2018年09月05日

◆沖縄基地問題を巡る壮大な矛盾

                          櫻井よし子


「沖縄基地問題を巡る壮大な矛盾の構図 『不都合な真実』の予見は説得
力がある」

沖縄県が熱い政治の渦の中にある。翁長雄志知事の死去で、知事選挙が9
月30日に繰り上がった。氏の後継者として小沢一郎氏の同志で、自由党幹
事長の玉城デニー氏が出馬する可能性が濃厚だ。

自民・公明の候補者は普天間飛行場を擁する宜野湾市の前市長、佐喜眞淳
氏である。宜野湾市議、沖縄県議を経て宜野湾市長に至る足跡は、激しく
ぶれた翁長氏の経歴とは対照的だ。

両氏の一騎打ちが予想される中、沖縄では「弔い合戦」「オール沖縄」な
どの言葉が飛び交う。現地紙の「琉球新報」「沖縄タイムス」は、翁長氏
が辺野古の海を守るべく本土政府と鋭く対立し、命懸けで闘ったと熱く報
じ、知事選挙を氏の遺志を継ぐ弔い合戦だと印象づける。2紙は沖縄県人
が一致して「オール沖縄」で本土政府と闘うという形づくりに懸命である。

しかし、「オール沖縄」は本当に保革両勢力を束ねる政治基盤なのか。翁
長氏はかつての自民党県連幹事長で、普天間飛行場の県内移設を容認して
いた。その保守の政治家が共産党主導の革新勢力と手を結んだために保革
両勢力が結集したかのような印象を与えたが、真実はどうか。翁長氏はな
ぜ突如、辺野古移設に反対し始めたのか。

こうしたことを本土側の思い込みで理解しようとすると、必ず間違う。で
はどうしたら沖縄を理解できるのか。

田久保忠衛氏は沖縄返還の前、時事通信那覇支局長だった。氏は沖縄理解
の基本として「沖縄学の父」とも言われる伊波普猷(いはふゆう)を読む
ことだと語る。沖縄・久米島にゆかりのある佐藤優氏も伊波の『おもろさ
うし』を読み通したと、どこかに書いていた。ちなみに伊波は誰も研究す
る人のいなかった時代から琉球の万葉、「おもろ」を研究し『おもろさう
し』をまとめた。

伊波の膨大な著作に加えて、手軽な新潮新書『沖縄の不都合な真実』(大
久保潤、篠原章著)を読めば、かなり沖縄のことがわかる。『不都合な真
実』は現在進行形の事象を中心にしたジャーナリスティックな著述だ。

大部の専門書である伊波の全集と、小振りな新書は沖縄理解の根本におい
て重なっている。両者に通底するのは沖縄へのあたたかな想いと、沖縄の
暗部への深い斬り込みである。

『不都合な真実』は、誰も反論しにくい「沖縄の被害者の立場」を前面に
出した「沖縄民族主義」を冷静に批判し、補助金依存型経済と公務員優位
の社会構造にメスを入れない限り、基地縮小は進まないと断ずる。同批判
は伊波がざっと以下のように指摘した「沖縄人の最大欠点」と本質的に重
なる。

〈日支両国に従属した歴史の中で沖縄人は二股膏薬主義を取らざるを得
ず、生きるために友も師も、場合によっては国も売るという性質を育んだ〉

弱者の立場ゆえに、生存のためにはどっちにも転ぶというのだ。

結論を急げば、翁長氏を支える勢力は「オール沖縄」と称されるようなも
のではない。4年前の知事選挙の得票率は、翁長氏ら辺野古移設反対派が
52.7%、容認派が47.4%だった。実態は「オール沖縄」ではなく「沖縄二
分」なのだ。

『不都合な真実』は翁長氏の突然の変心は「カネと権力」を巡る覇権争い
ゆえだと分析し、本土の私たちのように、翁長氏変心の原因を辺野古移設
を巡る立場の違いに求めるのは「まったく的外れ」だと斬って捨てる。

沖縄問題は難しい。基地縮小の施策はおよそいつも現地の反対で妨げられ
る。同時に、基地負担の見返りに膨大な額の補助金が要求され、政府が応
じる。それが基地縮小へのブレーキとなる。この壮大な矛盾の中で、今
後、沖縄の自衛隊誘致運動が海兵隊の縮小に伴って一大勢力に発展すると
の『不都合な真実』の予見には、十分な説得力がある。表面的な考察での
み沖縄問題を論ずると間違うのである。
『週刊ダイヤモンド』 2018年9月1日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1245

◆中性脂肪が気になる人の食事療法

庄司哲雄 医師


<中性脂肪とは>

血液中の中性脂肪(トリグリセリドともいう)には二つの由来があり、食事で摂取した脂肪が小腸から吸収され血液中に現われたものと、肝臓で炭水化物から脂肪に作り変えられて血液中に放出されたものがあります。

いずれも、体の組織でエネルギーとして利用されるのですが、血液中の濃度が極端に(1000mg/dL以上)増えすぎますと、急性膵炎を引き起こすことがありますし、それほどでない場合でも(150mg/dL以上)動脈硬化の原因のひとつになります。

<中性脂肪を下げる食事の第一歩>

食事療法の基本は、摂取エネルギーの適正化です。脂肪の摂りすぎのみならず、炭水化物の過剰も中性脂肪を増やしてしまいますので、全てのトータルを適正にする必要があります。
身体活動度にもよりますが、標準体重1Kgあたり25〜30kcal/日程度が適切です。肥満気味の方は少なめにし、減量を目指します。アルコール多飲や運動不足は中性脂肪の大敵です。

<炭水化物と脂肪のどちらをひかえるか>
各人の食習慣により異なる場合がありえますが、炭水化物1グラムで4kcal、脂肪1グラムで9kcalですから、脂肪摂取を控えることが大変効果的です。

