2019年02月10日

◆10年後に世界は中国に支配される

宮崎 正弘


平成31年(2019年)2月7日(木曜日)通巻第5985号  

「いま中国のBRIと戦わなければ10年後に世界は中国に支配される」
  CSISは「BRI」を「デジタル・シルクロード」と新命名

 ワシントンの有力シンクタンクCSISは、中国のシルクロートは、情
報の安全が疑わしい。サイバーセキュリティの分野で関連諸国は脅かされ
ている」とする報告祖を出した。

シルクロードは「デジタル・シルクロード」というわけだ。

「日米ならびに西側列強は、ファーウェイ、百度、アリババなどが関与す
るプロジェクトに対抗するための共同の作業を検討し、早急にアジア諸国
にデジタル投資を積極化するべきである」という。

また國際政治改良財団のロバ−ト・アトキンス理事長は「いま西側が団結
して、中国のデジタル・シルクロードに対抗しなければ、10年以内に世界
は中国の5Gシステムに支配されてしまうだろう」と戦闘的な考慮を促し
ている。

中国がパキスタンのグアダール港から人民解放軍1万を駐屯させているア
フリカのジブチまで、6200キロの海底ケーブルを工事していることが判
明、アフリカと中東の通信市場も、独占する野心が見えてきた

        
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読者の声 ☆どくしゃのこえ ★READERS‘ OPINIONS
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  ♪
(読者の声1)貴誌でおりおりに話題となったフェルメール展、雑誌『正
論』もずっと表紙、裏表紙がフェルメールです。老生、やっと時間を見つ
けて行ってきましたが、長い列、1点をみるのに1人平均30秒でした。こ
れで人1800円! 宮崎先生も上野の森美術館へ行かれましたか?
  (TY生、水戸)


(宮崎先生のコメント)小生はオランダの各地の美術館とドレスデン、そ
れからアイルランドのダブリンの美術館で、ゆっくりと、それこそ一点
15分ほど。客が少ないし、写真撮影もOKでした。したがいまして上野
には拝観に行っておりません。


◆おきゅうと って知ってる?

毛馬 一三


郷里福岡の友人が初めて案内してくれた博多料理屋で、「おきゅうと」が出た。

エゴノリという海藻から作った食品で、生姜、ゴマ、かつおぶしなどを振りかけ、それにポン酢を注いで食する。涼感を誘うツルッとした味わいと、磯の香りの食感が口内いっぱい広がった。

久し振りの味は、淡泊ながら旨みと滋味に溢れた、福岡特産の食感を十分に嗜め、郷愁を身近に感じた。

ところが、この「おきゅうと」を知る人は意外に少ない。筆者自身も、福岡出身でありながら、福岡から僅か離れた筑後・久留米で育ったので、「おきゅうと」の名前すら幼少の頃は耳にしたこともなく、食膳に上った記憶も無い。

筆者が、料理の一品として魅せられたのは、社会人になってからだ。以来、「おきゅうと」の愛好者になった。下戸なので、お酒のつまみではなく、専ら深みのある味を、ゆっくり箸を付けながら食する楽しみ方だ。

エゴノリが生育する日本海側の秋田、山形、新潟、長野の各県では「えご」、宮崎県では「キリンサイ」などと呼ばれて食用にされているらしいが、「おきゅうと」とは言わない。食べ方も福岡とは全く異なる。

さて、肝腎の「おきゅうと」の名前の由来だが、
1.「沖の独活(ウド)」説。エゴノリはウドの木の様に早く育つので、沖のウドが転訛した。
2.沖からやってきた漁師が作り方を伝授したから「沖人」(おきうど)説。
3.飢饉の際に簡単で大量に作られ多くの人を救ったから「救人」。
などの諸説あるらしい。

「おきゅうと」の食べ方だが、
・真空パックの中に5枚入っている添加物不使用
・厚さ約3mmの「おきうと」を、水洗いして、幅2〜3mmくらいに切る。
・それを器に盛りつけ、生姜、ゴマ、かつおぶしなどをふりかけ、醤油またはポン酢で食べる。また、酢味噌などでもおいしい。

いとも簡単に食することができる。しかもふりかけ材の工夫では、味付けが自分の好みに合わせられるだけに,楽しみも倍増だ。

大阪人でも初めて食べた時は、独特な味覚と触覚に戸惑うらしい。しかし2度目からは、仄かな磯の香り・海苔の風味、涼感を誘う喉ごし、溢れる旨みと滋味に魅せられて、愛好者は増えていると云う。

