2009年05月01日

◆法廷侮辱を許さない

                  
                   川原俊明

東京地方裁判所で審理中の、傷害被告事件に対する刑事裁判が開かれている最中、証人尋問中の被害者の女性に対し、「また、やってやるぞ」という暴言を吐いた事件がありました。

被告人は、審理中の傷害事件のみならず、暴言についても、別途、刑事事件の犯行として逮捕されました。

当然だと思います。少なくとも、廷秩序維持法(法廷侮辱罪)に違反します。

※ 法廷等の秩序維持に関する法律
(この法律の目的)
第一条  この法律は、民主社会における法の権威を確保するため、法廷等の秩序を維持し、裁判の威信を保持することを目的とする。 (制裁)

第二条  裁判所又は裁判官(以下「裁判所」という。)が法廷又は法廷外で事件につき審判その他の手続をするに際し、その面前その他直接に知ることができる場所で、秩序を維持するため裁判所が命じた事項を行わず若しくは執つた措置に従わず、又は暴言、暴行、けん騒その他不穏当な言動で裁判所の職務の執行を妨害し若しくは裁判の威信を著しく害した者は、二十日以下の監置若しくは三万円以下の過料に処し、又はこれを併科する。

それよりも、本件の傷害事件を犯したことに対する反省がありません。さらには、被害者に対する脅迫罪を、別途、構成します。こんな被告人に対し、弁護士はどんな態度を取るべきでしょうか。
 
私たち法律家は、依頼者の権利擁護、刑事事件においては、被告人の利益保護をすることが、仕事の内容としています。

とはいえ、弁護士は、社会の中で、生命身体の保護を求める人々に対する救済を主な使命としています。でも、違法な行為に荷担すること、あるいは、違法行為に巻き添えになることはゴメンです。
 
私は、法廷で、被害者を侮辱した被告人が、本件事件の反省どころか、犯罪に対する違法の認識もないことに、憤りを感じます。罪を犯し、反省もない被告人は、平和な社会を乱すだけです。
 
厳罰は当然でしょう。日本の社会は、違法行為に対し甘すぎる傾向にあります。  正義を追求し、悪を排斥する。そして平和な社会を築くべきです。

最近の橋下知事が、スマップの草薙(くさなぎ)容疑者が、公然わいせつをしたことに対し、同情発言をしています。

しかし、たとえ、タレントであれ、社会に不安を与え、常識を破る行動を容認する発言は、知事として失格です。 違法を容認すべきではありません。

また、草薙容疑者に対する家宅捜査を問題にする声があります。 しかし、普通、酒を飲んだ程度で全裸になるのは異常な事態です。捜査機関の立場からは、覚醒剤使用、大麻など、薬物使用が当然疑われる事案です。
 
家宅捜査は、やむを得ない事態です。
                    (弁護士)
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