2018年12月27日

◆蕪村俳句は本当の世界を厳密に伝えるアート

シェフツォバ・ガリーナ

ウクライナ・キエフ国立建設建築大学教授

日本の俳句の世界は、松尾芭蕉の現象の夢中になり,彼だけのタレントを注目するそうです.芭蕉は勿論優れた詩人だけではなく,人生の独創的な例としてとても興味深い方です.

けれども与謝蕪村のタレントは松尾芭蕉と同じぐらいのレベルだと思います.それにもかかわらず,蕪村の人生について,知識はとても少なくて,不明な点が多いです.それは勿論直さなければならないことであり,将来の研究者のための大仕事になると思います.でもただの蕪村の人生の情報だけではなくて,彼の俳句の書方,そして文学のスタイルとしてでも,いろいろ研究しないといけないと思います.

私は外国人ですけれども,蕪村の俳句の詳しい言語の特徴を分析するのは無理だと思いますが,俳句の美しさは言語の形だけではありません.心の温かさ,意味の深さ,世界を見る特別な見方などはメインだと思います.この点は外国語に翻訳した俳句にも感じています.

この見方から芭蕉と蕪村の俳句を比べたら,明らかな違いがはっきり見えます.おうざっぱにいうと,芭蕉の俳句の書方は簡単な言葉で、深い人生の哲学を伝わることができて,蕪村の俳句の場合は,本当に生きている世界の絵が見える.同じの簡単な言葉を使いながら,世界のアイコンタクトのイメージも,音や匂いまでに読者のイマジネーションに現れる.それは蕪村の優れたアートだと思います.

言葉を変えれば,蕪村はプロの画家でしたので,俳句にでも,描きと同じに,生世界を厳密に伝わることができるではないでしょうか.


at 05:00 | Comment(0) | ガリーナ

2018年12月26日

◆マティス国防長官解任は・・・

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」

平成30年(2018年)12月25日(火曜日)
          通巻第5928号 <年末特大号>

 マティス国防長官解任は米軍の士気低下に繋がる怖れ、
 トランプ、「シリア撤退」は最初の蹉跌に直結、共和党が動揺

トランプ政権がぐらりと揺らいだ。

ウォール街株価大下落はトランプはFRB議長解任発言から始まった。
ムニューチン財務長官は銀行幹部らと会見したが、説得に失敗。マルバ
ニー首席補佐官代行の士気能力に疑問符がうたれた。

「トランプ党」に窯変していた共和党内が亀裂、反トランプ陣営がシリア
問題で結束し始める。

シリア撤退はマティス国防長官にとって寝耳に水の出来事だった。

抗議を籠めて辞任を言えば、トランプ大統領は2ヶ月前倒しで、しかも
「解任」で報復するという、なんだか大人げない。ホワイトハウス内部の
結束が乱れている現れだろう。

シリアからの米軍撤退は唐突でありすぎたため、地域の軍事バランスを崩す。

だからロシアとトルコは歓迎、クルドは「米国の裏切り」と捉えた。クル
ド梃子入れを半信半疑で応じてきたクルドの2大勢力も、内ゲバより、
ISとの戦闘が優先した時代には油田地域も抑えていた。イラクが奪回
し、クルドの収入源は立たれたが、それでも堪えてきたのは米軍の駐屯と
武器供与が継続されたからだった。

いま米軍が撤退すればクルドは危機に陥る。

民族自決が国際政治の根幹にあるとすれば、トルコ、イラク、イラン、そ
してシリアとの戦闘継続で、自治区を維持し、いずれの日かの独立を夢見
得てきたクルドにとって、この米軍撤退はまさに裏切り行為に思えるだろう。

新彊ウィグル自治区で繰り返された悲劇、チベット独立への悲願、すべて
はクルド族の独立国家への夢に繋がっていた。
 
トランプ政権前途に暗雲が立ちこめた。新聞コラムに曰く。「ペンス副大
統領よ、準備は出来ているか」。

    
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BOOKREVIEW 書評 
BOOKREVIEW〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  

 「全ての人間の生命を燃焼し尽くすために」、この対談は行われた
「いい死に方を得るためには、どのような生き方をしたらいいのか」

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執行草舟 v 横田南嶺『風の彼方へ  ――禅と武士道の生き方』
(PHP研究所)
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禅の老師・横田南嶺(臨済宗円覚寺派管長)の印象を「悲風千里より来た
る」と執行氏が譬喩する(執行氏に関しては小誌で殆どの著作を書評して
きた)。

この禅匠を相手に執行氏は「武士道の根源的精神をぶつけて」、哲学を語
り合ってみようというのが、本書の編まれた理由だった。

 「全ての人間の生命を燃焼し尽くすために話合われた」のだが、それは
「いい死に方を得るためには、どのような生き方をしたらいいのかという
ことに(対談目的は)尽きよう」と執行は言う。

 したがって冒頭から思想・哲学・芸術、そして宗教、武士道が語られ、
仏光国師、般若心経、白隠和尚、聖ペテロ、山岡鉄舟、山本玄峰、三島由
紀夫、フェノロサ、北条時宗、パール博士、特攻隊など話題は豊饒、多
彩、会話は弾むようでいて、思想の本源を語るわけだから各フレーズは長
くなる。

 近代史の解釈では、大東亜戦争、特攻隊への解釈に近代的合理主義によ
る裁断めいた記述もあるが、それぞれが独自の思想信条をもっていること
であり、また福沢諭吉への低い評価も気になる読者が多くいるかも知れない。

それよりも、評者(宮崎)としては本書を通じた次の2箇所がとくに心象
深かった。

横田「小学生のころから、死の問題を解決するのは座禅しかないと思っ
て、今日までやって来ました。でも、周りを見ると、死を考えることを隠
そうとしている。それが大変な問題だと思います」

執行 「進化論の誤用によって、無条件の長生きがすばらしい価値になっ
てしまった。しかし、とにかく生きろ生きろというのは、すべての人を不
幸に陥れる考え方だと思っています。そして死そのものを悪徳にしてし
まった」(中略)「長生きしたいと思うこと自体が不幸な人生だと気づい
ていない。たとえば、本当の愛を知れば人間はその愛の中で、いまここで
死んでも悔いはないのです」(286p−287p)

横田 「死を見るから、生が輝くという執行先生のお言葉は同感です。死
を思わないから生が輝いてこない。玄峰老師が亡くなるときのお言葉が、
『旅に出る』です。『旅に出る、着物を用意してくれ』と」

執行 「人生を一言で表す本質的な言葉だと思います。僕が知る限り、い
い人生を送った人は、みんな死が本体だと思っています。たとえば松尾芭
蕉もそうです。体当たりの野垂れ死にを覚悟して生き切りました。死ぬ前
に読んだ『旅に病んで 夢は枯野を 駆けまわる』は有名です。僕はそこ
に死への覚悟というものを感じます」(208p)
 こういう本を読むと読書の至福を感じるものでもある。


◆手強い存在と心して戦うことが必要だ

櫻井よしこ


「韓国との情報戦に立ち遅れている日本 手強い存在と心して戦うことが
必要だ」

12月4日、東京の日本外国特派員協会、通称外国人記者クラブで、「朝鮮
人戦時労働者」の裁判について、韓国側弁護団が会見した。

朝鮮人戦時労働者はこれまで「徴用工」と呼ばれてきた。しかし、戦時
中、日本に働きにきた朝鮮半島の人々の多くは民間企業の募集に応じた
人々で、必ずしも徴用された人々だけではない。安倍晋三首相も国会で述
べたように、新日鐵住金を訴え、判決が10月30日に下された裁判の原告4
人は全員、徴用工ではなかった。そのような事情から徴用工の代わりに
「朝鮮人戦時労働者」と呼ぶ。

