2018年12月31日

◆韓国に分かる形で怒り示そう

阿比留 瑠比
                     

2014年6月、ソウルで元韓国外務省東北アジア局長、趙世暎 (チョ・セ
ヨン)氏に慰安婦問題や元徴用工をめぐる訴訟問題についてイ ンタ
ビューした。趙氏は1965年の日韓請求権協定に関し、こう明言し ていた。

「2005年に韓国政府は、反人道的問題である慰安婦問題、サハリン 残留
韓国人問題、韓国人原爆被害者問題の3つは請求権協定の対象に入っ て
いないという解釈を発表した。裏を返すと、徴用工問題は入っていると
いうことだ」

請求権協定をめぐる日韓交渉では、韓国側が「個人への支払いは韓国政
府の手でする」と主張した。そして実際、韓国は1975年に元徴用工へ の
補償を実施し、2008年から追加補償も行っている。

慰安婦問題などに関しては日本政府の見解と相いれないが、徴用工問題
はすでに決着済みだと韓国も自覚していたのである。

それが簡単に韓国最高裁に覆されたのだから、たまったものではない。
31」日の自民党の外交部会などの合同会議では、出席議員の言葉もとがっ
ていた。

「韓国は国家としての体をなしていないんじゃないか」(中曽根弘文元
外相)

「もう怒りを通り越してあきれるというか、韓国のセンスのなさを言う
しかない」(新藤義孝元総務相)

ソウルの在韓日本大使館前に設置されたウィーン条約違反の慰安婦像を
放置していることも含め、韓国が国際条約もルールも守れない非法治国家
であると自己宣伝するのは勝手である。

だが、韓国は中国に対してはこんな暴挙は仕掛けはしない。何をやって
も反撃してこないと、日本を甘く見ているのだろう。
 「非常に残念だ」

岩屋毅防衛相は10月20日、韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国 防相
と会談した際に、韓国での国際観艦式で、海上自衛隊の自衛艦旗(旭 日
旗)の掲揚自粛を求められ、参加を見送った問題でこう伝えた。

日本人らしく抑えた物言いだが、これでは意味がない。麗澤大の西岡力客
員教授は、月刊『正論』3月号でこう訴えている。

「日本人は100のことを言いたい場合は50のことを言う。相手が 50のこと
を話したら『本当は100、言いたいのだな』と忖度(そんた く)するわけ
です。でも、韓国人は逆なのです。韓国人は、100のこと を伝えたいとき
に200を言います。相手が200を言ったらそれを 100と受け止める」

難儀な話だが、韓国に対してはそれ相応の対応を取るしかない。徳島文
理大の八幡和郎教授は10月30日、自身のフェイスブックに「日本は何 も
しないと思われるから韓国は無茶をする」と書き、次の5つの報復措置
を提案していた。

 (1)日本人が(朝鮮)半島に残した個人財産への補償を要求(2)対
北朝鮮経済協力の拒否(統一時も含む)(3)3代目以降に特別永住者の
地位を認めない事(4)歴史教科書における(近隣国への配慮を定めた)
近隣国条項を韓国に限って撤回(5)韓国大衆文化の流入制限−。

八幡氏は筆者に「これらは日本が単独でできる」と指摘し、こう付け加
えた。

「日本はここまでやれると見せないと、韓国とは話し合いにならない。
紳士的に対応していたら、韓国政府も(感情に流されがちな)国民を説得
できない」

韓国側にも理解できる形で、日本の怒りを示すべきだろう。

(論説委員兼政治部編集委員)
産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】

◆日本企業にマネが出来るだろうか

宮崎 正弘


平成30年(2018年)12月30日(日曜日)弐 通巻第5034号  

 こんなリスク、日本企業にマネが出来るだろうか
  米軍シリア撤退のあと、中国は150社、20億ドル投資で再建プロ ジェクト

すでに中国では「シリア再建プロジェクト・フェア」が開催されてい
る。驚き桃の木山椒の木。

習近平の目玉「シルクロード」の一環である。

フェアにはじつに200社の中国企業が参加し、その投下を予定してい るプ
ロジェクト費用は20億ドル。道路改修工事、ハイウェイ工事、もち ろん
抜け目なく光ファイバー網設置等々。

米軍はシリア撤退を表明しており、その空白は地域の不安定化をもたら
すことになるが、さて、こうしたリスクもなんのその、中国は空白市場へ
真っ先に乗り込んでビジネスを展開する構えにある。

中東石油に依存する中国と、中東への興味を希釈させて、「インド太平
洋」へ目を向けた米国の姿勢の違いは明瞭である。

米軍の撤退日程は未定とはいえ、安全保障面からの対応を急いでいるトル
コ、イスラエルの動きを横目に、シルクロードの一環として、中国はシリ
アへの再進出を虎視眈々とねらうわけだ。

内戦勃発前の中国とシリアの貿易は往復で24億ドルだった。

内戦中、中国はシリアと距離を置いたものの、ロシアのアサド梃子入れ
に間接的に協力しつつ、裏でのISに武器供与を続けていた。

同時にISに加わったウィグル族の若者達の動向に神経を配らせ、IS
とは裏の連絡網があったと言われる。

リビアでカダフィ政権が転覆したとき、中国は3万6000人の労働者、 エ
ンジニアを引き揚げたが、なぜそれほどの人数が紛争地域にいたかとい
えば、リビアで100ものプロジェクトを請け負っていたからだった。
 このような冒険的リスクを取ることに躊躇しない中国。日本企業にマネ
が出来るだろうか?
        
