2018年11月29日

◆難問山積、激動の極東情勢

杉浦 正章


「米中第2次冷戦」は長期化へ

北方領土「五里霧中」、邪道の韓国

今年もはや師走が目前となったが、日本を取り巻く環境は地殻変動を起
こす前触れのような様相を見せている。まず大きな潮流を見れば米中関係
の潮目が変わり、米中両超大国が「第2次冷戦」ともいうべき状況に突入
した。

日本は多かれ少なかれ影響を受ける。一見、首相・安倍晋三との関係が良
好に見えるロシア大統領プーチンは、核心の領土問題で一歩も譲らぬ姿勢
をあらわにした。隣国韓国の大統領文在寅は、人気が落ちそうになると竹
島・慰安婦で対日世論を煽る邪道路線だ。

まさに「四面楚歌」のごとき様相だ。来年の干支は己亥(つちのとい)で
足元を固めて次の段階を目指す年だが、次の展望は五里霧中と言わざるを
得まい。

米ソ冷戦に勝った米国は、トランプが「一国主義」を前面に打ち出し、
「アメリカ・ファースト」で国を率いると宣言。この方向は一方の超大国
中国を刺激し、習近平は「一帯一路」構想を合い言葉に、臆面もなく地球
俯瞰型の勢力拡大に打って出た。

中国の歴代皇帝がそうしたように、「皇帝」習近平は陸路と海路で西進を
開始した。2017年10月19回の共産党大会で採択された党規約には、「共に
話し合い、共に建設し、共に分かち合うという原則を遵守して『一帯一
路』建設を推進する」と明記した。覇権主義が芬芬(ふんぷん)とにおう
大方針である。

9月30日には「航行の自由作戦」遂行中の米艦船に中国の艦艇が45メー
トルまで接近するという異常事態を現出させた。

こうした動きをとらえて米副大統領ペンスは、2017年の国家安全保 障戦
略の「中国は米国の安全と繁栄を侵食することで我々のパワー、影響 力
に挑戦している」との立場を再確認。同時にペンスは「中国は米国の最
先端技術を盗み、西太平洋地位域から米国を排除して、同盟国支援を妨げ
ようとしている」と強く批判した。これらの発言は、明らかに敵対国同士
の応酬段階のように見える。

こうして米中対立は長期化する可能性が高い情勢となって来た。米政 府
はキッシンジャーの隠密外交で1971年から始まったニクソン政権に よる
対中融和策から転じて、対決路線に大きく舵を切った。

ここで注目されるのは目前に迫ったブエノスアイレスでの主要20か国 首
脳会議である。G20は11月30日から12月1日の2日間開かれるが、米中は
水面下で首脳会談の下準備をしている模様だ。

この米中首脳会談が決裂す れば米中対立は修復不能の状態となることが
確実であり、両国とも薄氷を 踏むような調整をしているに違いない。し
かし、中国が一帯一路路線を転 換する気配はなく、唯一の超大国として
君臨してきた米国も、トランプが そう簡単には引き下がるとは思えな
い。大きな構造的な潮流は、米中冷戦 の継続だろう。

一方、安倍との個人的な関係を棚上げするかのようにプーチンは北方領
土で強硬姿勢を貫く構えだ。ロシア国内でのプーチン人気を押し上げるこ
とになったのは、紛れもなくクリミア・セヴァストポリの編入である。ロ
シアの領土は世界の総陸地の11.5%を占め世界第一を誇るが、大地主が境
界線に異常なこだわりを見せるのと同じで、国家も土地があるほど卑しく
固執する傾向がある。おまけに極東安保上の戦略が絡む。これに対して安
倍は4島のうち歯舞・色丹の2島先行返還でゆく方向に舵を切ったかのよ
うに見える。

とろろがプーチンはここにきてちゃぶ台返しに出た。安倍との首脳会談
でプーチンは、「日ソ共同宣言には日本に島を引き渡すと書かれている
が、どの国の主権になるかは書かれていない」と言い出したのだ。まるで
日本に引き渡しても主権はロシアにあるという、荒唐無稽な屁理屈であ
る。これは事実上プーチンに返す意図がないことを物語っている。

安倍が これに対して何も言わなかったのは、「2島先行返還」でも、な
んとか実 現にこぎ着けたいとの思惑があるからだろう。「安倍さんは2
島で腹をく くった」という説まである。

しかし、情勢は2島といえども容易でない感じが濃厚だ。なぜならクリ
ミア・セヴァストポリ編入で高まった人気で味を占めたプーチンが、自ら
の保身を考えたら、2島といえどもロシア人が3000人も住んでいる 「領
土」を返したら一挙に人気が瓦解すると思ってもおかしくないから だ。

こうして北方領土問題は五里霧中となったのが実情だろう。安倍と プー
チンは3年以内に平和条約を結ぶことで合意した。安倍の任期は 2021年
9月までだから任期中にと言うことだろう。安倍は「戦後70 年以上残さ
れた課題を次の世代に先送りすることに終止符を打つという強 い意志を
完全に共有した」と発言したが、ここで期限を切っては、事実上 歯舞・
色丹2島にとどまり、残る国後・択捉2島は永久に棚上げとなる心 配が
ある。

一方、竹島では韓国の国会議員が上陸した。上陸について、外相・河野太
郎は、上陸にあたっては政府が関与している可能性もあるとして、韓国政
府の責任も問いただす必要があるという考えを示した。

韓国大統領文在寅 は人気が落ちそうになると、竹島・慰安婦で日本の神
経を逆なでして、国 民を煽り、人気を取る癖があり、こんな大統領を相
手にまともな会談など できるわけはない。安倍は当分「無視」 すべきだろ
う。ただ河野の言う 「文在寅の責任」については、当然追及すべきこと
だろう。

◆将来に禍根残しかねない入管法改正案

櫻井よしこ


「将来に禍根残しかねない入管法改正案 日本は外国人政策の全体像
を見直す時だ」

安倍晋三首相も自民党も一体どうしたのか。まるで無責任な野党と同じで
はないか。

外国人労働者受け入れを大幅に拡大する出入国管理法改正案についての国
会論戦を聞いていると、普段は無責任な野党の方がまともに見える。それ
程、自民・公明の政権与党はおかしい。

