2018年08月07日

◆立ち上がれ、日大マン!

馬場伯明


長崎県(島原半島)県立口加(こうか)高校の後輩である白倉康夫氏(67
歳)が本を書いた。書名「立ち上がれ 日大マン!」(人間の科学新社
1200円+税2018.7.31)。日本大学田中英壽理事長に真正面から対峙し日
大マンに「立ち上がれ!」と奮起を呼びかけた。

白倉康夫氏とは何者なのか? Wikipediaには次の記述がある。

《白倉康夫(しらくらやすお1951年 - )は、日本の民族主義者。敬天新聞
社・社主。【経歴】長崎県南島原市出身。18歳で上京し国士舘大学に入
学。在学中は柔道部に所属し、8年間在籍の後中退。総会屋の用心棒など
を経て、日本大学アメフト部(故)篠竹幹夫監督の秘書を10年間経験。
1993年10月1日、敬天新聞を創刊》。

《【(白倉氏)語録】私が恐喝するのは、要するに「今日を勝つ」ためで
す。明日を生き抜くためには、まず今日を勝たなければならない。そのた
めには「キョウカツ」が必要なんです(以下略)。(2007宮崎学「右翼の
言い分」p.84)》

白倉氏は「不条理極まる田中理事長の牙城に、天誅あれ!」と吠える。本
書にはTV、新聞等の一般マスコミが書くことができなかった目次が並ぶ。
彼らも事実を書きたかったけれども、会社等が、田中理事長側からの恫喝
や訴訟等を恐れ、そこに忖度し、表沙汰にさせなかったのではないかと、
私は邪推(!)する。

一般マスコミは「ひえじご(!)」である。白倉氏や私の故郷の島原半島
では、怖がり者(もん)・臆病者・ビビリ者のことを「ひえじご」と言
う。「じご」は「尻」「ひえ」は「冷え:冷たい」。他人を軽蔑するこの
言葉の印象がわかるかなあ(笑)。目次を記す。

第1章 災いを福に転ずる絶好のチャンスか(壊れる名門フェニックス―日
大の危機管理)

第2章 私的利益追求ビジネスとしての大学教育(教育行政最大の不条理
日本大学−田中英壽理事長のやりたい放題日大の暴君!−田中英壽理事長
が追徴金7億円で国税を口封じ?)

第3章 目に余る腐敗の実態(日本大学乗っ取りに最終王手−田中ちゃん
こ商店のシナリオ「田中ちゃんこ商店」の日大新理事会で大願成就!

第4章 歴史と伝統を誇る日本大学再生(私が日本大学に拘る訳−名将・
篠竹幹夫監督との出会い・日大再生のチャンス−教職員が立ち上がる時)

敬天新聞は本書を自らPRする。「日本大学の私物化を許すな!田中英壽理
事長vs敬天新聞 立ち上がれ 日大マン!−黒幕田中体制に挑戦−」
「知ってほしい!日大のタブー 問題の本質は“危険タックル”の深層にあり」

次は日大教職員OBの声である。「この著書は著者しか書けなかった事実で
す。我々はだらしないけれど。怖くて声をあげることができませんでし
た。全日大マンに読んで貰いたい真実です」。

この本がどれほど立派な本であるかは読めばわかる。白倉氏が、乾坤一
擲、満を持して世に問うた本である。彼は、10年以上真正面から田中理事
長を一貫して批判し続けてきたわが国唯一の人間であろう。その背中には
鋼(はがね)の太い柱が一本通っている。

最近、週刊文春などが、時流を眺めつつ田中理事長のことを書き始めてい
る。読売新聞なども追いかける。アメフト事件後、東京ドームの日大のCM
看板は外された。

白倉氏の姓には「白」の字があるが、心は「真っ赤」、有徳赤心の人であ
る。私は日大の田中英壽理事長との面識はない。田中理事長の言動の「情
報」はすべて2次情報である。だから、本誌読者には、(知り得た)伝聞
情報ではなく、白倉氏の本書を紹介するので、ぜひ直に読んでほしい。

私には日大の卒業生の身内もいる。いや、日大は日本最多の卒業生がいる
歴史と伝統の大学なのだ。しかし、先のアメフト事件から露呈した諸問題
とその深層の本質の所在は、白倉氏が本書で記すように、田中理事長とそ
の周辺に潜んでいるのであろう。

「不条理極まる田中理事長の牙城に、天誅あれ!」と白倉氏は吠える。
(故)篠竹幹夫監督に10年間仕えた身である。彼はここでやらなければ草
葉の陰の篠竹先生に申し訳が立たないのである。

日大の学生、教職員、卒業生数は日本一であるが、その「日大マン」のほ
とんどの人には何の咎もなく、むしろ彼らは被害者である。だから、白倉
氏の本書出版の目的と願いはただ一つ、書名どおり(さあ、今)「立ち上
がれ、日大マン!」なのである。
日本大学の根本的な改革と再生を心から祈念する。(了)


(追記)

Web-Siteには白倉康夫氏や敬天新聞社の過去の情報などがいろいろ載って
いる。私にはその真偽を確かめる術(すべ)もないが、本書の内容を理解
するための必須条件ではない。

本書が、誰かに、たとえ「蟷螂の斧」と揶揄されても、私の認識は違う。
白倉氏が日大の田中理事長体制に挑戦し「天誅あれ!」と咆える心意気
や、よし。あっぱれである。(2018.8.6千葉市在住)

◆トランプの独批判は即日本批判だ

                                     櫻井よしこ


この記事はヘルシンキでトランプ・プーチン会談が行われている日に書い
ている。米露首脳会談の結果はわからないが、プーチン大統領にとって開
催しただけで得るものが多く、トランプ大統領にとっては、「シンガポー
ル型首脳会談」になると見てよいだろう。トランプ氏の「大言壮語」の割
には米国が得るものは甚だ少ないという意味だ。

私たちは、米朝協議で米国が明らかに北朝鮮のペースに嵌まっていること
を認めないわけにはいかない。初の米朝首脳会談は、共同声明に北朝鮮の
CVID(完全で検証可能かつ不可逆的な核の解体)という大目標を明記
するものと期待されたが、CVID抜きの漠とした内容にとどまった。

7月上旬の3回目の訪朝で、米国の要求する「非核化」の内容を改めて突き
つけたポンペオ国務長官を、北朝鮮は「強盗」にたとえた。この大胆な非
難は、金正恩氏がトランプ氏はもはや軍事オプションなど取れないと、足
下を見抜いたからであろう。

プーチン氏との首脳会談でも、トランプ氏の準備不足とロシアの脅威に対
する認識の欠落が米国にとって決定的に不利な状況を生む可能性がある。
ベルギーでのNATO(北大西洋条約機構)首脳会議を終えて7月12日、
英国に到着したトランプ氏は米露首脳会談について記者団に語った。

「君たちお気に入りの質問をするさ。(選挙に)介入したかと聞くよ。彼
は否定するかもしれないが。自分が言えることは『やったのか、二度とす
るなよ』ということだ」

NATO首脳会議から英国訪問へ、その後の米露首脳会談に至る旅で、ト
ランプ氏は「一番たやすい(easy)のはプーチンとの会談かもしれな
い」と語っている。トランプ氏は自分の向き合う人物が、ソ連崩壊を「20
世紀最大の地政学的大惨事」と見做し、28年間ソビエト帝国建て直しを夢
見てきた男であることを知らないのか。米国を外敵ナンバーワンと位置づ
け、愛国心で国論を統一したいと願うプーチン氏は2007年2月、ミュンヘ
ンでこう述べている。

