2018年12月04日

◆習近平一行は「毛沢東の服装」

宮崎 正弘


平成30年(2018年)12月1日(土曜日)通巻第号  

 習近平一行は「毛沢東の服装」(中山服)でスペイン国王陛下と会見
  「国賓のときは、これが正装だ」と中国側スポークスマン

G20 でのリオデジャネイロ入りを前に習近平一行はスペインを公式訪問
した。中西両国の公式晩餐会は、フィリッペ六世の主催で、マドリッドの
宮殿で開催された

習近平は中山服であらわれたため、西側外交筋から何事かと注目された。
西側は「中山服」を「毛沢東の制服」と言って好感しない。

習近平は2014年のオランダ訪問、15年の訪米ではオバマ大統領との晩餐
会、さらには英国バッキンガム宮殿での晩餐会にも毛沢東の制服であらわ
れた。中国外交部は「公式の晩餐会では、中山服が公式である」と語って
いる。

スペインでの異常事態は、随行した楊傑チ国務委員、王毅外相以下の随員
もすべてが中山福で現れるという珍しい風景が展開された。

その所為か、どうか、スペインは中国との「一帯一路」の覚え書きに署名
しないという異常事態に発展した。

ドイツとフランスを訪問しているのは劉?副首相で、ドイツではメルケル
首相と会談し、習からのメッセージを伝えた。この直後にリオに向かって
いたメルケル首相の特別機は通信機器故障のため、近くの飛行場に緊急着
陸した。このためメルケルは開会式には間に合わなかった。

   
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIE 
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日本が大東亜戦争に「勝てた」という架空話ではなく「勝てる」戦略があった
山本五十六が軍神となり、海軍が判断を誤ったことも敗因だったが。。。

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茂木弘道『大東亜戦争 日本は勝利の方程式を持っていた』(ハート出版)
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こうすれば勝てたというのは、戦後もたびたび語られた。しかし「敗軍の
将、兵を語らず」とされ、とりわけ大東亜戦争を指導した人たちには罵声
が浴びせられ、一切の客観的批判さえ封じられた。

著者の茂木氏は「勝てた」というIFの法螺話を展開しているのではな
く、日本は「勝てる」戦略があったと言っているのである。

大東亜戦争の敗因は真珠湾攻撃が成功しすぎて、山本五十六が軍神となっ
てしまい、大本営発表は陸軍が悪いと言われたが、じつは海軍が判断を
誤ったことが敗因に繋がってしまった。

日本が負けるや、さっと身を躱して左翼にころりと転じ、「わたしは騙さ
れていた」などと良心と愛国心の狭間に立って呻吟したなどと嘘をほざい
た転向学者が山のようにいた。昔の武士なら弁明をせず、だまって切腹し
たものだった。

さて「秋丸機関」が精密正確なシミュレーションをしていたことは、よう
やく知られるようになった。

これは日米開戦を前にして、敵側に回りそうな米国、英国、ドイツ、そし
てロシア(ソ連)の国力、その資源、人力、産業のインフラ等を精密に事
前調査し、その国力、戦力を経済の視点から分析し、戦争の勝ち負けを大
胆に予測した陸軍傍系シンクタンク。学者を動員して組織化した中心人物
は岩畔豪雄だった。

このメンバーには驚くことに、裁判で保釈中だった有沢広己や、中山伊知
郎、竹村忠雄など経済学者が多数、加わっており、その研究成果をまとめ
たペーパーは、日本の敗戦直前にすべて焼却された。

ところが焼却処分されたはずの一冊が有沢の死後に、かれの蔵書の中から
見つかった。幻とされ、焼却処分された筈の「秋丸機関報告書」がでてき
たのだ。

 とくに秋丸機関は、日米開戦にいたった場合、資源供給はうまく行くの
かというシミュレーションを念入りに行っていた。

 牧野邦昭『経済学者たちの日米開戦』(新潮撰書)はこう書いた。
「英米とソ連に対して宣戦を布告し南方を占領した場合の経済国力の推移
予測(応急物動計画試案)を策定していたが、その結果は鋼材生産額は三
分の二に減少し、民需は殆どの重要物資が五割以下に切り下げされるとい
う悲惨はものだった」

ならばと秋丸機関で熟慮された提言は次のようである。

「対英戦略は英本土攻略により一挙に本拠を覆滅することが正攻法だが、
イギリスの弱点である人的・物的資源の消耗を急速化する方略を取り、
『空襲による生産力の破壊』『潜水艦戦による海上遮断』を強化徹底する
一方で『英国抗戦力の外郭をなす属領・植民地』に戦線を拡大して全面的
消耗戦に導き、補給を絶ってイギリス戦争経済の崩壊を目指す」。

そのうえで「アメリカを速やかに対独戦へ追い込み、その経済力を消耗さ
せて『軍備強化の余裕を与えざる』ようにすると同時に、自由主義体制の
脆弱性に乗じて『内部攪乱を企図して生産力の低下及反戦気運の醸成』を
目指し、合わせてイギリス・ソ連・南米諸国との離間に努める」

茂木氏の最新作は、この秋丸機関の議論も十分に踏まえつつ、大東亜戦争
は無謀な戦争ではなかった、勝利の方程式はあったのだ、と最新データを
ふんだんに駆使して力説される。

