2019年06月08日

◆皇位の安定的継承へ 皇室典範改正を

加瀬 英明


4月に都内で講演した時に、私は「天皇が日本の美徳を代表されているの
に対して、政治家が悪徳を代表している」といった時に、和田政宗参議院
議員が前列に座っていられるのに気づいて、「ごく少数の政治家を除い
て」と、慌てていい直した。

和田議員はNHKのアナウンサーとして知名度が高いが、皇室の崇敬者と
して、天皇を戴く日本の国柄を守るために、国政の場で先頭に立ってこら
れた。7月の参院選挙の改選に当たって、全国区から立候補されている。
和田先生にぜひ投票していただきたい。

天皇は2000年以上にわたって、日本の文化の原型を守ってくださってこら
れた。天皇は美徳を代表されてこられたからこそ、日本の民族意識のもっ
とも底にある要(かなめ)になってきた。

日本国憲法は、天皇の地位が「主権の存する国民の総意に基く」と規定し
ているが、まさか、いま生きている国民だけを意味していまい。日本が開
闢してから生きてきた、日本国民全員の総意に基くと、解釈すべきである。

世界に200あまりの国があるが、元首の家系が万世一系といわれて、226代
にわたって辿(たど)れる国は他にない。

令和という元号が示すように、日本は天皇のもとで、国民の和を保ってき
た。私たちは天皇がいない日本を想像することが、まったくできない。

外国の王朝の出自はみな、覇者である。自由な選挙によって選ばれた首相
も、覇者であることに変わりがない。天皇がいなければ、日本はまったく
違った国となってしまおう。

天皇、あるいは皇室のありかたが、その時代にあわせて変わってゆかねば
ならない、という声がある。

「開かれた皇室が望ましい」とか、「皇室は国民のあいだに融け込む努力
をするべきだ」という。そのなかで「庶民的なプリンス」とか、「庶民的
なプリンセス」が人気を博する。

だが、皇室を平民社会、大衆社会のなかに吸収させてしまって、よいもの
か。日本という国が現われてから、天皇家が変わることなく、文化の原型
を守ってこられたからこそ敬われ、今日まで続いているのではないか。

皇室の人気を芸能人の人気と、同じように考えてはなるまい。芸能人の人
気は上がったり、下ったりする。

天皇家は日本と世界の幸せを真摯に祈られる宮中祭祀を守られ、徳の手本
として存在してくださっているから有難い。

平成最後の年の4月に、天皇皇后両陛下が伊勢神宮に行幸啓された。テレ
ビで拝したが、沿道を埋めた群衆のなかの中年の女性が、記者の質問に答
えて、「もったいない」と語ったのが、国民感情を現わしていると思う。

私は皇嗣殿下となられた秋篠宮殿下が、平成元年に礼宮であられたが、昭
和天皇の諒闇(りょうあん)中に婚約された時に、皇室の将来について深い
不安をいだいた。まだ、兄宮の御婚約が決まっていなかった。一般の家庭
でも喪があけていないのに、急いで祝い事を決めないものだ。秋篠宮家の
お二人の内親王殿下の奔放なお振舞いや、「一個人として」というご発言
も、皇室のありかたにそぐわない。

秋篠宮家の悠仁親王殿下が、皇位継承者第2位となられた。このままゆく
と、悠仁親王がお一人だけになって、お世継が絶えて、皇統を維持するこ
とが危ふくなる。
 
先週、私の小学校の同級生のM君から、手紙を貰った。

「天皇家の将来を考えると、心配です。このままでは先細りになって、絶
滅危惧種です。皇統の男子を残り少ない宮家の養子とするよう、皇室典範
を改めるべきです。このままでは、全ての宮家が消滅してしまいます」

まったく同感である。占領下で臣籍降下を強いられた旧宮家の男子を、皇
籍に迎えるべきである。

どのような社会も、その国の伝統文化によって、支えられている。



◆【環球異見】トランプ大統領訪日

西見 由章
 
トランプ米大統領が5月25〜28日、令和最初の国賓として訪日し、天皇陛
下と会見した。安倍晋三首相とは11回目の首脳会談に臨んだほか、“ゴル
フ外交”などを通じて個人的信頼関係を一層厚くした。日米の蜜月ぶりを
目の当たりにして韓国紙は自国の孤立ぶりを懸念、文在寅政権の危機意識
の欠如を問題視した。中国の官製メディアは冷めた視線で、日米首脳会談
で目立ったのは不一致ばかりだと指摘した。□韓国 中央日報

 ■排除される文在寅大統領

日米首脳会談について韓国では、日米関係の緊密化の一方で、自国の外交
的孤立を懸念する論調が目立つ。中央日報(5月28日付)は社説で、「米
日蜜月の中で韓国は孤立状態に向かう雰囲気だ」と断じた。

同紙は「今回の首脳会談を見れば、むしろ安倍首相が北朝鮮の核問題の仲
裁者となったようだ」とし、「韓国は仲裁者でなく部外者となったような
感じで、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が北東アジアの首脳から排除さ
れている雰囲気だ」と指摘した。

その理由として、「文大統領が要請した訪韓に、トランプ米大統領が確た
る回答をせず、6月に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議直後
の訪韓日程が確定していない」「日本はG20での韓日首脳会談の意思がな
い」「習近平中国国家主席の訪韓も最近、取り消しとなった」ことを挙
げ、「北東アジアで韓国だけが茫々(ぼうぼう)たる大海を漂流してい
る」と韓国が置かれた状況を危惧した。

