頂門の一針 6184号
□■■□──────────────────────────□■■□
2022(令和4年)年 6月30日(木)
プーチン後継者はナワリヌイ氏?:津田慶治
我々がどれだけ理不尽に奪われていたか:三橋貴明
あの中国が「ソフト鎖国」を目指し始めたワケ:富坂聰
ウクライナ軍事支援の拠点化:宮崎正弘
重 要 情 報
身 辺 雑 記
購読(無料)申し込み御希望の方は
下記のホームページで手続きして下さい
頂門の一針(まぐまぐ)
━━━━━━━━━━━━━━
プーチン後継者はナワリヌイ氏?
━━━━━━━━━━━━━━
津田慶治
ロシア政府内で議論が進む「戦後」
6月27日にはウクライナ中部のショッピングセンターにミサイルを撃ち込
むなど、蛮行を重ねるプーチン大統領。しかしこのまま戦争を続ければ、
先に待つのは敗戦であることは間違いないようです。今回のメルマガ『国
際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、
これまでの戦況を詳細に解説するとともに今後の紛争の行く末を予測。さ
らにロシア政府内で話し合われているという「敗戦プラン」とその席で上
がっている仰天と言っても過言ではない戦後の指導者の名を紹介しています。
ロシア軍全縦深攻撃への対抗処置
ウクライナにやっと、欧米の重火器が届き、これから反撃開始のようです
が、ロシア軍はセベロドネツクを掌握し、次の全縦深攻撃に移る。ウ軍の
体制立て直しはどうすればよいかを検討する。
ウクライナ東部での戦争は、ロシア軍はセベロドネツクを制圧し、アゾッ
ト工業団地からもウ軍は撤退し、リシチャンスクで防衛して、それでもス
ラビアンスクからリシチャンスクへの補給路T1302高速道路の防衛が難し
くなったら、スラビアンスクまで撤退になるようだ。
これでルハンスク州の大部分をロ軍は制圧することになる。1つの目標を
ロ軍は達成することになる。
ロ軍の戦車などの装甲兵力、203m自走カノン砲やTOS-1多装ロケット弾砲
を多数、この地域に集めて、ロ軍が全縦深攻撃したことで、ウ軍の装甲兵
力や火力の10倍以上の差で押したことで圧倒した。しかし、ロ軍の損耗も
大きく、ルハンスクとドネツク人民軍の兵員の55%が失われたという
ロ軍の全縦深攻撃は、1ケ所に多数の戦車大隊戦術群(BTG)と203m自走カ
ノン砲やTOS-1多装ロケット弾砲を集めて、戦車部隊を複数群にして、最
初にウ軍陣地と後方の155mm榴弾砲を叩き、次に第1軍でウ軍陣地を突破さ
せ、その後方の第2・3軍が突破した箇所から進撃する方法である。今まで
の1戦車BTGではできずに、複数のBTGを集めて攻撃を行う方法にロ軍は攻
撃方法を変更した。
この方法でポパスナ周辺地域でウ軍陣地が攻撃されて、一度の攻撃で10キ
ロ以上も侵攻された。ロシアは久々の戦術的勝利を得た。
ウ軍に欧米兵器が実戦に出てくると形勢は分からなくなるが、全縦深攻撃
を受けると、ウ軍の消耗も大きくなり、脱走兵などが出て、そのような攻
撃を受けないようにウ軍も対応策を立てる必要がある。
ウ軍にも、米からのM777榴弾砲、仏からのカエザル、独からのPzH2000
砲、他からのFH-70、M109、AHSクラフなど多数の大砲が供与されたが、こ
れらを足してもロ軍の火砲の数には、大きく及ばない。
重大なのは、ロ軍の電子戦兵器クラハ8が効果的に機能したことであり、
電波妨害でウ軍のUAVが使えない事態や砲管理システムでの通信ができな
い事態になっていることだ。このため、早期に電子戦兵器を叩く必要がある。
この電子戦兵器を叩くには、長距離の射程をもつロケット砲と電子戦兵器
の場所を探知するレーダーをケーブルでつなぎ同位置で運用する必要がある。
もう1つが、ロ軍の集中場所を察知して、その個所の防衛を厚くして、突
破されても次の陣地を構築して、そこで第2・3軍を抑えることである。
それでも、リシチャンスクの防衛を強化して、そこで反撃を開始すること
になる。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
我々がどれだけ理不尽に奪われていたか
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
三橋貴明
骨太の方針2022の真実財務省は国民の敵だ!!
