2018年11月18日

◆韓国の徴用工問題の背後

櫻井よしこ


「韓国の徴用工問題の背後に広がる深い闇 ネット媒体も駆使して実態を
伝えたい」

ネット配信の「言論テレビ」を始めてよかったと思うことがふえている。
本が好きで、雑誌も新聞も紙で読むことが一番しっくりする私でさえも、
ネットの力、その可能性に驚かされる毎日である。

11月2日に配信した言論テレビの2時間の特別番組では韓国大法院(最高
裁)判決を論じ、多くの視聴者に届けた。元徴用工問題に関する韓国側の
判決は周知のとおり、日本企業(新日鐵住金)に戦時中、非人道的で不法
な労働を強要されたと訴え出ていた労働者4人に4億ウォン(約4000万円)
の支払いを命ずるものだった。

1965年の協定によって、請求権問題は「完全かつ最終的に解決された」の
であり、日本にとっては受け入れられない判決だ。

加えて、安倍晋三首相が国会で明言したように、原告4人は元徴用工では
ない。これは朝鮮問題専門家でシンクタンク「国家基本問題研究所」の研
究員である西岡力氏が、韓国大法院の資料を読み解く中で発見した。

朝鮮半島の人々を日本企業が募集し始めたのは1939年である。徴用は44年
9月に始まり、翌年3月頃まで約半年間続いた。注目すべきことは、この間
ずっと、募集枠を大きく超えて万単位の労働者が日本に働きに来ていたこ
とだ。統計を見ると、少なくとも1万6000人の労働者が不正渡航を理由に
朝鮮半島に送り返されている。それだけ日本における労働条件がよかった
ということであろう。

今回の裁判の原告四人も企業の募集広告を見たり、役場から勧められて応
募したりして、民間企業の賃金、待遇の諸条件に納得して働きに来た。彼
ら全員が徴用の始まる44年9月以前に渡日しており徴用とは無関係だ。

だが、韓国の司法は民間企業の募集で渡日した労働者も含めて全員を「徴
用」と見做す。その理論構成の少なからぬ部分を、日本の知識人が担って
きたと、西岡氏は語る。

「60年代に日本の朝鮮統治は犯罪だったという研究が始まっているので
す。その典型が『朝鮮人強制連行の記録』という朝鮮大学校の教員だった
朴慶植氏が書いた本です。彼の弟子だった人が、いま東京大学の先生に
なったりしています」

彼らは日本の朝鮮半島統治が如何に不法であり犯罪的であったかを研究
し、そうした主張に共鳴する弁護士や運動家が90年代に韓国に渡り、日本
を訴えるための原告を探した。この構図は慰安婦問題と酷似している。西
岡氏は語る。

「日本に来て、日本で裁判を起こす。費用は日本側が持ち、手続きも全て
日本側が行う。日本も旅行できるということで始まったのが戦後補償裁判
でした。しかし、日本では全て敗訴だった。この原告たちは言っていま
す。日本の運動家の皆さんが励ましてくれて、もう一回、韓国で裁判を起
こした、と」

日本は法治国家であり、条約も法律も厳格に守られるために、韓国の原告
が勝利する余地はなかったが、韓国での裁判となると、今回の事例に見ら
れるように状況は異なってくる。

関連して、菅直人氏が首相の時、怪し気な動きがあったと、西岡氏は言う。

「左派的な日韓知識人の連帯の中で、菅氏に談話を出させ、日朝併合条約
は無効、つまり日韓併合は非合法的だったと言わせようとしたのです。こ
れは実現しませんでしたが、併合条約が無効だとされれば、日韓関係の根
本は崩れます。それが彼らの狙いです」

韓国には常に、日本による併合は違法で無効だと決めつけようとする勢力
が存在する。しかし、反日政権だった盧武鉉氏でさえ日韓請求権協定の内
容は否定できなかった。それがいま最高裁で否定される次元にきてしまっ
た。この背後にある深い闇の実態を、紙媒体だけでなく大きな広がりを持
つネットを駆使して伝えていきたい。

『週刊ダイヤモンド』 2018年11月17日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1256

◆韓国に分かる形で怒り示そう

阿比留 瑠比


2014年6月、ソウルで元韓国外務省東北アジア局長、趙世暎 (チョ・セ
ヨン)氏に慰安婦問題や元徴用工をめぐる訴訟問題についてイ ンタ
ビューした。趙氏は1965年の日韓請求権協定に関し、こう明言し ていた。

「2005年に韓国政府は、反人道的問題である慰安婦問題、サハリン 残留
韓国人問題、韓国人原爆被害者問題の3つは請求権協定の対象に入っ て
いないという解釈を発表した。裏を返すと、徴用工問題は入っていると
いうことだ」

請求権協定をめぐる日韓交渉では、韓国側が「個人への支払いは韓国政
府の手でする」と主張した。そして実際、韓国は1975年に元徴用工へ の
補償を実施し、2008年から追加補償も行っている。

慰安婦問題などに関しては日本政府の見解と相いれないが、徴用工問題
はすでに決着済みだと韓国も自覚していたのである。

それが簡単に韓国最高裁に覆されたのだから、たまったものではない。
31日の自民党の外交部会などの合同会議では、出席議員の言葉もとがっ
ていた。

「韓国は国家としての体をなしていないんじゃないか」(中曽根弘文元
外相)

「もう怒りを通り越してあきれるというか、韓国のセンスのなさを言う
しかない」(新藤義孝元総務相)

ソウルの在韓日本大使館前に設置されたウィーン条約違反の慰安婦像を
放置していることも含め、韓国が国際条約もルールも守れない非法治国家
であると自己宣伝するのは勝手である。

