2019年09月30日

◆ウクライナ疑惑でトランプ弾劾調査

          Andy Chang
 

トランプ大統領が就任して3年たったが、オバマ民主党の闇の帝国
(Deep State)は執拗に二度三度とトランプ罷免運動を続けている。
一回目のトランプ調査はマラー検察官のロシア疑惑調査で、結果は
ロシア癒着の証拠は見つからなかった。

続いて第二回目は国会における複数の調査委員会による大統領の
権力乱用調査はまだ継続している。
そして先週から第三回目、密告者の通報からトランプ大統領のウクラ
イナ疑惑と称する権力乱用と選挙妨害でペロシ国会議長が正式にトラ
ンプ大統領の弾劾調査を始めた。

国会が大統領罷免を調査したのはニクソン、クリントンに次いで三回
目だが、今回は前の二回と違って確証がないまま罷免調査に踏み切
ったのである。これこそ闇の帝国の権力乱用である。

密告者の通報によると、トランプ大統領がウクライナ総統の電話して
「軍事援助金を交換条件としてバイデン元大統領の息子がウクライナ
のエネルギー会社の顧問になった経緯の調査」を頼んだと言うのだ。

バイデン氏は2020年の大統領選の有力候補とされている。だからこれ
を聞いた民主党側は「金銭援助の交換条件」で政敵に不利な情報を要
求したのは権力乱用というのだ。ある議員はこれを反逆罪と息巻いた
し、反逆罪は死刑だと言った人も居る。

バイデンが副大統領だった2014年に彼が軍事援助金の見返りに彼の
息子をウクライナのエネルギー会社の顧問に就任させた。バイデンの
息子は麻薬常習者で海軍から退職させられた経験がある男だ。オバマ
の副大統領の権力で息子を外国の会社に月5万ドルの顧問にさせた。
このことがウクライナで司法調査の対象となり、検察官は2014年11
月にバイデンの息子を法廷に喚問する予定だった。

するとバイデン元副大統領は一か月後の2014年12月にウクライナ総
統と会談し、「米国の援助金10億ドルの見返り」に彼の息子を調査し
ていた検察官を(一説には6時間以内)罷免せよと要求した。ウクラ
イナ総統(前任)は直ちにこの検察官を罷免した。

このことについて、バイデン自身がテレビ対談で「俺があの検察官野
郎(Son of bitch)を罷免した」と自慢したのである。米国の副大統領
が権力を行使して息子を外国の会社の顧問にさせ、そのことを調査し
ていた検察官も援助金の交換条件を使って罷免させたのである。

これは明らかなバイデン副大統領の権力乱用と外国司法干渉である。
だから両国の政権が変わったあとトランプ大統領が新任のウクライナ
総統に事件の調査を頼んだのはアメリカの大統領として当然である。
バイデンの権力乱用を調査するトランプが同じく交換条件を使った権
力を乱用するはずがない。トランプは選挙干渉をしたのではなく、バ
イデンの犯罪調査を依頼したのである。

ところがトランプのホワイトハウスにおける電話内容を司法検察官に
告発した男が出てきたのである。告発の概要は「トランプ大統領が、
ウクライナのゼレンスキー総統との電話会談で、バイデン親子の犯罪
調査を依頼した。これは権力乱用で選挙違法である」と言うのだ。

大統領が外国の主要人物と電話会談をするのは違法ではない。犯罪の
調査を依頼するのもアメリカ大統領として当然である。しかし密告者
の告発をうけた検察総長がこに事を調査して国会に通報した。これも
当然である。この時点では告発の内容は新聞が発表しただけの不確実
なものだった。だがペロシ議長は24日、トランプが政敵に不利な調査
を外国の総統に依頼したこと、そして大統領が交換条件で相手に調査
を高揚したのは権力乱用だとし、大統領の弾劾調査を発表したのであ
る。検察総長は25日に告発の内容を発表した。

バイデン氏がテレビ談話で自慢したのは犯罪証拠が確実である。トラ
ンプ大統領がウクライナ総統に調査を依頼するのが当然である。しか
しトランプが米国の援助金を交換条件として調査を強要したなら問題
である。トランプは直ちに交換条件はなかったと発表したが民主党側
はトランプを罷免できる証拠が出たと凱歌を上げた。

トランプは25日になってウクライナ総統との30分の電話会談を機密
解除して公開発表した。この内容でトランプが「交換条件」を言わず、
「バイデン親子のことは貴殿も知っていること、これは調査すべきだ」
と述べただけと判明した。その上に国連の会議に参加していたウクラ
イナのゼレンスキー総統もテレビ対談に出て、トランプの圧力や交換
条件はなかったと証言した。トランプの潔白が証明されたばかりか、
バイデンの犯罪はテレビ対談の証拠があるので選挙どころか政治生命
の終焉だし、調査で有罪となったら親子共々監獄入りだ。

もう一つの問題は密告者のことである。密告者の名前は法律で秘密保
護されているが、報道によると(1)密告した内容は本人が調査した
事実ではなくホワイトハウス内の複数の人間からの又聞きだった、
(2)彼は嘗てヒラリーとシューマー上院議員の下で働いていた人間
だった。つまり密告者は反トランプでDeep Stateの一員だったのだ。
いずれ密告者の正体は判明するだろう。

残る問題はハワイとハウスで大統領が外国の要人との電話会談は機密
だが、機密を外部に漏らした人間が居たことだ。おまけに機密を反ト
ランプの密告者に通報したのは厳重な機密漏洩事件である。この事件
は始まったばかりで終点はなかなか見えない。


at 09:46 | Comment(0) | Andy Chang

◆香港人権民主法、米国議会で可決したが

宮崎 正弘


令和元年(2019)9月27日(金曜日)弐 通算第6211号  

香港人権民主法、米国議会で可決したことはしましたが。。。
  これから長い議会審議が始まり、大統領署名までに紆余曲折

2019年9月25日、米連邦議会上下両院の小委員会は、四月以来提案
されてきた「香港人権民主法 2019」を可決した。

もともと上院では反中国派のトップであるマルコ・ルビオ上院銀、下院は
クリス・スミス議員が提唱し、上院で22名、下院で37名の議員が共同
提案に署名していた。

法案内容は、「香港の特殊事情に鑑みて現状維持を見守り、民主政治の低
下などがあれば外交行動をとるとともに、場合によっては経済制裁を行
う」というもので、即効性は薄い。

プロセスとして、これから本会議で審議が開始され、おそらく修正案がで
てくる。議論は白熱化するが、修正案が出されると、両院合同委員会が開
催されるという段階を経て、ようやく本会議での議決となる。

上院は100名定員の51が過半数。下院は435定員だから過半数は
218名の議員の賛成が必要で、ここで可決されると十日以内に大統領が
署名すれば、正式に成立する。大統領が拒否権を発動すれば、議会に差し
戻され、大統領拒否権をふたたび覆すには、各々が三分の二以上の賛成を
必要とする。

この厄介な議会プロセスと、会期切れがあり、円滑に審議が進むだろうか?

