2018年12月29日

◆インド、中国国境に頑健な橋梁を完成

宮崎 正弘


平成30年(2018年)12月26日(水曜日)通巻第5929号

インド、中国国境に頑健な橋梁を完成。「備えあれば憂いなし」
  60トン戦車、ジェット戦闘機の着陸も可能

インドはヒンズー教の
国、およそクリスマスと無縁だが、おもわぬクリスマス・プレゼント?
 中国と国境紛争地帯は北東部アンナチャル・ブラデシュ州、1962年には
アッサムまで侵攻した中国軍によって一部の領土は盗まれたままとなり、
両軍は暫定国境でにらみ合っている。

2年前にはドグラムで軍事衝突があり、またプータンの北部には中国軍が
入り込んでいる。アンナチャル・ブラデシュ州の東部はミャンマーとの国
境地帯が続く。

アンナチャル・ブラデシュ州の州都はイタナガル市。国境のジブルカール
からここへの山間部に流れる大河はバラマピュトラ河。

これまでは750キロも迂回した。橋梁の建設は20年前から開始された、地
域住民の悲願でもあり、「ボジビル橋」プロジェクトには総額20億ドルを
投じた。

12月25日、バラマピュトラ河に49キロの橋梁が完成し、開通式に、モディ
首相が歩いて渡って、悲願達成を祝った。

「備えあれば憂いなし」とばかり、このボジビル橋は、60トン戦車の通行
に堪え、またジェット戦闘機の着陸も可能である。

国土強靱化を標榜する日本は、やたら高速道路を建設したが、ジャット戦
闘機の離着陸ができるようには設計されていない。
インドを手本とするべきでは?
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BOOKREVIEW 書評BOOKREVIEW
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「台湾は危ない」、「反日運動が渦巻いている」と日本のメディアが騒いだが

日本人と台湾人の友誼と交流は、断交後も拡大してきた

  ♪
浅野和生編著『日台関係を?いだ台湾の人びと 2』(展転社)
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日華断交から幾とせゾ。流れゆく歳月の速きこと。しかし外交関係は断絶
しても、民間交流はむしろ活発化しており、日本と台湾との姉妹都市関係
の絆は増え続けた。

相互訪問、とくに高校の修学旅行先に台湾を選ぶ学校が急増していること
は注目してよいだろう。

その後の日台間系の新しいかたちの構築に多くの人々が尽力したが、本書
では3人の『大使』(台北経済文化代表処代表)に焦点を絞り込む。林金
茎、羅福全、そして現在の謝長挺の3氏である。

評者(宮崎)自身、台湾との断交に憤慨して直後に台湾へ行った。羽田発
09:25の日航機は乗客がわずか17名しかいなかったことを昨日のことのよ
うに思い出す(1972年師走だった)。

「台湾は危ない」、「反日運動が渦巻いている」、『日本人とみたら殴ら
れる』などとメディアが書いた所為だった。ところが行く先々で歓迎さ
れ、「こんなときによく来てくれました。わたしたちは『田中外交糾弾、
日華人民連帯』なのです」と言われた。以後、台湾渡航百回。島内の隅々
から金門、馬祖にも行っている。

断交1年目には自民党議員団およそ百名がJALをチャーターして友好親
善のために訪台したおり、随行記者団の幹事長を仰せつかったこともあった。

というわけで、むろん本書に論じられる3人とは親しくおつきあいをさせ
ていただいたが、林金茎さんは法律学者、法学博士でいかめしいお顔なの
に、いつもユーモアを絶やさず、即妙のジョークを飛ばす人だった。
「台湾は独立する必要がないのです。なぜなら中華人民共和国が中華民国
から勝手に独立したのですから」と言われ、法学的解釈から言えば確かに
そうだとおもったり。

羅福全代表時代の項目では、李登輝閣下訪日の下工作の秘話がたんたんと
述べられているが、当時最大の理解者は森嘉郎首相であり、また説得に最
も力点を置いたのが福田康夫氏だったことも本書で改めて確認できた。

羅福全氏はたびたび本国議会に呼び出され国民党議員から意地悪な質問を
されたりしたが、いまも評者が思い出すのは「或る事件」のことである。
 おりしも小林よしのり氏が書いた『台湾論』が台湾で焚書坑儒の憂き目
にあって、本が高く積み上げられて焼かれた。小林氏は台湾から入国拒否
とされた。

中華思想を奉じる過激派の仕業だが、直後に西尾幹二氏と訪台する予定
だった。その前夜に羅大使から2人して呼び出され、「行くと中華思想組
の過激派に政治利用される。西尾先生大歓迎という横断幕を空港で用意し
て待ち受けている」と警告されたため、急遽中止したことがあった。

羅大使はアメリカ留学時代に、事故死した生田浩二の葬儀を主催した逸話
もあるほどに情の厚い人でもあった。生田は唐牛健太郎時代の全学連幹
部、その周囲には島成朗、森田実、青木昌彦、香山健一、西部邁らがいた。

本書にはこの逸話も挿入されている。生田は、将来を嘱望されてのアメリ
カ留学中に火災事故に遭って急逝、寮で同友だったのが羅さんだった。

拙欄でも、この話を書いたのも、羅大使就任祝賀会に白金の代表処に呼ば
れたとき、中嶋嶺雄教授がめざとく見つけ、「なぜ生田浩二の書がここに
掲げられているのですか?」と質問したからだった。

そんな私的なことを書いていると紙幅が尽きた。ほかにも日台交流の裏話
や逸話が満載である。
    
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樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1833回】               
 ――「只敗殘と、荒涼と、そして寂寞との空氣に満たされて居る」――諸橋
(6)
諸橋徹次『遊支雜筆』(目?書店 昭和13年)

          △

以上は大正7(1918)年9月に脱稿しているが、さすがに諸橋も「此の一篇
は今から見て(中略)認識不足と思はれる部分も無いではありませんが、
初手の印象記として殘して置きます」と断りを入れている。

ここで諸橋が「今から見て」という「今」は『遊支雜筆』を出版した昭和
13年、つまり盧溝橋事件の翌年であり、戦線は大陸全体に拡大していた年
であることを注記しておく。

