な非核化
の範囲や工程や期限への言及はなかった。これでは、歴代北朝鮮トップに
よる「約束反故の歴史」を誰もが思い起こさざるをえないだろう。

トランプは会談の“成果”に胸を張るが、その内容は会談したこと自体に意
義がある程度にとどまりそうだ。要するに北朝鮮の核兵器廃棄への工程は
ほとんど示されず、非核化のタイミングや検証方法は今後の交渉に委ねら
れることになった。

会談を受けてトランプは北朝鮮への経済的支援については、「米国が支出
すべきだとは思わない」と主張し、「遠く離れている米国ではなく、日本
や中国、韓国が助けるだろう」と、経済援助をたらい回ししたい口ぶりだ
が、会談結果から見る限り日本はおいそれと「経済カード」を切れる状態
でもあるまい。

まず米朝合意文書に書かれた文言は、4月に開催された韓国と北朝鮮の南
北首脳会談で署名された内容をコピーしたかのようであり、北朝鮮による
核・ミサイル実験の凍結に関しても明文化されなかった。

米国が6カ国協議を通じて主張してきた非核化の原則である「完全かつ検
証可能で不可逆的な非核化(CVID)」の文言がない。休戦から65年にわたる
敵対関係と20年あまりにわたる核武装路線に終わりを告げる文言が、合
意に至らなかったことを意味する。

北が核武装を放棄する意思がないことを物語っている。トランプはCVIDが
合意に至らなかったことを記者団から突っ込まれて「時間がなかった」と
弁明したが、焦点の問題を時間のせいにするのはおかしい。

合意文書は「朝鮮半島の完全な非核化」と表現しただけで、北朝鮮の非核
化をいかにしていつまでに成し遂げるのかという、首脳会談最大のテーマ
は、盛り込まれなかった。非核化の時期と検証方法も不明のままだ。検証
可能と不可逆的という言葉なしに、北の核武装に歯止めをかけようとして
も無理がある。

さらにトランプの主張の核心であった「朝鮮戦争終結」の宣言も合意文
書にはない。朝鮮戦争で米朝が戦火を交えて以来のトップ会談であり、宣
言には事実上終結している戦争を再確認する意味合いがあるが、盛り込ま
れなかった。

さらに北朝鮮による核・ミサイル実験の中止の明文化もな かった。核・ミ
サイル実験場の閉鎖にも言及していない。多くの課題が、 先送りされ、
具体性に欠けた会談であったことを物語る。要するに大山鳴 動してネズ
ミ一匹の感が濃厚なのである。トランプにしてみれば秋の中間 選挙への
プラス効果が出れば良いのだ。

一方金正恩は、会談から多くのポイントを稼いだ。合意文書では金正恩
体制をトランプはギャランティーという表現で保証した。特異な社会主義
体制を敷く金王朝を、自由主義の雄であるはずの米国が体制保証するとい
う奇妙な会談となった。

今後金正恩が体制の正当性を世界に喧伝し、国際 的な孤立から離脱する
材料に使うことは言うまでもない。加えて米韓軍事 演習の見直しや在韓
米軍の削減にトランプが言及したことは、金正恩に とって大きな成果で
あった。

しかし、ことは極東の安全保障に関する問題である。重要な同盟国であ
る日本にろくろく相談もなく、安全保障に関する問題を軽々に発言するト
ランプのセンスを疑う。拉致被害者の問題については、首相安倍晋三の要
望に応じて、トランプが金正恩との会談で言及したが、単なる言及にとど
まったようである。もともと拉致問題は日本政府が解決すべき問題であ
り、安倍が「日本の責任であり、日朝間で交渉する」と述べている通りで
ある。

日本外交の真価が問われるのはこれからであるが、かくなる上は北との
関係正常化を推し進め将来的には、国交正常化を視野に入れるべきであろ
う。正常化して、経済的な結びつきを強めることにより、北の暴発は抑え
られる可能性が高い。拉致、核、ミサイルが国交正常化の前提条件だが、
棒を飲んだような姿勢でなく、緩急自在の姿勢で日朝首脳会談の開催を視
野に入れるべき時だろう。

トランプはまた、国務長官マイク・ポンペオと大統領補佐官ジョン・ボ
ルトンが来週、合意の「詳細を検討する」ため北朝鮮当局者と協議する予
定だと述べている。またトランプ自身も「また会う、何度もだ」と延べ、
金正恩をホワイトハウスに招待する意向も示した。「恐らく再度の首脳会
談が必要になる」と語った。トランプ自身も会談の不十分さに気付いてい
るのかも知れない。


◆「軍事同盟」で退陣した内閣

渡部 亮次郎


若い頃、NHK記者として4年間駐在した岩手県には、後に総理大臣になる
鈴木善幸(ぜんこう)のほか小沢佐重喜(さえき)、椎名悦三郎ら、錚々
たる政治家がいた。言うまでも無く佐重喜は小沢一郎の父、椎名は副総裁
として田中角栄の後継首相に三木武夫を推して大失敗した。

そうした中で目立つようで目立たなかった男が鈴木善幸だった。三陸沿岸
の漁民の出。はじめは日本社会党から代議士になったが、間違いに気付い
て保守党に鞍替え、とうとう自民党総裁、総理大臣になった。

