2021年09月30日

◆世界諸国を骨抜きにした中国

Andy Chang

AC 論説No.862
ミリー参謀長が敵である中国の李作成参謀長と繋がっていた事件で、アメ
リカの軍隊は世界最強の軍備
を持っていながら軍隊は戦えないことがわかった。しかも無能なバイデン
大統領はミリーを裁くことも
辞職させることもできない。今の状態ではアメリカの軍隊は戦えないし信
用できない。アメリカのバイデ
ン大統領はこれまで度重なる失策と危機を作ったのに一度も責任を負わな
い恥知らずである。

バイデン政権はミリーの責任を調査する気がないが共和党側は黙っていな
い。Ron Paul上院議員はミ
リーと李作成の通話記録を調べて「ミリーが戦争の始まる前に敵に連絡す
る」のが真実だったら国家反
逆罪で裁判にかけると述べた。でもバイデン政権の妨害で調査は尻つぼみ
になるかもしれない。

バイデン大統はのアフガン総退却は世界に恥を晒した国辱ものだが、それ
に続くミリー参謀長の通敵事
件は米国が「政治と軍事において世界で最もダメな国」であることを証明
したのである。トランプ大統
領が「Make America Great Again」を掲げて頑張ってきたのに、バイデン
は「Made America Last」
に成功したと言える。

この半年間で起きたアメリカの崩壊を一番喜んでいるのは中国である。世
界諸国が中国の覇権拡張に警
戒心を高め、中国の台湾併呑と東南アジアの平和のために米英印豪の
QUAD、米英豪のAUKASを形成し
たのに、肝心の米国の参謀長が敵に通じていることがわかった。諸国連合
の最重要な国が敵に通じてい
るから軍事連合は機能しない。つまり中国が米国を骨抜きにしたから諸国
連合が瓦解したのである。

アメリカは中国の覇権進出を防ぐ最後の砦だった。中国はアメリカを骨抜
きにすることに成功した。中
国はこの四十年の間で常に世界諸国を骨抜きにすることに成功していた
が、アメリカの軍隊を骨抜きに
したことで世界覇権の成功にあと一歩と言うところまで来ている。?小平
の「韜光養晦」でひたすら敵
意を隠しながら世界に進出し、習近平が「戦狼外交」で世界の覇権拡張を
明らかにするまで世界諸国は
一貫して中国の勝手な主張に屈服していたのである。

中国の「骨抜き政策」のもっとも良い例が台湾のラファイエット疑獄であ
る。フランスの巡洋艦を買う
ことで2倍以上の金を計上した。ところが中国がこれに反対したら、フラ
ンスのデュマ外交部長はすぐに
中国を訪問して巡洋艦の設計図を中国に「献上」し、台湾は買ったばかり
の巡洋艦の武器一切と最新の
TAVITAC(アメリカのイージスに匹敵する電子作戦系統)を中国に献上し
た。その上でフランスと台湾、
中国の三国の高官が台湾から分捕った15億ドルの賄賂を山分けした事件
である。中国は台湾とフラン
スの武器購買に反対を表明しただけで軍艦の設計図と武器一切と膨大な賄
賂を横取りしたのだ。台湾も
フランスも中国に骨抜きにされたのである。これが30年以上も前のことだ。

71年に中国が尖閣諸島の領有権を主張し出したが日本は強く反対し今でも
反対している。しかし中国の
漁船や監視船が尖閣付近に進出しているのを止めることができない。中国
が台湾の領有権を主張して最
近は戦闘機が毎日のように台湾の領空を侵している。台湾を防衛するなら
QUADとAUKUSが重要な諸国
の軍事連合となるが、ミリー参謀長が敵に内通していたら連合に裏切り者
がいる事になる。

中国が南シナ海の島々を勝手に占領して埋め立てを始めた時、フィリッピ
ン、マレーシア、アメリカは反
対したが中国は埋め立てを続け、今では滑走路を持つ軍事基地になってし
まった。2010年10月にヒラ
リーが「アジア回帰」を宣言したが中国の島嶼埋め立て軍事化は続けられ
た。トランプは中国を敵と見
做して中東から撤退してアジアに戦力を移そうとしたが、バイデンとミ
リーのおかげで中国封じ込め戦
略がほとんど無効になった。中国がアメリカを骨抜きにしたからである。

日本も骨抜きされたままだ。1945年に日本が降伏した後で日本はOccupied
Japa(被占領国)になっ
た。7年後の1952年にサンフランシスコ平和条約が発効し、日本は独立国
となったけれどアメリカの
作った憲法を維持して新憲法を作ることをしない。中国が同意しないと言
えば反対する議員が多くて新
憲法の提案さえできない。日本国の政治家が新憲法制定に反対なのだ。靖
国参拝はいけないと?小平が
言ったら日本の首相は靖国参拝をしなくなった。骨抜きにされたまま70年
が経過したのである。

このような現状は早急に改善しなければならない。アメリカは直ちにミ
リー参謀長を罷免して裁判にか
け、連合諸国との合作関係改善に努力すべきである。同時に諸国も中国の
覇権拡張に対抗すべく自国の
防衛力を増強すべきである。チャーチルが嘗て言ったように、Situation
is desperate but not
hopeless、事態は厳重だが絶望的ではない。但しアメリカも諸国も早急に
中国の派遣拡張の抑止に取り
組むべきである。

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◆雀庵の「常在戦場/89中共バブル経済崩壊、文革2.0へ」
“シーチン”修一 2.0

【Anne G. of Red Gables/369(2021/9/28/火】26日は今季初めて水道水を
「冷たい」と感じた。夕べは3か月ぶりに風呂に浸かって「湯船もいいも
のだなあ」と感じ入ったが、何やら冬子が秋子を追い出しそうである。

寒くなると「温暖化だ、大変だ!」と騒いで自然破壊の太陽光パネルなど
で儲けようというオオカミ少年は静かになるが、気象庁によると関東甲信
地方は12月あたりから平年より寒くなるようである。どうなるかは分から
ないが・・・中共経済はどうも冬というか厳冬になりそうだ。

中共名物の鬼城=ゴーストタウン。俯瞰映像を見ると「凄いなあ、立派な
高層ビルが林立している! まるで新宿、赤坂、虎ノ門、新橋、銀座、東
京みたい」なのだが、人気が全くない。

あちこち鬼城だらけなのに増え続けたのは「箱モノ行政でもとりあえず景
気刺激になるからなのだろう」と小生は思っていたのだが、先日「もしか
したらバブル景気の時の金持ちが値上がりを期待してマンション転がしを
していたのと同じで、買い手がつくから投資物件として鬼城がどんどん造
られたのではないか」と思い至った。実需と乖離したバブル景気であり、
金融引き締めになれば速攻でバブル崩壊になるリスクがある。

日経2021/9/27「中国、不動産バブル懸念 民間債務かつての日本超す 
マンション価格、年収の57倍」から。

<中国恒大集団の過剰債務問題をきっかけに、中国の不動産バブルへの懸
念が高まっている。格差是正を掲げる習近平指導部にとって不動産価格の
高騰を容認しにくくなっているためだ。経済規模に対する民間債務比率な
どの指標はバブル期の日本を超えており、軟着陸は容易ではない。対応次
第では、中国経済が低迷期に入る可能性がある。

中国で不動産は拡大する格差の象徴だ。如是金融研究院によると広東省深
圳市ではマンション価格が平均年収の57倍、北京市も55倍に達する。バブ
ルだった1990年の東京都でも18倍で、中国の大都市圏は庶民に手が届く水
準ではない。

中国人民銀行(中央銀行)は2020年夏に、大手不動産会社が財務面で守る
べき「3つのレッドライン」を設けた。自己資本に対する負債比率を一定
水準以下に保つことなどを求め、借金を増やしにくくした。不動産へのマ
ネー流入が細ることになる。

今年8月には習指導部が「共同富裕(共に豊かになる)」のため、格差是
正を打ち出した。マンション価格の高騰の裏には富裕層の投機もあり、締
め付けは避けられないとの見方が広がった。影響は不動産価格にも出始
め、販売総額を総面積で割った単価は8月に前年同月比2.7%下落した。

価格上昇が鈍ったことで、負債総額が30兆円を超える恒大の経営が苦しく
なるとの懸念が強まり、9月には日米などの株式相場が急落した。

恒大は保有資産や事業の売却を急ぐ。突発的な倒産のような事態を避けた
としても、中国の不動産を巡る先行きの不透明感を払拭するハードルは高
い。不動産に偏った成長が逆回転し、バブル経済が崩壊した1990年前後の
日本を上回るサインがともっているためだ。

2008年のリーマンショックをはじめ、景気減速のたびに財政出動や、企業
に積極的な投資を促して政府が掲げた高い成長目標を達成してきた。

国際決済銀行(BIS)によると、金融機関以外の民間債務は最近5年間、年
1割超のペースで増え、直近で35兆ドル(約3850兆円)を超える。特に不
動産は銀行の関連融資残高が5年で2.1倍に膨らんだ。


この結果、中国の民間債務残高の国内総生産(GDP)比は220%に達し、日
本がバブル崩壊直後につけたピーク(218%)を上回る。融資残高全体に占
める不動産向けの割合も今の中国が3割弱と、21〜22%台だった日本のバブ
ル期より高い。

日本のバブル期は不動産だけではなく株式にもお金が向かった。1989年末
に日経平均株価が最高値を付けるまでの10年間で、上昇率は5.9倍に達し
た。一方、足元の中国の上海総合指数の水準は10年前比で1.5倍程度にと
どまり、不動産への集中ぶりが透ける。

上昇が続くことが前提だった住宅価格が下がり始めれば、借金で購入した
富裕層や在庫を抱える不動産会社による売却が急増しかねない。価格の下
落は債務を抱える不動産会社の資金繰りをさらに悪化させ、住宅着工など
が細ることになる。


中国の住宅の新規着工面積は1〜8月に前年同期比で1.7%減少した。米ゴー
ルドマン・サックスの試算では、2022年の住宅着工が前年比3割減少する
などの深刻シナリオになると、22年の実質国内総生産を4.1%押し下げる。

日本の場合、土地と住宅の時価合計は1990年の2685兆円から、2005年まで
にGDPの約2倍にあたる1000兆円以上が失われた。

日本政府は積み上がった金融機関の不良債権を時間をかけて処理する道を
探ったが、不良債権の増加が収まらず貸し渋りや資金回収が広がった。経
済の収縮を招いて「負の遺産」の処理に10年以上を要した。

中国共産党は7月末の中央政治局会議で21年後半の経済運営方針に「不動
産価格の安定」を盛った。過度な値下がりに対し直接介入を辞さない姿勢
だが、不動産市況の調整は金融機関の不良債権増を通じて中国経済が長く
低迷する要因になりかねない>

イケイケドンドンと金銭亡者みたいに中共経済の拡大を煽りに煽ってきた
日経が、「投資家の皆さん、上り詰めたら下り坂、中共バブルははじけて
長期低迷になりそうです、気を付けて!」と警戒警報を鳴らしたわけだ。
イエローカード、やがてレッドカード、中共進出企業はアジア各地か日本
に工場を移転していくだろう。

バブル崩壊・・・小生の親戚は3軒が破産した。末永のオバサン一家(農
業)は広大な土地を担保に賃貸住宅やマンションを建てたが借金返済が
滞って夜逃げ。等々力のオバサン一家(材木商)は環八沿いの自宅・工場
を潰して大きなビルを建て1Fでステーキハウスを営業していたが、これま
た借金返済が滞って夜逃げ。多摩川べりの菅のオバサン一家(農業、水道
工事業)は大きなマンション2棟を建て、長男坊は白いベンツで愛人宅(2
人説あり)へ通っていたが、これまた借金返済が滞って、辛うじて新築の
自宅は残ったものの、それ以外はすべて失った

小生はバブルの始まる1984年のパッとしない時代に起業し、低金利の融資
を受けてビルも建てたからバブル崩壊の影響は深刻ではなかったが、それ
でも高速道路を走りながら「このまま事故死したら一家心中と思われるだ
ろうなあ」とつぶやいたらカミサンが寂しげに笑っていた。


ただ、バブル崩壊後でも米国が自国の輸出産業を促進するためにドル安=
円高政策を継続していたので小生の巣食う海外旅行業界(円を海外にばら
まく=日本にとっては輸入業)は元気だったので救われた。死んだり行方
不明にならずに済んだのは能力や努力以前に「運が良かった」だけなのだ。

中国バブルが崩壊すれば世界経済にダメージを与えるが、投資しているの
は皆“海千山千”の投資家や経営者である。最大の被害者は中共にいいよう
に踊らされた中産階級になりそうだ。遠藤誉氏の「中国恒大・債務危機の
着地点――背景には優良小学入学にさえ不動産証明要求などの社会問題」
2021/9/22から。

<江沢民時代からリーマンショック直後あたりまでは、党幹部などを含む
富裕層が投機的に不動産を購入する傾向が強く、不動産価格の高騰を煽っ
てきた。中間層が増えるにしたがってディベロッパーは「今買わないと来
年にはもうこの値段では買えませんよ」と消費者心理を煽り、不動産購入
層は中間層へとシフトしていった。

その最大の原因が、優良な公立小学校に入学するときさえ「不動産所持証
明書」が要求される、という事実を知っている人は少ないだろう。

(適齢期の女性が希少価値のため)結婚してみようかという女性の側は、
「結婚したければ『家あり、車あり、高学歴』という条件を揃えなさい
よ!」と強気だ。「剰男」(供給過剰=余剰になった男)の両親あるいは
「剰男」自身が、結婚のために、なけなしのお金を搔き集めてマンション
を購入するという状況は、中国の庶民の間でよく見られる日常風景なので
ある>

とにかく投資であれ実需であれマンションやオフィス物件を買わざるを得
ない仕組みになっている、それが中共経済のガソリンになっていたわけ
だ。そして今、手堅い投資物件という不動産神話が一挙に崩れかねない事
態を迎えた。土砂崩れ一歩手前。

渋谷司・アジア太平洋交流学会会長の「中国不動産バブル崩壊の本質」
Japan-Indepth 2021/9/25から。

<中国の大手不動産会社「中国恒大集団」のデフォルトの危機が叫ばれて
いる。同社は約33兆円の負債を抱えているという。不動産バブルの本質は
以下が主因ではないだろうか。

中央から地方へ派遣されるエリートは、地方での実績こそが出世の重要な
メルクマールとなる。そこで、マンション建設、特に商業施設を伴ったマ
ンション群を建設すれば、GDPは急増するだろう。

不動産バブルは、おそらく中国人の気質も関係しているのではないか。事
実、中国人は“投資”を好む。もっと正確にいえば“投資”よりも“投機”を好
む。一攫千金の夢を見る人が多い。

まず、自分が住むためのマンションを購入する。次に、余裕ができると、
利殖用マンションを買う。中国の金持ちは普通、マンションを2部屋、3部
屋持っている。マンションを人に貸す場合もあるが、一般的に売買目的が
多い。これも不動産バブルを作り出す一因となっているのではないか

無論、中央政府は、個人の不動産売買を規制している。だが「上に政策あ
れば、下に対策あり」である。北京がいくら規制しても、中国人は巧妙に
その規制を逃れるようにして不動産売買を行う。これが中国不動産バブル
の実態ではないだろうか>

経済のプロはどう見ているのか。フォーブスジャパン9/27から。

<今後の最大の焦点は習近平政権が恒大集団を存続させるかどうかであ
る。「当局は直接、救済に踏み切るのか口を閉ざしたままだが、一方で、
大きすぎて潰せない( =Too big to fail)企業は中国に存在しない、と
強調している」(ニューヨークタイムズ紙)。

「Too big to fail」に否定的なのは、救済が「上級国民優遇」との批判
を招きかねないためだろう。「共同富裕」というスローガンの下での習政
権による貧富の格差是正に向けた最近の取り組みとは矛盾する。

だが、破綻に追い込まれれば、中国の金融、不動産業界や経済全般に少な
からず打撃を及ぼすのは避けられそうにない。開発プロジェクトなどに遅
れが出るのは必至だ。信用収縮を生じさせる可能性も決して否定し切れな
い>

ブルーグバーム9/27も「ゴールドマン・サックス・グループの試算では、
恒大の資産は約2兆元(約34兆2400億円)と、中国のGDPの2%に相当し、
いかなる資産処分も市場の混乱につながる可能性がある。恒大に何が起き
るかにかかわらず、中国の住宅価格は現在、大きな下振れリスクにさらさ
れているとシティグループは指摘した」と報じた。

習近平が恒大集団を救えば「上級国民優遇だ」と中流未満の10億の民から
批判される、恒大集団を見放せば中流以上の4億の民から「必死で手に入
れた資産を暴落させるのか」と批判される。

中流未満の10億の民のほとんどは高卒以下で、改革開放の恩恵を未だに受
けているとは言えない層、うち6億は国連基準にてらせば李克強の指摘す
るように「食うのがやっと」という貧困層だが、毛沢東と同様に習近平に
とっても支持基盤である。

中共の戸籍は、農村戸籍(農業戸籍)と都市戸籍(非農業戸籍)に分けら
れており、農村戸籍が6割(8億4000万人)、都市戸籍が4割(5億6000万
人)。毛沢東は貧農と都市部のルンペンプロレタリアート、いわゆる「欲
求不満の窮民」を率いて「農村から都市を包囲せよ」を合言葉に大革命を
成し遂げた。20世紀版の窮民革命「水滸伝」だ。

毛沢東原理主義の習近平はしばしば地方行脚するが、「敵は走資派の金持
ちだ、党内外の腐敗分子を一掃せよ!」と号令すれば、積もり積もった鬱
憤を晴らすように10億の窮民や不満分子は、自分たちを「汚くて臭い下層
民」と蔑んできた4億の上級国民を喜々として叩くはずだ。

中共バブルをハードランディングさせれば都市部は弱体化し、ソフトラン
ディングさせれば10年20年は低迷を免れない。いずれにしても国力は衰退
する。習近平の唱える「中国の夢」はナチスやソ連流の世界制覇なのだろ
うが、国力が衰退するなかで世界中の先進国を敵に回していれば、金の切
れ目が縁の切れ目、中共のタガがいずれはずれて国内は群雄割拠の戦国時
代になるだろう。


清朝末期には白蓮教反乱(紅巾の乱)、太平天国の乱、義和団事件などが
あったが、習近平が原始共産主義的な清貧の桃源郷を目指す21世紀版「窮
民革命」を実行するなら、国家の体力があるうちでないと難しい。小生な
ら年明けの冬季五輪なんぞほっぽり出して今秋から「文革2.0」を発動し
て国境閉鎖、外資企業追放、大企業の国有化を本格化させ、ビシバシと政
敵を排除していくが・・・


紅衛兵になり損ねた遅れてきた青年は、中途半端ではなく徹底的にやらな
いと歴史に名を刻めない。「習近平語録」を手に天安門から無慮数万の紅
衛兵2.0に手を振り、「みんな、よく来てくれた」と挨拶する、それでな
いと毛沢東と並ぶことはできない。習近平同志、「文革2.0」へイザッ!
 世界は自滅を待っている。


          

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◆消えて行く少数民族の言語

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)9月23日(木曜日)
通巻第7064号  

 中国の普通語を少数民族に普及教育を強化
  消えて行く少数民族の言語。幼稚園から洗脳せよ

中国は少数民族の言語を徐々に消してしまう方針で、実際にチベットで
は、地元の住民でさえチベット語を喋らない若者が増えている。

両親は当然、自分たちの言葉を喋るが、子供はチベットが出来ないという
チベット人が大量に出てきた。

南モンゴル(内蒙古自治区)では90年代までは「バイリンガル」の言語
教育を実施していた。21世紀に入ると、モンゴル語のキリル文字表記をや
めさせ、また高等教育では「第二外国語」として日本語と観光ツアー向け
の基礎外国語の課程があったが、これも中止した。

モンゴルでは「小学校からのモンゴル語禁止、すべての教育を普通語で
行う」という方針に反対し、各地で抗議集会やデモが開催されたものの、
弾圧され、いまや反対の声も?き消された。

フフホトやパオトウの町からキリル文字の表記が消えた。1940年代から
50年代初頭、モンゴルは自国語をキリル文字で表記していた時代があっ
た。現代でもウランバートルは、かなりの看板などはモンゴル語をキリル
文字で表現している。この数年ほどで、殆どはアルファベットと漢字表記
に切り替わっているが。。。。。

新彊ウイグル自治区のおける大々的な方針転換は2014年からで、習近平
は「テロリストとの戦い」を正面のスローガンに掲げ、テロリストの侵
入、イスラム思想の影響拡大を防ぐために、イスラム系少数民族のことば
を禁止し、テロリストへの弾圧には「一切の慈悲は不要」と宣言した。

2017年からは再教育キャンプ(つまり強制収容所)を各地に造成し、地
獄の弾圧と普通語の強要をはじめ、これらを総合して「中国教育現代化
2035」(2019年2月23日、国務院通達)という。

くわえて「愛国教育の徹底」を少数民族地区、地方で徹底し、親にも子
供に少数民族の言葉を使うなと強要した。達成した民族は「模範的少数民
族」と呼称した。

いまは小学校に入る前の幼稚園でも普通語による「愛国教育」が実施さ
れている。つまり就学前の児童の段階から「洗脳」が始まっているのである。

   
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評  BOOKREVIEW 
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 孫文はいかさま師だったが、毛沢東は逆張りで成功した強運の持ち主
  馬英九は「中国語を喋る陽気なアメリカ人」の印象が変わらない

  ♪
近藤大介『台湾vs中国(謀略の100年史)』(ビジネス社)
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一気呵成に読めるほど迫力がある。引き込まれるほど「面白く」読めた
のも、「です。ます」調で書かれているからだ。

歴史が旋回した現場にいるような臨場感があるのは、近藤さんが、必ず現
地に飛んで、本人や側近、当時を知る人たちに執拗にインタビューしてい
るからだ。

なかでも李登輝、馬英九、陳水篇、蔡英文への直撃インタビューは、
へぇ、こういうことも、聞き出したんだという「聞く力」である。

インタ ビューは最初から相手を挑発してホンネを探ってみたり、相手の
関心分野 を最初に調べ上げて、そのことに突っ込みを入れてやがて本心
を探り出す 等さまざまな方法があるが、近藤氏は週刊誌記者三十数年の
ベテラン、ま とめ方も抜群である。

そのうえ、李登輝元台湾総統がなぜ日本のメディアを優先し、むしろ日
本を発言の絶好の場として活用していたことを、さらりと述べている。評
者(宮崎)も李登輝総統とは十回近くインタビューしているので、よく分
かる。

印象深く面白かったのは、陳水篇が台北市長時代のインタビューだ。こ
れまた評者も同じ経験があるので、雰囲気がリアルに伝わってくる。

思い出した。台湾の新聞局幹部から頼まれて、陳水篇が台北市長時代
だったが、来日時に日本の有力メディアで日本の有力政治家と対談したい
ので仲介して欲しいと言われた。某雑誌と話をつける前に、念のために聞
いたのだ。「陳氏が日本で対談相手の望むのは誰か?」と。答えは「管直
人」だった。がっかりして仲介するのをやめた記憶が突然甦った。

 
幾つかの重要な指摘がある。

まず中国共産党が党史を語る際に三つのポイントを省略していることだ。
百年前の第一回共産党大会はコミンテルンの主導で開催されたこと。モ
スクワから派遣されたマーリンが長い演説をし、毛沢東は幹部ですらな
かったこと。

この大事な会議に創設者の陳独秀が参加していないという 事実。

もう一つは「労働者と農民の党を謳いながらも、参加したのは学者、教
育者、ジャーナリストばかりであったこと。

コミンテルンの革命方式とは「以党治国」であり、少数の組織された暴
力集団が独裁権力を握ることに他ならない。儒教の教えは「修身齋家治国
平天下」だから、真逆の方向性に最初からあるのだ。
さて、一気に読んだとは言ったが、弐箇所ガツンと引っかかった。
ひとつは大東亜戦争を「太平洋戦争」と呼称している点である。もう一
つは所謂「南京大虐殺」なる国民党がでっち上げた架空の事件を疑問視し
つつも、日本軍は一万人の市民を虐殺したと無造作に書いている箇所だ。

そんな事実はない。戦闘員を殺害するのは戦争だが、市民は保護するのが
日本軍の鉄のような規律である、じっさいに南京入城後、中国人は安全圏
を目指して、日本軍が占領した南京に「避難」してきた。

現在の日本のアカディミズムとジャーナリズムの世界では、依然として
「大東亜戦争」は禁句である。

GHQの押しつけ史観は東京裁判、人道に反する罪、平和憲法。アメリカ
は民主主義の見本。だから日支事変は「日中戦争」と書かなければいけな
いことになっている。自らが科した自虐史観が出版界の語彙制限に繋がっ
ているのである。

本書の骨格は両雄並び立たずのライバル物語を基層に、国民党vs共産
党の謀略戦争という裏面を描いており、蒋介石vs毛沢東、蒋経国vsト
ウ小平、李登輝vs江沢民、馬英九vs胡錦涛、蔡英文vs習近平という
構造を図式化し、物語風に歴史を綴ったポイントに特徴がある。
           
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樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム
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【知道中国 2278回】           
 ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港160)

   △
 今から振り返れば(いや、振り返らなくても)、たしかに何物かに憑か
れたかのように第六劇場にのめり込んでいた。我ながらそう思うのだか
ら、傍目にはさぞや奇異に映ったことだろう。だが行き掛かり上、この道
はトコトン突き進むしかない。
 なぜ、そこまで惚れ込んだのか。それが分らないのだが、そんな立場か
ら至極納得する文章にぶつかった。1つが日本人のそれであり、1つが自ら
の戯迷振りを「見て見て見まくらずにどうして辛抱しておれよう」と肯定
した中国人のものだ。

最初に挙げる日本人とは、芥川龍之介である。
中国共産党第1回全国大会が開かれた7月1日を3か月ほど遡った1921(大
正10)年3月24日、芥川は上海の埠頭に降り立った。
今から百年前の上海と北京を中心に歩き回り、有名無名の中国人と話を交
わし、『支那游記』(改造社 大正14年)を記した。

芥川は上海でも北京でも、当時の中国においても本場の戯遊を凌ぐほど
の戯遊と評判の高かった村田烏江や辻聴花などに連れられ、京劇小屋の木
戸を潜っている。

「支那の芝居の特色は、まず鳴物の騒々しさが想像以上な所にある。殊
に武劇──立ち回りの多い芝居になると、何しろ何人かの大の男が、真剣勝
負でも
しているように舞台の一角を睨んだなり、必死に銅鑼を叩き立てるのだか
ら、到底天声人語じゃない。実際私も慣れない内は、両手で耳を押さえな
い限り、とても坐ってはいられなかった。

が、わが村田烏江君などになる と、この鳴物が穏やかな時は物足りない
気持ちがするそうである。のみな らず芝居の外にいても、この鳴物の音
さえ聞けば、何の芝居をやっている か、大抵見当がつくそうである」
と、呆れたかのように綴った。