さらに、「行き詰まった北朝鮮との核交渉や米中貿易戦争の被害などは、
まさに韓国の現実の問題だ。だが、韓国政府は緊迫した国際情勢にもあま
りにのんびりしているようだ」と文政権の危機意識の欠如を問題視。

「4月にワシントンでの首脳会談で文大統領がトランプ大統領と単独で話
した時間はわずか2分だけだった。韓米首脳が緊密に議論する時間さえな
かった。日本とは外交・経済・軍事などの葛藤を解消できずにいる。時限
爆弾である米中衝突の懸念は韓国経済に一層深く拡散している」と危機感
を示した。

その上で、「米中貿易戦争と北朝鮮の核問題にしっかり対処できねば、経
済、安保ともに不覚を取り、仲裁者どころか、尻尾をつかまれ振り回され
る可能性もある」と事態の深刻さを訴えた。

一方、文化日報(5月29日付)の社説は、トランプ氏が米軍将兵への演説
で「皆は黄海と日本海、東シナ海、南シナ海を守り、祖国と同盟国を敵か
ら防護する」と語ったことに着目。「日本海・東海の表記の問題が(日韓
の)敏感な懸案であるにもかかわらず、トランプ氏がてらいもせずに日本
側に付き『日本海守護』の演説をした。中国牽制(けんせい)のために日
本との同盟強化が絶対的であり、文在寅政権への外交的考慮はしないとい
うことでもある」と論じた。

同紙は「両首脳の記者会見でも韓国には遠回しに触れるのみで、重要な同
盟国として扱われなかった。日本も韓国を無視している。G20での韓日首
脳会談も不透明だ」と韓国の“不安要素”を列挙した。

また、「韓米日の共助の代わりに『自由で開かれたインド太平洋構想』が
強調され、韓国パッシング(素通り)が露骨だ」と指摘。「韓米日首脳会
談の代わりに米日印首脳会談が開かれる」とし、背景に「文政権がインド
太平洋戦略を中国封鎖とみなし、関わりをはばかっている」ことを挙げ
た。その上で、「中国と北朝鮮にも無視され、韓国は北東アジアで急速に
端に置かれている」と現状を憂えている。(ソウル 名村隆寛)
 
□中国 新華社通信

 ■“横綱失格”米の貿易いじめ
中国メディアは、トランプ米大統領が国賓としての訪日で安倍晋三首相と
の“蜜月”を見せつけ、日米同盟の強固さをアピールしたものの、肝心の貿
易交渉は双方の溝が容易には埋まらない厳しい状況だとの冷めた見方を示
した。

中国にとって、米国と同盟国が連携して対中圧力を強めることは絶対に避
けたい事態だ。それだけにトランプ政権の「一国主義」を批判しつつも、
本音では米国が全方位に強硬な通商政策を展開して孤立を深めることを期
待している節もある。

国営新華社通信は5月27、28日の論評で、トランプ氏が安倍首相と2人の
“十八番”であるゴルフ外交を演じただけでなく、天皇陛下が即位後初めて
会う外国首脳、宮中晩餐(ばんさん)会に出席する初の国賓、日本の「準
空母」に初めて乗艦する米国大統領となった「初づくし」の外遊だと論じ
た。一方で、こうした安倍首相の苦心にもかかわらず、トランプ氏は日本
に対する圧力を弱めていないと分析。27日の日米首脳会談では、農産品や
自動車をめぐる貿易問題の立場の隔たりは埋まらず、朝鮮半島問題をめ
ぐっても顕著な不一致が残ったと指摘した。

論評は「米国第一」を掲げて対中圧力を強めるトランプ氏を牽制すること
も忘れない。安倍首相とトランプ氏が観戦した大相撲について「最高位の
力士は横綱と呼ばれ、手厚い報酬と高い地位にふさわしい厳格な礼儀と道
徳水準が求められる」とした上で、世界の貿易でトップの実力を持つ米国
が、しばしば貿易相手国に「いじめ」的な手段を用いて「国際貿易ルール
とぶつかっている」と非難した。

日米の貿易交渉をめぐり、トランプ氏が参院選後の8月に決着できるとの
意向を示したことについて、中国政府系英字紙チャイナ・デーリーは社説
で「もし本気でその期限を考えているのであれば、彼(トランプ氏)は失
望するだろう」と言及。トランプ氏がいう「バランスシート」に関する問
題の解決には、同氏の想定以上に多くの交渉が必要になるだろうと論じ
た。(産経北京 )



◆今回の首脳外交は大成功で終えた

櫻井よしこ


「緊密な日米関係を内外に示した今回の首脳外交は大成功で終えた」

5月25日から4日間、トランプ米大統領の訪日が無事終了した。天皇、皇后
両陛下は令和初の国賓をにこやかにお迎えされ、国民も大いに安堵したの
ではないか。

滞在中、トランプ大統領は対日貿易赤字、日本がF35戦闘機を105機買う
ことなどに度々言及し、環太平洋経済連携協定(TPP)への激しい反発
も口にした。日米間の貿易問題に加えて、拉致、北朝鮮に傾く韓国文在寅
政権、膨張する中国の脅威にも対処しなければならない安倍晋三首相とっ
て、眼前の貿易問題を超えて緊密な日米関係を内外に示すことは、大いな
る国益である。その点で今回の首脳外交は大成功だった。