とくに重視されているのが昭和16」年11月15日に大本営政府連絡会議決定
の「対米英蘭蒋戦争終末促進に関する腹案」である。

ここに述べられた基本方針は、歴史家がもう一度スポットを当てるべき
で、まっとうで勝てる戦略だったというのである。

◆中国と対話を続けるダライ・ラマ法王

櫻井よしこ


「中国と対話を続けるダライ・ラマ法王 チベット仏教は人類の幸せに貢
献する」

ダライ・ラマ法王にお会いするのは2年振りだった。昨年秋、来日予定
だったが、医師の助言で急遽中止された。今年、法王のお顔は明るく、頬
は健康的なうすいピンク色だった。

今回、ネット配信の「言論テレビ」の番組で取材したのは激動する世界
で、大国中国に弾圧され続けるチベット民族の未来や混乱する価値観の方
向性について、83歳になられた法王に聞いてみたいと考えたからだ。三度
目の番組出演に、法王は快く応じ、中国との関係についての質問には意外
な答えが返ってきた。

ダライ・ラマ法王がインドに亡命して来年で60年になる。近年、中国との
関係は断絶されたと言われてきた。法王がいくら対話を求めても、中国政
府は応じることなく、一方的に「分裂主義者」「反逆者」「犯罪人」など
の酷い非難を法王に浴びせてきた。ところが状況は改善に向かっている
と、法王は次のように語ったのだ。

「この数年間、(私への)批判は大幅に減りました。私と中国との関係
は、まず、1979年、私が中国政府と直接接触し、その後数年間、こちらの
代表が先方を訪れて話し合う形で対話は続きました。それは中断されたの
ですが、私と中国指導部の接触は非公式な形でいまも続いています」

対話は断絶しておらず、非公式だが現在も続いているというのだ。そこで
再度、その点を確認した。

「そうです。ビジネスマンや引退した当局者が、時々私に会いにきます。
私たちは関係を続けているのです」と、法王。

中国共産党一党支配を浸透させようと、あらゆる監視体制をとって国民の
動向を見張っている習近平政権の下では、ビジネスマンであろうが引退し
た当局者であろうが、自由意思でダライ・ラマ法王に接触することなどで
きない。彼らの訪問が習政権の意を受けているのは明らかだ。

如何なる形であっても対話の継続は重要だ。一方で、政権の意を受けた人
間が法王に面会するのは、法王の健康状態も含めて亡命チベット政府の状
況を監視する活動の一環ではないかと、つい、私は警戒してしまう。

後継者問題についても尋ねた。中国共産党政権が次のダライ・ラマは自分
たちが選ぶと宣言したことを尋ねると、法王は「ノープロブレムだ」と、
次のように語った。

「(ダライ・ラマに次ぐ高位の)パンチェン・ラマには後継者が二人いま
す。一人は私が選び、一人は中国政府が選びました。多くの中国当局者
が、中国が選んだのは偽のパンチェン・ラマだと言っています」

法王の生まれ変わりが次のダライ・ラマになる「ダライ・ラマ制度」につ
いても重要なことを語った。

「後継者について深刻な心配はしていません。1969年以降、私は後継者問
題はチベット人に任せると表明してきました。最終的にはダライ・ラマと
特別な関係にあるモンゴル人を含む人々を招集して決めればよい。私が90
歳になったらダライ・ラマ制度に関する会議を開けばよいでしょう」

法王はこうも語った。

「将来のことは人々の関心事ですが、私は関与できないことです。大事な
のは私に残された日々を、学びと研鑽を積むことで意義深いものにするこ
とです。亡命政府の下のチベットでは僧侶も尼僧も学び続けています。昔
の信仰は、率直に言えば訳も分からず信じ込むのに近かった。しかしそれ
は時代遅れです。学ぶことで確信が得られます」

日本の仏教徒も般若心経を暗唱するだけでは不十分で、もっと真剣に学ぶ
ことが必要だと指摘し、仏教哲学と科学を融合させて学び続けることが、
二一世紀の仏教の重要事で、チベット仏教はその先頭に立って人類の幸せ
に貢献するとの決意を、法王は強調した。

『週刊ダイヤモンド』 2018年12月1日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1258 

◆中性脂肪が気になる人の食事療法

庄司哲雄 医師


<中性脂肪とは>

血液中の中性脂肪(トリグリセリドともいう)には二つの由来があり、食事で摂取した脂肪が小腸から吸収され血液中に現われたものと、肝臓で炭水化物から脂肪に作り変えられて血液中に放出されたものがあります。

いずれも、体の組織でエネルギーとして利用されるのですが、血液中の濃度が極端に(1000mg/dL以上)増えすぎますと、急性膵炎を引き起こすことがありますし、それほどでない場合でも(150mg/dL以上)動脈硬化の原因のひとつになります。

<中性脂肪を下げる食事の第一歩>

食事療法の基本は、摂取エネルギーの適正化です。脂肪の摂りすぎのみならず、炭水化物の過剰も中性脂肪を増やしてしまいますので、全てのトータルを適正にする必要があります。
身体活動度にもよりますが、標準体重1Kgあたり25〜30kcal/日程度が適切です。肥満気味の方は少なめにし、減量を目指します。アルコール多飲や運動不足は中性脂肪の大敵です。

<炭水化物と脂肪のどちらをひかえるか>
各人の食習慣により異なる場合がありえますが、炭水化物1グラムで4kcal、脂肪1グラムで9kcalですから、脂肪摂取を控えることが大変効果的です。

<ジアシルグリセロールとは>

少し難しくなりますが、中性脂肪とはグリセロールという物質に脂肪酸が3つ結合した構造(TAG)をしており、いわゆる「油」です。これに対して、脂肪酸が2つだけ結合した油もあり、これをジアシルグリセロール(DAG)といいます。同じような油であっても、小腸で吸収されてからの代謝が異なるため、中性脂肪の値や体脂肪への影響の程度に差があります。