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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  ♪
樋泉克夫のコラム
@@@@@@@@

【知道中国 1835回】            
 ――「只敗殘と、荒涼と、そして寂寞との空氣に満たされて居る」――諸橋
(8)
諸橋徹次『遊支雜筆』(目?書店 昭和13年)

                △

もう少し、新文化運動に対する諸橋の考えを追ってみたい。

諸橋は、これまでみてきた「新文化運動を社會的に實現する方法」とは
別に、「實はもう一つの運動がある」と指摘する。それを「消極的の運
動」とし、「新文化運動の精神に反對するものを破壞すると云ふ運動で
あ」る。

「其の一は、過去の?――孔子の?に對する所の反對で」、「其の二は、
支那の擬制、就中家族を主とした擬制の破壞であ」る。

 先ず「其の一」だが、「支那の?」は断固として「孔子の?」であると
いう考えに反対するもので、その中心は後に共産党創立者の1人で初代総
書記の陳独秀など。孔子批判は陳独秀が初めていうわけではなく、代表例
としては明代の李卓吾――吉田松陰を大いに刺激した『焚書』を著す――が挙
げられるが、彼らは歴史的・文化的には異端者として扱われている。如何
に極端な振る舞いであれ、それは個人の範囲に止まっていた。だが諸橋が
「彼地で遭遇した事は、少なくとも個人的ではない」。団体、それも「或
る一部分の大きな團體の勢力」による動きだった。

たとえば1920年の「10月にありました陝西省の孔?問題」と「十一月浙
江省の全國?育會に起こつた讀經の問題であります」。前者は孔子の誕生
日に陝西女子師範学校の新文化運動論者の教頭が、偶像崇拝は無意味で孔
子は時代に合わないから恒例の孔廟参拝を中止した。また陝西省で多くの
学校で教員が反孔子ストライキを敢行し、これに同調した学生を当局が
「炮烙の刑に處したと云ふ」。

後者は全国教育会議における浙江省による「毎週日曜日に學生に經學の
本を讀ませよう」との提案に対し、同省の学生が会場に押しかけて「(伝
統的な学問である)經學は奴隷?育である、復辟?育である、君臣?育で
ある。之を復活するは新文化運動の精神に反する」と気勢を挙げたという
のだ。

こういった「從來の?史も何も無視して、只五四以來風氣が一變したと 信
ずる新文化の諸君の態度は」程なく「取消」ということになった。新文
化運動に対し諸橋は、「兎に角、如何に新文化と云ふものと過去の??と
云ふものが衝突して居るかと云ふ一面が是で分かるかと思ひます」と。

「新文化の消極運動の他の一つは、新文化運動の中核」であり、それは
「過去の擬制、家族を中心として居る擬制に對する猛烈な反對」である。
「支那は御承知の通りに世界一の家族國」であり、美点もあれば「又幾多
の缺點も確かにあ」る。「家族問題の中心と申せば必然的に婦人の問題が
關係」し、婦人解放・男女同権に突き当たり、勢い現実離れした議論・運
動が展開されてしまう。その中には「不眞面目な部分もありますが」、
「家族を中心とした擬制に對する反對、即ち家族の問題」に対しては「兎
に角眞劍」ではある。

かくして諸橋は新文化運動を、「新文化運動の中核の問題は個人の解
放、人權の擁護、人格の尊重――一言で申せば個人の解放を絶叫するのであ
り」、そのことが「英米の文化が新文化運動に歡迎せられる最大の原因で
あります」と総括する。

遠い昔を振り返るまでもなく、辛亥革命から続く社会の混乱を見れば
「??、政治、一として固定する所がない中に、獨り完全に固定して昔か
ら今に大した變化のないのは家族を中心とした擬制、隨つて其の擬制によ
つて維持さられてゐる家族制度の強さ」である。

ところが「新文化運動の鋭鋒は正にこの一番健全である一番固定的である
家族制に向つて突貫して居る」。

その結果は「自分の矛を以て自分の盾を破る」、つまりは「支那社會を
崩壞して了」う危険性を孕んでいる――これが新文化運動に対する諸橋の見
解だった。

◆横暴中国に抗議し、日本人を取り戻せ

櫻井よしこ


中国共産党機関紙「人民日報」系で、国際版もある「環球時報」のもの凄
い社説から、中国の正体が見える。

12月1日、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の副会長、孟
晩舟(もうばんしゅう)氏が米国の要請によってカナダで身柄を拘束され
た。11日に保釈されたが、現在も24時間監視態勢下に置かれ、カナダから
出国もできない。米国への引き渡し手続きはこれからだろうが、中国は政
府を挙げて引き渡し阻止に動いている。

「環球時報」は孟氏逮捕当初から非常に強い関心をもって何本もの社説を
掲げているが、直近の12月15日のそれは中国得意の政治的恫喝の典型だった。

一連の主張から読みとれる中国の特性こそ、彼らが世界で力を確立すれば
するほど国際社会に浸透させようとする価値観であろう。私たちはいま、
その正体をじっくりと見つめる好機を与えられている。その第一の点が、
中国の司法は米国やカナダの司法とは異なるという主張だ。

たとえば環球時報はこう書いた。

「中国がカナダ人二人を拘束したことを、米加両国はどういう理由で違法
だと言えるのか。結局我々の司法は全く異なる。米国やカナダで違法だか
らといって中国でもそうだとは言えないだろう」

続いて、環球時報は次のように警告する。

「司法権は一国の主権の重要な構成要素だ。中国にいるすべての外国籍の
者は、その母国の法律によって守ってもらえるなどという幻想を抱くかわ
りに、中国の法律に従わなければならない」

