2019年07月12日

◆欠陥憲法を墨守しつづける愚

加瀬 英明


令和の御代が明けたが、平成の30年、日本の周辺が風雲急を告げている
のに、なぜなのか、欠陥憲法を改めることができなかった。

最高法規であるはずの憲法の前文は、日本語として文法が目茶苦茶だ。ど
うして国語審議会が、目を瞑(つむ)ってきたのか。

このちゃらんぽらんな憲法を真面目(きまじめ)に解釈する法律学者たちが
「専守防衛」とか、「必要最小限度の防衛力」とか解釈しているが、泥酔
して錯乱したとしか思えない。

金科玉条となっている「専守防衛」という言葉は、まったく意味が不明
だ。英語や、外国語に訳することができない。

外国人に理解させるために、来年、野球が東京オリンピックの種目入りし
たのを好機として、日本の選手がバッターボックスに立つ時には、バット
を持たせなかったらどうか。「専守」だから、攻撃である打球を禁じる。

家族が重病を患ったら、病院に「必要最小限度」の医療を施すように頼も
う。だが、「必要最小限度」の医療なぞあるだろうか? 「必要最小限
度」の国防も、あるはずがない。

こんなことを議論している国会は、重症精神患者病棟という看板を掛ける
べきだ。

現行憲法は「平和憲法」だというが、「アメリカの平和」のために強要し
たもので、占領軍総司令部が日本政府に「これを呑まないと、天皇の一身
の安全を保障できない」といって、英文の原案を手渡してから、1年3ヶ
月後に公布された。帝国憲法を全面的に書き改めたのだから、もし日本国
民が改正したのなら、1年3ヶ月で公布できなかったろう。

アメリカ軍の施政下で現行憲法が施行されてから、今年で72年もの歳月
(さいげつ)が流れた。

どうして日本が独立国であることを否定して、とうてい憲法と呼べないの
に、改められないのか。占領軍が日本国民を洗脳して反日思想を植えつけ
たというが、国民はそれほど愚かであるはずがない。

平成3年は、江戸開府400年に当たった。

日光東照宮が「江戸研究学会」を記念事業として立ちあげたが、私は江戸
時代は庶民が世界のなかでもっとも恵まれていた時代だったと書いたり、
講演してきたので、求められて会長を引き受けた。

江戸時代は平和が300」年近く続いて、庶民が豊かな生活を営み、絢爛た
る文化を創り出した。だが、平和だった江戸時代は、明治以後の日本に
とって呪いともなった。

江戸時代は徳川家の支配を持続することを目的としたために、新しい政治
思想や能力主義を斥けて、血筋と年功序列による硬直した体制を墨守し
た。明治維新は徳川体制をつくり直して、才気ある人々が国を導いたが、
日清、日露戦争に勝つと、過剰な自信をいだくようになって、江戸時代へ
戻ってしまった。

先の対米戦争で、日本はボロ負けした。政界から陸海軍まで年功序列に
よった。帝国の興亡を賭けた真珠湾攻撃、ミッドウェー作戦の司令官は南
雲中将で、砲術の権威だったが、航空戦について無知だった。

江戸時代に入ると、戦国時代の戦略思想が消し去られた。武士は儒教漬け
にされたが、孫子の心髄の「兵は詭道也」(敵を騙すこと)は学ばなかっ
た。武士道は精神修養の哲学に退化してしまい、勝つことではなく、「死
ぬ」ことに価値が与えられた。

高度経済成長による経済大国化は、日露戦争の勝利に似ていた。日本国憲
法が家康公の権現様の祖法と同じものに、なってしまったのだ。


◆東欧最大市場のポーランドは

宮崎 正弘


令和元年(2019)7月11日(木曜日)通巻第6136号  <前日発行>

 東欧最大市場のポーランドはファーウェイを排除しない
  だけども「アメリカ軍の駐留は増やして呉れたまえ」

ポーランド系アメリカ人と言えば、すぐに評者が思い浮かべる学者は、ズ
ビグニュー・ブレジンスキーだ。彼はカーター政権下で安全保障担当補佐
官だった。というより、『ゲームプラン』、『ひよわな花・日本』などの
著作が有名。でも一般の人は誰も知らないかも。

 国のみかわ世界中で有名なポーランド系アメリカ人は俳優のブラッド・
ピット、そして米国大統領予備選でトップを走るバニー・サンダースだろう。

ワレサ初代大統領の名前って、憶えているのは年配者くらいか。

ポーランドは冷戦後、真っ先にアメリカに接近した。

株式市場もさっと開設し、経済自由化のスタートも早かったのは、在米
ポーランド人が支援したからだ。ポーランド系アメリカ人は祖国が迅速に
ソ連帝国主義の悪影響の汚染を洗浄し、その桎梏から離脱することを望ん
だ。だから支援を惜しまなかった。

いまやポーランドは見違えるほど美しい、近代的な国家に変貌した。
NATOにはイの一番で駆け込んだ。繁華街は日本料理の花盛りだ。

ポーランドは反ロシアを掲げ、「ロシアの脅威が目の前にある」として
NATOの防衛前衛なのだからと、アメリカ兵を増派させることにも成功
した。

2019年1月、ワルシャワで一人の中国人が逮捕された。

ファーウェイ社員の王偉昌で、共犯者のピョートル・ドグルバイドウズと
組んでスパイ活動に及んだ容疑だった。王は3年以上もグダニスクの中国
領事館に勤務していた。共犯者とされたポーランド人は、王の誘いで3
回、中国を旅行した履歴も判明した。

ポーランドではファーウェイ排斥を訴える米国の要求には背を向けた。
5Gのトップを突っ走るファーウェイは安全保障上の脅威ではないとし、
「今後も通信ネットワークにはファーウェイ方式を継続する」と7月8日
にワルシャワを訪問した王毅外相に答えた。

ポーランドでファーウェイは既に強力な販売網を構築しており、500名
の社員を抱えている。

ここがファーウェイの東欧最大の拠点である。


▼旧ソ連圏はファーウェイにとって楔を打ち込める市場だった

旧ソ連圏で、NATOに加盟した国々は多いが、経済状況はさまざま、と
くにハンガリーなどは反EU感情が根強く、EU本部に反旗を翻ることが
多い。

チェコ、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニアは、ポーランドとともに
ユーロには加盟せず、旧東欧でユーロを使っているのはバルト3国とスロ
バキア、コソボくらいだ。まもなくスロベニアが加盟がみとめられるらし
いが。

さてファーウェイのスマホだが、バルト3国のなかで、北のエストニアは
いち早くIT革命を成し遂げ、選挙もスマホを投票する先進的な側面を持
つ。スマホはノキアが多い。しかしエストニアにはまだ数十万のロシア人
が残留しており、ハッカー攻撃でロシアから邪魔され、ITシステムの円
滑化ができないでいる。地理的には北欧に近いのでノキア、エリクソンが
浸透している。