通常の油TAGは、小腸で膵リパーゼという酸素のはたらきで、脂肪酸が2つはずれ、脂肪酸ひとつだけが結合したモノアシルグリセロール(MAG)に分解されます。それぞれは吸収された後、小腸でまた中性脂肪に再合成され、血液中に放出されます。

一方、DAGは中性脂肪へ再合成されにくいため、食後の中性脂肪の上昇が小さく、また体脂肪の蓄積も少ないといわれています。最近、DAGを利用した機能性食品が開発されています。しかし、DAGの取りすぎもカロリー 過剰につながりますので、通常の油TAGとの置き換え程度にすべきでしょう。

<脂質低下作用のある機能性食品>

動物に含まれるステロールという脂質の代表はコレステロールですが、
植物には植物ステロールという脂質が含まれます。これは小腸でのコレステロール吸収を抑制する働きがあります。

<専門医に相談すべき病気>

中性脂肪の増加する病態には、糖尿病やある種のホルモン異常、稀には先天的な代謝障害もありますので、一度は専門の先生にご相談いただくのも大切だと思います。(再掲)
<大阪市立大学大学院代謝内分泌病態内科学>

2018年12月03日

◆韓国に分かる形で怒り示そう

阿比留瑠比


2014年6月、ソウルで元韓国外務省東北アジア局長、趙世暎(チョ・セヨ
ン)氏に慰安婦問題や元徴用工をめぐる訴訟問題についてインタビューし
た。趙氏は1965年の日韓請求権協定に関し、こう明言していた。

「2005年に韓国政府は、反人道的問題である慰安婦問題、サハリン残留韓
国人問題、韓国人原爆被害者問題の3つは請求権協定の対象に入っていな
いという解釈を発表した。裏を返すと、徴用工問題は入っているというこ
とだ」

請求権協定をめぐる日韓交渉では、韓国側が「個人への支払いは韓国政府
の手でする」と主張した。実際、韓国は1975年に元徴用工への補償を実施
し、2008年から追加補償も行っている。

慰安婦問題などに関しては日本政府の見解と相いれないが、徴用工問題は
すでに決着済みだと韓国も自覚していたのである。

それが簡単に韓国最高裁に覆されたのだから、たまったものではない。31
日の自民党の外交部会などの合同会議では、出席議員の言葉もとがっていた。

「韓国は国家としての体をなしていないんじゃないか」(中曽根弘文元外相)

「もう怒りを通り越してあきれるというか、韓国のセンスのなさを言うし
かない」(新藤義孝元総務相)

ソウルの在韓日本大使館前に設置されたウィーン条約違反の慰安婦像を放
置していることも含め、韓国が国際条約もルールも守れない非法治国家で
あると自己宣伝するのは勝手である。

 だが、韓国は中国に対してはこんな暴挙は仕掛けはしない。何をやって
も反撃してこないと、日本を甘く見ているのだろう。


「非常に残念だ」

岩屋毅防衛相は10月20日、韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相と
会談した際に、韓国での国際観艦式で、海上自衛隊の自衛艦旗(旭日旗)
の掲揚自粛を求められ、参加を見送った問題でこう伝えた

日露首脳会談、両国外相を責任者とする協議体設置決定 河野外相1月訪露へ

日本人らしく抑えた物言いだが、これでは意味がない。麗澤大の西岡力客
員教授は、月刊『正論』3月号でこう訴えている。

「日本人は100のことを言いたい場合は50のことを言う。相手が50のこと
を話したら『本当は100、言いたいのだな』と忖度(そんたく)するわけ
です。でも、韓国人は逆なのです。韓国人は、100のことを伝えたいとき
に200を言います。相手が200を言ったらそれを100と受け止める」

難儀な話だが、韓国に対してはそれ相応の対応を取るしかない。徳島文理
大の八幡和郎教授は10月30日、自身のフェイスブックに「日本は何もしな
いと思われるから韓国は無茶をする」と書き、次の5つの報復措置を提案
していた。

 (1)日本人が(朝鮮)半島に残した個人財産への補償を要求(2)対
北朝鮮経済協力の拒否(統一時も含む)(3)3代目以降に特別永住者の
地位を認めない事(4)歴史教科書における(近隣国への配慮を定めた)
近隣国条項を韓国に限って撤回(5)韓国大衆文化の流入制限−。

八幡氏は筆者に「これらは日本が単独でできる」と指摘し、こう付け加えた。
「日本はここまでやれると見せないと、韓国とは話し合いにならない。紳
士的に対応していたら、韓国政府も(感情に流されがちな)国民を説得で
きない」

韓国側にも理解できる形で、日本の怒りを示すべきだろう
産経ニュース2018.11.1 阿比留瑠比の極言御免


◆中国と対話を続けるダライ・ラマ法王

櫻井よしこ


「中国と対話を続けるダライ・ラマ法王 チベット仏教は人類の幸せに貢
献する」

ダライ・ラマ法王にお会いするのは2年振りだった。昨年秋、来日予定
だったが、医師の助言で急遽中止された。今年、法王のお顔は明るく、頬
は健康的なうすいピンク色だった。

今回、ネット配信の「言論テレビ」の番組で取材したのは激動する世界
で、大国中国に弾圧され続けるチベット民族の未来や混乱する価値観の方
向性について、83歳になられた法王に聞いてみたいと考えたからだ。三度
目の番組出演に、法王は快く応じ、中国との関係についての質問には意外
な答えが返ってきた。