<ジアシルグリセロールとは>

少し難しくなりますが、中性脂肪とはグリセロールという物質に脂肪酸が3つ結合した構造(TAG)をしており、いわゆる「油」です。これに対して、脂肪酸が2つだけ結合した油もあり、これをジアシルグリセロール(DAG)といいます。同じような油であっても、小腸で吸収されてからの代謝が異なるため、中性脂肪の値や体脂肪への影響の程度に差があります。

通常の油TAGは、小腸で膵リパーゼという酸素のはたらきで、脂肪酸が2つはずれ、脂肪酸ひとつだけが結合したモノアシルグリセロール(MAG)に分解されます。それぞれは吸収された後、小腸でまた中性脂肪に再合成され、血液中に放出されます。

一方、DAGは中性脂肪へ再合成されにくいため、食後の中性脂肪の上昇が小さく、また体脂肪の蓄積も少ないといわれています。最近、DAGを利用した機能性食品が開発されています。しかし、DAGの取りすぎもカロリー 過剰につながりますので、通常の油TAGとの置き換え程度にすべきでしょう。

<脂質低下作用のある機能性食品>

動物に含まれるステロールという脂質の代表はコレステロールですが、
植物には植物ステロールという脂質が含まれます。これは小腸でのコレステロール吸収を抑制する働きがあります。

<専門医に相談すべき病気>

中性脂肪の増加する病態には、糖尿病やある種のホルモン異常、稀には先天的な代謝障害もありますので、一度は専門の先生にご相談いただくのも大切だと思います。(再掲)
<大阪市立大学大学院代謝内分泌病態内科学  >

2018年09月04日

◆カナダ、不法移民の取り締まりを強化

宮崎 正弘


平成30年(2018年)9月3日(月曜日)通巻第5813号 

 カナダ、不法移民の取り締まりを強化
  なにしろ偽パスポート、フェイク書類に居住証明を弁護士が斡旋

米国は対中国制裁関税の影に隠れたが、留学生のヴィザ供給を規制してい
る。これまでは5年間有効の留学ヴィザだったが、毎年の更新に切り替
わった。このため、各地の語学学校まで生徒数激減に見舞われている。

カナダは不動産取得を条件に、そこで居住して納税すれば永住ヴィザが付
与された。

今から6年前、2012年10月17日、バンクーバー市リッチモンドにある法律
事務所が捜索され、18台のコンピュータと段ボール90箱分の書類が押収さ
れた。不法移民のメッカと見られた容儀だ。

夥しいフェイクパスポート、偽の証明書を作成するゴム印などが、この法
律事務所から発見された。過去に860人もの中国人の不法入国に手を貸し
ていたことが分かった。

おりしも香港返還直後からカナダへの不動産投資による移民が急増してお
り、法律事務所の需要が高く、裏口の斡旋には高額の謝礼が舞い込む。
 手口は不動産投資だが、購入した本人は居住せず、ほとんどが妻妾と子
供達、ひどい例となると5年間のうち、33日しかカナダに滞在していない
人物が浮かんだ。この男の言い分は「母親が死んだので3年間喪に服さな
ければならなかったからカナダにくる機会がなかっただけだ」と言っての
けた。

居住証明をでっち上げるために当該物件の電気ガスの領収書まで偽造され
ていた。 
 
国際的に184日間以上、当該国家に滞在し、納税しなければ市民権は剥奪
される。冒頭の王弁護士は起訴され、罰金と7年間の収監が求刑された。

悪例の前例は1989年6月6日に50人の不法移民を斡旋したマーチン・ピル
ズメーカー弁護士事件だった。149件の証拠書類が見つかった有罪は確定
的だった。

かれは判決の出る直前の91年4月19日にトロントの安ホテルで大量の睡眠
薬を飲んで自殺した。

カナダにはこれまで5万7000人が移民として入国しているが、過半が香
港、およそ2万人が台湾国籍だった。

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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIE 
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 「半島は廊下だった」。ゆえに民族のアイデンティティは「反日」で糾
合しかない
   自由・韓国の死が刻々と近付き、トランプは韓国を見限った

  ♪
古田博司『統一朝鮮は日本の災難』(飛鳥新社)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

韓国の文在寅政権は北朝鮮との統一に猛進している。極左の活動家が大統
領となって国家を率いるのだから、まして国民にアイデンティティが稀薄
ゆえに、北朝鮮との統一に動くのは、むしろ当然の論理的帰結である。

法治主義を謳いながら、司法は権力と癒着している。司法の独立などとい
うのは絵空事、正統性を欠如した国柄だから、歴史の捏造は日常茶飯、卑
劣という概念がない民族だから、専制政治に奇妙な憧れを抱く。李朝の後
継を金王朝と位置づけるのだ。

米朝首脳会談が象徴した出来事は何かといえば、トランプは韓国に見切り
をつけたという明白な、地政学にとって近く変動的な近未来のシナリオが
手に取るように読めることになったことである。

古田教授は言う。

「朝鮮は地政学的に『行き止まり廊下国家』を余儀なくされており、守る
ことが困難なため、為政者は伝統的に無責任な統治要領をつちかい、これ
も近現代まで継続し」てきた。

となると中朝関係は、「腐れ縁のように助け合い、状況次第で互いに平然
と裏切るが、それを背信として恨むことなく、この関係が中国共産党と朝
鮮労働党のように近現代まで継続している。これを『相互不信的幇助関
係』と呼ぼう」(65p)。

となれば、朝鮮人のアイデンティティを探し求めることは歴史学の徒労と
も言える。

古田教授はこう続ける。

「韓国のあがきは一体何かといえば、それは『島化』して分からなくなっ
てしまった自分の出自の再構築であろう。いわば他律性の歴史から自立性
の歪曲史観をひねり出すためのあがきなのである。そのためにトルネード
のごとく韓国は日本を巻き込み続けた」(73p)。
 全編これ直球的剛速球、評者(宮崎)にとっての読後感は爽快というよ
り、あきれ果てる隣国への哀れみだった。
        

