2018年11月26日

◆中国領事館(カラチ)で自爆テロ

通巻第5901号

                          宮崎 正弘
  

 中国領事館(カラチ)で自爆テロ
 「資源を盗む中国への報復」とパロチスタン独立運動が声明

習近平のシルクロードの目玉は「中国パキスタン経済回廊」で、総額620
億ドル。世界からは「借金の罠」と非難囂々だが、どこふく風。しかし現
場のパキスタン西部バロチスタンの民衆の動きは違った。

2018年11月23日午前9時頃、カラチにある中国総領事館を爆薬を積んだ車
3台が襲った。1台は土嚢を積み上げた警備所を襲い、警官2人が死亡、
後続の2台が検問を通り抜けて正門前付近まで突っ込み、自爆テロに及んだ。

中国領事館前にいたパキスタン人2人が犠牲となって、銃撃戦となり、テ
ロリストと見られる3人が死亡した。

同日、近くの都市のバザールでも自爆テロがあり、買い物客でごった返す
場所だったため51人の犠牲がでた。この2つの自爆テロは密接に関連して
おり、バロジスタン独立運動組織は「中国は資源を盗んでいる。報復だ」
と声明を出した。

この自爆テロはイムラン・カーン首相率いる新政権に政治的ショックをも
たらした。中国は「警備に手抜かりがある」とパキスタン政府を批判、パ
キスタンは「中国との関係は揺るぎない」と釈明に追われた。

パロジスタン地方はパキスタン西部に宏大な土地をもち、シルクロードの
起点となるグアダール港がある。2017年にも省都クエッタで中国人教師二
人が誘拐され、殺害される事件が起きた。シルクロードの建設現場は原
油、ガスのパイプラインと高速道路、鉄道、光ファイバーの工事が行われ
ており、パキスタン正規軍が警備に当たっている。

他方、中国国内でも「テロ」が横行している。

この1ヶ月だけでも、10月25日に重慶の幼稚園が襲撃され、ナイフを振り
回した39歳の女が14人の園児を殺傷した。

11月21日には遼寧省胡廬島で、遠足に向かった児童の隊列に車が突っ込
み、5人が死亡、11人が負傷するという事件が起きた。

11月22日、雲南省昆明にある雲南総合技術大学構内で、若い男が暴れまく
り、一人が死亡、11人が負傷(うち3人が重体)。

これらいずれも欧米でおきている銃乱射や、繁華街での無差別的なトラッ
ク暴走テロなどに触発された社会不安の現象と見られる。

     
☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆ 書評 しょひょう 
BOOKREVIEW 書評BOOKREVIE 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  

 世界ではじめて書かれたモンゴル通史
  冷戦終結後、自立したモンゴルが歴史書として求めた

  ♪
宮脇淳子『モンゴルの歴史 遊牧民の誕生からモンゴル国まで』(刀水書房)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

いきなり雄渾な筆致で歴史の大スペクタクルが始まる。文章がダイナミッ
クで、些細な出来事は行間に埋め尽くされるのだが、草原の空気のよう
に、じわりと夜露になって、染みだしてくる。

これは世界初のモンゴル通史であり、翻訳版(モンゴル語)も最近完訳さ
れた。
 思えばソ連崩壊後、歴史認識が白紙のもとで誕生した新生モンゴルに
は、自らをかたる歴史教科書がなかった。世界に求めたら、本書があっ
た。日本人学者がモンゴル通史を書いていた。

それほどの重要度を持つのが本書である。

最初の四分の一は「チンギス・カーン登場以前」である。遊牧民の烏合
離散があり、部族どおしの確執があり、異民族の侵略と戦い、異教徒との
戦争もあった。これら前史を要領よくまとめているので頭にはいりやすい。

ここで重要なのは次の指摘である。

「北アジア遊牧騎馬民をモンゴル系かトルコ系かに分類するという命題
には、重大な欠陥がある。第一に、その系統が人種のことを指しているの
か、言語のことを指しているのかはっきりしないこと。第二に、歴史的に
大いに混血してきた現在のモンゴル民族やトルコ民族を基準にして、かれ
らより古い時代の遊牧民がどちらの系統に属していたか、どうして決めら
れるだろう」

そこで、宮脇女史はこう言われる。

「トルコ系民族に分類されている人々は、時期こそ違いがあるが、イスラ
ム教に帰依した人々で、モンゴル系民族に分類される人々とは、十六世紀
以後にチベット仏教のなった人々」と目から鱗の定義を提示される。ピタ
ゴラスの定理ならぬ、これが「宮脇淳子の定理」だ。

評者(宮崎)との共著でも話題になったのは内蒙古自治区にある成吉思
汗御陵(漢族は通称「成陵」という)のことである。

実際にオルダスから南下して、カンバシ新区という世界最悪のゴースト
タウンの取材に行った折に、評者もついでに成陵に立ち寄った。

 オルダスからタクシーで2時間ほど南下した草原にあった。まったくの
観光スポットとして俗化しており、運転手の漢族に「モンゴル族という異
民族が建てたのが元朝であり、なぜ漢族のあんたたちが祀るのか」と聞く
と、『おなじ中華民族ですから、問題はない』と答えたので唖然とした記
憶がある(宮崎、宮脇共著『本当は異民族がつくった! 虚構国家中国の
真実』、ビジネス社を参照)。