会見した韓国人弁護士達は、韓国で新日鐵住金を訴えた裁判で原告の代理
人を務めた大弁護団の一部だ。会見に現れたのは金世恩(キム・セユ
ン)、林宰成(イム・ジェソン)両氏らである。両氏共に若く、韓国の法
務法人「ヘマル」に所属、或いは関係が近いと見られている。

彼らは会見当日、新日鐵住金本社に2度目の訪問を強行し、面会を断られ
ている。要請書を置いてきたそうだ。内容は韓国大法院(最高裁判所)の
判決に従って、朝鮮人戦時労働者に慰謝料を支払い、謝罪することが必要
で、いつ、どのような形で実施するか、12月24日午後5時までに回答せよ
というものだそうだ。

彼らは、さらなる訴訟を準備中で、新日鐵住金側が韓国側との協議に応じ
ない場合、差し押さえ手続きに入る予定だと明言した。

彼らはさらに、新日鐵住金が韓国で保有する資産、PNRという企業の株
式234万株は約110億ウォン(約11億円)に相当し、差し押さえの対象だと
語った。新日鐵住金保有の韓国における知的財産権は3000件余りで、こち
らも差し押さえの対象だという。

新日鐵住金側には一切妥協する気配はない。それで正しいのである。

韓国側の主張には、おかしな点が多い。そのひとつが朝鮮人を労働させた
のは国際労働機関(ILO)29号条約に反するという主張であるが、この
指摘は間違いだと言ってよいだろう。

29号条約は「処罰の脅威の下に強要される」労働を強制労働としており、
強制労働は時効のない犯罪である。ただ、「緊急の場合、即ち戦争、火
災、洪水、飢饉、地震……」などに対処する強制労働は例外として許容され
ている。

ILO専門委員会は朝鮮人戦時労働者問題に関して、救済策を講じよとい
う意見を日本に出してはいるが、その一方で、補償問題は日韓請求権協定
で全て解決済みだとする日本政府の主張は正しいと認めてもいる。

ILOの見解には微妙な矛盾が見てとれるが、これは近年の「個人を救済
する」思想を反映するものだ。

そこで重要になるのが、朝鮮人労働者への実際の待遇や労働条件は当時の
状況の中で受け入れられるものだったかどうかである。日本企業の資料や
当時の労働者の証言は、日本企業の待遇がきわめてまともだったことを示
している。だが、不足しているのが、そうした情報の発信と周知徹底である。

長崎県端島、通称「軍艦島」をテーマに韓国が作った映画は大嘘の満載
で、日本での労働はまるで地獄だったなどという酷い情報が世界に拡散さ
れている。この種の情報戦に日本は立ち遅れている。加えて懸念されるの
は相手の弁護団である。彼らは長年日本を標的にしてきた手強い存在である。

冒頭で触れた韓国の法務法人「ヘマル」の中心人物が、張完翼(チャン・
ワンイク)弁護士だ。氏は、慰安婦問題で日韓両政府を激しく攻撃するこ
とで知られる韓国挺身隊問題対策協議会の活動に1994年から参加、2000年
には、松井やより氏やVAWW−NETジャパンなどが主催した女性国際
戦犯法廷で韓国側検事役を務めた。同法廷は日本国天皇を裁き有罪を宣告
した。こういう人々が相手だ。心して戦うことが必要だ。

『週刊ダイヤモンド』 2018年12月22日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1261

◆「離婚理由」ランキング 法律コラム

川原 俊明(弁護士)

あるサイトにて、離婚理由ランキングというものが発表されていました。

1位 性格の不一致

2位 不倫

3位 DV(暴力)

4位 精神的暴力・モラハラ

5位 子供への愛情が感じられない


いかがでしょうか。

実務上の立場から申しますと、離婚事件として当事務所にご依頼いただく際、この5つのどれかに該当することがほとんどだな、という印象があります。

特に、上位2つが8割を超えているのではないでしょうか。あとは、性格の不一致から生じる暴力や、不倫を前提としたモラハラ、子への愛情不足など、上位ランクは、すべて派生的に発生することが多いでしょう。

よく様々なサイトで、
「不倫なら慰謝料◎●円!」などとうたい文句がありますが、例えば先ほどの例である、不倫→モラハラなどであれば、追加的に慰謝料請求を行うことが可能な場合も多々あります。

言いたいことは一つです。これらの判断は弁護士だから可能なのです。

ご自身で判断され、行動することよりも、確実な法的知識を有する弁護士に事件解決を依頼し、適切な手続きで相手方との交渉を行うことが、一番の近道であると断言することができます。

また、電話で無料相談をご希望される方がいらっしゃいますが、実際に顔を合わせ、事情をご説明いただかなければ交渉の必要性をはじめ、その判断自体もできかねます。
(一般論はあくまでも一般論に過ぎません。あなたに該当するかどうかは不明です。)

そのためにも、電話口だけでなく、ご足労はおかけしますが、面談という方式にこだわり、
依頼者様一人一人に適したアドバイスをしていきたいと考えております。

離婚をはじめとする、男女問題のトラブルには絶対の自信を持って事件解決に望んでいます。

2018年12月25日

◆米議会、こんどは「チベット旅行法」

宮崎 正弘


平成30年(2018年)12月22日(土曜日)弐 通巻第5927号 

 米議会、こんどは「チベット旅行法」を可決
  チベット入境が許可されない限り、中国のチベット官憲も米入国を認めず

正式には「チベット相互入国法」。ちなみに、英語名は「THE 
RECIPROCAL ACCESS to Tibet Act 
2018」

すでに米上下議会を通過していたが、2018年12月20日、トランプ大統領が
署名したので、チベット旅行法は正式に成立した。

成立までの背景は直接的にはチベット系アメリカ人団体、インドにあるダ
ライラマ政府などが働きかけてきたもので、中国のロビィ工作が激しかっ
た時代には議員らの理解は稀薄だった。

下院ではジム・マクガバンン議員が中心となって超党派の議会工作が続け
られてきた。

要するにアメリカ人外交官、公務員、ジャーナリストらがチベットへの旅
行を許可されず、また一般のアメリカ人観光客も団体ヴィザで、制限され
た行動予定、ホテルの限定など厳しい条件が付いた(日本もまったく同じ
で、嘗て読売の浜本特派員がチベット取材に行ったが入国を拒否された。
筆者は成都から団体ツアーに紛れ込んでラサへ行ったことがあるが。。)

またチベット系アメリカ人の里帰りも認められず、家族と長きにわたって
連絡の取れない人々が世界に散らばっている。もちろん、日本にも相当数
のチベット人が暮らしているが、本国との連絡が十分にとれていない。

外交では「双務主義」が原則である以上、アメリカ人外交官、公務員、
ジャーナリストの入境を拒否した中国官憲ならびにその責任者は米国への
入国を認めるべきではないとする法律は超党派の支持を得るようになり、
公聴会が何回も開催されてきた。

大統領署名後は国務省が議会への報告義務を負う。
     
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 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1831回】          
――「只敗殘と、荒涼と、そして寂寞との空氣に満たされて居る」――諸橋(4)
諸橋徹次『遊支雜筆』(目?書店 昭和13年)

         △

何から何までが両極端、ということは中庸がない。中庸のなさは色彩にも。

「支那の色彩は多く濃厚であります」。それというのも「半年經つても曇
ることのない大空や、幾日汽車に乘つても山を見ない平原」など、極めて
「單調な支那の風土」であるゆえに、やはり「極めて鮮かな色彩が一つの
變化を添へて、言うに曰はれぬ愉快さを感ずる」ことになる。とにもかく
にも「現今の支那の人は賞罰に就ても情感に就ても」、「其の強い刺激を
受けもし與へもして、茲に自分の滿足を求めて居ります」。