これまで「支那の破れた姿を遠慮なく書いて見」て、「ことに國民的の自
尊心の足らない點については遺憾にも思ひ憤慨をさへ覚へた」諸橋だが、
次に「新しい姿」を綴った。

「支那の新文化運動」についての外国の影響からいえば、「それは申すま
でもなく日本が割合に早い」。「ところがこゝ十數年、亞米利加、英吉利
の文化は非常な勢で入り込みました。餘程遲れては居ますが、最近また佛
蘭西も其の方面に中々盛に活動して居ります」。

そこで「此等外來文化の中、どの系統のものが尤も多く今の新文化運動に
影響して居るか」。「それに就いては殘念ながら、英米の方の勢力が日本
のそれよりも多く入つて居る樣に思はれるのであります」。先行した日本
が、やがて欧米に追い抜かれたことになる。

「一つは文化を輸入する手段方法に就いて日本の方が甚だ拙い」。「二つ
には世界の風潮の影響を受けて居る」。「三つには日本の世界に於ける地
位――文化上の地位と云ふやうなものが、支那の人に就いて低いと考えられ
て居る」――以上の3つが、先行していた日本が英米に遅れを取った要因だ
が、このうちの二と三とが「實は支那の人が日本を嫌ふ口實」であり、
「本當の支那の人の多く感じて居る實感は、第一から得ている」。そして
「其の實感を説明する爲に、第二第三を用ひて居るのではないか」。こう
諸橋は感じたという。

たとえば病院。日本は北京で同仁病院を経営しているが西洋式の建物で、
規模も小さい。これに対しアメリカの提供するロックフェラー病院は規模
が大きいだけではなく、建築様式は「全然支那式」である。北京で経営さ
れている日米2つの病院の姿から、「我々は常に日本及び英米の支那に對
する文化政策の形が其の儘現れて居るような感がする」。

では、そこがどう違うのか。

「如何にも日本の人は支那の習俗に親まない、過去の文化を認めてやらな
い、或は支那の文化を認めてやらない」。これに対し英米は「支那の人々
と化してやつて居る。其處が亞米利加の病院が支那風に出來て、日本の病
院が西洋風に出來て居るのと同じ形」だ。病院の前を通る人からすれば、
同仁病院からは「如何にも日本は貧弱だ」と感じ、反対にロックフェラー
病院を「如何にも富裕だ」と思う。「其の感が實際」に現れるのである。

「過去十數年前に日本人の?習が多數支那に行」ったが、「其の大半は失
敗して歸つて居る」。

どうやら「金錢上の問題が澤山ある」らしい。「僅かなものを與へて僅か
な利益を取ると云ふことが過去の日本の或る種の人の考へでありまし
た」。これとは反対に、西洋は「隨分大袈裟なものをやつて又大袈裟な者
を取る」。ロックフェラーが「大きな病院を建つて、更に是から大きな
利?を取らうと云ふのと同樣であり」、かくして「今の新しい文化運動の
人々の頭には、日本は厭だとうふ樣な印象を與へ」てしまった。

また日本嫌いを「世界の帝國は段々崩壊する」という「世界の風潮の影
響」から説明する声もある。

10月革命でロシア帝国は滅び、辛亥革命で清帝国は崩壊した。だから「將
來の世界には帝國は成立しない」。にもかかわらず「日本の?育と云ふも
のは、帝國といふものを建てるに都合の好い?育をやつて居る」。だか
ら、そういった内容の教育を学んだとしても「支那の?育には助けにはな
らぬ。故に日本文化は學ぶに足らぬ」というリクツだ。
 何とも身勝手が過ぎるリクツではあるが、もう少し諸橋の解説に耳を
傾けたい。

     

◆横暴中国に抗議し、日本人を取り戻せ

                          桜井よしこ


中国共産党機関紙「人民日報」系で、国際版もある「環球時報」のもの凄
い社説から、中国の正体が見える。

12月1日、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の副会長、孟
晩舟(もうばんしゅう)氏が米国の要請によってカナダで身柄を拘束され
た。11日に保釈されたが、現在も24時間監視態勢下に置かれ、カナダから
出国もできない。米国への引き渡し手続きはこれからだろうが、中国は政
府を挙げて引き渡し阻止に動いている。

「環球時報」は孟氏逮捕当初から非常に強い関心をもって何本もの社説を
掲げているが、直近の12月15日のそれは中国得意の政治的恫喝の典型だった。

一連の主張から読みとれる中国の特性こそ、彼らが世界で力を確立すれば
するほど国際社会に浸透させようとする価値観であろう。私たちはいま、
その正体をじっくりと見つめる好機を与えられている。その第一の点が、
中国の司法は米国やカナダの司法とは異なるという主張だ。

たとえば環球時報はこう書いた。

「中国がカナダ人二人を拘束したことを、米加両国はどういう理由で違法
だと言えるのか。結局我々の司法は全く異なる。米国やカナダで違法だか
らといって中国でもそうだとは言えないだろう」

続いて、環球時報は次のように警告する。

「司法権は一国の主権の重要な構成要素だ。中国にいるすべての外国籍の
者は、その母国の法律によって守ってもらえるなどという幻想を抱くかわ
りに、中国の法律に従わなければならない」

中国の体制は外の世界とは異なるのだ、米国流もカナダ流も欧州流も日本
流も、中国には一切通じない。そのことを外国人は認識せよ、というこの
強い自我意識は、昨年10月の共産党大会で、中国が世界最強の国になる
2049年には、中華民族が世界の諸民族の中にそびえ立ち、中国共産党の教
えで世界を指導するとしたあの宣言に通ずる考えだ。それを彼らは「人類
運命共同体」と表現したが、その本心は中国主導の世界の確立ということだ。

21世紀の大中華思想の恐さ

12月13日の社説は、孟氏が拘束されたあと、まるで報復のような形でカナ
ダ人二人が拘束された件について、こんな主張も展開する。

「中国で拘束されたカナダ市民二人に関しては保釈請求の審理を開催して
やるなど、開かれた透明な司法手続きが行われるべきだと米加両国は考え
ている。中国では法体系も情報発信の在り方も異なる。そのようなことは
できないと、彼らはよく知っているはずだ。従って(米加両国と同件につ
いて)意思の疎通をはかるのは困難だ」