まんなかのラトビアは残留ロシア人が多く、経済が立ち遅れている。
リガの繁華街はアールヌーボーの建物が立ち並び壮観だが、産業が遅れ、
製造業が立ち上がれない。

南のリトアニアは、地理的にドイツに近く、経済的にもドイツ資本が目立
つようになっている。反ロシアは旗幟鮮明である。

とはいえ、ファーウェイ排除という要請に関して言えば、ロシアがほぼ
ファーウェイシステムに組み込まれている。

このためベラルーシ、アルメニアなどにも自動的におよび、また肝心のド
イツ、フランスがまだ態度が不鮮明であり、東欧のみならずヨーロッパ全
体が揺れているという状況である。
     
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
読者の声  どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(読者の声1)貴書新刊の『地図のない国を行く』(海竜社)を購入して
机の上においていたら、大学生の娘が先に読み出し、世界地図帳とにら
めっこしながら毎日読み更けています。

このため私は宮崎さんの四年前の旧ソ連全30ケ国紀行『日本が全体主義に
陥る日――旧ソ連邦・衛星国30ケ国の真実』(ビジネス社)を読みかえす仕
儀となりました(苦笑)。

後者はカラー写真など、百枚強もの現場の写真が添えられていて、ヴィ
ヴィットに、その後の共産圏の自由化速度ののろさ、まだ懐疑的な人たち
の表情や旧体制派の回顧人脈たちの恨めしそうな風貌など、人間が描写さ
れていて興味津々です。

いっときはあれほど旧ソ連圏の出来事をつたえていた日本のマスコミも、
最近はさっぱり情報がないし、ロシアの報道もプーチンのことばかりで街
の表情のルポがありませんね。ところで、このところ宮崎さんはユー
チューブを拝見しておりますと、アセアンからインド圏のすべてを回られ
たご様子ですが、つぎに南太平洋に焦点を移されている印象を受けました。

中国から旧ソ連そしてアセアン、インド商圏を次々とまとめてこられたわ
けですから次はほかの地域へ取材対象が移行されたことはわかりますが、
なぜ南太平洋なのでしょうか?(BC生、静岡市)
 

(宮崎正弘のコメント)中国が実効支配しはじめた南シナ海のさき、中国
がねらう九段線。静かに、しかし着実にパプアニューギニア、フィジー、
バヌアツ、トンガ、ソロモン諸島、サモア、東チモール等に浸透を始めて
います。

メディアがカバーしないところを先回りしているわけでもありませんが、
旧来の地球儀的発想にはなかった事態が起きているからです。

◆米中・米朝首脳会談、つきまとう危うさ

櫻井よしこ


「米中・米朝首脳会談、つきまとう危うさ」

国際政治はテレビと共にある。

安倍晋三首相の20カ国・地域(G20)首脳会議での巧みな采配も、惜しく
も吹き飛ばされた感がある。世界の目は板門店でのトランプ・金正恩両首
脳に集中し、その他の印象を消し去った。凄いものだ。

6月30日、15時45分、トランプ大統領が韓国の「自由の家」からゆっくり
と軍事境界線に向かって歩き始めると、北側からは金正恩朝鮮労働党委員
長が歩み寄った。境界線の南北に二人が相対し、握手をし言葉を交わし
て、やがてトランプ氏が北側に足を踏み入れたとき、思わず私自身、大き
な笑顔になった。メモをとりつつ、冷静に見ているつもりが、大きな笑顔
がこぼれたのである。中継映像を見ていた人の多くも同様だったのではな
いか。

二人が北朝鮮側で暫し佇んで境界線に戻り、そのまま自然な形で揃って韓
国側に入ったときには、取材陣の叫び声が聞こえた。カメラに囲まれて立
ち話をする金氏は、大きな賭けに出たがうまく意思の疎通がはかれそうだ
と、ひと安心した様子だった。安堵と嬉しさを隠しきれない表情には、そ
の残虐な行動に似合わない子供っぽさが残っていた。

トランプ氏は「つい昨日、金委員長に会うことを思いついた」と繰り返し
たが、ワシントンで発行されている「ザ・ヒル」は、同紙が行った24日の
インタビューでトランプ氏が板門店で金氏に会う考えを語っていたと報じ
た。ホワイトハウスがセキュリティ確保のためその件を当日まで伏せるよ
うに依頼し、報道できなかったという。

トランプ氏側が少なくとも1週間は板門店会談について考えを巡らしてい
たのに対して、金氏にとってはいきなりの提案だったわけだ。金氏は「ツ
イッターを見て本当に驚いた」と語っている。これはトランプ氏との立ち
話を終えて、韓国側の「自由の家」に入り、トランプ氏と並んで坐ったと
きの発言だ。

安倍晋三首相の役割

「昨日の午後、初めて、会いたいというトランプ大統領のメッセージを聞
いた。私も再度会いたかった」

金氏は、トランプ氏の「会いたい」というメッセージを受けて、決断し、
板門店に来た。その間約24時間だったことになる。いきなり言われて駆け
つけた。面子にこだわらず、大決断をしたのは明らかだ。その決断力を考
えるとき、「我々はもっとよくできる。もっとよくなることを世界に見せ
られる」という金氏の言葉に希望を持ちたくなるが、やはり問いたくな
る。「もっとよくなる」とは、核・ミサイル廃棄と拉致問題解決を意味し
ているか、と。

両首脳の会談は50分間にわたった。トランプ氏は韓国を去るに当たり、
「予定は2時間半遅れたけれど、すばらしかった」と、紅潮した顔で語っ
た。舞い上がる程の上機嫌は、金氏との会話が具体的な果実につながると
の思いを抱いたからであろう。

北朝鮮相手の交渉が順調に進むとは中々思えないが、今回の「いきなり会
談」で化学反応が起き、交渉が前進する可能性はあるだろうか。

ここで、横田早紀江さんのトランプ評が思い出される。早紀江さんはこれ
までに二度トランプ氏に会っている。

「トランプさんは、あたたかな父性を感じさせます。よき家庭の一家のお
父さんという感じで、守ってくれるような印象でした」

国際関係が真に冷徹な力関係であるのは言うまでもない。それでもトラン
プ・金両氏の関係は、これから存外うまくいくのではないか。

そこで安倍首相の役割が重要になる。核・ミサイル・拉致の三課題を優先
すること、問題がすべて解決して初めて見返りを与えるという結果重視の
原則を守らせることだ。さもなければ北朝鮮とのせめぎ合いに敗れると、
トランプ大統領に助言し続けることだ。

