2022年02月27日

◆日本の自立を取り戻すには真の自立以外ない

加瀬 英明

  日本はいまから70年前の昭和27(1952)年に対日講和条約が発効してか
ら、年を追うごとに国として尊厳を失うようになった。
いつの間にか、日本は誇りを失った国になってしまった。

 世界のどの国でも学校教育の場で、その国の民として誇りをいだくよう
に教えている。日本ではそうではない。
先の大戦の敗戦によって、明治の開国後、先人たちの努力の賜物として築
きあげた、あまりにも輝かしい業績をあっというまに失ったために、茫然
自失して自信を喪失したた
めだろう。

 独立を回復してから70年もたつから、傷を癒したい。
私はナショナリズムを復活させるべきだと、主張するつもりはない。国と
して自尊心を取り戻すことを求めている。

 自尊心を失った人は、正常な社会生活を営むことができない。国も同じ
ことだ。日本は私たちの根だ。国への誇りを失ってしまうと、日本が根腐
れして立枯れてしまう。

 多文化尊重とか、グローバル市民といった、聞こえだけよい菌によって
根腐病が進んで、樹齢が2000年以上の大木が蝕まれている。

 私を右翼、極右だといって誹謗する人々がいるが、的外れだ。ナショナ
リストだと思ったことはない。

 ナショナリズムは自国が他国に優越していることを、言いひろめる。戦
時下なら許されようが平時にはそぐわない

 自尊心を欠いた国は国を失う私は一人の凡人として、自尊心を欠いた国
は立ち行かないと憂いている。

 自らを尊ぶ心を衰えさせた国は生命力が弱まって、相手の国と対等な立
場にたとうという気概を失ってしまう。

 敵基地を攻撃する能力を持つべきか、問題になっているのが、じつによ
い例だ。

 相手が日本本土を攻撃する能力を備えているのに、そのような手段を
持ってはならないと主張する国会議員が与党のなかにもいるのは、どうし
たことなのだろうか。

 このような自尊心を捨てた人々は、日本が性悪(しょうわる)な国家だか
ら、重い責任を負ったり、負わせてはならないと信じているのだろう。弱
いことが平和を守るとい
う、不気味な妄言(たわごと)を口のなかでいつもつぶやいている。

 現行憲法に崇高な平和主義が宿っているといって擁護している人々も、
昭和50年代に日本教職員組合(日教組)大会が開催された時に、アルバ
イト、リベート、プレゼン
トを禁じる“三ト決議”が採択されたのをみても、けつして純粋な精神を
持っていない。

 もっとも、かつて貧しかった時代には、自分に力をつけなければ生きて
ゆけなかったから、人がそれぞれ強い個性を持っていた。

 ところが、物質的な豊かさが増すにつれて、たいして努力をしなくて
も、ある程度の生活が営めるようになったために、ひ弱になって、人も国
も逞しさを失った。

 このところ日本から個性を持った人々が、ほとんどいなくなった。独立
自尊福沢諭吉翁が「独立自尊」という言葉を、遺している。自らを尊ぶこ
とによって、人も国もはじめて独立することができる。

 私は歌が時代の精神を映しているので、明治以後の演歌、歌謡曲、軍歌
などの歌詞に興味をもってきた。

 昭和20年代に、「こんな女に誰がした」という歌が流行(はや)った。ア
メリカ兵を相手に春をひさぐ女をうたった、自暴自棄な歌詞となっている。

 独り立ちするのを否定した憲法を守ろうとしている人々は、自暴自棄に
陥っているとしか説明できない。

 護憲派の人々は他国が軍を保有するのは当たり前のことだとみなしてい
るが、日本は他の国々と対等でないから、軍が存在してはならない。

 近隣の外国が1970年代に入ってから、尖閣諸島を自国の領土だと偽って
「核心的
利益」と称して、その国の武装公船が連日のように領海を侵犯していると
いうのに、政
府はその国に媚びて、尖閣諸島が沖縄県石垣市に属しているのに市職員も
含めて、日本
国民の島への上陸をいっさい禁じている。

 なぜ、日本を侮る外国の機嫌をうかがわなければならないのだろうか。
外国に位負けしているのだ。

 新潟県佐渡島の金鉱山跡を、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の歴史
文化遺産に登録しようとしたのに対して、韓国が佐渡金山で韓国人が奴隷
労働を強いられていたと、
根も葉もない主張を行って抗議すると、腰がふらついて、一時、申請を延
期するといったのもそうだ。

 文化安全保障のすすめ

 日本は背骨がない国となってしまった。確固たる信念がなく、いつも動
揺して水母(くらげ)のように漂っている。
敗戦直後の日本人は、まだ毅然としていた。

 終戦の年に、私は小学3年生だった。東京・四谷の家を空襲によって焼
かれたために、鎌倉で育った。

 「リンゴの唄」(昭和20年、サトウハチロー作詞)が、ラジオから流れ
ていたので、よく知っていた。

 占領下だったが、四谷の近所の床屋が店を焼かれたので、なじみの客を
鋏と道具を持って巡ってわが家にもきた
私も刈ってもらった。南方から引き揚げた復員兵だった。

 ある時、「リンゴの唄」を口ずさみながら、鋏を使った。「これは日の
丸の歌ですよ。仲間はみなそう思っています」といった。

  赤いリンゴに口びるよせて
  だまってみている青い空
  リンゴはなんにもいわないけれど
  リンゴの気持はよくわかる
  リンゴ可愛いや 可愛いやリンゴ

  歌いましようかリンゴの歌を
  二人で歌えばなおたのし
  皆なで歌えばなおなおうれし
  リンゴの気持を伝えよか
  リンゴ可愛いや 可愛いやリンゴ

 復員兵にとって、リンゴが日の丸だった。占領下で日本は国旗の掲揚を
禁じられていた。いまでも、この歌を聞くと襟を正す思いがする。

 私は一度、サトウハチロー先生に伺ってみたかったが、その機会がな
かった。

 学校教育の場で青少年に日本人として当然な自尊心をいだくことを、教
えなければならない。

 昨今、経済安全保障を確立することが急務だという声があがっている
が、文化安全保障こそ必要ではないか。

 就職前の大学生の人格教育に当たっている株式会社キャリアコンサル
ティングという称賛するべき教育会社がある。私はしばらく前に豊島区公
会堂に招かれて、800人あまりの男女大学生を前にして講演したことが
あったが、学生たちが全員規律正しく目が輝いているのに感動を覚えた

 本誌に高森明勅氏が、皇室について連載を始めたのが嬉しい。

 日本の現状を嘆いている多くの識者が、米国が占領下で日本国民を“洗
脳”して東京裁判史観を植え付けたために、国民精神が混乱していると
いって米国のせいにしているが、筋違いだ。

 日本国よ、目覚めよ

 米国による占領は、僅か六年だった。自虐史観と日本国憲法が定着した
のは、米軍の力によるものではない。占領軍の傀儡となった大新聞や、学
者たちが保身のために協力
したのが、今日に至っている。

 独立を回復した直後に、占領政策による弊害を正すべきだったのに、七
十年にわたって放置してきた日本国民が、責められるべきだ。




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◆雀庵の「大戦序章/1第3次世界大戦が始まった?」
“シーチン”修一 2.0

【Anne G. of Red Gables/434 2022/2/25金】先日、孫5人、子供3人が集
まって小生の71歳誕生日を祝ってくれた。孫は4月から中2、小5年、4年、
3年、1年になるが、先が長いから大変だ、と小生は思うけれど、本人も親
も大変さが分かっていないから明るいものである。知らぬが仏、怖いもの
知らず・・・何よりも「若さ」という勢いがあるからこそできることで、
素晴らしいことそれでいいのだ!

2月23日は第126代天皇徳仁(なるひと)陛下(令和天皇)の誕生日であ
る。1960/昭和35年生まれで62歳。共産主義を目指す激動の60年安保騒動
の最中だった。

第125代天皇明仁(あきひと、平成天皇、上皇)様は1933年12月23日生ま
れで88歳。明仁様が15歳になられた1948年12月23日、GHQは極東国際軍事
裁判で死刑判決を受けたA級戦犯7名の絞首刑を実行した。マッカーサー、
GHQは日本人を蛮族、ガキとバカにしていたから、大いに愉快だったろ
う。報復のタネをばら蒔いたのはまずかった・・・恨みはらさでおくもの
か、となるわな。

GHQ、アメリカの占領政策は日本を「100年間戦争できない国にする」の
が最大のキモで、占領下で国家主権がない日本は、GHQが1週間ほどで作っ
た日本国憲法を押し付けられ、1946年(昭和21年)11月3日公布、1947年
(昭和22年)5月3日に施行された。

マンガみたいな“なんちゃって”憲法だが、日本の狡猾な政治家やエリー
トは「軍事はアメリカさんにお任せだから莫大な経費節約になる、戦後復
興急ぐべし」と歓迎したようだ。この憲法は事実上「改憲できない」こと
を軽視したツケが今まわって、いささか“老大国”気味になったアメリカさ
んは大丈夫だろうか、と何となく心配するようになった。旦那が老いるに
従って妾が不安を覚えるのと似ている。

私見だが、国難を迎えた時は、クーデターで暫定憲法を創るか、「想定
外の緊急事態だから超法規で対処する」とかのアクロバットで対処するこ
とになるかもしれない。憲法のために国民があるのではない、国民ために
憲法があるのだ、米国製憲法より国民の命の方が大事だ、とか大声を上げ
れば、正義が大好きな日本人は「確かにそうだ」と了解するだろう。

大きな危険を避けるためには自由民主や法律、人道、人権、共生などは
一時的に規制されるものだろう。強盗に襲われたら、強盗の人権云々より
もまず迎撃する――当たり前だ。「テクマクマヤコン、超法規でヘンシー
ン!」、便利で怪しいオマジナイ。やってみなはれ。

迎撃、排除、駆除・・・「孤立を恐れず」の小生はいささか「される」
側だが、餌を求めて山から出て人間を襲ったり不安にする熊が殺処分され
るニュースを知ると、「そこまですることはあるまいに・・・」と思って
いた。例えば北海道新聞2021/12/3「400キロのヒグマ1頭、羅臼で駆除 
11月被害続出」。

<【羅臼】2日午後7時20分ごろ、根室管内羅臼町北浜の海岸で、ヒグマ
1頭が北海道猟友会中標津支部羅臼部会のハンターに駆除された。

中標津署によると、駆除されたのは雄の成獣で体重約400キロ、体長2.1
メートル。午後4時すぎから近くに住宅がある海岸をクマがうろつき、倉
庫に侵入したため町職員や中標津署員らが警戒していた。夜間発砲は鳥獣
保護法で禁止されているため、ハンターは署員から警察官職務執行法4条
(緊急避難)に基づく指示を受け、計3発を発砲した>

熊が森から出てきたら容赦なく殺処分、他の熊に対する警告でもあり、
二度と人間の暮らす里に出てきませんようにというオマジナイのようでも
ある。過酷な制裁・・・

今、枕頭で周(しゅう)はじめ著「原野の四季 牧場の四季」(合冊
本、1966年)を読んでいる。周氏(後に吉田元と改名)は、「大学卒業後
の1953年、知人を頼って最果ての地、北海道根室原野に移り住んだ。ラン
プの下で日々を送る開拓地の牧場で、野鳥や原野の四季、原野で暮らす
人々の生活をカメラと文章で記録し続けた。足かけ3年を過ごしたのであ
る。1955年に帰京後1971年までの間に、根室原野での体験をもとに写真と
文章による一連の著書を刊行した。後に映像作家として政府公式の『昭和
天皇大喪の礼写真集』監修の大役を全うした」(バードフォトアーカイブ
ス 塚本洋三氏「山階鳥研ニュース」2021年5月号)。小中生向けの「原
野の四季 牧場の四季」にはこんな記述もある。

<昭和28/1953年4月5日、上野駅を出発しました。3日の後、根室原野の
西別(にしべつ)という小さな駅に降り立ち、原野への第一歩を踏みしめ
たのでした。牧場まで四里(16km)の道のりがあり、白樺林を伐り開いて
つけた開拓道路がまっすぐにのびていました・・・>

一帯は根釧台地(こんせんだいち or 根釧原野)、百科事典マイペディ
アによると「北海道東部,根室,釧路両地域にまたがる標高200m以下の
台地。火山灰土の低湿地や泥炭地が多く,海岸部は濃霧がかかり作物生育
は困難であるが,1954年から世界銀行の融資でパイロットファーム(試験
農場)がつくられた。内陸部では主畜農業経営が行われる。湿原の一部は
ラムサール条約の登録地」。

上記のパイロットファームは、米国式の大規模農業・牧畜を推進して米国
製農機を売るのが狙いだったらしいが、米国の農場に比べれば狭いという
現地事情に合わず頓挫したよう。それはさておき、周氏が野鳥や自然観察
を始めた頃の根室原野は、人間と相棒の馬(小柄だがタフでパワーがあ
り、乗り心地が良い道産子など)と乳牛などの家畜がコラボして必死で自
然はもとよりカラス、そして時々ヒグマなどと戦う日々だった。

<時々炭焼きに来る甚平さんに初めて会った時、その顔を見た途端、ゾ
オッとしました。片目がつぶれ、顔中が押しつぶされたように歪んでいた
のです。それは3年前の春の事件にさかのぼります。

甚平さんが入植したばかりの丸木小屋の近くの森に大熊が現れて、放牧
していた馬を倒しました。困難な開拓には杖とも頼む馬ですから、熊に対
する激しい憎悪が燃えあがりました。早速、馬の死体の周りにワナを仕掛
け、町のハンターから借りてきた銃を持って、木に登って熊が出てくるの
を待ち構えていたのです。

幸か不幸か、大グマは闇に紛れて忍び寄ってきました。甚平さんが樹上
で夢中でぶっ放した一発は、見事に熊の心臓に命中しました。甚平さんは
嬉しさのあまり、宙を飛んで森を駆け抜け、部落に着くと「クマをやっつ
けたぞーっ!」と大声をあげたものだから、夜中だというのに人々は大騒
ぎして大グマ見物に出かけました・・・

次の年の雪解けの頃、近くの森をクマが歩いているとの知らせがあり、
甚平さんを隊長に五人がクマ狩りに向かいました・・・ナラの大木の側を
通りかかったその時です、ギャーッ!という絶叫が起こりました。後から
歩いてきた四人の若者が見たものは、木陰から立ち現れ、すっくと後足で
立ちはだかった巨大なクマが、甚平さんを殴り倒し、自分たちに向かって
行くぞ!とばかりに構えた姿でした。

二番目に歩いていた若者が無我夢中で向けた鉄砲は、熊の力強い一撃に
よって、あっけなく飛ばされ、次の瞬間には気を失って倒れてしまいまし
た。残る三人は辛うじてクマの攻撃から逃れることができたものの、今や
クマに立ち向かう気力は全く消え失せていました。

一人が部落に急を知らせに走り、二人は百メートルも離れた木の上にの
ぼって、どうなることかとハラハラしながら様子を見守っていました。

クマは倒れている甚平さんに近寄って、じいっと上から見下ろします。
甚平さんは死んだふりをしていましたが、そおっと眼を細く開いてみたそ
うです。ところがクマの大きな顔がのしかかるようにのぞき込んでいるの
を見て、ギョッとしたとたん、クマの手で思い切りどやしつけられまし
た。甚平さんが呼吸を吹き返すたびに顔や胸を殴りつけ、かきむしるので
した。こんな状態がもう少し続いていたら、いかに気丈夫な甚平さんとは
いえ、ついにはお陀仏してしまったにちがいありません。

ところが幸運にも、少し離れて伸びていた若者が、やっと我に返ったの
です。あたりを見回した途端、甚平さんを見下ろしているクマのどえらく
大きな背中を間近に見て、声にもならぬような妙チキリンの唸り声をあげ
たのです。

若者の驚きもさることながら、さらに驚いたのはクマの方でした。背後
に時ならぬ唸り声を聞くや、脱兎のごとくクマザサをかき分けて森の奥に
逃げ去ったのです。

木の上の二人が駆け寄り、血だらけの甚平さんを助け起こし、森を出か
かった時、部落の人々が駆けつけてくるのに出会いました。

甚平さんは四里離れた町の病院にかつぎこまれ、1か月後に森の丸太小
屋に帰って来た時には、もはや昔日の面影はどこにも残っていませんでし
た。「これからのクマ狩りには鉄砲も槍もいらん。この俺の顔を見たらク
マの方でお辞儀する」と、しごくほがらかだったそうです>

すごい話だ。地球という限られた地は、熊や狼、徒党を組んだ野犬など
先住動物と、やたらと木を倒し縄張りを広げる開拓民=人間との激烈な生
存競争の場だ。人間だけがこの60年で75億に大増殖、倍増し、他の動物は
概ね駆逐され続けている。熊に駆除された人間は少なく、人間に駆除され
た熊は圧倒的に多いだろう。シドニー水族館などによると、サメに殺され
る人間は年間10〜20人、人間に殺されるサメは年間数千万匹(80万トン)
とか。蒲鉾、はんぺん、ふかひれスープ、小生が毎日摂取するコンドロイ
チンもサメ・・・さめざめ、絶滅危惧種になっている種も増えているようだ。

人間は人間同士でも激しく縄張り争いをする。人口増→ 食糧不足→ 開
墾・乱獲して増産→ 人口増を繰り返し、さらには戦争で他民族の命と土地
を奪う・・・人類史はこの繰り返し。人間の繁殖は地球を破壊しかねない
のではないか。開墾して砂漠化してしまう。繁殖力もすさまじい。60年前
の30億人台の頃、「人口が少な過ぎる」なんぞ誰も言わなかったのに、あ
れよあれよの間に倍増してしまった。貧困をなくそうという美名のもとに
生活支援を行い、結局、生態系を乱したのだ。

限られた広さのところに密集すると動物はタフな個体だけが生き残るよ
うだ。前述した道産子はもともと本土から北海道に渡り、厳しい環境の中
でタフな個体が生き残り、パワフルになっていったという。

いろいろな面で激烈な環境を乗り越えて来た北方のロシア人、東北の支
那人は、比較的温暖な地の北米人や欧州人、水田耕作のアジア人などと比
べると、肉体的、精神的にタフな印象がある。気候風土のみならず為政者
による統治の厳しさが、強い者には従うという事大主義や、仲間、一族で
固まる相互扶助的なコネ体制を育んできたようである。有史以来現在ま
で、ロシアと支那という大国は一度たりとも自由民主人権法治を体験して
こなかった。ロシア・支那は「力治国家」だ。「法や道義よりも力を優先
させる国」(櫻井よしこ氏)である。

ソルジェニーツィンの作品は随分読んだが、5回ほど愛読した「イワ
ン・デニーソヴィチの一日」に一貫している思想は「諦観」だと思う。厳
冬の中で「いつか春になるだろう」と耐え抜くのだが、春を自分で引き寄
せるという「能動的意識」がまったくないのは不思議だった。ロシア人も
中国人も皇帝か共産主義の専制独裁政治しか知らず、自分たちで自由民主
人権法治の国を創ろうという発想さえないのだ。

米国に亡命していたソルジェニーツィン曰く「民主主義は高潔な美徳で
なく、圧政を避けるためのもの。一人の暴君が、多数の暴君になることが
ある。選挙では内容なき量が、内容ある質に勝利する時があり、多数が間
違うことがあり、道徳的なものは敗北し易い。政党間の争いは理念なき権
力の獲得となり、国民の利害は、政党の影に隠れてしまう」と、西側の自
由主義体制にも批判的であり、ロシア正教を基盤としたロシア独自の社会
の構築が彼の願い、希望だったという(久恒啓一・多摩大学特任教授)。
自由民主人権法治の「ろくでもない面」ばかりでなく「いい面」も学べば
良かったのに。

ロシア正教を含めてロシアの主要宗教の坊主たちは己の存続のために
レーニンに屈服し、レーニンは独裁統治のために主要宗教を利用した。宗
教と独裁のWinWin コラボ、ソルジェニーツィン、ロシア人の限界だ。自
由民主の経験がないのだから仕方がないのだろうが、実に残念、気の毒な
ことである。

プーチンは2008年のソルジェニーツィンの葬儀に際して、「氏の逝去は
全ロシアにとって大きな損失だ。彼の著述と社会活動、長く困難だった人
生の歩みは、人々と祖国、自由の理想、公正、人道主義に対する真の献身
的行為の見本であり続けるだろう」と遺族への弔電で述べたという(久恒
教授)。プーチンは「イワン・デニーソヴィチの一日」さえ読んでいない
だろう。

共産主義者は平気で嘘をつく。露中の民は保身のために騙された振りを
するが、残虐な国家体制を変えようという意識も知恵もない。良き人々は
殺されるか収容所行きだから、露中を外野の我々が非難したところで効果
はない。隔靴搔痒、イライラしてくる。

小生は去年の元旦にはこう書いていた。「米国依存ズブズブ日本の周り
にブスブスと煙が立ち始め、やがて火の粉が上がり出すだろう。降りかか
る火の粉は払わねばならぬ。2021年、激動の時代が始まった」。

悪い予感はよく当たる。小生は習近平・中共が冬季五輪後に火をつける
と思っていたが、プーチンが戦端を開くとは予想外だった。プーさんでは
なく巨大な人食い熊、プーチンはすこぶる付きの戦争巧者である。策士策
に溺れる可能性はないとは言えないが、難敵である。米欧は犠牲を恐れず
にプーチンを潰せるか。

一方で習近平はこれをチャンスとして台湾侵攻を始めるかもしれない。
欧米にとって対露戦争は己の縄張りに関わる重大事で、極東の台湾にまで
は手が出ないから、習にとってはチャンスのはずである。台湾、日本、ア
ジアを守るためには日豪印米加などが結束して戦わねばならない。第3次
世界大戦が始まったようである。小生の妄想であればいいのだが・・・



        

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◆親日国家ネパールで奇妙な暴動

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)2月22日(火曜日)
     通巻7227号
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親日国家ネパールで奇妙な暴動 政権は極左マオイストと左派の連立
  米国の3億ドル援助の批准を巡って議会が紛糾
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 2月20日、カトマンズで暴動が起きた。
警官隊が出動し、催涙ガスで鎮圧したが、彼らが掲げたのは「米国の3億
ドル無償援助が問題だ」と言うのである。「反対」ではなく、問題という
のは、ネパールの主権に拘わるからと主張している。

 じつはアメリカの3億ドル援助は紐の付かない、無償援助でMCCプロ
グラムと言い、2017年に決定している。ネパール議会の少数政党乱立
による大混乱で、まだ批准がなされていないのである。
 人口およそ3000万人。一人あたりのGDPは1200ドルそこそこ
で、山岳地方へ行くと貧困家庭が目立つ。山を越えると部族がことなり、
政党政治というより部族政治の側面が強い内陸国家である。

 ネパールが王制から民主選挙の下、民主主義体制に移行したが、投票結
果はマオイスト、マルクスレーニン主義政党、人民党、社会党と少数乱
立。なにしろ政党が25前後あり、このうちの23政党がマオイストか、
もっと左。議席のない極左セクトが多い。

 元国王は旧王宮にいるが、王制支持の保守は議会で少数に転落してい
る。ならばマオイストは暴力革命を目指しているのか? というとそうで
もないらしい。
カトマンズの町は中国人に溢れているが、最大援助国は米国、ついで旧宗
主国の英国。三番目が日本だ。日本食レストラン、居酒屋は殆どが中国人
となった。

 ネパールの親日ぶりは、町を歩くとすぐに分かる。在留邦人は千名そこ
そこだが、日本に出稼ぎに来ているネパール人は十万人近い。

マオイスト国家なのに、ヒンズー教徒が圧倒的。ネパールの北西ルンビニ
でお釈迦様は誕生したが、仏教徒はすくない点でインドの宗教分布と似て
いる。
 ネパールは独立後、インドの保護国というイメージだったが、反インド
感情が強い。グルカ兵を国連に出しているので、「世界平和を維持してい
る貢献国」と、カトマンズ空港の大看板がある。

 現在のデウパ首相は、過去に四回首相を歴任しており、今回が五回目の
首相就任で連立与党を引っ張る。来日歴が二回。ヨガの達人ともいう。
 ならば現在の大混乱をヨガで乗り切れるか?
 
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評  BOOKREVIEW 
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 諜報とは人を騙すのではなく誠心誠意、協力者と付き合うことが極意
  インテリジェンス戦争のマスター達は国益を求めて工作に命をかけた

  ♪
岡部伸『至誠の日本 インテリジェンス』(ワニブックス)
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 インテリジェンス戦争に詳しい岡部氏の最新作。
 岡部氏がインテリジェンスに興味を抱いたのはKGBによって睡眠薬を
盛られて昏睡状態にされ、目覚めると財布からドル札が抜き取られていた
事件がきっかけという。KGBの「警告」だった。岡部氏が産経新聞モス
クワ支局に赴任し、北方領土交渉の機微に触れる取材をしていたときだった。
 本書は、その副題が示すように「世界が称賛した帝国陸軍の奇跡」を
追って、とくに小野寺信、樋口季一郎、藤原岩市の三人のスーパー・イン
テリジェンス・マスターに焦点を充てている。
 当時、諜報、情報工作にあたった人たちの信条が「謀略は誠なり(誠と
は真心から発するもので、事をなすには誠心誠意をもって従事するこ
と)」。この精神で世界初の情報士官養成所「陸軍中野学校」を開設した
経緯がある。
 小野寺信は連合国から「枢軸国側諜報戦の機関長」として畏怖され、共
産党の転向者らとも交遊し、梁山泊の趣があったという。小野寺はヤルタ
密約の存在を知り、終戦の土壇場でソ連が北海道へも攻め込むという機密
情報を掴んだ。大本営は、この機密電報を握りつぶした。
ヤルタの密約はFDRが、トルーマン副大統領にさえ見せなかったほどの
もので、しかし英国では15部複製され、女王陛下以下の政府トップには
共通の認識だった。
 日本の『同盟国』だったドイツの保安警察(SIPO)は、1941年
に報告書を作成しており、そこには「日本の『東』部門 ──対ソ諜報の長
はストックホルム陸軍武官の小野寺で、補助役がケーニヒスベルグ(現在
のカリニングラード)領事の杉浦千畝とヘルシンキ陸軍武官の小野田寛」
とした。
カリニングラードは、ロシアの飛び地。評者(宮崎)も、数年前に行った
が、瀟洒な海岸や美しい教会が並び、大きな教会の裏にあるカントの墓に
はいまも花束が絶えない。
 日本のインテリジェンス工作員らはバルト三国やスウェーデンを舞台と
して、とくにソ連を憎悪していたので、日露戦争でロシアを負かした日本
に近親感を抱いた小国の協力者がいた。
 1944年にストックホルムにおいて小野寺を訪ねた扇一登(海軍大
佐)は「小野寺さんは他国の情報将校から『諜報の神さま』と慕われてい
た」という証言もある。 
諜報は人を騙し、破壊工作を煽り、どんな手段を講じてでも情報を掠め取
るという暗いイメージ画をあるが、小野寺は「情報活動で最も重要な要素
の一つは、誠実な人間関係で結ばれた仲間と助力者」だとした。
 「その信念のもとで、他国の情報士官と『人種、国籍、年齢、思想、信
条』を超え誠実な『情』のつながりを築いていった」(23p)
 樋口季一郎は杉原千畝の上司。ユダヤ人を救うのは人道主義に基づき、
いずれ国益にも繋がると信じた。
 樋口は哈爾浜(ハルビン)において、海拉爾(ハイラル)、満州里など
に分散していた特務を統一し、また白ロシア人をエージェントに抱えて、
ソ連に潜入させた。ロシア革命を逃れてきた白系ロシア人はスターリンへ
の憎しみを抱いていた。樋口は「東洋のシンドラー」とも言われたが、ス
ターリンの野望をいち早く見抜いた。 
 もうひとり、藤原岩市は「F機関」で知られる。諜報大国の英国も脱帽
したほどの完璧なインテリジェンス工作を展開した。
 マレーシア上陸作戦は、それまでにマレーシアに写真屋、雑貨商などを
表看板として在留邦人が一丸となって情報をもたらし、また英軍の動きを
背後から監視して、日本の部隊へ通信していた。藤原機関は南機関、ハリ
マオなどを駆使し、チャンドラ・ボーズをインド独立軍の領袖に育てた。
チャンドラ・ボーズはガンジーと対立するとされたが、近年モディ政権に
よってボーズへの再評価が浮上している。
 日本の情報能力は、高いのか低いのか分からないが、英国は日本にファ
イブアイズへの参加を呼びかける時代である。このような書籍が、日本の
論壇に登場したことも、顕著な社会的変化のあらわれと言えるだろう。
    
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜書評 しょひょ
う BOOKREVIEW 書評  BOOKREVIEW 
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  古今東西、英雄は色を好み、烈女は全知全能を傾けて男を繰る
   世界のファーストレディのなか、誰が「あげまん」で誰が「さげま
ん」か。

浜田和幸『世界のトップを繰る「ディープレディ」たち』(ワック)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 「二十四の瞳」という映画があった。いまの国際政治のキーナンバーは
「24」である。
 それって何? トランプ夫人のメラニアとジョンソン英首相夫人の年齢
差は24,仏大統領の年上の女房は24歳上。
 かつてウォール街によく通っていた評者(宮崎)は『ウォール街 凄腕
の男たち』という本まで書いて、T・ブーン・ピケンズ等を取材し、主と
してファンドの仕掛け人らの思想と行動を追った。けれども裏にある女性
達まで取材する余力はなくキッチン・ストーリーは描けなかった。ピケン
ズは小糸製作所の筆頭株主に突如躍りでて、日本のメディアは「黒船、来
る」と大騒ぎだった。
 ゴシップとフェイク情報が乱れ飛ぶ世界。各国トップの家庭の事情。な
かなか真相に近づけることはないが、本書は「世界の凄腕のおんな達の思
想と行動」を追跡した珍しい読物である。
 古今東西、「英雄は色を好み」、「烈女は全知全能を傾けて男を繰る」
のだが、現代世界であまたあるファーストレディのなか、誰が「あげま
ん」で誰が「さげまん」か。
 浜田氏は「あげまん」の代表としてバイデン夫人とマクロン夫人を挙げ
る。惚け老人に助け船を出し、常に大統領である夫に発破をかけ続けるジ
ル夫人は東京五輪でもバイデンをホワイトハウスに残して単身来日し、ア
メリカは日本の力強い味方だと演出して見せた。
 マクロン仏大統領は年上の熟女に頭が上がらない。
 ならば「さげまん」の代表は誰かと言えば、指摘するまでもないがヒラ
リー・クリントンだろう。と思いきや、本書では英首相ジョンソン夫人の
キャリーがいまでは「キャリー・アントワネット」と呼ばれるほどの悪女
だそうな。
さてさてそうなると、トランプ前大統領夫人のメラニアは、どちらか?
 メラニアはスロベニアから野心を抱いて米国へ渡りファッションモデ
ル。全裸ヌードも厭わない美女だが、トランプをいかにして射止めたか、
微に入り細を穿ち、その鮮やかな手法と仕掛けを描いた。
 大統領就任から半年のあいだ、メラニア夫人はNYのトランプタワーを
動かなかった。息子のバロンをメイドに頼らず、自分の手で育てるため
だった。だからバロン君はスロベニア語もペラペラ喋る。すくすくと背が
伸びてトランプより高くなった。
メラニアがイバンカ夫妻を嫌っている理由は何か。いろいろとゴシップや
タブロイド判の情報は知っていたが、これらのフェイク度合いをチェック
しながら、本書は時系列に体系的に烈女の行動の軌跡を追いかける。メラ
ニア夫人は浅薄なミーハーではなく、したたかな、計算高い女性であると
いう実像が浮かんでくる。
ほかに登場人物は世界一の金持ちとなったテスラのイーロン・マスク、ア
マゾンの創業者ベゾスら世界のビリオネアの女性遍歴と、その女性観をつ
ぶさに書き込んでいる。
ベゾスは糟糠の妻マッケンジーと離別した。反トランプのワシントンポス
ト紙を買収したので「アマゾンポスト」となった。
テスラのイーロン・マスクは二回離婚しているが、日本のアニメファン、
とくにもののけ姫に凝っているというが、それがビジネスといかに繋がっ
たのか、興味尽きないゴシップが並ぶ。
意外や意外な「色を好む英雄」はビル・ゲーツの奇譚である。
 ゲーツは史上空前の離婚訴訟で、前夫人と別れた背景に、とてつもない
スキャンダルがあった。ゲーツが全米一の農地所有者であり、よく来日し
て軽井沢の別荘へ行き、和食ファンでもあることは知られるが、フェイク
ニュースならぬフェイクフーズを作ろうとして種子を集めているのだろうか?
 女性スキャンダルを封じ込めたのはゲーツのカネの魔力だが、何故、そ
していかなる謎があったかは本書でお楽しみあれ!
         
