2019年06月30日

◆怪しい日米安保破棄報道

阿比留 瑠比


トランプ米大統領が最近の私的会話で、日米安全保障条約破棄に言及した
との米ブルムバーグ通信の報道が話題となっている。朝日新聞は26日付朝
刊で「トランプ氏 透ける本音」と見出しをつけ「『日米関係は最強』と
蜜月をアピールする安倍(晋三)政権だが、衝撃と不安を隠しきれない」と
書くなどはしゃいでいるが、政府にそんな動揺はみられない。

むしろ筆者は、元の報道の中身やトランプ氏が会話した時期に眉に唾をつ
けて眺めている。これを前提とした論理を展開するのは、無理があると考
える。

両政府とも否定

報道にあるような話は全くない。米国からも米政府の立場と相いれないも
のだという確認を受けた」

菅義偉官房長官は25日の記者会見でこう述べた。米政府も報道を否定して
いるが、何を言い出すか分からないトランプ氏のことだから、案外あり得
る話だとの見方もあるのもわかる。

確かにトランプ氏は2016年の米大統領選の最中には、日米同盟の片務性を
批判し、在日米軍の駐留経費大幅増を求めるなど、日米安保条約の在り方
に不満を表明していた。大統領選の直後、安倍首相はトランプ氏がこうし
た主張をぶつけてきた場合について、周囲にこう話していた。

「そうなれば、それを日本の対米自立のきっかけにすればいいんだ」

同盟の重要性増大

この時期のトランプ氏であれば今回の報道のように語る可能性はあるが、
大統領就任後は日米同盟の重要性を理解をした発言を続けている。安部首
相との緊密な関係もあり、5月に米大統領として初めて、日本の海上自衛
隊艦船であるいずも型護衛艦「かが」に乗艦した際には、こう訓示した。

「日本が令和の時代を迎えたその歴史的瞬間に、われわれは米日同盟を祝う」

「米国の安全保障をも向上させる日本の防衛力向上に対する私の友人、安
部首相の尽力に感謝する」

その舌の根の乾かぬうちに、日米安保条約破棄を口にするどんな動機があ
ろうか。在韓米軍の撤退と米韓同盟の破棄ならば近い将来あり得るかもし
れないが、そうなればむしろ日米同盟の重要性は決定的に増すのである。
「韓国から撤退した米軍の半分は日本に来る」(外務省幹部)との観測す
らある。

まして米国が中国との対決姿勢を強めている中で、日本ほど戦略的・地政
学的に重要な国はない。そして米国の対中政策の「プロセスの始まりは、
安部首相の(16年11月の)訪米でした」(バノン前主席戦略官兼大統領上
級顧問、月刊『Hanada』5月号)とされる。この最初の会談で、安部首
相は話題の大半を中国の脅威に絞った。

今さら考えにくい

昨年9月の日米首脳会談では、日米同盟の現状をめぐって、安部首相とト
ランプ氏との間で次のようなやりとりがあった。

トランプ氏「米軍が日本を守るために、相当の費用を費やしていることも
忘れないでほしい」

安倍首相「だからこそ安全保障関連法を成立させ、今や米国と助け合うこ
とができるようになった。米軍の防護もやっている」

トランプ氏「それは素晴らしい。ただ、米国は駐留米軍のために相当の負
担をしている」

安倍首相「日本はどの国よりも駐留経費を負担しているし、基地も提供し
ている。駐留米軍の経費は、米国内にいるときよりも安くついている」

最後にトランプ氏が「あなたは、反論の天才だな」と笑って議論は終わった。

トランプ氏が、日米安保条約破棄を今さら言うなど考えにくい。ただ、緊
迫する中東情勢に関してのツイッターに投稿したこの言葉は重視すべきで
ある。

「(中国、日本などは)危険な旅をしている自国の船を自らで守るべきだ」

 トランプ氏にいわれるまでもなく、自分で努力してこそ、他者の協力や
支援を得られるものだろう。

産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】 平成元年(2019)6月27日
(産経新聞論説委員兼政治部編集委員)

              ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
               松本市 久保田 康文氏採録 
              ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



◆中国社会科学院

宮崎正弘

令和元年(2019)6月29日(土曜日)通巻第6120号  

  中国社会科学院、シンクタンクなどにアメリカ研究を要請していた
   習近平はG20出席直前の24日に政治局会議を開催、執行部の姿
勢を確認

6月28日、つまり米中首脳会談の直前に人民日報系の『環球時報』は書いた。

 「ポンペオ米国務長官は『クレージー』だ。かれが世界を混沌とさせた
元凶である。ポンペオが世界平和を脅かす存在であり、国務長官ふぜいで
世界政治を混乱させている。かれがタカ派のなかのタカ派だ」云々と。
このコメントはすぐさまCCTVに跳ね返った。

ほかにも中国のメディアは総合して、「トランプ政権内の一部の対中タカ
派がトランプ政権の貿易政策を誤らせているのだ」とし、対中強硬派とし
てほかに、ライトハイザーUSTR代表、ナボロ通商産業局長、ジョン・
ボルトン補佐官、ポッテンガー大統領国家安全保障局アジア担当主任らを
具体的に名指しした。

みてとれるのはトランプ政権内部の対立を煽り、あわよくば意見の分裂を
招いて対中貿易交渉の勢いを削ごうとしていることである。

この企図が見え透いているのは、米中貿易戦争が激化する直後から習近平
は社会科学院や各大学の専門家、シンクタンクに対して「アメリカ研究を
行い報告を出すように」と指示しており、かなりの予算をつけていた経過
がある。

現に社会科学院が出した報告書143本のうち、米国研究が24本、貿易を
テーマとした報告書が12本と異例の夥しさをしめしている。(サウスチャ
イナ・モーニングポスト、6月29日)。

そのうえで、6月24日に習近平は緊急の政治局会議を招集し、対米通商交
渉に臨むための意見のとりまとめをしていた。

また同時に各種の報道からほのみえるのはトランプ政権内でクシュナー、
イバンカ夫妻を、タカ派から切り離そうとしていることである。

    
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
樋泉克夫のコラム
@@@@@@@@

【知道中国 1917回】               
――「支那は日本にとりては『見知らぬ國』なり」――鶴見(12)
 鶴見祐輔『偶像破壊期の支那』(鐵道時報局 大正12年)

                ▽
鶴見が次に訪ねたのが1883年に山西省5台県で生まれ、1960年に台北で亡
くなった閻錫山である。彼は1907年に日本に留学し、士官学校の予備校で
ある東京振武学校を経て陸軍士官学校へ。弘前歩兵第31連隊勤務の後、
1909年に卒業して帰国。この間に孫文が掲げた清朝打倒の革命運動に参加
している。

同連隊が八甲田雪中行軍を敢行し、多くの犠牲者を出したのは1902(明治
35)年のこと。ならば第31連隊勤務中、閻錫山は遭難事件についての様々
なことを聞いていたことだろう。因みに閻錫山が弘前を離れた4半世紀ほ
ど後の1935(昭和20)年8月、昭和天皇の弟宮に当たる秩父宮雍仁親王が
第3大隊長として弘前歩兵第31連隊に着任した。

八甲田雪中行軍、閻錫山、秩父宮雍仁親王・・・弘前歩兵第31連隊は近代
日本、さらには日中両国関係の光と影を巧まずして映し出しているよう
だ。それにしても日中関係がもつれる渦中で、時代は異なれ同じ兵営で過
ごした2人は互いにどのような思いを抱いていただろうか。やはり日中両
国の不可思議な縁を痛感しないわけにはいかない。

1912(民国元)年、閻錫山は袁世凱総統によって山西都督に任ぜられ、同
省の政治と軍事の全権を握る。以後、「保境安民」の大方針の下に「山西
モンロー主義」と呼ばれる一省自治を貫徹し、豊富な鉱産資源をテコにし
て工業化を進め、山西省を模範省に築きあげた。

その後、日中戦争に際しては、国民党、共産党、日本軍と等距離を保ちな
がら兵力温存に努めている。

1946年に始まった国共内戦に際しては自軍に山西省に残留した日本軍(暫
編独立第10総隊)を加え、人民解放軍と戦ったが劣勢は免れなかった。

中華人民共和国建国直前の1949年6月に国民政府で行政院長(首相)兼国
防部長に任命されたが、ほどなく広州を経て台湾に脱出。以後、蒋介石の
下で総統府資政(顧問)などを務めたが、晩年は反共主義の立場から著述
に専念している。

