2008年08月17日

◆妖艶「西馬音内」盆踊り

渡部亮次郎

秋田県羽後町のお盆の夏の夜を彩る西馬音内(にしもない)盆踊り(国指定重要無形民俗文化財)。この祭の起源は記録されたものがまったく無いために、すべて言い伝えによるものである。

秋田県南部の雄勝郡(おがちぐん)羽後町(うごまち)西馬音内(にしもない)でのお盆のお祭である。

秋田県内には、このほかにも有名な盆踊りがあり、8月の月遅れのお盆行事として15,6日頃から若者を興奮させる。女性の妊娠数も多くなると昔は色っぽく語られたものだが、過疎の現在は踊りの維持さえ大変なようだが、頑張っている。

西馬音内の呉服屋の息子矢野恵之助君と秋田高校2年の時、同級生になったが、郷里は汽車でも通えないぐらい遠いので、秋田市内に下宿していた。しかし盆踊りなど我々の話題にはならず、専ら演劇と小説に熱中した。

西馬音内の盆踊りは、1288〜93の正応年間、源親という修行僧が御嶽神社(当時蔵王権現)を勧請して、ここの境内で踊らせたものという説がある。

これが1601年(慶長6年)城主の小野寺茂道一族が滅び、その家臣たちの子孫が主君を偲んで8/16〜20までの5日間に西馬音内寺町の宝泉寺境内で行った亡者踊りと合流し、さらに1781〜89の天明年間に本町通りに移り現在まで継承されてきたものと伝えられている。

現在は月遅れのお盆を中心とした毎年8/16〜18まで西馬音内本町通りでかがり火を囲んだ細長い一つの輪をつくり、幻想的なひこさ頭巾とあでやかな端縫い衣装の踊り手たちが、にぎやかで勇ましく野性的なお囃子にあわせて、夕方から夜更けまで踊り続ける。

篝火にぼぉっと浮かぶひこさ頭巾に酔う  ひこさ頭巾。

黒い覆面をかぶった踊り手。ひこさ頭巾は、踊り手の表情がまったく見えず、亡者を連想させ幻想的な雰囲気をかもし出す。

秋田県由利地方(日本海岸)の「はなふくべ」や山形県庄内地方の「はんこたんな」と関連があるとか、歌舞伎の黒子がヒントになっている等、諸説あるが、ハッキリとした由来は分からない。

4〜5種類の絹生地をあわせて端縫った衣装で、女性が多く用いる。この場合はひこさ頭巾ではなく、編み笠をかぶり、帯の結び方は御殿女中風な形になる。

多くの人に見守られながら踊る女性達は、図柄と配色に工夫を重ね、少しでも人目を引くように苦心したことだろう。中には祖母から母へ、娘へと代々受け継がれて来たものも少なくない。

編み笠ごしには踊り手の表情はほとんど見えないが、うしろ姿の美しいうなじが魅力的だ、と殺到する観光客はいう。

指先の柔らかいくねりに酔う 。

囃子はやぐらの上で"よせ太鼓"、"音頭"、"とり音頭"、"がんけ"の4種類がある。お囃子には、笛、大太鼓、小太鼓、三味線、鼓、鉦(すりがね)などのほかに唄い手が加わる。

西馬音内盆踊りの魅力は、実は美しい踊りとはまるで趣を異とするこの囃子という人もいる。世を風刺したもの、野趣叙情溢れるもの、からっとしたエロティシズムを匂わすもの等、多彩な即興詞で踊りを盛り上げる。


これらは通りのほぼ中央に組まれる踊りの輪の外側の特設やぐらの上におり、その左右の柱には「五穀豊穰」「豊年満作」と書かれた長灯籠がかけられ、周りには幔幕が張られる。

音頭の歌詞(一例)

踊るて跳ねるて 若いうちだよ おらよに歳ゆけば なんぼ上手に 踊てみせだて 誰も見る人ねぇ

西馬音内おなごは どこさえたたて 目に立つはずだんす 手つき見てたんせ 足つき見てたんせ 腰つき見てたんせ

いやよいやよは おなごの常だよ なんなら試してみ 一寸引かたば 五寸も寄てきて それでもいやだとさ

がんけの歌詞(一例)

お盆恋しや かがり火恋し まして踊子 なお恋し

踊る姿にゃ 一目で惚れた ひこさ頭巾で 頭しらぬ

踊ってみたさに 盆踊習った やっと覚えたば 盆がすぎた

踊り踊らば 三十が盛り 三十過ぎれば その子が踊る

踊り踊れよ 夜が明けるまで 響く太鼓に 月がさす

踊りには"音頭"、"がんけ"の2種類があります。にぎやかで勇ましく野性
的なお囃子に対して、優雅で流れるような上方風の踊りが西馬音内盆踊
りの特徴だ。特に女性の指先の柔らかなくねりと、美しいうなじはこの
踊りの大きな魅力の一つだと、人は言う。

美しいうなじと、色っぽい踊りに魅かれて編み笠のなかを覗き込んだら、
実はたいそうお歳を召したおばあちゃんだったという話があったとか...
でも実際にあってもおかしくない話かもしれない。ん。

参考:羽後町のホームページ 美しき水の郷あきたTOP
http://www.pref.akita.jp/fpd/bunka/nishimonai.htm
2008・08・14

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