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★読者の声  どくしゃのこえ  READERS‘ OPINIONS 
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  ♪
(読者の声1) MMTの嘘について(林文隆)氏から、小生への御投稿があり
ましたので、以下回答。
「現在の日本でも財政出動して「全世帯にプラスチック光ファイバー網」
の建設、落下寸前の橋梁・トンネル・道路の補修、「超高度科学技術立
国」の政策を掲げれば3年でGDPを3倍に持って行けます。」との事です
が、問題は、
 1。明治時代、昭和には、優秀な官僚が正しく未来を予測し、正しい目
標、計画を立てられたが、1970頃にはすでに彼等、「自分の省だけ、今だ
け、金だけ、後ろ向き」の「受験に強い東大卒」が無能になり、国策のプ
ロジェクトは悉く高価で、コスパが悪く、かつ不能、あるいは負債に陥る
ようになった。(支那、シンガポールの官僚は優秀で、常に時代の先を実
現している)
逆に、落ちぶれていく大きな企業、産業に、莫大な税金を投じ、失う、と
いう歴史を繰り返した。彼等の能力が改善したという気配はない。故に、
政府指導の計画は、必ず無駄になり、負債だけが残り、また維持費だけで
も大変な額になる。
 例えば、新幹線は成功したが、リニアは、過去40年間膨大な費用をか
けて、未だに運転していない。しかも新幹線の重複であり、新しい利点、
効果は期待できない。1^2時間の短縮にどれだけ余分な高価な汽車賃を
払う者がいるのだろうか。既存の新幹線の客を奪い、そちらの被害も考慮
すると、総合的にはあまり意味がない。(おまけに、開発研究費をかけ、
既にそれを支那に盗まれている。新幹線の知的財産権もすっかり取られた。)
2。道路、橋、などの土木工事も同様であり、全く経済効果のない僻地へ
道路や施設を建てても、単なる無駄で、建設業を一時的に儲けさせるだ
け。例えば、四国に高価な長い橋を幾つもかけたが、交通量はほとんどな
く、毎年の維持費さえ生み出せない。つまり、負債、重荷。やがて補修
費。そして、取り壊し工事費。
3。通貨の創造とは、その大部分が「銀行が融資をする」ことによって、
無から生まれる。日本の企業の95%ぐらいは中小企業であり、その融資額
も小さい。
これを担当するのが地方の小さな独立した銀行の任務であり、東京の大銀
行は見向きもしない。民間銀行は損をするわけにいかないので、投資には
砕心の注意
を払い、確実な融資しかしない。つまり「富を産む」計画の投資・融資を
し、結果として雇用を生み経済を大きくする。銀行には、それを判断する
知識・能力・経験が必要で、それには地元の直接現場にある銀行が適して
いる。つまり、霞ヶ関の役人が遠方の見たことも無い地方の計画を操作す
るのと真逆になる。(世界的に銀行の大規模化、統合が行われているが、
危険なことである。中小企業、その雇用を潰すことになる。)
4。自国の通貨をいくらでも増やしても大丈夫、という主張があるが、こ
れは「対外的」には通用しない。戦後、日本が弱かった頃、$1=Y360と
いう時代が長かった。それが1995年に八十円に上り、今115円。これは、
国際的な「円の信用度の評価」による。異次元、財政出動、などを続けれ
ば、いずれ臆病な国際金融機関は、円を遠慮して円滑に縁を切る、方向に
向かうだろう。
つまり360円時代に戻るとすると、日本が輸入せねばならない材料、油な
どが高騰し、国内にもインフレが生まれる。たちまち多くの企業が倒産
し、国も崩壊する。
 5。そんな歴史の繰り返しを見て、やっぱり魔法の打ち出の小槌は嘘
だった、と分かるが後の祭り。
日銀の偉い指導者どもは、責任をとって全員切腹すべきだが、韓国のよう
に逮捕して死刑に処すのもいい。罰を与えないと、また同じ誤りを犯す。
(在米のKM生)


(編集部から)MMTに関しての議論、小誌ではこれで打ち切りとします。
  ♪
(読者の声2)貴誌7226号で、中国の塩害に強い稲作の話題がありまし
た。我が国でも同様の研究は行われているようです。たまたま稲作のこと
で調べていましたら、日本原子力研究開発機構の量子ビーム応用研究セン
ターからの発信がありましたので、ご参考までにお知らせします。
 実用化までにどの程度かかるのかは分かりませんが、研究の進展を陰な
がら応援しています。
https://www.jaea.go.jp/jaea-houkoku10/shiryo/4.pdf
  (高柴昭)

2022年02月26日

◆プーチン氏「被害者」演出 

親露派国家承認を正当化:小野田 雄一

【モスクワ=小野田雄一】ロシアのプーチン大統領は21日のテレビ演説
で、米欧とウクライナがロシアを追い込んだ−と強調。ロシアは被害
者≠セとし、ウクライナ東部の一部を実効支配する親露派武装勢力の国家
承認を正当化した。

プーチン氏は「ロシアは旧ソ連崩壊後もウクライナに貿易などで多大な支
援を与えてきた」と主張。しかしウクライナは恩を忘れ、親露派政権を
2014年の「クーデター」で崩壊させたとした。米国がクーデターを支
援したとも述べた。

プーチン氏は、南部クリミア半島(ロシアが同年に併合)や東部の親露派
支配地域の武力奪還をウクライナは目指していると主張。北大西洋条約機
構(NATO)は同国を支援し、ロシアを戦争に引き込もうとしていると
の認識も示した。

「これは初めて話すが、00年に訪露したクリントン米大統領にロシアの
NATO加盟の可能性について尋ねた」と明かした一方、NATOはその
後も反露姿勢を強めた−とし、加盟を否定されたことを示唆した。

プーチン氏はまた、NATOは東西ドイツ統合時に表明した「東方不拡
大」の約束を破った−と改めて主張。ウクライナのNATO加盟は「時間
の問題」で、脅威だと述べた。米欧はNATO不拡大などロシアの要求を
「無視した」とも非難し、ロシアの安全が保証されない現状では「ロシア
は対抗措置を取る完全な権利を持つ」とも主張した。


プーチン氏は、ウクライナ東部ではウクライナや同国を支援する米欧側に
より約400万人の住民の「ジェノサイド」(集団虐殺)が進んできたと
主張。「ロシアはウクライナ領土の統一性を維持するためにあらゆること
をしてきたが、無駄だった」とし、「延期してきた決定を下す」とし、国
家承認を表明した。
    

━━━━━━━━━━━━━━━━


◆ウクライナ侵攻〜全面戦争の可能性は

北野幸伯

日本はどうするべきか?
2月22日は、とても多忙な一日でした。

ロシアが2月21日に、ルガンスク人民共和国、ドネツク人
民共和国の独立を承認したこと。

プーチンが「平和維持軍をルガンスク、ドネツクに派遣す
る!」と宣言した件で、

たくさんの方からコメントを求められたのです。

悲しい思いをしながら、「冷静であろう」と努力し、対応
していました。

ウクライナ情勢。

今、世界情勢は、これ一色なので、皆さんも気になってい
ることでしょう。

理解すための、二つの情報を提供します。

一つは、「現代ビジネス」に掲載された記事。
ここでは、

・プーチンが独立を承認したルガンスク、ドネツクとは?

・「ミンスク2停戦合意」とは何か?

・「ウクライナをNATOに加盟させない法的保証」という
プーチンの要求と、独立承認の因果関係は?

・全面戦争の可能性は?

・欧米の動きは?

・日本政府は、どう動くべきか?

についてお話ししています。

世界情勢で今もっとも重要である「ウクライナ問題」。

是非こちらで、基本的なところ、応用編を抑えておいてく
ださい。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/92734?imp=0


もう一つ。
先日、AbemaTVで、「クレムリン情報ピラミッドは、今回
の事件をどう報じているか」という話をしました。

プーチンのロジックも知っておいた方がいいでしょう。
ぜひ、ごらんになってください。

https://www.youtube.com/watch?v=_elKxjSba70

     

━━━━━━━━━━━━━


◆耐塩のハイブリッド米

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)2月21日(月曜日)
     通巻7226号
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 耐塩のハイ
ブリッド米、中国で実験に成功か?
 渤海湾岸の塩田地帯で過去半世紀の実験を続けてきた。
***************************

 中国では1972年から食物増産計画に一環として塩分が強い上にアル
カリ土壌でお米の栽培は可能かどうか、試験田で半世紀に亘って実験生育
が試みられてきた。1972年と言えば、ニクソンが電撃訪中した都市で
ある。

 すでに670万ヘクタールもの実験田となりうる土地があり(殆どが泥
沼や湿地帯)、渤海湾と囲む地域が主力。
河北省から山東省にかけてで、天津にも実験田がある。
 
 「ブルームバーグ」(2月21日)によれば、試食に耐える米の生育に成
功したと言い、将来は670万ヘクタールの土地を水田と替えて、年間
3000万トンの「ハイブリッド米」を生産し、これは8000万人の胃
袋を満たせるだろう、と見通しを述べた。

 もしそうなればバラ色、しかし、耐塩植物は日本でも津波被害の跡地が
どうなっているかを観ると参考になる。

 わが国に農林水産省は平成23年6月の報告書で次のように言っている。
「平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、津波により、岩手
県、宮城県及び福島県の太平洋沿岸地域を中心に、およそ2万4千ヘク
タールの農地に海水が浸入し、農地・農業用施設に甚大な被害が発生し
た。特に、農地については、土壌中に残留した塩分による作物の生育障害
が懸念されており、営農再開に向けた除塩が緊急の課題となっている」
(引用止め)。

 中国でも研究が進んでいる。
『植物科学』(52号)のなかで、郭岩・中国農業大学生物学院教授と楊永
青が書いた論文では「塩分・アルカリストレスは、農作物の減産を引き起
こす重大な環境的要因である」として次の指摘をしている。

「植物の塩分やアルカリに対する適応メカニズムの解明は、重要な論理的
意味を持ち、作物における耐塩・耐アルカリ分子の改良設計に方向性を与
えることができる。塩分・アルカリストレスは、植物の成長や発育に影響
するほか、植物の生理学的変化、生物化学的変化、分子レベルの変化を誘
発する」。

   
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評  BOOKREVIEW 
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 アイヌは北海道の先住民族ではない
  極寒の北海道を命がけで護った武士団がいた

   ♪
中村恵子『江戸幕府の北方防衛』(ハート出版)
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 函館の観光名所といえば五稜郭だが、駅から反対方向、南側の末広町に
『函館市北方民族資料館』という建物がある。白亜の洋館づくりで、しっ
かりと落ち着きがある。ここは旧日本銀行函館支店だ。内部は主にアイヌ
の歴史を展示している。
 アイヌが北海道の先住民族だとする面妖なアイヌ史観は、特定の政治グ
ループの利権とも言えるのではないか。
なぜなら北海道の先住民族は明らかに縄文人である。
このたび世界遺産となった縄文遺跡群は東北の三内丸山、亀岡、是川遺蹟
のほか、いくつかの北海道の縄文遺跡を含む。とくに函館郊外には国宝と
なった縄文土偶「中空土偶」を陳列する[函館市縄文文化交流センター]
がある。三年ほど前、烈風吹きすさぶ中、函館で借りたレンタカーで中空
土偶を見に行った。かなり遠い。近現代史家の渡辺惣樹氏と一緒だった。
この事例を引くだけでも、十二、十三世紀に漂着したアイヌが『先住民
族』などと言うのは、いかに誤謬に満ちた、いや政治的な意図を含んだ、
あやしげな歴史観であるかがわかる。
 古代から蝦夷地といわれ、とくに江戸時代には松前藩(立派なお城が残
る)が置かれ、会津藩などが国土防衛のため派遣された。武士達が命がけ
で国を護ったのであり、明治維新を是とする薩長史観だけでは、歴史の真
実は浮かばれない。北海道で「櫻チャンネル北海道」などで言論活動を展
開する著者は、この妖しい、歴史書き換えの暴挙に正面から挑戦した。

 本書は冒頭部分で「鎖国」に到る経緯を切支丹伴天連の絡みで検証する。
 イエズス会は日本を侵略し植民地化しようとするキリスト教世界の尖兵
であった。この野望を見抜いたのは秀吉だった。
 家康は、この路線を継承し、秀忠のときに切支丹伴天連を追放し、鎖国
を決断した。家康の頃は、布教は禁止したが交易は認めたから厳密な鎖国
とは言えないし、平戸、長崎は開かれたままだった。平戸を閉じたのは、
むしろ英国の事情であり、長崎出島は外国人が暮らしていた一種『租界』
である。
 著者はこう言う。
 「慶長四年(1599)、家康は安南(ベトナム)、シャム、カンボジ
ア、スペイン、ポルトガル、イギリス等24ケ国の指導者に、貿易を再開
する趣旨の手紙を送り始めていた。五年後には「貿易許可証『異国渡海朱
印状』を持った29隻の朱印船が出航する。その後、三代将軍家光が海外
渡航を禁止する1635(寛永12)年まで、356隻の朱印船が日本か
ら出航した。日本からは金、銀、銅、刀、蒔絵、漆器、着物などが輸出さ
れ、海外からは生糸、火薬の原料、胡椒、象牙、香木、黒砂糖などの原材
料や嗜好品が輸入された」
 御朱印状は180通にのぼり、茶屋四郎次郎、角倉与一らの商人が、ほ
かに時計、望遠鏡、合羽、食品では馬鈴薯、カボチャ、シャボンなども輸
入した。  
 海外には数万人の日本人町が開け、ウィリアム・アダムスには平戸商館
の独占権が与えられ、中国人の李旦なども平戸貿易で活躍した。
 ヤンヨーステンは実際に朱印船に乗り込み、貿易に従事したが帰国航海
の途次、遭難死した。
そして著者が喚起するのは「特筆すべきは関ヶ原の戦いのあと、浪人と
なった武士たちが、朱印船の乗組員となったり、アジアの紛争地で傭兵と
なったりして武功を立てていた」
 こうした裏面史も本書ではさりげなく書かれていて読み応えがある。
               
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★読者の声  どくしゃのこえ  READERS‘ OPINIONS 
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(読者の声1) 2月19日付け「読者の声3」に在米KM生がMMTについて投稿
されていましたので一声。
30年間日本はプライマリーバランスの魔術に眠らされていますが、クリス
トファー・ケルトンNY州立大学教授のMMT理論は、01年経済ノーベル賞を
受賞したスティッツコロンビア大学教授の「政府統合理論」を簡便に話し
ただけです。
政府と中央銀行は別々の組織ではなく、国家の経済運営の責任者で例えれ
ば夫婦の関係です。米国でも日本でも大量の国債を発行しても金融経済だ
け踊って実体経済に少しも役に立たないのは、財政出動しないからです。
1933年政権を握ったヒトラーは、年率20%の経済成長を4年続けどん底
の独国経済を発展させました。秘訣はアウトバーの建設でした。
戦後、米国もそれにならいGDP2倍の戦時国債で全米にハイウェー建設で
黄金の60年代を謳歌しました。現在の日本でも財政出動して「全世帯にプ
ラスチック光ファイバー網」の建設、落下寸前の橋梁・トンネル・道路の
補修、「超高度科学技術立国」の政策を掲げれば3年でGDPを3倍に持って
行けます。(林文隆)

  ♪
(読者の声2) FTSE、MSCI,S&Pは作成する株価指数からブラックリスト企
業から削除しましたが、シナではブラックリスト企業へ投資資金が向かっ
て株価が急騰しています。これが株式市場、面白いですね。
https://www.reuters.com/business/finance/chinese-bargain-hunters-pile-into-stocks-blacklisted-by-trump-2021-01-08/
 米の1月CPIは7.5%(YOY)の一方で、今年の政策金利の引き上げは1
ノッチ0.25を4回がコンセンサス(最近は一回目は0.5%へ変化中)、一年
で1%になります。
 その差は6.5%。とはいえ、政策金利が6%になれば、世界の資産市場、
特に債券市場はズタボロです。だれもかれもが借金漬けの世界になりま
す。3月で米中古不動産REITの買い入れは終了しますが、半年後の9月位に
ずっと上昇を続けてきた米中古不動産市場へ影響がでるとすれば株価はひ
どいことになるでしょう。
 とはいえ、投資家はFRBは株価が20〜30%下がれば、再度、量的緩和へ
方向転換をすることを知っています。
 バイデンは戦争したくてしたくない。だれも現在のマクロ経済へ責任を
とろうとしないから、戦争のせいにするのが手っ取り早いということで
しょう。しかし、プーチン大統領は西側のどの指導者よりも思慮深く忍耐
強い。天才だ

世界は大きな分水嶺にいます。
 PPLT(プラチナ)とRSX(ロシア株)を新規でポートフォリオに加えま
した。GOLDやRJIはかなり前から入れています。RSXは第一弾の買い出動を
したが、9%位下がった、20ドル以下でナンピンを考えています。一時的
にはかなり下がるかも。インフレの時代に備えています。
  (R生、逗子)

  ♪
(読者の声3) 「シンガポール事件解明の意義」
 この事件について、現代の日本人が注意すべきなのは、世界遺産登録の
陰謀があることです。シンガポールにおける国民党ゲリラ鎮圧の真実を国
民に広めて陰謀を未然に防ぎましょう。
日本のマレー作戦では、印度独立運動組織の協力が大きかった。日本軍の
破竹の進撃を支えたのは、独立運動のインド人です。彼等が、先々で食
料、水、建設材料を用意し英軍の最新動向を伝えてくれたのです。
 マレー人もいましたが、彼等の独立運動はあまり聞きません。というの
はマレー人は温和だからでしょう。知人のマレー人の社長は、回顧して村
の生活は豊かだったから、村人は私がクアラルンプール(KL)に出て行く
ことに反対した。
KLでは英国人の下で働いていたがある日KLの操車場に爆弾が落ちた。する
と威張っていた英国人が戦車までがシンガポール目指して南下して逃げて
いった。そして林から出てきたのは自転車に乗って日本兵だった。
鈴木技師の下で勉強した。立派な人だった。だから戦後英軍が戻ってきて
も自分立ちでやれるという自信があったので独立した。社長の運転手は少
年時代、日本軍の憲兵隊で可愛がられたといい、♪「愛国行進曲」を歌っ
てくれました。
 この体験も私が日本近代史に目覚めた理由の一つです。
(追加)なおマレー人は平生は温和ですが、内心華僑を嫌っており、戦後
の反華僑暴動の時には空港からKLに向かう道路の中央分離帯には殺された
華僑の生首が並べられていたとのことでした。 (落合道夫)

  ♪
(読者の声4) 「辛坊治郎 EV電気自動車「日産リーフ」で東阪走破レポ
、見えたEVの明るい未来と山積の課題」について。
https://www.youtube.com/watch?v=GxtdXQptHHI
 明治維新の成功の原因とは、1。西欧に比べて日本が遅れていた、とい
う認識を持ち、2。指導者を西欧に送り、学び、3。必要な変革、改善を
する強い意志とそれを施行する仕組み(政府の権限・資源)があり、4。
それを可能とする国民・民間企業の賛同、意志と能力があった。同様な適
応力・環境が戦後の日本にもあったので、急速に国力を取り戻した。
ところが、今回のEV化に関しては、無い。それどころか、かつての悪い
例、「石炭から石油」への転換ができなかった失敗、を繰り返すことが、
ほぼ確実に再現される、らしい。「IT革命」についても、日本は機を逃し
た。「EV革命」とは単に車の内燃機関からモーターへの変換ではなく、
「第3の黒船」的な世界が同時に遭遇する大きな試練になる。被害者、被
害国にとっては迷惑だが、利用者・消費者にとっては有利であり、人類へ
自由資本経済のもたらす当然の帰結でもある。これは非可逆的な進歩。

 辛坊氏は太平洋をヨットで苦労して米国まで辿り着いたが、現地でEV
車、EVの充電設備などの体験はなされなかった、らしい。今回の初の実体
験の報告も、「井戸の中の蛙」さんの評価になり、太平洋を泳いで見ての
資料ではない。「比較がない」環境では、私は世界一の美女だ、私は頭が
良く背が高い、など、勝手に信じることができる。そんな便利で快適な人
民の心理を作るのが、日本の報道であり、政治家にとっても楽である。戦
中にはそれを「大本営発表」と言って、NHKや朝日が迎合した。
そして、当然の結果、敗戦となる。
 石油の無い日本にとっては電気化、EV化とは有難い変換になる。原発の
技術を持つ日本は、石油・天然ガスを輸入する莫大な金を節約できる。中
東やロシアの独裁政権に資金を差し上げるという、非人道的な行為も止め
ることができる。ついでに「温暖化、CO2削減」という宗教的な倫理・価
値観にも合う。
 辛坊氏の動画により、充電設備の劣性・貧弱が見えた。大阪ー東京間と
いう恐らく最も重要な区間でありながら、設備が一台分しかない。その充
電能力
も悪く、かつ最大30分まで。その設備は、いかにも多くの役所の役人が共
同で設計したような、みるからに旧式な使いにくそうなもので、しかも大
きな奇妙な
騒音を出している。など、など。
つまり、政府は、全く本気でEV化を考えていない。あるいは、ガソリン
車、ガソリン供給既存権益集団を守るために、意図的に妨害している、の
だろう。
これでは、日本でEV車を買うバカはいない。故に国内需要は無く、EV車の
開発が遅れ、量産もできず、価格・品質の面でも負け、衰退となる運命が
確実になった、らしい。最後の砦、自動車産業が消えれば、「富士山、芸
者、すき焼き」の観光立国。文科省次官、前川喜平氏が現地指導して育て
た「援助交際・慰安女子高校生」などが活躍し外貨を稼ぐ。(ついでに言
えば、家族を崩壊し、個人の倫理・道徳観、各国の文化・伝統を破壊す
る、のはロシア共産党の世界戦略であり、その成果が顕著に日本でも実現
した。文科省はロシアにとって「有用なばか」)
(在米のKM生)
at 10:16 | Comment(0) | 番外編

2022年02月25日

◆忘れたくない慎太郎氏の情念

櫻井よしこ

石原慎太郎氏は快男児だった。真面目に話す段になると礼儀正しく含羞の
人だった。それを口の悪さで打ち隠していた。

2007年10月12日の午後、私は田久保忠衛さんと一緒に都庁の知事室に慎太
郎氏を訪ねた。「日本立て直し」の志でシンクタンク「国家基本問題研究
所」を創設するに当たり、理事就任を要請したのだ。

石原氏と田久保氏は各々、昭和7年9月と8年2月生まれ、同期である。思想
信条も重なる部分が多く、互いに敬意を抱いていたと思う。国基研設立の
趣旨を説くと、氏は一言、「承知しました」と引き受けた。余計な質問は
一切ない。そのうえで「この種の組織には資金がいる。いつでも相談に乗
ります」と言うのだ。国基研創設では多くの方々が協力して下さったが、
資金のことまで気にかけてくれたのが慎太郎氏だった。

日本国の課題、最速でなすべきことについて、改めて確認する必要もない
程、私たちの間には共通の理解があった。氏を訪ねてから約2か月後の12
月、国基研はささやかな事務所開きをして今日に至る。

石原氏とはさまざまな機会に対談をした。「言論テレビ」に出演しても
らったのは、戦後70年の2015年8月だった。氏は作家、国会議員、都知
事、そして再び国会議員を経て、14年に政界を引退していた。言論テレビ
出演の直前には『歴史の十字路に立って戦後七十年の回顧』(以下『歴
史の十字路』)をPHP研究所から上梓していた。

氏との会話は自然に戦争の記憶につながっていった。「戦後の日本人が享
受した平和は奴隷の平和ですよ。つまり囲われ者の平和だね。お妾さんの
安穏さだな」と石原氏は言う。

それに対して石原氏と親しいハーバード大学のジョセフ・ナイ教授が「お
妾さん、ミストレスはやめてくれ」と言ったそうだ。で、石原氏は何と言
えばよいのかと尋ねた。「よき友、Good Friendと言ってほしいだって。
バカ言っちゃいけないと言いましたよ」

薄っぺらな感想

戦後日本の平和は奴隷のそれだとの指摘は本質において正しい。労せずし
て与えられた平和の代償に、日本人は多くの大事なものを失った。それが
何であるかは「朝日新聞」を読めばよく分かる。その日、私は朝日の15年
8月3日、夕刊一面の記事に拘っていた。俳優の小栗旬氏がゼロ戦のパイ
ロットで、当時98歳だった原田要氏にこう聞いていた。

「自分が人殺しだと気づいたきっかけは」

戦争の中で命がけの任務を果たした人に問うことだろうか。その小栗氏に
朝日の記者がパイロットの声に向き合うことで、何ができるのかと問い、
小栗氏はこう答えている

「他者に対して愛情を持つということ。嫌だなって思うことは相手に同じ
ことをしない」と。

ここには日本が戦争に踏み切った歴史についての知識も理解もない。ある
のは戦場で戦うということへの薄っぺらな感想のみだ。これについて石原
氏は言った。

「戦後の教育が培った安直な価値観っていうのかね。その精神は我々が拝
受した憲法にも由来していると思いますね」

さらに石原氏は言葉を継いだ。

「そういう質問をせざるを得ない男を可哀想だと思う」と。私は同感した。

敗戦に至った政府の政策判断については厳しく批判しながらもあの凄まじ
い戦争を戦った先人達、家族、故郷、その全体像としての祖国を守ろうと
命を捧げた人々に、日本人は皆、心からの深い感謝を捧げ、先人の想いを
大切なものとして引き継がなければならない。

石原氏はそうした人々の情念について語り、話題は特攻の母と呼ばれた鳥
濱トメさんの想い出になった。

石原氏がトメさんに会ったのは昭和41年だそうだ。沖縄に出撃した陸軍航
空隊の特攻隊の若き隊員達は出撃までの短い日々を鹿児島県知覧ですごし
た。そこで彼らを親身に世話をしたのが富屋食堂のトメさんだ。隊員達は
トメさんの心尽くしのあれこれに母親のイメージを重ねて慕った。生命の
際(きわ)にある若者達はトメさんに心を許して後事を託した。石原氏は
『歴史の十字路』で書いている。

「ある特攻隊員は明日、南の海で死んだら、まっ先にここに、自分の好き
な螢になって帰ってくると約束して飛び立った。その日、その時刻にもう
冬枯れていた裏庭の藤の棚の下の井戸から、たった一匹螢になって現れた」

戦後、トメさんは旅館もかねて富屋食堂を続けていた。誰もいなくなった
町で、夕方、特攻隊員が出撃前に休む三角兵舎のあった辺りを歩いてい
た。菜の花畑になっている旧陸軍跡地でトメさんは立ち止まった。

「総理大臣にお前さん」

「『夕方の暮れゆく中で、一斉にね、菜の花畑にぱっと鬼火が燃え立っ
た。ガスをつけたみたいに。灯が』とトメさんが言うんだ。それでね、そ
の時私に中年の女中さんがお茶を運んでくれた。トメさんが、『この子で
すよ、一緒に行ったの』と。それで『見たの』と聞いたら、『ええ、私、
見ました』と。『本当に恐ろしいけれども美しかった』って。それはやっ
ぱりね、凄い話だと思いますね」

そのトメさんが平成4(1992)年に亡くなったとき、石原氏は宮沢喜一首
相に会いに行った。

「宮沢さん、トメさんを国民栄誉賞にして下さい」

「はあ、どなたですか」

「あなた知らないの、って言ったら、知らないって言うから教えてあげた
の。そしたらね、分かっているんですよ。でね、切りがございませんか
らって言う。で、キリじゃない、たった一人しかいない。勇ましく死んで
いった若者達に母と慕われたこんな素晴らしい日本人がいた。これで特攻
隊も遺族も救われた。なんで国民栄誉賞だめなんですか、と言ったら、嫌
なんですって」

「嫌なら仕方がない。それで僕は言った。分かった、頼まねえ、お前さ
ん。僕は総理大臣にお前さんって言ったの。お前さん、そのうちに罰が当
たって野垂れ死にするぞって。そしたら、野垂れ死にしましたね」

