2008年06月24日

鳩山法相は「死に神」なのか

                     川原俊明

連続幼女誘拐殺人事件の宮崎勤死刑囚に対するマスコミの評価で、気になる表現がありました。平成20年6月18日付け朝日新聞夕刊「素粒子」欄です。

「永世死刑執行人 鳩山法相 またの名、死に神」。
三流週刊誌の表題なら、軽く受け流す私も、全国紙を代表する新聞社が、こんな表現をしていいのだろうか、と疑問を持っています。
 
鳩山法相が、在任中最多の13人の死刑執行に署名したことをもって、この表現をされたのでしょう。
 
しかし、現在の日本の刑法では、殺人罪などの凶悪犯罪に対し、明らかに死刑に処すことがあることを、明記されています。
 
裁判所は、事件の諸事情を勘案し、相当の勇気を持って死刑判決を言い渡しているのです。死刑判決が確定した死刑囚に対し、死刑執行をするのは、法律に基づいたものであり、時の法務大臣は、死刑執行の義務があります。
 
私は、多くの刑事弁護を手がけておりますが、犯罪に応じた適切な処罰は、当たり前のことです。不適切な処罰に対しては、敢然と検察に立ち向かいます。

しかし、当該犯罪に相応する処罰であるならば、むしろそれが本人の更生につながるのです。それによって社会が良くなると思っています。
 
刑事事件における弁護士の仕事は、適切な量刑を求めることであり、被告人の量刑が単に軽くなればいい、と考えるのは間違っています。
 
そんな勘違いしている弁護士の多いことも問題です。
 
法律に基づいた死刑執行を非難するならば、法律を無視していることと同じです。法律の内容が不適切であれば、法律改正を考えるべきであります。

マスコミの議論は、次元が異なります。

東京の秋葉原での無差別殺人事件を見ても、最近の人の心の中に、相手を思いやる気持ちがなくなっているのではないか、あるいは少なくなっているのではないか、と心配しています。人は、100人いれば、100人とも、その背後に愛する家族があり、その人の過去未来の人生があります。

そんな人の命を簡単に切り捨てる者は、人間の皮を被ったケダモノにすぎません。人の命を無残に奪った者の人権が尊重されて、被害にあった家族の苦しみは、どうして報われるのでしょうか。

朝日新聞の前掲記事は、遺族の心を逆なでするものとしか思えません。                            (完)
                  
                 大阪弁護士会所属 弁護士
                            2008.6.19


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