2018年09月30日

◆安倍首相は新たな国造りをしてほしい

加瀬 英明


安倍首相は日本のために新たな国造りをしてほしい

8月にテレビ番組で、「平成がすぐに終わりますが、平成をどのようなこ
とによって、記憶されますか?」と、たずねられた。

私はとっさに「平成の30年の間に、憲法を改められなかったことだ」と、
答えた。

現行の「日本国憲法」は、アメリカによる対日占領が始まってから、僅か
1年3ヶ月後に公布された。この「憲法」は、大日本帝国憲法を改正した
体裁をとっているが、大幅な改定であって、占領軍による強要がなけれ
ば、とうてい1年で行えるものではなかった。

私はついでに、戦後の73年を振り返ったら、どう思うだろうか、考えた。

「日本国憲法」が公布されてから、71年になる。日本が講和条約によって
独立を回復してから、66年の歳月が流れた。それなのに、なぜなのか、こ
の憲法がいまだに私たちの上に居座っている。

「日本国憲法」は冒頭から、大嘘で始まっている。「平和を愛する諸国民
の公正と信義に信頼して、われらの生存と安全を保持」(前文)すると述
べて、すべての国が平和を愛し、公正と信義を重んじていると説いてい
る。誰が読んでも、嘘偽りではないか。

今日でも、政府、大手新聞・テレビは、日本が連合国に「無条件降伏」し
たというが、これも大嘘だ。学校教科書も「無条件降伏」したと記さなけ
れば、検定に合格しない。

日本は『ポツダム宣言』を受諾して降伏した

日本は『ポツダム宣言』を受諾して降伏したのであって、「吾等ノ条件ハ
左ノ如シ。吾等ハ左條件ヨリ離脱スルコトナカルヘシ」と述べて、「日本
国軍隊ノ無條件降伏」のみを、求めている。事実は、名誉ある条件付降伏
を行ったのだった。

1950年6月に、占領下で朝鮮戦争が勃発すると、その2ヶ月後に占領軍は
「日本国憲法」によって「陸海空軍その他の戦力」の保持を禁じたはずな
のに、日本政府に警察予備隊という軍事組織の創設を命じた。

日本はその1年8ヶ月後に独立を回復し、3ヶ月後に警察予備隊を保安隊
と改称し、1954」年にさらに自衛隊に改めた。

今日、自衛隊は国際的には軍隊として認められているが、国内では政府、
国会が軍隊ではないと言い張っている。日常生活でこのような詭弁は、と
ても許されないだろう。

自衛隊には「普通科連隊」「特科連隊」という、一般の国民に理解できな
い部隊が存在しているが、歩兵と砲兵のことだ。自衛隊が軍、兵でないと
偽ってきたからだ。このために、自衛隊には意味不明な用語が多い。

占領下で連合国による、いわゆる「東京裁判」が行われ、敗戦までの日本
の指導者が「アジアを侵略した罪」によって裁かれた。

だが、連合国は敗戦翌年の5月から3年半にわたって“裁判”が行われてい
たあいだ、オランダ、イギリス、フランス軍が、日本が大戦中に解放した
アジアの民を再び植民地支配のもとに置こうとして、アメリカに援けられ
て、侵略戦争を戦っていた。

戦勝国こそアジアを侵略していた

この事実だけでも、「東京裁判」が勝者による不法な私刑(リンチ)でしか
なかったことが明白なのに、今日でも多くの国民が「東京裁判史観」とい
う嘘を、鵜呑(まるの)みにしている。

国民があからさまな嘘を信じて、よいのだろうか?

ニューヨークのマンハッタンに、「ジ・ユナイテッド・ネーションズThe
United Nations」と呼ばれる国際機関がある。UNの略称で知られている
が、先の大戦中に日本が沖縄戦を戦っている時に、連合国が戦後世界を経
営するために、サンフランシスコで誕生し、日本は1956年に加盟すること
を許された。

日本では「国際連合」と訳されて、「国連」と略されているが、このよう
な名称の国際機関は、世界のどこにも存在していない。

もともと「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」という呼称は、ルーズベル
ト大統領が真珠湾攻撃直後の1942年1月1日に、日本と戦っていた26ヶ国
の代表をワシントンに集めて、「ジ・ユナイテッド・ネーションズ(連合
国)」と呼ぼうと、提案したことによった。

「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」は、第2次大戦を戦っていた一方の
軍事同盟の呼び名である。サンフランシスコで国際機関の「ジ・ユナイ
テッド・ネーションズ」が結成された時に、日本と戦っていることが加盟
資格とされた。

加盟資格について「すべての平和愛好国」と規定されたが、日本、ドイツ
をはじめとする枢軸国と戦っていることが、「平和を愛好する国」の条件
とされた。そのために、多くの国が「平和を愛好する国」として資格をえ
るために、日本とドイツに急いで宣戦布告した。

 「国際連合(国連)」は「連合国」の偽名だ

マンハッタンにあるのは、連合国(ジ・ユナイテッド・ネーションズ)の本
部だ。

日本でも「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」は、敗戦の11月までは
「聯合國」と正しく訳されていた。今日、日本で「国連憲章」と呼ばれる
連合国憲章を起草するために、連合国の代表がサンフランシスコに参集し
たが、当時、日本の外務省は当然のことに「ジ・ユナイテッド・ネーショ
ンズ」を、「聯合國」と訳している。

ところが、11月から「聯合國」が「國際聯合」と曲訳されるようになった。

連合国憲章を「国連憲章」と訳してきたが、外務省による正訳では、「国
連憲章」は「われら連合国の人民は‥‥」(原文は「ウィー・ザ・ピープル
ズ・オブ・ジ・ユナイテッド・ネーションズ」)から始まっており、
「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」を、「連合国」と正しく訳している。

 日本はうそ偽りを精神の拠り所としてきた

 冒頭で「連合国」と訳しているのに、「ザ・チャーター・オブ・ジ・ユ
ナイテッド・ネーションズ」は、「国際連合憲章」と誤訳している。翻訳
では同じ言葉を同じように訳さなければならないのに、おかしい。

 「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」は誕生した時から、5つの公用語
の1つである中国語では、「連合国(リエンホーグオ)」である。韓国と北
朝鮮も「国連」を正しく、「連合国(ヨナブグク)」と呼んでいる。

