2019年01月14日

◆さぁ次はオマーンの漁場を狙え

宮崎 正弘


平成31年(2019年)1月12日(土曜日)弐 通巻第5952号  

 さぁ次はオマーンの漁場を狙え、中国「一帯一路」の罠
  70 隻の近代漁船が2万3000の小舟、零細漁師の漁場を直撃

 ホルムズ海峡の隘路、対岸がイランのバンダル・アッバース。サウジア
ラビア半島側はオマーン(旧国名はマスカット・オマーン)の飛び地である。

ドバイに滞在していたおり、オマーンの国境まで4WDを疾駆させて行っ
たことがあるが、荒れた台地に茶褐色に岩肌、農地にもならない曠野。そ
れが国境だった。

オマーン本国は、ホルムズ海峡を扼する飛び地から東南東。アラビア海と
インド洋に「7」のような地形でせり出している。海岸線が3165キロのも
及ぶ。

海洋地政学にとって、要衝となるのは当然だろうと思える。首都のマス
コットから南西南へ500キロ。ここがインド洋に面するドクムという漁村
である。

つい昨今まで、ドクムを中心とする5万人の漁師たちは2満3000といわれ
る小舟にヤマハのモーターを駆動させて漁場を移動し、漁獲類は「干し
物」にしてから駱駝の背にのせ、首都マスカットまで500キロ、月の砂漠
をキャラバンで運搬していた。

俄かに、この寒村に焦点が当たった。

「一帯一路」を標榜する中国が舌なめずりしながら大々的に進出してきた
からだ。中国はこう言った。「ドクムを中東最大の漁業基地にして東アフ
リカ一帯の漁業センターにしよう」。

オマーンを取り込む「一帯一路の」の罠が仕掛けられたのだ。

2017年、中国はこのドクムを「免税特区」「輸出工業区」として開発する
ために107億ドルを投資する、条件は25年の租借で、更新可能としたいと
提案した。この降って湧いたような巨額投資にオマーンはすぐ合意に達した。

オマーンは歳入の55%を石油に依存しているため、ほかの産業育成による
収入源の確保に魅力がある。

しかし中国の隠された企図とは、いずれ漁場拠点の軍港転用であり、ジブ
チに海軍基地をつくったように、長期戦略に基づいている。

オマーンは絶対君主制、サィード国王の独裁政治だが、一応、議会があ
る。大政翼参会的な議会はすぐに中国の案件を諒承し、2020年完成を目指
して工事が始まった。すでに10の漁場に冷凍倉庫、魚介類加工、製氷製造
工場などが建設された。

中国は合計470隻の近代的漁船を投入するとしており、10の工場がすでに
稼働している(アジアタイムズ、1月11日)。

 怒ったのは地元の漁民、零細で小舟による釣りで生計を立ててきたが、
大型漁船、冷凍設備をもつ近代船などが近海から魚を収獲すると、地元漁
民の生活が成り立たなくなるではないか。
オマーン政府は漁民の怒りをいかに静めるか注目が集まっている。

        
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1842回】     
 ――「只敗殘と、荒涼と、そして寂寞との空氣に満たされて居る」――諸橋
(15)
諸橋徹次『遊支雜筆』(目?書店 昭和13年)

           ▽
長江を遡り諸橋の旅は続く。

よくもまあ、と思えるほどに丁寧に名勝旧跡を回り、関連する故事来歴を
記しながら、時の流れの中で惨澹として珍妙に変わり果てた姿を綴ってい
る。だが、これまで見て来た惨状と大同小異なので敢えて割愛するが、や
はり大冶鉄山については日本人として記憶しておくべきと思うので、手短
に綴っておく。

じつは大冶が全山鉄鉱山であることを発見したのは、清末に近代化を進
めた代表的指導者の張之洞の秘書だった。彼は古書の記述から一帯には鉄
鉱山があると推測する。そこでドイツ人技師に調査を依頼すると、はたせ
るかな豊富な鉄鉱脈を発見したものの、「其の技師は張之洞に先立つて、
本國の公使に知らせた。獨乙公使は素知らぬ顔で其の邊りの土地を讓與し
て欲しひ」と張之洞に申し出る。

すると「此のくせものと、張は一喝の下に技師を解雇した」。なんともド
イツ人の振る舞いはセコイ。やはりドイツ人はセコイのだ。

陶淵明の墓に詣でるべく旅を続ける。某村に着く。「夕日輝きて心地よ
し」。農家に宿を頼むと「殊勝にも御泊りなされ」と。「地獄に佛な
り」。だが「室に入れば汚きこと限りな」く、「戸障子とては一枚もな
し」。「先ず伴へる苦力に飯を炊かせて」、諸橋は「其の家より芋と葱と
を買求め」て調理して食事とした。

疲労の余りかバタン、キュー。「一睡の後醒むれば、予の伴へる苦力と宅
の主人とは、尚頻りに酒を呑みて興がる」。苦力は得意げに諸橋は老朋友
だと説明している。「可笑い」。

そこまではよかったが、そのうちに「苦力小便せまほしと云ふ」。すると
「主人自ら導いて至れる」のは諸橋の寝ている部屋だった。「南無三寶、
臭氣鼻を撲ちて堪へ難し。點燈して見れば汚き便器四疊半にも足らぬ我が
室にあるなり」。かくて我慢ならなくなった諸橋は「苦力を呼び、命じて
其の便器を取去らしむ」。

あの謹厳実直を絵に描いたような漢学者の諸橋が、なんと「汚き便器」の
隣で「臭氣鼻を撲ちて堪」い思いを抱きながら寝ていたとは。古人の言う
ように、確かに艱難汝ヲ玉ニスルものらしい。

某地でのこと。「最上の旅館なりと馬夫の案内」に誘われると、「狹隘湫
隘殆ど馬小屋にも劣る處」だった。しかも「室外には馬糞積んで山の如し」。

また或る所では。「此の地旅館なし。驛長に一宿を乞うへば、近來土匪
猖獗にして、城外の地は保證し難し、日の暮れざる間に」、早く市街地
行って衙門(やくしょ)を訪ねよ、と。

