岩本宏紀(在仏)
巴里から南フランスの町マントン(Menton)へ9月末、出張した。 ニースの東、あと数キロでイタリア国境というところにある地中海沿いの保養地だ。
このあたりは「コートダジュール」 (Côte d’Azur)、「紺碧の海岸」と呼ばれている。
お客さんを訪ねたあと、折角なので帰り道は海岸通りを選んだ。この日は、9月の終わりなのに陽射しが強く、まともに目が開けられないほどだった。
しかし海の色に驚いた。紫色をしている。押寄せる白い波頭と海の色の対比。なんという深い紫なのだろう。しばし見とれてしまった。
故郷、広島の瀬戸内海。松江の日本海。浜松の太平洋。エトルタ(フランス)の大西洋。ザンドフォード(オランダ)の北海。カンクーン(メキシコ)のカリブ海。アルジェ(アルジェリア)の地中海。どことも違う色だ。
海を見ながら歩いていると浜風は強いのに、ブレザーの下はすぐに汗ばんできた。波と戯れるこどもたち。水着すがたで日光浴をしているひとたち。なかにはトップレスもいる。
秋の巴里から千キロ南。ここコートダジュールはまだ真夏だった。(完)
写真は、マントンの海辺。 オリンピアのデジタルカメラ Camedia C-700―。
紫の海と白い波頭と見ながら、若い男がその横を通り過ぎる。