今回、明確になったのは、トランプ氏は北朝鮮に関して、韓国の、そして
中国の助力を全く必要としていないことだ。

習近平主席は内外共に行き詰まっている。国際社会で中国の友人はほとん
どいない。そこで来日前の6月20日、21日の両日、習氏は恐らく、北朝鮮
の核問題と米中貿易問題を一体化させて米国の優位に立つべく平壌を訪れ
た。すると、23日にトランプ氏が金氏に手紙を送り、金氏はそれを「すば
らしい手紙がきた」と言って公表した。まずトランプ氏の手紙で、次に板
門店首脳会談で、習氏の意図は粉々に砕かれた。

金氏も習氏に、米国との仲介を求めているわけではない。求めているのは
国連の制裁破りをしてでも、援助してくれということだ。

中国の情けが命綱

習政権はすでに巧妙な制裁破りを実行中だが、具体例について6月28日の
「言論テレビ」で朝鮮問題専門家の西岡力氏が語った。

「国連制裁の対象になっていない観光で中国は正恩に外貨を与えていま
す。北朝鮮への中国人観光客は2017年が80万人、18年は50%増の120万人
でした。観光客が増えた背景に中国当局が観光業者に補助金を出している
という有力情報があります。旅行費用の7割を中国政府が補助し、業者が3
割取って、ツアーを4割値引きで売り出す。中国人は安い費用で平壌に行
き、焼き肉を食べてカラオケで歌って、夜は買春をするというカラクリです」

この種の客を満載した大型観光バスが毎日多数、北朝鮮に向かい、国連制
裁の対象である鉄鉱石や石炭の先物買いも行われているという。現物は制
裁解除の暁に受け取る条件で、支払いは半分に値引きして現金決済だとい
う。西岡氏の指摘だ。

「中国もそうですが、北朝鮮も騙す国です。先払いなどすれば詐欺にあう
のは当然だと思いますが、大丈夫だという。中国当局の保証があるからだ
そうです。国際社会が北朝鮮の核・ミサイル開発阻止でその外貨を枯渇さ
せようとしているときに、中国はこうした汚い手段で制裁破りをしている
のです」

国連制裁があり、米中の貿易戦争が続く限り、中国は米国に正面から逆ら
えない。結果、中国は今も巧妙なルール破りをしているが、さらに狡知を
極めていくだろう。中国の情けが命綱の金氏がどれだけトランプ氏に接近
するかは、中国のやり方をどれだけ国際社会が封じ込められるかという課
題と重なる。

G20の米中会談はその点で危うさを残した。ほとんどすべての中国からの
輸入品に25%の関税をかけるという第4弾の関税は回避され、米中はつか
の間の休戦に入った。そしてファーウェイへの米企業による輸出を一部認
めることになった。トランプ氏の直感や思いつきは素晴らしくとも、中・
長期的戦略は描き切れていない。むしろ戦略の欠如が懸念される。それで
は中国に敗れかねず、全く油断できないのである。

『週刊新潮』 2019年7月11日号 日本ルネッサンス 第859回

◆京都「和歌に登場する山科」

渡邊 好造


百人一首など平安、鎌倉時代の和歌集に登場する山科の代表地は、「これやこの行くも帰るも分かれては 知るも知らぬも逢坂の関」と、蝉丸が詠んだ"逢坂の関"である。

清少納言や藤原定方ら有名歌人もこの地を取上げているのは以前に紹介した。行政的には隣の滋賀県大津市になるが、現地に立ちその地形をみれば山科エリアだと十分頷けるはず、、。今回はそのすぐ隣りの"音羽山"など、和歌に詠まれた古都京都の奥座敷、山科の優雅な雰囲気を感じとっていただきたい。
 
音羽山は高さ593メートル、逢坂の関の南西、山科四ノ宮の南東に位置し、山科盆地を囲む山の一角にある。音羽山が登場する和歌として有名なのは次の2首。

紀貫之(平安時代の歌人・土佐日記の作者・原典は古今集)= 「秋風の吹きにし日より音羽山 峰のこずえも色づきにけり」。貫之の従兄弟にあたる紀友則(歌人・古今集)= 「音羽山けさ越えくれば時鳥 梢はるかに今ぞ鳴くなる」。
逢坂の関と音羽山の両方を詠んだ和歌も多い。

代表例をあげると、、
・源実朝(鎌倉幕府3代将軍・金槐集)=「逢坂の関やもいづら山科の 音羽の滝の音にききつつ」。
・後鳥羽院(鎌倉時代第82代天皇・原典不明)=「逢坂の関の行き来に色変わる 音羽の山のもみぢ葉」。
・源俊頼(平安時代歌人・金華和歌集)=「音羽山もみぢ散るらし 逢坂の関の小川に錦織りかく」。
・慈円(慈鎮・鎌倉時代天台宗の僧・原典不明)=「音羽山卯の花垣に遅桜 春を夏とや逢坂の関」。
・在原元方(平安時代歌人・古今集)=「音羽山音にききつつ 逢坂の関のこなたに年をふるかな」。

この他、当時の和歌集には小野、花山(かざん)、栗栖野、日の岡といった山科の地名が、いくつも登場する。

・藤原権中納言長方(平安時代公家、歌人・続古今集)=「見渡せば若菜摘むべくなりにけり 栗栖の小野の萩の焼原」。
・後鳥羽院(平安・鎌倉時代の天皇・夫木和歌抄)=「秋はけふくるすの小野のまくずはら まだ朝つゆの色ぞにほひぬ」。
・藤原定家(鎌倉時代公家、歌人・定家の歌集拾遺愚草)=「花山の跡を尋ぬる雪の いろに年ふる道の光をぞみる」。
・土御門院(鎌倉時代の天皇、後鳥羽天皇の皇子・続古今集)=「はし鷹のすすしの原 狩りくれて 入り日ノ岡にききす鳴なり」。

和歌に登場する1千年程前の山科の眺望は想像し難いが、現在の山科の絶景はと問われたなら筆者は次の3つを挙げる。
@東山ドライブウエー将軍塚辺りから見下ろす京都中心部の眺望(京都タワーは目障りだが、、)。
A山科疎水道からの山科の展望(写真・左にJR琵琶湖線、白い土手の右下は京阪電車京津線、後方は東山連峰)。
B音羽山から眺める東山連峰に沈む夕陽。

夕陽については、朝陽のような眩しさや暑さを感じさせないのでじいっと見つめるうち、両手を合せてつい願い事を呟きたくなる。

平安・鎌倉時代の歌人達が眺めた山科の夕陽は、三方を山に囲まれた盆地にあって、今とはまったく異なる自然が一杯の目を見張らせる光景だったはずだが、各種の資料をひっくり返してもこの夕陽を詠んだ和歌は発見できなかった。