「アメリカはあらゆる分野で己の国境を踏み越えている。経済、政治、人
文の分野で他国に対して自己流のやり方を押しつけようとしている」

ロシアの存在感

13年9月には「ニューヨーク・タイムズ」に寄稿した。

「米国は己を他国とは異なるユニークもしくは『例外的な存在』と見做
し、『世界の警察官』としての役割を果たすとの大義名分を掲げ、かつ実
際に他国の内政に干渉している」(木村汎、『プーチン・内政的考察』藤
原書店)

実はプーチン氏の寄稿と同じ時期(13年9月10日)に、オバマ大統領(当
時)は内戦が激化したシリアについて、「軍事介入はしない」「アメリカ
は世界の警察ではない」と演説した。これは米大統領による近代稀な戦略
的大失敗とされ、ロシアによるシリア介入を招いた。国際社会は異なるイ
デオロギーや価値観を持った国々があらゆる野望と力でせめぎ合う場だ、
という現実から目を逸らし、平和を希求する話し合いで解決できると考え
たオバマ氏の浅慮だった。プーチン氏は間髪を入れず、この機を利用して
中東におけるロシアの存在感を飛躍的に高めた。

陰謀を巡らす指導者は陰謀を恐れる。プーチン氏はジョージアやウクライ
ナの「カラー革命」、アフリカ北部や中東諸国の「アラブの春」は米国の
経済的、軍事的支援があって初めて可能だった、ロシア国内での反プーチ
ン運動も米国の陰謀ゆえだと信じていると見られる。

決して人を信じず、妻にも心を打ちあけないが、狙いを定めた人物の取り
込みには巧みなプーチン氏を、プーチン研究の第一人者、木村汎氏は「人
誑し」と呼んだ。そのプーチン氏とトランプ氏の首脳会談で、米国が戦略
的後退に陥り、その結果、ヨーロッパ情勢が歴史的大激変に追い込まれる
可能性がある。そのとき、NATO諸国はどうなるか、日本にとって他人
事ではない。

7月11、12の両日、ベルギーで開かれたNATO首脳会議でトランプ氏が
迫った要求は、表面上の粗野とは別に、国際政治の常識に基づけば十分正
当なものだ。1949年創設のNATOは、旧ソ連の脅威から西側陣営を守る
ために結成された集団安全保障の枠組だ。これまでずっと米国が経費の
70%強を担ってきた。

トランプ氏は米国の負担が多すぎる、NATOの取り決めであるGDP比
2%の国防費という約束を守れと言っているのだ。メルケル独首相は
「我々がもっと努力しなければならないのは明らかだ」と述べ、NATO
諸国も、先にカナダで開かれた先進7か国首脳会議(G7)のような後味の
悪い結末だけは避けようと必死だった。

日本はどうするのか

トランプ氏とG7で激しくやり合ったカナダ首相のトルドー氏は、
NATO首脳会議初日に、イラク軍の軍事訓練強化のために、カナダ部隊
250人を新たに派遣する、今年後半には現地部隊を車輌整備、爆弾処理、
治安活動で指導する、と語った。

「カナダは向こう10年間で軍事予算70%増を目指す。それでもGDP2%
には届かないが……。冷戦真っ只中の時代同様、NATOはいまも非常に重
要な軍事同盟だ」

NATO軍は、今秋、500人の新部隊をイラクに派遣するとし、さらにア
フガニスタンでも、駐留米軍約1万5000人に対し、1万3000人だった部隊を
1万6000人に増やすと発表した。トランプ氏の「足りない、もっと増や
せ」という要求に追い立てられるNATO諸国の姿が見える。

それでもトランプ氏は言い放った。「4%だ!」と。だが、氏の悪態にも
非礼にもNATO諸国は反論できない。国防が当事国の責任であるのはト
ランプ氏の言うとおりだからだ。

NATO諸国で2%条項を守っているのは今年でようやく8か国になる見通
しだ。米国を筆頭に英国、ギリシャ、エストニア、ラトビア、リトアニ
ア、ポーランド、ルーマニアである。

エストニア以下バルト三国は旧ソ連の下で苛酷な歴史を生きた。ポーラン
ドとルーマニアも東欧圏の一員として息が詰まるようなソ連の支配下に
あった。小国の彼らは再びロシアの影響下には入りたくないのだ。

では、日本はどうするのか。ロシア、中国、北朝鮮、左翼政権の韓国。日
本周辺は核を持った恐ろしい国々が多い。だが、わが国の国防費は、トラ
ンプ氏に激しく非難されているドイツよりもずっと低い1%ぎりぎりだ。
遠くない将来、「シンゾー、いい加減にしろよ」と、トランプ氏は言わな
いだろうか。

日本は安全保障も拉致問題の解決も、およそ全面的にアメリカ頼りだ。国
防費はGDPの1%、憲法改正もできず、第2のNATO、第2のドイツ
にならないという保証はない。その時取り乱すより、いまから備えなく
て、日本の道はない。
『週刊新潮』 2018年7月26日号 日本ルネッサンス 第812回

2018年08月05日

◆ジャーナリスト3人が殺害された

宮崎 正弘


平成30年(2018年)8月3日(金曜日)弐 通巻第5778号  

 中央アフリカでロシア人ジャーナリスト3人が殺害された
  「反プーチンの記者」だったから「ロシアの謀略機関の仕業」?

中央アフリカは政情が安定せず、年中行事のようにクーデターが繰り返さ
れる。

記憶が鮮明なところでも、典型の悪は独裁体制を築いたボカサ「皇帝」だ
ろう。もともと中央アフリカはブランスの植民地。彼は仏蘭西軍兵士とし
てインドシナでも戦い、現地兵としては最高位の大尉に出世し、独立後の
参謀長だった。

1966年から76年まで、「中央アフリカ帝国」の皇帝だった、このポストを
旧宗主国のフランスも認めていた。ボカサの時代錯誤的な戴冠式は、ナポ
レオンの真似をして、豪華な王冠、着飾った儀仗兵、世界のマスコミが揶
揄した。

ボカサの独裁は10年で潰え、故国を追われ、一度は死刑も宣告されるが、
最後はフランスの軍人恩給で暮らし、寂しく死んだ。

以後も軍事クーデターが繰り返され、貧困から抜け出せず、首都のバング
イいがい、この国は中央政府の統治が及んでいない無法地帯だ。

第一に地域により部族がことなり、統一言語は事実上ないためフランス語
が公用語である。しかし教育を受けない多くの国民はフランス語を話せない

第二にイスラム過激派の存在であり、長年のキリスト教徒の対立が基盤に
ある。

第三に居住地を追われた難民が、国内に散在しているが、政治の貧困は、
この問題の解決を困難にしてきた。

第四は国連PKOだが、フランス軍が主体で、AU(アフリカ連合)が、
PKOを組織しているものの士気が低く、安全保障に殆ど寄与していない。

したがって中央アフリカは、世界でも最悪の危険地帯であり、安全など夢
物語、いたるところにギャング団が跋扈する。

中央アフリカのギャング団は地域による縄張りがあって、14も組織が存在
しており、主としてダイヤモンドと金の密輸に手を染めている。

中央アフリカ政府軍は、フランスで軍事訓練を受け、機関銃などで武装し
ているが、近年は多くの武器が中国とロシアが供給源となってきた。ちな
みに日本は大使館も隣国へ移している。

このような治安状態の国に、その準備もなく、情報もないロシア人ジャー
ナリスト3名が入ったのである。

飛んで火に入る夏の虫、ではないか。

しかもかれらは「ミハイル・ホドルコフスキー調査管理センター」から派
遣され、ドキュメント・フィルムを編集し、ロシア軍と中央アフリカ政府
との癒着を取材する意図を抱いていたらしい。根っからの反プーチン派で
あることも報じられている。


 ▲背後で暗躍した胡散臭い組織や集団

さて、ミハイル・ホドルコフスキー?
 