 同じ敗戦国のドイツでは、ドイツ語で国際連盟が「ディ・フルカーブン
ド」であったのに対して、「国際連合」はドイツが戦った連合国と変わら
ない「ディ・フェアインテ・ナツィオネン」(連合国)と呼ばれている。
イタリア語でも「レ・ナツィオニ・ウニテ」であって、「連合国」だ。

 敗戦を「終戦」、占領軍を「進駐軍」と呼んで、現実を誤魔化したよう
に、「ジ・ユナイテッド・ネーションズ(連合国)」を、戦前あった国際
連盟をもじって、「国際連合」に擦り替えたのだった。

 この誤訳のために、日本国民は「国連」が諸国の権力闘争の場でしかな
いのに、「平和の殿堂」だと誤解して、崇めてきた。

 日本政府も、「国連」が中心をまったく欠いているのに、つい十数年前
まで「国連中心主義」を、外交の基本方針としていた。

 日本国民の精神の拠り所となってきた「日本国憲法」も、「国際連合」
も、うそ詐(いつわ)りでしかない。

 日本国憲法は日本を夢遊病にしている

 日本国民は作り事の世界に生きてきたために、現実を直視する力を失っ
てしまっている。

 占領下では自由を奪われていたために、無法に従わなければならなかっ
たから、仕方がなかったが、独立を回復した後も、嘘を崇める国となって
いるのは、なぜなのか。

 私は幼い時に祖母から嘘をつくと、閻魔様に舌を抜かれると教えられた
が、日本人はあのころより全員が、はるかに冗舌になっているから、祖母
の話は迷信だったにちがいない。

 安倍首相が自民党総裁選挙に出馬するのに当たって、「平成の先の時代
へ向けて、新たな国造りを進めていく、先頭に立つ決意だ」と述べている
のに、大いに期待したい。

◆中国は「世界のゴミ箱」へ

宮崎 正弘


平成30年(2018年)9月28日(金曜日)弐 通巻第5839号   

中国は「世界の工場」から「世界の市場」、そして「世界のゴミ箱」
  トランプ・安部の「日米共同声明」を読んだか?すごい内容が盛り込
まれているゾ

相変わらず日本のメディアの唐変木。

2018年9月27日、国連総会に出席した安倍首相とトランプ大統領の「日米
主要会談」が引き続きNYで行われ、「共同声明」が発表された。安部首
相は23日のNY到着直後にトランプの私邸に招かれて2時間余の夕食をと
もにしており、入念な打ち合わせが行われていた。

したがって日米共同声明には、重大な内容が盛り込まれているが、日本の
メディアは、最重要事項をスルーして、貿易面での合意事項を重箱の隅を
突くように弄(ほじ)くって、日本のビジネスにどういう影響があるの
か、産業界にいかなる影響がでるのかなどと矮小な問題的だけを分析して
いる。
 
商人の目線、本質を探るより、水面上の泡(あぶく)だけを見て、「ああ
だ、こうだ」と騒ぎ立てている。

経団連、与党、霞ヶ関にも共通していることだが、それを集約するメディ
アの報道に戦略的思考はどこにもない。

野党も解析能力が稀薄なうえ、国際情勢の認識力がゼロに近いため、
TAG(日米物品貿易協定)はTPP精神に反するとか、アメリカに譲歩
しすぎだから安部首相を追求するとか。

TPPから離脱した米国と、日本の貿易交渉は、これから二国間交渉とな
ることは明白であり、日米間でFTA(自由貿易協定)を結ぶことになる
だろう。その前に車の関税はしばし棚上げし、当面はTAG協議をおこな
う。つまり、日本が譲歩したのではなく、アメリカ側の譲歩ではないのか?

第一に「日米共同声明」は、米国が従来の親中路線をかなぐり捨て、敵視
政策への転換を明確に示し、規制と制裁をかけるが、日本はそれに同調す
ると同意しているのである。

噛み砕いて言えば、中国は「世界の工場」から「世界の市場」となって、
世界的な企業がチャイナチャイナと喧噪を示したが、その勢いは止んで、
流れは明白に変わり、中国はやがて「世界のゴミ莫迦」となるが、それを
助長すると行間が示唆している。

第二に知的財産権が盗まれ、ハイテク企業が中国資本に買収され、本来、
自国が得るべき所得が中国に環流したことをトランプは猛烈に批判し、
「グローバリズム拒絶」「愛国主義」に立脚する政策に立ち帰ると言った。

このトランプの国連演説は、中国を批判して止まないクドロー、ボルト
ン、ナバロの考え方が基調にある。ところが、当初はクドロー、ボルト
ン、ナバロを非難してやまなかった米国のメディアも議会人も、それを忘
れて中国批判に同調している。中国批判は、いまや米国のコンセンサスで
ある。

グローバリズム拒否というのは「イデオロギー」を拒否するという意味
で、国境の壁を撤廃し、規制をなくし、つまりは国家を解体すると面妖な
グローバリズムという思想では、自由主義本来の市場まで破壊されかねない。

公平なルールを遵守し、双務主義に基づく交易という原則に立ち戻ろう、
それが「愛国主義」だと主張しているのである。


 ▲日米共同声明の第六項に注目せよ

またトランプ大統領の国連安保理事会、その後の記者会見などで、ウイグ
ル族弾圧の強権政治を批判している。ハッカー攻撃による情報の盗取につ
いても触れた。人権、民主をよびかける程度だったオバマ政権までの米国
の親中姿勢は掻き消え、声明文には、「友好」などという文字がどこにも
見られない。

すなわち最重要事項は下記の「日米共同声明」の第六項である。

 「六 日米両国は、第三国の非市場志向型の政策や慣行から日米両国の
企業と労働者をより良く守るための協力を強化する。したがって我々は、
WTO改革、電子商取引の議論を促進するとともに、知的財産の収奪、強
制的技術移転、貿易歪曲的な産業補助金、国有企業によって作り出させる
歪曲化および過剰生産を含む不公正な貿易慣行に対処するため、日米、ま
た日米欧三極の協力を通じて、緊密に作業していく」