京都古人、宮廷人、天上人の視点は、大地、天空、山脈、天下の情勢、庶民生活などを大きく広く見渡すことよりも、恋人、愛人(不倫)、片想い(失恋)、鳥、植物など目前の夢の世界にのみ向けられているかにみえる。

こうした天上人のお気楽な暮らしぶりに対し不満がくすぶり、やがては積重なって鎌倉時代以降の武家社会へと変革していく、そうした様が和歌には窺える。(完)

2019年07月11日

◆欠陥憲法を墨守しつづける愚

加瀬 英明


令和の御代が明けたが、平成の30年、日本の周辺が風雲急を告げている
のに、なぜなのか、欠陥憲法を改めることができなかった。

最高法規であるはずの憲法の前文は、日本語として文法が目茶苦茶だ。ど
うして国語審議会が、目を瞑(つむ)ってきたのか。

このちゃらんぽらんな憲法を真面目(きまじめ)に解釈する法律学者たちが
「専守防衛」とか、「必要最小限度の防衛力」とか解釈しているが、泥酔
して錯乱したとしか思えない。

金科玉条となっている「専守防衛」という言葉は、まったく意味が不明
だ。英語や、外国語に訳することができない。

外国人に理解させるために、来年、野球が東京オリンピックの種目入りし
たのを好機として、日本の選手がバッターボックスに立つ時には、バット
を持たせなかったらどうか。「専守」だから、攻撃である打球を禁じる。

家族が重病を患ったら、病院に「必要最小限度」の医療を施すように頼も
う。だが、「必要最小限度」の医療なぞあるだろうか? 「必要最小限
度」の国防も、あるはずがない。

こんなことを議論している国会は、重症精神患者病棟という看板を掛ける
べきだ。

現行憲法は「平和憲法」だというが、「アメリカの平和」のために強要し
たもので、占領軍総司令部が日本政府に「これを呑まないと、天皇の一身
の安全を保障できない」といって、英文の原案を手渡してから、1年3ヶ
月後に公布された。帝国憲法を全面的に書き改めたのだから、もし日本国
民が改正したのなら、1年3ヶ月で公布できなかったろう。

アメリカ軍の施政下で現行憲法が施行されてから、今年で72年もの歳月
(さいげつ)が流れた。

どうして日本が独立国であることを否定して、とうてい憲法と呼べないの
に、改められないのか。占領軍が日本国民を洗脳して反日思想を植えつけ
たというが、国民はそれほど愚かであるはずがない。

平成3年は、江戸開府400年に当たった。

日光東照宮が「江戸研究学会」を記念事業として立ちあげたが、私は江戸
時代は庶民が世界のなかでもっとも恵まれていた時代だったと書いたり、
講演してきたので、求められて会長を引き受けた。

江戸時代は平和が300」年近く続いて、庶民が豊かな生活を営み、絢爛た
る文化を創り出した。だが、平和だった江戸時代は、明治以後の日本に
とって呪いともなった。

江戸時代は徳川家の支配を持続することを目的としたために、新しい政治
思想や能力主義を斥けて、血筋と年功序列による硬直した体制を墨守し
た。明治維新は徳川体制をつくり直して、才気ある人々が国を導いたが、
日清、日露戦争に勝つと、過剰な自信をいだくようになって、江戸時代へ
戻ってしまった。

先の対米戦争で、日本はボロ負けした。政界から陸海軍まで年功序列に
よった。帝国の興亡を賭けた真珠湾攻撃、ミッドウェー作戦の司令官は南
雲中将で、砲術の権威だったが、航空戦について無知だった。

江戸時代に入ると、戦国時代の戦略思想が消し去られた。武士は儒教漬け
にされたが、孫子の心髄の「兵は詭道也」(敵を騙すこと)は学ばなかっ
た。武士道は精神修養の哲学に退化してしまい、勝つことではなく、「死
ぬ」ことに価値が与えられた。

高度経済成長による経済大国化は、日露戦争の勝利に似ていた。日本国憲
法が家康公の権現様の祖法と同じものに、なってしまったのだ。

◆東欧最大市場のポーランドは

宮崎 正弘


令和元年(2019)7月11日(木曜日)通巻第6136号  <前日発行>

 東欧最大市場のポーランドはファーウェイを排除しない
  だけども「アメリカ軍の駐留は増やして呉れたまえ」

ポーランド系アメリカ人と言えば、すぐに評者が思い浮かべる学者は、ズ
ビグニュー・ブレジンスキーだ。彼はカーター政権下で安全保障担当補佐
官だった。というより、『ゲームプラン』、『ひよわな花・日本』などの
著作が有名。でも一般の人は誰も知らないかも。

 国のみかわ世界中で有名なポーランド系アメリカ人は俳優のブラッド・
ピット、そして米国大統領予備選でトップを走るバニー・サンダースだろう。

ワレサ初代大統領の名前って、憶えているのは年配者くらいか。

ポーランドは冷戦後、真っ先にアメリカに接近した。

株式市場もさっと開設し、経済自由化のスタートも早かったのは、在米
ポーランド人が支援したからだ。ポーランド系アメリカ人は祖国が迅速に
ソ連帝国主義の悪影響の汚染を洗浄し、その桎梏から離脱することを望ん
だ。だから支援を惜しまなかった。

いまやポーランドは見違えるほど美しい、近代的な国家に変貌した。
NATOにはイの一番で駆け込んだ。繁華街は日本料理の花盛りだ。

ポーランドは反ロシアを掲げ、「ロシアの脅威が目の前にある」として
NATOの防衛前衛なのだからと、アメリカ兵を増派させることにも成功
した。

2019年1月、ワルシャワで一人の中国人が逮捕された。

ファーウェイ社員の王偉昌で、共犯者のピョートル・ドグルバイドウズと
組んでスパイ活動に及んだ容疑だった。王は3年以上もグダニスクの中国
領事館に勤務していた。共犯者とされたポーランド人は、王の誘いで3
回、中国を旅行した履歴も判明した。

ポーランドではファーウェイ排斥を訴える米国の要求には背を向けた。
5Gのトップを突っ走るファーウェイは安全保障上の脅威ではないとし、
「今後も通信ネットワークにはファーウェイ方式を継続する」と7月8日
にワルシャワを訪問した王毅外相に答えた。