それから、「『あの騒々しい所がよかもんなあ。』──私は君がそう云う
度に、一体君は正気かどうか、それさえ怪しいような心もちがした」と続
ける。

第六劇場に通い詰めた頃を思い起こせば、やはり村田の「あの騒々しい
所がよかもんなあ。」の思いは痛烈に納得だ。
半世紀昔の学園闘争激しき頃の「慣用句」を使うなら、「イギな〜し」。
誰がなんと言おうと、やはり「あの騒々しい所がよかもん」なのである。

だが一歩引いて振り返れば、「一体君は正気かどうか、それさえも怪 し
い心もちがした」と綴る芥川の“憐憫の情”もイタイほど身に滲みて判
る。たしかに日本人的感覚に則るなら、「あの騒々しい所」は決して「よ
かもん」ではないはずだ。

次いで芥川は舞台から客席に視線を移し、「客席で話をしていよう
が、子供がわあわあ泣いていようが、格別苦にも何にもならない。これだ
けは至極便利でる。・・・現に私なぞは一幕中、筋だの役者の名まえだ
の歌の意味

だの、いろいろ村田君に教わっていたが、向う三軒両隣りの君 子は、一
度もうるさそうな顔をしなかった」と、雑然とした観劇風景を意 外に楽
しんだようだ。だが楽屋の汚さには閉口したらしい。

村田烏江の案内で楽屋を訪れる。「兎に角其処は舞台の後の、壁が剥
げた、蒜臭い、如何にも惨憺たる処」であり、そこを「なりの薄汚い役者
たちが、顔だけは例の隈取をした儘、何人もうろうろ歩いている。それが
電灯の光の中に、恐るべき埃を浴びながら、往ったり来たりしている様子
は、殆ど百鬼夜行の図だった」。その汚さには閉口頻りの態だった。

さすがに村田は楽屋でも顔である。

美形で有名な旦(おやま)を紹介され挨拶するのだが、「私は彼自身の為
にも又わが村田烏江の為にも、こんな事は書きたくない。が、これを書か
なければ、折角彼を紹介した所が、むざむざ真を逸してしまう。それでは
読者に対しても、甚済まない次第である。その為に敢然正筆を使うと、──
彼は横を向くが早いか、真紅に銀糸の繍をした、美しい袖を翻して、見事
に床の上へ手洟をかんだ」のである。

芥川の呆れ顔が眼に浮かぶが、美形の旦役者の「手練の早業」もステキ
なのだ。
    
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜読者の声 
■READERS‘OPINIONS ■どくしゃのこえ■
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
(読者の声1)質問がございます。今回の自民党の総裁選の投票用紙がい
ろんなところにばら撒かれていると友人から聞いて驚きました。総裁選
は、党内の党則のみで公職選挙法は関係しないので、党が黙認すれば、ど
んなインチキでもOKですよね。
 つまり中国共産党が簡単に絡めますよね。先生のご意見を拝聴したいと
思います。
(江古田KO生)


(宮崎正弘のコメント)高市候補優勢との判断でもあるのか、某国ならや
りそうなことですが、小生は寡聞にして、そのような噂は聞いておりませ
ん。            
at 05:26 | Comment(0) | Andy Chang

2021年09月29日

◆【正論】主権回復70年記念式典の開催を

文芸批評家・新保 祐司 


≪「独立国家」の矜持はあるか≫

 9月8日は、サンフランシスコ講和条約の調印から70年の記念の日で
あった。条約は調印翌年の昭和27年4月28日に発効され、6年8カ月
の長きにわたり「占領下」にあった日本は一応「独立」を回復したことに
なっている。しかしその後の70年間、真に「独立」した国家であったか
否かは、今日改めて問い直されなくてはならない。近来、日本は果たして
独立国家といえるのかが疑わしい事件がいろいろ起きているからである。

 それは政府の政策にもあるが、まずは国民の意識の問題でもある。福沢
諭吉が明治の初年に言った「一身独立して一国独立す」という言葉が今日
でも未(いま)だ日本では実現されていないのではないか。

 主権を回復して「占領下」が終わり、日本は「独立」したのだという記
憶が、薄くなっているように思われる。講和条約調印の50周年と60周
年の記念式典は、サンフランシスコで行われたが、70周年の今年は、新
型コロナウイルス禍もあって、式典は特になかった。これは、コロナだけ
が問題ではあるまい。要は、やる必要を余り感じていないということであ
ろう。平成25年4月28日に開催された「主権回復・国際社会復帰を記
念する式典」も、その後は行われていない。

 これは、日本が独立国家であるという意識と矜持(きょうじ)を余り
持っていないことを露呈しているのではないか。明治の文豪・森?外に
「かのように」という作品があるが、日本は独立国家である「かのよう
に」存在しているのである。

≪祝典歌「日本のあさあけ」≫

 昭和27年にサンフランシスコ講和条約発効並びに日本国憲法施行5周
年を記念して作られたのは、「日本のあさあけ」という美しい祝典歌で
あった。歌詞は、近代日本最大の歌人・斎藤茂吉である。今、講和条約が
発効して「独立」したことの意義を改めて考える上で、この祝典歌「日本
のあさあけ」を聴くことは大いに意味があると思う。作曲したのは、「海
ゆかば」や交声曲「海道東征」の作曲家・信時潔である。ちなみに、信時
は昭和22年には「われらの日本」(新憲法施行記念国民歌)も作曲して
いる(こちらの歌詞は、土岐善麿)。

 この「われらの日本」は、「SP音源復刻盤 信時潔作品集成」に収録
されていて聴くことができたが、「日本のあさあけ」の方は、信時潔の歌
曲集のCDなどにも入っていないので、これまで私は聴いたことがなかった。

 それが、最近、この「日本のあさあけ」を収めた「海ゆかば 信時潔歌
曲集」というCDが発売になり、初めて聴くことができた。歌詞は、斎藤
茂吉ならではの古典的な風格のあるものであり、信時潔の音楽も格調の高
いものである。聴きながら、私は、この歌は歌われたけれども、果たして
日本に真の「あさあけ」はやってきたであろうかという思いであった。

 この祝典歌は今日ほとんど全く忘れられている。昭和27年4月28日
の記念式典のことが回顧されることも稀(まれ)だし、この講和条約の発
効そのものが、時代をはっきり区分するような歴史としてとらえられるこ
となく、「占領下」は「独立」に移っていったからである。明治の批評
家・北村透谷は、明治20年代の日本について「今の時代は物質的の革命
によりて、その精神を奪われつつある」と言って、これは真の「革命」で
はなく「移動」だという名言を吐いた。昭和27年の「独立」のときも、
同じようにただ「移動」があっただけであり、「占領下」に形成された思
考の慣性が「独立」を機に刷新されることもなく、続いていった。それ
は、この機会に憲法改正をしなかったことにも露呈している。

≪国家の「独立」へ高い志を≫

 昭和初年に島崎藤村の『夜明け前』が、雑誌に連載され始めた頃、林房
雄は「夜明け前」というタイトルなので、明治維新までの小説かと思って
いたという。しかし、それが同じ「夜明け前」というタイトルで第2部と
して、明治維新以後のことも書かれ出したので驚いた。そして、林は、そ
うか、藤村は、明治維新で日本の「夜明け」が来たのではない、明治維新
以後も「夜明け前」なのだと思っているのだと理解したという。そこに藤
村の静かだが深い時代批判が込められていることに思いあたったというの
である。

 これとの類比でいうならば、昭和27年4月28日の「独立」を記念し
て「日本のあさあけ」が歌われたからといって、日本の真の「朝明け」が
やって来たわけではなかったのである。未だ、日本は「夜明け前」なのだ。

 新型コロナウイルス禍で、日本の夜は、一段と暗くなった。しかし、こ
の苦難の先に、真に「独立」した「日本のあさあけ」を待望したいと思
う。自民党の新総裁には、国家の「独立」に対する高い志が求められるの
ではないか。

 来年の4月28日には、主権回復70周年の記念式典が行われ、この祝
典歌が歌われるべきであろう。「独立」の初心を思い出すためである。
(しんぽ ゆうじ)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文 
【産経ニュース】採録



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◆雀庵の「常在戦場/88 キリスト教 vs イスラム教/了」
“シーチン”修一 2.0

【Anne G. of Red Gables/368(2021/9/26/日】朝日新聞記者/編集委員の
峯村健司著「潜入中国――厳戒現場に迫った特派員の2000日」(朝日新書)
を読み終えた。

小生は1980年頃の1年間、自宅で朝日を購読していたが、ソ連のつまらな
い記事が多いのでウンザリし読売に変えた。ところが、今度は巨人軍の記
事が多いのでこれまたウンザリ、リタイア後の2003年あたりからは産経に
変えてまあ納得している。

しかし、出版業界は「悪貨は良貨を駆逐する」世界で、教養・学問系の書
籍、雑誌、新聞は余程のことがない限り絶滅危惧種になっていくしかなさ
そうだ。新聞はたとえ20万部でも指導階級に絶大な影響力を持つオピニオ
ン紙であればいいと思うが・・・

朝日新聞、朝日ジャーナルなどに煽られ、洗脳されて刑務所行きになった
小生にとって朝日、朝日信者は敵である。ここ20年ほどは「朝日の記者は
中国人と朝鮮人とアカに染まった日本人、ニューヨークタイムズ系のアカ
モドキばかりだろう」と思っていたので、冒頭の「潜入中国」を読んで
「それなりにまともな記者がいるんだ」と、ちょっと驚いた。唐突に池田
教をヨイショしている部分があったので「峯村記者はナンミョーか」と
疑ったが、新聞社の多くは時々そうしないと池田教信者から購読を切られ
るので、まあ、ミカジメ料とか挨拶みたいなものか。

峯村記者が「あとがき」でこう書いていたのにも驚いた。

<朝日新聞の中国報道について「親中的」だという批判は根強い。1960年
代の文化革命期に、中国当局は「反中報道」と批判し、各国の特派員を
次々と国外追放にした。朝日新聞は当時の社長が「歴史の目撃者になるべ
きだ」として、追放されるような記事を書かないよう北京特派員に指示。
当局に都合の悪いことは書かず、北京に残り続けた。

おそらくこの時の社の対応が尾を引いているのだろう。私個人は、この判
断は間違っていたと考える。特派員の仕事は、ただ目撃するだけではな
い。それをリアルに素早く、そしてわかりやすく読者に伝えることだ。本
来伝えるべきことを報じなかったのならば、その場にいない方が良いとす
ら思える>

それに続いて「その後の朝日新聞の中国報道は生き返ったと思う」とも書
いているが、中共は今でも「朝日は味方、人民日報の日本語版だ」と思っ
ているだろう。実際に相変わらず朝日は「中共応援団」、2021/9/24「豪
州の原潜導入、対中国を念頭に 『緊張かき立てるな』近隣国は懸念」から。

<米英豪による新たな安全保障協力枠組み「AUKUS(オーカス)」をめぐ
り、豪州に近いインドネシアやマレーシアから「軍備競争につながる」と
の懸念が出ている。米中対立が深刻化するなか、インド太平洋地域は軍事
的な競り合いの舞台になりつつあり、周辺国に不安が広がっている>

相も変わらず朝日は中共に寄り添っている・・・そうしないとリベラル≒
アカモドキや新旧左翼系マルクス・レーニン主義のアカの読者が満足しな
いのだろう。峯村記者と産経ワシントン支局の黒瀬悦成記者を交換したら
どうか。

さて、ハッジ・アハマド・鈴木氏の「イスラームの常識がわかる小事典」
を元にした架空インタビューから学んでいこう。今回で締めくくりたい。

・・・・・・・・・・・・・・・・

――イスラエルは1948年5月に独立宣言、それ以後はイスラエル=ユダヤ人
とアラブ諸国=イスラームの対立が始まったのですが、ざっくりと経緯を
追うと、


イスラエル独立宣言(1948)、第1次中東戦争(1948〜49)で聖地エルサ
レムの西半分がイスラエル領に。第2次中東戦争(シナイ作戦、1956)、
イスラエルはエジプトのスエズ運河国有化宣言に対応して英・仏・イス
ラエル連合軍がスエズ運河に侵攻(英仏は早々と撤収)

第3次中東戦争(6日間戦争、1967)、イスラエルはエジプトのシナイ半
島、シリアのゴラン高原を占領下におき、エジプト統治下にあったガザ地
区、ヨルダン統治下にあった東エルサレム・ヨルダン川西岸地区を主権下に。

第4次中東戦争(1973)、イスラエルの逆転勝利。国連はPLOを「準政府組
織」として認定(1974)。イスラエル・エジプト平和条約締結(1979)
。イスラエルとPLO(パレスチナ解放機構、パレスチナ自治政府の母
体)、パレスチナ人の暫定自治の原則宣言に調印(オスロ協定、1993)成立。

世界はオスロ協定に期待しましたが、1996年からイスラエルに対するアラ
ブ・イスラム原理主義者(ハマス、イスラーム聖戦、ヒズボラなど)のテ
ロが激化してしまった。今やイスラム原理主義勢力は天敵のキリスト教、
ユダヤ教のみならず、ヒンドゥー教であれ仏教であれ無神論であれ自由主
義であれ、自派以外はすべて敵、ジハード(聖戦)で敵を殺せばあの世で
復活して幸福になるという、恐ろしく非寛容で危険な勢力になってしまっ
た印象を受けます。

「20世紀後半以降の戦争の多くは中東に舞台が移って『中東は危ない』と
いうイメージが定着してしまった。その要因はユダヤ人国家イスラエルの
建国と言えるだろう。ユダヤ人が国家を喪失したのは2000年前、日本なら
卑弥呼以前の話。それ以降世界に散ったユダヤ人が聖地エルサレムのある
シオンの土地を“約束の地”として新国家を樹立しようとシオニズム運動を
起こした。だが、そこには2000年前からパレスチナ人が定住していた。

シオニズム運動のユダヤ人は当初は土地を購入するという小さな動きだっ
たが、ナチス・ドイツによるユダヤ人弾圧とホロコースト(大虐殺)によ
りシオニズムが一気に現実化、パレスチナに『ユダヤ人国家』を建設して
いく。

土地を奪われ、追い出された難民は周辺地域に逃れ、失地回復を目指す。
西側世界はナチスによる虐殺への同情からイスラエルに融和的だが、第4
次中東戦争後にアラブ世界は(対抗策として)「石油戦略」を採択した。
親イスラエル政策の国には原油輸出を禁止するというもので、それまで1
バレル=2ドルだったのが一挙に10倍以上となり“オイルショック”が世界
を震撼させた。

これを受けて西欧諸国はアラブに対する戦略を大きく転換していく。アメ
リカはイスラエルとエジプトとの和解を仲介し、エジプトは1979年にイス
ラエル国家を承認、イスラエルは1982年に占領していたシナイ半島をエジ
プトに返還した。

1993年のオスロ合意(協定)でヨルダン川西岸とガザ地区がパレスチナ自
治地域となったが、その後の和平への動きは違った方向へ向かっている。
イスラエルでは2001年2月にタカ派のシャロン首相が就任し、オスロ合意
は反故にされ、血で血を洗う報復合戦が再び始まった。

さらに同年9月11日に米国で(イスラーム過激派による)『同時多発テ
ロ』が勃発し、米国とイスラエルの利益は完全に一致した。パレスチナ問
題の本質が植民地主義の延長線上にあり、民族運動であるというような酌
量は一切切り捨てられた。米国の後ろ盾を得たイスラエルは俄然強気にな
り、有無を言わさぬ武力行使でパレスチナ自治区へ本格的に侵攻し、活動
家を容赦なく殺害し、家屋を破壊していった。

パレスチナ住民に残された唯一の抵抗手段は『自爆殉教行為』だった。自
らの生命をささげて自爆するという行動は、日本軍がかつてそうであった
ように、追い詰められたものがやむにやまれず選択する最後の手段なので
ある」

――先生、日本軍の特攻隊攻撃は敵の軍隊を叩くためであり、自爆や殉教で
はないし、ましてや民間人を巻き添えにするような武士道にもとることは
しなかったと思いますが・・・

さて、第4次中東戦争を機に1973年に第1次オイルショックが、1979年には
「イラン革命」を機に第2次オイルショックが始まり、産油国は莫大な利
益を得るようになりました。産油国の多くはイスラーム国です。

「潤沢なオイルマネーを背景に各国はこぞって積極的な開発を進めるとと
もに『イスラーム復権』の動きが顕著になっていく。最も激しく躍動した
のがイランで、1980年の『イラン革命』で国王を追放しシーア派イスラー
ム国家を樹立した。


欧米、特に米国はイランの米国大使館人質問題を巡って激しく反発し、一
連の動きを『イスラーム原理主義』と名付け、イスラームをあたかも狂信
的であるかのように喧伝した。イラン革命はイスラームを原点にして新た
な世直しをしていこうという回帰運動なのだ。

奮闘努力するという意味の『ジハード』も誤解されて、本来は『人間の基
本である生命、肉体、理性、財産、信仰などが脅かされた時、敢然と抵抗
する」ことを言う。この定義が意訳されて『聖戦』となってしまった。イ
スラームは、あくまで平和を第一義とし、人間の尊厳が踏みにじられるよ
うな状況がない限り、武器を取って戦うのを禁じている。最初は我慢して
耐え忍ぶこと、それでも侵害されて、どうしようもない時に、やむなく戦
うというのが本筋なのだ。

そのためにジハードには規制が設けられており、自衛の域を越える攻撃は
許されないし、先制攻撃をしたり、他に損害を与えたり、恐怖に陥れるこ
と、名誉を傷つけることも戒めている。戦闘においては、敵方の兵士だけ
を討ち、女性、子供、老人などの非戦闘員の殺害を固く禁じている」

――イラン革命以降の動きを先生の著書の小見出しから拾ってざっと紹介し
ます。「サッダーム・フセインとイラン・イラク戦争」→「湾岸戦争とイ
ラクの敗北」→「湾岸戦後処理の失敗とうごめくテロ組織」→「9.11同時多
発テロ事件」→「アルカーイダとビン・ラーディン」→「アフガン攻撃 タ
リバーン政権の討伐」→「イラク戦争の真実 国連を無視したアメリカ」→
「イラク戦争の謎 攻撃の大義は何だったのか」→「イスラームの反米感情」

その後には「パレスチナ自治政府の機能不全」「ガザ地区を支配するイス
ラーム原理主義ハマスとイスラエルの攻防」「イスラエルとアラブ首長国
連邦(UAE)、バーレーン、スーダン、モロッコと国交正常化に合意」
「アフガン米軍敗走しタリバーン政権復活もイスラム原理主義過激派が浸
透狙う」という一進一退のような不安定な状況が続いています。

私が思うに、欧米流の「自由民主人権法治」を建前とした“政教分離の世
俗主義”国家のリーダー層は、精々人口の40〜50%が支持者で、安定的に
過半数を得ているというのはあまりないでしょう。数年に一度の選挙のた
びに無党派層などに“いい顔”しないといけない。実に厄介な制度ではある
が、今のところは「それ以上のシステムがないのだから」ということで先
進国では定着しています。

一方でイスラーム一神教が多数派の国でも、政教分離をしている世俗主義
国と、政教一致で国教と定めてイスラーム高位者による独裁的政治を良し
とするイスラーム教国もある。

自由民主国とイスラーム教国のどちらがいいかはともかくとして、イス
ラーム教国が自由民主国に転換するには3代、90年ほどはかかる。宗教に
アバウトな日本でさえ自由民主人権法治への転換は1868年の王政復古から
始まり、米国による占領、洗脳?を経て1960年安保騒動(反米・親共)で
ようやく一区切りつきました。

親父がタネを蒔き、息子が育て、孫が刈り取る・・・これが難しい。3代
目は生まれた時から乳母日傘で恵まれていますから、大体ガッツがない遊
び人、というのが日本では昔から相場になっている。

1945年前後からイスラームは苦労を重ねながら独立していきますが、今は
衣食足りて富国強兵の努力を忘れ、「好きなことだけに心を向ける」3代
目のようなボンクラばかりのような気がします。潤沢なオイルマネーが3
代目をダメにした。

宗教観は人それぞれでしょうが、「宗教は人間の幸福のためにある」と考
える人もいれば、「人間は宗教の世界制覇のためにある」と考える人もい
る。混沌とした世界にそれなりの秩序をもたらす解はあるのか・・・まっ
たく悩ましいことです。

「慈悲深く慈愛あまねきアッラーの御名において・・・人間味に溢れた預
言者ムハンマドの慈しみの精神に触れることは、崩壊に警鐘が鳴る現代社
会への智慧になるだろう」

――ありがとうございました。深入りして自爆テロに遭わないように祈って
います。(了)

・・・・・・・

ああ、長かったなあ、宗教というジャンルは科学・学問ではなく「初めに
神ありき」を前提にしているから永遠に0+0+0を繰り返しているようで
疲れる。神はビッグバン以前からの存在か、以後からの存在か、ビッグバ
ン以前なら「無」であり、「無」の中に神は一人ぽっちでいたのか・・・
宗教に「淫する」とろくなことにならないというのは日本人の智慧だろう。
              

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◆タリバン、新政権次官級閣僚

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)9月22日(水曜日)
通巻第7063号  

 タリバン、新政権次官級閣僚を任命したが
  女性閣僚はゼロ、少数民族はハザラ人。
女性教育は当面禁止

 9月22日、タリバン政権は次官級閣僚を任命した。

 女性はゼロ、少数民族はハザラ人だけ。そして6歳から12歳までの女子
の学校教育は当面禁止だが、「これは臨時の措置だ」とした。

 内外記者団を前にタリバンのスポークスマンは以下を続けた
一、 女性閣僚はおって追加されるだろう
二、 国連は「アフガニスタン・イスラム共和国」を承    認するの
が義務である
三、 中東諸国はイスラムの絆によってアフガニスタン    と繋がっ
ている。
四、 パキスタン、カタール、そして中国の協力ぶりに    感謝する
五、 ISとアルカイーダが外国へテロを出撃させるこ     とはない
六、 ISはアフガニスタンには存在しない(カブール     空港と
ジャララバードのISが犯行声明を出し    たテロはISを名乗る過
激派だというニュアンス

 アフガニスタンは依然混乱が続いており、物価高騰。また政府職員の多
くが給与不払いを理由に職場に復帰しておらず、行政は停滞している。
 パンジシールの戦闘は依然続行されている模様。

 またアフガニスタンからの麻薬密輸が続いており、インド当局は21
日、末端価格6000億円の麻薬を押収したと発表した。

   
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ■読者の声 
■READERS‘OPINIONS 
■どくしゃのこえ■
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
(読者の声1)総裁選が佳境を迎え、マスコミはさかんに選択的夫婦別姓
や同性婚を踏み絵のように使って高市候補のイメージを落とそうとしてい
ます。
それが何で踏み絵になり、イメージダウンにつながるように見えるかとい
えば、グローバリストが国家を溶解させるために作った、多様性の尊重な
どの社会的倫理の枠組みが、じわじわと日本を含め世界に浸透してしまっ
ている現実があるからです。
 こうした現実を、心ある学者先生たちはどうして放置・黙認しているのか?
そのいかがわしさをどうして学問的に立証して駆逐しようとなさらないのか?
とても歯がゆく思います。そこで及ばずながら、老体に鞭打ってドン・キ
ホーテのようにそれに挑戦してみようと思います。

 LGBTなどの多様性の尊重を叫ぶリベラル派の主張に欠けているものは、
普遍性の尊重です。普遍性を踏まえない多様性の尊重は、百害あって一利
なしです。例えば、同性婚を制度化してそれが普遍性になったら人類は滅
びます。
ジェンダーフリーによって男性が女湯に入ったら社会が混乱します。なん
でこんなバカげたことを、リベラルは堂々と主張できるのか?
 かつて、そのリベラルの教祖マルクスは、師であるヘーゲルが国家を統
合する画期的な弁証法の論理を創り上げた時、それを壊して統合を否定し
て対立させる古い論理学に戻してしまいました。
そしてさらに、「国法論批判」の中で、対立を否定的媒介を通じて国家と
して統合すべきとするヘーゲルの主張を、ナンセンスと批判して、対立を
激化させることが正しいと主張しました。
それを読んで私は、何で弟子なのに師云うことをこんなに批判できるの
か? と不思議に思っていました。最近、林千勝先生が、マルクスはロス
チャイルドの血筋であることを明らかにして下さったおかげで、この疑問
が氷解しました。
 
 つまりユダヤ金融勢力にとっては、人類が正常に発展してもらっては困
るわけです。
人類の歴史は国家の歴史ですから、国家が正常な発展を遂げて強くなる
と、自分たちの企みがうまくいかなくなるので、意図的に人類の歴史を壊
して退歩させよう、歪めようとするのです。米国の黒人共産主義者たちが
リンカーンの銅像を壊して、歴史教科書を書き換えようとするのも、夫婦
同姓を壊して夫婦別姓に退歩させようとするのも、その一環です。
 ヘーゲルは人間の解放を、学問を通じて知性と感性を磨き正しい世界創
造を行う絶対精神になることだとしました。これに対して、マルクスは、
これを批判して、人間の解放は抑圧された弱者が解放者だと持ち上げて、
その解放者の云うことを聞くのが人間の解放だとしたのです。
 つまり抑圧された女性が今の姓を変えたくないから別姓にしたいと言っ
たらまたマイノリティーの抑圧された男性が心は女性だからと女性のトイ
レやオリンピックの女子競技に入れろ!と言ったら、その通りにすること
が人間の解放だとマルクスは言っているのです。
 多様性の尊重を説く時、まずはその前提として本質・普遍性の尊重がな
ければなりません。
人間とは何か? 人間の心とは何か?
この普遍性を踏まえることが大事だということです。人間とは、生命の本
能的進化の頂点において、さらなる発展のために本能から自由な形で、後
天的に学習・教育によって創られた認識を持つ存在として、社会・国家の
歴史的過程においてその一員として存在するものです。
 この不変性を尊重し踏まえるならば、本能的な女性の心が先天的に存在
するはずがないということになります。
したがって性同一性障害は学問的には誤りだということになります。人間
の心は、本能から自由な形で後天的に如何様にも作られるものですから、
男性でありながら後天的に学習・教育によって女性の心を作ってしまうと
いうことも起こりうるので、学問的な論理能力を作っておかないと、事実
に誤魔化されてしまうことになります。

 また、生命の継続性という普遍性を踏まえると、両性の合意に基づく結
婚という普遍性と、その普遍性に反する同性婚とを同列に扱え!と言う主
張が、如何に理不尽化かということも明確になります。
自ら普遍性に反する道を選んだという自覚があるならば、その分をわきま
えるべきです。
それを堂々と社会の真ん中に出てきて同性婚を社会の法として認めろ!と
いうのは社会に社会を滅ぼすものを公認しろということであり、スジの通
らない要求です。
本当の普遍性を踏まえた多様性の尊重とは、そんなにやりたければ勝手に
どうぞ!で充分です。
 このように、グローバリストが世界を染めようと画策している社会的倫
理の枠組みなるものは、そこで叫ばれる人権には、人間とは何かの普遍性
が存在せず、空疎な抽象論であるために、好き勝手に利用され、普遍性に
反する者たちを、解放者と持ち上げて差別されたことを強調して権利を主
張するように煽り、社会・国家に対立と混乱をもたらして、国力を弱体化
させようとするものですから、それが社会に浸透するのを阻止しなければ
なりません
(稲村正治)