当時自民党の屋台骨を揺すぶって小沢一郎氏からつきはなされたことを指す。

「菜の花畑に灯った鬼火のように、日本のために命を捧げた人たちの執念
は生きているんですよね。だから天皇陛下がサイパンとかいらっしゃるの
結構だけれども、それで救われるもんじゃないんですよ。天皇陛下はやっ
ぱり絶対参拝していただきたい。日本の元首ですから、靖国参拝したら全
ての問題が解決するんですよ」

石原氏の情念を受けとめ、天皇陛下の御親拝を実現させ、憲法改正につな
げたいと、私は切望している。
    

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「殺害・収容リスト」
大内 清

露、ウクライナ侵攻後の「殺害・収容リスト」作成か 米が国連に警告:
21日、ウクライナ東部の親ロシア派地域独立承認の文書に署名するロシ
アのプーチン大統領 =モスクワのクレムリン(AP=共同)

【ワシントン=大内清】緊迫するウクライナ情勢をめぐり、バイデン米政
権が国連に対し、ロシアがウクライナを侵攻・占領した場合に殺害もしく
は強制収容所送りにするウクライナ人らのリストを作成していると警告す
る書簡を送ったことが明らかになった。21日付の米紙ワシントン・ポスト
などが報じ、バイデン政権高官が同日確認した。

書簡は20日、在ジュネーブ国連機関の米代表を務めるクロッカー氏がバ
チェレ国連人権高等弁務官に送付した。ロシアがウクライナを侵攻・占領
すれば、プーチン政権が過去に反体制派に対して行ってきた「暗殺や拉
致、不当拘束、拷問」といった弾圧が、同国の反露派などに対しても行わ
れる恐れがあると指摘。露軍が標的とする人物のリスト化を進めていると
の「信頼できる情報がある」と強調した。

それらの標的には、ロシアの活動に反対するジャーナリストや反汚職活動
家、ウクライナに亡命中のロシアやベラルーシの反体制派、宗教・民族・
性的マイノリティー(少数派)も含まれるという。政権高官は21日、
「(標的となり得る)個人や団体には警告を発している」と語った。


同紙によると露大統領府のペスコフ報道官は「そのようなリストは存在し
ない。フェイクだ」と全面的に否定した。
     

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◆米商務省、中国の偽物業者

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)2月19日(土曜日)
     通巻7225号
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 米商務省、中国の偽物業者、商標違反の
             海賊版メーカーを発表
損害額は292億ドル。フェイク商品の製造業者を摘発へ
**************************

 勝手に商標を盗用し、平気で偽物を量産する中国のビジネスマナーに業
を煮やした米国は「海賊版、フェイク」業者リストを発表した。損害は
292億ドルにのぼる。
 ALIEXPRESS、WECHAT、百度ワンパン、DHGゲート、
PINDUODUO、TAOBAOなどがフェイクメーカーとされた。ブ
ランド品の79%が偽物だったという。

 もとより精巧なローレックス時計の偽物は本物と区別ができないほど
で、香港に調査に行った日本の警察幹部が、土産に「ここなら安心」と言
われて買って帰ったローレックスが、東京の総代理店で調べて貰うと偽物
だったなどと半世紀前から言われた。

 商標に紛らわしい名前をつけたり、だれが観ても本物と判断するブラン
ド品のフェイク作りにかけて昔から中国はビジネスが盛んであり、名画の
複製なぞ朝飯前だ。
 しかも一番儲けが多いのはグッチ、ルイビュートンなどで、北京の秀水
市場は嘗て、偽物市場の宝庫だった。なんとクレイムをつけるアメリカ人
が団体で買いに来ていたという笑い話がある。近年、さすがに中国警察も
取り締まりを厳密化するようになった。すると店先には並べず、カタログ
で呼びかけ、近くの倉庫で引きわたすというやり方に変更した。

これは世界的に拡がり、たとえばNYのチャイナタウン入り口の路上で、
カタログだけを掲げた叔母さんたちが立ち並び、近くの空き地に案内して
フェイク商品を受け取るというシステムになっている。
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  ★読者の声  どくしゃのこえ  READERS‘ OPINIONS 
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(読者の声1) 貴誌前号、前々号(読者の声1のYE生、東京都)様の「日本
軍占領下のシンガポールで虐殺があったか」という件に関して、長くなり
ますが、ちょっと私の考えを以下に申してみます。
 日経新聞は見て居りませんんが、「親が日本軍に殺された」と述べた人
物はマレー人でしょうか? 華僑でしょうか? 年齢は幾つか? 本人が
目撃したのか? 伝聞でしょうか? 殺された年月日は? どこで、どん
な情況で? 等々、逆に疑問が出てきます。
 朝鮮半島の出身者で従軍慰安婦のおばあさんが、賠償を求めて訴訟を起
こしたことは御存知と思いますが、証言は、結局はウソでした。金を詐取
する為の仕掛けと言っても過言ではない。戦争中の日本にとって死活的に
重要なアジア、アジア人を守らばこそ、意味もなく殺すなどと言うことは
考えられません。戦闘中であれば巻き添えを食らうこともありましょう
が、敵ゲリラ、便衣兵はその場で殺されても致し方ないといえます。
 シンガポールは華僑の多い所です。マレーとして独立した後、マレー人
と華僑は紛争が絶えず、結局マレーから分離することとなりました。大東
亜戦争中は日本軍も邦人も、華僑が組織する謀略機関に因って被害を受け
ています。有名な一例を挙げるならば、後にマレーの虎(ハリマオ)と呼
ばれたマレー在留邦人が、日本軍に協力するように決心した切っ掛けは、
華僑の共産ゲリラに実の妹を誘拐され殺されたのが理由とされています。
 類似の例は沢山あり、シンガポールを占領された後の英軍は、やはり対
日謀略を仕掛け、支那大陸の出身地を日本軍に踏みにじられたと考える華
僑と組んで、反日行動に出ていました。これらの反日行動はゲリラ攻撃、
日本軍の動きの報告、物資の状況、食糧事情、偽情報の宣伝、サボター
ジュ等々、これに対して日本軍は何もしないで、されるがままでないのは
これも亦当然でしょう。
よって日本軍はこれ等の反日華僑ゲリラを処刑したと云われています。そ
の数は三千人だ、いや千人だとか、数字のない話です。小生は、千人なん
て多すぎるが日本軍による処刑はあったと話した軍人が居たことを憶えて
いますが、これも数字を挙げて述べた訳ではなく、実際に処刑を見た訳で
もない話しでした。日経新聞に掲載された老人の証言、どれ丈の証拠能力
があるのでしょうか。中国政府の「南京大虐殺」宣伝と類似の話ではない
でしょうか。
当時の日本はマレー独立を望むマレー人の団体と協力し、以前から彼等を
応援していたのでした。昭和16年12月8日午前1時半、真珠湾攻撃よ
り早くイギ
リス領であったマレー北部のコタバルに、敵前上陸した日本軍は非常な短
期間にシンガポールまで到達しました。英国軍はこれを予想して日本軍の
進路に多くの防衛陣地を築いていましたが、これら陣地はあまり役に立た
ず突破されてしまった、と言うのはマレー人の熱狂的な支援、特に敵情の
通報があったからです。これらマレー人情報を得た日本軍により、英国軍
は陣地の裏をかかれて、撤退しようとして日本軍の後からシンガポールを
目指すことになった例もある位でした。
またマレーシアの国会議員ラジャー・ダト・ノンチック氏は、「日本軍が
来た時、私たちは歓呼の声をあげた。破れて逃げて行く英国軍を見た時、
今までにない興奮を覚えました。然もマレーシアを占領した日本は、英国
に代わって植民地としないで将来の為めに国語を普及させ、青少年の教育
を行なってくれたのです。」と戦後に述べています。
インドネシアの元首相は「大東亜戦争は、本来自分達アジア人の戦争を日
本が先だってやってくれたのである」と述べています。
これらを合わせてお考えになってみて下さい。日本軍は侵略軍でしょう
か、またマレーを英国から、インドネシアをオランダから独立させる味方
でしょうか。
 「大東亜共栄圏などと言うものは、アジア人の為でなく、白人を痛めつ
けて自分がその利益を取って代わろうとしただけではないか」というのは
東京裁判に於ける英国代表コミンズ・カー検察官の発言であり、そのまま
白人連合国の理解でしょう。
アジアに対する態度は日本と白人連合国では天と地です。そして中でも英
米蘭仏は結託してアジア地域からも対日貿易を禁止しました。
石油を始めこれ等の日本の死命を制する物資はアジアに沢山ありました。
若しこの時、アジア諸国が独立国で自由貿易が出来たなら、日本は国家存
亡の危機に陥ることは無く、戦争に訴えることもなかったと考えます。
従って日本の存亡とアジアの独立は表裏一体です。片方だけでは、永久に
白人の支配下に生きてゆかねばなりません。
日本が大東亜共栄圏を掲げ、大東亜会議を開催したのは日本の生き延びる
為の方途でした。そしてアジアの同志たちも共に戦って、日本軍が降伏文
書に調印し
た後も、大東亜戦争は各国で引き継がれ、更に長い戦いの後、10か国以
上が独立を勝ち取ったというのが史実です。日本降伏時に、昭和天皇は
「日本が降伏
することは、未だ戦っているアジアの諸盟邦に対して誠に申し訳ない」旨
を仰せになりました。大東亜戦争がアジア人自身に引き継がれた証拠で
す。日本の大東亜戦争は終戦の日に終わったかも知れませんが、アジア人
の大東亜戦争はそこから始まって東京裁判速の開催中も、そしてその後も
続けられました。大東亜戦争は目的を達成してアジア諸国は昭和35年にア
ジア・アフリカ会議まで開催しました。此の会議に恐る恐る出席した日本
代表は賞賛の拍手を受けた位です。実質この戦争に負けたのは連合国では
ないでしょうか。
 最後に、私の推測ですが、日本占領下のシンガポールでは英国は残され
た諜報機関を使って活動をしていました。日本側の諜報機関との暗闘も
あったようです。この一つとしバラまかれた大げさな偽情報を聞いていた
人も多くいたことでしょう。
それから断言しますが、東京裁判で大虐殺の話は「南京大虐殺」以外には
「漢口虐殺」「長沙虐殺」等、支那大陸以外では出て来ていません。これ
らが全部嘘であったことは、法廷証言によっても明白ですが、シンガポー
ルでもあったとすれば、東京裁判で訴追されない理由がないと考えます。
そして日本のヒロシマ・ナガサキの原爆に眼をつむり、其の他の都市部に
すむ民間人を空襲によってジェノサイドしたことにも知らぬ顔の東京裁判
です。
何か一つの事実を芽にして証拠を大きく捏造するのは支那人が上手です
が、共産勢力がよく使う手段です。日本人も騙されていました。ネットが
出て来なければまだ朝日新聞に騙され続けていたでしょう。
 少し怪しい日経新聞に掲載された老人の証言は、華僑を使って行なう対
日情報攻撃、歴史戦の一つであるかも知れません。その芽を出させるため
の観測気球かも知れません。そうならないことを祈りますが、将来の用心
の為に、逆にあったという証拠を探して御覧になったら如何でしょう。貴
殿の健闘を祈ります。
(亀甲)



  ♪
(読者の声2)第二次世界大戦の英語で書かれた投稿勧告のビラ。左面は英
語と日本語、右面はヌード写真。ヌードは兵士にチケットの所持を保持す
る言い訳を与えるという。
【休戦協定への切符-連合軍に投下された日本のリーフレット、1942年】
https://rarehistoricalphotos.com/ticket-to-armistice-japanese-leaflet-dropped-on-allied-troops-1942/
 
TICKET TO ARMISTICE
USE THIS TICKET, SAVE YOUR LIFE
YOU WILL BE KINDLY TREATED
Follow These Instructions:
1.Come towards our lines waving a white-flag.
2.Strap your gun over your left shoulder muzzle down and pointed
behind you.
3.Show this ticket to the sentry.
4.Any number of you may surrender with this one ticket.
JAPANESE ARMY HEADQUARTERS

投降票
此ノ票ヲ持ツモノハ投降者ナリ
投降者ヲ殺害スルヲ厳禁ス
大日本軍司令官
Sing your way to Peace pray for Peace

英文はおおよそこんな意味になる。
『休戦協定のチケット このチケットを使って、あなたの命を救ってくだ
さい。このチケットを使えば、命が助かる。以下の指示に従ってください。
1.白旗を振って隊列に向かってください。
2.銃を左肩にかけ、銃口を下にして後ろに向けます。
3.このチケットを歩哨に見せる。
4.このチケット1枚で、何人でも投降することができます。
日本陸軍本部
平和のために歌おう 平和のために祈ろう』
 一方、シンガポール攻略戦で捕虜になったインド兵捕虜を標的訓練にし
たという記事。
https://rarehistoricalphotos.com/japanese-troops-using-prisoners-target-practice-1942/
 記事によると『2枚目の写真をよく見ると、それぞれの囚人の心臓に
マーカーが掛けられていて、ライフルの前には杭が打たれている。各標的
の位置には、1の位置にいる兵士が1の位置にいる囚人を撃つことを示す数
字が記されてる。
ターゲットが配置されている位置は、一般的に「バッツ」と呼ばれてい
る。これは射撃訓練であって、銃殺による単純な軍事的処刑ではない』と
ある。
 どういう背景で撮られた写真かわかりませんが、正規の捕虜か便衣兵か
それとも囚人なのか。コメント欄を読むと、銃は鹵獲されたリー・エン
フィールドであり、銃剣訓練にはインド人囚人を使ったともある。囚人の
処刑と銃撃訓練を兼ねたものだったのかもしれない。   
(PB生、千葉)



  ♪
(読者の声3)多くの日本の保守派と自称する政治・経済・金融論者も、
いまだにMMT教の信者として、無知な人民を「魔法の打ち出の小槌を信じ
なさい、いくらでも政府は通貨を印刷できる」と声を荒げて勧誘している。
その確固たる「証拠」とは、もう30年もやっているが、いまだに日本は大
丈夫、という「科学的」な説明である。
 例えれば、速度制限が50KMHの曲がり角を、時速60キロで走ってみる
と、何ともなかった。それを毎日習慣にして、いまだに事故を起こしてい
ない。そこで70キロにすると、多少タイヤが軋むが、何度通っても大丈
夫。そんなことを毎日、毎年、30年間繰り返す。ある日、産気づいた妻
を乗せて病院に向かう。唸る苦しむ妻を横目に、80キロで走り抜けるが、
不思議にも「今回は」車は宙に舞い、、、という近未来が待っている。
この例では2.9人ぐらいの被害であるが、現実には、一億人の生命、財産
が宙に舞う。円も国債も暴落、故に超インフレ。そんな災難の緊急事態
に、親切な隣国が、大量の援助部隊を派遣してくる秘密の予定がある、か
もしれない。そんな時に限って、ついでに大地震が便乗してくる。
これは「弱り目に、祟り目」という歴史的な法則による。
 米国でMMT教の教祖様は、日本にも洗脳教育に招聘された綺麗な素敵な
ケルトン教授である。経済学者のほぼ全員が白人、おじさんである事から
彼女の理論、屁理屈に反論すると、それは女性差別である、というお叱り
を受ける。このような反論理・言論弾圧は、非科学系の分野では、当たり
前になってしまった。
 末筆ながら氏は米国の共産主義者、社会主義系の著名な政治家に「理論
武装」を提供し敬われている。
大変に人気のあった大統領候補者バーニー・サンダース氏は、公然と社会
主義者を自認しているが、新婚旅行にはモスクワ詣。恐らく支那もロシア
も陰で応援している、らしい。ちなみに、両国ともに近年、金を大量に買
い込んでいる。MMTを信じていないのだろう。
https://mises.org/wire/new-antieconomics (英語、リベテリアン派の
論者の文)
(在米のKM生)


(宮崎正弘のコメント)MMT理論の元祖は日本の丹羽春喜教授です。氏
の「打ち出の小槌」論は政界にも波紋を拡げ、研究会も数十回は開催され
たのですが、六年前に急逝されました。ケルトン教授が何を言われている
か寡聞にして存じませんが、丹羽さんの論文が英訳されアメリカで注目さ
れたことがあります。

2022年02月24日

◆お先真っ暗な日本の未来。

アッズーリ

中国とロシアの暴走が壊す北東アジアの平和

領土や人権等の問題をめぐり西側諸国と対立する中国とロシアですが、そ
の「覇権的な動き」は日本に明るくない未来をもたらす公算が大きいよう
です。先日掲載の「中露海軍が『津軽海峡』航行の衝撃。日本は“鬼門”の
防衛力を強化せよ」で二国の脅威を詳細に綴った、外務省や国連機関とも
繋がりを持ち国際政治を熟知するアッズーリ氏は今回、中露の動きがこれ
まで以上にエスカレートする可能性を指摘。さらに彼らにより北東アジア
の分断が進みつつある事実を記すとともに、日本が安全保障面で接近を強
めるべき国の名を挙げています。

中国・ロシアによって分断が進む北東アジア
今年に入って、中国やロシアの覇権的な動きが先鋭化している。まず、ロ
シアはウクライナ国境近くに軍を10万以上とも言われる軍を展開し、同国
へ侵攻する動きを見せるなど今日緊張が高まっている。米国のブリンケン
国務長官は1月5日、ドイツのベーアボック外相と会談してロシアが軍事的
圧力を強めるウクライナ情勢について話し合い、ロシアが軍事的侵攻をし
た場合は大規模な経済制裁に踏み切ると警告した。バイデン大統領も2月
が危ないと指摘するなど、2014年のウクライナ危機の再現を危惧する声が
高まっている。長年、プーチン大統領は北大西洋条約機構NATOの東方拡
大、ウクライナの西洋接近を強く警戒しており、軍事的圧力を強めること
でそれらを阻みたい狙いがある。ロシアは2014年2月のソチ五輪後にクリ
ミア半島侵攻に踏み切ったことから、北京五輪後が危ないとする見解も多い。

また、北京五輪を巡る外交的ボイコットもあり、欧米と中国の対立は既に
後戻りできないところまで来ている。これまでのところ外交的ボイコット
を表明したのは米国に続き、英国とカナダ、オーストラリアとニュージー
ランド、バルト三国のリトアニアだが、北京五輪の偉大な成功を掲げる習
政権が同開催中に大きな動きに出る可能性は低いが、五輪後に外交的ボイ
コットを実施した米国や英国などに制裁措置で報復を行う可能性は否定で
きないだろう。中国を巡る欧米の警戒意識が強まっているが、米国と中国
の経済力や軍事力は接近する一方で、中国がインド太平洋における米国の
パワーは大したことがないと判断する時が来れば、それはかなりの危険信
号となろう。今年はロシアと中国の覇権的な動きが一気に進む恐れがある。


一方、ロシアや中国の覇権的な動きによって、北東アジア地域の崩壊が進
んでいる。中国は日本を経済力で抜き米国に接近することで自信を深めて
いる。そして、尖閣諸島や南シナ海などで海洋覇権を強め、2020年には国
家安全維持法を施行することで香港の一国二制度を破壊し、台湾統一に向
けての動きを加速化させるなど、北東アジアは米中対立の最前線となって
いる。東南アジアはASEAN、欧州はEU、アフリカはAUなど他の地域には各
地域の問題を共同で話し合う地域的国際機関が存在する。しかし、そう
いった地域的な国際機関が全くなくバラバラなのが北東アジアだ。中国は
米国の影響力を排除し、北東アジアで主導権を握ろうとし、北朝鮮はミサ
イル発射を繰り返すなど孤立主義的な行動を取り続け、韓国は米国の同盟
国ながら中国との経済関係を重視するなど米中対立の狭間で悩んでいる。
日本は日米同盟を基軸に自由で開かれたインド太平洋の実現を進めるスタ
ンスなどで、これら3か国と協力できる環境にない。
    

━━━━━━━━━━━━━━━━
 

◆ニュースの見出しを考える

伊勢 雅臣

ニュースの見出しを考えるという課題で、生徒たちが活き活きと先人たち
の歴史物語を学ぶ。

■1.「これほど歴史を深く、活き活きと学べるのか」

「中学生でも、これほど歴史を深く、しかも活き活きと楽しげに学べるの
か」と、唸ってしまいました。高校新教科「歴史総合」でより良い授業を
研究しようという教員有志による「私たちの歴史総合」研究会を参観して
のことです

 東京都のある区立中学で歴史を教えているT.I先生は、中学の歴史学習
の課程を終えた3年生に対して、「高等学校へのプレ授業」と位置づけ
て、明成社の「歴史総合」教科書を使って日露戦争を取り上げました。

 そこでの柱が、学んだ内容を、Yahoo!ニュースの見出しの形で、最大
15.5文字(半角は0.5文字)にして当時の国民に伝える、という課題です。
まず日露戦争全般を、以下の3つの局面に分けます。

【局面1 開戦までの経緯】
【局面2 戦争中】
【局面3 戦争後のアジア諸国への影響】

 それぞれの局面での重大ニュースを報道して貰う、というのです。

 手順としては、以下のようにグループ学習を主軸にしています。

1)クラスを少人数のグループに分け、局面を分担
2)生徒一人ひとりが担当する局面での見出しを考える
3)考えた見出しをグループのなかで話し合って、一つの見出しにまとる。
4)各グループがクラスで発表する。


■2.「英国政策転換し日英同盟、露の脅威」

 さっそく、生徒たちがどんな見出しをつくったのか、見てみましょう。
★をつけた一文が作成された見出しで、その後の「」内は生徒のコメント
です。

【局面1 開戦までの経緯】

★英国政策転換し日英同盟、露の脅威
「イギリスがこれまでの政策をかえるほどロシアが今脅威になっているこ
とを伝えたいと思ったから」

 イギリスは極東を南下してくるロシアを牽制しようと、長年の「栄光あ
る孤立政策」を転換し、日英同盟を結びました。英国の同盟相手が、非白
人国家である日本だったことは、世界を驚かせました。この見出しはロシ
アの脅威とそれに備えるイギリスの動きが見事に表現されています。

★ロシア満州を占領、日英同盟で対抗
「のちに、日英同盟は第一次世界大戦にも影響を及ぼす大切なものとなる
から。日露戦争のきっかけとなったロシアの占領は国民全員が知るべきだ
から」

 こちらはロシアの脅威を「満洲の占領」と具体的に訴え、それに日英で
対抗しようという戦略的な動きが、よく表現されています。

★露軍が満州駐屯 日本侵略の危機
「これから日本に関わりができるかもしれないニュースなので、世界情勢
がどうなっているか、わかりやすく国民に伝える必要があるから」

 ロシアの満洲への駐屯が、「日本侵略の危機」であることをストレート
に訴えています。

 弊誌1238号「こんなに違う高校『歴史総合』教科書」でも述べたよう
に、実教の教科書では、日露戦争を「韓国・満洲利権をめぐる帝国主義国
家どうしの争い」と述べています。「ロシアの脅威」も、「政策転換し日
英同盟」という英国の動きもまるで視野に入っていない記述に比べれば、
生徒たちの見出しは、はるかに当時の国際政治の動きを正確に捉えています。


■3.「日本海海戦、世界最強の艦隊沈む」

【局面2戦争中】でつくられた見出しを見てみましょう。

★日本海海戦、世界最強の艦隊沈む
「戦争中でみんなが不安な中、士気を高められるような内容を伝えた方が
いいと思ったから」

「戦争中でみんなが不安な中」というコメントから、生徒が当時の人々の
心持ちをよく思いやっていたことが感じられます。そういう不安を吹き飛
ばすニュースを送ろうと思ったのです。

★バルチック艦隊、東郷ターンに屈す
「当時無敵ともいわれたバルチック艦隊を、アジアの日本がたおして大勝
利をおさめたことは、アジアや日本の希望の光であり、日本国民も知りた
いだろうから」

「アジアや日本の希望の光」という表現に、こちらも当時の人々の思いを
追体験している様が窺えます。


■4.「日本勝利 亜諸国独立へ大きな一歩」

【局面3戦争後のアジア諸国への影響】はどうでしょうか?

★賠賞金ではなく地位と勇気を得る
「賠償金を得られずに不満を抱いた人もいたが、戦争が意味のなかったも
のではないことを伝えたかったから。勇気をもらった国々がこれから独立
を果たすから。」

 文字数の制限で、「地位と勇気」が何を指すのか、少し理解が難しいで
すが、「戦争が意味のなかったものではないことを伝えたかったから」と
いう点が泣かせます。アジア諸国に独立への勇気を与えた、というニュー
スを、戦死者の遺族が聞いたら、どれほど慰めになったでしょうか。

★日本勝利 亜諸国独立へ大きな一歩
「日本の勝利は、アジアだけではないが独立への希望を与えた。地位の向
上と日本の成果を示したいと思ったから」

「独立への希望を与えた」ことを、「亜諸国独立へ大きな一歩」と表現し
ています。確かにその通りです。明成社教科書では、「世界に影響を与え
た日露戦争の勝利」と題した一ページのコラムで、インドの『ヒタバテイ
新聞』が「日本の勝利がインド人を覚醒させ、イギリスと対等という前向
きの思想に目覚めさせた」と報じたことを記述しています。

 この「覚醒」がインド人の独立への動きを元気づけたわけで、まさに
「大きな一歩」でした。


■5.「歴史物語」型教育を実践する卓抜な方法

 3つの局面とも、生徒たちが、当時の先人たちの思いに寄り添って、ど
うニュースを伝えようか、と苦心している様が窺えます。それは日露戦争
という巨大なドラマに自らも参加して、先人たちが抱いていた不安や期
待、喜び、無念さを思いやり、その思いに生徒たち自身が語りかけたもの
です。生徒たちは、まさに先人との対話を行うことによって、歴史を追体
験しているのです。

 この姿勢は「韓国・満洲利権をめぐる帝国主義国家どうしの争い」など
という高みの見物を決め込んでいる歴史研究者の姿勢とは全く違います。

 弊誌1238号では「歴史物語」型の教育を以下のように説明しました。

__________
「歴史物語」とは、フィクションではなく、あくまでも史実に基づいたノ
ン・フィクションの物語です。その史実から先人たちの声に耳を傾けるこ
とができるのが、「歴史物語」なのです。

「物語」とは英語で「story」ですが、歴史は「history」で、語源は一緒
です。我が国では『平家物語』や『太平記』、西洋では古代ギリシアの叙
事詩『イリアス』『オデュッセイア』などの「歴史物語」が語られ、それ
を聞きながら、人々は先人の姿を思い浮かべ、その声を聴き、胸躍らせて
いたのです。このような歴史物語が、歴史の原型でした。[JOG(1238)]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 Yahoo!ニュースの見出しの形で、当時の人々にメッセージを伝えよ
う、という課題を通じて、生徒たちは歴史物語に参加して、当時の先人た
ちの不安や喜び、悲しみに共感しつつ、メッセージを送ったのです。まこ
とに卓抜な教育方法です。


■6.「主体的・対話的で深い学び」が見事に達成されている

 この方法で、文科省が目標としている「主体的・対話的で深い学び」が
見事に達成されている点も見逃せません。

 まず、生徒が各自で見出しを考える、というプロセスで、何がニュース
の本質かを自分考えなければなりません。たとえば、山川出版社の教科書
の以下の記述と比べてみましょう。

__________
賠償金が得られなかったことなどから、増税や人的犠牲に釣りあう成果で
はないと受け止めた人々も多く、講和条約調印の日には東京で講和反対の
暴動がおきた(日比谷焼打ち事件)。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 それに対して、「賠償金を得られずに不満を抱いた人もいたが、戦争が
意味のなかったものではないことを伝えたかった」と考えた生徒は、日本
の国際的な地位向上や、「勇気をもらった国々がこれから独立を果たすか
ら」ということの方が大切だと考えたのです。

 日比谷焼打ち事件については、山川以外の教科書もほとんど同様の記述
をしていますが、この生徒はそれらの「定説」に流されずに、しっかり主
体的に考えています

 また「対話的」という点でも、各人が見出しを考えた後、グループで一
つの見出しに仕上げる、というプロセスで生徒どうしの対話が促進されま
す。15.5文字の中で具体的にどう表現するかという相談をすることに
よって、抽象的なとりとめのない話をするよりも、はるかに具体的な対話
ができます。

「深い学び」をしたことも、生徒たちが示した見出しが具体的に示してい
ます。たとえば「露軍が満州駐屯 日本侵略の危機」という見出しをつ
くった生徒は、「日本さえ侵略しなければ、世界の平和は守れる」という
ような「お花畑思考」が現実離れしたものだと判断できるでしょう。

 さらに、「英国政策転換し日英同盟、露の脅威」を考えた生徒は、共通
の脅威に対して、同盟を結んだり、集団的安全保障体制を組むことの価値
がよく納得できたはずです

 こういう理解を得た生徒たちは、現在の中国の覇権主義に対して、日米
同盟の価値もよく分かるでしょう。これこそが歴史を追体験することで、
今日の我々が歩むべき方向を考える、という「深い学び」なのです。

 逆に言えば、「日本さえ侵略しなければ、世界の平和は守れる」という
ような「お花畑思考」にいまだに囚われている人々は、「思想誘導」型の
教科書で、特定の思想を吹き込まれた「受け身的・一方的で浅い学び」し
か、していない人々なのでしょう。

 また、賠償金などよりも、「希望の光」や「勇気」を与えたことの方が
大事だ、と考えている生徒は、ただ日比谷焼打ち事件を単なる経済的不満
による暴動と記述している教科書執筆者よりも、よほど深い学びをしてい
るように見受けられます。


■7.「学習指導要領のねらいを実現できた」

 T.I先生は、まとめで「日露戦争における勝利がアジア諸民族の独立や
近代化の運動に刺激を与えたことに気付くようにする」という学習指導要
領の一節を引用した後で、こう結論づけています。

__________
日露戦争の局面を1〜3に分けたことで、さまざまな見出しができた。本
授業では、獲得した知識を活用して、歴史的な出来事の意義を多面的・多
角的に考察し、表現することを通して、主体的・対話的で深い学びの実現
を図った。

教科書を基本教材として学習し、日露戦争の世界史的な意義について、学
習指導要領のねらいを達成できたのは大きな成果である。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 こういう授業によって「主体的・対話的で深い学び」をした生徒たち
は、明日の日本を支える元気ある日本国民に育ってくれるでしょう。


■8.高校地歴科教員の方、「私たちの歴史総合」研究会にご参加ください。

 Yahoo!ニュースの見出しを考える、という卓抜な教育手法を考え、実
践されたT.I先生に謝意と敬意を表するとともに、「主体的・対話的で深
い学び」を実際の教育現場で実践するためには、さらにいろいろな創意工
夫がありえると考えます。

 そのような創意工夫をすでにいろいろな形で実践されている先生方もあ
ちこちにいるでしょうし、また様々な良い事例を学びたい、という方も数
多くいらっしゃると思います。

 そういう先生方がネットワークをつくり、互いに智慧を交換しあい、悩
み事を語り合い、励まし合う。その活動がT.I先生が報告をした「私たち
の歴史総合」研究会です

 全国の中学高校の歴史教育に携わる先生方に、この研究会へのご参加を
お勧めします。伊勢雅臣も、ご招待いただいたので、応援団として毎回出
席させていただきます
     

━━━━━━━━━━━━━


◆米国の対中姿勢激変に対応

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)2月18日(金曜日)弐
     通巻7224号
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 米国の対中姿勢激変に対応できない日本 
   かくも貧しいインテリジェンス無理解
**************************

 戦後の日本人が忘れてしまった戦略的思考のなかで、インテリジェンス
に対する理解のなさは驚き以外の何者でもない。米国の対中政策が地殻変
動のごとく激変しているのに周回遅れの対応しか示せない。大人を前に幼
子のような反応である。

 米国は中国の驚異的軍事力を牽制するためにクアッド(米印豪日)とい
う新しい防衛協力体制を構築し、いずれ将来「アジア版NATO」とする
構想を抱いている。豪には英国とくんで原潜技術を提供する。

 英国は機密情報を共有するファイブ・アイズ(英米にカナダ、NZ、
豪)に日本の加盟を促している。くわえて英国の議論には日英同盟の再構
築の声があがっている。前者に対して日本政府も防衛省も積極的とは言え
ず、マスコミは批判的である。後者は日本にスパイ防止法がない以上、欠
格である。ようやく与党内で特許制度に非公開条項を加えることを検討し
ている段階だ。

 特許制度の秘密条項とは軍事技術に繋がるハイテクの情報を非公開と
し、当該特許で得られるであろう収入は国が補填する。先進国は殆どが採
用している。

 ロシアも中国も、申請から十八ヶ月後に公開される日本の特許公報を基
準とし、先端技術情報の摂取を合法的になした。くわえて中国は米国へ留
学生、研修生を送り込み夥しい特許、ノウハウ、機密技術を盗みだした。
米国の知能中枢ハーバード大学にまで「千人計画」を餌に中国スパイのリ
クルート網が及んでいた。中国人留学生、研修生は日本中に溢れかえって
いる。

 中国の特許申請、論文提出数が世界一となって西側を驚かせている。し
かし申請件数と特許成立率は別問題、実用化されたものは少なく、論文も
オリジナルな特性を欠く。所詮はカンニングなのである。 

 ところが中国が経済的に豊かになれば民主化するという幻想に酔って、
米国は中国に大甘な政策を採り続けた。気がつけば、軍事力で米国を猛追
し、一部技術は米国を凌駕していたことに愕然となる。

 トランプ政権以来、中国のブラック企業リスト(エンティティリスト)
を作成して技術移転を厳しく制限し、チャイナモバイルなど通信三社を含
む数社をNY株式市場から追放し、留学生ビザに制限を加えた。

 バイデン政権に移行しても、この対中政策は継続しており、NY株式市
場で中国企業の資金集めを不可能に追い込み、ハイテク企業には中国人従
業員、エンジニアの監視を強化し、ともかく中国の暴走を食い止めること
に躍起だ。

 日本企業は現在の中国への投資や生産そのものを抜本的に見直さざるを
得ない状況に追い込まれている。しかし政財界の親中姿勢は変わらない。
日本には状況激変に対応する心構えと準備ができているのだろうか?