ポーランドでファーウェイは既に強力な販売網を構築しており、500名
の社員を抱えている。

ここがファーウェイの東欧最大の拠点である。


▼旧ソ連圏はファーウェイにとって楔を打ち込める市場だった

旧ソ連圏で、NATOに加盟した国々は多いが、経済状況はさまざま、と
くにハンガリーなどは反EU感情が根強く、EU本部に反旗を翻ることが
多い。

チェコ、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニアは、ポーランドとともに
ユーロには加盟せず、旧東欧でユーロを使っているのはバルト3国とスロ
バキア、コソボくらいだ。まもなくスロベニアが加盟がみとめられるらし
いが。

さてファーウェイのスマホだが、バルト3国のなかで、北のエストニアは
いち早くIT革命を成し遂げ、選挙もスマホを投票する先進的な側面を持
つ。スマホはノキアが多い。しかしエストニアにはまだ数十万のロシア人
が残留しており、ハッカー攻撃でロシアから邪魔され、ITシステムの円
滑化ができないでいる。地理的には北欧に近いのでノキア、エリクソンが
浸透している。

まんなかのラトビアは残留ロシア人が多く、経済が立ち遅れている。
リガの繁華街はアールヌーボーの建物が立ち並び壮観だが、産業が遅れ、
製造業が立ち上がれない。

南のリトアニアは、地理的にドイツに近く、経済的にもドイツ資本が目立
つようになっている。反ロシアは旗幟鮮明である。

とはいえ、ファーウェイ排除という要請に関して言えば、ロシアがほぼ
ファーウェイシステムに組み込まれている。

このためベラルーシ、アルメニアなどにも自動的におよび、また肝心のド
イツ、フランスがまだ態度が不鮮明であり、東欧のみならずヨーロッパ全
体が揺れているという状況である。
     
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
読者の声  どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(読者の声1)貴書新刊の『地図のない国を行く』(海竜社)を購入して
机の上においていたら、大学生の娘が先に読み出し、世界地図帳とにら
めっこしながら毎日読み更けています。

このため私は宮崎さんの四年前の旧ソ連全30ケ国紀行『日本が全体主義に
陥る日――旧ソ連邦・衛星国30ケ国の真実』(ビジネス社)を読みかえす仕
儀となりました(苦笑)。

後者はカラー写真など、百枚強もの現場の写真が添えられていて、ヴィ
ヴィットに、その後の共産圏の自由化速度ののろさ、まだ懐疑的な人たち
の表情や旧体制派の回顧人脈たちの恨めしそうな風貌など、人間が描写さ
れていて興味津々です。

いっときはあれほど旧ソ連圏の出来事をつたえていた日本のマスコミも、
最近はさっぱり情報がないし、ロシアの報道もプーチンのことばかりで街
の表情のルポがありませんね。ところで、このところ宮崎さんはユー
チューブを拝見しておりますと、アセアンからインド圏のすべてを回られ
たご様子ですが、つぎに南太平洋に焦点を移されている印象を受けました。

中国から旧ソ連そしてアセアン、インド商圏を次々とまとめてこられたわ
けですから次はほかの地域へ取材対象が移行されたことはわかりますが、
なぜ南太平洋なのでしょうか?(BC生、静岡市)
 

(宮崎正弘のコメント)中国が実効支配しはじめた南シナ海のさき、中国
がねらう九段線。静かに、しかし着実にパプアニューギニア、フィジー、
バヌアツ、トンガ、ソロモン諸島、サモア、東チモール等に浸透を始めて
います。

メディアがカバーしないところを先回りしているわけでもありませんが、
旧来の地球儀的発想にはなかった事態が起きているからです。


◆米中・米朝首脳会談、つきまとう危うさ

櫻井よしこ


「米中・米朝首脳会談、つきまとう危うさ」

国際政治はテレビと共にある。

安倍晋三首相の20カ国・地域(G20)首脳会議での巧みな采配も、惜しく
も吹き飛ばされた感がある。世界の目は板門店でのトランプ・金正恩両首
脳に集中し、その他の印象を消し去った。凄いものだ。

6月30日、15時45分、トランプ大統領が韓国の「自由の家」からゆっくり
と軍事境界線に向かって歩き始めると、北側からは金正恩朝鮮労働党委員
長が歩み寄った。境界線の南北に二人が相対し、握手をし言葉を交わし
て、やがてトランプ氏が北側に足を踏み入れたとき、思わず私自身、大き
な笑顔になった。メモをとりつつ、冷静に見ているつもりが、大きな笑顔
がこぼれたのである。中継映像を見ていた人の多くも同様だったのではな
いか。

二人が北朝鮮側で暫し佇んで境界線に戻り、そのまま自然な形で揃って韓
国側に入ったときには、取材陣の叫び声が聞こえた。カメラに囲まれて立
ち話をする金氏は、大きな賭けに出たがうまく意思の疎通がはかれそうだ
と、ひと安心した様子だった。安堵と嬉しさを隠しきれない表情には、そ
の残虐な行動に似合わない子供っぽさが残っていた。

トランプ氏は「つい昨日、金委員長に会うことを思いついた」と繰り返し
たが、ワシントンで発行されている「ザ・ヒル」は、同紙が行った24日の
インタビューでトランプ氏が板門店で金氏に会う考えを語っていたと報じ
た。ホワイトハウスがセキュリティ確保のためその件を当日まで伏せるよ
うに依頼し、報道できなかったという。

トランプ氏側が少なくとも1週間は板門店会談について考えを巡らしてい
たのに対して、金氏にとってはいきなりの提案だったわけだ。金氏は「ツ
イッターを見て本当に驚いた」と語っている。これはトランプ氏との立ち
話を終えて、韓国側の「自由の家」に入り、トランプ氏と並んで坐ったと
きの発言だ。

安倍晋三首相の役割

「昨日の午後、初めて、会いたいというトランプ大統領のメッセージを聞
いた。私も再度会いたかった」

金氏は、トランプ氏の「会いたい」というメッセージを受けて、決断し、
板門店に来た。その間約24時間だったことになる。いきなり言われて駆け
つけた。面子にこだわらず、大決断をしたのは明らかだ。その決断力を考
えるとき、「我々はもっとよくできる。もっとよくなることを世界に見せ
られる」という金氏の言葉に希望を持ちたくなるが、やはり問いたくな
る。「もっとよくなる」とは、核・ミサイル廃棄と拉致問題解決を意味し
ているか、と。

両首脳の会談は50分間にわたった。トランプ氏は韓国を去るに当たり、
「予定は2時間半遅れたけれど、すばらしかった」と、紅潮した顔で語っ
た。舞い上がる程の上機嫌は、金氏との会話が具体的な果実につながると
の思いを抱いたからであろう。