だが、「朝日新聞」は5月28日の紙面で安倍外交を徹底的に批判した。

「抱きつき、泣きつき──。トランプ氏に対する度外れた厚遇ぶりには、そ
んな言葉しか浮かばない」(「天声人語」)という具合だ。社説も「もて
なし外交の限界 対米追従より価値の基軸を」と題して、「国賓を丁重に
迎えるのは当然だが、度が過ぎる」と書き、安倍首相のイラン訪問予定に
ついては、「米国の代弁者では、仲介者たり得ない」と釘をさした。

朝日の主張はただの観念論であろう。拉致問題でトランプ大統領は安倍首
相の「代弁者」になって、金正恩朝鮮労働党委員長に日本側の考えや要求
を伝え続けている。トランプ・金両首脳の3回の会談のすべてで、トラン
プ大統領は拉致問題を取り上げた。今回も家族会の皆さんに会い、安倍首
相への全面的支持を表明した。

日朝首脳会談は容易に実現するとは思えないが、トランプ大統領が安倍首
相の気持ちを代弁した結果、首脳会談の可能性が生まれている。イランに
関して安倍首相が力を尽くすことの何が問題なのか。

朝日の論調を「読売新聞」のそれと比較した。読売の社説は「多国間協調
を主導する同盟に 貿易問題で無用な対立避けたい」と題し、「貿易収支
は景気や為替など様々な要因に左右される」として、「赤字削減に固執す
る意味が乏しいことを、米国に訴え続け」よと説いた。「TPPから離脱
した米国が、参加国より有利な条件を得ては筋が通らない。TPPと同水
準の合意にとどめるべきだ」とも主張した。読売の主張の方が余程まとも
でフェアでもある。

米中対立は単なる貿易赤字削減の域を越えて、国の在り方、いわゆる「価
値観の闘い」の域に入っている。知的財産権の窃盗、言論の自由や人権の
圧迫、少数民族の弾圧や虐殺、国際法無視の現状変更などに異議を唱える
米国に、日本も欧州諸国も程度の差はあるものの共鳴している。だからこ
そ、同盟国である日本や欧州に、余りにも対立含みの要求を突きつけない
でほしいと願っている。

だが、トランプ大統領にはそれが通じない。難しい相手にどうわたり合う
か。とりわけ日本の立場は苦しい。本原稿執筆中の5月28日も、中国の
5000トンクラス、大型武装船2隻を含む4隻が尖閣諸島の接続水域に侵入中
だ。連続47日、この間彼らは度々領海も侵犯した。かつてない軍事的脅威
が眼前にあるが、わが国は有効な手立てを打てない。中国や北朝鮮の安全
保障上の脅威から日本を守るには力不足で、米国の支援が必要である。

そんなハンディゆえに安倍首相は朝日が主張する「経済も安全保障も、
ルールに基づく多国間の協力を重んじ」てきた。TPP11や日欧EPAを
まとめ、航行の自由、法の遵守、平和的解決を掲げてインド・太平洋戦略
を打ち出したのがその証左だ。日本が実現に漕ぎつけたこれらの実績を評
価せずに批判のための批判に力を注ぐ朝日の国際情勢分析は信頼できない
のではないか。米国との合意はTPPと同水準にせよと助言する読売を評
価するゆえんである

『週刊ダイヤモンド』 2019年6月8日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1282 

◆今月の法律コラム「贈与税とは?」

川原 敏明

子どものために子ども名義の預貯金を積み立てている。家を買うとき
に、親に一部援助してもらった。

そういう方は多いのではないでしょうか。
それ、贈与にあたっているかも知れません。そして、贈与税が発生す
るものかも知れません。

<1 贈与税の内容>

贈与をしたとき、贈与を「受けた人」に課税されるのが、贈与税です。
贈与を行った人ではなく、受けた人であることに、注意してください。
贈与税は、次のように計算されます。
税額=(贈与財産の価格−基礎控除110万円)×税率−控除額

<2 贈与とされる行為>

贈与に該当するか否かは、諸事情を考慮の上判断されますが、次のよ
うな行為は、贈与とされるおそれが高いので、ご注意ください。

@不動産を購入する際、夫しか資金を出していないのに、妻の名義にした。
A親から借入れをしたが、返済を免除してもらった。
B親戚から、時価よりも著しく安い価格で不動産を買った。

2019年06月07日

◆気候変化で政府を告訴したサヨク若者

Andy Chang
 

アメリカオレゴン州ポートランド市の第9巡回控訴裁判所で21人のサヨク
若者たちが、政府が彼らの「安全で生活できる気候に対する憲法上の権
利」を侵害したとして告訴した。彼らは政府が地球温暖化を悪化させたた
め被害をこうむったとして政府を告訴したのである。オカシーヨ。

第9巡回控訴裁判所で一時間あまりの弁論のやり取りで、若者たちを
代表するグレゴリー弁護士は状況は非常に良かった(Very Positive)
と述べた。

原告側は気候変動が激烈に変動したことにより彼らの家屋が破壊され
たり、山火事が多発したための煙や、長引いた花粉の季節を発生させ
たため呼吸器の健康を悪化させたため基本的な生活環境が変わったと
して、政府が気候変動の主な原因である化石燃料の生産を支援したこ
とで政府が生命、自由および財産に対する権利を侵害する責任を負っ
ていると主張した。