じつはこの成陵。まったくのフェイクである。1956年に中国共産党 が勝
手に今の場所を選定して「新しい神話」にすぎない。

実際にチンギス・カーンの墓地は、それならどこにあるのか。

宮脇女史は以下を叙する。

「葬儀がおわったのち、遺骸は、オノン、ケルレン、トーラ河が源を発
する、ケンティ山脈のブルハン・ハルドンの山の一嶺に埋葬された(中
略)。墓には盛り土も墓標もなく、埋葬が終わると、多数の馬に踏ませて
土を平らにした。やがて樹木が生い茂って、ハーンの遺骸がどの樹木の下
に埋葬されているかはわからなくなった」

雄大でロマンに満ちたモンゴル歴史、いよいよ「モンゴル帝国」の仕組
み、チンギス・カーンの世界征服に突入するが、そのダイナミズムは本書
を読んでのお楽しみ。

所々に挟み込まれた『余滴』もまた読書人には楽しめる。

騎馬民族説なる面妖な学説が一時日本の学会を席巻したことがある。こ
れもあり得ないと宮脇さんはさらりと次の事実を列挙する。

「遊牧をしない騎馬民族はいない」のであって、さらに「遊牧民なら馬
の去勢を知らないはずがない」。

日本の古墳から出土するのは魏晋南北朝時代の北中国のものと同類だ
が、蹄鉄がない。

江戸時代の絵画をみても、箱根を越える馬は特殊な草鞋を履いている。
 日本に蹄鉄と去勢の技術が入ったのは明治以降だった。つまり騎馬民族
説はまったく成り立たないとさりげない批判の矢が随所に放たれている。

読書の秋にふさわしい重厚な一冊!




◆将来に禍根残しかねない入管法改正案

櫻井よしこ


「将来に禍根残しかねない入管法改正案 日本は外国人政策の全体像を見
直す時だ」
安倍晋三首相も自民党も一体どうしたのか。まるで無責任な野党と同じで
はないか。

外国人労働者受け入れを大幅に拡大する出入国管理法改正案についての国
会論戦を聞いていると、普段は無責任な野党の方がまともに見える。それ
程、自民・公明の政権与党はおかしい。

11月2日の閣議決定に至るまで、同法について自民党の部会で激しい議論
が何日間も続き、発言者の9割が法案に強く反対した。しかし結局、外国
人労働者の受け入れを大枠で了承し、法律の詳細は省令で決定するという
異例の決着を見た。

深刻な人手不足ゆえに倒産が相ついでいるといわれる建設業界や介護業界
の悲鳴のような要請を無視できないという事情はあるにしても、この法改
正は将来に深刻な禍根を残しかねない。

今回の改正で受け入れる外国人の資格として「特定技能1号」と「2号」が
設けられ、「1号」の労働者の「技能水準」は「相当程度の知識又は経験
を必要とする技能」とされた。「2号」の労働者の技能水準は「熟練した
技能」とされた。

前者の「相当程度」とはどんな程度なのか。後者の「熟練」とはどの程度
か。いずれも定義されていない。

眼前の人手不足解消のために何が何でも外国人を入れたいという姿勢が見
てとれる。あえていえば政府案は外国人の野放図な受け入れ策でしかない。

外国人は単なる労働者ではない。誇りも独自の文化も家族もある人間だ。
いったん来日して3年、5年と住む内に、安定した日本に永住したくなり、
家族を呼び寄せたくなる人がふえるのは目に見えている。その時彼らが機
械的に日本を去るとは思えない。すると日本社会にどんな影響が出るだろ
うか。欧州諸国は移民を入れすぎて失敗した。政府は今回の受け入れは移
民政策ではないと繰り返すが、5年間で最大34万人とみられる労働者が事
実上の移民にならないという保証はない。

日本にはすでに258万人の外国人が住んでいるのである。その中で目立つ
のは留学生の急増だ。2013年末に19万人だったのが17年末までの4年間に
31万人にふえた。技能実習生は16万人から27万人に、一般永住者は66万人
から75万人にふえた。

日本には特別永住者と一般永住者の2種類がある。前者は戦前日本の統治
下にあった朝鮮半島や台湾の人々、その子孫に与えられている地位であ
る。彼らは日本に帰化したり日本人と結婚したりで、日本への同化が進
み、その数はこの4年間で37万人から33万人に減少した。

問題は一般永住者である。シンクタンク「国家基本問題研究所」研究員の
西岡力氏の調査によると、17年末で75万人の一般永住者の3分の1、25万人
が中国人だ。一般永住者は日本人と同等の権利を与えられた外国人と考え
てよい。滞在期間は無制限で、配偶者や子供にも在留資格が与えられる。
活動も日本国民同様、何ら制限もない。彼らが朝鮮総連のような祖国に忠
誠を誓う政治組織を作ることも現行法では合法だ。

他方中国政府は10年に国防動員法を制定し、緊急時には海外在住の中国国
民にも国家有事の動員に応ずることを義務づけた。仮に、日中両国が紛争
状態に陥った時、在日中国人が自衛隊や米軍の活動を妨害するために後方
を攪乱する任務に就くことも十分に考えられる。

一般永住資格はかつて日本に20年間居住していなければ与えられなかった
が、98年に国会審議もなしに、法務省がガイドラインで「原則10年以上の
居住」に緩和した。その結果、20年間で9万人から75万人へと、8倍以上に
ふえた。今回の外国人労働者の扱いだけでなく、一般永住者の資格も含め
て日本国として外国人政策の全体像を見直す時であろう。