◆沖縄基地問題を巡る壮大な矛盾の構図

櫻井よしこ


「沖縄基地問題を巡る壮大な矛盾の構図 『不都合な真実』の予見は説得
力がある」

沖縄県が熱い政治の渦の中にある。翁長雄志知事の死去で、知事選挙が9
月30日に繰り上がった。氏の後継者として小沢一郎氏の同志で、自由党幹
事長の玉城デニー氏が出馬する可能性が濃厚だ。

自民・公明の候補者は普天間飛行場を擁する宜野湾市の前市長、佐喜眞淳
氏である。宜野湾市議、沖縄県議を経て宜野湾市長に至る足跡は、激しく
ぶれた翁長氏の経歴とは対照的だ。

両氏の一騎打ちが予想される中、沖縄では「弔い合戦」「オール沖縄」な
どの言葉が飛び交う。現地紙の「琉球新報」「沖縄タイムス」は、翁長氏
が辺野古の海を守るべく本土政府と鋭く対立し、命懸けで闘ったと熱く報
じ、知事選挙を氏の遺志を継ぐ弔い合戦だと印象づける。2紙は沖縄県人
が一致して「オール沖縄」で本土政府と闘うという形づくりに懸命である。

しかし、「オール沖縄」は本当に保革両勢力を束ねる政治基盤なのか。翁
長氏はかつての自民党県連幹事長で、普天間飛行場の県内移設を容認して
いた。その保守の政治家が共産党主導の革新勢力と手を結んだために保革
両勢力が結集したかのような印象を与えたが、真実はどうか。翁長氏はな
ぜ突如、辺野古移設に反対し始めたのか。

こうしたことを本土側の思い込みで理解しようとすると、必ず間違う。で
はどうしたら沖縄を理解できるのか。

田久保忠衛氏は沖縄返還の前、時事通信那覇支局長だった。氏は沖縄理解
の基本として「沖縄学の父」とも言われる伊波普猷(いはふゆう)を読む
ことだと語る。沖縄・久米島にゆかりのある佐藤優氏も伊波の『おもろさ
うし』を読み通したと、どこかに書いていた。ちなみに伊波は誰も研究す
る人のいなかった時代から琉球の万葉、「おもろ」を研究し『おもろさう
し』をまとめた。

伊波の膨大な著作に加えて、手軽な新潮新書『沖縄の不都合な真実』(大
久保潤、篠原章著)を読めば、かなり沖縄のことがわかる。『不都合な真
実』は現在進行形の事象を中心にしたジャーナリスティックな著述だ。

大部の専門書である伊波の全集と、小振りな新書は沖縄理解の根本におい
て重なっている。両者に通底するのは沖縄へのあたたかな想いと、沖縄の
暗部への深い斬り込みである。

『不都合な真実』は、誰も反論しにくい「沖縄の被害者の立場」を前面に
出した「沖縄民族主義」を冷静に批判し、補助金依存型経済と公務員優位
の社会構造にメスを入れない限り、基地縮小は進まないと断ずる。同批判
は伊波がざっと以下のように指摘した「沖縄人の最大欠点」と本質的に重
なる。

〈日支両国に従属した歴史の中で沖縄人は二股膏薬主義を取らざるを得
ず、生きるために友も師も、場合によっては国も売るという性質を育んだ〉

弱者の立場ゆえに、生存のためにはどっちにも転ぶというのだ。

結論を急げば、翁長氏を支える勢力は「オール沖縄」と称されるようなも
のではない。4年前の知事選挙の得票率は、翁長氏ら辺野古移設反対派が
52.7%、容認派が47.4%だった。実態は「オール沖縄」ではなく「沖縄二
分」なのだ。

『不都合な真実』は翁長氏の突然の変心は「カネと権力」を巡る覇権争い
ゆえだと分析し、本土の私たちのように、翁長氏変心の原因を辺野古移設
を巡る立場の違いに求めるのは「まったく的外れ」だと斬って捨てる。

沖縄問題は難しい。基地縮小の施策はおよそいつも現地の反対で妨げられ
る。同時に、基地負担の見返りに膨大な額の補助金が要求され、政府が応
じる。それが基地縮小へのブレーキとなる。この壮大な矛盾の中で、今
後、沖縄の自衛隊誘致運動が海兵隊の縮小に伴って一大勢力に発展すると
の『不都合な真実』の予見には、十分な説得力がある。表面的な考察での
み沖縄問題を論ずると間違うのである。

『週刊ダイヤモンド』 2018年9月1日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1245

◆健康百話・「肝臓をいたわっていますか?」

片山 和宏(医師)



肝臓は、右のわき腹からみぞおちのあたりにある、重さが約1kgちょっとの臓器です。

心臓のように「どきどき」したり、お腹が空いた時の胃や腸のように「グーグー」鳴ることもありませんが、ただひたすら黙って体の他の臓器に栄養を送ったり、いらなくなったごみを捨てたりしていますので、家族で言えばまさに最近の若いお母さん達にはとても少なくなった昔の良妻賢母型のお母さんの役割を果たしています。

だからといって、あまり無理ばかりをさせていると、ご主人を見捨てて家出してしまうかもしれません。ですから、ご主人であるあなたが普段からちゃんといたわってあげる必要があるわけです。
 
基本的に肝臓は、少しくらい弱っていても自覚症状が出にくい臓器です。しかし、血液検査をすると、実はとても早くから「SOS」のサインを出していることが多いのが特徴です。

 「沈黙の臓器」として有名な、自覚症状の出にくい肝臓も、血液にはちゃんと気持ちを伝えているわけで、血液検査は肝臓の気持ちを察して上げられる重要な検査です。

 これから、どのようにいたわってあげればいいかとか、文句を言いたそうだけど、どのようにすれば早めに察してあげられるかなどについて、シリーズでご紹介していきたいと思います。