だが、韓国は中国に対してはこんな暴挙は仕掛けはしない。何をやって
も反撃してこないと、日本を甘く見ているのだろう。


 「非常に残念だ」

岩屋毅防衛相は10月20日、韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国 防相
と会談した際に、韓国での国際観艦式で、海上自衛隊の自衛艦旗(旭 日
旗)の掲揚自粛を求められ、参加を見送った問題でこう伝えた。

日本人らしく抑えた物言いだが、これでは意味がない。麗澤大の西岡力
客員教授は、月刊『正論』3月号でこう訴えている。

「日本人は100のことを言いたい場合は50のことを言う。相手が 50のこと
を話したら『本当は100、言いたいのだな』と忖度(そんた く)するわけ
です。でも、韓国人は逆なのです。韓国人は、100のこと を伝えたいとき
に200を言います。相手が200を言ったらそれを 100と受け止める」

難儀な話だが、韓国に対してはそれ相応の対応を取るしかない。徳島文
理大の八幡和郎教授は10月30日、自身のフェイスブックに「日本は何 も
しないと思われるから韓国は無茶をする」と書き、次の5つの報復措置
を提案していた。

(1)日本人が(朝鮮)半島に残した個人財産への補償を要求(2)対
北朝鮮経済協力の拒否(統一時も含む)(3)3代目以降に特別永住者の
地位を認めない事(4)歴史教科書における(近隣国への配慮を定めた)
近隣国条項を韓国に限って撤回(5)韓国大衆文化の流入制限−。

八幡氏は筆者に「これらは日本が単独でできる」と指摘し、こう付け加
えた。

「日本はここまでやれると見せないと、韓国とは話し合いにならない。
紳士的に対応していたら、韓国政府も(感情に流されがちな)国民を説得
できない」

韓国側にも理解できる形で、日本の怒りを示すべきだろう。(論説委員
兼政治部編集委員)

阿比留瑠比の極言御免産経ニュース2018.11.1

◆中性脂肪が気になる人の食事療法

庄司 哲雄



<中性脂肪とは>
血液中の中性脂肪(トリグリセリドともいう)には二つの由来があり、食事で摂取した脂肪が小腸から吸収され血液中に現われたものと、肝臓で炭水化物から脂肪に作り変えられて血液中に放出されたものがあります。

いずれも、体の組織でエネルギーとして利用されるのですが、血液中の濃度が極端に(1000mg/dL以上)増えすぎますと、急性膵炎を引き起こすことがありますし、それほどでない場合でも(150mg/dL以上)動脈硬化の原因のひとつになります。

<中性脂肪を下げる食事の第一歩>
食事療法の基本は、摂取エネルギーの適正化です。脂肪の摂りすぎのみならず、炭水化物の過剰も中性脂肪を増やしてしまいますので、全てのトータルを適正にする必要があります。

身体活動度にもよりますが、標準体重1Kgあたり25〜30kcal/日程度が適切です。肥満気味の方は少なめにし、減量を目指します。アルコール多飲や運動不足は中性脂肪の大敵です。

<炭水化物と脂肪のどちらをひかえるか>
各人の食習慣により異なる場合がありえますが、炭水化物1グラムで4kcal、脂肪1グラムで9kcalですから、脂肪摂取を控えることが大変効果的です。

<ジアシルグリセロールとは>
少し難しくなりますが、中性脂肪とはグリセロールという物質に脂肪酸が3つ結合した構造(TAG)をしており、いわゆる「油」です。

これに対して、脂肪酸が2つだけ結合した油もあり、これをジアシルグリセロール(DAG)といいます。同じような油であっても、小腸で吸収されてからの代謝が異なるため、中性脂肪の値や体脂肪への影響の程度に差があります。

通常の油TAGは、小腸で膵リパーゼという酸素のはたらきで、脂肪酸が2つはずれ、脂肪酸ひとつだけが結合したモノアシルグリセロール(MAG)に分解されます。それぞれは吸収された後、小腸でまた中性脂肪に再合成され、血液中に放出されます。

一方、DAGは中性脂肪へ再合成されにくいため、食後の中性脂肪の上昇が小さく、また体脂肪の蓄積も少ないといわれています。最近、DAGを利用した機能性食品が開発されています。しかし、DAGの取りすぎもカロリー 過剰につながりますので、通常の油TAGとの置き換え程度にすべきでしょう。

<脂質低下作用のある機能性食品>
動物に含まれるステロールという脂質の代表はコレステロールですが、
植物には植物ステロールという脂質が含まれます。これは小腸でのコレステロール吸収を抑制する働きがあります。

<専門医に相談すべき病気>
中性脂肪の増加する病態には、糖尿病やある種のホルモン異常、稀には先天的な代謝障害もありますので、一度は専門の先生にご相談いただくのも大切だと思います。(再掲)
<大阪市立大学大学院代謝内分泌病態内科学  >

2018年11月17日

◆中国の若者の起業を支援した私募債

宮崎 正弘


平成30年(2018年)11月15日(木曜日)通巻第5890号   

 中国の若者の起業を支援した私募債、ベンチャーキャピタルに冷風
   資金が集まりにくくなって前年比70%もの激減

和歌山県だったか、ウーバー型の相乗り自転車(シェアサイクル)。中国
資本がやってきて、客が殆ど付かず、すぐに倒産した。

中国でも競争が激しい上に主客のはずの大学生がモラルを守らず、乗り捨
て放題。なんと2500万台の自転車は焼却処分となった。

まったくビジネスにならず、そもそも日本ではウーバーなんて無理なの
だ。タクシーのウーバーは中国やアメリカなら、タクシーが少ないから成
功するだろう。日本は手を挙げればタクシーが停まる。地方都市へ行けば
駅にずらーっと空車が並んでいる。