『週刊ダイヤモンド』 2018年11月24日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1257

◆「それでも買わない日本が悪い」

前田 正晶


カーラ・ヒルズ大使は「それでも買わない日本が悪い」と指摘した:

カーラ・ヒルズ大使は「それでも買わない日本が悪い」と指摘した:
以下は昨年の1月8日に発表したものだが、敢えて再々度投稿します。説明
不足な点などがあったので、大使の発言内容などを補足しましたし、アメ
リカの労働力の問題点を私が現場で経験したを加筆・訂正したので、一般
の方には知り得ないことを述べたと自負しております。

それでもトランプ大統領が赤字を我が国に非があるように言うのは不当だ
と言いたいのです。トランプ大統領の残された公約の中に「対日貿易赤字
削減」がある以上、大いに関連がある話題だと思っている。

それだけにボツにされ続けるのは残念です。

私はこれまでに何度も1994年7月にNHKホールで開催されたパネル・デイス
カションでの同大使の発言を紹介してきた。大使はアメリカの対日輸出が
何故伸びないかの原因の根本的な点を躊躇なく認める発言をされた。長年
対日輸出を担当してきた者の1人としては「善くも言ったものだ」と寧ろ
感心していたくらいだった。


その内容はと言えば

*「アメリカは識字率を上げる必要がある」、

*「初等教育の充実を図らねばならない」というものだった。その意味す
るところは、

「アメリカの生産現場には非常に良く整備されたそこに働く労働組合員の
為のマニュアルが準備されている。だが、組合員がそれを読んで理解しな
ければ何の効果も挙がらないのだ。しかも、現実には外国人も含めた組合
員の中にはそれを読めない者がいるのが現実なのである。それも問題だ
が、それよりも悪いのが読んだ振りをする者いることだ」なのである。

私は現実に工場に入って彼らと語り合ってたどたどしい英語しか話せない
移民の組合員がいたと分っていたので、ヒルズ大使が言われたことは遺憾
ながら『仰せの通りである』と良く解る」のだった。

だが、大使は「それでも、買わない日本が悪い」と平然と締めくくられた
のには恐れ入った。「流石にアメリカの大使だ。何処まで行っても負けな
いのだ」と思わせられた。

それは、「原因がアメリカの製品の品質が(飽くまでも一般論として重要
な点で)日本的な水準からすれば劣っているので伸びないのだ」と認めた
のだから重要なのだ。

その劣っていることの原因が「自国の労働力の質にあると認識している」
と認める発言なのだから、アメリカの労働市場の実態をご存じでない向き
には、何のことか分らなかっただろうと、その場で聴いていた私には考え
させてくれたのだった。

ここまで言っても未だ何のことかがお解りにならない方はおられるのでは
ないかと危惧する。アメリカの国内市場で受け入れられている品質では
(お断りしておくが紙パルプ産業界のことを云々しているのではない)世
界の市場、就中我が国では通用しないという、悲しくも冷厳な事実なので
ある。しかし世界最大の経済大国と自他共に許したアメリカでは、メー
カーも最終需要者も「我が国の製品こそ世界最高である」と過信している
状態で、言うなれば井の中の蛙の集団なのである。

世間では古くから「セラーズ・マーケット」と「バイヤーズ・マーケッ
ト」という言い方がある。だが、アメリカでは「セラー」はおらず「プロ
デユーサー」だけがいると言っても良い状況なのだ。具体的な例を挙げれ
ばアメリカの紙パルプメーカーは一般的にユーザーに直売するのが普通で
あり、我が国のように代理店があってその次に卸商がいて需要家に販売す
るというような流通経路はないのである。

言って見れば「プロデユーサーズ・マーケット」なのである。その連中は
自分たちの生産効率を最大限に発揮することが可能なスペック
(specifications)を設定し、ひたすら大量生産に励むのだった。そのス
ペックには市場と最終消費者が求める要素は最小限度にしか考慮されてい
ないと思っていて誤りではないのだ。生産効率を追求する以上は。そ
の辺りを英語では”product out”などと表現されている。

仮令そうであっても、そのスペックの下に製造する現場の労働力の質が望
ましくなければ、イヤ世界の平均的水準以上でなければ、世界市場での競
合能力は低下するのだ。世界の諸国の技術水準と生活水準がアメリカ以下
だった頃には、アメリカは世界に冠たる技術を誇る製造業の王国であり、
その高水準にある研究開発(R&D)能力とその資本力によって世界を圧倒
してきたのだった。紙パルプ産業界だけを見ても、アメリカの大手メー
カーが降ろしたライセンスを使用しているメーカーは、それは驚く
ほど多かった。しかしながら、アメリカが同じ水準に止まっている間に、
世界の諸国は多くの面でアメリカを抜き去っていたのだった。

その辺りと言うか、アメリカがR&Dの能力の凄さは何もW社に転進する前か
ら十分に認識させられてはいた。だが、紙パルプ・林産物業界の世界的大
手である自社の巨大なテクノロジー・センターを現実に見て、そこに投入
されている豊富なPh.D.ばかりの人材と資金には圧倒されたのだった。同
時に一般論として「アメリカのR&Dの能力が世界最高であることは認める
にしても、そこで産み出された革新的な技術やアイデイアを商業生産に移
行した場面での労働力の質が伴わず、競合国や後発の諸国に追い抜
かれてしまう結果になってしまうのが、悲しくも冷厳な事実なのだと知っ
た時はアメリカの会社の一員としては悲しかった。