中国の体制は外の世界とは異なるのだ、米国流もカナダ流も欧州流も日本
流も、中国には一切通じない。そのことを外国人は認識せよ、というこの
強い自我意識は、昨年10月の共産党大会で、中国が世界最強の国になる
2049年には、中華民族が世界の諸民族の中にそびえ立ち、中国共産党の教
えで世界を指導するとしたあの宣言に通ずる考えだ。それを彼らは「人類
運命共同体」と表現したが、その本心は中国主導の世界の確立ということだ。

21世紀の大中華思想の恐さ

12月13日の社説は、孟氏が拘束されたあと、まるで報復のような形でカナ
ダ人二人が拘束された件について、こんな主張も展開する。

「中国で拘束されたカナダ市民二人に関しては保釈請求の審理を開催して
やるなど、開かれた透明な司法手続きが行われるべきだと米加両国は考え
ている。中国では法体系も情報発信の在り方も異なる。そのようなことは
できないと、彼らはよく知っているはずだ。従って(米加両国と同件につ
いて)意思の疎通をはかるのは困難だ」

なるほど、だから彼らは、南シナ海の島々の領有権問題でハーグの常設仲
裁裁判所が下した、フィリピンの訴えを全面的に支持し中国の領有権を全
否定した判決を「紙クズ」だと言って無視したのであろう。

そもそも司法制度が異なるのだから、米国ともカナダとも、さらに国際社
会とも解り合うことは不可能だと言っているのである。そのうえで彼らは
要求する。

「カナダ及び米国の外相は中国のこうした原則を十分に弁(わきま)えてお
くべきだ」(15日社説)

彼らの中・長期的目標である21世紀の大中華思想の恐さを肝に銘じておこ
う。威嚇したかと思えば、「環球時報」は同じ社説で恥ずかし気もなく、
こうも言う。

「異なる国々の間の意思の疎通は相互尊重に基づくべし」

全く同感だ。そうしてほしいが、中国には相互尊重の考えが欠落していて
自国尊重しかない。だから結局最後は予想どおり恫喝で終わる。

「カナダは米国の支持があるからといって何かが変わると思ってはならな
い。台湾問題での火遊びは北京には何の圧力にもならない。オタワよ、中
国の手には何枚ものカードがあることを覚えておけ。北京の意向に逆らえ
ばいいことはないぞ。米中問題には距離を置くのが一番だと弁えろ」

人口約3600万人、GDP1兆6530億ドル(約187兆円)と、中国と比べれば
小振りとはいえ、カナダはG7の一員だ。立派な民主主義の国をこんなふ
うに脅すのである。裏を返せば、中国は死に物狂いだということだ。

なんと言ってもファーウェイは中国を代表するハイテク企業だ。「産経新
聞」の報道によると、世界170か国・地域で事業を展開中だが、現在も非
上場を貫いている。創業者は人民解放軍出身の元軍人で、74歳の任正非
(にんせいひ)氏だ。人民解放軍、さらには共産党と一体化している人物
だ。その娘が孟氏で現在46歳、事実上、任氏の後継者と見られている。

世界一の国にはなれない

ファーウェイをはじめ、中国の通信大手企業が世界に張り巡らせつつある
のが、第5世代の移動通信システム(5G)だ。中国はすでに5Gの基地局
を世界各地に張り巡らし、その数は米国のそれの10倍にもなるとの数字も
ある。米国は必死に巻き返しており、欧州諸国も日本も、米国と共に
ファーウェイ及びもうひとつの中国のハイテク通信企業、中興通訊
(ZTE)の排除に乗り出した。国や社会の在り方、自由や民主主義の擁
護を考えれば、当然だろう。

10月4日に米国のペンス副大統領が凄まじい演説をした。その直後に共和
党上院議員のマルコ・ルビオ氏らが民主・共和両党の合意の下で対中非難
の声明を出した。その中で中国の不公正、非人道的な体質を非難し、中国
社会はジョージ・オーウェルの小説「1984」のようだと論難した。米中の
戦いは単なる貿易戦争ではなく、次の時代の世界の在り方をめぐる戦い
だ。米国は行政府も立法府も、「1984」のような国になり果てようとする
中国の意図を挫きたいのである。

5Gのハイテク通信で世界を制覇すべく、中国共産党はファーウェイや
ZTEを国ぐるみで後押しするが、ハイテク通信で世界の最前線を走った
としても、世界一の国にはなれないだろう。彼らはハイテク通信を何のた
めに利用するのか。自国民を支配するのと同様に世界を支配する道具にす
るのではないか。ハイテク通信で自由な情報の流れを実現するわけでもな
い。自由な発想も創造も許さない。その反対に、21世紀の今日、いわば終
身皇帝を誕生させるなどバカバカしい所業を許している。

人間を抑圧する中国は、米国や日本、欧州諸国のように人間を羽ばたかせ
る陣営には金輪際、勝てない。米中のせめぎ合いは日中の戦いでもある。
そのことを念頭に、安倍晋三首相も菅義偉官房長官ももっと発言してよい
のである。中国にスパイ容疑で拘束され、情報開示もないまま、有罪判決
を下されていく日本人8人の即時釈放を要求すべきだ。中国の蛮行を許し
てはならない。大きな声で抗議すべきなのだ。

『週刊新潮』 2018年12月27日号  日本ルネッサンス 第833回
     
        

◆今月の法律コラム「裁判員裁判」

川原 俊明 弁護士


 平成30年12月19日(水)、寝屋川市で中学1年生の男女2人を
 殺害した事実で、大阪地裁は、山田浩二被告に対して死刑判
 決を言い渡しました。この裁判は、裁判員裁判形式で行われ、
 判決期日の閉廷後、裁判員5人と補充裁判員1人が記者会見し、
「量刑判断に頭を悩ませた」と振り返りました。