ダライ・ラマ法王がインドに亡命して来年で60年になる。近年、中国との
関係は断絶されたと言われてきた。法王がいくら対話を求めても、中国政
府は応じることなく、一方的に「分裂主義者」「反逆者」「犯罪人」など
の酷い非難を法王に浴びせてきた。ところが状況は改善に向かっている
と、法王は次のように語ったのだ。

「この数年間、(私への)批判は大幅に減りました。私と中国との関係
は、まず、1979年、私が中国政府と直接接触し、その後数年間、こちらの
代表が先方を訪れて話し合う形で対話は続きました。それは中断されたの
ですが、私と中国指導部の接触は非公式な形でいまも続いています」

対話は断絶しておらず、非公式だが現在も続いているというのだ。そこで
再度、その点を確認した。

「そうです。ビジネスマンや引退した当局者が、時々私に会いにきます。
私たちは関係を続けているのです」と、法王。

中国共産党一党支配を浸透させようと、あらゆる監視体制をとって国民の
動向を見張っている習近平政権の下では、ビジネスマンであろうが引退し
た当局者であろうが、自由意思でダライ・ラマ法王に接触することなどで
きない。彼らの訪問が習政権の意を受けているのは明らかだ。

如何なる形であっても対話の継続は重要だ。一方で、政権の意を受けた人
間が法王に面会するのは、法王の健康状態も含めて亡命チベット政府の状
況を監視する活動の一環ではないかと、つい、私は警戒してしまう。

後継者問題についても尋ねた。中国共産党政権が次のダライ・ラマは自分
たちが選ぶと宣言したことを尋ねると、法王は「ノープロブレムだ」と、
次のように語った。

「(ダライ・ラマに次ぐ高位の)パンチェン・ラマには後継者が2人いま
す。一人は私が選び、一人は中国政府が選びました。多くの中国当局者
が、中国が選んだのは偽のパンチェン・ラマだと言っています」

法王の生まれ変わりが次のダライ・ラマになる「ダライ・ラマ制度」につ
いても重要なことを語った。

「後継者について深刻な心配はしていません。1969年以降、私は後継者問
題はチベット人に任せると表明してきました。最終的にはダライ・ラマと
特別な関係にあるモンゴル人を含む人々を招集して決めればよい。私が90
歳になったらダライ・ラマ制度に関する会議を開けばよいでしょう」

法王はこうも語った。

「将来のことは人々の関心事ですが、私は関与できないことです。大事な
のは私に残された日々を、学びと研鑽を積むことで意義深いものにするこ
とです。亡命政府の下のチベットでは僧侶も尼僧も学び続けています。昔
の信仰は、率直に言えば訳も分からず信じ込むのに近かった。しかしそれ
は時代遅れです。学ぶことで確信が得られます」

日本の仏教徒も般若心経を暗唱するだけでは不十分で、もっと真剣に学ぶ
ことが必要だと指摘し、仏教哲学と科学を融合させて学び続けることが、
二一世紀の仏教の重要事で、チベット仏教はその先頭に立って人類の幸せ
に貢献するとの決意を、法王は強調した。

『週刊ダイヤモンド』 2018年12月1日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1258 


◆民進黨に失望した台湾人

Andy Chang


中間選挙の結果は民進黨の惨敗となった。せっかく2年前に政権を取
って「完全執政」と得意がっていたのに蔡英文は現状維持で何もしな
いので政治政策が停頓し、中国の圧力で台湾との外交国を三つも失い、
内政、経済の停頓状態が続いていた。国民が民進黨に失望したから負
けたのだ。

問題は台湾人が現政権に失望したから国民党に投票したことである。
台湾人にとって中国の脅威とその台湾独立が最大の課題であるのに、
民進黨は現状維持で国民党の巨悪を放置し、国民の期待していた転型
正義が実現しなかったから民衆が失望したのである。

意外だったのは、いくら台湾人がバカでも現政権に失望しても、民衆
が汚職まみれの国民党に投票するはずがないと思っていたのに、台湾
の民衆は簡単に民進黨を見捨てて外省人に政権を渡すという大きな間
違いを犯したのである。

つまり民進黨に失望した民衆の中国に対する警戒心のなさが大問題で
ある。現状維持を続けて中国の恫喝にもひたすら忍従する蔡英文の政
策に失望したのだ。国民党は台湾の政党ではない。中国と繋がってい
る国民党を「台湾の二大政党」と認める民主政策の間違いである。

民衆にとって民進黨と国民党の2つしかない2大政党制度で、涙を呑
んで民進黨に投票するか、国民党に投票するかの選択しかなかった。
国民党と中国は台湾人の敵なのに敵を潰す勇気がない「姑息で奸を養
った」民進黨が負けたのだ。

民進黨の敗北は惨憺たる有様で、地方建設に全力を尽くした台中市の
林佳龍市長が政治経験のない相手に負けて落選;20年もずっと民進黨
贔屓だった高雄市でも民進黨の大物陳其邁が落選;以前新北市で好成
績をあげた蘇貞昌元県長が再出馬して落選した。

選挙の結果、地方首長の8割が国民党の勝利で、今後2年間は地方政
治が国民党のコントロールに入った。この結果として2年後の大統領
選挙も民進黨が苦戦、国民党が再び政権を握る結果となって中台接近、
台湾併呑が実現に近づく危機を迎える。NYタイムスは今後2年のあい
だ、地方の国民党首長が中国と連携して中央政権を抑え、台湾が併呑
される危機を迎えると予測した。