運転手さんに聞くと、一ヶ月に7万円くらいの収入でもまぁまぁやってい
ける。定年組が、閑だから、家でぼぅっとしているよりはマシなのだという。

北京では朝夕、空車がいない。とくに夕方は一時間まっても空車がない。
付近で一台でもとまって客が降りると、支払いの前にさっさと助手席に乗
り込む。空車を拾うにも喧嘩腰、だからと言って地下鉄も乗り降りが命が
けである。

ドアが3秒くらいで開閉してしまうのだ。もし全員を始発駅からのせたら
 次の駅で一人も乗せられないからだ。

ベンチャービジネスで盛業中は出前ウーバー、貨物トラックなど。特に出
前ウーバーは独自の電話注文を受けて配達料金を取って代わりに配達する。

冒頭にのべたように、ウーバー型のシェアサイクルは中国でも駄目だっ
た。客が付かず、40社もあったウーバー自転車企業は、いま三社しか残っ
ていない。20億ドルのベンチャーキャピタルが回収不能となった。

これらのベンチャーは若者が起業し、地方政府は奨励金を払ったりオフィ
スのレンタルを無料にして支援し、また証券界、金融界は私募債を発行し
たり、ファンドがベンチャーキャピタルを組織した。

過去5年間のベンチャー、秋風から冷風にかわり、中国の私募債、ベン
チャーキャピタル業界は、冬の時代を迎えた。証券企業は政府の後押しも
あって積極的に私募債起債に協力し、また有望企業の上場にも積極的だっ
たが、年初来の上海株式の値崩れ(20%)、人民元の崩落予兆(すでに
10%の下落ぶり、中国人民銀行が1ドル=7元を突破されまいと連日為替
介入に貴重な外貨を投じている)

逼迫した市場の状況をみれば、ファンドが、以後も投資を続行するとは、
考えにくいだろう。

皆が第2のアリババを夢見た。

そしてアリババの再現はなかった。過去五年に投入された資金は1・2兆
ドルという。ブームだから、借り手の審査が緩く、とくに目論見書を巧み
に書いて(作文でありもしない市場をでっち上げる)、将来の薔薇色をか
たる才能がある、別な語彙でいうと詐欺師が、このブームを悪用しないは
ずがないだろう。

ことし9月までに600億ドルがあつまった。成功したベンチャーは殆どない。
       
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評BOOKREVIEW
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空の守りを引き受けて、F4ファントムは半世紀、日本防衛の最前線で戦った
愛着の深いパイロット、それを支えたメカニック集団のチームプレー

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小峯隆生著・柿谷哲也撮影『永遠の翼 F4ファントム』(並木書房)
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わが空自のエースだったF4ファントムは、あと二年で完全に引退する。
後継機はF35。日本の空を守り続けて半世紀。「有り難う! ファント
ム」の熱い思いを込めて、軍事ジャーナリストの小峯氏は、自衛隊基地を
訪ねて歩き、また製造元の取材を重ねた。

「F4は機械じゃない。生き物なのだ。格好良い猛獣なんだ」と喩えた猛
者もいた。

こうしたパイロットの経験談、指揮官の談話など防空の苦労もさりなが
ら、この人たちは本当にF4を愛したのだという切実な情感が湧いてくる。

若きパイロットの多くが、じつは『劇画ファントム無頼』を読んで、大空
の勇士にあこがれたのだという。だから小峯氏は原作者の史村翔氏のもと
にも駆けつけ、作家としての思いを聴くのだが、史村氏もまた航空自衛隊
出身者だった。

 彼は言う。

「百里でコクピットに座った時、やっぱりベトナムで戦い抜いた獰猛な生
き物だと実感した。ファントムに関わった人間にしかわからない愛着や魅
力を忘れることはない。そう、おまえは格好良い猛獣なんだ」。

 この名機はイスラエルでも空中戦で大活躍したが、欧州の空軍専門家ら
も、日本に見学に来てF4に感心し、写真を撮影して帰るという。

NATOの主力機はトーネードだが、やはり日本の、嘗てのゼロ戦フィア
ターが、いかにして操縦するのかを知りたがった。
 全盛期には六個飛行隊だったF4はいま2個。最後の飛行は301飛行
隊が行い、F35と交替する計画という。
 長いあいだ、お疲れ様!

◆韓国の左翼革命政権に、妥協は無用

櫻井よしこ


親しい韓国人の友人のひとり、洪熒氏が憤って言った。

「日本の人達は文在寅政権と韓国を同一視しています。保守勢力を中心
に、多くの韓国人が文政権のやり方に怒っていることを、日本のメディア
は伝えてくれません。我々は文政権の下で起きている異常事態に、日本人
と同じくらい怒っているのです」

洪氏は現在、日本で刊行されている新聞、「統一日報」の論説主幹を務め
ているが、かつて、在日韓国大使館の公使だった。日本との関わりはかれ
これ40年になる。

10月30日、韓国大法院(最高裁)が新日鉄住金(旧新日本製鉄)に、「元
徴用工」4人への損害賠償金として4億ウォン(約4000万円)の支払いを命
じた判決、10月11日の国際観艦式に日本の海上自衛隊の旗を掲げないよう
に要求した一方で、豊臣秀吉軍を破った李舜臣(イスンシン)の旗(抗日
旗)を韓国軍艦に飾ったこと、2015年末に国際社会が注目する中で日韓両
外相が発表した、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的」な解決の蒸し返し
など、文政権の横紙破りは非常識極まる。