 読者の皆様は、裁判員に選ばれたことはあるでしょうか。裁
 判員に選ばれると、仕事をしている方であればそれを休んで
 裁判 に参加しなければならなくなり、また期日も1週間程度
 連続であることも多く、負担は小さくはありません。

 そのため、選任されることを躊躇される方も少なくありません。
 筆者自身は裁判員に選ばれたことはありませんが、司法修習の
 際に、裁判員裁判の評議を見学する機会がありました。

そのときの印象としては、いずれの裁判員の方も、しっかりと自分な
 りの意見を表明しており、かつ、互いの意見をよく聞きながら、
 話し合われていました。また、裁判官も、一般の方である裁判
 員に、犯罪の成否や量刑についてわかりやすく説明をするよう
 に努めていました。

また、裁判官は、裁判員が自由に意見を出
 せる雰囲気を作るために、ときには雑談も交えながら、裁判員
 の緊張を和らげる工夫をしていました。

 私見としては、裁判員として裁判に携わることは、司法を身近
 に感じられるよい機会であるので、裁判員候補に選ばれた際に
 は、ぜひ積極的に参加していただければと思います。我々法曹
 も、より国民の理解しやすい裁判を実現するために、努力し続
 けなければなりません。

2018年12月30日

◆中国の株式市場、世界最悪の下落で越年へ

宮崎 正弘


平成30年(2018年)12月30日(日曜日)通巻第5933号  

 中国の株式市場、世界最悪の下落で越年へ
上海株式は24・6%の下落、深センと併せて2・4兆ドルが蒸発した

2018年、世界46の株式市場のうち、43の市場で株式指標が下落をしめし
た。世界全体で、85兆ドル規模といわれた時価総額は、67兆ドルに凹ん
で、20%が消えたことになる。

日本の株式市場も後半に「日経平均」の「大調整」を繰り返したが、大納
会では2万円台を辛うじて回復した。NYダウも、やや回復気味となり、投
資家はホッと一安心で越年できそうだ。

米中貿易戦争で強いブローを食らった中国は、経済見通しに暗雲が立ちこ
め、投資家の弱気が一段と深まった。このため、いよいよ株式市場大暴落
の気配、年間を通して、世界最悪の下落率を示した。
 
上海株式は2018」年を通して、24・6%の下落、インデックスは2500を割
り込み、2493・9となった。同様に深セン株式市場は33・2%もの下落と
なって1267・8ポイント、上海と深セン市場の合計で2兆4000億ドル(邦
貨換算で264兆円)のカネが市場の時価総額が蒸発した。

中国は改革開放40年とやら祝賀行事も執り行ったが、2019年のGDP成長
を嘗てなかったほど低めの6・5%に設定し、年明けとともにさらなる金
融緩和を断行するとしている。

ブルームバーグの予測では2019年の上海株式は2350から3300のレンジで推
移するだろうとしている。
        

◆ 横暴中国に抗議し、日本人を取り戻せ

櫻井よしこ


「横暴中国に抗議し、日本人を取り戻せ」

中国共産党機関紙「人民日報」系で、国際版もある「環球時報」のもの凄
い社説から、中国の正体が見える。

12月1日、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の副会長、孟
晩舟(もうばんしゅう)氏が米国の要請によってカナダで身柄を拘束され
た。11日に保釈されたが、現在も24時間監視態勢下に置かれ、カナダから
出国もできない。米国への引き渡し手続きはこれからだろうが、中国は政
府を挙げて引き渡し阻止に動いている。

「環球時報」は孟氏逮捕当初から非常に強い関心をもって何本もの社説を
掲げているが、直近の12月15日のそれは中国得意の政治的恫喝の典型だった。

一連の主張から読みとれる中国の特性こそ、彼らが世界で力を確立すれば
するほど国際社会に浸透させようとする価値観であろう。私たちはいま、
その正体をじっくりと見つめる好機を与えられている。その第一の点が、
中国の司法は米国やカナダの司法とは異なるという主張だ。

たとえば環球時報はこう書いた。

「中国がカナダ人二人を拘束したことを、米加両国はどういう理由で違法
だと言えるのか。結局我々の司法は全く異なる。米国やカナダで違法だか
らといって中国でもそうだとは言えないだろう」

続いて、環球時報は次のように警告する。

「司法権は一国の主権の重要な構成要素だ。中国にいるすべての外国籍の
者は、その母国の法律によって守ってもらえるなどという幻想を抱くかわ
りに、中国の法律に従わなければならない」

中国の体制は外の世界とは異なるのだ、米国流もカナダ流も欧州流も日本
流も、中国には一切通じない。そのことを外国人は認識せよ、というこの
強い自我意識は、昨年10月の共産党大会で、中国が世界最強の国になる
2049年には、中華民族が世界の諸民族の中にそびえ立ち、中国共産党の教
えで世界を指導するとしたあの宣言に通ずる考えだ。それを彼らは「人類
運命共同体」と表現したが、その本心は中国主導の世界の確立ということだ。

21世紀の大中華思想の恐さ

12月13日の社説は、孟氏が拘束されたあと、まるで報復のような形でカナ
ダ人二人が拘束された件について、こんな主張も展開する。

「中国で拘束されたカナダ市民二人に関しては保釈請求の審理を開催して
やるなど、開かれた透明な司法手続きが行われるべきだと米加両国は考え
ている。中国では法体系も情報発信の在り方も異なる。そのようなことは
できないと、彼らはよく知っているはずだ。従って(米加両国と同件につ
いて)意思の疎通をはかるのは困難だ」

なるほど、だから彼らは、南シナ海の島々の領有権問題でハーグの常設仲
裁裁判所が下した、フィリピンの訴えを全面的に支持し中国の領有権を全
否定した判決を「紙クズ」だと言って無視したのであろう。