閻錫山に関するやや詳しい履歴を綴ったが、彼が打ち立てた模範省の「模
範」には、ある思い出がある。ここにも日中の不思議な“結びつき”を感ず
るゆえに、もう少し閻錫山について綴ってみたい。

話は日露戦争開戦前年の1903(明治36)年に発足した「自治協会」から始
まる。

同協会は2年後の1905(明治38)年2月、静岡県賀茂郡稲取村、千葉県山武
郡源村、宮城県名取郡生出村の3村を、「明治3大模範村」として表彰した。

模範村運動は明治末期から大正期にかけて、内務省の旗振りで展開された
地方改良運動で、中央政府の政策を地方で実施できる有能な吏員、それを
在野で支える有志集団(中小地主・上層自作農)を育てることを目的とし
ていたと言われる。

じつは千葉県山武郡源村で村長を務め、寝食を忘れ模範村運動に打ち込ん
だ並木家と親交があることから、いまから4半世紀ほど以前に、山西自治
運動をテーマにしていた中国の研究者を同家に案内したことがある。

最寄りの総武本線日向駅から、畑中の道を並木家に向かった。ゆるやかな
坂を上り切って冠木門を潜ると、目の前の床の高い豪壮な邸宅の向こうに
広大な山武杉の山林が広がっていた。
 
その昔、広い庭に多くの村人が集まり模範村作りに励んでいたことだろう。

ご当主の並木さんの弁では、先々代も先代も村人の先頭に立って運動に励
んだとのこと。「山西省の吏員が調査に来たことは代々言い伝えられてい
ます」「この辺りの景色は、大正の頃と変わってはいないと思います」と
言いながら、僅かに残されていた記録を見せてくれた。

模範村作りのための並木家の奮闘ぶりは、模範省建設にどう生かされたの
か。《QED》 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS   
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
(読者の声1)貴誌先号「安倍首相は「日中関係は完全に正常化された。
来年の桜の咲くころに国賓としてお迎えしたい」などと本気なのか、随分
と下手にでたものである。「水に落ちた犬を打て」というのが中国人のし
きたりだから、習近平側からみれば、日本は何か罠を仕掛けたのかと勘ぐ
るだろう。(引用止め)
 
この文脈から、ひょっとして中共は来年の桜の季節には無くなっているの
か、と言う希望的観測も浮かび、また、米國トランプとの話でそういう話
題があったのかと勘ぐりもしますね。

國賓と言うのは首脳会談と異なり、國家元首として、もう一段上の儀式と
して訪れると言う事です。しかし習近平には國家元首としての権威も権力
も最早ないのではないでしょうか?

特に、これから米中の話し合いを進める中で、大嘗祭の頃には支那で別の
動きが起こり始めるような気もします。

出来る事なら実現してほしくない訪問ですね。この期に及んで、支那に尾
を振っている日本の醜い政治家が如何にも見苦しいですね。(CY生)

  ♪
(読者の声2)「日本の核自衛は米国次第か」

以下、ブレジンスキーの1970年代の著書「ひ弱な花、日本」から抜粋で
す。()内は小生のコメントです。当時との違いは北朝鮮の核武装と中共
の強大化です。

ということは日本を巡る国防条件は一層厳しくなっているということです。

●自衛隊の高級指揮官の発想は第2次大戦の域を出ていない。陸上自衛隊
はとても現代の攻撃部隊とみることはできない。(制度に制限があり、本
気になれない)

●中曽根氏は自分の使命は全国民が国防を論じ方針を支持してくれるよう
にすることであると述べた。(現代の安倍首相にも期待される)

●日本独立の圧力になる原因は、不安感(中朝露の敵対)、経済関係(石
油輸送路保全)、ナショナリズム(国民の気づき)、対米信頼感の低下
(米国は身代わり被曝をしない)である(適中している)

●米国の軍事的地位の国際的低下。米国の孤立主義が日本の民族主義的な
軍事化を産み出すという考えは米国の定説である。(日本は他に生存の途
はないから当然である)

●日本が国防に反対する要因。国内政治(国民は自衛に賛成)、経済面の
制約(資金は問題ない)、地域的問題(中南北朝露の妨害)。

●米国は、太平洋防衛責任の日本の肩代わりは異存が無い。(瓶の蓋論は
対中共の米軍基地正当化の詭弁である)

●米国は日本国民が1975年までに在日米軍の撤退を期待すると考えるべき
である。(このあたりは日本側の独立意欲が低いということで予想とは
違っている)

●海洋国協力体制。これは日豪インドネシアの3国防衛協力体制である。
(中共の南シナ海侵略で現実的になってきた)

●日本の核武装と日米関係

1)日本の核兵器製造能力。原材料は保有しているが、兵器にする製造能
力とデータが無い。自力製造には3−5年必要だが、米国が支援すれば短
縮できる。

2)若年層の日本国民は核兵器の保有はやむを得ないと考え始めている
(北の核で適中)

3)日本の核武装体制。核弾道弾搭載潜水艦10隻。6割を稼働させる。自
民党の幹部は、さりげなく核ミサイル潜水艦保有の話をしたことがある。

4)米国が中ソ(北)の核の脅威を受けて極東から離脱する場合には日本
は歴史上おなじみの劇的な行動転換を起こす可能性がある。

5)日本の核自衛は、内外の大問題になるだろう。日本は国際的な反響を
減らすために、豪州と共同核開発計画を進めるかも知れない。豪州で開発
する。これも米国の了解が必要だ。

6)結論:日本の核自衛は結局米国の極東政策にかかっている。しかし長
い目で見ると日本は独立する方向にかっていることは間違いない。
   (落合道夫)

  ♪
(読者の声3)G20大阪サミットの様子を夕方のニュースで見てびっく
り。本会議とは別の会場、トランプ大統領・安倍総理・習近平主席が肩を
寄せ合うほどギチギチに狭いテーブルに並んでいる。

背景の参加国の国旗で確かにG20会場なのだとわかるのですが、貧相な
事務用の椅子とテーブル。日本では記者会見などでも事務用テーブルと椅
子があたりまえ、折りたたみのパイプ椅子のことさえあります。

タイにいた頃は記者会見であれ、商業施設内での発表会であれ、テーブル
や椅子はそこそこ立派でさらに脚が隠れるようクロスをかけるのが常識
だっただけに、大阪の会場にはがっかりを通り越して残念。安倍総理が各
国首脳を迎える場面、アナウンスが素人なのか聞き取りにくい。サミット
の開催費用がどこで中抜きされているのかわかりませんが、大阪を世界に
発信するのであれば、たこ焼きなど大阪の食を提供するだけでなく、国際
会議場としてのレベルアップが必要だと感じます。

さて、ギリギリまで日韓首脳会談にこだわった文在寅大統領ですが、安倍
総理は決して歯を見せず8秒の握手でおしまい、文大統領は退出を促され
そそくさと退場。安倍総理は他国の首脳には笑顔でハグしたりと親密さを
アピール。まさに韓国に対する積極的無視戦略。

朝日新聞が事前に報じた大阪城前での写真撮影(秀吉がらみで韓国に配慮
して変更するかも?)もしっかり行われ、文在寅大統領は昼の写真撮影で
は習近平主席の横で固まっていました。

宗主国の前ではネズミのようにおとなしい。朝鮮半島を巡るババ抜きゲー
ム、どうやら中国にババを押し付けることに成功したのかも。今回のサ
ミットの最大の成果は「日本は韓国に対する特別扱いはしない」というこ
とが世界中に広く認知されたこと。これで日本は心置きなく韓国に対する
制裁措置を実行できますね。(PB生、千葉)

◆基礎疾患に注目しよう 

石岡 荘十


「基礎疾患」は医学用語で「病気の大元の原因となる疾患」と定義される。

例えば、よく言われるのが心筋梗塞や脳梗塞の基礎疾患として挙げられる「死の四重奏」。

内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)、高血圧、高脂血症、糖尿病の4つが揃っていることを言い、死亡率は、そうでない人に比べて30倍以上も高くなるという調査結果がある。これにさらに喫煙習慣を加えた五つ揃い文で「死の五重奏」という。

リンゴ型肥満というのは中高年男性の典型的な体型で、写真などで見る金正日氏がその典型的な体型である。女性の場合は、体脂肪が引力に逆らえず臀部に下がってくるので「(西洋)ナシ型肥満」ということになる。