だが日米安保条約の何たるかも知らずに過ごし、自民党内のバランスに
のっていただけだったので総理大臣にまつり上げられたものの、「能力不
足」を晒して途中退陣した。

日本大百科全書(小学館)にはこう書かれている。

<国内では自民党の絶対多数を背景に、軍事力増強、実質的な靖国(やす
くに)神社公式参拝、参議院の比例代表制導入、人事院勧告凍結を実現し
た>。


鈴木善幸内閣]は1980(昭和55)年7月成立した。前任の大平正芳が総選挙
中、糖尿病の合併症たる心筋梗塞で急死したところ、「闇将軍」といわれ
て評判の悪かった田中角栄が裏で動いて、突如、鈴木善幸を後任として指
名した。私はその現場に居合わせた。

昭和55(1980)年6月12日未明、大平が死んだ。それに先立って、ホテルに
いた私に園田直(当時は無役)から電話。「大平さんが亡くなったらしい、
調べてくれ」で確認。弔問の為、虎ノ門病院で落ち合う。

彼も当時、糖尿病が悪化。減量の為服用していた利尿剤が効き過ぎてゲッ
ソリしていたので、マスコミの目を引いたことを覚えている。
病室から出てきた園田。車に乗ると「ナベしゃん、これからどうした方が
いいかな」。すかさず「目白へ行きましょう」「そうだワシもそう考えて
いた」。

角栄は先に弔問から戻っていたが、客は園田がその朝は初めてだった。約
1時間して出てきた園田。車中「善幸に決まった」と。「それは妥当なと
ころでしょう。大平派の後継者でもあるし」と私。

大平の死で有権者の同情は自民党に集まって総選挙は、大勝。分裂寸前
だった自民党を結束させ、抗争なしで鈴木政権は成立したのだった。

<「増税なき財政再建」を公約とし、1981年3月には臨時行政調査会を設
置し行政改革を最大の課題とした>。(同)

9月になって厚生大臣齋藤邦吉の不正献金がばれて辞職。その後任に園田
が推されたのは、多分に角栄の押しがあったと思われた。

<1981年1月鈴木首相が東南アジア諸国を歴訪、5月には日米首脳会談を開
き日米「同盟関係」を明記し、西側陣営の一員としてアメリカの対ソ戦略
に協力していく姿勢を明らかにした>。

しかし鈴木首相は首脳会談では、そんなことは話題にならなかったと一旦
は否定。共同声明から軍事同盟云々を消そうとした。日米の首脳が会談す
るという事は要するに日米安保体制を確認し、軍事同盟を再確認する事だ
という外交上の初歩的知識に首相は欠けていたのだ。

この混乱で鈴木首相は党内で孤立感を深めた。同一派閥であった外相伊東
正義が辞任した後を埋めるのに、厚生大臣のピンチヒッターだった園田を
またピンチヒッターにした。

しかし、園田は糖尿病が悪化。外遊しても飛行機から車まで歩けない場面
がしばしばとなった。マニラではとうとう日米首脳会談の共同声明なんて
どうでもいい軽い問題でしかない、といった趣旨の問題発言をして政権の
足を引っ張った。

事後になって鈴木は日米首脳会談について「オレは踊り(外交)の素人なん
だから、手ぶり身振りの最後まで教えないと踊れないよ。教えない外務省
が悪い」といった。外務省側は「初歩知識をお教えするのは失礼に当る
か、と」。

政治における知識や情報の扱い方はビジネスの世界とまるで異なる。ビジ
ネス界は「儲け」で一丸となっているが、政治の世界では役人と政治家の
間に抗争が隠されていたり、遠慮がはさまれたりして要は単純ではない。

しかし1982年6月2兆円以上の歳入欠陥が明らかとなって「増税なき財政再
建」は破綻し、行政改革も自民党・官僚の抵抗で後退を余儀なくされた。

さらに日米経済摩擦、日韓経済協力、教科書記述に対するアジア各国から
の批判といった難問を適切に処理できず、内外ともに手詰まりの状態のな
か、1982年10月12日突如退陣を表明した。

鈴木政治は難問を先送りにして解決を図るといった消極的姿勢を特徴とし
ていた。また党幹事長に二階堂進を起用するなど田中角栄の影響力を強く
受け「角影内閣」との異名をとった。>
日本大百科全書(小学館) (文中敬称略)

◆首相が加計氏に便宜との批判は疑わしい 

櫻井よしこ


「首相が加計氏に便宜との批判は疑わしい 愛媛県職員の作成文書は一体
何なのか」

愛媛県知事の中村時広氏が5月21日に参議院予算委員会に提出した文書は
加計学園問題を蒸し返すきっかけとなるのか。愛媛県職員が作成した文書
には、加計学園側から県担当者に、「2015年2月25日に理事長が首相と面
談(15分程度)」、加計孝太郎氏が首相に「今治市に設置予定の獣医学部
では、国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明」「首相からは『そ
ういう新しい獣医大学の考えはいいね』とのコメントあり」と記されている。

これをスクープしたNHKや「朝日新聞」などは、これまで首相は加計学
園の獣医学部新設について知ったのは17年1月20日だと語ってきた、しか
し県の文書では15年2月段階で知っていたことになる、首相は嘘をついて
いたのかと論難調で報じている。