そもそも司法制度が異なるのだから、米国ともカナダとも、さらに国際社
会とも解り合うことは不可能だと言っているのである。そのうえで彼らは
要求する。

「カナダ及び米国の外相は中国のこうした原則を十分に弁(わきま)えてお
くべきだ」(15日社説)

彼らの中・長期的目標である21世紀の大中華思想の恐さを肝に銘じておこ
う。威嚇したかと思えば、「環球時報」は同じ社説で恥ずかし気もなく、
こうも言う。

「異なる国々の間の意思の疎通は相互尊重に基づくべし」

全く同感だ。そうしてほしいが、中国には相互尊重の考えが欠落していて
自国尊重しかない。だから結局最後は予想どおり恫喝で終わる。

「カナダは米国の支持があるからといって何かが変わると思ってはならな
い。台湾問題での火遊びは北京には何の圧力にもならない。オタワよ、中
国の手には何枚ものカードがあることを覚えておけ。北京の意向に逆らえ
ばいいことはないぞ。米中問題には距離を置くのが一番だと弁えろ」

人口約3600万人、GDP1兆6530億ドル(約187兆円)と、中国と比べれば
小振りとはいえ、カナダはG7の一員だ。立派な民主主義の国をこんなふ
うに脅すのである。裏を返せば、中国は死に物狂いだということだ。

なんと言ってもファーウェイは中国を代表するハイテク企業だ。「産経新
聞」の報道によると、世界170か国・地域で事業を展開中だが、現在も非
上場を貫いている。創業者は人民解放軍出身の元軍人で、74歳の任正非
(にんせいひ)氏だ。人民解放軍、さらには共産党と一体化している人物
だ。その娘が孟氏で現在46歳、事実上、任氏の後継者と見られている。

世界一の国にはなれない

ファーウェイをはじめ、中国の通信大手企業が世界に張り巡らせつつある
のが、第5世代の移動通信システム(5G)だ。中国はすでに5Gの基地局
を世界各地に張り巡らし、その数は米国のそれの10倍にもなるとの数字も
ある。米国は必死に巻き返しており、欧州諸国も日本も、米国と共に
ファーウェイ及びもうひとつの中国のハイテク通信企業、中興通訊
(ZTE)の排除に乗り出した。国や社会の在り方、自由や民主主義の擁
護を考えれば、当然だろう。

10月4日に米国のペンス副大統領が凄まじい演説をした。その直後に共和
党上院議員のマルコ・ルビオ氏らが民主・共和両党の合意の下で対中非難
の声明を出した。その中で中国の不公正、非人道的な体質を非難し、中国
社会はジョージ・オーウェルの小説「1984」のようだと論難した。米中の
戦いは単なる貿易戦争ではなく、次の時代の世界の在り方をめぐる戦い
だ。米国は行政府も立法府も、「1984」のような国になり果てようとする
中国の意図を挫きたいのである。

5Gのハイテク通信で世界を制覇すべく、中国共産党はファーウェイや
ZTEを国ぐるみで後押しするが、ハイテク通信で世界の最前線を走った
としても、世界一の国にはなれないだろう。彼らはハイテク通信を何のた
めに利用するのか。自国民を支配するのと同様に世界を支配する道具にす
るのではないか。ハイテク通信で自由な情報の流れを実現するわけでもな
い。自由な発想も創造も許さない。その反対に、21世紀の今日、いわば終
身皇帝を誕生させるなどバカバカしい所業を許している。

人間を抑圧する中国は、米国や日本、欧州諸国のように人間を羽ばたかせ
る陣営には金輪際、勝てない。米中のせめぎ合いは日中の戦いでもある。
そのことを念頭に、安倍晋三首相も菅義偉官房長官ももっと発言してよい
のである。中国にスパイ容疑で拘束され、情報開示もないまま、有罪判決
を下されていく日本人8人の即時釈放を要求すべきだ。中国の蛮行を許し
てはならない。大きな声で抗議すべきなのだ。

『週刊新潮』 2018年12月27日号日本ルネッサンス 第833回

◆トランプ政権、「大統領命令」

宮崎 正弘


平成30年(2018年)12月28日(金曜日)通巻第5931号

 トランプ政権、1月に強烈な「大統領命令」を準備中
  米国市場からファーウェイとZTEを完全に締め出す

最初に報じたのは2018年5月、ウォールストリートジャーナルで、「ホワ
イトハウスは次世代通信技術が国家安全保障の直結する観点から、外国企
業の米国市場における関与を排撃できる権限を商務省にあたえる、あたら
しい大統領命令を作成中である」とした。爾来、8ヶ月、音沙汰がなかった。

英紙タイムズは、英国もカナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど
大英連邦諸国の動きに連動し、中国の通信技術が西側の安全保障に重大な
脅威となっているための政治措置を講じるだろうと報道した(12月27
日)。

サウスチャイナモーニングポスト(12月28日)は、1月に発令が予想され
る「大統領命令」は「國際緊急経済措置法」(仮称)と呼ばれるだろうと
して、以下を伝えた。

「過去8ゲ月にわたってホワイトハウス内部で検討されてきたが、いよい
よ最終文面の完成が近く、全米の中小零細の通信企業の商業活動もカバー
する内容だ」。

つまりファーウェイとZTEのスイッチなどを販売している企業にも、外
国製品を使用禁止とするという嘗てない厳しい制約条件が含まれている。
地方では中国製部品が廉価であるため、いまも広範囲で使われている。