「おきゅうと」は「めんたいこ」と共に、数百年の昔から朝食の一品を占め続けて来た福岡・博多の食文化の代表であり、福岡・博多の人々はその重みを了知している。

残念なことに大阪では、「飲み屋」か「博多料理店」に行かないと「おきゅうと」には、お目にかかれない。近郊スーパーにはその姿が消えてから長い。情けない話だ。

郷里福岡に帰省した福岡高校同窓会の先輩が、地元でしか味合えない特製「おきゅうとの店に立ち寄り、味わいを実感してきた」と述懐していた。

こればかりは、郷里特性の「おきゅうと」だから、羨ましい限りだった。(了 再掲)  
参考:ウィキペディア       

2019年02月09日

◆「借金の罠」に気をつけよう

宮崎 正弘


平成31年(2019年)2月8日(金曜日)通巻第5986号  

 アフリカ開発銀行(AFDB)も警告「借金の罠」に気をつけよう
  ジブチ、ナイジェリア、スーダンなど金融破綻が近い

IMF世銀は中国から膨大な借金を抱え込んだパキスタン、モルディブ、
スリランカなど15ケ国を「債務超過」として名前を挙げるレポートを出し
たが、アフリカ開発銀行(AFDB)も、これに倣った。

とくにAFDBは域内の破産可能性国家としてジブチをあげ「中国の借金
による悪性の財政難に瀕している」とした。

2017年のアフリカの債権市場はユーロ債権で溢れていた。およそ700億
ユーロから1000億ユーロの範囲で、アフリカ諸国の債権が取引され、つぎ
に中国のマネーが流入した。

単年度で負債がGDPの5%以内なら、一応の基準と観るのがAFDB
で、EUのそれは3%である。

全般的に東アフリカはGDP成長率が平均6%、エチオピア、ルワンダ、
タンザニアなどが成長を固めていたが南スーダンの内戦勃発で、いずれも
低成長に陥った。

西アフリカも原油価格下落でナイジェリアが挫折、部族闘争が再燃し、付
近のセネガル、コートジボワールなどが不況の再来となった。

南部アフリカでも南アが経済的停滞にあって周辺国の成長は望み薄であ
り、アンゴラは付加価値税を導入し、歳入不足を補う。ほかの国々は歳入
が予算の75%を満たせず、不足分を中国からのオファーに飛び乗る形で
経済発展にしがみつこうとする。

南アとナイジェリアはまもなく大統領選挙を迎え、消費物価の値上りを抑
え込む政権は焦りを見せている。

中国は、アフリカに向こう3年間で600億ドルを投じると豪語している
が、種々の事情からその実現は困難ではないか。 
        

◆中国が始める宇宙戦争

櫻井よしこ

 
「月を独り占め、中国が始める宇宙戦争」

都会の真ん中に住んでいても美しい月に見とれる夜がある。38万キロ離れ
た地球から眺める月は、欠けていても満ちていても冴え冴えと美しい。満
月のとき、目を細めてじっと見れば、平凡な言い方だが、そこには明らか
にうさぎがいる。

いまその月面で人工物がひとつ走り回っている。中国の探査車「玉兎」で
ある。

1月3日、中国の月探査機「嫦娥(じょうが)4号」が人類初の快挙、月の裏
面着陸を成し遂げた。少しも嬉しくない。中国は2007年に嫦娥1号を、10
年には嫦娥2号を送り月を周回させた。これで月面の詳細な地図を作成
し、13年に嫦娥3号が月の表側に、今回、嫦娥4号が人類未踏の月の裏側に
着陸し、探査車の玉兎を月面に降ろした。

50年前、アメリカの有人宇宙船アポロ11号が月に降り立ち、アームストロ
ング船長が人類初の一歩を月に刻んだ。そのときの中継画像を当時学生
だった私はカナダ・アルバータ州の友人の家族と共に見た。アメリカ人で
はないカナダ人も日本人の私も皆、釘づけだ。興奮と驚嘆と憧憬、まるで
わがことのような嬉しさを分かち合ったのを覚えている。

今回そんな高揚感はない。中国が宇宙戦争でアメリカの先を行くのかと、
むしろ不安になる。中国の宇宙開発を振りかえれば軍事的野望は明らか
で、人類の平和的発展とは程遠い征服の意図を感じるからである。

21世紀の戦争はサイバー空間と宇宙から始まる。私たちはすでに08年8月
のロシアとグルジア(ジョージア)との戦い、14年3月のロシアとウクラ
イナの戦いで、サイバー戦争が行われたことを知っている。

小野寺五典前防衛相が「言論テレビ」で語ったのだが、ウクライナでは、
まず突然携帯電話がつながらなくなり、テレビ、ラジオ各局の通信が遮断
され、公共の交通機関が止まった。ウクライナ軍の混乱の中、見知らぬ
人々がやってきて街を占拠した。それがロシア軍で、クリミア半島はいと
も簡単に奪われた。

ミサイルで気象衛星を破壊

ロシアはすでに少なくとも二度、人類にサイバー戦争を仕掛け、ロシアに
反対する勢力を倒し、国土を奪ったわけだ。

月に手を掛けた中国は今後、ロシアを上回る規模で本質的に同様の行動に
出ると心得ておくのが正しい。外交・安全保障の専門家で中国問題に詳し
い小原凡司氏も「言論テレビ」で、「宇宙戦争の幕を開けたのは中国」だ
と明言し、その始まりは12年前に遡ると指摘した。