内臓脂肪型肥満の人は動脈硬化になりすく、心臓病や脳卒中へと進んでいくリスクが高まるからだ。

メルマガ「頂門の一針」主宰の渡部氏が治療の経緯を述べておられる。一応、犯人は脳血栓の予防薬プレタールの副作用ということになったようだ。渡部氏は数十年前に禁煙を実行しておられるし、お見掛けしたところ、内臓脂肪もそれほど大量に溜め込んでいる様子はない。しかし糖尿がある。

高血圧、高脂血については伺ったことはないが、もし該当するような疾患の症状があるとすれば、末永く健筆を振るわれるためにも基礎疾患を撃退するよう心がけて頂きたい。

一口に「撃退」といっても、そのほとんどが、長年のいわゆる生活習慣病の結果なのでそう簡単にはいかない。例えば禁煙。簡単に決別できる人もいるが、懲りるような事態、例えば片肺切除に追い込まれてやっと、止めることが出来たという友人もいる。

心臓手術は不整脈の基礎疾患だ。

筆者は、13年前、心臓の大動脈弁が機能しなくなり人工の機械弁に置換する手術を受けた。10歳の頃から大動脈弁がうまく閉じない障害がありながら、手術までの50余年間放置しておいた結果、心臓の筋肉が正常な人の2倍近い厚さ(1.7ミリ)に肥厚し、弾力性を失いかかっていた。

手術後、不整脈の一つである心房細動に悩まされたのは、心臓手術によって傷つけられ弾力性を失った心筋が基礎疾患となって、時々、心臓の細胞があちこちで異常な動きを見せるためだと診断された。そこで、術後8年目(‘07年)、心房細動の根治治療に踏み切った。

カテーテル(ビニールの細い管)を腿の付け根から差し入れて、心臓まで押し進め、異常行動を起こす細胞を捜索・特定し、高周波で焼き切る。

カテーテル・アブレーション(電気焼妁)といわれる最先端の不整脈治療法だ。その上、術後、何種類かの薬の服用を強いられ、辛うじて心房細動の再発を阻止している。

心臓手術を経験すると、心房細動を起こしやすくなる。橋本龍太郎元首相は、心臓の弁(僧帽弁)がうまく閉じなくなり、私と同じように人工の機械弁に取り替える手術を受けた。

その3年後(‘06)、同じように心房細動を起こし、心臓で出来た血栓(血の塊)が飛んで腸に栄養を送る動脈を詰まらせ、どんな鎮痛剤も効かない激痛を訴えながら死亡した、といわれる。

死因は「腸管虚血を原因とする敗血症ショックによる多臓器不全」だが、この場合の基礎疾患は心臓手術→心房細動である。しかし、いまさら手術経験をなかったことには出来ない。

そこで、薬で心房細動を抑え込むことになるのだが、「すべての薬は毒」である。大学の薬学部で教鞭をとっている友人は、学生にまずこのことを教えるという。

だから種類と量の処方にはくれぐれも慎重でなくてはならないのだが、日本では2万種類の薬が使われている。この中からピタリ鍵穴に合う一本の鍵のような薬を処方するのは、至難の技である。

マスターキーはない。そう考えると、副作用が出ないほうがおかしいともいうことが出来る。私もプレタールを服用しているが、渡部氏のような副作用は今のところない。鍵穴の型が異なるということだろう。

アメリカには「5種類以上の薬を処方する医者にはかかるな」というのが常識だそうだが、日本では65歳以上の高齢者は平均して6種類の薬を服用しているといわれる。

が、薬はあくまでその場しのぎの対症療法に過ぎない。その中で一番多いのは複数種の降圧剤だ。ほとんどの降圧剤には性的機能を不能にする副作用があることはあまり知られていない。「そのお歳でもういいでしょう」と、医者はなめて処方しているのかもしれない。なめるな! 

基礎疾患である生活習慣病の克服こそが根治治療法であり、それができれば “毒”をのまなくてよくなる理屈である。“夜明けのテント”も夢ではなくなるかもしれない。        




2019年06月29日

◆マラー検察官の国会喚問

Andy Chang
 

マラー検察官は5月29日の引退声明でトランプを調査した事柄はすべ
て448ページの報告書に書いたから今後は国会が召喚しても応じない
と述べた。しかし国会の調査委員会は彼と交渉を続け、マラー検察官
は遂に7月17日に国会での公開証言に同意すると発表した。

これは二つの意味でアメリカの史上初である。第一に特別検察官が調
査報告書を発表した後で国会が検察官を喚問された例はない。クリン
トン大統領を調査したケン・スター特別検察官はクリントン有罪の証
拠を見つけることが出来なかったが、国会は彼を喚問しなかった。第
二の史上初の事態とは、国会議員が今週末から夏休みに入るのに休暇
中の7月17日に国会喚問を行うのである。

国会の情報調査委員会のSchiff民主党議員と監察委員会のNadler民主
党議員は、マラー報告書がトランプの有罪証拠がなかったと結論した
けれどまだ納得できないからトランプ大統領が調査を妨害したかにつ
いてマラー検察官の証言を求めるとした。何が何でもトランプを罷免
したいのである。

ロシア癒着の調査では証拠がなかったのでトランプの潔白が証明され
た。しかしマラー検察官は、トランプが調査を妨害したかどうかにつ
いて「証拠は見つからなかったが潔白を証明できなかった」と述べ、
更に国会がトランプを処罰することが出来ると述べたのである。

この声明で民主党議員は大喜びでトランプの有罪証拠を見つけるため
に新たな調査委員会を発足させ、60人以上の民主党議員がトランプを
罷免する提案に賛成した。しかし証拠がないのでペロシ議長はトラン
プ罷免案を提出できない。2つの調査委員会はマラー検察官を喚問し
て新しい証言を引き出すつもりである。マラー検察官はみんな報告書
に書いたと述べたから公開喚問で新しい証拠が出る可能性は低い。

共和党側は当初からトランプのロシア疑惑調査はでっち上げの証拠を
使った陰謀で、特別検察官の任命や民主党の調査が違法と知っている。
違法と知りながらマラー検察官は2年も調査を続け、結果としてロシ
ア癒着の証拠がなかったのに、トランプが調査を妨害した可能性を報
告の第二部で12のエピソードとして報告し、それでもトランプが踏査
を妨害した証拠はなかったが潔白は証明できないと言い、国会で罷免
すればよいと述べたのである。

つまり共和党側はマラー検察官が「トランプ罷免陰謀の仲間」と見て
公開喚問で彼を尋問したいことが山ほどある。

民主党側はトランプの調査妨害についてである。マラー検察官の報告
には12のエピソードが報告されているが、すでに報告書に詳述したか
ら新証拠を見つけるのは難しい。民主党の調査委員会はマラー検察官
の口からなぜトランプの潔白を証明しなかったのかと聞きたい。これ
は共和党側と国民すべての疑問でもある。

共和党側が知りたいことは山ほどある。ヒラリーの金でスティール報
告をでっち上げたのである。FBI/DOJは当初からスティール文書がガセ
ネタと知りながらヒラリーの当選に関与していた。

FBIはスティール文書を使ってFISA(外国諜報員の調査)申請してト
ランプの選挙妨害をした。それでもトランプが当選した。トランプが
大統領に就任した後になっても同じガセネタを使ってトランプのロシ
ア疑惑をでっち上げ、スティール文書がロシア疑惑の調査で特別検察
官を任命する根拠となったのである。

マラー検察官がFISA申請はガセネタと知りながら2年も調査を続け
たのは何故か。彼は当初から調査すべきでなかったし、途中でガセネ
タである証拠が公開されても調査を続けた。マラー検察官も罷免陰謀
の仲間であると見てもおかしくない。公開喚問での共和党側の追求は
熾烈を極めるに違いない。

検察官は調査で有罪の証拠が見つからなかったら無罪と判決すべきで
ある。これはすべての法学者が認めることである。ところがマラー検
察官は有罪の証拠はないが無罪と言えないと発表し、おまけに国会が
大統領を罷免することが出来ると述べたのである。