詐欺もどき手法で旧国有企業をあらっぽく買収して成り上がり、石油大手
「ユコス」の経営者にしてロシア最大富豪になりあがった人物である。国
営ルークオイルと肩を並べるほどの大企業に成長したユコスは、大型合併
後、その権益をエクソンモービルに売却する計画も進んでいた。

野党に献金を始めたホドルコフスキーは、大々的な反プーチンの政治運動
を展開した。

2003年には「ロシア開放財団」を設立し、ロスチャイルドとキッシン
ジャーを顧問に迎えていた。

こうして激しくクレムリンと衝突したあげく、2003年に脱税、マネーロン
ダリングなどの容儀で逮捕され、懲役九年、シベリアのチタ刑務所に収監
されていた。

この間、プーチンはさっさとユコス解体に手をつけ、同じ石油企業と合併
させて、ロフネフツを誕生させた。

このロフネフツこそ、プーチン人脈の利権でもある。

2013年になって、ドイツが仲介し、プーチンがホドルコフスキーの恩赦を
発表、すぐにドイツへ出国した。

その後、ロンドンに移住し、最近は反プーチン政治運動の中心のひとりと
して海外から指令を出しているとも言われる。

さてロシア人ジャーナリスト殺害事件は、2018年7月31日、首都バングイ
から30キロ離れた場所でおこった。

ギャング団に射殺され高価なカメラ、フィルムならびに現金が盗まれた。
運転手は生きており、彼を雇用したのは密告者(つまり情報提供者)だった。

どうやら最初から仕組まれたプロットが存在しているようである。

反プーチンのジャーナリストだからと言って短絡的にロシアの謀略機関の
仕業とは断言できないのではないか。しかし、これ以上のデータを持ち合
わせていないので筆者は、この先の推理は行わない。
      
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
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 明治、大正、昭和、平成の4代を生きた逓信省員は樺太で何を見たか
  北海道の鰊漁がすたれ、青年は大志を抱いて樺太へ渡った

  ♪
佐藤守『ある樺太庁電信官の回想』(青林堂)
@@@@@@@@@@@@@@@@

この物語は、フィクションではなく実話である。発見された日誌をほぼ忠
実に復刻したものだが、平凡な通信員と思いきや、まことに波瀾万丈の人
生が展開されている。

しかし、ドラマになるほどの激変要素は少なく、見方を変えて謂えば、あ
まりにもきまじめな逓信公務員の前半人生の記録である。とはいえ、在職
中に五十数カ所の勤務先転勤という変動する時代を生きた。

主人公の佐藤芳次郎(文中では内藤姓)は、明治時代に、北海道の日本海
側、ニシンが豊漁を極めた時代に生まれた。ところが鰊漁ブームが去る
と、コミュニテイィは貧困に喘ぎ、志を胸に秘めて樺太は渡った。

ロシアとの間に千島樺太交換条約が締結され、南樺太に日本の統治が確定
した時代だった。

開拓移民が奨励され、南樺太にくまなく鉄道が敷かれ、あちこちに立派な
ビル、官公庁が建設され、神社も造られた。電報の需要が高く、あちこち
に逓信省の電報電話、郵便局が設置され、曠野、悪路、大雪のなかを馬橇
で走った。ヒグマとも出会い、電報配達は難儀を極めた。

じつは評者(宮崎)も、南樺太を鉄道で一周した経験がある。

十数年前になるが、JR北海道が主催した珍しいツアーを聞きつけ、出発
地の稚内へ飛んだ。そこからはロシアのフェリーで渡った。

日本時代に豊原といったユジノサハリンスクでは、お城のような庁舎(い
まはロシアの官庁)、多くの日本時代の建物は、神社を含めてそのまま
残っていた。王子製紙の社宅も残っていた。

日本時代、樺太には39万の邦人が暮らしていたのだ。

その苦労話を基軸に主人公の前半の人生が語られる。当時の営みを樺太を
舞台に活き活きと描かれているが、時代背景にシベリア出兵、第1次世界
大戦、通州事件、上海事件、5・15、2・26がおこった。

なるほど、この日記からも、かの「通州事件」が樺太にまでちゃんと報道
されていたことが分かる。そういう逸話が豊饒に挿入されている。

とりわけ、瞠目したエピソードは、女優の岡田嘉子事件である。作者の在
職中の事件だった。

 「愛の逃避行」などと日本中が騒いだ。岡田嘉子が共産主義者の杉本某を
伴って、樺太国境からロシアへ亡命しようとした事件だ。

しかし現場にいた人から言わせれば、真相は「愛の逃避行」などという
空々しいことではなく、当時、樺太で語られた事件のあらましは次のよう
であったと言うのである。

「映画界にも進出した女優・岡田嘉子が、内縁関係にあった山田(隆弥)
を捨てて映画の相手役竹内良一と失踪して結婚。その後更に共産党員であ
る杉本良吉と恋に落ち、杉本が軍隊に召集されることを怖れた2人が、ソ
連側に」亡命しようとした。

 奇しくも樺太庁特高課長が連絡船のなかで岡田と出会う。岡田は「国境
警備警官の慰問だ」などと嘘をついて特高課長の歓心を買った。

ころりと岡田の媚態に騙されて、行く先の警察署長に電話し、「唯々諾々
と歓待にこれ努めた挙句、馬橇や宿屋の手配までも直接各派出所あてに指
示をした」ほど、すっかり警戒心を失わせていたのである。

「莫迦な大将、敵より怖い」の言葉通り、すべての善意の人々は岡田にこ
ろりと騙されていた。

さはさりながら岡田はしぶとくソ連時代を生き延び、日本にも一度里帰り
を果たすが、真相を語らないままに現世と訣別した。

 さていったい何故、佐藤守閣下が本書を監修されてのかと訝しんだのだ
が、なんと、著者の佐藤芳次郎氏は、佐藤閣下の父上なのだった。

   

◆日本は学ぶべきである

加瀬 英明


スウェーデンの国防の備えに日本は学ぶべきである

北ヨーロッパのスウェーデンといえば、読者諸賢の多くが「スモーガス
ボード」という、魚貝類が中心となったスウェーデン料理を、知っていら
れることだろう。さまざまな料理が並び、客が好むだけ取る、日本で「バ
イキング料理」の語源となっている。