なるほど、だから彼らは、南シナ海の島々の領有権問題でハーグの常設仲
裁裁判所が下した、フィリピンの訴えを全面的に支持し中国の領有権を全
否定した判決を「紙クズ」だと言って無視したのであろう。

そもそも司法制度が異なるのだから、米国ともカナダとも、さらに国際社
会とも解り合うことは不可能だと言っているのである。そのうえで彼らは
要求する。

「カナダ及び米国の外相は中国のこうした原則を十分に弁(わきま)えてお
くべきだ」(15日社説)

彼らの中・長期的目標である21世紀の大中華思想の恐さを肝に銘じておこ
う。威嚇したかと思えば、「環球時報」は同じ社説で恥ずかし気もなく、
こうも言う。

「異なる国々の間の意思の疎通は相互尊重に基づくべし」

全く同感だ。そうしてほしいが、中国には相互尊重の考えが欠落していて
自国尊重しかない。だから結局最後は予想どおり恫喝で終わる。

「カナダは米国の支持があるからといって何かが変わると思ってはならな
い。台湾問題での火遊びは北京には何の圧力にもならない。オタワよ、中
国の手には何枚ものカードがあることを覚えておけ。北京の意向に逆らえ
ばいいことはないぞ。米中問題には距離を置くのが一番だと弁えろ」

人口約3600万人、GDP1兆6530億ドル(約187兆円)と、中国と比べれば
小振りとはいえ、カナダはG7の一員だ。立派な民主主義の国をこんなふ
うに脅すのである。裏を返せば、中国は死に物狂いだということだ。

なんと言ってもファーウェイは中国を代表するハイテク企業だ。「産経新
聞」の報道によると、世界170か国・地域で事業を展開中だが、現在も非
上場を貫いている。創業者は人民解放軍出身の元軍人で、74歳の任正非
(にんせいひ)氏だ。人民解放軍、さらには共産党と一体化している人物
だ。その娘が孟氏で現在46歳、事実上、任氏の後継者と見られている。

世界一の国にはなれない

ファーウェイをはじめ、中国の通信大手企業が世界に張り巡らせつつある
のが、第5世代の移動通信システム(5G)だ。中国はすでに5Gの基地局
を世界各地に張り巡らし、その数は米国のそれの10倍にもなるとの数字も
ある。米国は必死に巻き返しており、欧州諸国も日本も、米国と共に
ファーウェイ及びもうひとつの中国のハイテク通信企業、中興通訊
(ZTE)の排除に乗り出した。国や社会の在り方、自由や民主主義の擁
護を考えれば、当然だろう。

10月4日に米国のペンス副大統領が凄まじい演説をした。その直後に共和
党上院議員のマルコ・ルビオ氏らが民主・共和両党の合意の下で対中非難
の声明を出した。その中で中国の不公正、非人道的な体質を非難し、中国
社会はジョージ・オーウェルの小説「1984」のようだと論難した。米中の
戦いは単なる貿易戦争ではなく、次の時代の世界の在り方をめぐる戦い
だ。米国は行政府も立法府も、「1984」のような国になり果てようとする
中国の意図を挫きたいのである。

5Gのハイテク通信で世界を制覇すべく、中国共産党はファーウェイや
ZTEを国ぐるみで後押しするが、ハイテク通信で世界の最前線を走った
としても、世界一の国にはなれないだろう。彼らはハイテク通信を何のた
めに利用するのか。自国民を支配するのと同様に世界を支配する道具にす
るのではないか。ハイテク通信で自由な情報の流れを実現するわけでもな
い。自由な発想も創造も許さない。その反対に、21世紀の今日、いわば終
身皇帝を誕生させるなどバカバカしい所業を許している。

人間を抑圧する中国は、米国や日本、欧州諸国のように人間を羽ばたかせ
る陣営には金輪際、勝てない。米中のせめぎ合いは日中の戦いでもある。
そのことを念頭に、安倍晋三首相も菅義偉官房長官ももっと発言してよい
のである。中国にスパイ容疑で拘束され、情報開示もないまま、有罪判決
を下されていく日本人8人の即時釈放を要求すべきだ。中国の蛮行を許し
てはならない。大きな声で抗議すべきなのだ。

『週刊新潮』 2018年12月27日号 日本ルネッサンス 第833回

◆「認知症」には「散歩」が効果

                       向市 眞知


以前、住友病院神経内科の宇高不可思先生の「認知症」の講演を聴きに行きました。その時、「こんな症状があったら要注意!」という話から始まり、次の11の質問がありました。

1、同じことを何度も言ったり聞いたりする
2、ものの名前が出てこない
3、置き忘れやしまい忘れが目立つ
4、時間、日付、場所の感覚が不確かになった
5、病院からもらった薬の管理ができなくなった
6、以前はあった関心や興味が失われた
7、水道の蛇口やガス栓の閉め忘れが目立つ
8、財布を盗まれたといって騒ぐ
9、複雑なテレビドラマの内容が理解できない
10、計算のまちがいが多くなった
11、ささいなことで怒りっぽくなった

「これらがいくつかあったり、半年以上続いている時は専門病院へ行きましょう」といわれました。

私自身、同じことを言ったり、物の名前が出てこなかったり、置き忘れやささいな事で怒りっぽくなったなあと思い当たるフシがいくつもありました。専門診療の対象といわれてしまうと本当にショックです。

認知症というと周りの人に迷惑をかけてしまう問題行動がクローズアップしてその印象が強いのですが、新しいことが覚えられない記憶障害もそうです。また、やる気がおこらない意欲の低下もそうですし、ものごとを考える思考力や判断する力、そして手順よくし処理する実行力の低下も認知症の症状です。

認知症高齢者のかた自身の不安は、時間や場所がわからなくなったり、体験そのものを忘れていく中で暮らしているのですから、自分以外の外界のすべてが不安要因になってしまうのです。

