大阪厚生年金病院 看護師
誰も彼も皆が介護保険を利用しようとするから、保険料が高くなり介護保険が破綻してしまうのだと心配している方が多いと思います。
利用者を見ての実感ですが、介護保険を利用して在宅生活を頑張っておられる方々で、認定限度額を目一杯使っておられる方々は意外とおられません。
例えば、介護認定2の方であれば月額206,500円のサービスを利用できるのですが、全額利用はしておられません。やはり1割の自己負担がありますから、支出を考えてサービス利用をセーブしておられる傾向がみられます。
逆に限度額すべてを利用してもまだ足りないと悲鳴をあげておられるのは、介護認定5の方を在宅介護しておられる家族です。
オムツ交換、食事介助、体位変換、身体拭き、口腔ケア、入浴介助、着替え、通院介助、24時間365日介護のために、ホームヘルパー、訪問看護師、ショートステイを利用しても家族の負担は軽減されているとは言えないようです。
今、私が一番注目していることは、介護付き有料老人ホームの台頭です。有料老人ホームといいますと、数千万円の入居金を支払って、毎月数十万円の利用料金を支払うものが今までの主流でした。
ところが最近は、入居一時金が100万円以下で、毎月の利用料金が15万〜25万円の介護付き有料老人ホームが次から次へと台頭してきています。現在大阪府下で105件の有料ホームがあるようです。
これらの施設は、ホームに入所しているのですがホームを在宅と考え、そのホームで提供される介護サービスを介護保険の対象とするものです。「特定施設入所者生活介護」と分類されるものです。
例えば、ホームの居室を掃除してもらう、洗濯をしてもらう、食事を提供してもらう、風呂に入れてもらう、これらのことをホーム内でサービスをうけるのですが、在宅ヘルパーによる援助と同様に見なして、介護報酬の9割を介護保険から、その1割を入居者から負担金として施設が得る形になっています。
こうなると在宅では支出を考え抑制されていた利用限度が、特定施設では目一杯使われることになり、有料老人ホームへの収入にまわっていきます。
これらの比較的一般の方でも手の届きそうな料金体系の有料ケアホームは、利用者ニーズをとてもよくリサーチしたものだと思います。しかし介護限度額を目一杯使う、いい方をかえれば介護保険に企業が目をつけたと考えてもあながち間違いではないと思えます。
これらの手の届く範囲の料金体系の民間有料ホームが台頭してきたのが2004年に「ゴールドプラン21」の整備目標が終了し、その後特別養護老人ホームの新設がストップしてからということがやはり気がかりなところです。
またこれらの民間有料ホームが、ホームとして新装であっても建物がバブル崩壊した企業の社員寮や保養所を安価で手に入れ建て直ししたものであるという裏があります。
自宅で在宅介護サービスを利用している高齢者が介護保険を食いつぶすということは絶対ありません。
介護を儲かる対象と考え、売りぬけする民間企業が、介護保険を食いつぶす気配を感じます。介護や福祉が儲かるなんてウソだと私は思います。プラス・マイナスあわせてトントンでいいと思います。それでも十分の経済効果はあるはずです。
高齢者が年金からホームの利用料を支払う。その利用料が、ヘルパーとして雇用されている若者の賃金として流れていく。ホームでは高齢者と若年の介護者の交流が展開される。
もうけは0でもこれだけのお金の流れと世代間の心の交流と、雇用の創出が生まれます。流れがあれば経済として社会として十分だと思うのですが・・・
これらの民間有料ホームを儲けの対象として、どこかのファンドのように売りぬけされてしまわないように、利用予備軍の50〜60代が介護保険を育ててゆかなければならないと思います。
2009年01月10日
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