11月2日の閣議決定に至るまで、同法について自民党の部会で激しい議論
が何日間も続き、発言者の9割が法案に強く反対した。しかし結局、外国
人労働者の受け入れを大枠で了承し、法律の詳細は省令で決定するという
異例の決着を見た。

深刻な人手不足ゆえに倒産が相ついでいるといわれる建設業界や介護業界
の悲鳴のような要請を無視できないという事情はあるにしても、この法改
正は将来に深刻な禍根を残しかねない。

今回の改正で受け入れる外国人の資格として「特定技能1号」と「2号」が
設けられ、「1号」の労働者の「技能水準」は「相当程度の知識又は経験
を必要とする技能」とされた。「2号」の労働者の技能水準は「熟練した
技能」とされた。

前者の「相当程度」とはどんな程度なのか。後者の「熟練」とはどの程度
か。いずれも定義されていない。

眼前の人手不足解消のために何が何でも外国人を入れたいという姿勢が見
てとれる。あえていえば政府案は外国人の野放図な受け入れ策でしかない。

外国人は単なる労働者ではない。誇りも独自の文化も家族もある人間だ。
いったん来日して3年、5年と住む内に、安定した日本に永住したくなり、
家族を呼び寄せたくなる人がふえるのは目に見えている。その時彼らが機
械的に日本を去るとは思えない。すると日本社会にどんな影響が出るだろ
うか。欧州諸国は移民を入れすぎて失敗した。政府は今回の受け入れは移
民政策ではないと繰り返すが、5年間で最大34万人とみられる労働者が事
実上の移民にならないという保証はない。

日本にはすでに258万人の外国人が住んでいるのである。その中で目立つ
のは留学生の急増だ。2013年末に19万人だったのが17年末までの4年間に
31万人にふえた。技能実習生は16万人から27万人に、一般永住者は66万人
から75万人にふえた。

日本には特別永住者と一般永住者の2種類がある。前者は戦前日本の統治
下にあった朝鮮半島や台湾の人々、その子孫に与えられている地位であ
る。彼らは日本に帰化したり日本人と結婚したりで、日本への同化が進
み、その数はこの4年間で37万人から33万人に減少した。

問題は一般永住者である。シンクタンク「国家基本問題研究所」研究員の
西岡力氏の調査によると、17年末で75万人の一般永住者の3分の1、25万人
が中国人だ。一般永住者は日本人と同等の権利を与えられた外国人と考え
てよい。滞在期間は無制限で、配偶者や子供にも在留資格が与えられる。
活動も日本国民同様、何ら制限もない。彼らが朝鮮総連のような祖国に忠
誠を誓う政治組織を作ることも現行法では合法だ。

他方中国政府は10年に国防動員法を制定し、緊急時には海外在住の中国国
民にも国家有事の動員に応ずることを義務づけた。仮に、日中両国が紛争
状態に陥った時、在日中国人が自衛隊や米軍の活動を妨害するために後方
を攪乱する任務に就くことも十分に考えられる。

一般永住資格はかつて日本に20年間居住していなければ与えられなかった
が、98年に国会審議もなしに、法務省がガイドラインで「原則10年以上の
居住」に緩和した。その結果、20年間で9万人から75万人へと、8倍以上に
ふえた。今回の外国人労働者の扱いだけでなく、一般永住者の資格も含め
て日本国として外国人政策の全体像を見直す時であろう。

『週刊ダイヤモンド』 2018年11月24日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1257

◆ゴールドマンサックスの深くて暗い闇の奧

宮崎 正弘


平成30年(2018年)11月27日(火曜日)通巻第5904号  

裁かれるか、ゴールドマンサックスの深くて暗い闇の奧
 マレーシアの1MDB起債で6億ドルもの手数料は何処へ消えたか?

ナジブ前政権の腐敗ぶりは、マレーシアの政治的貧困を世界に曝してし
まった。マハティールの93歳の復活は、腐敗政権への民意の逆襲でもあっ
た。マハティール政権は前政権が繰り広げた汚職構造の解明に挑んでいる。

ナジブ前政権が設立した国家ファンド「1MDB」は65億ドルを起債
し、その集められた巨額ファンドは不適切な投資に使われた。中国主導の
シルクロード・プロジェクトへも資金が廻されたという観測がある。
 
起債の幹事社は天下のゴールドマンサックスだった。

誰も、このウォール街の雄、ベンチャーキャピタルの起債を疑わないだろ
う。65億ドルはアブダビの国家ファンドなどが投資して、膨らんだが、
その手数料が6億ドルだった。通常、幹事舎のコミッションの相場は0・
2%から、せいぜいが1%、ところがゴールドマンサックスが受け取った
手数料は「常識外」の9・2%だったのだ。

2018年11月23日、マレーシアの司法長官トーマスが記者会見し、「不適切
な投資に使われた」として、ゴールドマンサックスを米国最高裁に訴えた。

11月12日にはマレーシアの財務超がゴールドマンサックスに6億ドルの返
還を求める裁判を、米国最高裁に提訴した。その日だけでも、ゴールドマ
ンサックスの株価は6・5%下落した。

また騙されて出資したとして、アブダビの「國際石油投資会社」
(IPIC)も11月21日にニューヨーク最高裁判所に損害賠償を求めて民
事訴訟を起こした。

かくして、強欲資本主義の走狗ともいわれるゴールドマンサックスの深く
て暗い闇の奧は、裁判を通じてどこまで暴かれるであろうか。
   
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
(読者の声2)皇學館大学元教授の田中卓先生が亡くなりました。氏は平
泉学派の重鎮にして皇室問題の権威。惜しい碩学がまたひとり冥界へ旅立
たれました。合掌。(HI生、水戸)


(宮崎正弘のコメント)氏とは学生時代に何回かお目にかかりました。よ
く古典をお読みになり、それでいて人付き合いもよい学者でした。ご冥福
を祈ります。伊勢での通夜、葬儀なので、小生はご遺族宛弔電を打ってお
きました。合掌。
  ♪
(読者の声3)世界最大の経済力を持つ米国は嘗てソ連封じ込め政策を
やってきたがここにきて中国に対して貿易戦争をしかけいます。

中国は今迄の対米国貿易黒字で南シナ海での覇権を行使し、「一帯一路」
で関係国を借金漬けにしています。しかしそのための軍事費は増大し続け
資金を周辺関係国へばらまき続けて経済低迷はしないのか。