文面には中国企業の名指しはないが、あきらかにファーウェイとZTEが
目標であり、中国ははやくから、この動きを牽制するために在中米国企業
に対して、突然の税務検査、品質管理立ち入り、申請事項の不許可、ビジ
ネスの妨害などを行ってきた。
        
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
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北斎の浮世絵に挿入されている詞書きを読めば、日本の伝統的な主題が分かる
フランスは西洋の衰退を象徴するほどに文化的に凋落した

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田中英道『日本が世界で輝く日』(育鵬社)
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平成の御代は今上陛下の御譲位によって4月に終わり、新しい元号の日本
になる。新元号は5月1日まで未定なので、ここでは皇紀2679年が始まっ
た、としておこう。

田中氏は神武天皇肇国からの皇紀を尊重されるのはもちろんだが、本書で
日本歴史を論ずるに「16500年」という新解釈を用いておられる。

すなわち縄文時代を測定し、従来の考古学者の遠慮がちな解釈(歴史教科
書はバラバラで1万3000年から1万6000年)を越えて、1万6500年前から日
本の歴史の曙が拓けた、とされる。

このことは評者(宮崎)も、三内丸山、亀岡などの縄文遺跡などをみて確
信しているので田中氏の意見に賛同である。

神道は自然発生的に、われわれの祖先達の祈りと祭りの中枢にあって、日
本独自の文化形成に大きな役割を担った。仏教以前、神道は日本人の日々
の生活に、ひとびとの心の中に浸透していた。聖徳太子以来は神仏混合と
いう、独自な多神教の世界が形成され、世界でも稀有の芸術が確立してゆく。

最近も、パリへ講演に出かけた田中氏は、もはや仏蘭西文化が死に絶えて
いることに改めて失望の念を深くしたという(ついでに書いておきます
が、評者が最初に「憧れのパリ」へ行ったとき(1972年)、『嗚呼、この
町は死んでいる。活気がないなぁ』と思った。若い芸術家がたまるモンマ
ルトルの絵描きたちの販売する絵画を見ながら、なんとつまらない、これ
が最新流行の『アート』なるものかとも思った)。

かつて花の都パリは世界の芸術家が集まって、シャンゼリーゼのカフェに
は綺羅星のように、ヘミングウェイもサルトルも、カミュも藤田嗣治もい
た。ベルサイユ宮殿の設計思想、その城の美はロシアへ、ドイツへ、オー
ストリアへ伝わった。

いまのパリは「力の政治、金銭、物質一辺倒の国」だが、氏の留学時代の
パリは、「欧州文化の粋としてのフランス」だった。

その古き良き時代のパリは劇的に衰退した。(破壊した最大の元凶は移民
だが、そのことを本書では指摘されていない)。

あの「理想のパリのイメージはもはやない」とつい最近もパリに講演に行
かれ、反マクロンのデモを目撃してきたばかりの田中氏は慨嘆するのだ。

代わりにパリの芸術界を席巻し始めたのが日本文化である。とりわけ浮世
絵の研究が進み、一つのブームでもある。

だが、違和感がある。

フランスの画家たちは浮世絵を誤解しているのだ。

田中氏は次を強調される。

「北斎の浮世絵はすべて、日本の伝統的な主題をもっています。とくに彼
らに最も影響を与えた『富岳三十六景』は、富士信仰という、神道におけ
る自然信仰を主題に描かれていたのです。フランスの画家達が発見した純
粋な形、色の世界ではなかったのです。彼らは、浮世絵に添えられた小さ
な詞書きを無視したために、それが単純な版画の色面で組みあわされた、
純粋な形の世界だとおもったのです。(中略)この日本の浮世絵を基礎に
『印象派』が誕生し、これまでの西洋絵画を一変させました。そしてマ
ネ、モネ、セザンヌ、ゴッホ、などによって、北斎は、世界最高の画家の
一人として認知されました」

ところが、西洋の画家は「浮世絵に意味や信仰がない」と誤解し続けた。
 フランスは西洋の文化の衰退を象徴するほどに文化的に凋落する一方
で、ジャポニズムが深く静かに浸透し、日本文化への理解度は極めて高く
なったと田中氏は総括する。

リトアニアに美学者がパリのジャポニズム展の会場で、田中氏に告げたと
いう。

 「今や世界の文化の中心は、フランスではなくて、日本だ」と。

◆ 横暴中国に抗議し、日本人を取り戻せ

櫻井よしこ


「横暴中国に抗議し、日本人を取り戻せ」

中国共産党機関紙「人民日報」系で、国際版もある「環球時報」のもの凄
い社説から、中国の正体が見える。

12月1日、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の副会長、孟
晩舟(もうばんしゅう)氏が米国の要請によってカナダで身柄を拘束され
た。11日に保釈されたが、現在も24時間監視態勢下に置かれ、カナダから
出国もできない。米国への引き渡し手続きはこれからだろうが、中国は政
府を挙げて引き渡し阻止に動いている。

「環球時報」は孟氏逮捕当初から非常に強い関心をもって何本もの社説を
掲げているが、直近の12月15日のそれは中国得意の政治的恫喝の典型だった。

一連の主張から読みとれる中国の特性こそ、彼らが世界で力を確立すれば
するほど国際社会に浸透させようとする価値観であろう。私たちはいま、
その正体をじっくりと見つめる好機を与えられている。その第一の点が、
中国の司法は米国やカナダの司法とは異なるという主張だ。

たとえば環球時報はこう書いた。

「中国がカナダ人二人を拘束したことを、米加両国はどういう理由で違法
だと言えるのか。結局我々の司法は全く異なる。米国やカナダで違法だか
らといって中国でもそうだとは言えないだろう」