その土匪だが「居民に課する強制徴収は甚だ苛酷」であり、支払いに応
じな場合は「立ちどころに之を殺す」。当時、一帯に土匪が多かったの
は、北京中枢の一角を占めていた段祺瑞麾下の軍が敗北したからであり、
兵士たちは「段軍の潰散と共に今郷に歸り、土匪とな」ったからである。

そこもと左様にして食いっぱぐれれば流民になり、流民は匪賊になり、匪
賊が兵士になり、運よく戦で軍功を挙げればトントン拍子に出世して、将
軍となり政府の役人に。破れた兵士は匪賊になり、匪賊は流民に。やがて
流民から乞食に。これが「好い鉄は釘にならない。好い人は兵にならな
い」人々の、人生双六ということになる。

曲阜の孔子廟を訪ねた時のこと。「今朝來土匪の猖獗を傳ふる事頻りな
り。曰く尼山に五百人の土匪あり、首領を于三?と云ふ。久山に二千五百
の土匪あり、首領を劉某と云ふ。之に對して濟南第五師團歩兵の一營千五
百人之に當り居れども、官軍戰毎に利あらず、今は曲阜を去る遠からざる
姚村まで土匪の襲來あり」。どうやら孔子サマの有難さもご利益も、土匪
の前では役には立たなかったようだ。

やはり小人は閑居して不善を為すものだ。

数多くの奇天烈な体験も、また『大漢和辞典』作りの下地になったのだろ
うか。             

◆納豆と相性の悪いくすりの話

 大阪厚生年金病院 薬剤部


〜ワルファリンカリウムという血栓予防薬を服用中の方へ〜

 地震や津波、洪水など突然襲ってくる甚大な自然災害は、水道やガス、電気などのライフラインを寸断し人々の生活を麻痺させてしまいますが、人の健康もある日突然血管が詰まると健康維持に必要な栄養や酸素などのライフラインが寸断されその先の機能が止まってしまいます。
 
突然意識を失いその場に倒れてしまった経験のある方で、医師から「脳梗塞」と診断された方もおられるかと思います。 脳の血管を血液の塊(かたまり)が塞いでしまってその先に血液が流れなくなってしまったのです。
 
これを予防し血液をサラサラにするくすりのひとつに「ワルファリンカリウム」という薬があります。 服用されている方も多いかと思います。

もともと人間の身体は怪我や手術などで出血したとき、血液を固めて出血を止める仕組みがありますが、その仕組みの一つに「ビタミンK」が関与する部分があります。
 
ワルファリンカリウムはこの「ビタミンK」が関与する部分を阻害することによって血液が固まるのを予防します。
 

さて、ここで納豆の登場です。 納豆の納豆菌は腸の中で「ビタミンK」を作り出します。「ビタミンK」は血液を固まらせる時に必要なビタミンですから多く生産されると、ワルファリンカリウムの効果を弱めてしまいます。
 
そのため、くすりの説明書には「納豆はワルファリンカリウム
の作用を減弱するので避けることが望ましい」と書かれている
のです。
 
納豆は栄養もあって健康に良い食品ですが、飲んでいるくすりによっては食べないほうが良いこともあります。 好きなものを我慢するのは“なっと〜くできない”向きもあるかと思いますが、ワルファリンカリウムを服用中の方にとって納豆は危険因子ですのでご注意ください。
 
納豆のほかにも、ビタミンKの多い「クロレラ食品」や「青汁」などもひかえましょう。

 追記: ワルファリンカリウムのくすりには「ワーファリン錠」や「ワルファリンカリウム錠」他があります。

2019年01月13日

◆H−1Bヴィザは発行を簡素化

宮崎 正弘


平成31年(2019年)1月12日(土曜日)通巻第5951号  

H−1Bヴィザは発行を簡素化、高度技術者の移民は逆に円滑化する
  トランプ、ダボス会議は欠席、国境の壁建設に集中

ダボス会議直前となって、トランプ大統領は欠席すると発表した。(それ
どころじゃないって)。中国からの王岐山との会談は当然ながら「お流
れ」となる。

ダボス会議はお祭りに過ぎないというわけだ。

他方、政府機関の一部の業務閉鎖がつづき、民主党の議事妨害によるメキ
シコとの壁建設費用56億ドルをめぐって、ホワイトハウスと議会の熾烈
な攻防戦は長引きそうな空気である。

トランプは「民主党が予算案を認めるまで、この措置(政府機関一部閉
鎖)は続く」と野党との対決姿勢をあからさまにしているが、その一方で
「H−1Bヴィザの円滑化」と提言した。

H−1Bヴィザは、高度訓練者、熟練工のみならずphD取得者など学問
の高い水準を誇る人たちに給付され、アメリカ市民権が取得しやすいとい
う有利な条件が付帯する。

コンピュータ、AI、医学、宇宙工学などの分野にH−1Bヴィザの対象
者が多く、2017年度統計では75%がインド人、9%が中国人に対して発行
された。

同じ日、地球の裏側のポーランドではファーウェイ(華為技術)にガサ入
れが行われ、中国人ひとりとポーランド人二人を逮捕した。「スパイ容
疑」とされるが、ポーランド人は元情報部員、囮捜査の可能性も言われて
いる。
        
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読者の声 ☆どくしゃのこえ ★READERS‘ OPINIONS
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(読者の声1)先に、淵田氏は、日本国内よりも米国で有名だと述べまし
たが、米国では、2010年、淵田の叙述には虚偽があるとの疑惑が提起され
たようです。その主張者J・パーシャル氏([SHATTERD SWORD])
著者)は「淵田ほど、太平洋戦争研究に対して長期にわたる有害な影響を
与えた者はいないのではないか」とさえ述べています。その主張は、内容
的にはレベルが高いものではないと思いますが、論点としてはおもしろい
ものを含んでいます。同氏によると、主要な疑問点は次の3点です。