洪氏は、心ある韓国人は皆、文政権の暴挙を恥じている、日本の政府も国
民も、韓国国民と文政権を同一視しないで対韓政策を考えるべきで、そう
しなければ事態はますます悪い方向に進む、と懸念する。

まず、明確にしておくべき点は、今回の韓国人元労働者への補償に日本の
政府も企業も全く責任はないということだ。1965年の日韓請求権・経済協
力協定の第2条は、「国及びその国民(法人を含む)」の請求権問題は、
「完全かつ最終的に解決されたこと」を日韓両国が確認すると明記してい
る。賠償などの請求権問題は、個人のものも法人のものも全て解決済みだ
と両国政府が確認したのである。

日本政府は当時、念には念を入れて日韓間の議事録も交わした。その中
に、請求権に含まれるもの、つまり、全て解決済みとされるものは何かに
ついて八項目にわたる説明がある。戦時徴用労働者の未払い賃金と補償も
含まれており、解決済みであることを二重三重に明記している。

徴用工ではなかった

安倍晋三首相が、判決直後に間髪を入れず、「国際法に照らしてあり得な
い判断だ」と述べたのは当然なのである。一方で首相は重要なことを指摘
した。この裁判の原告4人は徴用工ではなく、「旧朝鮮半島出身の労働
者」だと語った。これこそ大事な点である。

これまで、韓国側は無論、私も含めた日本のメディアはみな、4人の原告
を「元徴用工」だとしてきた。日韓両政府もそのように呼んできた。司法
の場で徴用工と言われてきたことをそのまま信用してきたわけだ。

徴用とは「国家権力により国民を強制的に動員し、一定の業務に従事させ
ること」(広辞苑)だ。一旦発せられれば国民は拒否出来ない。

朝鮮半島での戦時労働動員には三つの形態があった。第一は1939〜41年に
企業の募集担当者が朝鮮に渡り実施した「募集」である。

第二が42年から44年9月までの期間、朝鮮総督府が各市・郡などに動員数
を割り当て、行政の責任で募集し民間企業に割り振った「官斡旋」であ
る。お役所が仲介した募集だが、職場や職種について納得いかなければ断
る自由があった。

第三が、44年9月から45年3月ごろまで発動した「徴用」である。

原告4人はいずれも募集に応じた労働者だった。4人の内の二人は43年9月
に平壌で日本製鉄(新日鉄住金の前身)の工員募集広告を見て応募し、面
接に合格して、募集担当者に引率されて渡日し、大阪製鉄所の訓練工と
なった。

もう一人は41年、大田(テジョン)市長の推薦で勤労奉仕の「報国隊」に入
り、日本製鉄の募集に応じ、担当者に引率されて渡日し、釜石製鉄所の工
員となった。

最後の一人は43年1月、群山府(現在の群山市)の指示で募集に応じ、日
本製鉄募集担当者の引率で渡日、八幡製鉄所工員となった。

つまり、4人とも徴用の始まる44年9月以前に、募集に応じて日本に働きに
来た労働者である。彼らは民間企業と契約を結んで渡日した。戦争が長引
くにつれて日本の男性の多くが徴兵され、国内産業を支える人手不足が顕
著になっていた状況の下、彼らに対する待遇は総じてよかった。

4人が徴用工ではなかったことをつきとめたのは、シンクタンク「国家基
本問題研究所」研究員で朝鮮問題の専門家、西岡力氏である。氏はこの事
実を韓国大法院の判決書で発見した。日本の常識で判断すれば、間違った
事実に基づく韓国大法院の判決は無効なはずだ。ただそう考えるのは日本
人だけで、韓国側は募集も官斡旋も全て強制的な徴用だと主張しているた
め、全く、話が通じない。

一切の妥協は不要

それでも、安倍首相が国会の場でこの事実を明らかにしたことは非常に重
要である。黒を白と言いくるめる韓国のやり方と、そのような手法を駆使
する文在寅政権のいかがわしさを、鋭く抉り出して見せたからだ。

文政権下の韓国で進行中の事態は教育、軍、司法、外交のいずれにおいて
も通常の法治国家では考えられない異常なものだ。一連の事柄は韓国がも
はや真っ当な民主主義の国などではなく、社会主義革命のまっ只中にある
と認識すれば納得がいく。

革命勢力は、秩序の全て、条約も契約も常識も紙クズのように破り捨て
る。現在、文政権が行っているのがまさしくそれだ。彼らは日本に不当な
判決をつきつけ巨額の資金をむしり取り、日本を貶めようとする。

洪氏は、革命政権の文氏が日本を不条理に責めたてるように、韓国の大半
の国民に対しても親北朝鮮社会主義革命を押しつけると指摘する。

このような文政権に対し、韓国内で反対の狼煙が上がり始めた。

「大将(ジェネラル)の会である星友会が、このままでは北朝鮮に韓国が席
巻されるとして、文政権の対北宥和策に警告を発しました。9月21日には
民間人3000人が文氏を与敵罪で告発しました。有罪になれば死刑しかない
重い告発です。元大使の外交官らが文政権は韓国の安保体制を蹂躙してい
るとして『弾劾』の声明文を発表しました。当初大使30人で始まった告発
ですが、参加希望の元大使らが次々に集まり、50人までふえました。いざ
となると弱腰の外交官でさえ、文政権に反対表明をするようになったので
す。日本のメディアはなぜこうした事を伝えないのでしょうか」