蔡英文の無為無策に失望したのは納得できるが、台湾人がホンの数年
前の国民党の暴政や汚職を忘れ、再び外省人の暴政に投票したのは意
外だった。台湾併呑の危機に鈍感で自力独立の意欲がない台湾人は滅
亡の危機である。

10年前の台湾では民進黨に失望しても絶対に国民党に政権を渡さず
「含涙投票」、涙を呑んで民進黨に投票する決心があった。今回は台湾
人が民進黨を捨ててシナ人に権力のバトンを渡した、民進黨に失望し
た台湾人が自ら墓穴を掘ったのである。

10年前の選挙で緑色の民進黨と青色の国民党が戦った時、緑の大統領
候補謝長廷が「中間路線」と称して青緑色の旗やジャケットで選挙に
出て惨敗した。今回は蔡英文の現状維持政策が民衆の失望を買って惨
敗した。民進黨は過去の間違いから何も学んでいない。

台湾人にとって中国人は不倶戴天の敵である。統一を主張する中国と、
中国に同調する国民党は独立を主張する台湾人と絶対に共存しない。
中間路線や現状維持は通らない。選挙に負けた原因はいろいろあるが、
根本的な原因は民進黨が独立を支持せず外省人と融和共存する政策の
結果である。台湾の将来は台湾独立の外に方法がない。台湾人はこの
ことを骨身に徹して理解し努力すべきでアメリカの援助を恃むだけで
はダメである。

国民党が大勝利して国民党が再び地方政治の権力を握る結果となった。
国民党勝利で台湾はどうなるか。二年後の総統選挙で台湾人は苦戦す
ることが予想される。台湾人はどうすべきか:
(一)、地方政治の8割以上が国民党の勢力範囲となったので中国の圧
力が倍加する。中国の脅威に対する台湾人の認識不足が投票結果とな
って国民党が再び政権を握る可能性大である。国民党が政権をとれば
中国の台湾併呑が可能となる。

(二)、民進黨政権は今後二年の間も外交では無為、無策、無力で、内
政面では政府の実績が国民党の地方首長に横取りされ、民衆は民進黨
を支持しなくなる。

(三)、蔡英文総統の続投は無い。蔡英文の第二期立候補は民衆に唾棄
されるだけである。蔡英文に代わる政治家は現首相の頼清徳だけで、
国民党側は恐ろしく不人気な呉敦義だけだろう。この他に台湾独立派
から誰かが出馬するはずだ。

(四)、二年後の選挙は民進黨(緑色)と国民党(青色)のほかに独立
派の代表(白色)が立候補して三つ巴の戦いとなる。現状では台湾独
立を主張する候補者には選挙の基盤がなく、民進黨が台湾独立を妨害
するかもしれない。民衆は独立賛成なので民進黨が独立反対なら国民
党が漁夫の利を得て当選するかもしれない。

(五)、アメリカは公然と選挙を応援しないが中国は公然と選挙に介入
する。人民の政治意識が希薄ならたとえ独立賛成でも中国の脅威、侵
略戦争を恐れて国民党に投票する者が出る。

民進黨にとって焦眉の課題はたくさんある。現状維持を放棄して独立
推進に切り替える。党改革を断行して民進黨の癌、新潮流派を追放す
る。転型正義を徹底し国民党の不当資産を撤回する。閣僚人事改革で
国民党員を除去する。軍隊の再組織と国防意識の強化、米国と日本と
の国際関係の強化などである。これらの課題を実現できないなら人民
は民進黨を放棄するだろう。むしろ独立派の台頭に期待したい。

at 09:00 | Comment(0) | Andy Chang

◆今月の法律コラム

                     川原 敏明 弁護士


「相続法改正(遺産分割に関する見直しについて)」

メルマガ108号で、平成30年7月に民法及び家事事件手続法の一
部を改正する法律が成立し、相続法分野が改正されたことをご紹介し
ましたが、今回は、相続法改正の中で、配偶者保護のための方策
(持戻し免除の意思表示の推定規定)がどのように規律されるのかを
まとめてみたいと思います。

婚姻期間が20年以上の夫婦(夫A、妻B)がいました。夫Aは、妻
Bの長年にわたる貢献に報いるとともに、妻Bが老後も安心して自宅
で住み続けることができるようにと考え、妻Bに対し、夫A名義の自
宅不動産を贈与しました。

ところが、現行制度では、贈与を行ったとしても,原則として遺産の
先渡しを受けたものとして取り扱うため、妻Bが最終的に取得する財
産額は、結果的に贈与等がなかった場合と同じになってしまいます。
これでは、夫Aが妻Bに贈与を行った趣旨が遺産分割の結果に反映さ
れません。

そこで、改正法では、婚姻期間が20年以上である配偶者の一方が他
方に対し、その居住用不動産を遺贈又は贈与した場合については、原
則として、計算上遺産の先渡し(特別受益)を受けたものとして取り
扱わなくてよいこととしました。

これにより、贈与の趣旨に沿った遺産分割が可能となり、妻Bは、よ
り多くの財産を取得することができることになります。

2018年12月02日

◆ペリー浦賀来寇から僅か15年で

加瀬 英明


ペリー浦賀来寇から僅か15年で明治元年となった

アメリカ、ヨーロッパにおいて、かつて日本文化への関心がこれほど高
まったことはない。

私は昭和40(1965)年に、東京放送(TBS)が出資して、『エンサイク
ロペディア・ブリタニカ』(大英百科事典)の最初の外国語版の『ブリタ
ニカ国際大百科事典』(全21巻)を編集して出版した時に、初代の編集長
をつとめた。29歳だった。