この訴訟はつまり石炭採掘や石油と天然ガスの採掘のため政府が国有
土地を貸与したり、自動車の排気ガスの設定を緩やかにしたこと、お
よび化石燃料産業への助成などの政策から生じる温室効果ガスのなど
が地球温暖化の主因だから政府の責任であるとして賠償を要求する。
要するに地球温暖化はアメリカ政府の責任だから賠償城と言うのだ。

政府を代表するクラーク弁護士は、この訴訟理由には多くの欠陥があ
るが、その中でも特に「気候の安定を求める憲法上の権利」などは存
在しないと述べた。彼は更に「これは権力分立への直接攻撃」である
と述べて、気候変化に対処する政策は大統領と国会が関与する事項で
法律に訴えるものではないと述べた。

こんな告訴がまかり通るアメリカは全くオカシイ。民主主義で言論自
由を唱える若者はどんな屁理屈でも法律に訴えることで有利な結果が
得られると思っている。サヨク弁護士にしてみればどんなにバカげた
理由でも弁護士代を稼ぐことができたら訴訟に持ち込む。これがサヨ
ク化したアメリカの現状である。

政府が国有地を貸与したから石炭会社や石油会社が化石燃料を採掘し
た。その石炭や石油を燃やしたから排気ガスを生み、排気ガスが地球
温暖化の原因となった、だから政府の責任だと主張して政府を告訴し
賠償を要求するのは「風が吹いたら桶屋が儲かる」理論である。

人類が化石燃料を生産し、それを使って発電し、電力を使って暖房冷
房のある家屋で快適に生活し、家屋の照明やパソコン、スマホでゲー
ムをする若者は責任を負わないでよいのか。排気ガスを生む自動車を
運転している若者の責任を問わず、政府が土地を貸与したから地球温
暖化の元凶だとして政府の責任を問うのはまったくオカシイ話だ。


at 09:07 | Comment(0) | Andy Chang

◆脳卒中予防のために 

渡部 亮次郎


脳梗塞や心筋梗塞は血栓(血の塊)が動脈に詰まって、血液が必要な場所
に行けなくなることから起きる。しかし、現在の医学はかなり進歩して、
新薬もできている。

それなのに街や公園では卒中による半身不随患者を沢山見かける。

先日電車で見かけた20歳代の男性は「若いオレが脳梗塞になるとは思えな
いから病院に掛かるのが遅れちゃった」と残念がっていた。

脳卒中は、昭和26(1951)年から昭和55年までの30年間、日本人の死亡原因
の1位を占めていた。現在でも富山県では死因の第2位であり、全国的に
も昭和40年代後半から死亡率は減少しているが、その内訳をみると、この
40年間で脳卒中の主流は脳内出血から脳梗塞へと変化してきている。

死亡率が減少している反面、患者数はむしろ増加していることから、今
後、発症予防や発症した後のリハビリテーションの推進がますます重要に
なる。

脳卒中の種類(この場合の「脳卒中」は、国際疾病傷害死因分類における
「脳血管疾患」にあたる。)

脳内出血
脳の血管が破れて出血をおこすもので、多くの場合深い昏睡とともに半身
のマヒが起こる。誘因として疲労、精神不安、寒冷刺激などが多く、また
活動中にも起こることが多い。鳩山一郎、石橋湛山氏ら。

くも膜下出血
脳は、くも膜という膜でおおわれているが、くも膜と脳の表面との間にあ
る小さな動脈にこぶ(動脈瘤)があると、血圧が上がった時などに破れて
出血(脳動脈瘤破裂)し、くも膜下出血になる。

頭痛がひどく悪心、嘔吐があり意識が混濁するが、四肢のマヒは通 常お
こらない 。

脳梗塞
動脈硬化などのために動脈が狭くなったり、あるいは動脈や心臓内に出来
た血の固まりが脳の動脈に流れ込み、詰まってしまうために起こるもの。
長嶋茂雄氏など。私も軽い症状を体験した。

その血管によって栄養を受けている部分の脳組織に、血液がいかなくなり
破壊されて、脳の軟化を起す。田中角栄氏ら。

突然、発症するもの、段階的に増悪するものなど、病型により様々だが、
多くの場合、前駆症状としてめまい、頭痛、舌のもつれ、手足のしびれ、
半身マヒや昏睡などになる。

一過性虚血
脳の血液循環が一時的に悪くなり、めまい、失神、発作などをひき起こし
ます。少し横になっていれば治りますが、脳梗塞の前駆症状と考えられて
おり、高齢者では十分な注意が必要。数年前に私が体験、入院・加療した。

73歳の朝、起きて暫くしても、左手小指の先の痺れが治らない。心臓手術
がきっかけで医療に詳しくなったNHKの同僚 石岡荘十さんに電話で相
談。「脳梗塞かもしれないよ」という。

そこでかかりつけの病院に行って申し出たら「脳梗塞患者が歩いてこれる
わけが無い」と取り合ってくれなかったが、「念の為」と言って撮った
CTで右の頚動脈の詰まっているのが判って即入院。1週間加療した。

後に石岡さんの助言に従ってかかった東京女子医大神経内科の内山真一郎
教授によると、このときに念を入れて加療してもらったのが大変よかった
そうだ。

なぜならこれを脳梗塞の前兆と見ないで放っておくと、直後に本格的に脳
梗塞を起こしてしまうからとのことだった。爾来、内山教授の患者になっ
ている。

高血圧性脳症
高血圧がかなりひどくなると、脳の内部にむくみが起こる。このため、頭
痛、嘔吐、手足のけいれんなどが見られ、目が見えなくなることもある。

これらに共通するものは、コレステロールに拠る動脈硬化。理屈からすれ
ば、血管内にこびりついたコレステをそぎ落とせばいいようなものだが、
今のところ医学界にそういう薬は存在しない。