カケもモリも「もう沢山」だが、ここは事実関係を中心に当時何がおきて
いたか、把握することが大事だろう。

時系列で整理しよう。

(1)15年5月25日、首相の「いいね」発言(愛媛県文書)。

(2)6月4日、加計学園が新しく法制化された「国家戦略特区」に獣医学
部新設を申請。

(3)6月22日、日本獣医師政治連盟が石破茂地方創生大臣に面会。

(4)6月30日、獣医学部新設に関する「石破四条件」が閣議決定。

ちなみに石破四条件とは、獣医学部新設に関して満たすべき条件を定めた
ものだ。骨子はライフサイエンスなど新たに対応すべき分野の需要が明確
になること、それらが既存の獣医学部や大学で対応できない内容であるこ
とが証明されなくてはならないというもので、これは日本獣医師会会長会
議の会議録に、「(これによって)獣医師養成の大学・学部の新設の可能
性はほとんどゼロです」と書かれた程、厳しい要求だ。

しかし、(4)に示したようにこの厳しい内容が6月30日に閣議決定された。

安倍晋三首相を非難する人々は、首相が加計氏に便宜をはかったと主張す
る。しかし、事実を時系列で見れば、本当にそうなのかと疑わざるを得ない。

今治市に新しい大学をつくりたい、四国には獣医学部がひとつもないの
で、新しい大学なら獣医学部を中心とするライフサイエンスが最適だと考
えて尽力した前愛媛県知事の加戸守行氏がこう語った。

「どうか、冷静になって、時系列で見てください。2015年当時、愛媛県も
今治市も、加計学園も、新学部創設を15回も却下され頭を抱えていたので
す。私たちは構造改革特区制度の下で、15回申請して、15回全て却下され
た。その内安倍内閣での却下は5回です。私は世間で言われているのとは
反対に首相は冷たいじゃないかとさえ思っていました。私の言いたいのは
首相には友達に便宜をはかろうという私心はなかったということです」

15回も申請が却下された当時、その暫く前から内閣府が「国家戦略特区」
という制度で、新産業を育てるため岩盤規制を打ち破ろうとしていること
を加戸氏らは報道で知った。調べると、すでに新潟県と京都府が獣医学部
新設を申請していた。愛媛県もそこに活路を求めて、先述のように15年6
月に申請した。すると獣医師連盟がこの動きを察知して早速、石破氏に働
きかけ、厳しい条件を閣議決定にまでもち込んだ。これが事実だ。

ここからは既得権益を守りたい獣医師会の姿は見えてきても、安倍首相が
友人の加計氏のために何かを画策したということではないだろう。では愛
媛県職員の文書は一体何なのだろうか。加戸氏は言う。

「県の職員は真面目ですから嘘は書きません。けれど、書いた情報は伝聞
です。そこが間違っていたのではないでしょうか」

私もそう思うがどうか。
『週刊ダイヤモンド』 2018年6月2日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1233

◆健康百話 乳がんの治療

小川 佳成(医師)


乳癌の治療法は、病状や進行度、あなたの全身状態を考慮して決まります。治療には主として、手術、放射線治療、抗癌剤(抗ホルモン剤を含む)治療があります。

病状の進んでいる方には抗癌剤治療が優先されますが、通常は手術を行い、その後再発予防のための抗癌剤治療を行います。

【手術】
手術には主として、1.乳房切除、2.乳房温存手術があります。腫瘍の大きさや広がり具合などにより術式を選びます。当大阪市立総合医療センターでは、半数以上の方が乳房温存療法を受けられています。
 
乳癌の手術では転移の有無に関わらず、癌の根治・予防のためにわきの下のリンパ節を全部取り除くこと(リンパ節郭清といいます)が標準的に行われてきましたが、リンパ節郭清をすると術後に腕がむくみやすい等の症状が残ります。

そこでわきの下のリンパ節転移がないと予測される方を対象に術後の症状を軽減するために、センチネルリンパ節生検という方法を用いた、腋窩(わきの下)リンパ節郭清を省略する術式が行われるようになりつつあります。当センターでは6割の方がこの術式を受けられています。

【放射線治療】
乳房温存手術を行った場合には、残った乳腺での再発を抑えるために乳房に対する放射線治療を術後に行っています。治療期間は5〜6週間でこの治療により乳腺内での再発は2〜3%以下に抑えることができると考えられています。

【抗癌剤治療】
切除した癌の性格を詳しく調べて、術後の抗癌剤治療の必要性とその内容を決めます。これらの治療で再発の3〜4割を抑えることができるとされます。抗癌剤治療は充分な副作用対策をして外来にて行っています。

【乳房再建】
乳房切除後の乳房再建は形成外科にて行っています。当センターでは、術後1〜2年を過ぎ、治療が一段落してからの再建をお勧めしています。

乳癌の治療は5〜10年ごとに大きく進歩しています。当センターでは、“あなたがより良く生活していくために治療があるのだ”という想いのもとに、各分野の専門医が協力し合い乳癌の治療に当たっています。  
<大阪市立総合医療センター 外科>
               

2018年06月12日

◆ステルス戦闘機の開発競争で衝撃

宮崎 正弘


平成30年(2018年)6月8日(金曜日)通巻第5720号 

AI兵器開発、ドローン攻撃機、ステルス戦闘機の開発競争で衝撃
「中国はアメリカに追いつき、追い越しつつある」(ペンタゴン報告)

将棋の名人達がつぎつぎとAIに負けている。パターン認識において、
AIは疲れを知らず、健忘症もない。だから人間を超えることが出来るのだ。

このAIとビッグデータ技術を重ね合わせ、次世代兵器開発に血道を上げ
るのは、いうまでのないが、中国人民解放軍である。

昨秋11月、広東の「国際見本市」で展示されたCH5偵察機、ならびに無
人攻撃機ドローンは、関係者の度肝を抜くに十分なハイテク兵器の新型
だった。しかも中国製なのである。