編集の最盛期には、翻訳、縮訳と、新しい項目をつくるために、200人以
上が携わった。当時、もとのブリタニカ百科事典といえば、欧米を世界の
中心としていたから、額田王(ぬかたのおおきみ)、和泉式部も、義経も、
二宮尊徳も、平田篤胤も、日本で自動車をつくっていることも、載ってい
なかった。そこで、日本とアジアの新しい項目を、加えなければならな
かった。

“日本の時代”が目前にある

今日の世界をあの時と較べると、隔世という言葉が当て嵌まる。私はアメ
リカの大学に留学したが、アメリカ国民の日本への関心は低いものだっ
た。大多数のアメリカ人にとって、日本と中国と朝鮮の区別がつかなかった。

この半世紀あまりに、日本国民の営々たる努力によって、世界における日
本の存在が、あのころには想像できなかったほど、大きなものに変わっ
た。当時を振り返えると、感慨深い。

今年は、明治維新150周年に当たる。年表をみると、ペリー提督が率いる
黒船艦隊が浦賀に来寇したのが、嘉永6(1853)年だった。日本は僅かそ
の15年後に、「御一新」と呼ばれる明治維新を行うことによって、明治
元年を迎えた。

『オランダ風説書』は世界への窓だった

イギリスが中国に阿片戦争を仕掛けたのが、天保10(1840)年だったが、
ペリーが来冠する13年前のことだった。

幕府も諸藩も、長崎に入港するオランダ船から入手した、海外の最新の情
報をまとめた『オランダ風説書』によって、詳細な情報を手に入れていた。

ペリー艦隊が搭載していた砲の射程が、3500メートルもあるのに対して、
わが砲は家康の時代から変わっておらず、射程が4、500メートルしかな
く、日本の古い砲が火玉しか発射することができないのに、ペリーの砲身
のなかに螺旋が施されて、威力がある炸裂弾を撃つことも知っていた。

阿片戦争から明治元年までの28年間を振り返ると、戦後の日本の目覚まし
い経済復興をもたらした、驚嘆に価いするエネルギーをみる思いがする。

島崎藤村の『夜明け前』といえば、幕末の木曽路の宿場町の生活を、克明
に描いた長編小説だ。

山深い木曽路にある宿場が舞台となっており、庄屋の青年である青山半蔵
が主人公である。半蔵は家業に励しむかたわら、賀茂真淵(かものまぶ
ち)、本居宣長(もとおりのりなが)、平田篤胤(ひらたあつたね)をはじめ
とする江戸時代の国学者の著作を学んで、日本の行く末を真剣に憂いていた。

『夜明け前』を読むと、幕末の日本をよく理解することができる。あの時
の日本には、半蔵のような青年が、全国のどこにでも存在していた。江戸
時代に入って生まれた国学と、半蔵のような国民が、未曽有の国難に見舞
われた日本を救ったのだった。

天皇家が日本を守った

だが、あの時の日本を護ったのは、天皇の存在だった。

もし、幕末に天皇家が存在しておらず、徳川家しかなかったとしたら、日
本は洋夷に対してまとまって団結することがなく、独立を全うできなかっ
たはずだ。

来年4月に、平成が31年で終わる。このあいだに、中国、北朝鮮からの脅
威が募るなど、日本を取り巻く国際環境が、いやおうなしに緊迫するよう
になった。平成のこれまでの30年は、阿片戦争から明治元年までの28年
より長い。

それにもかかわらず、日本はこの30年のあいだ、泰平の深い眠りから醒
めずに、72年前にアメリカの占領軍が、銃剣を突きつけることによって強
要した『日本国憲法』を改めることができずに、眠り続けてきた。いまだ
に護憲派が強い力を持っている。

幕末には、どこにでも青山半蔵のような国民がいたというのに、どうして
国を守る気概気力を失って、腑甲斐ない国になってしまったのだろうか。

アメリカの軍事保護による一国平和主義

アメリカによって与えられた「新憲法」のもとで、日本は徳川期の一国平
和主義――鎖国の繭(まゆ)のなかに、ふたたび閉じ籠ってしまった。

国際環境がいっそう厳しさを増してゆくなかで、一国平和主義の繭(まゆ)
を一日も早く破って、成虫になって羽搏(はばた)かなければ、この国が亡
びてしまおう。

明治維新150周年を、ただ祝うだけであってはならない。

日本は150年前に世界の現実に適応することによって、独立を守ることが
できたのだった。

いま、安倍政権がようやく現行憲法のごく一部を改正しようと、眦(まな
じり)を決して乗り出した。  

アメリカは日本占領が始めた翌年に、日本を未来永劫にわたって自立でき
ない国に変えるために、『日本国憲法』を強要したのだった。

現憲法の改正ではなく、修正を

憲法第95条で、「改正」という言葉を用いているから仕方がないが、私は
親しい国会議員に、改正を呼び掛ける時に「改正」ではなく、「修正」と
いう言葉を使ってほしいと訴えている。「改正」というと、現行憲法を全
面的に書き改めようとしている、誤解を与える。

いま、日本が直面する国際環境が、きわめて困難なものとなっているため
に、憲法のごく一部だけを修正することが、求められている。「修正」と
いったほうが、多くの国民の理解をえられると思う。