スウェーデンはフィンランドとノルウェーと国境を接しており、親日国家
で、人口が1012万人、国土は日本の1.2倍ある。平和国家だ。

 今年5月21日に、スウェーデン政府は『戦争、あるいは危機において、
何をすべきか』と題する小冊子を、スウェーデン国民に配布した。

この小冊子は、「敵国による侵略を蒙った場合に、侵略者に対して、国民
全員があらゆる手段を講じて抵抗する」ことを、求めている。

 政府の民間防衛局によって発行されたものだが、「もし、わが国が侵略
された場合に、国民は最後まで戦い、絶対に降伏しない。抵抗をやめるよ
うにという、情報が流れたとしても、虚偽のものであるから、いっさい信
じてはならない」と、述べている。

ヨーロッパでは、4年前にプーチン大統領のロシアが、武力によってウク
ライナからクリミア半島を奪取し、ウクライナ東部の内戦に介入している
ために、ロシアがさらに侵攻するのではないか、緊張がたかまっている。

スウェーデン対岸のバルト海に面する、冷戦後にソ連から独立した3つの
小国のエストニア、ラトビア、リトアニアを守るために、米英独、カナダ
軍部隊が進駐している。

なぜ、スウェーデンが危機感に駆られているのだろうか?

スウェーデンとロシアの間には、フィンランドがある。

先のスウェーデン政府の小冊子は序文で、次のように述べている。

「わが国では長期間にわたって、戦争に対する備えが、限られたものでし
かなかった。

しかし、わが国を取り巻く世界情勢が大きく変化しつつあることから、政
府はわが国の防衛体制を強化すべきことを、決定した。

平時における防衛態勢を確固としたものとすることが、戦時において国防
を強靭化することになる」

政府は侵攻を蒙った場合に、若者、壮年の男子は銃を執って戦い、婦人、
高齢者は、負傷者の看護、補給などの後方支援に当たることを、期待して
いる。

もっとも、スウェーデンはロシアがすぐに侵攻してくることを、予想して
いない。10年後を、見据えているのだ。アメリカが「アメリカ・ファー
スト」の掛け声のもとで、米軍をヨーロッパから引き揚げてしまう可能性
に備えているのだ。

それに対して、日本はどうだろうか?

日本を取り巻く状況が、重大な危機を孕むようになっているというのに、
憲法に自衛隊の存在を書き込むべきか、不毛な論議に、国論を二分して熱
中している。

自衛隊は「憲法解釈」による、「専守防衛」の鎖によって縛られているた
めに、敵の基地を攻撃する能力がまったくなく、敵が本土を侵すまで、戦
うことを禁じられている。

中国が虎視眈眈(たんたん)と、尖閣諸島だけでなく沖縄全体を奪おうと
狙っているのに、現行憲法の呪いによって、日本独力で守ることができな
い。脆い国は、侵略を招く。

 一刻も早く、憲法改正が求められる。

◆人口学から見て非常に脆弱な中国

櫻井よしこ


「人口学から見て非常に脆弱な中国 日本の真の国難も同様だ」

シンクタンク「国家基本問題研究所」は今年5月、創立10周年国際セミ
ナーにフランスの歴史人口学者で家族人類学者のエマニュエル・トッド氏
を招いた。氏は国家や国際関係を経済や軍事を軸とした戦略論ではなく、
人口や家族形態の変化を軸に論ずることで知られる。

たとえば博士号を取得した若き研究者の時代、旧ソ連の乳幼児の死亡率の
高さから、同国の崩壊を予測した。歴史の展開を言い当てた氏は25歳にし
て国際的な評価を確立した。

人口学から見た場合、少子高齢化の日本は脆弱国家そのものだ。トッド氏
はわが国に鋭い警告を発し続けるが、もうひとつ、氏が非常に脆弱な大国
とするのが中国だ。彼らの危機は人口動態にとどまらず、教育、国民の流
出にあるという。

トッド氏の描く中国の危機の大構図を理解するには、近藤大介氏の『未来
の中国年表 超高齢大国でこれから起こること』(講談社現代新書)を読
むのがよい。近藤氏は毎年数回中国を訪れ、人々や社会の様子を定点観測
してきた。

1982年から2015年まで、30年余の「一人っ子政策」の結果、現在30代以下
の中国人は基本的に皆一人っ子である。彼らは「小皇帝」「小公主(皇帝
の小さな姫君)」などと呼ばれ、「四二一家庭(四人の祖父母と二人の親
が一人の子供に集中して甘やかす)」の中で育つ。彼らの一番の問題が
「肥満」だそうだ。我が儘一杯の肥満児の大軍がひしめく社会はどこから
見ても不健全だ。

中国政府は少子高齢化に陥った日本の轍を踏むまいと、3年前に正式に二
人っ子政策に転換した。だが、多くの中国の若い世代はもはや二人の子供
など持ちたくないと考える。理由のひとつが年老いた両親と子供を同時に
養う事態に直面することだそうだ。保育園、幼稚園、小児科病院など施設
が整っていないというのも理由である。一人っ子には一人っ子の概念が定
着しており、その他のケースを想像しにくい心理の壁もあるという。

一人っ子政策は中国の労働市場や高齢化の加速に深刻な問題を生じさせた
だけでなく、近隣諸国や世界に大変な犠牲を強いつつある。

一人しか子供を持てないなら、男児優先だという伝統的価値観ゆえに、生
まれてくる子供の数の男女差が異常に大きい。人間の子供はどの国でも男
の赤ちゃんの数が女の赤ちゃんよりも多い。比率は大体、女児を100とす
ると男児が102から107の間を正常値と見る。ところが中国では120を超え
た年が近年で三度もあり、3000万人もの結婚適齢期の男性が結婚相手を見
つけられないでいる。

彼らはどうするのか。近藤氏は(1)国際結婚、(2)同性愛、(3)空
巣青年の道があるという。

(1)は、中国農村部ではアフリカの女性たちとの結婚がすでに大流行だ
そうだ。彼女らが中国に流入する事例もあるが、逆に中国人労働者がアフ
リカで結婚するケースも多い。結果、漢民族がアフリカ諸国を席巻するの
である。
 
これとは別に、私は中国の少数民族、ウイグル人女性が適齢期になると故
郷から遠く離れた沿海部に連れて行かれ、安い賃金で働かされ、最終的に
漢人男性との結婚を強いられる実例を多く聞いてきた。その結果、ウイグ
ル人男性は結婚相手を奪われ、子供を持てず民族浄化が進行中だ。

(2)は彼らの文明、選択である。
 
(3)の空巣青年とは親のスネをかじって引きこもり、恋も旅もスマホ
体験で満足する人々だ。彼らはずっと一人でいる可能性が高い。社会福祉
制度の整っていない段階で習近平政権はこれらの問題に対処できるとは思
えない。
 
だが、日本も危うい。安倍晋三首相の言うように、少子化こそは日本の真
の国難であることを知り対処したい。

『週刊ダイヤモンド』 2018年8月4日号 
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1242

◆木津川だより 7世紀の木津川流域

白井 繁夫


7世紀になると朝鮮半島の3国(百済.新羅.高句麗)は再び戦乱の時代となりました。
隋が(612年)110万余の兵力で高句麗遠征を始め614年まで続きました。

その後、隋から唐(618)になり、太宗.高宗の時代、再び高句麗出兵(644年から3度)が実行されました。唐と同盟を結んだ新羅は、百済も攻めて、660年に百済を滅ぼし、更に、唐.新羅連合軍は668年に懸案の高句麗をも滅亡させたのです。