私は日本市場という世界でも最も品質に対する要求が細か過ぎるし且つ厳
格な国を相手にして、全く予期せざる苦労を強いられたのだった。簡単に
言えば、アメリカでは我が国で当たり前のように達成されてきたごく当た
り前のことである受け入れ基準を満たすことが出来ていない紙が市場では
大手を振って通用しているという、何とも言いようがない現実があった。

それにも拘わらず、クリントン政権は「原料だけ買うな。アメリかでは世
界最高の紙を造っている。サー買え。買わないとスーパー301条を発動す
るぞ」と脅しにかかったのだから救いようがなかった。ヒルズ大使は一般
論としてその誤認識をご存じだったと理解して聴いていた。

それでも、当時「猛女」などと酷評したメデイアもあったほどで、大使は
自分の職務に忠実に我が国に向かって「もっと輸入せよ、世界最高のアメ
リカ製品を買え」と迫っていただけだと理解していた。

私はトヨタを始めとする自動車メーカーがメキシコに生産拠点を設けよう
とする根拠が果たして労務費だけの問題なのか否かなどを知る由もない
が、トランプ次期大統領はこれからカーラ・ヒルズ元大使にでもブリー
フィングして貰ってアメリカの労働力の問題をおさらいする必要があるの
ではないかと危惧するのだ。

もしも、何らの予備知識もなくあの類いの発言をしておられたのであれ
ば、アメリカ国民の中には「オバマ大統領に続いて、大変な人物を選んで
しまった結果になるのではないか」と密かに恐れている人たちもいるのか
も知れないと思う。

これから先にトランプ新大統領が如何なる対日輸出政策乃至は貿易赤字削
減策を打ち出してくるかを思う時に、正直な所、我が国にとっては難しい
時期がやってくると思わざるを得ない。我が国にとっての課題は如何にし
てトランプ大統領に「アメリカの労働力の質の問題が今日の貿易赤字を生
む原因になっているかを十分にご理解願うことだろう。だが、トランプ大
統領は引かないと危惧する。

at 09:00 | Comment(0) | 前田正晶

◆歳は足に来る(続)

石岡 荘十


数十メートル歩くと左足がだるくなって歩行困難になる。で、数分立ち止まって休むとまた歩けるようにはなるが、またすぐだるくなる。


このような症状を専門的には「間欠性跛行」という。「跛行」はビッコを引くという意味だ。こうなった経緯については前回述べた。今回はその続編である。


先般、閉塞した足の大動脈にステントを入れる治療を受け、ビッコは解消し、元通り颯爽と歩けるようになった。


はじめ、「これはてっきり腰をやられた」思い込んで、近所の接骨院に駆け込んだら、「典型的な脊柱管狭窄症の症状だ」と断言する。つまり神経の管が腰のところで狭まっている疑いがあるとのことで、電気治療、針を数回やってもらったが、はかばかしくない。


血流が詰まる動脈硬化は典型的な加齢疾病だ。脳の血管が詰まれば脳梗塞になるし、心臓の血管(冠動脈)が狭くなると狭心症、詰まると心筋梗塞になる。私の場合は足にきたというわけである。

造影剤を使ったCTで診ると、左足付け根から動脈を15センチほど遡ったところで90パーセント狭窄していることが確認できた。左足へは最大、通常の7割ほどしか血が流れていない。これではビッコになるわけだ。

治療法は、脳梗塞や心臓梗塞と同じだ。血管の狭くなったところにカテーテルを挿し込んでフーセンで拡げるとか、バイパスを作るとか、etc。

8/23、心臓カテーテル室でカテーテル台に横になると、若くて美形の看護婦さんが何の躊躇もなくパラリとT字帯をはずし、左足の付け根周辺の陰毛を電気かみそりで刈る(剃毛という)。慣れたものだ。

局所麻酔の後、この治療では実績も多い腕利きの医師が、モニター画面を見ながらカテーテルを挿入。先端には、中心部に細くすぼめたバルーンを仕込んだステントがある。ステントはステンレスで出来た金網のチューブである。

これを狭窄部分まで持っていってバルーンを膨らますと、すぼめてあったステントの内径も同時に拡がって、狭窄した血管を見事に押し広げた。

ステントは内径8ミリ、長さ40ミリ。心筋梗塞の治療に使うステントは内径2ミリほどだから、それに較べると大型だ。治療時間は1時間ほど、治療費86万円、自己負担9万円ほどだった。

心筋梗塞でステントを使う治療法はよく知られているが、足の大動脈狭窄にステントを使うケースはまだそれほど多くない。

治療を受けた東京女子医大では、ステントを使った心筋梗塞治療が今年すでに数百件に上るのに対して、足に使った症例は筆者でまだ56件目だという。

下肢(足)へ行く動脈が詰まると、下肢が腐ってしまい、痛いだけでなく、命にかかわるケースもある。そうなると「命には代えられない」とやむを得ず下肢を切断しなければならなくなる。日本では毎年1万人以上が足を切断されているという報告もある。高齢化で症例は増えている。

足にもステントを入れるという治療法は、循環器内科ならどこでもやっているわけではない。リスクもある。医師の選択には慎重でありたい。

元京都大学心臓血管外科部長・米田正始(こめだまさし)医師を中心とする研究グループは新しい血管を作って下肢切断を救う「血管再生法」という試みを行なっていて、再生医学のひとつとして注目されている。が、成功症例はまだそれほど多くない。

