2018年08月26日

◆「浜辺の歌」であわや

渡部 亮次郎


20台でNHKの記者になり、初めは秋田県の大館で県北部をカバーしていた。

そうしたある日、米内沢(よないざわ)で作曲家、故成田為三の記念音楽
祭がある、と聞いた。まだテレビが地方まで普及していない時代。音楽祭
というのはどんなのか知らないがラジオにとってはうってつけの素材だろう。

ところが下宿で調べると録音テープが底をついているではないか。早速秋
田の局へ電話して、客車便で送ってもらう手配をした。夜9時ごろの奥羽
線下り急行で大館駅に到着することになった。

大学を出てまだ1年目とはいえ、既にいっぱしの酔客になっていた。

急行が到着するまで時間がある。一杯飲み屋で日本酒を飲み始めた。
銚子で2−3本は確かに飲んだ(酔った)。

時計を見て、自転車に跨った。坂道を下って駅を目指した。間もなくタク
シーにはねられて道端に吹っ飛んだ。新品の自転車はくちゃくちゃ。そこ
は坂下の十字路。確かに即死しても可笑しくなかったが、起き上がってみ
たら、額に小さな瘤ができているだけで亮次郎はちゃんと生きていた。

多分、酔っていたために無抵抗だったのがよかったのだろう。翌日は汽車
で米内沢をめざし、音楽祭の一部始終を録音して事無きを得たのであっ
た。デスクには秘匿した。老齢になって初めて人に語る真実である。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によれば、成田 為三
(なりた ためぞう)は1893(明治26)年12月15日―1945(昭和20)年10月
29日)秋田県出身の作曲家。

秋田県北秋田郡米内沢町(現在の北秋田市米内沢)の役場職員の息子とし
て生まれる。1909(明治42)年、鷹巣准教員準備場を卒業、秋田県師範に
入学。同校を卒業後鹿角郡毛馬内小学校で教鞭を1年間執る。

1914(大正3)年、上野にある東京音楽学校(現在の東京藝術大学)に入
学。在学中、ドイツから帰国したばかりだった在野の山田耕筰に教えを受
けた。1916年(大正5年)頃、『はまべ(浜辺の歌)』を作曲。

1917(大正6)年に同校を卒業。卒業後は九州の佐賀師範学校の義務教生
をつとめたが、作曲活動を続けるため東京市の赤坂小学校の訓導となる。
同時期に『赤い鳥』の主宰者鈴木三重吉と交流するようになり、同誌に多
くの作品を発表する。

1922(大正11)年にドイツに留学。留学中は当時ドイツ作曲界の元老と言
われるロベルト・カーンに師事、和声学、対位法、作曲法を学ぶ。

1926(大正15)年に帰国後、身に付けた対位法の技術をもとにした理論書
などを著すとともに、当時の日本にはなかった初等音楽教育での輪唱の普
及を提唱し、輪唱曲集なども発行した。

1928(昭和3)年に川村女学院講師、東洋音楽学校の講師も兼ねた。
1942(昭和17)年に国立(くにたち)音楽学校の教授となる。1944(昭和
19)年に空襲で自宅が罹災、米内沢の実兄宅に疎開する。生家は阿仁川へ
りにあったが1959(昭和34)年に護岸工事で無くなっている。

実家で1年の疎開生活を送った後、1945(昭和20)年10月28日に再び上京
するが、翌日脳溢血で53歳の生涯を閉じる。葬儀は玉川学園の講堂で行わ
れ、国立音楽学校と玉川学園の生徒によって「浜辺の歌」が捧げられた。

遺骨は故郷の竜淵寺に納骨された。故郷の米内沢には顕彰碑が建てられ、
「浜辺の歌音楽館」で為三の業績を紹介している。

「浜辺の歌」や「かなりや」など歌曲・童謡の作曲家、という印象が強い
が、多くの管弦楽曲やピアノ曲などを作曲している。しかし、ほとんどが
空襲で失われたこともあり、音楽理論に長けた本格的な作曲家であったこ
とはあまり知られていない。

愛弟子だった岡本敏明をはじめ研究者の調査では、作品数はこれまでに
300曲以上が確認されており、日本の音楽界で果たした役割の大きさが再
認識されつつある。2012・5・1


◆日本国憲法を「絶対善」とする不可思議

櫻井よしこ



「日本国憲法を「絶対善」とする不可思議 改憲で自由なくなるなら根
拠示すべきだ」

夏休みは、NHKのプロパガンダの季節か。そのように感じさせる戦争に
まつわる番組を、NHKは何本も放映していた。

日本は大東亜戦争で敗北したのである。辛い体験であるのは当然だが、
NHKの報じ方はあえて言えば「軍と政府が悪い」「国民が犠牲にされ
た」という相も変わらぬ短絡な構図だった。