隋.唐の侵略戦争から逃れて、我国に渡来した人達が「木津川流域」にも住むようになりました。倭国は、百済と伝統的に親密な関係があったので、660年までに救援軍を出兵すべきだったのでしょう。その間の大和朝廷の状況をいま少し振り返って見ようと思います。

6世紀末頃の蘇我氏は皇族との婚姻を通じて勢力を拡大し、蘇我馬子は587年政敵であり対立する非仏派の大豪族物部守屋を倒して絶大な権勢を得ました。

593年には日本史上、初の女帝:推古天皇を擁立し、政治の補佐役に甥の厩戸皇子(聖徳太子)を起用して皇太子にしました。

聖徳太子は蘇我馬子と協調して、仏教を重視し、天皇を中心とする中央集権国家を目指し、
冠位十二階や十七条憲法を制定しました。

『日本書紀』によると、崇峻天皇元年(588)、百済から倭国へ仏舎利や僧6名とともに技術者「寺工(てらたくみ)2名、鑢盤(ろばん:仏塔の相輪の部分)博士1名、瓦博士4名、画工1名」派遣されました。

法興寺(飛鳥寺)は、馬子が開基(596年)した蘇我氏の氏寺です。本尊の釈迦如来坐像(飛鳥大仏)は、6世紀作の重要文化財です。588年に百済からきた技術者「寺工や瓦博士など」によって造営された日本最古の本格的な仏教寺院であったと云われています。

都が飛鳥から平城京への遷都(710)に伴い、法興寺(飛鳥寺)は元興寺(がんごうじ)として718年に奈良市へ移りました。(現在の元興寺極楽坊本堂と禅室の屋根の一部に現在も1400年前の創建当時の「古瓦」が混じっていると云われています。)

推古34年(626)蘇我馬子が没し、蘇我蝦夷(えみし)が本宗家を継いでから17年後、皇極2年(643)11月、蘇我入鹿(いるか)が、斑鳩(いかるが)の上宮王家を襲撃して一族を悉く滅亡させたのです。蘇我本家の専横著しい行為に対して大反発が起りました。(上宮王家:聖徳太子の遺子、有力な皇位継承資格者:山背大兄王の一族)

2年後の皇極4年6月12日、中大兄皇子(後の天智天皇)と中臣鎌子(後の藤原鎌足)等により、入鹿は飛鳥板蓋宮(あすかいたぶきのみや)において謀殺されました。(乙巳「イッシ」の変)、翌日(6月13日)父の蘇我蝦夷も自害し、4代続いた蘇我氏本宗家が滅し、6月14日、皇極天皇は軽皇子(孝徳天皇)に譲位しました。

孝徳2年(646)正月に改新の詔を発して、政治改革に乗り出し、宮(首都)を飛鳥から難波宮(大阪市中央区)へ移し、飛鳥の豪族中心政治を天皇中心の中央集権国家に変え、
孝徳天皇は皇太子を中大兄皇子(天智天皇)とする体制を採りました。大化の改新です。
改新の詔の内容:公地公民制、令制国、税(租.庸.調)などの内容説明は省略します。

その後、孝徳天皇と皇太子(中大兄皇子)との政策の相違があり、皇太子が難波長柄豊碕宮から飛鳥へ遷るとき、皇祖母尊(皇極天皇)と皇后、皇弟(大海人皇子)や、臣下の大半を連れて大和に赴きました。(翌年:654年孝徳天皇は病により崩御されました。)

36代孝徳天皇が次代天皇を定めず逝去したため、35代皇極天皇が重祚(ちょうそ:1度退位した君子が再び位に就くこと:再祚)して、37代斉明天皇(655年)となり、皇太子は中大兄皇子(天智天皇)に決まったのです。

斉明天皇時代に百済から救援の要請もありましたが、北方征伐が優先され、658年〜660年に蝦夷と粛慎(しゅくしん:狩猟民族)を討伐したのです。

その後、660年に百済敗北後の百済遺民の百済復興運動の要請に応じて、斉明天皇は百済救援軍の派遣を決定しました。

661年5月、第1派1万余の兵員九州筑紫に集結しますが、斉明天皇急死して仕舞ったのです。

そこで、朴市秦造田来津(いちはたのみやつこたくつ)を司令官に任命し、3派にわけて663年までに約4万2千人、倭船約8百隻派遣して、百済遺民約5千人との連合軍が朝鮮半島の白村江(はくすきえ:はくそんこう:現在の錦江河口付近)で唐.新羅連合軍(唐約13万人、新羅約5万人、唐船約170隻)と663年(天智2年)8月戦いました。白村江の戦いです。

倭国兵約1万人戦死、船約4百隻火災破損の大敗を喫した。倭国水軍は残った船に倭国兵や百済遺民兵の倭国希望者も乗船して、新羅連合軍に追われながらやっとの思いで帰国しました。

その後、668年には首都の平壌城が唐軍により攻略され高句麗は滅亡しました。唐にとっては北の勢力である突厥に続き高句麗にも勝利し、北方の脅威を排除でき、675年に唐が撤収して、新羅により朝鮮半島が統一されました。

天智天皇は「白村江の戦い」に敗れた結果、朝鮮半島の権益を失い、大陸の強大な唐.新羅連合軍の報復と侵攻に防備した国家体制の整備と国内に防衛網を早急に築くことに傾注しました。

北九州の太宰府に水城(みずき)砦、瀬戸内や西日本各地(長門城、屋島城など)に古代山城の防衛砦を築き、九州の沿岸には防人(さきもり)を配備したのです。

667年には都を内陸の近江大津(近江京)へ移し、668年即位して「近江朝廷之令」(近江令:おうみりょう)を発しました。律令制導入の先駆的法令です。

天智天皇10年(671)に新しく大友皇子を太政大臣として、蘇我赤兄.中巨金を左右大臣、蘇我果安.巨勢人.紀大人を御史大夫とする官職が制定されました。しかし、大海人皇子(後の天武天皇)は圧迫感を感じて、11月に吉野に退隠することにしたのです。

木津川流域を挟んで難波(淀川)、飛鳥.大和(木津川)、近江(宇治川)が話題となる
「壬申の乱」は日本の古代史最大の内乱(戦争)で、地方の豪族を味方につけた反乱者(皇弟)が勝利する歴史となります。
       
(郷土愛好家)

2018年08月04日

◆歴史の流れを見誤ってはならない

加瀬 英明


トランプ大統領がEU(ヨーロッパ連合)、カナダ、メキシコ、日本、中
国などを対象として、鉄鋼や、アルミ製品に高関税を課することを発表し
てから、世界貿易体制を破壊するものだとか、奇矯な決定だという批判が
巻き起こっている。