嫦娥1号の月周回と同じ07年、中国は高度850キロにあり、すでに寿命が尽
きていた自国の気象衛星を地上発射のミサイルで破壊してみせた。このと
き世界は本当に驚いた。

「あの驚きは、中国が衛星破壊能力を身につけたためではありません。そ
ういうことを中国は本当にやるのだ、ということで驚いたのです」と、小
原氏。

冷戦後、米露両国は互いの衛星を破壊することはしないという暗黙の了解
に達していたのだという。衛星の破壊は、相手の目や耳を潰すことだ。相
手の状況を見ることができず、通信もできない。自分たちが偵察に行って
も情報も入ってこない。当然、疑心暗鬼に陥り、恐怖心に駆られる。衛星
を破壊されたうえで攻撃されればどうなるか。衛星なしには精密なピンポ
イント攻撃は不可能であるから、まともな反撃はできない。そこで大量破
壊兵器で広い範囲を一挙に潰そうという悪魔のささやきに乗せられてしま
う。かくして核兵器使用の動機が高まり、人類を悲劇に陥れる。

このようなことが十分考えられるため、衛星破壊はしないという暗黙の了
解が生まれたと、小原氏は語る。

「その暗黙の了解を破ったのが07年の中国だったのです。彼らは本当に戦
争する気なのかと、国際社会は驚きました。さらに中国は13年までに、高
度3万キロメートルから4万キロメートルの、いま最も高い軌道にある静止
衛星の破壊能力を確立したと言われています。静止衛星も含めて地球を周
回している衛星のほぼすべてを破壊する能力を、彼らは手にしたと見られ
ているのです」

中国共産党中央委員会の政治理論誌『求是』の10年12月号には、次のよう
に書かれている。

「衛星への攻撃は米国を攻撃する最も効果的な手段だ。速やかに宇宙兵器
開発の努力をすべきだ。最終的に人工衛星からミサイルを発射できるよう
になれば、米国はどこにも隠れる場所がないと知るだろう」

アメリカを標的にして屈服させようという意図は明らかだ。このような意
図が、少なくとも中国の軍事戦略の司令塔である中央軍事委員会の下で発
表されている。彼らの「宇宙強国」計画では、20年末までに中国版GPS
「北斗」の35機打ち上げが決定されており、中国は全世界に「監視の目」
を持つことになる。

人民解放軍の能力

全世界、全天候型の地球観測システムの運用について、中国は民間用の衛
星網だと説明する。北斗は測位精度が2.5メートル程度とされており、ア
メリカの衛星に較べれば、能力は落ちる。中国の発表をどのように読み解
くのがよいのか。小原氏の説明だ。

「民間用の衛星網とされる北斗より、地上にある物体の探知、識別能力を
非常に重視している中国人民解放軍(PLA)の衛星の能力はもっと高い
と見てよいと思います。PLAの太平洋上における探知範囲は500万平方
キロメートルに及ぶと、これは彼ら自身が喧伝しています。それほど広い
海域で、米海軍の艦船を対艦弾道ミサイルで攻撃するのに必要な探知能力
を身につけたと言っているわけです」

一群の北斗打ち上げは20年には達成される。それをさらに強化するのが、
22年までに完成予定の中国独自の宇宙ステーション「天宮」だ。有人で長
期滞在型の宇宙ステーションを中国が完成させる構えなのに対して、日米
露など15カ国が参加する国際宇宙ステーション(ISS)の先行きは不安
である。

トランプ米政権は25年までに資金拠出を打ち切り、ISSの運営を民間に
移転するとしている。ロシアはロシア単独の宇宙ステーション建設を模索
中で、欧州は宇宙計画を継続する方向だ。ISSがどのような形で継続さ
れるのか、また、各国の宇宙政策の形もまだ見えてこない。ひとつ明確な
のは、中国だけが宇宙ステーションを持ち宇宙を独占するという最悪の状
況は避けなければならないということだ。

中国の戦略の息の長さ、継続する国家の意志の、真の脅威を実感する。軍
事的要素を忌み嫌い、国防についてまともに考えもしない日本は、自力で
自国を守れない。そんな国など、国家とは言えないということを肝に銘じ
たい。

『週刊新潮』 2019年2月7日号日本ルネッサンス 第838回

◆中性脂肪が気になる人の食事療法

庄司 哲雄


<中性脂肪とは>
血液中の中性脂肪(トリグリセリドともいう)には二つの由来があり、食事で摂取した脂肪が小腸から吸収され血液中に現われたものと、肝臓で炭水化物から脂肪に作り変えられて血液中に放出されたものがあります。

いずれも、体の組織でエネルギーとして利用されるのですが、血液中の濃度が極端に(1000mg/dL以上)増えすぎますと、急性膵炎を引き起こすことがありますし、それほどでない場合でも(150mg/dL以上)動脈硬化の原因のひとつになります。