  ♪
(読者の声2)総理の作り方。歴史を学ぶと、数十年、数百年何も変わら
ない日々がつづくが、1週間で全てがガラガラポンになる、と知る。
今、日本で次の10日間が、国の存亡を決める、だろう。具体的には、高市
氏がもしも総理に成られなかったら、日本は急速に、あるいは徐々に主
権、領土、財産、国民を失う。GHQが占領中にしたように、歴史、文化、
言葉、国体、皇室が必ず破壊される。間違いなく日本から全ての歴史書な
どが押収され焚書になる。
 「あっ〜怖い。でも直接民主制じゃないから、わてら、何もできへん
や。憲法変えてくれはったら投票しますーう。」と受動的では後悔する。
ある日、NHKやテレビのキャスターが普通の声で「みなさん、近くの保健
所へ行ってください。」
行ってみると大きなバスが待っていて何処かに連れて行かれて、家には
戻って来られない。嬉しそうな大勢の新しい住民がやって来て占拠する。
(と、占領され自治区に住む、臓器をまだ取られていない生き残った敗戦
者は証言している。)
「私の全財産、命を捧げて、国防のために戦います」と本気で宣誓し米国
人は大英帝国相手に独立戦争を始めた。
今、日本人は全知全能を捧げ、次の10日間を最大限に使え、と義務ずけら
れている。銃声は聞こえないが戦争はすでに始まっており、誰が「日本軍
の総司令官」になるか、を決める最終戦、桶狭間の戦いの国際版が行われ
ている。
数百名の選ばれた兵士(議員、党会員)が「代理に争う」が、国民はこれ
を高みの見物とするか、石を投げて邪魔をするか。全員が便衣兵、なので
何方が敵か、味方か判らない。しかし彼らは極めて卑怯で主義も倫理も愛
国心もないが、自己保存の本能にはたける。必ず負ける、と判断すれば勝
ち馬に乗り換える。
 すでに支那の家来になったNHK、朝日、テレビは当然、激しく早苗氏を
攻撃する。国民の声であるネット、YOUTUBEなどは検閲、言論操作、言論
封鎖をするだろう。
昨年のトランプ罷免操作で得た成功経験、実績を使うだろう。早苗氏に
は、公明党の訓練された組織、経験、兵隊がいない。
 
しかしトランプ氏も全くの素人で何の組織も無かったが「反体制派、反既
存権益集団、愛国」という宣言だけで強力な政治団体を打ち破った。
公の場で、テレビの実況放送中、ブッシュの三人目は「お前は元気が無い
(LOW ENERGY)」と虎さんに罵られて、本当に元気を失い、たちまち候補
者から消えた。
それは小学生の頓智比べで、馬鹿にされ笑われたら負けになる。全く受け
た経験のなかった侮蔑・侮辱・恫喝に、2代、3代目の偉い先生方はただ
ただ呆れてアホのように何の反論もできず、唇を噛み締め下を向き、たち
まち国民の支持を失う。
 国民の誰もが、合法的に、今直ぐにできる事、今せねばならない事とは。
地元の自民党の議員へ、電話、メールなどを大量に送る。議員は党員の名
簿を持っているので、そのコピーを手に入れ、党員にも直接訴える。
党員の家に押しかけ、嘆願する。党員は27日までに票を郵送せねばならな
い。駅前などで拡声器、ビラなどを物理的に使う選挙運動も行う。これら
全て合法である。(もしも故三島由紀夫氏が生きておられたら、楯の会と
NHKの本部に乗り込んで、会長を監禁し、テレビ中継で毎日、国民に檄を
とばす。BBCやABCなども世界に報じる。そして日本、世界も救われる。)
(在米のKM生)

  ♪
(読者の声3)韓国・北朝鮮の潜水艦発射型ミサイル開発が進んでいます
が、韓国は次期4000トン級潜水艦を原子力潜水艦に決定だそう。
https://japanese.joins.com/JArticle/282368
 韓国はCPTPPへの参加も公式宣言か、といった記事もありましたが、原
潜などアメリカ・中国が認めるはずもない。CPTPPも日本企業の財産を差
し押さえたりフッ化水素を横流しした韓国が加盟できるはずもない。
相手というか周辺国がどう動くかなどまったく考慮せず韓国に都合のよい
ことしか考えない思考は日本人には理解不能。
 光州事件で北のトロイの木馬が五十名もいたというのはいかにもありそ
うな話。韓国人は騙すのが得意なだけではなく騙されやすいという弱点も
持つ。つまりスパイに浸透されやすい。だからなのか独立以来の共産主義
者虐殺事件の多くは疑わしきは皆殺しだったのでしょう。
 トロイの木馬といえば先日パソコンをいじっていたらマイクロソフトの
サポート詐欺画面が出てきた。音声での警告付きと手が込んでいる。電話
番号が 050-3196-XXXX というもので調べたらすぐに詐欺サイトとわかっ
たが不安を煽る警告文などパソコンに詳しくない人なら信じてしまうかも
しれない。
昔だったらアダルトサイトの架空請求か。
 実際に感染しているわけではないので電話をかけてみたらIP電話にして
も酷いノイズ。出たのは怪しい日本語の多分中国人女性。もしもーし、と
企業のサポートにあるまじき対応で即切ったら折返し非通知でかかってきた。
最初に説明されたのはパソコンを元に戻すにはお金がかかります。即切し
たら何度もかかってくるので電源オフ。翌日にはアメリカから知らない番
号で何度もかかってきたがこれも無視。
 こんな手口に騙される人がいるとは信じがたいずさんな対応で、サポー
ト詐欺の被害は年間で数千万円と振り込め詐欺などの300億円超と比較す
ると少ないのも当然か。ただし遠隔操作で不正ソフトを仕込まれると自分
の知らないうちに犯罪に使われかねない。今回はブラウザのバージョン
アップで繋がらないサイトが出たため一時的にセキュリティソフトを切っ
たのが原因でしたがブラウザの再インストールで問題解決。
 マイクロソフトからのお知らせは次の通り。
・マイクロソフトのエラーメッセージと警告メッセージに、電話番号が記
載されることはありません
・マイクロソフトのサポートは、ビットコインやギフト カードの形式で
サポート料金を請求することはありません
・マイクロソフトは個人情報や財務情報をお尋ねする、またはコンピュー
ターを修理するためのテクニカル サポートを提供するという名目で、
メール メッセージを一方的に送信、またはお電話をすることはありませ
ん。マイクロソフトとのすべての通信はユーザーから発信される必要があ
ります
https://news.microsoft.com/ja-jp/2021/01/29/210129-information
/(PB生、千葉)


  ♪
(読者の声4)日本もAUKUSに手を上げたらどうですかね? 中距離ミサ
イルを整備するよりも安価で効果的でしょう。効果も絶大です。海外に基
地を借り日本に寄港させず核ミサイルをレンタルすれば、非核三原則の持
たず、作らず、持ち込まずにも抵触しません。核廃絶を唱える日本が核武
装することは理にかなわぬとうそぶく向きもありましょうが、理想の核廃
絶と現実の核の脅威に晒される核被害の経験者、日本であればその程度の
矛盾を乗り越える図太さが必要でもあり、又近隣原理主義国を除けば表
立って反対できる国など有りましょうか?(杉並の純一郎)


   ♪
(読者の声5)本日(22日、水曜日)の報道番組「フロント・ジャパ
ン」はホスト葛城奈海さん、ゲストは宮崎正弘さんです。テーマは「朝鮮
半島の奇々怪々」の予定です。
日本文化チャンネル桜。9月22日 午前11時〜12時。生放送です。
(「日本文化チャンネル」桜)
   ♪

(読者の声6)台湾で習近平と「くまのプーさん」が合体したフィギュア
を販売、中国では絶対に販売できない商品。
習近平が共産王朝の皇帝ならとうてい許容できるはずもなく愛称の「習
唯?」で百度を検索してもでてこない。
https://gogotsu.com/archives/65619
https://gogotsu.com/wp-content/uploads/2021/09/syu_kinpe2.jpg
 台湾サイトの説明文を読んだら 製造はベトナム、BBガン(おもちゃの拳
銃)の的に適しているとある。お祭りの射的の景品にちょうどいいかも。
 一方、台湾の総統はネコ耳から萌え絵までなんでもあり。
https://i.imgur.com/cZS3Voe.jpg
これもまた日本文化の浸透力であり、それを許容する台湾社会の健全性を
物語っていますね。
   (PB生、千葉)
at 06:16 | Comment(0) | 番外編

2021年09月28日

◆ゴッホの「ひまわり」

馬場 伯明

2021年9月のある午後、コロナ禍の休館から再開したSONPO美術館に行っ
た。曲線と曲面を駆使したデザインの白い建物である。当日はバルビゾン
派から印象派までの「ランス美術館コレクション展」が開催され、コ
ロー、ルソー、シスレーなどの絵が展示されていた。
3階の最奥の収蔵コーナーには、左横にゴーギャンの「アリスカンの並木
道、アルル」があり、正面の低反射の特殊強化ガラスの中に、ゴッホの
「ひまわり(Sunflowers)1888」が鎮座していた。後期印象派画家のフィ
ンセント・ファン・ゴッホ(Vincent Van Gogh・1853-1890)の代表的な
作品の一つである。

同館の冊子「解説 フィンセント・ファン・ゴッホひまわり(以下、『解
説ゴッホ』という)」の中の「ゴッホの書簡」からゴッホの言葉を記す。

「僕は何よりもまず、ひまわりを選んだのです」。「僕はアトリエを、半
ダースのひまわりの絵で飾ろうと考えている」。「ひまわりがある種の色
彩の特性を備え、さらに“感謝”を象徴するひとつの観念を表しているとし
ましょう」。冊子の解説・編集者は小林晶子主任学芸員である。
同館では作品「ひまわり」は撮影可となっており、右手前からの撮影場所
(足形)が指定されていたが、監視員は「正面からどうぞ」と言った。

「ひまわり」は昔観たころと変わらずほのす暗い部屋の中で黄色い光彩
を 放っていた。私はしばらく絵の前に佇み懐かしく見入った。

この「ひまわり」は20年前に当時の安田火災海上保険が驚愕の58億円とい
う高値で落札し、同ビル内の東郷青児美術館に展示し一般公開した。

1990 年に同郷・長崎県出身で大学・学部の同期生だった北村必勝氏から
の誘い で、鑑賞した。彼は当時同社の役員で美術館も管轄していた。

私は入場チケットを多く入手し顧客などに配布し喜ばれた。同館フロアで
顧客と待ち合わせ「ひまわり」を鑑賞したあと夜の新宿で会食することも
あった。他国へ貸し出され観ることができないこともあった。

その後2003年9〜12月には「ゴッホと同時代の画家たち ゴッホと花−ヒ
マワリをめぐって」が開催された。同館の「ひまわり」、「ルーラン夫
人(揺り籠を揺する女・シカゴ美術館)」と「ひまわり(ゴッホ美術館・
アムステルダム)」の三点が並んで三幅対として展示された。壮観であった。

私は絵画鑑賞が大好きだが絵画については素人である。「ゴッホのひまわ
り」については国内外に莫大な画集や書籍がある。

「ゴッホのひまわり  全点謎解きの旅」(朽木ゆり子・集英社780円)と
いう2014年発行の新書 がある(以下、「謎解き」という)。朽木氏は
1951(?)年生まれ国際基 督教大学(ICU)18期卒のジャーナリストであ
りフェルメールの研究でも 知られている。現在アメリカ在住。

本書では、ゴッホの「ひまわり」11点を取り上げ、とりわけ「(花瓶入り
の)ひまわり」7点について、念入りに自分の目で調査・確認し、詳細な
経過と結果をわかりやすく書いている。

ゴッホは、1890年(死去の年) に、「子守女」の絵を真中にして両サイ
ドに「ひまわり(フィラデルフィ ア美術館:右)」と「ひまわり(ゴッ
ホ美術館:左)」を配置し、ゴー ギャンに渡すつもりだった。(「謎解
き」210p)。その三幅対が113年を 経て2003年9〜12月の東京の東郷青児
美術館で形を変えて実現されたので ある。なお、「ルーラン夫人」は一
般に「子守女」と呼ばれている。

じつは、2006年8月4日、きわめて残念なことがあった。損保ジャパン専務
取締役の北村必勝氏が早世した。62歳。芸術を深く愛し地球環境を守る大
切さを訴えた先見性のある人だった。

8月9日の昼、目黒区の護国寺桂昌殿 での葬儀・告別式で、私は三井住友
銀行頭取の奥正之氏と隣り合わせた。 大学・学部の同期生である。「通
夜は別用で行けなかった」と。

さて、ゴッホの「(花瓶入り)ひまわり」7点について「謎解き」と「解
説ゴッホ」より抜粋・抄録しつつ、参考にして概要を紹介する。1〜7は制
作順の番号である。
「ひまわり1」:1888年・油彩・キャンヴァス・73×58cm 個人蔵(所蔵者
不明)。

「ひまわり2」:1888年・油彩・キャンヴァス・98×69cm 1920年実業家山
本小彌太氏が購入。第2次世界大戦中、芦屋の空襲で焼失。
「ひまわり3」:1888年・油彩・キャンヴァス・92×73cm ノイエ・ビナコ
テーク蔵、ミュンヘン、ドイツ。
「ひまわり4」:1888年8月・油彩・キャンヴァス・92.1×73cm ナショナ
ル・ギャラリー蔵、ロンドン、イギリス。
「ひまわり5」:1888年11月下旬〜12月上旬頃・油彩・キャンヴァス・
100.5×76.5cm SONPO美術館蔵、東京、日本。ひまわり4(イギリス)を手
本として制作されたとされている。
「ひまわり6」:1889年・油彩・キャンヴァス・92.4×71.1cm フィラデル
フィア美術館蔵、アメリカ。
「ひまわり7」:1889年1月・油彩・キャンヴァス・93×73cm ファン・
ゴッホ美術館蔵(フィンセント・ファン・ゴッホ財団からの永久貸与)、
アムステルダム、オランダ。

この7枚の中で私が現物を観たのは「ひまわり5・7」の2枚だけである。
3・4・6は各美術館にあり、美術画集やWEBの写真で観ている。1は所蔵者
不明であり、2は焼失しているので現物を観ることができない。

「何輪のものひまわりが燃えるように輝きながら、花瓶からあふれている
(「謎解き」20p)」。どの「ひまわり」を観ても美しく、ゴッホ本人は
37歳で自殺したのに、生き生きとした生命力が漲っている。

ここで、あえて私の好みを言えば、4(ロンドン)と6(フィラデルフィ
ア)だ。4を手本にして5(東京)と7(アムステルダム)が描かれた。

い わゆる黄色い背景の3点であるが、素朴な本家4の方を気に入っている。

6は3(ミュンヘン)から制作されいずれも瑞々しい青色の背景に補色の黄
色い花が浮かび上がるが、6の方が穏やかに感じられ癒される。

ところで、避けて通れないことがある。東京の「ひまわり5」の贋作論争
である。長くなるがお付き合いください。引き金となったのは、一挙に19
億円(1985)から58億円(1987)に跳ね上がった異常な高値落札であると
も言われる。(「謎解き」159P、第7章・第8章)。

《贋作派の主張》(1)来歴からは真偽不確かである。(所有の)空白期間
あり。ゴーギャンの友人エミール・シュフネッケルの贋作とする。

アルル 時代のゴッホの手紙には「ひまわり5」と認識できる作品がなかっ
た(書 かれていない)。
(2)技法上の問題。オリジナル(ひまわり4)と異なる。花の茎が折れて
いる。茎が葉の真ん中を通過している。一署名がない。筆使いが異なる。

(3)「ひまわり5」のキャンヴァスの画材はジュート布。ところが上端に
別の布が貼られ、周辺部全体に加筆の跡がある。誰が拡張・加筆したのか
不明だ(「謎解き」186p)。
《真作派の主張》。(1)来歴は確かである。(2)技法。筆使いが異なると
いうが、「いや違う。他の作品と似ている」(ファン・ゴッホ美術館の
ティルボルフとヘンドリクス氏の反論)。

(3)「(シュフネッケルが) 自分で作った贋作なら、それにわざわざ
キャンヴァス布をつけたして、延 長部分を偽造するのは非合理的なよう
に思える。(「謎解き」)189p」

疑惑や論争に決着はつかない。「謎解き」での朽木ゆり子氏の見方は双方
の論を提示し、公平・無私な立場を貫き、一方に与してはいない。

では、真贋の決め手は何もないのだろうか?なにせ130年前のことであ
る。関係の手紙や文書などはすでに調べ尽くされているだろう。やはり科
学的な調査と分析の進展しかないと思われる。

「ファン・ゴッホ美術館は、世界中の美術館の協力を得てゴッホの絵380
枚以上のX線データを入力し、この手法でキャンヴァス分析を実施中だ。

1888年から1990年、つまりゴッホがアルルへ移ってから、オーヴェル・
シュル・オワーズで死ぬまでの間に描かれた絵187枚の分析が試みられて
おり、これまであいまいだった絵の順番や制作日の特定が進み、近々何ら
かの形で発表されるだろう」(「謎解き」191p)

「(ゴッホ美術館によるキャンヴァスの地塗り等の調査で)『ひまわり
5』の調査結果はどのようなものだったのだろうか。

展覧会前の調査に対 してはX線検査データが提供され、目視による広範な
調査がなされたが、 残念ながら損保ジャパン東郷青児美術館(当時)は
物理・科学検査を許可 しなかった」(「謎解き」183p)。

SONPO美術館の解説本「フィンセント・ファン・ゴッホ(2020)」の執
筆・編集者である小林晶子氏(SONPO美術館主任学芸員)は、「・・・こ
の花は、色彩と技法の探求と共に繰り返し描かれ、そして『感謝』を表す
『ひとつの観念』となる」と書く。

さらに、黄色い背景の3点の「ひまわり4・5・7」は「・・いわゆる『複
製』したものではないことがわかります。・・・写実的に描かれているロ
ンドンの《ひまわり》から、東京の《ひまわり》を経て、比較的装飾的なアム
ステルダムの《ひまわり》に至るまで、画面は次第に抽象的な傾向を帯びて
いきます」。

「ゴッホが何度も試行錯誤を繰り返しながら、自らの芸術を 築きあげた
画家であった証なのです」と結論する。(小林晶子「ゴッホへの招待
(2016朝日新聞出版)」。贋作論争(疑惑)の入る余地はない。

しかし、世界に冠たるゴッホの「ひまわり(花瓶入り)」7点の現存する6
点のうちの1点が厳然として日本国内にあるのだ。SONPO美術館は、所有者
の誇りと勇気をもって、ファン・ゴッホ美術館などによるX線検査を含む
すべての科学的な調査・分析に積極的に協力すべきではないか。

ゴッホの「ひまわり」を愛する世界中のゴッホ愛好家は、贋作論争(疑
惑)が消え去り、「ひまわり5」が真作(!)であることを信じ、そうで
あることを期待しているはずである。遠い草葉の陰で(故)北村必勝氏も
そう思っているだろう。(2021.9.26 千葉市在住) 

(追記)「ひまわり」は来ないが2021.9.18〜12.12東京都美術館でゴッホ
展、開催中。「黄色い家」「夜のプロヴァンスの田舎道糸杉」など。(了) 



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆”平和憲法”を受け入れた日本の母性文化
加瀬 英明
 
 今年は日本が対日講和条約によって、独立を回復してから69年たつ。

 このあいだ、米国による占領下で強要された、とうてい憲法と呼ぶこと
ができない現行憲法を、こともあろうに「平和憲法」と呼んで1行も改め
ることなく戴いてきた

 世界のどの国であったとしても、前文で自国を腐(くさ)し、国を守る軍
を保有することを禁じた、憲法の名に価いしない憲法を独立を回復した後
に急いで改めたことだろうどうして、日本だけが例外なのだろうか。
日本は世界のどこよりも平和が続いた、特異な国だった。

 日本は世界の主要国のなかで、女性上位の母性原理によって支配された
唯一つの国である。他の国では争いが絶えなかったから、戦いの担い手で
ある男性上位の父性原理によって動かされてきた。

 非常識な護憲主義は、日本の1万数千年かけて培われた国柄に深く根ざ
していると思う。縄文時代は1万2000年にわたったが、自然の恵みが豊か
なために、平和だっ
た。古墳から戦いによる傷を負った骨が発見されない。

 戦乱の時代もあったが、世界に珍しい「和」を尊ぶ国である。日本列島
の外から多様な人々が集まったが、融合した神武天皇即位の勅(みこと の
り)が「八紘一宇(はっこういちう)」――天の下で差別することなく睦(む
つ)むことを命じている。 他国ではありえないことだ。

平安時代は400年、江戸時代に300年近くも平和が続いたのも、他国にない。

日本語ではなぜか、祖国を指す言葉として「母国」しかない。ヨーロッ
パ諸語にはドイツ語、英語のファターラント、ファザーランド(父国)、
ムターラント、マザーランド(母国)があり、フランス語はラ・パトリ
(父国)しかない。中国語も 「祖国」というが、「母国」といわない。

父親ができる子供とできない子供を峻別するのに対して、母親は均しく
愛する。男性は競い、女性は変化を嫌って安定を求め、平和を好む。

日本では敷地にたつ主な家屋は、母屋と呼ばれる。母堂があっても、父
堂がない。女性用務員もいない男だけの学校も、母校だ。トラックや乳母
車にかけるホロを「母衣(ほろ)」と書くが、武士が戦場に立つ時に後ろ首
を守るために、兜にかけ た鉄鎖の網のことだ。

「めおと」は、もともと「女男」と書いたが、江戸時代に入って武家が
男上位の社会がもたらしために、夫婦を「めおと」と読ませた。どうして
「夫」を、「め」と発音できるのか。いまでも、和船に用いる両端が尖っ
ている釘は、女男(めおと)釘(くぎ)と呼ばれる。

平安時代に外の世界では、女性はほぼ全員が文盲だったが、日本では女
性が洗練された文化を担った。今日でも、日本文化の柱となっているかな
文字は、「おんな文字」といわれて女性が創った。

日本では、男が女に甘える。西洋では、女が男に甘える。日本では男が
我儘だが、西洋では女が我儘だ。弱いほうの性が我儘になり、強いほうの
性が耐える。

現行の“平和憲法”は、成り立ちが怪しいうえに、日本の平和が守られて
きたのは“平和憲法”によるものでなく、米国の軍事保護によるものだが、
現行憲法が日本の
母性文化に適合しているから、日本の土壌に深い根を降していると思う。

男は論理を重んじ、女性は感性によって生きている。男は簡潔に話す
が、女性は感情に訴えるから長い。

日本では男は女性に煽(おだ)てられて、男らしく振る舞う。西洋では男が
男に「男らしくしろ(ビー・ア・マン)」というが、日本では女性が男に
対して「男らしくしなさい」と叱る。

日本が戦争に敗れ、日本の再興を恐れた米国が、日本から男らしさを消
去して、女性がいっそう強くなったのも、“平和憲法”を“不磨(ふま)の大
典”としているのだろう

         

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◆中国は人類を終末に導くウイルスをつくっていた

北野 幸伯

@軍事費5.5倍の中国に勝つ方法は、地政学が教えて
くれます。
●日本の地政学  北野幸伯著
詳細は↓
https://amzn.to/3miSNsV
では、本題。

去年と今年は、新型コロナで大変ですね。
ところで、このウイルス、どこからきたのでしょうか?
もちろん、「中国から」来たのですが。

バイデン大統領は5月、「新型コロナウイルスの起源を90
日で調査せよ!」と情報機関に命じました。

90日が過ぎ、出て来た結論がこちらです。
CNN.co.jp 8月28日。

< 米情報機関を束ねる国家情報長官室は27日、バイデ
ン大統領の指示を受け約90日間続いていた新型コロナウ
イルスの起源を探る新たな調査結果の要約を公表し、明確
な結論は出なかったと報告した。>

「明確な結論はでなかった」というのが結論・・・。


なんともスッキリしない結論ですが、少なくとも「正直」
ではあります。
では、90日でわかったことは、なんでしょうか?


・武漢ウイルス研究所からの流出説と、動物からの感染説
の二つあるが、はっきりと結論は出せない。

・新型コロナウイルスは、「生物兵器」として開発された
ものではないようだ。

・中国が協力してくれないので、真相にたどりつけない。


これだけです。

世界中で、「新型コロナウイルスは、武漢ウイルス研究所
から流出した生物兵器」という話がひろまっています。

もしそれが本当で、確固たる証拠があるなら、アメリカ政
府は、必ず公表したでしょう。

なぜ?

米中覇権戦争がつづいている。
情報戦の要諦は、敵国を「悪魔化すること」です。


アメリカはすでに、「ウイグル問題」で中国を「悪魔化」
することに成功しています。

中国が、
「ウイグル人100万人を強制収容している」
「ウイグル女性に、不妊手術を強要している」
「事実上の民族絶滅政策を行っている」


これらは事実なので、アメリカは積極的に情報戦で使って
いる。一方、「新型コロナウイルス」については、証拠不足で情報戦使用
は避けられています。


▼中国は、人類を終末に導くウイルスをつくっていた
一方、「中国は、人類を終末に導くウイルスをつくってい
た」という報道もあります。
中央日報9月23日付を見てみましょう。

<中国武漢の科学者が新型コロナウイルス感染症(新型肺
炎)発生前に伝染力の強い変異種コロナウイルスを作る計
画を立て、トランプ政府傘下の機関に研究費支援の要請も
行っていた事実が確認された。

英国日刊紙テレグラフは現地時間で21日、新型コロナ起
源調査のために世界の科学者が作ったウェブ基盤の調査チ
ーム「ドラスチック(Drastic)」が公開した文書
を引用してこのような内容を報じた。>

中国武漢の科学者は、今回のパンデミックが起こる前に、
「伝染力の強い変異種コロナウイルスを作る計画を立て」
ていたと。

どういうことでしょうか?


<報道によると、中国武漢の科学者は新型コロナが初め出
現する1年6カ月前、コウモリコロナウイルスの新しい
「キメラ型スパイクタンパク質」を含めた皮膚浸透ナノ粒
子を雲南省の洞窟コウモリに伝播する計画を立てた。
彼らはまた、人間にもっと簡単に感染させるために遺伝的に強化されたキ
メラウイルスを作る計画を立てた。

それだけでなく、高危険天然コロナウイルスの変異種と伝
染力はあるがあまり危険ではない変異種を混合する計画も
立てた。>(同上)

なるほど。
では、一番上の引用にあった、

<トランプ政府傘下の機関に研究費支援の要請も行ってい
た事実が確認された。>


これは、何でしょうか?