ここでいう「第三国」が中国を指し、その中国による「知的財産の収奪、
強制的技術移転、貿易歪曲的な産業補助金、国有企業によって作り出せる
歪曲化および過剰生産を含む不公正な貿易慣行に対処する」と言っている
のである。

もっと具体的に言えば、フアウェイ、ZTEを米国や豪が排除したよう
に、つぎにテロリストへの資金洗浄として規制が強化された海外送金やド
ル取引に対して、米国は、たとえばフランスのパリバ銀行を処分し、巨額
の罰金を課したうえで、「一年間のドル取引」を禁じた。つまりフランス
の名門銀行も国際ビジネスができなくなった。

これが中国の銀行にも適用される。

米国内においても、軍事技術盗取の中国人スパイをつぎつぎと摘発し、中
国軍に直結する取引をしていた個人や企業の口座を凍結している。ロシア
財閥の在米資産凍結ばかりではない。欧米、とりわけ英仏独、スイスの銀
行も処罰されており、西側の銀行は、中国との取引に慎重となっている。


 ▲だから中国の経済はマイナスに転落する

同日、FRBは利上げを発表した。0・25%上げて、2・00−2・25「%
となる。

するとどうなるのか。世界市場にだぶついてきた資金の米国への環流が始
まる。猛烈な勢いでウォール街へドル資金が流れ込んでいる。

連鎖で、新興国通貨は暴落する。アルゼンチン、南ア、ブラジル、トルコ
などの通貨がどかんと下落したが、もっとも悪影響のでる中国人民元は下
落が目立たない。

なぜなら中国当局が人民元の買い支えをしているからだ。
これまでとはまったく逆で、中国は為替に介入し、人民元を下落誘導して
きたが、いまは下落防止の買い支え、このためにドルを使うから、ますま
す外貨準備は減少し、そのうえで対米貿易黒字が激減しているから、人民
元を買い支えるドルが払底する。

その次?

人民元の大暴落がおこるだろう。

すでに上海株は年初来15・6%の下落を示しており、人民元は4月から九
月にかけて、9%の下落を演じてきた。いかに中国が買い支えても、株価
下落は歯止めがかからず、また人民元は防御ラインのレートをまもなく割
り込んでいくだろう。

米中貿易戦争は終わりの始まりでしかなく、次は金融と通貨戦争に移行する。

もはや「紛争」レベルのはなしではない、熱戦や殺戮兵器を伴わないが、
これは「戦争」である。


▲こんな危機状況に「日中友好」?

このような時に「日中友好40年」とか、日本企業の対中直接投資経済、日
中通貨スワップ、トヨタ、日産などがEV車対応のための工場拡大とか、
パナソニックのリチュウム電池日中協同開発とか、いずれトランプ政権の
制裁の対象になるだろう。
 
中国は、この最悪事態への陥落をさけるために代理人キッシンジャーなど
を使い、米国マスコミへの宣伝を強化しているが、アメリカの政治風土で
いうと、トランプ大統領より、議会は対中強硬派が主流となり、米国メ
ディアは朝から晩までトランプ攻撃に忙しいが、こと中国に関しては、ト
ランプより強硬である。
 つまり米国は挙国一致で、中国を敵視する姿勢に転換している。この深
刻な事態をまったく理解していない日本の財界、企業トップ、そしてメ
ディアは、指摘するまでもなく目が節穴、自滅への驀進を続けるつもりら
しい。 
    

◆八百万の神という神道の宗教観

櫻井よしこ


「八百万の神という神道の宗教観は多様性重視に向かう国際社会の手本に」

友人の伊藤穰一氏が慶應義塾大学から博士号を授与され、お祝いの会が
あった。氏の研究テーマを説明することは私の能力に余るが、お祝いの席
での会話は刺激的で、私の頭の錆を少しずつ剥がしてくれた。

伊藤氏を友人達は皆、親しみをこめて「ジョイ」(Joi)と呼ぶ。彼は
マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボにおける初めての日本
人所長だ。MITは88人ものノーベル賞受賞者を輩出してきた世界屈指の
大学である。2011年の所長就任以来、伊藤氏は「境界線から、ハミ出れば
ハミ出るほど良い」という考えで、概念を打ち破る多数の研究プロジェク
トを進めてきた。

氏は近著、『教養としてのテクノロジー』(NHK出版新書)でこう指摘
している。インターネットの普及からすでに20年、情報革命の時代は終わ
り、テクノロジーが経済や社会を根底から変えようとしている。だからこ
そ、テクノロジーの発達を哲学として理解することが大事だと。

たとえば人工知能(AI)である。AIの技術はあらゆるサービスのイン
フラとして、実用化の域に達しつつある。グーグルの動画サービス「ユー
チューブ」では、日々10億本の動画が字幕付きで発信され、精度は完全で
ないにしても、英語のニュースがワンクリックで日本語に翻訳される。産
業革命で多くの仕事が機械化されたように翻訳も他分野の仕事もAIが人
間に代わって担うことになる。

その中では、働くことの目的は自ずと変化せざるを得ない。生活費のため
ではなく、意味のあることのために人間は働き始めると、伊藤氏はいう。

では生活費はどのようにして手にするのか。ひとつの方法として米サンフ
ランシスコ市やフィンランドですでに実験が始まっている「ユニバーサ
ル・ベーシック・インカム」(UBI)の仕組みが考えられる。

生活保護を含む現行のセーフティネットに代わる制度として、政府が国民
全員に一定額の生活費を支給する。一本化することで支給にかかる費用を
抑制し、貧困対策にも効果を発揮すると期待されている。

UBIで生活できるのであれば、働かない人間も出てくるだろう。だが、
多くの人は自分の人生の意味を考え、生き方の価値を高めるためにどう働
けばよいのかを考え始めると、予測されている。

ビットコインで広く認知された仮想通貨についての氏の指摘も興味深い。
氏は1995年に現在の仮想通貨に通ずるディジタル・キャッシュの概念を打
ち出している。

「新しいサイバーな国には新しい通貨が必要だ」という認識で進めたディ
ジタル・キャッシュは、しかし、バブル崩壊で一旦潰えた。いま再び仮想
通貨が注目を浴びているが、ルールもガバナンスも未整備だ。最終的に損
をする被害者が出るような仕組みの上に成り立っている状況が解決されれ
ば、仮想通貨が従来の通貨の意味を根本的に変える時がくるとの示唆は、
私にとって衝撃的だ。