かくして「善事に對して強烈な刺激を與へる支那の人は、惡事に對しては
更に強烈な刺激を課さずには居りません」。

小説の類にしても、「優雅とか細緻とかいふ情操を養ふものが存外少く
て、露骨な肉欲的なものが多いように思はれます」。なかには「日本に於
ては當然發賣禁止くらゐはあるだらうと思はれるものもあります」。

総じて言えることは、「強度の刺激を要するといふことは、其の反面に各
部の神經が或程度まで鈍つて居るといふことを立證するものではあります
まいか」。どうやら凡てのことに「強度の刺激の存する半面には、確かに
又破れたる國の俤を認むることが出來ると思ふのであります」。

諸橋は孟子や朱子の言葉を引用しながら目先の利益、つまり「小惠になつ
く」ことの愚かさを説いた後、「私の觀察するところ」に基づくならば、
「今の支那の人は可なり小惠によつて働いて居つて、大切な大局大利はみ
すみす之を逸しているのではないか」と考えた。

たとえば第1次世界大戦前、ドイツは優秀な人材に「本國政府から或は本
國の商店から、多大の俸給を給與」したうえで、彼らを「無給同樣、薄給
の姿で支那商店の雇員」に送り込む。「支那の商店では大喜び」。なんせ
安い給料でドイツの優秀な人材が雇えるわけだから。そこで我先に雇い入
れ、枢要な仕事を任す。すると「獅子身中の虫はドンドン支那商業の急處
を捕まへて、之を獨逸に通告する」。後の結果は、推して知るべし。

なんとまあドイツ人は頭がイイというのか。それともセコイというのか。
この点が「一衣帯水」「同文同種」「子々孫々までに友好」など愚にもつ
かないオ題目に幻惑されたままの日本人とは違う。徹底して富を引っ剥が
すという精神が今にも通じているならば、メルケル政権の一貫する親中姿
勢にはウラがありそうだ。騙された風を装って騙せ、である。

ともかくも目先の利益に「目を眩まされて國力と國權とを奪はるゝとした
ならば、茲にもまた彼國の悲むべき破國の俤が浮んで居るのではあります
まいか」。

日本にいては「支那にはなかなか國家思想並に自尊心が漲つていると
思」っていたが、現地で「旅行を續けて色々の見聞をしていく中に」、
「寧ろ反對の現象、即ち支那の人は自らを屈し平氣でゐる國民であるとい
ふことが多分に頭に殘」るようになった。やはり「一事が萬事、支那の自
國に對する自尊心の乏しい事」は明白だ。

かくて「その自尊心の缺乏を透して見らるる破國の俤は、遂に蔽ふことが
出來ないのであります」。

「国が破れかかつて居るとせば、其の下に生存する國民は先づ何等かの工
夫をして自己の安全を求めなければなりません」。自衛とは積極的なもの
であり、ウソは消極的な自己防衛の方法だ。北京の国立中学校を参観した
際に先生が答えるには、教育上で最も難しいのが「生徒の?言を直すこ
と」「全校生徒の五分の一は?を言ふ」とのことだったという。ならば残
りの5分の4はウソを言わないのか。かりに「五分の一」という割合を現
在の14億余の人口に当てはめると2億8千万人・・・日本に人口の2倍
強!やはり驚異的だ。

     

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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIE 
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退廃的厭世的なニヒリズムとは全く異なる積極的ポジティブ・ニヒリズム
 ニーチェの言いたいこと、<知の巨人たち>の思想が理解できる素晴ら
しい著書

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宮崎正弘『青空の下で読むニーチェ』(勉誠出版)
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                        (評 奥山篤信)

宮崎正弘氏を存じ上げてもう20年経つだろうか?

当時僕はまだサラリーマン卒業したばかりで、勉強不足で政治や思想や宗
教など幼児期だった。そんな中で宮崎氏のメルマガはかぶりつくように読
んだものだ。

宮崎氏の勉強会にも足を運んだ。あの亡き鉄人と言える片岡鉄也と話がで
きたのも勉強会だった。もちろん憂国忌も欠かさずに参加していた(ここ
10年はサボっているが)

宮崎氏はいわゆる大学の先生方やゴリゴリの保守論壇とは基本的に異なる
のは、まず人生を冒険的にそして知識欲を持って実体験していることだ。

大学などの専門家など、まさに専門馬鹿で頭の柔軟性や世俗とは何かに対
して頭が回らないいわば人間的に何の魅力もない人物がほとんどだ。

そうかと言って経営者出身の論壇は、知識が浅い人が多く、保守としても
単なる<戦後の堕落はマッカーサーの日本弱体化施政が悪かった>の一点
張りのバカの一つ覚えが常だ。もちろん一部に僕が尊敬しているお亡くな
りになった方、現在もご健在の経営者卒の先輩たちの議論には素晴らしい
現実性があることも事実だ。

そんな意味で宮崎氏は普通の世俗の俗っぽい話でも、人間の欲望について
の議論でも何にでも軽蔑の眼は全くなく楽しく話せる<器の広さ>という
よりも<俗っぽさに積極的に人間の本質を見る鋭さと人情>があるので、
僕だけでなく、これだけ人気があるのも当然だろう。

しかもゴリゴリ保守と異なり、冷静で公平な立場の違う者の考え方も評価
して受け入れる(寛容性)が日本の保守論壇にありがちな共通の<スロー
ガン性>が一切ない。つまり保守と言っても、その<スローガン性>たる
や左翼の教条主義と変わらない、すなわち頭の硬さのみで柔軟性一切ない
のだ。

さらに宮崎氏の的確な鋭い視線それは現場主義というか現地へのルポル
タージュと取材力に裏つけられた稀有のジャーナリストだ。同氏のシナの
20年前からの予言は全て当たっているがそればかりでなく世界の情勢を判
断する能力の凄さは比類がない。

それで本論に入るがこの著は今までにない宮崎氏の半生の総括として読め
る面白さで一気に読んだ。何よりも日本人のニーチェを単なるニヒリズム
というスローガンで誤解している風潮に対してきめ細かくしかも世界の日
本の論壇の解釈も引用しながら見事な筋道を立てての議論が納得できるのだ。

ちなみに内容は下記の通り:

プロローグ 「ニヒリズム」を「虚無主義」と翻訳したのは誤まりだ
第一章 人生に戦闘的に取り組むことがニーチェ主義だ
第二章 ニーチェ思想の体系
第三章 三島由紀夫とニーチェ
第四章 ニーチェと西部邁
第五章 武士道こそニヒリズムの極致だ
第六章 磊落さ、楽天主義
エピローグ 人間は誰でも死ぬのである

 いわゆるニヒリズムを体系的に体系的に分類しているのが面白い。まさ
に退廃的厭世的なニヒリズムとは全く異なる積極的ポジティブニヒリズム
こそニーチェの言わんとするところだと言うことだ。三島由紀夫然り、西
部邁然り、ヘミングウエイ然りだ。
 宮崎氏のキリスト教理解も神学部のご経験もなくここまで本質を突いて
語っている。悪い意味でのニヒリズムとはまさにあなた方キリスト教こそ
が世界史上最悪のニヒリズムというのは僕の神学体験からの結論だが、ま
さに宮崎氏の考え方も<キリスト教そのものがニヒリズム>とニーチェを
引用しつつもご自身もその考えだと推測した。キリスト教のようなまさに
<人間の原罪>を常に信者に枷として負わせ、常に僕に言わすれば、人間
らしいあまりに人間的な原罪(必ずしも犯罪ではないものにまで)まで罪
悪感を持たせ教会の軛に?ぎ止める、いわば卑劣な手法が2000年の支配者
の道具たるキリスト教会の手口であると言っても言い過ぎではない。