北朝鮮相手の交渉が順調に進むとは中々思えないが、今回の「いきなり会
談」で化学反応が起き、交渉が前進する可能性はあるだろうか。

ここで、横田早紀江さんのトランプ評が思い出される。早紀江さんはこれ
までに二度トランプ氏に会っている。

「トランプさんは、あたたかな父性を感じさせます。よき家庭の一家のお
父さんという感じで、守ってくれるような印象でした」

国際関係が真に冷徹な力関係であるのは言うまでもない。それでもトラン
プ・金両氏の関係は、これから存外うまくいくのではないか。

そこで安倍首相の役割が重要になる。核・ミサイル・拉致の三課題を優先
すること、問題がすべて解決して初めて見返りを与えるという結果重視の
原則を守らせることだ。さもなければ北朝鮮とのせめぎ合いに敗れると、
トランプ大統領に助言し続けることだ。

今回、明確になったのは、トランプ氏は北朝鮮に関して、韓国の、そして
中国の助力を全く必要としていないことだ。

習近平主席は内外共に行き詰まっている。国際社会で中国の友人はほとん
どいない。そこで来日前の6月20日、21日の両日、習氏は恐らく、北朝鮮
の核問題と米中貿易問題を一体化させて米国の優位に立つべく平壌を訪れ
た。すると、23日にトランプ氏が金氏に手紙を送り、金氏はそれを「すば
らしい手紙がきた」と言って公表した。まずトランプ氏の手紙で、次に板
門店首脳会談で、習氏の意図は粉々に砕かれた。

金氏も習氏に、米国との仲介を求めているわけではない。求めているのは
国連の制裁破りをしてでも、援助してくれということだ。

中国の情けが命綱

習政権はすでに巧妙な制裁破りを実行中だが、具体例について6月28日の
「言論テレビ」で朝鮮問題専門家の西岡力氏が語った。

「国連制裁の対象になっていない観光で中国は正恩に外貨を与えていま
す。北朝鮮への中国人観光客は2017年が80万人、18年は50%増の120万人
でした。観光客が増えた背景に中国当局が観光業者に補助金を出している
という有力情報があります。旅行費用の7割を中国政府が補助し、業者が3
割取って、ツアーを4割値引きで売り出す。中国人は安い費用で平壌に行
き、焼き肉を食べてカラオケで歌って、夜は買春をするというカラクリです」

この種の客を満載した大型観光バスが毎日多数、北朝鮮に向かい、国連制
裁の対象である鉄鉱石や石炭の先物買いも行われているという。現物は制
裁解除の暁に受け取る条件で、支払いは半分に値引きして現金決済だとい
う。西岡氏の指摘だ。

「中国もそうですが、北朝鮮も騙す国です。先払いなどすれば詐欺にあう
のは当然だと思いますが、大丈夫だという。中国当局の保証があるからだ
そうです。国際社会が北朝鮮の核・ミサイル開発阻止でその外貨を枯渇さ
せようとしているときに、中国はこうした汚い手段で制裁破りをしている
のです」

国連制裁があり、米中の貿易戦争が続く限り、中国は米国に正面から逆ら
えない。結果、中国は今も巧妙なルール破りをしているが、さらに狡知を
極めていくだろう。中国の情けが命綱の金氏がどれだけトランプ氏に接近
するかは、中国のやり方をどれだけ国際社会が封じ込められるかという課
題と重なる。

G20の米中会談はその点で危うさを残した。ほとんどすべての中国からの
輸入品に25%の関税をかけるという第4弾の関税は回避され、米中はつか
の間の休戦に入った。そしてファーウェイへの米企業による輸出を一部認
めることになった。トランプ氏の直感や思いつきは素晴らしくとも、中・
長期的戦略は描き切れていない。むしろ戦略の欠如が懸念される。それで
は中国に敗れかねず、全く油断できないのである。

『週刊新潮』 2019年7月11日号 日本ルネッサンス 第859回

◆「認知症」には「散歩」が効果

向市 眞知


以前、住友病院神経内科先生の「認知症」の講演が、「こんな症状があったら要注意!」という話から始まり、下記の11の指摘がありました。

1、同じことを何度も言ったり聞いたりする
2、ものの名前が出てこない
3、置き忘れやしまい忘れが目立つ
4、時間、日付、場所の感覚が不確かになった
5、病院からもらった薬の管理ができなくなった

6、以前はあった関心や興味が失われた
7、水道の蛇口やガス栓の閉め忘れが目立つ
8、財布を盗まれたといって騒ぐ
9、複雑なテレビドラマの内容が理解できない
10、計算のまちがいが多くなった
11、ささいなことで怒りっぽくなった

「これらがいくつかあったり、半年以上続いている時は、専門病院へ行きましょう」といわれました。

私自身、同じことを言ったり、物の名前が出てこなかったり、置き忘れやささいな事で怒りっぽくなったなあと思い当たるフシがいくつもありました。専門診療の対象といわれてしまうと本当にショックです。

「認知症」というと周りの人に迷惑をかけてしまう問題行動がクローズアップして、その印象が強いのですが、新しいことが覚えられない記憶障害もそうです。また、やる気がおこらない意欲の低下もそうですし、ものごとを考える思考力や判断する力、そして手順よくし処理する実行力の低下も「認知症」の症状です。

「認知症高齢者」のかた自身の不安は、時間や場所がわからなくなったり、体験そのものを忘れていく中で暮らしているのですから、自分以外の外界のすべてが不安要因になってしまうのです。

ご本人は真剣に外界を理解しようとしているのですが、家族は「ボケ」「痴呆」ということばの印象から、「認知症だからわからないだろう、理解できないだろう」と思い込んでいる例が多くみられます。
 
診察室でなんとご本人を目の前にして「認知症高齢者」の失態を平気でドクターに訴えたり、「母さんがボケてしまって」とはばかりもなく言ってしまったりします。

その瞬間に、ご本人はその家族に対してまた不安をつのらせてしまいます。また話を向けられたドクターも、ご本人を前にしてウンウンとうなづくべきか、ほんとうは困っているのです。

うなづけば家族は安心しますが、ご本人はドクターへの信頼感をなくしてしまいます。

よく「まだらボケ」とか言いますが、「正気の時もあるからやっかいだ」と表現されるご家族もあります。しかしそれは逆で、やっかいと考えるのではなく正気の部分があるのならその正気の部分を生かして日常生活を維持するようにしむけてみませんか。
 
「認知症」があっても、くりかえし続けている一定の日常生活はできるはずです。老年期以前の過去の生活を思い出させてあげると、高齢者は自分の価値を再発見し、意欲も湧いてくるとききました。

高齢者にとって脳機能の低下だけではなく、視覚や聴覚、味覚や嗅覚などの感覚もおとろえてきていることを理解してあげてください。

すべてを「認知症」の一言でかたづけてしまわないで下さい。見えやすくする、聞こえやすくするというような場面の工夫で問題行動が小さくなることもあります。
 
「認知症だからわからないだろう」と思い込むのは大まちがいです。「言ってもしかたない」と決めつけるのは悪循環です。「認知症」の方の感じる外界への不安を考えると、情報が遮断されると余計に不安が大きくなります。

