2008年12月11日

◆審議なき国籍法の改正

川原俊明(弁護士)

改正国籍法が、与党と民主党などの賛成多数で国会を通過し、法律として成立しました。

この改正法は、最高裁判所が、日本人の父とフィリッピン人の母との間に生まれた子供の国籍取得にあたり、両親が婚姻していないことを理由に国籍取得を認めない旧国籍法は違憲である、という判決を下し、これを受けて法律改正に至ったものです。(平成20年6月4日最高裁大法廷判決)

確かに、片親が日本人である限り、その子供は日本人として国籍を与えるべきです。両親が結婚していない、という理由だけで、日本人の子供に日本の国籍取得を認めないのは、憲法第14条が定める「法の下の平等」に違反します。
最高裁判所が下した違憲判断は、十分、評価に値します。

しかし、改正国籍法には問題があります。

母親が外国人の場合、日本人男性が、その子供を自分の子供だと主張して認知した場合、そのまま子供に日本国籍を与えられる、というのが改正国籍法の内容です。ここでの問題点は、認知をした日本人男性が、本当に、当該外国人女性の子供の父親なのか、ということです。

日本人男性の認知という手続だけで、外国人女性の子供が、日本国籍を取得できてしますことに問題があるのです。日本人男性と外国人女性の子供とが、本当に親子であるかどうかは、DNA鑑定によって99.999%判明します。

国籍申請の際、「認知」だけが要件で、DNA鑑定など「親子の証明」を要件としていないことが重大な問題なのです。最高裁判所は、両親が法律上の結婚関係にない、という理由だけで、婚姻中の両親の子供と、国籍取得手続において差別すべきでない、といっているだけなのです。

実際の父親が日本人男性でないのに、外国人女性が子供を産み、認知手続だけを別の日本人男性に任せた場合、両親ともに外国人なのに、その子供はいとも簡単に日本国籍を取得できることになります。認知手続は、役所への届けだけで成立するから問題なのです。

最近、「偽装認知」という言葉が、世間を騒がしています。本当の血縁のない父親が、父親と称して子供を認知するのを指します。

「認知」といっても、生まれたての子供ばかりを対象にするばかりではありません。成人であっても、父親から認知を受けていない外国人が、日本人男性と手を組んで、「認知」を金で買うこともできるのです。

最高裁判所は、国籍取得にあたり、婚姻要件を法の下の平等に違反するとしただけで、日本人男性による「認知」さえあれば、外国人に日本国籍を与えて良い、といっているのではないのです。

今回の改正国籍法の制定―。

国会議員のうち、どれだけが最高裁判所判決を読み、官僚が作成した法案に目を通しているのでしょうか。国民の代表者は、選挙活動に血眼になっている時間があれば、もっと国会の審議に時間を費やすべきです。

改正国籍法も、ほとんど審理されないまま、法案として国会を通過しているのです。


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