そんな中、加地伸行氏の『マスコミ偽善者列伝 建て前を言いつのる
人々』(飛鳥新社)が痛快である。木っ端微塵にされた筆頭が澤地久枝氏
だ。加地氏は澤地氏を「日本国憲法の条文はこれこそ〈絶対善の本物〉と
反応してそう思い込み、その条文通りに生きるのが正しいとする観念論を
撒き散らしている」と断じた。

この的確な批判に、澤地氏はどのように反応するであろうか。

槍玉に挙げられたのはいわゆる新右翼と言われた一水会の鈴木邦男元顧問
も同様だ。寡聞にして知らなかったのだが、鈴木氏は平成26年3月1日の
「毎日新聞」、同7月18日の「朝日新聞」で「中国や韓国に意図的にけん
かを売って反感を導き出し、求心力を高めようと利用している感じがす
る」と、安倍政権批判を展開していたようだ。

加地氏は問う。「驚いた。逆ではないか。『中国や韓国に』ではなくて、
『中国や韓国が』ではないのか」と。

さて、鈴木氏はどう答えるか。

憲法について鈴木氏は、見直すべきと言いながら、「今の政府で改正すれ
ばもっともっと不自由になり、国民を縛る憲法になる」とも発言していた
そうだ。加地氏はこれを「左翼顔負けの護憲」と斬って捨て、もう一つ、
鈴木氏の次の言葉を紹介している。

「自由の無い自主憲法になるよりは自由のある押し付け憲法の方がいい」

「右翼ももう終わりである」と加地氏は書いたが、事はもっと深刻であろ
う。改憲すれば「自由がなくなる」、改憲しなければ「自由がある」と鈴
木氏は対比したが、根拠は何か。根拠を示さずにこの種の乱暴な主張を展
開するのでは、右翼以前に言論人としての存在が終わってしまうであろうに。

深い素養に基づき、加地氏の論は縦横無尽、大胆に展開される。批判の矢
に射抜かれるのは、社会保障を損得勘定で語る「有識者」の愚かさであ
り、一大ブームを巻き起こしたピケティ氏の格差批判でもある。

山崎正和氏の平成25年11月号の「潮」における発言は以下のようだったと
加地氏が示している。

「日本人にとって、選択できる道は一つしかない。たとえ個人的には身に
覚えがなくとも、全国民を挙げてかつての被害国に謝罪をつづけることで
ある」

山崎氏がどんな意見を述べようと言論の自由であるとしたうえで、加地氏
は、(1)「道は一つしかない」、(2)「全国民」、(3)「つづけるこ
とである」と主張するのは、「己れの立場という一つのありかたしか許さ
ない」ことで、俗に言うファシズムだと断じている。

人類の歴史における戦争を含む不幸を、私たちはそれまでのことはすべて
水に流すという国際社会の約束事としての講和条約などで乗り越えてき
た。その典型が日米関係だ。

加地氏は『論語』の「八佾(はちいつ)」から引いている。「成事(せい
じ)(できたこと)は説かず。遂事(すいじ)(すんだこと)は諫めず。
既往(過去)は咎めず」。

こうした人類の知惠を学ばず「個人的には身に覚えがなくとも」謝罪をつ
づけよとは、中・韓の回し者のような発言だとは、言い得ているではないか。

加地氏は著書の最後で、日本人のみならず東北アジアの人々にとって、一
神教を理解するのがなぜ難しいのかを語っている。一神教と多神教につい
ての氏の考えを、二度、三度と読んで、人の死を祖先とのつながりの中で
受容し、慰められ、生き続けるということの意味が深く私の実感と重なっ
た。読後感は「感謝」の一言だった。

『週刊ダイヤモンド』 2018年8月25日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1244
            

2018年08月25日

◆9条に自衛隊保有を明記せよ

加瀬 英明


日本を守るD 憲法改正で9条に自衛隊保有を明記せよ

8月に防衛省が28年ぶりに、自衛官の採用年齢の上限を、今年10月から6
歳引き上げて、32歳にすることを発表した。

少子化によって、応募者が減少しているからだというが、いま、はじまっ
たことではない。陸上自衛隊の定員が15万人と定められているのに、2万
人が欠員となっていて、13万人しかいない。

少子化のために、全国で定員に届かない大学が多いが、このような大学の
学生の質は当然低い。自衛隊員のなかには、国際的な水準からみて、優秀
な隊員が少なくないといっても、定員を満たすことができないために、全
体の質と士気が低い。

海上自衛隊も定員に満たないために、護衛艦が定員に満たない人数で、出
航している。

東日本大震災では、予備自衛官に招集をかけたが、1パーセント以下し
か、招集に応じなかった。即応予備自衛官も招集に応じた者は、半分以下
だった。

そのうえ、若者が自衛隊に応募しないために、自衛隊は世界のなかで、
もっとも高齢化した軍隊となっている。旧軍では陸軍の中隊長は20代だっ
たのに、陸上自衛隊では40代末か、50歳が珍しくない。自衛隊は世界一の
“おじん隊”となっている。