と洪氏は語る。

今回の「旧朝鮮半島出身労働者問題」は、このような全体像の中でとらえ
るべきで、革命志向の文政権に一切の妥協は不要なのだ。同時に日本は、
韓国が近未来には敵対する存在となることを肝に銘じ、憲法改正をはじ
め、日本の地力を強める施策を急ぐのがよい。

『週刊新潮』 2018年11月15日号 日本ルネッサンス 第827回


◆パイナップルも無かった

渡部 亮次郎


朝と昼の食事のあとは果物を必ず食べる。だから秋は楽しい。果物の種類
が豊富だからだ。冬が近付くとみかんに混じってときどき供されるのがパ
イナップルだ。

南国の果物だから生まれ育った秋田では子ども時代はお目にかからなかっ
た。敗戦後、缶詰を初めてたべて美味しかった。しかし生を食べたのは大
人になって上京後である。

アメリカから返還される前に特派員として渡った沖縄では畑に植わってい
るのを沢山見たが、なぜか食べなかった。今、東京のデパートで売られて
いるのは100%フィリピン産である。

「ウィキペディア」によれば、パイナップルの原産地はブラジル、パラナ
川とパラグアイ川の流域地方。この地でトゥピ語族のグアラニー語を用い
る先住民により、果物として栽培化されたものである。

15世紀末、ヨーロッパ人が新大陸へ到達した時は、既に新世界の各地に伝
播、栽培されていた。 クリストファー・コロンブスの第2次探検隊が1493
年11月4日、西インド諸島のグアドループ島で発見してからは急速に他の
大陸に伝わった。

1513年には早くもスペインにもたらされ、次いで当時発見されたインド航
路に乗り、たちまちアフリカ、アジアの熱帯地方へ伝わった。

当時海外の布教に力を注いでいたイエズス会の修道士たちは、この新しい
果物を、時のインド皇帝アクバルへの貢物として贈ったと伝えられる。

次いでフィリピンへは1558年、ジャワでは1599年に伝わり広く普及して
行った。そして1605年にはマカオに伝わり、福建を経て、1650年ごろ台湾
に導入された。

日本には1830年東京の小笠原諸島・父島に初めて植えられたが、1845年に
オランダ船が長崎へもたらした記録もある。

パイナップル(レユニオン)は植付け後15〜18か月で収穫が始まる。自然
下の主収穫期は、たとえば沖縄では7〜9月と11〜翌年2月である。

1年を通した生産面の労働力の分配や缶詰工場の平準化を図り、植物ホル
モンであるエチレンやアセチレン(カーバイドに水を加えて発生させ
る)、エスレル(2-クロロエチルホスホン酸)、を植物成長調整剤として
利用し、計画的に花芽形成を促して収穫調節を施している。

栽培適地は年平均気温摂氏20度以上で年降水量1300mm内外の熱帯の平地か
ら海抜800mくらいまでの排水の良い肥沃な砂質土壌である。

世界生産量の約5割がアジア州で、残りの5割はアフリカ州、北アメリカ
州、南アメリカ州の間でほぼ均等に分かれている。

2002年時点のFAOの統計によると世界生産量は1485万トン。1985年時点に
比べて60%以上拡大している。主要生産国はタイ (13.3%)、フィリピン
(11.0%)、ブラジル (9.9%)、中国 (8.6%)、インド (7.4%)、コスタリカ、
ナイジェリア、ケニア、メキシコ、インドネシアである。

1985年の世界総生産は923万トンで、主産地はタイ、フィリピン、ブラジ
ル、インド、アメリカ、ベトナムなどである。日本では沖縄県が主産地で
2002年時点では1万トンである。

1985年から2002年までのシェアの推移をたどると、米国のシェアが6%から
2%までじりじり下がっていることが特徴である。既に米国は上位10カ国に
含まれていない。2012・11・06

◆著作物ってなに!?

川原 俊明


 著作物といって頭に浮かぶものは何でしょうか?

 おそらく、ゲームのプログラム、小説、漫画のキャラクター、歌詞とかいったものでしょう。

 著作物が一体何であるかを知らなければ、気づかないうちに著作権を侵害してしまい、著作権者から突然訴えられることにもなりかねません。

 そこで、あらかじめ著作物が何であるかを知っておくことは大切なことです。

 著作権法上、著作物として「言語」「音楽」「舞踏、無言劇」「美術」「建築」「地図、図形」「映画」「写真」「プログラム」の9種類が挙げられていますが、これは、あくまでも例示であって、これら以外にも、「思想または感情を」「創作的に」「表現したもので」「文芸、学術、美術または音楽の範囲に属する」と言えれば、著作物にあたり、法律上保護されることになります。

 この著作物にあたるかのポイントとは、「思想または感情を」「創作的に」といえるかどうかですが、「新聞」「写真」を例に挙げて著作物にあたるか検討してみましょう。

 まず、「新聞」について、「記事」は著作物にあたりますが、「見出し」は著作物にあたりません。なぜなら、「記事」は、記者が独自の取材をもとにして、思考をこらして作られるものであることから、まさしく「思想または感情を創作」しているからです。

これに対して、「見出し」は、とても短く、キーワードの羅列にすぎない場合も多く、誰もが考えつく表現が多く、思想が創作的に表現されたものとは言えません。
 
 次に、「写真」について、「スナップ写真」は著作物にあたりますが、「証明写真」は著作物にあたりません。なぜなら、「スナップ写真」は、撮影者のシャッターを押すタイミング、撮影のアングル、光のあて方によって、写真の出来がかわるものであり、撮影者による独自の撮影方法によるところが大きく創作的に表現されたものと言えるからです。

これに対して、「証明写真」は、単に機械的に撮影されるものであり、撮影者による「思想または感情」を表現したものとは言えないからです。
 
 最後に私が今書いているこの文章はどうでしょうか?