共和党のコリンズ議員は「潔白を証明できるまで有罪だと言うのか」
と述べた。来月17日の公開喚問でトランプの有罪証拠は発見できず、
逆に民主党、闇の帝国、マラー検察官に不利になるかも知れない。
Andy Chang氏は在米台湾人地球物理学者。

    
at 12:15 | Comment(0) | Andy Chang

◆しらけきった顔が並んだ

宮崎 正弘


令和元年(2019)6月28日(金曜日)通巻第6119号  

 しらけきった顔が並んだ。さはさりながら「日中新時代」だそうな
  親中派メディアでさえ「つかの間の蜜月」と皮肉った日中首脳会談

追い詰められると藁をもすがるため気持ちの悪い笑顔をつくる。大阪の
G20開催に便乗して行われた日中首脳会談の席で、習近平と、中国側の
ならんだ顔を眺めて、薄気味悪さを感じたのが大方ではなかったのか。楊
傑チ国務委員、王毅外交部長ほかの面々、誰も心からの愉しい表情を浮か
べていなかった。

李克強首相も王洋副主席も随行団には入っていない。団派を外交の檜舞台
には堕なさいという習近平の狭量さが浮上する。

安倍首相は「日中関係は完全に正常化された。来年の桜の咲くころに国賓
としてお迎えしたい」などと本気なのか、随分と下手にでたものである。
「水に落ちた犬を打て」というのが中国人のしきたりだから、習近平側か
らみれば、日本は何か罠を仕掛けたのかと勘ぐるだろう。

 それでも安倍首相はかなり言いたいことを伝えている。

(1)沖縄尖閣諸島周辺での中国公船の活動に自制を要請
(2)南シナ海の非軍事化の重要性
(3)香港問題では自由で開かれた香港の繁栄が重要との認識を伝達
(4)ウィグル自治区における人権問題を念頭に、人権の尊重、法治など
普遍的価値の認識を伝えた。さらに貿易問題では
(4)中国の補助金制度の是正
(5)知的財産権の保護強化
などを要求しており、欧米の要求と歩調を合わせている。ファーウェイ排
除、半導体製造装置の禁輸などには触れなかったようである。

 不思議なことに日中首脳会談に出席していない河野外相は舞台裏でジョ
ン・ボルトン国家安全保障担当大統領補佐官と打ち合わせをしている。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
(読者の声1)貴誌前号「6月26日に「FOXビジネス」とのインタ
ビューに答えたトランプは日米安全保障条約に言及し、「日本が攻撃され
れば、米国は第3次世界大戦を戦う。我々は命と財産をかけて戦い、彼ら
を守ることになるが、我々が攻撃されても、日本は我々を助ける必要はな
い。彼らができるのは攻撃をテレビで見ることだ」とした。さてこの日米
安保条約の廃棄だが、条文に「どちらか一方が一年前に通告すれば、この
条約は効力を失う」とあり、日本人が想定さえしなかったシナリオが現実
のものになる」(引用手止め)

どうみてもトランプ大統領に筋(論理)があります。日本はこのまま安保
タダ乗り継続ならばアメリカ人の軽蔑を買うのは時間の問題ではないかと
懸念します。

言い換えれば、いまのまま日本人の頭がお花畑で変わらないんじゃ、数年
の内にアメリカ人から日本人もシナ人も大同小異と軽侮されるようになる
でしょう。日本人は「アメリカのためじゃない!日本のために戦う」覚悟
を決める必要がある。覚悟とは最低の事態を覚悟すること。

戦前の日本人にはそれがあった。日本人の大勢が妻子や子孫を守る気がな
いなら日本はもうだめだ。海外在住の日本人も手の打ちようがない。

たしかに、それはディープステートがアメリカがより儲けやすい形にシナ
を変えるのが目的かもしれない。

しかし最前線はもはや日本の五島列島、沖縄、北海道である。

日本人は伝統の「腹芸」を忘れたの? アメリカの軍産金融複合体の意
図、シナの意図、ロシアの意図、周辺国の意図を裏まで理解し、それを腹
におさめて闘うことができるのか?しかし、変化しようにも、民主主義で
変化は遅い。例えば日本人はロシアが嫌い? それはわかっている。しか
し、それはデカい腹に収めて、地政上の理由からロシアと仲良くしなけれ
ばならないのと同じことだ。

7・21は参議院選挙。在外投票はベトナムでは7月5日から14日まで。

消費増税をする安倍政権には投票したくない。三橋貴明氏のいう保守の反
グローバル政党。日本文化チャンネル桜の水島社長が立ち上げた新党に期
待しているんですがよくわからない。

今回は最後の最後まで消費税についての情報が変化する可能性があるし、
棄権した方が良いかなと思っている。宮崎先生メルマガ読者の方々のご意
見をぜひ拝聴し、参考にさせていただきたいと思っています。
   (R生、ハノイ)



  ♪
(読者の声2)トランプ大統領の日米安保条約に対する不満の声がG20
の目前に報道されるなど、どうも日米のプロレスではないでしょうか。

憲法改正をしたい安倍総理ですが、国会は憲法審査会すら開かれない状
況、与党の公明党も「加憲」といった小手先の対応しか考えていない。

トランプ大統領といえば2007年にプロレス興行団体WWEのオーナーにラ
リアットをしたつわもの。プロレスの場外乱闘はお約束とはいえガタイの
いいトランプ大統領のラリアットは迫力があります。おまけにオーナーの
頭をバリカンで丸刈りに。
https://www.youtube.com/watch?time_continue=36&v=T27sbmDBSm4

この動画のボコられる役を「CNN」にしたものがこちら。
https://www.buzzfeed.com/jp/bfjapannews/cf-tcv

派手な演出で最大の効果を狙うトランプ流。

日本は昔から「外圧」を利用して国内の不満を抑えてきました。ホルムズ
海峡やマラッカ海峡を通る日本のタンカーは日本が守るのが当然のこと。
ついでに消費税の還付(戻し税)は輸出企業に対する実質的な輸出補助金で
ある、という理由でカナダの消費税を下げさせたアメリカ、という主張が
岩本沙弓氏の『アメリカは日本の消費税を許さない 通貨戦争で読み解く
世界経済 (文春新書)』にあります。

このあたりもアメリカが問題視するなら消費税増税凍結につながるかもし
れません。

衆参ダブル選挙はなくなったと思わせておいて、G20閉幕後に臨時国会
招集、冒頭解散という線もまだあるらしい。
G20サミットは大荒れになりそうです。(PB生、千葉)

   ♪
(読者の声3)通巻第6118号 「トランプ発言」ですが、(引用)「トラ
ンプは日米安全保障条約に言及し、「日本が攻撃されれば、米国は第3次
世界大戦を戦う。我々は命と財産をかけ戦い、彼らを守ることになるが、
我々が攻撃されても、日本は我々を助ける必要はない。彼らができるのは
攻撃をテレビで見ることだ」とした(引用終り)

このトランプ発言ですが、論旨の出発点が、まったく間違っております。
「日本が攻撃されれば、」まず、第一に、我が自衛隊が反撃します。
これは、明々白々のことです。

むしろこの場合に、「米軍が直ちに、日本を攻撃した国に反撃するかどう
か?」は日米協議事項のはずです。

「日本が攻撃され、日本人は反撃せず、戦おうとはしないのだ」というト
ランプ発言は、日本人と日本国にとり、甚だしい「侮辱発言」です。 
(磯野和彦、尼崎市)

  ♪
(読者の声4)貴誌前号、トランプが日米安保条約を破棄する。
 
もしか日本はやっと本当の戦後に入るかも。自立自足で自国を守ること!
ビーバ トランプ大統領、やっと日本を解放してくれる。
   (FK生、コロラド州)

   ♪
(読者の声5)28日(金)12:50-2:00ラジオ日本(1422kHz)「マット安
川のずばり勝負」に藤岡信勝先生が出演します。

映画「主戦場」の話に加えて、後半では、関連して、慰安婦、徴用工など
の話題も取り上げます。後半はリスナーのメールでの質問に答えるコー
ナーもあります。(ラジオ日本担当)


(読者の声6)恒例「とびっきりの講演会」のお知らせです。

!)演題 「米中戦争の考察」
!)講師 公益財団法人日中友好会館副会長・元中華人民共和国特命全権大
使・宮本雄二
!)時  令和元年7月29日(月)PM6:00〜
!)定員 先着90名(要予約)
!)会場 神奈川県民サポートセンター3F 304号会議室(JR横浜駅西
口徒歩3分ヨドバシカメラ裏手)
!)問い合わせ先 045−263−0055