      (この文章はコラム「北風抄」<北国新聞、1月31日>の
再録です)
   
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評  BOOKREVIEW 
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 日本が闘った相手は「國際金融資本 プラス 共産主義者」だった
  幕末からロシア革命、トランプ現象までの舞台裏に存在する闇マネー

  ♪
渡辺惣樹vs茂木誠『教科書に書けないグローバリストの近現代史』(ビ
ジネス社)

 政治の基軸は国の統治であり、軍事的裏付けによる権力基盤の確立、維
持、拡大と、敵の動きを早く正確に知る情報力が両輪である。これを成立
させるのが経済力である。
 経済は財源の確保が必要で、とくに投資による生産、流通、販売を円滑
化するには貨幣が必要である。
 古代では通貨を輸入銭に依拠した。唐銭、宋銭など様々な銅銭、銀銭
が、その含有率、重量と刻印によって交換レートが決められた。日本は特
産品と砂金、硫黄などでシナの銅銭と交換し、日本に運んだ。
 それゆえに両替商が繁盛したのである。銀行という近代資本主義の萌芽
は、日本では、この両替商の発達にあった。両替の主任務はアービトレー
ジ(サヤ取り)だ。
 日本で最初に統一通貨をつくろうと決意したのは天武天皇だった。秩父
に銅鉱山が発見され、和同開珎が作られたが、生産量がすくなく流通した
量の多寡は知れていた。
聖武天皇の御代には金が東北で産出された。東大寺の大仏開眼に間に合っ
たものの、古代日本では金を貨幣でなく仏像の仕上げに使い、装飾品など
観賞ならびに権力の誇示にとどまり、通貨としての金小判はようやく秀吉
時代から本格化した。
 秩父には和同開珎のオブジェが入り口に置かれた聖神社がある。平泉に
は東北仏教文化を代表する金色堂がある。足利は金閣寺を建立した。
 
信長はもちろん通貨製造に目をつけたものの、精錬方法が未熟なうえ鉱山
技術や鍛造、鋳造の設備は極小だった。
それが秀吉から家康にかけて、石見、甲斐、佐渡、伊豆に代表されるよう
に各地にで金山の発掘・開発があった。金の精錬と鋳造技術は格段に進歩
した。
そして金の細工師が登場し、通貨発行によるセニョリージ(購買力マイナ
ス通貨製造コスト)という近代の中央銀行の業務が、すでに秀吉・家康の
時代に確立していたことは瞠目に値するだろう。
 秀吉の大判発行という通貨の鋳造は独占的に行われた。京都の後藤家が
製造方法、印刻、小判の刻み(茣蓙目)などを改良し、秀吉はこれら貴重な
通貨を市場に流通させるより、大名への報奨金としてつかった。このため
決済手段として市場に流通することが遅れた。庶民の市場では相変わらず
輸入銭がまかり通っていた。
 家康が目を付けたのは秀吉小判(大判=十両)ではなく、十両の十分の
一、つまり一両小判の増産である。それにより末端に到るまでの経済の活
性化が目的だった。当初は秀吉に遠慮して、「武蔵小判」とした。すなわ
ち関東一円でしか流通しない地域通貨だったが、秀吉が死ぬと、全国に通
用する小判となり、日本の統一通貨として、初めて全国に流通させるので
ある。
 江戸時代、金含有率を減らし、小判の「改鋳」(じつは「改悪」)が八
回も行われた。例えば慶長小判の金含有は86・8%だった。元禄小判は
56・4%になって、この『通貨発行益』は幕府財政の数年分を稼ぎ出し
たのだ。(ちなみに18Kは75%以上。カナダ、豪の金コインは99・
99%。中国のパンダ金貨は99・9%で0・01の差で国際的通用性は
ない)
 しかし江戸中期となると金の産出が減少し、他方では経済の飛躍的な発
展と、国内の物資の流通が盛んになって、関東は金本位制、関西は銀本位
性とは言われた。
 幕末に欧米の貿易商人等は小判とメキシコ銀の交換率に着目し、とくに
オールコックとハリスは貿易商社をしそうして、悪質なメキシコ銀を日本
の金貨と交換し、大量の日本の小判が海外へ流失した。江戸幕府の失態で
ある。
これが?川幕府の崩壊を早めたというのが直木賞作家、佐藤雅美の小説
『大君の通貨』だ。

 以上が評者の前置きである。

 近代は通貨発行権との戦いでもあった。しかも外国の金融資本が濃厚に
絡んだ。
 渡辺惣樹氏が言う。
「家康は経済発展における貨幣の果たす役割と、一般的な意味に於ける出
目(セニョリッジ=現実の購買力マイナス貨幣製造コスト)を理解してい
ますが、イギリスにいた銀行家の発見した『本当の出目のマジック』には
気づいていません」
 茂木誠氏が続ける。
「紙幣を作ったのは中国人で「唐代に経済が活性化してインフレになる
と、もの凄い量の銅銭が必要になります。そこで唐代の商人たちは、たと
えば『銅銭百枚の引換券です』という小切手を発行し、取引の簡素化を図
りました(中略)。これを国家事業として紙幣化したのが宋王朝です」
 ついで金本位による通貨体制のなかで金細工師らが目を付けたのは『金
引換券』だった。金を預かり、その保障を紙に書いた(これが証券。証券
の英語名はEQUITY)。

 渡辺氏がつづける。
 「実際の証券を持って金を引き出す人はおよそ四人に一人だった」。金
細工師は、ならば四倍の証券を出して、その余剰資金を運用すれば良いの
だとして「預かった金の四倍まで預かり証を発行する(与信行為)ことで
銀行業に変異する」(株投資をやっている人なら知っているが、「信用取
引」では投資額の四倍まで株取引は可能である)。
 つまりアービトレージからレバレッジ、銀行の原形がダイナミックな資
本主義を発展させるのだが、日本がこれに気づくには歳月がかかり、伊藤
博文、高橋是清の出現をまたなければならない。

 金と貨幣の噺だけで書評の紙幅が尽きたが、本書の骨子は日本が闘った
相手が「國際金融資本 プラス 共産主義者」だったこと、その歴史の部
隊の裏に何があったか。幕末からロシア革命、トランプ現象までの舞台裏
に存在する闇を照射する。
              
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★読者の声  どくしゃのこえ  READERS‘ OPINIONS 
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  ♪
(読者の声1) 戦争中の日本軍のシンガポールの国民党ゲリラ鎮圧の話が
ありましたので、以下ご参考まで。
 貴誌前号の「(読者の声1) 今朝の日経朝刊外報面に「シンガポール陥
落80周年」「日本占領下の記憶伝承」との見出しで、「父親とおじが日本
軍に殺され」たとかいう老人のコメントが載っていましたが、実際のとこ
ろはどうだったのでしょうか? 南京「虐殺」は完全に作り話だったこと
がいまや明白になったので、どこへ行っても自信をもって否定できるので
すが、シンガポールの真相についてどなたかご教示頂ければ幸甚です。
(YE生、東京都)」(引用止め)。

 シンガポールの処刑は南京事件と同じ戦争行為。1942年日本軍はマレー
半島を南下してシンガポールを陥落させました。この時日本軍と戦ったの
は、英国(英、豪州、印度)軍と?介石の国民党軍でした。英軍は降伏する
と捕虜収容所に入れられました。英国印度軍の一部(五万)は藤原少佐の
呼びかけに応じて、新設印度国民軍に参加し日本軍とインパール戦を戦
い、現代の印度軍の基礎となったことは有名です。
 さて国民党軍ですが、これは軍服を脱ぎシンガポールの華僑の中に紛れ
込んだのです。そして日本軍の倉庫を爆破するなどゲリラ戦を始めまし
た。そこで日本軍は華僑の協力を得て住民の面通しを行い潜伏した国民党
ゲリラを摘発し、戦時国際法により処刑しました。
 戦後反日勢力がこれを反日宣伝につかい、ゲリラが住民に変えられ、現
在もシンガポールに大虐殺記念碑が建っています。以前小生が訪れた時、
市内の博物館には日本兵に拷問されるシナ人のジオラマがありました。被
害者偽装です。
 したがって、この話は南京事件と同類と考えると分かり易い。日本人は
騙されてはなりません。
当時の東南アジアの華僑は三種類に分けられました。親日、中立、反日です。
(落合道夫)


(宮崎正弘のコメント)タイで日貨排斥の学生運動は華僑が軍資金を出
し、また学生センターの活動家は殆どが華僑の末裔でした(実際に筆者は
タイに二回取材に行きました)。インドネシアで田中角栄訪問直前に反日
暴動が起きたのも裏で華僑が煽動したものでした。
 ベトナムのボートピーポルとは華僑を排斥した結果起きた。カンボジア
のキリング・フィールドも犠牲者の過半が華僑でした。


  ♪
(読者の声2)「国防、食糧、エネルギーなどの必須条件を早急に国内で
確保する」KM様はその主張に対応する「具体的な諸施策(の案)」はお持
ちなのでしょうか?(KI生、尼崎市)からの御質問についての回答。
1。戦後、特に過去40年間急激にあらゆる面で日本は劣化してきたが、
その根本的な原因は、指導者不在、故に国の目的、方針、戦略など皆無の
状態であり、
それぞれ官民の組織が、独立して、利己的、短期的に動いている。明治維
新、そして戦後の「政府指導」の運営が成功したので、いまだに政府・優
秀な官僚の
指導に頼っているが、世界はもはや東大卒のエリートが、留学し西欧を学
び、模倣し、改善し、成功できる時代は終わった。彼らは、それを知って
いるが、自己の無能・未来予測の不可能性を認めず、あいかわらず権力・
規制を離さず、それでも「指導」し、何の成果も生み出せない。つまり、
自己の権益、利益のためのみに、破綻し荒廃した組織を頑なに維持してい
る。民間企業もこれを利用し、癒着し、共謀する。この政治・官僚体制を
解体せねば、新しい解決策はことごとく阻害される。故に、病は進み、死
に至る。
2。この総合的、普遍的な強固な集合体を解体する民主的、合法的な仕組
みは日本にはない。建前としては、公正な人民の選挙により、必要な新し
い政府を立てられる、はずになっているが、選挙の仕組みが、それを不可
能にして、必ず既存の政治屋が、当選する仕組みができている。偏向報道
も、正しい真実を伝えないのでは、選挙は形式的な「偽民主主義」になっ
ている。
3。今の日本に、これらの仕組みを、部分的に少しずつ改善していく時間
が無い。徳川家独裁政権から明治、戦後のGHQの行ったような根本的な大
改造のみが日本の独立、国民の生命、財産を守ることができる。故三島由
紀夫氏は「このまま行ったら日本はなくなって、その代わりに、無機的
な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない、或
る経済大国が極東の一角に残るのであろう」と50年前に予言なさったが、
日本はすでに「富裕な、抜け目がない、或る経済大国」ではなくなってい
る。「残るのであろう」が、今、疑われている。
4。「楯の会」のような組織も、百姓一揆も、自衛隊も、天皇陛下の御介
入も、もはや期待できない。私見によれば、唯一の解決策は、「偽憲法を
破棄し、新憲法」によって、今の日本に必要な政府、政治の仕組みを根本
的に改造する。現憲法なるものは実は占領下における戦勝国が強要した
「不平等条約」と国際的には認識されるので、破棄する事に何も問題はな
い。純粋に国内の政治課題である。
5。これにより、「国防、食糧、エネルギーなどの必須条件を早急に国内
で確保する」ための具体案を施行できる環境、つまり指導者が初めて生ま
れる。そのために、適切な新憲法(例えれば、コンピュータのOSにあた
る)を作り、公布する。(GHQは1週間で書いた。一月徹夜すれば、かな
り良いものが書けるだろう。不具があれば改正。無くても10年おきに見直
し。)
6。具体的には、国防。「超限戦」つまり物理的な兵器などを使わない、
「卑怯な」方法もいくらでも、安く装備できる。国の存亡を賭ける作業に
は、文字通り「限界」も倫理も、条約違反もなく、2600年の国体を守り、
勝つ事が唯一の正義になる。日本人の1割ぐらいは、嬉々として特攻の任
務に参加するだろう。
食糧もかつて鎖国時代には100%国内で賄っていたので、その気になれば
十分可能。米と沢庵と魚では、肥満が減り、健康になる。南米からのバナ
ナが途絶えても、死ぬことはない。
エネルギーは、地下熱、原発。核融合の発電もほぼ実現が始まったようだ。
「KI生」様ご質問ありがとうございます。(在米のKM生)

  ♪
(読者の声3) 三島由紀夫研究会から「公開講座」のお知らせです。
(1)三島由紀夫研究会299回公開講座
 http://mkoza.sblo.jp/article/189344019.html
 二月は奥本康大氏をお迎えして、新年最初の三島由紀夫研究会公開講座
を下記の通り開催しますので是非ご参加下さい。

日時   2月28日(月)18時〜20時
会場   アルカディア市ヶ谷
https://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/10766/rtmap.html
講師   奥本康大氏(評論家)
演題   三島由紀夫と出光佐三(仮題)
(講師略歴 昭和25年生。現役時代は出光興産に勤務。父、奥本實は陸
軍軍人として大東亜戦争緒戦のパレンバン奇襲作戦に参加し、殊勲甲の手
柄をあげた。終戦時は陸軍大尉。現在「空の神兵」顕彰会を主催するとと
もに、史実を世界に発信する会、二宮報徳会、新しい歴史教科書をつくる
会などの幹事)
           ★

(2)四月の公開講座のご案内です。
4月21日(木)に下記の通り公開講座を行うこととなりました。陸自の
元陸将・福山氏に楯の会を論じていただきます。ご期待下さい。
          記
日時  4月21日(木)18時開会
場所  アルカディア市ヶ谷(「私学会館」、JR市ヶ谷駅徒歩数分)
講師  福山隆(元陸将、軍事評論家)
演題 「楯の会、山本舜勝とインテリジェンス」(仮題)
(講師略歴 昭和22年生、 昭和45年防大卒(第14期)、平成17
年陸将・陸自西部方面隊幕僚長で退官)
   (三島由紀夫研究会)
at 10:09 | Comment(0) | 番外編

2022年02月23日

◆世界の厄介者、北朝鮮を育てた中国

櫻井よしこ

北朝鮮が前例のない頻度でミサイルを発射し続けている。狙いのひとつは
米国を交渉の席に引きずり込み、なんとしてでも国連の対北制裁措置を解
除させることだろう。

2017年9月、北朝鮮はそれまでにない大規模な核実験を行った。広島の核
爆弾の約10倍、160キロトンの水爆弾頭の実験だった。同年11月には大陸
間弾道ミサイル(ICBM)も発射した。国連が北朝鮮に厳しい経済制裁
を科したのは当然だ。朝鮮問題の専門家、西岡力氏が語る。

「安倍首相とトランプ大統領が主導した国連制裁が、いま非常に効いてい
ます。北朝鮮の窮状は衝撃的です。今年1月に列車とバスが中朝間を往来
しましたが、中朝貿易が再開したとはいえず、北朝鮮の物不足を解消する
には程遠い。その結果、北朝鮮では紙幣印刷に必要な紙も印刷資材もなく
なっています。そこで北朝鮮当局は国産のペラペラ紙で『中央銀行トン
票』と呼ばれる臨時のお札発行に追い込まれました」

トン票については以下のような注意がなされている。

「紙質が良くないことをよく理解して丁寧に清潔に利用し、汚したり破損
させたりせず、愛国心を発揮して少しでも長い期間利用せよ」

食糧危機も深刻である。21年には、1月、2月、6月と3回も立て続けに朝鮮
労働党中央委員会総会を開き、食糧危機克服の緊急対策を論じた。にも拘
わらず、昨年は軍や党幹部への食糧配給も断続的に止まった。

断崖絶壁に立つ金正恩氏の連続ミサイル発射の意味はまず、この苦境を打
開するために米国と交渉したいということだろう。同時に一連のミサイル
発射という強硬手段は、米軍に対する恐怖心の現われでもあろう。

前述の17年9月3日の水爆実験から3週間後、トランプ大統領(当時)はグ
アムから戦略爆撃機B‐1Bを北朝鮮に向かわせた。F‐15C戦闘機など十
数機に守られ、巨大な図体の爆撃機は正恩氏がそのとき滞在していた北朝
鮮の東海岸にある元山沖で模擬空襲演習を行った。米軍は正恩氏殺害も可
能だった。トランプ氏は元山沖での演習に「金がかかる」などと不満を述
べたが、マティス国防長官は「大統領に核兵器使用を勧めなければならな
い状況に備えて」「苦悩した」と語っている。状況は非常に緊迫していた
のだ。

米国の怒りが本物だと感じた正恩氏は、その後、核及びミサイルの実験を
ピタリとやめた。

そしていま米国は西太平洋に空母5隻を展開中だ。それを正恩氏が気に病
んでいないはずはない。追い詰められた正恩氏が逆に強気に出る可能性を
指摘するのは元防衛大臣、小野寺五典氏だ。

「バイデン政権の対北政策には、トランプ前大統領のときとは違って宥和
的な姿勢はありません。正恩氏は自分の力を見せつけるためにグアムに届
く中距離ミサイルを撃ってみせたのだと思います。北京五輪の後には
ICBMの発射実験もあるかもしれません。その場合、米国はウクライナ
を狙うロシア、北朝鮮、中国を相手に三正面の戦いに直面することになり
ます」

ウクライナが屈服するとき

昨年8月末、バイデン氏はアフガニスタンからの米軍撤退を実現した。中
東と中国の二正面作戦は出来ないために、中東から撤退して中国に集中す
るためだった。しかしわずか5か月で情勢は大きく変わり、二正面を超え
て三正面の戦いの危険性が高まっている。

ロシアのプーチン大統領のウクライナ戦略がどうなるかはわからない。08
年の北京五輪のときも、14年のソチ冬季五輪のときも、プーチン氏は他国
を侵略した。今度もウクライナ軍事侵略に踏み切る可能性はあるだろう。
そのとき米国は、いま論じているような対ロシア経済制裁だけで乗り切れ
るか。NATO諸国からもっと強い行動を求められるのではないか。米国
が動かなければウクライナはロシアに組み敷かれる。米国が何もせずウク
ライナが屈服するとき、中国は好機到来と考え、台湾にあらゆる面から圧
力を強めるだろう。日本存亡の危機でもある。

中国がどれ程性悪な国か、知っておきたい。09年の出版で、トーマス・
リード、ダニー・スティルマン両氏による『核の急行便』から引用する。

ちなみにリード氏は米国空軍の長官を務め、レーガン政権下で国家安全保
障会議のスタッフだった。氏は、戦わずしてソ連を崩壊に導いたレーガン
政権の対ソ政策立案に貢献した。スティルマン氏は原爆の研究で知られる
ロスアラモス研究所に28年間勤めた核の専門家だ。

同書は結論の部分で中国、とりわけケ小平の役割を特記している。ケに
よって核兵器は第三世界に拡散されたというのだ。ケはまず、パキスタン
に核技術を与え、アルジェリアの砂漠地帯に秘密の原子炉を築きプルトニ
ウム生産を試みた。サウジアラビアには核兵器のみ搭載可能なミサイルを
売った。北朝鮮の核開発を黙認し、石油欲しさにイランの核開発計画にも
目をつぶった。核だけでなく大量虐殺が可能な生物化学兵器の拡散に、ケ
は最も熱心だった。

中国の犯行

06年、北朝鮮の核実験を受けて、国連では北朝鮮の港に出入りする船を臨
検すべしという声が起きた。それに中国は断固反対した。そのうえ、国際
規約で禁じられている物資や製品を核拡散諸国が北朝鮮で調達する際、中
国はそれら諸国の航空機が中国上空を飛行する便宜を図った。

米国がイラク戦争に突入する直前、中国はイラクにミサイルの部品を送っ
た。またミサイル誘導装置に必要なソフトを「子供用のコンピュータソフ
ト」と偽ってイラクに供与した。パキスタンの死の商人、カーン博士には
核兵器に関する情報をひとまとめにして教え、カーン氏はそれをリビアや
イランなどに売った。その他多くの事例は割愛する。

リード氏らは、中国の犯行だという痕跡さえ残らなければ中国はニュー
ヨークやワシントンへの核攻撃にも反対しない可能性があると結論づけて
いる。

三正面の戦いで米国の苦戦は当然だ。日本がなすべきことは少しでも早く
日本の力を強くすることだ。日米間には菅・バイデン両首脳の共同宣言、
日米の「2+2」などでの合意がある。いずれも台湾の安全と日本の安全
は事実上重なるとして、日米で中国に抑止力を効かせるという確約だ。万
が一、抑止が無理なら「対処する」とも合意した。対処するとは、行動を
共にする、軍事的に扶(たす)け合うということだ。ミサイルが飛び交う戦
いが予想されるとき、ミサイル防衛での対処は無理で、打撃力の強化が必
要だ。核で恫喝する中露北朝鮮に対して、わが国の非核3原則を2原則へと
一日も早く見直すことだ。戦争抑止の最大の力が核戦力であることを認識
したい。
    

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◆開戦前夜/24“悪の三傑”露中+ベラルーシに制裁を

“シーチン”修一 2.0

【Anne G. of Red Gables/433 2022/2/21月】マッチョがウリのプーチ
ンもすっかりヂヂ臭い体形になってきた。この頃では権力から離れても訴
追されないという「免責法案」成立を狙っているようだが、上手く行くか
どうか。

2014年のウクライナ領クリミア半島侵略以来の国際社会による経済包囲
網にコロナ禍も加わってロシア経済は減速気味、これではプーチンは“有
終の美”を飾って引退というわけにはいかない。これぞという国史に残る
ような華々しい実績を創らなければ、という焦りがありそうで、プーチン
は今度はウクライナ東部を侵略するつもりである。軍事力で世界秩序を突
破し、ロシア・ソ連帝国再生の名君になりたいのだろう。

ロシア国民は日々の生活が多少なりとも上向けば着いて来るだろうが、
上手く行くかどうか、かなり怪しいのではないか。国際通貨としてドル、
ユーロ、ポンド、円は信用があるが、ロシアのルーブルは脆弱で、「ロシ
アがウクライナに侵攻すれば米欧は大規模な経済制裁に踏み切る構えで、
通貨安やインフレ、成長鈍化への懸念が強まっている」(日経10/21)。

そもそもロシア経済はかなり脆弱だ。「服部倫卓ブログ ロシア・ウク
ライナ・ベラルーシ探訪2021/5/17 非原料・非エネルギー輸出が増えた
と言ってもゴールド頼みでは・・・」から。

<私はロシアの通商政策を研究しているが、現時点(2021年5月)で
プーチン政権が最重要視していることになっているのが「非原料・非エネ
ルギー商品」の輸出を拡大するという目標である。石油・ガスをはじめと
する原燃料に偏重した輸出構造を脱し、商品の多角化・高度化を遂げよう
というわけだ。

2020年の非原料・非エネルギー輸出の動向をまとめたロシア輸出セン
ターの資料によると、2020年のロシアの非原料・非エネルギー輸出は1613
億ドル(18兆5495億円)に上り、コロナにもかかわらず、過去最高を達成
した。

ただ、その中身が問題であり、2020年の非原料・非エネルギー輸出の主
要品目をまとめると、次のようになる。

金(ゴールド):185.4億ドル、小麦:81.9億ドル、プラチナ族:78.4
億ドル、鉄鋼半製品:48.6億ドル、精錬銅:46.4億ドル、木材:43.1億ド
ル、アルミニウム・同合金:42.2億ドル、冷凍魚:28.3億ドル、ひまわり
油:28.1億ドル、複合肥料:27.4億ドル、鉄鋼鋼板:25.5億ドル、窒素肥
料:24.9億ドル、ターボエンジン・ガスタービン:20.7億ドル、ニッケ
ル:18.6億ドル、カリ肥料:17.8億ドル

このように「非原料」と称しながら、現実には限りなく天然資源に近い
ようなプリミティブ(初歩的)な商品が多い。2020年にはゴールドが高騰
したため、その輸出が221.6%も急増、それによって非原料・非エネル
ギー輸出全体も押し上げられた形である。

ロシアは資源の国際価格に翻弄されないためにも非原料・非エネルギー
輸出を伸ばしたいのだが、現実には一部商品の高騰に助けられて2020年に
その輸出増を達成したという逆説がある>

ゴールドとプラチナ輸出で263.8億ドル(3兆円)! 何となく“お宝”まで
売る「タケノコ生活」、そのうち「売り家と 唐様で書く 三代目」となり
そうな・・・ハイテク産業への突破口が開けないこんな状態を「中進国の
罠」と言うが、プーチン・ロシアも罠にはまるのか。

プーチンはコロナ禍による経済後退をワクチンではなく、効き目抜群の
ウォッカでいち早く乗り切ったようだが、それをチャンスと見てウクライ
ナ侵攻を決断したのかも知れない。しかし昨年から高インフレが始まり、
今はかなり怪しい気配がする。ブルームバーグ2022/2/19「ロシア経済、
2021年は4.7%拡大――08年以来の高成長」から。

<世界最大級のエネルギー輸出国であるロシアは、2021年の経済が過去
10年余りで最高の成長率を記録した。原油高と個人消費の伸びが後押し
し、新型コロナウイルスの感染拡大による前年のリセッション(景気後
退)から回復した。

ロシア連邦統計局によると、昨年の国内総生産(GDP)は前年比4.7%増
加した。ブルームバーグが調査した市場予想は4.5%増。政府の景気刺激
策や世界的な景気回復、原油高が成長を押し上げた。20年は新型コロナ対
策の行動制限などが響き、ロシア経済は2.7%縮小していた。

ロシア中央銀行のナビウリナ総裁は先週、コロナ禍からの回復期は終わ
り、今や経済は過熱しつつあると警告した。中銀は過去1年間に政策金利
を合計5.25ポイント引き上げたが、それでもインフレ率は中銀目標の2倍
を超えて推移している。同総裁は今年の成長率が2−3%に鈍化する可能性
が高いとし、来年はさらに減速するとみている。

ウクライナを巡り緊張が高まる中、西側諸国がロシアに新たな制裁を科
す恐れがあることも見通しを曇らせている>

日本外務省の「ロシア連邦基礎データ」はちょっと古いが、おおよその
状況は分かる。それによると――

<◆貿易(2017年)(1)輸出:3519億ドル(燃料等鉱物製品,鉄鋼,貴
金属等)(2)輸入:2285億ドル(機械類,医薬品,衣類)(3)主な貿易
相手国:輸出上位から中国,オランダ,ドイツ,ベラルーシ,トルコ,イ
タリア、輸入上位から中国,ドイツ,米国,ベラルーシ,イタリア

◆総兵力:現役約90万人(準軍事組織「国境軍,国内軍他」約55万人を
除く)、予備役約200万人。国防費は2010年以降増加の一途をたどり、
2016年は3兆7750億ルーブルと前年比増>

プーチンはウクライナ侵略に際して、インフレ率の上昇、ルーブルの下
落、西側先進国の猛反発は「想定外」だったのではないか。2014年のクリ
ミア半島強奪の際は狡猾なハイブリッド戦で成功したが、今のウクライナ
東部侵略はそれと似ており、自由陣営は「同じ手は食わぬ」と警戒してい
るはずだ。

zakzak 2022/2/16「日本復喝! 台湾が警戒する中国“ハイブリッド戦”
情報戦やサイバー攻撃で相手を攪乱し、無血併合を画策か 日本国内でも
不可解な事案発生の危険性」から。

<ロシア軍はウクライナ国境付近の兵力増強を続けている。この様子
を、中国の習近平国家主席や、台湾の蔡英文総統はじっと見ている。ロシ
アは2014年、ウクライナ南部クリミア半島を併合した際、情報戦やサイ
バー攻撃を組み合わせて戦略目標を達成する「ハイブリッド戦」を展開し
た。ウクライナと台湾の連動が懸念されるなか、産経新聞論説副委員長の
佐々木類氏は、中国による「台湾有事」でも警戒される軍事戦略に迫った――

北京冬季五輪開幕直前の1月24日、台湾国防部は、中国軍の最新鋭電子
戦機「殲16D」が初めて台湾の防空識別圏(ADIZ)に進入したことを確認
した。同機は、レーダーや通信システムなどを攪乱・無力化する能力を持つ。

警戒すべきは、殲16Dの進入が、これまでの戦闘機や爆撃機による軍事
的威圧や牽制で終わらず、本格的な台湾侵攻につながる兆候かもしれない
ということだ。本格的な侵攻といっても、中国軍による着上陸作戦など正
規軍による攻撃ではない。「ハイブリッド戦」である。

「ハイブリッド戦」とは、戦闘機、艦船などの軍事力だけに頼らない作
戦だ。例えば、軍艦ではない船舶による領海侵入や上陸、正規軍ではない
武装兵の動員、電力や通信網といったインフラ破壊、サイバー攻撃による
フェイクニュースの拡散などで相手を攪乱し、知らぬ間に優位な状況をつ
くり出すことを狙いとする。

ロシアが2014年2〜3月にかけ、ウクライナのクリミア半島を占拠し、自
国領土に組み込んだ際に用いた戦術だ。ロシア・ソチで開催された冬季五
輪の閉幕直後、サイバー攻撃などによるインターネット通信やテレビ、ラ
ジオなどへ電波妨害を行い、正体不明の武装組織(=高度に訓練されたロ
シア特殊部隊とされる)が議会や空港、行政施設を瞬く間に占領した、あ
れだ。

ソチ・パラリンピックの直前であり、世界中がまさかこのタイミングで
クリミア半島に手を出すまいと油断していたその隙だ。わずか2週間で、
人口250万人、九州の7割の面積を持つクリミア半島が、ロシア主導の透明
性を欠く住民投票の後、ほぼ無血でロシアに併合されてしまった。

中国が「台湾統一」で狙うのは、まさにこうした戦術とみられている。
もともと「孫子の兵法」の国である。戦わずして勝つことを考えるのは必
然だ>

戦国の武将曰く「戦争は5勝1敗とか5勝2敗がいい。勝ち過ぎると“勝ち
パターン”に捉われ、敵に作戦を読まれて大敗するからだ。時々敗けるこ
とで新たな作戦が生まれるから、敗戦は悪いことではない」。

プーチン・ロシアの「クリミア式ハイブリッド作戦」。策士、策に溺れ
るというが、いくら自由陣営が寛大、お人好し、ボンクラでも「二匹目の
ドジョウ」はムリだろう。騙された方は「その手は桑名の焼き蛤」と警戒
するのは当然だ。プーチン・ロシア、習近平・中共、ルカシェンコ・ベラ
ルーシともども“アカの三バカ”に国際社会はさらなる制裁を課すべし。買
わない、売らない、付き合わない。包囲戦は効き目がある。「独裁者 み
んなでなくす 地球の輪」、同志諸君、頑張ろうぜ!