これが文芸と言えるかどうかについては、意見が分かれるところですが、私が「著作物」に関する文章を「思想を創作的に表現している」ことにはまちがいではないので、まさしく著作物にあたることになります。

ですので、私に無断でこの文章をコピーして販売することになれば、私に対する著作権を侵害することになりますので、みなさま、ご注意くださいね。(笑)

530-0047 大阪市北区西天満2丁目10番2号 幸田ビル8階  
弁護士法人 川原総合法律事務所      
弁護士 川 原 俊 明 

2018年11月16日

◆中国は前車ソ連の轍を踏むことになるのか

加瀬 英明


米中貿易戦争――あるいは関税戦争をめぐって世論がかまびすしいが、米中
関係のごく一部しか見ていない。

トランプ大統領は中国の共産体制を崩壊させることを決意して、中国と対
決してゆく方針を固めた。

習主席は面子にこだわって、関税戦争を受けて立っているが、中国経済が
アメリカ市場に依存しているために、すでに蹌踉(よろめ)いている。

いまではワシントンで、この間まで親中派だった国務省、主要シンクタン
クも、中国と対決することを支持している。アメリカの中国観の地殻変動だ。

トランプ大統領が中国という“悪の帝国”を倒す戦略の中核にあるのが、テ
クノロジーだ。同盟諸国とともに、先端技術の中国への流出を阻む、兵糧
攻めにするのだ。関税戦争や、軍拡競争は脇役になる。

かつてレーガン大統領が、“悪の帝国(イービル・エンパイア)”と極め付け
たソ連を追いつめたのも、アメリカを中心とする、自由世界のテクノロ
ジーの力によるものだった。

中国はテクノロジー後進国だ。宇宙ロケットを打ち上げられても、
ジェット機のエンジンをつくれないので、ロシアから買っている。

中国の指導部は何千年にもわたって、中華思想による知的障害を患って
きたために、弱い相手は呑み込むものの、まともな対外戦略をたてられな
い。力を持つようになると慢心して、外国を見下すために、傲慢に振る舞う。

中華思想は、中禍思想と書くべきだ。ロシアは戦略が巧妙だが、中国は
中華主義の自家中毒によって、視野が狭窄している。

中国は今世紀に入ってから、かつてのソ連と同じように、自壊への道を
進むようになっている。ソ連は1991年に崩壊した。

効率が悪い計画経済によって病んでいたのに、無人のシベリア沿海州の
開発に国力を浪費し、東ヨーロッパの衛星諸国という重荷をかかえたうえ
に、第3世界に進出するのに力を注いだために、アメリカとの競争に耐え
られなくなって、倒壊した。

クレムリンの最高指導者は、非科学的なマルクス主義の予言に従って、
ソ連が世界を支配するという使命感にとらわれて世界制覇を急いだため
に、墓穴を掘った。

習主席も「偉大なる5000年の中華文明の復興」という、自らの掛け 声に
陶酔して、見せかけだけが壮大な「一帯一路」計画と、大海軍の建設 を
強行しているが、第2次大戦後にソ連が歩んだ道程によく似ている。

中国は分離独立闘争を恐れて、新疆ウィグル自治区や、チベットをはじ
めとする西域や、中部や、北部に過大な投資を行っている。

「一帯一路」計画は、アジアからヨーロッパまで70ヶ国近くを、“幻 (ま
ぼろし)の中華圏”に取り込もうとする杜撰(ずさん)きわまる大計画だ
が、マレーシア、ミャンマー、パキスタンなど多くの諸国で、すでに挫折
するようになっている。

ソ連は1950年代から60年代にかけて、日本についで経済成長率 が高かっ
た。私はソ連が1957年にアメリカに先駆けて、人工衛星『ス プートニ
ク』を軌道に乗せた時に20歳だったが、よく覚えている。その 4年後に
世界最初の有人衛星飛行を行って、アメリカの朝野を震駭させた もの
だった。

ソ連では1970年代に入ると、少子高齢化が進むようになって、旺盛 な高
度成長を支えた、豊富な安い労働力が失われるようになった。中国で も
同じことが、起っている。

私はかねてから、中国人は昔から「吃(ツー)(食事)」「喝(フー)(飲
酒)」「嫖(ピャオ)(淫らな遊女)」「賭(トウ)(博打(ばくち))」「大
聴戯(チーティンシ)(京劇)」の5つを、生き甲斐にしていると、説いて
きた。

清朝の歴代の皇帝も、毛沢東、周恩来、江青夫人も、江沢民元主席も、
みな京劇マニアだった。

京劇は甲高い声に、耳を聾するけたたましい音曲と、大袈裟な所作に
よって、誇大妄想を煽る舞台劇だ。

習主席が好む大規模な軍事パレードや、急拵(こしら)えの航空母艦を中
心とする大海軍や、絵に描いた餅のような「一帯一路」は、京劇の舞台装
置を思わせる。清朝を崩壊させた西太后も、京劇マニアだった。

現在、中国海軍は艦艇数が317隻で、アメリカ海軍の283隻を上回 る。
西太后が日清戦争前夜に、北京西郊の頤和園の湖岸に、巨額の国費を 投
じて建造した、大理石の巨船の“21世紀版”だ。