 予算がないので、必要な装備も不足している。北朝鮮のミサイルに対し
て、全国にPAC3ミサイル迎撃ミサイルが17ユニット(部隊)配備され
ているが、半径25キロあまりを守ることができる。

 東京には防衛省構内に1ユニットが展開していたが、米朝首脳会談の結
果、北朝鮮の脅威が遠ざかったと判断して、撤収された。PAC3は飛来す
るミサイルに対して、2発の迎撃ミサイルを発射して、空中で破壊する。

 PAC3は1ユニット当たり、16発のミサイルを持つことが定められてい
るものの、防衛省にあったユニットは、予算が不足しているために、8発
しかなかった。1発が4億円するが、全国のユニットのなかには、2発し
か持ってない部隊もある。

 これも、憲法に自衛隊の存在が書かれていないからだ。

 国民が国防意識を回復するために、大至急、憲法第9条に自衛隊を保有
することを、書き加えなければならない。これは全面的な改定ではないか
ら、「憲法改正」というより、「憲法修正」と呼ぶべきだ。

 平成があと8ヶ月あまりで終わるが、私は平成を憲法修正が果たせな
かったことによって、記憶したい。

◆「港珠奧大橋」は開通?

宮崎 正弘


平成30年(2018年)8月24日(金曜日)通巻第5805号 

 中国最大の橋梁「港珠奧大橋」は開通している筈だったが???
  トンネル工事未完成、人工島でテトラポット沈下、浸水

世紀の大工事、難工事。「夢の大橋」。

なにしろ海に橋が架かって香港―珠海―マカオ(55キロ)が繋がるのだ。習
近平が破顔大笑して喜びそうな壮大なプロジェクトは2011年に起工され、
とうの昔に開通式が行われている筈だった。

これは東京湾に橋を架けて海底をくぐり抜け、千葉と繋がったように、こ
れまでマカオや広東省の珠海、中山などの工業地帯へ行くにはフェリーし
かなかった。新しい「港珠奧大橋」は、香港のランタオ島(国際空港があ
る)から沖合に高架橋がのびて、人工島(海ほたる)からトンネル部分へ
入り、中国側の「人工島」までくぐり抜ける。

二つの人工島の広さは10万平方メートル。すでに建物も出来上がっている。

海底トンネルは長さ6・7キロ。最深部は47メートル、再び中国側の人工
島へあがって、珠海の高速道路に繋がる。つまり従来からある高速に繋が
るわけだからマカオからも車で香港へ行ける。香港のランタオ島から香港
の中心部まではおよそ一時間。

総工費76億4000万ドル(8400億円)と見積もられたが、ぶくぶくと追加費
用がかかっている。最終的に幾らになるのか。開通式が2度も延期され、
いつになるか分からない。

たぶん2020年開通が希望的観測だと香港の『東方日報』が予測している。
延期になろうが、大橋の維持費がかかる。一日14万5000ドル)1600万
円)。管理ならびにスタッフの給与である。

▲完成しても元は取れないだろう

想定された通行料は1台につき、250元(4250円)。予定されている公共
バスは運賃が100元(1700円)、これで元を取るには何十年かかるのだろ
うか?

なにしろ2016年開通予定が、いまのところ最速で2020年にずれこむ。東京
五輪の時期になる。3年の遅れの維持費だけでも175億円になる計算だ。

遅延理由は、第一にトンネル部分が完成していない。ほぼ完成しかけた時
期にメディアを招待したが、トンネル部分には入れてもらえず撮影も許可
されなかった。推測では海底トンネルに浸水があるという。

第二に人工島を固めたテトラポットの沈下が顕著に始まっていて、香港マ
スコミも写真入りで報じた。人工島全体が沈み、しかも一部区間に浸水が
ある。台風の備えが十分ではないことも判明した。

世界に手を広げたシルクロードは各地で頓挫、蹉跌し、中止、中断、延期
が続いているが、国内シルクロードの目玉も、こんな惨状という実相が判
明した。

いや、ひょっとして、各地のゴーストタウンのように、この大橋梁はゴー
スト・ブリッジになるかも。
       
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1779回】              
――「支那人は不可解の謎題也」・・・徳富(4)
徳富蘇峰『支那漫遊記』(民友社 大正7年)

            △

じつは徳富訪問時、極東ロシアにもロシア革命の影響が及び、革命派の労
兵会がハルピンの権力を掌握しつつあった。

ロシアの極東経営は日露戦争敗北以来、「正しく大頓挫をなせり。爾来
哈爾賓の如きも、全く其の經營を中止したりと云はざるも、其の氣勢を減
殺したるは勿論。而して今や大戰爭と、革命との影響を受けて、殆んど百
事荒廢の姿なしとせず、而して勞兵會の勢力は、此處にも波及し、今や市
の行政は、彼等の掌握する所となり」、東清鉄道の経営に口を差し挟み、
銀行、商店をはじめとして市内の経済はマヒ状態に陥っていた。