<このような提案は武漢ウイルス研究所(WIV)と密接
に仕事をしていた「エコヘルス・アライアンス」のピータ
ー・ダスザック代表が提出した。

該当研究チームには「バットウーマン(コウモリ女)」こ
と武漢研究所所属の石正麗博士も含まれていた。

武漢の科学者は計画を実現するために米国の国防高等研究
計画局(DARPA)に1400万ドル(現レートで約15億円)を要請した。

しかしDARPAは「提案した課題は地域社会を危険に陥
れることは明らかだ」などの理由を挙げて研究資金支援を
拒否した。>(同上)

なるほど〜。

ここで、「提案したのはピーター・ダスザックだ」という
話がでてきます。
彼は、イギリス人動物学者で、「エコヘルス・アライアン
ス」の代表です。


@ピーターダスザックのウィキはこちら。

https://en.wikipedia.org/wiki/Peter_Daszak

@エコヘルスアライアンスの公式サイトはこちら。

https://www.ecohealthalliance.org/



彼らは、アメリカ(国防高等研究)計画局(=DARPA)に15億円の支
援を要請するも、

「危険だからサポートはできない」と断られたと。
で、彼らは、それで研究をストップしたのでしょうか?

「大金がなくても研究はできる」と主張する権威ある専門
家がいます。

<武漢研究所が伝染病流行以前の数年間に、いわゆる「機
能向上」作業を進めてきたことを証明して発表するために
孤軍奮闘してきたロンドン大学セントジョージ校のアンガ
ス・ダルグリッシュ教授は

「この研究は資金なくとも行うことができる」
と話した。>(同上)

アメリカから金をもらえなくても、たとえば中国政府など
から資金を得て、研究をつづけたかもしれない。

<匿名を求めた世界保健機関(WHO)新型コロナウイル
ス研究員は「恐ろしい部分は彼らは伝染性キメラMERS
(中東呼吸器症候群)ウイルスを作っていたということ」
としながら「このようなウイルスの致死率は30%以上で
重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルス−2よ
りも少なくとも10倍以上致命的」と明らかにした。>

「致死率30%」のウイルスを作っていた!
つまり、感染したら、「3人に1人は死ぬ」と。


しかし、今回パンデミックを引き起こした「新型コロナウ
イルス」は、彼らが開発したものとは別物なのでしょう。
致死率低すぎですから。

では、もし彼らのウイルスが、流出していたらどうなって
いたのでしょうか?

<この研究員は「もし彼らが作っていたウイルスが広がっ
ていたとすれば、その大流行により人類はほぼ終末に陥っ
ていただろう」と付け加えた。>

「人類はほぼ終末に陥っていただろう」とのことです。

生物兵器の開発、生産、保有は、「生物兵器禁止条約」で
禁止されています。

こういうマッドサイエンティストたちは、逮捕され、裁か
れるべきでしょう。

もし、中国政府が、この研究の背後にいたという動かぬ証
拠が出れば、当然厳しい制裁を科すべきです。

今回は「新型コロナウイルスの起源」とは違う話ですが。
「新型コロナウイルス」の起源についても、真相が究明さ
れ、正しい罰が下されることを願います。
          

2021年09月27日

◆河野氏、親族企業問題で説明不足

【有本香の以読制毒】

 合弁する中国巨大企業「BOE」にウイグル人強制労働疑惑 誠実な姿
勢の野田氏と対照的 令和3年9月25日 夕刊フジ【zakzak】ニュース 


 自民党総裁選は終盤戦に突入した。河野太郎行革担当相と、岸田文雄前
政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行は、29日の投開票に
向けて、新型コロナウイルス対策や経済政策、外交・安全保障政策などで
激しく競い合っている。ただ、ここに来て、河野氏の「親族企業と中国の
関係」など、4候補の「アキレス腱(けん)」にも注目が集まっている。
日本国民の生命と財産を守り抜き、軍事的覇権拡大を進める中国共産党政
権と対峙(たいじ)できる「次のリーダー」は、一体誰なのか。ジャーナ
リストの有本香氏が「以読制毒(特別版)」で迫った。



 選挙はさまざまなものをあぶり出す。事実上、次期首相を決める自民党
総裁選ともなれば、政策や思想のみで闘えるほど甘いものではない。各候
補の人間性や背景までが容赦なくあらわにされている。

 今日、あえて取り上げるのは、河野氏と野田氏。保守派からはまったく
支持されない両氏だが、かといって「自民党内左派」と一括りするのも間
違いだということが今総裁選ではっきりした。両者の違いを知るポイント
は3点。

 第1は、語り口だ。筆者は野田氏の政策に賛同するところはほぼなく、
中身も残念ながら浅薄(特に安全保障)なものと感じているが、それでも
男性候補2人に比べ好感度は格段に高い。

 河野氏と岸田氏が万事につけ、知識の披瀝(ひれき)の後、「検討す
る」「議論する」とお茶を濁すのに対し、野田氏は「自分はどうするか」
を語っている。政策に賛同はしないが、政治家としての覚悟を伴う「発信
力」は評価したい。

また、野田氏の「新生児70万人時代への危機感」という主張は正鵠(せ
いこく)を射ている。終戦直後に年間270万人だった新生児が、いま
70万人台にまで減ろうとしている。将来の国民なくして国防も福祉もな
いことは火を見るより明らかだが、この少子化への危機感が保守派に薄
く、思い切った策も出されないことは反省に値する。

 河野、野田両氏の違いの第2は、自身の親族に関する「疑惑」への説明
姿勢、第3は対中姿勢だ。

 野田氏は22日、自身のツイッターに「私が夫を信じる理由」と題した
連続ツイートを投稿した。筆者はこれまで、野田氏の配偶者の過去には触
れずに来たが、週刊新潮との裁判で「認定」されたことが事実だろうと漠
然と思ってきた。

 しかし、実際はそう単純な話ではなく、現在も係争中とのことだ。その
結果がどうあれ、野田氏が、最も話し難い件を、SNSで直接説明しよう
と努める姿勢は誠実に映る。

 対照的に、河野氏の親族企業に関する説明不足感は強くなる一方だ。

 河野氏が株式を保有し、父の洋平氏が会長、実弟が社長を務める「日本
端子」(神奈川県平塚市)に関する「疑惑」がネット上を騒がせ始めたの
は先週後半のことだ。

 21日の記者会見で、本紙「夕刊フジ」の記者がこの件を質問したが、
河野氏の答えは「私の政治活動に影響を与えるということは全くない」
「資産報告を毎回しっかりやっており、問題はない」だった。

 ネット上にも「河野擁護」らしき声が上がった。「違法ではない」「中
国進出している企業は山ほどある」「麻生太郎副総理も、鳩山由紀夫元首
相(の関連企業)も同じだ」「中国進出企業が現地で合弁させられるのは
常識だ」など。どれも一見、もっともらしいが、そんなことは河野氏に疑
問を抱くネット民の多くとて先刻ご承知だろう。

 海外事業がほぼ中国のみで展開されている「日本端子」について、多く
の国民がいぶかしく思うのは、不釣り合いな合弁相手だ。

 同社のサイトによると、関連会社である北京日端電子有限公司(北京
市)の合弁相手は「北京京東方科技集団股分有限公司(BOEテクノロ
ジーグループ)」だという。ディスプレーで世界屈指のシェアを持ち、営
業規模2兆円を超える大企業が、100分の1以下の規模の日本の中小企
業に、特例的な株式比率での合弁を許してきた。その理由は「日本端子
が、河野ファミリーの会社だからではないか」と誰もが思う。

 ■BOEとウイグル人強制労働疑惑

 BOEには別の重大な疑惑もある。筆者が最も関心があるのもこの件
だ。昨年3月、オーストラリアのシンクタンク「オーストラリア戦略政策
研究所(ASPI)」が、世界80以上の有名企業のサプライチェーンに
組み込まれている中国の工場で、8万人以上のウイグル人が強制労働させ
られているという詳細な報告書を発表した。その中に、中間業者として
BOEの名も記されている。

 野田氏が、中国政府の人権弾圧への非難決議について、「臨時国会で決
議すべきだ」とし、「私にとって人権問題は重要事項のひとつであり、ど
の国、どの地域においても、一人ひとりが自分の生き方を決めることが大
切だ」と答えている。リベラルの鑑だ。

 一方、「時期は分からないが、採択すべきだ」との曖昧な答えしかない
河野氏に改めて問いたい。「河野家の親族企業は、ウイグル人の強制労働
に関わりありと報告された中国企業と昵懇(じっこん)なのですか」と。

 ■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市
生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。
国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に
『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬
舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国
紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。

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松本市 久保田 康文 
夕刊フジ【zakzak】ニュース 採録

          

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◆辛光洙容疑者、リーダーの素顔
中村 将

【教科書が教えない拉致問題】誰が日本人を… ❶工作船で密入国したスパ
イ ❷指示役と「戦闘員」で実行犯構成 辛光洙容疑者、リーダーの素顔
 編集局次長・社会部長 中村将 【産経ニュース】令和3年9月25日


 開港を目前に控えた成田空港は混乱の極みに達していた。空港内に入り
込んだ反対派の左翼活動家らが機動隊の隊列に向けて火炎瓶を投げつけ
る。周囲を取り囲む制服の警察官が拳銃を構えて応戦した。空港の管制塔
も活動家らに占拠され、機器が破壊された。最後は機動隊が制圧したが、
日本の表玄関の開港は予定より50日近く遅れた。

、安保闘争や過激化した学生運動の余韻を残しながらも、一方で時代が少
しずつ変わっていく社会変革の風を感じた。

 キャンディーズが引退し、ピンクレディーの全盛期。東京・池袋に地上
239・7メートルの、当時アジアで最も高い超高層ビル「サンシャイン
60」が開業。カップ麺「マルちゃん赤いきつねうどん」が発売された。
巨人の王貞治選手が通算800号本塁打を達成。ジョージ・ルーカス監督
の映画「スター・ウォーズ」の日本上映が始まったのもこの年だった。

 昭和53(1978)年。50歳代以上の世代には「ノスタルジア(郷
愁)」を覚えさせるが、この年は北朝鮮による日本人拉致が多発した年で
もあった。

 あの夏は、異様だった。
「静かにしろ」拘束

 七夕の夜。レストランで食事を終えた若い男女は福井県小浜市の小浜公
園展望台に車を走らせた。当時婚約中だった地村保志さん(66)と浜本
(現・地村)富貴恵さん(66)は「まだ帰るには少し早いから」と夜景
を楽しむために目的地に向かった。
拉致された当時の地村保志さん
拉致された当時の地村保志さん
拉致された当時婚約中だった浜本(現・地村)富貴恵さん
拉致された当時婚約中だった浜本(現・地村)富貴恵さん

 展望台の手前数十メートルの道がカーブしているところで、車のヘッド
ライトは4人組の男が縦一列になって展望台の方に上っていくのを照らし
た。ハンドルを握っていた地村さんは「こんな時間に?」と感じたが、そ
れ以上、気にすることもなかったという。

 人けのない展望台近くのベンチにはもう一組の男女が座っていた。しば
らくすると、車が走り出す音を聞いたので、地村さんは男女が帰っていっ
たのだと思ったという。

 展望台2階のベンチに腰かけた地村さんと富貴恵さんは背後に人の気配
を感じた。振り返ると、後ろ手にされて手錠をかけられ、足も拘束され
た。富貴恵さんも同じように拘束された。

 「静かにしろ」。4人組のうちの1人から日本語でそう言われた後、布
袋のようなものを全身にかぶせられ、展望台下の浜辺に運ばれた。その
後、ゴムボートに乗せられ沖に。沖合でエンジン音がする船に移され、数
十分後にさらに別のもっと大きな船に乗せられて北朝鮮に連れ去られた。

 船にはあの4人組の男たちが乗っていた。リーダー格は日本語ができ
た。残りの3人は若く、日本語は話せないようだった。

 日本語を話すリーダー格は、北朝鮮工作員、辛光洙(シン・グァンス)
容疑者(92)とみられ、警察当局は国外移送目的略取容疑で国際手配し
ている。
「北の英雄」見覚え

 平成14(2002)年9月の小泉純一郎首相(当時)と金正日(キ
ム・ジョンイル)総書記(同)による日朝首脳会談で、金総書記は拉致を
認めた。地村さんと富貴恵さんは「生存」とされた5人に含まれ、翌10
月に帰国する。

 だが、北朝鮮に子供を残しての帰国だったため、警察当局に「辛容疑者
が実行犯グループに含まれていた」と証言したのは、子供らが帰国した後
の17年12月になってからだった。

 無理もない。子供が人質に取られた状態で、北朝鮮の闇に触れるような
証言をすれば、安全は保証できない。被害者たちはその恐ろしさを十分に
知っていた。
韓国で死刑判決を受けたが、恩赦で釈放された辛光洙容疑者=2000
年、韓国・ソウル
韓国で死刑判決を受けたが、恩赦で釈放された辛光洙容疑者=2000
年、韓国・ソウル

 しかしなぜ、地村さんらは辛容疑者を知っていたのか。拉致を指揮した
実行犯は被害者が北朝鮮到着後、監視を兼ねて教育係に付く。地村さんら
に付いたのが辛容疑者だった(地村さんと富貴恵さんは拉致された後、し
ばらくは別々に管理された)。

 辛容疑者は地村さんに自分の名字が「辛」であることを伝えたという。
だが、さすがに名前までは明かさなかった。

 辛容疑者は地村さんらを拉致した2年後の昭和55年6月、大阪の中華
料理店員、原敕晁(ただあき)さんも拉致し、原さんに成りすまし韓国に
非合法に入国。国家保安法違反容疑で逮捕され、公判で死刑判決を受け
た。その後、恩赦で釈放され、北朝鮮に身柄が送還されることになったと
き、北朝鮮では「祖国の英雄」とメディアで大々的に報じられ、見覚えの
あるあの男が「辛光洙」だと知ったのだ。
「筋金入り」の経歴

《1929(昭和4)年6月27日、静岡県新居町(現・湖西市)で生ま
れた。兵庫県尼崎市の小学校、富山県高岡市の国民学校などで学び、日本
の敗戦を機に家族とともに帰国し、慶尚北道浦項市に住んだ》

《朝鮮戦争(1950〜53年、休戦中)が始まると、北朝鮮義勇軍に自
ら入隊した。朝鮮人民軍第1師団第14連隊に配属されて朝鮮戦争に出
兵。52年5月、朝鮮労働党に入党した》

《54年、東欧諸国の戦後復興支援の一環として実施された海外留学生選
抜試験に合格し、ルーマニアのブカレスト工業大学の予科に入学。機械学
部を卒業して機械技師の資格を取得した後、北朝鮮に戻った》

 韓国の情報当局が80年代に把握した辛容疑者の経歴だ。金日成(キ
ム・イルソン)主体(チュチェ)思想、金日成革命史など政治思想学習と
通信技術教育、工作(スパイ)実務教育を受けた筋金入りの工作員である。

 韓国の公判で明らかになった辛容疑者の密入国の方法はこうだった。

 北朝鮮東部の元山(ウォンサン)港を工作母船で出港。2日後、石川県
の能登半島沖で工作子船に乗り換え海岸に近づき、ゴムボートに乗り換え
て岸辺から上陸した。

 工作母船とは2001年12月に九州南西海域で海上保安庁の巡視船と
の銃撃戦の末、沈没し、その後海底から引き揚げられた漁船にカムフラー
ジュした工作船と同様の船のことだ。船体後部の扉が開き、格納庫から工
作子船が出てくるタイプもある。工作子船は中型モーターボートサイズ。
そして、ゴムボートに空気を入れて、岸辺まで漕(こ)いだ。

 日本に潜伏後は、北朝鮮に親族がいる在日朝鮮人を配下に置くなどし
て、アジト(隠れ家)を確保し、本国の指示に従い、スパイ活動を展開した。
さまざまな手口で

 地村さんらを拉致した4人組のうち、辛容疑者以外の3人は、力ずくで
拉致するために実行日に合わせて潜入した「戦闘員」と呼ばれる特殊訓練
を受けた工作員たちだったとみられる。

 本国からの拉致実行の指令は、あらかじめ潜入している工作員(辛容疑
者)と工作船(戦闘員ら)に発せられ、双方は上陸ポイント周辺などで落
ち合う。戦闘員は被害者を船に乗せ、北朝鮮まで確実に運び込む。

 先述した原さんの事件では、辛容疑者が在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総
連)系商工会幹部らを配下に置いて、原さんに架空の就職話を持ちかけ
た。内定を理由に「社長が別荘にいる」と宮崎県・青島海岸に連れ出し、
「前祝い」で泥酔させて船に乗せて連れ去った。

 乗船させる際になって戦闘員とみられる4人の男が姿を現す。「船を
持ってきた人です。心配いらない」。辛容疑者は原さんを促した。力ずく
の拉致ではなかったが、原さんが抵抗するなどした場合も想定していたと
みられる。

 拉致の手口はさまざまだが、昭和53年夏の福井、新潟、鹿児島など5
件の拉致事件(未遂含む)は、戦闘員が上陸しての暴力的なものだった。
指示役の工作員らも、わが国で暗躍していたに違いない。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文 
【産経ニュース】採録

  
          

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◆モサッドのロボット兵器だった

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)9月20日(月曜日。敬老の日)
通巻第7061号  

イラン核化学者暗殺はモサッドのロボット兵器だった
  ベルギーのFN MAGを改良してAIで遠隔操作 7・62ミリの
機関銃

 2020年11月27日、テヘラン郊外の別荘地アブサードを出発した
車列は前後に警備車両が続いていた。
午後一時、監視していたモサッドの代理人は「標的は出発した」と信号を
送った。車列が見える小高い道路上に停車していたのは日産トラック。標
的はイランの核化学者で武器開発のトップとされたフセン・フェクリザデ
一行。

 ベルギー製のFN MAGを改良した機関銃は7・62ミリの弾丸を
AIによる遠隔操作でぶっ放す。これは狙撃用マシンガンで世界的に著名
である。
 狙撃後、トラックと機関銃は爆破され証拠を消し去った。
 
 「このフェクリザデ暗殺により、イランのナタンズ核施設における計画
は『五年遅れた』とモサッドは見積もった。後継者はファーヒと呼ばれる
謎の科学者だが、詳細は不明。しかもナタンズは大混乱に陥ったまま」
(エルサレムポスト、9月19日)。

 計画はモサッドが2020年三月にスタートさせ、数ヶ月かけて、マシ
ンガンの部品をばらばらに分けてイランに輸出した。総重量およそ1トン
にもなるシロモノ。
 
 さて日本よ、このような計画を北朝鮮の核施設破壊に立ててみよ。国家
安全保障とは、こうした作戦を秘密裏に計画、立案し、その準備チームを
編成、敵地における代理人の育成とアジトの確保。作戦後の証拠隠滅。そ
して作戦そのものを機密にするという遠大な戦略性を伴うものである。
 イスラエルに学ぶことはあまりにも多い。
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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 
BOOKREVIEW 
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 英国アーカイブで発見された諜報、謀略戦争の機密文書
  日本は諜報でも卓越していたが、上層部が握りつぶして敗戦となった

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岡部伸『第二次大戦、諜報戦秘史』(PHP新書)
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 著者は産経新聞元モスクワ支局長。『消えたヤルタ密約緊急電』で山本
七平賞受賞。ロシア革命前夜、ロマノフ王朝を背後からかき荒らして成果
をあげた明石元二郎大佐のことはよく知られている。
杉原千畝も有名である。人道援助、「命のビザ」の杉原だが、じつは「裏
の顔」は諜報員だった。
 本書は諜報戦争の現場を辿り、真珠湾攻撃の暗号は米英に読まれていた
こと、シンガポールを短時日で陥落させた日本のインテリジェンスのすごさ。
 インパール作戦におけるチャンドラ・ボーズの知られざる足跡、そして
日本陸軍には共産主義理解者が多く、終戦間際には親ソ派が牛耳っていた
事実などを、岡部氏は英国アーカイブで新たに公開された機密書類を丹念
に読み解いて、淡々と語る。
 明石元二郎は福岡藩士の子、軍に入りドイツへ留学後、マニラ、仏蘭
西、モスクワ駐在武官を経て日露戦争開始とともにスウェーデンのストッ
クホルムを拠点に諜報活動を展開した。
明石は北欧、露西亜のスパイを世界各地に派遣するなど、ウラジオには貿易
商に偽造したスパイを駆使して貴重は情報を得ている。反ロシア暴動、デ
モ、ストライキを組織化させ、活動家にふんだんに資金を供与した。
かのレーニンにも工作資金を供与した。明石が使った工作費の金額たる
や、現在の貨幣価値にして合計400億円にものぼる。当時の参謀総長は
山県有朋である。
明石はロシア革命の導火線を敷設する役目を担ったが、単独行動が多く批
判され、台湾総督へ移動した。台湾における明石の善政はいまも称賛され
ている。

まことに武士の末裔たちが政治を行ったわけだから昔の日本は諜報戦争を
理解し、また情報工作がいかに重要かを理解できる認識力が備わってい
た。暗号解読にしても解読を相手にしられないため偽装、陽動、ときには
騙されたフリをして、つぎのもっと重要な情報を引き出そうとする。
 「開戦前、イギリスは日本の諜報活動を警戒していたが、その活動の実
態はつかめていなかった。日本の外交電報は解読していたものの、陸軍の
電報は解読できなかった」。
 「マレー半島からシンガポールに至る詳細な地誌や軍事情報が報告さ
れ、守備隊や戦車、砲台の数、トーチカの位置などが書かれているほか、
シンガポール市内の守備隊配置図なども記されている。スマトラ島南部の
パレンバン、インドネシアの首都ジャカルタがあるジャワ島にも陸軍中野
学校の卒業生を新聞記者や商社員に偽装させて派遣し、調査させていた。
これらの調査活動が、1942年2月の『空の神兵』空挺作戦によるパレ
ンバン精油所制圧を成功に導いた。イギリスの監視をかいくぐる事前調査
がマレー作戦に活用された」(55p)

 明石の陰に隠れたが小野寺信の活躍を本書は特筆している。
 陸軍幼年学校から士官学校へ。ドイツ語に堪能だったが、そのうえ小野
寺はロシア語にとりくむ。ハバロフスク滞在中、わずか一年でロシア語を
習得し、哈爾浜で活躍を始める。
ラトビアのリガは当時の情報戦争の一大拠点だった。
小野寺は、このリガで現地の高官や情報通と交流を深め、「とりわけエス
トニアとの協力関係が進み、情報共有にとどまらず、共同で対ソ工作員を
ソ連国内に潜入させ、情報収集工作をさせたり、ウクライナやグルジア
(現ジョージア)の民族独立運動を支援して、体制転覆を試みたりする謀
略工作も行った。ドイツも関与したスターリン暗殺計画もあった」
(126p)。

ストックホルムではドイツが英国侵攻作戦をおこなうかどうか。1939
年にヒトラーは独ソ不可侵条約をいきなり締結し、電光石火、ポーランド
侵攻して第二次世界大戦が勃発、翌1940年に、ドイツはデンマーク、
ノルウェイ侵攻。五月には、オランダ、ベルギー、フランスと破竹の進撃
をつづけ、日本はこのときに日独伊三国同盟を締結、この時期に「ドイツ
軍が独ソ不可侵条約を破棄してソ連へ奇襲攻撃する準備をしているとの情
報が集まった」(129p)。
外国人スパイが暗躍し、なかには二重三重のスパイが、特ダネ情報を持ち
込んだが、小野寺が信頼したスパイたちによって「ソ連の対日参戦」とい
う情報がもたらされたのだ。
しかしこの情報は日本の奥の院で握りつぶされた。

「そもそも、二十世紀最大のスパイ事件の首謀者であるリヒャルト・ゾル
ゲを筆頭に、スパイとは本質的に二重スパイである。諜報の世界ではギフ
アンドテイクが原則で、相手から情報を得るには、自分から相手に情報を
提供しなければならないからだ。問題は提供する情報の質で、誰の指示で
誰から資金提供を受けて、誰も最も忠誠を尽くしているかである」
(145p)
評者(宮崎)の見るところ、日本で情報戦が熾烈に戦われ、諜報工作、大
謀略が入り乱れての戦乱は織豊時代から?川の関ヶ原、大坂の陣までだ。
世界に誇れる情報戦が日本でも展開されたのである。そのDNAが戊辰戦
争を通して日清・日露戦争に生かされ、大東亜戦争でも現場の情報活動は
じつに優秀だったのだ。無能は日本政府、参謀本部そして官僚主義だろう。
ともかく卓越していた日本人情報将校たちに比較して、現在の日本には
「情報」がない。
結論は「インテリジャンスのDNAを呼び覚ませ」である。
 
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  ■読者の声 ■READERS‘OPINIONS ■どくしゃのこえ■
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(読者の声1)貴誌前号の中国恒大集団の経営危機ですが、ウォールスト
リートジャーナルも、昨日のトップニュースでした。ところで、この不動
産の巨人がペシャンコになると、日本はどういう悪影響がでますか?
   (HD生、西東京市)


(宮崎正弘のコメント)日本の投資家は香港を通じて株を買っています
が、日系のファンドが同社社債を購入したかどうかは不明です。株の損出
を出す日本人投資家がでるでしょう。
また中国株全体が下落すると、逆に日本株は上がるという人もいますが、
このところの日本株はウォール街が値決めしているようなもので、自律性
がなく、対米追随型マーケットですから、さきにウォール街がいかに反応
するか、ではないかと思います。
 付け加えますと、習近平の思いつきで、学習塾禁止。これにより失業し
た家庭教師はおよそ数十万人。職業安定所らしきところにならんでいると
か。ゲーム規制でテンセントなどの株暴落が続きました。
 この列にマカオのカジノ規制が加わりました。
マカオの全人口の五分の一、およそ8万2000人の職場。カジノはマカ
オの歳入の80%、昨年は前年比で80%ダウンでした。
さてカジノ規制により、マカオ株式市場をささえてきた米国のウィンが
30%下落、SJMとMGMが25%、スタンレーホーの流れを組むギャ
ラクシーが20%下落となって、時価総額で140億ドルが蒸発した由で
す。汚職の元凶と言われたカジノは庶民の娯楽でもあり、中国の末端の国
民はまた不満を蓄積させていくことになります。



  ♪
(読者の声2)中国のメディアが高市早苗攻撃を始めていますが、中国が
危険視するということはひょっとして?
  (JJセブン)


(宮崎正弘のコメント)中国語の新聞でも「極右」の台頭という基調で批
判が展開されていますが、かなりよく高市さんの履歴を調べていますよ。
とくに安倍
前総理との親密な関係、その経緯、早々と閣僚入りを果たし、党務でも総
務会長歴任など、安倍ガールズの秘蔵っ子、有名大学を出ていないが松下
政経塾から米国へいって政治の現場を体験していること。また途中まで安
倍が肩入れしてきた稲田議員がLGBTで「変節」したため、高市におは
ちが回り、国防、靖国、経済政策、歴史認識などで安倍保守本流の意見を
代弁していること。安倍は高市を試して、党内の保守本流の影響力を維持
し、拡大を狙っているなどと分析しています。
 取りわけ中国に対しての考え方が安倍に近く、靖国神社参拝を欠かさ
ず、台湾との友好関係を強化して、蔡英文総統と会見を望むことを公言す
るなどの言動があって、日本の極右勢力を狂喜させているとしています。
日本の多くの有力者が支援していることも危険な兆候などと書いていて、
中国はじつは高市総理誕生を懼れていることが分かります。
 文章から推察して、おそらく原文は日本人が書いたか、あるいは日本の
情報提供者がいて、「保守」を「極右」と置き換えていると思いました。