[三橋TV第564回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/pmUjzj8nW88
改めて考えてみると、
ガソリン税と再エネ賦課金は似ています。
我々は理不尽な形、「自動車のために道路を建設するわけではない」ある
いは、「日本のエネルギー安全保障が強化されるわけではない」にもかか
わらず、所得の一部を奪われ、かつ「ガソリン税や再エネ賦課金の理不尽さを
ほとんどの国民が知らない」という点で。
ガソリン税は、元々は道路特定財源として、「道路建設」のために徴収さ
れていました。それが、道路国会を経て一般財源化し、我々ドライバーは
ガソリン1リットル50円以上の税金を取られているにもかかわらず、道
路は建設されなくなりました。
かつ、高額なガソリン税に、消費税をかけられている
(※軽油は消費税がかかりません)。
しかも、ガソリン税は「地方在住」の方が主に払っている税金です。都心
部で徒歩で生活する人は、支払いません。
ガソリン税には、明らかに「東京一極集中」という政策目的があるのです
(意識しているか否かはともかく)。
この辺りの話は、わたくしは大石久和先生の三橋TV出演、以降に語り始
めましたが、再エネ賦課金の理不尽さは
FIT導入時点から批判を続けてきました(結果、グローバリスト、反原
発派の双方から攻撃された)。
『国民「再エネ賦課金 一定期間停止に」参議院選挙の約に追加 電気料
金が記録的に高い水準となっていることを受け、国民民主党は、家計の負
担を軽減するため、再生可能エネルギーの普及のために徴収されている賦
課金を一定期間停止することを、参議院選挙の公約に追加しました。
これは、国民民主党の玉木代表が、26日、東京都内で発表しました。具
体的には、太陽光などの再生可能エネルギーを普及させるため、毎月の電
気料金に上乗せする形で
徴収されている、いわゆる「再エネ賦課金」を一定期間停止するとしてい
ます。
「再エネ賦課金」は、電気の使用量が標準的な家庭の場合、現在、年間1
万700円余り徴収されているということで、国民民主党は、停止によって
電気代を1割下げられるとしています。
一方、賦課金を徴収している電力会社側に対しては、国が減収分を予備費
などで補てんすることで、再生エネルギーの推進に支障が生じないように
するとしています。
玉木氏は「政府は、『節電ポイント』の制度によって電力需要を抑えよう
としているが、暑い中、クーラーを無理して切ると健康被害が生じる可能
性がある。
電気代の高騰対策としては、直接、値下げしたほうが効果的だ」と述べま
した。』国民民主党は相変わらず
「一定期間」と煮え切りませんが政策の方向性は正しい
(本当は、FIT廃止、と言って欲しい)。
ガソリン税にせよ、再エネ賦課金にせよ、「価格が高騰している際に徴税
を停止し、国民を助ける」税金(等)はあるのです。問題は、国民が「知
らない」ことです。
今回の物価高騰、参議院選挙を機に、我々がどれだけ理不尽に「奪われて
いたか」について、多くの国民に知って欲しいのです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
あの中国が「ソフト鎖国」を目指し始めたワケ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
富坂聰
未来の戦争も視野に。
国際2022.06.28 18 by 『富坂聰の「目からうろこの中国
ロシアによる黒海封鎖に起因し、アフリカや中東諸国で深刻化する食糧危
機。先進国にとっても食料安全保障の確立は喫緊の課題と言っても過言で
はありません。そんな中、今や世界最大級の食料輸入国となった中国が、
14億人の国民が食べてゆく最低限の食料生産に全力で取り組み始めたよう
です。今回のメルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』では、著
者で多くの中国関連書籍を執筆している拓殖大学教授の富坂聰さんが、中
国共産党が見せている食料安保への本気の取り組みを紹介。さらに習近平
政権がそう動かざるを得ない理由を解説しています。
中国は本当にソフトな鎖国を視野に入れ始めたのか?