     

━━━━━━━━━━━━━


◆米国務省、ベラルーシからも

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)2月18日(金曜日)
     通巻7223号 <前日発行>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 米国務省、ベラルーシからもアメリカ人の退去を勧告
  ウクライナの米大使館は誰もいなくなった。ミンスクもまた?
*****************************

(以下は拙著『日本が全体主義に陥いる日』(ビジネス社)のベラルーシ
の章の縮約)

 日本からベラルーシの首都ミンスクへ行くにはモスクワ経由が一番近
い。320人乗りのエアバスが毎日二便以上モスクワへ飛んでいるからで
ある。ベラルーシはヴィザが必要な国だが、加えてロシアのヴィザも必要
だ。ロシアと軍事同盟を結んでおり、ベラルーシはロシアの「国内」扱い
となっているからだ。

 モスクワに一旦、「入国」するとミンスク行きは「国内線」ターミナル
にあった。出入国審査はかなり厳しい。ミンスク空港から街へ入る高速道
路で目にした看板は英語、ベラルーシ語、ロシア語の順番。人々はロシア
語、ついで母国語、若い人は英語も喋るがたどたどしい。ドイツ語のほう
がよく通じる。

 ミンスクで雇ったガイドのO氏は東洋言語学者のアルバイト、日本にも
二年の留学経験を持つ。夏目漱石が好きで、なかでも『心』を好むという
正調日本語を操る紳士だった。
 歴史を振り返っても、ベラルーシはモンゴルに攻められたこともあれ
ば、リトアニア公国、ポーランド大公国と主が入れ替わり、ナポレオンが
通過し、ナチスが侵入し、ユダヤ虐殺にも手を貸した。

戦後はロシアに合体されて、「ソ連の一員」という悪夢の時代が長く続い
た。このような経過の中でベラルーシ独自の歴史観は成立しにくく、ソ連
時代の残滓として言語状況にロシア語優位がくっきりと残った。歴史学に
も確乎としたものがない。誇るべき文化遺産が希薄だったからである。

 ベラルーシの国土の半分は森林。観光ガイドブックに謳われている「妖
精の街ミンスク」などという惹句ゆえか、よく耕された広々とした畑の向
こう、緑深い森の間からひょこっと可愛い妖精でも現れそうな、心和む景
色が続いている。

そしてその緑と畑を潤しているのは大小数知れない湖だ。海の出口がな
く、屹立する山脈もなく、標高400メートル足らずの丘が一番の高地だ
とか。台地と低地、湿地帯の緩やかな起伏が全土に展開され、小麦、ライ
麦、大麦、そして酪農。いまはサトウキビの青々とした葉がどこまでも続
いていた。

 ▼KGB本部、レーニン像が残った

 街にはレストランが多い。都心では郷土料理、イタリア料理やフランス
系のしゃれたレストランが繁盛しており、赤カブ主体のボルシチスープが
美味かった。グルジアからの美味なワインにもありつけ何よりも物価が安
いので旅行者にとっては魅力的な街だ。
 ロシアのマンションがユーロ建てであるように、この国はマンションの
ローンは米ドル建てである。

 ベラルーシは二重構造社会であるようだ。
 広大な広場に屹立しているレーニン像の奧に、異様な、いかめしい建
物。ガイドブックに何のビルかの記載もない。「おそらく旧共産党本部で
しょう?」という筆者の推定にガイド氏は「そうだ」と小さく頷いた。外
見上は廃屋、まるでがらんどうである。

 そこから二百メートルのところに不気味な、幽霊屋敷のごとき無機質な
建物がある。これが悪名高き旧KGB本部だ。まさにオペラ座かと錯覚す
るほどに豪華な彫刻が玄関脇を飾り、しかし玄関は開かずの扉、職員は裏
口から出入りする。この建物、しかも街のど真ん中に位置する。これもま
たガイドブックに何の紹介もない。ガイドのO氏が教えてくれるまで分か
らなかった。

 対面の小さな公園の入口にはKGB初代議長だったジェリジンスキーの
銅像があった。
 懐かしくも気味悪い名前である。撮影していたら「血まみれの男さ」と
ベンチに所在なげに座っていた初老の男が吐き捨てた。

 ベラルーシの人々は忍耐強く、恥ずかしがり屋、そして勤勉である。こ
の点は日本人と似ている。つまりインモラルで行儀の悪い中国人は大嫌
い。ところがその中国が15億ドルの投資を運んできたから外交では中国
重視に傾き、ロシアのプーチンを慌てさせた。いかにもルカシェンコ大統
領らしい狡猾な遣り方である。

 ▼シャガールもシャラポアもグロムイコもベラルーシ人だ

 ベラルーシの誇りはテニスのシャラポワ、かつてのグロムイコ外相。そ
して画家の巨匠として知られるシャガールだろう。

 夢と幻想、おとぎ話のような世界を描く、抽象的なリアリズムで知られ
るシャガールはベラルーシ生まれのユダヤ人でフランス、米国にながく暮
らしたが、ミンスクの北東300キロのヴィテプスクという街が故郷だ。
それを聞いて車を飛ばして行ってみた。往復九時間の強行軍となった。

 ヴィテプスクの人口は37万強。繊維産業とトラクター、農薬、肥料の
他、ロシアとの国境に輸出特区があり、また製薬産業が有名である。市内
には薬科専門大学もある。
 しかし町を歩くと嘗て20万人もいたユダヤ人街はあとかたもなく、ナ
チスに協力したユダヤ人虐殺の跡地を埋めて完全に消し去った。ポーラン
ドのアウシュビッツのような収容所跡も完全に消され、シナゴーグの残骸
がひとつだけあった。

 ユダヤ人だったシャガールはベラルーシの人々にはつつましやかな誇り
であるようだ。生家跡記念館、アートセンターはひっそりとして、外国か
らの僅かな観光客の求めに応じている。地元の人々はあまり立ち寄らない
らしいのだ。ドイツ人への憎しみはないらしい。ロシアに対しては好きも
嫌いもなく、死活的に重要な国という位置づけである。 
  ●
 このベラルーシからアメリカ人の退去を米国務省は在留米人に勧告し
た。キエフの米国大使館はすでに無人、幽霊屋敷化している。
    
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
★読者の声  どくしゃのこえ  READERS‘ OPINIONS 
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  ♪
(読者の声1) 「言論テレビ」(櫻井よしこ氏主催)の番組「花田編集長
の右向け、右」
宮崎正弘さんがゲスト出演です。テーマは「中国経済はとうに死んでい
る」(仮題)。およそ40分ほど。
https://www.genron.tv/ch/hanada/
 放送は2月18日(金曜)午後10時の予定です。
   (言論テレビ)

 ♪
(読者の声2)未来ネットの番組「宮崎正弘の生インタビュー」(2月
16日生放送)のゲストは福山隆元陸将。テーマ「インテリジェンスとは
何か」でした。アーカイブでご覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=ETe5duPyL7g

 討論は下記のように進みました。
(1)インテリジェンスとは何か 広報(PRとは宣伝のみならず広く知ら
しめる)
秘密工作(敵陣営にスパイ、影響力ある代理人など)
謀略工作(攪乱、陽動、偽情報、怪文書)。心理・法廷・宣伝戦=超限戦
(ハイブリッド戦)
(2)日本の先駆者たち。川上繰六、田中義一、中村天風、石光真清、福
島泰正、廣瀬武雄、明石元二郎。そして戦争中の神本利男、小野寺信、藤
原岩市
(3)陸軍中野学校(1938〜45)。卒業生2500名
広い知識と柔軟性、融通性が必要。予備仕官学校将校が適任。東京帝大、
一橋大学。拓殖大学が多く早慶、明治。拓大には大川塾も。岩畔豪雄とい
う天才がいた。F機関、南機関、ハリマオetc。そして小野田少尉
(4)JCIAは可能なのか? 内閣安全保障室、総理府、公安調査庁、
警察はあるが。。。
GRU、KGBのロシア現代版はGRV、FSB、SVR。米国はOSS
からCIA、そしてFBI。中国は孫子の伝統。英米が日本にファイブア
イズ参加を勧誘してきた。
 ●次回は3月18日、ゲストは岡部伸(産経新聞前ロンドン支局長。元
モスクワ支局長)の予定です。

  ♪
(読者の声3)YOUTUBE 2/17日放送、「福山隆氏(元自衛隊陸将)『宮
崎正弘の生インタビュー #18』インテリジェンスとは何か」について。
 優秀なスパイは一人で、兵士数万人の働きも可能で、大変コスパが高
い。しかし、スパイ本人にとっては割りの合わない仕事で、外地で地味な
目立たない面白くない普通の生活を強いられ、本業が露見すれば、拷問に
遭い殺される。
あるいは、寝返って敵の家来になる。007の映画でも、楽しい優雅な生
活もあるが、よく殺されそうになる。
 故に平和な時代には、多くのCIAの人材の中でも現地に赴任を望む者は
ほぼ皆無になり、電子的な情報にのみ依存し、快適で安全な米国内で解析
することで、茶を濁す。家族と離れることもなく、普通の生活ができる。
現地にいれば、まずい食事、汚い環境、病気、などなど。現地の言葉も文
化も直ちに正確に習得せねば、素性がバレてしまう。
そんな卓越した才能と苦労があれば、国内で金融機関などで雇用され、か
なりの高給が保証され、身の危険もない。
トかつて中近東で働いていたスパイRobert Baer氏が言っていた。彼は、
大学時代に目をつけられ、勧誘され、スパイ訓練学校で審査を受け、必要
な能力があると判断され、アラビア語を学び、教育され、現地に送られた。
https://www.youtube.com/watch?v=382M7AxK6eU(英語、重要)

 もう一人の男John Perkins氏も大学在学中に発掘され、CIAで教育を受
け、米国民間金融機関の中南米の現地に派遣され、民間人として現地の政
治家、企業家と交渉する。彼の場合は、公には民間企業の高官ではある
が、米国政府の戦略の実現の手段としても機能することになる。
要は、サラ金の仕組みを拡大し、小さな国の政府要人を賄賂で操り、膨大
な負債を負わせ、資産を合法的に奪う、という支那の手口を行っていた。
純粋に民間人ではないので、必要があればCIAの工作員と共謀し、邪魔に
なる者を暴行、殺人などの手段を使って計画を実現させる。氏は、良心の
呵責により、改心し、内情を暴いた。「Confessions of an Economic Hit
Man」2005年、著者 John Perkins
 
いずれの場合にも、大学を出て仕事について家族を持って仕舞えば、勧誘
することは困難であろう。
プロの野球、サッカー、囲碁の人材を集めるように、中学くらいの若いう
ちから候補者を見つけて、継続的に勧誘・訓練をするような方法が必要だ
ろう。参加を希望するものには夏休みなどに集めて教育、訓練をし、適正
な者を選んでいく。
CIAの場合、田舎の目立たない別荘を使っている。正しい教育をすれば、
国家のために犠牲を厭わぬ者が生まれるだろう。才能のある偏差値の高い
者は、利己的でなく正義感も高いという傾向がある。国益に貢献すると
は、高貴な作業である。
 しかし仮に立派なスパイが養成され、貴重な情報が秘密裏に外務省に届
けられても、それが現地の駐在員から敵に筒抜けになっては、意味がな
い。スパイの身元も暴かれ、見せしめに公に拷問されてしまう。

故に日本の敵、敵の代弁者、外務省をぶっ壊す、ことから始める。そもそ
も、日本の主要機関、政府、文科省、NHK, などには敵のスパイが巣食っ
ているのだろう。まず、これらの寄生虫を排除。それには、まず検察、裁
判所の中のスパイを排除。多くの反日、親中、媚中の日本人は事実上、自
発的に金も女も与えられずに、スパイとして機能している。バカな本人も
気づかない、罪の意識もないらしい。
それは彼らの「無知」に由来する。無知を製造するのが文科省・日教組
(在米のKM生)

  ♪
(読者の声4)貴誌7222号、(読者の声2)、在米のKM様のご投
稿、ここ20年の共産中国の勢力拡大と、今後30年に共産中国が一層勢
力拡大するかと想像すると、孫たちの時代の日本の将来像に深い危惧を抱
かざるを得ず、KM様の御指摘に強く賛同する者ですが、文中で、「そし
て、国防、食糧、エネルギーなどの必須条件を早急に国内で確保する」と
述べておられます。
 小生にはこのKM様の論は、極めて非現実的に感じられ、それらが「確保
出来ない」からこそ、右往左往の今日の我が日本の政治状況と思うのです
が。。
KM様はその主張に対応する「具体的な諸施策(の案)」はお持ちなので
しょうか? もし良ければお聞かせ下さい。 
(KI生、尼崎市)

   ♪
(読者の声5)シンガポール陥落から80年。1943年にインド国民軍が作成
したプロパガンダポスターがある。イギリスの分割統治と強欲をよく表現
しており、チャーチルが蜘蛛の巣の中心にいて、周りの網にかかったイン
ド人から盗んだ金塊を持っている。
https://www.reddit.com/r/PropagandaPosters/comments/rno7kc/smash_the_spider_and_save_india_an_ina_poster/
 色調を鮮やかに再現したものがこちら。
https://www.topfoto.co.uk/asset/4291283/
https://onl.la/Dg3vT3s
 ベンガル語?のテキストは、「自由の絶好の機会が到来しました。起き
てください。立ち上がって、英国の柵/鎖を壊してください」。
 チャンドラ・ボースが 尻尾に星条旗のリボンをつけた獅子(英国)の首
を刎ねるもの。
http://www.psywarrior.com/BoseBeheadsLionIndia.jpg
 英国統治下で死屍累々、独立すれば平和で豊かになることを表現。
http://www.psywarrior.com/JPIndia03.jpg
 日本の宣伝もなかなかのものです。
  (PB生、千葉)

2022年02月22日

◆【変見自在】コロナの罪

高山 正之 

 ちょっと前のニューヨーク・タイムズに「ガダルカナル島で再び攻防
戦」とあった。

「再びの」とはもちろん先の戦争で日米の壮絶な戦いがあったことを指す。

 この島は米豪を結ぶ戦略ライン上に位置する。日本がここを取れば豪州
を孤立させ、太平洋での戦いを有利にできる。だから米国は6万もの将兵
を送り込んで日本軍を駆逐した。

 そこに今度は支那が出てきた。ソロモン諸島の首都ホニアラにはすでに
支那資本のビルが建ち並び、夥しい支那人が移り住み「支那人の島にな
る」と地元民は悲鳴を上げる。

 支那はまたその辺りの海域に海底ケーブルを巡らせる。それは米原潜な
どを感知する機能を持つという。

 米豪の戦略ラインは70年前より危ない状況にあると記事は伝える。

 ガダルカナルは日本軍が初めて敗北を喫した戦場でもある。そんなとこ
ろに支那人が我が物顔で割り込んでくることに些かの腹立ちも覚える。

 で、犯される戦跡を訪ねる旅を宮崎正弘、福島香織らと計画した。彼女
はスキューバもやる。海の底に眠る日米の沈船を一緒に見る手筈も整えた。

 さあ、というときに武漢コロナが撒かれた。

 ソロモン諸島はイの一番に日本人の入国を拒否した。「日本が発生源」
という支那の流した風説のせいだ。

 コロナ禍はもう一つ、ガダルカナルから最後に帰還した鈴木和男主計少
尉の取材も阻んだ。

 虎ノ門の老舗文具店の跡取りだった少尉は慶応を出て間もなく第38師団
に配属され、南支に出た。

 戦歴が凄い。開戦の日は深圳からの香港攻略戦に加わった。九龍要塞線
は「突破には3カ月かかる」と英側は予測したが、たった1日で陥落した。

 香港島もすぐ落ちてクリスマスにはあのペニンシュラホテルの3階で降
伏調印式が行われている。

 明けて昭和17年2月にはバレンバン攻略戦に参加し、蘭領東印度を押さ
えた。

 しかし勝ち戦はここまでだった。同年秋、ラバウルに移駐する。最終目
的地はガダルカナルだった。

 米軍はすでにその夏、ガ島に出て日本軍主力を葬り、救援の一本支援、
川口支隊も全滅していた。

 最後の増援に鈴木少尉の部隊が選ばれた。しかし11隻の輸送船団はソロ
モン海で米軍機に襲われ、ほぼ全滅。少尉は奇跡的に後方へ逃れられた。
ガ島への増派はもう終わった。

その頃のガ島では椰子の実も野ネズミも取り尽くして食べるものもなかった。

 まさに「餓島」と変じた12月末、少尉はまさかのガ島再上陸命令を受ける。

 食糧や弾薬などの差配は主計士官が担当する。ところがガ島守備部隊の
主計将校が戦死や病でみな任に堪えず、誰か出せという。

 誰が行っても調達する食糧品も弾薬もない。しかし欠員があれば補充す
るのが軍隊というところだった。

 12月29日、伊31号潜水艦で5人の主計将校がガ島カミンボに上陸した。

 鈴木少尉はその時の体験を書き残している。そこには病で倒れ、食べる
ものもなく生きたまま腐っていく将兵の幽鬼のような姿が描かれている。

 そして1カ月、まさかの撤収命令が届く。日本軍は「ルンガ岬に逆上
陸」を打電し続け、その隙に別のエスペランサ浜から脱出する計画だった。

 米軍の執拗な攻撃はあった。それでも投入した全将兵3万余のうち1万
余人が生還できた。

キスカ同様、日本側の作戦勝ちだったのか。103歳の少尉にその辺を再
取材する予定だったが、それもコロナ禍で果たせなかった。

 少し後に天寿を全うしたと聞いたが、帝国ホテルでの偲ぶ会もコロナで
お流れになった。

 何もかも支那が悪い。

 新聞報道でも支那寄りのソロモン政府への抗議は激しく、島民は支那人
街を焼き討ちしたという。

 支那は公式に警察隊を派遣、それを抑え込むとか。ガ島は我島の気だ。

 日本軍の戦跡にのさばる支那は似合わない。


〈新潮社編集部より〉

高山正之氏の本紙連載が、文庫になりました。

『変見自在 習近平は日本語で脅す』(定価605円)絶賛発売中。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  松本市 久保田 康文 採録




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◆チグハグ政治はいいかげんにして

【有本香の以読制毒】 

岸田政権、首脳会談の裏で制裁検討相手に経済協力=@日露貿易経済協
力推進会議 


佐藤議員は、林外相(写真)や外務省の対応に立腹している佐藤議員は、
林外相(写真)や外務省の対応に立腹している


「ヒゲの隊長」として知られる自民党の佐藤正久参院議員がお怒りだ。党
の外交部会長を務める佐藤氏は15日、共同通信の「日ウクライナ首脳 
今夜会談」という記事を引用して、次のようにツイートした。

【外務省のチグハグ感が拭えない。本日夜の日ウクライナ首脳会談の前
に、林大臣参加の日露貿易経済協力推進会議を実施するとは?】

岸田首相岸田首相

確かにチグハグだ。これには筆者も驚いた。

長らく緊張の続くウクライナ情勢だが、ここへ来てようやく、わが国の岸
田文雄首相が動きを見せた。15日に、ウクライナのウォロディミル・ゼ
レンスキー大統領と電話会談を行った。力弱いながらも「ウクライナとの
連携」をアピールするのだろうと思ったら、その直前に冷や水を浴びせる
ような、林芳正外相の動きがあったのだ。

佐藤議員佐藤議員

佐藤氏のいう「日露貿易経済協力推進会議(貿易経済政府間委員会)」実
施である。

折しも、前日(14日)には、G7(先進7カ国)の財務相が、仮にロシ
アによる軍事侵攻があれば「ロシア経済に甚大かつ即効性のある経済・金
融制裁を共同して科す用意がある」と強い言葉で牽制(けんせい)してい
る。その翌日に、こともあろうに日本の外相が「ロシアとの経済協力」を
話し合ったというわけだ。タイミングは最悪である。

G7の首脳から、「日本はわれわれにケンカ売っているのか!」と思われ
ても不思議はない。ロシアからすれば、「日本やはり与(くみ)しやす
し」となるだろう。

林氏側の言い訳は聞かなくても分かる。案の定、自民党の外交部会で、外
務省は「同委員会の開催は、ロシア側の提案で事前に決まっていた」「日
露のチャンネルを閉ざすべきではなく、日本側の立場をしっかり訴えるこ
とを重視した」と主張したという。

いつもの「チャンネルは閉ざすべきでない」論だが、だからといって、
G7の「制裁表明」の後、日ウクライナ首脳会談の前に挟まなくてもよか
ろうに。

余談だが、林氏は16日、「ニコニコ生放送」の番組に出演している。そ
の番組タイトルが「林芳正外務大臣と考える『ウィズコロナと政治』」
だったことで、ネットユーザーからさらなる批判を浴びた。

世界情勢がこれほど大変なときに、わざわざネット番組で「コロナ」を語
る外相って何なの? というわけだ。世の中には「間の悪い人」がいる
が、林氏はその一人で、ひょっとするとスタッフにも恵まれていないのか
もしれない。

岸田政権のチグハグさはこれにとどまらない。政府は16日、新型コロナ
ウイルスの水際対策の強化措置を3月から緩和し、入国者数の上限を現在
の1日3500人程度から5000人に引き上げる方針を固めた。ワクチ
ンの「3回目接種」など一定の条件を満たせば、入国後の自宅などでの待
機期間もなくすという。

自民党などから上がっていた「水際緩和」を求める声に、岸田首相が「聞
く力」を発揮した結果だろうが、これにも疑問の声がある。

本コラムでも再三書いてきたが、国民の経済活動を制限しておきながら、
外国からの「人流」は真っ先に緩和するというチグハグさ、である。

岸田首相におかれては、「聞く力」行使の際、ぜひとも「優先順位をつけ
る力」をも重視していただきたい。さもなければ万事、誤ったメッセージ
を送ることになるからである。


有本香
ジャーナリスト
著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の
真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本
史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  松本市 久保田 康文 

夕刊フジ【zakzak】ニュース採録


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◆イラン、秘密の核開発施設

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)2月17日(木曜日)
     通巻7222号
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イラン、秘密の核開発施設を山の中に建設中
   イスラエルのメディアが報じた中味とは?
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 エルサレムポスト(2022年2月16日)がすっぱ抜いた。
「イランはイスラエルからの空爆を避けるために、新しい核施設をナタン
ズの地下深くに造成している」と報じた

 国際政治の舞台では、イスラエルの空爆は「イラン核合意」交渉の決裂
をもって実施されるだろうとしており、また中東諸国にとってもイランの
脅威を排除するイラスエルの軍事行動に反対は起きないだろうと観測され
ている。

 ナタンズの秘密核施設は山中から地下深くに建設中で、イスラエル軍機
の空爆で破壊は不可能という。
中国の核ミサイル基地のように山の中に無数のトンネルがあちこちをつな
いでいるらしい。ミサイル発射も中国軍の場合はトンネルからのレイルガ
ン方式が想定されている。
 モサドは2020年7月と2021年4月にニケ所の核施設疑惑の建物などを爆破
したと推測されているが(小誌既報)、新施設はその地域に近い地下施設だ。
 
 この「ナタンズ・トンネル核複合施設」が建設されている山は「クー・
エ・カラン・ガス・ラ」(海抜1608メートル)。また遠心分離施設が建設
されている山は「クウエ・ダグ・グーイ」(海抜960メートル)。

 現在欧米とイランの交渉がつづく「イラン核合意part2」は、この
新設箇所を協議の対象とはしていない。どうみても、この巨大地下施設と
トンネルは核開発計画の一環で、イラン雄機密プロジェクトだと考えられる。
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評  BOOKREVIEW 
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 近世ヨーロッパ人が日本と中国を観察して「黄色人種」を造語した
   彼らは日本文明、文化を如何に見たか、どのように評価したか

  ♪
ロテム・コーネル著、滝川義人訳
『白から黄色へ  ヨーロッパ人の人種思想から見た日本人の発見』(明
石書店)
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 支倉常長遣欧使節団はフィリピンからメキシコへわたり、船を乗り換え
てキューバ経由でスペインへ渡った。1613年に出航、1620年に帰
国したときは切支丹伴天連が禁止されており、いかに伊達政宗と徳川家康
との間に密約があったとはいえ、すでに家康もこの世の人ではなかった。
支倉は失意のなかに没した。
 当時、日本使節を迎えて、ヨーロッパ人が受けた衝撃が、絵画としてク
イリナーレ宮殿(ローマ)に残る。
この絵は支倉らが欧州に滞在中に描かれたと推定され、1616年にアゴ
スティーノ・タッシが描いた。支倉とソテロが向かい合い、同行した日本
人の四人が後列に配されている。いずれも色浅黒く、はでな服装で、ちょ
んまげをしておらず、支倉の右手薬指には指輪がある。どの人物も目と鼻
が大きい。この珍しい絵画が本書のカバー表紙だ。
 黄色人種という概念は近代に創られた。宣教師や江戸時代に唯一の貿易
相手国だったオランダ人が遺した文書を基礎的資料として駆使し、緻密に
時代背景を検証した労作である。
 近世ヨーロッパ人が日本と中国を観察して「黄色人種」を造語したの
だ。そして宣教師や船乗りや商人等は、日本文明、文化を如何に見たか、
どのように評価したかを検証した大著。浩瀚776ぺージ。
 著者のコーネル氏は日本近代史を専門とするハイファ大学教授。筑波大
学で六年間、研究生活をおくった履歴からも、珍しい資料の発見、その解
析に新しい視点がある。翻訳はベテランの滝川義人氏だ。
 「アジアとくに中国に関する中世ヨーロッパの見解は、まず一人の人物
によって変容する。その人物とは、ジンギス・カン(チンギス・ハーン、
1162頃
─1227年)、十三世紀初期ユーラシアにまたがる世界史上最大の帝国
を築いた男である。モンゴルの征服者がヨーロッパに到達したという第一
報が届くと、キリスト教徒は大いに興奮し、非常な期待感を抱いた。これ
で、ムスリム世界に対するキリスト教徒の究極の勝利が、達成されると考
えたのである。モンゴルは、十字軍が足下にも及ばぬやり方で、確かにム
スリムを撃破した。しかし、モンゴルの大集団がヨーロッパに侵攻すると
途端に残虐行為の報告が拡がり始めた。バラ色に期待は忽ち恐怖に変わっ
た」(62p)

 それから二世紀後。使命感に燃えて、日本に辿り着いたイエズス会の宣
教師らは多くの紀行、報告書を遺した。
 「日本人については、外部の強制に見事に抵抗し、ヨーロッパが軍事上
経済上拡大を続けた数世紀間、国の独立を守り通したことほど、国の力を
証明するものはない。(中略)日本の文明を比較的無償な状態に保つこと
を可能にしたうえ、他者による人的資源と天然資源の搾取から、守ること
ができた」
 アジアは植民地化されたが、例外が日本だった。