  ♪
(読者の声3)自民党総裁選、まいにち喧しく、論戦を繰り広げていて野
党の出番なし、ですね。しかし日本文化を無視した、と言うよりは知らな
い異邦人代議士が頓珍漢なことを言っています。今は何でも有りの幸せな
(?)時代でしょうかね。
 国運を誤らないようにしてもらいたいものです
    (TK生、佐賀) 



   ♪
(読者の声)9/11/2001年の清算その遺産。平和と安定とは、政府の「人
間」にとっては敵になる。「無駄飯を食う生意気な無用な輩」になる。
健康は、医者や医薬品会社の敵であり、病気は必要な大切な友達。犯罪者
無くして、警察も検察も司法も監獄も警備会社も意義を失う。
 戦争は、「政治家・政府の人間」にとって最大の機会になる。緊急事態
においては、超法規的に権力や予算を自由に拡大できる。いわば「素人の
独裁者」が瞬時に誕生する。危機のたびにこれらの組織が拡大し恒常化す
る。戦争のたびに米国連邦政府は肥大化した。
「戦争も病気」も人の命に関わるので、金に糸目がつけられない。(つま
り、政府=悪、国民の敵、故に無政府主義。アナーキズム「善」という正
しい解析・思想は大昔からある、が、条件反射的に爆弾を使うテロリス
ト=悪、と思うように「政府の人間」によって国民は洗脳されている。)
  ブッシュ大統領は幸運にも9/11戦争に巡り合い、右、左からも頼ら
れ、当時、たちまち英雄になった。民間機を奪った19名のテロリストが米
国内に潜んでいた、とされ、それでは「米国内の通信をも監視」すべき
だ、と言う論理で、「1984年」的な政府による「国内での全国民の盗聴」
が大規模に始まったが、秘密にされていた。
電話会社の大元の回線から勝手に盗んで記録を集めていた。
やがてGOOGLE, FACEBOOKなどが、個人の情報を秘密に集め、それを販売し
始めた。それは政府がやっていたことと同じであるが、より高度のIT技術
が使われ、ここで「官民の諜報癒着」が、効率的な国民・消費者の監視
が、公然と行われ、今日に至る。
しかし国民はこれらの独占的なIT大企業のタダのサーヴィスに毎日深く依
存しているので、文句も言えない状態になった。
 そんな弱みに付け込んで、昨年から、トランプ氏、その支持者に対して
「受動的な傍聴」から進化して大胆にも「言論封鎖」をするようになり、
ついでに「選挙の仕組み」さえも変えてしまった。
民主党・バイデン支持者達には大変都合が良いので、憲法・修正第1条、
4条、を完全に無視する。腐敗・迎合の司法も、見て見ない。そんな今日
の「非アメリカ化された1党独裁の社会」を生み出したのが、9/11の負の
功績である。
20年間のアフガン戦争も何の成果も生み出されず、返って多くの未来の敵
を生み出すのだろう。
しかし「軍産共同体の人間」にとっては、好ましい状態であり、必要に応
じて、人為的に挑発し戦争を敵を創り出す。
 少し時間がかかったが、タリバン・イスラム原理教に、堕落したキリス
ト教徒が負けた、民主主義を布教していた米国が、個人の自由が剥奪さ
れ、忌み嫌っていた全体主義国家に転落した。建国以来230年つづいた米
国も、外国からの継続的効果的な洗脳工作を受けて、内部から自らの手で
崩壊したと歴史は記すだろう。
 その原因は「banality of evil」(悪の日常化、みんなで渡れば怖くな
い, 悪が栄えるのは善人が何もしないから)。
つまり多くの指導者、官僚、企業家、役人、国民が「悪いと知りながら」
上司に従い、世論、市場原理に従い、倫理・道徳を捨て、自己の雇用保
全、短期的利益を優先する。その小さな「悪の行為の集積総合」がやがて
企業を国家をも崩壊する。これは世界共通の問題である。

 日本では「しょうがない」と全員で、薄笑いを浮かべて、同時に頭を掻
く。特に大きな困難なヤバイ問題は絶対に「スルー」する。
イカンである、ゼンショします、「過ちは繰り返しませぬから」とも言
う。そして、誰も何も期待しない。誰の責任かはもちろん不知。
 ところが、人間の介入できない「物」を相手にする、科学や技術の世界
では、諦め、諦観、受動性、無知、無能力、非論理、非合理性、「しょー
がない」は決して許されず、過ちは糾弾され再発しない。だから、進歩する。
(先日打ち上げられた四人の民間人を乗せた民間のSPACE X の宇宙船は高
度585kmで3日間の旅をした。競争相手とされるアマゾン社、ヴァージ
ン・ギャラクティック社の無重力状態はほんの1-2分で、急いで安心安
全な地上に戻る。月とスッポン。NASAが考えもしなかった火星に大量の移
民を運ぶという20年計画の始まり。もちろん利益など全然期待できない。
これは金持ちの正しい金の使い方。)
(在米のKM生)



  ♪
(読者の声4)貴誌が以前から予想されてきたようにフィリピンの大統領
選挙に元世界チャンピオンのパッキャオ(上院議員。42歳)が正式に立
候補を声明したようです。
ドゥテルテ大統領は娘を大統領選挙に出して、自分は副大統領に、つまり
「院政」を狙っているようですね。
地盤は南部のミンダナオですが、ルソン島は別の政治家の人気が高いとか。
   (DF生、山梨県)


(宮崎正弘のコメント)フィリピン与党の「PDPラバン」は主流派が別
の候補を推しており、与党分裂の選挙になりそう。マルコスの息子のボン
ボン・マルコスも副大統領に出馬します。パッキャオはフィリピン国民の
間では最も有名人。それなりに人気も高い。大混戦ですね。
at 05:47 | Comment(0) | 番外編

2021年09月26日

◆”平和憲法”を受け入れた日本の母性文化

               加瀬 英明

 今年は日本が対日講和条約によって、独立を回復してから69年たつ。

 このあいだ、米国による占領下で強要された、とうてい憲法と呼ぶこと
ができない現行憲法を、こともあろうに「平和憲法」と呼んで1行も改め
ることなく戴いてきた。

 世界のどの国であったとしても、前文で自国を腐(くさ)し、国を守る軍
を保有することを禁じた、憲法の名に価いしない憲法を独立を回復した後
に、急いで改 めたことだろう。

 どうして、日本だけが例外なのだろうか。
日本は世界のどこよりも平和が続いた、特異な国だった。

 日本は世界の主要国のなかで、女性上位の母性原理によって支配された
唯一つの国である。他の国では争いが絶えなかったから、戦いの担い手で
ある男性上位 の父性原理によって動かされてきた。

 非常識な護憲主義は、日本の1万数千年かけて培われた国柄に深く根ざ
していると思う。縄文時代は1万2000年にわたったが、自然の恵みが豊か
なため に、平和だった。古墳から戦いによる傷を負った骨が発見されない。

 戦乱の時代もあったが、世界に珍しい「和」を尊ぶ国である。日本列島
の外から多様な人々が集まったが、融合した。神武天皇即位の勅(みこと
のり)が「八紘 一宇(はっこういちう)」――天の下で差別することなく睦
(むつ)むことを命じている。 他国ではありえないことだ。

 平安時代は400年、江戸時代に300年近くも平和が続いたのも、他国にない。

 日本語ではなぜか、祖国を指す言葉として「母国」しかない。ヨーロッ
パ諸語にはドイツ語、英語のファターラント、ファザーランド(父国)、
ムターラン ト、マザーランド(母国)がありフランス語はラ・パトリ
(父国)しかない。中国語も「祖国」というが「母国」といわない。

 父親ができる子供とできない子供を峻別するのに対して、母親は均しく
愛する。男性は競い、女性は変化を嫌って安定を求め、平和を好む。

 日本では敷地にたつ主な家屋は、母屋と呼ばれる。母堂があっても、父
堂がない。女性用務員もいない男だけの学校も、母校だ。トラックや乳母
車にかけるホ ロを「母衣(ほろ)」と書くが、武士が戦場に立つ時に後ろ
首を守るために、兜にかけ た鉄鎖の網のことだ。

 「めおと」は、もともと「女男」と書いたが、江戸時代に入って武家が
男上位の社会がもたらしために、夫婦を「めおと」と読ませた。どうして
「夫」を、 「め」と発音できるのか。いまでも、和船に用いる両端が
尖っている釘は、女男(めおと) 釘(くぎ)と呼ばれる。

 平安時代に外の世界では、女性はほぼ全員が文盲だったが、日本では女
性が洗練された文化を担った。今日でも、日本文化の柱となっているかな
文字は、「お んな文字」といわれて女性が創った。

 日本では、男が女に甘える。西洋では、女が男に甘える。日本では男が
我儘だが、西洋では女が我儘だ。弱いほうの性が我儘になり、強いほうの
性が耐える。

 現行の“平和憲法”は、成り立ちが怪しいうえに、日本の平和が守られて
きたのは“平和憲法”によるものでなく、米国の軍事保護によるものだが、
現行憲 法が日本の
母性文化に適合しているから、日本の土壌に深い根を降していると思う。

 男は論理を重んじ、女性は感性によって生きている。男は簡潔に話す
が、女性は感情に訴えるから長い。

 日本では男は女性に煽(おだ)てられて、男らしく振る舞う。西洋では男
が男に「男らしくしろ(ビー・ア・マン)というが、日本では女性が男に対
して「男らしくしなさい」と叱る。

 日本が戦争に敗れ、日本の再興を恐れた米国が、日本から男らしさを消
去して、女性がいっそう強くなったのも、“平和憲法”を“不磨(ふま)の大
典”としているのだろう

 

━━━━━━━━━━━━


◆ 河野氏の曖昧な突破力
【阿比留瑠比の極言御免】 

 「突破力」を売りに、自民党総裁選レースで優位を保つ河野太郎ワクチ
ン担当相の言葉が、曖昧なのが気になる。政策実現の道筋と根拠をはっき
りさせないまま政権の座に就き、公約を守れず頓挫した民主党政権を連想
してしまう


消費税率ぼかす

 「税率は、それだけが切り取られて先に出るからいわないようにしている」

 河野氏は18日の日本記者クラブ主催の討論会でこう言葉を濁した。自身
が掲げる年金受給額に最低保障部分を設けたうえで、財源として保険料で
はなく消費税を充てる制度改革を実行した場合、どれほどの増税になるか
を高市早苗岸田文雄の両政調会長経験者に追及されてのことである。

 岸田陣営幹部は漏らす。

 「この問題は、これからドツボにはまっていくんじゃないか。消費税率
は20%くらいになってしまう」

 高市陣営からも、こんな突き放した声が聞こえる。

 「やれば消費税率は5%は上げなくてはならないし、やろうとしたら誰
も基礎年金は払わなくなる」

 国民生活を直撃する大幅増税問題について、具体的な数字を示さずにぼ
かそうとする河野氏の手法は、後に手痛いしっぺ返しを招くのではないか。

民主党政権下でも

 筆者は討論会を見つつ、民主党の菅直人政権当時の平成23年2月の衆院
予算委員会での質疑を連想した。民主党は、河野氏と同じく全額税方式の
最低保障年金(月額7万円)を政権公約(マニフェスト)で約束していた
が、政権交代して1年5カ月がたつ時点でも税率一つ示せていなかった。

 問題の予算委で、公明党の石井啓一政調会長(当時)が「最低保障年
金、税方式でやるといくらになるのか」とただすと、菅(かん)首相はしど
ろもどろで答えた。

 「まだ具体的な数字をこれまで固めていない」

 これには民主党に所属していた財務省の桜井充副大臣も記者会見で、あ
きれてこう批判したのだった。

 「マニフェストを作った人たちに、もう少し説明してもらいたい。ごく
一部の人が作ったので、われわれは情報が与えられないまま議論が進めら
れている」

 現在、河野氏の考える増税率について、河野陣営の議員たちが具体的に
聞いているとは思えない。

首相になった瞬間に

 また、河野氏は安全保障面でも曖昧である。弾道ミサイルを相手国領域
内で阻止する敵基地攻撃能力の保有に関しては、「昭和の時代n概念だ」
「敵基地ナントカ能力」と揶揄(やゆ)する一方で、自身は「日米同盟でい
かに抑止力を高めていくかだ」と述べるにとどめ、具体的なことは言わない。

 さらに、河野家の「ファミリー企業」で実弟が社長を務めており、河野
氏自身も株主である日本端子が、中国でも事業展開していることから対中
政策への影響が懸念されている件への説明も、木で鼻をくくったようだっ
た。河野氏は21日の記者会見で強調した。

 「私の政治活動に影響を与えることは全くない」

「資産報告を毎回しっかりやっており、何の問題もない」

 だが、きちんと報告しているから問題ないという主張は、立憲民主党の
小沢一郎元自治相の資金管理団体「陸山会」が、多額の不動産を購入して
追及された際の反論(ほうふつ)を彷彿させる。

 「今は騒がれなくても、もし首相になったらその瞬間に問題になるだろう」

 自民党重鎮は予想する。確かに、対中関係で何かを決めるたびに、日本
端子との関連が取り沙汰されるのは想像に難くない。河野氏はもっと具体
的かつ丁寧に語るべきではないか。

(産経新聞論説委員兼政治部編集委員)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文 
【産経ニュース】採録

          

━━━━━━━━━━━━


◆海航集団の規模を上回る負債

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)9月19日(日曜日)参
通巻第7060号  

恒大集団の倒産は、中国金融システムをどれほど揺らすか
  明天、安邦、海航集団の規模を上回る負債。不動産バブル崩壊が本格化

 杜子春は芥川龍之介が中国の古典からヒントをえた短編小説だが、日本
では人生の激しい浮き沈みの喜怒哀楽と悲哀がただよっているため、感動
的に読まれた(中国古典には、似たような話があるが、杜子春はまったく
芥川の脚色)。

 日暮れの町辻で金持ちの息子杜子春が放蕩の限りを尽くして無一文。
しょんぼりうなだれているところへ顕れた仙人が「ここを掘れ」という。
たちまち黄金がザクザクとでた。またまた放蕩三昧、贅沢の限りをなして
落ちぶれて乞食。そこにまた仙人が出現し、「あそこを掘れ」。またもや
黄金がザクザク。贅沢三昧に惚けるが、要はカネがあるときはちやほやさ
れ、人がなれなれしく寄ってくる。即席の友人もできる。或いはカネを
狙った愛人となる。ところがカネがなくなると誰も寄りつかない。世間の
冷たさ、友情の本質と打算を寓話にしたのだ。

 『フォーブス』で「世界の金持ち」と称賛された中国人は山のようにい
る。アリババの馬雲はすっかり表舞台から消え、ハーバードビジネスス
クールに招かれ講演したほど意気軒昂だった王健林も、いまは落ちぶれ
た。うきしずみの激しさ!

 飛ぶ鳥を落とす勢いだった許家印(恒大集団CEO)は、2017年の
ピークから、落剥して杜子春の如く烈風に曝されている。倒産は秒読みと
なった。
 恒大集団が倒産すれば、あまりにも規模が大きく中国の金融システムを
揺らすだろう。なにしろ中国の株式市場の規模は邦貨換算で5000兆円
をこえる。
 6月末の証券報告書に拠れば、恒大の社債、株式をファンドに組み込ん
でいた欧米勢のファンド、とくに「アシュモア・ファンド」(英国)は
440億ドルを保有していた。UBS、HSBCなど世界に名だたる名門
老舗銀行が名を連ねていた

 恒大集団は不動産バブル時代、次々と強気に投資し、あちこちにマン
ションを建設し、頭金を集めて回転資金とし、次の投資へと、猪突猛進、
CEOの許家印は全人代委員にも選ばれ、また21年7月1日の共産党百
周年記念式典にも出席した。
 恒大の負債は最大時に8700億元だった。21年六月末の証券報告に
拠れば、保有する物件価値が4568億元、表向きの負債は1兆9670
億元、有利子負債は5718億元、手元現金が867億元とされた(1元
は21年9月19日現在=17円)。

 ファンドが投げ売りを始めたため恒大集団の株は下落、傘下の恒大自動
車は93%の株価暴落、恒騰ネットは85%の暴落
 この時点で中国不動産大手の負債率は、恒大が88%、万科が83%、
碧桂園が85%、緑地が89%、融創が93%、華夏幸福が83%などで
あった。

 メインバンクは慌てて「貸しはがし」に入る。物件の抵当処分、担保権
の設定強化、経営監視など、だが「時、既に遅し」。
 リーマンショックの引き金となったリーマンブラザーズCEOは名言を
はいた。「皆がダンスを踊っているときに、ひとり逃げ出すわけにはいか
ない」。
銀行は顔面蒼白となった。
 内蒙古省の包商銀行は明天証券系で、負債総額2059億元(9・5兆
円)で倒産し、国有銀行に衣替えした。安邦保険のメインバンクは成都農
業銀行だった。トウ小平の孫の女婿だったCEOの呉小輝さえ、土壇場で
救われなかった。
恒大のメインは盛京銀行で、ほかに200行以上の金融機関と取引がある。

 安邦保険は高利の保険商品を売って巨額を集め、それを無謀なM&A
や、NYのウォルドルフ・アストリアホテル買収、まるでマルチ商法だ
が、2017年にCEOの呉小輝は詐欺罪で拘束され、翌年18年の禁錮
刑、個人資産1800億円没収となった。
日本にも500億円相当のマンション物件を保有していたが米国ファンド
に叩き売った。

 なんとか倒産を免れた大連の萬達集団は、資産の殆どを売却して裸同然
となった。まるで杜子春である。
CEOの王健林は萬達ホテルチェーンが76軒、テーマパークをあちこち
に建設して運営、ショッピングモールにマンション建設、旅行会社、そし
て欧米の映画館チェーンAMCを買収したほか、ハリウッドの映画スタジ
オも買収した。飛ぶ鳥を落とす勢いで、「習近平主席とのコネの強さ」を
自慢したものだった。
 しかし、その絶頂期に不動産バブル崩壊の危機を察知した王健林は迅速
に資産売却に動いた。なんとか滑り込みセーフとなった珍しい例である。 
   ☆▽□☆◎み☆◎□☆や□▽◎☆ざ▽◎□☆き◎☆◎▽
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樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラ 
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樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2277回】             
 ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港159)

     △
 戯迷の道に迷い込んでしまったナゾは、今に至っても全く分からない。
どう考えても解き明かせない。解き明かせないままに、当時の京劇三昧の
日々を、少しばかりの慚愧の念を込めて振り返ってみたい。

 検場になろうなどと無謀が過ぎたと大いに反省したことはもちろんだ
が、ならば決意も新たに第六劇場に通い詰めるしかない。かくして、とに
もかくにも第六劇場中心の生活へと突き進んだ。

 当時の生活サイクルの一例を思い出してみると、夕方に研究室を出て第
一日文へ。授業は6時から9時まで。学生の相手をしているヒマはない。9
時以降の授業料はもらっていない。だから授業が終わると学生の質問は一
切拒否し、駆け足で近くのバス停へ向かい12号のバスに飛び乗った。学生
の間に京劇通いが知られるようになると、「先生、急いで」と半ば呆れ顔
で見送ってくれたものだ。

 夜の9時を回っているから道路は空いている。バスは弥敦道(NAITHAN
ROAD)を一気に北上し、亜皆老街(ARGYLE STREET)の少し先で左に折れ◎
枝角道(LAI CHI KOK ROAD)に入る。
やがて終点の?園だ。正面入り口から入らず、手前を左折し壁沿いに少し
進む。客家料理レルトランの厨房入り口が、暗がりにポッカリと口を開け
ている。

 そこから厨房の中を通って客席の脇を抜け、レストランの正面から外に
出て、第六劇場に走り込む。この無料入場ルートを教えてくれたのは、第
六劇場の戯迷仲間だった。
第六劇場は顔パスだから切符は不要。舞台を見詰めながら客席真ん中の通
路を進み最前列へ。左右の戯迷仲間に挨拶をしてからユックリと「指定
席」へ。
それから、当時は弥敦道界隈で最も大きく品揃えが豊富だった中原電器行
で大枚を叩いて買ったカセット・レコーダーを舞台袖に置いてスイッチ・
オン。もちろん、電気は舞台照明用のコンセントから拝借である。ここま
で、第一日文の教室から30分、40分。これから劇終(まく)までの1時間
ほどが至福の時だった。

こうしてライブの舞台を録音したテープは600本以上。先日、それを
引っ張り出して試しに動かすと、リッパに音が出る。舞台の声から童伶た
ちの舞台が思い浮かぶだけではなく、戯迷仲間の雑談も録音されているで
はないか。たちまち半世紀ほど昔の第六劇場が脳裏に蘇ったことは、言う
までもない。

 さて家庭教師と第一日文で稼いだカネの大部分はレコード、カセット・
テープ、録音用のナマのテープ(いちばんお世話になったブランドは、
「SONY」のデザインそっくりの「SUNY」だった)、京劇観劇のための台湾
旅行費、京劇関連書籍代、それに時々の「タニマチ代」。第六劇場が顔パ
スになったのは通い出して1年ほどが過ぎた頃だから、やはり出費は少な
くはなかった。

 京劇漬けの日々は、当然のように生活費全般を圧迫する。そこで食費を
切り詰めるしかない。かくして体調は狂い出す。留学当初は80キロを大幅
に上回っていた体重も、いつしか70キロから60キロ。やがて60キロを下回
り50キロ以下。じつに30数キロのダイエットである。「戯迷ダイエット」
と言えば聞こえはよさそうだが、完全に栄養失調状態。最悪時は痩せの危
険ラインを大きく下回るほどだった。

 かくして日本から持って行ったズボンは、どれもがブカブカ。バンドは
腰を2周り寸前。体に合ったズボンやバンドの新品を買えばいいものを、
そちらに回す金銭的余裕はない。いや、そもそも、そんなことを思いつく
こともなく、京劇、京劇、第六劇場、第六劇場だった。
 ともかくも夕方になるとウズウズ、ソワソワ・・・奇妙・奇態・妙・不
思議。
   ○△□◇ヒ◎○△□イ○△□◇ズ◎○△□ミ△□◇◎   
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆     
  ■読者の声 ■READERS‘OPINIONS ■どくしゃのこえ■
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
(読者の声1)貴誌前号に紹介のあったホイットニー・ドゥアン著『レッ
ド・ルーレット』ですが、アメリカで最初に出版されたのには理由があり
ますか? この類の本は先ず、香港で出版され、英訳されてきたのが定石
でしたから。やはり香港の弾圧、表現の自由がなくなったことが原因で
しょうか?
   (HD生、西東京市)

(宮崎正弘のコメント)よく背景は解りませんが、ゴードン・チャンの
『来るべき中国との戦争』のように、最初から英語で書かれたのではと思
います。ユン・チュアンの『ワイルドスワン』が大ヒットして以来、中国
人作家はまず英語圏で勝負をかけてくる傾向がありますから。

2021年09月25日

◆【変見自在】日本は偉かった

        高山 正之 『週刊新潮』

15歳のシンハラ人ジュニウスはコロンボの埠頭で見た戦艦「香取」の威
容と、そのときの感動を生涯忘れることはなかった。

 少年は目撃できなかったが、1万6000トンの戦艦には日本のプリンス
裕仁が座乗されていた。訪英される途次、英領植民地セイロンに立ち寄ら
れたのだ。

 それでも少年は艦上を行き来する自分と似た肌色の士官の姿を見ること
はできた。

 日本海軍は凄かった。少年が生まれる前の年、彼らは対馬沖で倍する露
西亜艦隊と戦い、それを悉(ことごと)く沈めてしまった。

 第一次大戦でも青島(チンタオ)の独軍要塞攻略に飛行機を初めて使い、勝利
した。

 彼らは地中海にも出てUボートの脅威から連合軍艦船を守ってもいる。

 日本人は戦争に強いだけではない。先年のパリ会議では第三世界を代表
して人種平等案を提起した。

 しかし少年の住むセイロンを含めて世界は白人が仕切っていた。日本案
は白人国が強引に廃案とした。

 それでも「日本人が掲げた思いに独立を望むアジアの人々は強烈な共感
を覚えた」と少年はずっと後に語っている。

 少年はこのときから変わった。シンハラの上流子弟の形だったキリスト
教を捨てて民と同じ仏教に転向した。最高裁判事の父の歩んだ法曹の世界
も捨てて政治家を志した。

 そしてジュニウスは再び日本軍を見た。今回は空からやってきた。

 日本は植民地帝国主義によって世界を壟断してきた白人国家にただ一国
で挑戦したのだ。

 まず太平洋を仕切る米太平洋艦隊を真珠湾に葬った。その二日後には英
戦艦プリンス・オブ・ウェールズを仏印沖に沈めた。

 インド洋には英東洋艦隊がいた。豪蘭艦隊を合わせて空母3、戦艦5、
巡洋艦6の大艦隊だ。

 戦端は日本機によるセイロンの英軍港トリンコマリー空襲で開かれた。

 爆撃音を聞いてジュニウスは日本がついにインド洋に入ったことを知った。

 港外に逃れた英艦隊は捕捉され、空母ハーミーズと2隻の重巡が沈めら
れた。英海軍の勢力圏はマダガスカルまで後退した。

 彼らが再び戻ってくるまでの3年間、日本は東南アジアの国々に統一言
語と彼ら自身の軍隊を持たせた。

 日本軍は英領インドの解放戦線にも乗り出し、コヒマに取り付いたとこ
ろで反攻を受け、全滅した。

 しかし「日本人が掲げた思い」は戦後、見事に実を結んでいった。

 1951年9月6日、サンフランシスコのオペラハウスで開かれた対日
講和会議に参加した国々の中には戦前まで白人国家の植民地だったインド
ネシア、ベトナム、セイロン、カンボジアなどがあった。

 各国代表は壇上で短いスピーチをし、講和条約に署名したが、その前に
米国務長官J・ダレスがお手本となる基調講演を行った。

 そこには「日本は他国民の希望を暴力でおし潰して敗れ去った」とあった。

 しかし8番目に登壇したセイロン代表ジュニウス・ジャヤワルダナはダ
レス演説を否定した。

 「アジア諸国民が植民地だった時代、日本だけが強力かつ自由で、我々
は我々を解放する守護者として仰ぎ見ていた。日本が掲げたアジア共栄の
スローガンは我々に強く訴えるものがあった。戦争が始まると各国指導者
は祖国の解放を望んで日本に協力した」