私はこの決定は、妥当なものであるだけでなく、もっと深い意味があると
思う。

大手新聞が「トランプ劇場」の一つだと報じているが、先を見透せないの
だろうか。

今回のトランプ政権による措置は、とくに中国を狙い撃ちしている。

アメリカは7月6日から、340億ドル(約3兆7000億円)にのぼる中国製
品に高関税を適用したが、さらに議会公聴会によって、160億ドル相当の
中国製品の関税をあげる当否が、はかられている。

3月に、トランプ大統領はムニューシン財務長官に、アメリカの安全保障
にとって重要なテクノロジーの分野において、中国による投資を禁じるよ
うに命じている。

 中国が自由貿易体制の最大の利得者

習近平主席がたじろぎながら、アメリカに対して報復すると表明すると、
トランプ大統領はアメリカの特別通商代表に、その場合、2000億ドル
相当にのぼる中国製品に、1律10ドルの関税を課することを検討するよう
に、指示している。

中国は経済をアメリカ市場への輸出に依存しているために、アメリカとの
通商摩擦を何とか軽減しようと、努めている。そのうえ、中国国内にある
アメリカ企業が中国経済を支えていることから、活動を妨げることができ
ない。

今回のトランプ大統領の決定が、暴挙だといって非難する者は、通商が互
恵主義にもとづくとルールによるべきで、自由な交易をできるだけ妨げて
はならないと、主張している。自由貿易は参加国を潤すことによって、世
界秩序を安定させていると、唱えている。

その結果は、どうだったのだろうか?

21世紀の華夷秩序を目指す中国

この25年を振り返ると、現行の自由貿易体制は、巨大な専制国家である中
国に、もっとも大きな恩恵をもたらしてきた。

自由貿易体制は、世界を21世紀の華夷秩序のもとに置こうとする野望をい
だく、中国を肥大化させてきた。

アメリカは北朝鮮の核よりも、中国が南シナ海を内海として支配しようと
していることを、深刻な脅威としてとらえている。

中国は南シナ海に、7つの人工島を造成したうえで、長距離爆撃機と対
艦・対空ミサイルを配備した。

習近平主席が2015年にワシントンを訪れて、オバマ大統領と会談した直後
に、ホワイトハウスで共同記者会見を行った時に、南シナ海の人工島を
「軍事化」しないことを、明言している。習氏は平気で嘘をついてきた。

 アメリカは北朝鮮より中国を脅威とみている

習主席は、5月に訪中したマティス国防長官と会談した際に、南シナ海の
人工島も含めて「祖先が残した領土は、一寸たりとも失うことができな
い」と、述べた。南シナ海の岩礁が、中国の歴史的な領土であるというの
も、ハーグの国際司法裁判所が裁定したように、作り話でしかない。

中国は新疆ウィグル自治区も、チベットも、中国の固有の領土だという
が、満族による王朝だった清の6代目皇帝に当たった、乾隆帝(1711
年〜99年)が征服した、外地である。今日の中国においても、乾隆帝は
「十全老人」(老は敬称)として、称えられている。それに、満族は漢民
族の祖先ではない。

世界交易の30%以上が、南シナ海を通っており、中国が占有することが
あってはならない。

アメリカはオバマ政権以来、中国が南シナ海の人工島周辺の領海だと主張
する海域に、海軍艦艇を通過させる「自由航行作戦」を行ってきたが、中
国側からみれば遊覧航海のようなもので、何の効果もない。そこで、中国
経済を締めつける方法しかない。

中国は、自由貿易体制に乗じることによって、手にした富を使って、軍の
ハイテク化と、大規模な軍拡を強行するとともに、「一帯一路」戦略を進
めて、スリランカや、紅海の出入り口のジプチなどに、軍事基地を建設す
るようになっている。

 EU(ヨーロッパ連合)もアメリカの覇権に甘えてきた

もし、中国に南シナ海を支配することを許せば、中国の膨張主義を黙認す
ることになってしまう。

それに、アメリカの恩恵を蒙ってきたのは、中国だけではない。

日本や、ヨーロッパの先進国をはじめとするアメリカの同盟諸国は、先の
大戦後、自由貿易体制を活用して、福祉国家をつくりあげてきた。そのわ
きで、アメリカに甘えて、国防負担を肩代わりさせてきたが、言い換えれ
ば、アメリカの施しによって潤ってきたのだ。

そのかたわら、アメリカの製造業は、日本や、ドイツなどの諸国と競争す
るのに疲れ果てて、すっかり怠惰になっていた。

 利に聡いアメリカの経営者たちは、自由貿易体制が世界の福祉を増進す
ると説きながら、懐を肥やすために、国内にあった製造部門を、中国をは
じめとする、人件費が安い発展途上国に移し、中国から大量に安価な製品
や、部品を輸入してきた。

 かつては、アメリカの大企業が世界の他の諸国を圧倒して、大きく引き
離していたというのに、アメリカの労働者たちが大量に切り捨てられ、レ
イオフされた。

 アメリカの企業経営者はなぜ自由貿易体制を称えるのか

 アメリカの利潤を追う企業経営者たちは、中国の興隆に手を貸してきた。

アメリカの大手マスコミや、シンクタンクや、大学は、大手企業によっ
て養われてきたために、アメリカが覇権を握っていた時代への強いノスタ
ルジアにとらわれて、自由貿易体制を守るべきだという声をあげている。

アメリカはGDPの4%を、国防費にあてている。ところが、27ヶ国
のNATO(北大西洋条約機構)ヨーロッパ諸国は、オバマ政権の時に、
GDPの2%を防衛費にあてると約束したのにもかかわらず、イギリス、
ギリシア、エストニアの3ヶ国だけが、防衛費として2%を支出してお
り、NATOヨーロッパ諸国のなかで、もっとも富裕なドイツの防衛費
は、1.2%でしかない。

ドイツのメルケル首相が、防衛費をGDPの1.5%まで増やすと約束
しているものの、トランプ大統領は「それでは、アメリカの納税者がとう
てい納得しない」と、強く反撥している。

2年前に、トランプ候補が「アメリカ・ファースト」の公約を掲げて、
大統領に当選したのは、今後、アメリカの覇権が未来永劫にわたって続い
てゆくという、神話を覆すものだった。

 アメリカの国勢調査から未来が見える

アメリカの政府国勢調査局は、白人の少子高齢化が急速に進んでゆくか
たわら、非白人の人口増加と移民によって、白人が2040年代に入る と、
人口の50%を割ることになると、予測している。すでに若年人口で は、
非白人が多数を占めるようになっている。

アメリカの人口は1980年に、2億2700万人だったのが、主とし て移民に
よって、いまでは3億2800人に達している。黒人 も多産だ。とくに、ヒ
スパニック系の人口の増加が著しい。

これまでアメリカは、白人が『メイフラワー号』から清教徒が神の国を
築くために上陸したことから、アメリカが神の使命を授かった国であり、
世界を導く責任を負っていると、驕ってきた。