嘗てソ連は崩壊したけれど中国は持続可能なかどうか…。

今回の講演は大阪大学教授の坂元一哉先生です。事前申し込み下さい。

          記

1.日時: 平成30年12月8日(土)  14:30〜17:30
2.内容: 1430―1600 講演 :大阪大学教授  坂元 一哉 先生
テーマ: 「トランプ政権の対中戦略」
3.場所: サムティフェイム新大阪2F 「ホール2」会議室 
http://www.kaigi-shitsu.com/detail/0FxCfsh67u.html
      〒543-0021 大阪市淀川区西中島6-5-3
      (「新大阪」駅より徒歩9分、地下鉄御堂筋線「西中島南
方」駅より徒歩4分。
     地下鉄御堂筋線「新大阪」より徒歩6分、阪急京都線「南方」
駅より徒歩5分
4.会費: 4,500円程度(懇親会費を含む。講演のみは1,500 円。当日
参加は2000円。
学生は無料です)
5.主催: 弘志会(幹事 福井成範)
fukuima@tree.odn.ne.jp
   TEL090-3090-5452

  ♪
(読者の声4)25日の憂国忌に参加させていただきました。三島先生の追
悼のイベントを48年間も欠かさず続けられてこられた関係者の皆さん、
ご苦労様です。さて、当日いただきました冊子の「海ゆかば」の歌詞です
が、これが大友家持作詩ではなく、「大友家言立て」となっていますが、
この表記はどういう意味でしょうか?(一参加者)


(宮崎正弘のコメント)これは万葉集にある長歌「陸奥国に金を出す詔書
を賀す歌一首、并せて短歌(大伴家持)[編集]」から、その部分を取りだ
して、信時潔が作曲したもので、原文の長歌は下記の通りです。

 。。。。。葦原の 瑞穂の国を 天下り 知らし召しける 皇祖の 神
の命の 御代重ね 天の日嗣と 知らし来る 君の御代御代 敷きませる
 四方の国には 山川を 広み厚みと 奉る みつき宝は 数へえず 尽
くしもかねつ しかれども 我が大君の 諸人を 誘ひたまひ よきこと
を 始めたまひて 金かも たしけくあらむと 思ほして 下悩ますに 
鶏が鳴く 東の国の 陸奥の 小田なる山に 黄金ありと 申したまへれ
 御心を 明らめたまひ 天地の 神相うづなひ 皇祖の 御霊助けて 
遠き代に かかりしことを 我が御代に 顕はしてあれば 食す国は 栄
えむものと 神ながら 思ほしめして 武士の 八十伴の緒を まつろへ
の 向けのまにまに 老人も 女童も しが願ふ 心足らひに 撫でたま
ひ 治めたまへば ここをしも あやに貴み 嬉しけく いよよ思ひて 
大伴の 遠つ神祖の その名をば 大久米主と 負ひ持ちて 仕へし官 
海行かば 水漬く屍 山行かば 草生す屍 大君の 辺にこそ死なめ か
へり見は せじと言立て 丈夫の 清きその名を 古よ 今の現に 流さ
へる 祖の子どもぞ 大伴と 佐伯の氏は 人の祖の 立つる言立て�

!?M$N;R$O!!AD$NL>@d$?$:!!Bg7/$K!!$^$D$m$U$b$N$H!!8@$R7Q$2$k!!8@$N41$>!!045]!!

◆奈良木津川だより 7世紀の木津川流域

白井 繁夫


7世紀になると朝鮮半島の3国(百済.新羅.高句麗)は再び戦乱の時代となりました。
隋が(612年)110万余の兵力で高句麗遠征を始め614年まで続きました。

その後、隋から唐(618)になり、太宗.高宗の時代、再び高句麗出兵(644年から3度)が実行されました。唐と同盟を結んだ新羅は、百済も攻めて、660年に百済を滅ぼし、更に、唐.新羅連合軍は668年に懸案の高句麗をも滅亡させたのです。

隋.唐の侵略戦争から逃れて、我国に渡来した人達が「木津川流域」にも住むようになりました。倭国は、百済と伝統的に親密な関係があったので、660年までに救援軍を出兵すべきだったのでしょう。その間の大和朝廷の状況をいま少し振り返って見ようと思います。

6世紀末頃の蘇我氏は皇族との婚姻を通じて勢力を拡大し、蘇我馬子は587年政敵であり対立する非仏派の大豪族物部守屋を倒して絶大な権勢を得ました。

593年には日本史上、初の女帝:推古天皇を擁立し、政治の補佐役に甥の厩戸皇子(聖徳太子)を起用して皇太子にしました。

聖徳太子は蘇我馬子と協調して、仏教を重視し、天皇を中心とする中央集権国家を目指し、
冠位十二階や十七条憲法を制定しました。

『日本書紀』によると、崇峻天皇元年(588)、百済から倭国へ仏舎利や僧6名とともに技術者「寺工(てらたくみ)2名、鑢盤(ろばん:仏塔の相輪の部分)博士1名、瓦博士4名、画工1名」派遣されました。

法興寺(飛鳥寺)は、馬子が開基(596年)した蘇我氏の氏寺です。本尊の釈迦如来坐像(飛鳥大仏)は、6世紀作の重要文化財です。588年に百済からきた技術者「寺工や瓦博士など」によって造営された日本最古の本格的な仏教寺院であったと云われています。

都が飛鳥から平城京への遷都(710)に伴い、法興寺(飛鳥寺)は元興寺(がんごうじ)として718年に奈良市へ移りました。(現在の元興寺極楽坊本堂と禅室の屋根の一部に現在も1400年前の創建当時の「古瓦」が混じっていると云われています。)

推古34年(626)蘇我馬子が没し、蘇我蝦夷(えみし)が本宗家を継いでから17年後、皇極2年(643)11月、蘇我入鹿(いるか)が、斑鳩(いかるが)の上宮王家を襲撃して一族を悉く滅亡させたのです。蘇我本家の専横著しい行為に対して大反発が起りました。(上宮王家:聖徳太子の遺子、有力な皇位継承資格者:山背大兄王の一族)