◆韓国の左翼革命政権に

櫻井よしこ


「韓国の左翼革命政権に、妥協は無用」

親しい韓国人の友人のひとり、洪熒氏が憤って言った。

「日本の人達は文在寅政権と韓国を同一視しています。保守勢力を中心
に、多くの韓国人が文政権のやり方に怒っていることを、日本のメディア
は伝えてくれません。我々は文政権の下で起きている異常事態に、日本人
と同じくらい怒っているのです」

洪氏は現在、日本で刊行されている新聞、「統一日報」の論説主幹を務め
ているが、かつて、在日韓国大使館の公使だった。日本との関わりはかれ
これ40年になる。

10月30日、韓国大法院(最高裁)が新日鉄住金(旧新日本製鉄)に、「元
徴用工」4人への損害賠償金として4億ウォン(約4000万円)の支払いを命
じた判決、10月11日の国際観艦式に日本の海上自衛隊の旗を掲げないよう
に要求した一方で、豊臣秀吉軍を破った李舜臣(イスンシン)の旗(抗日
旗)を韓国軍艦に飾ったこと、2015年末に国際社会が注目する中で日韓両
外相が発表した、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的」な解決の蒸し返し
など、文政権の横紙破りは非常識極まる。

洪氏は、心ある韓国人は皆、文政権の暴挙を恥じている、日本の政府も国
民も、韓国国民と文政権を同一視しないで対韓政策を考えるべきで、そう
しなければ事態はますます悪い方向に進む、と懸念する。

まず、明確にしておくべき点は、今回の韓国人元労働者への補償に日本の
政府も企業も全く責任はないということだ。1965年の日韓請求権・経済協
力協定の第2条は、「国及びその国民(法人を含む)」の請求権問題は、
「完全かつ最終的に解決されたこと」を日韓両国が確認すると明記してい
る。賠償などの請求権問題は、個人のものも法人のものも全て解決済みだ
と両国政府が確認したのである。

日本政府は当時、念には念を入れて日韓間の議事録も交わした。その中
に、請求権に含まれるもの、つまり、全て解決済みとされるものは何かに
ついて八項目にわたる説明がある。戦時徴用労働者の未払い賃金と補償も
含まれており、解決済みであることを二重三重に明記している。

徴用工ではなかった

安倍晋三首相が、判決直後に間髪を入れず、「国際法に照らしてあり得な
い判断だ」と述べたのは当然なのである。一方で首相は重要なことを指摘
した。この裁判の原告4人は徴用工ではなく、「旧朝鮮半島出身の労働
者」だと語った。これこそ大事な点である。

これまで、韓国側は無論、私も含めた日本のメディアはみな、4人の原告
を「元徴用工」だとしてきた。日韓両政府もそのように呼んできた。司法
の場で徴用工と言われてきたことをそのまま信用してきたわけだ。

徴用とは「国家権力により国民を強制的に動員し、一定の業務に従事させ
ること」(広辞苑)だ。一旦発せられれば国民は拒否出来ない。

朝鮮半島での戦時労働動員には三つの形態があった。第一は1939〜41年に
企業の募集担当者が朝鮮に渡り実施した「募集」である。

第二が42年から44年9月までの期間、朝鮮総督府が各市・郡などに動員数
を割り当て、行政の責任で募集し民間企業に割り振った「官斡旋」であ
る。お役所が仲介した募集だが、職場や職種について納得いかなければ断
る自由があった。

第三が、44年9月から45年3月ごろまで発動した「徴用」である。

原告4人はいずれも募集に応じた労働者だった。4人の内の二人は43年9月
に平壌で日本製鉄(新日鉄住金の前身)の工員募集広告を見て応募し、面
接に合格して、募集担当者に引率されて渡日し、大阪製鉄所の訓練工と
なった。

もう一人は41年、大田(テジョン)市長の推薦で勤労奉仕の「報国隊」に入
り、日本製鉄の募集に応じ、担当者に引率されて渡日し、釜石製鉄所の工
員となった。

最後の一人は43年1月、群山府(現在の群山市)の指示で募集に応じ、日
本製鉄募集担当者の引率で渡日、八幡製鉄所工員となった。

つまり、4人とも徴用の始まる44年9月以前に、募集に応じて日本に働きに
来た労働者である。彼らは民間企業と契約を結んで渡日した。戦争が長引
くにつれて日本の男性の多くが徴兵され、国内産業を支える人手不足が顕
著になっていた状況の下、彼らに対する待遇は総じてよかった。

4人が徴用工ではなかったことをつきとめたのは、シンクタンク「国家基
本問題研究所」研究員で朝鮮問題の専門家、西岡力氏である。氏はこの事
実を韓国大法院の判決書で発見した。日本の常識で判断すれば、間違った
事実に基づく韓国大法院の判決は無効なはずだ。ただそう考えるのは日本
人だけで、韓国側は募集も官斡旋も全て強制的な徴用だと主張しているた
め、全く、話が通じない。

一切の妥協は不要

それでも、安倍首相が国会の場でこの事実を明らかにしたことは非常に重
要である。黒を白と言いくるめる韓国のやり方と、そのような手法を駆使
する文在寅政権のいかがわしさを、鋭く抉り出して見せたからだ。

文政権下の韓国で進行中の事態は教育、軍、司法、外交のいずれにおいて
も通常の法治国家では考えられない異常なものだ。一連の事柄は韓国がも
はや真っ当な民主主義の国などではなく、社会主義革命のまっ只中にある
と認識すれば納得がいく。

革命勢力は、秩序の全て、条約も契約も常識も紙クズのように破り捨て
る。現在、文政権が行っているのがまさしくそれだ。彼らは日本に不当な
判決をつきつけ巨額の資金をむしり取り、日本を貶めようとする。