 「日本人は、強まるヨーロッパのヘゲモニーに挑戦し、かえって尊敬さ
れた」 
就中、彼らは日本人の礼儀作法に注目したが、これは内省的判断にもとつ
いた特性と言える。
 「日常の会話上のマナー、潔癖、衣服の着用、食事の作法を含む場合が
多い。物質文化の点では、居住、家畜類の利用、食糧の入手可能性が含ま
れる。文化と教育の状況では、音楽上の達成、識字能力、教育能力、仕
事、紀律がある。文明評価上、宗教も重要な役割を果たした。とくに一神
教と聖典の存在、礼拝の洗練度、経験は聖職者の存在が重視された。おな
じように重要視されたのが、技術力である」
 結論的に「日本人は力があり、独立した存在である」(47p)
 セイリスという人物は日本に滞在中に?川秀忠に謁見を許され、隠居し
ていた徳川家康とも二回面談した貴重な体験をしている。ベラスコなる人
物も秀忠と家康に謁見を許され、衣服、武器、髪型などを鮮明に報告して
いる。いすれもが日本人は身なりがよく清潔だったという強い印象を持
ち、とくに日本人が重視した起源と血統に大いなる興味を示した。

 秀吉の二度に亘る朝鮮半島への出兵を彼らはどう書いたか
 「秀吉率いる日本は、1588年頃には中国出兵寸前にあったようであ
る。その中国攻撃計画は、二度に及ぶ朝鮮出兵のため無しになった。しか
し、その出兵は、少なくとも当面は日本の優れた軍事能力を示すことにな
る。日本の軍勢は朝鮮半島のほぼ全域を制圧し、明朝はその軍勢の進撃を
阻止するため大軍を派遣し全力をあげて対処せざるを得なくなる。(中
略)日本人の戦闘能力は、第一に個人レベルで顕著であった。中国人には
殆ど見られない特徴である」と鋭い観察眼を示した。
 宣教師ヴァリニャーノは「日本人はこれまで世界で発見されて集団で、
最も尚武の気風に富み戦闘的人種であると付記した」(151p)
 もし、彼らが生きていたら、いまの日本の尚武の精神の欠如をいかに観
察しただろうか、それも興味がある。
          
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 ★読者の声  どくしゃのこえ  READERS‘ OPINIONS 
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  ♪
(読者の声1) 今朝の日経朝刊外報面に「シンガポール陥落80周年」「日
本占領下の記憶伝承」との見出しで、「父親とおじが日本軍に殺され」た
とかいう老人のコメントが載っていましたが、実際のところはどうだった
のでしょうか?
 南京「虐殺」は完全に作り話だったことがいまや明白になったので、ど
こへ行っても自信をもって否定できるのですが、シンガポールの真相につ
いてどなたかご教示頂ければ幸甚です。(YE生、東京都

 ♪
(読者の声2)1960年、1990年, 2020年の60年間の「世界の貿易」の推
移を、30年毎に示した3枚の図表が下記に見られる。
「貴国の最大の貿易(輸出入)相手国は?」と言う問いに、一つの答えが
得られる。例えば、日本の場合には、米国、米国、支那、となる。2位、
3位、以下の国は無視される、乱暴な資料の取り方ではあるが、端的に大
きな傾向を残酷に示している。
 1960年では、米国は文字通り世界の覇者であり、英国、ドイツ、フラン
スもそれぞれの軸になっている。ソ連は僅かに数カ国と関係している。支
那は、この定義によると、まだ存在していない。
戦後、西欧の勝利国は、巨大な中産階級を生み出し、テレビ、車などを大
量生産した。
1990年になると、欧州が成長し、米国は相対的に減り、日本が米国に寄り
添って伸びている。支那も出現し10カ国ほどとの関係を持つ。
30年後の2020年になると、信じ難いほどの激変が現れる。完全に支那が世
界の中心になり、米国はその一部として付属している。欧州も縮んでい
る。日本の地位は、単に支那の貿易国の一つ、として記されている。これ
ほど明確な支那の台頭を示すものは見たこともない。
 「百聞は一見にしかず」とりあえず、下記をご覧ください。いかに世界
が支那と深く関わっているか、依存しているか、一眼で理解し、「グロー
バル化」とは支那が世界を制覇する手段だった、と遅ればせながら悔やま
れる。
https://www.visualcapitalist.com/cp/biggest-trade-partner-of-each-country-1960-2020/
 
これからの自由民主的陣営の至難とは、如何にして自己を傷つけずに関係
を断つか、という「離婚条件の交渉と対策」になる。
選択肢はなく、横暴な亭主の奴隷になり、臓器を取られるのを甘受する
か。この世には、「駆け込み寺」にあたる便利な保護施設はない。「内向
性」が進む米国も、たとえ寅さんが再起しても、あまり頼りにならない、
だろう。
30年後の2050年の図表を決める任務が、米大統領、日本の総理、政治家、
企業家などに与えられている。国民にできることは、不便でも支那製品を
不買。支那の家来になった企業の製品を不買。親中・媚中の議員を排除。
反中の国と仲良くする。パンダを見に行かない。
そして、国防、食糧、エネルギー、などの必須条件を早急に国内で確保する。

 (追記)テスラの回収(リコール)について。出る釘は常に攻撃され
る。あらゆる機会を捉えて政府機関はイチャモンをつけるが、既存の自動
車産業からの要望による、らしい。
十字路で、一時停止は交通法の規則であるが、人は左右を見て安全を確保
し、車が来なければ完全に止まらずに、進行するのが黙認されている。テ
スラのAIも、同様に8の眼球で全方向を観察し、安全と判断すれば、低速
で進行するように仕組んである。これに対して、「完全に停止していな
い、故に改善せよ」という政府からの命令を受けた。
法的には「リコール」と言う言葉しか存在しないので、「物理的に車を回
収」する、修理する、莫大な費用がかかる、はずだ、という印象・認識に
なり、テスラの被害も大きいに違いない、と推測され、信用を落とす。し
かしこの改修はAIのプログラムを改善(事実上、改悪)することで解決し
てしまう。
つまり深夜、自宅のガレージでテスラが安らかにお休みになっている間に
ネットで電子的に成され、朝起きると治っている。そのような改善は随時
行われている。新しい機能が加えられたりする。
持ち主は、「改善されて」十字路で完全に止まってしまう無駄を喜んでは
いない。膨大な弁護士が常にネタを探しているので、民間企業の落ち度
は、たちまち裁判所で罰せられる。政府の介入、指導、命令の95%以上は
不必要か無駄か害をもたらす。みんな知っているが、政府は常に肥大化し
民間を虐める。
(在米のKM生)

2022年02月21日

◆国会での誹謗中傷は免責か

【阿比留瑠比の極言御免】 

 マスコミはあまり取り上げていないが、15日の衆院予算委員会中央公聴
会は、「国会議員による国会での誹謗(ひぼう)中傷」問題が正面から提起
された大きな意義のあるものだった。国会質疑の在り方、ひいては「国会
での演説、討論、表決は国会外で責任を問われない」と定めた憲法51条の
規定が問われたのである。


誤報確認せず発言

 政策シンクタンク「政策工房」社長で、政府の国家戦略特区ワーキング
グループ座長代理の原英史氏が公述人として取り上げた。毎日新聞の誤報
記事を事実確認もせずに引用・拡散し、訂正もできない国会の現状を証言
したのだった。

 毎日は令和元年6月、原氏の顔写真付きで「特区提案者から指導料」
「200万円、会食も」と報じた。原氏が即日、「こうした事実は一切な
い」と反論したにもかかわらず、その2日後には野党が「国家戦略特区利
権隠蔽(いんぺい)疑惑 野党合同ヒアリング」を立ち上げ、10月までに10
回以上のヒアリングをマスコミに公開して開催したと説明した。

 また、この件について立憲民主党の篠原孝衆院議員がブログで、原氏ら
を誹謗中傷したことは裁判で篠原氏に賠償命令が下され決着したことを指
摘した。その上で、同党の森裕子参院議員が参院予算委で次のように述べ
たことは、「国会発言は(憲法の)免責特権で争えない」と語った。

 「(原さんが)国家公務員だったら、あっせん収賄罪で刑罰受けるんで
すよ」

 原氏は事実に基づく国会質疑を求め、免責特権自体は必要な制度だとの
認識を示した上で、「憲法改正を含め免責特権の乱用の扱いについて国会
で議論が必要ではないか」と訴えた。

 この点は従来の改憲論議ではほとんど取り上げられてこなかったが、悪
口や嫌がらせが目的のような国会質問が少なくないことを思うと、重要な
視点だろう。

 原氏は、森氏のこの発言が国会議事録にそのまま掲載されていることに
ついて「私にとって大変不名誉なことだ」と述べ、続けた。

 「ネットメディアだったらただちに削除を求めるが、削除しようにも国
会にはそんな窓口はない。国会議事録はネットメディアよりはるかにひど
く、デマを無責任に垂れ流す三流ゴシップメディア並みだ。数十年たって
私の子や孫が、議事録に私の名前を見つけたらどう思うか」


特権意識むき出しに

 恥ずかしながら、この点に気付いておらず、はっとした。仕事上、普段
から過去の国会議事録を引用する立場として考えさせられる。100年後
までデマが公式記録として残されては、誰だってたまるまい」

 ところが、原氏の真摯(しんし)で切実な問いかけに対し、質問に立った
共産党の宮本徹氏はこう言い放った。

 「自ら抱える案件について私的な反論をとうとうと述べた。予算委公聴
会にふさわしいか甚だ疑問だ」

 原氏による公聴会終了後、宮本氏が近寄ってきてさらにこう話したという。

 「予算委というのは予算の議論をするところだ」

 あきれた原氏は「みんな(予算以外の質問を)している。そもそも私は
参院予算委で誹謗中傷されたのだが」と答えた。その後筆者の取材にこう
語った。

 「そんなことを言うのなら、二度と予算委で予算以外のことを政府に聞
くなということになる」

 原氏は公述人として、野党合同ヒアリングを開いた政党側にも責任ある
対応を要請していた。宮本氏のように特権意識むき出しに拒絶するのでは
なく、きちんと問題意識を持って向き合ってもらいたい。

(産経新聞論説委員兼政治部編集委員)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  松本市 久保田 康文 
      産経新聞採録


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◆雀庵の「開戦前夜/23習近平の擬態に騙されるな」
“シーチン”修一 2.0

【Anne G. of Red Gables/432 2022/2/19/土】ええいっ、控えおろ
う、このお方をなんと心得る、天下の皇帝、習近平様なるぞ! 御政道に
異議を唱えるは許されざる大逆、罪九族に及ぶを承知の上の法度破り、臓
器切り取りの上、見せしめにすべし!・・・実際「人体の不思議展」とい
うのもあった。

<「人体標本展を中止、拷問死した中国人の可能性」【2018/10/17
AFP】スイスのローザンヌで予定されていた人体標本などの展覧会で、中
国で拷問され処刑された受刑者らの遺体が含まれている可能性があるとし
て、同市当局は16日、展覧会を中止する決定を下した。キリスト教団体
「拷問に反対するキリスト教徒行動(ACAT)」から苦情の申し立てがあっ
たことを明らかにした。

ACATは「同展で出展されている人体標本は、中国国内で非合法化されて
いる気功集団、法輪功のメンバーで拷問死した人々のものである可能性が
高い」と発表した>

支那には焚書坑儒の大昔から「人権意識」がない。支那人が言論・思想
の自由をほとんど理解できないのは、上からの指示、命令、圧力を面従腹
背で適当にやり過ごす処世術が身についており、そもそも「自由」の必要
性を痛切に感じないのではないか。

習近平ら中共為政者は、邪魔者は殺処分したり廃人にする。立派な法律
はあっても、立法・行政・司法の三権分立の上に、それを統治する共産党
が君臨しているから「ただの紙っ切れ」に過ぎない。人民だろうが外国人
だろうが、為政者は絶対的な生殺与奪の権力を握っているから好きなよう
に処分できる。「中国のウイグル族弾圧は『地獄のような光景』=アムネ
スティ報告書」BBC 2021/6/11から。

<アムネスティは、新疆地区で収容所に入れられた人が「止まることの
ない洗脳と、身体的かつ心理的拷問を受けているとみられる」と報告した。

拷問の方法は「殴打、電気ショック、負荷が強い姿勢を取らせる、違法
な身体拘束(タイガーチェアと呼ばれる鉄製のいすに座らせ手足をロック
して動けなくするなど)、睡眠妨害、身体を壁のフックにかける、極めて
低温の環境に置く、独房に入れる」などがあるという。


タイガーチェアを使った拷問は、数時間〜数日にわたることもあり、その
様子を強制的に見せられたと証言した人もいたという>

14億の巨大な国家でも「井の中の蛙 大海を知らず」、自国の異常さが
分からないどころか「正義」だと思っているから暴走する一方だ。ラー
ジャオ(中国人風刺漫画家)とトウガラシ(コラムニスト)の「中国女性
の価値は『カエル20匹』と同等? 女性誘拐が続発する残酷すぎる実状」
ニューズウィーク 2022/2/16から。


<2022年の春節、中国では官製メディアが盛大な「北京冬季五輪」の開幕
式を伝える一方で、江蘇省徐州市の村で小屋に監禁されていた女性の映像
がネットで炎上した。女性は冬の寒さの中、薄着で首に鎖を巻かれてゴミ
だらけの小屋に閉じ込められていた。彼女は来歴も名前も不明。20年以上
前から監禁され、8人の子供を産まされた。誘拐されたのではないかと疑
われている。

中国には女性誘拐の伝統がある。そしてそれは貧しい農村部であればあ
るほど多発する。農民たちは跡継ぎを残すため、一生分の貯金を使って人
さらいから女性を買い取る。誘拐された女性の中には未成年もいるし、大
都会の女子大学生もいる。かつて上海の女子大学院生が社会調査をしてい
た時に誘拐され、2480元(約4万5000円)で農民に売られたこともある。

1989年に出版されたノンフィクションによると、86〜89年の3年間だけ
で、徐州に誘拐された女性は4万8100人以上。「法制日報」も2014年の1年
間だけで、誘拐された後、救助された女性は中国全土で3万人以上いたと
報じている。

旧態依然とした意識だけでなく、法の不備も原因だ。希少動物の違法売
買に対する刑罰は、例えばパンダは懲役10年以上、インコは5年以下、20
匹のヒキガエルの場合は3年以下。女性誘拐の罪は20匹のヒキガエルと同
じだ。

地方政府の不作為もある。今回の徐州で起きた女性監禁事件について、
地元政府は今も「合法的な婚姻だ」「違法性はない」と公言している>

ひどい話だが、こんな報道をされても習近平一派には「蛙の面に○○」、
ひたすらしらばっくれているが、時々「困った時は相見互い、古い友人を
助けるのは当然です」などという“素振り”を見せ、無知蒙昧なパンダハ
ガーをくすぐったりする。実に老獪だ。石平氏「北京大報告書に見る米中
格差」産経2022/2/17から。

<1月31日、北京大学国際戦略研究院は自らの公式サイトで「技術領域
における米中競争、分析と展望」と題する報告書を発表した。IT技術、AI
技術、宇宙開発、航空技術などの先端技術諸領域における米中競争と米中
デカップリング(切り離し)の現状を分析し、今後の趨勢を展望したもの
である。

報告書はまず、上述の諸領域における米中の技術レベルの現状を概観
し、全体的に見れば米国の先端技術が世界をリードしており、多くの領域
において、中国よりかなり進んでいる、との結論を出している。

こうした上で報告書は、中国の先端技術はごく限られた一部の領域で先
頭を走るケースもあるが、大半の領域ではアメリカより立ち遅れており、
全く空白の領域もあると素直に認めている。米中デカップリングは双方に
損失を与えているが、中国が蒙った損失の方が遥かに大きいと指摘する。

先端技術領域における中国からの人材流出の問題を取り上げ、中国人エ
リート技術者や留学生の大半が生活の場、安住の地として本国ではなくア
メリカを選んでいることに注目しているのも実に興味深い。これについて
報告書は一切立ち入らないが、政治的に微妙な問題であるゆえに避けてい
るのだろう。よく考えてみれば、この「不思議な現象」の背後には、技術
領域を超えた、米中の国家間の「全体的格差」があるのではないか。

米中のどちらが個人の自由や権利が保護されているか。どちらにより健
全な政治制度と社会制度と教育制度があるのか。自分と子供の将来を考え
る時、米中のどちらを選ぶのか。答えはほぼ決まっている。

米国が中国より優れているのは先端技術だけではない。国家全体の文明
度における米中の格差は余りにも大きい。自国のエリートたちからも敬遠
される中国は永遠にアメリカに勝つことができないのではないか>

「北京大報告書」はなぜ北京冬季五輪で習近平・中共が浮かれている時
に公開されたのか。習近平に「俺に逆らうな」と恫喝され、首根っこを掴
まれキン〇マを握られた社会科学院の学者が書いたのだろうが、普通なら
習近平・中共は公開を許すはずはない。

この論稿はアンチ習近平の江沢民派か李克強の共青団派が創ったのか、
あるいは習近平派が、毛沢東の政敵浮かび上がらせ策「百花斉放」の罠に
倣ったのか、いずれかだろう。やはり毛沢東崇拝の激しい習近平の「文革
2.0」の一つと考えるべきではないか。即ち、政敵を浮かび上がらせ、叩
き潰すのが狙いだろう。NEWSポストセブン2022/2/11も上記の「北京大報
告書」を論評しているが、しっかり警戒している。

<「北京大学が米中の先端技術開発競争を評価 米中対立で中国は不利
に」:この研究報告は「中国が今後『技術立国』から『技術大国』になる
には、まだまだ長い道のりを歩まなければならない。その点、 米国は依
然として技術力において世界をリードしている」と結論付けている。

米国ではトランプ政権時代、ペンス副大統領が「近い将来、中国が経済
力や技術力などで米国を上回り、経済安全保障上、大きな脅威となる」な
どと見方を明らかにしていたが、北京大学の研究報告はこれとは全く逆だ
けに、ネット上では「米国内での『中国は脅威』とする見方を否定しよう
との策略の一環」との指摘も出ている>

竹内久美子先生著「ウエストがくびれた女は、男心をお見通し」、櫻井
よしこ先生も絶賛したタイトルだが、「猫なで声で鳴いたところで、戦狼
の狙いはお見通し」、擬態に騙されることなく習近平一派を駆除すべし。
ダーティペアのプーチンも大人しくなるか?




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◆もしウクライナが加盟すれば

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)2月16日(水曜日)
     通巻7221号
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 ウクライナ危機の基本問題はNATOにあり。
  もしウクライナが加盟すれば、攻撃を受けるとNATOは出撃義務を負う
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 クレムリン宮殿へ足を運んだのは英、仏、独などNATOの主要国の首
脳たち。焦燥を滲ませるのは国境が近いか、隣接しているバルト三国、
ポーランド、ドイツ、ルーマニア。距離が離れていて緊張感に温度差があ
るのはブルガリア以西、とくに南欧のポルトガルとかスロベニアあたりは
予想されるウクライナの戦場が遠いこともあって、対岸の火事視だ。

 そもそもロシアがなぜかくも強硬なのかといえば、冷戦終結とソ連崩壊
のどさくさに、電光石火のごとく旧東欧諸国がNATOに加わったこと
で、最後の加盟は北マケドニアだった。(未加盟はスウェーデン、フィン
ランド、そしてスイス)。
 「これ以上増やさないとして約束を裏切ったのは西側だ」というのが
プーチン大統領の論理である。

 ざっとNATOの歴史を振り返ると、そもそもの設立動機はソ連の脅威
に対しての共同防衛を目指す集団保障体制の構築であり、創立メンバーは
米・英主導のもとに、ベルギー、カナダ、デンマーク、イタリア、フラン
ス、アイスランド、ルクセンブルグ、オランダ、ノルウェイ、ポルトガル
だった。ドイツが加わったのはベルリン危機以後である。

 1950年から1990年までに追加で加わったのはギリシア、トル
コ、西ドイツ、スペイン。そしてソ連崩壊後、2000年までにNATO
のメンバー入りしたのはチェコ、ハンガリー、ポーランドという強烈な反
ソ意識の国々であり、この列に現在までに旧東欧諸国が仲間入りする。具
体的にはブルガリア、ルーマニア、バルト三国(エストニア、ラトビア、
リトアニア)、スロバキア、クロアチア、アルバニア、スロベニア、モン
テネグロ。そして直近の加盟はギリシアと国名で揉めていた「北マケドニ
ア」である。

 問題はNATOは条約という堅い制限、規約が付帯していることである。
「もし加盟国のひとつでも、敵に攻撃された場合、すべての加盟国は防衛
義務を負う」とする第五条である。

 現段階では、NATO加盟国ではないウクライナが攻撃を受けても、
NATOは軍事的反撃には移行できない。辛うじて英米独が武器援助をお
こなった。
 

 ▼ウクライナはNATOの「パートナー」として扱われている

 NATOは加盟を希望していても、条件が満たせないとして「パート
ナー」と扱っているのがウクライナ、グルジア(ジョージア)、そしてボ
スニア&ヘツェゴビナである。旧ユーゴスラビア連邦でNATOに背を承
けているのはセルビア、孤立しているコソボ(コソ場は国家とは言えず防
衛はNATO軍がしている)。

 西側との協議を継続するため、ロシア軍は一部の軍を「演習が終わっ
た」として撤収を始めたが、「近くへ移動しただけで、撤収ではない」と
噛みついているのが英国(『ザ・タイムズ』、2月15日)。

 主要国は大使館員を引き揚げさせ、キエフの米国大使館ははるか西方の
街へ『移転』した。大使館がからになれば外交機能はとまり、首脳会談は
電話となった。緩和方向に傾いたとしてウォール街も兜町も株価が反発し
ているが、緊張が去ったとは、とても言えないだろう。
     
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 ★読者の声  どくしゃのこえ  READERS‘ OPINIONS 
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  ♪
(読者の声1) 前回の投稿でカタールの天然ガスの話題がありました。日
本は福島第一原発の事故から火力発電用の天然ガス輸入が急増。しかもか
なり割高な価格設定がされていた。日本は天然ガス輸入量の39%がオース
トラリア、次いでマレーシア14%、カタールが11%(2020年)。
http://www.garbagenews.net/archives/1966675.html
http://www.garbagenews.net/archives/1967830.html
 近年は米国からの輸入も増え、価格や産地での紛争などいろいろ考慮す
べきことも多いのでしょう。天然ガスの輸入量ではドイツと日本が横並
び。ドイツはロシア・ノルウェーからのパイプライン、日本はLNGです
が、昨年度は中国のLNG輸入量が日本を上回ったという。
 日本で原発が再開されるなら天然ガス輸入は減少するはずで、2017年の
記事でも「中部電力は豪州や米国から十分な供給を受ける契約をしてお
り、カタールからの供給がなくてもやっていける」とあります。
https://jp.reuters.com/article/qatar-japan-lng-idJPKBN18R03L
 世界のエネルギー需給に関するレポートとして独立行政法人によるもの
があります。
【原油市場他: ウクライナを巡る西側諸国等とロシアとの対立の高まり
の、エネルギー供給への影響に対する懸念から上昇する原油価格 】
https://oilgas-info.jogmec.go.jp/info_reports/1009226/1009269.html
 寒波や事故ひとつで価格が変動する業界なので高く売れるときは高く売
りたいのが資源国の本音でしょう。
  (PB生、千葉)



   ♪
(読者の声2)「ウクライナ問題」の日本への衝撃
1.ウクライナ問題はプーチンの個人問題
 いよいよロシアの侵略必至とみられていますが、この目的は高齢のプー
チンの個人独裁のあがきであり、ロシア国民の自衛ではありません。プー
チンは退任後の国民の処罰を恐れているのでしょう。これと同時に世界に
大きな衝撃を与えました。パクスアメリカーナが終ったからです。
 2.日本への教訓
 この紛争の教訓は、自国は自国民でしか守れないという古来の大原則の
確認です。米国はウクライナの保全を約束するブダペスト合意を米英露で
とりまとめましたが、当事者の露が破ってウクライナを侵略しても止めら
れませんでした。今回もバイデンはウクライナを武力では守らないと言明
しています。
これでは米国の保護を前提にしていた各国の国防戦略は否定され自力防衛
に戻らざるを得ません。すなわち核自衛です。幸い現代の核ミサイルは戦
争抑止力があるので小国でも独立を守れます。実際ウクライナが核兵器を
温存していればこのような事件は起きなかった。ウクライナ国民は米英露
のブダペスト合意に騙されたのです。
 3.日本の進路
 これで日本は他国依存の占領憲法では国民を守れないことが明らかにな
りました。目を覚ましましょう。
「日本人が戦争を忘れても戦争は日本人を忘れない」これはトロッキーの
言葉のもじりですが、まさにあてはまります。世界は第二次大戦前と同じ
で弱肉強食のままだったのです。日本は中朝露という核大国に三方を包囲
されているのです。そこで日本政府は大至急米国と協議して中距離ミサイ
ルを配備し、なるべく早く核ミサイル搭載潜水艦隊を建設しなければなり
ません。
米国も日本の核自衛が米国の極東の負担を減らすので歓迎です。これは戦
後の日本社会の大変革を意味します。
国防を始め多くの政策は戦前の独立国時代に戻す必要があるでしょう。日
本人は戦後の長い虚構の夢から覚める時が来ました。
(落合道夫)


(宮崎正弘のコメント)夢から覚めたくない人々がまだ多数派だと思いま
すが(苦笑)。



  ♪
(読者の声3)韓国関連の話題は結論がきまっているからブログもニュー
スもほとんど見なくなった。それでも大統領選で「呪いの藁人形」という
のはいかにも韓国らしい。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0eb3e72cdcce365a46a10a33c1d56c77da9c72e2
しかし肝心の藁人形の写真がないので調べたら韓国語のサイトにあった。
https://news.v.daum.net/v/20220214163335030
 なんともお粗末な代物で劣化コピーしかできない民族といわれるのがよ
くわかる。
 旧正月のお祝いでは独島の間に太陽という図柄のギフトを送り、日本大
使はじめ日本メディアの特派員も受取拒否。朴槿恵大統領のときは朝日新
聞の特派員がうれしそうに自慢していた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0962adcfc7119c1a70fa88a37364a77852c20bd5

 竹島(独島)の真ん中に太陽というのは地理的にありえない上におどろお
どろしい色合いが闇落ちしている韓国らしい。
しかも図柄が伊勢の夫婦岩の朝日の丸パクリ。かつてテレビで人気だった
霊能者の宜保愛子など韓国を地獄の入口といっていたという。
 日韓外交では韓国語に堪能な道上尚史氏はドバイ総領事、釜山総領事、
日中韓三国協力事務局長を経てミクロネシア連邦大使という韓国とはまる
で縁のない地域にいった。朴槿恵大統領時代にスクープを連発した朝日の
牧野愛博記者は本社の論説委員に呼び戻されたが最近は外交専門記者とし
て軍事関連の記事も多い。
 非韓三原則の古田博司教授はヘビースモーカーで禁煙ファシズム批判も
していたが、現在は肺がんで静養中。2015年のJB press の記事は今も公
開されているので必読。
【古田博司氏に聞く「東アジア3カ国との付き合い方」】
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43424
  (PB生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)是非とも拙著(宮崎正弘v室谷克実『なぜ韓国人
は国を捨てるのか』(ビジネス社、1540円)をお読みいただきたく。

   ♪
(読者の声4)2月13日(日曜日)は多くの米国人にとって年に一度の
アメフトの祭典である。そのテレビ中継中の宣伝費は30秒で7億円と最高
額である。
特筆すべきは、内外の自動車会社が競ってEV電気自動車の宣伝をしたこと
にある。現在全米の2.50億台のうちEV車は1%にも達していない。99%を
捨て、未来をEVに賭ける、と、この晴れの場で宣言したわけになる。
つい最近までこれらの会社は公然とEVをバカにし、鼻であしらっていた。
この豹変ぶりの視聴者への影響とは(1)時代が大きく変わる。(2)テ
スラは正しかった。(3)もうガソリン車の時代が消える。そして、これ
を見て悟った客は、次に買う時にガソリン車を躊躇う事になる。つまり、
全ての従来の車会社の売上がかなり落ちることになる。
2008年の不況で既に破産し、政府の援助で辛うじて生き延びてきた、莫大
な負債を抱えた米国自動車産業は、この華やかで高価なテレビ宣伝で、自
己の崩壊を加速させたことになる。
ちなみにテスラは誕生以来、1ドルの宣伝費も使っていない。全て客の口
コミとタダの報道による。かつて1970年代にバカにされていたトヨタやホ
ンダも、高品質で安ければ、かつての敵国・日本製でも米国市場を制覇した。
ましてテスラは純粋に米国産。アップル社を超えて世界最大の会社になる
と予想する投資家も多い。私見によれば、それは過小評価。
(在米のKM生)

2022年02月20日

◆ヒラリーのスパイゲート事件

Andy Chang

AC 論説No.883
先週2月11日にトランプのロシアゲートでっち上げ事件を調査していた
John Durham特別顧問が連邦法廷に提出した報告(ダーハムレポート)で
ヒラリーがトランプのロシアゲート調査の資金提供者であり、ヒラリーの
選挙顧問だったMichael Sussmann弁護士がインタネットの専門家や会社を
雇ってトランプの「ロシアゲート物語」をでっち上げた。ヒラリーが落選
した後もトランプのホワイトハウスとニューヨークにあるトランプタワー
のサーバーがロシアの銀行と連携していたという「ロシアゲート物語」を
でっち上げ、更にその資料をFBIやCIAに渡して調査させたと発表した。

ヒラリーがトランプホワイトハウスをスパイしていたのが事実ならニクソ
ンのウォーターゲート事件よりはるかに厳重な犯罪事件だが、左翼メディ
アは今日まで関連情報を報道せず、日本のメディアも報道していない。
ダーハムレポートの発表から1週間経過し、フォックスニュースはじめ多
くの新聞社がスパイゲートの追加報道をして居る。かなり複雑で錯綜した
事件だが時間を追って説明する。

ダーハム(John Durham)特別顧問とは、マラー特別検察官がトランプ疑惑
を2年かけて調査したあと、「ロシア疑惑は民主党のでっち上げで、証拠
はなかった」と結論した後でバー(William Barr)司法長官が「誰がトラ
ンプ降ろしの嘘の情報をでっち上げたか、無期限、無制限の調査」をダー
ハム氏を特別顧問(Special Councel)として任命したのだった。

バイデンがイカサマ選挙で当選して政権を取ったあと民主党の司法部、
FBIやCIAは調査に協力せず、ダーハム特別顧問の調査は難航していた。し
かし去年になってダーハム特別顧問はヒラリーの選挙特別顧問だった
SussmannがPerkin Coie法律事務所との関係についてFBIに嘘をついたこと
を突き止めて彼を起訴したあと多くの人を極秘に喚問して新事実がどんど
ん出てきた。報道によるとダーハム特別顧問はすでに24人の大陪審予定者
をインタビューした。大陪審の結果次第でサスマン氏は起訴される。