だが、非白人の人口が増して、人口の過半数を超えるようになれば、世
界を導く重荷を担う意識が失われてゆこう。

トランプ政権は、すでにアメリカが覇権国家であるという傲りを、捨て
ている。

アメリカが非白人の国となると、白人が世界の覇権を握った、大航海時
代によって16世紀に始まった長い時代が終わることになろう。


◆紅海ルートの原油は一日480万バーレル

宮崎 正弘


平成30年(2018年)8月3日(金曜日)通巻第5777号  

紅海ルートの原油は一日480万バーレルという生命線
イスラエル国籍軍もしくは有志連合の軍事行動に参加の用意

8月1日、ハイファの海軍幹部学校卒業式に臨んだネタニヤフ首相は、も
しイエーメンの武装組織フーシ(イランの代理兵をいわれる)が、攻撃を
続けるのであれば、イスラエルとしては選択肢が狭まり、多国籍軍あるい
は有志連合が組織されるなら、それに参加する用意がある」と演説した。

これは先週、サウジアラビアのタンカー弐隻が、バアルマンダブ海峡を通
過中に、イエーメンからのミサイル攻撃を受け、一隻が被弾し、サウジが
「当面の間、紅海ルートからの原油運搬を取りやめる」としたためである。

バアルマンダブ海峡は、紅海の出入り口にある狭窄な海峡で、幅は29キ
ロ、イエーメンの対岸はジブチとエリトリアである。

エリトリアはエチオピアの出口に位置し、ジブチには米軍基地、自衛隊、
英国軍に加えて中国人民解放軍の軍事基地があり、アデン湾の海賊退治を
主任務に日夜警戒し、タンカーなどの安全航行を護衛している。この航路
を通る船舶は夥しく、アデン湾からスエズ運河を抜ける多くの船舶がある
が、とりわけ原油タンカーが一日に480万バーレルを運ぶ、もっともクリ
ティカルな航路である。

一方、ホルムズ海峡に関しては、イランが閉鎖する用意があるといえば、
ポンペオ国務長官は「イランを支配するのはマフィア。経済制裁を強化す
る」などと言葉の戦争をエスカレートさせる一方で、トランプ大統領は唐
突に「イランの指導者といつでも会談する」とした。これに対してもイラ
ン政府の反応はまだない。
      
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIE 
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  上海の観光名所「新天地」の隅っこ、ひっそりと中国共産党第一回大
会記念館がある
  嘘で固められた歴史改竄の原点が、これだ

  ♪
石平『中国五千年の虚言史』(徳間書店)
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先週から中国で大騒ぎとなっているのは偽ワクチンである。すでに45万
人分が、投与された。いまのところ死人が出ていないが、当局は製薬メー
カーの16人を逮捕した。吉林省の怪しげなワクチン・メーカーは、偽薬
で大儲けしてきた札付きのブラックと言われた。

 かつては中国製ペットフーズで、米国の犬猫およそ一万匹が死亡したた
め、爾来、米国では中国製に慎重である。粉ミルクでは中国国内で赤ちゃ
んの死亡事件が続出した。

日本関連で言えば「毒餃子事件」があった。日本に来る中国人ツアーは必
ず日本製の粉ミルクを爆買いした。

 前々から評者(宮崎)も、口すっぱく言ってきたが「中国人は朝起きて
から寝るまで、生まれてから死ぬまで嘘をつく」のである。五千年、一貫
してそうなのである。

この本は元中国人だった石平氏だからこそ、「嘘が中国の文化である」と
断言できるのである。

そもそも「五千年」という歴史そのものが真っ赤な嘘であり、中国史は、
秦の始皇帝から延々と、ひたすら嘘だけが述べられている。

本書は、それを王朝ごとに、きわめて簡潔に、何が嘘であり、真実が奈辺
にあるかを秦、漢、新、後漢、三国鼎立、随・唐、宋、元、明、清、忠仮
眠国(中華民国)。そして現代の習王朝までの偽史を適格に暴く。

生活も出世も、すべてが嘘で塗り固められている。イデオロギーも、文学
も、嘘に満ちていて、だから中国は一級の芸術が出てこなくなった。

なぜこうなったのかを石平氏は次のように解き明かす。

「日本では『嘘つきは泥棒の始まり』であるが、中国では『嘘つきほど成
功する』なのだ。清王朝末期の李宗吾という儒学者は歴代の皇帝や古来の
英雄を分析し、1911年から『厚黒学』『厚黒経』といった、乱世を生
きる中国四千年の成功哲学についての論考を発表した。(中略)成功の要
諦は、『面の皮は城壁より厚く、腹は石炭より黒く生きよ』というもので
あり、いかに鉄面皮で恥知らずになるか、そしてどこまでも腹黒く、自分
の利益のために何でもすることが重要だと説いている」のである。

いまの中国人が学校で習う嘘だらけの歴史は、共産党がいかに由緒正し
く、しかも抗日戦争を戦った主体であり、権力に合法性があるかを徹底的
に偽史観の塊で記述している。共産党は匪賊、山賊が本質であり、抗日戦
争は国民党が戦ったという真実を語ると「偽史」と批判される。でっち上
げの成功例が「南京大虐殺」「731部隊」などだ。

なにしろ「第一回共産党大会」なるものが、すこぶる怪しいのである。
 上海の観光名所「新天地」にひっそりと中国共産党第一回大会記念館が
あるのだが、嘘で固められた歴史改竄の原点が、これだ。

この場所は元フランス租界である。会場となったのは李漢俊の自宅だっ
た。評者(宮崎)も、何回か上海にある「中国共産党第一次全国代表大会
跡地記念館」を見学したことがある。

 飾ってある金ぴかの銅像、初回参加者13名のレリーフ、当時、確かに参
加はしたが、チンピラでしかなかった毛沢東が、会議で発言しているオブ
ジェも飾られていて、思わず吹き出しそうになる。

共産党は陳独秀が創立した。この指導者は歴史から殆ど抹消された。
周恩来はこのとき巴里にいて、会議には欠席しているし、戴季陶は、この
ときすでに党を離れて、日本にいた。
 ならば誰々が参加したのか?。
 李漢俊(東大出身)、李達(東大)、陳公博、包恵僧(陳独秀の代
理)、張国寿、劉仁静、陳譚秋、董必武(日本大学)、毛沢東、何淑衝、
トウ恩銘、王尽美、周仏海(東大)、この13人にコミンテルンからマーリ
ンと、ニコリスキーが派遣されていた。

欠席にもかかわらず陳独秀が委員長となり、役員も決められているが、そ
こに毛沢東の名前はない。つまり、毛沢東はこの時点でヒラでしかなく、
彼の主導権が確立されるのは、鄭義会議以後である。

さて石平氏は、その後、この創立メンバーの悲運をたどる。

共産党史が決して語らない事実とは、李達はいったん離党し、共産党政権
成立後復党するが、「毛沢東を批判したため、文化大革命で惨殺された。
李漢俊ものちに中国共産党を離党、国民党に加入したが、国民党の分裂・
紛争の中で処刑」となった。

「陳公博と周仏海は王兆銘政権に参加し、日中戦争でも日本に協力したた
め、戦後の中国では『売国奴』扱いされた。結局、中国共産党のなかで順
調に生き延びたのは、毛沢東と董必武の2人しかいない」のである。
つまり、共産党などと独自の自主的な政党を名乗るなど僭越であり、実態
はコミンテルンシナ支部でしかなかったのだ。

 目から鱗の、真実の中国史は、それならいったいどうなるのだろう?