いまのところ世界が束になって取り組んでいるのが、血液をさらさらにし
て詰まりにくくする方法であり、そのための薬が「ワーファリン」である。

2011年になって新薬「プラザキサ」が許可になった。2012年4月から処方
期間が延びたのでこれに替えた。納豆を食えるようになった。

それでも卒中になったらどうするか。私の場合はプラザキサを服用中のた
め使用禁止だが、そうでない患者が発症3時間以内に担ぎこまれたら助か
る薬がある。「tPA」だ。

血管を塞いだ血栓を溶かす薬だ。長嶋さんは、発見された時、すでに3時
間を過ぎていたからtPAを注射しても無駄だった。右手と言葉に後遺症
が残ってしまった。

とにかく脳卒中の症状が出たらどこの病院に担ぎこんでもらうかを予め決
めておけば、死ぬことは勿論、後遺症すら残らない時代に既になってい
る。私の場合は石岡荘十さんの助言に従って決めた。

私の場合はかかりつけの東京女子医大病院か近くの都立墨東病院に決めて
いる。2012・7・19執筆


◆北方領土奪還のときは必ず来る

櫻井よしこ


ビザなし交流で北方領土を訪れた衆議院議員、丸山穂高氏の言動は論外だ
が、総じて北方領土の現状についての国会議員、とりわけ野党議員の認識
の貧しさには驚くばかりだ。

ビザなし交流は平成4(1992)年に始まった。日露双方が年間600人を上限
に参加できる。日本からの訪問者は元島民の皆さんと親族、返還運動関係
者、報道関係者、国会議員などである。

議員は各党から選ばれるが、自民党のように大きな政党の議員は仲々順番
が回ってこない。あくまでも一般論ではあるが、自民党議員は北方領土訪
問団の一員に選ばれるまでに部会などの勉強会でそれなりの勉強をする
と、東海大学教授の山田吉彦氏は指摘する。

自身、ビザなし交流を体験した山田氏は、小政党の野党は所属する国会議
員の数が少ない分、比較的早く順番が回ってくるため、北方領土の歴史
も、ビザなし交流の意味も十分に学ぶことなく訪問するケースがあるとも
指摘する。

北方領土で問題を起こし、ロシア側の取り締まりを受ければ、日本人がロ
シアの主権下に置かれる。これは、北方領土は日本固有の領土でロシアが
不法占拠しているという年来の日本の主張とは相容れない事態である。

罷り間違ってもそんな事態に陥らないように、北方領土訪問団には夜間の
外出禁止などのルールが課せられてきた。不法に奪われた国土、略奪にま
つわる悲劇や口惜しさ、領土や国の在り方などについて思い巡らすのが北
方領土で過ごす夜の時間の使い方であろうに、飲酒して醜態を晒す程愚か
しいことはない。

戦後70年が過ぎても北方領土返還の兆しは見えない。その第一の理由は、
ロシアがロシアであるということだ。沖縄を返還したアメリカとは違う国
が私たちの相手なのだ。そこでロシアの現実を見てみよう。

失った領土へのこだわり

領土問題はナショナリズムに直結する。大国だったソビエト連邦が崩壊
し、多くの領土を失う形で現在のロシアが生まれた。大国の座から滑り落
ちた恨みは深く、失った領土へのこだわりは強い。だからこそ、クリミア
半島を奪ったプーチン大統領の支持率は86.2%に跳ね上がった。

それが今年4月段階では64%である。経済が振るわず、昨年10月、プーチ
ン氏は年金受給年齢を大幅に引き上げた。今年1月からは付加価値税(消
費税)を20%に引き上げた。それでも国家財政は苦しい。プーチン氏は、
➀原油価格の下落及び低迷、➁通貨ルーブル安、➂クリミア半島を奪ったこ
とに対する先進7か国による経済制裁の「三重苦」(木村汎氏)に呪縛さ
れたままだ。経済改善も、支持率上昇も期待できない中で、ナショナリズ
ムに火をつける領土返還には踏み切れないだろう。

経済不振とは対照的に、プーチン氏は軍事力増強に努めてきた。氏にとっ
て、軍事力において優位性を保ちそれを見せつけることは、祖国への誇り
や自信を確認できる数少ない機会のひとつなのではないか。軍事的視点で
北方領土を考えれば、日本への返還の遠さが浮かび上がる。

安倍晋三首相とプーチン大統領の首脳会談が重ねられる中、歯舞諸島と色
丹島の二島返還の可能性が論じられた。二島は北方領土全面積のわずか
7%だ。

色丹島には1000人規模の国境警備庁要員が常駐し、高速警備艇9隻が日本
海の入り口につながる北方海域の警備を担当している。同島島民の約3分
の1が国境警備関係者で、色丹島に投下される公共資本は病院や体育館な
ど国境警備隊にとって利用価値の高いものが多い。また同島の北半分は人
間の立ち入りが禁止される自然保護区である。