            大阪厚生年金病院 消化器担当 

2018年09月02日

◆中国人民解放軍、一箇大隊を

宮崎 正弘


平成30年(2018年)8月29日(水曜日)通巻第5808号 

 中国人民解放軍、一箇大隊をアフガニスタンへ派遣
  ジブチに継ぐ海外軍事基地を「訓練基地」を称して建設。

地図を拡げていただくとアフガニスタンの特徴的な地形、その細長い回廊
が、中国の新彊ウィグル自治区へと繋がっていることが分かる。この回廊
は通称「アフガン回廊」(ワクハン回廊。350キロ)と呼ばれる。

このワクハン回廊の中国に近いバダクシャン地区に、中国人民解放軍は訓
練キャンプを設営し、一箇大隊を派遣する。ジブチに継いで2番目の海外
基地となる。中国は「訓練キャンプだ」と言い逃れている。中国軍の一箇
大隊は500名。

目的は何か? アフガニスタンの無法地帯から、この回廊を経てウィグル
の若いイスラム戦士らが、新彊ウィグル自治区へ潜入している。
中国はかれらを「テロリスト、分裂主義者、過激なイスラム教徒の取り締
まり」だという。中国が具体的にテロリストと分類しているなかには、
「東トルキスタン独立運動」が含まれている。

「東トルキスタン」が正式の国名であり、中国が戦後のどさくさに乗じて
侵略し、新彊ウィグル自治区などと勝手に命名した。「あたらしい辺疆」
という意味である。チベットを「解放した」と詐称するのと同じ詭弁である。

さてことしのSCO(上海協力会議)にアフガニスタンは正式メンバーと
なって、習近平の「シルクロード」構想に加わった。これが伏線だったのだ。

アフガニスタン政府は、領内「アフガン回廊」に中国軍の訓練基地を認め
た。中国の狙いは表向きテロリスト対策だが、もうひとつはアフガン領内
にある豊饒な鉱物資源鉱区だろう。
       
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 書評 しょひょう BOOKREVIEW 書BOOKREVIEW 
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 ヒトラーはルーズベルトの挑発をことごとく黙殺した。
米国は「東洋にヒトラーの代役」(つまり戦勝国史観の悪役)を捜しあてた

  ♪
チャールズ・カラン・タンシル 渡辺惣樹訳『裏口からの参戦』(草思社)
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副題は「ルーズベルト外交の正体 1933−1941」である。分厚い翻訳本、
しかも上下二巻。渡辺惣樹氏の名訳。斯界に衝撃を与え続ける翻訳者は、
どうやって、このたぐいの名著原典を探し出すのか、不思議である。

本書は1952年に「戦勝国史観」に対するアンチテーゼとして刊行され、米
国の歴史学界において、一部の歴史学者からは高い評価を得たが、ルーズ
ベルト大統領一派は、攻撃、侮辱を重ねて、本書を排斥した。チャールズ
はジョージタウン大学などで教鞭を執ったが、晩年は左翼からの罵倒に
よって恵まれない環境のなかに生涯を終えた。

真実を言う学者は、どの世界でも冷遇されるものである。
 
しかし66年ぶりに日本で甦ったのだ。

反日家だったルーズベルトは、国民世論が絶対的に参戦反対というムード
の中で、じつは軍の高層部も日本との戦争には反対だった。それならば、
謀略を仕掛けて日本に真珠湾攻撃をしでかすように仕向け、まさに「裏
口」から第二次世界大戦へ雪崩れ込んだ。その具体的なルーズベルト政権
の騙しの方法がどうであったかを歴史を溯って詳述する。

まずドイツだった。しかしルーズベルト外交の裏の意図をヒトラーは戦略
的に先回りして、読んでいた。

ヒトラーはアメリカの挑発に乗らなかった。黙殺したのだ。

反日戦争屋のスティムソンが、1940年に陸軍長官となった。矛先は明瞭に
日本に向けられた。

スティムソンは、日記にこう書いた。

「問題はいかにして日本に最初の一発を撃たせるかである。もちろん、そ
れが我々にあまりにも危険であってはならないが。。。」

その翌日にハルは日本に最後通牒を突きつけたのだ。

ヒトラーが拒否した役回りを日本の政治家にふることをルーズベルトは決
めた。

「ルーズベルトはシグナル役を東洋に見つけた。そして真珠湾攻撃が起き
た。彼が待ちに待った死の曲を演奏するシグナルとなる事件を日本がおこ
してくれた」。

直前までの和平交渉からハルノートへいたるまでの表向きの歴史は、すで
に多くが語られた。日本が戦争回避に必死だったことは誰もが知っている。

問題は「語られなかった」水面下の動きだった。

米軍は「天気予報」の暗号で「東の風、雨」というダミー暗号から、日米
開戦が不可避となってことを事前に知っていた。これらの詳細は本書にあ
たっていただくことにして、真珠湾攻撃当日、次のホワイトホウスのなか
の動きの描写はきわめて印象的である。

「真珠湾攻撃の報が届く前のホワイトハウスの執務室は穏やかだった。外
から入る電話を遮断していた。大統領は、切手のコレクションを静かに整
理し、ポプキンズは大統領の愛犬ファラと戯れていた。

運命の午後 一時が過ぎた。しばらくして日本軍による真珠湾攻撃をしら
せる報が届い た。そうしてアメリカはあの大戦に引きずり込まれた。そ
して大戦が終 わった今も、共産主義国と戦い続けている有様である」

翻訳者の渡辺氏はフーバー大統領の『裏切られた自由』、フィッシュの
『ルーズベルトの開戦責任』の翻訳もこなしたが、この本をもって日本人
インテリに『是非読んで欲しい三部作』としている。
        
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1781回】                 
――「支那人は不可解の謎題也」・・・徳富(6)
  徳富蘇峰『支那漫遊記』(民友社 大正7年)

