2008年06月24日

◆「怖くなった心房細胞」を読んで


                   毛馬 一三

本欄の常連筆者・石岡荘十氏が「新潮45」7月号(6月18日発売)に掲載された「団塊世代に捧げる・なめるとコワい心房細動」を読み、正直言って震撼させられた。

同内容は、九死に一生を得た長嶋茂雄元監督と、亡くなった小渕・橋本両元首相の3人病状の共通点が、「心房細胞による脳梗塞」の可能性が高いと言い切っていることだ。

たしかに長嶋元監督のことは石岡氏が以前に本欄に綴った記述を読んで、それなりに承知していたが、まさか小渕・橋本両元首までもが同種の病気が元で還らぬ人になったとはショックだった。

私事ながら筆者は先月末の夕方、自宅で激しい眩暈と嘔吐に襲われて立ち上がることも叶わず、救急車で大阪私立病院の脳神経外科専門医のもとに搬送された。

実は4年前にも同様症状で入院したことがあり、今度は脳梗塞へでも進行したのかと心配したが、CTとMRI(磁気共鳴画像)等の検査の結果、専門医から「自律神経からの不具合によるもので、脳や心臓には異常なし」との診断を貰い、無事早期退院が出来た。

とはいうものの、やはり「頭の病気」は怖い。ふらつき状態が完治せず「脳梗塞」にでもなった時はどうしたらいいものかと思い巡らしていた矢先に、この石岡氏の記事に出喰わせた。

この中で石岡氏は、難解な医学記事とは思えない平易な文章と、読者を惹きつける明快な論旨を展開して、「心房細動による脳梗塞のコワさと日頃の心構え」を誰にでも分かるように下記のように綴っている。

i)要は、心房の筋肉がぶるぶる震える不整脈の一つである心房細動が起こ  ると、血液が澱んで血栓が出来やすくなる。
i)心房細動について、本人、家族は心臓が発するアラームであることをい  ち早く察知する知識と適切に対応を会得しておく必要がある
i)「胸が何となく重苦しい。脈拍が跳んだり時々途切れたりする。息苦し  いことがある」と感じた時、これがアラームだ。
i)心房細動は、「カテーテル・アプレーション」という最先端の治療法   で、治るのが常識となってきた。

石岡氏は、かの有名人3人の個々の症例を詳細に比較しながら、「心房細動」はコワいよと警告し、長生きするには「不整脈」に十分注意をしなければ、取り返しのつかないことになると、実に分かりやすく詳述している。

ところで知人の大阪市立病院の安井敏裕脳神経外科元部長から、この「心房細胞」に関する最近の医学情勢を、概略以下のように教えてもらった。

<わが国ではカテーテル・アプレーションの治療法が進んでいるが、米国では、1996年から特別な手技や道具が不要で、ただ静脈内注射するだけで詰まった血管の血栓を溶かしてくれるアルテプラーゼ(t-PA)と言う薬の使用が始まった。

これについてわが国では時間がかかったが(drug lag)、米国から遅れること約10年の2005年10月11日に漸く承認された。

この薬は血管に詰まった血栓を溶かしてくれる血栓溶解剤で、発症後3時間以内に静脈内注射するだけで良好な予後が得られる。

t-PAを用いるためには、一定の講習を受ける必要があり、全国で130回以上行われ、8000人以上が受講した。実際に、この薬剤を発症後3時間以内に注射するには、患者には、遅くとも発症後2時間以内に病院へ到着してもらう必要がある。

しかし、この薬剤は両刃の剣で、39項目に渡る使用基準を尊守しないと、脳出血の危険性が著しく増大することが分かっている。従って、厚生労働省も非常に厳しく市販後調査を課している。その意味では現状は、言わば試運転ないしは仮免状態であり、慎重に使用する必要がある>。

「たかが不整脈、心房細動」と舐めてかかるとやばいことになりますよと、と石岡氏は「新潮45」で結んでいるが、心臓に多少の違和感を覚える方は、是非この「新潮45」の石岡氏の記事を一読されるようお勧めしたい。(完)
  20086.22
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