1. 真珠湾での追加攻撃中止についての淵田の主張
2. ミッドウェー海戦時の「運命の5分間」の話
3. ミズーリ号上での降伏調印式に淵田が立ち会ったという点

(1)については、歴史上の『イフ』として、極めて重要、重大な問題で
しょう。この追加攻撃中止については、早くから国内でも論議されてきた
し、実際にも、第航空戦隊の山口多聞司令官は「第二撃準備完了」という
信号を機動部隊旗艦赤城に送り催促しています。

淵田氏の主張には時間経過後の自己美化のようなものがあるのかもしれま
せんが、私にはその主張が全くの虚偽だとも思えません。ただし淵田氏
は、当時中佐という地位でしかありません。たとえ主張できたとしても、
その発言の実効力は限られていたことは言うまでもないことでしょう。
なお、サムエル・モリソンが、On the tactical level、the Pearl
Harbor Attack was wrongly concentrated on ships rather than
permanent installations and oil tanks. On the strategic level it
was idiotic. On the high political level, it was disastrous. と評
したことはよく知られています。

(2)については、海戦敗北後の事後的な問題とは言え、淵田氏の著書
『ミッドウェー』(初版は昭和26年)が広く各国語に翻訳され、長い間、
ミッドウェー海戦の基本的文献とされてきただけに、極めて重大な問題点
でしょう。

私はこの「運命の5分間」説については虚偽であろうと考えます。

しかしこの説については、既に『文藝春秋』昭和24年10月号で、草鹿龍之
介氏が「運命の海戦」と題して記述されています。これほどの大ウソを、
元大佐(海戦時中佐)に過ぎない淵田氏が単独で捏造できるとは考えづら
く、草鹿氏をはじめとする上層部との共謀であったのではないか。

淵田氏にとって、こうした虚偽捏造が大きな空虚感となり、その後のキリ
スト教回心への要因の一つとなったのではないかという推測は、十分に合
理的でしょう。

(3)については、代表団以外の日本人で、報道員でもない者が乗艦を許
されたわけがないというパーシャル氏の主張には一応の説得力があります
が、私は何らかの形で、淵田氏が昭和20年9月2日のミズーリ艦上にいたこ
とは間違いないのではないかと思います。

マーチン・ベネット氏(『WOUNDED TIGER』の著者)は、ミズーリ号上の
淵田氏らしい人物が写った写真を公開しています。

淵田氏は自伝でも明確にその実地体験、観察について述べており、虚偽だ
とは思えません。ホラ吹きという評価もあった淵田氏とは言え、このよう
な単純な事実について虚偽を述べる意味はあまりないように思われます。
また事項的には淵田氏の個人的問題に近く、探究する意味はあまり大きく
ないと考えます。

以上のように見ると、J・パーシャル氏の「淵田ほど、太平洋戦争研究に
対して長期にわたる有害な影響を与えた者はいないのではないか」という
主張は、あまりにも誇大であるように私には思えます。

それは、パーシャル氏が日本語理解力が無いこと、淵田氏が日本よりも米
国内での方が有名であると言われることに起因するのではないでしょうか。

パーシャル氏の主張にはベネット氏が反論を加えています。ただし、ベ
ネット氏は、上記の運命の5分説についても淵田叙述の虚偽性を否定して
おられますが、この点については私と意見が異なります。この点も、ベ
ネット氏が日本語文献に接していないことが最大の要因であろうかと考え
ます。

いずれにせよ「あの戦争」については、戦勝国、占領軍等が作り上げた意
図的捏造、宣伝等、東京裁判における責任回避等のための日本側による事
実の隠匿、糊塗等が多く、まだまだ解明するべき問題が残されているよう
に思います。(CAM)

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(読者の声2)「同性愛タブーの起源と未来 LGBTに関する小考察」
新年早々の平沢勝栄代議士のLGBTについての発言が、物議を醸したとのこ
とだ。

昨年の杉田水脈代議士の「生産性」論文と、それへの小川栄太郎氏等によ
る擁護文を載せた「新潮45」の廃刊の一連の問題が、まだモヤモヤしたま
ま燻っている感がある。

筆者は取り敢えずその論争の内容から少し離れて、同性愛に限って少々そ
の起源と未来について考えてみたい。

先ず、禁忌(タブー)にはそれぞれ起源があると思われる。例えばイスラ
ム教徒が豚を食べないのは、主に伝染病を避けるためだという説は有名な
例だ。

起源を辿ると、同性愛を禁じたのは、古代ユダヤ教の時代に於いて殲滅戦
を含む民族間の領地争いが激しく「産めよ増やせよ」が正義だったからで
はないか。また、時代が飛ぶが特に近代国民国家の総力戦に於いて、国民
からなる軍隊の規律を保つ必要があったからだろう。

してみると、遠い未来に目を向ければ、仮にその是非はともかく生殖手段
の主流が人工授精と遺伝子工学となり、戦争がAI・ロボット・電子戦に
なった場合には、禁忌の根拠が希薄になると思われる。

今はその過渡期であり、そのためLGBT問題について、擁護・推進派と抑
制・消極派の両者でモヤモヤ感が消えないのではないかと感じられる。
 ザックリとしたことを書いたが、以上は比較的人畜無害の考察かと思
う。この観点から筆者は、同性愛については特段に否定も肯定もしない中
立の立場であるが、最後に別の観点から少し踏み込んだ意見をご紹介したい。

筆者の知人に、同性愛に関して「ア●●セックスについては、衛生上の観点
から、特に深刻な感染症対策として、法的に罰則付きで禁止することは出
来まいか」と真面目に考えている者がいた。

このようなプライベートな領域に、法が立ち入ってよいかということにつ
いては、その知人は「禁止にするのは被せ物をしなかった場合に限り、異
性間の同行為についても適用する」等の条件を付ければ、深刻な感染被害
と流行の相当な危険性を伴う行為の禁止として十分に立法可能であり、そ
れが巡り巡って同性愛者を含むLGBTに対する社会の恐れや偏見を減少させ
るのではないかと語っていた
 その実効性はともかく、筆者も一考には値するかと思い、蛇足ながらご
紹介させて頂いた。(佐藤鴻全)

