2008年12月23日

◆巴里だより「盗撮の反対」

               岩本宏紀(在仏)

カメラをもって歩いているときれいな風景だけではなく、きれいな女性にであうことが少なくない。その女性が風景に溶け込んでいれば最高だ。

そんなときは迷わずに声をかけることにしている。「あなたを入れて、ここを写真にとりたいのですが。」とお願いして断られたことは、これまで一度もない。

20年以上前のリスボンの海岸通り。ペンタックスMEをもってぶらぶら歩いているとコンクリートの岸にあぐらをかき、長い黒髪を風になびかせて海を眺めている女性がいた。

しばし見とれていると、そばにいたポルトガルのおばちゃんがぼくをつっついた。これに勇気付けられて声をかけ、写真を撮らせてもらった。これが見知らぬひとに了解をとった第一回目である。

ミュンヘンの雪の公園も忘れられない。茶色のロングヘアーにサングラス、茶色のロングコートを羽織って茶色の犬を連れて散歩している女性が近づいてくる。

「わたしでいいのですか?」と謙遜しながらも、嬉しそうに承諾してくれた。おかげで真っ白な公園に女性が一人だけという印象的な写真が撮れた。

ときには妙な具合になることもある。セーヌ河畔で見かけた、東欧とおぼしき色白の少女。

となりにいた母親に了解をもとめると、なにやら質問し始めた。

どうもポラロイドカメラで撮影し、高く売りつける悪徳カメラマンではないかと心配しているらしい。結局アマチュアだとわかってもらえたが、妹も一緒に写せという。断るわけにもいかず、心ならずも二人まとめて写真に収めた。

写した直後に画像が見られるのは、デジタルカメラのおもしろさだ。ハイデルベルクの橋のたもとでひとを待っていた少女は、清純そのものだった。

「あっちを向いて自然に立っていてください。」というぼくの注文にも、素直にしたがってくれた。

「こんな具合に撮れましたよ。」と画面を見せると、嬉しそうににっこり笑った。独り占めにするのはもったいないので、巴里だよりの読者のみんさん、250人に公開しましょう。

日本では盗撮が横行しているようですが、ぼくは事前了解撮影をお薦めします。

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