テクノロジーの発達が仕事の意味を変え、言葉の壁を取り払い、通貨の在
り方も変えていく。人類社会のインフラの劇的変化の最先端でハミ出るこ
とを是とする伊藤氏が最後に言及しているのが、人間と自然の関係性を西
洋とは全く異なる考え方でとらえる神道である。

一神教のキリスト教とは異なり、八百万の神がいらっしゃる日本、山川草
木すべてに神が宿ると考える宗教観は、国家、財力、権力などの大きな力
による一元管理から離れ、多様性重視に向かおうとする国際社会にとっ
て、ひとつのお手本になると、氏は説く。

人類の在り方を着実に変えつつあるテクノロジーの最先端を走る伊藤氏の
中に、目指すべき地平として、自然との調和の中で育まれてきた神道の概
念の色濃いことに、日本の行くべき一筋の道を見ることができるのではな
いか。

『週刊ダイヤモンド』 2018年9月29日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1249 

◆人工関節手術で歩ける喜び

小池 達也(医者)



整形外科の分野ですばらしい発展を遂げていると考えられているのは、人工関節分野です。現在では、肩・肘・股・膝・足関節に人工関節手術が施されますし、手や足の指関節にも応用が始まっています。

特に、股関節と膝関節に関しては膨大な数の手術が毎年日本中で行われています。
成績も安定しており、それほど高度な手術でもなくなりつつあります。

しかし、本当に人工関節は進歩したのでしょうか。

1962年にチャンレイという先生が人工股関節手術を初めて実施されました。 今から振り返ってみても、良く考え抜かれたデザイン・材質・手術方法でした。やっぱりパイオニアと呼ばれる人たちには何か光るものがあります。

このチャンレイ型人工股関節は長期成績も良く、スタンダードとなりましたが、もちろん完璧ではないので、チャンレイ自身を含め様々な改良が加えられました。

ところが、それらの改良、良かれと思ったデザインや材質の変更は逆に長期成績を悪化させました。

そうすると、また改良が加えられ、猫の目のようにくるくるとデザインや果てはコンセプトまで変わっていきました。最近ようやく、コンセプトも成熟し成績も安定してきました。しかし、改良が加えられ続けていた時代に人工股関節手術を受けてしまった人は恩恵を受けることが出来なかったわけです。

最先端のものが最良とは限らない好例ではないでしょうか。これは人工関節の性格上、結果がすぐに出ないことが一番の理由です。そして、この危険性は今後も出てくる可能性はあります。

では、人工関節手術などすべきではないのでしょうか。

そうではありません。歩くことさえ大変な方が、人工関節手術を受けて痛みなく歩けるようになった時の喜びは、本人でない我々でさえ感じることの出来る大きなものです。
「人生が変わった」・「旅行に行けるようになった」・「歩くのって楽しい」など、多くの喜びの声を聴かせていただける、医者にとっては実にやりがいのある手術です。これを永続する喜びに変えるために、いくつかの合併症を克服してゆくのが、我々の今後の使命でしょう。

人工関節の合併症で厄介なのは感染とゆるみです。ゆるみの方は、多くの研究により克服されつつありますが、異物を体の中へ入れる手術であることから、感染の危険性はなかなか解決されそうにはありません。また、スポーツも可能になるような丈夫な人工関節もまだ存在しません。真の人工関節出現はもう少し先になりそうです。
 
ところで、最近ではナビゲーションといって、コンピュータが人工関節を入れる方向を指示するシステムやロボットが人工関節を入れる方法も実用化されています。
あなたは、ロボットと人とどちらに手術して欲しいですか?(再掲)
         
(大阪市立大学大学院医学研究科リウマチ外科学 )

2018年09月29日

◆中国を名指しで激越に非難

宮崎 正弘


平成30年(2018年)9月28日(金曜日)通巻第5838号   

 トランプ、国連安保理事会で中国を名指しで激越に非難
  「中間選挙に介入し、民主党に勝たせようとしている」

国連総会で演説を終えたトランプ大統領は、こんどは安全保障理事会に
出席(しかも議長役)、ここでは中国を名指しして批判し、「11月の中
間選挙に介入している。中国はわが政権を嫌い、民主党に勝たせようとし
ている」と吠えた。

「中国への貿易戦争に勝っている。歴代経験がなしえなかった貿易戦争
で、アメリカ経済はよくなってきた。中国はこれまでにも米国を騙しつづ
けてきた。不公平な貿易を展開してきたうえ、わが政権が防衛に転じる
や、民主党に肩入れする宣伝活動をなし、11月の中間選挙に介入してい
る」。

現実に中国はアメリカの新聞に折り込み広告を挟みこみ、中国の政治的プ
ロパガンダを活用して、「中国は公平な貿易をしており、健全な中米関係
を維持したいと希望している」などと意見広告を盛んに訴えている。だ
が、これらの宣伝活動は合法であり、非合法の諜報活動でないことは明らか。

むしろこれから予測されるのはネット世論、保守系サイトへのハッカー攻
撃、代理人を使ってのツィッター作戦などで、テレビ番組への浸透なども
行われるだろう。また「実業家、シンクタンク、映画界、ジャーナリス
ト、宗教指導者等に中国の宣伝を吹き込もうとしている」とトランプ大統
領は批判のオクターブを挙げた。

その場に出席していた王毅外相はただちに反論し「中国はどの国にもいか
なる選挙干渉を展開したことはないし、いまの大統領の指摘には証拠が開
示されていない」とした。しかし、来週、ペンス副大統領が、これらの証
拠書類を用意して、ふたたび中国の干渉を批判する第2弾を放つことに
なっている。

トランプ政権は中間選挙で苦戦と伝えられるが、史上空前の高値をつけて
いる株価、未曾有の失業率の低さ、好景気などの状況下では与党が断然有
利である。

したがって致命的な失策さえなければ、共和党の辛勝、とくに上院は過半
数確保という展望があり、なんとしても、トランプを追い込みたい野党
が、中国のトランプ攻撃に歩調を合わせる場面はおこりうるかも知れない。

     
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1795回】            
――「支那人は不可解の謎題也」・・・徳富(20)
  徳富蘇峰『支那漫遊記』(民友社 大正7年)