徳富が伊藤博文が凶弾に斃れたハルピン駅の現場に出向いて記念写真を
撮影しようとすると、「勞働者らしき二三の巨漢」がやって来て邪魔をする。
「彼等は全く鐵道に關係なき勞働者にして、革命以來、頓に其の勢力を
得、何時も鼻息荒く、何事にも容喙す。蓋し是れ革命の産物たる、新現象
の一と云へり」。兵士と士官の立場は逆転するなど、革命によって下克上
が常態化した。

「街頭に於て然り、料理店に於て然り、倶樂部に於て然り」。

極東の地がこのありさまだから、さぞや「本國の事想ふ可也」。混乱の
ハルピンの「治安は、我が日本の滿洲駐屯軍によりて、暗に保持せられ
つゝありと云ふも、不可なけむ。若し露國に識者あらば、之を感謝して可
也」。確かに「現時哈爾賓の政權は、殆んど勞兵會の實行委員の手中に、
歸しつゝある」が、「其の眞相は、噴火山頭にあるものと云ふも、過言」
ではない。

以上は旅の途次の「大正6年10月1日朝」に長春で記しているが、その
後に「大正7年3月26日」の日付で、「レニン等激徒政府」の権力掌握に
よりヨーロッパ・ロシアは「獨逸に賣られて、單獨講和を締結し」た。か
くて「西伯利の形勢、累卵の如く危し」。

こういった緊急状況下にあって「我が帝國は雄兵を、極東に擁し」ながら
動くことなく、「唯だ其の潰放四出の状態を傍觀しつゝあり。嗚呼是れ何
人の責任なる乎」と記す。

大正7年の我が国を振り返ってみると、やはり国内的には7月下旬から8月
初旬にかけて富山で起きた米騒動であり、対外的には8月12日にウラジオ
ストックへの上陸から始まるシベリア出兵――この2つの出来事がその後の
日本の針路に少なからざる影響を与えたことになるが、シベリア出兵に関
しては、徳富は早くから主張していたことになる。

ここで徳富の旅とは離れるが、ロマノフ王朝版一帯一路構想の要である東
清鉄道とハルピンの動きを、日本側から簡単に見ておきたい。

大正6(1917)年の10月革命で臨時政府が崩壊した結果、東清鉄道のロ
シア単独管理時代は終焉し、新たに日米中ソが入り乱れた国際競争の時代
に移り、ハルピンの管理体制も混沌とする。

なかでも東清鉄道経営を巡っては、日米の間での争いが熾烈さを増す。

日本は大正5(1916年)7月調印の第4次日露協約によって目指していた
ハルピンから南下する南部線の獲得は、ロマノフ王朝崩壊によって不可能
になった。

そこで中島正武少将、佐藤尚武ハルピン総領事、川上俊彦満鉄理事を中心
とする「ハルピン・グループ」は、東清鉄道のホルヴァート管理局長を押
し立てて反革命政権の樹立を画策する。

これにシベリア出兵が重なり、日本の東清鉄道への影響力は拡大した。か
くて日本政府は財政難に陥っていた東清鉄道への融資を持ち掛け、その見
返りとして?南部線の軌道を満鉄仕様に改軌するか、さもなくばハルピン
への直通列車の運行。?満鉄との価格競争の停止を求めるつもりであっ
た。だが、日本側の目論見は米中の反対によって実現しなかった。

その後、米の影響力拡大を望まない連合国各国によって東清鉄道は連合国
の共同管理下に置かれるが、3年半余に及んだシベリア出兵停止により共
同管理体制も終わった。

     

◆中国マネーが席巻する征服と略奪の網

櫻井よしこ



「中国マネーが席巻する征服と略奪の網 日本は負の流れ変える歴史的
使命がある 」

中国で異変が起きている。7月26日、北京の米大使館付近で爆発事件が発
生、中国当局は内蒙古自治区出身の26歳の男を拘束した。情報筋は、少数
民族に対する苛酷な監視の網をくぐってモンゴル系の青年が爆弾を所持し
て北京中心部の米大使館に近づくなど、あり得ないと強調する。

「産経新聞」の藤本欣也記者が7月17日に北京発で報じたのは、(1)7月
第2週、屋内外の習近平中国国家主席の写真やポスターの即刻撤去を命じ
る警察文書がインターネットで拡散した、(2)中国政府系のシンクタン
ク「社会科学院」で習氏の思想及び実績を研究するプロジェクトが中止さ
れた、(3)党機関紙「人民日報」一面から習氏の名前が消え始めたとい
う内容だった。