「なんとなく足の先が冷たい」

これが、アラームだ。接骨院では治らない。歳は足にくる。専門の医師を選んで、治療を受ける必要がある。(再掲)

2018年11月25日

◆韓国に分かる形で怒り示そう

阿比留 瑠比


2014年6月、ソウルで元韓国外務省東北アジア局長、趙世暎 (チョ・セ
ヨン)氏に慰安婦問題や元徴用工をめぐる訴訟問題についてイ ンタ
ビューした。趙氏は1965年の日韓請求権協定に関し、こう明言し ていた。

 「005年に韓国政府は、反人道的問題である慰安婦問題、サハリン 残留
韓国人問題、韓国人原爆被害者問題の3つは請求権協定の対象に入っ て
いないという解釈を発表した。裏を返すと、徴用工問題は入っていると
いうことだ」

請求権協定をめぐる日韓交渉では、韓国側が「個人への支払いは韓国政
府の手でする」と主張した。そして実際、韓国は1975年に元徴用工へ の
補償を実施し、2008年から追加補償も行っている。

慰安婦問題などに関しては日本政府の見解と相いれないが、徴用工問題
はすでに決着済みだと韓国も自覚していたのである。

それが簡単に韓国最高裁に覆されたのだから、たまったものではない。
31日の自民党の外交部会などの合同会議では、出席議員の言葉もとがっ
ていた。

「韓国は国家としての体をなしていないんじゃないか」(中曽根弘文元
外相)

「もう怒りを通り越してあきれるというか、韓国のセンスのなさを言う
しかない」(新藤義孝元総務相)

ソウルの在韓日本大使館前に設置されたウィーン条約違反の慰安婦像を
放置していることも含め、韓国が国際条約もルールも守れない非法治国家
であると自己宣伝するのは勝手である。

だが、韓国は中国に対してはこんな暴挙は仕掛けはしない。何をやって
も反撃してこないと、日本を甘く見ているのだろう。

 「非常に残念だ」

岩屋毅防衛相は10月20日、韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国 防相
と会談した際に、韓国での国際観艦式で、海上自衛隊の自衛艦旗(旭 日
旗)の掲揚自粛を求められ、参加を見送った問題でこう伝えた。

先進国で最悪レベル。日本の貧困問題を無料で支援できる方法とは?


「防衛費は増やす」麻生太郎財務相 食い下がる朝日記者に「(安全保障
環境が)厳しいと思っていないのか」


日本の順位巡り紛糾 競泳で「コリア」が抗議 アジアパラ大

元韓国駐日大使「日韓関係悪化は不可避」


日本企業撤退、投資減少…韓国、経済への影響不安視 徴用工勝訴


歴代韓国政府見解は「解決済み」 現政権と与党困惑



トヨタ、常務役員廃止へ 部長ら含め「幹部職」に

1元日産自動車取締役・奥野信亮氏インタビュー 「ゴーンは自分さ…

2米政府、日本など同盟国に中国「ファーウェイ」製品不使用を要求

3【慰安婦をめぐる損賠訴訟】「植村氏の記事への評価、変えない」…

4私物化「限度超えている」 ゴーン容疑者に日産幹部

5シュライバー国防次官補、民兵漁船「中国海軍と区別しない」

62025年万博、大阪で開催 ロシア、アゼルバイジャン破る

7パキスタン中国領事館を武装勢力が襲撃 市民ら4人死亡

8「日韓関係をどうする意向か」と河野外相 

9「カネで殺人許すのか」米紙がトランプ政権批判 サウジ記者殺害

10日仏両政府巻き込む争いに マクロン・ゴーン雪解けで日産が危機…


日本人らしく抑えた物言いだが、これでは意味がない。麗澤大の西岡力客
員教授は、月刊『正論』3月号でこう訴えている。

「日本人は100のことを言いたい場合は50のことを言う。相手が 50のこと
を話したら『本当は100、言いたいのだな』と忖度(そんた く)するわけ
です。でも、韓国人は逆なのです。韓国人は、100のこと を伝えたいとき
に200を言います。相手が200を言ったらそれを 100と受け止める」

難儀な話だが、韓国に対してはそれ相応の対応を取るしかない。徳島文
理大の八幡和郎教授は10月30日、自身のフェイスブックに「日本は何 も
しないと思われるから韓国は無茶をする」と書き、次の5つの報復措置
を提案していた。


 (1)日本人が(朝鮮)半島に残した個人財産への補償を要求(2)対
北朝鮮経済協力の拒否(統一時も含む)(3)3代目以降に特別永住者の
地位を認めない事(4)歴史教科書における(近隣国への配慮を定めた)
近隣国条項を韓国に限って撤回(5)韓国大衆文化の流入制限−。

八幡氏は筆者に「これらは日本が単独でできる」と指摘し、こう付け加
えた。

 「日本はここまでやれると見せないと、韓国とは話し合いにならない。
紳士的に対応していたら、韓国政府も(感情に流されがちな)国民を説得
できない」

韓国側にも理解できる形で、日本の怒りを示すべきだろう。(論説委員
兼政治部編集委員)
産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】