 ■「(一四)高帽と和寇」

 「事實の如何は兎も角も、支那人の目には、日本人は前垂掛けたる海賊
にあらざれば、高帽を戴きたる和寇の如く映ずる也」。日本人は「支那の
物を、泥坊同樣に持ち去」り、「日本人のみ得」するように振舞っている
と見ている。こういった見方は「大いなる誤解にして、且つ畢竟支那人の
僻み根性より出で來たる幻影」というものだ。

 だが顧みて日本人は「餘りに多く自己本位に過ぎたるにはあらざるな
き乎」。「多く吾が便宜、都合、利?、収穫を見て、一切他を顧慮せざる
にはあらざるなき乎」。

 「若し自己本位の標準を以て律せば、支那人、未だ必ずしも、日本人
の下に就」くことはないだろう。また「彼の利己主義を無視し、我が利己
主義のみを主張するに於ては」、必然的に「彼より嫌忌せられ、憎惡せら
るゝ」ことになる。

 かくして徳富は、その原因は兎も角も、こういった印象を「支那人に與
へつゝある一事を、記憶す可きのみ」としながら、このまま「日支親善を
實行するの困難なるは、言ふ丈が野暮也」と。

 だが、少し考えれば思い当たるはずだろう。どのような状況にあれ
「日支親善を實行する」などということは最初から至難だということを。
であればこそ「日支親善を實行するの困難なるは、言ふ丈が野暮也」など
と“ご託宣”を垂れること自体が、「言ふ丈が野暮」ではなかろうか。


 ■「(一五)歐米人と日本人」

 「歐米人の支那に於て、仕事をなすや、何處となく鷹揚也。自から大な
る利?を取る」が、アバウトな取引をするから「利益の若干は、目の外に
漏れ出」す。その「漏れ出」して利益が「支那人の最も悦び、最も好み、
最も樂しむ所」なのだ。これに対し日本人は、「利?は愚ろか、芥も、塵
も、水も漏さぬ樣、之を己に撈ひ去」ってしまう。

「西洋の支那人と呼ばれたる獨逸人さへも、尚ほ一切の取引」において
は買弁を呼ばれる中、人仲介業者を配して、彼らに利益を与えている。と
ころが日本人ときたら「斯る仲介機關を排除して、概ね直取引を做」して
利益の独占を図る。

 山東省で状況をみたところ、「獨逸人必ずしも寛大」ではなく、「日
本人必ずしも苛酷」というわけではない。
にもかかわらず山東人は「獨逸支配の往時を、謳歌し」ている。それとい
うのも、「獨逸人は支那人に、下請負を做」さして利益のおこぼれを与え
ているが、「日本人は、一切萬事」を我がものにしてしまうからだ。

 買弁という仲介者を置くような制度は「支那人と直接に取引するの、
能力を有する日本人」にとっては無用だといえる。だが買弁制度があるか
ら、彼らは「歐米物資に對しては、所謂る非買同盟の如き事は、容易には
行はれ得」ない。だが日本との取引には買弁制度がないため、日貨非買・
日貨排斥運動は簡単におきてしまう。

じつは買弁は「寧ろ中以上の資産、勢力を有する輩」であればこそ、彼
らは自らの力で「縱令支那人の一部に非買同盟の出で來たらんとするも、
之を防止する」ことになる。
なぜなら彼ら買弁は社会的に力を持っているからこそ、自らの商売を窮地
に陥れるような非買同盟などの活動を許すわけはないからだ。

これに対し収支を厳格にしすぎる日本の場合、「支那人と何等利?の共
通なき、日本物資に於ては、何人も之を未然に防ぐものなく、既然に抑ふ
るものなき也」。
だから「支那取引の上」で日本人は欧米人より多くの利益を上げているに
も拘わらず、その利益以上の「代價を、拂ひつゝあり」、しかも「此の代
價や、格外の高價と知るべし」。 
確かに!
     

◆金持ち排除を進める習近平主席の影

櫻井よしこ
 

「アリババ集団マー会長退任の背後に金持ち排除を進める習近平主席の影」

中国電子商取引(EC)最大手、アリババ集団のジャック・マー会長が五
四歳の誕生日、9月10日を期し会長職を退くと米「ニューヨーク・タイム
ズ」紙が報じた。

3日後、アリババ集団は、退任は今年ではなく、来年の9月10日だと発表し
た。マー氏が株主に宛てて公開した書簡には「大好きな教育分野に戻りた
い。世界は大きく、私はまだ若く、新しいことに挑戦したい」と書かれて
おり、時期は1年ずれたが、会長退任は間違いなさそうだ。

そこで誰しも思うだろう。マー氏はアリババ集団を一代で時価総額約4000
億ドル(約44兆円)企業に育て上げた。スマホ決済で一気にキャッシュレ
ス社会を出現させ、昨年の決済総額1377兆円の約半分を自社のアリペイが
占めた程の成功もおさめた。その彼が何故、いま、退くのか、と。

中国共産党の下で人々はいかにして富と権力を得るのか、権力の一部とな
ればなったでどれ程の火傷を負い失脚するのかを思えば、マー氏退任の背
景に影を見るのは当然だ。「産経新聞」外信部次長の矢板明夫氏が語る。

「習近平国家主席の基本方針は毛沢東路線への回帰です。その特徴のひと
つが金持ち潰しです。毛沢東は全権力を中国共産党に集中させ、その上に
立つ自身の存在を核心と位置づけました。習氏も同じようにしたい。核心
はひとり、中心軸はひとつ。その一本軸の縦構造に並列して、兆円単位の
資産を動かす民間の大金持ちが生まれると、そこにも求心力が動く。核心
は2つは不要、そこで金持ち排除に走るのです」

習政権下で大富豪が次々に逮捕され、消されるケースが続いている。今年
5月にも中国保険業界の一角を占めていた安邦保険集団の元会長、呉小暉
氏が懲役18年の刑を科され失脚した。

呉氏はトランプ米大統領の娘婿、ジャレッド・クシュナー氏と非常に近い
関係にあった。2016年の米大統領選挙でトランプ氏の勝利が確定した直
後、クシュナー氏が最初に会食した相手が呉氏だった。