いずれも権力闘争の明確な兆候と見てよい変化である。

中国の報道では常に鋭い視点を見せる産経の矢板明夫記者も7月18日の紙
面で以下の点を報じた。(1)7月初め、江沢民、胡錦濤、朱鎔基、温家
宝らを含む党長老が連名で党中央に経済・外交政策の見直しを求める書簡
を出した、(2)長老たちは、党内にはいま個人崇拝や左派的急進主義な
どの問題がある、早急に改めよと要請した、(3)習氏の政治路線と距離
を置く李克強首相の存在感がにわかに高まった。

(2)の「個人崇拝」や「左派的急進主義」などの表現は、独裁者、毛沢
東の時代に逆戻りするかのような習氏を念頭に置いた警告であろう。長老
群の習氏に対する強い不満が読みとれる。

8月1日の産経で、中国河北省の北戴河から西見由章記者が報じた。北戴河
は毎夏、中国共産党の指導部や長老が一堂に会し、2週間ほどかけて人事
や重要政策を議論する場として知られる。会議に備えて、渤海に面した北
戴河一帯は数キロにわたって交通が遮断され厳重な警備体制が敷かれる
が、街中で見掛ける看板には、ごく一部を除いて習氏の名前がないという
のだ。

最も顕著なのが、「新時代の中国の特色ある社会主義思想の偉大な勝利を
勝ち取ろう」という大スローガンを書いた看板である。これは昨年10月の
第19回共産党大会で華々しく打ち上げた習氏の思想である。当然、「習近
平による」という枕言葉がつかなければならない。にも拘わらず、沿道沿
いの看板には習氏の名前はないのである。

また、街のどこにも習氏の肖像画や写真が1点もないそうだ。習氏の個人
独裁体制が批判されているのは明らかといえる。

北戴河で長老たちはどんな人事を要求するのか。学生時代の級友たちを重
要閣僚や側近につける習氏の「縁故政治」にストップをかけるのか、憲法
改正まで断行して、習氏は自らの終身主席制度への路線を敷いたが、それ
を阻止するのか。そこまでの力が長老たちにあるのかは不明だが、中国が
尋常ならざる混乱に陥る可能性もある。

習氏の強権政治が牽制されるにしても、警戒すべきは国際社会に対する中
国支配の網が、彼らの言う一帯一路構想の下で着々と進んでいることだ。
一帯一路構想で620億ドル(約6兆8200億円)という最大規模の融資を受け
たパキスタンは、そのプロジェクトのおよそ全てで債務の罠にはまりつつ
ある。過大借り入れで返済不能に陥るのはもはや避けられないだろう。7
月の選挙で誕生した新政府が、いつ世界銀行などに緊急援助を求めるかが
注目される中で、中国の債務の罠に捕捉された国々はスリランカのよう
に、港やダム、重要インフラ、広大な国土を99年間などの長期間、中国に
奪われてしまいかねない。

中国がどうなろうと、中国マネーによる征服と略奪の網は広がっている。
この負の流れを米欧諸国と共に変えていくのが日本の歴史的使命である。
奮起し、世界の秩序構築に貢献する責任を政治には自覚してほしい。
『週刊ダイヤモンド』2018年8月11・18日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1243 

◆健康百話・薬編 「水虫に勝つ!」・・・

大阪厚生年金病院 薬剤部


Q 再発させないためには?

A、薬を塗って治っても再び水虫になるというのは治療が不完全だったために、生き残った白癬菌が繁殖するからです。治ったと思って薬を塗るのをやめると、夏など足が蒸れる季節に水虫が再発します。

塗り薬を3〜4ヶ月間塗り続けると再発は減るようです。水虫は治らないとあきらめていませんか?一見正常に見えても皮膚の深部や爪に白癬菌は残っていることがよくあります。根気強く塗り薬を塗り続けてください。

 水虫は皮膚の浅いところで白癬菌という真菌(カビ)によって起こります。白癬菌は細胞壁という硬い殻に覆われているのでなかなか死にません。皮膚の浅いところに住み着いた白癬菌は適度に湿ったところの皮膚の古い角質を栄養にして育って生きているので塗り薬を塗るだけでなおります。

しかし、足の裏が硬くなったところの水虫や爪の水虫(爪白癬)は塗り薬がとどかないので飲み薬でなおします。塗り薬はドラッグストアで買えるものもありますが、飲み薬は病院で診療を受けないともらえません。

今までの水虫の塗り薬は1日に何回も塗らなければいけなかったのですが、最近は従来のものに比べ皮膚への浸透性がよくなり1日1回塗ればよいものが増えてきました。水虫になったら患部を清潔にし、薬を塗り、蒸れた靴を履かずに通気をよくしてください。

しばらくすると見た目には治ったように見えますが白癬菌はしぶといので途中でやめないで薬を塗り続けてください。塗り続ける目安は3〜4ヶ月間です。根気強さが水虫に勝つコツですね。(了)