まさにキリスト教こそが、あのギリシャ・ローマの偉大な人間の積極的な
生き様を謳歌したのに比べ、マゾヒズム的思考の暗い暗い生き方(実際自
分の背中を釘付の鞭で叩き鮮血をみてイエスに倣う狂信的教徒、あるいは
砂漠で孤独に自分を痛めつける砂漠でのイエスに倣う修道僧など)信じが
たいが、これもキリスト教の奴隷発祥の宗教である所以だと僕は考える。
ニーチェは世に言う誤解のニヒリズムとは程遠い実際は積極的な前向きな
人間の生き様を謳歌しているのだ。キリスト教こそ世の中真っ暗となるよ
うな人間の健康なる欲望を罪として否定し、神に望みを託して<神に立ち
返る>ことを押し付ける極めて<暗い>、青空とは程遠い人生を強制する
カルトだと言うことだ。
 とにかく僕が色々講釈しても二重になるので三島由紀夫への造詣の深い
宮崎氏の展開は、最も愛する三島ファンである僕の目から鱗であった。

 最後にこの本を何回も読み返せばまさにニーチェの言いたいことが理解
できるし、三島由紀夫や世界の<知の巨人たち>の思想が理解できる素晴
らしい著書だ。
僕は60歳半ばでの神学部大学院時代に生まれて初めて哲学史など、東京
大学哲学の先生方の著書を教科書として学んだが、この大学教授どもの教
科書がいかに傲慢で理解に苦しむ解説か、こんな連中がヘーゲルやカント
やサルトルを語ってもちんぷんかんぷんになるだけであり、一方まさに西
欧哲学そして仏教神道を宮崎氏が噛み砕いてここに読みやすい形で解説し
ている。
日本の学生諸君よ! ニーチェ研究のみならず哲学を学ぶものはこの本を
読めば理解ができるほど、<頭の良い人物は複雑で難しいことを、わかり
やすく明瞭に書ける能力のある人>と言える稀有の宮崎氏の筆致を見るこ
とができる。

◆動乱の2018年

Andy Chang


2018年は動乱・騒乱の年だった。今年の主なニュースを表題だけで示
すと、トランプ、サヨク、政党闘争、米中対決、衆愚デモである。世
界各地で起きたサヨク騒乱のキーワードは、差別、セクハラ、リベラ
ルメディアである。今年の騒乱・動乱は再来年の選挙まで続くかもし
れない。或いはサヨクの騒乱がやがて国民の反省と反動を促すかもし
れない。

●世界中がトランプに振り回された

今年は世界中がトランプに振り回された。連日のように反トランプの
ニュースが世界を揺るがした。これはトランプが民主党の「闇の帝国
(Deep State)」に振り回されたとも言える。アメリカの主要都市の新
聞テレビはすべて反トランプで、国民の大半は理性的な判断がなく、
メディアの報道を信じるので女性、若者は反トランプである。

発言はすべて歪曲して報道されるからトランプ大統領はツイッターし
か正しい意見を表明する方法がない。それがまたメディアの反感を買
って更に歪曲され批判される。

トランプは性格が悪く挑戦的なのですぐに反感をそそる。しかしトラ
ンプの主張を冷静に判断すれば正しいことが多い。国境に塀を作る、
WTO脱退、北朝鮮交渉、米中対決などはアメリカにとって良い事であ
り、歴代大統領がやりたくても出来なかったことを決断し、推進した
に過ぎない。要するにトランプはこれまでの大統領より決断力と行動
力があると言うことだ。これまでなかなか出来なかったことをやった
功績は認めるべきである。

●リベラル野党と衆愚の反乱

民主党、闇の帝国はトランプ降ろしのためロシア癒着をでっち上げて
マラー特別検察官を任命したが、2千万ドルを浪費し1年半も続けて
調査しても癒着の証拠が挙がらない。だが民主党がトランプの政策に
反対するため正しい政策も妨害されてなかなか実行できない。

国境を守るために50億ドルで塀を作る予算が「民主党の理由なき反
抗」に遭って通らないのでトランプは対抗策で上院の国家予算にサイ
ンを拒絶すると脅かして国政が停頓している。

サヨクは理性的判断力がなく社会道徳の欠如した愚民に歓迎される。
自由の質が低下して個人の勝手な自由が社会に蔓延り、社会に共通す
る自由と融和を尊重しない。サヨクの煽動で各地でデモが乱発しアメ
リカ各地の騒乱の元となっている。

民衆は社会の道徳観念と理性的判断がなく、サヨクに煽動されてデモを乱
発する。民衆は政府に頼りながら野党に唆されやすい。フェイクニュース
の煽動に踊らされる衆愚が増えれば選挙で与党が負ける結果を招く。

野党は与党に反対なら正しい政策でも反対する。アメリカは国境に塀
を作り違法入国を阻止することができない。日本では憲法改正を提出
することも出来ない。台湾では国民党の違法所得資産を裁く司法正義
さえ通らない。

●米国と中国の対決が世界反中聯盟に発展

トランプの最大の功績は米中対決を決断し推進したことである。中国
はWTOに加盟して数万兆ドルの暴利を貪ったがルールを守らず勝手な
主張を通してきた。諸国は中国の横暴に対して姑息な対応しかできず、
姑息がならず者の横暴を容認し、ならず者国家に迎合して共に暴利を
貪る企業が増えた。しかも中国はハッキングで諸国の国家機密や企業
の機密を盗んで今ではアメリカに比較できる軍事大国となった。

中国は約束を破ることや勝手な主張で南シナ海の埋め立て、尖閣諸島
や台湾併呑を主張しても諸国は阻止できなかった。やがて中国が一帯
一路を発表して近隣諸国の買収と侵略を始め、ようやく諸国が覇権国
家中国に危機感を覚えるようになった。

オバマは無能で8年も横暴な中国の覇権拡張に対抗できず、トランプ
が大統領に就任してから初めて中国を世界平和の敵と看做して対決の
姿勢を明瞭にした。ファーウエィの孟晩舟逮捕は対決の始まりである。
トランプの対中対決はすぐに各国の共感を得て欧州、日本でもファー
ウエィやZTEをボイコットすると発表したので、まるで反中聯盟
(Global Anti-China Union)が成立したようである。

●将来の展望

中間選挙の結果でねじれ国会となったのでトランプと闇の帝国の戦い
は今後も熾烈を極め、再来年の大統領選挙まで続くと思われる。アメ
リカの騒乱はトランプのロシア癒着が無実と判明し、ヒラリーの巨悪
が糾弾されて闇の帝国の敗北が決まるまで続くだろう。

米中対決ではアメリカが勝てるかと疑問視する声もあったが、ファー
ウエィ事件と諸国の同調で中国が勝つ見込みは無くなった。但しこれ
が将来どのような結果を生むかは未定である。中国が態度を改めれば
ナイーヴな諸国は簡単に中国を容赦するかもしれない。これではダメ
だ。世界諸国は中国人の本性を認識すべきだ。中国人は4千年来「シ
ナ人根性」を改めていない。

中国が悪いのではなく共産主義が悪い、つまり中国共産主義国家が悪
いのだと言う人もいる。
?中国が共産国家でなくなったら覇権拡張をやめるか?
?諸国は安心して中国と対等な政治経済交流が出来るか?
?チベット、東トルキスタン(新疆)と台湾の独立を認めるか?
?南シナ海から撤退して航海の自由が再開できるか?
?一帯一路の近隣侵略を破棄するか?
結論は明らかにノーである。