呉氏は中国共産党とのコネをばねにのし上がった。若き日に浙江省杭州市
長の娘と結婚し、自動車販売の利権で財を成し、次に元上海市長の息子の
コネを活用して〓小平(とう・しょうへい)一家に接近、妻と離婚して〓
(とう)の孫娘と再婚した。より大きな共産党へのコネを手に、呉氏は保
険業界に進出、短期間に巨万の富を築いてニューヨークの名門ホテル
「ウォルドルフ・アストリア」を買収した。

だが、米政権に深く食い込み影響力を発揮するような存在を、共産党が許
容し続けることはないのである。当局の調査が始まり、保険監督局が安邦
保険集団を公的管理下に置いたのが今年2月、3月には裁判開始、5月10日
には先述の判決が下された。〓(とう)の孫娘の夫といえども冷酷に切り
捨てられた。

大富豪が得意の絶頂で逮捕、投獄され、あるいは自殺に追い込まれる事例
など掃いて捨てる程あるのが中国だ。矢板氏は中国人大富豪の「寿命」は
10年単位で見るのが妥当だと言う。

「中国共産党の権力にくっついて利権を手にする大富豪は権力者が交替し
て新しい権力層が生まれるときが危機なのです。前任者の人脈や利権はこ
とごとく剥奪されるからです。それが種々の逮捕や自殺事件につながります」

どれ程頑張っても中国人の個人的栄華は10年が目途、20年はもたないとい
うのだ。マー氏は通貨の意味を変える程の大変化を巻き起こし、資本主義
経済の新たな波を中国に起こしたかに見える。しかし、共産党支配の論理
の下では、長続きさせてもらえない。

マー氏はビル・ゲイツ氏のように社会貢献に力を注ぎたいと発言した。果
たして習氏がそれを諒とするのか、まだわからない。少なくとも、このま
ま「盛大な成功」を続ければ、己の命運が尽きるとの自覚が退任予告につ
ながったと見てよいだろう。
『週刊ダイヤモンド』2018年9月29日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1248

◆顕微鏡検査で歯周病菌発見

毛馬一三



奥歯に違和感があったので、近くの「歯科医」に診療に行った。これまで虫歯は一本もなかったので、歯科医院に行くのは10余年振りのことだった。

診察の結果、奥歯1本に軽度の虫歯があるとのことで、治療を開始することになった。とにかく軽い虫歯発見だけで済んだため、一旦は胸を撫で下ろした。

ところが驚いたことがあった。この歯科医院の診察室には「位相差顕微鏡」が備えられており、患者の口内に歯周病菌やカビ菌が有るか否かをたちどころに検査するシステムが整えられていた。

歯科医院には「顕微鏡と映像公開装置」のセットが5年ほど前から導入され始めたそうだが、長期ご無沙汰していた筆者にとっては、このようなセットがあるとは、全く知らなかった。

映し出された筆者の口内検査画面の映像をじっくり見ると、紐状の歪んだ塊が幾重もあり、その間を原虫みたいなものが無数に蠢いている。初めて見る映像だったので、不気味な映像に悪寒が込み上げてきた。

歯科医師の説明によると、映像で蠢いているのは歯周病菌で、紐状の塊はカビ菌だという。なんと口内で歯周病菌が見付かったのだ。

歯周病菌は、回し飲みや回し食い、箸の使い回し、キス、くしゃみなどが感染ルートとして上げられ、一旦口の中に進入すると定着して発症するケースが多いそうだ。外食の多い人には特に罹患の可能性が高いという

歯周病は、口の中で出血すると血管に入り、心臓で炎症を起こすという。歯周病の患者が心臓病になる確率は2〜3倍にあがり、このほか食道癌、糖尿病、早産、高血圧などにも関与しているという。

カビも酸を出すので歯を溶かし、虫歯につながるという。予防を怠れば、どちらも恐ろしい病気だ。

このため歯周病菌予防とカビ菌除去のために、「細菌の除去薬剤・シスロマック」とスプレー式カビ取り歯磨き剤の「ぺリオバスターN」を出してもらい、予防措置を講じた。

2週間後に再度行った「顕微鏡」検査で、症状に改良が確認されたので一安心したが、油断は禁物。今も歯の手入れには真剣に取り組んでいる

ところで、歯周病の進行を症状の具合でみると、
@ 口臭、ネバネバ感
A 歯ぐきに赤み、時々出血
B 歯ぐきの炎症、腫れ、赤みの悪化
C 歯ぐきを押すと膿が出る
D 口臭が更に悪化、出血がひどい、歯が揺れる、歯ぐきがよく腫れる
E 歯が痛くて噛めない、歯が揺れて噛めない、歯ぐきが常時腫れている

といった順序で進行いくという。無感覚の中で進行する場合もあるという。

であれば、定期的に歯科医院に通い、歯周病が再感染していないかを「顕微鏡」で調べる必要があるようだ。またカビ菌も歯周病菌の棲みかとなって歯周病に再感染する要因になるので、適切なクリーニングが求められる。

序でながら、義歯にもかなりのカビが付くので、歯周病と関わりがあり、義歯のブラッシングも留意すべきだそうだ。

歯周病菌が「顕微鏡」で発見されたものの、歯周病には患っていなかったのでラッキーだったが、この機会に歯の手入れには一層気を配って行こう。そうしないとこれから美味しいものが頂けなる。
参照:<国際歯周内科学研修会監修・顕微鏡検査のススメ> 

2018年09月28日

◆トランプのごり押しに手を拱く必要はない

杉浦 正章


日本はグローバリズムの流れを推し進めよ

EPA、TPP11の発効を急げ

「どうしてくれる」と片肌脱いで開き直っているトランプの姿はまるで超
大国ヤクザである。首相・安倍晋三との会談で「2国間交渉」をもぎ取っ
て、直面する中間選挙ばかりか2020年の大統領選まで有利に運ぼうとして
いるかに見える。

トランプのグローバリズムへのの拒絶反応は、選挙ばかりに目を奪われる
独善的な米大統領の姿を鮮明にさせ、歴代大統領が大切にしてきた世界の
リーダーとしての信望をかなぐり捨てた姿を浮かび上がらせた。