◆ノロウイルスの猛威

毛馬 一三


抵抗力が弱い高齢者高齢者を中心にノロウイルスによる感染性胃腸炎が、全国的に猛威を振るっている。高齢者にとってはゆゆしきことだ。

ノロウイルスは、生ガキのような二枚貝にふくまれ、汚染された貝を食べたり、調理したりする際に感染するため、福祉施設などで集団感染する可能性が高いという。そこで、大阪厚生年金病院 看護部 看護ケア推進室 の柴谷涼子さん(感染管理認定看護師)に「ノロウイルスの入門と予防の仕方」について、下記のように記述してもらった。ご紹介したい。

◆<老人保健施設などでノロウイルスの集団発生が報じられておりますが、ノロウイルスについて正しくく理解し、ご自身も感染しないよう予防しましょう。

ノロウイルス感染症とは・・・
 ノロウイルスが人の小腸で増殖して引き起こされる急性胃腸炎です。
@カキや貝類を十分に加熱せず食べた場合
A生ガキや貝類で汚染された調理器具で調理した生野菜などを食べた場合
Bウイルスに感染したヒトの便や吐物に触れた手で調理をした場合・・・
などに感染する可能性があります。

◆症状
 年齢に関係なく感染は起こりますが、高齢者や抵抗力の弱ったヒトでは重症化する例もあります。嘔気・嘔吐・下痢が主症状です。
 腹痛、頭痛、発熱、悪寒、筋痛、咽頭痛などを伴うこともあります。 高齢者の場合、症状が出て、水分摂取ができなくなるとすぐに脱水症状を起す可能性がありますので、早めに病院の診察を受けて下さい。

◆予防
 生のカキや貝類は内部まで、十分に加熱してから食べるようにしましょう。
 カキの処理に使用したまな板などは、よく水洗いし、熱湯消毒をしてから使用しましょう。

 冬場はこのノロウイルスに限らず、様々な感染症が流行します。感染予防としてもっとも重要なのは、普段からの「手洗いやうがい」です。
 外から帰ったあとは必ず「手洗いとうがい」をする習慣をつけましょう。>
                       
( 参考文献;)
 1.国立感染症研究所 感染症情報センター感染症発生動向調査週報 感染症の話
 http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k04/k04_11.html
 2.大阪府食の安全推進科    http://www.pref.osaka.jp/shokuhin/noro/
 3.厚生労働省ノロウイルス食中毒の予防に関するQ&A
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/tobou/040204-1.html

2019年06月28日

◆トランプの対日不満

宮崎 正弘


令和元年(2019)6月27日(木曜日)通巻第6118号  

トランプの対日不満、さらにエスカレート
  米国が第3次大戦を戦うとしても、日本人はテレビで観戦している

日米安保条約の破棄を示唆したという衝撃のニュースにつづき、トランプ
大統領の対日不満は、もっとエスカレートした。

6月26日に「FOXビジネス」とのインタビューに答えたトランプは日米
安全保障条約に言及し、「日本が攻撃されれば、米国は第3次世界大戦を
戦う。我々は命と財産をかけて戦い、彼らを守ることになるが、我々が攻
撃されても、日本は我々を助ける必要はない。彼らができるのは攻撃をテ
レビで見ることだ」とした。

積もっている不満がふっと飛び出したわけで、日米安保条約は不平等だと
不満を表明した。

もとより当該条約は片務的でありながら、それを対等な条約に改訂しよう
としてきた日本の言い分を、これまでのアメリカは余裕を持って拒んでき
た。世界の警察官として、パワーに溢れていた時代は、しかし去った。

オバマ政権時代から、すでに「米国は世界の警察官ではない」というのが
ワシントンの認識である。

さてこの日米安保条約の廃棄だが、条文に「どちらか一方が一年前に通告
すれば、この条約は効力を失う」とあり、日本人が想定さえしなかったシ
ナリオが現実のものになる。

トランプならやりかねないだろう。

だから、日本のメディアも政府も軽視しているトランプ発言は、いずれ
「太平の眠りを覚ました」ペリー来航に匹敵する、歴史を画期する事態の
魁だったと後世の歴史家は叙述するかも知れない。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
樋泉克夫のコラム
@@@@@@@@

【知道中国 1916回】                  
――「支那は日本にとりては『見知らぬ國』なり」――鶴見(10)
鶴見祐輔『偶像破壊期の支那』(鐵道時報局 大正12年)

          ▽

4年前にニューヨークで会った時は「巴里會議で大芝居をうつ前であ」り
「若い、併し顔色の惡い東洋人と言ふ感じ」だった。だが、いま鶴見の前
に現れた王は「血色のよい、分別ありげなそして中肉中背の頑丈な人に見
えた」という。「相見ざる四年、その間に王正廷は世界の政治家と、肱を
取つて國家を談じた」のだ。「その責任ある地位と經驗とが、若き王正廷
氏を鍛煉したに相違ない」。

「彼は書生の氣輕な放談の時代を過ぎて、誰にも頼らずに、一國の運命を
決すべき瀬戸際に何度も立つて來たのである」と想像した鶴見は、であれ
ばこそ「眞向から切り込む勝負だと思」い、「すぐ、問題の核心に突き込
ん」で、「一體、我々日本の側としては、どうしたらいゝと、あなたはお
考えになるのか」。

するとどうだ。「果して、返事は矢つぎばやに來た」のである。 

「從來の日本の對支政策が間違つてゐる。日本の政治家は、支那の一黨派
を援助した」。だから「その黨派以外の凡ての支那人を敵とし」てしまっ
た。それがために、「其の黨派の失脚と共に、日本の支那に於ける權威が
墜ちた」というのだ。

鶴見の「しからば、今後如何にしてよくするか」と問うと、「それはなん
でもない。支那國民全部を相手となさい」と。

「我々支那人は惡いことをすると、あなたがたは思つてゐる」。だが、そ
れは「古い政治家」だ。いま民間に有為の民間実業家が生まれつつある。
「彼等は個人的經營をする品性と才能とを具へてゐる」。彼らを「公明正
大の援助」することで「日支の經濟的共助が行はれる。政治的黨派援助
を、おやめなさい」。

話題が「此の頃に支那の?育熱の勃興」に転じ、鶴見が「一體何を以て、
教育の目的となし、中心思想とするお積りか」と問う。すると「王氏はす
ぐ『有用なる市民を作るにある』と刎ねかヘす程早く答へた」。なお、
「有用」には「ユーズフル」、「市民」には「シティズン」のルビが振ら
れている。

鶴見が「有用なる市民」の実像を問うと、「私が有用なる市民と言ふの
は、人間は個人の才能傾向に從つて、社會各方面に於てその分をつくすこ
とを言ふのである」。

それというのも「從來の支那の學徒が、官吏となることに局限せられて居
たのを矯正しなければならない」からだ。じつは学生は「支那に於ては、
卒業後みな官吏を志願するから、勢ひ官吏の腐敗となり、國家の動亂とな
る」。これとは違って「歐米日佛では官吏以外」の社会各方面に道が開か
れているから「人材各その處を得て、國家は安泰に、人民は有用の市民と
なるのである」ということだ。

王の「話は大そう面白い話であると思」う一方で、鶴見は王が「會見の大
そう慣れて居ることに、氣がついた」。

欧米各国で新聞記者などの会見を重ね「如何なる問題を出されても、あは
てず騒がず、秩序整然と答辯する技能を具へるやうになつたであらう。若
いのに感心なことである」と鶴見は思いながら、翻って「王氏位の年配の
日本人で、この位靜に受け流してゆける人が幾人あるであらう」と思い
至った。

この時、王正廷は34歳だった。たしかに「王氏位の年配の日本人で、この
位靜に受け流してゆける人が幾人あるであらう」という鶴見の「憂慮」も
判らないわけではない。だが、そういう鶴見も王より3歳年長で37歳でし
かなかった。おそらく現在の基準で言うなら30代後半は依然として半人前
程度といったところだろう。

当時の基準からすれば鶴見にしても王にしても、特に2人が老成していた
というのではなく、これが普通に近かったのではなかったか。

やはり教養、品格、見識は山登りやスポーツクラブでは身に付くわけ
が・・・ない。《QED》
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
(読者の声1)6月28、29日に来日する中国共産党独裁政権・習近平に全
アジアの怒りの声を挙げよう!