             △

徳富は満鉄経営の問題点を挙げながら、「滿鐵に必要なるは、創業の氣分
也。然り創業の氣分なり」と説く。やはり初心忘るるべからず、である。
さて、昭和20年8月15日の敗戦のその日まで、満鉄経営首脳陣は「初心」
を貫いたといえるだろうか。

10月10日、大連を発ち営口に向う。

これまでの観察から、「眞の滿洲の富は、寧ろ關東州以北にある可し。更
らに進んで云はゞ、奉天以北にある可し。或は長春以北にありと云ふが、
尤も恰當の言ならむ」とする。「長春以北」といえば、その先に北満が控
え、要衝のハルピンを東西に貫いて東清鉄道が奔り、東に向えばウラジオ
ストック、西に向えば満州里からチタを経てモスクワ、ペトログラードに
繋がる。ならば日本の進む道は革命ロシア(ソ連)を相手に北満を押さ
え、東清鉄道に対し圧力を与え、あわよくば北満産業の大動脈であり生命
線である東清鉄道を影響下に置くことあるはずだ。

かつて満洲最大の交易港であった営口も、いまや「其の血液の大部分を、
大連に吸ひ取られ」てしまい、「衰殘の形骸に過ぎざるが如し」。

満州の2大河川といえば、北流してハルピン郊外を過る松花江と南流して
営口で渤海湾に注ぐ遼河である。前者の流域一帯には「露國の勢力注入せ
られ」、後者流域は「英國の勢力區域」である。徳富は遼河を西に越えて
遼西地方に入った後、海岸沿いに南下して中国本部と満洲を限る山海関を
経て秦皇島に至った。

日本は遼河の東側である遼東地方についてはともかくも、英国の影響下に
ある遼西地方に至っては関心を払わない。「遼河は實に支那に於ける、自
然的大動脈也。此の大動脈を、如何にせんとする乎。而して此の大動脈の
流域たる遼西を、如何にせんとする乎」と疑問を呈する。満州経営のリス
クと将来性を考えるなら大連一辺倒は危険であり、遼西地方に対する考え
ておくべきだ、というのだろう。

京奉線で天津を経由して北京入りしたのは10月13日午後9時近くだった。

北京では紫禁城、文華殿、孔子廟、国子観、天壇などの旧跡を訪ねている
が、それらの建物の落?ぶりを眼にし、数年前に洪憲を名乗り念願の帝位
に就きながら内外からの強い批判を受けて帝政を取り止め憤死した袁世凱
の人物評を下している。

「袁世凱は誤魔化を以て始終せり。死者に鞭つは、吾人の屑とせざる所
なるも、彼が本性は、端なく此處にも暴露せらる。彼は根本的の施設家よ
りも、一時の間に合せ的の仕事師」に過ぎない。「彼の帝政も亦た、槿花
一朝の夢たりし也。而して今後袁翁に代りて、支那を統一するもの、知ら
ず何人ぞ」。

北京では段祺瑞総理、馮国璋総統、段芝貴北京衛戍司令官、梁啓超財政部
総長、曹汝霖交通部総長、湯化龍内務部総長、汪大燮外交部総長など当時
の中華民国政府首脳と面談している。

はたして彼らの中に「今後袁翁に代りて、支那を統一する」ことのできる
人物を見い出すことが出来たのか。以上の要人には釋宗演も顔合わせを
し、その際の人物評を『燕雲楚水 楞伽道人手記』に見ることができる。
同一人物に対する徳富と釋宗演の評価の違いを知るのも一興か。

先ず段祺瑞については、「小男にして、顔色??、顴骨秀で、眼の玉きよ
ろりとして、極めて落ち着きたる風あり。支那人には、恐らく珍しき寡默
にして、且つお世辭の少なき男なる可し」。

一見したところ、「聰明の人」なのかどうか判然とはしない。だが「多少
意志あり、且つ自信ある人」のようでもある。「些か一本調子にして、鼻
先強きに似たり」。以上は「唯だ余が印象」に過ぎない。

徳富にとって段は期待できる人物ではなさそうだ。

◆「軍事同盟」で退陣した内閣

渡部 亮次郎


若い頃、NHK記者として4年間駐在した岩手県には、後に総理大臣になる
鈴木善幸(ぜんこう)のほか小沢佐重喜(さえき)、椎名悦三郎ら、錚々
たる政治家がいた。言うまでも無く佐重喜は小沢一郎の父、椎名は副総裁
として田中角栄の後継首相に三木武夫を推して大失敗した。

そうした中で目立つようで目立たなかった男が鈴木善幸だった。三陸沿岸
の漁民の出。はじめは日本社会党から代議士になったが、間違いに気付い
て保守党に鞍替え、とうとう自民党総裁、総理大臣になった。

だが日米安保条約の何たるかも知らずに過ごし、自民党内のバランスに
のっていただけだったので総理大臣にまつり上げられたものの、「能力不
足」を晒して途中退陣した。

日本大百科全書(小学館)にはこう書かれている。

<国内では自民党の絶対多数を背景に、軍事力増強、実質的な靖国(やす
くに)神社公式参拝、参議院の比例代表制導入、人事院勧告凍結を実現し
た>。


鈴木善幸内閣]は1980(昭和55)年7月成立した。前任の大平正芳が総選挙
中、糖尿病の合併症たる心筋梗塞で急死したところ、「闇将軍」といわれ
て評判の悪かった田中角栄が裏で動いて、突如、鈴木善幸を後任として指
名した。私はその現場に居合わせた。

昭和55(1980)年6月12日未明、大平が死んだ。それに先立って、ホテルに
いた私に園田直(当時は無役)から電話。「大平さんが亡くなったらしい、
調べてくれ」で確認。弔問の為、虎ノ門病院で落ち合う。