5月初頭、習近平は人民解放軍を統括する中央軍事委員会において、兵器
開発の責任者であるエンジニア畑の幹部らを招き、秘密の会合を開催した
(アジアタイムズ、5月30日。ビル・ガーツ記者=ちなみにガーツは安全
保障関係のすっぱ抜きで有名なジャーナリストで前ワシントンタイムズの
辣腕記者)。

習近平と握手を交わしたのはリー・ディイ(音訳不明)中将らで、とくに
リーはAI兵器開発部門の責任者とされる。この軍事委員会での会合は殆ど
注目されなかったが、観察を続けてきたペンタゴンは「異様なスピードで
中国のAI兵器開発は飛躍的進歩を遂げている」と総括した。

AI、ビッグデータ、クラウドの開発に一貫した戦略的な整合性をもたせ、
無人攻撃機や戦車の無人化、ロボット兵士などの開発を急げと習近平は二
年前に軍に発破をかけていた。

この軍事委員会では、劉国治・少将が「AI兵器が近い将来、戦争のかた
ちを大きく変革するだろう」として、軍の科学技術部門を統括する。

楊衛(成都軍事アカデミー)はステルス戦闘機(J20)開発の責任者だった。

楊衛は「AI搭載の戦闘機は空中戦での優位を確保することになるだろ
う」と昨秋の兵器展示会で演説したという。

また深海を遊弋する無人の潜水艦にも攻撃力をもたせる技術の開発に余念
がない。


 ▲アメリカの優位性は崩れ始めている

すでにサイバー戦争においてアメリカの軍ネットワークも中国のハッカー
部隊の攻撃を受けているように、「将来、中国の巡航ミサイルにAIを搭
載した新型は(巡航中も)リアルタイムで地図や速度などを判断し、目的
を瞬時に変更したり出来るスグレモノになる」(中国軍兵器デザイナーの
王長慶)

ペンタゴンの専門家は口を揃えて、「AI技術によるインテリジェンスの
優位が中国側に確保されれば、ほかの如何なる分野で(アメリカが)優位
性を保とうとも忽ちにして軍事的意味を失う」と中国軍の異様な開発加速
の現実を脅威視している。

敵のモラルを分裂させ、士気を喪失させるのは第一撃でインテリジェンス
の優位を破壊することであり、電子戦争の第五世代ではベテラン兵士より
AI兵器が優れた機能を持ち、敵のデータベース破壊、通信網の寸断など
で、敵の指揮系統をずたずたに出来れば、戦争はどちらの勝利となるか、
火を見るよりも明らかだろう。

マティス国防長官は「こうした中国の開発状況を精密に分析し、これから
の米軍は、優先的に、この方面の準備を急がなければ、優位性が脅かされ
る」と二月の演説で警告している。

なぜ、アメリカの優位がいとも簡単に喪失したのかと言えば、シリコンバ
レーの私企業が、開発費用を掛けすぎて、新興のベンチャーキャピタルに
依存し、そのベンチャーキャピタルが、面妖な株主、多くは香港の実業家
を詐って、じつは中国軍の関係者であることによる。

すでに対米外交投資委員会(USFIC)の調査によれば、2013年から
2015年の外国からの投資物件387件のうちの、74件が中国からだった。全
体2割である。


 ▲「ハイテクを無造作に売り渡す行為を、中国はバカかと嘲笑している
に違いない」

典型例はデラウエア州裁判所に会社更生法で訴えたシリコンバレーの
「Atop テクノロジー社」のケースだった。裁判の過程で、同社の買
収に乗り込んできたのは「アバター・インタグレィテッド・システム」と
いうわけの分からないファンド系企業、株主を調べると香港に登録されて
いた。

私企業のベンチャーは、連邦政府との契約関係がないため、裁判所の段階
で明るみにでるケースが多い。連邦政府や軍との契約がないからだ。

 「バラ園に侵入してきたブルドーザーのようだ」と譬喩するのはクリ
ス・ニコルソン(シリコンバレーでAI開発企業を創業した一人)は言
う。(サウスチャイナモーニングポスト、5月22日)

「ハイテクを無造作に売り渡す行為を、中国はバカかと嘲笑しているに違
いない」と、議会で最も対中強硬派のシューマー上院議員が言う。

この言葉でレーニンの譬喩を思い出した。「やつらは自分を吊すロープを
売り渡している」とレーニンは西側の対ソ武器援助を嗤いながら受け取った。

「中国ば米国のハイテク企業買収を『投資の武器化』を目指して行ってい
る」との譬喩は上院共和党院内総務のジョン・コ−ミャン(テキサツ州)
である。

 アメリカの対中警戒は本物なのである。

◆北をめぐる米中の闘いが激化

櫻井よしこ


6月12日の米朝首脳会談はどうやら開催されそうだ。劇的な展開の中で、
はっきりしなかった展望が、少し明確になってきた。米国が圧倒的優位に
立って会談に臨み、拉致問題解決の可能性にも、安倍晋三首相と日本が一
歩近づくという見込みだ。

5月24日夜、トランプ大統領は6月の米朝会談中止を宣言した書簡を発表
し、朝鮮労働党委員長、金正恩氏の鼻っ柱を叩き潰した。9日にポンペオ
国務長官が3人の米国人を連れ戻してから2週間余り、トランプ氏の考えは
どう変化したのか。