<中性脂肪を下げる食事の第一歩>
食事療法の基本は、摂取エネルギーの適正化です。脂肪の摂りすぎのみならず、炭水化物の過剰も中性脂肪を増やしてしまいますので、全てのトータルを適正にする必要があります。

身体活動度にもよりますが、標準体重1Kgあたり25〜30kcal/日程度が適切です。肥満気味の方は少なめにし、減量を目指します。アルコール多飲や運動不足は中性脂肪の大敵です。

<炭水化物と脂肪のどちらをひかえるか>
各人の食習慣により異なる場合がありえますが、炭水化物1グラムで4kcal、脂肪1グラムで9kcalですから、脂肪摂取を控えることが大変効果的です。

<ジアシルグリセロールとは>
少し難しくなりますが、中性脂肪とはグリセロールという物質に脂肪酸が3つ結合した構造(TAG)をしており、いわゆる「油」です。

これに対して、脂肪酸が2つだけ結合した油もあり、これをジアシルグリセロール(DAG)といいます。同じような油であっても、小腸で吸収されてからの代謝が異なるため、中性脂肪の値や体脂肪への影響の程度に差があります。

通常の油TAGは、小腸で膵リパーゼという酸素のはたらきで、脂肪酸が2つはずれ、脂肪酸ひとつだけが結合したモノアシルグリセロール(MAG)に分解されます。それぞれは吸収された後、小腸でまた中性脂肪に再合成され、血液中に放出されます。

一方、DAGは中性脂肪へ再合成されにくいため、食後の中性脂肪の上昇が小さく、また体脂肪の蓄積も少ないといわれています。最近、DAGを利用した機能性食品が開発されています。しかし、DAGの取りすぎもカロリー 過剰につながりますので、通常の油TAGとの置き換え程度にすべきでしょう。

<脂質低下作用のある機能性食品>
動物に含まれるステロールという脂質の代表はコレステロールですが、
植物には植物ステロールという脂質が含まれます。これは小腸でのコレステロール吸収を抑制する働きがあります。

<専門医に相談すべき病気>
中性脂肪の増加する病態には、糖尿病やある種のホルモン異常、稀には先天的な代謝障害もありますので、一度は専門の先生にご相談いただくのも大切だと思います。
(再掲)
<大阪市立大学大学院代謝内分泌病態内科学  >

2019年02月08日

◆「なめたらいかんぜよ」

                          渡部亮次郎


2010年1月10日の産経新聞「小沢氏に訪米要請」にはのけぞった。小沢氏
が如何に「政府」要人では無いとは言え、米政府が、小澤「幹事長」に是
非とも会って「理解と支援を強く望んでいる」というのなら、お出でにな
るのが筋だろう。

<【ワシントン=時事】オバマ米政権の対日政策を担うキャンベル国務次
官補(東アジア・太平洋担当)は8日、時事通信との会見で、日米安全保
障条約改定50周年を記念して、19日に日米両政府が声明を出す計画である
ことを明らかにした。

また、米政府が交渉するのは日本政府代表だが、民主党の小澤一郎幹事長
は「極めて重要な役割を認識している」と述べ、小澤幹事長の訪米を要請
した。

同次官補は、安保条約改定が行なわれた1960(昭和35)年1月19日は「最も
根幹的勝つ重要な日米安保同盟が樹立された非常に重要な日だ」と指摘。

19日に、外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス
2)や両国首脳の声明発表を希望していると述べた。

「我々の交渉相手は日本政府の公式な代表だが、小沢氏の極めて重要な役
割についても認識している。今後、同氏の理解と支援を得られることを強
く望んでいる。是非、同氏に訪米して欲しい。

同氏との充実した対話を模索することに非常に関心を持っている。」>

これに対する小沢氏の反応は明らかでないが、小沢氏は国務次官補(局長
クラス)に舐められたのだから、訪米するわけには行かないだろう。

紳士同士、武士同士の間なら、用事のあるほうが相手を訪問するのが筋だ
ろう。それなのに、日本の命運を左右するもんだいだから
小澤のほうから、訪米したらどうかというのでは、まるで属国の目下のも
のを「呼びつける」のと同じである。

時事通信の記者もどうかしている。何故、この点を質さなかったのか。国
務次官補程度とはいえ、米政府高官に単独インタビューできて舞い上がっ
たのか。

いずれにせよ、この際、小澤氏は訪米すべきではない。北京観光団引率に
次ぐ失態になる。2010・1・10

◆毛馬を出奔した蕪村の理由

                                      石岡  荘十


インフルエンザというか、「はやり風邪」の記述を歴史の中にたどると、今で言う「新型インフルエンザ」はじつは昔から繰り返し起きていたことがわかる。だからいまさら「新型」というネーミングは「いかがなものか」と首をかしげる感染症や公衆衛生の専門家が少なくない。