続いて、環球時報は次のように警告する。

「司法権は一国の主権の重要な構成要素だ。中国にいるすべての外国籍の
者は、その母国の法律によって守ってもらえるなどという幻想を抱くかわ
りに、中国の法律に従わなければならない」

中国の体制は外の世界とは異なるのだ、米国流もカナダ流も欧州流も日本
流も、中国には一切通じない。そのことを外国人は認識せよ、というこの
強い自我意識は、昨年10月の共産党大会で、中国が世界最強の国になる
2049年には、中華民族が世界の諸民族の中にそびえ立ち、中国共産党の教
えで世界を指導するとしたあの宣言に通ずる考えだ。それを彼らは「人類
運命共同体」と表現したが、その本心は中国主導の世界の確立ということだ。

21世紀の大中華思想の恐さ

12月13日の社説は、孟氏が拘束されたあと、まるで報復のような形でカナ
ダ人二人が拘束された件について、こんな主張も展開する。

「中国で拘束されたカナダ市民二人に関しては保釈請求の審理を開催して
やるなど、開かれた透明な司法手続きが行われるべきだと米加両国は考え
ている。中国では法体系も情報発信の在り方も異なる。そのようなことは
できないと、彼らはよく知っているはずだ。従って(米加両国と同件につ
いて)意思の疎通をはかるのは困難だ」

なるほど、だから彼らは、南シナ海の島々の領有権問題でハーグの常設仲
裁裁判所が下した、フィリピンの訴えを全面的に支持し中国の領有権を全
否定した判決を「紙クズ」だと言って無視したのであろう。

そもそも司法制度が異なるのだから、米国ともカナダとも、さらに国際社
会とも解り合うことは不可能だと言っているのである。そのうえで彼らは
要求する。

「カナダ及び米国の外相は中国のこうした原則を十分に弁(わきま)えてお
くべきだ」(15日社説)

彼らの中・長期的目標である21世紀の大中華思想の恐さを肝に銘じておこ
う。威嚇したかと思えば、「環球時報」は同じ社説で恥ずかし気もなく、
こうも言う。

「異なる国々の間の意思の疎通は相互尊重に基づくべし」

全く同感だ。そうしてほしいが、中国には相互尊重の考えが欠落していて
自国尊重しかない。だから結局最後は予想どおり恫喝で終わる。

「カナダは米国の支持があるからといって何かが変わると思ってはならな
い。台湾問題での火遊びは北京には何の圧力にもならない。オタワよ、中
国の手には何枚ものカードがあることを覚えておけ。北京の意向に逆らえ
ばいいことはないぞ。米中問題には距離を置くのが一番だと弁えろ」

人口約3600万人、GDP1兆6530億ドル(約187兆円)と、中国と比べれば
小振りとはいえ、カナダはG7の一員だ。立派な民主主義の国をこんなふ
うに脅すのである。裏を返せば、中国は死に物狂いだということだ。

なんと言ってもファーウェイは中国を代表するハイテク企業だ。「産経新
聞」の報道によると、世界170か国・地域で事業を展開中だが、現在も非
上場を貫いている。創業者は人民解放軍出身の元軍人で、74歳の任正非
(にんせいひ)氏だ。人民解放軍、さらには共産党と一体化している人物
だ。その娘が孟氏で現在46歳、事実上、任氏の後継者と見られている。

世界一の国にはなれない

ファーウェイをはじめ、中国の通信大手企業が世界に張り巡らせつつある
のが、第5世代の移動通信システム(5G)だ。中国はすでに5Gの基地局
を世界各地に張り巡らし、その数は米国のそれの10倍にもなるとの数字も
ある。米国は必死に巻き返しており、欧州諸国も日本も、米国と共に
ファーウェイ及びもうひとつの中国のハイテク通信企業、中興通訊
(ZTE)の排除に乗り出した。国や社会の在り方、自由や民主主義の擁
護を考えれば、当然だろう。

10月4日に米国のペンス副大統領が凄まじい演説をした。その直後に共和
党上院議員のマルコ・ルビオ氏らが民主・共和両党の合意の下で対中非難
の声明を出した。その中で中国の不公正、非人道的な体質を非難し、中国
社会はジョージ・オーウェルの小説「1984」のようだと論難した。米中の
戦いは単なる貿易戦争ではなく、次の時代の世界の在り方をめぐる戦い
だ。米国は行政府も立法府も、「1984」のような国になり果てようとする
中国の意図を挫きたいのである。

5Gのハイテク通信で世界を制覇すべく、中国共産党はファーウェイや
ZTEを国ぐるみで後押しするが、ハイテク通信で世界の最前線を走った
としても、世界一の国にはなれないだろう。彼らはハイテク通信を何のた
めに利用するのか。自国民を支配するのと同様に世界を支配する道具にす
るのではないか。ハイテク通信で自由な情報の流れを実現するわけでもな
い。自由な発想も創造も許さない。その反対に、21世紀の今日、いわば終
身皇帝を誕生させるなどバカバカしい所業を許している。

人間を抑圧する中国は、米国や日本、欧州諸国のように人間を羽ばたかせ
る陣営には金輪際、勝てない。米中のせめぎ合いは日中の戦いでもある。
そのことを念頭に、安倍晋三首相も菅義偉官房長官ももっと発言してよい
のである。中国にスパイ容疑で拘束され、情報開示もないまま、有罪判決
を下されていく日本人8人の即時釈放を要求すべきだ。中国の蛮行を許し
てはならない。大きな声で抗議すべきなのだ。

『週刊新潮』 2018年12月27日号 日本ルネッサンス 第833回

◆風邪と肺炎に注意!!