ご本人は真剣に外界を理解しようとしているのですが、家族は「ボケ」「痴呆」ということばの印象から「認知症だからわからないだろう、理解できないだろう」と思い込んでいる例が多くみられます。
 
診察室でなんとご本人を目の前にして認知症高齢者の失態を平気でドクターに訴えたり、「母さんがボケてしまって」とはばかりもなく言ってしまったりします。

その瞬間にご本人はその家族に対してまた不安をつのらせてしまいます。また話を向けられたドクターも、ご本人を前にしてウンウンとうなづくべきか、ほんとうは困っているのです。うなづけば家族は安心しますが、ご本人はドクターへの信頼感をなくしてしまいます。

よく「まだらボケ」とか言いますが、「正気の時もあるからやっかいだ」と表現されるご家族もあります。しかしそれは逆で、やっかいと考えるのではなく正気の部分があるのならその正気の部分を生かして日常生活を維持するようにしむけてみませんか。
 
認知症があってもくりかえし続けている一定の日常生活はできるはずです。老年期以前の過去の生活を思い出させてあげると、高齢者は自分の価値を再発見し、意欲も湧いてくるとききました。

高齢者にとって脳機能の低下だけではなく、視覚や聴覚、味覚や嗅覚などの感覚もおとろえてきていることを理解してあげてください。すべてを「認知症」の一言でかたづけてしまわないで下さい。見えやすくする、聞こえやすくするというような場面の工夫で問題行動が小さくなることもあります。
 
「認知症だからわからないだろう」と思い込むのは大まちがいです。「言ってもしかたない」と決めつけるのは悪循環です。認知症の方の感じる外界への不安を考えると、情報が遮断されると余計に不安が大きくなります。

どしどし情報を与えることが不安の軽減につながります。そのために外出しましょう。認知症には散歩の効果があります。外界の空気は聴覚、視覚、嗅覚への刺激になり、脳の活性化につながります。

医療ソーシャルワーカー

2018年12月28日

◆世界各地で高まる緊張

加瀬 英明


日本は生まれ変わらなければならない。米国に一方的に頼る時代は、終
わった。

トランプ政権は、米国が世界を一手に守ってきた重荷を軽くして、ヨー
ロッパや、日本などの同盟諸国が分担することを求めている。

多くの米国民が、外国を防衛する重荷を担うのが、不公平だとしている。

米国は国防費にGDP(国内総生産)の3.1%を、支出している。

ところが、オバマ政権下でNATO(北大西洋条約機構)に加盟するヨー
ロッパ27ヶ国が、GDP2%を国防費にあてると約束したのにもかかわら
ず、約束を守っているのは、イギリスなど7ヶ国だけで、ヨーロッパ第一
の大国のドイツは、1.2%でしかない。

11月にワシントンを訪れた時に、トランプ政権の関係者と会食したが、な
かに国家安全会議(NSC)の幹部がいた。

「ドイツの国防費は、1%ちょっとにしかならない。ドイツ国民が自分の
国の価値が、それしかないと思っているなら、どうして米国の青年がそん
な国を守るために、血を流す必要があるだろうか」と、いった。

 日本はNATOの計算基準を当てはめると、防衛費として1.15%を支
出している。
 
ここで、私は「防衛費」という言葉を使っていることに、注目していただ
きたい。「国防費」ということが、許されないからだ。

 日本は現行の「日本国憲法」のもとで、「国防」は米国に委ねて、自衛
隊は米軍を補助して「防衛」に当たることになっている。米国が日本の国
防の主役であって、日本は傍役(わきやく)なのだ。

 日本国民は非常の場合には、アメリカが守ってくれると思い込んでいる
から、国防意識が低い。

 緊張がたかまっているのは、日本がある東アジアだけではない。ヨー
ロッパでは、いつ、ロシア軍がバルト3国や、北欧を奇襲するか、緊迫し
た情況が続いている。中東も予断を許さない。もし、イランがペルシア湾
の出入り口を封鎖すれば、米軍が出動する。

 米国はもはや同時に二正面で戦う能力を、持っていない。もし、米軍の
主力がアジア太平洋からヨーロッパか、中東に移動したら、日本の周辺が
手薄になる。

 日本が平和を享受し続けるためには、国防に真剣に取り組まねばならない。

 憲法を改正して、自衛隊を保有することを書き込むことを、急がなけれ
ばならない。



◆北京の大学で爆発事故

宮崎 正弘


平成30年(2018年)12月27日(木曜日)通巻第5930号

北京の大学で爆発事故、学生3人が死亡。テロか
  大学の実験ラボの安全無視、管理のずさんが事故を多発させている

12月26午前、北京の交通大学環境技術学部の実験ラボで爆発事故が起こ
り、実験に加わっていた学生3人が死亡、十数人が負傷した。

大音響の爆発音で付近の住民が騒ぎ出し、「テロか」とする噂がネットで
もさかんに飛び交ったという。

消防車、救急車が出動し、事故の原因を究明中と警察の発表がなされた。

交通大学の実験ラボでは都市環境のエンジニア開発のため、下水処理の化
学実験が行われていた。

爆発物や劇薬の管理の安全性軽視、杜撰な実験の運営などが遠因となった。

この日、天津では人権派弁護士の裁判が非公開で行われたため、海外メ
ディアは天津の裁判所前に集中していた。このため首都北京でも爆発事故
はニュースにもならなかったが、つい1ヶ月前にも南京大学の泰洲キャン
パスにある化学実験室で爆発事故がおこり、学生ひとりが死亡している。
 
2015年には名門、清華大学でやはり高圧シリンダーの実験に失敗し、学生
ひとりが死亡した事故があった。

テロと騒がれたのも、直前に福建省の龍岩市でバスジャック事件がおこ
り、ナイフをもった男が車内で8人を刺殺し、22人を負傷させた。
 社会不満の爆発が、こうした通り魔的テロリズムを蔓延させているのか
もしれない。

      
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIE
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教祖のボディガードが17年の懲役刑を終えて思うことは
教祖の霊的能力への懐疑から、脱走へいたる心理の変化、