南北朝時代を描いた歴史物語、「増鏡」にこんな記述がある。

「ことしはいかなるにか 、しはぶきやみはやりて、ひとおおくうせたまふ」「しはぶき」は咳のことだから「咳をする病で多くの人が死んだ」ということだ。また、「大鏡」には、1006年前の寛弘8年(1011年)6月、一条法皇が「しはぶきやみ」のため死亡したと書かれている。

ずっと時代を下って享保18年(1733年)、大阪市中で33万人が流行性感冒にかかり、2,600人が死亡。

注(蕪村が庄屋を引き継げず、庄屋:問屋・宿屋を売却して、毛馬を出奔した。家族も
身内も、蕪村に家督を継ぐがさせようとしたが、父親が死んだ以上、絵だけに頼って
江戸へ下り、俳人巴人を訪ねて、弟子となった。インフルエンザが人生を変えたI

この流行は江戸へ蔓延し、人々は藁人形で疫病神を作り、鉦(かね)や太鼓を打ち鳴らし、はやし立てながら海辺で疫病神を送った、とある。

これらの出来事は、いずれも6月、7月の暑い季節に起きており、疫学的に証明されたわけではないが、どうも、寒い時期に起きるいわゆる季節性の風邪とは違うようだ。

さらに、江戸時代には天下の横綱・谷風がはやり風邪にかかり本場所を休んで、連勝記録が止まってしまった。世間では「谷風もかかったはやりかぜ」と怖れ、四股名にひっかけて、はやりかぜのことを「たにかぜ」と呼んだそうだ。

天保6年(1835年)の「医療生始」という書物には「印弗魯英撒(いんふりゅえんざ)」の言葉が早くも見える。

そして1918年春から翌年にかけて、第1次世界大戦の最中、海の向こうではアメリカに端を発した史上最悪のインフルエンザ「スペイン風邪」がヨーロッパに持ち込まれて猛威をふるい、やがて全地球に蔓延する。

感染者は当時の全地球人口の三分の一の6億人、いろいろな説があるが死者は5000万人に達したといわれる。日本では、大正7年のことだ。当時の人口5500万人に対し最新の研究では死者は48万人に達していたと推定する説もある。当時の新聞の見出しはこうだ。

「西班牙風邪遂に交通機関に影響(東京朝日新聞 大正7年10月31日)」。「電信事務も大故障(読売新聞 大正8年2月6日)」---。

スペイン風邪については↓。
http://www.melma.com/backnumber_108241_4570052/

これらは明らかに、季節性のインフルエンザとは違った。スペイン風邪の病原体が「新型インフルエンザ」と同じA型インフルエンザH1N1と分かったのは、1933年になってからのことである。

つまり、いま問題になっている新型インフルエンザはじつは「新型」でもなんでもなく、「旧型」のリバイバルなのである。その後1997年、アラスカの凍土の中から発見された4遺体から、肺組織の検体が採取され漸くスペイン風邪の病原体の正体が科学的に裏付けられた。

スペイン風邪だけでなく、6月や7月の湿気の多い梅雨のむし暑い季節に流行った「しはぶきやみ」もじつはいまの新型インフルエンザのご先祖様の仕業だったかもしれない。

「新型インフルエンザは時々現れる。1580年以来10〜13回パンデミック(世界規模の蔓延)が発生している」(国立感染症研究所の岡部信彦情報センター長)のである。

アジア風邪は1956年に中国南西部で発生し、翌年から世界的に流行した。ウイルスはA型のH2N2亜型である。H、Nの詳しい説明は素人には手に負えないのでここでは省くが、新型インフルエンザH1N1の親戚筋、「いとこ」か「はとこ」だ。死者はスペインかぜの1/10以下であったが、抗生物質の普及以降としては重大級の流行であった。

40年ほど前、前回の「パンデミック」である香港風邪(H3N2)が1968年に発生。6月に香港で流行を始め、8月に台湾とシンガポールに、9月には日本に、12月にはアメリカに飛び火する。結局、日本では2,000人、世界では56,000人が死亡したと言われている。日本では3億円事件のあの年である。

10年前、1998年にも香港風邪が流行った。このときはH3N2ウイルスだったが、アジア風邪(H2N2)のフルチェンジだったといわれる。

一昨年2007年に流行ったAソ連型インフルエンザの先祖は、30年前の1977年のソ連風邪(H1N1)だ。因みに、ソ連と名前が付いているが、“原産地”、つまり発祥地は中国だといわれている。1977年5月に中国北西部で流行をはじめ、同年12月にシベリア、西部ロシア、日本へ、さらに翌年1978年6月にはアメリカへと飛び火。

ウイルスがスペイン風邪と同型だったということで、研究室に保存されていたスペイン風邪のウィルスが何かの理由で漏れ出したという憶測もあるくらいよく似ている。

これらスペイン、香港、ソ連の風邪は、いずれも近年も流行を繰り返しているA香港型インフルエンザのご祖先、鳥インフルエンザから変異した新種のウィルスによるものだといわれている。