まず、5月16日、北朝鮮の第一外務次官・金桂寛氏が、ボルトン国家安全
保障問題担当大統領補佐官を個人攻撃し、米国が一方的に核放棄を要求す
れば「会談に応じるか再考せざるを得ない」と警告した。

1週間後の23日、今度は桂寛氏の部下の崔善姫外務次官がペンス米副大統
領を「政治的に愚鈍」だと侮蔑し、「米国が我々と会談場で会うか、核対
核の対決場で会うか、米国の決心と行動次第だ」と語った。

トランプ氏は23日夜に暴言を知らされた後就寝し、翌朝、ペンス、ポンペ
オ、ボルトン各氏を集めて協議し、大統領書簡を作成したそうだ。

内容は首脳会談中止と、核戦力における米国の圧倒的優位性について述べ
て、「それを使用する必要のないことを神に祈る」とする究極の恫喝だっ
た。24時間も待たずに正恩氏が音を上げたのは周知のとおりだ。

首脳会談が開催されるとして、結果は2つに絞られた。➀北朝鮮が完全に核
を放棄する、➁会談が決裂する、である。これまでは第三の可能性もあっ
た。それは米本土に届くICBMの破棄で双方が合意し、北朝鮮は核や
中・短距離ミサイルなどについてはさまざまな口実で時間稼ぎをする、そ
れを中韓両国が支援し、米国は決定的な打開策を勝ち取れず、年来のグズ
グズ状態が続くという、最悪の結果である。

不満だらけの発言

今回、第三の可能性はなくなったと見てよいだろう。米国は過去の失敗に
学んで、北朝鮮の自分勝手な言動を許さず、中国への警戒心も強めた。ト
ランプ氏は22日の米韓首脳会談で語っている。

「北朝鮮の非核化は極めて短期間に一気に実施するのがよい」「もしでき
なければ、会談はない」

トランプ氏は米国の要求を明確にし、会談延期の可能性にも言及しなが
ら、正恩氏と会うのは無条件ではないと明確に語ったわけだ。

中国関連の発言は次のとおりだ。

・「貿易問題を巡る中国との交渉においては、中国が北朝鮮問題でどう助
けてくれるかを考えている」

・「大手通信機器メーカー中興通訊(ZTE)への制裁緩和は習(近平)
主席から頼まれたから検討している」

・「金正恩氏は習氏との2度目の会談後、態度が変わった。気に入らな
い。気に入らない。気に入らない」
 トランプ氏は3度繰り返して強い嫌悪感を表現している。

・「正恩氏が中国にいると、突然報道されて知った。驚きだった」

・「習主席は世界一流のポーカー・プレーヤーだ」

北朝鮮問題での中国の協力ゆえに貿易問題で配慮しているにも拘わらず、
正恩氏再訪中について自分には通知がなく、米国が求める短期間の完全核
廃棄に関して、習氏は北朝鮮同様、段階的廃棄を主張しているという、不
満だらけの発言だ。

この時までに、トランプ氏は自分と習氏の考えが全く異なることを実感し
始めていたであろう。中国は国連の制裁決議違反とも思える実質的な対北
朝鮮経済援助を再開済みだ。中朝国境を物資満載のトラックが往き交い、
北朝鮮労働者は通常ビザで中国の労働生産現場に戻っている。

こんな中国ペースの首脳会談はやりたくない、だが、米国の対中貿易赤字
を1年間で約10兆円減らすと中国は言っている。2年目にはもう10兆円減ら
すとも言っている。どうすべきか。こうした計算をしていたところに、善
姫氏によるペンス副大統領への攻撃があり、トランプ氏はこれを利用した
のではないか。

いま、米国では民主、共和両勢力において対中警戒心が高まっている。米
外交に詳しい国家基本問題研究所副理事長の田久保忠衛氏が指摘した。

「米国の中国問題専門家、エリザベス・エコノミー氏が『中国の新革命』
と題して、フォーリン・アフェアーズ誌に書いています。習氏の中国を、
『自由主義的な世界秩序の中でリーダーシップを手にしようとしている非
自由主義国家である』と的確に分析し、国際秩序の恩恵を大いに受けなが
ら、その秩序を中国式に変え、自由主義、民主主義を押し潰そうとしてい
ると警告しています」

中国に厳しい目

エコノミー氏は、習氏の強権体制の下、あらゆる分野で共産党支配の苛烈
かつ非合法な、搾取、弾圧が進行中で、米国は中国との価値観の闘いの
真っ只中にあると強調する。

米国は本来の価値観を掲げ、同じ価値観を共有する日豪印、東南アジア諸
国、その他の発展途上国にそれを広げよと促している。
「もう一つ注目すべきことは、米国のリベラル派の筆頭であるカート・
キャンベル氏のような人物でさえも中国批判に転じたことです。彼はオバ
マ政権の、東アジア・太平洋担当の国務次官補で、非常に中国寄りの政策
を推進した人物です」

キャンベル氏は、これまで米政府は中国が米国のような開かれた国になる
と期待して助力してきたが、期待は裏切られた、もっと中国の現実を見て
厳しく対処すべきだという主張を同誌で展開している。

米国が全体として中国に厳しい目を向け始めたということだ。米中間経済
交流は余りに大規模なために、対中政策の基本を変えるのは容易ではない
が、変化は明らかに起きている。

5月27日には、米駆逐艦と巡洋艦が、中国とベトナムが領有権を争ってい
る南シナ海パラセル諸島の12海里内の海域で「航行の自由」作戦を実施し
た。同海域で、中国海軍と新たに武装警察部隊に編入された「海警」が初
めて合同パトロールを実施したことへの対抗措置だろう。

