2008年09月09日

◆「情報化と人間の生き方考」(前編)

     
眞鍋 峰松(評論家)

最近になって、情報化社会がいよいよここまで進展してきたのか、と強く感じさせられる社会現象が多く見受けられるようになった。 

その最たるものが、今や少々旧聞に属するが、IT企業による旧来のマスコミ産業株の大量取得、強制的とも思える事業参画事件の続発だろう。 

当時、この一連のマスコミ産業界の騒動こそ、大きな目で鳥瞰すれば、これまで製造業界、金融界、流通業界と引き続いてきた一連の各業界のグローバル化に伴う再編の波が、いよいよマスコミ界まで及んできたもので、これまで他人ごとのように批判・評論してきた既存マスコミ人の狼狽振りが少々滑稽に思える。

 だが、その進展ぶりは、何もこれに限らず、もっと身近なところでもいっぱい起こっている。消費行動におけるネット販売の普及やネット犯罪の横行などもよく知られた例だ。 
だが、何よりも情報化の進展は、個人レベルの社会生活の中では、その人のアイデンティティの組織離れということに大いに関係してきているのではないだろうか。
   
かって、サラリーマンが企業戦士として高度成長を支えてきた時代には、個よりも役割を優先する日本的意識はそれなりに機能してきた。

だが、こうした肩書き優先社会では、退職や失業などにより所属してきた組織を失うと、個人のアイデンティティも失われ、ヘタをすると人間としての存在価値そのものが奪われる結果となる。

ここにきて、一挙に増加傾向を示しつつある中高年男性の自殺や熟年離婚のなども、役割と人格を混同し社会や配偶者などと個として向き合うことが少なかったことの裏返しの現象の一つ、ということだろう。(後編に続く)
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