どしどし情報を与えることが不安の軽減につながります。そのために外出しましょう。

「認知症」には「散歩」の効果があります。外界の空気は聴覚、視覚、嗅覚への刺激になり、脳の活性化につながります。
                       医療ソーシャルワーカー

2019年07月10日

◆天洋丸の薄焼いわし

馬場 伯明


家庭の主婦に人気と信用が高い「通販生活」という生活情報誌をご存じだ
ろうか(カタログハウス・季刊・180円)。長年講読し利用している。

その2019盛夏号に6カ月頒布会商品として、私のふるさとの「天洋丸の薄
焼いわし」が掲載されている。驚いたことに、何と、A2(新聞1面)大の
表裏・上質紙カラー印刷の特別広告が折り込まれていた。

この商品は妻が購入し食しているが、「このような大々的な宣伝が、な
ぜ、なされているのだろう?」と少し不思議に思いつつも、ふるさとの産
品が全国に宣伝され売れていくのは、とてもうれしい。

本誌主宰者の許しを得て、天洋丸とその薄焼いわしについて、私からも紹
介したい。この商品が健康によいことと、ひとえに愛郷心からという理由
である。通販生活の森川潤・通販生活食品部部長の冒頭の文章を記す。

《拝啓、カルシウム不足の通販生活読者の皆様へ 長崎たちばな湾産 天
洋丸の薄焼いわし 「通販生活ではこれまで2回、長崎橘(たちばな)湾
産の薄焼いわしを紹介してまいりましたが、大変な反響をいただいて、今
さらながら、高齢化社会における骨粗しょう症問題の深刻さを痛感した次
第です。そこで今回〈毎月異なる風味をお届けする6ヵ月頒布会〉として
本格展開することにいたしました。詳細は中面をご覧ください」》と。

この商品の製造方法は? 橘湾の片口いわしを、巻き網船団で獲り、港に
揚げたら10分以内に真水で茹で、屋内で乾燥(酸化防止)させ煮干しを作
る。それを粉砕し鉄板でプレスし薄焼にする。要するに「いわしのせんべ
い」である。澱粉や保存料などは添加せず自然のまま。真水で茹でるので
塩分は1枚(直径65mm)当たり0.026gしかない。おいしく体にやさしい。

産婦人科医師として女性の骨粗しょう症の予防と治療にあたる山王メディ
カルセンター太田博明先生は「現在わが国の骨粗しょう症患者は1,280万
人。その76%は女性です」と警鐘を鳴らす。本品2枚で「いわしカルシウ
ム」約52mg。60代女性のカルシウム不足分は1日52mgなので本品2枚で不足
分を補える。

製造者は長崎県雲仙市南串山町の((株)天洋丸(竹下千代太社長)。竹
下社長(1964年生まれ)は南串中学校・県立口加高校卒の私の後輩であ
り、帰省すれば私も酒の席に加えてもらう。東京海洋大学(旧東京水産大
学*1)に学び、水産関係の企業に勤務した後、田舎へ帰り家業を継いだ。
伝統の漁法を引き継ぎ、昔気質の「漁師」の心を持っているが、大学で基
礎を学んだ水産技術者である。船団を率いて今夜も若者らと漁に出る。

竹下社長は言う。長崎県は片口いわしの本場、漁獲量は年間3万トンで1
位、2位香川県(1.15万トン)、3位広島県(1.05万トン)である。県内で
もとくに橘湾は良質な漁場である。水深36mの平板な海底、北上する外洋
水と有明海沿岸水が湾内で回流し混ざり合い、カタクチイワシの餌になる
プランクトンを発生させる。絶好の漁場環境となる。

今回の商品には、いわしカルシウムの体内吸収を助けるビタミンDなど5種
類の大切な栄養素も入っているという。ビタミンD、ビタミンK、マグネシ
ウム、亜鉛、そしてβカロチンだ。カルシウムの吸収率を高めながら絶妙
の味わいを作り出している。

私事であるが、私の身体はこの「片口いわし」で作られたと言っても過言
ではない。田舎の方言では片口いわしを「エタリイワシ(*2)」と言う。
高校を卒業した18歳まで毎日エタリイワシやアジを食っていた。朝は三枚
おろしの刺身、味噌汁のだしは煮干し、夕食などには頭や骨を含め、から
揚げ、カマボコ、ツミレなどがあった。

私は骨が太く体の強い男に育った。1944年生まれだが病院知らず。現在、
医療機関の「診察カード」を持っていない。骨年齢30歳台、健康診断の数
値は良好で、握力も50kg。2019.6.15の長崎県でのゴルフコンペでは、490
ヤード(パー5)を2オンした(バーディ)。ふるさと・両親・先祖とエタ
リイワシに感謝しなければならない。

高校卒業後大学進学し全国有数の大企業でそれなりに働き、現在も都内の
法人にフルタイムで勤務している。元気に働くことができるのは楽しい。
しかし、振り返れば、自分は育った故郷に何を残したのか、故郷に何か貢
献したのかと、忸怩たる思いが頭をもたげることもある。

島原半島雲仙市も、わが国の少子高齢化の影響を避けられず、厳しい経済
環境にある。その中で、新しい商品や全国の消費者を直接相手にする「通
販生活」などの優れたビジネスモデルにより、既存の伝統産業や商品の販
売が進展している。喜ばしいことだ

本誌読者の方々が使ってくださればこの上ないことである。「天洋丸の薄
焼いわし」の販売の拡大を願い、ふるさとの創生と発展のためにがんばる
竹下千代太・敦子夫妻・家族の健勝と(株)天洋丸の隆盛を心から祈念す
る。(了)(3*)


(*1)若き日、竹下社長と妻敦子さんは共に東京水産大学に学び、学生の
とき知り合い結婚した。敦子さんは浜っ子(横浜市生まれ)の才媛であっ
た。夫の島原半島の漁村へUターンという環境変化をものともせず、4人の
子供を産み育ててきた。「4人の子供。敦子さんは南串山町へ最高の貢献
をしている!」と私は帰省の度に誉める。

(*2)「エタリの塩辛」というエタリイワシ(片口イワシ)を発酵させた
珍味がある。敦子さんが普及させた「エタリの塩辛」は、イタリア・ス
ローフード協会の「食の世界遺産」と称される「味の箱舟」計画に登録さ
れた。小泉武夫先生(東京農大名誉教授)も絶賛した。酒飲みには最高の
つまみである。