洪氏は、革命政権の文氏が日本を不条理に責めたてるように、韓国の大半
の国民に対しても親北朝鮮社会主義革命を押しつけると指摘する。

このような文政権に対し、韓国内で反対の狼煙が上がり始めた。

「大将(ジェネラル)の会である星友会が、このままでは北朝鮮に韓国が席
巻されるとして、文政権の対北宥和策に警告を発しました。9月21日には
民間人3000人が文氏を与敵罪で告発しました。有罪になれば死刑しかない
重い告発です。元大使の外交官らが文政権は韓国の安保体制を蹂躙してい
るとして『弾劾』の声明文を発表しました。当初大使30人で始まった告発
ですが、参加希望の元大使らが次々に集まり、50人までふえました。いざ
となると弱腰の外交官でさえ、文政権に反対表明をするようになったので
す。日本のメディアはなぜこうした事を伝えないのでしょうか」

と洪氏は語る。

今回の「旧朝鮮半島出身労働者問題」は、このような全体像の中でとらえ
るべきで、革命志向の文政権に一切の妥協は不要なのだ。同時に日本は、
韓国が近未来には敵対する存在となることを肝に銘じ、憲法改正をはじ
め、日本の地力を強める施策を急ぐのがよい。

『週刊新潮』 2018年11月15日号 日本ルネッサンス 第827回

◆大阪にある「自然の滝」

毛馬 一三


大阪のまち中に、自然の「滝」があることを知ってる?と訊いても、多分大方の人は首を傾げるに違いない。ビルの屹立する大都会大阪のまち中で、そんな湧き水が集まり、「滝」となって流れ落ちる光景など想像出来ないからだろう。

紛れも無く私もその一人だった。が、つい先日知人が話の序でに教えてくれた上、そこに案内までしてくれたことがきっかけで、「大阪市内で唯一の滝」の在りかを知ることが出来た。

その「滝」は、大阪市市内の夕陽が丘近郊にあった。「玉出の滝」といった。聖徳太子が建立した四天王寺前の大阪市営地下鉄「夕陽ヶ丘駅」を出て谷町筋から西に向かうと、「天王寺七坂」や「安居神社」、「一心寺」など、寺社や名所が点在する上町台地の歴史のまち、伶人町の中にある。

その天王寺七坂のひとつ、清水坂を登り、細い道を行くと清水寺に着く。本堂の前を抜けて墓地に挟まれた石段にさしかかると、水音がかすかに耳朶を打った。足早にそちらに向かうと、目指す「玉出の滝」に着いた。

「玉出の滝」は、「那智の滝(和歌山)や不動の滝山(岩手)」のように山の頂上から滝壺めがけて怒涛のように流れ落ちる巨大な滝とはスケールが違う。

境内南側の崖から突き出した三つの石造樋から、水道水と同じ程度の量の水がまとまって流れ落ちる、こじまりとした滝だ。

しかし5メートル下の石畳を打つ三筋の水の音は、大きな響きを伴い、その響きは人の心の奥底の隅々にまで行き渡る、いかにも「行場の滝」という感じだ。

知人によると、この「滝」には、落水で修行する常連の人がいるが、新年には滝に打たれて、延命長寿などを祈願する人が訪れるという。

実は、この「玉出の滝」を見た瞬間、京都の清水寺にある「音羽の滝」と瓜二つだと感じた。私の亡くなった母親のいとこの嫁ぎ先が京都清水寺の皿坂にある清水焼の窯元だったので、そこに遊びに行った時見たのが、この「音羽の滝」だった。

案の定、この清水寺は京都の清水寺を、寛永17(1641)年に模して建立した寺で、かつては京の清水にあるような懸造りの舞台も存在していたらしい。

さて、大阪唯一のこの「玉出の滝」は、近くにある四天王寺の金堂の下の清竜池から湧き出る霊水が、ここまで流れてきて滝となっているという言い伝えもあるところから、大阪の歴史の香りと地形の面白さを感じさせてくれる。

余談ながら、この「玉出の滝」の側に、冒頭に記した「安居天神」がある。真田幸村の憤死の跡として知られている神社である。

大阪夏の陣で決戦を挑んだ西軍の真田幸村は、天王寺口(茶臼山付近)に布陣した。徳川方の主力が天王寺方面に進出してくることを予測してのことである。

真田幸村の狙いは、家康の首を取り豊臣家を再興させる戦略だった。真田隊は一丸となって突撃を開始、東軍の先鋒越前軍一万三千を撃破。ついに家康の本陣営に突入。この真田陣の猛攻で、家康の旗本は大混乱に陥り、ついに家康の馬印までが倒されたという。

馬印が倒されたのは、武田信玄に惨敗した三方ヶ原の戦い以来、2度目だった。家康も本気で腹を切ろうとしらしいが、側近に制止され思い止まる。家康が幾多の合戦で切腹の決断を迫られたのは、後にも先にも生涯でこれが2度目である。

だが、真田隊も猛反撃に遭って劣勢となり、今度は家康が、総攻撃を命じた。幸村の要請にも拘らず大阪城からの加勢は現れず、戦場で傷ついた幸村は、ここ「安居天神」の中の樹木に腰を下ろして手当てをしているところを、越前軍の兵に槍で刺され、落命した。

こんな大都会のまちのまん中で、行場ともいうべき市内で唯一の「玉出の滝」が、真田幸村の戦場の近くであったことなどと結びつけて思い馳せていくと、この小さい滝の周辺は見て回るだけでも楽しい歴史が蘇ってくる。(了 再掲)