 「だから」と少年時代の感動を裏切らなかった日本に感謝しながら続け
た。「我が国は対日賠償請求権を放棄する」

 エジプト代表もダレス演説に逆らい、日本に米軍が駐留する理不尽を衝
くなど数多の異論が飛び出した。

 講和条約調印から70年目となる日、スリランカ大使館で「ジャヤワルダ
ナ大統領を忍ぶ会が開かれた」と産経新聞にあった。

 しかし先の戦争は正しかったという故人の主張が気に食わなかったか、
朝日も毎日もボツだった。

 日ごろ、歴史を直視しろと説教する割に、見ないふりが酷すぎないか。


高山正之氏の本紙連載が、文庫になりました。

『変見自在 習近平は日本語で脅す』(定価605円)絶賛発売中。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文 採録
          
       


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


◆雀庵の「常在戦場/87 キリスト教 vs イスラム教/続」
“シーチン”修一 2.0

【Anne G. of Red Gables/367(2021/9/23/木】彼岸で墓参。カミサンは奄
美へ飛び、「多分、島に帰るのはこれが最後になりそう。コロナ禍でよそ
者は黴菌扱いだから、実家に籠っているしかないわ・・・」とちょっと寂
し気。

止まない雨はない、疫病もそのうち特効薬が開発されるだろう、今は耐え
るしかないと淡々と暮らす人は日本では多数派のようだが、世界を見渡せ
ば「もうウンザリだ! 俺は俺の道を行く」という人も結構いるようだ。

人生いろいろ、それは歴史、思想、宗教、学問、身分、貧富、民族性など
によるのだろうが、千年二千年とかの長い時間の中で培われてきたものだ
から、それを変えることは難しいし、無理を通せばろくなことにはならな
い。特に外交では距離をもって付き合うのがいいのだろうが、現実には対
立、敵対、紛争、戦争だらけ。人類の性か。

前回に続き、ハッジ・アハマド・鈴木氏の「イスラームの常識がわかる小
事典」を元にした架空インタビューから学んでいこう。

・・・・・・・・・・・・・・・・

――イスラーム国と言うとオスマントルコを思い出しますが、今は「オスマ
ン帝国」と呼ぶようになりました。建国が1299年で、帝制が廃止された
1922年まで、600年以上も続いた大帝国ですね。「世界史の窓」によると、


<14〜20世紀初頭まで存在したイスラム教スンナ派の大帝国。小アジアか
らバルカン半島、地中海にも進出、君主であるスルタンが教主カリフの地
位を兼ねる体制をとり、イスラーム教世界の盟主として16世紀に全盛期を
迎え(対立する)ヨーロッパ=キリスト教世界に大きな脅威を与えた

17世紀末から(逆に)ヨーロッパ諸国の侵攻を受け、またアラブ諸民族の
自立などによって領土を縮小させ、次第に衰退。19世紀、近代化をめざす
改革に失敗、第一次世界大戦でドイツと結んだが敗れ、1922年に滅亡した>

「オスマン帝国はトルコ系オスマン族の建てた国。1453年にビザンツ帝国
(ローマ帝国末期の呼称、キリスト教系のギリシア正教)の首都コンスタ
ンティノープルを制圧、イスタンブールと改名したのを皮切りに、イラン
から北アフリカ沿岸を含む広大な地に君臨した。

中でも1520年に即位したスレイマン1世は黄金時代を築き、ヨーロッパ制
覇に乗り出してベオグラードを陥落させ、ウィーンまで到達している」

――イスラームは欧州のキリスト教に押されるばかりではなく、積極的に攻
める、版図もしているわけですね。いつ頃から始まったのですか。

「711年のスペイン(イベリア半島)征服から始まった。ターリク隊長が
ジャバルという地に第一歩を記したから、その海峡をジャバルターリク
『ジブラルタル』と呼ぶようになった。732年にはピレネー山脈を越えて
フランスのボルドーに達している。


スペインは『レコンキスタ(再征服、国土回復運動)』と呼ぶキリスト教
徒の反撃で奪回されるまで、800年もイスラーム圏だった。


イベリア半島からムスリム(イスラーム信徒)が完全に姿を消したのは
1492年のグラナダ陥落からで、勢いを増したキリスト教徒の進撃はその頃
から始まる。これがスペインとポルトガルによる「大航海時代」へと続
き、征服者たちは新大陸の先住民を徹底的に抹殺し、インカ帝国(ペ
ルー)やアステカ帝国(メキシコ)を亡ぼした。

イスラーム勢と西欧との重要な対決は1571年の『レバンテの海戦』で、オ
スマン帝国海軍がスペインの無敵艦隊に破れてからイスラームの地中海覇
権は終わりをつげ、以後、オスマン帝国は凋落の道を辿って1922年に滅亡
した」

――“レコンキスタ”によるオスマン帝国の滅亡と、その後の「トルコ共和
国」の誕生は、イスラームがキリスト教国に完全に屈服させられた印象を
受けます。1924年にはカリフ制(宗教指導者による政治)を廃して政教分
離を実現し、トルコ共和国憲法を制定、主権在民、一院制の議会制度、大
統領制などを規定した。


これらの“世俗主義政策”によってイスラーム教による宗教的政治から脱
し、トルコは表向きには西洋キリスト教国風の「近代国家」として自立し
たわけですが、基本的にキリスト教国からなるEU加盟交渉は停滞気味であ
り、また軍事同盟NATOからの脱退も噂されており、未だに揺れ動いている
印象があります。

「近代は、ヨーロッパ勢による大規模な侵攻がアジア、アフリカ、アメリ
カ大陸へと展開された時代だった。その根底には西欧型文明を最善とする
キリスト教至上主義があり、他の文明を否定する傾向が強かった。

中東においてはオスマン帝国の領土は植民地化により欧州諸国に侵食さ
れ、支配下に置かれていった。特に第一次世界大戦がその動きに拍車をか
け、例えば英国将校の“アラビアのローレンス”の任務に見られるように、
オスマン帝国の領土を奪いアラブ諸民族に与えるという名目で、それらの
地域を欧州列強の支配下に置くというものだった。

トルコ共和国は近代化のために“脱イスラム、入ヨーロッパ”で西欧との一
体化を目指した。“過去清算”のためにアラビア文字をローマ字表記に変
え、暦をビジュラ暦からグレゴリア暦に改め、法律制度にスイス法を導入
した。これらは初代大統領の名をとって“ケマル主義”と呼ばれ、エリート
層の基本的な考え方になっている。

しかしトルコ国民の大部分はムスリムであり、その西欧化が果たして正し
い選択であったのか、100年を経た現在でもその評価は定まっていないよ
うだ」

――トルコのエルドアン大統領は、トルコも一員であるNATO≒キリスト教国
と反NATOのイスラーム教国やロシアの間の橋渡し役として存在感を高めて
いるようです。

<現状でアフガニスタンのタリバンと交渉可能な国は、ムスリムが多数で
外交上のつながりが深いパキスタン、カタール、トルコの3カ国に限定さ
れている。トルコはパキスタン、カタールとの関係も良好であり、国際社
会とタリバンの間の仲介を行なえる可能性のあるアクターとしてその存在
感は増している>(Wedge 9/15)。

第2次大戦後に実に多くのイスラーム系植民地が独立しましたが、イス
ラーム教国の復興という面でトルコ、あるいはエルドアンはリーダーシッ
プを取るのではないかと思いますが。

「第2次大戦後に多くの植民地が独立してイスラーム教国になった。例え
ばアルジェリアがフランスから独立を勝ち取ったのは1962年。アラブ首長
国連邦、カタール、バーレーンなどの湾岸諸国が英国から独立したのは
1971年。今日のイスラーム諸国のほとんどが新興の独立国だ。

つまり独立の歴史が浅い上に、異なった民族、宗教、慣習が絡み合い、そ
こにエネルギー資源の争奪戦も加わり、不安定な構造になっている。これ
に追い打ちをかけ、中東地域に衝撃を与えたのがユダヤ人によるイスラエ
ルの建国だった」

――イスラエルは1948年5月に独立宣言、それ以後はイスラエル・ユダヤ
教・ユダヤ人対パレスチナ・イスラーム諸国・アラブ人の対立が始まっ
た。宗教観は人それぞれでしょうが、「宗教は人間の幸福のためにある」
と考える人もいれば、「人間は宗教の世界制覇のためにある」と考える人
もいる。混沌とした世界に秩序をもたらす解はあるのか・・・次回もよろ
しくお願いします。




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◆第21回「上海協力機構」

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)9月19日(日曜日)弐
通巻第7059号  

第21回「上海協力機構」首脳会議をドシャンベで開催
  プーチン、習近平らオンラインで30の協定に署名

 9月17日のドシャンベ。タジキスタンの首都である。
 SCO(上海協力機構)も首脳会議は21回目。最初の構成メンバー
五ヶ国(中国、タジキスタン、ウズベキスタン、キルギス、カザフスタ
ン)にロシア、インド、パキスタンが加わり、イランがオブザーバー。
ここには「対話パートナー」としてエジプト、カタール、サウジアラビア
もオンライン会議には加わった模様である。

 今回の開催地はドシャンベだが、人民大会堂から中継した中国は、習近
平がよく喋った。報告の中で米国をなざしすることは避け、「外国軍が撤
退した」とアフガニスタンのその後のインフラ建設への協力を議題とした。

 アフガニスタンの人民を鼓舞するためにも、参加国は協力し合い、共通
する総合的な協力のために、そして持続可能なアフガニスタンの安全保障
のためにも、テロリストへの戦いはもっとタフであってよいし、中国は
ETIMの排除をアフガニスタン政府に要請し、同意を得ている、とした。
 習近平はまた、[SCTC]との協力も突如、言い始めた。
 SCTCとは、ロシア主導でユーラシアの平和と安全に協力する機構
で、ロシア、ベラルーシ、アルメニア、カザフスタン、タジキスタン、キ
ルギスが加盟している。習は、このSCTCとSCOとの協力関係のメカ
ニズムが必要だとも発言した。

 SCOは次の五年で、2・3兆ドルに貿易は拡大するだろうと薔薇色の
未来が語られ、一帯一路プロジェクトの当該地域への双方の利益を強調した。
   ☆▽□☆◎み☆◎□☆や□▽◎☆ざ▽◎□☆き◎☆◎▽
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  ■読者の声 ■READERS‘OPINIONS ■どくしゃのこえ■
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(読者の声1)貴誌前号の『怒号の日々』書評について。チャールズ・リ
ンドバーグが「アメリカファースト」委員会の中心人物だったことは確か
です。
アメリカの国益を守るなら、ヨーロッパの戦場に宣戦するべきでないとい
うことが「アメリカファースト」の主要な意見でしたし、リンドバーグも
そうでした。
しかし少数派ながら日本との関係の悪化が戦争の火種になることを心配す
る一群の人々も「アメリカファースト」に集いました。その一人が私が発
見したラルフ・タウンゼントです。彼もまた「アメリカファースト」の中
で精力的に活動していましたが、真珠湾攻撃後は日本のエージェントと見
なされて、二つの罪で戦時中、屈辱の日々を過ごさねばなりませんでした。
一方、リンドバーグは日本の真珠湾攻撃に驚きました。そう思う人は少な
くなかったようです。Back door to war 欧州でなく、裏木戸からの参戦
ですね。米兵による日本兵に対する残虐行動を日記に記述していたリンド
バーグも、決して聖戦とは思えず、back door to war であると思ってい
たに違いありません(田中秀雄)


  ♪
(読者の声2)貴誌前号にあるスレイマニ司令官は2021年1月3日で
はなく、2020年1月3日に米軍のドローンにより殺害されました。本
年の1月3日はすでにトランプ氏が大統領選に敗北し、3日後の6日は議
会前広場の集会や議会への乱入騒ぎで、不正選挙を糾弾していた頃です。
もとより、バグダット空港近くで起きたショッキングなスレイマニ将軍の
暗殺は、1月6日のDC集会の直近には起きていません。昨年のことでした。
 (MKM)

   ♪
(読者の声3)貴誌前号でしたか、アマゾンが中国ブランド品3000の
取引を停止したとありましたが、その後の主要メディアは報じておりません。
 追加情報はありますか?(DD生、横浜市)


(宮崎正弘のコメント)要するにニセモノ、偽ブランド対策ですね。あま
りにもニセモノが多く、なにしろ中国では偽札が通貨流通の2割だったの
で、デジタル通貨、銀連カードなどを普及させたのですから。
 日本でも被害続出ですが、なかには半導体不足を狙っての偽半導体か
ら、偽電池まで。医療機器も通販の三割がニセモノと言います。バイアグ
ラも殆どが。。。。ま、半導体とか医療機器を通販で買うのもどうかして
いますが。

  ♪
(読者の声4)欧米で中国人の書いたホイットニー・ドゥアン著『レッ
ド・ルーレット』という本が、中国共産党幹部の汚職、腐敗を具体的に
抉っていてベストセラーとなっているようです。実際に汚職の現場にいた
人物か描き、しかも元妻が出版取りやめを要請したとか。話題性豊富で
す。翻訳がでたら読みたいと思いますが、先生はお読みになりましたか?
(JH生、大坂)


(宮崎正弘のコメント)中国名は段偉紅という、北京から突如汚職で逮捕
されそうになって消えた人物です。ランクのべらぼうに高い幹部との繋が
りがあった。だから逮捕されると消される可能性があったと宣伝されてい
います。
 フィナンシャルタイムズの書評で読んだ限りでは、あたらしい証拠の提
示は少なく、これまでにも言われてきた温家宝一家の不正蓄財などを書い
ているようですね。新味と言えば高級幹部の要求する賄賂が30%のとき
もあるとか。
 版元はスクリブナーズですから、日本で言えば講談社が鳴り物入りの宣
伝をかけて出した目玉本というところでしょうか。

2021年09月24日

◆【正論】自衛隊最高指揮官になる覚悟は

 織田 邦男
 
    元空将 東洋学園大学客員教授

自民総裁選候補者に問う

 自民党総裁選が17日告示された。事実上、総理大臣を選ぶ選挙である
と同時に、自衛隊の最高指揮官を選ぶ選挙でもある。かつて「改めて法律
を調べてみたら、首相である自分が自衛隊の最高指揮官であることを知っ
た」と述べた総理大臣がいた。この二の舞いは御免被(ごめんこうむ)り
たい。

 最近の自衛隊は「平和と独立」を守る主任務以外でも、働き詰めの印象
がある。8月下旬は「邦人等の輸送」でアフガニスタンに飛んだ。東京五
輪・パラリンピックでは約8500人の自衛官が駆り出された。8月中旬
の大雨では長崎県および佐賀県で、そして7月には静岡県熱海市の大規模
土石流災害で捜索、救助にあたった。

 新型コロナのワクチン接種では5月24日から東京と大阪で大規模接種
にあたっている。余談だが民間の医者は、1回接種で約7000円の手当
が出るらしい。自衛隊医官の場合、何回接種しようと日額3000円とい
う。割り切れない思いがあるが、ここでは触れない。国民を助けるのは自
衛隊の役目といえばそれまでだが、自衛官も生身の人間であることを忘れ
てもらっては困る。

 現在9割を超える国民が自衛隊の存在を支持している。好感度を押し上
げたのは、東日本大震災での活躍が大きい。だが文句を言わぬ自衛隊に甘
えてか、最近では鳥インフルエンザや豚熱の殺処分、ガレキの撤去からゴ
ミ処理までまるで「便利屋」扱いが気になる。

 「平和と独立」を守る自衛隊を災害派遣に投入するには、「公共性、緊
急性、非代替性」の原則がある。原則から外れた便利屋扱いは、自衛隊の
訓練機会を奪い、練度を下げ、結果的に自衛隊の精強性を奪う。それは抑
止力低下というブーメランとなることを国民には知ってもらいたい。
自衛隊を目の敵にする勢力

 未(いま)だに自衛隊を目の敵にする勢力があるのも心を痛める。自衛
隊のオリ・パラ支援を「治安出動態勢を狙う」と言った。訓練で市中行進
する際、「迷彩服、お断り」の横断幕でご丁寧に迎えてくれる。海賊対処
で出航する自衛艦を「自衛隊は憲法違反」の怒号で見送ってくれる。

 自衛隊を日陰者扱いしようとするメディアがあるのも事実だ。災害現場
のニュースを「警察、消防など(・・)が捜索活動…」と「自衛隊抜き」
で報道する。最近は大分変わってきたようだ。「など(・・)」が「自衛
隊」に変わるのはOBとして何より嬉(うれ)しい。だが活動中の警察
官、消防隊員を写しながら、「迷彩服」だけは避けるという絶妙のカメラ
ワークに苦笑することもある。諸外国ではありえないことだ。9割を超え
る国民が自衛隊の存在を認めるとはいえ、未だに憲法学者の約6割が自衛
隊を憲法違反としているからだろう。自衛隊の存在は政治的には解決して
も、法的には解決していない。この現実を総裁候補者はどう認識している
のか聞いてみたい。

 現役時代、いつも思っていた。憲法学者は、自衛隊を憲法違反と主張す
るなら、なぜ「解散すべき」と言わないのか。さもなくば「改憲すべき」
と言うべきだ。日本は厳しい安全保障環境に置かれている。災害大国日本
にあって自衛隊を「解散すべき」という勇気はない。さりとて「改憲すべ
き」と言うのも立場上できないのだろう。「憲法違反」と言いっぱなしで
は、無責任かつ不誠実である。

 日本共産党はまだ正直だ。志位和夫委員長は「私たちは、自衛隊の憲法
上の判断では、違憲という判断」と述べ、「憲法9条の理想にあわせて自
衛隊の現実を変えること」を選ぶという。だが、自衛隊解散までの間に
「日本に対する主権侵害があった場合には、自衛隊を活用します。あるい
は大きな災害があったときには、当然、自衛隊員のみなさんには頑張って
いただきます」と言う。大変正直で結構だが、こんな身勝手さが通用する
とでも思っているのか。
「命をかけろ」と言えるか

 自衛官には事実上、言論の自由はない。それに政治は甘えていないか。
自衛隊を便利屋扱いし、こき使ったあげく50代後半には放り出してハ
ローワークに行けという。困った時の自衛隊頼みの割には未だに6割以上
の地方自治体が募集協力を拒否しているという。

 自衛隊は志願制であり、いつでも辞められる。志願者が減れば自衛隊は
縮小し、質は低下する。最近では自衛隊パイロットの早期退職が問題に
なっているらしい。これに対し訓練費用の返還を義務付ける「償還金」制
度の導入が検討されているという。元パイロットの筆者も正直驚いた。官
僚の浅知恵とはいえ、これでは世界の笑いものになる。

 少子化が加速する今、精強な自衛隊は所与のものではない。処遇改善も
必要だが、まずは6割の憲法学者が違憲という状態を解消することだ。こ
れを放置しながら、スクランブルに、島嶼(とうしょ)奪還に、災害派遣
に命をかけろというのは、あまりにも身勝手過ぎる。候補者には、自衛隊
最高指揮官としての覚悟を語ってもらいたい。(おりた くにお)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文 
【産経ニュース】採録



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◆衝撃が中国、露西亜、EUを揺らした

「宮崎正弘の国際情勢解題」
 
令和三年(2021)9月17日(金曜日)弐
通巻第7056号  

 衝撃が中国、露西亜、EUを揺らした「オーカス」(AUKUS)
  フランスは激怒、豪・英国内でも反対論が突出。
ロシアは原子力の恐怖を語る


 9月16日、米英豪首脳会談で発表されたオーカスは、豪海軍に原潜技
術を供与するという中国封じ込め戦略の一環だが、今後18ヶ月以内に具
体的な計画を煮詰め、最終的に8隻の原潜を豪が保有することになる。
 軍事専門家からみれば、核ミサイルを積み込まない原潜にいかなる軍事
的意味があるのかと疑問視する向きもある

 世界各国の反応を比較してみよう。
 中国は激怒にふるえ、「豪兵士が一番先に死ぬことになる。英米豪は冷
戦構造のメンタリティで対応しているからだ。これは核戦争の可能性が高
まるという脅威に繋がる」と激しく非難した。

 ロシアは「海のチェルノブイリだ。豪はこれで自ら死ぬことを決めたの
だ」(プラウダ)。
 フランスも契約を破棄された恨みから激しく批判し、EU議会も「台湾
で戦端が開かれた場合、EUは巻き込まれるのではないか」(ジョセフ・
ボレルEU外交担当)と嘆きつつ「この決定の裏には米国の戦略があり、
アジア地域安定、艦隊の寄港、航行の自由というルールを守るべきだろ
う」と総花的な批判を展開した。

 豪国内では野党議員が「モリソン首相の選択は最悪だ」と怒鳴る議員が
いる。
英国でもメイ前首相が「台湾で戦火となれば、危険に晒される」と疑念を
呈した。

 歓迎はインドだ。「これでインド太平洋の海域での安全保障が高まる」
 さて、日本の反応は?
    
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樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2276回】      
 ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港158)

   △
 孫さんが務めていた検場(くろこ)は役者の演技を手助けすることに違
いはないが、歌舞伎などで見られるように黒装束の上に顔を黒い布で隠し
ているわけではない。顔を出したままで、布製の靴に地味な色──孫さんは
灰色が多かった──の中国服を身につけ、そのまま街を歩いても取り立てて
違和感のない出立で舞台に立ち、演技中の役者の邪魔にならないように動
いていた。

 なぜ検場は役者と共に舞台に立つのか。それを知るためには、やはり芝
居としての京劇の仕組み──京劇という芝居の本質とも言える「程式(やく
そくごと)」──について語らなければならないが、ここでは検場に関わる
部分だけを、しかも極く簡単に説明しておく。

 京劇では基本的に大道具は使わない。大道具の代わりをするのが椅子で
あり机を芝居の筋運びに合わせて舞台上の所定の場所に設えること。それ
が検場の仕事の柱である。
現に役者が見せている演技の邪魔にならないように、また客の視線を遮
らないようにしながら、検場は机と椅子を並べ次のシーンを支度する。

 第六劇場通いが重なり、童伶の芝居を見慣れてくるに従って、最初の内
は鬱陶しく感じられた検場だったが、いつしか気にならなくなった。むし
ろ「在ってなきもの」と化して、こちらの視界から消えてしまうから不思
議だ。

 舞台に置かれた椅子と机は、検場の置き方、並べ方、組み合わせによっ
て豪華な宮殿、官衙、法廷、豪壮な屋敷、峻険な山、草深い杣道、屋根の
上、将軍の幕舎、寝間、陋屋などに千変万化する。

たとえば客席から見て舞台中央の左右に机と椅子を1つずつ置く。上か見
ると「八」の字に見えるところから「八字?」と呼び、これで宴会場を表
すことになる。
舞台中央に机が1つ。その左右に椅子が一脚ずつ。これが「八字跨椅」
で官衙での執務室、家庭における応接間など

 同じく舞台中央に机を1つ。その上に椅子を1つ置き、机に向かって右手
に背を客席に向けて置かれた椅子を踏み台にして役者が机に上がり、机の
上の椅子に腰を下ろす。この形を「小高台」と呼び、御座所付きの大型
船、山坂、将軍の指揮台などになる。

 机と椅子は組み合わせ方によって自在に変化し、ありとあらゆる環境を
舞台の上に表してしまう。客は椅子と机の向こうに、様々な環境を思い浮
かべる。とはいうものの、無数に使われるわけではない。舞台の広さに関
係なく、最多でも机が3つに椅子は4脚程度か。

 第六劇場通いも半年ほどが過ぎた頃だったろうか。タダで京劇を愉しめ
る方法はなかろうかと考えた。役者になるとして年齢、運動神経、喉、音
感、顔かたちから先ずはムリだろう。そのうえ粉菊花校長に「打戯」など
喰らったらメも当てられない。なんのために香港留学をしたのか。大げさ
に考えるなら、親に合わせる顔がない。

 そこで次に思いついたのが、孫さんに弟子入りしての検場修業だった。
これなら舞台に立って、役者の隣で、ライブで、しかもタダで芝居が愉し
める。これはステキなアイデアだと自画自賛。そこで早速孫さんに相談し
た次第。すると何時もの和やかな顔つきながら、「不行(ダメ)」と厳し
い一言。

 それというのも検場は演目の最初から最後までの筋運び、役者の動きを
頭の中に叩き込み、机や椅子を定められた位置に設えたり片付けたり。加
えて種々雑多な小道具を役者に手渡し、役者から受け取り・・・どう考え
ても、京劇をタダで愉しみたいなどといった不純な動機で務まるような仕
事ではない。やはり浅慮と反省し、引き下がるしかなかった。

 病膏肓に入るという言葉があるが、なぜ、ここまで京劇に入れ込んでし
まったのか。我ながら不思議だった。
 この不思議さの謎は、半世紀が過ぎた今でも解けそうにない。

     
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■読者の声 ■READERS‘OPINIONS ■
どくしゃのこえ■
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  ♪
(読者の声1)貴誌前号の「在米のKM生」氏の投稿『憲法破棄と総理』に
全面的に賛成です。私は日本国憲法を「属国憲法」と呼んでおります。今
回立候補した自民党の候補者のうち、高市先生だけが、この基準に叶うと
思います。
河野、岸田の両氏は、これに合わない前科があります。石破の河野支持
は、票的にいって、増える評もあるが、逃げる票もあると思います。(関
野通夫)
 ♪
(読者の声2)台湾関連の動きが活発です。
【スイス下院】「台湾との関係改善」案、圧倒的多数で可決  台湾外交
部が謝意
https://hosyusokuhou.jp/archives/48910511.html
 日本の自民党総裁選挙では下馬評の高かった河野太郎のメッキがどんど
ん剥げている。
子泣き爺の貧乏神が背中に取り憑き、レジ袋大臣が応援する。竹中平蔵も
河野に猛アプローチとは日刊ゲンダイの記事。
河野・石破・小泉内閣ができたなら「福袋内閣」。人気商品の詰め合わせ
のようでいて使えるものがない。
 岸田氏は昨年の安倍総理退陣の際や韓国との慰安婦合意でのニコニコ顔
を見ても内心がすぐ顔に出るタイプ。モリカケだの夫婦別姓だのどうでも
いい発言が目立ち、国家観がなく質問者によく思われようと八方美人すぎ
る令和の風見鶏か。

 期待するのは高市早苗となりますが、彼女は日本のサッチャーを目指し
ているのだろう、自分の見せ方をよく知っている。自民党の女性議員とい
えばファッションセンスが壊滅的な稲田朋美、いつまでも1980年代の髪型
の片山さつきなどテレビに出るのならスタイリストくらいつけろといいた
くなります。
 英国のサッチャー女史は階級社会の議会で女性蔑視のヤジに負けず、姿
勢矯正からボイストレーニングまで行い強い指導者を演出した。
ボイストレーニングの成果はたいしたもので 37秒の短い動画でも
before/after が歴然。
https://www.youtube.com/watch?v=28_0gXLKLbk
 安倍晋三前総理から高市早苗への応援メッセージ
『コロナ禍の中、国民の命と生活を守り、経済を活性化する為の具体的な
政策を示し、日本の主権は守り抜くとの確固たる決意と、国家観を力強く
示した高市早苗候補を支持いたします。世界が注目しています。皆さま宜
しくお願い申し上げます。』
https://twitter.com/AbeShinzo/status/1438445409815261187(PB生、
千葉)