最近、中国経済の専門家たちと意見交換する機会を持った。
興味深かったのは、そこで話をした人々の何人かが、このところ国務院が
発表する統計に明らかな変化が見られると指摘したことだった。どこが変
わったかといえば、統計のなかで農業に関わる数字が目立って増えた、と
いうのだ。
もちろん農業政策(農村問題も含めて)は中国共産党にとっての「一丁目
一番地」。言うまでもなく最重要テーマだ。毎年、春節後に発表される
「一号文献」が必ず農業政策に関わるものであるのは象徴的だ。しかし、
とはいってもそこは本音と建前である。貿易や工業生産の華々しい数字の
前に隅の置かれてきたのが実態だった。
だが昨今の傾向は、それとははっきり区別されるのだ。
豊作に恵まれた、種付けが終わった、機械化の割合が上昇した、新しい生
産方法が生かされた……。たしかに国家統計局な公表する数字のなかでも、
その傾向は明らかだ。上海を筆頭にロックダウンが続き、消費や貿易、工
業生産が落ち込み、芳しい数字がなくなったため農業生産でお茶を濁そう
としているとの見方もあるが、どうやらそうでもないようだ。
6月22日には中国中央テレビ(CCTV)が李克強総理の主催した国務院常務
会議の内容をニュース(新聞聯播)として報じた。そこでは緊急性の高い
防災関連(南部で起きている洪水)に続いて農業生産に関する聞き取りを
伝えていた。
農業生産の重要性は、会議のなかで「現在の複雑で厳しい状況やインフレ
が加速する国際環境下において」高まっていると説明されている。インフ
レが庶民の生活を直撃しているという事情もあるが、中国共産党中央が食
糧安全保障を強調するようになったのは、インフレが問題になる前からの
ことだ。
ある研究者は「習近平政権のこのところの農業へのテコ入れは、未来の戦
争を視野に入れた動き」と指摘する。
もちろん、台湾侵攻への備えといった漫画チックな話ではない。主眼は攻
めよりも守りに置かれているからだ。また備えているのは、戦争だけでは
ない。
ロシアによるウクライナ侵攻から3ヵ月の間に少なくとも世界20カ国が何
らかの形で自国の食糧の輸出に制限を加えているのだ。
アメリカの対中攻勢──バイデン政権というのではなくワシントンに根付い
た中国敵視──も懸念材料だ。「中ロ」という枠組みで、激しい制裁にさら
される未来を見据えざるを得ないのだ。
いずれにせよ、どんな事態に陥ったとしても国民が食べてゆく最低限の食
糧はきちんと確保したい。その目標のに向けて中国が本気で動き出したと
いうことだ。大豆、トウモロコシ、油の輸入大国として知られる中国だ
が、基本的に国民が食べる穀物の需要は国内で満たすことはできる。その
上にさらに大きな躍進を目指そうというのだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━
ウクライナ軍事支援の拠点化
━━━━━━━━━━━━━━━━
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆☆◇◆◇☆◆◇◆☆◇
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和四年(2022)6月24日(金曜日)弐
通巻第7380号
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ポーランド、ウクライナ軍事支援の拠点化
単独でも16億ドルの武器をウクライナへ送った
****************************
ポーランドのモラウィッキ首相に拠れば、ウクライナへの軍事支援は合
計16億ドル(邦貨換算2160億円)に上るという。T72戦車を
200両(代わりに米国からエイブラムズ戦車250両)、自走榴弾砲、
ドローン、携帯式防空システム「MANPADS」、ライフル、マシンガ
ンなどである。
くわえて西側からの武器支援は殆どがポーランドを経由するため、北の
バルト海に面するグダニスク港にはベルギーやデンマークなどからも戦
車、装甲車が大量に陸揚げされ、大型トレーラーに積み込まれている。ま
た東側のジェシュク市には飛行場もあるので輸送機が頻々に到着している。
ポーランドは16世紀にリトアニアと共立の王国、その後のポーランド
王国は、ベラルーシ、ウクライナを従えたほどの大国だった。