このかたわら、このところ日本文化への共感が全世界にわたって、ひろま
るようになっている。

幕末から明治にかけて、ジャポニズムと呼ばれたが、浮世絵を中心にして
日本の美術がヨーロッパ、アメリカの芸術に大きな影響をおよぼした。日
本文化に関心が集まるのは、それ以来のことだ。

だが、かつてのジャポニズムが、視覚に限られていたのに対して、今回の
日本文化の高波は、食文化から精神のありかたにまでわたっており、はる
かに深いものがある。

和食の流行は、和食が自然と一体になっていることから、健康志向によっ
て支えられているが、日本が発明したスマートフォンのエモジや、ポケモ
ンなどのアニメが世界を風靡しているのは、万物に霊(アニマ)が宿ってい
るという、日本の八百万千万(やおろずちょろず)の神々信仰にもとずいて
いる。いま、西洋では独善的な一神教が、揺らぐようになっている。

この3、40年あまり、西洋においても自然と共生するエコロジーが、人類
を守り、救うと信じられるようになっているが、エコロジーこそ神道の心
である。

 在日外交団長と対談「神道が世界を救う」

 マンリオ・カデロ・サンマリノ共和国駐日大使は、在日外交団長をつと
めているが、神道に魅せられて、これまで全国にわたって100近い神社
を参拝してきた。大使は和を重んじ、自然を敬う神道の心こそが、抗争と
流血が絶えることがない世界を救うことになると、信じている。

 私はカデロ大使と、『神道が世界を救う』(勉誠出版新書)という対談
本を、9月に刊行した。

 日本には150ヶ国以上の外国大使が駐箚(ちゅうさつ)しているが、
20人あまりの大使が日本語に堪能だ。日本語ができる大使や、日本に在
住する外国人からこの対談本によって、日本人をつくっている文化と、日
本の生きかたや、心をはじめてよく理解できるようになったと、感謝され
ている。

◆中国と対話を続けるダライ・ラマ法王

櫻井よしこ


「中国と対話を続けるダライ・ラマ法王 チベット仏教は人類の幸せに
貢献する」

ダライ・ラマ法王にお会いするのは2年振りだった。昨年秋、来日予定
だったが、医師の助言で急遽中止された。今年、法王のお顔は明るく、頬
は健康的なうすいピンク色だった。

今回、ネット配信の「言論テレビ」の番組で取材したのは激動する世界
で、大国中国に弾圧され続けるチベット民族の未来や混乱する価値観の方
向性について、83歳になられた法王に聞いてみたいと考えたからだ。三度
目の番組出演に、法王は快く応じ、中国との関係についての質問には意外
な答えが返ってきた。

ダライ・ラマ法王がインドに亡命して来年で60年になる。近年、中国との
関係は断絶されたと言われてきた。法王がいくら対話を求めても、中国政
府は応じることなく、一方的に「分裂主義者」「反逆者」「犯罪人」など
の酷い非難を法王に浴びせてきた。ところが状況は改善に向かっている
と、法王は次のように語ったのだ。

「この数年間、(私への)批判は大幅に減りました。私と中国との関係
は、まず、1979年、私が中国政府と直接接触し、その後数年間、こちらの
代表が先方を訪れて話し合う形で対話は続きました。それは中断されたの
ですが、私と中国指導部の接触は非公式な形でいまも続いています」

対話は断絶しておらず、非公式だが現在も続いているというのだ。そこで
再度、その点を確認した。

「そうです。ビジネスマンや引退した当局者が、時々私に会いにきます。
私たちは関係を続けているのです」と、法王。

中国共産党一党支配を浸透させようと、あらゆる監視体制をとって国民の
動向を見張っている習近平政権の下では、ビジネスマンであろうが引退し
た当局者であろうが、自由意思でダライ・ラマ法王に接触することなどで
きない。彼らの訪問が習政権の意を受けているのは明らかだ。

如何なる形であっても対話の継続は重要だ。一方で、政権の意を受けた人
間が法王に面会するのは、法王の健康状態も含めて亡命チベット政府の状
況を監視する活動の一環ではないかと、つい、私は警戒してしまう。

後継者問題についても尋ねた。中国共産党政権が次のダライ・ラマは自分
たちが選ぶと宣言したことを尋ねると、法王は「ノープロブレムだ」と、
次のように語った。

「(ダライ・ラマに次ぐ高位の)パンチェン・ラマには後継者が二人いま
す。一人は私が選び、一人は中国政府が選びました。多くの中国当局者
が、中国が選んだのは偽のパンチェン・ラマだと言っています」

法王の生まれ変わりが次のダライ・ラマになる「ダライ・ラマ制度」につ
いても重要なことを語った。

「後継者について深刻な心配はしていません。1969年以降、私は後継者問
題はチベット人に任せると表明してきました。最終的にはダライ・ラマと
特別な関係にあるモンゴル人を含む人々を招集して決めればよい。私が90
歳になったらダライ・ラマ制度に関する会議を開けばよいでしょう」

法王はこうも語った。

「将来のことは人々の関心事ですが、私は関与できないことです。大事な
のは私に残された日々を、学びと研鑽を積むことで意義深いものにするこ
とです。亡命政府の下のチベットでは僧侶も尼僧も学び続けています。昔
の信仰は、率直に言えば訳も分からず信じ込むのに近かった。しかしそれ
は時代遅れです。学ぶことで確信が得られます」

日本の仏教徒も般若心経を暗唱するだけでは不十分で、もっと真剣に学ぶ
ことが必要だと指摘し、仏教哲学と科学を融合させて学び続けることが、
二一世紀の仏教の重要事で、チベット仏教はその先頭に立って人類の幸せ
に貢献するとの決意を、法王は強調した。