  ♪
(読者の声3)北朝鮮が日本のEEZ内に弾道ミサイルを撃ち込んだと報じ
られているが、それなら日本はどうする?
イスラエルなら即刻ミサイルを北朝鮮のEEZ内に発射するはず。
 またいつものように、「けしからん」と言うだけなのだろうか。其れと
も我が国の戦闘機が北のEEZ内に入り込むのだろうか?
または武力以外の経済対抗策かさらなる経済制裁を打ち出すのだろうか?
注目したい。(SSA生)



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総裁選出馬の高市氏が夕刊フジに激白
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☆ 外交・安保政策「自国を自分で守れる態勢」、コロナ対策「抗体カク
テル療法の拡大」、拉致問題「正恩氏と直接会談」  2021.9.21 夕刊フ
ジ【zakzak】ニュースより


 自民党総裁選に出馬した高市早苗前総務相が、夕刊フジの単独インタ
ビューに応じた。マーガレット・サッチャー英元首相のように「強く、尊
敬される」トップリーダーを理想に掲げ、「日本初の女性首相」を目指し
ている。コロナ禍後をにらんだ経済対策、日米同盟を基軸とした外交・安
全保障政策などを披露し、日本の主権を守り抜く覚悟を示した。

 「私は政策重視型で、『皆さんのため、こんなことをやりたい』という
ことがありすぎる。これから党の政策討論会などが続く。『やるしかな
い』と思っている」

 高市氏は語った。政治信条は「常に最悪の状況を考え、リスクを最小化
する」ことだ。政策づくりでもこだわる。

 まずは新型コロナウイルス対応。

 「ワクチン接種が進み、新規感染者数は減少傾向にあるが、油断大敵
だ。冬場に到来するとみられる『第6波』に備え、重症化を防ぐ抗体カク
テル療法を拡大し、感染抑止に努める。国産治療薬の開発態勢の構築も急
ぎたい」

 コロナ禍後の経済政策では、「サナエノミクス」と称される、(1)金
融緩和(2)機動的な財政出動(3)危機管理投資と成長投資の「3本の
矢」を総動員し、日本経済の強靭(きょうじん)化を図る。

 具体的には、「防災では10年間に100兆円を投入する」「小型の核
融合炉の開発や国産の量子コンピューター開発に集中投資し、結果を出
す」ことなどを目標に掲げた。

 周辺国との外交では、常に毅然(きぜん)とした対応を心がける。北朝
鮮による拉致問題の解決は最優先だ。

 高市氏は「無条件とは言わないが、こちらから呼びかけてでも命を張っ
て訪朝し、金正恩(キム・ジョンウン)総書記と直接会談をしたい。拉致
被害者の皆さんを必ず取り戻す。先のアフガニスタンでの邦人救出の話も
そうだが、法律が壁になって救出できないのは最悪だ。米国ならば情報機
関などが居場所を特定し、同胞を奪還する。現行の自衛隊法などでできな
ければ改正する」と強調する。

 わが国固有の領土である沖縄県・尖閣諸島では、地元の石垣市が字名に
「尖閣」の文字を入れた標柱を設置しようとしているが、なぜか日本政府
は上陸を認めない方針だ。

 高市氏は「現状は、外国船舶への武力攻撃も認める中国海警法施行によ
るリスクに、日本側も配慮している可能性もある。ここは海上保安庁に、
場合によっては自衛隊も出てしっかり守るなど、態勢を整えれば標柱を立
てることはできるはずだ」と語った。

 靖国参拝は首相になっても続ける。中国や韓国に限らず、同盟国・米国
にも反対の声があるようだが、どうするのか。

 高市氏は「米大統領も戦没者を慰霊するアーリントン国立墓地に行く。
私も、米領グアムの山奥に点在する村々での慰霊式典に長年、参加し続け
てきた。米大統領とは率直に『お互い、国策に殉じた方に敬意を表すこと
は当然ですよね』と話し、理解してもらえるようにしたい」と語る。

 そのうえで、今後の日米同盟のあり方について、持論を展開した。

 「在日米軍と協力しなければ、日本は周辺国から攻められ放題になりか
ねない。だからこそ、米軍は日本に存在するのだ。ただ、日本から徐々に
撤退するリスクもゼロではない。日本は最悪の事態(=日本有事)も想定
し、米軍の来援を待たず、自国を自分の手でギリギリ守れるような態勢を
一刻も早くつくるべきだ」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文 
夕刊フジ【zakzak】ニュース採録

           



━━━━━━━
身 辺 雑 記
━━━━━━━

24日

渡部亮次郎わたなべりょうじろう85歳。

元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。

仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち
寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。

大酒飲みの私は大阪でデスクをしたのち退職。

外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者85歳。
 
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。

兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60代に死んだが
母親は98まで生きた。

渡部 亮次郎
at 06:13 | Comment(0) | 番外編

2021年09月23日

◆習近平が見捨てれば日米株価に激震走る

            今市 太郎

中国「恒大集団」破綻危機はリーマンショック級の大問題。


中国の不動産開発大手「恒大集団」が破綻危機にあり、リーマン・ショッ
ク級の大問題となる可能性が出てきました。しかし、なぜか金融市場では
あまり話題になっていないことが不思議でなりません。(『今市太郎の戦
略的FX投資』今市太郎)


バイデン政権で中国リスクは落ち着いた?
数年前チャイナショックで元安が進んだ時には、金融市場は大騒ぎで、と
くに為替はこの影響を受けて大きくドル円が下落するなどの動きに直面し
たものです。

またトランプが大統領に就任してからは連日、中国と貿易交渉を巡ってや
り合う姿や発言のツイートが登場し、その都度、アルゴリズムが反応して
連日相場の乱高下の材料になったものでした。

しかし、バイデン政権になってからは、それなりに中国と渡り合う姿が見
られたものの、トランプ政権時代と比べれば圧倒的に情報が少なく、相場
もそれにならされるように中国ネタで動くことは極めて少なくなりつつあ
ります。


そんな中で今、中国国内で大問題になろうとしているのが、大手不動産
ディベロッパーである「恒大集団」の破綻危機です。

負債総額30兆円を超える超リスク不動産企業
恒大集団は、1996年に設立された企業で、中国の不動産価格の上昇ととも
に大きく成長してきました。

日本で言うならば往年のダイエーのように、借金をしては不動産投資を行
い、中国各地で高層アパートの販売に勤しみ、それで得られた利益をさら
に再投資するという典型的な高度成長依存の借金雪だるま型の経営を行っ
てきた企業といえます。

この手のバブル系企業は、お決まりの多角経営に乗り出すもの。同社の場
合もその枠組みを踏襲しており、テーマパークからプロサッカーチーム、
ミネラルウォーター、電気自動車開発まで幅広い領域に手をだしています。

しかし、こういったビジネス収益の基本は、借金をして手に入れた不動産
価格の上昇に依存しています。

そのため、マンション価格が大幅に下落する中にあっては、資産も収益も
がた減りで、株価はすでにピーク時から85%下落、なんの価値もなくなっ
て暴落する仮想通貨のような状況に陥っています。

Next: 習近平が見捨てればデフォルト一直線、中国版リーマン・ショック
発生か


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◆雀庵の「常在戦場/86 キリスト教 vs イスラム教/下」
“シーチン”修一 2.0

【Anne G. of Red Gables/366(2021/9/21/火】産経9/19から「真・治安論
 第1部:司法と医療の狭間」シリーズが始まった(関西版では8/27から
連載)。1回目のメインタイトルは「池田小事件を生んだ制度の穴」。

精神疾患の心神耗弱、心神喪失の人による犯罪はこのところ増えているよ
うな気がするが、小生の散歩コースでもカリタス学園の生徒らがテロに
遭った(2019/5/28)。こうした重罪でも犯人は精神疾患を理由にほぼ
「お咎めなし」。読んでいて「それはまずいだろう」と思うと同時に、
「自分も再発しはしまいか」ととても怖くなった。

小生は65歳(2016年)の秋に発狂、「措置入院」で急性期閉鎖病棟に3か
月間、強制的に“保護”され治療を受け、90日間ルールにより“追放的”退院
となったのだが、完治しないビョーキだから未だに「今の自分は本来の自
分だろうか」としょっちゅう思い、不安を感じることもある。

二十歳で刑務所を出てから(人のやらないことする宿命か?)暫くは自虐
的になって酒をあおっていたが、編集者を目指し、それがかなってからは
水を得た魚のように元気に仕事も遊びもしてきたから、酒もガソリンに
なっていた。それがリタイア後は無聊を慰めるための酒になり、やがてア
ル中になって脳みそが壊れて措置入院。Oh, my

今現在の、よたよた歩きの、無口の、精彩も強引さも存在感もない、静か
で大人しい、老犬のような爺さん・・・これが俺なのかなあ、全然、自分
らしくない、別の人格みたい、としょっちゅう変な気分になる。いわゆる
「アイデンティティ」とか「自分色」が薄くて不安な気分になる。とても
嫌な感じ。

<アイデンティティ:自己同一性などと訳される。自分は何者であるか、
私がほかならぬこの私であるその核心とは何か、という自己定義がアイデ
ンティティである。何かが変わるときでも、それへの対処は、普遍のもの
として常に前提にされる統一性、連続性がその機軸、基盤となる。アイデ
ンティティの問題(ブレ、変質、喪失)はとりわけ青年期に顕在化する>
(コトバンクなど)

70歳の老年期になっても「自分探し」「ストレイシープ」って、やっぱり
ビョーキみたいな・・・小生がそういう“老人性青春彷徨的”な孤老から人
生アドバイスを求められたら何と答えようか。

「アナタ、まるで青春時代、人生哲学だね。解はあると言えばあるが、千
差万別だ。考えて考えて考え抜く・・・実に悩ましい。そのうち運良く解
が見つかるかも知れないし、見つからないかも知れない。解があっても人
それぞれで、絶対的な解はない。けれどね、考えることに意味があるわけ
よ。誰しもいずれお迎えが来るけれど、たとえ解が見つからなくても疲れ
果てるほど考えた末なら未練なく従容として受け入れられると思う
ね・・・経験したことがないから分からないけどさ」

歴史を振り返ると、残念ながら「みんな悩んで大きくなった、成長した」
ということはないようだ。技術、モノは発展、蓄積しても人間のマイン
ド、喜怒哀楽は何百万年前と変わっていないだろう。これまでも、これか
らも「戦争→ 平和→ 不信→ 憎悪→ 戦争」のサイクルは続くはずだ。戦時に
あっては敵、平時にあっては友、永遠の戦争も永遠の平和もない・・・
まったくその通りだろう。山あり谷あり平地あり、悩ましいが退屈はしな
い、それが人類の宿命のようだ。ああ、天よ、我らを救いたまえ!

前回に続き、ハッジ・アハマド・鈴木氏の「イスラームの常識がわかる小
事典」を元にした架空インタビューから学んでいこう。

・・・・・・・・・・・・・・・・

――モンゴル帝国の騎馬軍団は1229年にはアフガニスタンやイランに到達し
ている。キリスト教とイスラーム教が争っている場合じゃないと思います
が・・・今ですと世界制覇を目指す中共は世界の自由民主国の共通の敵で
す、小異を捨てて大同につく、そういう場面になった。

「ところが歴史はなかなかそうはならない。火事場泥棒みたいに危機を利
用して躍進しようという勢力はいるもので、1248年、フランス王ルイ9世
がエジプト遠征を再開した(第7回十字軍)。何とモンゴルと同盟してア
ラブ世界を東西から挟み撃ちしようとモンゴル使節団に提案したが失敗。
ルイ9世はモンゴル使節団にキリスト教への入信を進めたが理解されな
かったようだ。

結局、単独でエジプトと開戦したが負けてしまい、ルイ9世は捕捉され、
1250年に莫大な身代金を払うことで釈放された。

一方で、モンゴル大軍団は進むところ敵なし、歯向かう敵に仮借ない鉄槌
を下しながらバグダード(イラン)へ迫る。バグダードはイスラム教の開
祖ムハンマドの叔父系のアッバース朝が統治していたが、1258年、モンゴ
ルの騎馬隊に完膚なきまでに蹂躙され、そして滅亡した」

――ルイ9世は非常に熱心なキリスト教信者でしたが、その分、イスラーム
への憎悪は凄まじかったようですね。ルイ9世は1253年には反イスラムの
同盟国を見つけるためモンゴルへ調査団を派遣した。当時、モンゴルの国
民の半数以上はキリスト教徒(ネストリウス派、支那では景教とも)で、
シルクロードを通じて伝播したのでしょう。仏教徒、ムスリム、道教、儒
教の信者もいた。

モンゴルがキリスト教徒の国だと知って発奮したのか、ルイ9世は再び十
字軍(第8回十字軍)を結成し1270年に進発、イスラーム圏のチュニジア
を攻撃したが、飲用水が劣悪だったことや熱さにより病気がはびこり、ル
イ9世も同地のチュニスでペストに罹患し、陣中で病没した。凄い執念で
すね。


ルイ9世は死後にキリスト教会より聖人の称号を与えられ Saint-
Louis(サン・ルイ、聖ルイ)と呼ばれるようになった。米国のセントル
イス(ミズーリ州)の地名の由来ともなりました。キリスト教徒は今でも
十字軍が好きなんですね、異教徒は許さない、というのが初期設定のよう
で・・・

さて、イランを陥落に追い込んだモンゴルの騎馬軍団はエジプトへ向かい
ますね。

「怒涛の進撃でイラク、シリアの主要都市を占拠し、それに対してエジプ
トはモンゴル使節を殺して決戦に備えた。ところが決戦の前夜、モンゴル
軍の大将フラーグ(チンギス・ハーンの孫)は長兄が故国で死去した報に
接し、軍をまとめて急遽、帰国の途についた。この怒涛の反転によりイス
ラーム世界は救われたのだ、アッラー・アクバル(アッラー は偉大なり)!

エジプト軍は地中海岸に残っていたモンゴル兵を殲滅するとともに、モン
ゴルと和したキリスト勢力を次々に叩き、1291年には十字軍が最後まで占
拠していた港町アッカを奪還し、外国軍勢すべてを一掃した。

これをもって東西からのイスラーム世界への侵略は全て終了し、近代にい
たるまで平和が保たれたのだ」

――基本的にペルシャ湾とティグリス・ユーフラテス川の西はイスラーム
圏、東はモンゴル圏になったわけですね。1271年にはモンゴル帝国の後裔
として「元」が支那本土とモンゴル高原を中心に建国され、何とイスラー
ムを国教とした。

「1370年には(今でもウズベキスタンの英雄とされている)ティムールが
中央アジア全域を制覇、インドからロシア平原までを支配し、イスラーム
法とモンゴル法を採用した。16世紀初めにはティムール直系の子孫、バー
ブルがアフガニスタンからハイバル峠を越えてインド平原へ下り、ムガー
ル帝国を起こした。

また、イスラームは支那大陸の聖域に「清真教」の名称で浸透していく。
中央アジアからシルクロードを通り、ゴビ砂漠を越えて支那に至る街道沿
いにイスラームの地域が伸びていった。かくして支那西域には5000万人以
上の支那系ムスリムが現在も生活している」


――先生、このシリーズは3回でまとめようと思っていたのですが、昨日の
産経に加地伸行先生が「キリスト教とイスラム教の抗争は我々東北アジア
に住む者にとって根本的意味が分からない。まずはイスラム教に関する初
歩的講義をマスコミが行っては如何か」と書いていました。実際、その通
りです。で、あと2回ほど続けたいと思いますので、よろしくお願いします。


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◆王毅外相はなぜアジア歴訪?

「宮崎正弘の国際情勢解題」
 
令和三年(2021)9月16日(木曜日)
通巻第7054号  

 このタイミングで王毅外相はなぜアジア歴訪?
  韓国では対米、対日を牽制させようと中国は内政干渉


習近平は昨年(2020年)1月にミャンマーを訪問して以来、外国へ出
ていない。米中会談も電話で済ませ、ほかの国際会議はすべてオンライン
である。十月末のG20にも、オンライン参加を予定しており、ひたすら
世界首脳との対面を避けている。つまり、国内に難題を抱えているからだ
ろう。

習近平は7月1日の中国共産党創立百年記念日に演説し「次の百年」を
謳ったが、「持続可能な百年」は望めそうにない。
習の名代としてせかせかと諸外国を行き交っているのは、野心満々の傲慢
外交官、王毅である。

王毅外相のアジア歴訪は年が明けた1月16日から6日間。ミャンマー、イ
ンドネシア、ブルネイ、フィリピンを訪れた。これで昨年来のASEAN10ヶ
国全てとの二国間往来という目的を一応は達成したかにみられたが、アジ
ア各国は強面中国の出方を確かめただけだった。

米国は対抗上、シャーマン国務副長官がインドネシア、カンボジア、タイ
を訪問し、八月には中国天津を訪問した。このときの米中会談は、激しい
言葉の応酬だけだった。
 そしてオースティン国防長官がシンガポール、ベトナム、フィリピンを
訪問した。南シナ海の安全保障が議題の中心に置かれた。

八月にはシンガポールとベトナムにハリス米副大統領が訪問したが、呼吸
を合わせるかのように英国は空母クィーン・エリザベスをシンガポールに
寄港させた南シナ海問題で中国への示威である。
 またしても王毅外相の出番となり、9月10日からベトナム、カンボジ
ア、シンガポール、そして韓国の四カ国を訪問した。マレーシア、タイ、
フィッリピン、ブルネイが除かれたが、中国に歯向かうコトもないだろう
という考えが基底にあるからか。

中国は「成果があがった」と自画自賛しているが、どの国とも満足な外交
実績とはならず「戦狼外交」と「マスク外交」で周辺をかき荒らして居る
だけとする酷評が多い。ベトナムでは米国がワクチン100万本供与の三
倍、300万本を供与するとして露骨な対抗ぶりを示した。

王毅のカンボジア、ベトナム、シンガポール、韓国歴訪は、一方でバイデ
ン米政権の主要閣僚が東南アジアを訪問した事実を踏まえて、アジア関与
を強める米国をにらみ、連携にくさびを打ち込む目的があった。

 王毅外相は最後の訪問国、韓国へ15日に入り、鄭義溶(チョンウィヨ
ン)外相と会談した。王は中韓国交正常化から来年で30年になると指摘
し、「持続的発展を実現していかなければならない」と述べた。
米中対立が激化する中、米国が韓国との同盟関係を強化しようとしている
状況を踏まえ、韓国に「中立的な立場を守るよう」にと釘を刺した。これ
は内政干渉である。

 鄭外相は、「今後も韓国政府が進める朝鮮半島平和プロセスを支持して
くれることを期待する」と応じた。
この会談の最中に北朝鮮は巡航ミサイルを発射した。


 ▼歴訪中、台湾は濃厚な軍事演習で応じた

文在寅政権は来年5月で任期満了。そのあとはたぶん刑務所だろうから、
あっても意味はないだろうが、大統領府を訪れ、文大統領や 徐薫(ソフ
ン)国家安保室長らと面談した。
 
文在寅大統領は、「朝鮮半島の完全な非核化と恒久的な平和定着のため、
北朝鮮が速やかに対話に復帰するようにすることが重要である」として中
国の協力を求め、また北京五輪への全面的協力を約束した。

 王毅外相は「中国は朝鮮半島の非核化と南北関係進展を常に支持する立
場だ。今後も建設的な役割を続ける」と常套句を述べるに留めた。

 さて、この中国外相のアジア歴訪中、台湾は一週間にわたって東海岸で
軍事演習を展開し、高速道路へのジェット戦闘機発着訓練などを披露した。

    
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■読者の声 ■READERS‘OPINIONS ■
どくしゃのこえ■
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(読者の声1)三島由紀夫研究会の「公開講座」はジャーナリスト、河内
孝氏をお招きします。9月21日です。

とき   9月21日(火曜日)午後六時(1730開場)
ところ  市ヶ谷「アルカディア市ヶ谷」(私学会館)
講師   河内孝(元毎日新聞常務。著書『新聞社モデル』がベストセ
ラー。『血の政治、青嵐会という物語』が話題を呼んだ。
演題   「三島由紀夫と青嵐会  時空を超えた絆」。
会場分担金  おひとり2000円(会員は千円)
問い合わせ  (090)1611−9839
     (三島由紀夫研究会)

  ♪
(読者の声2)『土偶を読む』(竹倉史人著、晶文者)が読書界の話題を
浚っているようです。植物や貝などを擬人化して土偶を作り、再度の採集
が出来ること を祈ったとか。
 遮光器土偶はサトイモ、ハート形土偶はクルミ(割ったカラ)、クリ、
トチノミ、ハマグリやカキの貝類、ヒエ。イネ・・・
「縄文神話の謎を解いた」という宣伝はその通りかも知れませんが、考古
学、歴史学界はどのように反応しているのでしょうか。
 宮崎さんは『神武天皇以前』と『一万年の平和、日本の代償』(いずれ
も育鵬社)のなかで、縄文土偶に多くのページを割かれていますが、この
植物デフォルメ土偶作成という説をどうみておられますか。
   (SH生、青森)


(宮崎正弘のコメント)一種の奇論の類いでしょう。遮光土偶は目玉が大
きい。当時の人々は眼に霊力が宿ると信じていました。里芋ではないで
しょう。偶然似ていることは別として。
 縄文土偶は死者を弔う精神的な儀式、魂の交流のセレモニーですから、
信仰の対象だった山、河、水。そして磐座がデザインされて居ないのは、
不思議です。
ともかく左翼中心の歴史学者は反論もせずに沈黙、考古学界は、こうした
解釈は不得手です。

  ♪
(読者の声3)貴誌前号、インドのガンジー記念館のテーマパーク化です
が、モディ首相は確かチャンドラ・ボースを推しておられたはずと思いな
がら読み進めておりましたところ、記念館に両者の本が平積みされるよう
になっていると知りました。
 テーマパーク化は、モディ首相が主体的に推し進められているのか、単
に政府が進めているのか気になるところです。
 聖地とは別の近隣の土地ならわかるとしても、テーマパークにされるの
は、やはり抵抗がある人のほうが多いでしょうね。
   (HT生)
           

2021年09月22日

◆思ひて学ばざれば…

   大阪大名誉教授 加地伸行

 相変わらず新型コロナ禍の日々、お年寄りは在宅するのが正しい生活で
ある。

 というのは、治療法がまだ十分に確立されていないからだ。老生に言わ
せれば、ワクチンも呪(まじな)いみたいなもので、いずれ効力が薄れて
ゆくらしい。

 さて、テレビにいろいろな医師が出演して、あれこれ言っているが、似
たような話ばかりで、今後の見通しは、どうもはっきりしない。

 となると、遠い国のアフガニスタンだが、今回の政変の方が、はるかに
大きな関心を与えてくれる。

 もちろん、老生、中近東の諸事情についての知識は皆無。にもかかわら
ず、関心を抱いているのは、イスラム教に基づく宗教政権を成立させた点
にある。

 と言っても、またここに大きな難問が現れてくる。それはイスラム教そ
のものである。

 老生、東北アジアの伝統的文化―それも儒教を中心としての研究者であ
り、残念ながら、イスラム教に関しては無知。

 だから、イスラム教とキリスト教との相違について、よく分からない。
老生、20代のころ、思想に関心が強かったが、雑学的に読書したに過ぎ
ない。しかし、その生活での思い出をひとつ記してみよう。

 一神教すなわち神は、お一(ひと)方(かた)という概念から出発する
宗教がキリスト教やイスラム教などであるが、その出発点で、もう両者は
対立する。すなわち、キリスト教では、イエスは神の子であるとするが、
これに対して、イスラム教は<神に子はいない>として、キリスト教を批
判する。なるほど。

 すると、キリスト教は<神・イエス・聖霊の三者は一体>という三(さ
ん)位(み)一体説を立てて必死になって対抗する。

 この論争、聖霊を論理化しておこなっているのだが、もちろん結論はない。

 こうした論争ひとつを取り上げただけでも、両者(キリスト教・イスラ
ム教)は、冷静に論じあっている。

 もっとも、それが十字軍となってくると、武力抗争の話になる。キリス
ト教・イスラム教両者の抗争は、われわれ東北アジアに住む者にとって根
本的意味が分からない。今回のアフガニスタンの政変も、表向きの話はと
もかく、その根底に在(あ)る宗教的・思想的意味は、われわれ東北アジ
アすなわち儒教文化圏の者には、よく分からない。

 とすれば、まずはイスラム教に関する<初歩的>講義をマスコミが行っ
てはいかがか。新聞は報道だけでいい時代はもう終わった。いい意味での
啓(けい)蒙(もう)的活動に移っていいのではなかろうか。老生、本紙
読者のひとりとして、それを求める。

 もちろん、念のために言うが、それは特定宗教の信者を増やすためのも
のではなくて、異文化理解のためとしてである。

 知らない異文化について、客観的理解がまずないことには誤解するだけ
に終わろう。

 『論語』為政に曰(いわ)く、学びて思はざれば、則(すなわ)ち罔
(くら)し(ぼんやり)。思ひて学ばざれば、則ち殆(あや)ふし(独善
的)と。 (かじ のぶゆき)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文 
【産経ニュース】採録

    
  

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◆「新首相は河野太郎」バイデン政権から圧力?
高島 康司

自民党総裁選にバイデン政権から圧力がかかっているとの見方がある。今
のアメリカに「親中」を許す余裕はない。日本にも対中強硬路線を採るよ
うに圧力を強めてきていると見て間違いないだろう。ジャパンハンドラー
が推すのは河野太郎氏だ。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メル
マガ』高島康司)

総裁選は派閥結束なしの混戦模様
自民党総裁選における、バイデン政権の圧力について解説したい。

17日告示、29日投開票の自民党総裁選が過熱している。8日の記者会見で
高市早苗前総務相は出馬を正式に表明した。石破茂元幹事長は立候補を見
送る方向で検討しており、総裁選は、すでに出馬表明している岸田文雄前
政調会長、高市早苗氏、河野太郎行政・規制改革相の3氏が中心になる見
込みだ。

高市氏に対しては、政治信条が近い安倍前首相が支援する意向を示している。

また石破派は国会内で会合を開き、石破氏に対応を一任した。会合では、
石破の出馬を求める声が出た一方、河野氏を支持すべきだとの意見もあっ
た。石破氏は出馬せず、河野氏を支持する方向だ。

一方、河野氏は7日、出身派閥である麻生派の支持固めに動いており、週
内にも正式に出馬表明する方針だ(※編注:原稿執筆時点2021年9月9日。
河野氏は10日に記者会見を開き、自民党総裁選への立候補を正式に表明し
ました)。

また岸田氏は7日の岸田派の総会で、選挙戦を戦う決意を表明している。

野田聖子幹事長代行は、出馬に必要な推薦人20人確保のメドは立っていな
いものの、出馬には意欲的だ。

このように、今回の総裁選はすべての派閥が結束して支持できる統一候補
が存在しないので、混戦状態になっている。

いまのところ、河野氏と岸田氏が一歩先んじているようだが、事態はまた
流動的だ。

CIA系シンクタンクは総裁選をどう読んでいる?
そのようなとき、CIA系のシンクタンク「ストラトフォー」は、総裁選の
結果を予想する記事を出した。ちなみに「ストラトフォー」は、CIAの元
分析官のジョージ・フリードマンが1997年に設立したシンクタンクだ。
CIAほか、米政府機関やアメリカを代表する企業がクライアントになって
いる。歴代の米政権の外交政策立案に、一定程度の影響がある。

そうした「ストラトフォー」だが、9月3日に「菅総理大臣が辞任。次は誰
だ?」という記事を発表し、今後の動きを占った。

その見立てによると、すべての派閥が結束して支持できる統一候補がいる
とすれば、それは前首相の安倍晋三だけであり、彼が出馬表明しない限
り、日本は毎年首相が変わる回転ドア式首相の時代に逆戻りする可能性が
高いとした。

いま自民党には安倍首相が率いる細田派(96名)、麻生太郎副総理の麻生
派(53名)、二階俊博幹事長の二階派(47名)、そして岸田文雄の「宏池
会」(46名)の4大派閥があるが、これらどれかの派閥の支持がないと、
自民党総裁候補の勝ち目はほとんどない。

しかし誰が勝ったとしても、派閥を越えた支持がある安倍首相以外の自民
党総裁は、内閣や派閥の調整に苦労することになるだろう。調整に手こず
り、毎年首相が交替する可能性もある。

また、一部の自民党関係者が示唆するように、自民党が衆議院で絶対多数
を失った場合、与党は公明党に頼って保守連合の多数派を形成することに
なる。

公明党の反核・反武力紛争の考え方は、台湾や米国との戦略的協力や、中
国の海洋進出や台湾への物理的な安全保障上の脅威を回避するための日本
の軍事的改革に対する姿勢を軟化させる可能性がある。

Next: 「親中は許さない」二階おろしも米国の意思か?      