色丹島は国境警備のための島なのだ。国境警備庁と軍の関係者しか住んで
いない歯舞諸島も同様であろう。北海道から目視できる程近いこの二つの
小島に、ロシアが軍や国境警備の兵を手厚く配備しているのは日本海から
オホーツク海、さらには北西太平洋、北極海へと広がる海洋の覇権争いと
密接に関係しているはずだ。

中朝関係は必ずしも順調ではないが、中国の北朝鮮への影響力が強化され
ているのは確かである。朝鮮半島及び日本海における中国の勢力膨張は、
年毎に新しい段階に進んでいると言ってもよいだろう。

中国は2005年に北朝鮮の日本海側最北の港、羅津を50年間の契約で租借し
た。羅津から中朝国境に至る約60キロの幹線道路を作り、これも租借し
た。彼らは史上初めて、自国から日本海に直接出入りする道路と港を手に
入れたのだ。

12年には北朝鮮三大都市のひとつで、北朝鮮全域につながる物流拠点であ
る清津港に30年間にわたる使用権を確立した。

国防の視点

世界最大規模の埋蔵鉱物資源を誇る北朝鮮の複数の鉱山に、50年単位の独
占開発権を設定した中国は、南北朝鮮が不安定になればなったで、朝鮮半
島全体により強い影響力を及ぼす。国際港である釜山の活用は益々進むで
あろうし、済州島は、沖縄同様、中国資本に買収され続けている。朝鮮半
島全体が中国に包み込まれつつある。

現在、日本海には、日米韓露の潜水艦が潜航しているが、中国は入れてい
ない。しかし、中朝、中韓関係の深まりによって、中国も日本海潜入の機
会を窺うときが必ず来るだろう。これをロシアはどう見るか。

彼らは13年段階で中国に対抗して、羅津港にロシア専用の埠頭を確保し
た。加えて港とロシア極東の町、ハサンを結ぶ鉄道まで完成させた。

中国を警戒するロシアが、日本海・オホーツク海を監視する拠点である北
方領土を手放すことはないと考えるのが合理的だろう。日本に返還すれば
日米安保条約の下で、米国の軍事基地が出現する可能性を考えるのは当然
だ。日本海、オホーツク海或いは太平洋から北極海航路へとつながるシー
レーン構想の中で、ロシアが北方領土の戦略的重要性を認識するのは当然
だ。経済のみならず国防の視点で考えれば、領土返還は難しいと言わざる
を得ない。

では日本ができることは何か。丸山氏の暴言のような「戦争」でないのは
言うまでもない。

外交感覚を研ぎ澄まし、世界情勢をよく読み機会を待つことではないだろ
うか。ソビエト連邦崩壊の好機をとらえたのが西ドイツだった。ベルリン
の壁の崩壊と世界史の大転換を巧みにとらえ、ドイツ統一を果たした。

あのとき、好機は日本にも与えられていた。しかしわが国の外交官は全
く、その好機を掴めなかった。だが、必ず、チャンスはまた巡ってくる。
情勢の大変化でロシアが困窮に至るときである。

それまでじっと私たちは見詰め続け、好機を窺い続けることだ。国家とし
て長い闘いを勝ち抜く気力と気迫を持続することだ。

『週刊新潮』 2019年6月6日号 日本ルネッサンス 第854回

◆脳梗塞「2時間59分だとOK!」

安井敏裕 (大阪市立総合医療センター) 

脳卒中とは、脳に酸素やブドウ糖などの栄養を送る血管が「詰まったり、切れたり、破裂して」、にわかに倒れる病気の総称である。脳卒中には、脳梗塞(詰まる)、脳出血(切れる)、くも膜下出血(破裂)の三種類ある。

 この病気の歴史は古く、「医学の父」と言われているヒポクラテスは既に今から2400年前の紀元前400年頃に、この脳卒中の存在を認識し「急に起こる麻痺」という表現で記載している。脳卒中による死亡率は日本では癌、心臓病に次ぎ、第三位で、毎年15万人程度の人が亡くなっている。

 しかし、本当に問題となるのは、脳卒中が原因で障害を持ち入院あるいは通院している人たちが、その約10倍の150万人もいることである。現在、脳卒中の中では、脳梗塞の発生頻度が突出して多い。2分20秒に一人が脳梗塞になっていると言うデータもあり、全脳卒中の70%程度を占めている。

 この最も多い脳卒中である「脳梗塞」について、大きな治療上の進歩があったので紹介する。

脳梗塞は、脳の動脈が血栓や塞栓という血の固まりのために詰まることで起こる。この血の固まりで閉塞さえた血管から血流を受けていた部分の脳は、いきなり脳梗塞という不可逆的な状態になってしまうのではなく、数時間の猶予があり、徐々に脳梗塞になる。

 この数時間の間に血流を再開してやれば、再度、機能を回復できることになる。いわば、「眠れる森の美女」のような状態で、医学的には、このような状態の部分の脳を「ペナンブラ」と言う。見方を変えると、この部分は、血流が再開しないと数時間後には脳梗塞という不可逆的な状態となってしまう訳である。

 このペナンブラの部分に血流を再開する方法として、古くは開頭手術をして、目的の血管を切開し、中に詰まっている血の固まりを取り除く方法を行っていたこともあるが、それでは、多くの場合に時間がかかりすぎ、再開通させた時には、ペナンブラの部分は既に脳梗塞になっている。また、間に合わないばかりか、出血性梗塞というさらに悪い状況になってしまうことさえある。