『週刊ダイヤモンド』 2018年12月1日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1258

◆名作「カサブランカ」は戦争中の

宮崎 正弘


平成30年(2018年)11月30日(金曜日)通巻第5907号  

 名作「カサブランカ」は戦争中のスパイ合戦を背景のラブストーリー
だったが。。。
  いま、ジブチがまさに列強スパイ戦争の舞台となって

高齢者なら見たことがあるかも知れない。名作映画「カサブランカ」はハ
ンフリー・ボガードとイングリッド・バークマンが主演した(きっと、花
田紀凱氏なら「見たよ」って言うだろうけど)。

舞台はフランス植民地のモロッコはカサブランカ、ドイツに影響を受けた
フランスからレジスタンス活動家が入り込み、またナチスのスパイも入り
込み、亡命工作、政治ロビィ、そして機密書類や、そうした背景のもとに
繰り広げられるのが、波乱に満ちたラブ・ロマンス。「君の瞳に乾杯」が
流行語となった。

いま、舞台はジブチへ移動した観がある。

ジブチはフランス領ソマリランドから独立し、紅海の入り口を扼するシー
レーンの要衝のため、米軍が基地を置いた。米軍兵士は4000名が駐屯し
ている。

もちろん旧宗主国のフランスの基地(2900人)があるが、この陣地にイタ
リア(300人)もドイツもスペインも、そして日本の自衛隊も、この地に
180名が駐屯している。隣接する米海軍基地は本格的な構造であり、ま
たイタリアや日本が駐留部隊を派遣しているのはアデン湾の海賊退治が目
的だった。

このジブチに中国が割り込んできた。

「借金の罠」に引っかかった、というよりジブチ政府自らが中国のカネを
アテにして宏大な土地を中国に提供した。中国は免税特区、貿易中継基地
の倉庫、工業団地を建設するとして、巨費を投下し、気がつけば、中国初
の、しかも宏大な海外軍事基地を保有していた。

米軍の基地使用料は年間6300万ドル、フランスは3600万ドル。中国は2000
万ドルとされている。日本の負担額は公表されていない。

中国の軍地基地はドラレという地区にあって港に位置する。その上、エチ
オピアのアジスアベバからの鉄道759キロの終着駅でもある。免税特区は
4600ヘクタール、中国が投資した巨額は35億ドルに達すると言われ、軍人
ばかりか、商人、貿易商、労働者、運搬会社、乙仲業者などが入り乱れて
出入りしている。

しかも中国の軍人らは米、伊、仏、そして日本の防衛作戦の展開をスパイ
している。その目的は何なのか?

第一に米軍はカタールとインド洋上のディエゴガルシアに空母群基地を置
いている。米軍の動向、あたらしい設備や方法を観察しやすい地形にある。

第二に西側の軍事演習の観察から、その整合性、効果を計測し評価できる。

第三にドラレ港をほぼ手中にした中国の海軍基地はすでに一万人収容の
キャパを誇る。海兵隊、工兵さらには「得体の知れない」物資、設備を陸
揚げしている。
 ジブチは列強のスパイ合戦の策源地となった。
   ☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆書評 しょひょう 
BOOKREVIEW 書評BOOKREVIEW
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南北統一は韓国の滅びを意味し、米軍は撤退するしかない
  南シナ海海戦は一瞬にして終わり、対馬海峡が日本の防衛戦になる

        ?

藤井厳喜 v 古田博司『韓国・北朝鮮の悲劇 ――米中は全面対決へ』
(ワック)
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えっと思われる挿話があちこちに挿入されている。

 古田 「2002年に北朝鮮の漁郎という飛行場に降りたことがあります。
ミグがならんでいたのだけど、赤さびで期待が真っ赤だった」

 藤井 「ええっ。戦闘機が錆びている? 本当ですか(笑)。

 古田 「驚きました。明らかに飛んでいないことが分かりました」
 またこんな会話がある。南北朝鮮の統一に関して、

 古田 「文在寅は自分たちを、ロウソク革命で暴虐な政府を倒した革命
政権だと思っている。気分だけではもう、南ベトナム解放戦線ですよ」。

 藤井 「そうそう。反共だった『大韓民国』を潰すための革命政権です
からね。だから、図式は南北朝鮮 vs 日本、統一する前の段階の『高
麗連邦』は安全保障と外交が一体となり、国内体制の統一は後回しでしょ
う。そうなったら北朝鮮が優位に立つ」

したがって、日本としては脱北者ではなく「脱南者」対策の方が先決であ
り、古田教授は「難民対策はしっかり準備しなければなりません」と言え
ば、藤井氏は

「日本に入れないことが理想ですけどね(笑)。そのために、済州島を、
米軍が保障占領して日米共同運営の難民収容所をつくればいい。去年トル
コからエルドアン派の学者が来て、『トルコはシリアの難民を人道的に無
制限に入れたのが大失敗だった。国境周辺に収容所をつくって入れておく
べきだった。日本は気をつけたほうが良い』と話してくれました。最初の
段階で国内に入れたらおしまいです」

二人の議論はこうした徹底したリアリズムに立脚した、国家の安全保障、
外交、軍事、貿易戦争、文化の衝突などを掘り下げていく。
 結局、朝鮮半島はどうなるかと言えば、南北統一は韓国の滅びを意味
し、米軍は撤退するしかないだろうし、南シナ海海戦は一瞬にして終わ
り、対馬海峡が日本の防衛戦になると、明るくない近未来を見通すのである。