ロシアゲートは2016年7月にヒラリーがコイ(Perkins Poie)法律事務所を
通じて元MI6諜報員がでっち上げた「スティール文書」をFBIを使って調
査を開始し、遂に国会がモラー特別検察官を任命してトランプとロシアの
関連を調査させた事件である。ダーハム特別顧問はヒラリーとPerkins
Coie法律事務所の関連を調べて居るうちにSussmannとPerkins Coieの関係
がわかって起訴に持ち込んだのである。

Sussmann(サスマン)はヒラリーの選挙事務所の特別相談役だったが、彼
はインターネットの専門家や会社、Mark Eiiasや、Rodney Jaffeyが社長
である「Tech Executive-1」(TE-1)と称する会社や大学の学者、その他
多数のハイテク人員を雇ってトランプのアラ探しをしていた。TE-1はイン
ターネットデータを収集したあと「トランプのロシア関連の物語」を作成
し、サスマンはこれらの陰謀操作に要した資金をヒラリーに請求していた
事実が確認された。

TE-1はトランプとロシアの関連を探すため、当初はニューヨークのトラン
プタワーとロシアのAlfa銀行がサーバーで連絡しているというガセネタを
デッチ上げた。ヒラリーの選挙事務所の主任だったJakeSullivan氏は2016
年10月31日に「トランプタワーのサーバーがAlfa Bankに通じてる」と発
表した。

サリバンは現在のバイデンホワイトハウスの国家安全保障顧問である。ヒ
ラリー陣営はこのガセネタをFBIとCIAに提供し、政府の調査機関を使って
トランプの疑惑調査を開始したのである。ヒラリーが落選したあとも彼女
の陣営はトランプ政権内の誰か(つまり内通者、名前は未発表)を使って
TE-1がホワイトハウスのコンピューターにアクセスすることができた、つ
まりヒラリーがホワイトハウスをスパイしていたことがわかったのである。

これに関連した報道によると、トランプ政権が発足する直前の2017年1月
5日に、FBIのコーメイ長官はオバマのホワイトハウスで多数の幕僚と秘
密会議を行い、会談の直後にトランプタワーに赴いてトランプ次期大統領
に事情報告を行ったという。報道によると秘密会議に参加した人員はホワ
イトハウスのオバマ、バイデン、ライス、サリーイェーツ、FBIのコーメ
イ、DNIのクラッパー長官などであると言う。

その後コーメイ長官はトランプに嘘をついていたことが発覚して免職処分
となった。ホワイトハウスの秘密会談はトランプを陥れるための会談だっ
たのだ。トランプ降ろしの陰謀に誰が関与していたのかは追々明らかにな
るだろう。政府の司法、調査機関などの他に国会でもトランプを弾劾した
議員の多くがトランプのロシア疑惑でっち上げの実情を知っているはずだ。

ヒラリーが出資してトランプのあら捜しからトランプタワー、ホワイトハ
ウスのスパイ、ロシア疑惑をでっち上げた上に、FBI、CIAを使ってトラン
プ降ろしの陰謀、マラー特別検察官の調査、さらにこれに飽きたらず国会
のペロシ議長などは強引にウクライナ疑惑をデッチあげてトランプを弾劾
した。2016年から最近に至るまでの反トランプ陰謀は数々の大きな台風を
巻き起こした。ダーハムレポートは最終報告でなくてこれから始まるアメ
リカの史上初の大台風の始まりで、ヒラリーが台風の目であると発表した
のである。

ヒラリーはトランプ降ろしの陰謀を企んだだけでなく、FBIやCIAの国家機
関を使ってトランプ疑惑を調査させ、更にホワイトハウスのデータをスパ
イしていたのである。これはこれまでになかった大犯罪である。ニクソン
のウォーターゲート事件とは比較にならないほど大規模な犯罪である。左
翼メディアはダーハムレポートの発表から1週間経っても沈黙しているが
事実は隠せない。

ウォーターゲート事件ではニクソンが辞職した以外に69人が起訴され28人
が有罪判決を受けた。スパイゲートでは数倍の人間が起訴されるはずだ。
バイデン大統領がスパイゲートに関与しているほかに、バイデン政権のサ
リバン、ブリンケン、ライス、オバマ、FBIのAndrew MacabeとAndrew
Wray、コーメイ、CIAのジョン・ブレナン、DNIのクラッパーなど、数えき
れないほどの政府の現役官僚や元長官が起訴されたらバイデン政権も民主
党もガタガタになってしまう。乞う御期待。


=======  AC 通信  =====   AC通信   =====
AC通信は転載自由です。
マグマグAC通信の登録は http://www.mag2.com/m/0001690065.html



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◆靖国神社ってなに?

和田 憲治

中島みゆきの歌じゃありませんが、
人生には縦の糸と横の糸があります。

靖国神社といえば、先人たちの
人生を考えざるをえません。

人生はなんのためにあるかというと、
他者を幸福にすることでしょう。
自分の命を大事にすれば幸せなんて、
先人たちの奮闘を考えれば間違いだとわかります。

力のある者が力のない者の面倒を見ることだったり、
普通に友人や家族でも助け合ったりすることでも、
他者を幸福にすることです。

一緒に働いている人や近所の人に、
幸せを感じてもらいたいというのも
他者を幸福にすることです。

身近な人でなくても、
働いている人は仕事を通して
その商品やサービスを使ってくれた人が
幸せを感じてくれているでしょう。
仕事を通して他者を幸福にしています。

これは同時代の繋がりで横の糸です。


縦の糸は、代々続いてきた、
時空を超えるものです。

私の祖父は大東亜戦争で戦いました。
命がけで戦った祖父ら男たちは、
家族や子孫のために戦いました。
家族含めた他者の幸福を守るためにです。

日本の戦線の最先端のニューギニアで
足を撃たれました。
太腿に銃弾が残ったままで、
取り除く手術もされずですが、
幸運にも運ばれ帰国できました。

命は助かりました。
戦死でないので、祖父の魂は靖国神社にはいません。
実家には墓があり、それを守るのが子孫の仕事です。
父が墓参りにうるさかったため、
今でも年に数度帰省し、墓参りをしています。
さらにここ数年は自宅の霊璽に、
ほぼ毎日の焼香をかかしません。
これは縦の糸です。

横の糸は同時代だからまだしも、
子供が生まれなかったり、孫ができないと、
この縦の糸は切れてしまいます。
そうなると祖父の事を語る人、
焼香する人はいなくなります。

靖国神社には、子孫を残すことができている人も
子孫を残すことができなかった人の
戦死者たちも多くいます。
それでもこの神社がある限り、
永遠に縦の糸が残っています。

最初に、力のある者が力のない者の面倒を見ること
とも書きましたが、
先祖供養、縦の糸を守るのは、生きている者の
やるべきことです。

横軸は、同時代に生きる者と助け合い、
縦軸は、先祖供養です。

明日、2月19日土曜、14時から
靖国神社で講演会があります。
高市早苗先生は、何を語るのか?


私は花田編集長の週刊誌欠席裁判の放送のあと、
編集長の取材について、現地で見学する予定です。

当日はコロナのため、
一般の会場見学はできないことになりましたが、
逆にラッキーにも
オンラインで無料で見ることができます。
ぜひ、みなさんも見て下さい。

https://www.youtube.com/watch?v=VplCspOvOAw

また、米中決戦については
奥山先生が、米中20年戦争に備えよ!
の音声講座のパート7をつくっています。

合わせて、政治家の米中戦争への
認識具合を考える目安にしていただければと思っています。
高市氏の靖国講演までは特別に
発売時につけたオマケの音声講座もつけます。
URLはこちら
http://www.realist.jp/usvschina7/


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◆米露中はいかに反応するか

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)2月15日(火曜日)弐
    通巻7220号
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 イスラエルがイラン核施設を空爆したと仮定して
  サウジ、イラン、湾岸諸国、そして米露中はいかに反応するか
*****************************

 世界のメディアはウクライナに注目している。
偵察衛星はロシア軍の動き、配置などを把握し、侵攻が近いと予測してい
るが、ウクライナ国内で侵攻するロシアのハイブリッド作戦は目に見えな
いから、報道がない。
すでにハッカー攻撃、フェイクニュースなどロシアのハイブリッド作戦は
進行中だ。

そのうえ、ロシアの第五列はすでに首都キエフや第二の都市=オデッサへ
潜入し、開戦となればインフラの破壊工作を始める。ガス、水道、電気の
インフラが止まれば、社会は痲痺する。

他方、ウィーンではイランとの核合意交渉が大詰めにきた
まもなく最終合意に到るという観測が欧州の外交筋であがっている。イス
ラエルは会議のゆくえを注視している。

 合意がなされた場合、イスラエルがイラン核施設を空爆するシナリオは
遠のくだろう。
しかし交渉が決裂すれば、イスラエルの空爆は可能性がたかまるし、イス
ラエル国防軍は「いつでも出撃できる態勢にある」としている。

 ウィキストラントというシミュレーション専門コンサルタントは、世界
13ヶ国、31人の専門家を集めて、オンライン会談を行い次のシナリオ
を提示した(エルサレムポスト、2022年2月14日)。

(1) 空爆が成功した場合、サウジアラビア、湾岸諸国はイスラエルと
の外交関係を強化する方向に歩むだろう。とくにサウジは国交回復も射程
にいれている。
また報復を考えるイランは北朝鮮のように秘密裡の核開発を潜行させるこ
とになるだろう。

(2)空爆が失敗に終わった場合、サウジアラビアなどはイスラエルとの
関係を冷却化させ、とくにサウジは独自の核武装計画を進めることになる
だろう。
 米国議会はイスラエル支援の立場を変えないがEU諸国は複雑に反応
し、またロシアはイスラエルとの軍事協力を強化する可能性がある。

 すでにサウジにもイスラエルにも武器を売買し、イランとも密接な軍事
協力をしてきした中国が、つぎにいかなる鵺的な行動にでるか。
     
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  ★読者の声  どくしゃのこえ  READERS‘ OPINIONS 
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  ♪
(読者の声1) 貴誌2月14日(PB生、千葉)さんの下記投稿についてお尋
ねしたく思います。
 アブダビ国営石油グループでは、日本の建国記念日に合わせて日本への
感謝のディスプレイを本社ビルで展示したとのことで、日本とのアラブ首
長国連邦との良好な関係が紹介されていました。またカタールの天然ガス
開発に日本企業が関わっていたと紹介されていますが、これに関して気に
なることがあります。
 カタールの天然ガス輸入を担うJERA(東電と中部電力の合弁会社)が、
昨年末期限を迎える同国との天然ガス輸入契約を延長しないとの報道があ
りました。長年の友好関係のある同国との契約を今バッサリ切るという判
断が、わが国のエネルギーの安定供給に反するのではないかと危惧しま
す。先生のご意見をいただけると幸いです。(堀弘)


(宮崎正弘のコメント)どなたか、詳しい読者がいたらご教示下さい。基
本的にガス輸入は将来需要を見込んでの長期契約ですから、日本の需要が
減る方向にあると判断すれば、距離の近いインドネシア、ブルネイからの
輸入で補えますし、シベリアからのガスパイプラインも繋がっていますの
で、あるいはカタール分は余剰になるのかも、いずれにしても専門筋の分
析を待つことにしましょう


(読者の声2)前号にて、貴著『日本が全体主義に陥る日』(ビジネス
社)からウクライナのオデッサ訪問記のダイジェストがありました。本箱
から、三年ほど前に購入した、この本を取り出して再読を始めました。
 昨夏には宮崎さんが高崎に講演に来られたので、聞きに行きました。お
もに台湾のお話をされていましたが、じつに台湾への百回も行かれたとか。
 旧ソ連30ヶ国をすべて取材されての集大成は写真も豊富で、そのうえ
冒頭4ページはカラー写真。これほど現地をまわって現場の雰囲気を追っ
たジャーナリストへ稀有のことと思います。いまウクライナ問題が騒がれ
ていますが、現場の報告からも、戦雲の雰囲気が伝わりました
   (FH生、高崎市)
   ♪
(読者の声3)故堺屋太一氏の「日本を創った十二人」に石田梅岩が入っ
ている。当時のバブルの絶頂期、元禄時代が崩れる頃に生まれ「石門心
学・せきもんしんがく」と言う「勤勉と倹約」を説く精神哲学を作り、近
年に至るまで日本人民の擬似宗教的な基盤を生み出した。
基本的に受動的で、苦しい環境・境遇を感受し、その中で勤勉により仕事
に人生の意義を見出そうという権力体制にとっては便利な精神論になっ
た。「清貧」とは、貧しくとも清く生きれば、正しい。
「足るを知る」とも言う。令和の日本にも使える標語。「百姓一揆」を防
げる。
 全世界の国別の「政府・役人の汚職度」の番付が10年ごとに発表され、
後進国が上位を占め、先進国は比較的に綺麗になっている。一位はデン
マーク、フィンランド、ニュージーランド、ノルウェー、シンガポール、
などが「清廉潔白」であり、日本は18位、米国は28位。10年前の番付に比
較すると、豪州、カナダが顕著に劣化している。おそらく中共の侵略によ
るのだろう。(かつてヴァンクーヴァーに住んでいたが、支那人の侵略は
凄まじかった。空港付近の街はほぼ完璧に占領された。)
 どの様な基準で評価されたのか分からないが、直接役人が賄賂を要求す
るのは簡単に調査できるが、間接的な汚染、例えば日本の文科省の大学な
どへの「天下り」などは隠された大きな賄賂である。
各省の民間企業への「指導・援助」なども莫大な被害を伴う賄賂に違いな
い。検察、裁判所の不正な判断・判決、なども賄賂の一部になる。警察が
巨大なパチンコ業界とも癒着している。
莫大な海外援助資金も政治家が賄賂を受けて成立している
こんな問題を含めると、日本の番付はもっと下がり、アフリカなどの後進
国並みになるのだろう。
役所に依存しているNHK,テレビ局などは、政府・役人の悪を報道しないか
ら、人民は知らない。
https://www.visualcapitalist.com/mapped-corruption-in-countries-around-the-world/
 鎖国とは、鏡の無い世界で、自分の顔が見えなければ、どんな自己評価
も可能になる。再び石門心学が再利用され、日本国家は高い品格を持ち、
貧しくとも清く正しい。人民どもよ、文句を言わずに勤勉に働け。無知と
幸せ、は表裏一体。つまり、NHK様は公共の精神的な福祉に貢献し、人民
の反乱も防いでいる。
でも、自殺も犯罪も増え続け、少子化も止まらない。
(在米のKM生)


(宮崎正弘のコメント)日本的な『プロテスタンティズムの倫理と資本主
義の精神』が石田梅岩ということになりますかね。マックス・ウェイバー
はドイツ人で、まさに宗教改革の論理の延長線にある思考でした。
 バンクーバーのチャイナタウン、旧チャイナタウン、そしてシナ人はい
まや高級住宅地に浸透しつつあります。バンクーバー市内中央の寿司屋さ
んは日本人経営だけど、持ち帰りの寿司チェーンは韓国系ですね。

  ♪
(読者の声4)明日(2月16日)、未来ネットの「宮崎正弘の生インタ
ビュー」は、ゲストに福山隆元陸将をお迎えし「インテリジャンスとは何
か」を話題とします。おりからウクライナでも前哨戦はハッカー攻撃です。
 2月16日 午後四時〜五時。ご期待下さい。
予約サイトは下記です。
at 10:09 | Comment(0) | Andy Chang

2022年02月19日

◆尖閣諸島問題にも影響

小川 和久

日本はロシアの現状変更の試みを糾弾せよ

ロシア軍によるウクライナ侵攻を回避するため、フランスやドイツが交渉
に当たる一方で、差し迫った状況を示す情報も飛び交っています。その中
の1つ、ロシア軍が輸血用血液などの医療物資を国境付近に移動との
ニュースについて2014年のクリミア併合時と比較し分析するのは、メルマ
ガ『NEWSを疑え!』を主宰する軍事アナリストの小川和久さん。ロシアの
圧力に、アメリカも自国民への退避勧告というカードで対抗し予断を許さ
ないとした上で、日本が示すべき態度についても言及しています。


軍事の最新情報から危機管理問題までを鋭く斬り込む、軍事アナリスト・
小川和久さん主宰のメルマガ『NEWSを疑え!』の詳細はコチラから


ロシア軍の輸血準備は情報戦か?
10日からロシア軍とベラルーシ軍の大規模な合同軍事演習が始まりまし
た。演習を装った動きがそのままウクライナへの越境攻撃につながらない
かと、緊張が高まっています。

そんなおりですから、気になるニュースをご紹介しておきます。1月28日
付のロイターによる配信ですが、地味なニュースなので話題にはならな
かったようです。

「ウクライナとの国境付近で軍を増強させているロシアが、戦闘で負傷者
が出た場合に備え、輸血用の血液を含む医療物資を国境沿いに移動させた
ことが、複数の米当局者の話で分かった。ロシアが侵攻の準備を進めてい
ることを示す重要な動きとして警戒されている。匿名を条件にロイターに
情報を提供した3人の米当局者のうち2人によると、輸血用血液がウクラ
イナとの国境沿いに運ばれたのはここ数週間のことだった。ただ3人と
も、米政府がこれを察知した時期については明らかにしなかった。米国防
総省は、ロシアが軍増強の一環として『医療支援』も国境沿いに配備して
いることはこれまでも察知していた」

「ただ専門家は、輸血用血液の準備はロシア軍の準備具合を推し量るに当
たり、重要な指標になると指摘。退役軍人で現在は欧州政策分析センター
に所属するベン・ホッジズ氏は『攻撃実施を保証するものではないが、輸
血用血液を準備せずに攻撃が行われることはない』としている。この件に
関してロシア国防省からコメントは得られていない。米国防総省はコメン
トを控えている」

これについては、専門家にとって忘れることができない出来事がありまし
た。ロシア軍は2014年2月26日、中央軍管区とウクライナ北東部と国境を
接している西部軍管区で15万人を動員した大規模な軍事演習を抜き打ちで
実施しました。ウクライナ侵攻の可能性も排除できず、関係各国は身構え
ましたが、やがてこの演習に野戦病院などを展開するための医療部隊が参
加していないことがわかり、ウクライナ侵攻はないと判断され、警戒を緩
めることになりました。

その隙を衝いたのがクリミア半島へのロシアのハイブリッド戦です。上記
の軍事演習と重なる2月27日、国籍不明の武装集団がクリミア半島の空港
と自治共和国の議会庁舎を占拠し、ウクライナ軍施設を包囲、ロシア系住
民の支持のもと、クリミア半島を無血併合してしまったのです。
        
   
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


◆22アジア版『反独裁連合帝国』で中露に備えよ

雀庵の「開戦前夜/22 アジア版『反独裁連合帝国』で中露に備えよ」

          “シーチン”修一 2.0

【Anne G. of Red Gables/431(2022/2/17/木】生物は繁殖するのが本能、
天命である。そのためには群れる。孤立したら生きていけない。人間も石
器時代どころか旧人以前から群を作ってきたのは猿と一緒だ。大きくて強
い群でないと、他の群に追い出されてしまうか併呑される。豊かな餌場を
確保するためには群をどんどん大きくして強い部族になり、縄張りを広げ
ていく。

やがて石器時代、縄文時代あたりから各地の部族間での交易が盛んにな
る。それぞれ特産品を持ち寄って物々交換する。山の部族は矢じりやナイ
フに使う黒曜石を持ってくる、海辺の部族は貝の身を茹でて乾燥保存でき
るようにした加工食品を持ってくる、北の部族は接着剤であるタールを
持ってくる、という具合で、その交易圏がやがて「国」のようになって
いったのだろう。

小生は時々、自給自足できる小さな村、桃源郷のような村で穏やかに暮
らせたらいいだろうと思うが、たとえ辺境であっても“美味しそうな村”な
ら強い部族が放ってはおかないから、遠くに逃げるか、強い部族に併呑さ
れるしかない。東北の先住民だった蝦夷(えみし、アイヌ)は間氷期の気
候変動で東北が温暖化すると縄文人(弥生人?)が押し寄せて来たため、
北海道や樺太、シベリアなど北の寒い地域に移動して(≒駆逐されて?)
いったらしい。

ユーラシア大陸の北辺からシベリア、アラスカは、西と南の勢力に追わ
れるようして北上、東上してきた人々が先住民となったようだ。エスキ
モーもその一つだろう。明治時代から北海道は本土からの移民による開拓
が進むが、この地は数百年あるいは数千年はアイヌの暮らす地だった。現
在の地名の多くはアイヌ語由来で、例えば、トーヤ/湖岸→ 洞爺 モペッ/
静かな川→ 紋別、クマウシ/物干しが多くある所→ 熊石などで、北海道庁
によると市町村名の8割がアイヌ語由来だという。

アイヌ人は特に明治以降に本土からの開拓移民が増えて北方の島などに
移住を余儀なくされたり、本土人と交配を重ねたりしたのだろう、「純血
種」は大正時代にはいなくなったという説がある。1970年頃に知り合った
北海道出身の友、日高君(通称)は髭が濃く精悍な顔つきをしていたが、
聞かれもしないのに「俺はアイヌ系じゃない」とよく言っていた。北海道
ではアイヌ系への偏見(差別?)が残っていたようだ。


北海道のアイヌは白人系との混血もあり、ハーフの美男美女もいたよう
だ。1878年に北海道を訪れた英国人イザベラ・バードは大感動している。

<その大人は純粋のアイヌ人ではなかった。彼の黒髪もそれほど黒くはな
く、髪も髭もところどころ金褐色に輝いていた。私はその顔型といい、表
情といい、これ程美しい顔を見たことがないように思う。高貴で悲しげ
な、うっとりと夢見るような、柔和で知的な顔つきをしている。未開人の
顔つきというより、むしろサー・ノエル・パトン(英国の歴史画家)の描
くキリスト像の顔に似ている。(修一:Sir Joseph Noel Paton、以下の
作品らしい)

https://paintingandframe.com/art-imgs/sir_joseph_noel_paton/the_man_of_sorrows-6899.jpg

彼の態度は極めて上品で、アイヌ語も日本語も話す。その低い音楽的な
調子はアイヌ人の話し方の特徴である。これらのアイヌ人は(修一:日本
人と違って?)決して着物を脱がないで、大変暑い時には片肌を脱いだ
り、双肌を脱いだりするだけである>

洋の東西を問わずバードなどインテリ上層階級は、暑いと褌一丁になる
のが大好きな小生のような日本原人を(当時の下層階級は疥癬=皮膚病が
珍しくなかったこともあり)「まるで蛮族」と見ていた人も多かったか
ら、上記の美しい白人系混血アイヌに感動したわけだ。インテリの「高等
白人以外は下層民族」という思い込みは今でも欧米では基本的に根底に
残っているだろう。白人が「有色人種も同じ人間らしい」と認識し始めた
のはここ数十年ではないか。父は米国人をアメ公、ロシア人を露助と言っ
ていたから、まあお互い様か。

小生は見かけではなく中身で差別、区別する、「こいつはアカ=蛮族=
駆逐すべし」と。習近平、プーチン、バイデン、オバマ・・・蛮族みたい
なのが多過ぎて逆に逃げ出したくなる。「自給自足できる小さな村、桃源
郷のような村で穏やかに暮らしたい」と小生が時々思うのは、加齢による
故郷=田舎への郷愁かなあと思っていたが、どうもそんな穏やかな動機で
はなく、厭離穢土、欣求浄土、切羽詰まったストレス由来らしい。

例えば世界のグローバル化、即ちヒト・モノ・カネの自由な移動が幸福
をもたらすはずだったのが、どうもそんな風にはならず、むしろ反対に世
界の競争、対立、憎悪、緊張を促すことになっている、そういう違和感や
不信感、「漠然とした不安」が根底にあるようだ。古人曰く「嫌な予感は
よく当たる」・・・

グローバル化、国際化は「後進国の貧困、餓死を減少させ、中進国を増
やした」というプラス面はあるだろうが、21世紀に中進国から先進国(自
由・民主・人権・法治+福祉?)になった国はない。いわゆる「中進国の
罠」にはまり、国民一人当たりの実質GDPが130万円ほどになると貧富の差
の拡大で内需が伸びない、ハングリー精神が萎える、などにより経済が停
滞したり民の生活満足度が低下したりする傾向があるそうだ。

なぜなのか。中進国は先進国から仕事をもらう下請け企業みたいで、経
営者・株主は儲けても従業員は低賃金で日々の生活に追われてゆとりはな
い。従業員の給料を上げれば人件費の安い低諸国に仕事が流れてしまうか
ら、なかなか難しい。日本もバブル以降は給料が上がっていないから消費
が低迷したままだ。


GDP世界2位の中進国の中国でさえ、工場やサービス業の末端を支える農民
工は生活するのがやっとというレベルで、一種の奴隷のようだ。中進国が
賃金を上げれば、輸出品も値上げになり競争力が落ちるから、低迷気味の
経済はマイナス成長になりやすく、そうなると「政権がもたない」という
事態になりやすい。

中国は14億の巨大な市場だが、それを支えているのは“世界の工場”であ
る。ロシアは石油やガスなど天然資源を外国に売ることで経済が成り立っ
ている。中露とも外国とWinWinで仲良くしなければ貿易に支障をきたす。
特にコロナ禍の非常事態下である今は各国と共に耐え忍ぶのが道理である。

ところが、中露という強権独裁国家は普段から国民の不満を経済成長=
多少なりとも生活、衣食住を向上させることで抑えてきた。それがマイナ
ス成長で維持できない、となれば政権への支持は急速に弱まるだろう。こ
ういう事態になると独裁者は国内の求心力を強めるために対外戦争危機を
起こすようである。

プーチン・ロシアは2014年、ロシア軍を表に出さずにウクライナのクリ
ミア半島を強奪した。今はウクライナの東と西で「内戦」を装った侵略を
進めている。その行方は小生には分からないが、軍事力をちらつかせた一
種の「帝国主義」である。

<「帝国主義」は「併合による支配と植民地総督の下での統治」を意味
する。一方で「非公式の帝国主義/Informal Empire)」というのがある。
これは「独立した他国に対して、政権周辺エリートを買収・操縦し、己の
都合の良いように間接的支配を及ぼす政策」である>(水野和夫著「閉じ
てゆく帝国と逆説の21世紀経済」)

この、ソフトを装った狡猾な植民地統治法「非公式の帝国主義」は大英
帝国が1800年前後に発明したそうだ。幕末の日本で活躍した英国外交官、
アーネスト・サトウは著書「一外交官の見た明治維新」で有名だが、薩長
を支援することで日本を間接支配し、英国の国益を増進するのが任務だっ
たわけだ。それはまずまず成功して、今でも日本では「日英同盟の頃は良
かったなあ」と回顧する人が多い。日清、日露の大戦勝利は英国の協力が
なければ危うかったかもしれない。

世界大百科事典などによると「非公式の帝国主義」は経費節約の必要か
ら産まれたようだ。

<18〜19世紀のイギリスでは、政治的=領土的な支配を避けて行政経費を
節約しながら、経済的には支配を貫徹するという「非公式の帝国主義」
(自由貿易帝国主義とも)が主流となった。


政治的・経済的に英国の従属下にあるものの公的な支配を伴わない統治
で、東インド会社支配下のインド、19世紀の南アメリカ諸国、19世紀後半
から20世紀初頭にかけての清などがイギリスの代表的な「非公式の帝国」
で、事実上イギリスの経済的支配下に入った。

「非公式帝国」化するための前提条件として、自由貿易で他の競合国を
圧倒する「経済力」と、航路の安全を保障し、かつ自由貿易を相手国に強
制する「軍事力」が必要となる。政治的・行政的支配の伴う公式帝国に比
較し、「非公式帝国」は直接的な支配を必要としない分、官僚や軍隊の維
持に必要なコストを低く抑えることができるとされる>


大国がパワーで弱小国を制圧・搾取するのが大昔からの「帝国主義」。一
方でエサを与えつつじわじわ血を吸うのが「非公式の帝国主義」のよう。
革マル派創設者の黒田寛一はJR総連など巨大労組や各種組織を乗っ取るた
めに、対象に静かに、深く入り込む「サナダムシ戦略」を考案し、大成功
した。

「非公式の帝国主義」を初級「パラサイト帝国」、中級「乗っ取り帝
国」、上級「暴力団帝国」と分けてみると、ロシア、中共は完璧な餓狼戦
狼の「暴力団帝国」と言えるだろう。

この厄介な時代錯誤的「暴力団帝国」を封じ込める、あわよくば解体さ
せるのが世界の良識ある国家の仕事ではないか。そんな大それたことは
個々の国家ではできない。即ち、米国合州国、EU連合国、NATO同盟のよう
な、大きなアジア版「反独裁連合帝国」を結成しないと中露の侵略を招い
てしまうことになる。

アジア諸国がそれぞれ政治・軍事・経済面で孤立していると、中露は個
別撃破であっという間にアジア覇権を確立するだろう。我々がアジア版
「反独裁連合帝国」=アジア太平洋連合を結成し、結束し、強力な連合軍
を持ち、かつ核兵器を共有すれば、中露の侵略をためらわす効果が期待で
きる。米国合州国、EU連合国がアジア連合と共同歩調を取れば、巨大な抑
止力になるはずだ。

国民の生命、生活、自由民主人権法治を守る――これが主権在民国家の大
原則である。それを実行できない国家、国民は遅かれ早かれ消滅するが、
自由陣営が1日ためらえば1日危険が迫る。20世紀に欧米の植民地支配を終
わらせた日本は、21世紀に有志諸国と共に共産主義独裁国家を終わらせる
――天命である。



━━━━━━━━━━━━━


◆大量のユダヤ人が出国した

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)2月15日(火曜日)
   通巻7219号  <前日発行>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 ウクライナから大量のユダヤ人が出国した
  オデッサからイスラエルへの帰国便は満員
*****************************

 ウクライナのオデッサからユダヤ人が大量に出国している(エルサレム
ポスト、2022年2月14日)。
学校では留まるように教師等が説得しているが、すでに150家族はイス
ラエルに向かった。ベングリオン空港の到着風景がイスラエルの新聞を大
きく飾っている。