共産主義が悪いことはソビエト連邦の崩壊で証明された。中国人と共
産主義の結合、「兇惨シナ」はソビエト連邦より数倍も邪悪だ。シナ人
は共産主義の本質より悪い。世界諸国は絶対にシナ人の本性を見誤っ
てはならない。


at 09:00 | Comment(0) | Andy Chang

◆韓国との情報戦に立ち遅れている日本

櫻井よしこ


「韓国との情報戦に立ち遅れている日本 手強い存在と心して戦うことが
必要だ」

12月4日、東京の日本外国特派員協会、通称外国人記者クラブで、「朝鮮
人戦時労働者」の裁判について、韓国側弁護団が会見した。

朝鮮人戦時労働者はこれまで「徴用工」と呼ばれてきた。しかし、戦時
中、日本に働きにきた朝鮮半島の人々の多くは民間企業の募集に応じた
人々で、必ずしも徴用された人々だけではない。安倍晋三首相も国会で述
べたように、新日鐵住金を訴え、判決が10月30日に下された裁判の原告4
人は全員、徴用工ではなかった。そのような事情から徴用工の代わりに
「朝鮮人戦時労働者」と呼ぶ。

会見した韓国人弁護士達は、韓国で新日鐵住金を訴えた裁判で原告の代理
人を務めた大弁護団の一部だ。会見に現れたのは金世恩(キム・セユ
ン)、林宰成(イム・ジェソン)両氏らである。両氏共に若く、韓国の法
務法人「ヘマル」に所属、或いは関係が近いと見られている。

彼らは会見当日、新日鐵住金本社に2度目の訪問を強行し、面会を断られ
ている。要請書を置いてきたそうだ。内容は韓国大法院(最高裁判所)の
判決に従って、朝鮮人戦時労働者に慰謝料を支払い、謝罪することが必要
で、いつ、どのような形で実施するか、12月24日午後5時までに回答せよ
というものだそうだ。

彼らは、さらなる訴訟を準備中で、新日鐵住金側が韓国側との協議に応じ
ない場合、差し押さえ手続きに入る予定だと明言した。

彼らはさらに、新日鐵住金が韓国で保有する資産、PNRという企業の株
式234万株は約110億ウォン(約11億円)に相当し、差し押さえの対象だと
語った。新日鐵住金保有の韓国における知的財産権は3000件余りで、こち
らも差し押さえの対象だという。

新日鐵住金側には一切妥協する気配はない。それで正しいのである。

韓国側の主張には、おかしな点が多い。そのひとつが朝鮮人を労働させた
のは国際労働機関(ILO)29号条約に反するという主張であるが、この
指摘は間違いだと言ってよいだろう。

29号条約は「処罰の脅威の下に強要される」労働を強制労働としており、
強制労働は時効のない犯罪である。ただ、「緊急の場合、即ち戦争、火
災、洪水、飢饉、地震……」などに対処する強制労働は例外として許容され
ている。

ILO専門委員会は朝鮮人戦時労働者問題に関して、救済策を講じよとい
う意見を日本に出してはいるが、その一方で、補償問題は日韓請求権協定
で全て解決済みだとする日本政府の主張は正しいと認めてもいる。

ILOの見解には微妙な矛盾が見てとれるが、これは近年の「個人を救済
する」思想を反映するものだ。

そこで重要になるのが、朝鮮人労働者への実際の待遇や労働条件は当時の
状況の中で受け入れられるものだったかどうかである。日本企業の資料や
当時の労働者の証言は、日本企業の待遇がきわめてまともだったことを示
している。だが、不足しているのが、そうした情報の発信と周知徹底である。

長崎県端島、通称「軍艦島」をテーマに韓国が作った映画は大嘘の満載
で、日本での労働はまるで地獄だったなどという酷い情報が世界に拡散さ
れている。この種の情報戦に日本は立ち遅れている。加えて懸念されるの
は相手の弁護団である。彼らは長年日本を標的にしてきた手強い存在である。

冒頭で触れた韓国の法務法人「ヘマル」の中心人物が、張完翼(チャン・
ワンイク)弁護士だ。氏は、慰安婦問題で日韓両政府を激しく攻撃するこ
とで知られる韓国挺身隊問題対策協議会の活動に1994年から参加、2000年
には、松井やより氏やVAWW−NETジャパンなどが主催した女性国際
戦犯法廷で韓国側検事役を務めた。同法廷は日本国天皇を裁き有罪を宣告
した。こういう人々が相手だ。心して戦うことが必要だ。

『週刊ダイヤモンド』 2018年12月22日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1261

◆ 恐怖の男 (ボブ・ウッドワード著)は、

守銭奴か、それとも勇者か?
                              安保政策研究会理事長  浅野勝人



待望の「 FEAR  TRUMP IN THE WHITE HOUSE 」の
翻訳本が出版されました。タイトルは「恐怖の男」。単行本532頁。
著者のボブ・ウッドワードは、「ウォーターゲイト事件」の調査報道でニクソン大統領を辞任に追いやった伝説の記者。現在ワシントン・ポスト副編集長です。

近頃、読書量(読書能力?)が落ちて、1冊読むのに従来の2倍時間がかかります。それでも、この著書に限って、わかりづらい箇所は遡(さかのぼ)って読み返しながら一気に読了しました。

事前に報道されたトランプ大統領の暴言と無知蒙昧ぶりを語る側近
の言動から暴露本と思い込んでいました。確かに大統領をめぐる赤裸々なやり取りは数え切れなくありますが、トランプ政治を事実に基づいて正確に評価しようとする“むき出しの”外交青書、防衛白書。経済・財政・通商白書を思わせる生々しいレポートと私は思いました。
著述は政策全般に及んでいますが、的を安保政策に限って目を通してみます。


「撤退する方法を考えなければならない。腐り果てている。アフガニスタンのやつらのために戦う甲斐はない」トランプ大統領のことばにマティス国防長官(人望厚い元海兵隊大将)はあきれて目を剥いた。
マクマスター安保担当大統領補佐官(陸軍中将)は、トランプ大統領に米軍のアフガン駐留の必要性を理解させるための会議を招集して、(2017/7月19日)目標を明らかにし、論点の大枠を説明した。トランプは退屈そうで、ろくに聞いていなかった。5分ほどたってから、急に口を挟んだ。
「アフガニスタンについてこうゆう馬鹿馬鹿しいことを17年聞かされてきたが、なんの実りもないじゃないか。同盟国は役に立たない。給料をもらうだけで戦わない幽霊兵士に金をむしり取られている。アメリカは年間13億ドルも出しているのに最悪だ。彼らはアメリカの金を使って遊んでいる。今後いっさい金は出さない」

軍最高幹部の将軍と上級顧問たちは25分間にわたって叱責された。
「アフガニスタンが闇の世界に戻り、第2の9 ・11事件が最初と同じ根幹から発生したと指摘されるような事態を招くことは放置できません」
マティスの説得に「われわれの本土や安全保障を護るために、あれをしろ、これをしろと金のかかる話を聞くのはうんざりした。あそこはめちゃくちゃだ。ぜんぶ嘘っぱちだ。機能する民主主義にはならない。完全に引き揚げた方がいい」とトランプが言った。
会議の後、「あの男はすごく知能が低い」ディラーソン(国務長官<日本の外務大臣> 2018/3月13日、解任)は、一同に聞こえるようにいった。大統領補佐官は、トランプと全面対決するしかないと悟った。(マクマスター、2018/3月22日 解任)

ジョン・ダウト大統領顧問弁護士は妻のキャロルに、「辞める」といった。トランプに電話して、辞めると告げた。(日頃、トランプが言っていることを言い返したかったが)それを面と向かっていうことはできなかった。“ あんたはクソったれの嘘つきだ ”(499頁)


2018/1月19日、マクマスターが、シチュエーション・ルームで国家安全保障会議を開いた。大統領と上層部 ― ディラーソン、マティス、ケリー(大統領首席補佐官)、ダンフォード大将(統合参謀本部議長)、ゲーリー・コーン国家経済会議委員長(2018/3月8日、辞任)― が韓国に関連する問題を話し合った。

