川原俊明(弁護士)
最近、人をはねた交通事故で、そのまま逃走を試みる残虐な犯行が目につきます。許されない気持ちです。
大阪梅田の繁華街で、人を引きながら3キロにわたり引きずり回した、という凶悪犯罪事件が発生しました。数日前にも、無免許運転の中学3年の女子生徒が、自転車に乗った人を180メートルも引きずって、なお逃走を試みた、という事件がありました。
自分さえ逃げ通せればいいと思ったのでしょうか。被害者の命はどうなってもいいのでしょうか。
身近に発生する交通事故のなかでも、一番卑怯なのは、ひき逃げ事件です。
最近、道路交通法が改正され、飲酒運転により人を致死に至らせた場合、危険運転致死罪として懲役20年以下の厳罰に処せられることになりました。
ところが、交通事故をおこしても逃走し、その間にアルコールを抜けてから自首することによって、危険運転致死罪を回避するパターンが出てきました。その一連で、「逃げ得」を計算し、重罪の危険運転致死罪を回避し、自動車運転過失致死傷罪の「7年以下」を狙って自首する、というとんでもない輩が横行し始めました。
しかし、ひき逃げによる犯行で、被害者を車体に巻き込んでいることを知りながら、逃走するのは、危険運転致死罪どころか、「殺人罪」です。
被害者の生命に明らかな危険が発生することが目に見えており、被害者が死亡してもやむを得ない、と考える場合では、「未必の故意」が認定され、殺人罪が適用されるのです。殺人罪は、当然のことながら死刑を含む重罰です。
ひき逃げによる卑劣な逃走は、決して許されるものでなく、それこそ厳罰で、法を適用すべきです。
人間として、交通事故を起こしてしまったなら、被害者の救済を最優先すべきです。 被害者の救済を放棄することは、殺人罪の適用につながることを認識すべきです。卑劣な逃走をしても、いつまでも逃げ切れるものではないのです。(完)
2008年10月25日
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