「ウイグルの母」ラビア・カーディル(自由インド太平洋連盟 会長)。
ショブチョード・テムチルト(クリルタイ=世界南モンゴル会議 会長)
両人が来阪されます。

共に抗議の声を挙げましょう。

(A)屋内集会

日 時:6月29日(土) (10:30−12:00)
会 場:中央会館(大阪市中央区島之内2-12-31 )定員250人
発言者:ラビア・カーディル氏(自由インド太平洋連盟 会長)
ショブチョード・テムチルト氏(クリルタイ 会長)
ツェリン・ドルジェ氏(SFTジャパン 代表)
王戴氏(民主中国陣線 副主席)他

(B)デモ

日 時:6月29日(土) (14:00−15:00)
集合時間:13:45
場 所:中央会館(大阪市中央区島之内2-12-31 )出発
    堺筋〜長堀通〜御堂筋〜難波

◎29日デモ後にも集会があります。こちらでは各参加団体のご紹介があり
ます。デモ終了後はすみやかに会場「難波御堂筋ホール」へ移動をお願い
します。大阪市中央区難波4丁目2−1 難波御堂筋ビルディング。

◎28日なんばアクション

18時よりなんば交差点で展開(地下鉄難波駅地上・御堂筋×千日前通り
交差点)
詳細はHPで
http://j20.fipa.asia/
主催 J20 Justice20実行委員会
顧問 ラビア・カーディル(自由インド太平洋連盟 会長)
実行委員長 ショブチョード・テムチルト(クリルタイ=世界南モンゴル
会議 会長)

  ♪
(読者の声2)中国の臓器移植問題の情報です。関心がおありの方はク
リックしてお読みください

 6月17日に「中国での良心の囚人からの強制臓器収奪に関する民衆法
廷」の最終裁定に関して2つのページを作成しましたのでご連絡します。
http://jp.endtransplantabuse.org/ct-media/
関連報道のリンクです。ご覧の通り、英語報道はざっと80本あります。
http://jp.endtransplantabuse.org/ct-finaljudge/
   (三浦生)

  ♪
(読者の声3)日本は、米国トランプ大統領のつき放しで国防が焦眉の問
題となってきました。そこで先日ある会合で話した日本再軍備手順の新思
考をご紹介します。

 1.現状

現在自衛隊がありますが、警察組織で軍隊制度がありません。このため
F35など最新兵器を持っていても、軍事的抑止力はありません。世界は
知っています。気づいていないのは日本国民だけです。世界の軍隊制度が
何か知らされていないからです。

 2.解決方法

憲法棚上げ特例法で再軍備です。自衛権は自然権なので万国共有です。し
たがって九条を世界が採用するまでは、日本も他国同様通常国防をして良
いのです。国民投票は不要なので、次の国会の過半数で実現できます。そ
して国防は焦眉の問題です。敵は待ってはくれません。敵の銃弾を占領憲
法で止めることは出来ません。

 3.特例法とは

自衛隊に、軍法、軍法会議、憲兵隊、愛国心を与えます。これで正規軍に
なります。

 4.効果

軍事的抑止力が発生します。拉致問題、領土侵犯問題がすぐに解決しま
す。国際間の真の共通言語は国防力なのです。

 5.啓蒙

再軍備の実現は国民の危機感次第です。メディアは世界の国防情報を国民
に提供することが義務づけられます。戦後反日メディアは国防危機を誤魔
化して隠蔽してきました。

 6.再軍備の歴史

1953.10池田・ロバートソン国防会談で池田勇人は米国の再軍備要請を拒
否しました。その主な理由は、GHQが青年に何が起ころうと二度と銃を
執ってはならないと教えたので反対する。戦争未亡人を迫害したので皆反
対する。共産党を野放しにしたので武力クーデタを起こす、だったと言い
ます。

「日本人が自分のことは自分でしか守れないと気づくには相当な時間がか
かるだろう」と述べたと言われています。このため米国は翌11月ニクソン
副大統領を東京に派遣し、彼は日米協会で憲法九条は誤りだったと陳謝し
ています。

ということで、ついにその時が来たようです。マキャベッリは「政治は結
果で評価される。結果が良ければ手段は正当化されてきた」と記しています。

7.参考

1945.8ソ連に侵略された満洲は地獄となりました。ソ連兵は彼等の軍法で
占領地では3日間強盗、強姦、殺人が許されたからです。邦人婦女子の死
者24万人。男70万人は奴隷としてソ連に連れて行かれ死者7万人。敵は当
たり前ですが、日本の憲法に縛られません。(落合道夫)

   ♪
(読者の声4)雑誌『Voice』7月号に、橋下徹元大阪府知事・大阪市長が
『大阪の改革から「実行力」を学べ』という小論を寄稿している。

その末尾では「大阪都構想から道州制へ」として、「大阪で都構想を実現
して新たな大都市の仕組みを示し、道州制という日本全体の政治行政の仕
組みの抜本的改革につなげていってほしいですね。道州制のアイデアはも
う40年近く叫ばれています。あとはそれを実行するのみ。」と述べられて
いる。

しかし小生には、「大阪市解体」がどうして道州制へつながるのか、まっ
たく理解できない。

道州制というのは、小生の理解では、明治期に策定された府県制が、その
後の150年近い間の経済社会の発展、交通通信の進化という現状には適合
しなくなってきていること等から、現行の広域自治体である府県を統合し
て、州という府県より更に広域的なブロック行政体と市等の基礎自治体の
二層構造に改めていくというものではないか。

そうであれば、市という基礎自治体は強化されるべきでこそあれ、これを
「解体」するなど、まったくの逆行であり、府県統合(道州制)とはまっ
たくなじまない退行でしかない。

実際のところ、仮に近畿州が実現した場合、京都市、神戸市、奈良市、和
歌山市等が存続する中で、大阪市のみが解体してしまっているのでは、現
在の大阪市の区域のみが、市長を有しない、市以下の自治体(特別区)の
集合、市長を持たない体制となる。

橋下氏は、州と特別区の関係をどう考えているのか、小生にはまったく理
解できない。

雑誌『月刊Hanada』8月号では、大阪市長・元大阪府知事松井氏と作家百
田氏が対談しており、松井氏は、大阪府と大阪市の東京事務所が実質的に
統合されていること、府と市の施設の統合などを、さも効果的であるかの
ように語っている。

しかしこれこそ語るに落ちた話で、大阪市を解体しなくても、それが合理
的であり効果的なら、現行のままでも統合や再整理は可能なのである。
いや、それが進まないから大阪市を解体して府と統合?するというのかも
しれないが、自らの「実行力の欠如」を組織変革の理由にするのは問題の
転化でしかないのではないか。このような欺瞞的施策進行を「実行力」の
例とするなど、笑止の沙汰というほかない。

百田氏が、東大阪市の例を挙げているのも意味が不明である。東大阪市の
場合は、布施、河内、枚岡の3市が「統合」されたのであって、大阪市を
4、5区に「解体」するという考えとは全くの逆であろう。

大阪市を解体してしまったのでは、上下水道事業など、現在「市」の事業
として実施されているものの業務主体が「解体」されてしまう。

小生には、大阪市解体案などという支離滅裂な愚論愚策がまともに議論さ
れること自体が理解できない(椿本祐弘)


◆「青い山脈」の頃

渡部 亮次郎


恥かしい話を書く。多分生まれて初めて観た劇映画が「青い山脈」であ
り、昭和26(1951)年の早春、新制中学を卒業寸前の15歳、教師引率で、町
の映画館で観た。

もちろん白黒。公開されて既に2年経っていたらしいが、それは今になっ
て調べて分かった事。町と言いながらド田舎だったのである。

昭和の御世。15歳まで映画も観られなかったとは万事、貧しかった。
もっとも戦争中は見ようにも映画が製作されてなかったらしい。

映画「青い山脈」(あおいさんみゃく)は石坂洋次郎原作の日本映画。
1949年・1957年・1963年・1975年・1988年の5回製作されたが最も名高い
のは1949年の今井正監督作品である。私の観たのがこれだ。

主題歌の『青い山脈』は日本映画界に於いて名曲中の名曲ともいえる作品
で、過去の映画を紹介する番組などでは定番ソングともなている。2007年
10月24日のラヂオ深夜便で久しぶりに聴いたので映画の事を思い出したの
である。

西條八十(やそ)作詞、服部良一作曲の名曲。映画を見たことが無い人でも
歌だけは歌える人が多い。また映画ではラブレターで「戀(恋)しい戀し
い」というところを「變(変)しい變しい」と誤記してしまうエピソード
は大いに笑わせた。