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(読者の声3)真珠湾事件と山本長官、攻撃隊指揮官淵田美津雄中佐の話
ですが、最近いろいろ批判が多い。しかしこれは国際政治として見る広い
視野と高い視点そして新しい情報が必要です。これらがないと日本人同士
の一人相撲歴史観からいつまでも抜けることが出来ません。

日米戦は何故起きたのか。それはルーズベルトの日本敵視です。理由は支
那満州進出の邪魔だったからです。これは戦前の米国の国策の延長で日露
戦争以後から始まっていました。しかし米国のアジア観は間違いが多く、
米国のアジア政策がベトナム戦争を含めて失敗続きである事はご存じの通
りです。日本は大変な被害と迷惑を受けました。

真珠湾作戦は英国の軍事専門家に拠れば、歴史的大勝利であり世界の軍事
史の金字塔としていずれ正しく評価されるだろうと述べています。燃料タ
ンクを攻撃すべきだった、などという大勝利にケチを付けるのは、外国で
云ういわゆる「勝利を盗む」常套手段ですから騙されてはなりません。そ
れに日本軍がハワイを占領してもどうなるというものではなく、原爆まで
開発されるのですから高い視点でみることです。新しい歴史情報を使いま
しょう。

淵田中佐は戦後敗戦のショックでキリスト教の牧師になりました。大東亜
戦争の激烈な戦闘で死線を何度も越えた戦士の感慨は、体験者以外には分
かりませんから素人があれこれいえるものではないと思います。山本長官
の非難は近年始まりました。戦後は陸軍悪者論でしたが、今は海軍も有罪
になりました。日本軍人は全部悪です。裏に日本人同士を争わせ再軍備を
妨害する外国の宣伝工作を感じます。日本人なら騙されてはならないで
しょう。日本の軍人は世界一立派でした。

敗戦の理由が日本人が思い上がっていたからというのは白人と同等という
考えを思い上がりと云っているのです。人種差別ですから反省は不要です。

戦争時には何処の国でも戦意高揚は当然です。誇りがないと戦えないから
です。日露戦争では非難されなかったのは勝利したからです。日本海海戦
の三笠艦長の訓示を紹介します。・・・鎭海湾から対馬海峡を戦闘海域に
向かって南下する戦艦三笠では戦闘を控え「総員後甲板に集合」の号令が
艦内に伝わった。伊地知艦長は12インチ砲塔中段から訓示を始めた。「本
官は最後の訓示をする。諸氏の命はただ今もらい受けたから承知ありたい。

本官も諸士と生命を共にすることはもちろんである。今から遙かに聖寿の
無窮を祈りあわせて帝国の隆盛と戦いの門出を祝福するために諸氏と共に
万歳を三唱したい。」言い表しがたい感激が若い私の総身をふるわせたこ
とは67年を経た今でも忘れられない。

日本の敗戦の原因は原爆の開発が出来なかったからです。戦前日本に原爆
があれば日米戦争自体が起こらなかったと、パキスタンの大統領が言って
います。

東條英機の辞世は「我往くもまたこの土地に還りこむ、国にむくゆること
の足らねば」です。これは日本民族に対する再度立ち上がれという捲土重
来の遺言です。
今再び危機を迎えた日本は、明治人の高い危機感と強い団結を復活する時
が来ました。はやく自虐の一人相撲歴史観から抜けたいものです。大東亜
戦争の因果関係を世界的な視野で分析した歴史本としては、拙著「黒幕は
スターリンだった」(落合道夫著。ハート出版)があります。
   (落合道夫)

◆「同盟重視論」が見えないトランプ大統領

櫻井よしこ



「同盟重視論」が見えないトランプ大統領 米国の攻勢に中国・習政権
は後退の一年か 」

2018年は最後まで気の抜けない1年だった。19年の今年はその延長線上
で、より大きな変化と試練が生じるだろう。そうしたことを念頭に置いて
決断を下せば、逆に日本にとっては好機の年になる。世界情勢に油断なく
気を配り、気概を持ち続けることが必須だ。

昨年12月、ジェームズ・マティス米国防長官はドナルド・トランプ米大統
領に辞任の意向を伝えた。トランプ氏のシリアからの米軍撤退に同意でき
ず、2月末に政府を去るとしたマティス氏をトランプ氏は、今年1月1日を
もって辞任させた。

日本が注目しておくべきことは、マティス氏が「米国は自由世界に不可欠
の国だが、強い同盟関係を維持し同盟国に敬意を示さなければ国益を守る
ことはできない」として、同盟関係の重要性を説いたのに対し、トランプ
氏にその気がないことだ。

昨年10月にマイク・ペンス副大統領が行った激烈な中国批判の演説を、日
本は歓迎した。確かに日本にとって基本的に歓迎すべき内容だった。しか
しここでも注目したいのは、ペンス氏の演説には、トランプ氏同様、「同
盟重視論」がないことだ。

シリアで米軍と共に戦ったクルド人勢力を見捨てる決定をしたトランプ氏
の立場で見れば、米国大統領として自分はかねてシリアからの撤退を明言
していた。それは自分の公約だという思いがあるのだろう。

トランプ氏の特徴は、ひとつひとつの公約をその善し悪しは別として、実
行することだ。氏の価値観はあくまでも「米国第一」で、同盟国は大事だ
が、米国の国益を揺るがせにすることはない。日米同盟に大きな比重を置
く日本にとって、自力を強めることなしに米国に依存し続けることの危険
は承知しておいた方がよいだろう。

中国の現状をよく伝えていたのが習近平中国国家主席のブレーンの一人、
ヤン・スウエトン氏が「フォーリン・アフェアーズ」の2019年1〜2月号に
書いた論文だ。題名は「容易ならざる平和の時代 分断世界における中国
の力」である。明らかに中国政府の意向を反映していると思われる論文で
目を引くのは「中国はジュニア・スーパーパワーの役割を果たす」という
表現だ。