 開頭術の次に登場した再開通法は、カテーテルという長い管を血管の中に通し、その先端を詰まった部分にまで誘導して、血栓を溶かす薬を注入する方法である。

この方法では開頭手術よりも早く、血管を再開通させることができるが、この方法であっても、血管が閉塞してから6時間以内に再開通させないとペナンブラが脳梗塞になってしまうことが防げないし、間に合わずに血流を再開させた場合には、やはり脳出血が起こってしまう。

 このようなことから、一時、我々脳卒中に関わる医師は、口には出さないが、最も理屈にあった治療法である「急性期に閉塞血管を再開通させて脳梗塞になることを防ぐ」と言う治療を諦め、虚無的になっていた時期がある。再開通させることを諦め、梗塞に陥ってしまった脳自体の治療として、脳保護薬や低体温療法へと興味が移行していた時期もあった。

 しかし、米国で1996年から特別な手技や道具が不要で、ただ静脈内注射するだけで詰まった血管の血栓を溶かしてくれるアルテプラーゼと言う薬の使用が始まり、2002年にはヨーロッパ連合(EU)でもこの薬剤による血栓溶解療法が認可された。

わが国でも日本脳卒中学会を中心にこの薬の早期承認を厚生労働省に求めたが、「日本人を対象とした治験で良い結果が出ない限り承認できない」という厚生労働省の方針に答える準備のために時間がかかり(drug lag)、米国から遅れること約10年の2005年10月11日に漸く承認された。

 この薬は血管に詰まった血栓を溶かしてくれる血栓溶解剤で、発症後3時間以内に静脈内注射するだけで良好な予後が得られる。

しかし、この薬剤は両刃の剣で、39項目に渡る使用基準を尊守しないと、脳出血の危険性が著しく増大することが分かっている。従って、厚生労働省も非常に厳しく市販後調査(2.5年間に3000例以上の全例調査)を課している。現在は、言わば試運転ないしは仮免状態と心得て、慎重に使用する必要がある。

 そして、この薬剤を用いるためには、一定の講習を受ける必要があり、全国で130回以上行われ、8000人以上が受講した。実際に、この薬剤を発症後3時間以内に注射するには、患者さんには、遅くとも発症後2時間以内に病院へ到着してもらう必要がある。

 すなわち、病院へ到着しても、患者の診察、一般検査、脳のCT検査、家族への説明など、最低1時間は必要であるためである。そのために、最初にこの薬剤の使用を始めた米国では、脳梗塞を“ブレインアタック(brain attack)”と言い直し、社会全体に向かって、その緊急性を啓発した。

すなわち、“Time is brain. Time loss is brain loss.”などの標語で注意を喚起した。日本においても脳梗塞を“ブレインアタック”という緊急を要する疾患として一般の方々に認識していただくために、学会や医師会などの啓発運動も行なわれるようになっている。

 さらに、平成9年3月に創設された日本脳卒中協会においても、毎年5月25日〜5月31日までの一週間を脳卒中週間と定め啓発運動に努めるようになっている。脳卒中週間をこの時期にしたのは、とかく脳卒中は冬に多いと思われがちであるが、脳卒中の中で最も多い脳梗塞は、最近の研究では6−8月に増えだすため、脳卒中予防は夏から気をつけなければならないことを啓発するためである。

 この週間で使用される標語も、昨年(2006年)はアルテプラーゼの使用が認められたことを念頭において「一分が分ける運命、脳卒中」であった。2001年の日本での脳梗塞急性期来院時間調査の結果では36.8%の患者が3時間

以内に来院している。この中の一部の方がアルテプラーゼ治療を受けることになるが、この割合をさらに増やして、本薬剤の恩恵を受ける人を増やす必要がある。

 この治療では10年の経験を持つ米国では、この治療を受けるためには、@患者の知識、A救急車要請、B救急隊システム、C救急外来、D脳卒中専門チーム、E脳卒中専門病棟、とういう六つの連鎖の充実と潤滑な流れを推奨している。
 
一般市民への啓発や行政への働きかけなどが必要である。一方で、来院から治療までの時間も1時間以内にする努力が病院側に求められている。いつでも、3人程度の医師が対応できなければならないし、他職種(レントゲン部門、検査部門、看護部門)の協力も不可欠である。(了  再掲)

2019年06月06日

◆ついに中国金融危機が表面化

宮崎 正弘


令和元年(2019)6月6日(木曜日)通巻第6100号 

ついに中国金融危機が表面化。「包商銀行」の倒産回避。国家管理に
  米中貿易戦争が原因は口実、本当はインサイダー取引のATMだったのだ

リーマンショックの1年前、何がおきたかご記憶ですか?
 ベアスターンズ倒産をアメリカは救済した。モラルハザード、楽観論が
拡大したが、一年後、リーマンブラザーズは救済されなかった。サブプラ
イム債券が不良債権に化け、ウォール街を未曾有の危機が襲った。

5月24日、倒産寸前だった内蒙古省が拠点の「包商銀行」を中国は国家と
して買収を決め、89%の株式を取得した。つまり国有化されたのである。
 具体的には中国銀行保険監督管理委員会(CBIRC)が「公的管理」
とし、元本の30%削減という措置をとった。営業店舗は現在シャッターが
下ろされたままである。