◆バノンと郭文貴が「法の支配財団」

宮崎 正弘


平成30年(2018年)11月23日(新嘗祭)弐 通巻第5900号  

 バノンと郭文貴が「法の支配財団」(1億ドル)を設立
  海航集団の王健の謎の事故死、カショギ殺害の真相などを徹底調査へ

トランプ大統領の前戦略官兼上級顧問だったスティーブ・バノンが、米国
に亡命中の郭文貴と組んで「法の支配財団」を設立する。

資金は1億ドルで、目的は中国の「海航集団」(HNAグループ)の
CEOだった王健の謎の事故死、ジャメル・カショギ殺害の真相、そして
英国で殺害されたロシアのセルゲイ・スクリパル事件の背後などを徹底究
明する調査に資金を投入する。

とくに注目されるのはインターポール総裁だった孟宏偉が北京に呼び出さ
れたまま拘束され、総裁ポストを離れさせられた事件は、2018年5月にフ
ランスのプロバンス地方を旅行中に崖から転落死した王健(海航集団の
CEO)との関連など、謎だらけの伏魔殿の真相解明が目的だというから
には、中国にとって、さぞや不愉快な事態だろう。

海航集団は王岐山が深く関わる新興のコングロマリットで、ローカルな飛
行機会社からヒルトン・ホテルチェーンの大株主などに躍進し、世界的な
注目を浴びてきた。有利子負債が12兆円ほどあるといわれ、このところ
は海外資産の売却を急いできた。香港の一等地(啓徳空港跡地の住宅開
発)の不動産も処分した。

郭文貴は2014年に米国に亡命し、以後はテレビやユーチューブなどで習近
平、王岐山らの怪しげな金銭スキャンダルを次々と暴き、米国メディアを
通じて世界に中国共産党幹部の不正資金環流、海外蓄財などを告発してきた。

他方、中国は郭文貴が香港で保有する海通証券の株式(時価11億ドル)
を凍結し、対決姿勢を強めていた。海通証券は上海と香港に上場する証券
大手である。


◆歳は足にくる(前)

  石岡荘十


学生時代から体育会系で足腰には自信があるつもりだったが、古希を過ぎる頃から歳が足にきた。

ことの始まりは、高校の友人と花見がてら玉川浄水伝いの小道を小金井公園まで数キロ歩いたときだった。暫く歩くと左足がだるく、重くなって思うように歩けない。しばらく(数分)休むと回復してまた歩けるようになるのだが、また、だるく重くなる。

こういうのを間欠性跛行(かんけつせいはこう)といい、腰部脊柱管狭窄症の典型的な症状だとされている。跛行とはビッコを引くということだ。

人間の脊椎骨は上から頚椎(7個)、胸椎(12個)、腰椎(5個)、仙骨(1個)、それに数個の尾骨から成っている。脊椎骨の中心を走る脊柱管の中に神経の柱がある。

一つひとつの脊椎と脊椎の骨の間には椎間板というクッションの役割を果たす軟骨組織がある。そしてさらにこれらは靭帯や背筋などの筋肉で支えられている。

ところが、40代後半になってデスクワークが増えたせいか、足に痺れや傷みが来た。背筋が脊椎を支えきれなくなって5番目の腰椎がずれていると診断された。それから、少なくとも一キロ/週、泳ぐ習慣をつけて今日に至っているので、重い足を引きずってビッコを引くようになろうとは思いもしなかった。

脊柱管狭窄症、つまり神経の管が腰のところで狭まっている疑いがあるとのことで、腰のレントゲン、さらにMRIを撮ってみると、確かに、5番目の腰椎がずれている。が、神経には触っていないことが確認できた。脊柱管はどこも狭くなっているところはない。

しかし、MRIをよく見ると、3番目と4番目、4番目と5番目の間の椎間板がほかの椎間板より白く写っていて、炎症を起こしていると認められ、そのせいでごくわずか椎間板がはみ出して、脊柱管を押している。

治療法としては、腰椎を引っ張る、固定装具を使う、消炎鎮痛剤や飲み薬を使う、重症でそれでもダメなら外科手術をするということになる。みのもんたさんは手術をしたといわれるが、そこまでひどい症状は患者の一割程度だそうだ。

私の場合は軽症で、椎間板の炎症は飲み薬でなおる、ビッコの原因はほかにあるというのが整形外科医の診断だった。

では、ビッコの原因は何か。

考えられるのは、足に血液を供給する血管、動脈がどこかで狭くなっていて、栄養補給が足の筋肉の運動量に追いつかない動脈硬化ではないかと循環器内科の医師は考えた。

これを立証するのが、「血圧波検査」だ。両腕、両足に幅広のベルトを巻いて一斉に血圧を測定する検査法である。この検査をすると、動脈の詰まり具合と動脈の硬さ(柔軟性)がわかる。

結果は、左足だけが標準値に達していない、(専門的には「閉塞性病変の疑い」という)左足の血流は右足の7割しかないことが分かった。左足へ行く動脈のどこかが詰まっていた。

血流が詰まる動脈硬化は典型的な加齢疾病だ。脳の血管が詰まれば脳梗塞になるし、心臓の血管(冠動脈)が狭くなると、狭心症や心筋梗塞になる。私の場合は足にきたというわけである。