まして優先順位で言えば、香港人権民主法のランクは低く、米国が現在直
面する喫緊の課題はイランである。ということは議会審議の白熱化こそが
中国を牽制する効果があり、法案成立にはまだ時間がかかるということで
ある。
    
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 読者の声  どくしゃのこえ  READERS‘ OPINIONS
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   ♪
(読者の声1)貴誌前号の記事に関連して、たしかに地球温暖化の危機を
訴える16歳の少女は洗脳されてうえ、アスペルガー症候群。しかし、こ
の人物を別として、気候温暖は地球の危機であることは間違いないでしょう。

ところが欧米などで盛り上がるこの運動、日本でさっぱりです。何故で
しょうか。もっと深い原因があるように思われますが。(JJセブン)


(宮崎正弘のコメント)自然観の相違が最大要素でしょう。

キリスト教圏では「自然は敵」ですが、日本は「自然は友」であり、自然
と親しみ、自然と共生してきました。ですから、自然現象である気候温
暖、磁場軸の変動、台風、津波に対する対応も、まったく異なっています。

  ♪
(読者の声2)NYを舞台の国連外交。この檜舞台で、トランプ大統領
は、文在寅には会っても冷淡、その一方で安倍首相との会談では「日韓関
係」に憂慮をしめしたとか。

文在寅大統領が訪米しても、わずか弐分で会見打ち切りと、むしろ米韓関
係のほうが心配では、と思います。
日韓関係の氷河期、どういう見通しをお持ちでしょうか。(HT生、茨城)


(宮崎正弘のコメント)韓国にも三割の保守派、良識派がいます。いま日
本政府は「次の政権に期待する」とだけ言って、何もしないのが一番と思
います。

先方から「要らない」と言っておきながら日韓通貨スワップの再開を水面
下で要請していますが、かれらも韓国ウォンの暴落が近いことを知ってい
るからでしょう。

   ♪
(読者の声3)第47回 家村中佐の兵法講座 兵法書として読む『古事
記』『日本書紀』

兄である天智天皇の崩御直前、心中に即位を望みつつも太政大臣である大
友皇子との後継争いを避けて吉野にお隠れになられた大海人皇子に、やが
て挙兵の機会が訪れます。

今回の兵法講座では『日本書紀』巻第二十八「天武天皇 上」を読みなが
ら、皇位継承を巡って起きた日本古代史で最大の内戦「壬申の乱」につき
まして、図や絵を用いてビジュアルに分かりやすく解説いたします。
            記
日 時:10月12日(土)13:00開場、13:30開演
(16:30終了予定)
場 所:アカデミー文京 学習室(文京シビックセンター地下1階)
講 師:家村和幸(日本兵法研究会会長、元陸上自衛隊戦術教官・予備2
等陸佐)
演 題:第20話 大海人皇子と壬申の乱
参加費:1,000円(会員は500円、高校生以下無料)
お申込:MAIL info@heiho-ken.sakura.ne.jp
FAX 03-3389-6278(件名「兵法講座」にてご連絡ください)。
事前に「新説『古事記』『日本書紀』でわかった大和統一」(宝島社新書
486)をお読みいただくと理解が深まります!
(日本兵法研究会会長 家村和幸)

◆呆れた無罪判決

新恭(あらたきょう)

東電の旧経営陣に刑事責任を科すべき明白な証拠

福島第一原発事故の刑事責任を問われていた東京電力の旧経営陣3名に対
する「無罪判決」に、非難の声が上がっています。彼らが無罪であるのな
ら、その責任は誰にあるというのでしょうか。元全国紙社会部記者の新
恭さんは自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』で、彼ら3名に
刑事責任を科すべき理由を記すとともに、今回の判決の下地になっている
とも言える、「ある法曹界の固定観念」が司法への不信感を招いていると
厳しく批判しています。


東電の旧経営陣に刑事責任を科すべきこれだけの理由

原発事故の刑事責任を問われた東京電力の元経営者3人が東京地裁で無罪
になった。業務上過失致死傷罪は適用できないとする判断だ。

JR福知山線事故で、JR西日本の歴代社長3人が同じように無罪とされたと
きもそうだが、日本の司法は巨大企業が起こした歴史的な大規模事故につ
いて、あきれるほど経営者に寛大である。

そのくせ、零細業者が起こしたものは、たやすく経営者の罪を成立させて
しまうのだから、たいそうな差別だ。


判決文にはこうある。「当時の社会通念の反映であるはずの法令上の規制
等の在り方は、絶対的安全性の確保までを前提としてはいなかったとみざ
るを得ない」。

「絶対的安全性」は求められていなかったというのだ。およそこの世の中
に「絶対」はありえないとはいえ、絶対的安全性を確保するという前提が
なければ、核の暴走で国を滅ぼしうるような装置を動かすべきではないの
ではないか。

一時は原子力委員会の委員長が「首都圏を含む住民避難が必要になる」と
心配したほどの原発事故が現実に起きたのである。核エネルギー装置を動
かす会社の経営者には、甚大な事故が起きれば自ら法の裁きを受ける覚悟
が必要ではないか。大きな責任があるからこそ、しこたま報酬を受け取っ
ているのだ。

被告は勝俣恒久元会長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長の旧経営陣3
人。判決は、彼らに「人の死傷について予見可能性があったと認められな
い」とした。

予見できる可能性がなかった。ほんとうにそうだろうか。37回におよぶ公
判で浮かび上がってきたのは、そんなことではなく、旧経営陣の安全確保
に対する消極的な姿勢だった。

予見可能性があったかどうかを判断するポイントは、阪神・淡路大震災を
きっかけに文科省に設置された地震調査研究推進本部・長期評価部会が
2002年に公表した「長期評価」をどう見るかだ。その内容をごくごく簡単
にまとめるとこうなる。

「三陸沖北部から房総沖の海溝寄りの領域のどこでも、マグニチュード
8.2前後
の地震が発生する可能性があり、その確率が今後30年以内に20%程度」

同部会の部会長だった島崎邦彦氏(東京大学地震研究所教授)によると、
地震波解析、GPS、古文書、地質、地形など、異なる分野から出された意
見をもとに「最も起きやすそうな地震を評価してきた」という。

地震の短期予測はまず不可能かもしれないが、長期予想は侮れない。日本
列島は、海側のフィリピン海プレート、太平洋プレート、大陸側のユーラ
シアプレート、北米プレート、これら4つのプレートが押し合い、隆起し
て形成された。プレート境界ではつねに地震エネルギーがたまり、やがて
限界に達して、プレート境界型地震が一定期間を経て繰り返し起きてきた
ことが古文書や地層などから推定される。