「新型インフルエンザ」とは、人間はまだ感染したことがない新種のインフルエンザのことを言い、新種のウィルスであるため、人間にとっては免疫が働かないとされているが、じつは中にはリバイバル、ちょっと“化粧直し”をして姿を現すものもあることがわかる。

いま大騒ぎしている新型インフルエンザは英語では‘Swine Flu’という。

‘New Type Influenza’などとは言わない。「新型」とまったく別のインフルエンザのような印象を与えるネーミングをしているのは日本だけのようだ。いま流行っているのはブタ由来のインフルエンザなのだが、死亡率が高く本当に怖いのは鳥由来のインフルエンザ(’Avian Flu’ Bird Flu’)である。

過去にも何度か鳥インフルエンザの“震源地”となった中国大陸の関連情報について業界では、今ひとつマユツバだという見方もある。ことによったら香港風邪のリバイバル型が周辺国を窺っているかもしれない。

軍事的な脅威ばかりが声高に議論されているが、ウイルスに対する警戒を怠ってはならない。


2019年02月07日

◆憲法改正には、女性の声がどうしても必要だ

加瀬 英明


私は仕事で、アメリカや、ヨーロッパをしばしば訪れてきた。いまでも毎
年、ワシントンに春と秋に通っている。

欧米ではカーナビをはじめ、さまざまな案内や指示が、男性の声によって
行われているほうが多い。ところが、なぜか、日本ではほとんどが、女性
の声だ。

交差点では、交番の拡声器から女性警察官の声で、「左右をよく見て、お
渡り下さい」という注意が流れてくる。

なぜなのだろうか。どうして案内や、指示というと、日本では女性の声が
用いられるのだろうか。

日本は女性が優っている国なのだ。女性が家庭を取りしきって、支配して
いる。父親ではなく、母親が家庭の中心だ。男たちは幼い時から、母親に
よって育てられ、躾けられる。

日本では男たちは、女性の声には安心して従うものの、男性の声だと反発
して、すなおに受け容れない。

日本では祖国を、母国と呼ぶ。出身校は母校だ。敷地のなかで、もっとも
大きな家は母屋(おもや)だ。乳母車(うばぐるま)や、トラックにかかって
いるホロを、「母衣(ほろ)」と書くが、武士が戦場で首筋を守るために、
後頭部にかけた鎖の綱のことだ。いつも、母が守ってくれるのだ。

英語、ドイツ語では、「母国」(マザーランド、ムターラント)ともいう
が、「父国」(ファーザーランド、ファータラント)とも呼ぶ。フランス
語になると、「父国」(ラ・パトリ)しかない。

母親はできる子も、できない子も、均しく愛してくれる。父親はできる子
と、できない子を区別する。日本が平等な和の国であるのに対して、西洋
は厳しい競争社会だ。

西洋は男尊女卑の社会だ。女は弱者だから大切に扱われるが、女のほうが
男に甘えて我儘(わがまま)になる。弱い者のほうが我儘になり、強い者は
耐えるものだ。日本では男が我儘で、女性が男が我儘であるのを許す。男
が弱者だ。

日本では女性が男性に対して、「男らしくしなさい」と叱るが、西洋では
男から男にしか「ビー・ア・マン!」(男らしくしろ)といわない。西洋
では夫が家計を握っているが、日本では夫が妻から小遣いを貰う。

日本神話の主神は、女神の天照大御神でいらっしゃるが、西洋ではギリ
シャ、ローマ、北欧神話など、どの神話をとっても、主神が男性神であっ
て、厳格な独裁神である。

日本は歴史を通じて人と人との和を、もっとも大切にしてきたために、平
安時代の400年、江戸時代の260年にわたって、平和が保たれた。このよう
に長く平和を享受した国は、世界のなかで日本しかない。これも、女性が
優っている国だからだろう。

いま、日本を取り巻く国際環境が激変している。日本の平和を守るため
に、現行憲法を一刻も早く修正する必要に迫られている。

ところが、12月に終わった国会会期では、憲法審査会が開かれたのに、野
党が改憲について論議するのを拒んだので、憲法が論じられなかった。

野党は憲法を軽視して、おろそかにしている。もし、真剣に護憲を主張し
ているのなら、「日本がアメリカの占領下のままでいるべきだ」と、どう
して堂々と主張しないのか。

日本の平和を保ってゆくためには、憲法を厳しい現実に合わせなければな
らない。

憲法を改めるためには、女性の声がどうしても必要だ。女性が男たちを励
まして、憲法改正運動の先頭に立ってほしい。

◆ファーウェイは生き残れるか?

宮崎 正弘


平成31年(2019年)2月5日(火曜日)弐 通巻第5082号  

 ファーウェイは生き残れるか? 基地局の契約キャンセル相次ぐ
  「自社製半導体が5割」と豪語するが、その実態たるや台湾製

ファーウェイの排除を決めた米英につづき、豪、NZ、そしてカナダ、仏
蘭西。日本も政府機関から事実上ファーウェイを締め出すうえ、ソフトバ
ンクも、ファーウェイ基地局をやめる方向にある。

ドイツテレコムも「ファーウェイ使用を見直す」と再検討に入った。メル
ケルは独中蜜月時代の終わりを見据えて、四年ぶりに日本にやってきた。
まさに世界市場で孤立無援、四面楚歌となったファーウェイは、ZTEと
ともに生き残れるのか?