2年後の皇極4年6月12日、中大兄皇子(後の天智天皇)と中臣鎌子(後の藤原鎌足)等により、入鹿は飛鳥板蓋宮(あすかいたぶきのみや)において謀殺されました。(乙巳「イッシ」の変)、翌日(6月13日)父の蘇我蝦夷も自害し、4代続いた蘇我氏本宗家が滅し、6月14日、皇極天皇は軽皇子(孝徳天皇)に譲位しました。

孝徳2年(646)正月に改新の詔を発して、政治改革に乗り出し、宮(首都)を飛鳥から難波宮(大阪市中央区)へ移し、飛鳥の豪族中心政治を天皇中心の中央集権国家に変え、
孝徳天皇は皇太子を中大兄皇子(天智天皇)とする体制を採りました。大化の改新です。
改新の詔の内容:公地公民制、令制国、税(租.庸.調)などの内容説明は省略します。

その後、孝徳天皇と皇太子(中大兄皇子)との政策の相違があり、皇太子が難波長柄豊碕宮から飛鳥へ遷るとき、皇祖母尊(皇極天皇)と皇后、皇弟(大海人皇子)や、臣下の大半を連れて大和に赴きました。(翌年:654年孝徳天皇は病により崩御されました。)

36代孝徳天皇が次代天皇を定めず逝去したため、35代皇極天皇が重祚(ちょうそ:1度退位した君子が再び位に就くこと:再祚)して、37代斉明天皇(655年)となり、皇太子は中大兄皇子(天智天皇)に決まったのです。

斉明天皇時代に百済から救援の要請もありましたが、北方征伐が優先され、658年〜660年に蝦夷と粛慎(しゅくしん:狩猟民族)を討伐したのです。

その後、660年に百済敗北後の百済遺民の百済復興運動の要請に応じて、斉明天皇は百済救援軍の派遣を決定しました。

661年5月、第1派1万余の兵員九州筑紫に集結しますが、斉明天皇急死して仕舞ったのです。

そこで、朴市秦造田来津(いちはたのみやつこたくつ)を司令官に任命し、3派にわけて663年までに約4万2千人、倭船約8百隻派遣して、百済遺民約5千人との連合軍が朝鮮半島の白村江(はくすきえ:はくそんこう:現在の錦江河口付近)で唐.新羅連合軍(唐約13万人、新羅約5万人、唐船約170隻)と663年(天智2年)8月戦いました。白村江の戦いです。

倭国兵約1万人戦死、船約4百隻火災破損の大敗を喫した。倭国水軍は残った船に倭国兵や百済遺民兵の倭国希望者も乗船して、新羅連合軍に追われながらやっとの思いで帰国しました。

その後、668年には首都の平壌城が唐軍により攻略され高句麗は滅亡しました。唐にとっては北の勢力である突厥に続き高句麗にも勝利し、北方の脅威を排除でき、675年に唐が撤収して、新羅により朝鮮半島が統一されました。

天智天皇は「白村江の戦い」に敗れた結果、朝鮮半島の権益を失い、大陸の強大な唐.新羅連合軍の報復と侵攻に防備した国家体制の整備と国内に防衛網を早急に築くことに傾注しました。

北九州の太宰府に水城(みずき)砦、瀬戸内や西日本各地(長門城、屋島城など)に古代山城の防衛砦を築き、九州の沿岸には防人(さきもり)を配備したのです。

667年には都を内陸の近江大津(近江京)へ移し、668年即位して「近江朝廷之令」(近江令:おうみりょう)を発しました。律令制導入の先駆的法令です。

天智天皇10年(671)に新しく大友皇子を太政大臣として、蘇我赤兄.中巨金を左右大臣、蘇我果安.巨勢人.紀大人を御史大夫とする官職が制定されました。しかし、大海人皇子(後の天武天皇)は圧迫感を感じて、11月に吉野に退隠することにしたのです。

木津川流域を挟んで難波(淀川)、飛鳥.大和(木津川)、近江(宇治川)が話題となる
「壬申の乱」は日本の古代史最大の内乱(戦争)で、地方の豪族を味方につけた反乱者(皇弟)が勝利する歴史となります。
       
(郷土愛好家)
at 05:00 | Comment(0) | 白井繁夫

2018年11月28日

◆裁かれるか、ゴールドマンサックス

宮崎 正弘


平成30年(2018年)11月27日(火曜日)通巻第5904号  
 
裁かれるか、ゴールドマンサックスの深くて暗い闇の奧
 マレーシアの1MDB起債で6億ドルもの手数料は何処へ消えたか?


ナジブ前政権の腐敗ぶりは、マレーシアの政治的貧困を世界に曝してし
まった。マハティールの93歳の復活は、腐敗政権への民意の逆襲でも
あった。マハティール政権は前政権が繰り広げた汚職構造の解明に挑んで
いる。

ナジブ前政権が設立した国家ファンド「1MDB」は65億ドルを起債
し、その集められた巨額ファンドは不適切な投資に使われた。中国主導の
シルクロード・プロジェクトへも資金が廻されたという観測がある。
 
起債の幹事社は天下のゴールドマンサックスだった。

誰も、このウォール街の雄、ベンチャーキャピタルの起債を疑わないだろ
う。65億ドルはアブダビの国家ファンドなどが投資して、膨らんだが、
その手数料が6億ドルだった。通常、幹事舎のコミッションの相場は0・
2%から、せいぜいが1%、ところがゴールドマンサックスが受け取った
手数料は「常識外」の9・2%だったのだ。

2018年11月23日、マレーシアの司法長官トーマスが記者会見し、「不適切
な投資に使われた」として、ゴールドマンサックスを米国最高裁に訴えた。
11月12日にはマレーシアの財務超がゴールドマンサックスに6億ドル
の返還を求める裁判を、米国最高裁に提訴した。その日だけでも、ゴール
ドマンサックスの株価は6・5%下落した。

また騙されて出資したとして、アブダビの「國際石油投資会社」
(IPIC)も11月21日にニューヨーク最高裁判所に損害賠償を求めて民
事訴訟を起こした。

かくして、強欲資本主義の走狗ともいわれるゴールドマンサックスの深く
て暗い闇の奧は、裁判を通じてどこまで暴かれるであろうか。

◆米中対立、中国の逃れられない弱み

櫻井よしこ


「米中対立、中国の逃れられない弱み」

11月9日にワシントンで米中外交・安全保障対話がもたれた。米国側から
ポンペオ国務長官、マティス国防長官、中国側から楊潔篪(ようけっち)共
産党政治局員、魏鳳和(ぎほうわ)国防相が参加した。