彼も当時、糖尿病が悪化。減量の為服用していた利尿剤が効き過ぎてゲッ
ソリしていたので、マスコミの目を引いたことを覚えている。

病室から出てきた園田。車に乗ると「ナベしゃん、これからどうした方が
いいかな」。すかさず「目白へ行きましょう」「そうだワシもそう考えて
いた」。

角栄は先に弔問から戻っていたが、客は園田がその朝は初めてだった。約
1時間して出てきた園田。車中「善幸に決まった」と。「それは妥当なと
ころでしょう。大平派の後継者でもあるし」と私。

大平の死で有権者の同情は自民党に集まって総選挙は、大勝。分裂寸前
だった自民党を結束させ、抗争なしで鈴木政権は成立したのだった。

<「増税なき財政再建」を公約とし、1981年3月には臨時行政調査会を設
置し行政改革を最大の課題とした>。(同)

9月になって厚生大臣齋藤邦吉の不正献金がばれて辞職。その後任に園田
が推されたのは、多分に角栄の押しがあったと思われた。

<1981年1月鈴木首相が東南アジア諸国を歴訪、5月には日米首脳会談を開
き日米「同盟関係」を明記し、西側陣営の一員としてアメリカの対ソ戦略
に協力していく姿勢を明らかにした>。

しかし鈴木首相は首脳会談では、そんなことは話題にならなかったと一旦
は否定。共同声明から軍事同盟云々を消そうとした。日米の首脳が会談す
るという事は要するに日米安保体制を確認し、軍事同盟を再確認する事だ
という外交上の初歩的知識に首相は欠けていたのだ。

この混乱で鈴木首相は党内で孤立感を深めた。同一派閥であった外相伊東
正義が辞任した後を埋めるのに、厚生大臣のピンチヒッターだった園田を
またピンチヒッターにした。

しかし、園田は糖尿病が悪化。外遊しても飛行機から車まで歩けない場面
がしばしばとなった。マニラではとうとう日米首脳会談の共同声明なんて
どうでもいい軽い問題でしかない、といった趣旨の問題発言をして政権の
足を引っ張った。

事後になって鈴木は日米首脳会談について「オレは踊り(外交)の素人なん
だから、手ぶり身振りの最後まで教えないと踊れないよ。教えない外務省
が悪い」といった。外務省側は「初歩知識をお教えするのは失礼に当る
か、と」。

政治における知識や情報の扱い方はビジネスの世界とまるで異なる。ビジ
ネス界は「儲け」で一丸となっているが、政治の世界では役人と政治家の
間に抗争が隠されていたり、遠慮がはさまれたりして要は単純ではない。

しかし1982年6月2兆円以上の歳入欠陥が明らかとなって「増税なき財政再
建」は破綻し、行政改革も自民党・官僚の抵抗で後退を余儀なくされた。

さらに日米経済摩擦、日韓経済協力、教科書記述に対するアジア各国から
の批判といった難問を適切に処理できず、内外ともに手詰まりの状態のな
か、1982年10月12日突如退陣を表明した。

鈴木政治は難問を先送りにして解決を図るといった消極的姿勢を特徴とし
ていた。また党幹事長に二階堂進を起用するなど田中角栄の影響力を強く
受け「角影内閣」との異名をとった。>
日本大百科全書(小学館) (文中敬称略) 2010・4・4

◆沖縄基地問題を巡る壮大な矛盾

櫻井よしこ


「沖縄基地問題を巡る壮大な矛盾の構図 『不都合な真実』の予見は説得
力がある」

沖縄県が熱い政治の渦の中にある。翁長雄志知事の死去で、知事選挙が9
月30日に繰り上がった。氏の後継者として小沢一郎氏の同志で、自由党幹
事長の玉城デニー氏が出馬する可能性が濃厚だ。

自民・公明の候補者は普天間飛行場を擁する宜野湾市の前市長、佐喜眞淳
氏である。宜野湾市議、沖縄県議を経て宜野湾市長に至る足跡は、激しく
ぶれた翁長氏の経歴とは対照的だ。

両氏の一騎打ちが予想される中、沖縄では「弔い合戦」「オール沖縄」な
どの言葉が飛び交う。現地紙の「琉球新報」「沖縄タイムス」は、翁長氏
が辺野古の海を守るべく本土政府と鋭く対立し、命懸けで闘ったと熱く報
じ、知事選挙を氏の遺志を継ぐ弔い合戦だと印象づける。2紙は沖縄県人
が一致して「オール沖縄」で本土政府と闘うという形づくりに懸命である。

しかし、「オール沖縄」は本当に保革両勢力を束ねる政治基盤なのか。翁
長氏はかつての自民党県連幹事長で、普天間飛行場の県内移設を容認して
いた。その保守の政治家が共産党主導の革新勢力と手を結んだために保革
両勢力が結集したかのような印象を与えたが、真実はどうか。翁長氏はな
ぜ突如、辺野古移設に反対し始めたのか。

こうしたことを本土側の思い込みで理解しようとすると、必ず間違う。で
はどうしたら沖縄を理解できるのか。

田久保忠衛氏は沖縄返還の前、時事通信那覇支局長だった。氏は沖縄理解
の基本として「沖縄学の父」とも言われる伊波普猷(いはふゆう)を読む
ことだと語る。沖縄・久米島にゆかりのある佐藤優氏も伊波の『おもろさ
うし』を読み通したと、どこかに書いていた。ちなみに伊波は誰も研究す
る人のいなかった時代から琉球の万葉、「おもろ」を研究し『おもろさう
し』をまとめた。

伊波の膨大な著作に加えて、手軽な新潮新書『沖縄の不都合な真実』(大
久保潤、篠原章著)を読めば、かなり沖縄のことがわかる。『不都合な真
実』は現在進行形の事象を中心にしたジャーナリスティックな著述だ。

大部の専門書である伊波の全集と、小振りな新書は沖縄理解の根本におい
て重なっている。両者に通底するのは沖縄へのあたたかな想いと、沖縄の
暗部への深い斬り込みである。