摩訶不思議な米露首脳会談

櫻井よしこ


敵味方逆転の摩訶不思議な米露首脳会談 トランプ氏の非難はいつか必ず
日本にも

7月16日、フィンランド・ヘルシンキでの米露首脳会談はおよそ万人の予
想を超えた。米CNNのクーパー・アンダーソン記者は「自分が報じてき
たこれまでの如何なる首脳会談に較べても、米国と米国民にとって恥ずか
しい内容だった」と伝えた。CNNはトランプ政権に必要以上に厳しい
が、今回は、「米国人ならそう感ずるだろう」と、共鳴できた。

首脳会談の前、米国の複数のメディアは、トランプ米大統領が単独でプー
チン露大統領と会談することへの懸念を報じていた。どのような言質をと
られるやもしれない、単独会談は回避する、もしくはできるだけ短くすべ
きだという指摘だった。

他方、ホワイトハウスはトランプ氏に、プーチン氏には強く厳しい姿勢で
対処するように、その方が「トランプ氏自身の見映えがよくなる」と説得
していたと、米「ウォールストリート・ジャーナル」紙が伝えている。

ジョン・ボルトン米大統領補佐官らは、トランプ氏に米露関係の分析や各
議題での攻め方などを詳細に説明したはずだ。KGB(旧ソ連国家保安委
員会)出身のプーチン氏に関する客観的分析や米露関係の戦略的解釈より
も、「トランプ氏自身が格好よく見える」という、トランプ氏のエゴに訴
える論法で説得しようとした事実は、身近な側近でさえもトランプ氏の知
的水準をその程度に見ていたということなのだろうか。

結局、首脳同士のサシの会談は2時間も続き、公式の議事録もない。加え
て全体会合が2時間、計4時間の会談を受けてトランプ・プーチン両首脳が
会見した。

トランプ氏がへりくだり、プーチン氏が自信の微笑をうかべた同会見は、
味方が敵になり、敵が味方になる摩訶不思議な歴史の大逆転をまざまざと
見せた。トランプ氏を掌中におさめたとでも言うかのような余裕を感じさ
せたプーチン氏が、トランプ氏の為に記者団の質問に答えた場面さえあっ
た。クリミア半島問題である。

トランプ氏はロシアのクリミア半島の強奪についてさしたる反対論は唱え
ていない。それどころか、クリミア在住ロシア人の多さ故に、同地はロシ
ア領だとの見方を示したことさえある。

プーチン氏はしかし、トランプ氏をかばうようにこう語った。

「トランプ大統領は、クリミア併合は違法だという主張を維持している。
ロシアの考えは別だが」と。

ロシアによる米大統領選挙介入疑惑で米AP通信が、トランプ氏に米国の
情報機関とプーチン氏の、「どちらを信ずるのか」と質した。トランプ氏
はまともに答えなかったが、プーチン氏はこう語った。

「私は情報機関の一員だった。(偽の)資料がどのように作成されるかも
知っている。おまけにわがロシアは民主主義国だ」

米情報機関が偽の資料を作成したとも、「米国同様の民主主義国」である
ロシアが、他国の米大統領選挙に介入することなどあり得ないという主張
ともとれる。噴飯物である。だがトランプ氏はプーチン氏の隣で頷いていた。

トランプ氏は70年近く同盟関係にあるNATO(北大西洋条約機構)諸国
を酷い言葉で非難した一方で、いまや理念も体制も異なるプーチン氏のロ
シアと、核や中東問題などを共に解決できるという構えだ。

長年ロシアを共通の敵として団結してきたNATOの大国、ドイツは軍事
支出がGDPの1.25%にとどまるとしてメルケル首相がトランプ氏に面罵
された。日本はドイツ同様敗戦国として、戦後を経済中心で生きてきた。
日本はドイツよりも尚、米国頼りだ。ドイツよりも国防費のGDP比率は
小さく、憲法改正もできていない。トランプ氏の非難はいつか必ず、ドイ
ツ同様日本に向かってくるだろう。

『週刊ダイヤモンド』 2018年7月28日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1241

◆介護保険の知識―福祉用具編

      大阪厚生年金病院 看護師

 
今回は介護保険を使って手に入れることのできる福祉用具についてお話をします。

約4,400種類の福祉用具の中から、自分に合う機種を選べることになっています。在宅生活の自立を支援するためや、介護力の軽減のために使われるもので、よくみかけるものでは、車イスや歩行器があります。

また、脳梗塞で半身マヒの残った患者さんが退院される場合には、三種の神器ではありませんが、電動ギャッジベッドとポータブルトイレ、車イスの三種をセットで準備することが多いものです。

また、整形外科で股・膝関節の手術をうけられた患者さん方には、入浴時のシャワーイスや、風呂場の手すりの準備が必要となります。

介護保険の福祉用具には、貸与(レンタル)で利用するものと、購入して利用するものの2つのタイプに分かれます。腰掛便座(ポータブルトイレ)や特殊尿器、入浴補助用具などは直接肌に触れるものですから貸与(レンタル)にはなじみません。これらは自分専用のものを購入することになります。

たとえばお風呂で使うシャワーイスの値段は15,000円くらいしますが、介護保険ではその1割の1,500円の負担で手に入れることができます。ポータブルトイレも1万円前後のものから家具調のもので5万円くらいするものまでありますが、その1割の1,000円〜5,000円で購入できます。

介護保険では4月から翌年の3月までの1年間に合計10万円までの福祉用具が購入できます。

 福祉用具貸与(レンタル)で利用できるものは、車イス、電動車イス、特殊寝台(電動ギャッジベッド)、床ずれ予防用具(エアマット)、歩行器、歩行補助杖、手すり、スロープなどです。

たとえば車イスが500円、電動ベッドが1200円、電動車イスが2,000円、エアマットが600円程度の月額料金でレンタルができます。これらは介護度にもとづく利用限度額内でレンタルすることになります。
 
他人が使用したものを使いたくないとダダをこねる方もおられますが、レンタル終了時にはきちんと法に定められた消毒方法が実施されています。しかし考えようによっては、この貸与(レンタル)が案外と重宝することがあるのです。

図体の大きいギャッジベッドや車イスなどを購入しますと、不要になった時に始末に困ります。しかし、貸与(レンタル)であれば不要となればケアマネージャーに頼めばすぐに引き上げてもらえます。それから、新しい機能のついた新機種が出た時に、借り換えがすぐに出来ることも重宝です。

電動ギャッジベッドを購入しますと25万円くらいしますが、新機種がでたからといって簡単には買い換える決心はつかないと思います。

しかし、貸与(レンタル)であればケアマネージャーに頼んでケアプランの立てなおしを頼み、翌月から新機種を導入してもらえば済むことです。身体の回復具合にあわせて機種を変更してゆけるという長所を考えていただければ、貸与(レンタル)というのも利点だと思えます。毎年新しい機種が介護保険の福祉用具に認められてきています。

ポータブルトイレにもウォシュレット機能のついたものや、温風便座機能のついたものが新しく認められました。ポータブルトイレはレンタルではなく福祉用具の購入となります。

先ほど述べたように購入は毎年1年間(4月〜翌3月)に10万円が福祉用具を購入できると決められています。

ということは翌年の4月になれば10万円分の新たな購入が可能になるということです。新しい機能のついたポータブルトイレに切り換えたければ、翌年4月まで待って、ケアプランに新たに新機種の購入をあげれば利用が可能となります。