この件りは、中国のあらゆる側面を厳しく批判し敵対視した10月のペンス
演説を「誤解を招く」としながらも、「一面の真実がある」と評価した中
で出てきたものだ。そこにはこう書いている。

「ポスト冷戦期の米国一強時代は終わり、二極時代が戻ってきた。中国が
ジュニア・スーパーパワーの役割を果たす時代だ」

確かに米国一強時代は終わった。その点では米国が抱く脅威には理由があ
る。しかし、中国は米国を排除するのでなく、米国をいわば兄貴分と見做
す。中国は弟分でよいと、言っているのである。中国はかつてのように米
国に対して弱者としての立場を強調する外交に転じようとしていると読み
とれる。

12月21日に「ニューヨーク・タイムズ」紙に、コーネル大学のエスワー・
プラサド教授が「中国は米国と妥協したがっている」と書いていた。

中国での広範な意見交換の結果、指導者の多くが中国経済の先行きに非常
に深刻な懸念を抱いており、改革志向の人々はトランプ氏の強圧を、中国
の改革を進める上での追い風として評価さえしているとの内容だ。

習氏は本来なら昨年中に開催していなければならない中国共産党中央総会
を遂に開催できずに年を越した。その年毎の基本政策を決める中央総会が
開かれなかったのは毛沢東時代以来約60年振りの異常事態だ。米国の攻勢
の前に習政権がじりじりと後退する1年になるのか。日本にとっても難し
い外交が待っている。だから覚悟が必要だ。

『週刊ダイヤモンド』 2019年1月12日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1262

2019年01月12日

◆ポンペオ国務長官がカイロで演説

宮崎 正弘


平成31年(2019年)1月11日(金曜日)参 通巻第2950号  

 ポンペオ国務長官がカイロで演説。「米国の新しい中東マニフェスト」
  イランを地域内で完全に封じ込め、シリアから撤退する

1月10日、カイロにあるアメリカン大学において、中東9ヶ国歴訪中のポ
ンペオ国務長官が演説した。題して「米国の新しい中東政策のマニフェス
ト」。

演説の骨子は最初から最後までオバマ前政権の中東政策の失敗を批判し
「悲惨なカオスをもたらした。アラブの春の失敗が、シリアの内戦を生ん
だ。完全な失敗だった。中東は惨状に陥ったのだ」。

ではどうするのか?

新しいマニフェストは何なのか、といえば、「イランを完全に封じ込め
る」の一点のみ。シシ政権の人権弾圧やサウジのイエーメン介入など、人
道的な問題には触れず、またシリア撤退という、米国の政策変更がマティ
ス国防長官の更迭をもたらし、トルコの関係悪化を随伴してしまった現実
にも触れず「われわれはISに勝利した。だから撤退する」と締めくくっ
たという。

これを聞いたオバマ政権の元幹部は「まるで異星人の話を聞いたようだっ
た」とコメントした。

他方、ジョン・ボルトン大統領補佐官は、「ISの敗北を見極めてから米
軍は引き揚げる」としており、政権内部でニュアンスの違いが浮き彫りに
なっている。

トランプ大統領自身は、イスラエル贔屓が強く、またアメリカ全体はイス
ラムへの潜在的敵対感が底流にあり、シリアにいつまでも関わっていてど
うするんだという声が、トランプのシリア撤退を支持する声となっている。
        

◆国柄を考える、平成最後の天皇誕生日

櫻井よしこ


12月23日、平成の時代最後の天皇陛下のお誕生日を祝って、わが家でも朝
早くから国旗を掲揚した。いつ見ても日章旗は清々しく美しい。白地に赤
い日の丸。無駄がなく、これ以上ないほどすっきりした構図である。

この日、皇居は3度にわたって日の丸の小旗の波で埋まった。誰しもが天
皇ご一家のお出ましに感動し、平成の30年をしみじみと振りかえったこと
だろう。

各紙朝刊で陛下のお言葉を読んだ。お誕生日に先立って行われた皇居宮殿
での会見で、天皇陛下が読み上げられたお言葉には国民に対する慈愛が溢
れている。常に国民に寄り添いたいとのお言葉どおり、両陛下の視線はあ
くまでも弱い人々、犠牲になった人々に、まず向けられている。とりわけ
沖縄の人々に対しての思いを、このように語られている。

「沖縄は、先の大戦を含め実に長い苦難の歴史をたどってきました。皇太
子時代を含め、私は皇后と共に11回訪問を重ね、その歴史や文化を理解す
るよう努めてきました。沖縄の人々が耐え続けた犠牲に心を寄せていくと
の私どもの思いは、これからも変わることはありません」

「先の大戦」の激戦地への慰霊の旅については、「戦後60年にサイパン島
を、戦後70年にパラオのペリリュー島を、更にその翌年フィリピンのカリ
ラヤを慰霊のため訪問したことは忘れられません」と語られた。

『朝日新聞』の皇室担当特別嘱託の岩井克己氏が特に言及していたが、明
治・大正・昭和から続く歴代天皇の中で、今上陛下は一度も軍服を着るこ
となく、また在位中に戦争のなかった例外的存在である。

犠牲者に対して常に深い思いを語られるのは、そのようなお立場もあって
のことだろうか。御自分の御世について「平成が戦争のない時代として終
わろうとしていることに、心から安堵しています」と述べられたくだり
は、今上陛下の平和に対する強い思いが反映されている。

ご結婚から60年

国内で発生した自然災害の犠牲についても多くを語られ、困難を抱えてい
る人々に「心を寄せていくことも、私どもの大切な務め」とされたくだり
では、自然に、今上陛下と共に各地に行幸啓なさった美智子皇后のお姿が
浮かんでくる。

国民の心にもしっかりと焼きついている美智子さまの、国民への深い思い
やりと共に、民間から皇室に嫁がれた特別の体験、ご結婚から2019年で60
年になる長い道を立派に歩んでこられたことについて、天皇陛下はお心の
こもった労いの言葉を語られた。