『不都合な真実』は、誰も反論しにくい「沖縄の被害者の立場」を前面に
出した「沖縄民族主義」を冷静に批判し、補助金依存型経済と公務員優位
の社会構造にメスを入れない限り、基地縮小は進まないと断ずる。同批判
は伊波がざっと以下のように指摘した「沖縄人の最大欠点」と本質的に重
なる。

〈日支両国に従属した歴史の中で沖縄人は二股膏薬主義を取らざるを得
ず、生きるために友も師も、場合によっては国も売るという性質を育んだ〉

弱者の立場ゆえに、生存のためにはどっちにも転ぶというのだ。

結論を急げば、翁長氏を支える勢力は「オール沖縄」と称されるようなも
のではない。4年前の知事選挙の得票率は、翁長氏ら辺野古移設反対派が
52.7%、容認派が47.4%だった。実態は「オール沖縄」ではなく「沖縄二
分」なのだ。

『不都合な真実』は翁長氏の突然の変心は「カネと権力」を巡る覇権争い
ゆえだと分析し、本土の私たちのように、翁長氏変心の原因を辺野古移設
を巡る立場の違いに求めるのは「まったく的外れ」だと斬って捨てる。

沖縄問題は難しい。基地縮小の施策はおよそいつも現地の反対で妨げられ
る。同時に、基地負担の見返りに膨大な額の補助金が要求され、政府が応
じる。それが基地縮小へのブレーキとなる。この壮大な矛盾の中で、今
後、沖縄の自衛隊誘致運動が海兵隊の縮小に伴って一大勢力に発展すると
の『不都合な真実』の予見には、十分な説得力がある。表面的な考察での
み沖縄問題を論ずると間違うのである。

『週刊ダイヤモンド』 2018年9月1日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1245

◆顕微鏡検査で歯周病菌発見

毛馬一三


奥歯に違和感があったので、近くの「歯科医」に診療に行った。これまで虫歯は一本もなかったので、歯科医院に行くのは10余年振りのことだった。

診察の結果、奥歯1本に軽度の虫歯があるとのことで、治療を開始することになった。とにかく軽い虫歯発見だけで済んだため、一旦は胸を撫で下ろした。

ところが驚いたことがあった。この歯科医院の診察室には「位相差顕微鏡」が備えられており、患者の口内に歯周病菌やカビ菌が有るか否かをたちどころに検査するシステムが整えられていた。

歯科医院には「顕微鏡と映像公開装置」のセットが5年ほど前から導入され始めたそうだが、長期ご無沙汰していた筆者にとっては、このようなセットがあるとは、全く知らなかった。

映し出された筆者の口内検査画面の映像をじっくり見ると、紐状の歪んだ塊が幾重もあり、その間を原虫みたいなものが無数に蠢いている。初めて見る映像だったので、不気味な映像に悪寒が込み上げてきた。

歯科医師の説明によると、映像で蠢いているのは歯周病菌で、紐状の塊はカビ菌だという。なんと口内で歯周病菌が見付かったのだ。

歯周病菌は、回し飲みや回し食い、箸の使い回し、キス、くしゃみなどが感染ルートとして上げられ、一旦口の中に進入すると定着して発症するケースが多いそうだ。外食の多い人には特に罹患の可能性が高いという

歯周病は、口の中で出血すると血管に入り、心臓で炎症を起こすという。歯周病の患者が心臓病になる確率は2〜3倍にあがり、このほか食道癌、糖尿病、早産、高血圧などにも関与しているという。

カビも酸を出すので歯を溶かし、虫歯につながるという。予防を怠れば、どちらも恐ろしい病気だ。

このため歯周病菌予防とカビ菌除去のために、「細菌の除去薬剤・シスロマック」とスプレー式カビ取り歯磨き剤の「ぺリオバスターN」を出してもらい、予防措置を講じた。

2週間後に再度行った「顕微鏡」検査で、症状に改良が確認されたので一安心したが、油断は禁物。今も歯の手入れには真剣に取り組んでいる

ところで、歯周病の進行を症状の具合でみると、
@ 口臭、ネバネバ感
A 歯ぐきに赤み、時々出血
B 歯ぐきの炎症、腫れ、赤みの悪化
C 歯ぐきを押すと膿が出る
D 口臭が更に悪化、出血がひどい、歯が揺れる、歯ぐきがよく腫れる
E 歯が痛くて噛めない、歯が揺れて噛めない、歯ぐきが常時腫れている

といった順序で進行いくという。無感覚の中で進行する場合もあるという。

であれば、定期的に歯科医院に通い、歯周病が再感染していないかを「顕微鏡」で調べる必要があるようだ。またカビ菌も歯周病菌の棲みかとなって歯周病に再感染する要因になるので、適切なクリーニングが求められる。

序でながら、義歯にもかなりのカビが付くので、歯周病と関わりがあり、義歯のブラッシングも留意すべきだそうだ。

歯周病菌が「顕微鏡」で発見されたものの、歯周病には患っていなかったのでラッキーだったが、この機会に歯の手入れには一層気を配って行こう。そうしないとこれから美味しいものが頂けなる。
参照:<国際歯周内科学研修会監修・顕微鏡検査のススメ>                 
                          


2018年09月01日

◆シリコンバレーは反トランプの巣窟

宮崎 正弘


平成30年(2018年)8月30日(木曜日)通巻第5809号 

 シリコンバレーは反トランプの巣窟。ハリウッドは中国資本漬け
  カリフォルニア州は、アメリカのなかの「別の国」だ

シリコンバレーは左翼リベラルの巣窟、赤いハリウッドより左翼的との批
判がある。

8月28日に、トランプ大統領はツィッターで「メディアの垂れ流す70%は
フェイクニュースだ」としたうえで、グーグルを攻撃した。

「トランプ自身のニュースの検索結果が不利になるよう『不正に操作』さ
れている」とも発言している。印象操作は政治宣伝の初歩である。

翌日になってグーグルは正式に反論し、「いかなる操作もしていない」と
した。 

グーグルに限らず、たとえばウィキペディアの解説もひどいものである。
政治的偏向が顕著で、たとえば筆者の項目をみても、ずいぶんと左翼的プ
リズムからの批判が目立つ。