日本は EPA、TPP11の発効を急ぐ必要がある。

 米紙ワシントン・ポストは「トランプは世界の笑いものになった」との
識者のコラムを掲載した。トランプが25日の国連演説の冒頭で「2年足
らずの間に、我が政権は米国史上かつてないほど多くのことを成し遂げて
きた」と自賛すると、会場の各国首脳らからは失笑が漏れた。

まるで成金 が金歯を自慢するような演説だからだ。さすがのトランプも
しまったと 思ったのか「こんな反応は想像していなかったが、まあいい
だろう」と胸 を張り、会場のさらなる冷笑を生んだ。

国連憲章の基本を流れる精神はグローバリズムだが、トランプは臆面
もなく「我々はグローバリズムのイデオロギーを拒絶し、愛国主義を尊重
する。モンロー主義が我が国の公式な政策だ」と言ってのけた。

歴代大統 領の外交方針はおおむね独善的なモンロー主義の否定から始
まったもの だ。米国の外交主流派はこの方針採用をトランプに進言した
が、トランプ は臆面もなく無視したといわれる。演説の最中大統領補佐
官ジョン・ケ リーが「オー、ノー!」とばかりに片手で顔を覆ってうつ
むいていた。そ の写真が評判になり、ソーシャルメディアでは「全てを
物語っている」な ど絶妙なコメントが相次いだ。

 各国首脳が黙っているわけがなく、仏大統領マクロンは「身勝手な主権
を振り回し、他国を攻撃する国家主義を我々は目撃している」と手厳しく
批判。国連事務総長グテーレスは演説で、トランプを名指しこそしなかっ
たものの、「世界が20世紀史の、特に1930年代の教訓を無視して再び大衆
主義と孤立主義の道を突き進み、またしても世界的な紛争に転落していく
危険がある」と警告した。

2016年の大統領選挙でトランプと争ったクリン トンも、「トランプ大統
領の発言は危険だ」と警告した。まさに藪を突い て蛇を出し、四面楚歌
に導いたのがトランプ演説であった。

多国間貿易交渉の枠組みを重視してきた日本に対しても、トランプは 2
国間交渉で譲歩を迫った。結局安倍との首脳会談ではとりあえず2国間
の交渉に入ることで合意した。

日本はこれまで環太平洋経済連携協定 (TPP)への米国の復帰を求め
てきた。2国間交渉だと米国に有利とな るとの判断が背景にあったためだ。

しかしトランプは日本の対米貿易黒字 の6─7割を占める自動車・同部品
に目を付けており、日本側に高関税や 輸出数量規制を突きつけたよう
だ。このため日本側は交渉に入らざるを得 ないと判断に至った。当然な
がら首脳会談では交渉中は、輸入車への高関 税を日本に対してはかけな
いことで合意した。

ただ、米国が折に触れて自動車への関税をほのめかし、対日交渉を有利
に運ぼうとすることは確実であろう。このためこの際日本は対米追随だけ
でなく、トランプの「米国第一主義」に対抗するグローバリズムの旗を欧
州やアジア諸国と共に掲げる必要に迫られている。

既に進展している豪州 などとのTPP11の発効を来年早期に達成する
必要があるのではない か。世界GDPの13%、域内人口5億人をカバーし、日
本にとっては輸出や海 外展開の環境が整い、消費者にとっても食品値下
げなどの恩恵がある。

ま た欧州との経済連携協定(EPA)の発効も急ぐべきだ。自由貿易を
尊重 する国々の協力は、米国内の孤立化反対論やマスコミを勢いづけ、
変化へ と導く有効な手段となるに違いない。

◆中国で最も有名な女優が、行方不明

宮崎 正弘


平成30年(2018年)9月26日(水曜日)参 通巻第5836号   

 中国で最も有名な女優が、行方不明100日の謎
  肖建華、獄中で20キロの激やせ、ちかく裁判公開か

有名女優の氾氷氷(ファン・ビンビン)が100日間も所在不明となり、
「脱税容疑で拘束か」等という伝聞が中国全土で、いや世界中で話題と
なった。

TIMEも、この女優失踪事件をとりあげ「昨年に4300万ドルを稼いだ中
国で一番有名な女優。すでにハリウッドに進出し3本の映画に主演、ちか
くスパイスリラー映画に挑む予定だった。彼女は昨年度の『TIMEが選
ぶ将来に影響を持つ百人』にも選ばれていた」と評した(TIME、2018
年10 月1日号)。

そのニュースの影に隠れたが、明天証券のボスだった肖建華の動静が香港
筋から伝わった。江蘇省の刑務所に収監されている肖建華は、20キロも激
やせで、ちかく上海か、その周辺で行われる裁判に現れるという。
 
肖建華が長期滞在していた香港の豪華ホテルから白昼に拉致誘拐され、中
国大陸に連れ去られてから1年あまり、杳として行方が知れず、消された
可能性もあると噂された。

香港のフォーシーズンズホテルでは8人のボディガードに囲まれて生活し
ていた。

肖建華は米国に亡命した郭文貴とともに、江沢民系とされ、江沢民の孫
や、その人脈に繋がる太子党の財産を管理し、インサイダー取引の総元締
めと言われた。あらゆる金融界の裏情報を握っていたため習近平政権から
疎まれていた。

習近平は、江沢民派に繋がる人脈の壊滅を狙って、つぎつぎと側近や財産
管理のブレーンを拘束し、裁判にかけてきた。2017年10月までに罰せられ
た共産党員は、じつに134万人にのぼる」(TIME、10月1日号)。

トウ小平の孫娘と再婚して破竹の勢いだった安邦保険の呉小輝を逮捕し、
天文学的罰金と懲役18年、このため、もう1人の黒幕、郭文貴はニュー
ヨークに逃れ、つぎつぎと習近平人脈の不正蓄財や海外への資産隠匿名護
を暴き続けている。

江沢民、曽慶紅らの恨みを買い、とくに江沢民派だった軍人の恨みが深
く、暗殺未遂事件は明らかになっているだけでも9件。習の乗るリムジン
はアメリカ大統領よりも厚い防弾ガラス、16人のボディガードが24時間態
勢で身を守る。 

テンセントのチャットで、氾氷氷のツィッターは6200万人のフォロアーを
誇ったが、共産党のお気に召さない意見をのべたらしく、チャットが閉鎖
され、このためテンセントの時価総額は1500 億ドルが消えた。

