2008年10月22日

◆橋下知事vs朝日新聞

                      毛馬一三

<本稿は、全国版メルマガ「頂門の一針」10月23日(木)号に掲載されました。>

橋下知事と朝日新聞との“バトル”が大阪では話題になっている。「頂門の一針」10月21日号掲載の同欄常連寄稿者の花岡信昭氏の「橋下知事の発信力」を拝見し同感した。

実は、この話題に熟知する知事周辺の知人を回り、聴き取った反響を纏める心積りだったが、いち早く示された花岡氏の卓見に先に接した次第。
 
同氏は、<橋下(はしもと)大阪府知事の発言がまたまた話題を呼んでいる。発信力のある人だ。東国原知事もそうだが、存在感と発信力がものをいう。

今度は「朝日新聞のような大人が増えれば日本はだめになる」というのだから、よくぞ言ったと大歓迎だ。

こういう刺激的な発言の応酬を、明るく、からっとやればいい。それこそが、言論・表現の自由というものだ。>と記述しておられる。

ご指摘の通りだと思う。確かに橋下知事は、不合理な過去からの行政実態に立ち向かうと、時を置かずすぐさま「問題提起」とそれに伴う行動を起こす。

一見荒唐無稽、やや感情的な「発言」と受け取られることもないではないが、しかしそこには深謀な計算と配慮が秘められていると、知事側近の知人が明かした。

つまり、知事はその意図する真意を府民に投げ掛けることによって、知事の思考と政策論の是非を推し量ろうという手法を取っているもので、知事は側近にも相談せず、マスコミの前で進んで「発言・行動」を起こすのが常道だそうだ。

そこである程度府民の賛意の意向が掴めると、事務方(職員)に具体案づくりを指示し、府議会与党とも折衝して、成案実現に向けて走り出すという。

仮に自分の「発言」に対して府民の反発が強いと、その部分の修正対応に少しも意に介せず、柔軟この上なく臨んでいるとも、明かしてくれた。

そう云えば、今まで国の法律で保護されてきた「教育委員会」の聖域を、「全国小中生学力テスト」成績公表を突破口に情報開示の方向に介入出来る体勢を築いたことは、府民の賛意を背景に仕上げた最近の一例であることは周知の事実だ。

大阪の歴代知事は、部局内の職員に予算から事業計画まで何事も任せ切りだったのが実態で、府民の意向を考慮するための「発言」を積極的に行うなどの事例は皆無だった。その意味でもこの手法を駆使する橋下知事は、異色の政治家といえるのではないかとと思える。

さて今回の“知事VS朝日新聞”の件だが、知事は自分の意思に反する攻撃だと認識して、19日陸上自衛隊伊丹駐屯地での祝辞の中で、「口ばっかりで、人の悪口ばっかり言っているような朝日新聞のような大人が増えれば、日本はだめになる」と発言。

更に20日には「事実誤認したらすぐ廃業しろ」と批判している。

花岡氏はこうも書いておられる。

<当然のことだが、「責任」が伴う。そこを前提とすれば、とことん、きつい表現を使うことで、論争の真実が見えてくる。これが中途半端に終わると、誤解されて伝わることになる。言論・表現の自由の許容度を上げていくこと。これが必要だ。

朝日側もどんどん言い返せばいい。このケンカ(というのもなんだが)徹底的に、行き着くところまでやってほしい>。

「発言」に当然責任が伴うことを十二分に承知している知事が、きつい表現で相手に喧嘩を売るだけが目的でないことだけは、最近見えてきた知事「発言」の真意の軌跡を見れば、納得がいく。

要は、論争の真の意味合いがはっきりと見えてくることが最も大切なことであり、府民が橋下知事、朝日新聞に求めていることではないだろうか。(了)2008.10.22

★メイル・マガジン「頂門の一針」1357号 平成20年10月23日(木)

<目次>
・「排出量取引」への疑義:平井修一
・ドル基軸体制の崩落過程:宮崎正弘
・「橋下知事の発信力」余聞:毛馬一三
・ 秋が来れば遠からず冬:前田正晶
・盲目で死んだ北原白秋:渡部亮次郎

 ・話 の 福 袋
 ・反     響
 ・身 辺 雑 記

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