  ♪
冨田隆『オウム真理教元幹部の手記』(青林堂)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

著者は嘗て麻原のボディガードだった。教祖の言動を最近距離でみてきた
男は、オウムに何を見て、最後に麻原の狂乱の日々がいかなるものであっ
たかを悔恨をこめて綴った。著者は松本サリン事件に関与したため懲役
17年、その出所後に過去を振り替えし、あの時代に一体何がおきていた
かを赤裸々に語っている。

最初の出会いはヨガ道場を開いていた麻原のもとへ面談に行ったときだっ
たという。

「麻原からくるパワーはもの凄く、感じたことのない気を感じたので、そ
の場で入会する」

しかし徐々に麻原の「最終解脱を名乗ってしまうところに、ある種の厚か
ましさと傲慢を感じていた」。

覚めていく。サティアンからラ逃げようと思っていた。

「私も、ボディガードをしているうちに、昔はあんなに強かったはずの麻
原の霊的能力がどんどんなくなっていき、今では殆どゼロだということに
気づいていました」(135p)。

本書はやや自己弁護的なところもあるが、内側からみた教祖の狂乱、その
教祖の霊的能力への懐疑から、脱走へいたる心理の変化が綴られていて、
心理学的側面に興味を抱きながら読んだ。
            

◆横暴中国に抗議し、日本人を取り戻せ

櫻井よしこ


中国共産党機関紙「人民日報」系で、国際版もある「環球時報」のもの凄
い社説から、中国の正体が見える。

12月1日、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の副会長、孟
晩舟(もうばんしゅう)氏が米国の要請によってカナダで身柄を拘束され
た。11日に保釈されたが、現在も24時間監視態勢下に置かれ、カナダから
出国もできない。米国への引き渡し手続きはこれからだろうが、中国は政
府を挙げて引き渡し阻止に動いている。

「環球時報」は孟氏逮捕当初から非常に強い関心をもって何本もの社説を
掲げているが、直近の12月15日のそれは中国得意の政治的恫喝の典型だった。

一連の主張から読みとれる中国の特性こそ、彼らが世界で力を確立すれば
するほど国際社会に浸透させようとする価値観であろう。私たちはいま、
その正体をじっくりと見つめる好機を与えられている。その第一の点が、
中国の司法は米国やカナダの司法とは異なるという主張だ。

たとえば環球時報はこう書いた。

「中国がカナダ人二人を拘束したことを、米加両国はどういう理由で違法
だと言えるのか。結局我々の司法は全く異なる。米国やカナダで違法だか
らといって中国でもそうだとは言えないだろう」

続いて、環球時報は次のように警告する。

「司法権は一国の主権の重要な構成要素だ。中国にいるすべての外国籍の
者は、その母国の法律によって守ってもらえるなどという幻想を抱くかわ
りに、中国の法律に従わなければならない」

中国の体制は外の世界とは異なるのだ、米国流もカナダ流も欧州流も日本
流も、中国には一切通じない。そのことを外国人は認識せよ、というこの
強い自我意識は、昨年10月の共産党大会で、中国が世界最強の国になる
2049年には、中華民族が世界の諸民族の中にそびえ立ち、中国共産党の教
えで世界を指導するとしたあの宣言に通ずる考えだ。それを彼らは「人類
運命共同体」と表現したが、その本心は中国主導の世界の確立ということだ。

21世紀の大中華思想の恐さ

12月13日の社説は、孟氏が拘束されたあと、まるで報復のような形でカナ
ダ人二人が拘束された件について、こんな主張も展開する。

「中国で拘束されたカナダ市民二人に関しては保釈請求の審理を開催して
やるなど、開かれた透明な司法手続きが行われるべきだと米加両国は考え
ている。中国では法体系も情報発信の在り方も異なる。そのようなことは
できないと、彼らはよく知っているはずだ。従って(米加両国と同件につ
いて)意思の疎通をはかるのは困難だ」

なるほど、だから彼らは、南シナ海の島々の領有権問題でハーグの常設仲
裁裁判所が下した、フィリピンの訴えを全面的に支持し中国の領有権を全
否定した判決を「紙クズ」だと言って無視したのであろう。

そもそも司法制度が異なるのだから、米国ともカナダとも、さらに国際社
会とも解り合うことは不可能だと言っているのである。そのうえで彼らは
要求する。

「カナダ及び米国の外相は中国のこうした原則を十分に弁(わきま)えてお
くべきだ」(15日社説)

彼らの中・長期的目標である21世紀の大中華思想の恐さを肝に銘じておこ
う。威嚇したかと思えば、「環球時報」は同じ社説で恥ずかし気もなく、
こうも言う。

「異なる国々の間の意思の疎通は相互尊重に基づくべし」

全く同感だ。そうしてほしいが、中国には相互尊重の考えが欠落していて
自国尊重しかない。だから結局最後は予想どおり恫喝で終わる。

「カナダは米国の支持があるからといって何かが変わると思ってはならな
い。台湾問題での火遊びは北京には何の圧力にもならない。オタワよ、中
国の手には何枚ものカードがあることを覚えておけ。北京の意向に逆らえ
ばいいことはないぞ。米中問題には距離を置くのが一番だと弁えろ」

人口約3600万人、GDP1兆6530億ドル(約187兆円)と、中国と比べれば
小振りとはいえ、カナダはG7の一員だ。立派な民主主義の国をこんなふ
うに脅すのである。裏を返せば、中国は死に物狂いだということだ。

なんと言ってもファーウェイは中国を代表するハイテク企業だ。「産経新
聞」の報道によると、世界170か国・地域で事業を展開中だが、現在も非
上場を貫いている。創業者は人民解放軍出身の元軍人で、74歳の任正非
(にんせいひ)氏だ。人民解放軍、さらには共産党と一体化している人物
だ。その娘が孟氏で現在46歳、事実上、任氏の後継者と見られている。

世界一の国にはなれない

ファーウェイをはじめ、中国の通信大手企業が世界に張り巡らせつつある
のが、第5世代の移動通信システム(5G)だ。中国はすでに5Gの基地局
を世界各地に張り巡らし、その数は米国のそれの10倍にもなるとの数字も
ある。米国は必死に巻き返しており、欧州諸国も日本も、米国と共に
ファーウェイ及びもうひとつの中国のハイテク通信企業、中興通訊
(ZTE)の排除に乗り出した。国や社会の在り方、自由や民主主義の擁
護を考えれば、当然だろう。

10月4日に米国のペンス副大統領が凄まじい演説をした。その直後に共和
党上院議員のマルコ・ルビオ氏らが民主・共和両党の合意の下で対中非難
の声明を出した。その中で中国の不公正、非人道的な体質を非難し、中国
社会はジョージ・オーウェルの小説「1984」のようだと論難した。米中の
戦いは単なる貿易戦争ではなく、次の時代の世界の在り方をめぐる戦い
だ。米国は行政府も立法府も、「1984」のような国になり果てようとする
中国の意図を挫きたいのである。

5Gのハイテク通信で世界を制覇すべく、中国共産党はファーウェイや

◆痰の話で思い出す支那

石岡 荘十(ジャーナリスト)


‘35京都で生まれ、そのすぐ後から敗戦2年後まで中国(当時は支那)に
留め置かれた。幼い頃の記憶はもちろんないが、物心ついて以降、見聞
きしたかの国の“文化”といまの日本のギャップを、本メルマガの反響
欄が思い起こさせた。 

幼い頃の記憶はこうだ。

その1。

夏の日、父の仕事が休みのある日、「支那人と犬入るべからず」という
立て札が入り口にある公園に家族そろって出かけ、公園の中の、支那人
以外のためのプールで家族で泳ぐ。ある日、帰りに天津市内でも最高級
の中華料理店でそろって子豚の丸焼きを食った。

糞をしたくなって、用を足そうと便所へ行くと便器のはるか暗い、深い
底にうごめく動物がいて、驚いて下を見ると、数匹の豚が新鮮な私の排
泄物をむさぼっていた。今思えばここでは完璧な“食の循環”が実現し
ている。

だが、これで私は完全に食欲を失った。これがトラウマになって、決し
て宗教上の理由ではなく、長い間、私はブタが食えなかった。

その2。

小学校の同級生に、当時の天津領事の息子(小山田あきら?)がいて、
放課後、いつも領事館へ遊びにいっていた。ほとんどは広大な領事公邸
の中で遊んでいたが、ある日、門の外に来る物売りの声に誘われて外に
出た。

天秤にかけた台に切り分けた瓜が載っていた。それが喰いたくて「どれ
がうまい?」と私たちに付き添ってきた領事館の守衛に聞いた。守衛は
「ツエーガ(これだよ)」と指差したのは、ハエが一番多く群がってい
る瓜だった。

“動物学的”に言ってそれはそうだろうと納得したのはずっと後のこと
だが、ハエがたかっているのは汚いという考え方は彼らにはないらしい。

いつだったか大分昔、多分、日中国交回復の頃、「中国にいまや1匹の
ハエもいなくなった」という提灯記事をどこかの新聞で読んだ記憶があ
るが、決して信じなかった。私の幼い頃の確かな記憶が記事のウソを見
破った。

その3。

父が勤めていた会社の管理職住宅は鉄筋コンクリートの一戸建ての“豪
邸”で、玄関を入ったところに、日本流で言うと、女中部屋があった。
女は阿媽(アマ)と私たちが呼んでいた纏足の小柄な女だったが、時々、
旦那が小さな女の子を連れて泊まりに来ていた。

女中部屋は6畳ほどの小さな部屋だったが、遊びに行くと、部屋の隅に
花瓶のような形の壷が置いてあって、そこに時々、「ペッ」と痰を吐く、
というか飛ばす。

それがまた結構遠くから正確に痰壷のど真ん中に命中するのを、何の不
思議もなく見ていたのを思い出した。ホールインワンどころではない。
アルバトロス級である。北京オリンピックで「痰飛投」などという種目
が出来たら間違いなく金だろう。

人前での屁は慎むが、食事中、げっぷは割と平気でやる。屁は平気だけ
ど、げっぷは禁忌という国もあると聞く。生活習慣がそんなに違う民が
十数億人もすぐそこにいる。

痰。さてどうするか。

話題はそれますが、昭和18・9年当時、幼馴染の父、小山田天津領事
とその家族の消息を知りたいと思っています。その頃、いつもアイスキ
ャンディーを作ってくれた、髪の長い、美しいお姉さまがいました。確
か、「たえ」さんでした。

2018年12月27日

◆エリマキトカゲの復活?

馬場 伯明


冬の季節、男の「防寒三点セット」と言えば「マフラー・グローブ・アン
ダーパンツ」であろう。昔の言葉なら「襟巻(首巻)・手袋・股引(もも
ひき:パッチ・長ズボン下)」である。

パッチは木綿やラクダで作られ、タイツはナイロン系統で作られている。
ステテコは(夏に)ズボンが肌に密着しないためにはく。ズボン下はこの
ような商品を総称していると思われる。

しかし、私は長年・・というか、ずっと、この防寒三点セットを身につけ
ていない。買う金がなかったわけでもないのだが、「かっこ悪い」という
思い込みか、ま、一種のやせ我慢だったのかなあ・・・。

だから、私の冬の平日通勤の定番服装は、上はランニングシャツ(長袖
シャツは着ない)・カッターシャツ・ネクタイ・背広(上)・コート、下
は靴下・トランクス・(背広の)ズボン、合計8種類である。夏もステテ
コははかず、春秋は背広や靴下が薄い生地となりコート類は着ない。

朝の通勤時に電車のホームで、若い男性が大きなマフラーを首に巻きつ
け、顔が半分隠れるような格好で、しかも手袋をして背中を丸めている。
見苦しく虫唾(むしず)が走る。また、電車内の向かいの座席では、組ん
だ脚の脛から見える黄土色のズボン下は最低だ。「いい若い者(もん)
が、何ばしよっとか!(何をしているのか!)」と思う。

数年前に(上等の!)カシミアのマフラーをある人からいただいたので、
せっかくだから先週巻いて出かけたが、不慣れだったのでどこかの飲み屋
に置き忘れてしまった。

一方、女性はどうか。ここでは対象を女性のマフラー類に絞り記述する。
(他は後日にでも・・)。街中で周りを眺めれば女性のマフラー姿は中高
校生から年配者まで、相当多い。各種各様、千差万別、百花繚乱の花盛り
である。

その姿はよく言えば、蓮の花(美しい顔)を引き立てる台(うてな)であ
る。でも、ケチをつければ、鬱陶しい物体なのだ。それはなぜか?彼女た
ちの首の周りに異様に大きな塊が巻き付いていることにより、全身の体型
的な均衡が崩れているからである(と思う)。

だが、そのマフラー(襟巻)類をよく見れば少しずつ違う。呼称も違う。
Wikipediaでは次のように表現されている。
 
「マフラー (Muffler)」:防寒具。寒さを防ぐために首の周囲に巻く細長
い長方形をした厚手の布である

「スヌード(Snood)」:首の周囲に巻く事を想定した布の一種(中
略)。 2010年代の日本では、防寒兼ファッションアイテムとして、マフ
ラーの端をなくし筒状にしたような形状の、首に巻くものを指す。素材は
ニットやファー(毛皮)などで、長さ・太さも多種。

「ネックウォーマー(Neck warmer)」:主に防寒を目的に首の周囲に装
着する筒状の布。フリースやボア生地を素材としたものが多く、高さ数
10cmで一周40〜50cm程度の筒状のものが一般的。英語圏では、日本のネッ
クウォーマーの類も含めてスヌードと呼ぶこともある。

「ストール(Stole)」:肩に掛ける衣装の一種。肩に掛けたりもする。
ショールよりも細く毛皮や絹で縁取りされることも多い。

「ショール(Shawl):衣類の一種であり肩にかけたり頭からかぶったり
して着用する。通常は四角形をした布で三角形になるように折って使う。
防寒用途やファッション用。明治中頃から着物に大判の防寒用ショールを
羽織るようになった。

「スカーフ(Scarf):主に女性が装飾用に身につける綿・麻・絹・ポリ
エステル・ウールでできた正方形の薄手の布。
(Wikipediaの引用等を終わる)。

昔のことを思い出した。30数年前(1984年)に三菱自動車「ミラージュ」
のCMでフィーバーした巴虫類のエリマキトカゲである。エリマキ(襟巻)
を広げ跳びまわる姿が素っ頓狂的であり世間を驚かせたものだ。そう!最
近の女性たちのマフラー類の姿はあのエリマキトカゲに似ている。

電車のホームの大きな柱にもたれ通り過ぎる女性たちをしばらく見てい
た。厚手の毛糸の長いマフラーや大判のストールを巻いている人がいる。
深めのネック ウォーマーや派手な色彩のスヌード姿の女性たちが眼の前
を通り過ぎていく。頭が半分隠れてしまいアップアップで溺れそうに見え
る人もいる。

2018年末の街中では(人間)エリマキトカゲの集団が大行進をしている。
そう思って眺めれば、何かおかしく面白い。自然に笑いが込み上げてく
る。だが、一方、他人は私を見て「あのおっさん、変やな。何、にやにや
笑ろてんねん」と怪訝な顔をしているかもしれない。

エリマキトカゲ風の女性たちはなぜか颯爽としていない。その後ろ姿はお
おむね猫背気味である。とにかく、体全体の見た目のバランスがよくな
い。頭でっかち、いや、「首上でっかち」の物体がずるずる移動している。

私は太めの女性が好きだが、太めとは言っても、肩を覆うようなネック
ウォーマーや、大きなマフラーが首上まで巻きついている姿は、見栄えが
よくない。防寒のためとは言えちょっとやり過ぎではないか。

ごっついマフラーを巻き多重のスヌーズをかぶるより、ハイネックセー
ターに革ジャンの方がすっきりしている。また、薄手のショールや冬用の
スカーフを肩から垂らしている方がイカしている。さらに、素(す)の襟
首が見えるスタイルならば、はるかに美しく、寒中であっても暖かい上品
な色気が匂ってくるだろう。

ここまで縷々述べたが、以上は、主に私の「見た目」から述べたものであ
り、私の好みにすぎない。また、マフラー類などの暖かさの科学的な効能
を細かく判定しているのではない。

そこで、私なりのとりあえずの結論を述べる。
1. 大きなマフラー類を首に巻くのは見た目が悪い。頭でっかちで、あの
エリマキトカゲのようだ。美的ではなく女ぶりが下がる。ハイネックセー
ターに革ジャンや薄手のショールの和服姿の方が美しい。

2. 暖房の性能ではぶっとい物の方が効果は大きいかもしれない。しか
し、生地、織り方、色彩、デザイン、着付けなどにおいて、もっと工夫の
余地がありそうに思えるのだ。

3. だから、デザイナーや製造者は、マフラー、スヌード、ネックウォー
マー、ストール、ショールなど、各製品の特長を生かし、画一化を排し多
様で斬新な取り組みに挑戦し「女性の美」を引き出してほしい。

4. 女性たちは、ぶっといマフラー類に巻かれ包まれ丸まってしまうので
はなく、すっきりした防寒衣装で、背筋を伸ばし、冬の大通りを大股で闊
歩してほしい。(2018.12.26 千葉市在住)


◆中華思想で視野狭窄

加瀬 英明


「中華思想」で視野狭窄 ソ連崩壊と似た道

米中対決は、どこへ向かうのだろうか?