それに先立つ23日、米国防総省は環太平洋合同軍事演習(リムパック)へ
の中国軍の招待を取り消した。18日に中国空軍が同諸島のウッディー島
で、複数の爆撃機による南シナ海で初めての離着陸訓練を行ったことへの
対抗措置か。

中国の台湾への圧力を前に、トランプ政権は3月16日、台湾旅行法を成立
させ、米台政府高官の交流を可能にした。トランプ政権の対中認識は厳し
さを増しているのである。

シンガポールで、中国はいかなる手を用いてでも北朝鮮を支えることで、
朝鮮半島の支配権を握ろうとするだろう。それをトランプ氏はもはや許さ
ないのではないか。許さないように、最後の瞬間まで、トランプ氏に助言
するのが安倍首相の役割だ。
『週刊新潮』 2018年6月7日号 日本ルネッサンス 第805回

◆ワーファリンにご注意を

石岡 荘十


ワーファリンで危うく死ぬところだった。

その顛末を話す前にワーファリンについてどんな薬なのか、基礎的な“常識”を説明しておく。

ワーファリンは血液をさらさらにする代表的な薬だ。心筋梗塞や心臓の弁を人工の機械弁に置き換えた弁置換手術経験者は血液が固まって血栓を作りやすくなるため、これを防ぐべく処方される。

心臓病患者だけではなく慢性的な脳梗塞患者に対しても、血栓が脳に飛んで細い血管を詰まらせないように予防薬としても使われている。

もともとは、ネズミ取りの薬剤(殺鼠剤、商品名は、強力ラットライス、強力デスモア、ネズミランチdeコロリ)として使われていた。

ネズミにこの薬が入った餌を与えると、目の網膜内の内出血で視力が低下するため明るいところに出てくる。最終的には腹腔内の内出血で死亡するというわけだ。人間に対する治療薬として日本で使われ始めたのは30年以上前の1976年のことだった。

よく言われるように、薬はすべて毒物であり使い方、とくにその量を間違えると、死に至る。薬として有効かどうかは、微妙な量(専門的には治療域という)の調整が欠かせない。

ワーファリンは殺鼠剤に使われるくらいだから、とりわけ服用する量の調整が重要だとされている。

私は‘99年心臓にある4つの弁のうち血液の出口である大動脈弁を機械弁に置き換える手術を受けて以来、毎日朝食後、この薬を飲み続けて
いる。

私の場合、3ヶ月前までは毎日2錠(1mg×2)だったが、最近は加齢の影響もあってか、先月、血液検査の結果、効き目が落ちているとのことで、週3日は、プラス0.5mgの処方を受け、処方箋を病院の周辺に門前市をなす薬局の一つに出した。

エーザイが販売しているワーファリンは、0.5mg、1mg、5mgの3種類の錠剤だから、処方箋に従えば私の適量は

・月、水、金 1mg2錠と0.5mg1錠で合計2.5mg
・残る火、木、土、日は1mg2錠で2mg ということになる

ところが、である。

薬局で手渡された薬をその場で確認すると、0.5mgの錠剤は見当たらず、代わりに袋に入っていたのは5mgの錠剤だったのである。つまり、処方箋で指示された量の10倍の量のワーファリンを薬剤師が出したのだ。

ここでこのことに気づかず、服用したらどんなことになるか。殺鼠剤入りの餌を与えられたネズミになるところだったのだ。おお怖!   

「人は間違う動物」、医療の世界ではTo err is human.とよく言われるが、これは酷すぎる。まかり間違えば業務上過失致死に問われかねない過ちではないか。

いろいろな薬の中で、とりわけワーファリンに対する感受性は個体差が大きい。薬の量は大概、患者の体重によって決まるが、ワーファリンは同じ体重でも、年齢や食生活、疾患の種類などによって適量を厳密に調整する必要のある薬だとされ、同じ人でも、適量(治療域)は変わる。

このため、永年この薬を飲んでいる患者は、少なくとも月に1度は血液検査をして適量を決めなくてはならない。プロトロンビン時間測定(=PT-INR)という検査である。

昔は、トロンボテストという検査が一般的だったが、近年はPT-INRが推奨されている。その標準値は、1.6〜3.0(値が高いほど血が固まりにくい)が理想的である。(「1.8〜3.4 の間であれば、ワーファリンの投与量は変更しないほうがよい」という報告もある)。

先月の私のINRは1.9。適正だった。そこへ、5mgを飲んだりすれば、血液は真水のようにさらさら流れ、体内の臓器、とりわけ脳出血のおそれもあった。

ほとんどの薬は、薬品メーカーが製造、医師が処方し、薬剤師が調剤し、患者は何の疑問も抱かず指示通り服用する。つまり水源から河口まで関係者はすべて性善説に立っている。

ワーファリンの販売元エーザイに確認すると、担当者は、「こんな間違いは初めてのケースだ」という。しかし、どんな仕事もそうだが慣れてくると、そこに’to err’が起こる。メーカーは貴重な教訓とし、包装紙の色を変えるなどの防止策がないか検討するというが、同時に、ユーザーである患者もやばい薬については特に確認をする努力を心がけたいものである。