トランプはすぐに要点を衝(つ)いた。「朝鮮半島に大軍を駐留させることで、われわれは何を得ているのか? 台湾を護ることでなにを得ているのか?」駐留費用と米軍部隊についての執念をまた持ち出した。
「アメリカは、アジア、中東、NATOで他国の防衛に金を注ぎ込んでいる。韓国がどうして友好国だといえるのか?」
マティスとダンフォードは、安定した民主主義を必要とする地域で、それが得られている。韓国は最強の防御拠点であり、利益はきわめて大きいと説明した。

特別アクセス・プログラム(SAP)の情報活動によって、アメリカは北朝鮮のミサイルの発射を7秒で探知できる。それが韓国にないと、アラスカの施設で探知できるのは発射から15分後になると改めて説いた。
マティスは、軍とインテリジェンスの能力を軽視されるのにうんざりして、「私たちは第3次世界大戦を防ぐために、こういったことをやっています」
落ち着いた声だったが、にべもない言い方だった。そこにいた何人もが、時間が止まったような心地を味わった。
トランプは、貿易赤字180億ドルと在韓米軍2万8,500人の駐留経費35億ドルの問題をけっして取り下げようとはしなかった。
「こんなバカげたことをしていなかったら、アメリカはもっと金持ちになれたはずだ。アメリカはいいカモになっている。集団防衛は、カモのいい例だ」
「国内インフラ向けに1兆ドル捻出することもできないのに、中東では、支出が7兆ドルにおよんでいる。だれかを護ることばかりに、私たちは金を払っている。ビジネスのことがまったくわかっていない。クソったれ揃いだ」
マティスには、NATOや中東の友好国や日本 ―ことに韓国― に、アメリカが喧嘩を仕掛ける理由が理解できなかった。
マティスは親しい補佐官に「大統領はまるで“小学校5、6年生のように振舞い、理解力もその程度しかない」と言った。


この時から11か月後、マティス国務長官は、今月20日(2018/12月)トランプ大統領に辞表を提出し、来年2月に退任することが決まりました。
辞任のきっかけは、トランプ大統領が、19日、シリアで過激派組織「イスラム国」と戦っている米軍2,000人の完全撤収を発表したことによります。同時にトランプ大統領は、アフガニスタン駐留米軍の半数にあたる7,000人を撤収するよう軍に指示したという報道もあって、ホワイトハウスと軍との方針が混迷しています。このためマティス長官は、同盟国の防衛や国際秩序を維持するアメリカの責任を強調して、最後の説得を試みましたが、入れられず、「抗議の辞任」をしました。12月は、ジョン・ケリー大統領首席補佐官(元海兵隊大将)の辞任に次いで2人目です。これで、マクマスター、ケリー、マティスと同盟重視・国際協調派の軍首脳はトランプ政権から姿を消しました。

「恐怖の男」を読み終えて、これではドナルド・ジョン・トランプを支持する人は一人もいなくなってしまうのではないかと思いました。
ところが、ベストセラーになった後のアメリカ、多くの人が「FEAR」を読んだ後のアメリカで、40%の人がトランプを支持しています。日本における安倍晋三と同じレベルの支持率です。

アメリカの人々は、歯に衣を着せない露骨な表現で、安保政策の転換をもとめ、移民の受け入れを拒否し、中国による知的財産の盗用をののしる大統領の政治姿勢に共感している人が少なくないからです。とりわけ、自由社会の平和と繁栄のために、自らの犠牲を顧みず、同盟国との友好関係を重視する国際協調を優先してきた歴代の大統領の政治にNOを突き付けるトランプの孤立主義、アメリカ第1主義に納得する人が少なくないからです。これまでの大統領は、エスブリシュメントに寄り添って内外の政策を決定、運営してきたと思い込んで反発し、庶民の味方と映るトランプに期待する人々。アメリカの人々は国際協調主義と孤立主義の狭間の中でどこへ向かう選択をするのでしょうか。
いったい、トランプは不動産王の守銭奴か、それともタブーに挑戦する勇者なのか。見極めに苦しむ私にあなたの存念を聞かせて下さい。(2018/12月23日、元内閣官房副長官)
at 07:48 | Comment(0) | 浅野勝人

◆三叉神経痛に有効な治療法!

〜ガンマナイフか?手術か?〜

中村 一仁  (脳神経外科医師)



「三叉神経痛」に対する治療方法は、内服、神経ブロック、ガンマナイフ、MVD(microvascular decompression: 微小血管減圧術)と、多岐にわたる。
 
患者は痛い治療は好まないので、近年の治療手段としては低侵襲性と有効性からガンマナイフ治療を選択することも多くなってきた。

本論のガンマナイフ治療とは、コバルト線を用いた放射線治療で非常に高い精度で目的とする病変に照射することが可能な装置である。

さて本題。「三叉神経痛」というと聞きなれないかも知れないが、簡単に言うと、顔面が痛くなる病気である。一般には「顔面神経痛」という単語が誤用されていることがある。顔が痛くなるので「顔面神経痛」という表現はわかりやすい。

ところが、顔面の感覚は三叉神経と呼ばれる第5脳神経に支配されていることもあり、正しくは「三叉神経痛」というわけである。因みに顔面神経は、第7脳神経で顔面の筋肉を動かす運動神経の働きを担っている。

三叉神経痛の原因の多くは、頭蓋骨の中の三叉神経に脳血管が接触・圧迫し刺激となることで痛みが発生するとされている。
 
<対象・方法>
さて、1999年11月から2003年10月の4年間に、当大阪市医療センターで治療を行った三叉神経痛31例のうち、経過を追跡した29例についての検討を行った。ガンマナイフ施行1年後の有効率は69%(20/29例)であり、31%(9/29例)が無効であった。

そこで、このガンマナイフ治療により、治癒しなかった「三叉神経痛9例」の特徴について検討した。

<結果>
ガンマナイフ治療が無効であった「三叉神経痛9例」のうち4例で、MVD(微小血管減圧術)による手術治療が施行された。4例全例で三叉神経痛は消失軽快した。

ガンマナイフ治療無効例の術中所見は、クモ膜の肥厚や周囲組織の癒着などは認めず、通常通りMVDが施行可能であった。

ガンマナイフ治療が無効であった9例について、平均年齢65.7歳(46-79歳)、男性5例、女性4例。平均罹病期間8.7年(1.5-20年)、患側は右側5例、左側4例だった。

全例MRI画像にて圧迫血管を確認した。上小脳動脈(superior cerebellar artery:SCA)による圧迫病変は通常の割合より少なく、静脈や椎骨動脈による圧迫が4例と多かった。

ガンマナイフ治療が有効であった症例との比較では性別、年齢、罹病期間、病変の左右、圧迫部位に統計学的な有意差は認めなかったが、圧迫血管についてはガンマナイフ治療無効例で有意に上小脳動脈によるものが少なかった(χ2検定,P<0.05)。

<考察>
一般に三叉神経痛は脳血管が三叉神経に接触・圧迫することで生じるとされている。その圧迫血管として最も頻度が高いとされているのであるが、今回の検討ではSCAによる圧迫が少なく、ガンマナイフ治療無効例に特徴的な所見であると考えられた。

わが国で三叉神経痛に対する治療としては、抗てんかん薬であるカルバマゼピンの内服、ガンマナイフ、MVDといった選択枝を選ぶことが多い。MVDによる三叉神経痛治療は脳神経外科医Janettaの手術手技の確立により、安全に行なわれるようになった。

しかし、高齢化および低侵襲手術への期待から、近年ではガンマナイフ治療の有効性が多く報告されるようになってきている。

当センターでの経験では、三叉神経痛に対するガンマナイフ治療の1年後の有効率は69%であり、過去の報告と大差はなかった。ガンマナイフ治療後の再発例に対して検討した報告は散見されるものの、その再発・無効の機序は明らかではなく、ガンマナイフ治療後の再発例についての検討が必要である。

