2008年07月13日

◆飛び火する「居酒屋タクシー」

                      毛馬 一三

 <◆本稿は、14日全国版電子雑誌・「頂門の一針」に掲載されました。   末尾記載の目次をご高覧下さい。ー編集部>



東京霞ヶ関で缶ビールや金品などの提供を受けて問題化した「居酒屋タクシー」不祥事が、なんと大阪市にまで飛び火した。「裏金」で批判を浴びたばかりの大阪市職員が、なんと「居酒屋タクシー」にもまでも染まっていたのだ。

大阪市が、中央省庁の同上不祥事を受けて、07年4月から08年5月末までの間、職員が利用したタクシー券約7万5千枚の使用状況を、このほど調べた結果、分かったものだ。

「居酒屋タクシー」に関与していたのは、市健康福祉局の50代と40代の2職員で、このうち50代の職員は調査期間外を含めて個人タクシーの運転手から計38回、40代の職員は計10回、それぞれ「居酒屋タクシー」で缶ビールを満喫していたという。

ところがその前に、この大阪版の「居酒屋タクシー」を誘発させた市のタクシー券を、市職員がどうして自在に使用できたのか、その方が先に疑問が湧く。霞ヶ関ではあまり取り上げられなかった肝腎な話だ。

大阪市によると、それは大阪市の内部規則で、終電後に帰宅する時や緊急時に限りタクシー券を使用することができるとされているという。つまり予算編成作業や議会開催時の答弁書作成、災害時の緊急就労等で、終電に間に合わなかった場合にかぎり、市のタクシー券の使用を認めているというのである。

確かに就労が深夜に及ぶことが多々あることは否定しない。しかし市役所から主要鉄道網に直結する近くの市営地下鉄駅に向かうには、7〜8分もあれば十分間に合う距離にある。だとすれば緊急災害就労を除く一般事務については、終電に間に合うよう早々に切り上げ、タクシー券を気楽に使うことは避けるべきだ。

早い話、公務で遅くなれば税金で賄うタクシーを利用する位は当たり前という、市役所組織特有の「驕り」の長い慣習が、今尚息づいている所為であることに間違いはない。

まず民間では考えられない過剰厚遇だ。タクシー券を使って帰宅させると費用が嵩んで経営に響くため、終電車前に必ず帰宅を義務付け、勝手にタクシー帰宅をすれば自己負担させるというのが、民間の規則である。

この市タクシー券利用総額だが、なんと07年度だけで2億7千万円(約6万4千枚)を使っている。上記50代の職員は、終電時刻前にも一度、タクシー券を利用して京都府宇治市の自宅まで帰宅していたという。為すことに事を欠く。

そこで今回発覚したのが、この「傲慢」タクシー券使用の上に更に泥を塗る、東京霞ヶ関「居酒屋タクシー」の飛び火だった訳だ。

<缶ビールを提供していたのは大阪市内の個人タクシー運転手3人。運転手は市職員から電話で呼び出しがあると、まずコンビニで350ml入り缶ビール1本を購入し、市役所に迎えに行く>と言っているらしい。 (アサヒコム)

ある市幹部職員は、「恥ずかしい。タクシー券は仕事で日付が変わった時に使わせてもらうことはあるが、缶ビールの供与を受けるなんて、とても常識では考えられない」という。「個人タクシーを呼ぶ職員がいるということを聞いたことがあったが、このことに繋がっていたとは思いも因らなかった。この際過去からの悪弊は洗い晒しツブそう」と別の幹部職員もいう。

大阪市では、30局や区役所で計6億円を超える裏金や不明朗な金銭が発覚し、課長代理級以上の全管理職、約3000人に対する厳しい対応処分を決めたばかりだった。大阪市の悪の温床は止まるところを知らない恰好だ。

大阪市役所に飛び火したこの「居酒屋タクシー」不祥事に、大阪府の橋下徹知事も、「府庁に同様の不祥事がないかどうか、調査するよう総務部に指示する」と、メディアに話している。

いずれにしても真似しなくてもいい霞ヶ関の「居酒屋タクシー」不祥事は、今後全国の自治体に更に飛び火するのは間違いないのではなかろうか。                    (了)    08.07.12

◆「頂門の一針」 1248号 7月14日(月)刊
<目次>
・先行き不安だらけの日本経済:前田正晶
・飛び火する「居酒屋タクシー」:毛馬一三
・道州制の論議に欠けているもの:花岡信昭
・中国が第二の米国あり得ぬ:宮崎正弘
・ローソクデモに反撃開始:平井修一

  話 の 福 袋
  反     響
  身 辺 雑 記

購読(無料)申し込み御希望の方は、下記のホームページへ。    http://www.max.hi-ho.ne.jp/azur/ryojiro/chomon.htm


この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック