宮崎 正弘
令和三年(2021)6月8日(火曜日)
通巻第6939号 <前日発行>
新彊ウィグル自治区でウィグル族の人口比が過半数を切るのは時間の問題
2019年に辛うじてウィグル族の人口比は50・1%だったが
ドイツの「アドルアン・ゼンズ研究所」が衝撃の報告書をだした。
新彊ウィグル自治区でウィグル族の人口比が過半数を切るのは時間の問題
であり、2019年に辛うじてウィグル族の人口比は50・1%だった
が、その後の強制収容所やジェノサイドで過半を割り込んだようである。
中国政府は厳格に規制した来た「一人っ子政策」をやめ、二人の子供ま
で認めたが、出生率は減った。さらに3人目もOKとしたが、中国国民の
90%が不同意だったことも衝撃だった。
前掲のドイツ研究所は、2017年から2019年までにウィグル族は
48・9%減り、一方で漢族の人口比は8・14%から25%の増加率を
示したという。
この趨勢が続けば、現在ウィグル族1314万 vs 947万漢族の
比率は逆転するだろうし、2030年にウィグル族の人口は860万人か
ら1050万人になるだろう、と予測する。
長期に亘るウィグル族減少政策が、人口比の逆転を生み、中国共産党の
統治はよりしやすくなるということである。
すでに労働力の移転は、ウィグル族の労働適齢期の若者らが大量に都会
へ、それも沿岸部へ出稼ぎにでたこと、とくに女性は勤務先で漢族の男性
と結婚を強制されていること、裏では不妊手術や、あるいは漢族男性の
ウィグル女性強姦が行われ、ウィグル人の出生率に劇的な変化をもたらし
ていることなどが原因である。
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
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「第三次世界大戦」はすでに始まっているゾ
中国のサイレント・インベーションに速く目ざめよ
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山岡鉄秀『VS.中国(バーサス・チャイナ)』(ハート出版)
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ソ連の世界制覇の野望は分かりやすかった。露骨な軍事介入だから目に
見えたのだ。
レーガン政権はスターウォーズを仕掛け、ソ連経済を壊滅に導いた。東
西冷戦はソ連の敗北と消滅で終わり、全体主義はそこで死んだはずだった。
どっこい、「ゾンビ」の中国共産党は狡猾な手段で生きのびたばかり
か、ますますその侵略性の牙を研いでいる。
これは西側の油断だったのか?
中国のそれがわかりにくいのは『目に見えない』戦術で静かに、黙って
他国を侵略しているからである。
当該被侵略国が気がつかない裡に、たいへんな状態になっているのである。
メディアが買収され、議員がハニートラップか金銭で転び、言語空間は
SNSが戦場と化した。この有りようが「認識戦争」
(COGNITIVE WARFARE)であるということを日本人の大
半は認識できていない。
静かなる侵略にいち早く覚醒したのはオーストラリアだった。
モリソン政権は明確にアンチ中国の路線に舵を切った。副題にあるよう
に、「第三次世界大戦はすでに始まっている」のである。
日本は迅速に行動しなければ間に合わない状況になっている。
さて本書のなかでいくつもの重要な指摘と最新情報があるが、北海道な
どを買い占める中国資本を放置しておくのは国家安全保障上、危険極まり
ない。ところが法律を作ろうとすると骨抜き案にするか、葬る動きを見せ
るのが公明党であるという。具体的には管政権が取り組んだ『重要土地等
調査法案』である。
法案の名称の通り、『調査』するだけで、報告義務はあっても罰則がない。
たとえ自衛隊の隣の土地を買われても、この取引を中止させたり、過去に
溯って、反古にすることは出来ないというおよそザルのような法律案だ。
まったく意味のない法案であり、このような骨抜きをやっているのが、自
民党内の親中派と公明党である。
狙われているのは北海道、沖縄だけではなく、山岡氏は「山中湖と富士
山麓周辺の土地」がおかしなことになっているとして、その実態、とくに
日本側の推進派の面妖な動きを抉っている。知事や政治家が絡んでいるのだ。
左傾が問題となった「日本学術会議」にしても、『中国科学技術協会と
覚え書きを交わしているそうですが、日本の技術がどんどん流出している
ことは間違いありません』(184p)
面妖なのは日本学術会議だけではなく、日中植林事業もそうで、会計が
極めつきに不明瞭な実態が明るみにでている。
スパイ天国であり、ユル褌であり、学校はGHQと日教組で汚染されて
おり、何事も私的利益が優先し、国家安全保障になにほどの関心もない国
民が多数派。武士が不在となって馬鹿の集団となった国!
逆に中国から言えば、これほど御しやすく、洗脳しやすい国はないだろう
なぁ。
未曾有の危機に警鐘を乱打する書である。
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樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム
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【知道中国 2236回】
──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港118)
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香港での収入源の1つだった第一日文の思い出を。
日本語教育専門の夜学校だった第一日文は、金曜日から土曜日までの夕
方の6時から8時過ぎまで。前後2クラスに分けて教えていた。学生は1日お
きで週3日通っていたから、1か月では4週間×3コマで12コマ。これを1年
続けることになる。
「あいうえお」の発音から始まる最初の1年間が初級班。初級班を修了 す
ると2年目で中級班。中級班の1年が終わり所定の成績を収めると高級班 へ。
もちろん初級班は学生数が多く、程度が上がるほどに受講生の数は少 な
くなる。1日4教室で前後クラスだから、毎日8クラスが開講されてい た。
これを3人の専任教師と5、6人の日本人アルバイトで回すことにな る。
学生数が最も多かったのは1974年前後で、たしか300人に数人足りな い程
度ではなかったか。
第一日文は当時の香港で最大規模の日本語学校だった。
3年間通い高級班の課程を修了すると卒業となるが、3年間も続けると第
一日文通いが習慣になってしまったり、あるいは日本語をさらに学びたい
からと高級班に居座り続ける学生もいた。そういった学生のなかで最も熱
心で成績バツグンだった学生が、現在、香港の日本語教育界の重鎮として
活躍している李澤森第一日文校長だ。
学生は年齢で言うと中学生から老人まで。職業も種々雑多だった。日本
人の海外旅行がブームになり、多くの日本人観光客が香港に押し寄せ始め
た頃でもあり、やはり日本人観光客相手の土産物屋の店員が多かったようだ。
だが、中には将来的には日本の大学に留学し日本研究を目指すからと通っ
て来ていた大学生や、上海時代に覚えた日本語を忘れたくないからと若者
と席を並べる上海人の老人もいた。父親に連れられ通った日本料理屋のざ
るソバの味が忘れられないと語る時の、彼の楽し気な顔を今でも思い出す。
所謂「日本学ブーム」が起こり、香港の大学でも日本研究コースが本格
始動し、日本のサブカルチャーが東南アジア一帯に浸透し、永田町やら霞
が関が「クール・ジャパン」などと浮かれまくる遥か以前の話だ。
あの当時、日本政府も国策として海外での日本理解を進め、日本ファン拡
大を目指して日本語教育を本格展開していたらどうだっただろうか。
日本経済が日の出の勢いの成長を見せ、海外からの羨望の眼差しが日本
に注がれていた頃が日本語教育拡大のための──ということは海外に日本と
日本人を理解させるうえでの絶好機だったと思う。
だが、なぜか政府として無自覚に時を過ごしてしまい、その絶好機を失っ
てしまったと痛感する。上っ調子な国際化と英語教育偏重の泥沼に自分か
ら転がり込む前に為すべきことを為さなかったツケが、いま回ってきてい
るように痛感する。
閑話休題。 型にはまったような授業は面白くない。そこで自分なりに
工夫をしてみた。
高級班には三島事件後に父親から送ってもらった三島由紀夫『蘭陵王』
の一節を何回か読み聞かせた後で書き取りを。中級班には中学1年生レベ
ルの簡単な応用問題を解かせた。
たとえば「子供に鉛筆を分けるのに、1人に4本づつ分けると8本余り、1
人に5本づつ分けると2本不足する。子供は何人いて、鉛筆は何本あります
か」という問題を何回か読んで聞かせ、次に書き取らせる。
誰か学生を指 名して黒板に書かせる。聞き取りの答合わせが済むと、次
に問題を解かせ る。2人ほど学生を指名し、黒板に計算式を書かせ、答え
に至る経緯を説 明させる。もちろん日本語で。
問題の日本語を正しく理解できないと正解に至らない。だから一石二
鳥。そこが狙い目だった。学生からは好評だったと記憶している・・・が。
さて初級班だが「誰々は誰々が〜〜です」の構文を教えた折のこと、永
田町でポスト佐藤をめぐって激しく展開されていた「角福戦争」を利用さ
せてもらうことにした。
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読 者之声
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(読者の声1) 6月4日の日本から台湾へのワクチン空輸に続き、6日にはア
メリカの上院議員3名が台湾訪問し75万回分のワクチン提供を表明。わず
か3時間の滞在とはいえC-17輸送機で韓国から台北の松山空港ですから中
国に対する大きなプレッシャーとなるでしょう。
C-17の台北到着から出発まで画像多めの台湾サイトから。
https://www.setn.com/News.aspx?NewsID=949731 https://onl.tw/FkU5fjQ 日米台の見事な連携プレーですが、今週末にはG7サミット、7月1日は中
国共産党創立100周年記念日、7月23日は本来の創立記念日でこちらはオリ
ンピック開会式と重なっている。なので日中の政治バランスは圧倒的に日
本が有利。台湾では安倍前総理の訪台を望む声もでているようですが、省
庁の局長級や政府の閣僚級が訪台しても中国は何もいえないでしょうね。
(PB生、千葉)
(宮崎正弘のコメント)大型輸送機C-17の機体に「米国空軍」とあります
ね。軍用機で米国上院議員が台湾にはいったというのも、象徴的です。
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(読者の声2)コロナ禍で、主要国の経済政策はすっかりMMT型になって
しまいました。ところで
1.月刊誌HANADA7月号で田村秀男氏は以下のように書いています。
「中国は流入するドルに応じて人民元を発行し、高度経済成長を遂げて
きた。ドルの調達源は対外貿易黒字と外部からの対中投融資だが、最近で
は投融資の比重が格段に高まっている。
日米欧の投資家による国際金融市場香港経 由の対中証券投資が急増して
おり、20年では中国の対外負債増加額一兆 ドルあまりのうち約五割が株
式と債券投資による。
習政権は確保した外部 資金を使って対外投資資産を八千五百億ドル増や
した。対外負債、資産、 さらに証券投資とも過去最大の増加額である。
言い換えると、北京のコロ ナ大災厄に乗じた対外膨張加速は、ウォール
街主体の金融資本による対中 投融資なくしてはありえない。習政権を追
い込むためには、ウォール街を 抑えるしかない。日本は声をあげるべき
だ」。
2.また同誌「蒟蒻問答」で堤堯氏は以下のように言っています。
「ニクソン・ショック以来のアメリカは国債(借金の証文)を乱発。他
国からの資金でファイナンスしなきや財政を維持できない。米国債を保有
した国は、これが目減りするのを嫌ってドルを買い支える。
マイケル・ハドソン は、「米国債本位制」と名付けた。ハーマン・カー
ンは「わがアメリカ は、史上
どの帝国もなし得なかった壮大なペデンを上手くやってのけた」といっ
た。米国債本位制のカラクリに絡め取られて、米国債保有額で日中が首位
を争っている
が、米国債の約定に、「アメリカに敵対する国が保有する米国債は無効化
できる」とする条文がある。「敵対するなら借金を払わないぞ」という意
味だ。米国債はFRBのコンピュータのなかに数字として存在しているだ
けだ。だからコンピュータの「削除」キーをポンと押せば、中国が保有す
る米国債が消えてなくなる。事情は日本についても同じだ。一兆ドル以上
がボタン一つで消し飛ぶんだから、恐ろしい話しゃないか」。
3.月刊誌VOICE 6月号で養老孟司氏はこう書いています。
「経済の分野に目を向けても、理論と現実が適応していない状況が散見さ
れます。これまで人類はカネを物神化してきましたが、経済はモノではな
く情報そのものです。話題を集めたMMTはその典型で、MMT論者がい
うにはカネは債務と債権の記録です。たとえばあなたが銀行から1000
万円を借りたとすると、その金額分の情報が発生したことになる。流通さ
えしていれば、そこに価値の裏付けは必要ない。泡銭という言葉かおりま
すが、まさしく現代経済の本質を表しています。
以上の1や2と3は全く前提が違っていることが判ります。
1と2は「貨幣・通貨額イコール価値」であり、3は「貨幣・通貨はイ
コールではなく、通貨・貨幣は価値を生み出す酵素・触媒・道具・情報と
なった」と言っているのです。この違いが旧来の経済学とニクソン・
ショック以降の経済学の違いを生みだし、通貨と同一視されている「債
務」はもはや「(マイナスの)価値」を示していないという経済理論に変
わりつつあるのです。
MMTが「主流になった」大きな背景は、ニクソン・ショック後はもはや
「おカネ(お札)そのものと価値はイコールではなくなったのだ」(=王
様は見た通り裸じゃないか!)という事実が定着してきたからでしょう。
なぜなら、アメリカがドルをジャンジャン印刷して、社会に「供給」して
いるのと同様に、それを「支えている」日中の通貨だって、どんどん印刷
された「紙にすぎないお札」であるのは明白で、実質的には価値を必ずし
も帯同していない通貨同士の往来に過ぎず、価値つまり富の往来ではない
のです。価値と通貨を同一視することは「裸の王様が服を着ている」と
言っているようなことなのです。
(SSA生)
(宮崎正弘のコメント)よくお読みになって、簡潔なダイジェスト、たい
へん有益でした。読書家に感謝です。
♪
(読者の声3)「YE生様」の質問;我国を代表する良識派の読者諸賢にお
尋ねしたい;「いったいどうやって投票したらいいのか困り果てておりま
す」読者を代表して解答いたします。
「組織の根本的な仕組み」そして、文化を変えない限り、解決できな
い。日本の場合、その主犯人は「日本弱体化、非日本化」を目的とし公布
された昭和憲法。故に、国体の崩壊が止まらない。
この計画に全知全霊を込めて参加し、利益を得てきているのが文科省
とNHK。この二つを廃棄せねば、何の改善も始まらない。
国体の根元は、不動産でも科学技術、繁栄でもなく、国民の歴史・文化・
知識に基づく価値観に由来する。加瀬英名氏も繰り返し、この二つを槍玉
に揚げておられる。
占領下、NHKはGHQの命令で「真相はかうだ」と毎晩ラジオで嘘の歴史を
流し飢えた絶望的な全国民を洗脳した。
もちろん朝日も同様で、GHQの家来として効果的に働き、今だにそのクセ
が抜けない。占領が終わった時点で、彼らは「すみません、大嘘をつきま
した。」と懺悔し、全員腹を切るべきであったが、今だに「真相」を否定
していない。
東大法学者は「8月革命説」という理屈で、昭和憲法を肯定するが、占領
下7年間に、毎日少しずつ、なんの反論も許さず、GHQによる静かなる非暴
力洗脳「革命」があった、のは事実である。
その革命に寄与した指導者たちが戦後の日本を運営して、彼らの子孫が日
本の政治・教育・報道を堅持「世襲」している。
彼ら「売国奴」が日本を支配し続ける限り、日本の未来は無い。
まず文科省、NHKをぶっ壊す、べき。莫大な岩盤な権力を持つように見え
るが、実は国民の支持なしには存在できず、世論が変われば、意外と脆く
崩壊する、と思ふ。
今こそ、「百姓一揆」人民による請願運動。つまり米国占領政策からの独
立を図る秋がきた。
「危機」とは危険と機会。武漢菌危機を理由に、行動あるのみ。待ってい
ても誰も日本を助けてくれない。
(KM生)
♪
(読者の声4)先日の貴誌で、SSA様による、孤独死について仏教界の遅
れに義憤を感ぜられた動機の投稿が印象的でした。私はフランス、イタリ
アが欧州で遺品整理、管理の博物館の制度を開始し、それがドイツにおよ
び、さらに他の欧州諸国へ拡大していると、ドイツからの指摘を投稿しま
した。
下記に一昨日、日経電子版で、我が国の一端を知るに及びました。有料
記事のため、全文を引用できませんが、ご参考に投稿させて下さい。
遺書・自筆遺言書を法務局や公証役場で制度化する仕組みが昨年できたと
あります。問題はそれに基づく、書類・遺品を保管する資料センターや博
物館の類のハコモノがまだ存在しないのではないかと思います。従来な
ら、お寺の檀家用の庫に遺品等が貯蔵されていたのでしょうか。それがシ
ステム化されてないまま、時代が変遷してきたとみます。
引用開始:「広がる自筆遺言 保管制度で手軽に、支援グッズも
続々」。社会・くらし(2021年6月5日 11:11 [有料会員限定]
「自筆遺言書を作成する人が増えている。法務局が自筆遺言書を保管す
る制度を昨年夏に始めたことで紛失や改ざんの可能性が低くなり、新型コ
ロナウイルスによる健康不安も重なってニーズが高まった。スマートフォ
ンのアプリやガイド本付き用紙セットなど、作成を手助けするサービスや
商品も続々と生まれている。
「死後に妻に苦労をかけたくない。遺言書一枚あるだけで安心だ」。新潟
県の自営業、高橋正芳さん(42)は遺言書に預金...」
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