習近平主席の中国龍は、トランプ大統領の米国鷲に襲われ
て、鱗(うろこ)が飛び散るようになっている。

トランプ政権が、中国という“悪の帝国”を倒す戦略を進めている。

かつてレーガン大統領が、“悪の帝国(イービル・エンパイア)”と極め付け
たソ連を追いつめたが、中国もソ連と同じ自壊への道を、進むようになっ
ている。

ソ連は、効率が悪い計画経済によって病んでいたのに、無人のシベリア沿
海州開発に国力を浪費し、東ヨーロッパの衛星諸国という重荷をかかえて
いたうえに、第3世界に進出するのに力を注いだために、米国との競争に
耐えられなくなって、1991年に倒れた。

ソ連の最高指導者は、非科学的なマルクス主義の予言に従って、ソ連が世
界を支配するという使命感にとらわれて、世界制覇を急いだために、墓穴
を掘った。

習主席も、「偉大な中華文明の復興」という、自らの掛け声に陶酔して、
見せかけだけが壮大な「一帯一路」計画と、大海軍の建設を強行してお
り、ソ連が第2次大戦後に歩んだ道程に、よく似ている。

中国は分離独立闘争を恐れて、新疆ウィグル自治区や、チベットをはじめ
とする西域や、中部や、北部に過大な投資を行っている。 「一帯一路」
計画によって、70ヶ国近くを“幻(まぼろし)の中華圏”である、仮想空間に
取り込もうとしているが、多くのアジア諸国で挫折するようになっている。

ソ連は1950年代から、日本についで経済成長率が高かった。ソ連は1957年
に米国に先駆けて人工衛星『スプートニク』を軌道に乗せ、4年後に世界
最初の有人衛星飛行を行って、米国を震駭させたものだった。

ソ連は1970年代に入ると、少子高齢化が進んで、旺盛な高度成長を支え
た、豊富な安い労働力が失われるようになった。中国で同じことが、起っ
ている。

中国の指導部は、何千年にわたって自分が世界の中心だという中華思想に
よる知的障害を患ってきたので、傲慢に振る舞ってきたために、まともに
対外戦略をたてられない。

私は中華思想を“中禍思想”と呼んできた。プーチン大統領のロシアは戦略
が巧みなのに、中国は中華主義による自家中毒におちいって、視野が狭窄
している。

日本は米中対決の狭(はざ)間にある。米国が勝つことになるから勝ち組
につくべきだ。

◆韓国との情報戦に立ち遅れている日本

櫻井よしこ


「韓国との情報戦に立ち遅れている日本 手強い存在と心して戦うことが
必要だ」

12月4日、東京の日本外国特派員協会、通称外国人記者クラブで、「朝鮮
人戦時労働者」の裁判について、韓国側弁護団が会見した。

朝鮮人戦時労働者はこれまで「徴用工」と呼ばれてきた。しかし、戦時
中、日本に働きにきた朝鮮半島の人々の多くは民間企業の募集に応じた
人々で、必ずしも徴用された人々だけではない。安倍晋三首相も国会で述
べたように、新日鐵住金を訴え、判決が10月30日に下された裁判の原告4
人は全員、徴用工ではなかった。そのような事情から徴用工の代わりに
「朝鮮人戦時労働者」と呼ぶ。

会見した韓国人弁護士達は、韓国で新日鐵住金を訴えた裁判で原告の代理
人を務めた大弁護団の一部だ。会見に現れたのは金世恩(キム・セユ
ン)、林宰成(イム・ジェソン)両氏らである。両氏共に若く、韓国の法
務法人「ヘマル」に所属、或いは関係が近いと見られている。

彼らは会見当日、新日鐵住金本社に二度目の訪問を強行し、面会を断られ
ている。要請書を置いてきたそうだ。内容は韓国大法院(最高裁判所)の
判決に従って、朝鮮人戦時労働者に慰謝料を支払い、謝罪することが必要
で、いつ、どのような形で実施するか、12月24日午後5時までに回答せよ
というものだそうだ。

彼らは、さらなる訴訟を準備中で、新日鐵住金側が韓国側との協議に応じ
ない場合、差し押さえ手続きに入る予定だと明言した。

彼らはさらに、新日鐵住金が韓国で保有する資産、PNRという企業の株
式234万株は約110億ウォン(約11億円)に相当し、差し押さえの対象だと
語った。新日鐵住金保有の韓国における知的財産権は3000件余りで、こち
らも差し押さえの対象だという。

新日鐵住金側には一切妥協する気配はない。それで正しいのである。

韓国側の主張には、おかしな点が多い。そのひとつが朝鮮人を労働させた
のは国際労働機関(ILO)29号条約に反するという主張であるが、この
指摘は間違いだと言ってよいだろう。

29号条約は「処罰の脅威の下に強要される」労働を強制労働としており、
強制労働は時効のない犯罪である。ただ、「緊急の場合、即ち戦争、火
災、洪水、飢饉、地震……」などに対処する強制労働は例外として許容され
ている。

ILO専門委員会は朝鮮人戦時労働者問題に関して、救済策を講じよとい
う意見を日本に出してはいるが、その一方で、補償問題は日韓請求権協定
で全て解決済みだとする日本政府の主張は正しいと認めてもいる。

ILOの見解には微妙な矛盾が見てとれるが、これは近年の「個人を救済
する」思想を反映するものだ。

そこで重要になるのが、朝鮮人労働者への実際の待遇や労働条件は当時の
状況の中で受け入れられるものだったかどうかである。日本企業の資料や
当時の労働者の証言は、日本企業の待遇がきわめてまともだったことを示
している。だが、不足しているのが、そうした情報の発信と周知徹底である。

長崎県端島、通称「軍艦島」をテーマに韓国が作った映画は大嘘の満載
で、日本での労働はまるで地獄だったなどという酷い情報が世界に拡散さ
れている。この種の情報戦に日本は立ち遅れている。加えて懸念されるの
は相手の弁護団である。彼らは長年日本を標的にしてきた手強い存在である。

冒頭で触れた韓国の法務法人「ヘマル」の中心人物が、張完翼(チャン・
ワンイク)弁護士だ。氏は、慰安婦問題で日韓両政府を激しく攻撃するこ
とで知られる韓国挺身隊問題対策協議会の活動に1994年から参加、2000年
には、松井やより氏やVAWW−NETジャパンなどが主催した女性国際
戦犯法廷で韓国側検事役を務めた。同法廷は日本国天皇を裁き有罪を宣告
した。こういう人々が相手だ。心して戦うことが必要だ。

『週刊ダイヤモンド』 2018年12月22日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1261