この閣僚会議は、昨年、習近平主席が米国を訪問した際に、トランプ大統
領と合意して設置したものだ。昨年6月に第1回目が開かれ、今回が2回目
となる。

ポンペオ氏が、「米国は中国との新冷戦を望んでいないし、封じこめるつ
もりもない」と発言し、楊氏が「中国は改革と平和発展の道にとどまり続
ける」と答えたこの対話は、互いに関係を損なわないよう、相手の意図を
探り合い、それなりに繕ったことを窺わせる。しかし、内容に踏み込んで
みれば、現在の米中関係の厳しさは明白だ。

明らかな対立点は、南シナ海、台湾、人権、北朝鮮の各問題である。南シ
ナ海問題では米国側は中国による島々の軍事拠点化に強い懸念を示した。
国務省はメディア向けの説明の中で、以下のように重要なことを明らかに
している。

「米国は、中国が南沙諸島の人工島に配備したミサイルシステムを取り除
くよう要求し、全ての国々は問題解決に強制や恫喝という手法をとっては
ならないことを確認した」

中国がフィリピンなどから奪った南沙諸島を埋め立てて軍事拠点を作って
以来、このようにミサイル装備を取り外せと具体的に要求したのは、恐ら
く初めてだ。トランプ政権が一歩踏み込んで要求したと見てよいだろう。

そのうえで、米国側は従来どおり、国際法に基づいて南シナ海の航行と飛
行を続けると明言している。

これに対して楊氏は、南シナ海に配備した施設の大部分は民間用だと、
白々しくも主張し、米国が「航行の自由」を掲げて軍艦を派遣するのはや
めるべきだと反論している。

異常に男児が多い

台湾問題について、中国が台湾と国交を結んでいる国々に働きかけ、次々
に断交させて台湾を孤立させている手法を、米国は批判した。すると、楊
氏は「台湾は中国の不可分の領土の一部だ」と主張し、魏氏も「中国は如
何なる犠牲を払っても祖国統一を維持する。米国が南北戦争で払ったよう
な犠牲を払ってでもだ」と強い口調で語っている。

南北戦争は、1861年から4年間も続いた激しい内戦だった。犠牲者は60万
人以上とされる。それ程の犠牲を払っても、中国は台湾の独立を許さない
と力んだのだ。

イスラム教徒であるウイグル人に対する弾圧、虐殺についても米中両国の
溝は全く埋まっていない。北朝鮮の核に関しても、明確な核の放棄までは
北朝鮮に見返りを与えないとする米国と、核廃棄と援助を同時進行で行い
条件を緩和することもあり得るとする中国側の立場は、完全に合致するこ
とはない。

11月末に予定される米中首脳会談への瀬踏みの米中閣僚会議だったが、両
国の基本的対立が解決に向かうとは思えない。

習主席は、自身にその力さえあれば、終身、中国の国家主席の地位にとど
まることができる道を開いた。選挙によって指導者が入れ替わる民主主義
国と較べて、優位に立っていると、習氏は思っているであろう。だが、11
月の中間選挙でトランプ氏の共和党が下院で民主党に過半数を奪われ相対
的に力を弱めたとはいえ、民主党は共和党よりはるかに保護主義的で人権
問題にも厳しい。トランプ政権以降に希望をつなぐのは早計というもので
あろう。

10月4日にペンス副大統領が行った演説の対中批判の厳しさについては、
10月18日号の本誌当欄でもお伝えしたが、米国で超党派勢力が結束して中
国に本気で怒っている理由は、習氏が高らかに謳い上げた「中国製造
2025」という大目標にある。

中国は経済的にも軍事的にも世界最強の国となり、科学、技術の全分野に
おいて世界最先端の地位を確立すると誓った。だがそのための手段は知的
財産の窃盗であり、騙しであり、恫喝に他ならない。こんな不公正な中国
に、世界最強国の地位を明け渡してはならない、という米国の闘争心が掻
き立てられたのだ。

中国が米国に取って代り、中国風の支配構造の中に組み込まれることな
ど、我々日本にとっても願い下げだ。だが、そんな時代は恐らくやってく
るまい。

フランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッド氏は今年5月、シンクタ
ンク「国家基本問題研究所」創立10周年の記念シンポジウムで、全世界の
人口学者の一致した見方だとして、中国は基本的に異常事態の中に在る
と、以下のように語った。

長年の一人っ子政策と女児よりも男児優先の価値観により、中国では女児
100人に対して男児118人が生まれている。通常の100対105乃至106に較べ
て異常に男児が多い。結果、人口学的な不均衡が生じ、現時点でも3000万
人の男性が結婚相手を見つけることができないでいる。

「非常に脆い国」

他方中国の教育水準は全体的に見れば低く、若い世代の高等教育進学率は
6%だ。日本や欧米先進国のそれに較べれば非常に低い。

人口の出入りで見ると、すべての欧州諸国、加えて日本も、流入人口が流
出人口を上回っている。だが中国は違う。中国の統計は信頼できない面も
あるが、通常使われる数字によると、毎年150万人が中国から外国に流出
している。彼らの多くが中国には戻らない。だが流出する彼らこそ、中国
人の中で最も活力があり、開明的な人々である。

トッド氏が結論づけた。

「こうして考えると、中国は大国ですが、非常に脆い国なのです。将来的
に危機を回避できない国であると、考えています」

北京発、原田逸策記者の非常に興味深い記事が11月10日の「日経新聞」に
掲載されていた。中国が産児制限の撤廃を検討中という記事だ。中国の現
在の出生率1.3が続くと、今世紀末までに中国の総人口は現在の13億人強
から約6億人に半減する。他方、現在3億2000万人の米国の総人口は4億
5000万人に増えるというのだ。

となると、習氏が高らかに謳い上げたように、2030年前後までには経済
(GDP)で米国を追い抜くことができるとしても、今世紀後半には再び
逆転される可能性があるという。

日本は米中の戦いに、そこまで考えて対処しなければならない。日本の選
択は短期的に見て米国との協調、同盟路線を続ける以外にないのだが、
中・長期的展望を考えてみても、やはり答えは同じになる。

隣国中国とのつき合い方は、中国が共産党一党支配をやめない限り、最大
限の警戒心を持って対処するということに尽きる。

『週刊新潮』 2018年11月22日 日本ルネッサンス 第828回

◆三叉神経痛に有効な治療法!