   柴谷 涼子(感染管理認定看護師)


真冬になるこれからは、風邪やインフルエンザが流行する季節です。特にこの時期、朝晩の気温の変化が激しいことに加えて、空気が非常に乾燥するときには、風邪の原因になるウイルスの活動も活発になり、風邪をひきやすくなります。

そこで、<事前の予防>
 日ごろのこころがけとしては、外出から帰った後のうがいと手洗いが基本です。また、お天気の良い日には、日光浴や散歩など適度な運動をするよう心がけ、入浴により身体を清潔にしておくことも大切です。

<肺炎は高齢者にとって危険な病気>
 肺炎は薬の進歩によって、かなり治療ができるようになりましたが、高齢の方にとってはまだまだ怖い病気です。とくに糖尿病や心臓、呼吸器系に慢性的な病気を抱えている方、腎不全や肝機能障害のある方も罹患しやすく、病状も重くなる可能性があります。

厚生労働省が報告している人口動態統計でも肺炎による死亡率はここ数年上昇してきています。肺炎は細菌やウイルスなどいろいろな原因で起こりますが、肺炎を起こす原因となる細菌に肺炎球菌があります。

<肺炎球菌による肺炎を予防する>
 肺炎球菌は健康な人でも鼻腔などに常在する菌です。しかし加齢などにより免疫力が低下すると、病気を引き起こしやすくなります。日本では、ペニシリンという抗生物質が効きにくい肺炎球菌の割合が増加しています。抗生物質の効きにくい肺炎球菌による肺炎に罹患すると、治療に難渋する場合があります。
 
肺炎球菌によって起こる肺炎を予防するワクチンが、肺炎球菌ワクチンです。ただし、肺炎球菌ワクチンを接種してもこれ以外の原因で起こる肺炎は残念ながら予防することはできません。 ワクチンを接種して得られる免疫は約5年以上持続するといわれています。

そこで、下記の方に「肺炎球菌ワクチン接種」をおすすめします。

・65歳以上の高齢者 
・心臓や呼吸器系に慢性疾患のある方 
・糖尿病の方 
・腎不全や肝機能障害のある方

 肺炎球菌ワクチンの接種については、最寄りの病院やかかりつけの医師にご相談下さい。「肺炎球菌ワクチン」だけでなく、今年も「インフルエンザワクチン」も積極的に接種しましょう。

             大阪厚生年金病院 看護部看護ケア推進室

2018年12月29日

◆本気のアメリカと慢心する中国

加瀬 英明


本気のアメリカと慢心する中国 米中の冷戦の先に見えるもの

私は11月にワシントンで、5日間過した。

アメリカは、中国の超大国化の野望を挫いて、中国を抑えつけることを決
意した。この決意はトランプ政権だけに、よるものではない。

国家安全会議(NSC)、国防省、国務省などが協議して決定したもので
はなく、誰がどうというより、政権、与野党、アメリカの中国専門家、シ
ンクタンク、識者などのコンセンサスであって、有機的にひろく形成され
たものだ。

習近平主席が訪米して、オバマ大統領と会談した後の共同記者会見で、南
シナ海に埋めたてた7つの人工島を、絶対に軍事化しないと誓約したのに
もかかわらず、ミサイルを配備して、世界の通商の4分の1以上が通る南
シナ海を内海に変えようとしていることや、異常な軍拡を行っているこ
と、世界制覇を企んで「一帯一路」計画を、強引に進めていることなど、
傍若無人に振る舞うようになったのに、堪忍袋の緒が切れたものだ。

今後、中国がすぐに引き下がることを、期待できないから、米中対決は長
く続こう。

私が前号で書いたように、貿易・関税戦争は入り口でしかない。

アメリカが中国と対決することに決したのは、トランプ政権が2016年
に発足してから、最大の決定だといわねばならない。

中国の野望を砕く戦略の中核にされているのが、中国への先端技術の移転
を停めて、中国の超大国化の源泉となってきた、先端技術の池の水を抜こ
うとすることだ。

私は福田赳夫内閣、中曽根内閣で、首相特別顧問という肩書を貰って、
カーター政権、レーガン政権を相手に対米折衝の第一線に立ったから、ワ
シントンは旧戦場だ。

ホワイトハウスに向かって、右側にオールド・エキュゼキュティブ・ビル
ディングという、副大統領の執務室もある、古い煉瓦造りの建物がある。
2016年にトランプ政権が舟出した時には、ここにハイテクノロジーの
担当者が1人しかいなかった。現在では、ハイテクノロジーの担当者たち
が、1(ワン)フロアを占めている。

習主席の中国は、「野郎自大」だ。「夜郎自大」は中国最古の正史である
『史記』に、夜郎という小国の王が、漢が広大で強大なことを知らず、自
らの力が勝っていると思い上がって、漢の使者に対して傲慢に振る舞った
という、故事によっている。

中国は歴代の統一王朝が、自分が全世界の中心だという、“中華主義”を
患ってきた。私は“中禍主義”と呼んでいるが、慢心して他国を見縊(みく
び)る、自家中毒症状を病んできた。

アメリカとソ連が対決した冷戦の舞台は、ヨーロッパや、朝鮮半島、アフ
ガニスタンであって、陸上の争いだった。

米中“冷戦”の主舞台は、陸ではない。海だ。

この冷戦は、米日対中の冷戦だ。トランプ政権が「太平洋軍」の呼称を、
「インド太平洋軍」に改めたのは、新たな冷戦の性格を表わしている。

中国にはソ連になかった、脆弱点がある。中国は世界貿易と、先進諸国か
らの投資に依存してきた。

20世紀と違って、製造・金融の拠点を国境を越えて、短時間で移転するこ
とができるから、中国の“仮想空間”である巨大経済を維持することが、難
しくなろう。