このためウクライナには近親観と反発心が同居しており、カソリック信
者の難民がポーランドを目指した。ロシア正教信者は、ロシアへ非難した。
ポーランドと言えば、古都クラコウには日本文化センターがあり、その
南西がアウシェビッツである。グダニスクは東西冷戦末期に組織化された
『連帯』発祥の地であり、ワレサ初代大統領の地盤でもあった。ちなみに
現地ではグダニスクはグダンスク。ワレサはヴァレンツァと発音する。
当時、西側はポーランド支援に熱心で、欧米の投資が続き、証券取引所
も開設された。ポーランド政府の招待で、日経、共同、産経記者等とワル
シャワに一週間滞在したことがある。
夜が明けるのが午前十時頃、午後二時には暗くなる。町のネオンやセー
ター、看板が赤、黄色、緑の原色が好まれるのは、その反作用だろう。T
シャツ工場で紫色の見本を一枚買ったが、洗濯したら染料がはげ落ちた。
すさまじい安物を造っていたのが90年代後半のポーランドだった。
ワレサとの会見はできず、ヤルゼルスキー元大統領がインタビューに応
じた。その二年前にも西ベルリンから列車でワルシャワに入り、タクシー
でグダニスクへ行った。当時、日本食堂は一軒だけ、中国人労働者が餃子
をたべにきていた。
五年ほど前にワルシャワへ行ってみたが、様変わり。ワルシャワ駅周辺は
大都会、高層ビル、寿司屋が数軒。日本風の居酒屋もあった。
駅前のマリオットホテルは安倍首相訪問時に宿舎となった。ロビーにはフ
ランクフルトで印刷、空輸された日本経済新聞があった。
ワルシャワ進出の日本企業は数百社に及び、1500人前後の駐在日本人
がいる。現地の緊張感を聞きたいものである。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
★読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声★
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
♪
(読者の声1)ルパート・マードックが四番目の妻と離婚のニュース。そ
れにしても、欧米人って、どうしてこうもくっついたり、離れたりが年中
行事なんでしょうね?
マードックの場合、三番目の妻が中国のスパイと呼ばれましたが、具体
的にどのような報道姿勢の変化があったのでしょうか?(HS生、横浜)
(宮崎正弘のコメント)新聞王マードックとマックスウェルの熾烈な買収
合戦は流行作家ジェフリー・アーチャーがモデル小説にもしましたが、世
界の新聞、テレビをつぎつぎに買収しマックスウェルは敗れてヨットで行
方不明に。
マードックは最終的には香港からアメリカへ上陸、フォックスニュー
ス、ウォールストリートジャーナルを傘下に収めます。『マスコミ王』と
呼ばれるゆえんです。
最初の結婚は1966年パット・ブッカーとの間に一人娘。二番目の妻
はアンナで三人の子供、三番目が問題女性ウェンディ・デンで、14年連
れ添い、娘がふたり。
このデン女史は強烈な野心家で徐州生まれ、イェール大學でMBA取得
後、香港のスターTVでまたたくまに副社長に登り、社長だったマードッ
クを籠絡、中国共産党とのコネを拡げます。
マードックは香港で名門サウスチャイナモーニングポストを所有していま
したが、マレーシア華僑に売却、同紙はその後、アリババの馬雲が買収
し、いまでは中国よりの論調に路線変更。これはマードックと関係がない
ことです。
そして四番目の妻が流行モデル、女優のジュリー・ホール。マードック
91歳、ホール65歳。タフマンですねぇ。
(読者の声2)四月頃から河南省で銀行の取り付け騒ぎが起きているよう
ですが、その後日本では報道がありません。恒大集団のデフォルトと関連
があるとも言われましたが、何か『その後』の情報があれば(IS生世田
谷区)
(宮崎正弘のコメント)河南省鄭州が拠点の河南銀行は、河南新財富集団
が率いる銀行集団で、省内に13の関連金融機関をもち、およそ40万人
の口座があります。取り付け騒ぎは春頃から起きており、ATMから現金
が引き出せないと連日、座り込みのデモ。当局が抗議者を逮捕して沈静化
させましたが、預金の60億ドルは蒸発したまま、トップは米国へ逃亡し
たらしい。
創業の劉義(音訳)は香港中文大学でMBA、北京大学で国際法をマス
ターしたとされ、河南省の高速道路事業で当てて、国際的なビジネスに乗