長編小説『青い山脈』は1947年に「朝日新聞」に連載。

東北の港町を舞台に、高校生の男女交際をめぐる騒動をさわやかに描いた
青春小説。また、民主主義を啓発させることにも貢献した。

私は新憲法は中学生ながらに全文を読んだが、民主主義の実際については
「青い山脈」に教えられた。

1949年に原節子主演で映画化され、大ヒットとなった。その3ヶ月前に発
表された同名の主題歌も非常に高い人気を得た。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

石坂洋次郎(いしざか ようじろう 1900年1月25日―1986年10月7日)は、
小説家。青森県弘前市代官町生まれ。戸籍の上では7月25日生まれになっ
ているが、実際は1月25日生まれ。

弘前市立朝陽小学校、青森県立弘前中学校(現在の青森県立弘前高等学校
の前身)に学び、慶應義塾大学国文科を卒業。1925年に青森県立弘前高等
女学校(現在の青森県立弘前中央高等学校)に勤務。

翌1926年から秋田県立横手高等女学校(現在の秋田県立横手城南高等学
校)に勤務。1929年から1938年まで秋田県立横手中学校(現在の秋田県立
横手高等学校)に勤務し教職員生活を終える。

『海を見に行く』で注目され、『三田文学』に掲載した『若い人』で三田
文学賞を受賞。しかし、右翼団体の圧力をうけ、教員を辞職。戦時中は陸
軍報道班員として、フィリピンに派遣された。

戦後は『青い山脈』を『朝日新聞』に連載。映画化され大ブームとなり、
「百万人の作家」といわれるほどの流行作家となる。数多くの映画化、ド
ラマ化作品がある。

他に、『麦死なず』『陽のあたる坂道』『石中先生行状記』『光る海』など。

「青い山脈」では作者は青森県立弘前高等女学校(現在の青森県立弘前中
央高等学校)の教師であった。当時疎開中の女子学生達から聞いた学校生
活をこの小説の題材にしたと思われる(「東奥日報」2005年8月15日新聞
記事による)。

この記事は間違っている。現在の青森県立弘前中央高等学校の教師であっ
たのは1925年(大正14年)であって「当時疎開中の女子学生達」とは何の
ためにどこから疎開してきたのか。東奥日報の我田引水もいい加減にしろ。

閑話休題。1949年版映画のスタッフ。監督:今井正、脚本:今井正、井手
俊郎、音楽:服部良一。作曲を電車の中で、数字で作曲していたら、折か
らの闇物資を売買する闇商人に間違えられた、という作り話のようなエピ
ソ−ドがある。

主なキャスト 島崎先生(女学校の教師):原節子、沼田校医:龍崎一郎
、金谷六助(旧制高校生):池部良、寺沢新子(女学生):杉葉子、 ガン
ちゃん(旧制高校生):伊豆肇、 笹井和子(女学生):若山セツ子、梅太
郎(芸者):木暮実千代だった。

2007年、『映画俳優 池部良』が出版される。2007年2月、東京池袋の新
文芸座のトークショーにて、その本の編集者から「青い山脈の時に31歳で
したが…」と池部が質問され、

実は1916年生まれで当時33歳なのに『青い山脈』の18歳の高校生の役を
渋々受けたことや原節子先輩からガリガリに痩せていたため「豆モヤシ」
という迷惑なあだ名をつけられたり、原節子の尻をデカイと本人の目の前
で口を滑らせたために 張り手を食らいそうになったりといったエピソー
ドを話している。

「ウィキペディア」による誕生日は1918年2月11日(建国記念の日)89歳
 血液型B型となっているが、池袋の新文芸座のトークショーでの「実は
1916年生まれ」だとすると92歳(2008年6月現在)になってしまう。映画俳
優協会の理事長としてご活躍中ということで不問にしよう。

この作品は藤本プロと東宝の共同作品となっている。著作権の保護期間が
終了したと考えられることから現在激安DVDが発売中(但し監督没後38年以
内なので発売差し止めを求められる可能性あり)。出典: フリー百科事典
『ウィキペディア(Wikipedia)』

この映画を観た当時は大東亜戦争の敗戦から未だ6年。人口数千人の町に
よく劇場があったものだが、小中学生の映画鑑賞は禁じられていたし、カ
ネも持っていなかったから観たいとも考えなかった。

出来て間もない中学校では野球に夢中。3年になったら主将に指名され
た。投手で4番打者。校舎の中では生徒会長でもあったから忙しかった。
家では教科書を広げる事はなかった。

中学校も間もなく卒業という春、秋田は3月と言っても当時は雪の降る日
があった。ゴム長靴にアメリカ軍払い下げのオーバーを着て寒さに耐えな
がらの映画鑑賞。

生まれて初めて観る映画だったはずだが、あらすじも画面も、未だに思い
出せるところをみると興奮はしていなかったようだ。後年、父親を映画に
誘ったら「暗くて厭だ」との感想。

明るくとも見える映画といえるテレビがド田舎にも普及したのは「青い山
脈」を見てから10年以上経っていた。ましてあの頃、テレビ会社(NHK)に入
社(記者)するとは夢にも思わぬことだった。

恥かしくて退屈な思い出話。御退屈様。2007・10・25執筆


◆香港で想定外の大デモ、習近平の窮地

櫻井よしこ


習近平国家主席の大誤算といってよいであろうが、それも含めて自業自得
ではないか。

香港で「逃亡犯条例」改正への反対の声はおさまらないどころか、国際社
会が一斉に、香港政府と、背後で実権を握っている北京政府への非難の声
を強めている。

逃亡犯条例改正への反対デモは、6月9日の日曜日には主催者発表で103万
人、16日には200万人に倍増した。香港住民700万人の29%が街頭に繰り出
し、中国本土と一体化した香港政府に抵抗の意思を示した。米欧メディア
はデモを生中継で報じ、香港人の人権も自由も危機に瀕していると伝え続
ける。

7月1日は香港が英国から中国に返還された記念日である。この日に向け
て、デモはさらに拡大する可能性がある。その前に習氏は大阪でのG20に
出席しなければならず、そこで国際社会の非難の集中砲火を浴びるだろう。

一連の負の連鎖現象を「産経新聞」外信部次長の矢板明夫氏は「習主席の
もらい事故」と表現する。矢板氏の説明だ。

「去年、香港の男が台湾で女性を殺害し、香港に逃げ帰ったのです。台湾
当局は犯人引き渡しを要求しました。香港は米英などとは引き渡し条約を
結んでいますが、中国や台湾とはそのような取り決めをしておらず、引き
渡せなかった。それで香港行政長官の林鄭月娥(りんていげつが)氏は条
例改正に取りかかった。習近平や中国共産党の直接の指示ではないのです」

実はこの話には続きがある。殺人犯とされる男性の引き渡しを要求した台
湾当局は、今年5月、男性の引き渡しは求めないと方針を転換させたので
ある。理由は二つ、台湾当局は逃亡犯引き渡し条例が、後述するように中
国共産党政府に悪用されると気付いたこと、香港住民の反対の声に耳を傾
けたこと、だった。

自由は次々と奪われた

他方、林鄭月娥氏はこの機会を逃そうとはしなかった。彼女は昨年11月、
北京を訪れ習氏と長時間の面談を果たしている。その席で習氏は香港によ
り厳しい「法的整備」を求めたという。

彼女がこだわった逃亡犯条例改正案は、容疑者の引き渡し先に「中国、マ
カオ、台湾」を新たに加えた内容で、改正されれば同条例は間違いなく反
中勢力弾圧強化の手段として中国政府に利用されると、香港人は恐れた。

改正案は、引き渡されるのは香港人だけでなく、香港在住の外国人、香港
にビジネスや観光で渡航する人まで含んでいた。これには香港を支えてき
た国際ビジネス界の重鎮たちも驚いた。

殺人事件をきっかけにした改正案はこのように多方面から反対を受けなが
らも香港政府によって進められ、国際政治の渦の中で、200万人もの人々
を駆り立てるという、予想を越えた反応を生み出した。矢板氏が指摘する
ように、習氏にとっては「もらい事故」の側面もある。だが、中国政府の
年来の弾圧は尋常ならざるものであり、中国共産党の手法は国際法や人類
普遍の価値観と余りにも隔たっていて、それらが一連の反応を引き起こし
たという意味で、自業自得としか言いようがない。