2018年06月11日

◆京都「山科の文化財」

渡邊好造


文化財保護法により指定された国重要文化財には、無形の芸能、技術等保持者と、有形の"建造物"と"美術工芸品"がある。

"建造物"は約2千4百(うち国宝215)、"美術工芸品"は約1万(同866)点が指定されている。"美術工芸品"は、絵画、彫刻、工芸品、書籍・典籍、古文書、考古資料、歴史資料など。

国宝は国指定重要文化財のうち世界文化の見地から価値があると文部科学大臣が指定したものである。国指定重要文化財全てを国宝としていたこともあったが、昭和50(1975)年文化財保護法が改定され、国宝の指定基準がより厳しく限定された。

こうした国宝や国指定重要文化財の他、全国都道府県市などでも独自に文化財を指定し保護の徹底を図っている。

今回は、京都市山科区に所属する ▪国指定(山科に国宝はない) ▪京都府指定(府指定) ▪京都市指定(市指定) ▪京都市登録(市登録)の文化財について所有者(社寺など)、所管別に紹介する。

実物をみれば目をみはるものばかりである。(参考・山科区役所資料)

1) 勧修寺(かじゅうじ)<所在地・勧修寺仁王堂町>
  ▪国指定=書院(建造物=建)、蓮花蒔絵経筥、紙本墨書仁王経良賁疏、金剛頂瑜伽経 巻第一第二(以上・美術工芸品=美)。
▪府指定=覚禅鈔<奈良国立博物館へ寄託>(美)。
  ▪市指定=宸殿、本堂(以上・建)、紙本墨画雲龍図<京都国立博物館へ寄託>、海北友松筆の六 曲屏風(以上・美)、庭園(名勝)。

(*奈良国立博物館所有の国宝・釈迦如来説法図(美)は別名”勧修寺繍帳”といわれる色鮮やかな刺繍帳で、もともと勧修寺のものだった。所有権移転の経緯、中国唐から渡来した、いや国産だなどなど不明な点が多い。)

2) 毘沙門堂<安朱稲荷山町>
  ▪国指定=注大般涅槃経 巻第十四、紙本墨書篆隷文体、紙本墨書洞院公定日記(以上、美)。
  ▪市指定=本堂、唐門と東西透塀2棟、仁王門、鐘楼、宸殿、使者の間と渡廊下1棟、玄関、勅使門、薬 医門(以上、建)、狩野益信筆の宸殿障壁画(美)。
3) 隨心院<小野御霊町>  
  ▪国指定=絹本著色愛染曼荼羅図、紙本著色蘭亭曲水図、木造阿弥陀如来像、木造金剛薩埵坐像、隨心院文書(以上、美)。境内(史跡=史)。

4) 安祥寺<御陵平林町>(境内へは立入禁止中)  
  ▪国指定=木造五智如来坐像<京都国立博物館へ寄託>(美)。
  ▪府指定=梵鐘(美)。
5) 歓喜光寺(かんぎこうじ)<大宅奥山田>  
  ▪府指定=本堂(建)
  ▪市指定=阿弥衣(美)。

6) 日向大神宮(ひむかいだいじんぐう)<日ノ岡一切経谷町>  
  ▪市登録=内宮本殿と外宮本殿それに各本殿の御門1棟東西板垣(以上、建)。大神宮周辺の環境保全地区(史)。
7) 當麻寺(たいまじ)<御陵鳥向町>  
  ▪府指定=丈六阿弥陀如来坐像(美)。
8) 山科神社<西野山岩ケ谷町>  
  ▪市指定=本殿と石燈籠(建)。

9) 八幡宮<勧修寺御所ノ内町>  
  ▪府指定=本殿と棟札10枚(建)。
10) 本圀寺(ほんこくじ・圀の字は水戸光圀の命名)<御陵大岩>  
  ▪国指定=経蔵(建)。
11) 厨子奥毘沙門天奉賛会<厨子奥若林町>  
  ▪市登録=木造毘沙門天立像(美)。

12) 京都市所管  
  ▪国指定=山科本願寺南殿跡<音羽伊勢宿町と西野阿芸沢町>、山科本願寺土塁跡<西野阿芸沢町 >、琵琶湖疎水<山科区他>、同疎水に架かる日本最初の鉄筋コンクリ-ト製の橋、そして山ノ谷、 同疎水第2トンネル東口と西口、同第3の東口<日の岡堤谷町、御陵黒岩>(以上、史)。
  ▪市登録=五条別れ道標<御陵中内町>、大宅一里塚<大宅甲ノ辻町>(以上、史)。二の講祭り山の神<白石神社小山地区>(無形民族文化財)。

13)山科区民個人<京都市歴史資料館へ寄託>  
  ▪市指定=福井家京枡座関係資料(江戸時代度量衡制度の資料)(美)。
  ▪市登録=荻野家文書(桃山から明治の書簡や資料を写真などでまとめたもの)(美)。

山科にはこれだけの指定文化財がある。これを機に、皆さんの周辺にどんな文化財があるのか是非見直してみてほしい。

なお、12)の国指定重要文化財・日本最初の鉄筋コンクリ-ト製の琵琶湖疎水の橋(明治36年=1903年完成)は、山の谷橋(同翌年)、同疎水トンネル第2、第3の出入口ともども、筆者宅から2〜3百メ-トルの距離にある。

橋はいずれも使用可だが取付けられた転落防止柵の不似合いな色・形はなんとかならなかったか。コンクリ-トの白い橋は真ん中で上に湾曲しているのに柵は水平、柵の色は茶、、。
   (完)