りだし、パリ、ジュネーブなどにも支店を設立、食品事業を拡げ、
2016年にキプロスでも会社を設立しました。キプロスはマネーロンダ
リングのメッカとして知られます。
経営がおかしくなったのは恒大集団との取引ではないかと噂され、
CBIRC(中国銀行保険証券監査委員会)が査察に入っていました。
恒大集団は事実上倒産しているのに、どういう処理をするのか、闇の
中、いかにも中国的『市場経済』です。
━━━━━━━
重 要 情 報
━━━━━━━
◎岸田文雄内閣総理大臣の考察と彼に望むこと:前田正晶
もう内閣総理大臣就任後8ヶ月目が終わろうとしているのだから、私が岸
田文雄氏をどのように見ているかを述べてみようと思う。
風の便りに聞いたのだが、アメリカ西海岸の南部に住む日本人の間では岸
田文雄総理の評価が余り高くないそうなのだ。私は常日頃から「アメリカ
のテレビや新聞は殆どと言って良いほど、日本のニュースなど取り上げな
い」と言ってきた。では、彼らアメリカに永住するような同胞がどうやっ
て日本国内の情報を手に入れているかを取り上げてみよう。
私が知る限りでは、アメリカの何処にいても我が国の新聞のその日の朝
刊が、大袈裟に言えば簡単に読めるのだ。それは、東海岸ならば13時間、
西海岸では16時間の時差を利用できるから、朝にはアメリカで印刷された
日本語の新聞が読めるのだ。日本国内の朝刊の原稿は前日の深夜には用意
できるのだから、それを直ちにアメリカに送って印刷すれば十分間に合う
のだ。
私は実際にシアトルのFour Seasons hotelでは朝食で読売新聞と日本経
済新聞が読めていたので、ブレックファストミーティングがない限り、朝
刊を読んでから仕事に出掛けていた。また、ロスアンジェリースの邦人た
ちの間では「頂門の一針」が情報源として読まれているとも聞いている。
という次第だから、アメリカにいても、時差を利用して日本国内のニュー
スが遅滞なく届いてくるのだ。
私には岸田文雄総理の現在までの総理大臣としてのご活躍振りを余り批
判してこなかった。だが、海の向こうの方々は我々よりも限定された情報
量から、岸田氏を見る目には厳しいものがあるようなのだ。私には国内で
は情報の過多であって、かえって判断に迷わされているような気もするのだ。
私は安倍内閣の頃から「次期総理の呼び声が高い岸田文雄氏の演説は抽
象的で、聞き手を魅了しない。あれでは安部総理の後継となるの
は・・・」ということが内部でも語られていると、漏れ聞かされたことが
あった。だが、そうと聞かされても当然のことで、彼と接触がある訳では
ないのだから、実感がなかった。しかし、実際に総理に就任されると「検
討使」と揶揄されたように、常に慎重に検討される安全第一主義の方のよ
うにさえ見えた。
しかしながら、飯島勲氏が指摘されたように元外務大臣の経験を活かさ
れて、海外を回られて大いに外交能力を発揮されたし、ロシアのウクライ
ナ侵攻に対する制裁にも積極的に振る舞われ、大いにその存在感を高めて
こられた。その一方では、私には極端な円安、それにも起因する物価高、
エネルギーコストの上昇等々の難しい問題への対応があるにも拘わらず、
G7への出席等に出向かれるのは如何なものかと思ってしまう。電力供給不
足に対する対応も十分とは思えない。
それはそれとして、岸田総理が次回のG7の会場を広島に決められたこと
には疑問を感じざるを得ない。それは「被爆地は広島だけではなく、長崎
がある」からだ。私には遺憾ながら、ご自身の選挙区である広島を選ばれ
たのは「我田引水」的に見えてしまうからだ。長崎に対する配慮が欠けて
いないか。東京都内の開成高校から早稲田大学ご出身でも広島を選挙区に
されているからなのかと思ってしまう
過日、ある評論家が「国会議員は選挙区である地方の為に働いているだ
けで良いのか。そうではあるまい。国家と国民の為に働くべきだ」と指摘
していた。尤もだと思って聞いた。彼がまさか岸田総理を脳裏において指
摘していたのかどうかは知る由もないが、そうだったとしても仕方がない
ように思えた。私はG7も我が国にとっては重要なことだとは思うのだが、
国内の重要案件を優先して欲しかった
岸田文雄総理には物事の優先順位をお決めになる際に、国内の重要案件
と国際的な問題の何れが国家と国民の為かを繰り返して慎重にご検討願い