心理恐慌の拡大を懸念する中央銀行(中国人民銀行)は6月2日になって
「これは単独の案件であり、金融不安は何もない」と発表した。投資家の
不安はかえって拡がった。

過去20年間、こんなことはなかった。同行は608億元の資産と270億元の預
金があり、不良債権率は148%(2017年)と報告されていた。

ここで粛建華という人物の名前を思い出していただきたい? 連想で郭文
貴という名前も。<???>

郭文貴は江沢民時代から証券界の黒幕、香港を根城に共産党幹部と組ん
で、大々的なインサイダー取引を展開した。しかし習近平時代にはいっ
て、権力闘争の先を見越すや、郭はさっとアメリカへ逃げた。

NYの豪邸に住み、テレビ媒体などを駆使して、さかんに習近平一派の不
正蓄財、不法経済行為を暴いている。郭はアメリカに政治亡命を申請して
いる。
 
粛建華は、その郭文貴の番頭格で江沢民人脈の金庫番とも言われた。イン
サイダー取引の元締めで、香港の豪華ホテルに長期滞在していた。

4人のボディガードに囲まれながら、2年前に白昼堂々と拉致され、中国
で取り調べを受けてきた。

ちかく裁判が始まると言われるが、悪魔的な金融界の闇をバラされると困
る人々がいるので、裁判は非公開とされるかも知れない。

さて「包商銀行」である。

じつは同行は粛建華が主導した投機集団「明天証券」グループの隠れ蓑、
インサイダー取引の前衛部隊の役を担い、217億元を投下して、シャドー
バンキング機能をやらせていたうえ粛建華集団のATMとして駆使され、
投機資金に廻されていたのだ。


▲中国の金融危機がついに表面化した。

上海、北京を避けて内蒙古省の銀行を活用したのも、中央政界とは無縁の
バンカーだったから、利用価値があったのだろう。

中国の財務当局は「米中貿易戦争の煽りだ」との口実をさかんに口にして
いるが、米中貿易戦争と原因は無縁である。

不動産バブル、株投機の裏金処理、インサイダー取引のATMだったわけ
で、この銀行を倒産させないで、救済したのはリーマンショックの前兆と
金融界が認識することを怖れたのだ。

中国には約4000の銀行、地方銀行、信用組合があるが、このうち420の金
融機関がリスクを抱えていると中国の金融業界はみているようだ。

「灰色の犀」の早期発見、しかし、二番三番の「包商銀行」は、各地にご
ろごろと転がっている。

この事件によって、中国の金融危機がついに表面化した。
         

◆「小澤は過去の人」と立花隆

渡部 亮次郎


手許に残っている「文芸春秋」2010年3月号。表紙に「政治家小澤一郎は
死んだ」立花隆とあるから、興味を以って読んだが、たいした事は全く無
かった。

とくに「そう遠くない時期に小澤は確実に死ぬ。既に67歳。記者会見で自
ら述べているように、そう長くはない、のである、心臓に重い持病を抱え
ている事もあり・・・もう限界だろう」にいたっては立花隆は「小澤のこと
を調べる根気が無くなったので論評はやめた」と宣言したに等しい。

「文芸春秋」に「田中角栄研究」をひっさげて論壇に華々しく登場し、東
京大学の教授にまで上り詰めた立花だが、70の声を聞いてさすがに体力の
みならず精神的にもに弱ってきたらしい。立花に次ぐ評論家は育ってない
から文春も弱ってるようだ。

「JAL倒産の影響もある」と言う。「あれほど巨大な企業も、つぶれる時は
アッという間だった。小澤ほどの巨大権力者も、つぶれる時は一瞬だろう
と思った。今考えるべきは小沢がどうなるかではなく、ポスト小澤の日本
がどうなるか、どうするのではないか」と言う。
今更小澤を論ずるなどやめようという原稿になっている。

「小澤の政治資金に関する不適切な事実は、既に山のように出てきてい
る。小澤がこれから百万言を弄して、どのようなもっともらしい理屈を並
べようと、小澤は政治腐敗の点において、政治上の師と仰いできた田中角
栄、金丸信の直系の弟子であることを既に証明してしまっている。

小澤のやって来た事は構造的に、田中角栄、金丸信がやってきたことと、
殆ど変わりが無い。

それは、政治家が影響力をふるう事ができる公共事業の巨大な国家資金の
流れにあずかる企業から、大っぴらにできない政治献金{法律上、国家資
金を受け取る企業は献金できない}を何らかの別チャンネルで受け取って
懐にいれるという行為である。

それを贈収賄罪等の罪に問う事が出来るかどうかは、法技術上の難問がい
くつかあって簡単ではない。刑法の罪を逃れられたとしても、道義上の問
題としては、同質の罪として残る」

要するに、立花隆として、小澤の罪について自ら積極的に調べ上げた事実
は一つもなしに「政治家小澤一郎は死んだ」と言うおどろおどろしい見出
しの長文を書いてお茶を濁しているのである。小澤が死んだというなら、
立花も死んだと言っていいのかな。

しかも評論の大半を東大駒場の立花の最終ゼミに来た学生から取ったアン
ケートを升目に書き写して「今の平成生まれの若者から見れば、小澤一郎
など、過去の遺物に過ぎない」と逃げている。

20歳前後の世間知らずに小澤論のあるわけがない。それなのに長々とアン
ケートの回答を書き連ね、「もはや小澤なんかどうでもよい」と言うな
ら、こんな原稿、書かなきゃ良かったではないか。

とにかく立花らしさの全く無い原稿である。まして表紙にタイトルを刷っ
て売るのは当に羊頭狗肉である。(文中敬称略)2010・2・10