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◆クアッドに併行、将来は再合併?

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)9月17日(金曜日)
通巻第7055号  <前日発行>

 米豪英で「オーカス(AUKUS)」。カナダとNZは見放された
  クアッドに併行、将来は再合併? シックスファイブはどうなるか?

 9月15日、バイデン大統領はホワイトハウスで英国と豪州をつなぎ、
ジョンソン首相、モリソン豪主張とオンライン会談。米豪英の「オーカス
(AUKUS)」結成を決めた。
Aは豪州,UKは連合王国、USは米国。日和見主義的な態度を示してき
たカナダとNZは置いてけぼりを食らう。

遅れじとばかりに艦隊をインド洋から南シナ海へ派遣したドイツは、フリ
ゲート艦の上海寄港を断られた。
フランスと英国は南シナ海海域に空母などを派遣した中国を牽制したが、
これの列にドイツも加わったことにつむじを曲げたらしい。

AUKUSで、とくに目玉となるのは豪への原子力潜水艦技術供与だ。
このために豪はフランスとの契約を破棄する。しかし核兵器を保有しない
豪が原潜を保有して、どれほどの軍事的効果があがるかは未知数。三ヶ国
は「AI技術などの共有と集約化を図る」とする。

台湾の動きが活発化している。
台湾の防空識別県に中国軍機の侵入は2020年に446回。それが9月15日まで
に、482回に及んでいると台湾国防部が発表した。たとえば9月15日、一日
だけで中国空軍機は、9機が台湾流空を侵犯した。偵察機1,殲16型戦闘機
6機、AWACS機1,哨戒機1の合計9機。

台湾南部の屏東県でもAWACS機、戦闘機の発着訓練が高速道路を滑走
路に替えての演習が繰り返された。

加えて、米国から新型戦車X109A6を40両、ハイマースや中距離ミ
サイル自走砲車両11基などの供与を受けるという具体的な予定がある。
艦船の補充も進んでおり、2030年までに新造軍艦は10隻となる。

台湾駐米大使の粛美琴は全米州議会連盟(ALEC)の年次総会に招かれ
て講演し、台湾防衛への協力を訴えた。
第一に断固として国際的に「台湾」と呼称して欲しい。第二に東京五輪で
図らずも中国選手のモラル低下が顕れたように、中国全体の士気低下ぶ
り。第三に全米の大学にいまも展開されている孔子学院への監視強化など
を訴えた。

 バイデンのような親中派の米国も、基本の国益に関しては剥き出しの反
中路線を明らかにしたこと、しかし「同盟国」の筈の日本に、またもや親
中路線を突っ走るのが、次期首相に有力とか。

    
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■読者の声 ■READERS‘OPINIONS ■
どくしゃのこえ■
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(読者の声1)15日放送の未来ネット「宮崎正弘の生インタビュー」
(ゲスト室谷克実)を拝見しました。
https://www.youtube.com/watch?v=bYnvr_a8LL0
 韓国情報が満載でしたが、たいへん有益で、しかもメディアにまったく
出ない分析でした。
就中、「韓数字」という新しいタームには驚かされました。中国国家統計
局のGDP発表数字よりも、韓国の統計数字が作為的だということが了解
できました。この対談、もっと拡大しての続編に期待したいと思います。
  (FH生、さいたま市)


(宮崎正弘のコメント)韓国の与野党の大統領候補が決まった時点で、ま
た機会があるかも知れませんが、テレビとは別に二人の対談本が2022
年2月をメドに刊行される予定です。詳細がきまれば、この蘭でも告知し
ます。

   ♪
(読者の声2)「憲法破棄と総理」。
 「憲法改正」には議員2/3、国民投票1/2の賛成が必要、ゆえに現実的
には不可能、だから、、、、は、も出来ない。
という理屈で議論も改善も変化も封鎖されている。いわば万能の言い訳、
責任逃れ。幼児のような「あなたまかせ」が75年続いている。
 しかし、この「日本国憲法」なるものは実は敗戦後、日本がまだ戦勝国
によって占領・支配されていた時代に、GHQが英語で草稿し翻訳されて、
完璧な言論統制下において、即席に一方的に作られた「占領下における統
治のための戦勝国と敗戦国間の不平等国際条約」である。
書面上では総理、内閣、天皇陛下さえも、署名させられ、表面上、当時の
NHK, 朝日などの報道では「主権を持つ日本国民の総意」にもとずく正式
な憲法の公布となっており、そのように国民は信じさせられた。
この違法性、不正を批判することはGHQによって禁止されており、報道は
従属した。いまだにバカな日本の憲法学者の99%は「不磨の大典」を完璧
なものとして信仰し御守りしている。最近ではバイデン氏が副大統領で
あった頃、「あれは俺たちが書いた」と公言している。
 敗戦後、占領中、日本に主権のない1946年5月の第1回国会開会式で2階
の「玉座を見下ろす」参観席には「進駐軍関係180名」が議事を監視して
いた。当然武装していて、予定から外れ、事あれば議会を中止することも
想定していただろう。
この状態を例えれば、悪者に囚われ脅かされ、強制的に契約書に署名させ
られた、事件であり、民事法であっても国際法上でも、明らかに「無効な
契約」となる。
こういう「憲法無効・破棄論」は戦後しばらく多くの国民、論者の間での
認識であった。
自民党も、これこそが党の目的であったが、勇気のある政治家がいなかっ
た。先送りが75年。
 総理が、不平等国際条約とさえ認識すれば、これを「内閣の決議で破
棄」することができる。国会、国民の承認も必要ない。
少し遅いが、自国の憲法と呼ばれる書面を、どう理解し解釈し、尊重しよ
うがゴミ箱に捨てようが、それは「主権を持つ国家」の自由である。75年
前の敗戦国の哀しい秘匿された歴史的経緯を説明すれば、世界のほぼ全て
の国が賛同し、やっと本来の日本が蘇ってきたと喜んでくれるだろう。
如何なる神の計らいか、再び神風が日本を救うことになる。高市早苗総理
にはこの最大の任務が与えられている。
これには一円の費用も必要ないが、一兆円程度の国防軍事費に匹敵する。
故サッチャー氏は「鉄の女」と呼ばれたが、早苗氏は「ヘヴィ・メタル」
のドラムを担当。なにやら相性が良い。
フォークランド紛争では、直ちに軍を送り侵略を阻止した、というサ氏の
教訓を生かして、尖閣島等を守るはずである。
米国が女性大統領を出せず、国連が弾劾する女性蔑視の日本が「お先に」
というのも、いい。
(在米のKM生)


(宮崎正弘のコメント)ネットでは高市さん圧勝の気運ですが、永田町と
いう特殊な場所ではまったく論理が異なります。
           
at 05:54 | Comment(0) | 番外編

2021年09月21日

◆ぶざまな崩壊が続くアメリカ

Andy Chang

AC 論説No.861 
バイデンのアフガン総退却はアメリカの歴史始まって以来最悪の事態だと
思っていたら、アフガン総退
却から二週間もたたないうちにミリー統合本部議長(参謀長)が敵である
中国の李作成参謀長に電話し
てアメリカは戦争の意図がない、もしもトランプが暴走するなら事前に伝
えると約束した事件が起き
た。バイデン政権が発足して八ヶ月だけでアメリカの崩壊はアフガン退却
だけでなく、軍隊の参謀長が
敵に通報するといった米軍の崩壊が起きたのである。こんな軍隊は最低、
あり得ないことである。

バイデン政権は機能しない。世界で最強を誇っていた米軍の軍隊でも最高
司令官が通敵行為を行なっ
た。バイデンは国の総帥であるのに米軍の参謀長が敵に寝返った国家反逆
事件について「私はミリー将
軍を絶対信頼している」と宣ったのだ。バイデン政権の崩壊に続く軍隊組
織の崩壊である。アメリカ
の崩壊はどこまで続くのか。

これは既に全世界で報道された事件だが、事の起こりは来週に発刊するワ
シントンポストのBob
WoodwardとRichard Costa共著の「PERIL」という暴露本で暴いたミリー大
将の叛逆(反トランプ)
と中国への通敵事件である。WoodwardとCostaはこんなに重大な事件を
知っていながら一年近くも公
表しなかった。二人はアメリカの崩壊である大事件を隠して暴露本の売れ
行きを優先したのである。

この本によると、米軍のミリー参謀長官が去年の選挙の前の10月30日
に中国の参謀長である李作成
大将に電話して、「アメリカは中国を攻撃することはないが、万が一トラ
ンプが(選挙に負けて?)暴
走するようなことが起きたら私が事前に通知する」と伝えたのである。

二回目の電話はインチキ選挙に抗議した群衆が1月6日の国会議事堂に乱
入した事件の後、ミラー参謀
長がペロシ国会議長と電話会談を行い、ペロシがトランプは気狂いだから
何が起きるかわからないと
言ったら「全面的に賛成」と答え、その翌日8日に中国の李作成参謀長に
電話して「我々は落ち着いて
おり全ては順調だが民主主義は時に杜撰なことになる」と伝えたと言う。

トランプが中国を攻撃するかもしれないというのは根拠のないことでミ
リー個人の想像である。トラン
プの命令に従わないのは叛逆罪である。しかし敵国の参謀長に事前に知ら
せるのは国家反逆罪である。
ところがバイデンは記者に対して「私はミリー氏を絶対に信用する」と答
えたのである。
軍隊の上級司令官が敵に寝返っても大統領は彼を信頼できると言う。バイ
デンは正邪の判断ができな
い。反トランプならOK。反トランプは免罪符である。

CNNやMSNBCに登場した人物は皆トランプが悪い、トランプはキチガイだか
ら叛逆でも通敵でも当然
だと述べていた。ある人物は、トランプがミリー大将を統合参謀本部議長
に任命した。だから反逆はト
ランプの責任だと言った。民主党、サヨク、メディアはみんな腐っている。

ある人はこれはアメリカの文民統制の崩壊だと述べた。軍隊の参謀長が敵
国の参謀長に電話したのは政
治行動で軍人がやるべき事でないと言うのだが、そうではない。たとえ軍
隊の指揮系統が文民統制で
あっても「敵の軍隊」に戦争をするぞと通報する人がいたら軍人、公務
員、政治家でも国家叛逆罪であ
ることに違いはない。

ミラー参謀長の報道官であるDave Butler大佐は、「ミラー参謀長の二回
の電話は参謀長としても任務を
果たすためだった」と述べたが、この弁解は通用しない。トランプは大統
領であり国の総司令官であ
る。トランプの下に国務長官ポンペオ、国防部長エスパーがいて、ミラー
統合参謀本部議長はエスパーの
部下である。仮にトランプ暴走の可能性があったと自己判断しても上司で
あるエスパーとポンペオに報
告し相談すべきだった。トランプの暴走を止めるのは国内問題であって、
敵国の軍隊に通報するのは絶
対に反逆罪、弁解の余地はない。軍のトップが勝手に通敵行為を行ったら
この国の軍隊は戦争などでき
るはずがない。軍法会議にかけて絞首刑または銃殺刑にすべきである。

トランプが気狂いと思っているのは彼個人の意見である。個人の判断であ
る。独断で行なった通敵行為
は弁解の余地がない。ところがバイデン大統領はミラーの個人行動を信頼
すると述べ、ミラーの通敵行
為を裁くことをしない。トランプに反対だから自己判断で行なった通敵行
為が国家の正当な裁きを受け
ることがないなら、「ミラーだけでなく誰でも、トランプでもバイデンで
もクーデターを起こす」行為
が正当化される。国家の制度が壊れて無政府状態になる。ミラーの国家反
逆罪、それを裁こうとしない
バイデンのアメリカ合衆国はどこまで崩壊を続けるのか。

立場を変えて見れば良い。もしも中国の李作成参謀長官がアメリカのミ
ラー参謀長官に電話して「我々
は米国と戦争をするつもりはない、もし戦争になるなら事前に通報してあ
げます」と伝えたとしたら、
習近平は李作成を「絶対に信頼する」と言うだろうか。
ロシアのプーチン、英国のジョンソン、ドイツのメルケル、フランスのマ
クロンはアメリカの国家反逆事
件をどう思っているのだろうか。

  

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


◆雀庵の「常在戦場/85 キリスト教 vs イスラム教/中」 
          “シーチン”修一 2.0

【Anne G. of Red Gables/365(2021/9/19/日】踏切がカンカンと鳴り、遮
断機が下り始めたのに突破したチャリ男が「やったーっ!」と一瞬喜んだ
ら天網恢恢、お巡りさんにとっつかまった。5万円以下の罰金である(遮
断踏切立ち入り)。

嗚呼、彼の心情は如何であろう。一般的には反省する(二度と過ちは犯し
ません、心に占める比重20%)、不運を嘆く(今日は仏滅かなあ、運が悪
かった、30%)、再起三起を誓う(クソッ!油断してしまった、二度と捕
まらないように気を付けよう、今度は上手くやるぞ、50%)あたりか

このチャリ男は「不運を嘆く」感じが強そうだったが、仕事を休むわけに
はいかないから何とも複雑な面持ちだった。余り見ていると「あんた、何
か用かよ」、こちらに火の粉が飛びそうだからそこそこに現場を離れ
た・・・

小生は本質的には「再起三起を誓う、70%」あたりの「懲りない派」だ
な。「大体、電車が踏切を越えてから100m離れないと遮断機が開かない
というのがおかしい、さっさと開けろよ」なんて騒いだりして。随分嫌な
性格だが、現実には断酒歴4年で好々爺を演じるのがすっかり板についた
からそんなことにはならないが、男にはそういう“勇武、戦士、反逆、激
情、暴発”的DNAがあるのではないか

子育てには父親の「鳥の目」と母親の「虫の目」が大事だと教えてくれた
のはカトリックの方だった。育児のみならず物事を観察し方向性を判断す
るにも有効な言葉で、近年では「魚の目」、さらには「コウモリの目」も
加わったらしい。目の玉が8個、現代人は疲れるのだ。

鳥の目で全体を俯瞰する、虫の目で細部を見つめる、魚の目で潮の流れを
読む。さらにコウモリのように「逆さまにモノを見てごらん」という。

要は、様々な場所から見る、発想を変えて逆の立場で見る、視点の数を増
やしてごらん、ということだが、平素から余程考え込んでおかないと、イ
ザという時に立ち往生してドジることになったりするのだろう。

大体「論客」として名を馳せる人は常に取材や執筆・講演依頼に備えて
「テーマ」ごとにノート(今はPC)に自分の考え、主張を記録し、常に最
新情報を加えて更新(上書き保存)している。レシピが豊富かつ新鮮、そ
れでないと“過去の人”になってしまう。

外交評論家の草野徹氏は軍事関係者が読む「朝雲」に月に1回、寄稿して
いるが、防衛省か外務省の現役、在米の高官のようで、実に小生には勉強
になる論稿が多い。氏の「アフガン戦争 米軍撤退の“受益者”は」朝雲
2021/9/16から。

<アフガニスタンからの米軍の撤収完了を受けて「歴史上比類のない大成
功」(バイデン米大統領の国民向け演説、8/31)と自賛しても、リアリ
ティーはゼロ。退避作戦中の米兵13人が自爆テロの犠牲になった上、彼ら
の遺体を出迎える式典で最高司令官が「腕時計をしきりと気にしていた」
(遺族)のでは、なおさらの事だ。


外交政策決定の根幹は「国益」が基準だろうが、考えてみれば、米軍撤退
が正確にはどのように米国にとっての「益」になるのか。左右を問わず、
米軍撤退の提案・擁護者から説得力ある論を見聞きした覚えがない。

「20年(の戦争)はあまりに長い」というのはその通り。その変形とも言
える「際限のない戦争を終えなければ」が、最も一般的に聞かれる撤退推
進の論拠だが、いずれも情緒的な意見であって、筋の通った議論とは言え
ない。

今回の撤収では既に兵士13人が死亡した。アフガンで1日に米兵が死亡し
た人数としては、2014年6月以来、最も多い。アフガンで死亡した米兵士
の数を「年間」で調べると、15年22人、16年9人、17年14人、18年14人、
19年21人、20年11人――となる。

どう見ても、米兵士の犠牲が甚大だからアフガンを撤退するとの主張には
無理がある。半面、撤兵から得る益は何もないのに、被った打撃は計り知
れない。同盟国としての信望、強大な国家という評判など、米国の威信へ
のダメージは強調しすぎることはない。

米国は北大西洋条約機構(NATO)と何の協議もせず、事前通告もしなかっ
た。民主党は再三、トランプ前政権は同盟を傷付けたと批判したが、今回
NATOに与えた衝撃はその比ではない。第一、前政権が同じことをしたら、
同党と仲良しメディアが一緒になって、天と地が引っくり返るような大騒
ぎをしていただろう。


一方、慌ただしい撤退と引き続く混乱は米国の弱さ、脆さのメッセージを
世界に発信。中国、北朝鮮、イラン、ロシアや、イスラム系テロ組織に大
きな益を与えた。

西側は昨年、中国の圧政に直面した香港を見捨てた。台湾も有事の際の米
の支援は期待できない。対イラン関係修復の“願望”は相変わらず強く、米
国はイランの行動に関係なく、核協議再開に向けた交渉を進める方針でいる

ウォールストリートジャーナル(8/29)によれば、北朝鮮が寧辺の核施設
で原子炉を再稼働させた可能性が国際原子力機関(IAEA)の報告書で判
明。ロシアに対する宥和策もいつも通りだ。すべて、同盟国の支援には消
極的な西側、特にそのリーダー・米国の姿勢の証明。アフガンは単に、同
盟国放棄の最新例なのかもしれない。

「我々はより強く、より安全になる」(前掲の大統領演説)そうだが、そ
んなファンタジーとは逆の結果が遠からず出るだろう>

古森義久先生もバイデン・民主党の“ボケ”振りにウンザリしている。「バ
イデン大統領は腕時計を見ていた」Japan In-depth 2021/9/6から。

<バイデン大統領の支持率が急降下した。人気が就任以来、最低となった
ことを多数の世論調査が明示した。アフガニスタンからの米軍撤退の方法
が失敗だったとする非難が国内の多方面から浴びせられた結果だった。

だが、なかでも最も厳しいバイデン非難は、アフガンで戦死した米軍将兵
の遺体の帰還の式典の最中、彼が時間を気にして腕時計を何度もみていた
ことに対して浴びせられた


同時に、戦死した将兵の遺族たちとの会話でバイデンは自分の長男の病死
のことを何度も話して、遺族側からたしなめられた事実も広く報じられた。

戦死した海兵隊のカリーム・ニコウリ上等兵の母シェーナさんは、もっと
も激しくバイデンを非難した。彼女のフェイスブックでの発信は「私の息
子の遺体が他の12人とともに祖国に着陸したという厳粛な瞬間にバイデン
は5回以上も腕時計をみて、時間を気にしていた。

祖国のために命を犠牲にしたアメリカ人の若者の霊に最大限の弔意を表す
べきアメリカ大統領が他にもっと重要な用事があるかのように時間を気に
するとは、死者への冒涜だ」と、激しい言葉での糾弾だった>

認知症のようなバイデンが任期中に引退すれば、カマラ・ハリスが大統領
になるが、ハリスは移民問題などで味噌をつけ人気がいまいちだ。日刊サ
イゾー9/17によると、

<グアテマラから米国境に殺到する不法移民に向けて、「米国とメキシコ
の国境まで、危険な旅をしようと考えているこの地域の人々に、私ははっ
きりと言いたい。来ないで。来てはいけない。我々の国境に来れば、追い
返されるだろう」と呼びかけた。


グアテマラでの一連の失言から3カ月がたつ。その後、ハリスが失地回復
に何らかの具体的行動を取ったとの声も聞かれない。

世論調査データ収集サイト「リアル・クリア・ポリティクス/RCP」による
と、ハリスの支持率は41.2%で、不支持率が50.4%(引用した各世論調査は8
月7日から9月7日まで)となっている>

RCPの数字は主要メディアの調査の平均値で、9/17付けの数字ではバイデ
ン支持45.6%、不支持49.6%、ハリス支持41.4%、不支持49.8%。

世界がイスラム過激派、中共帝国主義、コロナの「3大禍」に見舞われて
いる現状では、米国に限らずリベラル≒アカモドキの自虐的、融和的、
「敵の善意を信じる」ような脳内お花畑的「私はいい人、みんな地球市
民、仲良くしましょう」的な政治ではとても危機を乗り切れないだろう。

小生は身近にコロナで死んだ人を知らない。幕末の江戸を中心に猛威を振
るったコロリ(コレラ)では将軍をはじめ7万3000人がバッタバッタと死
亡した。コロナで死んだのが全国累計で1万7000人(多くは高齢者)で、
全年齢で見ると致死率は0.1%〜4%。ちなみに季節性のインフルエンザの
致死率は0.1%程。

「1347年から1351年にかけてヨーロッパを襲った黒死病のパンデミックは
史上最悪の規模となり、ヨーロッパ人口の3分の1が命を落とした」とか。
医療がゼロの時代と今では比べようがないけれど、コロナが「大禍」なの
かなあとは思うが・・・

目の前の中共の脅威については小生は随分書いてきたが、イスラム教につ
いては勉強し始めたばかりであまり知らない。それはキリスト教との角逐
の歴史でもあり、「平和をもたらすはずの宗教が戦乱を招いている、どう
なっているんだ」ということで、ハッジ・アハマド・鈴木氏の「イスラー
ムの常識がわかる小事典」を元にインタビュー形式で学んでいこう。

・・・・・・・・・・・・・・・・

――唯一神アッラーの代理人である預言者、つまり始祖のムハンマド(モハ
メット、570頃〜632)の死後からイスラーム教の分裂が始まった。タガが
緩んだようですね。

「ムハンマドは死の間際に後継者(カリフ)を指名し、4代目までまあま
あ上手くいった。2代目の時はペルシャ勢力、ローマ軍との戦争があった
が、降伏すればキリスト教にも寛大だった。しかし2代目はペルシャ人キ
リスト教徒に暗殺されてしまった。

3代目で版図は北アフリカまで広がったんだが、人種、言語、慣習の違い
目立ち、問題が増えてきた。融和政策で『不正蓄財以外はOK、儲けられる
者から儲けろ!』とやったんだが、やがて富裕層がのさばり、一方で貧し
い民衆の不満が溜まり、3代目は暴徒に暗殺された」

――中共はそれを真似ているような感じがしますが・・・それはともかくと
して、2代目がイスラーム教への転向を拒否したキリスト教徒に殺され
た・・・つまり両派は一神教ですからガチガチの「共に天を戴かず」、イ
スラーム教とキリスト教は永遠の敵になったようです。3代目は“富裕層は
喜捨、寄付して貧乏人に施せ”と、福祉政策を取り入れたそうですが、こ
れでは民は働く意欲を失い、国家も停滞しかねない。4代目も内政重視で
すか?

「4代目は始祖ムハンマドのいとこであり、かつムハンマドの娘の夫、血
筋がいい上に武勇に優れていた。即位で事態は沈静化すると期待されてい
たが、ただ、質素清貧、直情型で、政治的な配慮や手法に欠けていたよう
だ。

“先代の暗殺事件の責任追及が甘すぎる”など、部下には不満分子が多く、
657年にはシリア総督軍と内戦になり、シリアは事実上独立、失意の中で4
代目も暗殺されてしまった。

それでもムハンマド後の正統4カリフの時代はイスラーム帝国の「黄金時
代」だったが、その後は政治の中心がシリアになり、アラビア半島に戻る
ことはなかった。シリアではカリフの地位は世襲制に堕し、シーア派とい
う分派の成立も世襲制が深く影響している」

――東西のイスラーム勢力が対抗したり権力争いを始める。一枚岩ではなく
なった。

「この虚を突いてキリスト教徒の十字軍遠征が始まる。11世紀末から13世
紀末まで続いたが、彼らの「聖地奪還」というのは名目だけで、実際は軍
事侵略と収奪でしかない。我々はそれを宗教運動とは見ていない。

実際、1099年に聖地エルサレムを攻めた十字軍は組織的な軍隊ではなく、
無差別の虐殺、略奪の限りを尽くし、地中海沿岸は占領された。1148年の
第2回十字軍遠征に対してはアラブ・イスラーム側の準備が整い、迎え撃
つことができ、1187年にはエルサレムも奪回した。1190年の第3回十字軍
遠征では和平協定が結ばれた。

1204年の第4回十字軍はムスリム世界を攻撃せずに、東方キリスト教会の
コンスタンチノープルを攻撃して殺戮と強奪に終始した。

1218年の第5回十字軍のエジプト攻撃あたりから様子が変わってくる。エ
ジプトが勝ったのだが、1229年に聖地エルサレム割譲の密約を結んだの
だ。アラブ世界は大反発したが、当時は「タタール」と呼ぶモンゴルが東
からイスラム世界侵攻を開始しており、西からは十字軍の攻勢により、未
曽有の災厄に見舞われていたから、やむを得ない措置だったかもしれない」

――モンゴル帝国軍は1229年にはアフガニスタンやイランに到達している。
侵攻を退けた国は日本とエジプト王朝(スンナ派のマムルーク朝)だけ
だったそうですね。続きは次回にお願いします。
at 09:23 | Comment(0) | Andy Chang

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