三叉神経痛の発症機序は、血管による圧迫と三叉神経根の部分的な脱髄により起こると考えられており、MVDにて減圧することでその症状は軽快する。

一方、ガンマナイフによる治療では、放射線照射に伴い三叉神経全体の機能低下が起こり疼痛制御されると推察されている。

このようにMVDとガンマナイフではその治療機序が異なるため、それぞれの利点を生かすべく、再発・無効例の検討を行い、治療適応を確立していく必要がある。

過去の報告ではガンマナイフ治療後の三叉神経痛に対してMVDを施行した6症例についてクモ膜肥厚や明らかな三叉神経の変化を認めず、ガンマナイフ治療後のMVDは安全に問題なく施行できるとしており、当センターでMVDを施行した2症例も同様の所見であった。

一方で、ガンマナイフ治療施行による血管傷害の例も報告されているが、再発との関連はないように思われる。

ガンマナイフ治療施行後の再発についての検討では、年齢、性別、罹病期間、以前の治療、三叉神経感覚障害の有無、照射線量、照射部位は再発と相関しなかったとの報告がある。

今回の検討では再発に関与する因子として、解剖学的な特徴に着目した。ガンマナイフ治療無効例では上小脳動脈による圧迫病変は通常の分布より有意に少なく、一般に頻度が低いとされている椎骨動脈やMVD後に再発し易いとされる静脈による圧迫が多かった。

このことはガンマナイフ治療無効例における何らかの解剖学的な特徴を示唆する。ガンマナイフ治療では画像上、三叉神経の同定の困難な症例や神経軸の歪みの大きい症例において正確にターゲットに照射することが困難な場合もあり、より広範囲に放射線照射を行うことも考慮されている。

前述の条件が揃うものにガンマナイフ治療の無効例は多いのかもしれないが、推論の域を出ない.この仮説が成り立つならば、MVDは直接的に血管を神経より減圧し、周囲のクモ膜を切開することで神経軸の歪みを修正することができるため、このような症例に対して有効な治療であるといえよう。

しかし、圧迫部位と再発に関連性なしとする報告や、MVD後再発再手術例の約50%で責任血管などの所見なしという報告、MVD無効後のガンマナイフ治療有効例が存在することも事実であり、解剖学的因子のみが治療方法の優劣を決定する要素とはならないのかもしれない。

また、初回のガンマナイフ治療で治癒しなかった三叉神経痛に対して、再度ガンマナイフによる治療を行なうことで症状が改善するとの報告もあるが、長期的な結果はなく、今後の検討課題のひとつである。

今回の研究ではガンマナイフ治療無効例にSCA(上小脳動脈)による圧迫が少なかったという解剖学的な点に着目したが、現時点では臨床的に三叉神経痛に対する治療としてのガンマナイフ治療とMVDは相補的な関係であるべきであり、今後さらに有効例、無効例を詳細に検討することで、各治療の術前評価においてその有効性が証明されることを期待したい。

<まとめ>
ガンマナイフ治療無効例に対して施行したMVDにて、4例中4例で三叉神経痛は消失軽快した。

ガンマナイフ治療無効例9例では静脈や椎骨動脈による圧迫を多く認め、ガンマナイフ治療有効例と比較して有意にSCAによる圧迫が少なかった。今後、ガンマナイフ治療無効例の特徴およびMVDの有用性について検討する必要があると考えられた。(完)

2018年12月24日

◆こんどは「チベット旅行法」

宮崎 正弘


平成30年(2018年)12月22日(土曜日)弐 通巻第5927号 

米議会、こんどは「チベット旅行法」を可決
  チベット入境が許可されない限り、中国のチベット官憲も米入国を認めず

正式には「チベット相互入国法」。ちなみに、英語名は「THE 
RECIPROCAL ACCESS to Tibet Act  2018」

すでに米上下議会を通過していたが、2018年12月20日、トランプ大統領が
署名したので、チベット旅行法は正式に成立した。

成立までの背景は直接的にはチベット系アメリカ人団体、インドにあるダ
ライラマ政府などが働きかけてきたもので、中国のロビィ工作が激しかっ
た時代には議員らの理解は稀薄だった。

下院ではジム・マクガバンン議員が中心となって超党派の議会工作が続け
られてきた。

要するにアメリカ人外交官、公務員、ジャーナリストらがチベットへの旅
行を許可されず、また一般のアメリカ人観光客も団体ヴィザで、制限され
た行動予定、ホテルの限定など厳しい条件が付いた(日本もまったく同じ
で、嘗て読売の浜本特派員がチベット取材に行ったが入国を拒否された。
筆者は成都から団体ツアーに紛れ込んでラサへ行ったことがあるが。。)

またチベット系アメリカ人の里帰りも認められず、家族と長きにわたって
連絡の取れない人々が世界に散らばっている。もちろん、日本にも相当数
のチベット人が暮らしているが、本国との連絡が十分にとれていない。

外交では「双務主義」が原則である以上、アメリカ人外交官、公務員、
ジャーナリストの入境を拒否した中国官憲ならびにその責任者は米国への
入国を認めるべきではないとする法律は超党派の支持を得るようになり、
公聴会が何回も開催されてきた。

大統領署名後は国務省が議会への報告義務を負う。
     
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 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1831回】          
――「只敗殘と、荒涼と寂寞との空氣に満たされて居る」――諸橋(4)
諸橋徹次『遊支雜筆』(目?書店 昭和13年)

                △

何から何までが両極端、ということは中庸がない。中庸のなさは色彩にも。

「支那の色彩は多く濃厚であります」。それというのも「半年經つて も
曇ることのない大空や、幾日汽車に乘つても山を見ない平原」など、極
めて「單調な支那の風土」であるゆえに、やはり「極めて鮮かな色彩が一
つの變化を添へて、言うに曰はれぬ愉快さを感ずる」ことになる。とにも
かくにも「現今の支那の人は賞罰に就ても情感に就ても」、「其の強い刺
激を受けもし與へもして、茲に自分の滿足を求めて居ります」。

かくして「善事に對して強烈な刺激を與へる支那の人は、惡事に對して
は更に強烈な刺激を課さずには居りません」。

小説の類にしても、「優雅とか細緻とかいふ情操を養ふものが存外少く
て、露骨な肉欲的なものが多いように思はれます」。なかには「日本に於
ては當然發賣禁止くらゐはあるだらうと思はれるものもあります」。

総じて言えることは、「強度の刺激を要するといふことは、其の反面に
各部の神經が或程度まで鈍つて居るといふことを立證するものではありま
すまいか」。どうやら凡てのことに「強度の刺激の存する半面には、確か
に又破れたる國の俤を認むることが出來ると思ふのであります」。

諸橋は孟子や朱子の言葉を引用しながら目先の利益、つまり「小惠にな
つく」ことの愚かさを説いた後、「私の觀察するところ」に基づくなら
ば、「今の支那の人は可なり小惠によつて働いて居つて、大切な大局大利
はみすみす之を逸しているのではないか」と考えた。

たとえば第1次世界大戦前、ドイツは優秀な人材に「本國政府から或は 本
國の商店から、多大の俸給を給與」したうえで、彼らを「無給同樣、薄
給の姿で支那商店の雇員」に送り込む。「支那の商店では大喜び」。なん
せ安い給料でドイツの優秀な人材が雇えるわけだから。そこで我先に雇い
入れ、枢要な仕事を任す。すると「獅子身中の虫はドンドン支那商業の急
處を捕まへて、之を獨逸に通告する」。後の結果は、推して知るべし。

なんとまあドイツ人は頭がイイというのか。それともセコイというの
か。この点が「一衣帯水」「同文同種」「子々孫々までに友好」など愚に
もつかないオ題目に幻惑されたままの日本人とは違う。徹底して富を引っ
剥がすという精神が今にも通じているならば、メルケル政権の一貫する親
中姿勢にはウラがありそうだ。騙された風を装って騙せ、である。