まず地上局をみると、世界トップのファーウェイが27・9%のシェアを占
めており、四位のZTEが13%、併せて中国勢は40・9%を占めるうえ、
世界の30の企業と5Gシステムでの地上局建設契約を締結している。
 
他方、北欧勢の地上局の強さは、二位のエリクソン(スウェーデン)が世
界シェアの26・6%、ノキア(フィンランド)が23・3%で、両社を併せ
た北欧勢が49・9%となって、世界の地上局の過半を寡占している(ち
なみに日本勢はと言えば、NECがわずかに1・4%,富士通は0・9%
と昔日の面影はなく、競合相手とは認定されていないかのようだ)。

米国は「ファーウェイをスパイ機関」と認定し、排撃し、同盟国へ同調を
促したが、さて地上局とインフラをファーウェイからほかのメーカーに変
更するとなると、関連施設からケーブルなど下部構造システムも変更する
ことになり付帯工事は費用が3−4割程度かさ上げされることになる。
それでも「ファイブ・アイズ」(米英、豪加にNZ) ならびに日・独、
EU列強は、米主導の安全保障の見地から排除するのは当然な流れにして
も、発展途上国はそうはいかない。

たとえば南アジアの国々へ行くと、ファーウェイ基地局建設費用まで中国
の銀行が融資してくれるという「有り難い」条件の下、格安のスマホ普及
となれば、やはり世界は米中で二分化へと向かうだろう(詳しくは拙著、
渡邊哲也氏との共著『2019年 大分断する世界』<ビジネス社>を参照さ
れたし).

半導体の供給は、クアルコム買収失敗と、インテルの半導体供給中断に
よって、ZTEがスマホの製造が不可能となって悲鳴を挙げたが、追加措
置で、米国が台湾UMCを起訴したため、同社の中国工場が事実上立ち上
げ不能となった。

UMCは福建省のJIHCC工場の立ち上げに全面協力して、製造にノウ
ハウを提供するとして既に300名のエンジニアを派遣していた。つまり
事実上の台湾企業が巧妙なかたちで中国での製造拠点化を狙っていたので
ある。


 ▼半導体メーカーUMCもTSMCも台湾企業ではないか

台湾最大のTSMSも中国における営業生産活動に支障が出ており、
ファーウェイは「自社製の半導体態勢を目ざす」「すでに半導体の五割は
自社製だ」としたが、その実態はUMCとTSMCの台湾のメーカーを含
めたことなのだ。実態は87%が輸入である。

鴻海精密工業(フォックスコム)は中国全土で130万人の雇用を減らす方
向になり、先月までに約10万人をレイオフした。

さらにはトランプと約束した米ウィスコンシン州の新工場も縮小するとし
ていた。突如、トランプ大統領からCEOの郭台銘に電話があって、米国
工場は計画通りに建設するとしたが、需要が激減しているため採算ベース
に乗せられるか、どうか。

ついでに言えば、郭台銘は台湾企業「鴻海精密」の創業者とはいえ、両親
は山西省からの移民、外省人であり、その中華思想的なメンタリティは北
京にある。純粋に台湾企業とは言えない。

ファーウェイがいくら自社製を増やすと豪語しても、根本的には半導体製
造設備が米国と日本で寡占しており、もっと細かく見れば、これらの工場
の生産過程で必要な稼働モーター、ロボット、コンプレッサーなども日本
製だ。ファーウェイと取引のある日本企業は30社。ソニー、パナソニック
を筆頭に日本電産、村田製作所、安川電機、三菱電機、リコー、ファナッ
クなど錚々たる上場企業が、このところ軒並みに営業利益の下方修正を発
表し、連動して株安に見舞われている。ファーウェイ・ショックの悪影響
である。

また日本国内でのファーウェイのスマホ販売が急減している。

消費者が「使っても大丈夫なのか」(ファーウェイがスパイ機関と米国が
断定し、日本でも関連の出版や報道が相次いだ)。NTTドコモの販売店
ではファーウェイのスマホは数パーセントに過ぎないが、「楽天モバイ
ル」は半分がファーウェイ製品である。
 

 ▼高関税の貿易戦争は取引されるだろうが。。。。。。

米中貿易戦争は2月末におそらくトランプと習近平で最終的な話し合いが
行われ、米中が取引するだろうが、これは関税率の問題であり、大豆と豚
肉が論点というレベルの話である。