2018年08月24日

◆「痴呆」から「認知症」へ

 向市 眞知


「ボケ」も「痴呆」もやはり不適切な呼び方だと思います。やはり「認知症」「認知障害」が、用語としては適切と思います。
 
<脳生理学によれば、脳の神経細胞は140億個というとんでもないたくさんの数だそうです。しかし、実際に働いているのは40億個だけ。脳は20歳頃に発達を終え、脳のピーク時の重量は1400gだそうです。20歳のピークを過ぎると、1日に10万個ずつ脳の神経細胞がダメになっていき、脳細胞の数は日に日に減少。
 
1日に10万個、1年365日で3650万個が失われていき、10年で3億6500万個が失われ、30年で約10億個が失われる計算になります。すなわち20歳で40億個働いていた脳の神経細胞が50歳で30億個になり、80歳で20億個になる。つまりピーク時の重量より100gも重量が減るのです。>

この話を知った時、物忘れがひどくなって当たり前と納得してしまいました。一生懸命考えても考える脳の量が減っているのだから、思い出せないし覚えられなくて当然と思ってしまいました。人の名前が出てこない、ふと用事を思いついて立ってみたものの「さて何をするつもりだったのか?」わからなくなってしまう。まさしく老化の入口なのでしょう。

しかし、「認知症」となるともっともっと記憶の障害が強くなるわけです。よく言われるように自分が朝ごはんを食べたことさえも忘れてしまう。とすれば、一瞬のうちに自分のしたことを忘れてしまうという、とてもつらい体験のなかで暮していることになります。
 
1週間前の記憶、昨日の記憶、今朝の記憶も忘れてしまう。自分のしたことを忘れて記憶していないということは、記憶喪失に近い感覚で、体験の積み重ねができないことになります。

すなわち毎日毎日新しい体験ばかりが自分に降りかかってくるという、緊張とストレスの連続の中で生きてゆかねばならないことになります。そんな認識の中で生きている高齢者の辛さをまずわかってあげてほしいと思います。

「認知症」の人が、それぞれの脳に残された能力の範囲で一生懸命に世界を認識しようとしている。私達からみればその世界が非現実的でまちがっている世界であっても、高齢者からすれば他に考えようのない現実なのです。それを頭から否定されたらどうしてよいかわからなくなって、混乱におちいってしまうことになります。
 
「認知症」の人への対応の奥義は「(相手を)説得するより(自分が)納得する」ことです。しかし、だんだんと世の中の決まりごとを超えた行動をとりはじめるのが、「認知症」や「精神科疾患」の特長です。客観的に見ればありえない話が患者さんを支配します。

もの取られ妄想とか、しっと妄想といわれる行動です。たとえば妻が「ここに置いてあった財布を知らないか?」と夫にたずねたとします。夫が「知らないよ。見なかったよ。」と答えます。

夫の答えに対して通常妻は「おかしいなあ、どこへ置いたのかなあ。」と自分の態度を修正するのです。しかし、「認知症」となると自分の態度が修正できません。夫の「知らない。見なかった」という答えに対して「おかしい?!私の財布をとったな?!かくしたな?!」と思い始めるのです。
 
今のところ「認知症」に対する効果的な治療は見つかっていません。まず周りの者が「認知症」を理解し、対処のしかたを身につけることが現実的な道です。そして、その対処の仕方を授けてくれるのが、医療や介護の専門家です。

「老人性認知症疾患センター」という相談機関があります。精神科のある総合病院などに設置されており、大阪全域の場合、9ヶ所の病院にあります。ここでは、「認知症」についての診断と、医療・福祉サービスの情報提供を行っています。まずしっかりと診断を受けないことには対処方法も立てられません。

介護保険をはじめ福祉サービスをうける場合も、入院や施設入所をする場合も、すべて医師の診断書がなければ利用できないことをご存知でしょうか。診療をうける必要を感じない「認知症」の本人を診察につれて行くことが最大の難関となります。もし高齢者に認知症状を疑われたら、本人の身体に関する訴えに注意しておきましょう。

「もの忘れがひどくなった」とか「夜ぐっすり眠れない」という症状は、案外本人も自覚しているものです。それを理由に「受診」をすすめてみましょう。最近は「精神科」という看板ではなく、「もの忘れ外来」という看板をあげている病院もふえてきています。

「おしっこの出が悪い」でも何でも構いません。ご本人の訴えをもとに医師に診てもらうチャンスを作り出してください。精神科でなくても内科系の開業医でも「認知症」の理解はあります。受診にこぎつければ、医師は検査や服薬をすすめてくれます。