ともかくも目先の利益に「目を眩まされて國力と國權とを奪はるゝとし
たならば、茲にもまた彼國の悲むべき破國の俤が浮んで居るのではありま
すまいか」。

日本にいては「支那にはなかなか國家思想並に自尊心が漲つていると
思」っていたが、現地で「旅行を續けて色々の見聞をしていく中に」、
「寧ろ反對の現象、即ち支那の人は自らを屈し平氣でゐる國民であるとい
ふことが多分に頭に殘」るようになった。やはり「一事が萬事、支那の自
國に對する自尊心の乏しい事」は明白だ。
 かくて「その自尊心の缺乏を透して見らるる破國の俤は、遂に蔽ふこと
が出來ないのであります」。

「国が破れかかつて居るとせば、其の下に生存する國民は先づ何等かの
工夫をして自己の安全を求めなければなりません」。自衛とは積極的なも
のであり、ウソは消極的な自己防衛の方法だ。北京の国立中学校を参観し
た際に先生が答えるには、教育上で最も難しいのが「生徒の?言を直すこ
と」「全校生徒の五分の一は?を言ふ」とのことだったという。ならば残
りの5分の4はウソを言わないのか。かりに「五分の一」という割合を現
在の14億余の人口に当てはめると2億8千万人・・・日本に人口の2倍
強!やはり驚異的だ。
 

  
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIE 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
退廃的厭世的なニヒリズムとは全く異なる積極的ポジティブ・ニヒリズム
 ニーチェの言いたいこと、<知の巨人たち>の思想が理解できる素晴ら
しい著書

   ♪
宮崎正弘『青空の下で読むニーチェ』(勉誠出版)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
                        (評 奥山篤信)

宮崎正弘氏を存じ上げてもう20年経つだろうか?

当時僕はまだサラリーマン卒業したばかりで、勉強不足で政治や思想や宗
教など幼児期だった。そんな中で宮崎氏のメルマガはかぶりつくように読
んだものだ。

宮崎氏の勉強会にも足を運んだ。あの亡き鉄人と言える片岡鉄也と話がで
きたのも勉強会だった。もちろん憂国忌も欠かさずに参加していた(ここ
10年はサボっているが)

宮崎氏はいわゆる大学の先生方やゴリゴリの保守論壇とは基本的に異なる
のは、まず人生を冒険的にそして知識欲を持って実体験していることだ。
大学などの専門家など、まさに専門馬鹿で頭の柔軟性や世俗とは何かに対
して頭が回らないいわば人間的に何の魅力もない人物がほとんどだ。

そうかと言って経営者出身の論壇は、知識が浅い人が多く、保守としても
単なる<戦後の堕落はマッカーサーの日本弱体化施政が悪かった>の一点
張りのバカの一つ覚えが常だ。もちろん一部に僕が尊敬しているお亡くな
りになった方、現在もご健在の経営者卒の先輩たちの議論には素晴らしい
現実性があることも事実だ。

そんな意味で宮崎氏は普通の世俗の俗っぽい話でも、人間の欲望について
の議論でも何にでも軽蔑の眼は全くなく楽しく話せる<器の広さ>という
よりも<俗っぽさに積極的に人間の本質を見る鋭さと人情>があるので、
僕だけでなく、これだけ人気があるのも当然だろう。

しかもゴリゴリ保守と異なり、冷静で公平な立場の違う者の考え方も評価
して受け入れる(寛容性)が日本の保守論壇にありがちな共通の<スロー
ガン性>が一切ない。つまり保守と言っても、その<スローガン性>たる
や左翼の教条主義と変わらない、すなわち頭の硬さのみで柔軟性一切ない
のだ。

 さらに宮崎氏の的確な鋭い視線それは現場主義というか現地へのルポル
タージュと取材力に裏つけられた稀有のジャーナリストだ。同氏のシナの
20年前からの予言は全て当たっているがそればかりでなく世界の情勢を判
断する能力の凄さは比類がない。
 それで本論に入るがこの著は今までにない宮崎氏の半生の総括として読
める面白さで一気に読んだ。何よりも日本人のニーチェを単なるニヒリズ
ムというスローガンで誤解している風潮に対してきめ細かくしかも世界の
日本の論壇の解釈も引用しながら見事な筋道を立てての議論が納得できる
のだ。

ちなみに内容は下記の通り:
プロローグ 「ニヒリズム」を「虚無主義」と翻訳したのは誤まりだ
第一章 人生に戦闘的に取り組むことがニーチェ主義だ
第二章 ニーチェ思想の体系
第三章 三島由紀夫とニーチェ
第四章 ニーチェと西部邁
第五章 武士道こそニヒリズムの極致だ
第六章 磊落さ、楽天主義
エピローグ 人間は誰でも死ぬのである

 いわゆるニヒリズムを体系的に体系的に分類しているのが面白い。まさ
に退廃的厭世的なニヒリズムとは全く異なる積極的ポジティブニヒリズム
こそニーチェの言わんとするところだと言うことだ。三島由紀夫然り、西
部邁然り、ヘミングウエイ然りだ。
 宮崎氏のキリスト教理解も神学部のご経験もなくここまで本質を突いて
語っている。悪い意味でのニヒリズムとはまさにあなた方キリスト教こそ
が世界史上最悪のニヒリズムというのは僕の神学体験からの結論だが、ま
さに宮崎氏の考え方も<キリスト教そのものがニヒリズム>とニーチェを
引用しつつもご自身もその考えだと推測した。キリスト教のようなまさに
<人間の原罪>を常に信者に枷として負わせ、常に僕に言わすれば、人間
らしいあまりに人間的な原罪(必ずしも犯罪ではないものにまで)まで罪
悪感を持たせ教会の軛に?ぎ止める、いわば卑劣な手法が2000年の支配者
の道具たるキリスト教会の手口であると言っても言い過ぎではない。

まさにキリスト教こそが、あのギリシャ・ローマの偉大な人間の積極的な
生き様を謳歌したのに比べ、マゾヒズム的思考の暗い暗い生き方(実際自
分の背中を釘付の鞭で叩き鮮血をみてイエスに倣う狂信的教徒、あるいは
砂漠で孤独に自分を痛めつける砂漠でのイエスに倣う修道僧など)信じが
たいが、これもキリスト教の奴隷発祥の宗教である所以だと僕は考える。
ニーチェは世に言う誤解のニヒリズムとは程遠い実際は積極的な前向きな
人間の生き様を謳歌しているのだ。キリスト教こそ世の中真っ暗となるよ
うな人間の健康なる欲望を罪として否定し、神に望みを託して<神に立ち
返る>ことを押し付ける極めて<暗い>、青空とは程遠い人生を強制する
カルトだと言うことだ。
 とにかく僕が色々講釈しても二重になるので三島由紀夫への造詣の深い
宮崎氏の展開は、最も愛する三島ファンである僕の目から鱗であった。

 最後にこの本を何回も読み返せばまさにニーチェの言いたいことが理解
できるし、三島由紀夫や世界の<知の巨人たち>の思想が理解できる素晴
らしい著書だ。
僕は60歳半ばでの神学部大学院時代に生まれて初めて哲学史など、東京
大学哲学の先生方の著書を教科書として学んだが、この大学教授どもの教
科書がいかに傲慢で理解に苦しむ解説か、こんな連中がヘーゲルやカント
やサルトルを語ってもちんぷんかんぷんになるだけであり、一方まさに西
欧哲学そして仏教神道を宮崎氏が噛み砕いてここに読みやすい形で解説し
ている。
日本の学生諸君よ! ニーチェ研究のみならず哲学を学ぶものはこの本を
読めば理解ができるほど、<頭の良い人物は複雑で難しいことを、わかり
やすく明瞭に書ける能力のある人>と言える稀有の宮崎氏の筆致を見るこ
とができる。