〜ガンマナイフか?手術か?〜
中村 一仁  (脳神経外科医師)


「三叉神経痛」に対する治療方法は、内服、神経ブロック、ガンマナイフ、MVD(microvascular decompression: 微小血管減圧術)と、多岐にわたる。
 
患者は痛い治療は好まないので、近年の治療手段としては低侵襲性と有効性からガンマナイフ治療を選択することも多くなってきた。

本論のガンマナイフ治療とは、コバルト線を用いた放射線治療で非常に高い精度で目的とする病変に照射することが可能な装置である。

さて本題。「三叉神経痛」というと聞きなれないかも知れないが、簡単に言うと、顔面が痛くなる病気である。一般には「顔面神経痛」という単語が誤用されていることがある。顔が痛くなるので「顔面神経痛」という表現はわかりやすい。

ところが、顔面の感覚は三叉神経と呼ばれる第5脳神経に支配されていることもあり、正しくは「三叉神経痛」というわけである。因みに顔面神経は、第7脳神経で顔面の筋肉を動かす運動神経の働きを担っている。

三叉神経痛の原因の多くは、頭蓋骨の中の三叉神経に脳血管が接触・圧迫し刺激となることで痛みが発生するとされている。
 
<対象・方法>
さて、1999年11月から2003年10月の4年間に、当センターで治療を行った三叉神経痛31例のうち、経過を追跡した29例についての検討を行った。ガンマナイフ施行1年後の有効率は69%(20/29例)であり、31%(9/29例)が無効であった。

そこで、このガンマナイフ治療により、治癒しなかった「三叉神経痛9例」の特徴について検討した。

<結果>
ガンマナイフ治療が無効であった「三叉神経痛9例」のうち4例で、MVD(微小血管減圧術)による手術治療が施行された。4例全例で三叉神経痛は消失軽快した。

ガンマナイフ治療無効例の術中所見は、クモ膜の肥厚や周囲組織の癒着などは認めず、通常通りMVDが施行可能であった。

ガンマナイフ治療が無効であった9例について、平均年齢65.7歳(46-79歳)、男性5例、女性4例。平均罹病期間8.7年(1.5-20年)、患側は右側5例、左側4例だった。

全例MRI画像にて圧迫血管を確認した。上小脳動脈(superior cerebellar artery:SCA)による圧迫病変は通常の割合より少なく、静脈や椎骨動脈による圧迫が4例と多かった。

ガンマナイフ治療が有効であった症例との比較では性別、年齢、罹病期間、病変の左右、圧迫部位に統計学的な有意差は認めなかったが、圧迫血管についてはガンマナイフ治療無効例で有意に上小脳動脈によるものが少なかった(χ2検定,P<0.05)。

<考察>
一般に三叉神経痛は脳血管が三叉神経に接触・圧迫することで生じるとされている。その圧迫血管として最も頻度が高いとされているのであるが、今回の検討ではSCAによる圧迫が少なく、ガンマナイフ治療無効例に特徴的な所見であると考えられた。

わが国で三叉神経痛に対する治療としては、抗てんかん薬であるカルバマゼピンの内服、ガンマナイフ、MVDといった選択枝を選ぶことが多い。MVDによる三叉神経痛治療は脳神経外科医Janettaの手術手技の確立により、安全に行なわれるようになった。

しかし、高齢化および低侵襲手術への期待から、近年ではガンマナイフ治療の有効性が多く報告されるようになってきている。

当センターでの経験では、三叉神経痛に対するガンマナイフ治療の1年後の有効率は69%であり、過去の報告と大差はなかった。ガンマナイフ治療後の再発例に対して検討した報告は散見されるものの、その再発・無効の機序は明らかではなく、ガンマナイフ治療後の再発例についての検討が必要である。

三叉神経痛の発症機序は、血管による圧迫と三叉神経根の部分的な脱髄により起こると考えられており、MVDにて減圧することでその症状は軽快する。

一方、ガンマナイフによる治療では、放射線照射に伴い三叉神経全体の機能低下が起こり疼痛制御されると推察されている。

このようにMVDとガンマナイフではその治療機序が異なるため、それぞれの利点を生かすべく、再発・無効例の検討を行い、治療適応を確立していく必要がある。

過去の報告ではガンマナイフ治療後の三叉神経痛に対してMVDを施行した6症例についてクモ膜肥厚や明らかな三叉神経の変化を認めず、ガンマナイフ治療後のMVDは安全に問題なく施行できるとしており、当センターでMVDを施行した2症例も同様の所見であった。

一方で、ガンマナイフ治療施行による血管傷害の例も報告されているが、再発との関連はないように思われる。

ガンマナイフ治療施行後の再発についての検討では、年齢、性別、罹病期間、以前の治療、三叉神経感覚障害の有無、照射線量、照射部位は再発と相関しなかったとの報告がある。

今回の検討では再発に関与する因子として、解剖学的な特徴に着目した。ガンマナイフ治療無効例では上小脳動脈による圧迫病変は通常の分布より有意に少なく、一般に頻度が低いとされている椎骨動脈やMVD後に再発し易いとされる静脈による圧迫が多かった。

このことはガンマナイフ治療無効例における何らかの解剖学的な特徴を示唆する。ガンマナイフ治療では画像上、三叉神経の同定の困難な症例や神経軸の歪みの大きい症例において正確にターゲットに照射することが困難な場合もあり、より広範囲に放射線照射を行うことも考慮されている。

前述の条件が揃うものにガンマナイフ治療の無効例は多いのかもしれないが、推論の域を出ない.この仮説が成り立つならば、MVDは直接的に血管を神経より減圧し、周囲のクモ膜を切開することで神経軸の歪みを修正することができるため、このような症例に対して有効な治療であるといえよう。

しかし、圧迫部位と再発に関連性なしとする報告や、MVD後再発再手術例の約50%で責任血管などの所見なしという報告、MVD無効後のガンマナイフ治療有効例が存在することも事実であり、解剖学的因子のみが治療方法の優劣を決定する要素とはならないのかもしれない。