1997年の香港返還以降、周知のように50年間は一国二制度の下で高度な自
治が保障されるはずが、香港の自由は次々と奪われた。2014年、香港人は
民主的選挙の実現を雨傘革命で訴えた。彼らの要求は完全に退けられ、い
ま、香港議会の議員70人の内、中国共産党が事実上指名する議員が半分以
上を占める。多数を得た彼らは香港人代表ではなく、中国共産党を代表し
て香港を監視し、香港社会を中国化するための権力者集団となっている。

彼らは如何なる意味でも中国共産党への批判を受け入れない。中国共産党
に批判的な書籍を扱っていた銅鑼湾書店の経営者らが失踪したのは雨傘革
命の翌年だった。書店の経営者らは家族にも連絡できず中国当局に拘束さ
れていた。

解放されても、彼らは以前のように自由に書籍を扱って言論、出版の自由
を楽しめるわけではない。いつ何時再び、誰にも知られずに拘束され、大
陸に連行され、最悪の場合、拷問、虐殺の悲劇に見舞われないとも限らな
い。現に書店の元店長は逃亡犯条例改正の動きを察知して、4月26日台湾
に“亡命“した。

このような一連の事実があるために、香港人は中国共産党の支配強化を恐
れ、警戒心を強めるのだ。国際社会が香港人の抱く恐怖心に共感するのも
当然だ。国際社会はかつての宗主国である英国を筆頭に、デモの市民たち
への支持を打ち出した。とりわけ強烈に反応したのが米国である。

共和党のマルコ・ルビオ氏ら8人の上院議員に下院議員も加わった10人が
連名で、香港を米国の「特別貿易相手国」リストから外す法案を提出する
構えだ。

米中対立は「文明の衝突」

現在米国が香港との貿易にかけている関税は、大陸中国とは別扱いであ
る。中国の製品であっても、一旦香港に持ち込んで加工し、「香港製品」
にすれば、関税は通常レベルにとどまる。中国製品がそのまま香港経由で
米国に輸出される場合は、現在米国がほぼ全ての中国製品に課している
25%の関税が適用される。

ルビオ氏らの法案が実現すれば香港には大打撃だ。企業の香港離れが進
み、投資も減少するだろう。中国にとっても痛手だが、香港政府の多数派
を占める中国系議員にとっては死活問題だ。香港は自由貿易で成り立って
おり、香港の中国系議員の多くは経済界の幹部だからだ。

矢板氏は、習氏には現在打つ手がなく、「死んだふり」をするしかないと
語る。

「去年、中国共産党指導部内では習氏降ろしの動きもあったのですが、た
とえ李克強氏に交替してもアメリカの対中姿勢は変わらないと、彼らは
悟ったのです。米中対立の構造が変わらないのであれば、指導者を引きず
り降ろす意味もない。このような認識が内政も外交も手詰りの習氏の立場
を逆に安定させています」

共産党内の権力闘争が米国の「固い意思」の前で暫時休止しているという
のである。米中対立はいまや「文明の衝突」にもたとえられる。米国の要
求は中国がルールを守るフェアな国になることだ。知的財産も情報も先端
技術も盗んではならず、少数民族を弾圧してはならず、人権を尊重せよと
いう当然の要求だ。だが米国の要求を容れれば中国共産党の一党支配体制
は崩壊する。

米中の戦いで、わが国は日本の依って立つ価値観をもっと鮮明にしなけれ
ばならない。価値観外交を標榜してきた安倍政権は、いま、最低限、香港
の人々のデモに明確な支持を表明すべきだ。さらにウイグル人への弾圧に
も、台湾に対する圧力にも、日本ははっきりと反対の姿勢を打ち出し、中
国に物申すのがよい。

『週刊新潮』 2019年6月27日号
日本ルネッサンス 第857回

◆加齢疾病連発に悩まされた夏

石岡 荘十


今日書こう、明日こそはと思いながら、胸や背中を孫の手で掻くのに忙し
くて今日に至ってしまった。何の話か。すでに畏友毛馬一三氏が本誌で報
告しているように帯状疱疹“事件”の経緯についてである。

夏は、典型的な加齢疾病といわれる病につぎつぎと襲われ、悪戦苦闘した
3ヶ月だった。この間、私を襲ったのは帯状疱疹。発症から3ヶ月、やっと
終息にこぎつけたと思ったら今度は、加齢黄班変性といわれる眼球の疾病
である。これについては今なお加療の真っ只中であり、別稿で報告したい。

帯状疱疹の兆しが現れたのは6月の末のことだった。「夏バテ」というの
は夏だけの症状だと思われがちだが、気候の変化が激しい梅雨時や初夏に
も起こりやすい。

気温の乱高下に老体がついていけず、何もする気がしない。全身がともか
くけだるい。にもかかわらず梅雨明けの7月、以前からの約束もあって、
猛暑の中、秩父盆地のど真ん中にあるゴルフ場に出陣。疲労困憊、這うよ
うにして帰宅した。完全に体力を消耗していた。これが祟った。

思い返すと、その数日前すでに左胸の皮膚に違和感があり肋骨のあたりに
ピリピリ感があった。間もなく胸から左肩甲骨下にかけて赤い斑点がぽつ
ぽつ。ゴルフの後から左側の神経に沿って激痛が走るようになった。

にもかかわらず、まだ帯状疱疹とは気がつかず、市販のかゆみ止め軟膏
(レスタミン)を塗ったり、サロンパスの湿布を患部に張ったりして凌ご
うと試みていた。無知は恐ろしい。

そうこうしているうちに、赤い斑点は水ぶくれとなり、夜はベッドの上で
転々。背中を孫の手で掻きまくったものだから水ぶくれが破れ、かさぶた
へと変わったがかゆみと痛みは治まらなかった。

遂にたまらず、行きつけの病院の皮膚科に駆け込んだのはゴルフから3週
間を過ぎていた。

「帯状疱疹です。ずいぶん我慢強い方ですねぇ。もうかさぶたになり始め
ていますから、ペインクリニックに行きなさい」という。

帯状疱疹は、幼児に経験した水ぼうそうのウイルスが原因だ。ウイルスは
長い間体内の神経節に潜んでいて、加齢(50歳代〜70歳代)やストレス、
過労などが引き金となってウイルスに対する免疫力が低下すると、潜んで
いたウイルスが再び活動を始める。ウイルスは神経を伝わって皮膚に達
し、帯状疱疹として発症するとされている。

東京女子医大の統計によると、発疹する部位は、一番多いのが私のケー
ス。上肢〜胸背部(31.2%)、次いで腹背部(19.6%)、そして怖いのは
頭部〜顔面(17.6%)などとなっており、高校の友人が右顔面に発症。何
年か前のことだが、今でも顔面の筋肉がこわばっている。

最悪、失明をしたケースも報告されている。頚部〜上肢にも発症する。い
ずれの場合も体の左右どちらか一方に現れるのが特徴だ。

発症してすぐ気づき、すぐ適切な治療を受けた場合でも3週間は皮膚の痛
みや痒みが続く。痛みがやや治まってからも神経の痛みは容易に治まらな
い。数年間、痛みが消えなかったと言う症例もある厄介な加齢疾病である。

まして、私のケースは、初期治療のタイミングを逸した。その祟りで、い
まだにときどき、肋間や背中にピリピリと痛みが走る。

さて治療法である。皮膚科では坑ヘルペスウイルス薬を処方する。ウイル
スの増殖を抑える飲み薬で初期の痛みや痒みを抑える効果があるが、私は
そのチャンスを逃し、我慢強く無為に苦しんだ。

ペインクリニックでは、飲み薬と塗り薬を処方される。

【飲み薬】、

・鎮痛剤リリカプセル:今年4月、保健が適用されることとなった帯状疱
疹の最新特効薬だ。

・セレコックス:リリカカプセルが効かない場合に飲む頓服錠剤。炎症に
よる腫れや痛みを和らげる。
・メチコバール:末梢神経のしびれ、麻痺、痛みを改善する。

【塗り薬】、

・強力レスタミンコーチゾンコーワ(軟膏)

ペインクリニックでの治療5週間。月初旬にくすりの処方が終わった。発
症から3ヶ月の闘病であった。この間体力をつけようと金に糸目をつけず
美食に走った結果、太ってしまった。