2008年08月09日

◆これからが「フライト本番」

<本稿は、メルマガ全国版「頂門の一針」8月9日号に掲載されました。「頂門の一針」へのご拝読をお勧めします。末尾記載をご参照の程を>          
                     
                        毛馬一三

本欄の常連執筆者の石岡荘十氏が、先般全国版電子雑誌「頂門の一針」に、ドクターヘリ「5千件フライトの検証」を寄稿された。

同氏は、国松孝次氏(救急ヘリ病院ネットワーク理事長)と、大阪府議会の光澤忍議員を通じて大阪府前知事に要請、「大阪ドクターヘリ就航」に貢献したキーマンの一人だ。

さて同氏は、同稿の中で、次のように記述している。

<怪我や病気で一刻も早い救急救命処置が必要な患者のもとに医師と看護師がヘリコプターで駆けつけ、その場で救急治療を開始しながら病院に患者を搬送するドクターヘリシステムが本格的な運用を開始したのは2001年4月。

2007年度にはドクターヘリ全国配備のため新法案も出来た。今年3月までに全国13道府県(14ヶ所)で運用されている。現在、ドクターヘリの運用が行なわれている道府県の実績は次の通り(数字は2007年度の出動回数)

・北海道    433
・福島県     27
・埼玉県     30
・千葉県    686
・神奈川県   345
・静岡県東部  611
・静岡県西部  702
・長野県    330
・愛知県    470
・大阪府     12
・和歌山県   379
・岡山県    475
・福岡県    369
・長崎県    394

このうち、埼玉県は2007年10月、大阪府と福島県は2008年1月、運航を開始したばかりなので、実績はまだ少ない>。

同氏は、大阪の出動回数が12件と少ないのは、就航開始から3ヶ月しか経っていないためだと説明している。しかし察するに石岡氏の本当の心境は、大阪が大都市のモデルとして先行就航した実績を基に、首都圏東京のケツを叩く材料にしたかったのではないだろうかと思えてならない。

果たして同氏は、このあとこう続けている。

<首都東京都はどうなっているのか。

昨年11月から、「東京型」ドクターヘリを運用しているという。ところが、これは離れ島などで病人が出たとき、消防庁の防災ヘリがどこかで医者を拾って乗せ、患者の搬送に向かうという方式で、都心部での患者にドクターヘリは必要ないという判断だ。

救急車で十分間に合うというのだが、これでは世界の先進国で常識となっている救急体制に較べ、交通渋滞の中を駕籠で病人を運ぶようなものだ。(略)東京都民がかわいそうだ。

1970年にドクターヘリを導入した、いわば草分け的国家であり、面積にして日本より小さいドイツでは、80ヶ所に拠点がある。「全土どこへでも15分以内に現場到着」を謳っている。これと較べると、日本人はかわいそうだ>と。

光澤府議を通じ大阪府知事へ橋渡しを依頼した筆者も、石岡氏の秘めた「大阪の稼動実態」への心境が気になったので、大阪府医療対策課の責任者に「低迷?」のわけを尋ねた。

すると、大阪ドクターヘリの出動件数は、2007年度(2008年3月迄)12件だったのを既に超え、実は2008年7月末までに前記の3倍の36件に達している、と明らかにした。

ただこの出動件数は、救急救命病院の少ない僻地を抱える他府県の出動とは根本的に違い、大阪ドクターヘリは、救急車が出動する都心部とは異なる、府下郡部の重症患者の救急救命出動に限られるため、出動回数はある程度制限されるのは止むを得ないと説明する。

では、「このままの状態で推移するのか」と重ねて訊いてみた。

大阪府としては、さらに出動回数が増えるように、今ある府北部の阪大付属病院の唯一の基地局に加えて9月から、府東部の八尾空港に新基地局を設けることで、府東・南部を短時間で網羅するシステムを作り上げ、府郡部地区の救急救命出動件数を増やして行きたいという。

しかも、9月1日大阪湾周辺で行われる「防災の日」には、近畿南部の激震災害を想定した救助活動訓練に同ドクターヘリを参加させ、災害被害に遭った重症患者を海上自衛艦の甲板に搬送して救急救命医療に当るなどの訓練も行い、緊急大震災災にも対応するという。

いずれにしても、大阪府では、各地の消防本部や救急救命専門協議会等と緊密に連絡を取りながら、重症患者の適切な搬送出動に当り、実積向上に繋げたいとしているのだ。

橋下知事も、大阪ドクターヘリには共感と理解を見せている、と関係者はいう。

確かに出動回数の「数」より、助けた「質」の数を優先という説もある。しかし府民・近隣府民を医師・看護師付きのヘリに収容して短時間で搬送し、いかに多数の「重篤患者の命」を救うのか、その「数」も大きなキーワードになるのではないだろうか。(了)2008.08.08

 ★メイル・マガジン「頂門の一針」 1276号 平成20年8月9日(土)

<掲載目次>
・中共独裁は続くのか?(上):平井修一
・外貨流入規制に姿勢を変更:宮崎正弘
・これからが「フライト本番」:毛馬一三
・海で泳ぐということ:馬場伯明
・『e‐pros通信』8月7日号 :大釜茂璋

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