マグニチュード8.2前後の地震が今後30年以内に20%程度の確率で起こる
という専門家会議の報告は、原発をかかえる会社として、決して無視でき
る内容ではない。これまで大丈夫だったから大丈夫と思いたいのが心理的
な自己防衛反応だろうが、しかるべき機関に不穏な材料を突きつけられる
と「もし起きたら」と不安も膨らむに違いない。

担当者なら、なおさらだ。東電の津波対策を担当するセンター長だった元
幹部は、2008年2月、勝俣元会長や武藤元副社長らが出席する“御前会議”
で、津波の想定の引き上げで新たな対策が必要になると報告し、異論なく
了承されたという(元幹部の供述調書より)。

津波担当部門が「長期評価」をもとに計算したところ最大15.7メートルの
津波が福島の原発を襲う可能性があるという結果が出ていたのである。

こんな大津波に見舞われたらどんなことになるかは明らかだった。平成16
年にのスマトラ沖地震大津波のあと国が設けた勉強会で作成された資料に
は、福島第一原発が敷地より1メートル高い津波に襲われ、浸水し続けた
場合、電源を失う可能性があるという検討結果が示されていた。それより
はるかに高い津波が想定されるというのである。

◆インフルエンザの常識・非常識

石岡荘十


正直言って、「インフルエンザとは何か」、関心を持って集中的に学習し始めたが、まず気がついたのは、今までインフルエンザに関して持っていた知識・感覚、“常識”がいかにいい加減で、非常識なものだったかということである。

と同時に、専門家の話をきいたり本を読んだりすると、ことによると国家を滅亡させる引き金ともなりかねないほどの猛威を振るう“身近な”病についていかに無知であるかを思い知らされる。

まず、
・病名について、である。
「インフルエンザ」はなんとなく英語のinfluenceから来たものと思っていたが、その語源はイタリア語の「天体の影響」を意味する「インフルエンツァ」であった。中世イタリアでは、インフルエンザの原因は天体の運動によると考えられていたからだそうだ。

・「スペイン風邪」は濡れ衣
歴史のなかでインフルエンザを疑わせる記録が初めて現れるのは、もっとずっと前の紀元前412年、ギリシャ時代のことだったという。その後もそれと疑わせるインフルエンザは何度となく起こっているが、苛烈を極めたのは1580年アジアから始まったインフルエンザで、全ヨーロッパからアフリカ大陸へ、最終的には全世界を席巻し、スペインではある都市そのものが消滅したと記録されている。

より詳細な記録は1700年代に入ってからで、人類は以降、何度もパンデミック(世界的大流行)を経験している。なかでも、史上最悪のインフルエンザは「スペイン風邪」である。
というとスペインが“震源地”、あるいはスペインで流行ったインフルエンザだと誤解されがちだが、発祥は、じつは中国南部という説とアメリカのどこかで始まったという説がある。

が、確かなことは1918年3月、アメリカ・デトロイト、サウスカロライナ州、そして西海岸で姿を現したということだ。

その頃世界は第1次世界大戦の真っ只中にあり、アメリカからヨーロッパ戦線に送られた兵士を宿主としたウイルスがヨーロッパ席巻の端緒を開いた。大戦の当事国は兵士が病気でバタバタ倒れている事態を隠蔽し続けたといわれる。
ところが参戦していなかったスペインでは情報統制を行わなかったため、大流行がことさらフレームアップされ伝わったのではないか、と推測されている。「スペイン風邪」はとんだ濡れ衣なのである。

・第二波の毒性をなめるな
スペイン風邪の猛威は、その後2年間、第2波、第3波---と毒性を強めながら津波のように襲い掛かり、猖獗を極めた。第2波の初期、アメリカ東海岸から公衆衛生担当者が国内担当者に送ったアドバイス。

「まず木工職人をかき集めて棺を作らせよ。街にたむろする労働者をかき集め墓穴を掘らせよ。そうしておけば、少なくとも埋葬が間に合わず死体がどんどんたまっていくことは裂けられずはずだ」(『アメリカ公衆衛生学会誌』1918)積み上げられた死体の山を「ラザニアのようだ」と表現するほどだった。

毒性が弱い新型インフルエンザの場合はこんなことにはならないと言うのが今の見方だが、少なくとも秋口と予想される第二波がこの春よりはるかに強烈なものとなる可能性は否定できない。これが常識である。なめてはいけない。

・「寒い地域の病気」はウソ
つい先まで、インフルエンザは寒いところで流行るもの、と思い込んでいた。ただ、それにしては夏になってもじりじりと患者が増え続けるのはどうしたことか。

インフルエンザは、熱帯地域でさえ年間を通して穏やかに流行っている。だが熱帯ではマラリアやデング熱など、臨床症状がインフルエンザに似ているので、インフルエンザと診断されなかった可能性が否定できないという。人口当たりの死亡率は温帯・寒帯地域より高いという報告さえある。

日本では、新型インフルエンザは冬であるオーストラリアなど南半球に移っていったという一服感が支配的だ。世界中で笑いものになった日本のあの“マスクマン”も見かけなくなった。マスコミもあの騒ぎをお忘れになってしまったようだ。

しかし、ウイルスは日本だけでなく北半球のイギリス、ドイツでも決して衰えてはいとWHO(世界保健機関)に報告している。いまや新型インフルエンザは「地域の寒暖に関係なく1年を通して穏やかに流行している」というのが常識である。

やはり、この際の世界の常識は、WHOのホームページで確認するしかないと私は考えている。   

2019年09月29日

◆ボルトン氏辞任で、日本外交の危機

櫻井よしこ


9月10日、ジョン・ボルトン氏が突然辞任した。氏は北朝鮮への中途半端
な妥協を是とせず、核・ミサイルの放棄を強く迫り続ける方針をゆるがせ
にしたことがなく、拉致問題には最も深い同情と理解を示し続けた人物だ。

氏の突然の辞任により、トランプ大統領の対北朝鮮外交のみならず、対中
国外交までが妥協の産物に堕してしまえば、日本外交への大打撃になりか
ねない。

「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)紙は、トランプ政権に
是々非々の姿勢ながらも基本的に支持してきた有力紙だが、今回の件につ
いて、11日の社説で、トランプ氏は「真実を語らなかった」と批判した。

トランプ氏はツイッターで自分がボルトン氏に辞任を求めたと主張した
が、米各紙の報道を合わせ読むと、WSJの「真実を語らなかった」との
批判は当たっていると見てよいだろう。各紙報道をまとめるとざっと以下
のようになる。

・ボルトン氏は9日、アフガニスタン問題でトランプ氏と対立、辞任を申
し出た。

・トランプ氏は明日話し合おうと返答した。

・帰宅したボルトン氏は一晩考え、10日朝に辞職願いを提出した。

・同日午前、ボルトン氏はシチュエーション・ルームで国家安全保障チー
ムとの討議に臨んだ。

・11時58分、トランプ氏が「昨夜ジョン・ボルトンに、もはやホワイトハ
ウスで仕事をしなくてよいと言い渡した」とツイッター発信。

・12分後の12時10分、ボルトン氏が、「昨夜辞任を申し出た。トランプ大
統領は明日話し合おうと語った」と反論し、ホワイトハウスを去った。

WSJ紙社説は、「(ボルトン氏の正式の辞職願い提出の)すぐ後に、ト
ランプ氏は辞任は自分の考えであるかのように事実をねじ曲げてツイッ
ターで発信した。3年間で国家安全保障会議(NSC)のトップ助言者3人
を失うという失態の悪印象を避けようとするもので、大統領の振舞として
感心できない」と非難した。

とても難しい上司

無論、米国にはボルトン氏を批判する声も少なくない。たとえば、
「ニューヨーク・タイムズ」紙は12日の1面に、ペンシルベニア大学コ
ミュニケーション・ディレクターのジョン・ガンズ氏の意見を掲載し、ボ
ルトン氏がNSCの伝統を破壊したと非難した。ボルトン氏は、フランク
リン・ルーズベルト大統領のスタイルを真似て大統領と少人数の側近が重
要決定を下す形に拘り、独善に走り、常に大統領の側近くにいようとした
というのである。

WSJは、ボルトン氏はたとえトランプ氏と考えが異なっても、大統領の
意思を尊重し、同時に具申すべきことは具申したと強調する。間違った
ディール(bad deal)はディールなし(no deal)よりもはるかに深刻な
結果を招くと、大統領に伝えたが、大統領には異論を聞き入れる気が全く
なかったと解説する。トランプ氏はとても難しい上司だと言ってよいが、
ボルトン氏に対する大統領のコメントの厳しさは、トランプ氏の一面を示
すものとして、安倍晋三首相は無論、日本人は頭に入れておかなければな
らないだろう。

ボルトン氏「解任」を発表した翌日、大統領執務室でトランプ氏は次のよ
うに語っている。

「ジョン・ボルトンがリビア方式に言及したことで我々の取り組みは大幅
に後退した。カダフィに起きたことを見れば、そんなことで北朝鮮と
ディールできるのか」

右の発言は、トランプ氏がボルトン氏を補佐官として招き入れた直後から
同じ間違いを繰り返して、今日に至るまで何も学んでいないことを示して
いる。

たとえばボルトン氏を補佐官に任命して間もない昨年5月17日、トランプ
氏は北朝鮮へのリビア方式の適用は考えていない、米軍はカダフィを滅ぼ
すためにリビア入りした、と語っている。

トランプ氏は「リビア方式」を全く理解していない。リビア方式とは核・
ミサイルの完全廃棄を見届けた後に、経済制裁を解除し、国際社会に受け
入れる方式だ。カダフィ氏は2003年12月、核放棄を宣言し、米英両国は濃
縮ウラニウムやミサイルの制御装置、遠心分離機をはじめ核開発に関する
装置のすべてを3か月で搬出し、廃棄した。すべてが終わった時点で米国
はリビアに見返りを与え始めた。06年5月には国交も正常化した。

カダフィ氏は11年10月に殺害されたが、それは米軍による殺害ではない。
アラブの春における、リビア国民による反乱・殺害だった。

トランプ再選が優先

トランプ氏はこうした前後の事情を、かつても今も見ようとしない。他
方、金正恩朝鮮労働党委員長は絶対に核を手放したくない。核放棄を強く
迫るボルトン氏を憎み、氏とは一切、交渉しないとの姿勢を打ち出した。
18年5月当時、北朝鮮第一外務次官の金桂冠氏は正恩氏の気持ちを代弁し
て「ボルトンに対する嫌悪感を我々は隠しはしない」と語っている。北朝
鮮の一連のボルトン批判に関して、トランプ氏は今回こう述べたのだ。

「金正恩のその後の発言を私は責めない。(中略)(ボルトン氏が外交交
渉で)タフであるか否かではなく、スマートであるか否かの問題だ」

ボルトン氏を賢明ではないと貶めている。マティス国防長官、ティラーソ
ン国務長官らもひどい辞めさせられ方だったが、ボルトン氏に対しては
もっとひどい。選りに選って北朝鮮の専制独裁者、金正恩氏の発言に同調
して、安全保障の中枢に自らが登用した大事な部下を貶めるやり方は、
あってはならないだろう。

金正恩氏が7月以来継続するミサイル発射は、安倍晋三首相が指摘したよ
うに明確な国連安全保障理事会の決議違反だ。しかしトランプ氏は短距離
ミサイルは米朝合意違反ではないとして、静観の姿勢を崩さない。米政府
内で唯一人、安保理決議違反だと正論を述べたのがボルトン氏だった。

北朝鮮の新しいミサイルは、専門家の指摘では、日米両国の現時点におけ
る技術では防ぎ得ない。トランプ氏の姿勢は日本に対する北朝鮮の脅威に
目をつぶることだ。

同盟国に及ぶ危険をなぜ無視するのか。トランプ氏が来年の再選のことし
か考えていないからだ。ボルトン氏が政権を去った結果、トランプ氏は自
身の再選に役立つであろうテレビ映えのする首脳会談実現に邁進するだろ
う。金正恩、習近平、プーチン各氏らとにこやかに握手する場面を創り出
すために、安易な妥協がなされかねない。米国の国益よりもトランプ再選
が優先されれば、対北朝鮮、対中国で日本にとって不利な国際情勢が生じ
るのは容易に見てとれる。ボルトン辞任は実に大きな損失なのである。

『週刊新潮』 2019年9月26日 日本ルネッサンス 第869回

◆芭蕉終焉の地って?

毛馬 一三

松尾芭蕉の「終焉(しゅうえん)の地」が、大阪だということを知っている人は少ないのではないか。「旅に病で夢は枯野をかけ廻る」と詠んだ旅の俳聖松尾芭蕉だから、旅の果ての東北か北陸の辺りでの病死ではないか思うのが普通だろう。

ところが、芭蕉の終焉の地は大阪・南御堂向かいの花屋仁左衛門の離れ座敷だったのだ。大阪人ですら、知らない人が多い。芭蕉が亡くなった花屋仁右衛門宅は今喫茶店になっているので、その屋敷跡から当時を髣髴させるものは何もない。じつはその事実を告げる記念碑は、大阪のメインストリート・御堂筋南御堂前の、緑地帯の中に「終焉(しゅうえん)ノ地」と銘を打った石碑が、ポツンと建っているだけだ。

たまたま、筆者が地下鉄御堂筋線・地下鉄中央線「本町」下車して南へ向かう用事があったため、“偶然”にも発見出来たもので、それまでは不明にも目に止まったことはなかった。その「碑の銘」が南に向いて建っているため、北から南に通じる一方通行の御堂筋を車で通過する人目には、「芭蕉終焉の地」という文字を読み取ることは物理的に不可能だ。

ましてや道路の緩衝地帯の中だから、通路を通る人の関心を呼ぶことはまずない。その意味で、“発見”出来たのは偶然の目配りに感謝したいラッキーなことだった。
 
<元禄7年(1694)9月、芭蕉は故郷伊賀上野から奈良をすぎ暗峠を越え、2度目の来坂をした。長崎へ向かう旅の途中に大阪に立ち寄った。住吉大社を詣でたり、句会に参加するなどしていたが、当時大阪には俳壇をにぎわしていた2人の門人の仲に円満を欠くところがあり、それを取り持つための来坂が主目的であったとされている。
 
出発時から体の不調を訴えていたが、大阪・住吉神社に詣でた後、発熱下痢を伴い花屋仁右衛門方離れ座敷で病臥、10月12日夕方息を引き取る。51歳だった。最後の句として知られる「旅に病で夢は枯野をかけ廻る」は、その4日前に病床で詠まれたものだ>


ところが「秋深き 隣は何を する人とぞ」は、芭蕉が床に臥す直前に書いた句である。臥す直前まで世事に興味津々というか、「晩秋」の移ろいにも鋭利な感覚を失っていない。となると芭蕉は、出来るだけ早く床上げをして長崎へ向かう旅立ちへの気力と体力の自信に、この時なお溢れていたのではないかと思える。

<大坂御堂筋の花屋仁左衛門方で「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」の句を残して客死した(よく辞世の句と言われているが結果論である。「病中吟」との前詞があり、辞世とは当人も意識していなかった>という説がある。参考<ウイキぺディア>

だが病状は急変したのだろう。だから「旅に病で夢は枯野をかけ廻る」が、本人の意思に反して「辞世の句」となってしまったのだ。

<臨終の時は、大勢の弟子達に見守られ、遺体は亡くなった日に舟で、現在の土佐堀川を上って芭蕉が遺言した近江の義仲寺に運ばれた>。芭蕉は、木曾義仲の墓の隣に眠っている。

この欄を書きたいと思ったのにはひとつの感慨があった。「頂門の一針の主宰者」渡部亮次郎氏が掲載された『老化は熟成である』の記述の一節を思い出したからだ。

<老化するとは死に近付くことでもあるが酒や味噌のように美味しく熟成して他人の役に立ち、自分を誇りに思えることでもある。

生きるとは死ぬことである。生まれたら成長すると言うが、それが違うのだ。最後に来る死に向かって懸命に走っているに過ぎないのだ。ただゴールが何時かを自身が知らないだけだ。

盛者必衰の理(ことわり)通り身体の各部分は生まれた瞬間から衰えて行く。中年を過ぎれば皺もしみも方々に出来る。これは生物が生きている証拠として止むを得ないものである>、と渡部亮次郎氏は「生と死」にこう触れている。

「旅に病で夢は枯野をかけ廻る」を詠んだ芭蕉の心は、まだまだ死ぬまで好きな旅を続けたい気持ちを抱きながら、<最後に来る死に向かって懸命に走っているに過ぎない自分に気づいていた>のではないかとの想いが、重なったからである。死にたくはなかった芭蕉も、遂に終焉に気づいた瞬間は、きっと幸せな生涯だったと感じたに違いないと思う。

歴史のまち・大阪には多岐の名所旧跡や記念碑は散在するが、「生と死」を考えさせるものは、そう沢山あるものではない。(了)参考<ウイキぺディア> (再掲)

2019年09月28日

◆ウクライナ疑惑でトランプ弾劾調査

         Andy Chang
 

トランプ大統領が就任して3年たったが、オバマ民主党の闇の帝国
(Deep State)は執拗に二度三度とトランプ罷免運動を続けている。
一回目のトランプ調査はマラー検察官のロシア疑惑調査で、結果は
ロシア癒着の証拠は見つからなかった。続いて第二回目は国会におけ
る複数の調査委員会による大統領の権力乱用調査はまだ継続している。
そして先週から第三回目、密告者の通報からトランプ大統領のウクラ
イナ疑惑と称する権力乱用と選挙妨害でペロシ国会議長が正式にトラ
ンプ大統領の弾劾調査を始めた。

国会が大統領罷免を調査したのはニクソン、クリントンに次いで三回
目だが、今回は前の二回と違って確証がないまま罷免調査に踏み切
ったのである。これこそ闇の帝国の権力乱用である。

密告者の通報によると、トランプ大統領がウクライナ総統の電話して
「軍事援助金を交換条件としてバイデン元大統領の息子がウクライナ
のエネルギー会社の顧問になった経緯の調査」を頼んだと言うのだ。

バイデン氏は2020年の大統領選の有力候補とされている。だからこれ
を聞いた民主党側は「金銭援助の交換条件」で政敵に不利な情報を要
求したのは権力乱用というのだ。ある議員はこれを反逆罪と息巻いた
し、反逆罪は死刑だと言った人も居る。

バイデンが副大統領だった2014年に彼が軍事援助金の見返りに彼の
息子をウクライナのエネルギー会社の顧問に就任させた。バイデンの
息子は麻薬常習者で海軍から退職させられた経験がある男だ。オバマ
の副大統領の権力で息子を外国の会社に月5万ドルの顧問にさせた。
このことがウクライナで司法調査の対象となり、検察官は2014年11
月にバイデンの息子を法廷に喚問する予定だった。

するとバイデン元副大統領は一か月後の2014年12月にウクライナ総
統と会談し、「米国の援助金10億ドルの見返り」に彼の息子を調査し
ていた検察官を(一説には6時間以内)罷免せよと要求した。ウクラ
イナ総統(前任)は直ちにこの検察官を罷免した。

このことについて、バイデン自身がテレビ対談で「俺があの検察官野
郎(Son of bitch)を罷免した」と自慢したのである。米国の副大統領
が権力を行使して息子を外国の会社の顧問にさせ、そのことを調査し
ていた検察官も援助金の交換条件を使って罷免させたのである。

これは明らかなバイデン副大統領の権力乱用と外国司法干渉である。
だから両国の政権が変わったあとトランプ大統領が新任のウクライナ
総統に事件の調査を頼んだのはアメリカの大統領として当然である。
バイデンの権力乱用を調査するトランプが同じく交換条件を使った権
力を乱用するはずがない。トランプは選挙干渉をしたのではなく、バ
イデンの犯罪調査を依頼したのである。

ところがトランプのホワイトハウスにおける電話内容を司法検察官に
告発した男が出てきたのである。告発の概要は「トランプ大統領が、
ウクライナのゼレンスキー総統との電話会談で、バイデン親子の犯罪
調査を依頼した。これは権力乱用で選挙違法である」と言うのだ。

大統領が外国の主要人物と電話会談をするのは違法ではない。犯罪の
調査を依頼するのもアメリカ大統領として当然である。しかし密告者
の告発をうけた検察総長がこに事を調査して国会に通報した。これも
当然である。この時点では告発の内容は新聞が発表しただけの不確実
なものだった。だがペロシ議長は24日、トランプが政敵に不利な調査
を外国の総統に依頼したこと、そして大統領が交換条件で相手に調査
を高揚したのは権力乱用だとし、大統領の弾劾調査を発表したのであ
る。検察総長は25日に告発の内容を発表した。