「振り返れば、私は成年皇族として人生の旅を歩み始めて程なく、現在の
皇后と出会い、深い信頼の下、同伴を求め、爾来(じらい)この伴侶と共
に、これまでの旅を続けてきました。天皇としての旅を終えようとしてい
る今、私はこれまで、象徴としての私の立場を受け入れ、私を支え続けて
くれた多くの国民に衷心より感謝するとともに、自らも国民の一人であっ
た皇后が、私の人生の旅に加わり、60年という長い年月、皇室と国民の双
方への献身を、真心を持って果たしてきたことを、心から労いたく思います」

時折お声を詰まらせながら語られた皇后陛下への「労い」は、まさにお二
人で支え合って重ねてこられた年月の尊さを私たちに示してくださってい
る。家族の大切さどころか、およそどの国の憲法にもある家族条項の一文
字さえない現行憲法の下で戦後の70余年をすごした日本人にとって、両陛
下のご夫婦としてのお姿はこの上なく立派なお手本となる。

今上陛下の慈愛に満ちたお心、天皇皇后お二人の生き方を見せていただい
ていること、さらに平和な日本の国民に生まれたことを、有難く思うばか
りだ。

「来年春に私は譲位し、新しい時代が始まります」「天皇となる皇太子と
それを支える秋篠宮は」「皇室の伝統を引き継ぎながら、日々変わりゆく
社会に応じつつ道を歩んでいくことと思います」。

天皇陛下はこのように御代替わりへの期待を示された。

皇太子さまが新天皇に即位なさる19年は、御代替わりの諸行事に加えて選
挙やW杯、G20などの国際会議、消費増税など、政府にとっても国民に
とっても大変な年だ。さらに国際社会においては、トランプ大統領、習近
平国家主席、プーチン大統領、金正恩委員長や文在寅大統領らが油断も隙
もない外交戦略を展開中だ。

安倍晋三首相は新年1月4日に配信される「言論テレビ」の番組収録で、こ
れら手強い外国首脳との外交においては、「率直に話をすること、約束を
守ること」が大事だと語った。

嘘も含めた駆け引きこそ外交だと心得ている国々が少なくない中で、日本
国の首相の唱える道は王道である。そうした王道を歩み続けるのが日本の
国柄である。

神道の価値観

そこで、私たちはこの御代替わりに際して、改めて日本の国柄について考
えたい。日本の国柄の核は皇室である。皇室の伝統は神話の時代に遡り、
それは神道と重なる。神道については経典や聖書に相当するものがないた
めに、これを評価しない人々がいる。しかし、博覧強記の比較文化史家、
平川祐弘氏は『神道とは何か』(共著・錦正社)でこう書いている。

「神道の力は、教えられようが教えられまいが、神道的感受性が多くの日
本人の中に生きている、という点にひそんでいると思います」

理屈ではない感性のなかに神道の価値観は深く根づいている。その価値観
は穏やかで、寛容である。神道の神々を祭ってきた日本は異教の教えであ
る仏教を受け入れた。その寛容さを、平川氏はモーゼの十戒の第一条、
「汝我ノホカ何物ヲモ神トスベカラズ」と較べて、際立った違いを指摘す
るのだ。

神道と他国の一神教は正反対であり、日本書紀、古事記の時代から一人一
人の人間を大切にするわが国の伝統も特徴だ。

このような価値観を、皇太子さま、秋篠宮さまに受け継いでほしいと、今
上陛下は仰った。

世界が混沌とする中で、19年の日本は恐らく、自らの足下を、あらゆる意
味で強化することが求められる。そうしなければ国際社会の大変化を生き
抜いていけないような局面も生まれてくる。

そのときに日本が日本らしく生き続けるために必要な力は、日本がどのよ
うな文化文明、伝統に由来するか、民族の原点を認識することから生まれ
るのではないか。世界情勢が急速に変化する中で、皇室に期待される役割
は、さまざまな意味で大事である。平成最後の天皇陛下のお誕生日も夕方
になり、私は掲げた日の丸を取り込み、大切に丁寧に畳んだ。

『週刊新潮』 2019年1月3日・10日号 日本ルネッサンス 第834回

◆痰の話で思い出す支那

石岡 荘十(ジャーナリスト)


‘35京都で生まれ、そのすぐ後から敗戦2年後まで中国(当時は支那)に
留め置かれた。幼い頃の記憶はもちろんないが、物心ついて以降、見聞
きしたかの国の“文化”といまの日本のギャップを、本メルマガの反響
欄が思い起こさせた。 

幼い頃の記憶はこうだ。

その1。

夏の日、父の仕事が休みのある日、「支那人と犬入るべからず」という
立て札が入り口にある公園に家族そろって出かけ、公園の中の、支那人
以外のためのプールで家族で泳ぐ。ある日、帰りに天津市内でも最高級
の中華料理店でそろって子豚の丸焼きを食った。

糞をしたくなって、用を足そうと便所へ行くと便器のはるか暗い、深い
底にうごめく動物がいて、驚いて下を見ると、数匹の豚が新鮮な私の排
泄物をむさぼっていた。今思えばここでは完璧な“食の循環”が実現し
ている。

だが、これで私は完全に食欲を失った。これがトラウマになって、決し
て宗教上の理由ではなく、長い間、私はブタが食えなかった。

その2。

小学校の同級生に、当時の天津領事の息子(小山田あきら?)がいて、
放課後、いつも領事館へ遊びにいっていた。ほとんどは広大な領事公邸
の中で遊んでいたが、ある日、門の外に来る物売りの声に誘われて外に
出た。

天秤にかけた台に切り分けた瓜が載っていた。それが喰いたくて「どれ
がうまい?」と私たちに付き添ってきた領事館の守衛に聞いた。守衛は
「ツエーガ(これだよ)」と指差したのは、ハエが一番多く群がってい
る瓜だった。

“動物学的”に言ってそれはそうだろうと納得したのはずっと後のこと
だが、ハエがたかっているのは汚いという考え方は彼らにはないらしい。

いつだったか大分昔、多分、日中国交回復の頃、「中国にいまや1匹の
ハエもいなくなった」という提灯記事をどこかの新聞で読んだ記憶があ
るが、決して信じなかった。私の幼い頃の確かな記憶が記事のウソを見
破った。