2018年06月10日

◆AI兵器開発、ドローン攻撃機

宮崎 正弘


平成30年(2018年)6月8日(金曜日)通巻第5720号 

AI兵器開発、ドローン攻撃機、ステルス戦闘機の開発競争で衝撃
  「中国はアメリカに追いつき、追い越しつつある」(ペンタゴン報告)

将棋の名人達がつぎつぎとAIに負けている。パターン認識において、
AIは疲れを知らず、健忘症もない。だから人間を超えることが出来るのだ。

このAIとビッグデータ技術を重ね合わせ、次世代兵器開発に血道を上げ
るのは、いうまでのないが、中国人民解放軍である。

昨秋11月、広東の「国際見本市」で展示されたCH5偵察機、ならびに無
人攻撃機ドローンは、関係者の度肝を抜くに十分なハイテク兵器の新型
だった。しかも中国製なのである。

5月初頭、習近平は人民解放軍を統括する中央軍事委員会において、兵器
開発の責任者であるエンジニア畑の幹部らを招き、秘密の会合を開催した
(アジアタイムズ、5月30日。ビル・ガーツ記者=ちなみにガーツは安全
保障関係のすっぱ抜きで有名なジャーナリストで前ワシントンタイムズの
辣腕記者)。

習近平と握手を交わしたのはリー・ディイ(音訳不明)中将らで、とくに
リーはAI兵器開発部門の責任者とされる。この軍事委員会での会合は殆ど
注目されなかったが、観察を続けてきたペンタゴンは「異様なスピードで
中国のAI兵器開発は飛躍的進歩を遂げている」と総括した。

AI、ビッグデータ、クラウドの開発に一貫した戦略的な整合性をもたせ、
無人攻撃機や戦車の無人化、ロボット兵士などの開発を急げと習近平は二
年前に軍に発破をかけていた。

この軍事委員会では、劉国治・少将が「AI兵器が近い将来、戦争のかた
ちを大きく変革するだろう」として、軍の科学技術部門を統括する。

楊衛(成都軍事アカデミー)はステルス戦闘機(J20)開発の責任者だった。

楊衛は「AI搭載の戦闘機は空中戦での優位を確保することになるだろ
う」と昨秋の兵器展示会で演説したという。

また深海を遊弋する無人の潜水艦にも攻撃力をもたせる技術の開発に余念
がない。


 ▲アメリカの優位性は崩れ始めている

すでにサイバー戦争においてアメリカの軍ネットワークも中国のハッカー
部隊の攻撃を受けているように、「将来、中国の巡航ミサイルにAIを搭
載した新型は(巡航中も)リアルタイムで地図や速度などを判断し、目的
を瞬時に変更したり出来るスグレモノになる」(中国軍兵器デザイナーの
王長慶)

ペンタゴンの専門家は口を揃えて、「AI技術によるインテリジェンスの
優位が中国側に確保されれば、ほかの如何なる分野で(アメリカが)優位
性を保とうとも忽ちにして軍事的意味を失う」と中国軍の異様な開発加速
の現実を脅威視している。

敵のモラルを分裂させ、士気を喪失させるのは第一撃でインテリジェンス
の優位を破壊することであり、電子戦争の第五世代ではベテラン兵士より
AI兵器が優れた機能を持ち、敵のデータベース破壊、通信網の寸断など
で、敵の指揮系統をずたずたに出来れば、戦争はどちらの勝利となるか、
火を見るよりも明らかだろう。

マティス国防長官は「こうした中国の開発状況を精密に分析し、これから
の米軍は、優先的に、この方面の準備を急がなければ、優位性が脅かされ
る」と2月の演説で警告している。

なぜ、アメリカの優位がいとも簡単に喪失したのかと言えば、シリコンバ
レーの私企業が、開発費用を掛けすぎて、新興のベンチャーキャピタルに
依存し、そのベンチャーキャピタルが、面妖な株主、多くは香港の実業家
を詐って、じつは中国軍の関係者であることによる。

すでに対米外交投資委員会(USFIC)の調査によれば、2013年から
2015「年の外国からの投資物件387件のうちの、74件が中国からだっ
た。全体2割である。


 ▲「ハイテクを無造作に売り渡す行為を、中国はバカかと嘲笑している
に違いない」

典型例はデラウエア州裁判所に会社更生法で訴えたシリコンバレーの
「Atop テクノロジー社」のケースだった。裁判の過程で、同社の買
収に乗り込んできたのは「アバター・インタグレィテッド・システム」と
いうわけの分からないファンド系企業、株主を調べると香港に登録されて
いた。

私企業のベンチャーは、連邦政府との契約関係がないため、裁判所の段階
で明るみにでるケースが多い。連邦政府や軍との契約がないからだ。

 「バラ園に侵入してきたブルドーザーのようだ」と譬喩するのはクリ
ス・ニコルソン(シリコンバレーでAI開発企業を創業した一人)は言
う。(サウスチャイナモーニングポスト、5月22日)

 「ハイテクを無造作に売り渡す行為を、中国はバカかと嘲笑しているに
違いない」と、議会で最も対中強硬派のシューマー上院議員が言う。
 この言葉でレーニンの譬喩を思い出した。「やつらは自分を吊すロープ
を売り渡している」とレーニンは西側の対ソ武器援助を嗤いながら受け
取った。

 「中国ば米国のハイテク企業買収を『投資の武器化』を目指して行って
いる」との譬喩は上院共和党院内総務のジョン・コ−ミャン(テキサツ
州)である。

 アメリカの対中警戒は本物なのである。