「おかしい」と気付いた家族が、本人の診察の前か後かに医師へ本人の在宅の様子を伝えておけば医師は上手に診察をしてくれます。家族の方々も皆それぞれに生活があるのですから、その生活までもが脅かされる問題行動が続く場合には、施設の利用も考えていかざるを得な
いと思います。         (了)
             大阪厚生年金病院 ソーシャルワーカー

2018年08月23日

◆トランプには緻密な頭脳と胆力あり

加瀬 英明


“トランプ旋風”という、異常気象が吹き荒れて、全世界を翻弄している。

トランプ大統領は、一挙に、中国、イランの経済を締めあげる、勝負に出
た。中国、北朝鮮、イランは秘策を練っているにちがいない。

日本の頭上に重くのしかかる暗雲は、少しも晴れていない。

いったい、日本にこの荒波に耐える秘策が、あるのだろうか。それとも、
国民はこれまでの行きかたを改めずに、ひたすら平和を念じていさえすれ
ばよいと、信じているのだろうか。

トランプ大統領のやり口は、この人の育ちによって、説明される。

父親がニューヨークの成功した不動産業者だったから、青少年時代から地
元のマフィア(暴力団)と交際があった。トランプ青年はハーバード大学
のビズネス・スクールより格が高い、フィラデルフィアの名門校ペンシル
バニア大学大学院のワートン・スクールで、MBA(経営学修士号)を取
得したから、緻密な頭脳の持ち主だ。

私はフィラデルフィア大学に、講師として招かれたことがある。

トランプ大統領は、ただのボンボンのセレブではない。マフィアと付き
合ったことから、肚にドスを呑んで、微笑を浮べておだてながら、相手を
脅すことを身につけている。

欧米のマスコミは、トランプ大統領が奇矯、衝動的で、国際秩序を破壊し
ているといって、足蹴にするのに熱中して、快感に浸っている。だが、中
国を甘やかしてきたことが、中国を増長させ、イランに対して手を抜いて
いたことが、中東を危ふくしてきた。

欧米の“ぶりっ子”の大手マスコミも、良識ぶって、ことなかれ主義なのだ。

しかし、トランプ大統領をいくら罵ってみても、米国民のあいだで、トラ
ンプ大統領の人気は高い。トランプ大統領の世論調査の支持率が41%に
あがって、米国のどの政治家よりも高いし、米国の景気は“規制マニア”
だったオバマ大統領が行った規制を、次々と撤廃したために、上向く一方だ。

11月の中間選挙は、州による候補者の人本位だから、共和党が下院で僅差
で敗れるかもしれないが、いまのところ、次の大統領選挙におけるトラン
プ優位は、揺るぎがない。

対する民主党は、政策を打ち出す能力がなく、トランプ大統領をけなすこ
とだけに、血道をあげている。どこかの国のようではないか。


◆中国にも戦争請負企業

宮崎 正弘


平成30年(2018年)8月22日(水曜日)通巻第5801号   

 中国にも戦争請負企業。「戦争の犬たち」のビジネスが急膨張
  シルクロード沿線にセキュリティ不安拡がり、軍警察OBの大量雇用

米国の「ブラックウォーター」は、あまりにも悪名高い。ノースカロライ
ナ州に7000エーカーの社有地を持ち、射撃訓練から戦闘・武闘・対ゲリラ
訓練などを行って、世界各地の戦場に派遣される。

幹部は殆どが米海軍特殊訓練部隊(シールズ)出身者で、退役軍人や武器
の専門家が業務に携わっている。ロケット・ランチャーから独自の武装ヘ
リも保有する。言ってみれば、プライベート・アーミー。傭兵ともいう。
要するに兵員不足をかれら軍事のプロが補っているわけだ。

イラク戦争でも夥しいブラックウォーターの「社員」が派遣され、戦場で
大活躍したほか、日本でもミサイル防衛網の警備に百名が配置されている
という。

さて舞台は中国である。人民解放軍は235万人。習近平の粛軍削減計画の
実施によって、およそ30万人が解雇された。

現在退役軍人は5700万人。軍人恩給が微々たる額しか支給されず、不満が
昂じて各地で抗議集会やデモが起きている。

退役警察官も同じ境遇にある。

その中国人民解放軍ならびに警察のOBらが、中国版「ブラックウォー
ター」を設立し、米国の指導も仰ぎながら、めきめきと頭角を現してきた
(アジアタイムズ、8月20日)。

なんと軍事請負企業は5000社、雇用は500万人! 海外への派遣先はシル
クロード沿線の、衝突、紛争が絶えないパキスタン、イラク、スーダンな
どである。

最大手はCOSG(中国海外セキュリティ集団)で、2016年の実績でも
スーダン、パキスタン、トルコ、モザンビーク、カンボジア、マレーシ
ア、タイに派遣された。COSG幹部は「過去八年間で、派遣実績は60ヶ
国に及ぶ」と豪語している。