その3。

父が勤めていた会社の管理職住宅は鉄筋コンクリートの一戸建ての“豪
邸”で、玄関を入ったところに、日本流で言うと、女中部屋があった。
女は阿媽(アマ)と私たちが呼んでいた纏足の小柄な女だったが、時々、
旦那が小さな女の子を連れて泊まりに来ていた。

女中部屋は6畳ほどの小さな部屋だったが、遊びに行くと、部屋の隅に
花瓶のような形の壷が置いてあって、そこに時々、「ペッ」と痰を吐く、
というか飛ばす。

それがまた結構遠くから正確に痰壷のど真ん中に命中するのを、何の不
思議もなく見ていたのを思い出した。ホールインワンどころではない。
アルバトロス級である。北京オリンピックで「痰飛投」などという種目
が出来たら間違いなく金だろう。

人前での屁は慎むが、食事中、げっぷは割と平気でやる。屁は平気だけ
ど、げっぷは禁忌という国もあると聞く。生活習慣がそんなに違う民が
十数億人もすぐそこにいる。

痰。さてどうするか。

話題はそれますが、昭和18・9年当時、幼馴染の父、小山田天津領事
とその家族の消息を知りたいと思っています。その頃、いつもアイスキ
ャンディーを作ってくれた、髪の長い、美しいお姉さまがいました。確
か、「たえ」さんでした。

2019年01月11日

◆自社で半導体製造に成功と自賛

宮崎 正弘


平成31年(2019年)1月9日(水曜日)通巻第5946号  

 ファーウェイ、自社で半導体製造に成功と自画自賛
  台湾からも半導体材料の高純度化学品の製造ノウハウが漏れていた

ドイツの台湾現地法人BASF(ドイツ化学産業の最大手)から、高純度
化学品の製造ノウハウが、高額の賄賂に転んだ台湾人のBASF従業員に
よって中国のメーカーに漏れていた。

江蘇省の「江化微電子材料」の新工場で生産された製造技術は、そのプロ
セス、ノウハウがBASFの機密とされるものだった。

台湾には内務省に「営業秘密法」を取り締まる権限が付与されており、台
湾のBASF職員、元従業員の六人を逮捕した。約束された報酬は7億円
で、実際に一部が支払われたが、BASFの見積もる損害額は120億円
に達すると言われる。

米国のトレードシークレット法(企業機密法)は厳格に適用されている
が、日本ではこれにたぐいする法律もなければ、そもそも国家防衛機密を
取り締まる「スパイ防止法」さえない。

自衛隊員の結婚でも、中国人を配偶者とする隊員が800名前後もいるとさ
れ、諸外国のように「外国籍の配偶者を持つ者は将官以上にはなれない」
という内規もない。現に中国人女性と結婚した自衛隊員から軍事機密が多
数、中国に漏れている。

 台湾BASFのケースは氷山の一角でしかなく、多くの日本人技術者は
中国で製造ノウハウを教え込んでいる。高給でスカウトされたか、ハニー
とラップの結果?
電池、材料、医療器具、AI、クラウドそのほか、この無政府状態的な日
本の状況をみれば、米国が日本に最高機密を供与することはないし、日本
がドイツとともに米英豪加NZの「ファイブ・アイズ」に加盟できる要件
もないということである。
      

◆平成最後の天皇誕生日

櫻井よしこ


「国柄を考える、平成最後の天皇誕生日」

12月23日、平成の時代最後の天皇陛下のお誕生日を祝って、わが家でも朝
早くから国旗を掲揚した。いつ見ても日章旗は清々しく美しい。白地に赤
い日の丸。無駄がなく、これ以上ないほどすっきりした構図である。

この日、皇居は3度にわたって日の丸の小旗の波で埋まった。誰しもが天
皇ご一家のお出ましに感動し、平成の30年をしみじみと振りかえったこと
だろう。

各紙朝刊で陛下のお言葉を読んだ。お誕生日に先立って行われた皇居宮殿
での会見で、天皇陛下が読み上げられたお言葉には国民に対する慈愛が溢
れている。常に国民に寄り添いたいとのお言葉どおり、両陛下の視線はあ
くまでも弱い人々、犠牲になった人々に、まず向けられている。とりわけ
沖縄の人々に対しての思いを、このように語られている。

「沖縄は、先の大戦を含め実に長い苦難の歴史をたどってきました。皇太
子時代を含め、私は皇后と共に11回訪問を重ね、その歴史や文化を理解す
るよう努めてきました。沖縄の人々が耐え続けた犠牲に心を寄せていくと
の私どもの思いは、これからも変わることはありません」

「先の大戦」の激戦地への慰霊の旅については、「戦後60年にサイパン島
を、戦後70年にパラオのペリリュー島を、更にその翌年フィリピンのカリ
ラヤを慰霊のため訪問したことは忘れられません」と語られた。

『朝日新聞』の皇室担当特別嘱託の岩井克己氏が特に言及していたが、明
治・大正・昭和から続く歴代天皇の中で、今上陛下は一度も軍服を着るこ
となく、また在位中に戦争のなかった例外的存在である。

犠牲者に対して常に深い思いを語られるのは、そのようなお立場もあって
のことだろうか。御自分の御世について「平成が戦争のない時代として終
わろうとしていることに、心から安堵しています」と述べられたくだり
は、今上陛下の平和に対する強い思いが反映されている。

ご結婚から60年

国内で発生した自然災害の犠牲についても多くを語られ、困難を抱えてい
る人々に「心を寄せていくことも、私どもの大切な務め」とされたくだり
では、自然に、今上陛下と共に各地に行幸啓なさった美智子皇后のお姿が
浮かんでくる。

国民の心にもしっかりと焼きついている美智子さまの、国民への深い思い
やりと共に、民間から皇室に嫁がれた特別の体験、ご結婚から2019年で60
年になる長い道を立派に歩んでこられたことについて、天皇陛下はお心の
こもった労いの言葉を語られた。

