2008年06月23日

◆よど号犯、「帰国すべきでない」

石岡 荘十

日朝間の公式実務者協議(6/11・12)の波紋が広がっている。そんな中、
よど号のハイジャック犯9人のうち、現在北朝鮮に生き残っている4人
について、ハイジャック計画の首謀者であり、直前に国内で逮捕されて
実行犯とはならなかった塩見孝也氏(67)、元赤軍派議長は、「(いま
さら)帰国すべきでない」との考えを筆者に明かした。

塩見氏は70年、「このままでは安保は乗り切れない」として武装革命集
団・赤軍派を結成し自ら議長に就いた。具体的な闘争として、航空機を
ハイジャック、北朝鮮かキューバに渡り、ここを拠点に世界同時革命を
起す計画だったが、3月15日、警視庁公安部に逮捕され、残る田宮高麿
ら9人が31日、日航機「よど号」を乗っ取りを実行、北朝鮮に入った。

以来38年、よど号犯は、金日成の庇護の下、政治思想・主体(=チュチ
ュ)思想)を学習しながら、貿易会社の経営に当たってきたとされるが、
この間、5人が病死、事故死または海外に出たところで逮捕され、現在、
北朝鮮に残っているのは4人となった。

生存が確認されているのは、
・小西隆裕(63)
・若林盛亮(61)
・安部公博(60)
・赤木志郎(60)

だが、このうち安部と病死した田宮高麿の妻・森順子、若林の妻・佐喜
子(旧姓黒田)の3人は、ヨーロッパ留学中の日本人学生・石岡亨さん
(当時22)と松木薫さん(当時26)の2人を93〜94年拉致した疑いがも
たれている。

有本さんと石岡さんは、85年結婚したが事故死した、松木さんの消息に
ついては「調査中」とされている。

さて、実務者協議の目玉は大雑把に言って、核問題と拉致問題、この2
つだが、その後の新聞などの論調を見ると、テロ支援国家解除の条件に
ついて、核問題については米国が熱心だ。しかし、拉致についてはそれ
ほど重要だとは見ていない、日本だけが置いてけぼりを食うという雰囲
気だ。


日本国内からの拉致については、再調査するといっているそうだが、従
来のあの国の手口から言って、大きな進展につながると考えるお人よし
は居ないだろう。

一方、海外での留学生拉致犯とハイジャック犯は、すぐにでも、日本に
送還されるのではと見る向きもある。だが、これもそんなにすんなりと
は実現しないと私は思う。

その根拠のひとつは、北朝鮮側が「日本の捜査当局には協力しない」と
言っていることだ。在朝4人は北にとってお荷物になっている、厄介払
いしたいところだが、犯人引渡しのようなことはしたくないという考え
だ。

自分たちが自主的に日本に帰りたいというなら「どうぞ、邪魔はしませ
ん」というレベルの話だ。

しかし、在朝4人のこれまでの発言をみると、図々しくも「無罪帰国」
(帰国しても刑事責任は問わない)を言い続け、そのための日本との交
渉の場を作れと主張している。それが帰国の条件だという。

欧州での拉致も認めていない。彼らが「北に行きたい」というので「連
れてきただけだ」ととぼけている。曲がりなりにも法治国家である。彼
らの言い分が通るとは思われない。

そんな中で6/19、塩見氏に聞いた。彼は懲役18年の刑期を終わって89年
の暮れ出所。それ以降、40回以上北朝鮮に渡り、彼らと会って言い分を
聞いている。

「友人としていま言いたいことは、刑事責任に問うなとか、連れてきた
だけとか何とか言い訳をしないで、もっと早く帰国すべきだったという
ことだ。小異を捨てて大同につくべきだ。

自分たちがやってきたことを認めて、『それでも不屈に闘う』というメッ
セージを国民に発すべきだ。しかし、いまとなってはもう遅い。

時期を逸した。北に骨を埋めなさいと言いたい。人間のありようからし
て、そうして前向きに生きていくべきだ」

よど号犯の妻7人、子供17人がすでに帰国している。塩見氏のこの発言
をどう受け止めるだろうか。         20080620

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