とくに中国人の誘拐、殺人事件が頻発するパキスタンには、およそ三万人
の中国人労働者がおり、3000キロにもおよぶ原油、ガスパイプラインと高
速道路、鉄道敷設工事の現場をパトロールしている。

もともとの需要は警備会社で、ガードマン業務から出発した。
銀行や夜間のビル管理、工場の警備など、日本の警備会社と変わらない業
務で急拡大し、習近平のシルクロード路線での海外進出に伴い、現在海外
進出中国企業およそ16000社のうち、危険地帯に投入されている現場など
を中国軍事請負企業から派遣された3200名が担っているという。

 中国のBRI(一帯一路)、もう一つのダークサイドである。

        
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◆中国マネーが席巻する征服と略奪の網

櫻井よしこ



「中国マネーが席巻する征服と略奪の網 日本は負の流れ変える歴史的
使命がある」

中国で異変が起きている。7月26日、北京の米大使館付近で爆発事件が発
生、中国当局は内蒙古自治区出身の26歳の男を拘束した。情報筋は、少数
民族に対する苛酷な監視の網をくぐってモンゴル系の青年が爆弾を所持し
て北京中心部の米大使館に近づくなど、あり得ないと強調する。

「産経新聞」の藤本欣也記者が7月17日に北京発で報じたのは、(1)7月
第2週、屋内外の習近平中国国家主席の写真やポスターの即刻撤去を命じ
る警察文書がインターネットで拡散した、(2)中国政府系のシンクタン
ク「社会科学院」で習氏の思想及び実績を研究するプロジェクトが中止さ
れた、(3)党機関紙「人民日報」一面から習氏の名前が消え始めたとい
う内容だった。

いずれも権力闘争の明確な兆候と見てよい変化である。

中国の報道では常に鋭い視点を見せる産経の矢板明夫記者も7月18日の紙
面で以下の点を報じた。(1)7月初め、江沢民、胡錦濤、朱鎔基、温家
宝らを含む党長老が連名で党中央に経済・外交政策の見直しを求める書簡
を出した、(2)長老たちは、党内にはいま個人崇拝や左派的急進主義な
どの問題がある、早急に改めよと要請した、(3)習氏の政治路線と距離
を置く李克強首相の存在感がにわかに高まった。

(2)の「個人崇拝」や「左派的急進主義」などの表現は、独裁者、毛沢
東の時代に逆戻りするかのような習氏を念頭に置いた警告であろう。長老
群の習氏に対する強い不満が読みとれる。

8月1日の産経で、中国河北省の北戴河から西見由章記者が報じた。北戴河
は毎夏、中国共産党の指導部や長老が一堂に会し、2週間ほどかけて人事
や重要政策を議論する場として知られる。会議に備えて、渤海に面した北
戴河一帯は数キロにわたって交通が遮断され厳重な警備体制が敷かれる
が、街中で見掛ける看板には、ごく一部を除いて習氏の名前がないという
のだ。

最も顕著なのが、「新時代の中国の特色ある社会主義思想の偉大な勝利を
勝ち取ろう」という大スローガンを書いた看板である。これは昨年10月の
第19回共産党大会で華々しく打ち上げた習氏の思想である。当然、「習近
平による」という枕言葉がつかなければならない。にも拘わらず、沿道沿
いの看板には習氏の名前はないのである。

また、街のどこにも習氏の肖像画や写真が1点もないそうだ。習氏の個人
独裁体制が批判されているのは明らかといえる。

北戴河で長老たちはどんな人事を要求するのか。学生時代の級友たちを重
要閣僚や側近につける習氏の「縁故政治」にストップをかけるのか、憲法
改正まで断行して、習氏は自らの終身主席制度への路線を敷いたが、それ
を阻止するのか。そこまでの力が長老たちにあるのかは不明だが、中国が
尋常ならざる混乱に陥る可能性もある。

習氏の強権政治が牽制されるにしても、警戒すべきは国際社会に対する中
国支配の網が、彼らの言う一帯一路構想の下で着々と進んでいることだ。
一帯一路構想で620億ドル(約6兆8200億円)という最大規模の融資を受け
たパキスタンは、そのプロジェクトのおよそ全てで債務の罠にはまりつつ
ある。

過大借り入れで返済不能に陥るのはもはや避けられないだろう。7月の選
挙で誕生した新政府が、いつ世界銀行などに緊急援助を求めるかが注目さ
れる中で、中国の債務の罠に捕捉された国々はスリランカのように、港や
ダム、重要インフラ、広大な国土を99年間などの長期間、中国に奪われて
しまいかねない。

中国がどうなろうと、中国マネーによる征服と略奪の網は広がっている。
この負の流れを米欧諸国と共に変えていくのが日本の歴史的使命である。
奮起し、世界の秩序構築に貢献する責任を政治には自覚してほしい。
『週刊ダイヤモンド』2018年8月11・18日号
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