「振り返れば、私は成年皇族として人生の旅を歩み始めて程なく、現在の
皇后と出会い、深い信頼の下、同伴を求め、爾来(じらい)この伴侶と共
に、これまでの旅を続けてきました。天皇としての旅を終えようとしてい
る今、私はこれまで、象徴としての私の立場を受け入れ、私を支え続けて
くれた多くの国民に衷心より感謝するとともに、自らも国民の一人であっ
た皇后が、私の人生の旅に加わり、60年という長い年月、皇室と国民の双
方への献身を、真心を持って果たしてきたことを、心から労いたく思います」

時折お声を詰まらせながら語られた皇后陛下への「労い」は、まさにお二
人で支え合って重ねてこられた年月の尊さを私たちに示してくださってい
る。家族の大切さどころか、およそどの国の憲法にもある家族条項の一文
字さえない現行憲法の下で戦後の70余年をすごした日本人にとって、両陛
下のご夫婦としてのお姿はこの上なく立派なお手本となる。

今上陛下の慈愛に満ちたお心、天皇皇后お二人の生き方を見せていただい
ていること、さらに平和な日本の国民に生まれたことを、有難く思うばか
りだ。

「来年春に私は譲位し、新しい時代が始まります」「天皇となる皇太子と
それを支える秋篠宮は」「皇室の伝統を引き継ぎながら、日々変わりゆく
社会に応じつつ道を歩んでいくことと思います」。

天皇陛下はこのように御代替わりへの期待を示された。

皇太子さまが新天皇に即位なさる19年は、御代替わりの諸行事に加えて選
挙やW杯、G20などの国際会議、消費増税など、政府にとっても国民に
とっても大変な年だ。さらに国際社会においては、トランプ大統領、習近
平国家主席、プーチン大統領、金正恩委員長や文在寅大統領らが油断も隙
もない外交戦略を展開中だ。

安倍晋三首相は新年1月4日に配信される「言論テレビ」の番組収録で、こ
れら手強い外国首脳との外交においては、「率直に話をすること、約束を
守ること」が大事だと語った。

嘘も含めた駆け引きこそ外交だと心得ている国々が少なくない中で、日本
国の首相の唱える道は王道である。そうした王道を歩み続けるのが日本の
国柄である。

神道の価値観

そこで、私たちはこの御代替わりに際して、改めて日本の国柄について考
えたい。日本の国柄の核は皇室である。皇室の伝統は神話の時代に遡り、
それは神道と重なる。神道については経典や聖書に相当するものがないた
めに、これを評価しない人々がいる。しかし、博覧強記の比較文化史家、
平川祐弘氏は『神道とは何か』(共著・錦正社)でこう書いている。

「神道の力は、教えられようが教えられまいが、神道的感受性が多くの日
本人の中に生きている、という点にひそんでいると思います」

理屈ではない感性のなかに神道の価値観は深く根づいている。その価値観
は穏やかで、寛容である。神道の神々を祭ってきた日本は異教の教えであ
る仏教を受け入れた。その寛容さを、平川氏はモーゼの十戒の第一条、
「汝我ノホカ何物ヲモ神トスベカラズ」と較べて、際立った違いを指摘す
るのだ。

神道と他国の一神教は正反対であり、日本書紀、古事記の時代から一人一
人の人間を大切にするわが国の伝統も特徴だ。

このような価値観を、皇太子さま、秋篠宮さまに受け継いでほしいと、今
上陛下は仰った。

世界が混沌とする中で、19年の日本は恐らく、自らの足下を、あらゆる意
味で強化することが求められる。そうしなければ国際社会の大変化を生き
抜いていけないような局面も生まれてくる。

そのときに日本が日本らしく生き続けるために必要な力は、日本がどのよ
うな文化文明、伝統に由来するか、民族の原点を認識することから生まれ
るのではないか。世界情勢が急速に変化する中で、皇室に期待される役割
は、さまざまな意味で大事である。平成最後の天皇陛下のお誕生日も夕方
になり、私は掲げた日の丸を取り込み、大切に丁寧に畳んだ。


『週刊新潮』 2019年1月3日・10日号 日本ルネッサンス 第834回

◆切らずに治せるがん治療

田中 正博 (医師)

がん治療の3本柱といえば、手術、化学療法(抗がん剤)と放射線療法です。副作用なく完治する治療法が理想ですが、現実にはどの治療法も多かれ少なかれ副作用があります。

がんの発生した部位と広がりにより手術が得意(第一選択)であったり、化学療法がよかったりします。
 
また病気が小さければ、負担の少ない内視鏡手術で治ることもあります。 放射線療法は手術と化学療法の中間の治療法と考えられています。 手術よりも広い範囲を治療できますし、化学療法よりも強力です。

昔から放射線療法は耳鼻咽喉科のがん(手術すると声が出なくなったり、食事が飲み込みにくくなる、など後遺症が強い。)や子宮頚がん(手術と同じ程度の治療成績)は得意でした。 

最近は抗がん剤と放射線療法を同時に併用することで、副作用は少し強くなりますが、治療成績が随分と向上しています。

食道がんでは手術と同程度の生存率といわれるようになってきました。手術不可能な進行したがんでも治癒する症例がでてきました。

また、手術と放射線療法を組み合わせることもしばしば行われています。 最新鋭の高精度放射線療法装置や粒子線治療装置を用いれば、副作用が少なく、T期の肺がん、肝臓がん、前立腺がんなどは本当に切らずに治るようになってきました。

また、残念ながら病気が進行していたり、手術後の再発や転移のため、今の医学では完治が難しいがんでも、放射線療法を受けることで、延命効果が期待できたり、痛みや呼吸困難などの症状が楽になることが知られています。

放射線療法以外の治療が一番いいがんも沢山ありますので、この短い文章だけで放射線療法がよいと判断することは危険ですが、がん治療=手術と決めつけずに、主治医の先生とよく相談されて、必要に応じてセカンドオピニオン(他病院での専門医の意見)を受けられて、納得できる治療を受けられることをお勧めします。      
          大阪市立総合医療センター 中央放射線部