2008年09月30日

◆政治家秘書の実際

渡部亮次郎

「お尋ねします」といって「政治家の秘書の実際の仕事とはどんなものなのでしょうか。『頂門』にご執筆いただければ幸いです」と問合せがあった。小泉純ちゃんの飯島秘書は凄腕だったそうですが、とも書き添えてあった。

政治家の秘書というのは公設や私設あり、政策秘書というようなものまであるようです。ネットで調べると、
<国会議員の場合、公設秘書として第1秘書、第2秘書、政策担当秘書の3人まで、公費で雇用することができる。議員のスケジュール管理から、陳情団への対応など、議員の代行業務などをこなすことも多い。>などとあり、

<国会議員政策担当秘書資格試験
国会議員政策担当秘書への道がひらける資格。政策スタッフとして議員をサポートする

国会初の国家資格制度。国家公務員I種と同等の超難関資格で、合格すると合格者登録簿に登録される。その後、個別に国会議員と面接し採用されれば、国会議員政策担当秘書として、議員をサポートする政策スタッフとなる。

「議員立法」に参加し、法律をつくりだすほか、国会の委員会での質問を作成したり、資料を収集したりする。一国の進むべき道を模索する責任の重い仕事だが、それだけにやりがいも十分だ。>なるものまでありますね、とも。

結論から。政策秘書は古手の秘書が「昇格」するのが殆ど。ネットは建前を言っているだけ。信じちゃいけない。大分県教委を連想せよ。

私はかつて大臣の秘書「官」は務めたが国会議員の秘書は務めた事はない。国会議員の公設秘書は給料が国会から支給される。

これに対して私が勤めた外務大臣秘書「官」は総理大臣の任命で、給料は外務省から支給される。国会議員の秘書と同様、「特別国家公務員」の資格を持つから、一般の公務員と違い選挙活動が許されている。

国会議員に秘書は、その議員が側近から選んで国会に推薦して秘書にする。議員が「出世」して大臣になれば第1秘書が大臣秘書官に就任するのが普通。大臣が第1秘書を秘書官にしたい旨、総理大臣に推薦。総理はそのまま発令する。

だから国会議員の第1秘書は「おやじ」が大臣になり、自分が大臣秘書「官」になるのが夢とされる。とりあえず「官」を夢見て業務に励む日々が何年も続く。

飯島さんは秘書と秘書官を交互に永年勤めた上に勘のよさと度胸のよさ、小泉さんの信頼が抜群だから「大物」になった。人柄もものを言う。

その間「おやじ」落選の悪夢が何度も襲う。そのためにおやじ共々選挙区の面倒見を欠かせない。市町村長、議員、後援会幹部からの様々な陳情の発掘と処理。入学、就職の手配。

私には司法試験の裏口手配をしろとの「陳情」まであった。どうするか。「2−3日経ってから『法務省の奴ら、頭が固くて問題にならん、怪しからん奴らだ』と電話で話すんだよ、君のように『司法試験の裏口なんてあるわけがありませんよ』じゃ票が逃げて行っちゃうよ』と大臣に諭された。

私の場合は、園田直氏が官房長官当時は第1秘書が秘書官をしていたが、都合により、当時、NHK国際局副部長だった私と交代することになり、電車で総理官邸に駆けつけたら、内閣改造が終わり、園田さんは外務大臣に横滑り、私は官房長官秘書官に筈が外務省での大臣秘書官になってい
た。

秘書も秘書官も仕事の大部分は接客、陳情の処理と電話の応対である。さらに役所で秘書官となると、野党議員の応対、餞別強要の対応が加わる。議員や大臣の日程調整が最も難しい。特に政局が緊迫してくると宴会と称する秘密会談のセットがある。マスコミに隠さなければならない。

こんな事を何年もやっていると官僚や財界人との人脈もできるようになる。また私の場合は、マスコミとのネットが予めできていたから、そこが秘書上がりの秘書官と違うところだった。

日中平和友好条約の締結交渉の最中とあってマスコミと野党対策が極めて難しかったから、マスコミはだからNHKから引き抜いたのだろうと言った。

そういえば糖尿病の悪化で腎臓障害を持っていた大臣を休養させるため、野党議員に答弁要求を取りやめさせるのも秘書官の仕事。役人は行かない。記者上がりの私には顔なじみの議員ばかりだったからたやすいことだった。

勿論、政治資金のかき集めも重要な仕事。詳細は公開をはばかると書けば想像がつくでしょう。公職選挙法に従っているだけでは政治家の秘書は務まりません。身体も酷使します。私は4年間で後頭部の髪が無くなりました。

「政治家の秘書は親父の身代わりであり、手足であり、遊び相手」と園田さんはよく言っていた。決して頭脳とは言わなかったが、演説原稿は書かせて「当然」という顔をしていた。

元首相候補の某秘書(元新聞記者)は、選挙違反の追及を逃れるため、外国に何年も逃れた末、孤独のうちに死んだ。

私は政治家の秘書は2度としたくない。苦労の割りに収入は並みでしかない。しかし政治家は秘書なしでは、しごとが完遂できない。だが私は秘書が政治家にとって小道具に過ぎない、私も政治家になればそうせざるを得ないと悟った瞬間、政治家への道を閉ざした。2008・09・26

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