インターネットのおける「ウィルスを排除し、共産党の健康体を守護する
ため」というのが中国共産党のネット規制の言い分である。

(註 氾氷氷の『氾』は草冠。「氷」はともにさんずい)
     ☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆
 書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評BOOKREVIE 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 そうか、やっぱり彼らは裏でつるんでいたんだ
  鳩山とか石破とか、レンホーに山本某らの暗闇の構図

  ♪
カミカゼじゃあのWWW『売国議員とマスコミ』(青林堂)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

著者の「カミカゼじゃぁのWWW」って、ネットの書き手らしいが、匿名
の由である。

本書は独自の情報源から、左翼メディアの裏側、とくに国会議員、それも
野党議員の裏側と外国との暗い闇、その資金的な繋がりを、政治献金など
の報告書から、トライアングルの醜い構図を描き出し、その仕組みがかつ
てのゾルゲ事件を彷彿とさせる。永田町通らしく、するどく問題点を抉り
出している。

怪しげな政治家とは中国語をあやつるレンホーとか、山本一郎とか、いろ
いろいるが、彼らを国会に押し出したのは田原総一朗、高野孟ら隠れ左
翼ジャーナリストの面々だったと総括する。

日本を食い尽くす陰謀シンジケートが、左翼メディア、とくに左翼の拠点
となったテレビと新聞だが、彼らが持ち上げる鳩山宇宙人とか、石破な
んとかとか、「壊し屋」とも「永田町の不動産屋」(最近は沖縄に豪邸を
建てたとかの)小沢一郎と、みんな裏で連んでいた事実が浮かび上がる。

これらの売国議員と売国奴メディアが国を売る。
どうしてこんな手合いが議席を得たのか不思議でならない売国議員、ゴミ
芥の類でしかない朝日、東京などの極左メディア、そして面妖なパチンコ
業界など業界団体のカネのためなら国を売りかねない実態を鮮明に暴き出
した。

◆アリババ集団マー会長退任の背後に

櫻井よしこ


「アリババ集団マー会長退任の背後に金持ち排除を進める習近平主席の影」

中国電子商取引(EC)最大手、アリババ集団のジャック・マー会長が五
四歳の誕生日、9月10日を期し会長職を退くと米「ニューヨーク・タイム
ズ」紙が報じた。

3日後、アリババ集団は、退任は今年ではなく、来年の9月10日だと発表し
た。マー氏が株主に宛てて公開した書簡には「大好きな教育分野に戻りた
い。世界は大きく、私はまだ若く、新しいことに挑戦したい」と書かれて
おり、時期は1年ずれたが、会長退任は間違いなさそうだ。

そこで誰しも思うだろう。マー氏はアリババ集団を一代で時価総額約4000
億ドル(約44兆円)企業に育て上げた。スマホ決済で一気にキャッシュレ
ス社会を出現させ、昨年の決済総額1377兆円の約半分を自社のアリペイが
占めた程の成功もおさめた。その彼が何故、いま、退くのか、と。

中国共産党の下で人々はいかにして富と権力を得るのか、権力の一部とな
ればなったでどれ程の火傷を負い失脚するのかを思えば、マー氏退任の背
景に影を見るのは当然だ。「産経新聞」外信部次長の矢板明夫氏が語る。

「習近平国家主席の基本方針は毛沢東路線への回帰です。その特徴のひと
つが金持ち潰しです。毛沢東は全権力を中国共産党に集中させ、その上に
立つ自身の存在を核心と位置づけました。習氏も同じようにしたい。核心
はひとり、中心軸はひとつ。その一本軸の縦構造に並列して、兆円単位の
資産を動かす民間の大金持ちが生まれると、そこにも求心力が動く。核心
は2つは不要、そこで金持ち排除に走るのです」

習政権下で大富豪が次々に逮捕され、消されるケースが続いている。今年
5月にも中国保険業界の一角を占めていた安邦保険集団の元会長、呉小暉
氏が懲役18年の刑を科され失脚した。

呉氏はトランプ米大統領の娘婿、ジャレッド・クシュナー氏と非常に近い
関係にあった。2016年の米大統領選挙でトランプ氏の勝利が確定した直
後、クシュナー氏が最初に会食した相手が呉氏だった。

呉氏は中国共産党とのコネをばねにのし上がった。若き日に浙江省杭州市
長の娘と結婚し、自動車販売の利権で財を成し、次に元上海市長の息子の
コネを活用して〓小平(とう・しょうへい)一家に接近、妻と離婚して〓
(とう)の孫娘と再婚した。より大きな共産党へのコネを手に、呉氏は保
険業界に進出、短期間に巨万の富を築いてニューヨークの名門ホテル
「ウォルドルフ・アストリア」を買収した。

だが、米政権に深く食い込み影響力を発揮するような存在を、共産党が許
容し続けることはないのである。当局の調査が始まり、保険監督局が安邦
保険集団を公的管理下に置いたのが今年2月、3月には裁判開始、5月10日
には先述の判決が下された。〓(とう)の孫娘の夫といえども冷酷に切り
捨てられた。

大富豪が得意の絶頂で逮捕、投獄され、あるいは自殺に追い込まれる事例
など掃いて捨てる程あるのが中国だ。矢板氏は中国人大富豪の「寿命」は
10年単位で見るのが妥当だと言う。

「中国共産党の権力にくっついて利権を手にする大富豪は権力者が交替し
て新しい権力層が生まれるときが危機なのです。前任者の人脈や利権はこ
とごとく剥奪されるからです。それが種々の逮捕や自殺事件につながります」

どれ程頑張っても中国人の個人的栄華は10年が目途、20年はもたないとい
うのだ。マー氏は通貨の意味を変える程の大変化を巻き起こし、資本主義
経済の新たな波を中国に起こしたかに見える。しかし、共産党支配の論理
の下では、長続きさせてもらえない。

マー氏はビル・ゲイツ氏のように社会貢献に力を注ぎたいと発言した。果
たして習氏がそれを諒とするのか、まだわからない。少なくとも、このま
ま「盛大な成功」を続ければ、己の命運が尽きるとの自覚が退任予告につ
ながったと見てよいだろう。
『週刊ダイヤモンド』2018年9月29日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1248