また、初回のガンマナイフ治療で治癒しなかった三叉神経痛に対して、再度ガンマナイフによる治療を行なうことで症状が改善するとの報告もあるが、長期的な結果はなく、今後の検討課題のひとつである。

今回の研究ではガンマナイフ治療無効例にSCA(上小脳動脈)による圧迫が少なかったという解剖学的な点に着目したが、現時点では臨床的に三叉神経痛に対する治療としてのガンマナイフ治療とMVDは相補的な関係であるべきであり、今後さらに有効例、無効例を詳細に検討することで、各治療の術前評価においてその有効性が証明されることを期待したい。

<まとめ>
ガンマナイフ治療無効例に対して施行したMVDにて、4例中4例で三叉神経痛は消失軽快した。

ガンマナイフ治療無効例9例では静脈や椎骨動脈による圧迫を多く認め、ガンマナイフ治療有効例と比較して有意にSCAによる圧迫が少なかった。今後、ガンマナイフ治療無効例の特徴およびMVDの有用性について検討する必要があると考えられた。(完)
                
脳神経外科速報17:86-90,2007を改編。メディカ出版より掲載許諾

2018年11月27日

◆ZTEを入札から外すと

「宮崎 正弘


平成30年(2018年)11月26日(月曜日)通巻第5902号  

 ファーウェイ、ZTEを入札から外すと日本政府も決定
  中国のスパイ通信機器、民間にも自粛要請へ

 米国はすでにファーウェイ(華為技術)とZTE(中興通訊)の使用を
禁止している。

とくに連邦職員、公務員、軍人、警察官はファーウェイのスマホ使用禁
止、また通信設
備の工事、プロジェクトからZTEを排除している。
ZTEは、米国からの半導体輸入が不可能となって、スマホ生産が出来
ず、経営危機に陥った。

オーストラリア政府は、ZTEが応札したパプア・ニューギニアとの通信
ケーブルのプロジェ
クトから排除した。ニュージーランド政府も、これにならう。
 

そして先週、トランプ大統領はこの規制を同盟国にも要請するとした。具
体的には日本、インド

などである。

ようやく日本政府は、公的プロジェクトからZTEの入札を排除し、また
公務員、自衛隊員、

警察官を含む公的立場の人間が両社の通信機器使用を「自主規制」する動
きにでた。ファーウ

ェイの格安スマホは若者達が購買するので、日本でもかなりのシェアがあ
るが、民間の末端に
まで「自主規制」だけで、排除できるかどうかは、おおいに疑問が残ると
ころだろう。
     
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
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 学校で教わる歴史はGHQが植え付けた「自虐史観」の最たる見本
  新聞記事では分からない『真実』を如何にして見つけ出し、汲み取るか

  ♪
高山正此『習近平は日本語で脅す』(新潮社)
@@@@@@@@@@@@@@@@

このシリーズも第13弾。常套句の「高山節は健康飲料水1ダース分」「日
頃味わえな
い爽快さ」「週刊新潮の連載コラム、後からページを読む人が多い」は、
もう言い古さ
れていしまった。

何をもって新鮮な譬喩とすべきか?

 前にも書いたが、評者(宮崎)は朝日新聞が日本でいちばん良い新聞だ
と信じて、
大学3年間は毎朝夕、朝日新聞を配って、集金し、拡張もして学費を得て
いた。日教組
教育をまともに受けて洗脳されていたからだろう。そして朝日新聞が『日
本でいちばん

悪い新聞』と分かるのに3年の月日を要した。

以後、ぷっつんと凧の糸が切れたように、読まない。読むと血が頭に上る
からだが、とき

どき地方のホテルのロビィに無料で積んであるので、手に取ってみる。
「なんだろう、

これは。アジビラの類いか」というトイレットペーパーの印象しかない。

 本書は朝日新聞批判にかけては天下一品の高山さんの包丁さばきが見事
だが、なにしろ

朝日を半世紀近くも読んでいない評者にとっては、切迫感が薄い。
あの新聞を毎日、隅から隅まで目を通す労力を考えたら、ほかにエネル
ギーを向かわせ

たくなる。

だが、このフェイクニュースの悪を放置してはいけない。だから正義感が
高山氏をおして、
毎号舌鋒鋭く朝日の欺瞞を白日の下に晒すのだ。
 結局、学校では学べないのが『歴史』であり、朝日新聞なんぞを購読し
ていると分から

ない『真実』をいかにしてニュースの洪水のなかから選択肢、吟味し、取
得するか、

このノウハウの奥義が自然と語られる。

それが本書の魅力のひとつである。
  
 誰もが思っていることだろうが、学校の歴史教育は甚だしくゆがんでい
る。誰がねじ曲げた

か、日本人自らが自虐史観から這い上がれないのか。
GHQの洗脳がまだ効き目があるのか、日本の文化を諸外国が褒めている
のに、日本人がけな

している。その代表選手の朝日新聞を支配するメンタリティの腐臭、その
驕慢、やはり、この

元凶を叩きつぶすことからすべては始まるのだろう。

◆禍根残しかねない入管法改正案

櫻井よしこ


「将来に禍根残しかねない入管法改正案 日本は外国人政策の全体像を
見直す時だ」
>
> 安倍晋三首相も自民党も一体どうしたのか。まるで無責任な野党と同じ
ではないか。
>外国人労働者受け入れを大幅に拡大する出入国管理法改正案についての
国会論戦を聞

いていると、普段は無責任な野党の方がまともに見える。それ程、自民・
公明の政権
与党はおかしい。
>
> 11月2日の閣議決定に至るまで、同法について自民党の部会で激しい議
論が何日間も

続き、発言者の9割が法案に強く反対した。しかし結局、外国人労働者の
受け入れを大

枠で了承し、法律の詳細は省令で決定するという異例の決着を見た。
>
>深刻な人手不足ゆえに倒産が相ついでいるといわれる建設業界や介護業
界の悲鳴のよ
うな要請を無視できないという事情はあるにしても、この法改正は将来に
深刻な禍根を
残しかねない。
>
>今回の改正で受け入れる外国人の資格として「特定技能1号」と「2号」
が設けられ、