グーグルの中国版は「百度」だが、共産党を批判するような内容はすべて
削除されている。

「習近平」と打ち込むと礼賛ばかり、「自由」「法治」「人権」などの項
目はなく、直近では「プーさん」を検索しても出てこない。
 
現実にグーグル(CEO)も、フェイスブック(CEOザルツバー
ガー)、アマゾン(CEOジェフ・ベゾス)もアップル(CEOティム・
クック)も親中派であり、検閲問題で北京政府と揉めて一度は撤退した
が、いまも中国市場の巨大さに引かれている。

唯一例外的にシリコンバレーでトランプ支持はペイパルの創業者ピー
ター・ティールだ。

なにしろカリフォルニア州は、ロスアンジェルスの共和党系シンクタンク
の関係者の言では「クレージーカントリィ」であり、容共、親中派の代表
格がフェルドスタイン上院議員である。彼女の秘書が、じつに二十年にわ
たって中国のスパイだったように、共産主義に甘い考えを持つ人が多い。

サンフランシスコが拠点の下院少数党院内総務でもあるナンシー・ペロシ
上院議員は女性初の院内総務、議長を務めたが、思想的にLGBT支持派
であり、ファインスタイン上院議員と同様なリベラル派だ。

ただしペロシ女史は、こと中国となると人権批判の急先鋒であり、天安門
事件批判。人権擁護、反中である。

人口動態から言っても、白人よりヒスパニック、アジア系、黒人の比率が
多く、アジア系にはベトナム、アフガン、インド、韓国系が突出してい
る。この特徴的な人口構成の戦局では民主党支持者が圧倒的である。

シリコンバレー同様にハリウッド映画も怪しい。中国批判映画をさっぱり
作らなくなった。チャイナマネーと巨大市場に、批判をやめたのだ。
このような背景も踏まえた上で、トランプのグーグル批判が飛び出したと
言える。

    
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIE 
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 神道は日常を律するこころの信仰、フィロソフィー=人生哲学だ
  教典もない、信徒もいない。神社境内には異教徒でも誰でも入れる

  ♪
マンリオ・カデロ、加瀬英明『神道が世界を救う』(勉誠出版)
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神道を語らせたら、この二人ほど適切な語り部はいないだろう。
カデロ(サンマリノ大使)は、在京外国大使団の長(在日外交団長)も努
められる人だが、サンマリノに自ら音頭を取って神社を建立されたほど日
本文化、歴史に造詣が深い。

加瀬氏は外交評論家として八面六臂の活躍をされているが、他方で『論
語』など中国古典、漢籍に明るく、そのうえ神道に詳しいことは氏の著作
『ジョン・レノンはなぜ神道に惹かれたのか』を読めば納得がいく。

それはともかく神道は「宗教ではない」「信徒がいない」「教典がな
い」。したがって経文もない。「天国」も「地獄」もない。

神道は自然崇拝であって、合理・主知の近代の智恵とは無縁の、自然な姿
から発生し、争い事は好まず、また寡黙である。

日本人の特性を形づくってきたのは、やはり神道が基軸だったのだ。

神道がやや歪んだのは、まず仏教伝来があって、「かたち」が必要となり
鳥居が出来た。この対談では仏教が日本に渡来して神道化したのであり、
神仏混淆ではない、と従来の宗教解釈に異論を唱えられる。

戦国期、切支丹バテレンがやってきたため、神道に解釈学が流行する。カ
デロ大使はイエズス会という訳語は誤りであり、ただしくは「イエス軍」
だと言えば、加瀬氏は「いまのタリバンやアルカィーダのような過激派
だった」という。

江戸期には国学の興隆があって、さらに明治維新では廃仏毀釈という過激
な国学思想が産んだ攘夷運動に神道が巻き込まれ、戦後はGHQが神道を
宗教と誤解して、あやまった政策を押しつけたため、現代日本人の認識に
誤謬がでた。

日本古来の神道は宗教ではない。

本来、神道は古事記、日本書紀にあらわれた神話が象徴するように、日本
の歴史の根幹には日本人の神への崇拝、崇高なものへの憧れが底流にあった。

下記の対話箇所が、おそらく本書の真髄である。

 カデロ 「神道は宗教というよりも、人々の日常を律している『ライフ
スタイル』――生活態度か、『フィロソフィー』ーー人生哲学だといったほ
うが、よいのでしょう」

加瀬 「宗教が理性にもとづいている信仰であるのに対して、神道は心の
働きです。こころの信仰です」

こころのなかを覗けるのは神のみである。合理主義やニヒリズムに覆い尽
くされた日本の近代、その西洋的理性が、いま崩壊しつつあるときに、哲
学不在の日本で、もっとも見直されるべきこころの信仰であるとして、二
人は広範に語り合いを続ける。

カデロ大使が言う。

「(伊勢神宮の式年遷宮に外交団長として招かれた折)、暗闇のなかで篝
火が勢いよく燃えさかる、漆黒の静まりかえった境内で式典が行われ、
神々しい時間がすぎてゆきました。深く感動しました。時間がたつのを忘
れて心が揺さぶられました。じつに神秘的な体験でしたね」

加瀬氏は「深い自然がそのまま神威をなっており、古代から変わることが
ない社殿によって、心が休まり洗われます」

AI革命とか、スマホ全盛の、合理主義と主知主義が蔓延し、グローバリ
ズムとかの共産主義と酷似した考え方が流行する現代という精神の荒廃状
況のなかで、神道の見直しが今後も本格化するだろう。