たいのだ。何処かに2億ドルを供与されるのも結構だ。だが、東京電力管
内で節電に協力すればポイントを与えるというような弥縫策で、この市民
にとって重要な電力供給問題のお茶を濁していられては感心できないのだ。
◎2時間の充電で20km走行の費用は¥14:前田正晶
電力の供給不足の時期にEVを強力に推進するのは如何なとつい思ってしま
うので、その辺りを考えて見ようと思う
この見出しは、近頃は余り見ていない、テレ東の人気番組なのだろう出川
哲朗の「充電させて下さい」での、電動バイクの充電の実態である。2時
間かけて、電動アシスト自転車の電池よりは大型と見える電池の充電が2
時間かかるという知識を得た。そもそも、EVとやらに全世界の自動車が置
き換わってしまう頃まで自分が生き長らえているとは到底考えられないの
で、自動車の電気化には殆ど関心がなかった。
だが、現在の東京電力管内だけの現象かどうかも知らないが、「電力の
供給が危機的になってきたし、原子力発電所は2ヶ所か3ヶ所しか動かせて
いない状況」で、「天気が悪くなれば太陽光パネルからの発電が落ち込み
という時期」に、「如何なる目論見があってEVを全メーカーが挙って強力
に推し進めるのだろうかな」と、少しばかり考えるようになった。
「無学者論に負けず」じゃなかった「無知識者論を吹っ掛ける」積りな
ど毛頭ないのだ。だが、「充電を必要とする(のだろう)EVを大量に市中
に出すのは二酸化炭素問題対策などには結構なことだ」と十分に理解でき
る。だが、「その充電を担当する電気スタンドを何処にどれほど設置し
て、その電気を何処から供給する態勢を整えるのかな」と思ってしまう。
国民に節電して下さいと命令するほど不足している電力を、何年か先にど
れほど供給能力を増やせるのだろうかと疑問に思う。
いきなり余談になるが、真面目に英語というかカタカナ語を取り上げる
が「ガソリンスタンド」というカタカナ語を先に作ってしまったのでEV
用には「電気スタンド」となりはしないかと指摘したまでだ。以前に何度
も述べておいたことで、英語では“gas station“だったのだ。だから、
「電気ステーション」にすれば済むことだろう。
その電気ステーションだが、疑問に感じていることがある。それは、出
川哲朗の電動バイクのあの小型の電池でも充電に2時間もかかっているこ
とから考えると、何百キロも走ろうとするEVの充電には、何時間かかるの
かなという不安感。「そんな事は既に承知していて、対策を着々と打って
ある」と言われれば、それで結構だと思う。だが、EVの1台の充電が仮に2
時間で終わったとしても、電気ステーションには何十台もの充電機を設置
しておかないと、延々長EVの列が出来るのではないのか。
その「オールEV化」が終わるのが何年先か知らないが、その頃に「電力
供給ドンと来い」の体制が整うものなのだろうか。私が心配しても無意味
なのだが、不思議なEV化の方向のように見えるのは、無知識者だからなの
だろうか。
私は、そんな何年も先のことはどうでも良いのだ。それよりも「たった
今、安心して猛暑対策で室内の空調を目一杯動かして、安心して暑さに対
応した生活がしたいだけ」なのだ。電力が危ういのならば、例えば、NPB
に「全試合を昼間にして欲しい。甲子園で真っ昼間開催して高校生も観客
も無事だったから」と要望したら如何。コンビニエンスストアにはそれで
なくとも苦境に立たされている夜間の営業を止めて事態を乗り切ることの
協力を」と要請したら如何か百貨店は既に種々やっているのだから。
岸田総理は折角諸外国の首脳に会っておられるのだから「この重大な
電力供給危機を乗り切る為に、火力発電所を短期間稼働させて国民を安心
させるのからご理解を」くらいのことを言って頂けると嬉しいのだが
なー。何処かの地区に向けて2億ドルを供与されるのも立派だと解るが、
自国民の苦境を救われるのもお忘れなきようとお願いしたいのだ。私には
総理は何か優先順位のつけ方が宜しくないように思えてならないのだが、
私の僻目か。
◎9条があると油断をしてゐたら、どんどん増える拉致の被害者:北村維康
どうやって暮らしを守るの憲法を拝むばかりの精神分裂
戦力を持つなと禁ずる九条で、如何にせよとの国の窮状
平和憲法あると安心してゐたら、家族は拉致され誰も助けずブルーリボ
ンバッヂ着けてる岸田さん、それを泣かすないつまで検討