深刻な問題は次世代ハイテクの覇権をめぐる米中戦争であり、いよいよ
5G開発戦争、第2幕が始まる。

さて日本の半導体業界はいったいどういう現状にあるのか。

1990年の状態を思い出すと、世界十傑のうち、トップのNEC以下、東
芝、日立、富士通、三菱、松下(パナソニック)と6社がランク入りして
いた。モトローラ、インテル、テキサツの米社が3社、そしてオランドの
フィリップスだった。

4半世紀が経って、2017年のランキングを見ると、十傑に残るのは東芝だ
け。それも東芝メモリーは日米韓のファンドの傘下となって、あとは何
処? といえばランク外に「ルネサス」があるだけだ。

ちなみにトップはサムソン(韓国)、以下インテル(米)、SKハイニッ
クス(韓国)、マイクロン(米)、クアルコム(米)、ブロードコム(シ
ンガポール籍)、テキサス・インスツルメント(米)、ウエスタン・デジ
タル(米)と続く。

期待された「ルネサス」は、日立と三菱の半導体部門が合併した上に
NECのエレクトロニクス部門が加わった新社だが、その後も業績は伸び
悩み、人員の削減を繰り返し、2018年にはまたも千人を削減する。
      

◆対露外交は希望的観測を持つことなく

櫻井よしこ


「対露外交は希望的観測を持つことなく厳しい要素を過小評価しないのが
大事だ 」

「心配が現実になった」と感じた日露首脳会談だった。1月22日、日本時
間の夜8時45分から小1時間遅れで始まった日露首脳会談は、約3時間続いた。

その後、安倍晋三首相とウラジーミル・プーチン大統領の共同記者会見が
行われたが、中継画像で両首脳が会見場に入った姿と表情から不首尾は瞬
時に見てとれた。

会見ではまずプーチン氏が、「たったいま、会談が終わりました。非常に
ビジネスライクな建設的なものでした」と素っ気なく語り始めた。氏の話
は二点に大別される。日露経済協力の具体的プロジェクトの進展具合と、
平和条約締結についてである。

明らかに前者には力が入っており、全体の約4分の3を占めた。貿易はこれ
から数年間で1.5倍の300億ドル(約3兆3000億円)にするなどの具体的目
標も語った。

他方、平和条約締結についての話は全体の4分の1でしかない。その内容
も、「私たちは平和条約の締結を目指します。調整担当として外務省高官
と外務大臣を任命しました」などというものだ。

日本側は平和条約と領土の問題は、外務省ルートでは実際の話は進まない
ため、別ルートでの交渉に期待をかけてきた。そのうえで最終的に安倍・
プーチン両首脳の決断によってのみ、解決できると考えている。プーチン
氏の発言はそうした日本の腹づもりに応えるものではないだろう。

安倍首相が日露間の往来者数がふえて、昨年は過去最高だったと発言し
た。昨年ロシアから日本への訪問者数は年間10万人に達し、逆もほぼ同水
準だったという。いま関係がギクシャクしている韓国からでさえ、毎日2
万人以上が訪日している。日露間の交流の貧弱さは、日本人の対ロシア観
を反映しているのである。

首脳会談を最も前向きに報じたのは「産経新聞」だった。ロシア相手の非
常に難しい交渉だが、それでも推進しなければならないのは「中露の蜜
月」を避けるためだとの内容だった。

中露の連携は日本にとってのみならず、米国にとっても、たしかに厄介
だ。しかし、注意すべき点は、ロシアは本当のところ、中国をどのように
考えているかである。

力をつけた中国は中央アジア諸国を手始めにユーラシア大陸の北に西にと
勢力を広げつつある。北極圏にも明確な位置を占めるべく戦略的に動いて
いる。中国の勢力拡大の動きの中で、ロシアは日本が期待する程、中国を
退けようとはしていないのではないか。

たとえば北極圏開発だ。中国は自らを「極地強国」であり、北極の利害関
係国だと位置づけている。一帯一路に北極海を組み込み、「氷のシルク
ロード」などと呼んでいる。この中国の方針にロシアは基本的に協調的で
ある。2017年にロシアで開催した「国際北極フォーラム」でも、ロシアは
北極海航路とシベリア鉄道を結ぶプロジェクトへの中国の投資を呼びかけた。

中国の北極圏進出の狙いは資源エネルギーに加えて、米国に対する核抑止
力の構築にある。防衛研究所の主任研究官、山口信治氏は、中国が戦略原
子力潜水艦を北極海に進出させることができれば探知は殆ど困難で、米国
に対して確実な反撃能力を獲得すると指摘する。米国のみならず、ロシア
も警戒すること必至だが、中国はロシアに警戒感を抱かせないように巧く
立ち回っているというのだ。

クリミア半島強奪以降、国際社会の経済制裁に苦しむロシアにとって中国
の占める位置は日本で考えるより遙かに大きく重要である。

日本のロシア外交は、希望的観測を一旦横に置き、厳しい要素を過小評価
しないことが大事だ。一方的に経済協力だけさせられて終わってはならな
いであろう。

『週刊ダイヤモンド』 2019年2月2日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1265