 以下は拙著『日本が全体主義に陥る日』(ビジネス社)から、このオ
デッサ訪問旅行記の半分ほどを抜粋した。


 ▼ウクライナの中で、飛びぬけて自由と繁栄を享受する港町=オデッサ

 オデッサは「黒海の真珠」と称される美しい港町だ。横浜市と姉妹都市
の関係を結んでいる。
 一九〇五年の戦艦ポチョムキンの反乱は、このオデッサで起きた。
ソ連映画史に輝く名画「戦艦ポチョムキン」は一九二五年に制作され、世
界中の注目を浴びた。ついでに書いておくと世界的ベストセラーとなって
映画化もされたフレデリック・フォーサイスの『オデッサ・ファイル』は
この港町とは無縁でリガでのユダヤ人虐殺を命じたナチス高官を追い詰め
るジャーナリスト、それを妨害するナチス残党の眼に見えない組織の名称
である。

 黒川祐次(元ウクライナ大使)は『物語ウクライナの歴史』(中公新
書)のなかで次のように書いている。
 
 「オデッサは古代黒海北西岸にあったギリシア植民都市オデッソス(ギ
リシア神話の英雄オデッセウスから来た名)にちなんで名づけられた。オ
デッサは
一七九四年、エカテリーナ二世の勅令にもとづいて建設され、一八一七年
に無税の特権を得てから目覚ましい発展を遂げた。そして一八六五年オ
デッサと
ポディリア地方を結ぶウクライナ最初の鉄道が敷設され、穀物の内陸輸送
が可能となるとその発展に拍車がかかった。一八四七年には全ロシアの穀
物輸出の
半分以上がオデッサ港からなされた。まさに穀倉とオデッサ港は表裏の関
係にあった。(中略)ロシア帝国にとって世界への南の窓であった。コス
モポリタンな都市で、輸出業はギリシア、イタリア、ドイツ、ユダヤの商
人たちによって行われていた。その他トルコ人、アルメニア人、西欧・東
欧の諸民族が雑多に住んでいた。同じ正教徒ということでギリシア人の数
は多く、トルコからの独立運動の拠点になった。ユダヤ人の数は次第に増
加し、ロシア革命直前には市の人口のほぼ半分を占め、ロシア・東欧のユ
ダヤ世界の中心となった」。

 そのオデッサ、今や人口百万人という大都市の礎を築いたのは女帝エカ
テリーナ二世だった。この偉業を讃え、市内には彼女の巨大な銅像が建っ
ている。
 二〇一四年から始まったウクライナの内戦はまだ終結したわけでなく、
首都キエフから東側、ロシアに近いほど治安は不安定。むしろ無法地帯然
としている。
 四半世紀前に首都のキエフを訪れたことがある。ちょうどビル・クリン
トン大統領(当時)の訪問直前だったため宿泊したホテルのバーには先乗
りしていたSPが陣取り、アメリカの歌を唱って陽気に騒いでいた。西側
に急傾斜するウクライナに対して、なす術もなく拱手傍観したエリツィン
政権のロシアをよそに街は「米国大統領訪問」という祝賀ムードにあふれ
ていた。
 (いよいよ経済繁栄と自由がやってくる)
 広場は喧しい音楽と踊りで浮かれ、オペラ座も満員。人々は全身で喜び
をあらわし、次々とシャンパンの栓を抜いていた。


 ▼オレンジ革命の♪「夢は儚く消えて」。。。。

 その夢ははかなく潰えた。
 「オレンジ革命」から大した時間も経たないうちに、東部の分離独立機
運がにわかに勃興し、ヤヌコビッチ大統領はロシアへと逃亡した。そして
ロシアから投入された「民兵」と衝突、ロケット砲を撃ち合い、戦車を繰
り出す内戦の日々が始まった。プーチンは「ロシア軍は関与していない」
と否定しつつ民兵に間断なく軍事的支援を続けた。一時休戦がなったのは
サルコジ(フランス前大統領)の調停によってであった(後注 マクロン
が廊下鳶を演じるもサルコジの真似だが、五月大統領選挙を控えているた
めでもある)。

 こんな状況だからウクライナ渡航はさぞ難しかろうと身構えていたのだ
が、意外や日本人はビザ不要、航空便はヨーロッパ各地から、そして中東
諸国からも多数就航している。筆者はイスタンブール経由便を撰んだ。
 ユダヤ人の街として交易で栄え、映画の舞台にもなったオデッサは経済
的繁栄を謳歌している。
 
オデッサではオペラ座の向かい側に建つ老舗のモーツアルト・ホテルに投
宿した。ここから港へ向かって歩けば数分で観光名所「ポチョムキンの階
段」へ行ける。
 世界的に有名になったその階段を目当てに、次から次へと観光バス、馬
車、マイカー、リムジンが到着し、記念写真を撮っている。
 白人も黒人もヒスパニック、ラテン系の人々、本当に世界中の人種が勢
揃いしたような印象である。港からフェリーで着いた客用にはケーブル
カーも設置されている。広場は年中フェスティバルが開かれているような
賑わいである。キャラクターの風船売り、大道芸人、トランペット吹き、
手品師、綿菓子。記念写真屋、カメラ。。。。。。
 (とても同じ国の東側で内戦をしているとは思えないなぁ)

 波止場の突端まで二十分ほど歩くと、黒海クルーズを愉しむことができ
る。一時間=五百円。黒海沿岸をひと回りするのだが、デッキまで鈴なり
だ。出航し、コンテナヤードを経て沖合へ一〇分も出るとアルカディアと
いう有名な海水浴場に至る。まぶしい太陽の下、ビキニ姿の老若男女が日
光浴を楽しんでいる。

 岸辺の緑の中に豪華別荘群、リゾート・マンション、いまも建設中の高
層マンションが林立して見えるではないか。これにはいささか驚いた。
「貧困のウクライナ」というイメージとはかけ離れた眺めだ。


 ▼街の繁栄、シナゴールの静寂

 デリバスィフス通りは「オデッサの銀座」だ。両側にグッチやディオー
ル、モンブランなどのブランド店も軒を競っているが、歩道いっぱいに陣
取るカフェ、さまざまな意匠をこらしたエスニック・レストランが魅力的だ。

それぞれが入り口にユニークな看板を掲げ、覗いてみようかと興味をそそ
られる。ウクライナ料理だけでなく評判の高いグルジア、海賊の伝統調理
のバルト料理、ボルシチとピロシキが売りのロシア料理。なぜか値段の高
いフランチ・レストランもある。

なかでも店数の多いのがイタリア・レストラン、そしてオデッサにもやは
り「寿司バー」がある。水たばこの店も。しかし世界中で共通の中華料理
とコリアン・バーべキューは見かけなかった。


 ▼ウクライナ語に翻訳された日本人作家は?

 間口の狭いレストランでも、一歩中に入ると中庭があってそれが結構広
いのだ。これは旧東欧に特徴的で、とくにベラルーシ、モルドバだけでは
なくポーランドでも建物の間口は狭いのに内部は奥深い。

 中庭には緑の木立、噴水、公園にはベンチが並び、中国伝統建築の四合
院のような建築思想に縁っているようだ。この広い中庭にテントを広げ
て、テーブル席が設えられている。
書店で「日本人作家のものはありますか?」と店員に話しかけてみた。女
性店員はすぐに三島由紀夫と村上春樹のコーナーへ案内してくれた。

 滞在三日目、駅まで六キロほど歩いた。
猛暑の中、汗びっしょりになりながらカリフォルニア通りを左折し、シナ
ゴーグ跡へ向かった。

 冷戦時代までユダヤ人街だったこのオデッサの下町はユダヤ人が去って
からは極度に寂れ、貧困のにおいが漂っている。ゴミも多く、街の風景が
くすんで見えた。ユダヤ人たちは大挙してイスラエルと欧米諸国へ移住した。

 モスクワ、キエフと繋がる鉄道のオデッサ駅はいかめしく頑丈なつくり
でロビーもオペラ劇場かと見まごうほどに堂々たる意匠で、広々としている。

その駅前には乞食、宗教団体の宣伝隊、レストランのチラシ配りに交じっ
て、近郊へ向かうバスの呼び込みの声が飛び交って賑やかだ。

 オデッサには歴史館、民族展示館、美術館に加えて文学館が驚くほど多
い。(隣国モルドバの首都)キシニウと並んでオデッサにもプーシキン記
念館がある。
都を追われたプーシキンが一年間、オデッサに滞在した経緯がある。 

     
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  ★読者の声  どくしゃのこえ  READERS‘ OPINIONS 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
(読者の声1)「言論テレビ」(櫻井よしこ氏主催)の番組「花田紀凱の右
向け、右」に宮崎正弘さんがゲスト出演します。テーマは「中国経済はと
うに死んでいる」(仮題)。
https://www.genron.tv/ch/hanada/
 放送は2月18日(金曜)午後10時の予定です。
   (言論テレビ)



  ♪
(読者の声2)樋泉先生の犬の話で思い出したので、手許にあった燕山夜
話(?拓著)を開いてみると狗の話が出ています。
古来シナでは犬は祭祀、猟犬、番犬、食用として重視されてきました。愛
玩動物という発想はなかったようです。それが有名な格言「狡兎死して良
狗煮らる」です。
また古代の英雄が狗殺しを生業としていたことも知られています。項羽と
ともに兵を挙げたハンカイ、あの始皇帝を狙った刺客ケイカも狗屠を仕事
にしていたとあります。
 面白いのは、現在(文革直前)の中共では狗を飼う風習はないが、それ
はシナ事変の始め、中共のゲリラ兵が河北の日本軍の支配下に行くと番犬
に吠えられたので、犬殺し運動を起こしたからという。
それが今も続いているという。これは実際は大躍進の飢餓で食用にしたの
であろう。?拓は文革が始まると燕山夜話が毛沢東批判の書とされて一九
六六年死亡(処刑か)。毛沢東の死後名誉回復した。
  (落合道夫)



  ♪
(読者の声3)「犬を食べる支那人」(樋泉克夫のコラム【知道中国 
2329回──英国殖民地だった頃・・・香港での日々】について。
 小学校の頃、都内で犬を飼っていたが、常に鎖に繋がれ、ろくに散歩に
も行かされず、故に不満で態度も悪かった。噛みつかれたこともあった。
10年ほど前、シアトルから田舎に移り住み、嫌がる愚妻を説得し、久しぶ
りに犬を飼うことにした。
今度は、広い家の中で常に共に暮らし、首輪も鎖も無しで、広大な野原を
走り回り、近所の鹿、牛や馬や鶏を揶揄ったりして、伸び伸びと育ち、そ
の恩を感じてか、深い相互信頼関係を得られたと勝手に思っている。敵に
襲われたら、必ず決死の覚悟で防衛してくれるはずである。
 あらゆる動物の中で犬ほど多様性に富む種族はない。あらゆる大きさ、
性格、能力が用意されており、遺伝子を人工的に簡単に改造することがで
きる。
私見によれば、かつて人類が無防備の状態で、恐ろしい野獣に襲われてい
た頃、このままでは(1)人に鋭敏な高性能の聴覚、嗅覚などを付け加え
る。(2)それを補う敏感な家来を提供する。(3)自然に任せ、弱い人
間の人口を減らす、などの選択に迫られ、オオカミのDNAを改造して対応
なされた、と見るのが正しい。
限られたヒトの「知的頭脳を最大限に活かす」ためだった。と言う事情が
あって、正常な人間は、現在の人類の文明は犬に負うことが多いと潜在的
に知っており、感謝の念があるので虐めたり食べたりしない。
 ついでに言えば、草食動物、牛、馬、羊などは「人を食べ物」として認
識しないので、大変穏健で友好的である。人間のような綺麗な小さな歯並
びをしている。彼らを、美味しいからと言って、食べるのは非倫理的であ
り、いずれ将来、禁止される方向になると思ふ。
食用に生まれ、残酷な環境で飼育され、屠殺されるのは、支那だけではな
い。あらゆる地球の生物は、DNAなどを深く共有しており、血の繋がった
大きな家族の一員である。弱いものをいじめるのは卑怯である。
 (在米のKM生)


(宮崎正弘のコメント)縄文時代、犬は猟犬であり、シベリアからマンモ
スをおって北海道にやってきた狩猟民族のお伴。共同生活のよきパート
ナーであり、弥生時代に番犬が表れた。犬がペットとして愛用されたの
は、おそらく江戸時代、綱吉の生類哀れみの令から。
 近代は警察犬、麻薬犬、盲導犬などに使用範囲は広がり、現代にいたる
や秋田犬もシェパードも見かけなくなって、犬は愛玩用に飼われ、朝の散
歩でみる犬なんぞ、人形のごとし、ですね。
子どものいない家庭、独身女性に多いようですが、近くの公園などでは犬
好きがあつまって犬の品評会は侃々諤々の騒々しさです。
    ◎□△◎□△◎□△◎□△◎□△◎
at 11:08 | Comment(0) | 番外編

2022年02月18日

◆鹿を指して馬となす

加瀬 英明

 私は全世界が2022年にあると思うと、間違っていると説いてきた。

中国はいまだに秦朝(紀元前221年〜206年)の時代にある
始皇帝の秦帝国が僅か15年で滅亡した後に、中国では王朝がせわしく交
替したが、皇帝の神格化、圧政、歴史の捏造、天帝から全世界を統治する
使命を託されているとい
う華夷思想を、受け継いできた。

 習近平体制も白を黒と言い張って強引に押し通しているが、「鹿を指し
て馬となす」という有名な言葉は、中国の正史『史記』のなかで唐代に纏
められた、始皇帝の一代記
である『秦始皇本記』に登場する。

 習主席は始皇帝が行った「焚書坑儒」を受け継いでいる

 プーチン大統領のロシアはまだ15世紀にあると思えば、わかりやすい。

 15世紀にイワン雷帝(在位1462年〜1505年)が、周辺の国々をつぎつぎ
と征服してロシア帝国をつくり、はじめてツァーリ(ロシア皇帝)を名
乗った。

 「ツァーリ」はローマ帝国の皇帝の称号であるカエサルを、ロシア語読
みにしたものだ。

 中国の最後の皇帝といえば、1912年に退位した清朝の宣統帝であり、ロ
シアは1917年にニコライ2世によって終わったはずだった。

 ところが、習主席が中国の皇帝を演じるかたわら、プーチン大統領は
ツァーリを自任している。

 中国は秦朝から2200年以上もたっているのに、いまだに鹿を指して
馬だと言い張っている。

 昨年12月に、バイデン大統領が110ヶ国・領域を招いて、オンライ
ンで『民主主義サミット』を開催した。

 すると、中国は対抗して『中国の民主白書』を発表して「民主主義は多
様である」といって、「中国式民主主義」を誇示した。きっと「中国式平
和」や「中国式人権」もあるのだろう。中国の報道官が記者会見の席上で
「中国の選挙制度のほうが米国の選挙制度より優っている」と述べた

 中国の“国会”に当たる全国人民代表大会の代議員選挙では、候補者は1
人しかいない。

 かつて英国のアトリー首相が、ソ連の選挙を「馬が一頭しか走っていな
いのに、競馬と呼ぶようなものだ」と揶揄(やゆ)したが、中国ではスピー
ドスケート選手が1人だけ
出場しても、「競技」と呼ぶにちがいない。

 孔子(紀元前551年〜前479年)は、「その位にあらざれば言わ
ず」(民は黙って従えばよい)、『論語』は孔子と弟子の問答集だが、孔
子が「民は之れに依らしむべ
し。これをしらしむべからず」と説いている。

 韓非子(没紀元前233年)は始皇帝の帝国統一の理論をつくったブレ
インとして知られるが、「政(まつりごと)の民に優しさはこれすべて乱の
始まりなり」と教えてい
る。それまでもすべての王朝が内乱で滅びたから、何よりも内乱を恐れた。

 今日の中国も天安門事件の記念日などに天安門広場を封鎖して、人民が
立ち入ることを禁じるが、内乱に対応するためである。

 韓非子は人性利己説を唱えたことによって、知られている。中国人は自
己中心だから強権をもってしか纏まらない。性善説、性悪説は当てはまら
ない。

 毛沢東主席(1893年〜1976年)が「政権は鉄砲の銃口より生ま
れる」と豪語したが、政権は鉄砲の銃口によって維持される。

 中国は古代のままの社会なのだ。近代文明を受容する能力を欠いている。
中国と日本は、何と対照的な国なのだろうか。

 聖徳太子が推古12(604)年に『十七条憲法』の第17で、「夫れ
事独り断むべからず。必ず衆とともに宣しく論ふべし」と定めて、よく話
し合うように命じている
が、天地の差がある。

 日本では、とくに経済人のあいだに顕著だが、中国について生半可な知
識しかなく「中国に阿(おもね)ないと、日系企業の活動に悪い影響が出
る」といって、日中友好を
求める者が多い。

 紀元前3世紀や、15世紀の人々と私たちが話し合っても、意志が通じ
るはずがない。

もっとも、紀元前や600年前の人々も武力は理解しよう


   
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◆奨学金のどこが「悪質な学生ローン」なのか?

返済に苦しむ若者が見落としている5つの
              自業自得=午堂登紀雄

昨今、奨学金が返済できずに苦しんでいる若者がいることで、「奨学金は
悪質な学生ローンだ」などという論調を目にします。奨学金で進学した私
にはちょっと残念に感じます。(『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト
入門』午堂登紀雄)

プロフィール:午堂登紀雄(ごどう ときお)
米国公認会計士(CPA)。1971年生まれ、岡山県出身。中央大学経済学部
国際経済学科卒。株式会社エディビジョン代表取締役。一般社団法人 事
業創造支援機構代表理事

奨学金は「悪質な学生ローン」か?
今は受験シーズンですが、春からは奨学金を借りて進学する人がいると思
います。あるいは4月から新社会人になる人の中には、学生時代に借りた
奨学金の返済が始まる人もいるでしょう。

しかし相変わらずコロナ禍が続いており、不安を感じている人は少なくな
いと思います。

昨今、奨学金が返済できずに苦しんでいる若者がいることで、「奨学金は
悪質な学生ローンだ」などという論調を目にすることがあり、それが奨学
金で進学した私にはちょっと残念に感じ、感じることを論じたいと思います。

奨学金の「おかげ」で進学できた
私自身、高校・大学を旧日本育英会から借りた奨学金で進学しました。

返済猶予制度を利用しましたから、総額約350万円を完済したのは15年後
の確か40歳頃だったと思いますが、私に東京に出る機会を与えてくれた奨
学金制度には感謝しています。だから私の場合好意的なバイアスがあるの
は確かです

もちろん、経済的に苦境に陥っている人もいて、奨学金を借りたことを後
悔している人がいるのも事実でしょう。コロナで収入が減ったり、仕事を
失ったり、病気などで働けなくなって返済が苦しいという人もいると思い
ます。

延滞を繰り返し、ブラックリスト入り(個人信用情報データベースに事故
記録として記載される)してしまった人もいると思います。もしかした
ら、お行儀の悪い督促をする担当者に遭って精神的につらかったという人
もいるのかもしれません。

世の中にはいろんな状況、いろんな立場の人がいますから、「これが正し
い」とか「これが絶対だ」というわけではありません。

しかし昨今、奨学金に関して世間の注目を集めるのは、こうした社会的弱
者の存在を根拠に、奨学金悪玉論に傾きがちな世論です。

しかし私はそれは制度へのミスリードにつながると感じており、そうした
見方に対して「奨学金は社会に必要な救済制度である」ということを主張
しておきたかったからです

なぜなら、お金がない家庭でも「奨学金のおかげで進学できる」からです。

「奨学金は借金だ」という意見がありますが、もちろん借金です。それを
ことさら「借金だ」とネガティブにいう人は、「奨学金はもらえるという
前提」があるのでしょうか

「だったら教育ローンとか学資ローンという名前にした方がいい」という
声もあるようですが、奨学金には給付型と貸与型があり、前者は返済不
要、後者が返済が必要なので、すべてがローンというわけではありません。

奨学金はその名のとおり、学ぶことを奨励するための資金であり、ローン
であろうと何も問題ないと思います。大学に進学するかどうかは本人の自
由意志であり、進学しなければ奨学金も不要だからです。
       


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◆金融リスクの虎たち

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)2月14日(月曜日)
      通巻7218号
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今度は銀行と食糧備蓄の責任者の腐敗に司直の手
  「金融リスクの虎たち」を最高検察が連続的に逮捕している
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 2022年2月9日、河南省党委員だった甘栄伸が汚職、重大に規律違
反で逮捕された。
 同月10日 中国銀行副総裁、中国銀行監督管理委員会副主席という重
責にあった蔡顎生が逮捕された。71歳、金融界の大物である。
 同月11日、杭州市党委員だった周江勇が逮捕された。

 食糧備蓄分野の不正にも検察の手はおよび、12日には国家糧食局副長
の徐鳴が収賄、地位利用などの容疑で逮捕された。

「次は誰か?」の噂が飛び交う中、2月12日、中国国家開発発展銀行の
副総裁だった何興祥が、収賄、不正貸し付け、違法起債、海外預金の隠匿
という四つの罪状で逮捕された。
何興祥は銀行畑を歩んできたエリートで、吉林省、海南省、山東省の支店
長などを歴任し、中国農業銀行の副総裁を経験した。

 これら一連の逮捕劇は「金融リスクの虎たち」と呼ばれた一群の人脈が
背後に繋がっているとされる。
     
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2329回】           
 ─英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港211)

    △
 いずれは食用として犬買いに売り飛ばそうと考えて、子犬を可愛がって
育てていた。たしかに残酷な話とは思うが、曽妹だけがそうしていたわけ
ではないだろう。香港の農村部では、曽妹と同じような魂胆で子犬を飼育
していた例は数多くあったはず。ならば無数の子犬が、食用になる運命を
背負って愛玩されていたに違いない。

 ヒドイと言えばヒドイようだが、アッケラカンと割り切ってみれば、
それはそれでスッキリしている。ここで「動物愛護を!」などとキザった
らしい物言いをする積もりは全くないし、するべきではない。それが食を
通じての生き方(食文化)なのだから。

 曽妹と子犬の関係から中国庶民の死生観を引き出そうなどと大仰な考え
は毛頭ないが、それにしても《生きているモノ》と《死体というモノ》に対す
る向き合い方の切り替えを見せてもらったことは確かであり、彼らの生き
方の一端を実感させてもらった思いだ。

 ところで香港の農村部の先に広がっているのは、広東の農村である。も
とは同じく広東の農村であり、たまたま殖民地と人民共和国の違いがある
だけで、農村での生き方に大差があろうはずもない。ならば犬の運命もま
た同じだったと考えらはしないか。

 対外開放されて程ない1980年初頭、広東の農村を訪れた時、ある農家の
軒先に皮を剥かれた犬が頭を下にぶら下がっていた。そこにいた農夫に
「旨そうですね、食べるんですか」と尋ねると、「だから買ってきたの
さ」と皺くちゃな顔がニコッと微笑んだ。文革終焉から僅か数年。やはり
食い物に関する習慣は政治の力でも容易くは換えられないらしい。農家の
壁に残された「毛主席万歳!」の文字は色鮮やかなままだった。

 ここで麻袋に押し込められた犬の運命に戻るが、もちろん犬買いの手に
委ねられる。
 1匹ずつ詰めた麻袋を幾つか持って、犬飼は沙田から九龍に向かう幹線
道路の大埔道(タイポ・ドウ)まで出て小巴(ミニバス)を拾う。バスの
狭い通路に犬の入った麻袋を置くのだが、九龍の街に入る直前の山道で潜
り抜けなければならない関門がある。「野蛮で残酷な犬肉販売」を取り締
まるため、10月前後から山道の脇にパトカーを停車させ、警察官が目を光
らせるのである。

或る日、麻袋が置かれた小巴に乗り合わせた。警官の指示で小巴は道の
脇に停車する。ドアが開くと、入り口のステップに片足を掛け、警察官が
身を乗り入れる。乗客をヌメッと見回した後、通路に置かれた麻袋に視線
を落とす。「これはなんだ」。乗客は下を向いたりして視線を逸らし沈
黙。再び「これはなんだ」。またまた沈黙。すると麻袋がモゾモゾと動
き、運悪く袋の中から「キャンキャン」とくぐもった鳴き声がする。「こ
れはなんだ」。またまた沈黙。すると、やおら警官は運転手に向かって
「発車していいぞ」と。ドアが閉まり、小巴は動き出した。
 
 警察官の職務怠慢ではなく、明らかに温情、いや見て見ぬ振り、という
やつだ。乗客の視線は一斉に麻袋の持ち主、つまり犬買いに注がれること
になる。とはいえ彼を非難しているわけではなく、ホッと安堵の雰囲気が
車中を漂う。
 この先、犬買いは九龍の市街で「香肉上市」の張り紙をした屋台の犬肉
屋に「生きのいい香肉」を卸すことになる。

 その先だが、犬はクビに輪を掛けられ、屋台の店先に繋がれる。客が立
て込んできて用意した分が少なくなると、新しく仕込まなければならな
い。そこで店先に繋がれた何匹かの中から1匹を選び、路地の奥の暗がり
の方に連れて行こうとするのだが、ここで犬が前足を突っ張って抵抗す
る。犬もまた自らの運命を察知するのだろう。
オヤジが手にした綱を強く引くから、前足を突っ張ったままズルズルと引
きずられて行かざるを得ない。やがて客の視界から消えるや、「キャン、
キャーン、ウン」の鳴き声を残して絶命です。
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  ★読者の声  どくしゃのこえ  READERS‘ OPINIONS 
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(読者の声1) 建国記念の日に中東のアブダビ国営石油グループは本社ビ
ルに感謝のディスプレイを設置。
https://twitter.com/ArabNewsjp/status/1492416949464223744
 アブダビとの付き合いはもう50年にもなるのかと驚き。カタールの天然
ガスも日本企業が開発した。イラン革命で頓挫したIJPC石油コンビナート
では3千人以上の日本人が働いていた。
 イラン革命自体いまだによくわからない。ホメイニが英国のエージェン
ト説、ソ連のエージェント説、2重スパイ説、その他もろもろ。
 パーレビ国王時代にはイスラエルの航空会社のオフィスまであった。ア
フマディネジャド大統領などユダヤ人の家系であるとの報道もある。昔か
らバザール商人はユダヤ系が多いしバザールが革命の震源地だったりする。
現代では世界の中華街が中国共産党の隠れ蓑になっているようなものかも
しれない。
  (PB生、千葉)



  ♪
(読者の声2)「反中央集権化」が世界中の人民が望み、進んでいる。そ
れは、反グローバル化、国家主義、の内側で進んでいる。ある程度の権力
の集権化、商品の大量生産化、標準化は、効率の効果、低価格をもたらす
が、同時に使用者と提供者の間の剥離が、必ず生じる。その不満を権力・
暴力で解消する国が中共、ロシア、北朝鮮、などである。英国民は、民主
的にEUから英離脱を行った。
 しかしながら日本では260年間の長い「徳川家中央集権政府」の独占支
配により、人民のDNAに変化をもたらし、常に絶対的に「お上に従う」と
いう習慣が定着し、お上を代弁するNHKや朝日などの正しい、唯一の情報
を信じて疑わない。「霞ヶ関から離脱」などは夢想だにしない。戦後の
GHQ占領下に強制され「自主的に」書かされた「憲法」も「不磨の大典」
として未だに尊重されている。
 当時13州(現在は50州)からなる米国で、憲法が書かれ、現在に至る
までに27回部分的な改正が行われてきた。禁酒法もそんな憲法上の改正
で、やってみてしばらくして、正式に取り消している。
その改正の手続きは「上下議院の2/3以上の賛成、国民投票で
2/3」、とかなり難しい。同憲法には、民主的な「改正の方法」が二つ
(重複)あって、その一つが、中央の連邦政府議会に依存していない、各
州が独自に指導・発議する方法で、今かなり進んでいる。つまり。多くの
州の国民が、反中央集権化を望んでおり、その運動が本格化している。
(南北戦争のような「分裂・独立」運動ではなく、過度の中央からのお
せっかいな介入を制御しよう、という事)
 米国憲法、第5条によれば、50州のうち34州(2/3)が希望すれば、「州
議会(Convention of States)」を開くことができ、そこで38州が賛同す
れば、連邦政府の権限、予算、人事を制限することができる。この議決に
は、連邦政府の議員の賛同を得る必要がないため、地方の州議会議員が独
自に主導することになる。この改正手段は米国歴史上、使われた事はまだ
無い。
 あまりにも肥大化し、膨大な負債を生み出したワシントンの政治家、官
僚・役人から、各地方に権限、予算、人事などを取り戻そう、という運動
が2013年から始まり、300万人の支援を得て、すでに17州で決議され、24
州が協議・検討しており、目標に近づいている。著名な保守の言論人、政
治家が賛同している。
 https://conventionofstates.com
2020年からの人民の人権を無視し奴隷のように扱うバイデン独裁政権に対
する不満が高まり、民主党の州さえも鞍替えが予想される。
これで常に巨大化・独裁化する連邦政府を止め、小さな政府、民間企業、
個人の財産、自由を尊重する本来の米国が蘇る、可能性が生まれる。これ
が成功すれば、実質的にこれまでの「憲法の誤った拡大解釈」を大幅に変
え、本来の連邦政府の限られた運営に戻すことになる。(しかし、同時に
連邦政府の縮小とは、「内向き」の外交、軍事を意味し、かつての不干渉
「モンロー主義」の再来ともなる。正義の味方「世界の警察官」も予算も
賛同もなければ、出番は無い。と、いう日本防衛への影響もある。)
 言うまでもなく、日本にも同様なもっと無責任な政府機関の暴走があ
り、国の赤字は断トツで世界一。
GHQが即席に作った「日本憲法」には、これに相当する改正条文は無い。
しかし、故石原慎太郎氏、故渡部昇一氏などが宣言なされているように、
この「憲法」なるものは、占領下において、主権のない国民が「自主的
に」作られたものであり、不法であり整合性を持たず、単に「破棄」すれ
ばいい。
米国も他国も、こんな純粋の国内問題に文句を言うはずはなく、中共、ロ
シア、北朝鮮、朝日新聞、日本共産党、自民党ぐらいだけが反対するのだ
ろう。
 現在、米国も憲法の根本的な問題を解決しようとしており、これに乗じ
て、日本も真似て、戦後処理を行うべし。しかし、私見によれば、遺憾な
がら「あっしには、関わりのねえこってす。ごめんなすって」と仰言る、
大多数の無関心な日本人によって日本が消える、らしい。
「無関心こそ最大の悪」とはユダヤ人の大胆な虐殺を傍観したドイツ人の
現象からの教訓。 
https://www.zerohedge.com/political/nebraska-joins-call-convention-states-amend-us-constitution
(在米のKM生)

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