川原俊明(弁護士)
今年の新司法試験合格者が発表されました。2065人で合格率33%。
この結果は、様々な問題を含んでいます。元来、国は、法曹人口を拡大し、年間3000人の司法試験合格者を輩出する目標を設定しました。無医村ならぬ、無弁村をなくそう、との方針です。
その下に、近年、合格者は、年間1000人、1500人と徐々に増加してきました。日本弁護士連合会(日弁連)も、年間3000人合格路線を容認してきました。
ところが、昨年の司法試験合格者の深刻な就職難という現状は、安易な法曹人口の拡大方針に警告を発したものといえます。
しかしながら、基本的には、日本の法曹人口は、世界に比して極端に少ないのです。したがって、現代の錯綜した法律関係のもとでは、裁判官、検察官を含めた法曹人口の拡大傾向は、社会の要請ともいえるものです。
しかるに、日弁連は、近時、会長声明によって、増員問題に水を差すかのような、軌道修正路線を表明しました。たしかに、就職難の現実を目のあたりにして、増員抑制案は、やむを得ないのかも知れません。しかし、考えてみれば、日弁連の方針変換も無責任です。
3000人合格方針を信じて、すでに数年前から、若者達は、ロースクール受験生になるべく、今まで勤めてきた会社を捨て、預貯金をはたき、あこがれの弁護士を目指して、法律の世界に飛び込んできているのです。
旧司法試験に比べれば、弁護士になれる確率が高く、法律を学んでこなかった他分野の人材を法曹人として育てる、というロースクール制度の高邁な方針に共鳴して、多くの若者が新司法試験に挑戦しようとしているいるのです。
日弁連の変身は、法曹を目指す若者にとって、迷惑な話です。当初の合格率予想は、70〜80%程度でした。それならば、むしろ、ロースクール卒業生に対し、新司法試験合格者に対してはもちろんのこと、仮に、司法試験に合格しなくとも、ロースクールでの勉学の成果を習得した若者たちを、国や地方公共団体、企業が、何らかの就職の場を提供するべきでしょう。
増加する法曹人口に対し、社会が受入体制を築く必要があります。ちなみに、就職活動により、法律事務所で勤務する弁護士のことを「イソ弁」、といいます。近時、就職難の落とし子として、法律事務所に籍だけ置かせてもらうが、給与は出ない「軒弁」(のきべん)といわれる弁護士がいます。法律事務所の軒先も貸してもらえず、給与ももらえないで、最初から自宅で開業せざるを得ない弁護士のことを「宅弁」(たくべん)といいます。 「軒弁」、「宅弁」は、近年の新造語です。
熟練弁護士の指導を受けない「宅弁」は、事件を依頼する立場からは、果たして任せていいものかどうか、問題かもしれません。
裁判員制度が、来年から施行されます。裁判に対する国民の関心は増大します。これにともない、ますます法曹人口の拡大は、不可避でしょう。しかも、高い合格率を維持するためには、肝心のロースクールでの法曹教育体制を再検討すべきです。
今まで以上に質の高い実務的な法曹を、ロースクール教育に投入すべきでしょう。そのうえで、法曹人口を増やしていくべきだと思います。(完)
2008年09月17日
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