バイデン氏がテレビ談話で自慢したのは犯罪証拠が確実である。トラ
ンプ大統領がウクライナ総統に調査を依頼するのが当然である。しか
しトランプが米国の援助金を交換条件として調査を強要したなら問題
である。トランプは直ちに交換条件はなかったと発表したが民主党側
はトランプを罷免できる証拠が出たと凱歌を上げた。

トランプは25日になってウクライナ総統との30分の電話会談を機密
解除して公開発表した。この内容でトランプが「交換条件」を言わず、
「バイデン親子のことは貴殿も知っていること、これは調査すべきだ」
と述べただけと判明した。その上に国連の会議に参加していたウクラ
イナのゼレンスキー総統もテレビ対談に出て、トランプの圧力や交換
条件はなかったと証言した。トランプの潔白が証明されたばかりか、
バイデンの犯罪はテレビ対談の証拠があるので選挙どころか政治生命
の終焉だし、調査で有罪となったら親子共々監獄入りだ。

もう一つの問題は密告者のことである。密告者の名前は法律で秘密保
護されているが、報道によると(1)密告した内容は本人が調査した
事実ではなくホワイトハウス内の複数の人間からの又聞きだった、
(2)彼は嘗てヒラリーとシューマー上院議員の下で働いていた人間
だった。つまり密告者は反トランプでDeep Stateの一員だったのだ。
いずれ密告者の正体は判明するだろう。

残る問題はハワイとハウスで大統領が外国の要人との電話会談は機密
だが、機密を外部に漏らした人間が居たことだ。おまけに機密を反ト
ランプの密告者に通報したのは厳重な機密漏洩事件である。この事件
は始まったばかりで終点はなかなか見えない。



at 10:01 | Comment(0) | Andy Chang

◆香港人権民主法、米国議会で可決したが

宮崎 正弘


令和元年(2019)9月27日(金曜日)弐 通算第6211号  

香港人権民主法、米国議会で可決したことはしましたが。。。
  これから長い議会審議が始まり、大統領署名までに紆余曲折

2019年9月25日、米連邦議会上下両院の小委員会は、四月以来提案
されてきた「香港人権民主法 2019」を可決した。

もともと上院では反中国派のトップであるマルコ・ルビオ上院銀、下院は
クリス・スミス議員が提唱し、上院で22名、下院で37名の議員が共同
提案に署名していた。

法案内容は、「香港の特殊事情に鑑みて現状維持を見守り、民主政治の低
下などがあれば外交行動をとるとともに、場合によっては経済制裁を行
う」というもので、即効性は薄い。

プロセスとして、これから本会議で審議が開始され、おそらく修正案がで
てくる。議論は白熱化するが、修正案が出されると、両院合同委員会が開
催されるという段階を経て、ようやく本会議での議決となる。

上院は100名定員の51が過半数。下院は435定員だから過半数は
218名の議員の賛成が必要で、ここで可決されると十日以内に大統領が
署名すれば、正式に成立する。大統領が拒否権を発動すれば、議会に差し
戻され、大統領拒否権をふたたび覆すには、各々が三分の二以上の賛成を
必要とする。

この厄介な議会プロセスと、会期切れがあり、円滑に審議が進むだろうか?

まして優先順位で言えば、香港人権民主法のランクは低く、米国が現在直
面する喫緊の課題はイランである。ということは議会審議の白熱化こそが
中国を牽制する効果があり、法案成立にはまだ時間がかかるということで
ある。
    
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 読者の声  どくしゃのこえ  READERS‘ OPINIONS
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   ♪
(読者の声1)貴誌前号の記事に関連して、たしかに地球温暖化の危機を
訴える16歳の少女は洗脳されてうえ、アスペルガー症候群。しかし、こ
の人物を別として、気候温暖は地球の危機であることは間違いないでしょう。

ところが欧米などで盛り上がるこの運動、日本でさっぱりです。何故で
しょうか。もっと深い原因があるように思われますが。(JJセブン)


(宮崎正弘のコメント)自然観の相違が最大要素でしょう。

キリスト教圏では「自然は敵」ですが、日本は「自然は友」であり、自然
と親しみ、自然と共生してきました。ですから、自然現象である気候温
暖、磁場軸の変動、台風、津波に対する対応も、まったく異なっています。

  ♪
(読者の声2)NYを舞台の国連外交。この檜舞台で、トランプ大統領
は、文在寅には会っても冷淡、その一方で安倍首相との会談では「日韓関
係」に憂慮をしめしたとか。

文在寅大統領が訪米しても、わずか弐分で会見打ち切りと、むしろ米韓関
係のほうが心配では、と思います。
日韓関係の氷河期、どういう見通しをお持ちでしょうか。(HT生、茨城)


(宮崎正弘のコメント)韓国にも三割の保守派、良識派がいます。いま日
本政府は「次の政権に期待する」とだけ言って、何もしないのが一番と思
います。

先方から「要らない」と言っておきながら日韓通貨スワップの再開を水面
下で要請していますが、かれらも韓国ウォンの暴落が近いことを知ってい
るからでしょう。

   ♪
(読者の声3)第47回 家村中佐の兵法講座 兵法書として読む『古事
記』『日本書紀』

兄である天智天皇の崩御直前、心中に即位を望みつつも太政大臣である大
友皇子との後継争いを避けて吉野にお隠れになられた大海人皇子に、やが
て挙兵の機会が訪れます。

今回の兵法講座では『日本書紀』巻第二十八「天武天皇 上」を読みなが
ら、皇位継承を巡って起きた日本古代史で最大の内戦「壬申の乱」につき
まして、図や絵を用いてビジュアルに分かりやすく解説いたします。
            記
日 時:10月12日(土)13:00開場、13:30開演
(16:30終了予定)
場 所:アカデミー文京 学習室(文京シビックセンター地下1階)
講 師:家村和幸(日本兵法研究会会長、元陸上自衛隊戦術教官・予備2
等陸佐)
演 題:第20話 大海人皇子と壬申の乱
参加費:1,000円(会員は500円、高校生以下無料)
お申込:MAIL info@heiho-ken.sakura.ne.jp
FAX 03-3389-6278(件名「兵法講座」にてご連絡ください)。
事前に「新説『古事記』『日本書紀』でわかった大和統一」(宝島社新書
486)をお読みいただくと理解が深まります!
(日本兵法研究会会長 家村和幸)



◆ボルトン氏辞任で、日本外交の危機

櫻井よしこ


9月10日、ジョン・ボルトン氏が突然辞任した。氏は北朝鮮への中途半端
な妥協を是とせず、核・ミサイルの放棄を強く迫り続ける方針をゆるがせ
にしたことがなく、拉致問題には最も深い同情と理解を示し続けた人物だ。

氏の突然の辞任により、トランプ大統領の対北朝鮮外交のみならず、対中
国外交までが妥協の産物に堕してしまえば、日本外交への大打撃になりか
ねない。

「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)紙は、トランプ政権に
是々非々の姿勢ながらも基本的に支持してきた有力紙だが、今回の件につ
いて、11日の社説で、トランプ氏は「真実を語らなかった」と批判した。

トランプ氏はツイッターで自分がボルトン氏に辞任を求めたと主張した
が、米各紙の報道を合わせ読むと、WSJの「真実を語らなかった」との
批判は当たっていると見てよいだろう。各紙報道をまとめるとざっと以下
のようになる。

・ボルトン氏は9日、アフガニスタン問題でトランプ氏と対立、辞任を申
し出た。

・トランプ氏は明日話し合おうと返答した。

・帰宅したボルトン氏は一晩考え、10日朝に辞職願いを提出した。

・同日午前、ボルトン氏はシチュエーション・ルームで国家安全保障チー
ムとの討議に臨んだ。

・11時58分、トランプ氏が「昨夜ジョン・ボルトンに、もはやホワイトハ
ウスで仕事をしなくてよいと言い渡した」とツイッター発信。

・12分後の12時10分、ボルトン氏が、「昨夜辞任を申し出た。トランプ大
統領は明日話し合おうと語った」と反論し、ホワイトハウスを去った。

WSJ紙社説は、「(ボルトン氏の正式の辞職願い提出の)すぐ後に、ト
ランプ氏は辞任は自分の考えであるかのように事実をねじ曲げてツイッ
ターで発信した。3年間で国家安全保障会議(NSC)のトップ助言者3人
を失うという失態の悪印象を避けようとするもので、大統領の振舞として
感心できない」と非難した。

とても難しい上司

無論、米国にはボルトン氏を批判する声も少なくない。たとえば、
「ニューヨーク・タイムズ」紙は12日の1面に、ペンシルベニア大学コ
ミュニケーション・ディレクターのジョン・ガンズ氏の意見を掲載し、ボ
ルトン氏がNSCの伝統を破壊したと非難した。ボルトン氏は、フランク
リン・ルーズベルト大統領のスタイルを真似て大統領と少人数の側近が重
要決定を下す形に拘り、独善に走り、常に大統領の側近くにいようとした
というのである。

WSJは、ボルトン氏はたとえトランプ氏と考えが異なっても、大統領の
意思を尊重し、同時に具申すべきことは具申したと強調する。間違った
ディール(bad deal)はディールなし(no deal)よりもはるかに深刻な
結果を招くと、大統領に伝えたが、大統領には異論を聞き入れる気が全く
なかったと解説する。トランプ氏はとても難しい上司だと言ってよいが、
ボルトン氏に対する大統領のコメントの厳しさは、トランプ氏の一面を示
すものとして、安倍晋三首相は無論、日本人は頭に入れておかなければな
らないだろう。

ボルトン氏「解任」を発表した翌日、大統領執務室でトランプ氏は次のよ
うに語っている。

「ジョン・ボルトンがリビア方式に言及したことで我々の取り組みは大幅
に後退した。カダフィに起きたことを見れば、そんなことで北朝鮮と
ディールできるのか」

右の発言は、トランプ氏がボルトン氏を補佐官として招き入れた直後から
同じ間違いを繰り返して、今日に至るまで何も学んでいないことを示して
いる。

たとえばボルトン氏を補佐官に任命して間もない昨年5月17日、トランプ
氏は北朝鮮へのリビア方式の適用は考えていない、米軍はカダフィを滅ぼ
すためにリビア入りした、と語っている。

トランプ氏は「リビア方式」を全く理解していない。リビア方式とは核・
ミサイルの完全廃棄を見届けた後に、経済制裁を解除し、国際社会に受け
入れる方式だ。カダフィ氏は2003年12月、核放棄を宣言し、米英両国は濃
縮ウラニウムやミサイルの制御装置、遠心分離機をはじめ核開発に関する
装置のすべてを3か月で搬出し、廃棄した。すべてが終わった時点で米国
はリビアに見返りを与え始めた。06年5月には国交も正常化した。

カダフィ氏は11年10月に殺害されたが、それは米軍による殺害ではない。
アラブの春における、リビア国民による反乱・殺害だった。

トランプ再選が優先

トランプ氏はこうした前後の事情を、かつても今も見ようとしない。他
方、金正恩朝鮮労働党委員長は絶対に核を手放したくない。核放棄を強く
迫るボルトン氏を憎み、氏とは一切、交渉しないとの姿勢を打ち出した。
18年5月当時、北朝鮮第一外務次官の金桂冠氏は正恩氏の気持ちを代弁し
て「ボルトンに対する嫌悪感を我々は隠しはしない」と語っている。北朝
鮮の一連のボルトン批判に関して、トランプ氏は今回こう述べたのだ。

「金正恩のその後の発言を私は責めない。(中略)(ボルトン氏が外交交
渉で)タフであるか否かではなく、スマートであるか否かの問題だ」

ボルトン氏を賢明ではないと貶めている。マティス国防長官、ティラーソ
ン国務長官らもひどい辞めさせられ方だったが、ボルトン氏に対しては
もっとひどい。選りに選って北朝鮮の専制独裁者、金正恩氏の発言に同調
して、安全保障の中枢に自らが登用した大事な部下を貶めるやり方は、
あってはならないだろう。

金正恩氏が7月以来継続するミサイル発射は、安倍晋三首相が指摘したよ
うに明確な国連安全保障理事会の決議違反だ。しかしトランプ氏は短距離
ミサイルは米朝合意違反ではないとして、静観の姿勢を崩さない。米政府
内で唯一人、安保理決議違反だと正論を述べたのがボルトン氏だった。

北朝鮮の新しいミサイルは、専門家の指摘では、日米両国の現時点におけ
る技術では防ぎ得ない。トランプ氏の姿勢は日本に対する北朝鮮の脅威に
目をつぶることだ。

同盟国に及ぶ危険をなぜ無視するのか。トランプ氏が来年の再選のことし
か考えていないからだ。ボルトン氏が政権を去った結果、トランプ氏は自
身の再選に役立つであろうテレビ映えのする首脳会談実現に邁進するだろ
う。金正恩、習近平、プーチン各氏らとにこやかに握手する場面を創り出
すために、安易な妥協がなされかねない。米国の国益よりもトランプ再選
が優先されれば、対北朝鮮、対中国で日本にとって不利な国際情勢が生じ
るのは容易に見てとれる。ボルトン辞任は実に大きな損失なのである。

『週刊新潮』 2019年9月26日 日本ルネッサンス 第869回

◆三叉神経痛に有効な治療法!