「1号」の労働者の「技能水準」は「相当程度の知識又は経験を必要とす
る技能」とさ

れた。「2号」の労働者の技能水準は「熟練した技能」とされた。
>
>前者の「相当程度」とはどんな程度なのか。後者の「熟練」とはどの程
度か。いずれ
も定義されていない。
>
>眼前の人手不足解消のために何が何でも外国人を入れたいという姿勢が
見てとれる。

あえていえば政府案は外国人の野放図な受け入れ策でしかない。
>
>外国人は単なる労働者ではない。誇りも独自の文化も家族もある人間
だ。いったん来日

して3年、5年と住む内に、安定した日本に永住したくなり、家族を呼び寄
せたくなる人

がふえるのは目に見えている。その時彼らが機械的に日本を去るとは思え
ない。すると

日本社会にどんな影響が出るだろうか。欧州諸国は移民を入れすぎて失敗
した。政府は

今回の受け入れは移民政策ではないと繰り返すが、5年間で最大34万人と
みられる労働者

が事実上の移民にならないという保証はない。
>
>日本にはすでに258万人の外国人が住んでいるのである。その中で目立つ
のは留学生の急

増だ。2013年末に19万人だったのが17年末までの4年間に31万人にふえ
た。技能実習生は

16万人から27万人に、一般永住者は66万人から75万人にふえた。
>
> 日本には特別永住者と一般永住者の2種類がある。前者は戦前日本の統
治下にあった朝

鮮半島や台湾の人々、その子孫に与えられている地位である。彼らは日本
に帰化したり

日本人と結婚したりで、日本への同化が進み、その数はこの4年間で37万
人から33万人に

減少した。
>
> 問題は一般永住者である。シンクタンク「国家基本問題研究所」研究員
の西岡力氏の調

査によると、17年末で75万人の一般永住者の3分の1、25万人が中国人だ。
一般永住者は

日本人と同等の権利を与えられた外国人と考えてよい。滞在期間は無制限
で、配偶者や

子供にも在留資格が与えられる。活動も日本国民同様、何ら制限もない。
彼らが朝鮮総

連のような祖国に忠誠を誓う政治組織を作ることも現行法では合法だ。
>
> 他方中国政府は10年に国防動員法を制定し、緊急時には海外在住の中国
国民にも国家

有事の動員に応ずることを義務づけた。仮に、日中両国が紛争状態に陥っ
た時、在日

中国人が自衛隊や米軍の活動を妨害するために後方を攪乱する任務に就く
ことも十分に

考えられる。
>
> 一般永住資格はかつて日本に20年間居住していなければ与えられなかっ
たが、98年に

国会審議もなしに、法務省がガイドラインで「原則10年以上の居住」に緩
和した。その結

果、20年間で9万人から75万人へと、8倍以上にふえた。今回の外国人労働
者の扱いだけで

なく、一般永住者の資格も含めて日本国として外国人政策の全体像を見直
す時であろう。
>

◆山科だより 門跡寺院

渡邊 好造

日本全国の寺院数は約18万3千、「日本寺院総監」に掲載されているのは7万6千というが、皇族や摂家などのいわゆる高格式者の出家の対象となる『門跡(もんぜき)寺院』は、京都を中心に全部で30余りしかない。

第59代宇多天皇が、寛平10年(平安時代・898年)法皇となり、京都(右京区)の”仁和寺(にんなじ=真言宗)”にこもり、「御室(おむろ)門跡」と称したのが”門跡寺院”の始まりである。

鎌倉時代に入って、皇族や摂家が特定の寺院に出家することが定着し、室町時代には寺格としての門跡が確立され、これらの政務を担当する門跡奉行も設けられた。

その後、 江戸幕府は出家者の位階により @宮(みや)門跡、A摂家(せっけ)門跡、B清華(せいが)門跡、C公方(くぼう)門跡、D准(じゅん)門跡の5つの門跡寺院を制度化した。

最上位の「宮門跡」は、親王(皇族)、法親王(親王の宣下をえた僧)の出家者を対象としたもので、13寺院あるうち”輪王寺(りんのうじ=天台宗=茨城県日光市)”、”園満院(えんまんいん=天台宗=滋賀県大津市)”以外は全て宮家の中心であった京都市内にある。

ついでながら、”園満院”については、平成21年(2009年)5月に重要文化財の建物9棟、庭園・土地1万4千平米が寺院の借金返済のために競売となり、約10億円余りで滋賀県甲賀市の宗教法人に落札され、同年8月所有権移転が成立するという所管の文化庁もビックリの異例の事態となった。

ただし、建物以外の文化財は第2次大戦後に京都、奈良、九州などの国立博物館所蔵となっていたため無事である。

「摂家門跡」は、近衛、九条、二条、一条、鷹司の五摂家とその子弟が、「清華門跡」は、久我、三条、西園寺、徳大寺、花山院(かさんのいん)、大炊御門(おおいのみかど)、今出川、醍醐、広幡(ひろはた)などの公家、「公方門跡」は武家、「准門跡」は"脇門跡"ともいわれ、特別に認められたその他の高格式者がそれぞれ対象となる。

さて注目したいのは、京都市内11の「宮門跡寺院」のうち3つがここ「山科」にあることで、”勧修寺(かじゅうじ)=真言宗”、”毘沙門堂(びしゃもんどう)=天台宗”、そして”青蓮院・大日堂(だいにちどう)=天台宗=東山区の青蓮院の飛び地庭園”がそれである。

その他の門跡寺院も含めると、”安祥寺(あんしょうじ)=真言宗”、”随心院(ずいしんいん)=真言宗”が加わり、この5寺院については「山科だより」で詳しく紹介してきたが、改めて概略にふれておく。

”勧修寺”は、「山科門跡」ともいい、水戸光圀寄進の勧修寺型燈篭、境内の"氷池園"という名の平安時代・池泉園で知られる。”毘沙門堂”は、狩野益信筆の書院の襖絵116面が有名。”青蓮院・大日堂”は、将軍塚といわれる展望台からの京都中心部と山科の眺望が素晴らしい。

”安祥寺”は、広大な領地を誇り上寺と下寺をもつ寺院であるが、現在院内への入場は残念ながらできない。”随心院”は、平安時代36歌仙の一人"小野小町"一族所縁の邸宅跡に創建された寺院で、境内は国史跡である。

「山科」は、『門跡寺院』の存在でみても、歴史と伝統を引き継ぐ由緒ある京都の一角なのである。 (完)