治療法は、脳梗塞や心臓梗塞と同じだ。血管の狭くなったところにカテーテルを入れ込んでフーセンで拡げるとか、バイパスを作るとか、などなど。

診療科の選択は大事だ。教訓は、大雑把に言うと、足が「痛むとき」は腰の神経になにかが触っているのだから、整形外科へ、「だるい・重いとき」は循環器内科へ、である。

多くの病気は、原因が分かり適切な治療が行なわれれば治るし、治療が適切でなければ治るものも治らない。癌の多くが治らないのは、原因が分かっていない。原因はわかっても治療法がそこまでいっていないか、誤った治療法がまかり通っているためだ、と私は思っている。

いわゆる「難病」といわれるものは、原因が明らかでなく、従って治療法もわからないものをいう。

と、考えると、足がだるくなる間欠性跛行は難病ではない。脳や心臓の梗塞と同じ加齢疾病だと考えればいい。治療法はあり、医師を選び抜けば高い確率で治る。調べてみて“悲観”は飛んだ。

ただ、このような治療法は対症療法に過ぎない。創造主に逆らって老いを押しとどめる智恵はヒトにもない。例外はない。

ガキは頭にくる、なにかというとキレるらしいが、歳は足にくる。(続く)


2018年11月24日

◆諸行無常の鐘が鳴る − 『 ゴーン 』

(社)安保政策研究会理事長 浅野勝人


秋、恒例―北京の名門大学3校の講義を終えて戻ったら、日がな一日、TVから「ゴーン」「ゴーン」と鐘の音が聞こえます。
何事かと思いきや、日産のゴーン会長が逮捕されたそうな!
急いで、自動車業界を半世紀ウォッチングしてきた老朋友に電話して「日産 よくやった。アッパレ!」と申しましたら「あいつは日本人をバカにしていた。思い知ったか!」と彼は言いました。

東京地検特捜部、久しぶりの金星です。
実際に受け取った報酬を80億円過少に申告したことを捜査の端緒にして、特別背任・業務上横領を徹底的に洗い出して、全額返済させる。応じなかったら実刑重罪。日産は、回収したお金を日本在住の株主に限定して配当金に当てたらいい。株価上昇、大ヒットになります。
ルノーは実力を蓄えた日産との連携を反故にされたくない。冷静な話し合いによって、対等且つ相互尊重のアライアンスをまとめるチャンスです。日産・ルノー双方の代表団による協議は、ゴーンがいない方が過去にとらわれず、将来に向けた建設的な結論を得やすいはずです。

中国での講義は、いつもの北京外国語大学(東京外語大に相当)、首都師範大学(筑波大に当たる)、ことしは外交官を養成する大学、「外交学院」から初めて招かれました。外交学院は、周恩来総理の肝入りで創設された大学で、初代学長は、周恩来の右腕だった陳毅でした。正門の「外交学院」の文字は、自らの署名を添えた周恩来の直筆です。正面玄関には陳毅の銅像があります。外相というよりは人民解放軍創設者のひとり、誉れ高き武人の佇(たたず)まいでした。
どの大学も生徒は日本語学科の学部4年生と大学院生。外大と外院のテーマは「朝鮮半島非核化と日中の役割」 師範大は「日中協調の課題―環境と人口問題」です。3大学とも通訳無しでOK。驚きです。

トランプ大統領の批判をすると、喜ばない人はいないというのが今の中国だと私は感じていました。教養あるインテリ経済人と話していた折、話題がことトランプに及んだ途端「あいつは気違いだ」とわめきました。出口の見えない米中貿易戦争のあおりだと思います。
今回の大学の講義で、事実に基づいてドランプ大統領の政治姿勢、政策、思想信条、人物像について分析した後、「ドナルド・トランプは、世論を煽(あお)るデマゴーグの天才に過ぎない、現実主義者の不動産王なのか。歴代の大統領が誰もなしえなかったタブーに次々と挑む勇気ある指導者なのか。どちらだと思いますか」と10人の学生に質してみました。一人くらいは、へそ曲がりがいて「勇気ある指導者」と答えるかもしれないと予測していました。
結果は、不動産王6人、勇気ある指導者4人でした。
他に挙手をして、「両方兼ね備えているのでわからない」と答えた学生がいました。
若者の冷静且つ間口の広い判断に、私は予想をひっ繰り返されて一瞬言葉を失いました。
そして中国の未来は明るいと思いました。

それなのに、帰りの空港の通関のせいで、今回も「中国へ行く気が失せた」と失望させられました。
自宅へ帰ってトランクを開けたら、携帯電話の蓄電池が無くなっていました。没収したという用紙が入っていました。縦横4センチ、高さ2センチの10年以上も前の物で、没収しても役には立たない代物です。もちろん危険性は皆無。何のための没収か理解に苦しみます。もうひとつ、航空運賃は、区間ごと、クラスごとに定額料金を決めるべきです。国交省航空局に航空会社を指導するよう要請します。
今回、ANA・全日空、羽田〜北京往復料金、18万6730円。これまで数十回の経験によれば、これはビジネスクラスの料金です。だから私はビジネスクラスのつもり。ところが行きも帰りもぎゅうぎゅう詰めのエコノミー。エコノミーなら往復8万円位が相場です。ANAに酷いと苦情言ったら、料金は便ごとに乗客の混み具合によって決まる、その時、その時の相場だから仕方ないという。
これチョットぼったくり!
(2018/11月24日、元内閣官房副長官)
at 15:27 | Comment(0) | 浅野勝人

◆中国を兵糧攻めにする? 