(3*)「天洋丸の薄焼いわし」「エタリの塩辛」の購入方法など。
https://www.cataloghouse.co.jp
http://tenyomaru.com/index_qhm.php?%E3%82%A8%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%81%AE%E5%A1%A9%E8%BE%9B
(2019.7.7千葉市在住)


◆中国の海外貸し付けは5兆ドル

宮崎 正弘


令和元年(2019)7月10日(水曜日)通巻第6135号  

中国の海外貸し付けは5兆ドル、半分が不透明、正規の銀行業務から逸脱
 「世界の負債総額の6%、発展途上国へ3兆9000億ドル」とドイツ有数
の研究所

 キール世界経済研究所」といえば、ドイツ有数の経済シンクタンクであ
る。直近のレポートが発表され、世界のエコノミストに衝撃を与えた。
「中国は2000年に5億ドルでしかなかった海外への貸し付けが、2017年ま
でに累積5兆ドルに達しており、これは世界経済の6%を占めている」と
いうのだ。

同研究所によれば、中国の貸し付けは正規の手続きを取らずに行われたも
のが半分ちかくあり、全体の貸し出し残高の80%が発展途上国に貸し出さ
れ、そのうちの85%がドル建てだった。この数字はBISも、IMF世銀
も把握していないデータだ」としている。

すなわち中国の発展途上国への貸し付けは3兆9000億ドルであり、同期間
の「パリクラブ」(日米欧など先進国の銀行がおこないIMFに報告され
る)のそれは2兆4600 億ドルだった。中国一国でパリクラブの総額を超
えているのだ。
 
マルパス世銀総裁は「負債超過の国々に、不透明で、質の高くないプロ
ジェクトに対して行われている」とし、「もっと透明性を高める必要があ
る」と発言した。

そういえば、嘗てマティス前国防長官が「一帯一路を名目に、発展途上国
が所謂『借金の罠』に落ち込む金融が中国の拠って為されている」と批判
したことがある。

それにしても、中国の外貨準備は3兆1000億ドルなどと表向き報告されて
いるが、対外債権が5兆ドルあって、その大半がいずれ不良債権化するの
は時間の問題であり、4月の『一帯一路國際フォーラム』に世界30 ヶ国の
元首を北京に集めておきながら具体的金額の提示がなかった事実を重ね合
わせて考えると、中国のドル払底の実相が浮かんでくる。
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読者の声  どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 
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   ♪
(読者の声1)日本ウイグル協会主催講演会のお知らせです。
 「いま、ウイグルで何が起きているのか」。講師:福島香織(ジャーナ
リスト)

ウイグルにおける中国政府の弾圧について、様々な証言や報告が行われて
います。しかし、実際に現地に赴き、生活するウイグル人たちに接した報
道は決して多いとは言えません。

ジャーナリストの福島香織氏は、この5月にカシュガルを訪れ、以前とは
変わり果てた街の実態を直接その目で見てきました。一見静かで平和に見
える都市の影には、まさに徹底した弾圧が敷かれていることが、人々の表
情や、若い男性の少なさ、町中の警察官と監視装置の存在が明らかにして
いました。

今回の日本ウイグル協会主催講演会では、現地を直接体験した福島香織氏
のお話を通じて、ウイグルの弾圧の実態について学び、私たちが何をすべ
きかを考えていきたいと思います。



日時: 7月23日(火)午後6時半開場 7時開会
場所: TKPスター貸会議室 四谷第2会議室
(新宿区四谷1-8-6  ホリナカビル 301号室(Google地図)
JR「四ツ谷駅」徒歩2分 / メトロ「四ツ谷駅」 2番出口 徒歩1分
http://www.kaigishitsu.jp/gmap/gmap-yotsuya.html
講師:   福島香織(ジャーナリスト)
演題   「いま、ウイグルで何が起きているのか」。
参加費:  1000円
主催:   日本ウイグル協会

   ♪
(読者の声2)韓国に対するフッ化水素ほかの輸出管理の見直しについて
ネットに面白い話がありました。経産省の安全保障管理のページに個別許
可申請の書類と窓口さらに仕向地がいろはの「い」から「り」まで掲載さ
れています。
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/apply08.html
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/apply09.html

傑作なのは「り地域」が韓国単独なこと。どういうカテゴリー分けかわか
りませんが、韓国だけ特別扱いなのは確かです。

フッ化水素やレジストを作る会社は大阪に多く、いままでは大阪で書類申
請できていたのが7月からは書類が三倍にふえてしかも霞が関の本省まで
行かなくてはならなくなった、という記事がありました。

ソウルの日本大使館建て替え問題ほかさんざん嫌がらせをしてきた韓国、
霞が関の「お役所仕事」の恐ろしさに痛い目を見ることでしょう。今回は
霞が関を応援ですね。

以前、韓国の掲示板にルーマニアのチャウシェスク大統領夫妻の最期に文
在寅夫妻の顔を重ねて加工した画像がありました。

サムスン・SK・LGほか韓国の工場が操業停止になったなら、青瓦台を
取り囲む100万人デモすらやりかねないのがかの民族。

ネットの書き込みにソウルは4カ国管理、済州島はアメリカ、竹島は日本
で話がついているという未来予想図がありましたが、これは当然在韓米軍
引上げ・北朝鮮の南進・韓国政府崩壊の後の話になります。今の状況を見
ているとあり得ない話でもなさそう。
 韓国がベネズエラ化しようが、ジンバブエ化しようが自業自得ですが、
日本は決して助けてはいけません。中国が鞭を振るって躾け直したとして
も半万年変わらぬ腐った心根はかわることはないでしょう。
   (PB生、千葉)


   ♪(読者の声3)「現代ビジネス」今週号の【今週の東アジア関連新刊図
書】(近藤大介氏のページ)に下記の簡潔な書評があります。

『地図にない国を行く』著者=宮崎正弘(海竜社、税込み1728円)
 
(引用開始)「これは痛快な旅行書であり文明論である。団塊世代の「暴
走老人」(失礼!)宮崎氏が、グーグルマップ時代に「秘境」を渡り歩
く。貝殻経済&黒呪術師&中華門が支配するパプアニューギニア、「JICAが
金を出し中国が請け負う」東ティモール、中国漁船にマグロを根こそぎ取
られているフィジー、チャイナタウンが阿鼻叫喚のミャンマー、中国人
ツーリストが「郷に入らば郷に従わせる」ブルネイ、中国が虎視眈々と農
地を狙うラオス、中国の植民地化するカンボジア、世界一旧いチャイナナ
ウンがあるフィリピン……。要は一級の中国論にもなっている。はて、近未
来のアジアはどうなっていくのだろう?」(引用止め)。
 短評ではありますが、痛快な書評でした。
   (HF生、富山)