〜ガンマナイフか?手術か?〜

中村一仁
(大阪市立総合医療センター 脳神経外科医師)

「三叉神経痛」に対する治療方法は、内服、神経ブロック、ガンマナイフ、MVD(microvascular decompression: 微小血管減圧術)と、多岐にわたる。
 
患者は痛い治療は好まないので、近年の治療手段としては低侵襲性と有効性からガンマナイフ治療を選択することも多くなってきた。

本論のガンマナイフ治療とは、コバルト線を用いた放射線治療で非常に高い精度で目的とする病変に照射することが可能な装置である。

さて本題。「三叉神経痛」というと聞きなれないかも知れないが、簡単に言うと、顔面が痛くなる病気である。一般には「顔面神経痛」という単語が誤用されていることがある。顔が痛くなるので「顔面神経痛」という表現はわかりやすい。

ところが、顔面の感覚は三叉神経と呼ばれる第5脳神経に支配されていることもあり、正しくは「三叉神経痛」というわけである。因みに顔面神経は、第7脳神経で顔面の筋肉を動かす運動神経の働きを担っている。

三叉神経痛の原因の多くは、頭蓋骨の中の三叉神経に脳血管が接触・圧迫し刺激となることで痛みが発生するとされている。
 
<対象・方法>
さて、1999年11月から2003年10月の4年間に、当センターで治療を行った三叉神経痛31例のうち、経過を追跡した29例についての検討を行った。ガンマナイフ施行1年後の有効率は69%(20/29例)であり、31%(9/29例)が無効であった。

そこで、このガンマナイフ治療により、治癒しなかった「三叉神経痛9例」の特徴について検討した。

<結果>
ガンマナイフ治療が無効であった「三叉神経痛9例」のうち4例で、MVD(微小血管減圧術)による手術治療が施行された。4例全例で三叉神経痛は消失軽快した。

ガンマナイフ治療無効例の術中所見は、クモ膜の肥厚や周囲組織の癒着などは認めず、通常通りMVDが施行可能であった。

ガンマナイフ治療が無効であった9例について、平均年齢65.7歳(46-79歳)、男性5例、女性4例。平均罹病期間8.7年(1.5-20年)、患側は右側5例、左側4例だった。

全例MRI画像にて圧迫血管を確認した。上小脳動脈(superior cerebellar artery:SCA)による圧迫病変は通常の割合より少なく、静脈や椎骨動脈による圧迫が4例と多かった。

ガンマナイフ治療が有効であった症例との比較では性別、年齢、罹病期間、病変の左右、圧迫部位に統計学的な有意差は認めなかったが、圧迫血管についてはガンマナイフ治療無効例で有意に上小脳動脈によるものが少なかった(χ2検定,P<0.05)。

<考察>
一般に三叉神経痛は脳血管が三叉神経に接触・圧迫することで生じるとされている。その圧迫血管として最も頻度が高いとされているのであるが、今回の検討ではSCAによる圧迫が少なく、ガンマナイフ治療無効例に特徴的な所見であると考えられた。

わが国で三叉神経痛に対する治療としては、抗てんかん薬であるカルバマゼピンの内服、ガンマナイフ、MVDといった選択枝を選ぶことが多い。MVDによる三叉神経痛治療は脳神経外科医Janettaの手術手技の確立により、安全に行なわれるようになった。

しかし、高齢化および低侵襲手術への期待から、近年ではガンマナイフ治療の有効性が多く報告されるようになってきている。

当センターでの経験では、三叉神経痛に対するガンマナイフ治療の1年後の有効率は69%であり、過去の報告と大差はなかった。ガンマナイフ治療後の再発例に対して検討した報告は散見されるものの、その再発・無効の機序は明らかではなく、ガンマナイフ治療後の再発例についての検討が必要である。

三叉神経痛の発症機序は、血管による圧迫と三叉神経根の部分的な脱髄により起こると考えられており、MVDにて減圧することでその症状は軽快する。

一方、ガンマナイフによる治療では、放射線照射に伴い三叉神経全体の機能低下が起こり疼痛制御されると推察されている。

このようにMVDとガンマナイフではその治療機序が異なるため、それぞれの利点を生かすべく、再発・無効例の検討を行い、治療適応を確立していく必要がある。

過去の報告ではガンマナイフ治療後の三叉神経痛に対してMVDを施行した6症例についてクモ膜肥厚や明らかな三叉神経の変化を認めず、ガンマナイフ治療後のMVDは安全に問題なく施行できるとしており、当センターでMVDを施行した2症例も同様の所見であった。

一方で、ガンマナイフ治療施行による血管傷害の例も報告されているが、再発との関連はないように思われる。

ガンマナイフ治療施行後の再発についての検討では、年齢、性別、罹病期間、以前の治療、三叉神経感覚障害の有無、照射線量、照射部位は再発と相関しなかったとの報告がある。

今回の検討では再発に関与する因子として、解剖学的な特徴に着目した。ガンマナイフ治療無効例では上小脳動脈による圧迫病変は通常の分布より有意に少なく、一般に頻度が低いとされている椎骨動脈やMVD後に再発し易いとされる静脈による圧迫が多かった。

このことはガンマナイフ治療無効例における何らかの解剖学的な特徴を示唆する。ガンマナイフ治療では画像上、三叉神経の同定の困難な症例や神経軸の歪みの大きい症例において正確にターゲットに照射することが困難な場合もあり、より広範囲に放射線照射を行うことも考慮されている。

前述の条件が揃うものにガンマナイフ治療の無効例は多いのかもしれないが、推論の域を出ない.この仮説が成り立つならば、MVDは直接的に血管を神経より減圧し、周囲のクモ膜を切開することで神経軸の歪みを修正することができるため、このような症例に対して有効な治療であるといえよう。

しかし、圧迫部位と再発に関連性なしとする報告や、MVD後再発再手術例の約50%で責任血管などの所見なしという報告、MVD無効後のガンマナイフ治療有効例が存在することも事実であり、解剖学的因子のみが治療方法の優劣を決定する要素とはならないのかもしれない。

また、初回のガンマナイフ治療で治癒しなかった三叉神経痛に対して、再度ガンマナイフによる治療を行なうことで症状が改善するとの報告もあるが、長期的な結果はなく、今後の検討課題のひとつである。

今回の研究ではガンマナイフ治療無効例にSCA(上小脳動脈)による圧迫が少なかったという解剖学的な点に着目したが、現時点では臨床的に三叉神経痛に対する治療としてのガンマナイフ治療とMVDは相補的な関係であるべきであり、今後さらに有効例、無効例を詳細に検討することで、各治療の術前評価においてその有効性が証明されることを期待したい。

<まとめ>
ガンマナイフ治療無効例に対して施行したMVDにて、4例中4例で三叉神経痛は消失軽快した。

ガンマナイフ治療無効例9例では静脈や椎骨動脈による圧迫を多く認め、ガンマナイフ治療有効例と比較して有意にSCAによる圧迫が少なかった。今後、ガンマナイフ治療無効例の特徴およびMVDの有用性について検討する必要があると考えられた。(完)