加瀬 英明


中国を兵糧攻めにする? 先端技術の中国流出を阻む米国の戦略

米中貿易戦争――あるいは関税戦争をめぐって世論がかまびすしいが、米中
関係のごく一部しか見ていない。

マスコミは木を見て、森を見ないのだ。

トランプ大統領は中国の共産体制を崩壊させることを決意して、中国と対
決してゆく方針を固めた。

習主席は面子にこだわって、関税戦争を受けて立っているが、中国経済が
アメリカ市場に依存しているために、すでに蹌踉(よろめ)いている。

いまではワシントンで、ついこの間まで親中派だった国務省、主要シンク
タンクも、中国と対決することを支持している。アメリカの中国観の地殻
大変動だ。

トランプ大統領が中国という“悪の帝国”を倒す戦略の中核にあるのが、テ
クノロジーだ。

同盟諸国とともに、先端技術の中国への流出を阻む、兵糧攻めにするの
だ。関税戦争や、軍拡競争は脇役になる。

かつてレーガン大統領が、“悪の帝国(イービル・エンパイア)”と極め付け
たソ連を追いつめたのも、アメリカを中心とする、自由世界のテクノロ
ジーの力によるものだった。

中国はテクノロジー後進国だ。宇宙ロケットを打ち上げられても、ジェッ
ト機のエンジンをつくれないので、ロシアから買っている。

中国の指導部は何千年にもわたって、中華思想による知的障害を患ってき
たために、弱い相手は呑み込むものの、まともな対外戦略をたてられない。

力を持つようになると、慢心して、外国を見下すために、傲慢に振る舞う。

中華思想は、中禍思想と書くべきだ。ロシアは戦略が巧妙だが、中国は中
華主義の自家中毒によって、視野が狭窄している。

習主席は中国悠久の歴史から、学べないのだろうか。

オバマ政権は中国に対して宥和政策をとっていたが、中国はアメリカの弱
さだと見縊(みくび)った。

 習主席は3年前に訪米して、オバマ大統領と米中サミットを行い、ホワ
イトハウスで行った共同記者会見で、中国が南シナ海で不法に埋め立てて
造成した7つの人工島を、軍事化することはないと、明言した。

 しかし、その後中国は7つの島に、ミサイルや、爆撃機を配備するよう
になった。

 中国人は平然と嘘をつくが、アメリカ人は嘘をもっとも嫌っている。

 私はかねてから、中国人は昔から「吃(ツー)(食事)」「喝(フー)(飲
酒)」「嫖(ピャオ)(淫らな遊女)」「賭(トウ)(博打(ばくち))」「大
聴戯(チーティンシ)(京劇)」の五つを、生き甲斐にしていると、説いて
きた。

 清朝の歴代の皇帝も、毛沢東、周恩来、江青夫人も、江沢民元主席も、
みな京劇マニアだった。

 京劇は甲高い声に、耳を聾するけたたましい音曲と、大袈裟な所作に
よって、誇大妄想を煽る舞台劇だ。

 習主席が好む大規模な軍事パレードや、急拵(こしら)えの航空母艦を中
心とする大海軍や、絵に描いた餅のような「一帯一路」は、京劇の舞台装
置を思わせる。清朝を崩壊させた西太后も、京劇マニアだった。

 現在、中国海軍は艦艇数が317隻で、アメリカ海軍の283隻を上回
る。西太后が日清戦争前夜に、北京西郊の頤和園の湖岸に、巨額の国費を
投じて建造した、大理石の巨船の“21世紀版”だ。

◆バノンと郭文貴が「法の支配財団」

宮崎 正弘


平成30年(20118年)11月23日(新嘗祭)弐 通巻第5900号  

 バノンと郭文貴が「法の支配財団」(1億ドル)を設立
  海航集団の王健の謎の事故死、カショギ殺害の真相などを徹底調査へ

トランプ大統領の前戦略官兼上級顧問だったスティーブ・バノンが、米国
に亡命中の郭文貴と組んで「法の支配財団」を設立する。

資金は1億ドルで、目的は中国の「海航集団」(HNAグループ)の
CEOだった王健の謎の事故死、ジャメル・カショギ殺害の真相、そして
英国で殺害されたロシアのセルゲイ・スクリパル事件の背後などを徹底究
明する調査に資金を投入する。

とくに注目されるのはインターポール総裁だった孟宏偉が北京に呼び出さ
れたまま拘束され、総裁ポストを離れさせられた事件は、2018年5月にフ
ランスのプロバンス地方を旅行中に崖から転落死した王健(海航集団の
CEO)との関連など、謎だらけの伏魔殿の真相解明が目的だというから
には、中国にとって、さぞや不愉快な事態だろう。

海航集団は王岐山が深く関わる新興のコングロマリットで、ローカルな飛
行機会社からヒルトン・ホテルチェーンの大株主などに躍進し、世界的な
注目を浴びてきた。有利子負債が12兆円ほどあるといわれ、このところ
は海外資産の売却を急いできた。香港の一等地(啓徳空港跡地の住宅開
発)の不動産も処分した。

郭文貴は2014年に米国に亡命し、以後はテレビやユーチューブなどで習近
平、王岐山らの怪しげな金銭スキャンダルを次々と暴き、米国メディアを
通じて世界に中国共産党幹部の不正資金環流、海外蓄財などを告発してきた。

他方、中国は郭文貴が香港で保有する海通証券の株式(時価11億ドル)
を凍結し、対決姿勢を強めていた。海通証券は上海と香港に上場する証券
大手である。